JP2021169993A - 車載レーダー装置用レドーム及び車載レーダー構造 - Google Patents

車載レーダー装置用レドーム及び車載レーダー構造 Download PDF

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Abstract

【課題】車載レーダー装置が照射する電磁波の減衰を許容範囲内に抑制しつつ、車載レーダー装置用レドームとして実用的な融雪機能を発揮することができる。【解決手段】電磁波透過性の基材3と、基材3の内面側に積層配置されて基材3の面方向に配線されるヒーター線41を備える基体2を有し、基材3の電磁波照射領域Rにおいてヒーター線41の直線部411が基材3の面方向に間隔を開けて並設され、基材3の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線41の直線部411の面占有率が1%以上24%以下に設定されている車載レーダー装置用レドーム1。【選択図】図1

Description

本発明は、車載レーダー装置の前側に設けられる車載レーダー装置用レドームに係り、特に融雪機能を有する車載レーダー装置用レドーム及びこのレドームを備える車載レーダー構造に関する。
従来、融雪機能を有する車載レーダー装置用レドームとして、融雪機能を発揮しつつ、ミリ波が透過する際の減衰を抑制できる特許文献1、2のレドームがある。このレドームは、ミリ波透過性を有する装飾本体部と、線状のヒーター線を備え、ヒーター線は、互いに平行に延びる複数の直線部を有し、隣り合う直線部の端部同士を円弧状の折り返し部で繋いで構成されている。ヒーター線は、その一部の複数の直線部がミリ波照射領域内に配置され、ミリ波の減衰量の許容値2.5dB以下となるように、ミリ波照射領域内における全ての直線部のミリ波照射領域に占める面積比率が10%以下となるように設定されている。
更に、特許文献1、2には、ヒーター線の直線部をミリ波の偏波面に対して平行にすると、ミリ波がヒーター線の直線部に面接触する場合があり、透過が妨げられてミリ波が減衰されること、ヒーター線の直線部をミリ波の偏波面に対して直交した状態で配置することにより、ミリ波がヒーター線の直線部と接触する面積を最小にし、透過が妨げられるミリ波の量を最も少なくしてミリ波の減衰量を最小にできることが開示されている。
特開2018−66705号公報 特開2018−66706号公報
ところで、特許文献1、2のレドームでは、ヒーター線の直線部のミリ波照射領域に占める面積比率を10%以下に設定して、ミリ波の減衰量を抑制することは可能である。しかしながら、車載レーダー装置用レドームとして実用的な融雪機能を発揮するために必要なヒーター線の設置量については示されていないため、ヒーター線の直線部のミリ波照射領域に占める面積比率を10%以下の任意の面積比率に設定すると、実用的な融雪機能を発揮することができない場合が生ずる。そのため、車載レーダー装置が照射する電磁波の減衰を抑制しつつ、車載レーダー装置用レドームとして実用的な融雪機能を発揮することができる構造のレドームが望まれている。
本発明は上記課題に鑑み提案するものであって、車載レーダー装置が照射する電磁波の減衰を許容範囲内に抑制しつつ、車載レーダー装置用レドームとして実用的な融雪機能を発揮することができる車載レーダー装置用レドーム及び車載レーダー構造を提供することを目的とする。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、電磁波透過性の基材と、前記基材の内面側に積層配置されて前記基材の面方向に配線されるヒーター線を備える基体を有し、前記基材の電磁波照射領域において前記ヒーター線の直線部が前記基材の面方向に間隔を開けて並設され、前記基材の電磁波照射領域における前記ヒーター線の直線部の面占有率が1%以上24%以下に設定されていることを特徴とする。
これによれば、基材の電磁波照射領域におけるヒーター線の直線部の面占有率を1%以上に設定することにより、環境温度が−5℃で車両が時速100km/hで走行した場合にも、基材の外面の温度を0℃超の状態にすることができる。従って、車載レーダー装置が照射する電磁波の減衰を所要の許容範囲内に抑制しつつ、車載レーダー装置用レドームとして実用的な融雪機能を発揮することができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、前記ヒーター線の直線部が、車載レーダー装置が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略垂直に延びるようにして並設され、前記基材の電磁波照射領域における前記ヒーター線の直線部の面占有率が1%以上24%以下に設定されていることを特徴とする。
これによれば、車載レーダー装置用レドームとして実用的な融雪機能を発揮することができると共に、車載レーダー装置が照射する電磁波に対する基体の透過率を−1.5dB以上に担保することができ、電磁波の減衰を実用上十分な高いレベルの許容範囲内に抑制することができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、前記ヒーター線の直線部が、車載レーダー装置が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略垂直に延びるようにして並設され、前記基材の電磁波照射領域における前記ヒーター線の直線部の面占有率が3%以上20%以下に設定されていることを特徴とする。
これによれば、環境温度が−15℃で車両が時速100km/hで走行した場合にも、基材の外面の温度を0℃超の状態にすることができ、より苛酷な寒冷環境においても車載レーダー装置用レドームの確実な融雪を行うことができる。また、車載レーダー装置が照射する電磁波に対する基体の透過率を−1.0dB以上に担保することができ、電磁波の減衰を実用上十分な非常に高いレベルの許容範囲内に抑制することができる。
尚、ヒーター線の直線部が、車載レーダー装置が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略垂直に延びるようにして並設され、基材の電磁波照射領域におけるヒーター線の直線部の面占有率が1%以上20%以下に設定される構成のレドームとしても良好であり、又、ヒーター線の直線部が、車載レーダー装置が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略垂直に延びるようにして並設され、基材の電磁波照射領域におけるヒーター線の直線部の面占有率が3%以上24%以下に設定される構成のレドームとしても良好である。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、前記ヒーター線の直線部が、車載レーダー装置が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略垂直に延びるようにして並設され、前記基材の電磁波照射領域における前記ヒーター線の直線部の面占有率が3%以上7.5%以下に設定されていることを特徴とする。
これによれば、環境温度が−15℃で車両が時速100km/hで走行した場合にも、基材の外面の温度を0℃超の状態にすることができ、より苛酷な寒冷環境においても車載レーダー装置用レドームの確実な融雪を行うことができる。また、車載レーダー装置が照射する電磁波に対する基体の透過率を−0.35dB以上に担保することができ、非常に高い電磁波透過率を確保することができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、前記ヒーター線の直線部が、車載レーダー装置が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略平行に延びるようにして並設され、前記基材の電磁波照射領域における前記ヒーター線の直線部の面占有率が1%以上16%以下に設定されていることを特徴とする。
これによれば、車載レーダー装置用レドームとして実用的な融雪機能を発揮することができると共に、車載レーダー装置が照射する電磁波に対する基体の透過率を−1.5dB以上に担保することができ、電磁波の減衰を実用上十分な高いレベルの許容範囲内に抑制することができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、前記ヒーター線の直線部が、車載レーダー装置が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略平行に延びるようにして並設され、前記基材の電磁波照射領域における前記ヒーター線の直線部の面占有率が3%以上13%以下に設定されていることを特徴とする。
これによれば、環境温度が−15℃で車両が時速100km/hで走行した場合にも、基材の外面の温度を0℃超の状態にすることができ、より苛酷な寒冷環境においても車載レーダー装置用レドームの確実な融雪を行うことができる。また、車載レーダー装置が照射する電磁波に対する基体の透過率を−1.0dB以上に担保することができ、電磁波の減衰を実用上十分な非常に高いレベルの許容範囲内に抑制することができる。
尚、ヒーター線の直線部が、車載レーダー装置が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略平行に延びるようにして並設され、基材の電磁波照射領域におけるヒーター線の直線部の面占有率が1%以上13%以下に設定される構成のレドームとしても良好であり、又、ヒーター線の直線部が、車載レーダー装置が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略平行に延びるようにして並設され、基材の電磁波照射領域におけるヒーター線の直線部の面占有率が3%以上16%以下に設定される構成のレドームとしても良好である。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、前記ヒーター線が折り返して蛇行するように配線され、隣り合う前記ヒーター線の直線部に流れる電流の方向が互いに略反平行であると共に、前記基材の電磁波照射領域において前記ヒーター線の直線部が近似するピッチで少なくとも4本並設されていることを特徴とする。
これによれば、隣り合うヒーター線の直線部に流れる電流の方向を互いに反平行にして隣り合うヒーター線から放射される電磁波を逆位相とし、ヒーター線からの電磁放射を打ち消すことができ、より優れた電磁波透過性能を得ることができる。また、基材の電磁波照射領域においてヒーター線の直線部を近似するピッチで少なくとも4本並設することにより、基材の電磁波照射領域全体における温度分布をより平準化して、ヒーター線加熱時に温度が低い局所的な領域が発生することを防止することができ、基材の電磁波照射領域全体に亘ってより確実に融雪を行うことができる。
本発明の車載レーダー装置用レドームは、前記ヒーター線が折り返して蛇行するように配線され、隣り合う前記ヒーター線の直線部に流れる電流の方向が互いに略反平行であると共に、前記電磁波照射領域内の前記ヒーター線の直線部と隣り合う前記電磁波照射領域外の前記ヒーター線の直線部が、前記電磁波照射領域内の前記ヒーター線の直線部相互のピッチと近似するピッチで設けられ、前記電磁波照射領域外の前記ヒーター線の直線部が、隣り合う前記電磁波照射領域内の前記ヒーター線の直線部の前記電磁波照射領域内における長さ以上の長さで延設されていることを特徴とする。
これによれば、隣り合うヒーター線の直線部に流れる電流の方向を互いに反平行にして隣り合うヒーター線から放射される電磁波を逆位相とし、ヒーター線からの電磁放射を打ち消すことができ、より優れた電磁波透過性能を得ることができる。また、電磁波照射領域内のヒーター線の直線部と隣り合う電磁波照射領域外のヒーター線の直線部を、電磁波照射領域内のヒーター線の直線部相互のピッチと近似するピッチで設け、電磁波照射領域外のヒーター線の直線部を、隣り合う電磁波照射領域内のヒーター線の直線部の電磁波照射領域内における長さ以上の長さで延設することにより、電磁波照射領域の周縁近傍に位置する電磁波照射領域内のヒーター線の直線部の電磁放射を、電磁波照射領域内に並置された直線部が偶数本であるか奇数本であるかに拘わらず、高い確実性で打ち消すことができ、より一層優れた電磁波透過性能を得ることができる。
本発明の車載レーダー構造は、本発明の車載レーダー装置用レドームと、直線偏波の電磁波を前記車載レーダー装置用レドームに照射する車載レーダー装置を備えることを特徴とする。
これによれば、本発明の車載レーダー装置用レドームの効果を奏する車載レーダー構造を得ることができる。
本発明によれば、車載レーダー装置が照射する電磁波の減衰を許容範囲内に抑制しつつ、車載レーダー装置用レドームとして実用的な融雪機能を発揮することができる。
(a)は本発明による実施形態の車載レーダー装置用レドームの正面図、(b)は同図(a)の部分拡大図。 図1のA−A拡大断面図。 図1のB−B拡大断面図。 実施形態の車載レーダー装置用レドームを備える車載レーダー構造の説明図。 実施形態の車載レーダー装置用レドームの変形例を説明する断面説明図。 電磁波照射領域におけるヒーター線の面占有率と電磁波透過率の関係を測定した実験例の測定装置の模式図。 (a)は実験例で用いたサンプルのヒーター線の直線部に対して直線偏波の偏波面を垂直にして電磁波をサンプルに照射した状態を説明する模式図、(b)は実験例で用いたサンプルのヒーター線の直線部に対して直線偏波の偏波面を平行にして電磁波をサンプルに照射した状態を説明する模式図。 ヒーター線の直線部に対して電磁波の直線偏波の偏波面を垂直にしてサンプルに照射した場合と平行にしてサンプルに照射した場合のヒーター線の面占有率と電磁波透過率の関係を示す実験例のグラフ。 環境温度−5℃の場合と環境温度−15℃の場合におけるヒーター線の面占有率とサンプルの外表面温度の関係を示す実験例のグラフ。 ヒーター線の直線部に対して電磁波の直線偏波の偏波面を垂直にしてサンプルに照射した場合におけるヒーター線の面占有率と電磁波透過率とサンプルの外表面温度の関係を示す実験例のグラフ。 ヒーター線の直線部に対して電磁波の直線偏波の偏波面を平行にしてサンプルに照射した場合におけるヒーター線の面占有率と電磁波透過率とサンプルの外表面温度の関係を示す実験例のグラフ。
〔実施形態の車載レーダー装置用レドーム〕
本発明による実施形態の車載レーダー装置用レドーム1は、図1〜図3に示すように、電磁波透過性の基材3と、基材3の内面側、換言すれば車両の中心側に積層配置されて基材3の面方向に配線されるヒーター線41を備える基体2で構成されている。基材3は、合成樹脂、ガラス、セラミックス等の本発明の趣旨の範囲内で適宜の材料を用いることが可能であるが、好適には絶縁性の合成樹脂とするとよい。
図示例のレドーム1は、車両のバンパーに取り付けられるバンパーカバーであり、基材3は絶縁性の合成樹脂で形成されている。基材3を絶縁性の合成樹脂とする場合の材料は、適用可能な範囲で適宜であり、例えばアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン(PE)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS)、ポリスチレン(PS)、シクロオレフィンポリマー(COP)、アクリロニトリル−スチレン−アクリレート共重合(ASA)、アクリロニトリル−エチレンプロピルラバー−スチレン共重合体(AES)等の1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、又、添加剤を含有させてもよい。
本実施形態におけるヒーター線41は、ヒーターシート4の一部を構成しており、ヒーターシート4は、ヒーター線41と、電磁波透過性の絶縁フィルム42で構成されている。図示例のヒーター線41は、面状の絶縁フィルム42内に全体が埋設されて、或いは面状の絶縁フィルム42の背面側で露出するように埋設されて設けられている。ヒーター線41は、例えばニクロム線、鉄クロム、銅、銀、カーボン繊維、ITO膜のような透明導電膜等の適用可能な適宜の導電性材料とすることが可能である。また、絶縁フィルム42は、適用可能な適宜の電磁波透過性を有する絶縁性素材とすることが可能であり、例えばポリカーボネート(PC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP、OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、アクリル(AC)、又はポリエーテルエーテルケトン(PEEK)等の絶縁性合成樹脂で形成すると好適である。
尚、ヒーターシート4は、面状の絶縁フィルム42にヒーター線41が埋設される好適な構成例以外にも、適用可能な範囲で適宜の構成とすることが可能であり、例えば絶縁フィルム42の車両の中心側に位置する背面側或いは内面側にヒーター線41が固着される構成としても好適であり、更に、絶縁フィルム42の車両の中心側に位置する背面側或いは内面側にヒーター線41が固着され、このヒーター線41を背面側から覆うようにして保護膜が絶縁フィルム42に積層されて固着される構成としても好適である。
ヒーター線41は、その両端が図示例の車載レーダー装置用レドーム1の下部のコネクタ6に電気的に接続され且つ機械的に固定されており、コネクタ6及びこれに接続される図示省略する電気ケーブルを介してヒーター線41に電力が供給され、ヒーター線41が発熱するようになっている。
ヒーター線41は、基材3の背面31が拡がる方向或いは背面31に沿って蛇行し、折り返すように配線されて一連で延びて形成されており、基材3の電磁波照射領域Rとその外側においてヒーター線41の直線部411が基材3の面方向或いは背面31に沿って間隔を開けて並設されていると共に、隣り合うヒーター線41の直線部411に流れる電流の方向が互いに略反平行或いは反平行となるように設定されている。隣り合うヒーター線41の直線部411に流れる電流の方向を互いに略反平行或いは反平行となるように設定することにより、隣り合うヒーター線41の直線部411・411から放射される電磁波を逆位相とし、ヒーター線41の直線部411からの電磁放射を打ち消して、より優れた電磁波透過性能を得ることが可能となる。そして、本実施形態では、基材3の電磁波照射領域Rにおいてヒーター線41の直線部411が近似するピッチPで少なくとも4本並設され、図示例では、基材3の電磁波照射領域Rにおいてヒーター線41の直線部411が近似するピッチPで4本並設されている。
更に、本実施形態では、基材3の電磁波照射領域R内のヒーター線41の直線部411mと隣り合う電磁波照射領域R外のヒーター線41の直線部411nが、電磁波照射領域R内のヒーター線41の直線部411・411相互のピッチPと近似するピッチPで設けられ、電磁波照射領域R外のヒーター線41の直線部411nが、隣り合う電磁波照射領域R内の前記ヒーター線41の直線部411mの電磁波照射領域R内における長さ以上の長さで略反平行となるように延設されている。図示例では、ヒーター線41の直線部411mと直線部411n相互のピッチPは、電磁波照射領域R内のヒーター線41の直線部411・411相互のピッチPと近似するピッチPで設けられ、ヒーター線41の直線部411nが直線部411mと略同一長さで略反平行に延設され、直線部411mの電磁波照射領域R内における長さを超える長さで略反平行となるように直線部411nが電磁波照射領域R外で延設されている。尚、本実施形態における直線部411m・411n相互を含むヒーター線41の直線部411・411相互の近似するピッチPの近似は、最小ピッチPmin、最大ピッチPmax、最小ピッチPminと最大ピッチPmaxとの中間値を中間ピッチPmidとした場合に、最小ピッチPmin/中間ピッチPmidが0.80以上で、且つ、最大ピッチPmax/中間ピッチPmidが1.2以下であることを意味する。
更に、本実施形態の車載レーダー装置用レドーム1では、基材3の電磁波照射領域Rにおいて、ヒーター線41の直線部411の面占有率が1%以上24%以下になるように設定してヒーター線41が設けられている。
本実施形態において、ヒーター線41の直線部411が、後述する車載レーダー装置10が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略垂直或いは垂直に延びるようにして並設される車載レーダー構造とする場合、基材3の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線41の直線部411の面占有率を1%以上24%以下に設定して設けると好適である。この構成例としては、ヒーター線41の直線部411・411相互間のピッチPを7.0mmとした場合、直線部411の線幅Wを0.07mm〜1.68mmとする。更に好適には、基材3の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線41の直線部411の面占有率を1%以上20%以下に設定して設ける構成、或いは、基材3の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線41の直線部411の面占有率を3%以上24%以下に設定して設ける構成、或いは、基材3の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線41の直線部411の面占有率を3%以上20%以下に設定して設ける構成とするとよい。この基材3の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線41の直線部411の面占有率を3%以上20%以下に設定して設ける構成例としては、ヒーター線41の直線部411・411相互間のピッチPを7.0mmとした場合に、直線部411の線幅Wを0.21〜1.40mmとする。
また、本実施形態において、ヒーター線41の直線部411が、後述する車載レーダー装置10が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略平行或いは平行に延びるようにして並設される車載レーダー構造とする場合、基材3の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線41の直線部411の面占有率を1%以上16%以下に設定して設けると好適である。この構成例として、ヒーター線41の直線部411・411相互間のピッチPを7.0mmとした場合に、直線部411の線幅Wを0.07〜1.12mmとする。更に好適には、基材3の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線41の直線部411の面占有率を1%以上13%以下に設定して設ける構成、或いは、基材3の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線41の直線部411の面占有率を3%以上16%以下に設定して設ける構成、或いは、基材3の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線41の直線部411の面占有率を3%以上13%以下に設定して設ける構成とするとよい。この基材3の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線41の直線部411の面占有率を3%以上13%以下に設定して設ける構成例としては、ヒーター線41の直線部411・411相互間のピッチPを7.0mmとした場合に、直線部411の線幅Wを0.21〜0.91mmとする。
また、絶縁フィルム42には、又は絶縁フィルム42に保護膜を積層して固着する場合には絶縁フィルム42と保護膜には、基材3と、複素誘電率に基づき定義される屈折率nが相互に整合する、又は、屈折率nが略同一或いは近接するものを用いると電磁波の透過性能向上の観点から好適である。基材3と絶縁フィルム42の近接する屈折率n、基材3と保護膜の近接する屈折率n、絶縁フィルム42と保護膜の屈折率nの数値範囲としては、各屈折率の相違が0〜10%の範囲内となるようにすると良好である。
ここでの屈折率nは比誘電率実数部εr'と比誘電率虚数部εr"から数式1として定義される量である。 また、基材3、絶縁フィルム42、保護膜の各材料について、透過性の観点から適用周波数における虚数部と実数部の比から数式2として定義される誘電正接(ロスタンジェント)tanδの大きさが0.1以下のものを用いると好適である。また比誘電率実部の大きさは3以下とすると好適である。誘電正接と非誘電率実部の大きさをこれらの数値以下とすることにより、レドームに必要とされる反射率と内部損失の低減を確実にすることが可能となる。
Figure 2021169993
Figure 2021169993
本実施形態におけるヒーターシート4は、接着層5を介して基材3の内面側或いは背面側に固着されている。接着層5は、適用可能な適宜の電磁波透過性の絶縁材料で構成され、例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル等の接着剤、或いは、アクリル系、シリコン系等の接着剤にPET、ポリプロピレン、アクリルフォーム等の芯材で構成される両面テープ、または芯材のない接着剤だけの両面テープで形成することが可能である。尚、接着層5を介してヒーターシート4を基材3に固着する構成に代え、ヒーターシート4と絶縁フィルム42を溶着して基材3に固着する構成としても良好である。
接着層5には、基材3及び絶縁フィルム42と、又は基材3及び絶縁フィルム42及び保護膜と、複素誘電率に基づき定義される屈折率nが相互に整合する、又は、屈折率nが略同一或いは近接するものを用いると電磁波の透過性能向上の観点から好適である。接着層5と基材3の近接する屈折率n、接着層5と絶縁フィルム42の近接する屈折率n、接着層5と保護膜の近接する屈折率nの数値範囲としては、各屈折率の相違が0〜10%の範囲内となるようにすると良好である。尚、これらの屈折率nも比誘電率実数部εr'と比誘電率虚数部εr"から数式1として定義される量である。また、接着層5の材料について、透過性の観点から適用周波数における虚数部と実数部の比から数式2として定義される誘電正接(ロスタンジェント)tanδの大きさが0.1以下のものを用いると好適である。また比誘電率実部の大きさは3以下とすると好適である。
そして、図4に示すように、車載レーダー装置用レドーム1は、車両の中心側に配置される車載レーダー装置10の前方に配置されて車両に取り付けられ、車載レーダー構造が構成される。車載レーダー装置10は、直線偏波の電磁波を車載レーダー装置用レドーム1に照射する。尚、車載レーダー装置10が照射する電磁波の波長或いは周波数は必要に応じて適宜であり、例えば76.0〜77.0GHzの76/77GHz帯のミリ波や76.0〜79.0GHzの76/79GHz帯等とする。
尚、図示例の車載レーダー装置用レドーム1はバンパーカバーとしたが、本発明の車載レーダー装置用レドームは、エンブレム形状のレドーム等の適宜の車両実装部品で構成することが可能である。また、車載レーダー装置用レドーム1の基体2には、必要に応じて基材3の法線方向に適宜の積層材を追加配置することが可能であり、バンパーカバー或いはエンブレム形状のレドーム等において、例えば基材3の車両の中心側の内面側或いは背面側にヒーターシート4に積層配置して電磁波透過性の後基材71を接着或いは溶着で固着する構成としても良好であり、又、基材3の車両の外表面側の外面側或いは表面側に電磁波透過性の加飾層72と透明基材73、若しくは透明基材73を基材3に積層配置して接着或いは溶着で固着する構成としても良好である(図5参照)。
この際、後基材71の屈折率と、基材3、ヒーターシート4の絶縁フィルム42或いは絶縁フィルム42と保護膜、接着層5が介在する場合には接着層5の各屈折率の相違は、0〜10%の範囲内となるようにすると良好であり、又、透明基材73の屈折率と、基材3、ヒーターシート4の絶縁フィルム42或いは絶縁フィルム42と保護膜、接着層5が介在する場合には接着層5の各屈折率の相違は、0〜10%の範囲内となるようにすると良好である。また、後基材71の材料や、透明基材73の材料には、数式2として定義される誘電正接(ロスタンジェント)tanδの大きさが0.1以下のものを用いると好適であり、更に、比誘電率実部の大きさは3以下とすると好適である。また、電磁波透過性の加飾層の構成は、本発明の趣旨の範囲内で適宜であり、例えばクラックで島状に分割され一体的な視認性を有する不連続金属膜と着色部で構成される加飾層、不連続金属膜だけで構成される加飾層等とすることが可能である。
本実施形態の車載レーダー装置用レドーム1によれば、基材3の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線41の直線部411の面占有率を1%以上に設定することにより、環境温度が−5℃で車両が時速100km/hで走行した場合にも、基材3の外面の温度を0℃超の状態にすることができる。従って、車載レーダー装置10が照射する電磁波の減衰を所要の許容範囲内に抑制しつつ、車載レーダー装置用レドーム1として実用的な融雪機能を発揮することができる。
また、ヒーター線41の直線部411を、車載レーダー装置10が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略垂直に延びるようにして並設し、基材3の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線41の直線部411の面占有率を1%以上24%以下に設定する場合には、車載レーダー装置用レドーム1として実用的な融雪機能を発揮することができると共に、車載レーダー装置10が照射する電磁波に対する基体2の透過率を−1.5dB以上に担保することができ、電磁波の減衰を実用上十分な高いレベルの許容範囲内に抑制することができる。
また、ヒーター線41の直線部411を、車載レーダー装置10が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略垂直に延びるようにして並設し、基材3の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線41の直線部411の面占有率を3%以上20%以下に設定する場合には、環境温度が−15℃で車両が時速100km/hで走行した場合にも、基材3の外面の温度を0℃超の状態にすることができ、より苛酷な寒冷環境においても車載レーダー装置用レドーム1の確実な融雪を行うことができる。また、車載レーダー装置10が照射する電磁波に対する基体2の透過率を−1.0dB以上に担保することができ、電磁波の減衰を実用上十分な非常に高いレベルの許容範囲内に抑制することができる。
また、ヒーター線41の直線部411を、車載レーダー装置10が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略平行に延びるようにして並設し、基材3の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線41の直線部411の面占有率を1%以上16%以下に設定する場合には、車載レーダー装置用レドーム1として実用的な融雪機能を発揮することができると共に、車載レーダー装置10が照射する電磁波に対する基体2の透過率を−1.5dB以上に担保することができ、電磁波の減衰を実用上十分な高いレベルの許容範囲内に抑制することができる。
また、ヒーター線41の直線部411を、車載レーダー装置10が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略平行に延びるようにして並設し、基材3の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線41の直線部411の面占有率を3%以上13%以下に設定する場合には、環境温度が−15℃で車両が時速100km/hで走行した場合にも、基材3の外面の温度を0℃超の状態にすることができ、より苛酷な寒冷環境においても車載レーダー装置用レドーム1の確実な融雪を行うことができる。また、車載レーダー装置10が照射する電磁波に対する基体2の透過率を−1.0dB以上に担保することができ、電磁波の減衰を実用上十分な非常に高いレベルの許容範囲内に抑制することができる。
また、車載レーダー装置用レドーム1によれば、隣り合うヒーター線41の直線部411・411に流れる電流の方向を互いに反平行にして隣り合うヒーター線から放射される電磁波を逆位相とし、ヒーター線41からの電磁放射を打ち消すことができ、より優れた電磁波透過性能を得ることができる。また、基材3の電磁波照射領域Rにおいてヒーター線41の直線部411を近似するピッチで少なくとも4本並設することにより、基材3の電磁波照射領域R全体における温度分布をより平準化して、ヒーター線加熱時に温度が低い局所的な領域が発生することを防止することができ、基材3の電磁波照射領域R全体に亘ってより確実に融雪を行うことができる。
また、電磁波照射領域R内のヒーター線41の直線部411mと隣り合う電磁波照射領域R外のヒーター線41の直線部411nを、電磁波照射領域R内のヒーター線41の直線部411・411相互のピッチと近似するピッチで設け、電磁波照射領域R外のヒーター線41の直線部411nを、隣り合う電磁波照射領域R内のヒーター線41の直線部411mの電磁波照射領域R内における長さ以上の長さで延設することにより、電磁波照射領域Rの周縁近傍に位置する電磁波照射領域R内のヒーター線41の直線部411mの電磁放射を、電磁波照射領域R内に並置された直線部411が偶数本であるか奇数本であるかに拘わらず、高い確実性で打ち消すことができ、より一層優れた電磁波透過性能を得ることができる。
〔ヒーター線の面占有率と電磁波透過率と融雪性に関する実験例〕
本発明の車載レーダー装置用レドームの基体及び上記実施形態の車載レーダー装置用レドーム1の基体2に相当するサンプルとして、図6及び図7に示すサンプル20を作成し、サンプル20を用いて電磁波透過率を検証する実験と、融雪性を検証する実験を行った。サンプル20は、基材3に対応する基材21と、ヒーターシート4に対応するヒーターシート22と、接着層5に対応する両面テープ23から構成され、基材21の電磁波が照射される側の背面側或いは内面側に両面テープ23、ヒーターシート22の順に積層配置され、基材21に両面テープ23を介してヒーターシート22が固着されている。
基材21は厚み2.2mmの平板状、両面テープ23は厚み0.1mmの平面状、ヒーターシート22は厚み0.1mmの平面状であり、これらが積層配置された略平板状のサンプルの総厚みは2.4mmである。基材21はABS樹脂の樹脂板とし、より詳細には日本エイアンドエル株式会社の耐熱性のABS樹脂(MTH−2)で形成した。このABS(MTH−2)の室温(約25℃)で76/77GHz帯の電磁波(ミリ波)に対する複素誘電率ε'は2.656、誘電正接tanδは0.0065である。
ヒーターシート22は、絶縁フィルム222の背面側でヒーター線221及びその端子2212が露出するようにしてヒーター線221が絶縁フィルム222に埋設されて構成されている。絶縁フィルム222はポリイミドフィルムとし、ヒーター線221は銅線(抵抗率1.69×10−8Ω・m)とした。絶縁フィルム222であるポリイミドフィルムの室温(約25℃)で76/77GHz帯の電磁波(ミリ波)に対する複素誘電率ε'は3.247、誘電正接tanδは0.0054である。また、ヒーター線221は、絶縁フィルム222に沿って蛇行し、折り返すように配線されて一連で延びて形成されており、直線部2211が絶縁フィルム222に沿って間隔を開けて並設されている。サンプル20のヒーター線221の直線部2211・2211相互間のピッチPは7.0mmで、各直線部2211・2211相互間のピッチPは全て同じである。
両面テープ23は芯材の無いアクリル系接着剤で構成されており、室温(約25℃)で76/77GHz帯の電磁波(ミリ波)に対する複素誘電率ε'は2.513、誘電正接tanδは0.0139である。
サンプル20を用いる電磁波透過率を検証する実験の測定は、ROHDE&SCHWARZ社製Quality Automobile Radome Tester(QAR)を測定装置として用いて実施した。この測定装置の図6の模式図において、101は電磁波発信部、102は受信部、103は評価装置である。測定に利用した電磁波発信部101から送信する電磁波は76/77GHz帯のミリ波である。EWはそのミリ波の伝搬方向である。
そして、図7に示すRが電磁波照射領域になるようにして電磁波発信部101からサンプル20に電磁波を照射し、76/77GHz帯のミリ波の直線偏波の偏波面LPがサンプル20のヒーター線221の直線部2211に対して垂直となるように電磁波を照射した場合の電磁波透過率の測定を行うと共に(図7(a)参照)、76/77GHz帯のミリ波の直線偏波の偏波面LPがサンプル20のヒーター線221の直線部2211に対して平行となるように電磁波を照射した場合の電磁波透過率の測定を行った(図7(b)参照)。
電磁波透過率の測定では、偏波面LPが直線部2211に対して垂直の場合と、偏波面LPが直線部2211に対して平行の場合のそれぞれについて、ピッチ7.0mmを維持しつつ、直線部2211の線幅Wを変更して電磁波照射領域Rの面積全体に占めるヒーター線221或いはその直線部2211の占有率を変更しながら、ヒーター線221に通電せずに測定を行った。その測定結果を図8に示す。
図8により、車載レーダー装置用レドームの基体に相当するサンプル20の電磁波透過減衰の許容値を−1.5dB以上とする場合、電磁波の直線偏波の偏波面LPをヒーター線221の直線部2211に対して垂直に照射する構造では、基材21の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線221の直線部2211の面占有率を24%以下に設定することにより達成できることが分かる。また、電磁波の直線偏波の偏波面LPをヒーター線221の直線部2211に対して平行に照射する構造では、基材21の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線221の直線部2211の面占有率を16%以下に設定することにより、同様の許容値を達成できることが分かる。
更に、車載レーダー装置用レドームの基体に相当するサンプル20の電磁波透過減衰の許容値を−1.0dB以上とする場合、電磁波の直線偏波の偏波面LPをヒーター線221の直線部2211に対して垂直に照射する構造では、基材21の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線221の直線部2211の面占有率を20%以下に設定することにより達成できることが分かる。また、電磁波の直線偏波の偏波面LPをヒーター線221の直線部2211に対して平行に照射する構造では、基材21の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線221の直線部2211の面占有率を13%以下に設定することにより、同様の許容値を達成できることが分かる。
更に、電磁波の直線偏波の偏波面LPをヒーター線221の直線部2211に対して垂直に照射する構造では、基材21の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線221の直線部2211の面占有率が10%以下の場合に電磁波透過率が−0.4dB以上、基材21の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線221の直線部2211の面占有率が7.5%以下の場合に電磁波透過率が−0.35dB以上と非常に高い電磁波透過率を実現できることが分かる。
また、サンプル20を用いる融雪性を検証する実験では、車両の進行方向を前側として車両の前面にサンプル20を設置し、サンプル20のヒーター線221に入力電圧10Vで通電した状態とし、車両の速度を100km/hに設定して実験を行った。そして、ピッチ7.0mmを維持しつつ、直線部2211の線幅Wを変更して電磁波照射領域Rの面積全体に占めるヒーター線221或いはその直線部2211の占有率を変更して、環境温度−5℃の場合と、環境温度−15℃の場合を設定して実験を行った。その測定結果を図9に示す。
図9により、環境温度が−5℃で車両が時速100km/hで走行した場合には、基材21の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線221の直線部2211の面占有率を1%以上に設定することにより、基材21の外面(車両進行方向の前面)の温度を0℃超の状態にできることが分かる。また、環境温度が−15℃で車両が時速100km/hで走行した場合には、基材21の電磁波照射領域Rにおけるヒーター線221の直線部2211の面占有率を3%以上に設定することにより、基材21の外面(車両進行方向の前面)の温度を0℃超の状態にできることが分かる。
図10にヒーター線221の直線部2211に対して電磁波の直線偏波の偏波面LPを垂直にしてサンプル20に照射した場合におけるヒーター線221の面占有率と電磁波透過率とサンプル20の外表面温度の関係を示す。電磁波の直線偏波の偏波面LPをヒーター線221の直線部2211に対して垂直に照射する構造では、所要の電磁波透過率をクリアしつつ実用的な融雪機能を発揮する観点から、ヒーター線221或いはその直線部2211の面占有率の下限は好適には1%以上、より好適には3%以上とし、上限は好適には24%以下、より好適には20%以下とするとよい。更に、非常に優れた電磁波透過率を得るためには、ヒーター線221或いはその直線部2211の面占有率の上限は10%以下とするとより好適であり、7.5%以下とするとより一層好適である。
図11にヒーター線221の直線部2211に対して電磁波の直線偏波の偏波面LPを平行にしてサンプル20に照射した場合におけるヒーター線221の面占有率と電磁波透過率とサンプル20の外表面温度の関係を示す。電磁波の直線偏波の偏波面LPをヒーター線221の直線部2211に対して平行に照射する構造では、所要の電磁波透過率をクリアしつつ実用的な融雪機能を発揮する観点から、ヒーター線221或いはその直線部2211の面占有率の下限は好適には1%以上、より好適には3%以上とし、上限は好適には16%以下、より好適には13%以下とするとよい。
〔本明細書開示発明の包含範囲〕
本明細書開示の発明は、発明として列記した各発明、実施形態の他に、適用可能な範囲で、これらの部分的な内容を本明細書開示の他の内容に変更して特定したもの、或いはこれらの内容に本明細書開示の他の内容を付加して特定したもの、或いはこれらの部分的な内容を部分的な作用効果が得られる限度で削除して上位概念化して特定したものを包含する。そして、本明細書開示の発明には下記変形例や追記した内容も含まれる。
例えば本発明の車載レーダー装置用レドームには、電磁波透過性の基材と、基材の内面側に積層配置されて基材の面方向に配線されるヒーター線を備える基体を有するものが適宜含まれ、例えばヒーターシート4を用いずに、ヒーター線が基材の内面側に積層配置されて直接固着される構造のレドームも含まれる。
本発明は、車載レーダー装置用レドーム及び車載レーダー構造として利用することができる。
1…車載レーダー装置用レドーム 2…基体 3…基材 31…背面 4…ヒーターシート 41…ヒーター線 411、411m、411n…直線部 42…絶縁フィルム 5…接着層 6…コネクタ 71…後基材 72…加飾層 73…透明部材 10…車載レーダー装置 20…サンプル 21…基材 22…ヒーターシート 221…ヒーター線 2211…直線部 2212…端子 222…絶縁フィルム 23…両面テープ 101…電磁波発信部 102…受信部 103…評価装置 R…電磁波照射領域 P…ヒーター線の直線部相互間のピッチ W…ヒーター線の直線部の線幅 EW…ミリ波の伝搬方向 LP…直線偏波の偏波面(偏光方向)

Claims (9)

  1. 電磁波透過性の基材と、前記基材の内面側に積層配置されて前記基材の面方向に配線されるヒーター線を備える基体を有し、
    前記基材の電磁波照射領域において前記ヒーター線の直線部が前記基材の面方向に間隔を開けて並設され、
    前記基材の電磁波照射領域における前記ヒーター線の直線部の面占有率が1%以上24%以下に設定されていることを特徴とする車載レーダー装置用レドーム。
  2. 前記ヒーター線の直線部が、車載レーダー装置が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略垂直に延びるようにして並設され、
    前記基材の電磁波照射領域における前記ヒーター線の直線部の面占有率が1%以上24%以下に設定されていることを特徴とする請求項1記載の車載レーダー装置用レドーム。
  3. 前記基材の電磁波照射領域における前記ヒーター線の直線部の面占有率が3%以上20%以下に設定されていることを特徴とする請求項2記載の車載レーダー装置用レドーム。
  4. 前記基材の電磁波照射領域における前記ヒーター線の直線部の面占有率が3%以上7.5%以下に設定されていることを特徴とする請求項3記載の車載レーダー装置用レドーム。
  5. 前記ヒーター線の直線部が、車載レーダー装置が照射する直線偏波の電磁波の偏波面に対して略平行に延びるようにして並設され、
    前記基材の電磁波照射領域における前記ヒーター線の直線部の面占有率が1%以上16%以下に設定されていることを特徴とする請求項1記載の車載レーダー装置用レドーム。
  6. 前記基材の電磁波照射領域における前記ヒーター線の直線部の面占有率が3%以上13%以下に設定されていることを特徴とする請求項5記載の車載レーダー装置用レドーム。
  7. 前記ヒーター線が折り返して蛇行するように配線され、隣り合う前記ヒーター線の直線部に流れる電流の方向が互いに略反平行であると共に、
    前記基材の電磁波照射領域において前記ヒーター線の直線部が近似するピッチで少なくとも4本並設されていることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の車載レーダー装置用レドーム。
  8. 前記ヒーター線が折り返して蛇行するように配線され、隣り合う前記ヒーター線の直線部に流れる電流の方向が互いに略反平行であると共に、
    前記電磁波照射領域内の前記ヒーター線の直線部と隣り合う前記電磁波照射領域外の前記ヒーター線の直線部が、前記電磁波照射領域内の前記ヒーター線の直線部相互のピッチと近似するピッチで設けられ、
    前記電磁波照射領域外の前記ヒーター線の直線部が、隣り合う前記電磁波照射領域内の前記ヒーター線の直線部の前記電磁波照射領域内における長さ以上の長さで延設されていることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の車載レーダー装置用レドーム。
  9. 請求項1〜8の何れかに記載の車載レーダー装置用レドームと、
    直線偏波の電磁波を前記車載レーダー装置用レドームに照射する車載レーダー装置を備えることを特徴とする車載レーダー構造。
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