JP2021164431A - 植物栽培プランタ及びそれを用いた植物生育ライン - Google Patents
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Abstract
【課題】植物の生育過程で必要な養液量を減少させ、少量多品種の機能性を高めた植物の安定した同時栽培が可能な方法の提供を目的とする。【解決手段】この目的を達成するため、機能性植物の栽培を行うのに適した植物栽培プランタであって、カップ状のプラスチック製容器の中に、培養ベッドとして、培地用プラスチック粒子と、植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び/又は多孔質プラスチック粒子とを含むものを用いたことを特徴とする植物栽培プランタを採用する。そして、この複数の植物栽培プランタを用いた植物生育ラインを採用する。【選択図】図1
Description
本件発明は、植物栽培プランタ及びそれを用いた植物生育ラインに関する。
従来から、野菜又はその他植物(以下、単に「植物」と称する。)の培地を用いない水耕栽培においては、養液の供給態様に応じて、特許文献1に開示されているような薄膜水耕法(Nutrient Film Technique:以下「NFT」と称する。)や、特許文献2に開示されているような湛液水耕法(Deep Flow Technique:以下「DFT」と称する。)等が存在する。このNFTは、緩やかな傾斜を付けたパネル上に薄く養液を流し、根が酸素に触れる状態で植物を栽培する方法である。一方、DFTは、養液をためた水槽内に空気を送り込み、養液に酸素を溶かし込む方法である。
このような植物生育方法において、培養ベッドに養液(液肥を含む水溶液)を供給する方法には、流動する養液を繰り返し使用する「循環式」と、循環させない「非循環式(=かけ流し方式)」が存在する。 後者の非循環式の場合には、使用する養液量が多くなり好ましくない。一方。養液を循環する方式の場合、養液は植物の植えられた培養ベッドと養液タンクの間をポンプで循環をすることになる。この場合、植物が生育に伴い吸収した分だけの養分を添加するため養液組成の安定性が確保でき、養液不足が発生し難いという利点がある。
また、特許文献3に開示されているような培地で育てるタイプも存在する。これらの培地の構成材料としては、岩石を熱して繊維状にしたロックウール、バーミキュライト、パーライト、ゼオライト、セラミック、ウレタン、ナイロン、メラミン、ヤシガラ、ピートモス、炭等の無機物及び有機物が用いられる。但し、これらの培地には養分植物の生育に必要な養分が含まれない。そのため、いわゆる土耕栽培と言えるものでは無く、上述の水耕栽培に近い植物生育方法となる。なお、係る培地の場合、通気性が高いため、植物の根が酸素に触れやすく、植物の呼吸が阻害され難いという利点がある。そして、養液の供給も点滴方式を採用することも可能となる。
しかしながら、上述の植物の生育方法には、次のような問題がある。NFT、DFTの場合、養液の管理不足により、養液の変質や一部の植物に病気が発生した場合に、循環する養液を貯留しているタンクから養液を受けている培養ベッドにある植物全部の生育に短期間で悪影響が生じてしまう。
これらのことから、植物の生育過程で必要な養液量を減少させ、機能性を高めた植物の栽培可能性を高められるような植物生育技術(砂漠地帯などの厳しい地域でも水耕栽培が可能となる植物生育技術を含む。)が求められてきた。
そこで、鋭意研究の結果、上述の課題を達成するため以下の発明に想到した。
A.植物栽培プランタ
本件発明に係る植物栽培プランタは、機能性植物の栽培を行うのに適した植物栽培プランタであって、植物の機能性栽培を行うための植物栽培プランタであって、カップ状のプラスチック製容器の中に、培養ベッドとして、培地用プラスチック粒子と、植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び/又は多孔質プラスチック粒子とを含むものを用いたことを特徴とする。
本件発明に係る植物栽培プランタは、機能性植物の栽培を行うのに適した植物栽培プランタであって、植物の機能性栽培を行うための植物栽培プランタであって、カップ状のプラスチック製容器の中に、培養ベッドとして、培地用プラスチック粒子と、植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び/又は多孔質プラスチック粒子とを含むものを用いたことを特徴とする。
B.植物栽培プランタの調製方法
本件発明に係る植物栽培プランタの調製方法は、上述の植物栽培プランタの調製方法であって、植物共生菌を多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子に付着させ、室温〜30℃の大気雰囲気において、20時間〜50時間保持することで、前記多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子をハビタットとして植物共生菌を増殖させ植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子を得て、前記植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子と、培地用プラスチック粒子とを混合して培地構成材としカップ状のプラスチック製容器の中に収容することを特徴とする。
本件発明に係る植物栽培プランタの調製方法は、上述の植物栽培プランタの調製方法であって、植物共生菌を多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子に付着させ、室温〜30℃の大気雰囲気において、20時間〜50時間保持することで、前記多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子をハビタットとして植物共生菌を増殖させ植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子を得て、前記植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子と、培地用プラスチック粒子とを混合して培地構成材としカップ状のプラスチック製容器の中に収容することを特徴とする。
C.植物生育ライン
本件発明に係る植物生育ラインは、上述に記載の植物栽培プランタを用いた植物生育ラインであって、単一の養液貯留槽から延出した養液流路から枝分かれした複数の分岐流路の先端に養液供給バルブを設け、前記養液供給バルブに対応し前記植物栽培プランタを載置し、養液供給バルブからの養液滴下条件を植物栽培プランタ毎に管理して各植物栽培プランタ毎に植物生育管理を行うことを特徴とする。
本件発明に係る植物生育ラインは、上述に記載の植物栽培プランタを用いた植物生育ラインであって、単一の養液貯留槽から延出した養液流路から枝分かれした複数の分岐流路の先端に養液供給バルブを設け、前記養液供給バルブに対応し前記植物栽培プランタを載置し、養液供給バルブからの養液滴下条件を植物栽培プランタ毎に管理して各植物栽培プランタ毎に植物生育管理を行うことを特徴とする。
本件発明に係る植物栽培プランタは、容器がプラスチック製であり、そこに収容する培地構成材も、プラスチック又はセラミックである。そのため、再生処理ができ、繰り返し使用が可能であり無用な廃棄物を出さず、生育コストを効果的に削減できる。また、本件発明に係る植物栽培プランタの構成材料から理解できるように軽量であるため、作業者による取り扱いが容易である。
本件発明に係る本件発明に係る植物栽培プランタの調製方法は、所定の簡易な方法で、植物共生菌を多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子に付着、増殖させることができる。
本件発明に係る植物生育ラインは、単一の養液を用い複数の植物栽培プランタで植物を生育しても、各植物栽培プランタ毎の養液供給管理が行えるため、単一の養液貯留槽を用いても各植物栽培プランタ毎の養液供給管理を行うことで、植物の機能性栽培が容易となる。
以下、解決手段として記載した発明を実施形態として詳細に説明する。
A.植物栽培プランタの形態
本件発明に係る植物栽培プランタ1の式図断面模を図1に示す。この植物栽培プランタ1は、機能性植物Pの栽培に適した植物栽培プランタであって、カップ状のプラスチック製容器2の中に、培養ベッド3として、培地用プラスチック粒子4と、植物共生菌の定着した多孔質粒子5(多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子)とを含むものを用いたことを特徴とする。
本件発明に係る植物栽培プランタ1の式図断面模を図1に示す。この植物栽培プランタ1は、機能性植物Pの栽培に適した植物栽培プランタであって、カップ状のプラスチック製容器2の中に、培養ベッド3として、培地用プラスチック粒子4と、植物共生菌の定着した多孔質粒子5(多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子)とを含むものを用いたことを特徴とする。
A−1.カップ状のプラスチック製容器
このカップ状のプラスチック製容器2は、植物の生育に支障がなく、洗浄して繰り返し使用が可能である限り、構成する樹脂組成物の限定はない。そして、このカップ状のプラスチック製容器2の培養ベッド3の収容量には特段の限定はない。しかし、少量多品種の植物生産を行う場合には、200ml〜3000mlの容量の培養ベッド3を用いることが好ましい。培養ベッド3の容量が200m未満の場合には、いかなる品種であっても収穫効率が低下するため経済的な採算取れなくなる可能性が高く好ましくない。一方、培養ベッド3の容量が3000mを超える場合には、養液滴下により管理する容積が増加し、管理が困難となり、高品質の植物の生育が困難となる傾向がある。
このカップ状のプラスチック製容器2は、植物の生育に支障がなく、洗浄して繰り返し使用が可能である限り、構成する樹脂組成物の限定はない。そして、このカップ状のプラスチック製容器2の培養ベッド3の収容量には特段の限定はない。しかし、少量多品種の植物生産を行う場合には、200ml〜3000mlの容量の培養ベッド3を用いることが好ましい。培養ベッド3の容量が200m未満の場合には、いかなる品種であっても収穫効率が低下するため経済的な採算取れなくなる可能性が高く好ましくない。一方、培養ベッド3の容量が3000mを超える場合には、養液滴下により管理する容積が増加し、管理が困難となり、高品質の植物の生育が困難となる傾向がある。
また、カップ状のプラスチック製容器2の底には少なくとも1つの穴(以下、底穴と略す)を設けても良い。培養ベッド3に滴下した養液は、培養ベッド3の上部から、培養ベッド3の下部へと順に染み渡る。そして、養液の滴下量が十分であると、養液はカップ状のプラスチック製容器2の底に達する。このとき、カップ状のプラスチック製容器2の底に穴(底穴)が設けられていると、培養ベッド3で保水できなかった余分な養液は底穴から染み出し、排出することができる。また、生育状態によって刻々と変化する機能性植物Pが必要とする養液量に対して、底穴から染み出す養液の有無やその量を、目視もしくはセンサーを用いて監視することによって、適正な養液の滴下量を容易に判断することがでる。
A−2.培養ベッド
培養ベッド3は、基本的に「培地用プラスチック粒子」と、「植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び/又は多孔質プラスチック粒子」とで構成したものである。但し、生育する植物の種類に応じて、「機能性付加粒子」として、以下にいう養液の成分で供給不能な栄養成分を供給するための粒状固形肥料を混合させても良い。同一の生育ラインで少量多品種の植物の生育を行う場合には極めて有効である。特に、ある一定の成分含有量を高めた機能性野菜の収穫を目的とする場合には、所定成分を高濃度に含有する粒状固形肥料を用いることが好ましい。
培養ベッド3は、基本的に「培地用プラスチック粒子」と、「植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び/又は多孔質プラスチック粒子」とで構成したものである。但し、生育する植物の種類に応じて、「機能性付加粒子」として、以下にいう養液の成分で供給不能な栄養成分を供給するための粒状固形肥料を混合させても良い。同一の生育ラインで少量多品種の植物の生育を行う場合には極めて有効である。特に、ある一定の成分含有量を高めた機能性野菜の収穫を目的とする場合には、所定成分を高濃度に含有する粒状固形肥料を用いることが好ましい。
(1)培地用プラスチック粒子
本件発明において用いる培地用プラスチック粒子4は、平均粒子径が3mm〜7mmのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニルのいずれか一種又は二種以上を用いることが好ましい。平均粒子径が3mm未満の場合には、洗浄時にプラスチック粒子の流出の可能性が高まること、及びプラスチック粒子が植物の根に巻き込まれた際の、根からのプラスチック粒子の除去性が悪化することから好ましくない。一方、平均粒子径が7mmを超えると、適正な保水力を維持できなくなるため培養ベッドの構成材として適さなくなる。
本件発明において用いる培地用プラスチック粒子4は、平均粒子径が3mm〜7mmのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニルのいずれか一種又は二種以上を用いることが好ましい。平均粒子径が3mm未満の場合には、洗浄時にプラスチック粒子の流出の可能性が高まること、及びプラスチック粒子が植物の根に巻き込まれた際の、根からのプラスチック粒子の除去性が悪化することから好ましくない。一方、平均粒子径が7mmを超えると、適正な保水力を維持できなくなるため培養ベッドの構成材として適さなくなる。
そして、この培地用プラスチック粒子4を構成する樹脂組成物は、植物の生育を阻害しない限り、特段の限定を要するものでは無い。しかし、この樹脂組成物としてポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニルのいずれかを用いることが好ましい。植物の生育に悪影響を与えず、繰り返し使用も可能であり、粒子状態の樹脂組成物としての入手が容易だからである。そして、これらの樹脂組成物の粒子は、一種を単独で用いても、二種以上を混合して用いても構わない。後者の場合、比重の異なる粒子同士を組み合わせ、培地用プラスチック粒子4としての比重調整が容易となる。
(2)植物共生菌の定着した多孔質粒子
本件発明において、植物共生菌の定着した多孔質粒子5とは、植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子であり、以下の材料により構成したものである。なお、以下の説明において、多孔質セラミック粒子と孔質プラスチック粒子との双方を示す場合には、単に「多孔質粒子」と称する。
本件発明において、植物共生菌の定着した多孔質粒子5とは、植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子であり、以下の材料により構成したものである。なお、以下の説明において、多孔質セラミック粒子と孔質プラスチック粒子との双方を示す場合には、単に「多孔質粒子」と称する。
多孔質セラミック粒子: 多孔質セラミック粒子として、アルミナセラミックス、SiCセラミックス、マグネシウムセラミックスのいずれかを用いることが好ましい。多孔質セラミック粒子としての入手が容易で、植物共生菌を増殖させるためのハビタットとして好適だからである。また、植物共生菌の変更を行う場合にも、焼成して清浄化を行い、再び新たな植物共生菌のハビタットとして使用できるため好ましい。
そして、ここで述べた多孔質セラミック粒子は、一種を単独で用いても、二種以上を組み合わせて用いても良い。2種以上を組み合わせることで培養ベッドとしての比重調整を行い軽量化を図ることは当然可能である。また、2種類以上の異なる植物共生菌を用いようとする場合、植物共生菌の種類に適した多孔質セラミック粒子を選択して培養することが好ましい。係る場合には、2種類以上の多孔質セラミック粒子を同時に使用することになる。
多孔質プラスチック粒子: この多孔質プラスチック粒子を構成する樹脂組成物は、植物の生育を阻害せず、植物共生菌の定着が可能である限り、特段の限定を要するものでは無い。しかし、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニルのいずれかの多孔質粒子を用いることが好ましい。植物の生育に悪影響を与えず、植物共生菌の増殖を阻害せず、繰り返し使用も可能だからである。しかも、多孔質樹脂組成物としての入手が容易で、安価だからである。そして、これらの樹脂組成物の多孔質粒子は、一種を単独で用いても、二種以上を混合して用いても構わない。上述の多孔質セラミック粒子の場合と同様の理由からである。
多孔質特性: 上述の多孔質粒子は、平均粒子径が3mm〜7mm、気孔率が35%〜60%であることが好ましい。ここで、平均粒子径が3mm〜7mmとしているのは、上述の培地用プラスチック粒子の粒径と略同一の粒子径を選択し、培地用プラスチック粒子4と混合したときの均一な分散性を得るためである。よって、培地用プラスチック粒子4の粒径をR(mm)とすると、多孔質粒子の粒径は0.5R〜1.5Rの範囲であることが好ましい。多孔質粒子の粒径が当該範囲を外れると、培地用プラスチック粒子4と多孔質粒子との均一分散性が損なわれる傾向にあり好ましくない。なお、最も安定した均一分散性を得るという観点からすると多孔質粒子の粒径は0.8R〜1.2Rの範囲であることが、より好ましい。
そして、多孔質粒子の気孔率が35%〜60%であることが好ましい。この気孔率が35%未満の場合には、植物共生菌が増殖する際に粒子内部に侵入しづらく、植物共生菌の定着性が損なわれるため好ましくない。一方、気孔率が60%を超えると、多孔質粒子の強度が低下する傾向にあり、繰り返し使用する際の寿命が短命化する傾向にあり好ましくない。特に、硬度が高いという性質を備える一方で、脆いという性質を同時に備える多孔質セラミック粒子の場合、ハンドリング時に加わる衝撃・振動等により損傷を受ける可能性が高くなるため特に好ましくない。
植物共生菌: ここでいう植物共生菌とは、植物内部に共生する微生物(植物共生菌)のことでありエンドファイトと総称する場合がある。このエンドファイトは、殆どの植物の中に存在するものであり、植物の種類に応じて適宜選択使用するものであり、特段の限定はない。従って、生育対象とする植物の種類に応じて、最適のエンドファイトを植物共生菌として選択使用することが好ましい。このエンドファイトは、仮に土壌に蒔いたとしても土壌中の生態系に影響を及ぼすものでは無く、一時的に増殖しても、徐々に減少し、土壌の本来の状態に戻る性質がある。
このエンドファイトには、糸状菌と細菌との2種類があり、前者が所謂カビタイプであり、後者がバクテリアタイプである。これらは植物に対する機能の仕方が異なる。前者のカビタイプは、植物の組織中に害虫から護るための毒素を生成するように機能する。しかし、この毒素は家畜の生体に消化不良等の害を与えることが報告されており、人間が摂取する予定の野菜類に使用することは好ましくない。これに対し、後者のバクテリアタイプ(「細菌エンドファイト」と称する場合もある。)の場合、植物の組織中に毒素をつくらない。しかも、生育する植物の病気に対する免疫力を高め、生育環境による種々の環境ストレスに対するストレス耐性を高め、生育を促進することが可能である。
以上のことから理解できるように、事後的に生体が摂取する予定の野菜等の栽培においては、バクテリアタイプのエンドファイトを用いることが好ましい。一方、事後的に生体が摂取することのない観賞用植物の生育の場合には、植物工場から出荷されて以降、害虫付着による食害被害に遭わないように、カビタイプのエンドファイトを用いることも可能である。
また、次のような考え方を採用することもできる。全世界において害虫による多くの作物の生産ロスが生じており、食料としての作物の安定生産が困難な状況にある。その対策の殆どは、農薬を用いた害虫対策が採用されている。これに対し、菌恨を適正に選択することで、本来植物が備える害虫に対する免疫システムを活性化するエンドファイトを用い、農薬使用を減らすことが可能と考える。植物に関するエンドファイトの作用のメカニズムは明確になっていない部分が多く存在する。一方、エンドファイトの中でも、植物の中に入ったものが、植物自身の免疫力を活性化する菌を、特に「植物プロバイオティクス」と称することがある。従って、生育する植物の種類に応じて、最も適した「植物プロバイオティクス」機能を発揮するエンドファイアを選択的に使用することが好ましい。
以上に述べたような植物共生菌の概念を採用し、広く植物共生菌を試験的に利用していく予定ではあるが、現在のところ人体に対する毒性を発揮すること無きよう、酵母(イースト菌)、乳酸菌、VA菌(Vesicular−Arbuscular)等の菌根形成能に優れたものを積極的に採用している。これらの菌類は、水耕栽培で生育する植物に新たな機能性を付加できる可能性を与え、生育環境の自由度を向上させるように作用する。
培地用プラスチック粒子と植物共生菌の定着した多孔質粒子との混合割合: 前記カップ状のプラスチック製容器2内の培養ベッド3は、培地用プラスチック粒子4を50vol%〜90vol%、残部が植物共生菌の定着した多孔質粒子5であることが好ましい。ここで培地用プラスチック粒子が50vol%未満になると、成長した植物の支持が困難であり、残部成分の50vol%を超える配合も不要になるため適正な配合範囲ではなくなる。一方、培地用プラスチック粒子が90vol%を超えると、植物共生菌の定着した多孔質粒子の配合量が少なくなり、十分な菌根の形成が迅速にできないため、植物共生菌を用いる趣旨が没却するため好ましくない。
以上のことから、一定の推測ができるように、植物共生菌の定着した多孔質粒子5は10vol%〜50vol%の範囲として配合することが好ましい。植物共生菌の定着した多孔質粒子5の配合量が10vol%未満の場合、上述のように植物共生菌を用いる趣旨が没却するため好ましくない。一方、植物共生菌の定着した多孔質粒子5の配合量が50vol%を超えても、生育する植物に対する菌根形成の速度が上昇することもなく、コストの上昇を招くのみであり好ましくない。
(3)機能性付加粒子
本件発明においては、機能性付加粒子6を用いることが好ましい。この機能性付加粒子6とは、粒状固形肥料、特定成分供給(ビタミン含有量・葉酸含有量等)等の機能性付与を行うための粒子、保水力を増加させるための高吸水性ポリマー粒子のことである。本件発明においては、これらのうち少なくともいずれか1つを用いることができる。
本件発明においては、機能性付加粒子6を用いることが好ましい。この機能性付加粒子6とは、粒状固形肥料、特定成分供給(ビタミン含有量・葉酸含有量等)等の機能性付与を行うための粒子、保水力を増加させるための高吸水性ポリマー粒子のことである。本件発明においては、これらのうち少なくともいずれか1つを用いることができる。
この粒状固形肥料、特定成分供給(ビタミン含有量・葉酸含有量等)等の機能性付与を行うための粒子の組成に関しては特段の限定はなく、使用目的に応じた構成成分を備えていれば良い。但し、形状に関しては、上述の培地用プラスチック粒子に配合するものであるから、植物共生菌の定着した多孔質粒子に適用した粒子径の概念を適用することが好ましい。混合したときの粒子の均一分散性が得られるからである。
また、本件発明における高吸水性ポリマー粒子とは、高吸水性ポリマーからなる粒子である。ここに用いる高吸水性ポリマーは、植物の栽培、生育を阻害しないものであれば、いかなるものも使用することができる。そして、高吸水性ポリマー粒子は、吸水後の平均粒子径が5mm〜10mmであることが好ましい。吸水後の平均粒子径が5mm未満の場合は、培地用プラスチック粒子と、植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び/又は多孔質プラスチック粒子とで構成した培養ベッド3の粒子間の隙間が、高吸水性ポリマー粒子で占有され、培養ベッド3の通気性が悪化するため好ましくない。一方、平均粒子径が10mmを越えると、培地用プラスチック粒子と、植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び/又は多孔質プラスチック粒子とで構成した培養ベッド3の粒子に対して、水分の含有量によって高吸水性ポリマー粒子の大きさが大きく変化するため、培養ベッド内の粒子の移動が起こり、根を傷めてしまうため好ましくない。
そして、機能性付加粒子6は、培地用プラスチック粒子と、植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び/又は多孔質プラスチック粒子との合計を100vol%としたとき、機能性付加粒子6を20vol%〜50vol%の割合で加えて用いることが好ましい。加える割合が20vol%未満の場合は、機能性付与や保水力を増加させる効果がほとんど期待できないため好ましくない。加える割合が50vol%を越えると、機能性を付与する成分や水分量が多すぎることになり好ましくない。
B.植物栽培プランタの調製方法の形態
本件発明に係る植物栽培プランタの調製方法は、上述の植物栽培プランタの調製方法であって、以下の「植物共生菌定着工程」と「培養ベッド調製工程」とからなる。
本件発明に係る植物栽培プランタの調製方法は、上述の植物栽培プランタの調製方法であって、以下の「植物共生菌定着工程」と「培養ベッド調製工程」とからなる。
植物共生菌定着工程: この工程では、まず植物共生菌を多孔質粒子(多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子)に付着させ、室温〜30℃の大気雰囲気において、20時間〜50時間保持する。ここで大気雰囲気としているのは植物の生育環境と同じ環境を選択使用するためである。そして、保持温度(培養温度)が室温未満の低温になると、菌種によっては死滅したり、活動を休止するため植物共生菌の増殖が起こりにくくなる傾向があり、好ましくない。保持温度(培養温度)を大気雰囲気としているのは植物の生育環境と同じ環境を選択使用するためであり、栽培する植物が好む温度に合わせるのが好ましい。
培養時間に関しては、短時間に培養が完了することが培養コストを削減するという観点からは好ましい。しかしながら、培養時間は20時間〜50時間であることが好ましい。培養時間が20時間未満の場合には、植物共生菌として使用する殆どの菌類において十分な培養が行えず、良好な菌根形成ができないため好ましくない。一方、この培養時間が50時間を超えても、殆どの植物共生菌の増殖が飽和して、生育コストの上昇を招くのみとなり好ましくない。
ここでいう培養は、植物共生菌を付着させた多孔質粒子を硝子容器に入れ、インキュベータ内に所定の培養時間だけ載置して行う。以上のようにして、多孔質粒子をハビタットとして植物共生菌を増殖させ「植物共生菌の定着した多孔質粒子」を得る。
培養ベッド調製工程: 以上のようにして得られた「植物共生菌の定着した多孔質粒子」と「培地用プラスチック粒子」とを混合して培地構成材とする。そして、この混合物をカップ状のプラスチック製容器の内部に収容し培養ベッドを形成して、植物栽培プランタの調製が完了する。なお、「植物共生菌の定着した多孔質粒子」と「培地用プラスチック粒子」とを混合する際に、上述の植物の生育促進、ビタミン含有量・葉酸含有量等の機能性付与を行うための「機能性付加粒子」を付加して混合することが可能である。
C.植物生育ラインの形態
図2に、本件発明に係る植物生育ライン10のレイアウト概念を示したイメージ図を示す。本件発明に係る植物生育ライン10は、上述に記載の植物栽培プランタ1を用いた、生育ラインユニット30a〜30cから構成されている。
図2に、本件発明に係る植物生育ライン10のレイアウト概念を示したイメージ図を示す。本件発明に係る植物生育ライン10は、上述に記載の植物栽培プランタ1を用いた、生育ラインユニット30a〜30cから構成されている。
本件発明に係る植物生育ライン10は、養液貯留槽11からメインバルブ12とポンプ13とを経由したメイン養液流路14を備えている。そして、メイン養液流路14の途中から、生育ラインユニット30a〜30cそれぞれに対して、分岐バルブ15a〜15cを経由して枝分かれした複数の分岐流路16a〜16cを備えている。この分岐流路16a〜16cの途中、及び先端には、養液供給バルブ19a〜19cを設けている。このときの養液供給バルブ19a〜19cは、養液の滴下速度の変更ができる輸液バルブであればいかなるものでも使用可能である。また、メイン養液流路の先端には、サブバルブ17を経由したサブ養液流路18を設けている。
生育ラインユニット30a〜30cにおいては、コンテナ21a〜21cに、植物栽培プランタ1a〜1cを配置し、植物栽培プランタ1a〜1cの上部には照明20a〜20cを備えている。そして、植物栽培プランタ1a〜1cでは、機能性植物Pa〜Pcを栽培している。ここで、機能性植物Pa〜Pcは、同じ植物であっても良いし、異なる植物であっても良い。
養液貯留槽11に蓄えられている養液は、メインバルブ12を経由してポンプ13にて適正に加圧しメイン養液流路14に供給される。養液貯留槽11が高所にあって、位置エネルギーによる養液の加圧が可能である場合は、ポンプ13を省いても構わない。サブバルブ17及びサブ養液流路18は、メイン養液流路14の養液を養液貯留槽11に戻す場合や、養液貯留槽11内の養液を排出する場合、生育ラインユニット30a〜30c以外の生育ラインユニットへの養液供給などに用いることができる。
機能性植物Pa〜Pcが同じ植物である場合であって、かつ、同じ成長時点である場合、分岐バルブ15a〜15c、及び養液供給バルブ19a〜19cは、それぞれ同程度のバルブ開度となる。機能性植物Pa〜Pcが同じ植物であるが、異なる成長時点である場合、分岐バルブ15a〜15c、及び養液供給バルブ19a〜19cのバルブ開度は、それぞれの成長時点に必要な適正なバルブ開度に調整することができる。機能性植物Pa〜Pcが異なる植物である場合、分岐バルブ15a〜15c、及び養液供給バルブ19a〜19cのバルブ開度は、それぞれの植物の成長に適正なバルブ開度に調整することができる。
また、機能性植物Pa〜Pcが同じ植物である場合であって、かつ、同じ成長時点である場合、照明20a〜20cの光の波長や強度、及び照射時間は、それぞれ同程度となる。機能性植物Pa〜Pcが同じ植物であるが、異なる成長時点である場合、照明20a〜20cの光の波長や強度、及び照射時間は、それぞれの成長時点に必要な適正な値に調整することができる。機能性植物Pa〜Pcが異なる植物である場合、照明20a〜20cの光の波長や強度、及び照射時間は、それぞれの植物の成長に適正な値に調整することができる。
以上に述べてきたレイアウトを備える植物生育ラインを採用することで、以下のような利益を得ることができる。
利点1: 最も大きな利点は、養液供給バルブ19a〜19cから植物栽培プランタ1a〜1cのそれぞれに適正な養液滴下条件を設定することができ、植物の生育を各植物栽培プランタ1a〜1c毎に管理して行うことができるようになる点にある。すなわち、機能性植物Pa〜Pcが同じ植物であるが異なる成長時点である場合や、機能性植物Pa〜Pcそれぞれが異なる植物である場合であっても、それぞれに適正な生育管理が容易に行うことができる。
利点2: 養液供給バルブ19a〜19cを用いて養液滴下量を調整することによって、不必要な養液や水分の供給を防止して適正量の供給が可能となるため、従来の給液方法と比べ、養液及び水分の無駄を削減できる。このような利点は、水資源に乏しい砂漠地帯などでも水耕栽培を実施できる可能性を生み出すものとなる。
利点3: 本件発明に係る植物生育ライン10は、構成するものが全てが軽量である。かつ、上述のとおり、植物栽培プランタ1では、機能性植物Pが必要とする適正な量のみの養液を保水するのみであり、植物生育ライン10において、養液による重量増加も少ない。そのため、植物生育ライン10の設置場所に堅牢性は必要ではなく、安価に植物生育ライン10の導入が可能となる。
利点4: 来る第四次植物工場ブームでは、各種機能性を備えた植物が主役となると予測されている。本件発明に係る植物生育ライン10は、一つの植物生育ライン10の中に配置した複数の生育ラインユニット30a〜30cによって、少量多品種の植物を、それぞれが適正な条件下での同時生産が可能であり、植物栽培プランタ毎に機能性付与を目的とした生育管理を行得るという利点を備えている。
利点5: 植物生育ライン10での、生育ラインユニット30a〜30cにおける植物栽培プランタ1a〜1cへの養液供給は、それぞれ独立に養液供給バルブ19a〜19cから適正な量を滴下供給されるのみである。そして、生育ラインユニット30a〜30c間、及び植物栽培プランタ1a〜1c間において、ある1つの植物栽培プランタから排出された養液が、他の植物栽培プランタへの養液として特段の処理無く再利用されることが無い。したがって本件発明に係る植物生育ラインを採用することで、従来の水耕栽培方法であるDFTやNTF等で発生していた「不必要な菌、その他有機物の添加による養液汚染」を回避することができるようになる。
培養ベッドには、ポリエチレン製で粒径5mmのプラスチック粒子と、焼成ガラス製で粒径7mm多孔質セラミック粒子とを用いた。
多孔質セラミック粒子への植物共生菌の定着は次のようにした。まず、30ccの水に、乳酸菌が含まれる添加剤を5g添加して混ぜ、室温で24時間放置した。その後、乳酸菌が含まれる液体に、多孔質セラミック粒子を室温で24時間浸漬した。さらに、その後、当該多孔質セラミック粒子を湿度を保ちつつ24時間放置して、乳酸菌を多孔質セラミック粒子に定着させた。
培地用プラスチック粒子と、乳酸菌を定着させた多孔質セラミック粒子とを、それぞれ80vol%、20vol%の割合で混合して培養ベッドとし、植物栽培プランタに用いた。
養液の調整は次のようにした。OATアグリオ株式会社製OATハウス肥料シリーズのOATハウス1号を1500g/L、OATハウス2号を1000g/Lの割り合いで混合するA処方で調整し、EC値(電気伝導度)は1.5dS/m、pH値は6.5とした養液を製作した。
多孔質セラミック粒子への植物共生菌の定着は次のようにした。まず、30ccの水に、VA菌が含まれる添加剤を5g添加して混ぜ、室温で24時間放置した。その後、VA菌が含まれる液体に、多孔質セラミック粒子を室温で24時間浸漬した。さらに、その後、当該多孔質セラミック粒子を湿度を保ちつつ24時間放置して、VA菌を多孔質セラミック粒子に定着させた。
多孔質セラミック粒子にVA菌を定着させた以外は実施例1と同じ要領で植物栽培プランタと、養液を用意した。
〔比較例1〕
多孔質セラミック粒子への植物共生菌の定着は次のようにした。まず、30ccの水に、酵母(イースト菌)が含まれる添加剤を5g添加して混ぜ、室温で24時間放置した。その後、酵母(イースト菌)が含まれる液体に、多孔質セラミック粒子を室温で24時間浸漬した。さらに、その後、当該多孔質セラミック粒子を湿度を保ちつつ24時間放置して、酵母(イースト菌)を多孔質セラミック粒子に定着させた。
多孔質セラミック粒子への植物共生菌の定着は次のようにした。まず、30ccの水に、酵母(イースト菌)が含まれる添加剤を5g添加して混ぜ、室温で24時間放置した。その後、酵母(イースト菌)が含まれる液体に、多孔質セラミック粒子を室温で24時間浸漬した。さらに、その後、当該多孔質セラミック粒子を湿度を保ちつつ24時間放置して、酵母(イースト菌)を多孔質セラミック粒子に定着させた。
多孔質セラミック粒子に酵母(イースト菌)を定着させた以外は実施例1と同じ要領で植物栽培プランタと、養液を用意した。
〔比較例2〕
多孔質セラミック粒子に共生菌を何も定着させていないものを用いた以外は実施例1と同じ要領で植物栽培プランタと、養液を用意した。
多孔質セラミック粒子に共生菌を何も定着させていないものを用いた以外は実施例1と同じ要領で植物栽培プランタと、養液を用意した。
〔評価結果〕
栽培品種はサニーレタスを用いた。育苗期間は播種から17日とした。実施例1、実施例2、及び比較例1、比較例2で用意した植物栽培プランタに、播種から17日後の苗を定植した。そして、昭和電工株式会社製の植物工場向けLEDを照明として用いて、実施例1、実施例2、及び比較例1、比較例2の植物栽培プランタに定植した苗を、以下の条件で栽培した。
気温:20℃±2℃
照明光量(光量子束密度):113.5μmolm−2s−1
照明時間:16時間/日
養液の点滴量:2mL/時
栽培品種はサニーレタスを用いた。育苗期間は播種から17日とした。実施例1、実施例2、及び比較例1、比較例2で用意した植物栽培プランタに、播種から17日後の苗を定植した。そして、昭和電工株式会社製の植物工場向けLEDを照明として用いて、実施例1、実施例2、及び比較例1、比較例2の植物栽培プランタに定植した苗を、以下の条件で栽培した。
気温:20℃±2℃
照明光量(光量子束密度):113.5μmolm−2s−1
照明時間:16時間/日
養液の点滴量:2mL/時
多孔質セラミック粒子に、それぞれ乳酸菌、VA菌を定着させた実施例1、実施例2は、共生菌を何も定着させなかった比較例2と比べて、フレッシュウエイトが重い。すなわち、照明光量や養液の条件が同じであっても、共生菌の存在によって、サニーレタスをより大きく生育できることが明らかとなった。
また、酵母(イースト菌)を定着させた比較例1は、そのフレッシュウエイトが、実施例1、実施例2と比べて劣り、共生菌を何も定着させなかった比較例2と同程度の結果となった。すなわち、栽培する植物によって、適する共生菌が異なることが明らかとなった。
以上のことから、次のことが明らかとなった。本件発明に係る植物栽培プランタはプラスチック製容器であり、植物栽培プランタに収容する培地ベッドも、プラスチック又はセラミックを用いたものであることから、再生処理ができ、繰り返し使用が可能である。
そして、本件発明に係る植物栽培プランタは、培地ベッドに用いる多孔質粒子に、植物の生育促進に有効な植物共生菌を、所定の簡易な方法で付着、増殖させることができる。
さらに、本件発明に係る植物栽培プランタは、単一の養液を用い複数の植物栽培プランタで植物を生育しても、各植物栽培プランタ毎の養液供給管理が行うことができる。
また、本件発明に係る植物栽培プランタは、実施例1、実施例2、比較例1、比較例2ではサニーレタスを栽培したが、植物栽培プランタ毎、もしくは植物生育ライン毎に異なる植物を栽培、生育管理することも可能であり、この場合、栽培する植物毎に適する共生菌が異なっても、異なる共生菌を定着させた多孔質粒子を用いて栽培することを容易に行うことができる。
本件発明に係る植物栽培プランタは、容器がプラスチック製であり、そこに収容する培地構成材の殆どの再生処理ができるため、繰り返し使用が可能であり、植物生育のトータルコストの削減に有効に寄与する。また、この植物栽培プランタは軽量であるため、作業者負担を軽減できる。そして、この植物栽培プランタを用いた植物生育ラインは、単一の養液を用い、植物栽培プランタ毎の養液供給管理が行えるため、少量多品種の植物生育を同時に行うことが可能となる。
1 植物栽培プランタ
1a〜1c 植物栽培プランタ
2 カップ状のプラスチック製容器
3 培養ベッド
4 培地用プラスチック粒子
5 植物共生菌の定着した多孔質粒子
6 機能性付加粒子
10 植物生育ライン
11 養液貯留槽
12 メインバルブ
13 ポンプ
14 メイン養液流路
15a〜15c 分岐バルブ
16a〜16c 分岐流路
17 サブバルブ
18 サブ養液流路
19a〜19c 養液供給バルブ
20a〜20c 照明
21a〜21c コンテナ
30a〜30c 生育ラインユニット
P 機能性植物
Pa〜Pc 機能性植物
1a〜1c 植物栽培プランタ
2 カップ状のプラスチック製容器
3 培養ベッド
4 培地用プラスチック粒子
5 植物共生菌の定着した多孔質粒子
6 機能性付加粒子
10 植物生育ライン
11 養液貯留槽
12 メインバルブ
13 ポンプ
14 メイン養液流路
15a〜15c 分岐バルブ
16a〜16c 分岐流路
17 サブバルブ
18 サブ養液流路
19a〜19c 養液供給バルブ
20a〜20c 照明
21a〜21c コンテナ
30a〜30c 生育ラインユニット
P 機能性植物
Pa〜Pc 機能性植物
Claims (10)
- 機能性植物の栽培を行うのに適した植物栽培プランタであって、
カップ状のプラスチック製容器の中に、培養ベッドとして、培地用プラスチック粒子と、植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び/又は多孔質プラスチック粒子とを含むものを用いたことを特徴とする植物栽培プランタ。 - 前記培地用プラスチック粒子は、平均粒子径が3mm〜7mmのポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニルのいずれか一種又は二種以上からなる請求項1に記載の植物栽培プランタ。
- 前記多孔質セラミックは、平均粒子径が3mm〜7mmアルミナセラミックス、SiCセラミックス、マグネシウムセラミックスのいずれか一種又は二種以上を用いる請求項1に記載の植物栽培プランタ。
- 前記多孔質プラスチック粒子は、平均粒子径が3mm〜7mm、気孔率が35%〜60%のポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタアクリレート、ポリ塩化ビニルのいずれか一種又は二種以上からなる請求項1に記載の植物栽培プランタ。
- 前記植物共生菌は、菌類と植物とが菌根を形成するエンドファイトである請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の植物栽培プランタ。
- 前記カップ状のプラスチック製容器内の培養ベッドが、培地構成材として培地用プラスチック粒子を50vol%〜90vol%、残部が植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び/又は多孔質プラスチック粒子の構成を備える請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の植物栽培プランタ。
- 培地用プラスチック粒子と、植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び/又は多孔質プラスチック粒子との合計を100vol%としたとき、機能性付加粒子を20vol%〜50vol%の割合で加えた請求項6に記載の植物栽培プランタ。
- 前記機能性付加粒子は、粒状固形肥料、特定成分供給の機能性付与を行うための粒子、吸水後の平均粒子径が5mm〜10mmの高吸水性ポリマー粒子の少なくともいずれか1つである請求項7に記載の植物栽培プランタ。
- 請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の植物栽培プランタの調製方法であって、
植物共生菌を多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子に付着させ、室温〜30℃の大気雰囲気において、20時間〜50時間保持することで、前記多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子をハビタットとして植物共生菌を増殖させ植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子を得て、
前記植物共生菌の定着した多孔質セラミック粒子及び多孔質プラスチック粒子と、培地用プラスチック粒子とを混合して培地構成材としカップ状のプラスチック製容器の中に収容することを特徴とする植物栽培プランタの調製方法。 - 請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の植物栽培プランタを用いた植物生育ラインであって、
単一の養液貯留槽から延出したメイン養液流路から枝分かれした複数の分岐流路の先端に養液供給バルブを設け、前記養液供給バルブに対応し前記植物栽培プランタを載置し、前記養液供給バルブからの養液滴下条件を植物栽培プランタ毎に調整して、植物栽培プランタ毎に植物生育管理を行うことを特徴とする植物生育ライン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020069568A JP2021164431A (ja) | 2020-04-08 | 2020-04-08 | 植物栽培プランタ及びそれを用いた植物生育ライン |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020069568A JP2021164431A (ja) | 2020-04-08 | 2020-04-08 | 植物栽培プランタ及びそれを用いた植物生育ライン |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021164431A true JP2021164431A (ja) | 2021-10-14 |
Family
ID=78021237
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020069568A Pending JP2021164431A (ja) | 2020-04-08 | 2020-04-08 | 植物栽培プランタ及びそれを用いた植物生育ライン |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021164431A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113645837A (zh) * | 2019-03-28 | 2021-11-12 | W.L.戈尔及同仁股份有限公司 | 具有聚合物的生长介质 |
-
2020
- 2020-04-08 JP JP2020069568A patent/JP2021164431A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113645837A (zh) * | 2019-03-28 | 2021-11-12 | W.L.戈尔及同仁股份有限公司 | 具有聚合物的生长介质 |
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