JP2021161123A - オレフィン多量化用触媒およびその触媒存在下で行うオレフィン多量体の製造方法 - Google Patents

オレフィン多量化用触媒およびその触媒存在下で行うオレフィン多量体の製造方法 Download PDF

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Ryosei Wada
文晃 西埜
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聖一 石井
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Abstract

【課題】特定のオレフィン多量体の選択性および/または生産効率と、除去し易い形でのエチレン重合体の副生との両立を可能とするオレフィン多量化用触媒及びそれを用いたオレフィン多量体の製造方法を提供する。【解決手段】成分(A)としてのクロム化合物と、成分(B)としてのアミン化合物と、成分(CA)としての(C−1)有機金属化合物及び(C−2)有機アルミニウムオキシ化合物の少なくとも一種と、成分(C−3)としての遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物と、を含むオレフィン多量化用触媒を、成分(CA)と成分(A)をこれらの接触物として含み、接触物における成分(CA)に含まれる金属原子のモル数と成分(A)に含まれるクロム原子のモル数とのモル比が5〜500となるように調製する。このオレフィン多量化用触媒の存在下でオレフィン多量化反応を行う。【選択図】なし

Description

本発明は、優れた活性を有し、特定のオレフィン多量体の選択性および/または生産効率が高いオレフィン多量化用触媒、ならびにそのオレフィン多量化用触媒存在下で行うオレフィン多量体の製造方法に関する。
α−オレフィンは、ポリオレフィンの原料として広く工業的に用いられる重要な化合物である。例えば1−ヘキセンおよび1−オクテンは、ポリオレフィンの原料として需要が高い。α−オレフィンの製造方法のうち工業化されている方法としては、有機アルミニウムや遷移金属化合物を触媒として使用する方法がある。しかし、工業化されている方法においては、通常、多種類のα−オレフィンの混合物が得られる。このため、各成分の市況の変化に対して柔軟な事業的対応が困難となる場合がある。したがって、目的とするα−オレフィンの選択性の高い製造方法が望まれる。
近年、本発明者らは、フェノキシイミン配位子を有する遷移金属錯体化合物やクロム化合物を特定のアミン化合物と組み合わせた触媒を利用して、エチレンの3量化、4量化反応によって1−ヘキセンや1−オクテンを選択的に製造できる触媒を報告している(例えば特許文献1、特許文献2)。
また、1−オクテンを選択的に製造する為の触媒として、リン原子を含有する配位子を用いたクロム系触媒が開示されている(例えば特許文献3〜5)。
国際公開第2009/005003号 国際公開第2019/009390号 国際公開第2004/056479号 国際公開第2013/137676号 国際公開第2009/022770号
上記の1−ヘキセンや1−オクテンは、オレフィン重合体の原料が主用途と言うことも有り、コストダウンの要請が高いと考えられる製品である。この為、触媒の反応活性や、1−ヘキセン、1−オクテンの選択性の向上が期待されている。
また、上記の触媒を用いた1−ヘキセン、1−オクテン等の製造においては、エチレン重合体の副生が起こることが報告されている。この重合体が反応器の内壁や熱交換器に付着すると、除熱性能の低下などを招き、安定運転や長期運転に支障をきたす場合がある。このエチレン重合体の副生に係る問題に関しては、反応温度を高めてエチレン重合体を溶媒に溶解させる方法が知られている。本発明者らの検討によれば、反応温度を高め過ぎると触媒活性が低下する傾向がある。この為、出来るだけ低い温度でエチレン重合体を溶解させられれば反応活性とエチレン重合体の内壁付着防止を両立できる可能性が有ると考えられる。
本発明は、これらの課題に鑑みてなされたものである。すなわち本発明の目的の一つは、優れた活性を有し、副生するエチレン重合体を溶解させて除去し易いオレフィンの多量化方法を提供することにある。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、オレフィン多量化用触媒の成分として、クロム化合物及びアミン化合物と、少なくとも2種の特定の助触媒とを併用し、かつ、クロム化合物を特定の助触媒と特定比率で接触させる工程を有する接触工程を設けることで、上述した課題を解決できることを見出した。すなわち本発明は、以下の事項により特定される。
[1]下記成分(A)、(B)、(CA)及び(C−3)を含むオレフィン多量化用触媒の存在下で、オレフィンの多量化反応を行うオレフィン多量体の製造方法。
(A)クロム化合物、
(B)下記一般式(1)で表されるアミン化合物、
Figure 2021161123
(一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結していてもよい。
Yは、置換基RおよびRを有する炭素原子(−CR−で表される構造)を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。RとRは互いに連結していてもよい。RとRの少なくとも一方はR〜Rの何れかと連結していてもよい。Zが2以上の整数である場合における複数のYは、それぞれ独立して上記と同様に定義される。
Zは1〜10の整数を示す。)
(CA)(C−1)有機金属化合物及び(C−2)有機アルミニウムオキシ化合物から選択される少なくとも1種、
(C−3)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物、
成分(A)と成分(CA)とを予め接触させる工程を有し、
前記工程での成分(CA)に含まれる金属原子のモル数(CA−M)と、成分(A)に含まれるクロムのモル数(M)とのモル比[(CA−M)/(M)]が、5〜500である。
[2]RはRおよびRとは連結しておらず、RはRおよびRとは連結していない、[1]に記載のオレフィン多量体の製造方法。
[3]Zが1〜3の整数である、[1]または[2]に記載のオレフィン多量体の製造方法。
[4]Zが1である、[1]〜[3]のいずれか一項に記載のオレフィン多量体の製造方法。
[5]オレフィンがエチレンである、[1]〜[4]のいずれか一項に記載のオレフィン多量体の製造方法。
[6]下記成分(A)、(B)、(CA)及び(C−3)を含むオレフィン多量化用触媒。
(A)クロム化合物、
(B)下記一般式(1)で表されるアミン化合物、
Figure 2021161123
(一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結していてもよい。
Yは、置換基RおよびRを有する炭素原子(−CR−で表される構造)を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。RとRは互いに連結していてもよい。RとRの少なくとも一方はR〜Rの何れかと連結していてもよい。Zが2以上の整数である場合における複数のYは、それぞれ独立して上記と同様に定義される。
Zは1〜10の整数を示す。)
(CA)(C−1)有機金属化合物及び(C−2)有機アルミニウムオキシ化合物から選択される少なくとも1種、
(C−3)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物、
成分(A)と成分(CA)との接触物を含み、
前記接触物の成分(CA)に含まれる金属原子のモル数(CA−M)と、成分(A)に含まれるクロム原子のモル数(M)とのモル比[(CA−M)/(M)]が、5〜500である。
本発明により、優れた触媒活性を有し、特に1−オクテンの選択性および/または生産効率が高いオレフィン多量化用触媒、ならびにそのオレフィン多量化用触媒存在下で行うオレフィン多量体の製造方法を提供できる。
以下、本発明の実施形態を説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明においてオレフィンの多量化とは、オレフィンを2〜10量体にすることを意味し、好ましくはオレフィンを3量体〜4量体にすることを意味する。
<クロム化合物(A)>
成分(A)としてのクロム化合物(以下、「クロム化合物(A)」ともいう)は、通常、クロムの無機塩、有機塩または金属有機錯体である。クロム化合物(A)の具体例としては、塩化クロム(III)、塩化クロム(II)、臭化クロム(III)、臭化クロム(II)、ヨウ化クロム(III)、ヨウ化クロム(II)、フッ化クロム(III)、フッ化クロム(II)、三塩化クロムトリステトラヒドロフラン、クロム(III)2−エチルヘキサノエート、クロム(III)アセチルアセトナート、クロム(III)トリフルオロアセチルアセトナート、クロム(III)ヘキサフルオロアセチルアセトナートが挙げられる。ただし、クロム化合物(A)はこれらに限定されない。これらの中では、3価のクロム化合物が好ましい。また、ハロゲン原子を含有するクロム化合物も好ましい。
<アミン化合物(B)>
成分(B)としてのアミン化合物(以下、「アミン化合物(B)」ともいう)は、下記一般式(1)で表される。
Figure 2021161123
一般式(1)において、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結していてもよい。
より具体的には、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリーロキシ基、アリールチオ基、アシル基、エステル基、チオエステル基、アミド基、イミド基、アミノ基、イミノ基、スルホンエステル基、スルホンアミド基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、メルカプト基、アルミニウム含有基またはヒドロキシ基であることが好ましい。
〜Rは互いに同一でも、R〜Rに互いに異なる基の組合せが1以上含まれていてもよく、R〜Rは互いに異なっていてもよい。
一般式(1)において、Yは、置換基R、Rを有する炭素原子(−CR−で表される構造)を示す。R、Rは、それぞれ独立して、すなわち、互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。RとRは互いに連結していてもよい。RとRの少なくとも一方は、R〜Rの何れかと連結していてもよい。Zが2以上の整数である場合における複数のYは、それぞれ独立して上記と同様に定義される。複数のYは、互いに同一でも、複数のYに互いに異なる基の組合せが1以上含まれていても、複数のYは互いに異なっていてもよい。
一般式(1)において、Zは1〜10の整数を示す。Zは、2〜10であることが好ましい場合がある。一方で、Zは好ましくは1〜3の整数、より好ましくは1または2、特に好ましくは1である。
ハロゲン原子の具体例としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素が挙げられる。
炭化水素基は、他の基と結合する部分としての炭化水素基を含む基であり、炭化水素基は、他の置換基によって置換されていてもよい。炭化水素基の具体例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシルなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基;ビニル、アリル(allyl)、イソプロペニルなどの炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルケニル基;エチニル、プロパルギルなど炭素原子数が2〜30、好ましくは2〜20の直鎖状または分岐状のアルキニル基;シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数が3〜30、好ましくは3〜20の環状飽和炭化水素基;シクロペンタジエニル、インデニル、フルオレニルなどの炭素原子数5〜30の環状不飽和炭化水素基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数が6〜30、好ましくは6〜20のアリール(aryl)基;これらのアリール基にハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基またはアミノ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基からなる群から選択された1〜5個の置換基が置換した置換アリール基;ベンジル、クミル、ジフェニルエチル、トリチルなどの炭素原子数が7〜19のアリール基置換アルキル基;ベンジリデン、メチリデン、エチリデンなどの炭素原子数が1〜30、好ましくは5〜10のアルキリデン基が挙げられる。
アルキル置換アリール基としては、トリル、イソプロピルフェニル、t−ブチルフェニル、ジメチルフェニル、ジ−t−ブチルフェニルなどの炭素原子数が7〜14のアルキル置換アリール基を挙げることができる。
炭化水素基は、炭化水素基の有する少なくとも1つの水素原子が炭化水素基以外の基で置換された基であってもよい。
炭化水素基に置換される炭化水素基以外の基としては、ハロゲン原子、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、及びスズ含有基からなる群から選択される少なくとも1種を挙げることができる。
ハロゲン置換された炭化水素基としては、トリフルオロメチル、ペンタフルオロフェニル、クロロフェニルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のハロゲン化炭化水素基が挙げられる。
好ましい炭化水素基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、アダマンチルなどの炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜10、特に好ましくは2〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基;フェニル、ナフチル、ビフェニル、ターフェニル、フェナントリル、アントラセニルなどの炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基;これらのアリール基に1〜5個の置換基が置換した置換アリール基等を挙げることができる。前記の置換アリール基の置換基は、ハロゲン原子、炭素原子数1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基またはアミノ基、炭素原子数6〜30、好ましくは6〜20のアリール基またはアリーロキシ基などの置換基からなる群から選択される。
酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基およびリン含有基としては、酸素原子、窒素原子、イオン原子及びリン原子から選択された少なくとも1種を含む基を挙げることができる。本発明において、これらの基は、主に、基の特性や結合様式を特徴付ける原子によって分類される。例えば、酸素原子単独からなる基、並びに、炭素原子及び水素原子の少なくとも一方と酸素原子からなる基等のように基の特性や結合様式が酸素原子によって特徴付けられている基は酸素含有基として分類される。窒素原子を有する基は酸素原子を有する場合も、基の特性や結合様式が窒素原子によって特徴付けられている基は窒素含有基として分類される。硫黄原子またはリン原子を有する基も同様に分類される。なお、後述するホウ素含有基、アルミニウム含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基及びスズ含有基も同様に分類される。
酸素含有基、窒素含有基、イオウ含有基およびリン含有基の中では、酸素含有基、窒素含有基及びイオウ含有基が好ましく、酸素含有基及び窒素含有基がより好ましい。
酸素含有基としては、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アリーロキシ基、エステル基、エーテル基、アシル基、カルボキシル基、カルボナート基、ペルオキシ基、カルボン酸無水物基などを挙げることができる。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基などの炭素原子数1〜4のアルコキシ基が挙げられる。
アリーロキシ基としては、非置換のアリール基を有するアリーロキシ基、並びに、炭素原子数1〜4のアルキル基を1〜3個有するアリーロキシ基が挙げられる。アリーロキシ基に含まれるアリール基としてはフェニル基等を挙げることができる。具体的には、フェノキシ基、2,6−ジメチルフェノキシ基、2,4,6−トリメチルフェノキシ基、3,5−ジ−tert−ブチルフェノキシ基などが挙げられる。
エステル基は、エステル結合を含む基であり、アセチルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、メトキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、p−クロロフェノキシカルボニル基などが挙げられる。
アシル基としては、ホルミル基、アセチル基、ベンゾイル基、p−クロロベンゾイル基、p−メトキシベンゾイル基などが挙げられる。
窒素含有基としては、窒素原子が環状構造を形成していない基を挙げることができる。このような基としては、置換されていてもよいアミド基、置換されていてもよいアミノ基、置換されていてもよいイミド基、置換されていてもよいイミノ基、ヒドラジノ基、ヒドラゾノ基、ニトロ基、ニトロソ基、シアノ基、イソシアノ基、シアン酸エステル基、アミジノ基、ジアゾ基、アミノ基がアンモニウム塩となったもの等を挙げることができる。
アミド基はアミド結合を含む基であり、置換アミド基の具体例としては、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N−メチルベンズアミドが挙げられる。置換アミノ基の具体例としては、ジメチルアミノ、エチルメチルアミノ、ジフェニルアミノが挙げられる。イミド基はイミド結合を有する基であり、置換イミド基の具体例としては、アセトイミド、ベンズイミドが挙げられる。イミノ基はイミノ結合を有する基であり、置換イミノ基の具体例としては、メチルイミノ、エチルイミノ、プロピルイミノ、ブチルイミノ、フェニルイミノが挙げられる。
イオウ含有基としては、例えば、アルキルチオ基、アリールチオ基、チオエステル基、スルホンエステル基、置換されていてもよいスルホンアミド基、メルカプト基、ジチオエステル基、チオアシル基、チオエーテル基、チオシアン酸エステル基、イソチオシアン酸エステル基、チオカルボキシル基、ジチオカルボキシル基、スルホ基、スルホニル基、スルフィニル基、スルフェニル基などを挙げることができる。
アルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ、エチルチオが挙げられる。アリールチオ基の具体例としては、フェニルチオ、メチルフェニルチオ、ナフチルチオが挙げられる。チオエステル基はチオエステル結合を含む基であり、その具体例としては、アセチルチオ、ベンゾイルチオ、メチルチオカルボニル、フェニルチオカルボニルが挙げられる。スルホンエステル基の具体例としては、スルホン酸メチル、スルホン酸エチル、スルホン酸フェニルが挙げられる。スルホンアミド基はスルホンアミド結合を含む基であり、置換スルホンアミド基の具体例としては、フェニルスルホンアミド、N−メチルスルホンアミド、N−メチル−p−トルエンスルホンアミドが挙げられる。
ヘテロ環式化合物残基としては、窒素原子、酸素原子及びイオウ原子から選択される少なくとも1種のヘテロ原子を有する単環式、または2環式等の多環式化合物から得られる残基を挙げることができる。ヘテロ環式化合物残基の具体例としては、ピロール、ピリジン、ピリミジン、トリアジンなどの5または6員環の含窒素単環式化合物の残基、キノリンなどの含硫黄二環式化合物の残基、フラン、ピランなどの5または6員環の含酸素単環式化合物の残基、チオフェンなどの含硫黄単環式化合物の残基等、およびこれらのヘテロ環式化合物残基に炭素原子数が1〜30、好ましくは1〜20のアルキル基、アルコキシ基などの置換基の1つまたは2つ以上がさらに置換した基が挙げられる。
ホウ素含有基の具体例としては、ボランジイル基、ボラントリイル基、ジボラニル基等が挙げられる。さらに、アルキル基置換ホウ素、アリール基置換ホウ素、ハロゲン化ホウ素、アルキル基置換ハロゲン化ホウ素の基も挙げられる。アルキル基置換ホウ素の基としては、例えば、(Et)B−、(iPr)B−、(iBu)B−、(Et)B、(iPr)B、(iBu)Bがある。アリール基置換ホウ素の基としては、例えば、(CB−、(CB、(CB、(3,5−(CFBがある。ハロゲン化ホウ素の基としては、例えば、BCl−、BClがある。アルキル基置換ハロゲン化ホウ素の基としては、例えば、(Et)BCl−、(iBu)BCl−、(CBClがある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。また、三置換のホウ素は、配位結合した状態にある場合がある。
アルミニウム含有基の具体例としては、アルキル基置換アルミニウム、アリール基置換アルミニウム、ハロゲン化アルミニウム、アルキル基置換ハロゲン化アルミニウムの基が挙げられる。アルキル基置換アルミニウムの基としては、例えば、(Et)Al−、(iPr)Al−、(iBu)Al−、(Et)Al、(iPr)Al、(iBu)Alがある。アリール基置換アルミニウムの基としては、例えば、(CAl−がある。ハロゲン化アルミニウムの基としては、例えば、AlCl−、AlClがある。アルキル基置換ハロゲン化アルミニウムの基としては、例えば、(Et)AlCl−、(iBu)AlCl−がある。ここで、Etはエチル基、iPrはイソプロピル基、iBuはイソブチル基を表す。また、三置換のアルミニウムは、配位結合した状態にある場合がある。
リン含有基としては、ホスフィド基、ホスホリル基、チオホスホリル基、ホスファト基などが挙げられる。
ケイ素含有基の具体例としては、シリル基、シロキシ基、炭化水素置換シリル基、炭化水素置換シロキシ基が挙げられる。炭化水素置換シリル基としては、例えば、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジフェニルメチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリル、ジメチル−t−ブチルシリル、ジメチル(ペンタフルオロフェニル)シリルがある。中でも、メチルシリル、ジメチルシリル、トリメチルシリル、エチルシリル、ジエチルシリル、トリエチルシリル、ジメチルフェニルシリル、トリフェニルシリルが好ましく、トリメチルシリル、トリエチルシリル、トリフェニルシリル、ジメチルフェニルシリルがより好ましい。炭化水素置換シロキシ基としては、トリメチルシロキシがある。
ゲルマニウム含有基およびスズ含有基としては、それらの基の具体例としては、先に例示したケイ素含有基のケイ素をゲルマニウムまたはスズに置換したものが挙げられる。
一般式(1)において、R〜Rのうち2個以上は互いに連結していてもよい。ただし、RはRおよびRとは連結しておらず、RはRおよびRとは連結していないことが好ましい。このような特定の基が連結していない好ましいアミン化合物としては、例えば、以下の一般式(1A)〜(1D)で表される4つの態様のアミン化合物がある。
Figure 2021161123
(一般式(1A)中、各基の定義は一般式(1)の各基の定義と同じである。ただし、R〜Rは窒素原子以外の何れの基とも連結していない。)
Figure 2021161123
(一般式(1B)中、各基の定義は一般式(1)の各基の定義と同じである。ただし、RとRは連結し、RとRは連結している。)
Figure 2021161123
(一般式(1C)中、各基の定義は一般式(1)の各基の定義と同じである。ただし、RとRは連結しており、RとRは窒素以外の何れの基とも連結していない。)
Figure 2021161123
(一般式(1D)中、各基の定義は一般式(1)の各基の定義と同じである。ただし、RとRは窒素以外の何れの基とも連結しておらず、RとRは連結している。)
一般式(1)においては、R〜Rは直鎖状または分岐状の基であってもよいし、環状構造を含む基であってもよいし、R〜Rのうち2個以上が互いに連結していて環状構造を形成していてもよい。例えば、RとR、RとRの何れか片方が連結する(結合する)場合は、結合数は好ましくは4以上であり、RとR、RとRの両方が連結する(結合する)する場合は、結合数は好ましくは3以上である。
結合数は一方の窒素原子から他方の窒素原子までの連結が有する結合の数をいう。例えば、RとRが共にメチレン基(−CH−)であり、これらが連結している場合、RとRを含む一方の窒素原子から他方の窒素原子までの連結が有する結合数は3となる。
ただし、一般式(1A)〜(1D)で表されるように、Rは、RおよびRとは連結しておらず、Rは、RおよびRとは連結していないことが好ましい。また、R〜Rの各々は、環状構造の置換基を有していないこと、すなわち直鎖状または分岐状の基であることが好ましい。R〜Rが直鎖状または分岐状の基(例えば置換基を有していてもよい直鎖状または分岐状の炭化水素基)である場合、その直鎖状または分岐状の基の炭素原子数は、好ましくは3〜20、より好ましくは3〜15、特に好ましくは3〜10である。また、その場合のR〜Rの炭素原子数の合計は、好ましくは8以上である。そのR〜Rは、好ましくは直鎖状である。
〜Rが以上の好ましい各基のうちの何れかである場合、オレフィンの反応活性がより高くなる傾向があり、かつオレフィンの2〜5量体(好ましくは3〜4量体)である比較的低沸点のα-オレフィンをより効率的に製造し易くなる傾向がある。ここで原料がエチレンの場合は、その3〜4量体はヘキセンおよびオクテンに相当する。すなわち、炭素原子数が10以下のオレフィンの製造に適する傾向がある。
本発明のアミン化合物(B)を含むオレフィン多量化触媒を用いると、上記のようなオレフィンの多量体、すなわちオレフィンの2〜5量体(好ましくは3〜4量体)の生成量の全生成物の生成量に対する割合が高くなる傾向がある。具体的には、この割合は、望ましくは85重量%以上、好ましくは88重量%以上、より好ましくは90重量%以上、特に好ましくは91重量%以上である。このように、例えば2〜5量体(好ましくは3〜4量体)の生成量の割合が高い場合は、生成する多量体の種類が少なくなる傾向にある。また、各成分の沸点の差も比較的大きいので蒸留で分離することが容易になる(例えば、1−ヘキセンの沸点は63℃、1−オクテンの沸点は122〜123℃)。その結果、製造コストを抑制でき、市況の影響にも対応し易いと考えられる。
本発明のアミン化合物(B)の中では、RとRが連結して環構造を形成する態様、および/または、RとRが連結して環構造を形成する態様であることが、後述する助触媒との組合せの観点で好ましい。このような構造の化合物であれば、オクテン生成の選択性が高まり、副生するポリエチレンのDSCで測定した融点が低い傾向がある。
一方、RとRとが同じ構造であり、および/または、RとRが同じ構造であることも好ましい。例えば、後述する実施例に使用したR及びRが直鎖状のプロピル基であり、R及びRがメチル基であるアミン化合物(B−1)がこの場合に相当する。
とRが連結して環構造を形成する場合、および/または、RとRが連結して環構造を形成する場合も、形成される2つの環状構造が同じであることが好ましい。即ち、このR1〜Rに関する構造が、対称もしくは対称に近い構造であることが好ましい場合が多い。
なお、RとRが連結している場合、および/または、RとRが連結している場合、本発明においては、RとRの各々の炭素原子数(および/またはRとRの各々の炭素原子数)は、連結構造を構成する炭素原子の数の1/2の地点を境目として定義する。この1/2の地点に一つの炭素原子がある場合は、この炭素原子の数を「0.5」としてRとRの各々の炭素原子数(および/またはRとRの各々の炭素原子数)に振り分ける。例えば、RとRが連結して窒素原子ともにピペリジン1−イル基を形成している場合、RとRのそれぞれの炭素原子数は、「2.5」となる。
一方の窒素原子がRとRとともに形成する構造と、他方の窒素原子がRとRとともに形成する構造が同じ構造である場合に、より優れた効果が得られる理由は必ずしも明らかではない。ただし、R〜Rは中心金属であるクロム化合物(A)のクロム原子の比較的近傍に位置すると考えられるので、上記のような構造のR〜Rの立体的な影響によって、メタラサイクルへのエチレン配位のし易さや、挿入反応の活性化エネルギーが適切に制御されているのではないかと推測される。
さらに、以上説明した好適な各態様においては、エチレンの3量体(1−ヘキセン)や4量体(1−オクテン)の生成効率がよいだけでなく、エチレンの反応活性や1−オクテンの効率的な製造の点においても好ましい。
本発明においてエチレンの多量体を製造する場合、1−ヘキセンおよび1−オクテンが主生成物となる。1−ヘキセンおよび1−オクテンは、どちらも有用な成分であり、両者は蒸留によって分離することが比較的容易である。したがって、ヘキセンとオクテンの収量の合計が高い値であることが、重要な指標の一つとなる。特に、1−ヘキセンと1−オクテンとを併産する為の製造設備を使用する場合、この指標が重要な項目となる場合がある。
以下にアミン化合物(B)の具体例を示す。ただし、アミン化合物(B)はこれらに限定されない。
Figure 2021161123
Figure 2021161123
上記各化合物において、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはノルマルプロピル基、Prはイソプロピル基、Phはフェニル基を示す。上記各化合物のNとNとの間の炭素原子数は1または2であるが、このNとNとの間の炭素原子数を3以上に変更した化合物も使用可能である。
アミン化合物(B)としては、市販のアミン化合物を使用してもよい。アミン化合物(B)を合成する場合は、例えば、特定のアミン化合物を一般的な方法でアルキル化またはアリール化することによって、アミン化合物(B)を得ることができる。また、イミン化合物を一般的な方法で還元することによっても、アミン化合物(B)を得ることができる。また本発明においては、複数種のアミン化合物(B)を併用することもできる。
本発明のアミン化合物(B)を含むオレフィン多量化触媒を用いると、以上説明したように1−オクテンを効率的に生成できる傾向がある。
アミン化合物(B)とクロム化合物(A)は、別々に反応器へ添加してもよい。ただし、予めアミン化合物(B)とクロム化合物(A)を反応させることにより形成した遷移金属錯体を、反応器へ添加することが好ましい。例えば、アミン化合物(B)を溶媒に溶解し、これをクロム化合物(A)と混合し、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、−78℃から室温または還流条件下で、約5分〜48時間撹拌することによって、遷移金属錯体を得ることができる。
遷移金属錯体を合成する際に用いる溶媒は特に限定されない。このような反応において使用可能なことが知られている一般的な溶媒を使用できる。溶媒の具体例としては、エーテル、テトラヒドロフランなどの極性溶媒;トルエン、メチルシクロヘキサン、ヘプタンなどの炭化水素溶媒;塩化メチレンなどのハロゲン化炭化水素溶媒が挙げられる。
遷移金属錯体は、溶媒に溶解または懸濁した状態で得られる。この遷移金属錯体の溶液または懸濁液をそのまま使用してもよいし、また遷移金属錯体を一度単離して、再び溶媒に溶解または懸濁させて使用してもよい。
<助触媒成分>
本発明にかかるオレフィン多量化用触媒は助触媒成分として成分(CA)及び成分(C−3)を含む。成分(CA)は、成分(C−1)としての有機金属化合物(以下、「有機金属化合物(C−1)」ともいう)及び成分(C−2)としての有機アルミニウムオキシ化合物(以下、「有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)」ともいう)から選択される少なくとも1種である。成分(C−3)は、遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物(以下、「化合物(C−3)」または「イオン化イオン性化合物(C−3)」ともいう)である。
以下、これら成分(C−1)〜(C−3)について説明する。
[有機金属化合物(C−1)]
有機金属化合物(C−1)としては、例えば、以下に記載する化合物(C−1a)、(C−1b)および(C−1c)のような周期律表第1、2、12、13族の有機金属化合物を使用できる。本発明において、有機金属化合物(C−1)には後述する有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)は含まれないものとする。
(C−1a):一般式R Al(OR(式中、RおよびRは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、pは0≦p<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+p+q=3である)で表される有機アルミニウム化合物。
(C−1b):一般式MAlR (式中、MはLi、NaまたはKを示し、Rは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す)で表される周期律表第1族金属とアルミニウムとの錯アルキル化物。
(C−1c):一般式R(式中、RおよびRは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、MはMg、ZnまたはCdである)で表される周期律表第2または12族金属のジアルキル化合物。
前記有機アルミニウム化合物(C−1a)としては、例えば、一般式R Al(OR3−m(式中、RおよびRは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは1.5≦m≦3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、一般式R AlX3−m(式中、Rは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは好ましくは0<m<3の数である。)で表される有機アルミニウム化合物、一般式R AlH3−m(式中、Rは炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、mは好ましくは2≦m<3の数である)で表される有機アルミニウム化合物、一般式R Al(OR(式中、RおよびRは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示し、Xはハロゲン原子を示し、mは0<m≦3、nは0≦n<3、qは0≦q<3の数であり、かつm+n+q=3である)で表される有機アルミニウム化合物を使用できる。
前記有機アルミニウム化合物(C−1a)の具体例としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリ(n−ブチル)アルミニウム、トリプロピルアルミニウム、トリペンチルアルミニウム、トリヘキシルアルミニウム、トリオクチルアルミニウム、トリデシルアルミニウムなどのトリ(n−アルキル)アルミニウム;トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ(sec−ブチル)アルミニウム、トリ(tert−ブチル)アルミニウム、トリ(2−メチルブチル)アルミニウム、トリ(3−メチルブチル)アルミニウム、トリ(2−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(3−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(4−メチルペンチル)アルミニウム、トリ(2−メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(3−メチルヘキシル)アルミニウム、トリ(2−エチルヘキシル)アルミニウムなどのトリ分岐鎖アルキルアルミニウム;トリシクロヘキシルアルミニウム、トリシクロオクチルアルミニウムなどのトリシクロアルキルアルミニウム;トリフェニルアルミニウム、トリトリルアルミニウムなどのトリアリールアルミニウム;ジエチルアルミニウムハイドライド、ジイソブチルアルミニウムハイドライドなどのジアルキルアルミニウムハイドライド;(iCAl(C10(式中、x、y、zは正の数であり、z≧2xである。iCはイソブチル基を表す。)などで表されるイソプレニルアルミニウムなどのアルケニルアルミニウム;イソブチルアルミニウムメトキシド、イソブチルアルミニウムエトキシド、イソブチルアルミニウムイソプロポキシドなどのアルキルアルミニウムアルコキシド;ジメチルアルミニウムメトキシド、ジエチルアルミニウムエトキシド、ジブチルアルミニウムブトキシドなどのジアルキルアルミニウムアルコキシド;エチルアルミニウムセスキエトキシド、ブチルアルミニウムセスキブトキシドなどのアルキルアルミニウムセスキアルコキシド;例えばR 2.5Al(OR0.5(式中、RおよびRは、互いに同一でも異なっていてもよい炭素原子数が1〜15、好ましくは1〜4の炭化水素基を示す。)で表される平均組成を有する部分的にアルコキシ化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジエチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、エチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、ジイソブチルアルミニウム(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)、イソブチルアルミニウムビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノキシド)などのジアルキルアルミニウムアリーロキシド;ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジブチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウムクロリドなどのジアルキルアルミニウムハライド;エチルアルミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウムセスキブロミドなどのアルキルアルミニウムセスキハライド;エチルアルミニウムジクロリド、プロピルアルミニウムジクロリド、ブチルアルミニウムジブロミドなどのアルキルアルミニウムジハライドのように部分的にハロゲン化されたアルキルアルミニウム;ジエチルアルミニウムヒドリド、ジブチルアルミニウムヒドリドなどのジアルキルアルミニウムヒドリド;エチルアルミニウムジヒドリド、プロピルアルミニウムジヒドリドなどのアルキルアルミニウムジヒドリドのように部分的に水素化されたアルキルアルミニウム;エチルアルミニウムエトキシクロリド、ブチルアルミニウムブトキシクロリド、エチルアルミニウムエトキシブロミドのように部分的にアルコキシ化およびハロゲン化されたアルキルアルミニウムが挙げられる。
有機アルミニウム化合物(C−1a)に類似する化合物、例えば、(CAlN(C)Al(Cのように窒素原子を介して2以上のアルミニウム化合物が結合した有機アルミニウム化合物も使用できる。
前記化合物(C−1b)の具体例としては、LiAl(C、LiAl(C15が挙げられる。
前記化合物(C−1c)の具体例としては、ジメチルマグネシウム、ジエチルマグネシウム、ジブチルマグネシウム、ブチルエチルマグネシウムが挙げられる。
以上説明した化合物(C−1a)〜(C−1c)以外の有機金属化合物(C−1)の具体例としては、メチルリチウム、エチルリチウム、プロピルリチウム、ブチルリチウム、メチルマグネシウムブロミド、メチルマグネシウムクロリド、エチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムクロリド、プロピルマグネシウムブロミド、プロピルマグネシウムクロリド、ブチルマグネシウムブロミド、ブチルマグネシウムクロリドが挙げられる。
多量化反応系内で有機アルミニウム化合物が形成されるような化合物、例えばハロゲン化アルミニウムとアルキルリチウムとの組合せ、またはハロゲン化アルミニウムとアルキルマグネシウムとの組合せを使用することもできる。
以上説明した有機金属化合物(C−1)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。また、以上説明した有機金属化合物(C−1)の中では、有機アルミニウム化合物(C−1a)が特に好ましい。
[有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)]
有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)は、従来公知のアルミノキサンであってもよく、また特開平2−78687号公報に例示されているようなベンゼン不溶性の有機アルミニウムオキシ化合物であってもよい。従来公知のアルミノキサンは、例えば以下の方法によって製造でき、通常、溶液として得られる。
(1)吸着水を含有する化合物または結晶水を含有する塩類(例えば、塩化マグネシウム水和物、硫酸銅水和物、硫酸アルミニウム水和物、硫酸ニッケル水和物、塩化第1セリウム水和物)と炭化水素溶媒を含む懸濁液に、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物を添加して、吸着水または結晶水と有機アルミニウム化合物とを反応させる方法。
(2)ベンゼン、トルエン、エチルエーテル、テトラヒドロフランなどの溶媒中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物に直接水、氷または水蒸気を作用させる方法。
(3)デカン、ベンゼン、トルエンなどの溶媒中で、トリアルキルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物にジメチルスズオキシド、ジブチルスズオキシドなどの有機スズ酸化物を反応させる方法。
アルミノキサンは、少量の有機金属成分を含有してもよい。上記各方法において回収されたアルミノキサンの溶液から溶媒および未反応有機アルミニウム化合物を蒸留除去し、そのアルミノキサンをさらに溶媒に再溶解させてもよいし、アルミノキサンの貧溶媒に懸濁させてもよい。
アルミノキサンの製造の為に用いる有機アルミニウム化合物の具体例は、先に説明した有機アルミニウム化合物(C−1a)の具体例と同様である。有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。中でも、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウムが特に好ましい。
アルミノキサンの製造の為に用いる溶媒としては、例えば、炭化水素溶媒、エーテル系溶媒を使用できる。炭化水素溶媒の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン、シメンなどの芳香族炭化水素;ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカンなどの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ガソリン、灯油、軽油などの石油留分;芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素または脂環族炭化水素のハロゲン化物(特に塩素化物または臭素化物)が挙げられる。エーテル系溶媒の具体例としては、エチルエーテル、テトラヒドロフランが挙げられる。中でも、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素が好ましい。ベンゼンに対して不溶性または難溶性の有機アルミニウムオキシ化合物を使用する場合、60℃のベンゼンに溶解するAl成分の量はAl原子換算で通常10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは2%以下である。
有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)としては、下記一般式(5)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物も使用できる。
Figure 2021161123
(一般式(5)中、Rは炭素原子数が1〜10の炭化水素基、あるいは炭素原子数が1〜10のハロゲン化炭化水素基を示す。Rは、互いに同一でも異なっていてもよい水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜10の炭化水素基を示す。)
一般式(5)で表されるボロンを含んだ有機アルミニウムオキシ化合物は、例えば、下記一般式(6)で表されるアルキルボロン酸と、有機アルミニウム化合物とを、不活性ガス雰囲気下に不活性溶媒中で、−80℃〜室温の温度で1分〜24時間反応させることにより製造できる。
−B(OH)・・・(6)
(一般式(6)中、Rは上記一般式(5)におけるRと同じ基を示す)
一般式(6)で表されるアルキルボロン酸の具体的例としては、メチルボロン酸、エチルボロン酸、イソプロピルボロン酸、n−プロピルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、n−ヘキシルボロン酸、シクロヘキシルボロン酸、フェニルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルボロン酸が挙げられる。中でも、メチルボロン酸、n−ブチルボロン酸、イソブチルボロン酸、3,5−ジフルオロフェニルボロン酸、ペンタフルオロフェニルボロン酸が好ましい。これらアルキルボロン酸は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
アルキルボロン酸と反応させる有機アルミニウム化合物の具体例は、先に説明した有機アルミニウム化合物(C−1a)の具体例と同様である。有機アルミニウム化合物は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。中でも、トリアルキルアルミニウム、トリシクロアルキルアルミニウムが好ましく、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウムがより好ましい。
以上説明した有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
[イオン化イオン性化合物(C−3)]
イオン化イオン性化合物(C−3)は、遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物である。したがって、少なくとも遷移金属化合物と接触させるとイオン対を形成する性質を有する化合物は、このイオン化イオン性化合物(C−3)に相当する。
イオン化イオン性化合物(C−3)としては、例えば、特開平1−501950号公報、特開平1−502036号公報、特開平3−179005号公報、特開平3−179006号公報、特開平3−207703号公報、特開平3−207704号公報、米国特許5321106号に記載されたルイス酸、イオン性化合物、ボラン化合物、カルボラン化合物を使用できる。さらに、ヘテロポリ化合物、イソポリ化合物も使用できる。
前記ルイス酸としては、例えば、一般式BR(Rはフッ素、メチル基、トリフルオロメチル基などの置換基を有していてもよいフェニル基またはフッ素である)で表される化合物がある。その具体例としては、トリフルオロボロン、トリフェニルボロン、トリス(4−フルオロフェニル)ボロン、トリス(3,5−ジフルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオロメチルフェニル)ボロン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス(p−トリル)ボロン、トリス(o−トリル)ボロン、トリス(3,5−ジメチルフェニル)ボロンが挙げられる。
前記イオン性化合物の具体例としては、例えば下記一般式(7)で表される有機ホウ素化合物が挙げられる。
Figure 2021161123
一般式(7)中、R9+としては、例えば、H、カルボニウムカチオン、オキソニウムカチオン、アンモニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、シクロヘプチルトリエニルカチオン、遷移金属を有するフェロセニウムカチオンが挙げられる。R10〜R13は、互いに同一でも異なっていてもよい有機基、好ましくはアリール基または置換アリール基である。
9+がカルボニウムカチオンである場合の具体例としては、トリフェニルカルボニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)カルボニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)カルボニウムカチオンなどの三置換カルボニウムカチオンが挙げられる。
9+がアンモニウムカチオンである場合の具体例としては、トリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルアンモニウムカチオン、トリ(n−プロピル)アンモニウムカチオン、トリ(n−ブチル)アンモニウムカチオンなどのトリアルキルアンモニウムカチオン;N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオン、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムカチオンなどのN,N−ジアルキルアニリニウムカチオン;ジ(イソプロピル)アンモニウムカチオン、ジシクロヘキシルアンモニウムカチオンなどのジアルキルアンモニウムカチオンが挙げられる。
9+がホスホニウムカチオンである場合の具体例としては、トリフェニルホスホニウムカチオン、トリ(メチルフェニル)ホスホニウムカチオン、トリ(ジメチルフェニル)ホスホニウムカチオンなどのトリアリールホスホニウムカチオンが挙げられる。
9+としては、カルボニウムカチオン、アンモニウムカチオンが好ましく、トリフェニルカルボニウムカチオン、N,N−ジメチルアニリニウムカチオン、N,N−ジエチルアニリニウムカチオンがより好ましい。
以上説明した一般式(7)で表される化合物以外に、前記イオン性化合物としては、さらにトリアルキル置換アンモニウム塩、N,N−ジアルキルアニリニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、トリアリールホスフォニウム塩も使用できる。
前記トリアルキル置換アンモニウム塩の具体例としては、トリエチルアンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−プロピル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラフェニルボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(p−トリル)ボレート、トリメチルアンモニウムテトラ(o−トリル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリ(n−プロピル)アンモニウムテトラ(o,p−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(m,m−ジメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(p−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(3,5−ジトリフルオロメチルフェニル)ボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムテトラ(o−トリル)ボレート等の有機ホウ素化合物が挙げられる。
前記N,N−ジアルキルアニリニウム塩の具体例としては、N,N−ジメチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N−ジエチルアニリニウムテトラフェニルボレート、N,N,2,4,6−ペンタメチルアニリニウムテトラフェニルボレートが挙げられる。
前記ジアルキルアンモニウム塩の具体例としては、ジ(n−プロピル)アンモニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジシクロヘキシルアンモニウムテトラフェニルボレート等の有機ホウ素化合物が挙げられる。
以上説明した各塩以外に、前記イオン性化合物としては、さらにトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、フェロセニウムテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルカルベニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、N,N−ジエチルアニリニウムペンタフェニルシクロペンタジエニル錯体、下記一般式(8)または(9)で表される有機ホウ素化合物も使用できる。
Figure 2021161123
(一般式(8)中、Etはエチル基を示す。)
Figure 2021161123
(一般式(9)中、Etはエチル基を示す。)
前記ボラン化合物の具体例としては、デカボラン(14);ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ノナボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ウンデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕デカクロロデカボレート、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ドデカクロロドデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ドデカハイドライドドデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ドデカハイドライドドデカボレート)ニッケル酸塩(III)などの金属ボランアニオンの塩が挙げられる。
前記カルボラン化合物の具体例としては、4−カルバノナボラン(14)、1,3−ジカルバノナボラン(13)、6,9−ジカルバデカボラン(14)、ドデカハイドライド−1−フェニル−1,3−ジカルバノナボラン、ドデカハイドライド−1−メチル−1,3−ジカルバノナボラン、ウンデカハイドライド−1,3−ジメチル−1,3−ジカルバノナボラン、7,8−ジカルバウンデカボラン(13)、2,7−ジカルバウンデカボラン(13)、ウンデカハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボラン、ドデカハイドライド−11−メチル−2,7−ジカルバウンデカボラン、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム1−トリメチルシリル−1−カルバデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムブロモ−1−カルバドデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート(14)、トリ(n−ブチル)アンモニウム6−カルバデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウム7−カルバウンデカボレート(13)、トリ(n−ブチル)アンモニウム7,8−ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウム2,9−ジカルバウンデカボレート(12)、トリ(n−ブチル)アンモニウムドデカハイドライド−8−メチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−エチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−ブチル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−8−アリル−7,9−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−9−トリメチルシリル−7,8−ジカルバウンデカボレート、トリ(n−ブチル)アンモニウムウンデカハイドライド−4,6−ジブロモ−7−カルバウンデカボレートなどのアニオンの塩;トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−1,3−ジカルバノナボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)銅酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ウンデカハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)金酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)鉄酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(ノナハイドライド−7,8−ジメチル−7,8−ジカルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、トリ(n−ブチル)アンモニウムビス(トリブロモオクタハイドライド−7,8−ジカルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、トリス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)クロム酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)マンガン酸塩(IV)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)コバルト酸塩(III)、ビス〔トリ(n−ブチル)アンモニウム〕ビス(ウンデカハイドライド−7−カルバウンデカボレート)ニッケル酸塩(IV)などの金属カルボランアニオンの塩が挙げられる。
前記ヘテロポリ化合物は、通常、ケイ素、リン、チタン、ゲルマニウム、ヒ素または錫からなる原子と、バナジウム、ニオブ、モリブデンおよびタングステンから選ばれる1種または2種以上の原子とからなる。その具体例としては、リンバナジン酸、ゲルマノバナジン酸、ヒ素バナジン酸、リンニオブ酸、ゲルマノニオブ酸、シリコノモリブデン酸、リンモリブデン酸、チタンモリブデン酸、ゲルマノモリブデン酸、ヒ素モリブデン酸、錫モリブデン酸、リンタングステン酸、ゲルマノタングステン酸、錫タングステン酸、リンモリブドバナジン酸、リンタングストバナジンン酸、ゲルマノタングストバナジンン酸、リンモリブドタングストバナジン酸、ゲルマノモリブドタングストバナジン酸、リンモリブドタングステン酸、リンモリブドニオブ酸が挙げられる。また、これら各酸の塩であってもよい。塩の具体例としては、例えば、周期律表第1または2族の金属(例えばリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム)との塩、トリフェニルエチル塩等の有機塩、イソポリ化合物が挙げられる。
以上説明したイオン化イオン性化合物(C−3)は、1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
ホウ素含有化合物としては、上述したホウ酸塩化合物が好ましい。ホウ酸塩化合物としては、トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等のトリアルキル置換アンモニウムのホウ酸塩やN,N−ジアルキル置換アンモニウムのホウ酸塩が特に好ましい化合物として挙げることが出来る。
以上のオレフィン多量化用触媒を用いれば高い活性でオレフィン多量体が得られ、特にオレフィンとしてエチレンを用いた場合には、1−オクテンの選択性が高い。例えば助触媒成分としてトリエチルアルミニウムなどの有機金属化合物(C−1)とメチルアルミノキサンなどの有機アルミニウムオキシ化合物(C−2)の少なくとも1種を併用すると、エチレンに対してより高い活性を示し、1−オクテンを製造することができる。また助触媒成分(C−3)としてトリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートのようなテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩化合物などのホウ酸塩化合物は、トリエチルアルミニウムなどの有機金属化合物(C−1)と組み合わせて用いることによっても、より良好な活性かつより高い選択率でエチレンから1−オクテンが得られる。
<担体(D)>
本発明のオレフィン多量化用触媒は、担体(D)を含んでいてもよい。担体(D)は、無機化合物または有機化合物であって、通常、顆粒状または微粒子状の固体である。担体(D)は、クロム化合物(A)、アミン化合物(B)、成分(CA)及び成分(C−3)および化合物(C)等の各成分の担持用として利用される。無機化合物としては、多孔質酸化物、無機ハロゲン化物、粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物が好ましい。
前記多孔質酸化物の具体例としては、SiO、Al、MgO、ZrO、TiO、B、CaO、ZnO、BaO、ThO、またはこれらを含む複合物もしくは混合物(例えば、天然または合成ゼオライト、SiO−MgO、SiO−Al、SiO−TiO、SiO−V、SiO−Cr、SiO−TiO−MgO)が挙げられる。中でも、SiOおよび/またはAlを主成分とする多孔質酸化物が好ましい。多孔質酸化物は、少量のNaCO、KCO、CaCO、MgCO、NaSO、Al(SO、BaSO、KNO、Mg(NO、Al(NO、NaO、KO、LiOなどの炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩または酸化物成分を含有していてもよい。多孔質酸化物の粒径、比表面積、細孔容積は特に限定されず、材料の種類や製法に応じて適宜決定すればよい。本発明において、多孔質酸化物の粒径は好ましくは0.5〜300μm、より好ましくは20〜200μmであり、比表面積は好ましくは50〜1000m/g、より好ましくは100〜700m/gであり、細孔容積は好ましくは0.3〜3.0cm/gである。多孔質酸化物は、必要に応じて、好ましくは100〜1000℃、より好ましくは150〜700℃で焼成される。
前記無機ハロゲン化物の具体例としては、MgCl、MgBr、MnCl、MnBrが挙げられる。無機ハロゲン化物は、そのまま使用してもよいし、ボールミル、振動ミルにより粉砕した後に使用してもよい。また、アルコールなどの溶媒に無機ハロゲン化物を溶解させた後、析出剤によって微粒子状に析出させたものを使用することもできる。
前記粘土は、通常、粘土鉱物を主成分として含む。また、前記イオン交換性層状化合物は、イオン結合によって構成される面が互いに弱い結合力で平行に積み重なった結晶構造を有する化合物であり、含有するイオンが交換可能な化合物である。イオン交換性層状化合物としては、例えば、六方細密パッキング型、アンチモン型、CdCl型、CdI型などの層状の結晶構造を有するイオン結晶性化合物を使用できる。大部分の粘土鉱物はイオン交換性層状化合物である。これらの粘土、粘土鉱物およびイオン交換性層状化合物としては、天然のものに限らず、人工合成物も使用できる。
粘土、粘土鉱物の具体例としては、カオリン、ベントナイト、木節粘土、ガイロメ粘土、アロフェン、ヒシンゲル石、パイロフィライト、雲母、モンモリロナイト、バーミキュライト、ヘクトライト、テニオライト、リョクデイ石、パリゴルスカイト、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイトが挙げられる。イオン交換性層状化合物の具体例としては、α−Zr(HAsO・HO、α−Zr(KPO・3HO、α−Ti(HPO、α−Ti(HAsO・HO、α−Sn(HPO・HO、γ−Zr(HPO、γ−Ti(HPO、γ−Ti(NHPO・HOなどの多価金属の結晶性酸性塩が挙げられる。中でも、粘土、粘土鉱物が好ましく、合成雲母、モンモリロナイト、バーミキュライト、ヘクトライト、テニオライトがより好ましい。
粘土、粘土鉱物およびイオン交換性層状化合物の細孔容積は、好ましくは0.1cc/g以上、より好ましくは0.3〜5cc/gである。この細孔容積は、水銀ポロシメーターを用いた水銀圧入法により、細孔半径20〜3×10オングストロームの範囲について測定した容積である。半径20オングストローム以上の細孔容積が0.1cc/gより小さいものを担体として用いた場合は、高い多量化活性が得られにくい傾向がある。
粘土、粘土鉱物には、化学処理を施すことも好ましい。化学処理としては、例えば、表面に付着している不純物を除去する表面処理、粘土の結晶構造に影響を与える処理がある。化学処理の具体例としては、酸処理、アルカリ処理、塩類処理、有機物処理が挙げられる。酸処理によれば、表面の不純物を取り除くだけでなく、結晶構造中のAl、Fe、Mgなどの陽イオンを溶出させることによって表面積を増大できる。アルカリ処理によれば、粘土の結晶構造を破壊して、粘土の構造を変化させることができる。塩類処理や有機物処理によれば、イオン複合体、分子複合体または有機誘導体を形成することによって、表面積や層間距離を変化させることができる。
イオン交換性層状化合物は、層間の交換性イオンを別の大きな嵩高いイオンと交換することによって層間を拡大した状態の層状化合物であってもよい。この嵩高いイオンは、層状構造を支える支柱的な役割を担い、通常、ピラーと呼ばれる。また、このように層状化合物の層間に別の物質を導入することは、インターカレーションと言う。インターカレーションするゲスト化合物(別の物質)の具体例としては、TiCl、ZrClなどの陽イオン性無機化合物、Ti(OR)、Zr(OR)、PO(OR)、B(OR)などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)、[Al13(OH)247+、[Zr(OH)142+、[FeO(OCOCHなどの金属水酸化物イオンが挙げられる。ゲスト化合物は1種単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。ゲスト化合物をインターカレーションする際に、例えば、Si(OR)、Al(OR)、Ge(OR)などの金属アルコキシド(Rは炭化水素基など)を加水分解して得た二量化物、SiOなどのコロイド状無機化合物を共存させることもできる。ピラーの具体例としては、上記金属水酸化物イオンを層間にインターカレーションした後で加熱脱水することにより生成する酸化物が挙げられる。
粘土、粘土鉱物、イオン交換性層状化合物は、そのまま使用してもよいし、ボールミル、ふるい分けなどの処理を行った後に使用してもよい。また、新たに水を添加して吸着させた後に使用してもよいし、あるいは加熱脱水処理した後に使用してもよい。
前記有機化合物としては、例えば、粒径が10〜300μmの顆粒状または微粒子状の固体有機化合物が挙げられる。有機化合物を構成する重合体のモノマーの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテンなどの炭素原子数が2〜14のα−オレフィンを主成分として生成される(共)二量化体、ビニルシクロヘキサン、スチレンを主成分として生成される(共)二量化体、およびそれらの変成体が挙げられる。
<有機化合物成分(E)>
本発明のオレフィン多量化用触媒は、さらに必要に応じて有機化合物を成分(E)として含んでいてもよい。
本発明において、成分(E)としての有機化合物(以下、「有機化合物成分(E)」ともいう)は、例えば、多量化性能を向上させる目的で使用される。このような有機化合物としては、例えば、アルコール類、フェノール性化合物、カルボン酸、リン化合物、スルホン酸塩を使用できる。ただし、成分(E)はこれに限られるものではない。
前記アルコール類および前記フェノール性化合物としては、通常、R14−OHで表される化合物が使用される。R14は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示す。アルコール類としては、R14がハロゲン化炭化水素である化合物が好ましい。フェノール性化合物としては、水酸基のα,α'−位が炭素原子数1〜20の炭化水素で置換された化合物が好ましい。
前記カルボン酸としては、通常、R15−COOHで表される化合物が使用される。R15は炭素原子数1〜50の炭化水素基または炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基を示す。特に、R15が炭素原子数1〜50のハロゲン化炭化水素基である化合物が好ましい。
前記リン化合物としては、P−O−H結合を有するリン酸類、P−OR結合またはP=O結合を有するホスフェートまたはホスフィンオキシド化合物が好ましい。
前記スルホン酸塩としては、例えば、下記一般式(10)で表される化合物を使用できる。
Figure 2021161123
一般式(10)中、Mは周期律表第1〜14族の元素であり、R14は水素、炭素原子数1〜20の炭化水素基または炭素原子数1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、Zは水素原子、ハロゲン原子、炭素原子数が1〜20の炭化水素基または炭素原子数が1〜20のハロゲン化炭化水素基であり、tは1〜7の整数であり、uは1≦u≦7の整数であり、かつt−u≧1である。
<オレフィン多量化用触媒の製造方法>
以上の各成分は、オレフィン多量化用触媒の製造用の成分として使用される。以上の各成分を用いたオレフィン多量化用触媒の製造方法は、成分(A)と成分(CA)とを接触させる工程を含むことを特徴とする。こうして得られた接触物はその他の成分、例えば前記の(C−3)成分、成分(B)、成分(D)、成分(E)及びその他の成分の少なくとも1種と組み合わせて用いてもよい。成分(A)と成分(CA)との接触において、成分(CA)に含まれる金属原子のモル数(CA−M)と、成分(A)に含まれるクロム原子のモル数(M)とのモル比[(CA−M)/(M)]は、5〜500の範囲から選択される。下限値は好ましくは7であり、より好ましくは9である。一方、このモル比の上限値は好ましくは400であり、より好ましくは350であり、さらに好ましくは300である。
換言すると、本発明のオレフィン多量化用触媒は、成分(A)と成分(CA)の接触物を含む。この接触物は、好ましくは混合物である。
尚、本発明において、接触や接触物とは、例えば混合や混合物の上位概念に該当する語である。
この成分(A)と成分(CA)とを接触させて接触物を得る工程は、反応器中でのオレフィン多量化反応を行う工程とは別工程として行ってもよい。
また、前記の接触工程は、単回工程として、あるいは複数回の工程として行ってもよい。更に、この工程は、目的とする効果を得ることができる範囲内で、成分(B)、成分(D)、成分(E)及びその他の成分の少なくとも1種の共存下で行ってもよい。成分(B)の存在下で成分(A)と成分(CA)を接触させることが好ましく、成分(A)と成分(B)を接触させて得られる遷移金属化合物を成分(CA)と接触させることがより好ましい。
本発明の請求項の規定を満たす限り、上記のような接触物を本発明のオレフィン重合用触媒として用いることも可能である。
<オレフィン多量体の製造方法>
本発明のオレフィン多量化用触媒を用いたオレフィンの多量化反応に使用されるオレフィンの具体例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、ビニルシクロヘキセン、スチレン、1−オクテン、1−デセンなどのビニル化合物、2−ブテン、シクロペンテン、シクロヘキセン、ノルボルネンなどの内部オレフィンが挙げられる。中でも、エチレンが好ましい。2種以上のオレフィンを共多量化させてもよい。
本発明のオレフィン多量体の製造方法は、以上説明したオレフィン多量化用触媒の存在下でオレフィンの多量化反応(好ましくは3量化〜4量化反応、より好ましくは4量化反応)を行う工程を有する。
多量化させるオレフィンの具体例は、先に記載のとおりであり、中でもエチレンが好ましい。具体的には、エチレンの多量化反応により多量体を製造することが好ましく、エチレンの3量化および4量化反応により1−ヘキセンおよび1−オクテンを高い選択率で製造することがより好ましく、エチレンの4量化反応により1−オクテンを高い選択率で製造することが特に好ましい。
オレフィン多量化の際、成分(A)、成分(B)、成分(CA)、成分(C−3)およびその他の成分(例えば、担体(D)、有機化合物成分(E))を反応器に添加する添加方法の具体例は以下の通りである。
(1)成分(A)と成分(CA)の接触物と、成分(B)と、成分(C−3)とをそのまま任意の順序で反応器に添加する方法。
(2)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物と、成分(C−3)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(3)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物に、更に成分(C−3)を接触させた触媒成分を反応器に添加する方法。
(4)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物に更に成分(C−3)を予め接触させた触媒成分と、成分(C−1)〜(C−3)の少なくとも1種とを任意の順序で反応器に添加する方法。成分(C−1)〜(C−3)のいずれかが、複数回に分けて添加される場合は、複数回に分けて添加される成分は同一でもよいし、異なっていてもよい。
(5)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物を担持した担体(D)と、成分(C−1)〜(C−3)の少なくとも1種を任意の順序で反応器に添加する方法。
(6)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物と、成分(C−3)を担持した担体(D)を反応器に添加する方法。
(7)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物と、成分(C−3)を担持した担体(D)と、成分(C−1)〜(C−3)の少なくとも1種とを任意の順序で反応器に添加する方法。成分(C−1)〜(C−3)のいずれかが、複数回に分けて添加される場合は、複数回に分けて添加される成分は同一でもよいし、異なっていてもよい。
(8)成分(C−3)を担持した担体(D)と、成分(A)に成分(CA)を接触させて得られた接触物と、成分(B)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(9)成分(C−3)を担持した担体(D)と、成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(10)成分(C−3)を担持した担体(D)と、成分(A)に成分(CA)を接触させて得られた接触物と、成分(B)と、成分(C−1)〜(C−3)の少なくとも1種とを任意の順序で反応器に添加する方法。成分(C−1)〜(C−3)のいずれかが、複数回に分けて添加される場合は、複数回に分けて添加される成分は同一でもよいし、異なっていてもよい。
(11)成分(C−3)を担持した担体(D)と、成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物と、成分(C−1)〜(C−3)の少なくとも1種とを任意の順序で反応器に添加する方法。成分(C−1)〜(C−3)のいずれかが、複数回に分けて添加される場合は、複数回に分けて添加される成分は同一でもよいし、異なっていてもよい。
(12)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物を担持した担体(D)と、成分(C−3)を担持した担体(D)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(13)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物を担持した担体(D)と、成分(C−3)を担持した担体(D)と、成分(C−1)〜(C−3)の少なくとも1種とを任意の順序で反応器に添加する方法。成分(C−1)〜(C−3)のいずれかが、複数回に分けて添加される場合は、複数回に分けて添加される成分は同一でもよいし、異なっていてもよい。
(14)成分(A)に成分(CA)を接触させて得られた接触物と、成分(B)と、成分(C−3)と、成分(E)とをそのまま任意の順序で反応器に添加する方法。
(15)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物と、成分(C−3)と、成分(E)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(16)成分(C−3)および成分(E)を予め接触させた成分と、成分(A)に成分(CA)を接触させて得られた接触物と、成分(B)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(17)成分(C−3)および成分(E)を予め接触させた成分と、成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(18)成分(C−3)および成分(E)を担持した担体(D)と、成分(A)に成分(CA)を接触させて得られた接触物と、成分(B)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(19)成分(C−3)および成分(E)を担持した担体(D)と、成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(20)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物に、更に成分(C−3)を予め接触させた触媒成分と、成分(E)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(21)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物に、更に成分(C−3)を予め接触させた触媒成分と、成分(C−1)〜(C−3)の少なくとも1種と、成分(E)とを任意の順序で反応器に添加する方法。成分(C−1)〜(C−3)のいずれかが、複数回に分けて添加される場合は、複数回に分けて添加される成分は同一でもよいし、異なっていてもよい。
(22)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物に、更に成分(C−3)を予め接触させた触媒成分と、成分(C−1)〜(C−3)の少なくとも1種および成分(E)を予め接触させた成分とを任意の順序で反応器に添加する方法。成分(C−1)〜(C−3)のいずれかが、複数回に分けて添加される場合は、複数回に分けて添加される成分は同一でもよいし、異なっていてもよい。
(23)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物を担持した担体(D)と、成分(C−3)と、成分(E)とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(24)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物を担持した担体(D)と、成分(C−3)および成分(E)を予め接触させた成分とを任意の順序で反応器に添加する方法。
(25)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物に、更に成分(C−3)および成分(E)を予め任意の順序で接触させた触媒成分を反応器に添加する方法。
(26)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物に、更に成分(C−3)および成分(E)を予め任意の順序で接触させた触媒成分と、成分(C−1)〜(C−3)の少なくとも1種とを任意の順序で反応器に添加する方法。成分(C−1)〜(C−3)のいずれかが、複数回に分けて添加される場合は、複数回に分けて添加される成分は同一でもよいし、異なっていてもよい。
(27)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物、成分(C−3)ならびに成分(E)を担持した担体(D)を反応器に添加する方法。
(28)成分(A)および成分(B)を予め接触させて形成した遷移金属錯体に成分(CA)を接触させて得られた接触物、成分(C−3)ならびに成分(E)を担持した担体(D)と、成分(C−1)〜(C−3)の少なくとも1種とを任意の順序で反応器に添加する方法。成分(C−1)〜(C−3)のいずれかが、複数回に分けて添加される場合は、複数回に分けて添加される成分は同一でもよいし、異なっていてもよい。
オレフィン多量化は、溶解反応や懸濁反応などの液相反応法、気相反応法のいずれにおいても実施できる。
液相反応法においては、通常、不活性炭化水素媒体を用いる。不活性炭化水素媒体の具体例としては、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、イソペンタン、ヘキサン、へプタン、オクタン、デカン、ドデカン、灯油などの脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロへキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロペンタンなどの脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、テトラリンなどの芳香族炭化水素;エチレンクロリド、クロルベンゼン、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、またはこれらの混合物が挙げられる。中でも、ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタンなどの炭素数5〜7の直鎖状飽和炭化水素;メチルシクロヘキサンなどの脂環式飽和炭化水素が好ましい。
オレフィン多量化用触媒を用いて、例えば、主としてエチレンの3〜4量化反応により1−ヘキセンや1−オクテンを製造する場合は、成分(A)中のクロム原子は、反応容積1リットル当り、通常10−12〜10−2モル、好ましくは10−10〜10−3モルとなるような量で用いられる。本発明では、成分(A)を比較的低い濃度で用いた場合であっても、高活性でオレフィン多量体を得ることができる。
成分(B)は成分(A)中のクロム原子(M)とのモル比〔(B)/M〕が、通常0.1〜10、好ましくは0.5〜2となるような量で用いられる。
以下に、オレフィン多量化用触媒に含まれる各成分の量比について説明する。
成分(C−1)を用いる場合、成分(C−1)の金属原子のモル数(C−1)と、成分(A)中のクロム原子(M)とのモル数との比〔(C−1)/M〕は、本発明においては5〜500である。このモル比の下限値は好ましくは7であり、より好ましくは9である。一方、このモル比の上限値は好ましくは400であり、より好ましくは350であり、さらに好ましくは300である。
成分(C−2)を用いる場合は、成分(C−2)中のアルミニウム原子のモル数(C−2)と、成分(A)中のクロム原子(M)とのモル比〔(C−2)/M〕が、本発明においては5〜500である。このモル比の下限値は好ましくは7であり、より好ましくは9である。一方、このモル比の上限値は好ましくは400であり、より好ましくは350であり、さらに好ましくは300である。
成分(C−3)は、成分(C−3)と、成分(A)中のクロム原子(M)とのモル比〔(C−3)/M〕が、通常1〜10、好ましくは1〜5となるような量で用いられる。
成分(D)は、成分(A)中のクロム原子(M)のモル当たりに対する成分(D)の質量(g)の比(g/mol)が通常100〜10000、好ましくは1000〜5000となるような量で用いられる。
成分(C−1)を用いる場合、成分(E)は、モル比〔(E)/(C−1)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。成分(C−2)を用いる場合、成分(E)は、成分(E)と成分(C−2)中のアルミニウム原子とのモル比〔(E)/(C−2)〕が通常0.001〜2、好ましくは0.005〜1となるような量で用いられる。成分(C−3)に関して、成分(E)は、モル比〔(E)/(C−3)〕が通常0.01〜10、好ましくは0.1〜5となるような量で用いられる。
成分(A)と成分(CA)を接触させる工程での、成分(CA)の金属原子のモル数(CA−M)と、成分(A)中のクロム原子(M)とのモル比〔(CA−M)/M〕は、5〜500とされる。
多量化の反応温度は、通常−50〜200℃、好ましくは0〜170℃、より好ましくは40℃〜130℃、特に好ましくは50℃〜120℃である。また、最も好ましい下限値は60℃であり、最も好ましい上限値は100℃である。本発明の触媒は、反応温度が高い方がポリエチレンなどの高分子量の重合体の副生が抑制され、目的とするオレフィンの多量体(特にエチレンを反応させた場合は1−ヘキセンと1−オクテン)を効率的に生成する点で有利な傾向がある。しかも、1−オクテンの生成効率も高くなる傾向がある。例えば、エチレンから1−ヘキセンや1−オクテンを選択的に生成する反応は、メタラサイクル機構で進行することが知られている。そして、反応温度が高い方がより効果的である理由は、本発明の触媒が1−ヘキセンや1−オクテンを生成し易い構造を持つという理由に加えて、メタラサイクル機構を形成する為には高温の方が有利であり、しかも全体の反応活性が高まるのでポリエチレンの副生が抑制されるからと推測される。
反応圧力は、通常、常圧〜10MPa、好ましくは常圧〜6MPa、より好ましくは常圧〜5MPaである。また下限値は、好ましくは0.5MPa、より好ましくは0.9MPa、特に好ましくは1.5MPaである。最も好ましい上限値は、4MPaである。本発明の触媒は、反応圧力が高い方が1−オクテンの生成効率が高くなる傾向がある。1−オクテンは、メタラシクロペンタンへエチレンが2分子配位し、その後協奏的(または逐次的)にエチレンが挿入して生成するメタラシクロノナンを経由して得られると推定される。そして、反応圧力が高い方がより効果的である理由は必ずしも明らかではないが、本発明の触媒の構造は、高圧になるほどメタラシクロペンタンへのエチレン2分子配位が有利になる構造であるからと推測される。
多量化反応は、回分式、半連続式、連続式のいずれの方法においても行うことができる。
多量化反応は、帯電防止剤を添加して行ってもよい。帯電防止剤の具体例としては、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールジステアレート、エチレンジアミン−PEG−PPG−ブロックコポリマー、ステアリルジエタノールアミン、ラウリルジエタノールアミン、アルキルジエタノールアミド、ポリオキシアルキレン(例えばポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール・ポリエチレングリコールブロック共重合体(PEG−PPG−PEG))が挙げられる。中でも、ポリオキシアルキレン(例えばPEG−PPG−PEG)が好ましい。帯電防止剤は、成分(A)中のクロム原子(M)のモル当たりに対する質量(g)の比(g/mol)が通常100〜10000、好ましくは100〜1000となるような量で用いられる。
多量化反応は、水素を添加して行ってもよい。反応の水素の圧力は通常0.01MPa〜5MPa、好ましくは0.01MPa〜1MPaである。
本発明のオレフィン多量化触媒を用いると高活性で1−ヘキセンや1−オクテンを製造することが出来る。また、比較的、エチレン重合体の副生が少ない。また、副生するエチレン重合体は、示差走査熱量測定装置(DSC)で特定される融点が低い場合がある。これは、副生するエチレン重合体が「分岐構造を有する」ことや「分子量が比較的低い」ことを示唆すると考えられる。分岐構造や分子量が低いエチレン系重合体が、反応溶媒として用いられる不活性炭化水素媒体に溶解し易い傾向があることは周知である。このような傾向を示す理由は現時点で不明であるが、本発明者らは以下の様に推測している。通常、オレフィン多量化触媒はエチレンなどの炭素数の小さいオレフィンに対する反応性が、炭素数の多いオレフィンに対して高い為、エチレンの多量化反応によって、1−ヘキセン、1−オクテンなどを効率的に製造することが出来ることは周知である。本発明のオレフィン多量化触媒は前記の接触工程を含む方法とすることで、多量化反応によって生じる1−ヘキセンや1-オクテンを含む高級オレフィンの一部とも反応し、分岐型のエチレン重合体が副生している可能性が有る。あるいは、本発明の接触工程を行って得られる接触物を含むオレフィン多量化触媒は、エチレン重合体反応が併発する際に連鎖移動が起こり易く、分子量が高いエチレン重合体が出来難い可能性も考えられる。
特に、RとRが連結して環構造を形成するか、あるいはRとRが連結して環構造を形成するアミン化合物(B)、あるいは、RとRが連結して環構造を形成し、かつ、RとRが連結して環構造を形成するアミン化合物(B)を用いた本発明の態様では、上記の様な部分的な共重合や連鎖移動が起こり易い傾向があるのであろう。
また、上記の様な環状構造を有するアミン化合物(B)を含む態様は、その嵩高く安定した構造ゆえに、オクテンを生成し易い反応場の形成に寄与しているのかもしれない。
前記した通り、副生するエチレン重合体がオレフィン多量化反応器や熱交換器に付着するとこれらの装置の熱伝導性を低下させ、長期連続運転を行う場合に問題となることが有る。これを解決する方法として、反応装置や熱交換器周りの温度を高めて副生するエチレン重合体を溶解させる方法が知られている。一方で、オレフィン重合触媒を含むオレフィン多量化触媒は、反応温度が高過ぎると、活性が低下する場合がある。
本発明の方法であれば、上記の通り、副生するエチレン重合体は、反応溶媒に溶解し易い可能性が有るので、反応器や熱交換器への副生するエチレン重合体の付着を抑制し易いと考えることが出来る。これは、高級オレフィンを効率的、安定的に製造できる可能性を示唆するので、本発明は、オレフィン多量体の製造事業へ多くの貢献をすることになるであろう。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(ガスクロマトグラフィー)
反応生成物の収量(生成量)と、1−ヘキセンおよび1−オクテンの選択率は、ガスクロマトグラフィー(島津GC−14A、J&WScientificDB−5カラム)を用い、常法により分析した。
(DSC測定)
示差走査熱量測定(DSC測定)によるエチレン重合体の融点の測定は、以下の装置及び条件により行った。
測定装置:パーキンエルマー社製Diamond DSC型装置
パーキンエルマー社製アルミニウムパン使用。
サンプル使用量:約10mgを精秤して採取する。
昇降温方法:
第1段階:室温から500℃/分の速度で200℃まで昇温し、10分間保持。
第2段階:10℃/分の速度で―40℃まで降温し、1分間保持。
第3段階:10℃/分で150℃まで昇温して終了。
その他は常法にてDSCプロフィールを得て、融解熱量(ΔHm:第3段階での値)等を測定。
(1−ヘキセンまたは1−オクテンの選択率)
1−ヘキセンまたは1−オクテンの選択率は、以下の式に従い求めた。
S(%)=Wp/Wr×100
S(%):1−ヘキセンまたは1−オクテンの選択率(質量分率)
Wr(質量):反応により生成した炭素原子数が4以上からなる生成物の合計質量
Wp(質量):反応により生成した1−ヘキセンまたは1−オクテンの質量
[実施例1]
特許文献2の合成例5の方法で、下記のアミン化合物(B−1)を得た。
Figure 2021161123
(クロム化合物(混合物)の調製)
充分に乾燥した100mLのシュレンク管に、アミン化合物(B−1)0.58g(3.66mmol)、三塩化クロムトリステトラヒドロフラン(成分(A))1.31g(3.39mmol)、ジクロロメタン68mLを加え、アルゴン雰囲気下、室温(20〜25℃)で20時間撹拌した。反応液を減圧下約1/10まで濃縮した後、n−ヘキサンを15mL加えしばらく撹拌し、不溶分をガラスフィルターでろ取した。n−ヘキサン20mLで洗浄後、減圧乾燥することで遷移金属化合物としてのクロム化合物を0.93g得た。
(エチレンの多量化反応)
充分に窒素置換した内容積100mLのオートクレーブにメチルシクロヘキサン30mLを入れ、トリイソブチルアルミニウムをアルミニウム原子換算で0.03mmolの量で加えた。次いで、アルゴン雰囲気下で、充分に乾燥したシュレンク管に上記のクロム化合物と、所定の有機アルミニウム化合物(MAO:成分(C−2))とを所定量加えて接触させ、その接触させた液を、前記オートクレーブに全量加えた。さらに所定のボレート化合物(C−3−1:成分(C−3))をホウ素原子換算で0.004mmolとなる量で前記オートクレーブに加えた。前記の所定量は、表1に示したアルミニウム含有化合物の量、アルミニウム/クロム比、ボレート量の数値で特定される。
このオートクレーブにエチレンを供給して加圧し、60℃まで加温した。反応装置内の圧力は、0.8MPa−Gを維持する様にエチレンを供給しながら60℃で60分間保持した。その後、脱圧して未反応のエチレンを除去し、少量のイソプロパノールを添加して反応の停止とした。
その後、0.1規定塩酸水および純水で反応液を洗浄し、減圧下に液体窒素トラップを用いて低沸点成分(炭素原子数10以下の成分)を高沸点成分およびポリエチレンから分離し、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行った。結果を表1に示した。
[実施例2〜7、比較例1〜3]
表1のような各成分とその使用量を用いた以外は、実施例1の方法と同様にして、エチレンの多量化反応を行った。結果を表1に示した。
各実施例及び各比較例では、成分(A)と予め接触させる成分(C−1)または成分(C−2)として、以下のアルミニウム含有化合物を用いた。
・TEA:トリエチルアルミニウム(添加量:Al原子換算の量)
・MAO:ポリメチルアルミノキサン(東ソーファインケム社製:炭化水素溶液、添加量:Al原子換算の量)
各実施例及び各比較例では、成分(C−3)として以下のホウ酸塩化合物(ボレート化合物)(添加量:B原子換算の量)を用いた。
・C−3−1:トリフェニルカルベニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
・C−3−2:N,N−ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート
また、表1におけるオレフィンの生成量は、炭素原子数10以下の液状オレフィンの生成量を示す。
[実施例8〜11、比較例4、5]
前記特許文献2の実施例10に記載のアミン化合物と、同実施例2に記載のアミン化合物を、それぞれ下記のアミン化合物(B−2)、(B−3)として準備した。それらの化合物を用いて、表1に示す条件とした以外は、実施例1と同様にしてエチレンの多量化反応を行った。結果を表1に示した。
Figure 2021161123
Figure 2021161123
Figure 2021161123
表1に示された結果から、所定のモル比で成分(A)と成分(CA)を用い、かつ成分(C−3)を添加した実施例1〜7では、有機アルミニウムオキシ化合物を多量に用い、成分(C−3)を添加しない比較例1、2に比しても、更には、有機アルミニウム化合物を用い、成分(C−3)を添加しない比較例3に比しても、オレフィンの多量化反応に高い反応活性を示すことが分かる。また、副生するエチレン重合体は、比較的融点が低いので、溶媒に溶解させて除去し易く、反応器の内壁や熱交換器への当該重合体の付着による弊害を抑制できることが期待される。
また、実施例8〜11と比較例4、5との対比から、本発明の方法において、環状構造を有するアミン化合物を用いた態様は、オクテン選択性が高まる傾向を示した。オクテンを優先的に生産したい場合は、この様なアミン化合物を選択することが好ましいことが分かる。
本発明のオレフィン多量化用触媒によれば、特定のオレフィン多量体の選択性および/または生産効率と、除去し易い形でのエチレン重合体の副生とを両立させることが可能となる。したがって、本発明は工業的に極めて高い価値がある。

Claims (6)

  1. 下記成分(A)、(B)、(CA)及び(C−3)を含むオレフィン多量化用触媒の存在下で、オレフィンの多量化反応を行うオレフィン多量体の製造方法。
    (A)クロム化合物、
    (B)下記一般式(1)で表されるアミン化合物、
    Figure 2021161123
    (一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結していてもよい。
    Yは、置換基RおよびRを有する炭素原子(−CR−で表される構造)を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。RとRは互いに連結していてもよい。RとRの少なくとも一方はR〜Rの何れかと連結していてもよい。Zが2以上の整数である場合における複数のYは、それぞれ独立して上記と同様に定義される。
    Zは1〜10の整数を示す。)
    (CA)(C−1)有機金属化合物及び(C−2)有機アルミニウムオキシ化合物から選択される少なくとも1種、
    (C−3)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物、
    成分(A)と成分(CA)とを予め接触させる工程を有し、
    前記工程で成分(CA)に含まれる金属原子のモル数(CA−M)と、成分(A)に含まれるクロムのモル数(M)とのモル比[(CA−M)/(M)]が、5〜500である。
  2. はRおよびRとは連結しておらず、RはRおよびRとは連結していない、請求項1に記載のオレフィン多量体の製造方法。
  3. Zが1〜3の整数である、請求項1または2に記載のオレフィン多量体の製造方法。
  4. Zが1である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のオレフィン多量体の製造方法。
  5. オレフィンがエチレンである、請求項1〜4のいずれか一項に記載のオレフィン多量体の製造方法。
  6. 下記成分(A)、(B)、(CA)及び(C−3)を含むオレフィン多量化用触媒。
    (A)クロム化合物、
    (B)下記一般式(1)で表されるアミン化合物、
    Figure 2021161123
    (一般式(1)中、R〜Rは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示し、これらのうち2個以上が互いに連結していてもよい。
    Yは、置換基RおよびRを有する炭素原子(−CR−で表される構造)を示す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素基、ヘテロ環式化合物残基、酸素含有基、窒素含有基、ホウ素含有基、アルミニウム含有基、イオウ含有基、リン含有基、ケイ素含有基、ゲルマニウム含有基、またはスズ含有基を示す。RとRは互いに連結していてもよい。RとRの少なくとも一方はR〜Rの何れかと連結していてもよい。Zが2以上の整数である場合における複数のYは、それぞれ独立して上記と同様に定義される。
    Zは1〜10の整数を示す。)
    (CA)(C−1)有機金属化合物及び(C−2)有機アルミニウムオキシ化合物から選択される少なくとも1種、
    (C−3)遷移金属化合物と反応してイオン対を形成する化合物、
    成分(A)と成分(CA)との接触物を含み、
    前記接触物の成分(CA)に含まれる金属原子のモル数(CA−M)と、成分(A)に含まれるクロム原子のモル数(M)とのモル比[(CA−M)/(M)]が、5〜500である。
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