JP2021161005A - 粒子材料、その製造方法、フィラー材料及び熱伝導物質 - Google Patents

粒子材料、その製造方法、フィラー材料及び熱伝導物質 Download PDF

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Abstract

【課題】MgOを主成分とし熱伝導物質に用いるフィラー材料に好適である稠密な粒子材料、その粒子材料を含むフィラー材料、そのフィラー材料を含む熱伝導物質を提供することを解決すべき課題とする。【解決手段】MgOを含む一次粒子をハロゲン化物と共に得られる造粒物を加熱するとMgOからなる稠密な粒子材料が得られることを見出し本発明を完成した。本発明の粒子材料の製造方法は、マグネシアを主成分とする粒子材料の製造方法であって、Mg(OH)2を主成分とする二次粒子である原料粒子材料をハロゲン化物からなる添加材の存在下で加熱溶融させてMgOに変換する加熱溶融工程を有する。添加材は二次粒子の一部を構成していても良いし、二次粒子に付着乃至含浸されていても良い。【選択図】なし

Description

本発明は、MgOを含有する粒子材料、フィラー材料及び熱伝導物質に関する。
現在、電子機器の小型化、高密度化、高出力化が進んでいる。そのような電子機器は熱の放出量が多くなり、電子機器の性能維持乃至性能向上のためには適切な熱対策を行って適正に冷却を行う必要がある。特に電子機器からの主な熱の発生源である半導体は樹脂中にフィラーを分散させた封止材により封止されており、特にフィラーの熱伝導性を向上することが求められている。
従来、熱伝導性に優れたフィラーとしてはアルミナが採用されているが、更に熱伝導性に優れたフィラーの探索が進められており、MgOからなるフィラーも提案されている(特許文献1など)。MgOは、アルミナに比べて2〜3倍程度の熱伝導性を有しており高い放熱性を発揮できることが期待できる上に、硬度がアルミナの2分の1程度であって加工時の設備摩耗性が低いという利点を有する。
フィラー材料として用いる場合には球形度が高い方が流動性に優れているため好ましい。球形度が高い粒子材料を製造する方法の1つとしていわゆる溶融法がある。溶融法は粒子材料を構成する材料を粉末化した後に浮遊させた状態で高温で溶融させた後に急冷することで粒子材料を製造する方法である。浮遊状態で溶融することにより表面張力によって球状化し、その状態で急冷することで球状の粒子材料が得られる方法である。しかしながらMgOは融点が2800℃程度と高く、そのような高い温度での溶融には困難が多い。
MgOからなる粒子材料を溶融法に類する方法により製造する方法としては、MgO又はMg(OH)からなる小さな粒径をもつ粒子材料を含むスラリーをスプレー造粒した後に1800℃〜2000℃程度に加熱して溶融一体化する粒子材料の製造方法がある(特許文献2)。
特開2018-178010号公報(請求項4) 特開平01-108115号公報
しかしながら特許文献2の方法により製造した粒子材料は、火炎の温度が低く完全に溶融せず、スプレー造粒時にできた空隙がそのまま残っているために稠密でない。空隙が多いと熱伝導パスが空隙によって分断されて熱伝導性が充分でない上に樹脂中に分散させるときに空隙内に樹脂が侵入して分散液の粘度が上昇するという問題点があった。
以上の観点から本発明は、MgOを主成分とし熱伝導物質に用いるフィラー材料に好適である稠密な粒子材料、その粒子材料を含むフィラー材料、そのフィラー材料を含む熱伝導物質を提供することを解決すべき課題とする。
上記課題を解決する目的で本発明者らは鋭意検討を行った結果、MgOを含む一次粒子をハロゲン化物と共に得られる造粒物を加熱するとMgO本来の融点が下がることにより、MgOを主成分とする稠密な粒子材料が得られることを見出し本発明を完成した。
すなわち、上記課題を解決する本発明の粒子材料の製造方法は、マグネシアを主成分とする粒子材料の製造方法であって、Mg(OH)を主成分とする二次粒子である原料粒子材料をハロゲン化物からなる添加材の存在下で加熱溶融させてMgOに変換する加熱溶融工程を有する。添加材は二次粒子の一部を構成していても良いし、二次粒子に付着乃至含浸されていても良い。
例えば、前記原料粒子材料は、Mg(OH)からなる一次粒子及び前記添加材からなる一次粒子から構成される二次粒子を採用することができる。このような原料粒子材料は、Mg(OH)及び/又はMgOからなる粒子材料とハロゲン化物からなる粒子材料とを水に溶解乃至は分散させたスラリーを噴霧乾燥により粒子化する噴霧乾燥工程により製造することができる。
前記ハロゲン化物はMgFを採用することができる。そして前記加熱溶融工程により生成する粒子の球形度が0.9以上であることができる。
上記課題を解決する本発明の粒子材料は、MgOを主成分とし、MgF換算で全体の質量を基準として10%以下のFを含有する。特に球形度が0.9以上であることが好ましい。
上記課題を解決するフィラー材料は、上述の粒子材料を有する。上述の粒子材料以外の粒子材料を含有することもできる。
上記課題を解決する本発明の熱伝導物質は、上述のフィラー材料とそのフィラー材料を分散する媒体とを有する。
本発明の粒子材料の製造方法は、従来の粒子材料より稠密な粒子材料を容易に製造することができる。稠密な粒子材料は熱伝導性に優れるため、熱伝導物質に採用した際に高い性能を発揮することができる。
実施例における各試験試料のSEM写真(外観、表面拡大)である。 実施例における各試験試料のSEM写真(外観、表面拡大)である。
本発明の粒子材料及びその製造方法、並びにフィラー材料について実施形態に基づき以下詳細に説明を行う。本実施形態の粒子材料は、高い熱伝導性をもつことから何らかのフィラー材料(本実施形態のフィラー材料)として媒体中に分散させて本実施形態の熱伝導物質(TIM)として利用することができる。媒体としては液状、固体状の何れでも良く、オイル、樹脂材料、樹脂材料の前駆体(モノマーなど)が例示できる。樹脂材料としてはエポキシ樹脂、シリコーン樹脂などが例示できる。なお、フィラー材料は本実施形態の粒子材料単独で構成することができるのはもちろん、他の材料から構成される第2粒子材料を混合しても良い。第2粒子材料としてはアルミニウム、ケイ素、銀、金などの金属材料、アルミナ、シリカなどの金属酸化物などの無機材料から構成することができる。
本実施形態のTIMは、電子機器から放熱をするために好適に用いることができる。例えば、半導体の封止材などに好適に用いることができる。
(粒子材料)
本実施形態の粒子材料は、MgOを主成分とし、全体の質量を基準としてMgFに換算して10%以下のFを含有し、好ましくはMgF換算で1%〜2%のFを含有する。Fはどのような形態で含有していても良いがMgFなどの金属フッ化物として含有することができる。ここで本明細書において、ある成分を「主成分とする」とは対象物(「MgOを主成分とする」という場合には「粒子材料」)全体の質量を基準として、ある成分を含有する割合が50%以上であることを意味し、下限値としては60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、99%以上とすることができる。
MgOの含有量の下限値は高い方が熱伝導性の高いMgOの効果をより発揮することが可能になるため好ましい。MgO以外に含有できるものとしては無機物からなる粒子材料(第2材料)が挙げられる。第2材料としては、アルミナ、シリカ、金属(アルミニウム、銅など)が挙げられる。第2材料は粒子材料内に粒状で分散されていたり、粒子材料内に一様に含有していたりできる。
本実施形態の粒子材料は球形度が高い方が好ましく、その下限値は0.8、0.9、0.95、0.99とすることができる。球形度はSEMで写真を撮り、その観察される粒子の面積と周囲長から、(球形度)={4π×(面積)÷(周囲長)}で算出される値として算出する。1に近づくほど真球に近い。具体的には画像処理装置(スペクトリス株式会社:FPIA−3000)を用いて100個の粒子について測定した平均値を採用する。
更に稠密性が高いことが好ましい。稠密性が高いかどうかは結晶子サイズ、圧壊強度、熱伝導性のうちの1つ以上により評価できる。結晶子サイズ、圧壊強度、及び熱伝導性は高い方が稠密である。
結晶子サイズの下限値としては、900Å、950Å、1000Å、1100Å、1200Åであることが好ましい。結晶子サイズが大きい方が熱の伝達パスが途切れずに高い熱伝導性を発揮することができる。結晶子サイズの測定はXRD測定により行い、(1,1,1)面、(2,0,0)面、(2,2,0)面、(3,3,1)面、(2,2,2)面にて行い、これらの面のうちの少なくとも1以上が上述の下限値以上の結晶子サイズを有するかどうかで判断する。
圧壊強度の下限値としては、30MPa、50MPa、60MPa、80MPa、90MPa、100MPaが例示できる。圧壊強度が高いと粒子材料内における結合が強固になり熱伝導性に優れることになる。圧壊強度の測定は、たとえば株式会社ナノシーズ社製「微小粒子圧壊力測定装置NS−Aシリーズ」を用いて行うことができる。
熱伝導性は、熱伝導率の値を測定することで評価し、その下限値としては、4.5W/m・K以上であることが好ましく、5.0W/m・K以上であることが更に好ましい。高い熱伝導性を示すということは熱伝導性が低い空隙の存在割合が小さく稠密性が高いことに関連する。熱伝導性の測定は粒子材料を30体積%、アルミナ粒子を70体積%の割合で混合した混合物をエポキシ樹脂中に75体積%で分散させて硬化させた硬化物について測定した値である。アルミナ粒子は特に限定しないが、本実施形態の粒子材料の粒径が50〜90μm程度である場合、粒径45μmのアルミナが30体積%、粒径10μmのアルミナが30体積%、粒径0.2〜0.3μmのアルミナが10体積%で残部の30体積%の本実施形態の粒子材料を混合した混合物をエポキシ樹脂中に分散させて硬化した硬化物について熱伝導率を測定する。エポキシ樹脂は、ビスフェノールA:ビスフェノールF(=50:50)をアミン系硬化剤を用いて硬化したものである。
本実施形態の粒子材料の粒径は特に限定しないが、体積平均粒径の下限値が10μm、20μm、40μm程度であることが好ましく、上限値が60μm、80μm、100μm程度であることが好ましい。これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。更に、粒径の異なる2種以上を混合したものであっても良い。粒径が大きい粒子間で形成された隙間に粒径が小さい粒子が挿入されることで全体としての充填率が向上する。
本実施形態の粒子材料は表面処理を行うことができる。表面処理は特に限定しないが、何らかの化合物により被覆したり、反応させたりすることができる。有機官能基をもつシラン化合物などを表面処理剤として用いて表面処理を行うことができる。表面処理剤がもつ有機官能基としては特に限定しないが、熱伝導物質に用いる場合には後述する媒体との親和性が向上できる官能基が採用できる。例えば媒体としてシリコーンを採用する場合にはシリコーンと親和性が高い官能基(例えばシリコーン)や、反応性をもつ官能基(ビニル基、エポキシ基など)を採用することができる。
例えば、本実施形態の粒子材料は、シランカップリング剤、シラン化合物、オルガノシラザン類などの表面処理剤を反応させて形成される表面処理層を有することができる。シラン化合物としては、アルキル基、フェニル基、アミノ基、フェニルアミノ基、エポキシ基、アクリル基、メタクリル基、ビニル基、イソシアネート基、スチリル基などの有機官能基がSi原子と直接接続されるか又はスペーサを介して接続され、SiH構造を有する化合物や、ヘキサメチルジシラザンなどが例示される。粒子材料の表面に形成される表面処理層の厚みは特に限定されず、例えば、粒子材料の表面に存在するOH基などの反応性基と全て結合出来る程度の量を100%とした場合に、30%、50%、75%、100%、150%、200%程度の量を例示することができる。
(粒子材料の製造方法)
本実施形態の粒子材料の製造方法は、上述した本実施形態の粒子材料に加えその他のマグネシア(MgO)を主成分とする粒子材料を製造できる方法である。上述の実施形態以外の粒子材料を製造する場合であっても、粒度分布、球形度などの組成以外の形態については上述した本実施形態の粒子材料と同様のものにすることが好ましい。本実施形態の粒子材料の製造方法は、Mg(OH)を主成分とする原料粒子材料を加熱溶融させて脱水化することによりMgOに変換する加熱溶融工程をもつ。
加熱溶融工程は、原料粒子材料をハロゲン化物からなる添加材の存在下で加熱溶融する工程である。ハロゲン化物とMgOとは共融混合物(添加材がフッ化マグネシウムの場合には共融点1210℃)を形成するため、原料粒子材料を構成する一次粒子が脱水化し粒子材料に変換されたあと一次粒子の間で溶融し易くなるため、球状化、緻密化が実現し易くなる。添加材の混合量としては、原料粒子材料間の融着が過度に生じない程度の量を採用することが望ましく、粒子材料の質量を基準として下限値が0.5%、1%、2%程度であることが好ましく、上限値が5%、10%、15%程度であることが好ましい。これらの上限値と下限値とは任意に組み合わせることができる。
加熱溶融工程では原料粒子材料間の融着が生じない程度の加熱条件(温度、時間)を採用することが望ましいが、融着したとしても解砕することにより粒子材料にできる程度の融着であれば採用可能である。例えば、加熱溶融工程における加熱温度は、添加材の種類により適正な温度範囲が変化することもあるが、概ね1250℃以上(好ましくは1300℃以上、更に好ましくは1400℃以上)にすることで原料粒子材料を構成する一次粒子の間の隙間を減らして融着することができる。加熱温度の上限としては原料粒子材料から粒子材料に変換されるときに形態を保つことができない程度にまで溶融する温度である。例えば1600℃での加熱よりも1300℃での加熱の方が製造された粒子材料の融着の抑制が容易である。
加熱時間は長いほど原料粒子材料から粒子材料への変換を確実に進行させることができる。例えば加熱時間としては10分間以上、30分間以上、1時間以上、3時間以上などの時間を選択することにより粒子材料への変換をより確実に行うことができる。また、上限としては24時間、12時間が例示でき、これらの上限以下にすることで加熱溶融工程における粒子材料への変換は十分に進行させることができた上で加熱に必要なエネルギーを減らすことができる。
添加材としてはフッ化物、塩化物、臭化物などが挙げられるが、フッ化物を採用することが好ましい。フッ化物としてはフッ化マグネシウム(MgF)を採用することが好ましい。添加材は、原料粒子材料と同程度の粒径(原料粒子材料の粒径の10分の1程度から10倍程度。1倍以下が好ましい)をもつ粒子状、水溶液などの溶液状などの形態で添加することができる。原料粒子材料を造粒により製造する際に添加材を加えることで造粒した二次粒子(原料粒子材料)に添加材を含有させることができる。なお、添加物を構成するハロゲン化物として、フッ化物を採用することが効果(稠密化)の点で最も好ましいが、その他のハロゲンでも十分に効果が認められている。例えば、詳細は示さないが、フッ化物は1200℃前後の共融点をもつ共融混合物を形成するのに対し、塩化物は1300℃〜1600℃程度の共融点を示し、少し高い温度での加熱が必要にはなるが、塩化物を添加しない場合と比べて低い温度での溶融が実現できている。
原料粒子材料はMg(OH)及びMgOの少なくとも一方を主成分とする一次粒子を造粒した二次粒子である。Mg(OH)とMgOとを共に有する場合には、別の一次粒子として含有することもできるし、両者を共に含む一次粒子を構成することもできる。添加材は原料粒子材料内に一次粒子として二次粒子を構成しても良いし、原料粒子材料とは別の粒子として混合した状態としても良い。一次粒子の粒径は特に限定しないが下限値として0.01μm、0.1μm、1μm程度を採用し、上限として5μm、7μm、10μm程度を採用することができる。これらの上限値及び下限値は任意に組み合わせることができる。
原料粒子材料の製造方法は特に限定しないが、原料粒子材料を構成する材料からなる一次粒子を造粒して二次粒子にすることで製造できる。造粒方法は特に限定しないが、球形度が高い二次粒子を形成することが容易なスプレー造粒が好ましい。
スプレー造粒は、原料粒子材料を添加材の存在下で調製したスラリーを回転ディスク式や、噴水加圧ノズル式等による噴霧乾燥により粒子化する噴霧乾燥工程により行うことができる。
スプレー造粒におけるスラリーを調整するときに用いる分散媒としては特に限定しないが水、アルコール、アセトンなどが挙げられる。造粒に際してスラリーにバインダや界面活性剤などのスラリー添加材を含有させることが好ましい。用いることができるバインダは特に限定しない。例えばポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロースなどの高分子材料からなるバインダが例示できる。バインダは、加熱溶融工程により除去可能なもの、例えば有機材料からなるものが好ましい。また、製造される粒子材料内に残存しても問題が無いものであれば良い。問題としては、熱伝導物質に採用する媒体や粒子材料と反応したりして粒子材料の性能を損なうものや、水などに溶解して電気伝導度が上昇したりすることである。
(フィラー材料及びTIM)
本実施形態のTIMは、上述の粒子材料からなるフィラー材料と、そのフィラー材料を分散する媒体とを有する。本実施形態のフィラー材料は、本実施形態の粒子材料を含む。フィラー材料は、TIM、半導体の封止材、アンダーフィル材などに用いることができる。
フィラー材料は、粒子材料のままの状態、樹脂材料中に分散した樹脂組成物の状態、溶媒などに分散したスラリー組成物の状態などの形態を採ることができる。フィラー材料には、本実施形態の粒子材料の他の粒子を含有させることができる。例えばアルミナやシリカの粒子である。他の粒子の含有量は、フィラー材料全体の質量を基準として、10%〜90%程度の含有量とすることができる。含有量としては20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%などを挙げることができ、これらの含有量を下限値又は上限値として任意の範囲を設定することができる。
媒体は、特に限定しない。例えばシリコーン(固体状、液状を問わない)、エポキシ樹脂などの樹脂材料やその前駆体が選択できる。TIM中に含まれるフィラー材料の量としては多い方が熱伝導性能が高くできる。例えば全体の体積を基準として下限値を50%、60%、70%、80%として設定できる。上限値はTIMの成型性を確保できる程度とする。
本発明の粒子材料及びその製造方法、フィラー材料、TIMについて実施例に基づいて説明を行う。
(試験1:市販品との比較)
・原料粒子材料の調製
水酸化マグネシウム(神島化学製、X−6、体積平均粒径3μm)900g、MgF(関東化学製、体積平均粒径0.05μm)100g、バインダー水溶液(8%ポリビニルアルコール水溶液、菊水化学工業製、NS480)125g、界面活性剤(ポリマロン1803S、荒川化学工業製)34g、イオン交換水700gを混合し精密乳化分散機を用いてスラリーを調製した。
調製したスラリーを、スラリー噴霧形式が回転ディスク式または噴水加圧ノズル式いずれかを選択できるスプレー造粒機(大川原化工機製、OUDT−25)により造粒して原料粒子材料を調製した(噴霧乾燥工程)。スプレー造粒の条件は、送液量7kg/時間、スラリー噴霧形式について回転ディスク式を選択してディスク回転数12000rpm、乾燥入口温度150℃、乾燥出口温度95℃であった。
得られた原料粒子材料450gを150mm角のサヤに450g投入して1300℃で4時間加熱を行った(加熱溶融工程)。その後、解砕機で解砕して得られた粒子材料を試験試料1−1とした。
試験試料及び市販の酸化マグネシウム粒子についてそれぞれ性状を調べた。市販の酸化マグネシウムは、市販品1(堺化学製、SMO−50)、市販品2(タテホ化学製)の2種類とした。結果を表1に示す。EC、pHおよび、各種イオンは以下のように測定する。金属酸化物粒子をイオン交換水(導電率0.1μS/cm以下)に懸濁させて10%スラリーとした状態で耐圧容器中に投入して、室温で30分間震とうする。その後、遠心沈降させた上澄みを抽出液として、株式会社堀場製作所製電気伝導率pHメータF54で電気伝導率及びpHを測定し、Thermo Fisher Scientific社製イオンクロマトグラフィーで各種イオン濃度の測定を行った。
Figure 2021161005
表1より明らかなように、試験試料1−1は市販品1及び2に比べてECが小さかった。市販品1はSO 2−、PO 3−、Liの各イオンを、市販品2はCa2+を多く含んでいた。また、試験試料1−1は、フッ化マグネシウムを含有するが、真比重は酸化マグネシウムの文献値通りでありフッ化マグネシウムの添加の影響が小さいことが分かった。
更に、試験試料1−1、市販品1及び2について外観、表面及び断面をSEMにて観察した結果、試験試料1−1については、図1のように市販品と比べて大きな結晶が形成されていることが分かった。また、試験試料1−1は市販品と比べて断面の観察において空隙の量が少ないことが分かった。
(試験2:原料粒子材料の製造条件の検討)
表2及び表3に示す質量比で調製したスラリーを用いたこと、及び、スプレー造粒の条件と、加熱溶融工程の加熱温度を変更した以外、試験1−1と同様の方法で試験試料1−2〜7を製造した。更に溶融法にて製造したアルミナからなる市販品の粒子材料(株式会社アドマテックス社製溶融球状アルミナ)を試験試料8、表1で示した市販品1及び2を試験試料9及び10とした。
これらの試験試料のうち試験試料1−3、2−3、3、4−2、5−3、6−3、7についてSEM写真(外観、表面の拡大写真:図2)、各試験試料についてTIMの熱伝導率、体積平均粒径、球形度、解砕容易性を測定した。TIMの熱伝導率は、フィラー材料全体の質量を基準として試験試料を30%およびアルミナを70%含むフィラー材料と、TIM全体の質量を基準として20%のシリコーンとを混錬して、直径20mm、高さ10mmの円筒形状に成型したものについて、京都電子工業社製TPS2500Sを用いて測定した。球形度は実施形態の方法にて測定した。解砕容易性は溶融加熱後の試料が塊状にならず粉末状を保っている、もしくは塊状になっていたとしても解砕機等の機械によらないで手で触れれば粉末状になるものを〇、そうではない強固な塊状になるものを×として評価した。なお、〇と×との間は相対的に〇の方が解砕容易性が高いことを示すものであり、×になっているものが全く利用できないということを示すものでは無い。
Figure 2021161005
Figure 2021161005
表2、表3、図2より明らかなように、水酸化マグネシウムを造粒して加熱溶融して製造した試験試料1−1〜3、2−1〜3、3、4−1〜3、5−1〜3,6−1〜3においてはフッ化マグネシウムの量が多い方がTIMの熱伝導率が高い傾向にあった。そして、フッ化マグネシウムを水酸化マグネシウム及びフッ化マグネシウムの総質量を基準として1%以上添加した試験試料1−1〜3、2、3−1〜3、及び4−1〜3が、5.1〜5.8W/mKと、市販品1、2およびアルミナよりも高い値を示した。ただし、フッ化マグネシウムの量が1%より少ない、例えば0.1%添加した試験試料6−1〜3は、4.5〜4.9W/mkであり、まったく添加していない試験試料7よりは高いとはいえ、アルミナ等と同程度になることが分かった。また、試験試料1−1〜3や試験試料4−1〜3のように、加熱溶融工程での加熱時が長いほうが概ね熱伝導率が高い傾向にあることも分かった。
そして、フッ化マグネシウムの添加量が2%を超えると解砕容易性が×になることが分かった。更に、解砕容易性の有無が球形度の高さに関与することが分かった。すなわち、フッ化マグネシウムの添加量が少ない方が解砕性が良く、球形度も高いことが分かった。
また、フッ化マグネシウムを1%以上添加した粒子材料は、加熱溶融工程後に表面が溶解し緻密な表面になっていることが分かった。一方、水酸化マグネシウム100%の試験試料7は、加熱溶融工程前後での一次粒子の間の隙間の残存が多く、緻密な構造となっていないことが分かった。このように、フッ化マグネシウムを添加していない試験試料7については、多くの内部空隙を有するため、熱伝導率が3.4W/mKと低い値に留まったものと考えられる。なお、緻密な構造となっていなことは比表面積の値が試験試料7についてのみ高いことからも裏付けられる。
また、TIMの熱伝導率がフッ化マグネシウムの添加量を少なくするに従って低くなることは粒子材料の表面の観察結果からも裏付けられる。すなわち、表面のSEM写真では、フッ化マグネシウムの添加量が少なくなる程空隙が多くなっていることが分かった。逆に1%以上添加することにより十分に空隙の量が少なく熱伝導性に優れた粒子材料を提供できることが分かった。
更に試験試料1−3、2−3、3、4−2、7についてXRD測定、圧壊強度測定を行った。
XRDの測定結果から算出した各試験試料の結晶子サイズ及び圧壊強度の結果を表4に示す。
Figure 2021161005
表4から明らかなように、フッ化マグネシウムを添加している試験試料1−3、2−3、3、4−2は、フッ化マグネシウムを添加していない試験試料7と比べて結晶子サイズが大きくなっていることが明らかになり、原料粒子材料を構成する一次粒子の結晶子サイズが成長したことが明らかになった。また、試験試料1−3、2−3、3、4−2の結果からフッ化マグネシウムの添加により圧壊強度が向上することが分かった。結晶子サイズの成長と同様に、フッ化マグネシウムを添加することで原料粒子材料を構成する一次粒子が溶解、融着することで強固な結合が生じたことが推察される。
結晶子サイズや圧壊強度が大きいほど熱伝導率も大きくなった。結晶子のサイズや圧壊強度は、フッ化マグネシウムの添加量との間に明確な相関は認められなかった。

Claims (10)

  1. Mg(OH)を主成分とする二次粒子である原料粒子材料をハロゲン化物からなる添加材の存在下で加熱溶融させてMgOに変換する加熱溶融工程を有するマグネシアを主成分とする粒子材料の製造方法。
  2. 前記原料粒子材料は、Mg(OH)からなる一次粒子及び前記添加材からなる一次粒子から構成される二次粒子である請求項1に記載の粒子材料の製造方法。
  3. 前記原料粒子材料は、Mg(OH)及び/又はMgOからなる粒子材料とハロゲン化物からなる粒子材料とを水に溶解乃至は分散させたスラリーを噴霧乾燥により粒子化する噴霧乾燥工程により製造される請求項2に記載の粒子材料の製造方法。
  4. 前記ハロゲン化物はMgFである請求項1〜3の何れか1項に記載の粒子材料の製造方法。
  5. 前記加熱溶融工程により生成する粒子の球形度が0.9以上である請求項1〜4の何れか1項に記載の粒子材料の製造方法。
  6. MgOを主成分とし、MgF換算で全体の質量を基準として10%以下のFを含有する粒子材料。
  7. MgOを主成分とし、MgF換算で全体の質量を基準として1〜2%のFを含有する粒子材料。
  8. 球形度が0.9以上である請求項6又は7に記載の粒子材料。
  9. 請求項6〜8のうちの何れか1項に記載の粒子材料からなるフィラー材料。
  10. 請求項9に記載のフィラー材料と、前記フィラー材料を分散する媒体とを有する熱伝導物質。
JP2020066315A 2020-04-01 2020-04-01 粒子材料、その製造方法、フィラー材料及び熱伝導物質 Pending JP2021161005A (ja)

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