JP2021155887A - 液晶ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】長尺でかつその全長にわたって強度バラつきの小さい液晶ポリエステル繊維を提供する。【解決手段】前記液晶ポリエステル繊維は、重量が10kg以上の連続繊維であり、当該連続繊維の全長を長手方向に50等分し、それら50点の強度測定データから得られる平均値(A1)が18cN/dtex以上であり、当該強度測定データから得られる平均値(A1)および標準偏差(σ1)により下記式に従って算出される強度バラつきが8.0%以下である。強度バラつき=(σ1/A1)×100【選択図】なし

Description

本発明は、連続した液晶ポリエステル繊維およびその製造方法に関する。
従来、液晶ポリエステル樹脂を溶融紡糸し、得られた紡糸原糸を熱処理することにより、18cN/dtex以上の高強度を有する優れた繊維が得られることが知られている。例えば、特許文献1(特公昭55−20008号公報)には、異方性溶融物を形成しうる合成線状重合体から形成した溶融成形物品を熱処理してその強力を少なくとも50%改良することを特徴とする該成形物品の強力の改良法が開示されている。
特許文献2(特開平1−92408号公報)には、異方性溶融物を形成し得る芳香族ポリエステルを、該ポリマーの流れ温度より10℃以上高い温度で、かつ剪断速度が10sec−1以上となるようにノズルから紡糸し、該紡糸した繊維を、該繊維の流れ温度以下の温度で、該繊維の強力が50%以上増大しない時間不活性雰囲気下で熱処理し、その後活性雰囲気下で更にその強力を50%以上増大させる時間熱処理することを特徴とする芳香族ポリエステル繊維の製造方法が開示されている。
特許文献3(特開2013−133575号公報)には、単繊維間融着度(F)が1≦F≦5であることを特徴とする分繊用液晶ポリエステルマルチフィラメントが開示されている。この発明では、生産性を向上できる点から、溶融紡糸で得られた繊維を、パッケージ状で熱処理(固相重合)を行うことが好ましいと記載されている。
このような高強度の液晶ポリエステル繊維は、その高い強度や、アラミド繊維等の他種の高強度繊維と比べて低い吸水性を生かして、ロープやコード、スリングなどの一般産業資材や、海底電信ケーブル、光ケーブルのテンションメンバー等に幅広く用いられている。
こういった用途の中には、総距離の長いものが多く存在する。例えば、海洋ロープや海底ケーブル等に用いる場合、深海の世界最深地点は水深約11000mであるし、情報通信用海底ケーブルの敷設距離はドーバー海峡が30km以上、大西洋や太平洋では数千kmにも及び、ケーブル内に使用されるテンションメンバーがらせん状に加工されていることがあることや、使用時のたわみ、海底の起伏などを考慮すると、これらの直線距離よりさらに長い総延長を有する原料繊維資材が必要となる。これらの海洋ロープや海底ケーブルは、短い繊維資材の継ぎ足しや中継点を設けることで運用しているのが現状である。
特公昭55−20008号公報 特開平1−92408号公報 特開2013−133575号公報
しかしながら、このような長尺用途において、目的の長さになるまで繊維資材同士を繋ぎ合わせる場合、結び目や接着点、ジョイント部品などの端点同士を繋ぐ構造が必要になり、当該箇所だけ重量やサイズが大きくなったり、引張破断しやすくなったりして好ましくない。また、原料繊維資材よりも短い製品用途であっても、連続的に製品を製造する工程においては長尺が有利であり、短尺繊維では、繊維端が現れる度に製造装置を止めたり減速したりして原料繊維資材を次ロットに切り替える作業が高頻度で生じることになり、製造コストが高くなったり、生産効率が低下したりする。
そこで、長尺の用途では、総延長に相当する距離の原料繊維資材を連続して供給できれば、そういった非連続構造を中継することが不要になり、目的物の製造や原料繊維資材の運用が飛躍的に効率化すると考えられる。また、原料繊維資材よりも短い製品用途であったとしても、より長尺の繊維資材を用いることができれば、連続的に製品を製造する工程において、繊維資材のロットを切り替える作業回数を低減させることができるため、製造コストの低減や生産効率の向上につながる。
しかしながら、従来の液晶ポリエステル繊維の製造方法では、繊維量が多い場合に、繊維長手方向全長にわたってより均一な物性を有する連続した長繊維を製造するのは困難であった。すなわち、液晶ポリエステル繊維は、液晶ポリエステル樹脂を原料として、まず低強度(例えば、10cN/dtex以下)の原糸として溶融紡糸され、次いで熱処理される(これを固相重合と呼ぶ)ことで高強度(例えば、18cN/dtex以上)を発揮するようになるが、固相重合では、穴空きボビン上に所定の巻密度で紡糸原糸を巻き付けた繊維パッケージを熱処理炉で熱処理するバッチ方式が一般に用いられている。長尺物は一般的に重量が大きくなるため、固相重合をバッチ方式で行う場合、ボビンに巻き付ける繊維の重量が大きくなると、ボビンの厚み方向あるいは高さ方向のパッケージのサイズが大きくなってしまい、熱や気流の内外層ムラや高さ方向ムラが生じてしまう。その結果、力学物性の向上度合いにもバラつきが生じてしまい、力学物性のバラつきの無い熱処理糸を得ることが困難になってしまう。
特許文献1〜3では、ボビンに巻き付けた状態でバッチ方式により固相重合を行っており、固相重合に供している繊維パッケージの繊維重量は、特許文献2では6kgであり、特許文献3では1.0kgから6.0kgの範囲であり、いずれの文献でも10kg以上の高重量の繊維に固相重合が行われていない。そのため、長尺でかつその全長にわたって強度バラつきの小さい液晶ポリエステル繊維は未だに得られていないのが現状である。
したがって、本発明の目的は、長尺でかつその全長にわたって強度バラつきの小さい液晶ポリエステル繊維およびその製造方法を提供することである。
本発明の発明者らは、前記目的を達成するために鋭意検討した結果、液晶ポリエステル繊維の紡糸原糸を、特定の伸長倍率で搬送して連続熱処理を行い、固相重合させることによって、繊維長手方向により均一な環境で熱処理をすることができるため、高重量の繊維であっても繊維全長にわたって強度バラつきを抑制することができることを見出し、本発明の完成に至った。
すなわち、本発明は、以下の態様で構成されうる。
〔態様1〕
重量が10kg以上の連続繊維であり、当該連続繊維の全長を長手方向に50等分し、それら50点の強度測定データから得られる平均値(A)が18cN/dtex以上(好ましくは20cN/dtex以上、より好ましくは23cN/dtex以上)であり、当該強度測定データから得られる平均値(A)および標準偏差(σ)により下記式に従って算出される強度バラつきが8.0%以下(好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%以下)である、液晶ポリエステル繊維。
強度バラつき=(σ/A)×100
〔態様2〕
態様1に記載の液晶ポリエステル繊維であって、総繊度が220dtex以上(好ましくは500〜50000dtex、より好ましくは1000〜30000dtex)である、液晶ポリエステル繊維。
〔態様3〕
態様1または2に記載の液晶ポリエステル繊維を少なくとも一部に用いた高次加工製品。
〔態様4〕
態様1または2に記載の液晶ポリエステル繊維を製造する方法であって、
液晶ポリエステル繊維の紡糸原糸を熱処理する工程を少なくとも含み、前記熱処理工程において、前記紡糸原糸を伸長倍率1.000〜1.200倍(好ましくは1.001〜1.150倍であってもよく、より好ましくは1.002〜1.100倍、さらに好ましくは1.003〜1.050倍)で搬送して熱処理を行う、液晶ポリエステル繊維の製造方法。
〔態様5〕
態様4に記載の製造方法であって、熱処理前後の強度比が1.5倍以上(好ましくは1.8倍以上、より好ましくは2.0倍以上)である、液晶ポリエステル繊維の製造方法。
〔態様6〕
態様4または5に記載の製造方法であって、前記熱処理工程において、前記紡糸原糸をロール・トゥ・ロール方式で搬送しながら熱処理を行う、液晶ポリエステル繊維の製造方法。
本発明の液晶ポリエステル繊維によれば、高重量の長尺物であるにもかかわらず、その全長にわたってバラつきが小さいため、長尺用途に好適に用いることができ、当該液晶ポリエステル繊維を用いた加工製品の生産効率を向上させることができる。
また、本発明の製造方法によれば、高重量の長尺物であり、全長にわたる強度バラつきの小さい液晶ポリエステル繊維を効率よく製造することができる。
この発明は、添付の図面を参考にした以下の好適な実施形態の説明から、より明瞭に理解されるであろう。しかしながら、実施形態および図面は単なる図示および説明のためのものであり、この発明の範囲を定めるために利用されるべきものではない。この発明の範囲は添付の請求の範囲によって定まる。
実施例1の液晶ポリエステル繊維の製造における工程概略図である。
[液晶ポリエステル繊維]
本発明の液晶ポリエステル繊維は、液晶ポリエステルで構成される。液晶ポリエステルとしては、例えば芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸等に由来する反復構成単位からなり、本発明の効果を損なわない限り、芳香族ジオール、芳香族ジカルボン酸、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する構成単位は、その化学的構成については特に限定されるものではない。また、本発明の効果を阻害しない範囲で、液晶ポリエステルは、芳香族ジアミン、芳香族ヒドロキシアミンまたは芳香族アミノカルボン酸に由来する構成単位を含んでいてもよい。例えば、好ましい構成単位としては、表1に示す例が挙げられる。
Figure 2021155887
表1の構成単位において、mは0〜2の整数であり、式中のYは、1〜置換可能な最大数の範囲において、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基などの炭素数1から4のアルキル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基など)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)、アラルキル基(例えば、ベンジル基(フェニルメチル基)、フェネチル基(フェニルエチル基)など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基など)などが挙げられる。
より好ましい構成単位としては、下記表2、表3および表4に示す例(1)〜(18)に記載される構成単位が挙げられる。なお、式中の構成単位が、複数の構造を示しうる構成単位である場合、そのような構成単位を二種以上組み合わせて、ポリマーを構成する構成単位として使用してもよい。
Figure 2021155887
Figure 2021155887
Figure 2021155887
表2、表3および表4の構成単位において、nは1または2の整数で、それぞれの構成単位n=1、n=2は、単独でまたは組み合わせて存在してもよく、YおよびYは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基などの炭素数1から4のアルキル基など)、アルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基など)、アリール基(例えば、フェニル基、ナフチル基など)、アラルキル基(例えば、ベンジル基(フェニルメチル基)、フェネチル基(フェニルエチル基)など)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ基など)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基など)などであってもよい。これらのうち、水素原子、塩素原子、臭素原子、またはメチル基が好ましい。
また、Zとしては、下記式で表される置換基が挙げられる。
Figure 2021155887
液晶ポリエステルは、好ましくは、ナフタレン骨格を構成単位として有する組み合わせであってもよい。ヒドロキシ安息香酸由来の構成単位(A)と、ヒドロキシナフトエ酸由来の構成単位(B)の両方を含むことが、特に好ましい。例えば、構成単位(A)としては下記式(A)が挙げられ、構成単位(B)としては下記式(B)が挙げられ、溶融成形性を向上する観点から、構成単位(A)と構成単位(B)の比率は、好ましくは9/1〜1/1、より好ましくは7/1〜1/1、さらに好ましくは5/1〜1/1の範囲であってもよい。
Figure 2021155887
Figure 2021155887
また、(A)の構成単位と(B)の構成単位の合計は、例えば、全構成単位に対して65モル%以上であってもよく、より好ましくは70モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上であってもよい。ポリマー中、特に(B)の構成単位が4〜45モル%である液晶ポリエステルが好ましい。
また、(A)の構成単位、すなわち、4−ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位を50モル%以上含んでいてもよく、好ましくは53モル%以上、より好ましくは60モル%以上含んでいてもよい。液晶ポリエステル中の4−ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位の含有量の上限は特に限定されないが、例えば、90モル%以下であってもよく、好ましくは88モル%以下、より好ましくは85モル%以下であってもよい。
また、液晶ポリエステルは、芳香族ヒドロキシカルボン酸として4−ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位を含み、芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位および芳香族ジオールに由来する構成単位を含んでいてもよい。例えば、芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位として下記式(C)および下記式(D)からなる群から選択される少なくとも1種を用いてもよく、芳香族ジオールに由来する構成単位として下記式(E)および下記式(F)からなる群から選択される少なくとも1種を用いてもよい。好ましくは、4−ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位(A)(上記式(A))と、芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸に由来する構成単位(C)(下記式(C))と、イソフタル酸に由来する構成単位(D)(下記式(D))と、芳香族ジオールとして4,4’−ジヒドロキシビフェニルに由来する構成単位(E)(下記式(E))とを含む液晶ポリエステル、4−ヒドロキシ安息香酸に由来する構成単位(A)(上記式(A))と、芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸に由来する構成単位(C)(下記式(C))と、イソフタル酸に由来する構成単位(D)(下記式(D))と、芳香族ジオールとして4,4’−ジヒドロキシビフェニルに由来する構成単位(E)(下記式(E))と、ヒドロキノンに由来する構成単位(F)(下記式(F))とを含む液晶ポリエステル等であってもよい。
また、液晶ポリエステルは、芳香族ヒドロキシカルボン酸としてナフタレン骨格を含むヒドロキシナフトエ酸に由来する構成単位を含み、芳香族ジカルボン酸に由来する構成単位および芳香族ジオールに由来する構成単位を含んでいてもよい。好ましくは、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する構成単位(B)(上記式(B))と、芳香族ジカルボン酸としてテレフタル酸に由来する構成単位(C)(下記式(C))と、2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する構成単位(G)(下記式(G))と、芳香族ジオールとしてヒドロキノンに由来する構成単位(F)(下記式(F))とを含む液晶ポリエステル等であってもよい。
Figure 2021155887
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Figure 2021155887
Figure 2021155887
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本発明で好適に用いられる液晶ポリエステルの融点(以下、Mpと称することがある)は250〜380℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは255〜370℃、さらに好ましくは260〜360℃、さらにより好ましくは260〜330℃である。なお、ここでいう融点とは、JIS K 7121試験法に準拠し、示差走差熱量計(DSC;メトラー社製「TA3000」)で測定し、観察される主吸収ピーク温度である。具体的には、前記DSC装置に、サンプルを10〜20mgをとりアルミ製パンへ封入した後、キャリヤーガスとして窒素を100mL/分流し、20℃/分で昇温したときの吸熱ピークを測定する。ポリマーの種類によってDSC測定において1st runで明確なピークが現れない場合は、予想される流動温度よりも50℃高い温度まで50℃/分で昇温し、その温度で3分間完全に溶融した後、80℃/分の降温速度で50℃まで降温し、しかる後に20℃/分の昇温速度で吸熱ピークを測定するとよい。
なお、上記液晶ポリエステルには、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリエチレンテレフタレート、変性ポリエチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、フッ素樹脂等の熱可塑性ポリマーを添加してもよい。また酸化チタン、カオリン、シリカ、酸化バリウム等の無機物、カーボンブラック、染料や顔料等の着色剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
本発明の液晶ポリエステル繊維は、繊維重量が10kg以上の連続繊維である。連続繊維とは、この繊維重量分の長さが切れ目なく連続しているモノフィラメントまたはマルチフィラメントを示す。マルチフィラメントの場合、繊維束として切れ目なく連続していればよい。なお、本発明において、結節処理・スプライス処理・末端ループ処理・交絡処理・熱融着処理・接着剤・粘着テープ・接合部品の使用といった接合処理により連続している繊維については、その処理部分の前後は連続繊維ではない。総繊度によって繊維の長さは異なるが、ボビンに巻き付けた際のボビンの厚み方向あるいは高さ方向のパッケージのサイズは、繊維の長さというより重量によって変動する。そのため、高重量の繊維をバッチ方式で固相重合を行うと、ボビンの厚み方向あるいは高さ方向のパッケージのサイズが大きくなってしまうため、熱や気流の内外層ムラや高さ方向ムラが生じ、力学物性の向上度合いにバラつきが生じる。そこで、後述の製造方法により、高重量であっても、連続繊維全長にわたって強度バラつきを低減させることを可能としている。本発明の液晶ポリエステル繊維は、その後の製品加工での生産性向上の観点から、繊維重量が、好ましくは12kg以上、より好ましくは15kg以上、さらに好ましくは25kg以上であってもよい。繊維重量の上限は特に限定されないが、例えば、100kg以下、好ましくは50kg以下であってもよい。
本発明の液晶ポリエステル繊維は、強度が18cN/dtex以上である。また、一般産業資材や、海底電信ケーブル、光ケーブルのテンションメンバー等の高次加工製品の機械的強度を向上させる観点から、強度は、好ましくは20cN/dtex以上、より好ましくは23cN/dtex以上であってもよい。また、強度の上限値は特に限定されないが、例えば、本発明により達し得る値としては30cN/dtex程度である。本発明において、液晶ポリエステル繊維の強度とは、引張強度をいい、連続繊維の全長を長手方向に50等分し、それら50点の強度測定データから得られる平均値(A)であり、後述の実施例に記載した方法により測定される値である。
本発明の液晶ポリエステル繊維は、繊維全長の強度バラつきが8.0%以下である。本発明の液晶ポリエステル繊維は、長尺であるにもかかわらず、その繊維全長にわたって強度バラつきが低減されており、高次加工製品全体としての力学物性を向上させる観点から、強度バラつきは、好ましくは5.0%以下であってもよく、より好ましくは3.0%以下であってもよい。また、強度バラつきの下限値は特に限定されないが、例えば、0.1%程度であってもよい。本発明において、強度バラつきは、連続繊維の全長を長手方向に50等分し、それら50点の強度測定データから得られる平均値(A)および標準偏差(σ)により下記式に従って算出される強度バラつきであり、後述の実施例に記載した方法により測定される値である。
強度バラつき=(σ/A)×100
本発明の液晶ポリエステル繊維は、総繊度を用途等により適宜調整することができ、例えば、総繊度が220dtex以上であってもよい。また、好ましくは500〜50000dtexであってもよく、より好ましくは1000〜30000dtexであってもよい。
本発明の液晶ポリエステル繊維は、重量が10kg以上であれば繊維の全長は特に限定されず、用途等により適宜調整することができ、例えば、総繊度が220dtex以上500dtex未満の場合、繊維の全長は200000〜2300000mであってもよく、好ましくは240000〜2300000mであってもよい。
総繊度が500dtex以上1000dtex未満の場合、100000〜1000000mであってもよく、好ましくは120000〜1000000mであってもよい。
総繊度が1000dtex以上3000dtex未満の場合、33000〜500000mであってもよく、好ましくは40000〜500000mであってもよい。
総繊度が3000dtex以上10000dtex未満の場合、10000〜170000mであってもよく、好ましくは12000〜170000mであってもよい。
総繊度が10000dtex以上50000dtex未満の場合、2000〜50000mであってもよく、好ましくは2400〜50000mであってもよい。
本発明の液晶ポリエステル繊維は、単繊維繊度を用途等により適宜調整することができ、例えば、単繊維繊度が0.5〜50dtexであってもよく、好ましくは1.0〜15dtex、より好ましくは1.5〜10dtexであってもよい。
本発明の液晶ポリエステル繊維がマルチフィラメントの場合、そのフィラメント本数は用途等により適宜調整することができ、例えば、フィラメント本数は5〜20000本であってもよく、好ましくは10〜4000本、より好ましくは30〜3000本であってもよい。
本発明の液晶ポリエステル繊維は、ボビンに巻き付けられた繊維パッケージの形態であってもよい。繊維パッケージを形成するために用いられるボビンとしては、筒形状のものであれば特に限定されず、パーン、チーズ、コーン等の公知の巻き形態の繊維パッケージとすることができる。繊維パッケージは、本発明の液晶ポリエステル繊維が高重量であるため、巻崩れのないようにボビンに巻き付けられていてもよく、例えば、巻密度が0.7〜1.4g/cmであってもよい。
[液晶ポリエステル繊維の製造方法]
本発明の液晶ポリエステル繊維の製造方法は、液晶ポリエステル繊維の紡糸原糸を熱処理する工程を少なくとも含み、前記熱処理工程において、前記紡糸原糸を伸長倍率1.000〜1.200倍で搬送して熱処理を行ってもよい。
本発明の発明者らは、液晶ポリエステル繊維の紡糸原糸の固相重合において、単に搬送による連続熱処理を行うことにより、繊維長手方向においてより均一な加熱環境を作出するだけでは強度バラつきを十分に抑制することはできず、特定の伸長倍率で搬送して連続熱処理を行うことによって、高重量の繊維であっても繊維全長にわたって強度バラつきを抑制することができることを見出した。
液晶ポリエステル繊維の紡糸原糸は、その繊維化の方法は限定されないが、通常、溶融紡糸により得られる繊維を用いることができる。溶融紡糸は公知または慣用の方法により行うことができ、例えば、押出機において液晶ポリエステルで構成される紡糸原糸を得るための繊維形成樹脂を溶融させた後、所定の紡糸温度でノズルから吐出して得ることができる。
熱処理工程では、紡糸原糸を熱処理することにより固相重合を行い、紡糸原糸の強度を向上させることができる。熱処理温度は、強度向上の観点から、230℃以上であってもよく、好ましくは240℃以上、より好ましくは250℃以上であってもよい。また、熱処理温度は、融解を防ぐために熱処理に供する液晶ポリエステル繊維(紡糸原糸)の融点(Mp)未満であってもよく、例えば、230℃以上の範囲において、(Mp−80)℃以上(Mp)℃未満であってもよく、好ましくは(Mp−50)℃以上(Mp)℃未満、より好ましくは(Mp−30)℃以上(Mp)℃未満であってもよい。ただし、固相重合の進行と共に液晶ポリエステル繊維の融点は上昇するため、熱処理工程における最初の温度を液晶ポリエステル繊維(紡糸原糸)の融点(Mp)未満にすればよく、熱処理温度を固相重合の進行状態に応じて段階的に高めることで、一定の温度で熱処理を行う場合に比し、高温で行うことができる。なお、熱処理温度を時間に対し段階的にあるいは連続的に高めることは、融着を防ぐと共に固相重合の時間効率を高めることができる点で好ましい。
熱処理の時間は、強度向上および製造効率向上の観点から、5〜1000分間であってもよく、好ましくは8〜500分間、より好ましくは10〜100分間、さらに好ましくは15〜60分間であってもよい。ここで、熱処理の時間とは、紡糸原糸の同一部分に熱処理する時間をいう。
熱処理は、公知の方法を用いることができ、例えば、雰囲気加熱、接触加熱等の手段が挙げられる。雰囲気としては空気、不活性ガス(例えば、窒素、アルゴン)あるいはそれらを組み合わせた雰囲気等が好適に用いられる。また、熱処理を減圧下で行ってもよい。
熱処理工程における搬送方法は、接触搬送(例えば、コンベア方式、サポートロール方式、加熱されたローラー上での熱処理方式)、非接触搬送(ロール・トゥ・ロール方式)のいずれで行ってもよいが、接触による熱のムラを避け、より均一な環境での処理を行い、繊維長手方向の力学特性のバラつきを抑制する観点から、紡糸原糸をロール・トゥ・ロール方式で搬送しながら熱処理炉を用いて熱処理を行うことが好ましい。また、処理経路は一直線でなくてもよく、装置内に折り返しローラーやガイドを配置して、処理経路の長さ、角度、曲率等を適宜変更して熱処理を行ってもよい。
例えば、非接触連続熱処理が可能な熱処理炉を用いる場合、その構造については特に制限されるものではない。熱処理炉入口から出口まで接触体の無い、繊維搬送経路が一直線になる構造のものであってもよいし、炉内あるいは炉の側面にローラーを配した、二段以上の折り返しの繊維搬送経路を有するものであってもよい。折り返し用ローラーは自ら回転駆動するものであっても構わないし、搬送される繊維に従属して回転するものであっても構わない。この場合、フィブリルの発生を防ぎ、かつ均一な処理を行うため、繊維搬送経路の折り返しのために配するローラーの繊維と接触する部分の温度は、(Mp−50)℃以下であることが好ましく、室温(40℃以下)であることがより好ましい。
熱処理工程における搬送は、紡糸原糸を伸長倍率1.000〜1.200倍で搬送してもよい。特定の伸長倍率で伸長して搬送することにより、マルチフィラメントの場合に単繊維同士が、繊維長手方向の全ての箇所において、弛みなく平行に引き揃えることができるため、繊維長手方向の力学特性のバラつきを抑制することができるとともに、伸長による強度の低下を抑制することができる。
伸長倍率とは、伸長前後で液晶ポリエステル繊維が何倍に伸びたかを表す数値である。伸長を速度差のついた2個のローラーで行う場合は、その速度比から算出する。ダンサーローラーの荷重による延伸等、速度比で表せない装置で伸長を行う場合は、伸長前後(熱処理前後)の繊維の総繊度比から算出する。伸長倍率は、伸長によって強度が大きく低下しない限りは範囲を限定されるものではないが、単繊維同士の引き揃えの観点から、好ましくは1.001〜1.150倍であってもよく、より好ましくは1.002〜1.100倍、さらに好ましくは1.003〜1.050倍であってもよい。
この伸長の方法としては、特定の伸長倍率を特に制限されるものではないが、例えば、ロール・トゥ・ロール方式で熱処理を行う際に、下流側の駆動ローラーの回転速度を上流側の搬送ローラーの回転速度より大きくする方法や、搬送途中にダンサーローラーを使用して一定の荷重を掛けながら熱処理を行う方法、加熱されたネルソンローラーを通過させる方法、糸をピン等で固定して搬送熱処理することにより、液晶ポリエステル繊維が繊維軸方向に対して負の熱膨張係数を有することを利用して伸長を行う方法等が挙げられる。
なお、繊維を伸長させながら熱処理を行う技術として広く延伸技術が知られているが、この延伸技術は、分子配向性の低い繊維に適用して、糸の強度や弾性率を向上させるための技術であり、本発明の液晶ポリエステル繊維のように、既に高度に配向した高次構造を持つ繊維に適用することを想定した技術ではない。また、好適な処理条件も異なり、延伸技術ではできるだけ配向性を高めるために延伸倍率を1.5倍以上に設定することが多いが、本発明では単繊維同士が引き揃えられるだけの伸長がなされればよいため、伸長倍率は1.000〜1.200倍の範囲が好適であり、これを超える倍率で処理を行うと、分子鎖の滑り等を経て高次構造に欠陥が発生し、強度の低下を招きやすい。以上のように、本発明の伸長技術は延伸技術とは異なる技術であるため、本発明では延伸倍率ではなく伸長倍率という用語を用いている。
また、熱処理時にかける張力は、熱処理に供する液晶ポリエステル繊維の総繊度等に応じて調整することができるが、糸道を安定させ、断糸を抑制する観点から、例えば、0.001〜0.06cN/dtexであってもよく、好ましくは0.003〜0.05cN/dtex、より好ましくは0.005〜0.04cN/dtexであってもよい。
本発明の液晶ポリエステル繊維の製造方法では、液晶ポリエステル繊維の熱処理前後の強度比が1.5倍以上であってもよく、好ましくは1.8倍以上、より好ましくは2.0倍以上であってもよい。ここで、熱処理前後の強度比とは、熱処理後の液晶ポリエステル繊維の引張強度を熱処理前の液晶ポリエステル繊維(紡糸原糸)の引張強度で除した値のことをいう。液晶ポリエステル繊維の紡糸原糸の強度は一般的に12cN/dtex以下であるため、熱処理前後の強度比が上記範囲となるよう適当な条件で固相重合を行うことで、液晶ポリエステル繊維の強度を向上させることができる。
本発明の液晶ポリエステル繊維は、長尺でかつその全長にわたって強度バラつきが低減されているため、長尺用途に好適に用いることができ、高次加工製品を製造する際の生産効率を向上させることができる。そのため、本発明の液晶ポリエステル繊維は、ロープやコード、スリングなどの一般産業資材や、海底電信ケーブル、光ケーブルのテンションメンバー等の高次加工製品として好適に使用できる。
以下に、実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら制限を受けるものではない。なお、以下の実施例及び比較例においては、下記の方法により各種物性を測定した。
(総繊度、単繊維繊度)
JIS L 1013:2010 8.3.1 A法に基づき、株式会社大栄科学精器製作所製検尺器「Wrap Reel by Motor Driven」を用いて液晶ポリエステル繊維を100mカセ取りし、その重量(g)を100倍して1水準当たり2回の測定を行い、その平均値を、得られた液晶ポリエステル繊維の総繊度(dtex)とした。また、この値をフィラメント本数で除した商を単繊維繊度(dtex)とした。
(融点)
JIS K 7121に準拠し、示差走差熱量計(DSC;メトラー社製、「TA3000」)を用いて測定し、観察される主吸収ピーク温度を融点とした。具体的には、前記DSC装置に、試料を10〜20mgをとりアルミ製パンへ封入した後、キャリヤーガスとして窒素を100mL/分の流量で流し、20℃/分で昇温したときの吸熱ピークを測定した。
(強度、強度バラつき)
切れ目なく連続した液晶ポリエステル繊維から、1mの測定用試料を50本採取した。これらの測定用試料は繊維全長を長手方向に50等分した点から各々±0.5%幅を持った範囲でそれぞれ採取した。なお、繊維全長は、繊維重量と上述で測定した総繊度により算出した長さを用いた。
次に、JIS L 1013:2010 8.5.1を参考に、株式会社島津製作所製オートグラフ「AGS−100B」を用いて、試験長10cm、初荷重2.94mN/dtex、引張速度10cm/分の条件で引張試験を行い、50本の測定用試料それぞれにつき1回ずつ破断時の強度を測定し、計50回の測定の平均値(A)を強度(cN/dtex)とした。
また、50回の測定結果における標準偏差(σ)を、平均値(A)で除した商に、100を掛けたものを強度バラつき(%)とした。
強度バラつき(%)=(σ/A)×100
[実施例1]
下記式で示した構成単位(A)と(B)が(A)/(B)=73/27(モル比)である液晶ポリエステル(α)(Mp:281℃)を使用した。これを押出機にて溶融押し出しし、ギアポンプで計量しつつ紡糸頭にポリマーを供給した。紡糸頭には孔径0.125mmφ、ランド長0.175mm、孔数300個の紡糸口金を備え、吐出量167g/分でポリマーを吐出し、巻き取り速度1000m/分でボビンに巻き取り紡糸原糸を得た。この際、紡糸口金直下に配置したオイリングガイドから、2重量%のドデシルリン酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製、和光一級)水溶液を紡糸原糸に付与した。この水溶液の付与量は8.4g/分であり、紡糸原糸に対するドデシルリン酸ナトリウムの付着比率は計算上0.1重量%であった。また紡糸原糸の融点(Mp)は281℃であった。
Figure 2021155887
次に、図1の工程概略図に示すように、この紡糸原糸9を巻出機1から巻き出し、第一ローラー2、熱処理炉3、第二ローラー4、巻取機5の順に装置を通して巻き取ることで、ロール・トゥ・ロール方式で搬送による連続熱処理を行い、本実施例の熱処理糸12を連続で15kg得た。ここで、熱処理炉3は、1本のセラミック管からなる炉管10と、その炉管10の内部を雰囲気加熱するためのヒーター部を有する制御部11とを有している。炉管10は、3つの加熱ゾーン6〜8を有しており、各加熱ゾーン6〜8は、制御部11により、別々の温度制御が可能である。連続熱処理の条件を以下のように設定した。熱処理炉3の炉管10を通過する時間(熱処理炉3の炉管10を糸試料が通過する距離/第一ローラー2の搬送速度)が60分間になるように第一ローラー2の回転速度を設定した。また、伸長倍率(第二ローラー4の回転速度/第一ローラー2の回転速度)が1.005倍になるように第二ローラー4の回転速度を設定した。また、熱処理炉3内は、窒素雰囲気で、3つの加熱ゾーン6〜8の温度は通過する順に230℃、260℃、290℃とした。なお、糸道の高さ等の調整のため、適宜、表面梨地処理のセラミックローラーやセラミックガイド(いずれも不図示)も用いた。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
[実施例2]
孔径0.100mmφ、ランド長0.140mm、孔数600個の紡糸口金を用いて紡糸原糸を得たこと以外は実施例1と同様にして、連続した熱処理糸を15kg得た。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
[実施例3]
孔径0.150mmφ、ランド長0.210mm、孔数50個の紡糸口金を用いて紡糸原糸を得たこと以外は実施例1と同様にして、連続した熱処理糸を15kg得た。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
[実施例4]
孔径0.125mmφ、ランド長0.175mm、孔数20個の紡糸口金を用いたこと、吐出量11.2g/分でポリマーを吐出したこと、およびオイリングガイドからのドデシルリン酸ナトリウム水溶液の付与量を0.56g/分にして紡糸原糸を得たこと以外は実施例1と同様にして、連続した熱処理糸を15kg得た。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
[実施例5]
実施例1で用いた紡糸頭および紡糸口金を2個同時に使用し、各々から吐出量167g/分で吐出したポリマーを、1糸条として重ねて巻き取り速度1000m/分でボビンに巻き取り紡糸原糸を得たこと以外は実施例1と同様にして、連続した熱処理糸を15kg得た。オイリングガイドからドデシルリン酸ナトリウム水溶液を付与する工程については、1糸条として重ねるより前段階でそれぞれ行い、各紡糸口金直下で実施例1と同様にして付与した。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
[実施例6]
実施例1で用いた紡糸頭および紡糸口金を4個同時に使用し、各々から吐出量167g/分で吐出したポリマーを、1糸条として重ねて巻き取り速度1000m/分でボビンに巻き取り紡糸原糸を得たこと以外は実施例1と同様にして、連続した熱処理糸を15kg得た。オイリングガイドからドデシルリン酸ナトリウム水溶液を付与する工程については、1糸条として重ねるより前段階でそれぞれ行い、各紡糸口金直下で実施例1と同様にして付与した。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
[実施例7]
連続熱処理を長く行い、連続した熱処理糸を50kg得たこと以外は実施例6と同様にして熱処理糸を得た。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
[実施例8]
連続熱処理において、実施例1と同じ紡糸原糸、装置を用い、熱処理時間が16時間、伸長倍率が1.005倍になるように第一ローラー2と第二ローラー4の回転速度を設定した以外は実施例1と同様にして、連続した熱処理糸を15kg得た。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
[実施例9]
連続熱処理において、実施例1と同じ紡糸原糸、装置を用い、伸長倍率が1.100倍になるように第二ローラー4の回転速度を設定したこと以外は、実施例1と同様にして連続した熱処理糸を15kg得た。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
[実施例10]
連続熱処理において、実施例1と同じ紡糸原糸、装置を用い、伸長倍率が1.000倍になるように第二ローラー4の回転速度を設定したこと以外は、実施例1と同様にして連続した熱処理糸を15kg得た。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
[実施例11]
実施例1に記載の液晶ポリエステル(α)ではなく、下記式で示した各構成単位のモル比が(A)/(C)/(D)/(E)=65/10/5/20である液晶ポリエステル(β)(Mp:348℃)を使用した以外は、実施例1と同様にして紡糸原糸を得た。その後、連続熱処理において、3つの加熱ゾーン6〜8の温度は通過する順に280℃、280℃、310℃とした以外は、実施例1と同様にして連続した熱処理糸を15kg得た。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
Figure 2021155887
[実施例12]
実施例1に記載の液晶ポリエステル(α)ではなく、下記式で示した各構成単位のモル比が(A)/(C)/(D)/(E)/(F)=54/15/8/16/7である液晶ポリエステル(γ)(Mp:315℃)を使用した以外は、実施例1と同様にして紡糸原糸を得た。その後、連続熱処理において、3つの加熱ゾーン6〜8の温度は通過する順に280℃、280℃、310℃とした以外は、実施例1と同様にして連続した熱処理糸を15kg得た。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
Figure 2021155887
[実施例13]
実施例1記載の液晶ポリエステル(α)ではなく、下記式で示した各構成単位のモル比が(B)/(C)/(G)/(F)=58/5/16/21である液晶ポリエステル(δ)(Mp:363℃)を使用した以外は、実施例1と同様にして紡糸原糸を得た。その後、連続熱処理において、3つの加熱ゾーン6〜8の温度は通過する順に300℃、300℃、330℃とした以外は、実施例1と同様にして連続した熱処理糸を15kg得た。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
Figure 2021155887
[比較例1]
実施例1と同様にして得た紡糸原糸15kgを、アルミニウム製の穴あきボビンにケブラーフェルト(目付280g/m、厚み1.5mm)を巻いたものに対して400m/分で巻き返し、熱処理用ボビンパッケージを得た。このときトラバース幅は200mm、糸層の最内径は100mmであり、平均巻密度0.60g/cm、糸層の厚みは160mmだった。これを加熱窒素流通と壁面電気ヒーターの二種の熱源を併用するバッチ形式の箱型炉により窒素雰囲気下で熱処理した。この際、20℃から230℃まで60分間(平均3.5℃/分)で昇温し、230℃で60分間保持し、230℃から260℃まで30分間(平均1℃/分)で昇温し、260℃で60分間保持し、260℃から290℃まで30分間(平均1℃/分)で昇温し、290℃で720分間保持し、その後熱源の使用を停止し炉内を外気に開放して3時間放置することで冷却し、15kgの熱処理糸を得た。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
[比較例2]
実施例6と同様にして得た紡糸原糸15kgを、比較例1と同様にして巻き返し、熱処理用ボビンパッケージを得た。これを比較例1と同様にバッチ形式で熱処理を行い、15kgの熱処理糸を得た。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
[比較例3]
実施例11と同様にして得た液晶ポリエステル(β)からなる紡糸原糸15kgを、比較例1と同様にして巻き返し、熱処理用ボビンパッケージを得た。これを加熱窒素流通と壁面電気ヒーターの二種の熱源を併用するバッチ形式の箱型炉により窒素雰囲気下で熱処理した。この際、20℃から280℃まで60分間(平均4.3℃/分)で昇温し、280℃で60分間保持し、280℃から310℃まで30分間(平均1℃/分)で昇温し、310℃で810分間保持し、その後熱源の使用を停止し炉内を外気に開放して3時間放置することで冷却し、15kgの熱処理糸を得た。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
[比較例4]
実施例12と同様にして得た液晶ポリエステル(γ)からなる紡糸原糸15kgを、比較例1と同様にして巻き返し、熱処理用ボビンパッケージを得た。これを加熱窒素流通と壁面電気ヒーターの二種の熱源を併用するバッチ形式の箱型炉により窒素雰囲気下で熱処理した。この際、20℃から280℃まで60分間(平均4.3℃/分)で昇温し、280℃で60分間保持し、280℃から310℃まで30分間(平均1℃/分)で昇温し、310℃で810分間保持し、その後熱源の使用を停止し炉内を外気に開放して3時間放置することで冷却し、15kgの熱処理糸を得た。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
[比較例5]
実施例13と同様にして得た液晶ポリエステル(δ)からなる紡糸原糸15kgを、比較例1と同様にして巻き返し、熱処理用ボビンパッケージを得た。これを加熱窒素流通と壁面電気ヒーターの二種の熱源を併用するバッチ形式の箱型炉により窒素雰囲気下で熱処理した。この際、20℃から300℃まで60分間(平均4.7℃/分)で昇温し、300℃で60分間保持し、300℃から330℃まで30分間(平均1℃/分)で昇温し、330℃で810分間保持し、その後熱源の使用を停止し炉内を外気に開放して3時間放置することで冷却し、15kgの熱処理糸を得た。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
[参考例1]
実施例1と同様にして得た紡糸原糸5kgを、比較例1と同様にして巻き返し、平均巻密度0.60g/cm、糸層の厚み75mmの熱処理用ボビンパッケージを得た。これを比較例1と同様にしてバッチ形式で熱処理を行い、5kgの熱処理糸を得た。得られた液晶ポリエステル繊維(熱処理糸)の分析結果を表5に示す。
Figure 2021155887
表5に示すように、実施例1〜10では、特定の伸長倍率に制御して搬送による連続熱処理を行うことにより液晶ポリエステル繊維を製造したため、長尺であるにもかかわらず、その繊維全長にわたって強度バラつきを抑制することができている。特に、伸長倍率1.001倍以上に設定した実施例1〜9では、強度バラつきが3.0%以下であり、より高度に強度バラつきを抑制することができている。
実施例11〜13では、実施例1とは異なる液晶ポリエステルを用いているが、特定の伸長倍率に制御して搬送による連続熱処理を行うことにより液晶ポリエステル繊維を製造したため、液晶ポリエステルの種類に関係なく、繊維全長にわたって強度バラつきを抑制することができている。
一方、比較例1〜5では、高重量の紡糸原糸をバッチ方式により熱処理を行ったため、熱処理に供するパッケージ内で熱や気流にムラが生じることにより、熱処理糸は繊維全長にわたる強度バラつきが非常に大きく生じている。
参考例1では、紡糸原糸をバッチ方式により熱処理を行って強度バラつきを抑制することができているが、これは、紡糸原糸が低重量であったため、熱処理に供するパッケージ内での熱や気流にムラが小さいためであると考えられる。
本発明の液晶ポリエステル繊維は、ロープやコード、スリングなどの一般産業資材や、海底電信ケーブル、光ケーブルのテンションメンバー等の高次加工製品として好適に使用できる。
以上のとおり、本発明の好適な実施形態を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、変更または削除が可能であり、そのようなものも本発明の範囲内に含まれる。
1・・・巻出機
2・・・第一ローラー
3・・・熱処理炉
4・・・第二ローラー
5・・・巻取機
6,7,8・・・加熱ゾーン
9・・・紡糸原糸
10・・・炉管
11・・・制御部
12・・・熱処理糸

Claims (6)

  1. 重量が10kg以上の連続繊維であり、当該連続繊維の全長を長手方向に50等分し、それら50点の強度測定データから得られる平均値(A)が18cN/dtex以上であり、当該強度測定データから得られる平均値(A)および標準偏差(σ)により下記式に従って算出される強度バラつきが8.0%以下である、液晶ポリエステル繊維。
    強度バラつき=(σ/A)×100
  2. 請求項1に記載の液晶ポリエステル繊維であって、総繊度が220dtex以上である、液晶ポリエステル繊維。
  3. 請求項1または2に記載の液晶ポリエステル繊維を少なくとも一部に用いた高次加工製品。
  4. 請求項1または2に記載の液晶ポリエステル繊維を製造する方法であって、
    液晶ポリエステル繊維の紡糸原糸を熱処理する工程を少なくとも含み、前記熱処理工程において、前記紡糸原糸を伸長倍率1.000〜1.200倍で搬送して熱処理を行う、液晶ポリエステル繊維の製造方法。
  5. 請求項4に記載の製造方法であって、熱処理前後の強度比が1.5倍以上である、液晶ポリエステル繊維の製造方法。
  6. 請求項4または5に記載の製造方法であって、前記熱処理工程において、前記紡糸原糸をロール・トゥ・ロール方式で搬送しながら熱処理を行う、液晶ポリエステル繊維の製造方法。
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