以下に、本開示の実施形態について図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態の各々において、同一の部位には同一の符号を付与し、重複する説明を省略する。
図1は、本実施形態のハンズフリーシステム100の一例を示す模式図である。
ハンズフリーシステム100は、ハンズフリー装置1と、携帯電話機10と、を備える。ハンズフリー装置1と携帯電話機10とは、無線通信により接続される。携帯電話機10は、基地局104を介して他の携帯電話機10などの電話機と電話回線を介して通信可能である。
本実施形態では、ハンズフリー装置1が車両102に搭載された形態を一例として説明する。なお、ハンズフリー装置1は、車両102に搭載された形態に限定されない。
図2は、ハンズフリーシステム100のブロック図である。
携帯電話機10は、携帯電話網の基地局104との間で携帯電話回線を確立し、電話の発信処理および着信処理を実行する。
発信処理とは、入力を受け付けた電話番号を発信先として発信する処理である。例えば、ユーザがダイアルキー(「0」〜「9」の数字キー)を操作して発信先の電話番号を入力し、続いて発信キーを操作した場合を想定する。この場合、携帯電話機10は、入力を受け付けた電話番号を発信先として発信する、発信処理を実行する。発信処理により、携帯電話機10は、発信先の他の携帯電話機10との間で通話を行うことが可能となる。
着信処理とは、他の携帯電話機10からの着信を受け付ける処理である。例えば、携帯電話機10は、他の携帯電話機10からの発信に応じて、基地局104から着信信号を受信する。携帯電話機10は、発信元の他の携帯電話機10の電話番号を着信電話番号として受信する。そして、携帯電話機10は、ユーザによる受話キーの操作により、発信元の携帯電話機10に応答する着信処理を実行する。着信処理により、携帯電話機10は、発信元の他の携帯電話機10との間で通話を行うことが可能となる。
携帯電話機10は、電話に関する電話データを記憶する。電話データは、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ、電話帳データ、の少なくとも1つを含む。
発信履歴データとは、電話の発信履歴を表すデータである。詳細には、発信履歴データは、発信電話番号と発信日時との対応を1件分のデータとした、1または複数件分のデータである。携帯電話機10は、日付時刻である日時を計時する時計部を有する。携帯電話機10は、発信電話番号と発信日時との対応を1件分のデータとし、複数件分の発信履歴データを記憶する。発信電話番号は、発信処理でダイアルキーから受付けた電話番号である。発信日時は、発信処理時に時計部が計時した日時である。
着信履歴データとは、電話の着信履歴を表すデータである。詳細には、着信履歴データは、着信電話番号と着信日時との対応を1件分のデータとした、1または複数件分のデータである。携帯電話機10は、着信電話番号と着信日時との対応を1件分のデータとし、複数件分の着信履歴データを記憶する。着信電話番号は、着信処理で他の携帯電話機10から基地局104を介して受付けた電話番号である。着信日時は、着信処理時に時計部が計時した日時である。
不在着信履歴データとは、他の携帯電話機10からの着信に応答しなかったときの着信履歴を表すデータである。詳細には、不在着信履歴データは、着信電話番号と着信日時との対応を1件分のデータとした、1または複数件分のデータである。携帯電話機10は、他の携帯電話機10からの着信に対して応答しなかったときに受信した着信電話番号と着信日時との対応を1件分のデータとし、複数件分の不在着信履歴データを記憶する。
電話帳データとは、電話番号と登録名との対応を1件分のデータとした、複数件分のデータである。携帯電話機10は、ユーザによって入力された電話番号と登録名とを対応付けて、例えば500件程度、不揮発性メモリに記憶する。
なお、電話データには、発信履歴データ、着信履歴データ、および不在着信履歴データを統合した全履歴データが含まれていてもよい。また、以下では、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ、および全履歴データを総称して説明する場合には、単に、履歴データと称して説明する場合がある。また、履歴データには、全履歴データが含まれていなくてもよい。
発信履歴データ、着信履歴データ、および不在着信履歴データには、登録名が更に含まれていてもよい。
携帯電話機10は、基地局104から受信した着信電話番号の電話番号が電話帳データに登録されているか否かを判断する。登録されている場合、携帯電話機10は、該電話番号に対応する登録名を、該電話番号と着信日時とに対応付けて着信履歴データとして記憶する。携帯電話機10は、他の携帯電話機10からの着信に応答しなかった場合についても同様に、登録名を、着信電話番号と着信日時とに対応付けて不在着信履歴データとして記憶すればよい。また、携帯電話機10は、発信した着信電話番号の電話番号が電話帳データに登録されているか否かを判断する。登録されている場合、携帯電話機10は、該電話番号に対応する登録名を、該電話番号と発信日時とに対応付けて発信履歴データとして記憶する。
携帯電話機10は、ユーザの操作により読出指示を受け付けると、電話帳データを表示する。携帯電話機10は、電話帳データに含まれる複数の電話番号のうちの1つの選択を受け付け、発信指示を受け付ける。携帯電話機10は、選択された電話番号を発信先として発信処理を実行する。このため、ユーザは、電話番号を構成する数字に対応する全ての数字キーを一々入力しなくとも、簡単な操作で間違いなく発信処理を実行させることができる。
携帯電話機10は、例えば、発信履歴データ、着信履歴データ、および、不在着信履歴データの各々を、最新の20件分記憶可能である。携帯電話機10は、発信処理、着信処理、および不在着信処理を行う毎に、最古のデータを自動的に消去することで、これらのデータを更新する。なお、携帯電話機10が記憶するこれらのデータの件数は、20件に限定されない。
本実施形態では、携帯電話機10は、近距離無線通信機能を有する。本実施形態では、携帯電話機10は、無線通信規格として、Bluetooth(登録商標)に対応した近距離無線通信を行う。携帯電話機10は、ハンズフリープロファイル、および、フォンブックアクセスプロファイルなどのプロファイルを用いて、ハンズフリー装置1と接続し通信する。ハンズフリープロファイルは、以下、HFP(Hands Free Profile)と称して説明する。フォンブックアクセスプロファイルは、以下、PBAP(Phone Book Access Profile)と称して説明する。
HFPは、ハンズフリー通信を行うためのハンズフリー通信プロトコルであり、無線通信規格で定められたプロファイルである。PBAPは、電話データの転送を行うためのデータ転送プロトコルであり、無線通信規格で定められたプロファイルである。これらのプロファイルは、機能ごとに定義された通信プロトコルを意味している。
PBAPは、データ転送を行うためのデータ転送プロトコルの一例であり、Bluetooth標準規格で定められたプロファイルである。PBAPは、当該PBAPを用いた接続が行われた後、ユーザが携帯電話機10を何ら操作することなく自動的に、携帯電話機10からハンズフリー装置1へ電話データを転送させることが可能なプロファイルである。すなわち、携帯電話機10は、ハンズフリー装置1へ電話データを自動転送可能に構成されている。
例えば、携帯電話機10は、ハンズフリー装置1との間で通信回線を確立した直後にPBAPを接続し、その時点で記憶している電話データをハンズフリー装置1へ自動転送する。これにより、携帯電話機10は、ハンズフリー装置1のBluetooth通信圏内に存在している場合には、電話データ(電話帳データ、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ)を、ハンズフリー装置1へ自動転送する。
次に、ハンズフリー装置1について説明する。
ハンズフリー装置1は、制御部2、Bluetooth通信部3、操作部4、表示部5、作業メモリ6、記憶メモリ7、マイクロホン8、および、スピーカ9を備える。
制御部2と、Bluetooth通信部3、操作部4、表示部5、作業メモリ6、記憶メモリ7、マイクロホン8、およびスピーカ9とは、データまたは信号を授受可能に接続されている。
制御部2は、ハンズフリー装置1の通信動作やデータ管理動作などの動作全般を制御する。制御部2の詳細は後述する。
Bluetooth通信部3は、近距離無線通信を行う無線通信機器である。本実施形態では、Bluetooth通信部3は、無線通信規格として、Bluetoothに対応した近距離無線通信を行う。本実施形態では、Bluetooth通信部3は、Bluetooth通信圏内に存在している携帯電話機10との間で無線通信回線を確立し、Bluetoothの通信規格に準拠した通信を行う。
Bluetooth通信部3は、ハンズフリー通信を行うためのハンズフリー通信プロトコルであるHFP、および、電話データの転送を行うためのデータ転送プロトコルであるPBAP、などのプロファイルを用いて、携帯電話機10と接続し通信する。
また、Bluetooth通信部3は、マルチプロファイル接続可能に構成されている。このため、Bluetooth通信部3は、HFPおよびPBAPの双方を用いて同時に携帯電話機10と接続することができる。
マルチプロファイル接続は、同時接続と称される場合がある。Bluetoothでは、1つのマスター通信装置に対して最大7台のスレーブ通信装置が時分割多重にて同時接続可能である。すなわち、通信チャネルは、独立した7つの時分割チャネルで通信することが可能である。この場合、同時接続は、7つのうち2つの通信チャネルを用い、2つの通信チャネルの内の一方をHFPで使用し、他方をPBAPで使用する形態となる。また、1つの通信チャネルの論理チャネルを、パケット通信のように、HFPとPBAPで共用して同時に動作させてもよい。
操作部4は、ユーザによる入力を受け付ける。操作部4は、例えば、表示部5に形成されるタッチキーから構成され、ユーザの操作内容を表す操作信号を受付け、制御部2に出力する。
表示部5は、制御部2から受付けた表示信号に基づいて表示画面を表示する。例えば、表示部5は、ユーザによる電話番号の入力を受付けるための表示画面を表示する。この表示画面は、例えば、「0」〜「9」に対応するダイアルキーが配列された画面である。
作業メモリ6は、各種データを記憶する。本実施形態では、作業メモリ6は、携帯電話機10から自動転送された電話データである、電話帳データ、発信履歴データ、着信履歴データ、および不在着信履歴データを記憶する。作業メモリ6は、例えば、発信履歴データ、着信履歴データ、および不在着信履歴データを、それぞれ5件分を記憶可能である。なお、作業メモリ6が記憶可能な件数は、5件に限定されない。作業メモリ6は、例えば、揮発性のメモリである。
記憶メモリ7は、各種データを記憶する。本実施形態では、記憶メモリ7は、転送管理データを予め記憶する。転送管理データの詳細は、後述する。記憶メモリ7は、例えば、不揮発性のメモリから構成される。
マイクロホン8は、携帯電話機10を用いたハンズフリー通話を行うときに、ユーザが発した音声の入力を受付ける。スピーカ9は、携帯電話機10を用いたハンズフリー通話を行うときに、通話先の受話音声を出力する。
ハンズフリー装置1は、ナビゲーション動作に必要な各種構成を更に備えていてもよい。例えば、ハンズフリー装置1は、GPS(Global Positioning System)、経路探索部、地図データ読取部、VICS(登録商標)(Vehicle Information and Communication System)情報受信部、および、音声認識部な度を備えていてもよい。
GPSは、自車両の現在位置を検出するシステムである。経路探索部は、現在位置から目的地までの経路を探索するシステムである。地図データ読取部は、記録媒体から地図データを読取るシステムである。VICS情報受信部は、VICSセンターから配信されたVICS情報を受信するシステムである。音声認識部は、ユーザが発した音声を音声認識するシステムである。
ハンズフリー装置1は、例えば、車両102のACC(アクセサリ電源)スイッチのオンオフに連動して、給電および給電停止するように構成されている。例えば、ユーザの操作に応じてACCスイッチがオンからオフに切替えられた場合を想定する。この場合、ハンズフリー装置1への電源供給が停止される。電源供給が停止されると、作業メモリ6に記憶されている発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データおよび電話帳データは消去される。一方、記憶メモリ7に記憶されている転送管理データなどの各種データは、電源供給が停止された後も、消去されずに記憶されたままとなる。
次に、制御部2の詳細を説明する。
図3は、制御部2の機能ブロック図の一例である。制御部2は、ハンズフリー接続部2Aと、データ転送接続処理部2Bと、転送制御部2Cと、表示制御部2Dと、を備える。
ハンズフリー接続部2A、データ転送接続処理部2B、転送制御部2C、および表示制御部2Dは、例えば、1または複数のプロセッサにより実現される。例えば上記各部の各々は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサにプログラムを実行させること、すなわちソフトウェアにより実現してもよい。上記各部の各々は、専用のIC(Integrated Circuit)などのプロセッサ、すなわちハードウェアにより実現してもよい。上記各部の各々は、ソフトウェアおよびハードウェアを併用して実現してもよい。複数のプロセッサを用いる場合、複数のプロセッサの各々は、複数の各部のうち1つを実現してもよいし、複数の各部のうち2以上を実現してもよい。
プロセッサは、記憶メモリ7に記憶されたプログラムを読み出し実行することで、上記複数の各部を実現する。なお、記憶メモリ7にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成してもよい。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで、上記複数の各部を実現する。
ハンズフリー接続部2Aは、HFPを用いて携帯電話機10と接続する、ハンズフリー接続処理を実行する。ハンズフリー接続処理とは、HFPを用いて携帯電話機10との接続を確立する処理である。すなわち、ハンズフリー接続部2Aによって、ハンズフリー装置1と携帯電話機10とのHFPの接続が確立される。
HFPの接続が確立されることで、ハンズフリー装置1は、携帯電話機10を介したハンズフリー通話が可能な状態となる。詳細には、ハンズフリー接続部2Aは、マイクロホン8から受付けた音声を、Bluetooth通信部3を介して携帯電話機10へ送信する。携帯電話機10は、ハンズフリー装置1から受付けた音声を、基地局104を介して発信先電話番号の携帯電話機10へ送信する。また、ハンズフリー接続部2Aは、携帯電話機10が他の携帯電話機10から受付けた音声を、Bluetooth通信部3を介して受信し、スピーカ9へ出力する。このため、ハンズフリー装置1は、ハンズフリー通話が可能となる。
データ転送接続処理部2Bは、PBAPを用いて携帯電話機10と接続し、携帯電話機10から電話データの転送を受付けるデータ転送処理を行う。データ転送接続処理部2Bによって、Bluetooth通信部3を介した携帯電話機10とのPBAPの接続が確立される。PBAPの接続が確立されることで、携帯電話機10からハンズフリー装置1へ電話データが自動転送される。自動転送とは、ユーザが何ら操作を行うことなく、ハンズフリー装置1と携帯電話機10との間でデータが転送されることを意味する。なお、以下では、ハンズフリー装置1から携帯電話機10への電話データの自動転送を、ハンズフリー装置1による電話データの取得、と称して説明する場合がある。
データ転送接続処理部2Bは、PBAPの接続が確立されると、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ、などの履歴データの各々の転送要求を携帯電話機10へ順に送信する。携帯電話機10は、ハンズフリー装置1から受付けた転送要求に対応する履歴データを、携帯電話機10へ転送する。また、データ転送接続処理部2Bは、電話帳データの転送要求を携帯電話機10へ送信する。携帯電話機10は、ハンズフリー装置1から受付けた転送要求に応じて、電話帳データを携帯電話機10へ送信する。これらの処理により、携帯電話機10からハンズフリー装置1へ、電話データが自動転送される。
転送制御部2Cは、電話データの転送に関する転送制御を実行する。転送制御とは、携帯電話機10から電話データの転送を受け付けるための制御である。転送制御部2Cは、データ転送接続処理部2Bから携帯電話機10へ送信される転送要求の送信タイミング、送信する転送要求の種類、転送の続行、および、転送の中止、などを制御する。送信する転送要求の種類とは、転送を要求する対象の電話データの種類である。電話データの種類とは、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ、全履歴データ、電話帳データ、の各々を意味する。
これらの制御によって、転送制御部2Cは、データ転送接続処理部2Bによる電話データの転送を制御する、転送制御を行う。転送制御部2Cによる転送制御によって、携帯電話機10からハンズフリー装置1へ転送される電話データの種類、転送の順番、転送の続行、転送の中止、などが制御される。
転送制御部2Cは、携帯電話機10の電話通信状態に応じて、転送制御を実行する。
電話通信状態とは、携帯電話機10と他の携帯電話機10との間の、電話回線を介した通信状態を意味する。具体的には、電話通信状態は、発信状態、着信状態、通話状態、および待受状態、の何れかの状態である。
発信状態とは、携帯電話機10が受け付けた電話番号を発信先として発信する発信中の状態である。着信状態とは、携帯電話機10が他の携帯電話機10からの着信を受付ける着信中の状態である。通話状態とは、携帯電話機10と他の携帯電話機10とが基地局104を介して音声を通信中、すなわち通話中の状態である。待受状態とは、携帯電話機10の電話回線を介した通信状態が、発信状態、着信状態、および通話状態、のいずれでもない状態であることを意味する。言い換えると、待受状態とは、通話状態以外の状態であって、着信または発信を待ち受けている状態を意味する。
携帯電話機10は、電話回線を介した通信に応じて、発信状態、着信状態、通話状態、および待受状態の何れか1つの電話通信状態から、他の1つの電話通信状態へと遷移する。携帯電話機10は、電話通信状態が遷移するごとに、HFPにより電話通信状態をハンズフリー装置1へ通知する。
転送制御部2Cは、携帯電話機10から受付けた電話通信状態に応じて、転送に関する転送制御を実行する。なお、転送制御部2Cは、携帯電話機10へ電話通信状態の問合要求信号を送信してもよい。そして、転送制御部2Cは、該問合要求信号に対する応答信号として、電話通信状態を携帯電話機10から取得してもよい。
転送制御部2Cによる転送制御については、詳細を後述する。
表示制御部2Dは、表示部5へ表示指示を出力することで、表示部5に表示画面を表示させる制御を行う。
例えば、ユーザによる操作部4の操作によって、操作部4から発信履歴データの表示要求を受付けた場合を想定する。この場合、表示制御部2Dは、作業メモリ6に記憶されている発信履歴データの表示指示を操作部4へ出力する。該表示指示を受け付けることで、表示部5には、発信履歴データが表示される。例えば、表示部5には、最大5件の発信履歴データが表示される。
また、例えば、ユーザによる操作部4の操作によって、操作部4から着信履歴データの表示要求を受付けた場合を想定する。この場合、表示制御部2Dは、作業メモリ6に記憶されている着信履歴データの表示指示を操作部4へ出力する。該表示指示を受け付けることで、表示部5には、着信履歴データが表示される。例えば、表示部5には、最大5件の着信履歴データが表示される。
また、例えば、ユーザによる操作部4の操作によって、操作部4から不在着信履歴データの表示要求を受付けた場合を想定する。この場合、表示制御部2Dは、作業メモリ6に記憶されている不在着信履歴データの表示指示を操作部4へ出力する。該表示指示を受け付けることで、表示部5には、不在着信履歴データが表示される。例えば、表示部5には、最大5件の不在着信履歴データが表示される。
また、例えば、ユーザによる操作部4の操作によって、操作部4から電話帳データの表示要求を受付けた場合を想定する。この場合、表示制御部2Dは、作業メモリ6に記憶されている電話帳データの表示指示を操作部4へ出力する。該表示指示を受け付けることで、表示部5には、電話帳データが表示される。
次に、本実施形態のハンズフリー装置1の作用を説明する。本実施形態では、携帯電話機10は、最大記憶可能件数である20件分の、発信履歴データおよび着信履歴データを記憶している場合を想定して説明する。そして、この状態の携帯電話機10が、ユーザ等によって携帯されて車両102内に至ることで、該携帯電話機10がハンズフリー装置1のBluetooth通信圏内に進入した場合を想定して説明する。
なお、本実施形態では、ハンズフリー装置1には、Bluetooth通信の相手となる携帯電話機10が予め登録されているものとする。例えば、初期通信時に携帯電話機10毎に4桁のパスワードを入力することで、ハンズフリー装置1は、携帯電話機10ごとのリンクキーを生成する。そして、携帯電話機10とハンズフリー装置1との各々で、リンクキーを記憶する。ハンズフリー装置1では、初期接続時にリンクキーの認証を行うことで、接続すべき携帯電話機10を選択する。すなわち、ハンズフリー装置1に未登録の携帯電話機10は、HFPおよびPBAPで接続されることは無い。
本実施形態では、ハンズフリー装置1には、通信接続対象となる複数の携帯電話機10があらかじめ登録されているものとして説明する。また、ハンズフリー装置1には、複数の携帯電話機10の各々に対して、予め優先順位が設定されている。優先順位は、ユーザによる操作部4の操作などによって予め設定すればよい。
まず、携帯電話機10からハンズフリー装置1への電話データの転送の流れを説明する。
図4は、ハンズフリー装置1において実行される、電話データの転送処理の流れの一例を示す、フローチャートである。
ハンズフリー接続部2Aは、優先順位が上位の携帯電話機10をHFPの接続対象として選択する(ステップS1)。ハンズフリー接続部2Aは、選択した携帯電話機10に対してHFPを接続する(ステップS2)。ステップS2の処理によって、ハンズフリー装置1と携帯電話機10との間でHFPの接続が確立される。
ハンズフリー接続部2Aは、HFPの接続に成功したか否かを判定する(ステップS3)。ハンズフリー接続部2Aが、HFPの接続に成功したと判定すると(ステップS3:YES)、ステップS4へ進む。
ステップS4では、データ転送接続処理部2Bが、ステップS3でHFPの接続に成功したと判定した携帯電話機10に対して、PBAPを接続する(ステップS4)。ステップS4では、データ転送接続処理部2Bは、初期接続処理を実行する。初期接続処理とは、PBAPを用いたデータ転送に用いる通信リンクを確立するための接続処理である。
次に、転送制御部2Cは、履歴データのデータ転送処理を行う(ステップS5)。転送制御部2Cは、履歴データの転送要求をPBAPにより携帯電話機10へ順次送信するように、データ転送接続処理部2Bを制御する。携帯電話機10は、該転送要求に応じて、履歴データを、PBAPを用いてハンズフリー装置1へ送信する。これらの処理により、携帯電話機10からハンズフリー装置1へ、履歴データが自動転送される。
履歴データの転送処理が終了すると、転送制御部2Cは、電話帳データの転送処理を開始し(ステップS6)、電話帳データの転送処理を行う。転送制御部2Cは、電話帳データの転送要求をPBAPにより携帯電話機10へ送信するように、データ転送接続処理部2Bを制御する。携帯電話機10は、該転送要求に応じて、電話帳データを、PBAPを用いてハンズフリー装置1へ送信する。これらの処理により、携帯電話機10からハンズフリー装置1へ、電話帳データが自動転送される。
一方、上記ステップS3において、ハンズフリー接続部2Aが、HFPの接続に成功しなかったと判定すると(ステップS3:No)、ステップS7へ進む。
ステップS7では、ハンズフリー接続部2Aは、次位の優先順位の携帯電話機10が存在するか否かを判定する(ステップS7)。ハンズフリー接続部2Aが、次位の優先順位の携帯電話機10が存在すると判定すると(ステップS7:Yes)、ステップS8へ進む。ステップS7で否定判断すると(ステップS7:No)、本ルーチンを終了する。
ステップS8では、次位の優先順位の携帯電話機10をHFPの接続対象として選択する(ステップS8)。そして、上記ステップS2へ戻る。
携帯電話機10の電話通信状態が待受状態にある場合を想定する。この場合、ステップS2でHFPの接続に成功すると、ハンズフリー装置1は、通話処理および発信処理を実行することが可能となる。具体的には、ハンズフリー装置1は、携帯電話機10への着信を操作部4で受けて通話する通話処理、および、操作部4からの操作により携帯電話機に発信させる発信処理、を実行することが可能となる。ハンズフリー装置1の該状態を、以下では、ハンズフリー待受状態、と称して説明する場合がある。
また、上記ステップS4の処理によって、ハンズフリー装置1と携帯電話機10との間でPBAPの接続が確立される。また、ステップS2〜ステップS4の処理によって、ハンズフリー装置1は、同時接続した状態となる。
このため、携帯電話機10がハンズフリー装置1に近づいて、Bluetoothによる無線接続がなされると、PBAPによるデータ転送が行われるととともに、HFPも同時接続状態となり、ハンズフリー装置1のハンズフリー待受状態が維持される。
また、ハンズフリー装置1は、Bluetooth通信圏内に存在している携帯電話機10との間でHFPだけの接続を最初に行ってハンズフリー待受状態とし、その後、PBAPの初期接続処理を行う。
このため、ハンズフリー装置1は、HFPとPBAPとの初期接続を同時に行う場合であっても、同時処理による負荷の軽減や、同時処理によるソフトウェアの複雑化を抑制することができる。また、ハンズフリー装置1では、同時処理によって、HFP接続の完了が遅延することを抑制することができる。このため、ハンズフリー装置1は、同時接続を安定して確実に行うことが可能となる。
また、ハンズフリー装置1は、HFPの接続完了までの接続時間を短時間にすることができる。このため、ユーザが車両に携帯電話機10を持ち込んだときに、早期にHFPによるハンズフリー待受による発信処理、着信処理が可能な状態とすることができる。
ここで、ハンズフリー装置1と携帯電話機10との間でHFPとPBAPとが同時接続の状態にあるときに、携帯電話機10が着信を検出する場合がある。この場合、ハンズフリー装置1は、以下の処理を実行する。
図5は、同時接続の状態にあるときに、携帯電話機10に着信が発生した場合の処理の流れの一例を示す、フローチャートである。同時接続の状態とは、図4のステップS4の状態である。
転送制御部2Cは、HFPの接続状態にあり且つPBAPを接続処理中(S4の処理に相当)にあるときに、携帯電話機10で着信を検出したか否かを判定する(ステップS11)。携帯電話機10で着信を検出したと判定すると(ステップS11:Yes)、ステップS12へ進む。
ステップS12では、転送制御部2Cは、データ転送接続処理部2BによるPBAPの接続処理を停止させる(ステップS12)。
次に、転送制御部2Cは、ステップS11で検出した着信による着信状態、または、該着信による通話状態が終了し、待受状態に遷移したか否かを判定する(ステップS13)。転送制御部2Cは、携帯電話機10からHFPにより通知された電話通信状態が、発信状態または通話状態から待受状態への遷移を示すか否かを判断することで、ステップS13の判定を行う。
待受状態に遷移したと判定すると(ステップS13:Yes)、ステップS14へ進む。ステップS13で待受状態に遷移したと判定されるパターンは、例えば、以下の場合である。例えば、ハンズフリー装置1で着信拒否した場合である。また、例えば、発信相手側の携帯電話機10で発信をキャンセルした場合である。また、携帯電話機10と携帯電話機10との間で、通話が終了した場合である。
ステップS14では、転送制御部2Cは、PBAPの接続処理を最初から再開させ(ステップS14)、再度、携帯電話機10から電話データの転送を受付ける(ステップS15)。
これにより、PBAPの接続処理中にあるときに携帯電話機10が着信した場合であっても、以下の効果が得られる。すなわち、転送制御部2Cは、着信状態または着信に係る通話状態が終了して待受状態に遷移した後に、PBAPの接続処理を最初から再開する。このため、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データおよび電話帳データを適切に取得することができる。このため、これらの電話データと、携帯電話機10に記憶されている電話データと、の整合性を保つことができる。
なお、S14では、着信状態から待受状態へ遷移したときに、PBAP接続を最初から開始する形態を説明した。これは、以下の理由によるものである。
詳細には、着信状態を検出した時点で、携帯電話機10には、新たな着信履歴データが発生することとなる。着信状態を検出した時点で、PBAPの初期接続処理を開始することも可能である。しかし、初期接続処理を行ってデータ転送を行い始めた時点で、未だに着信が継続していると、その着信が不在着信なのか応答した着信なのかが不明である。このため、この状態で、仮に着信に係るデータを受信しても、ハンズフリー装置1では、不在着信であるか、応答した着信であるか、を判別出来ない。そこで、転送制御部2Cは、着信状態から異なる状態に遷移したタイミングで、PBAPでの初期接続処理、およびデータ転送を最初からやり直してもよい。
なお、携帯電話機10の電話通信状態は、最終的には待受状態に遷移する。このため、ステップS13では、待受状態への遷移を判定した場合に、ステップS14へ進む形態を示した。なお、ステップS13では、着信状態から通話状態への遷移を判別したときに、ステップS14へ進んでもよい。
一方、ハンズフリー装置1と携帯電話機10との間でHFPとPBAPとが同時接続の状態にあり、電話データの転送中に、携帯電話機10が着信を検出する場合がある。この場合、ハンズフリー装置1は、以下の処理を実行する。
図6は、同時接続の状態にあり且つ電話データの転送中に、携帯電話機10に着信が発生した場合の、処理の流れの一例を示す、フローチャートである。同時接続の状態にあり且つ電話データの転送中とは、図4のステップS5、ステップS6、図5のステップS15の何れかの状態である。
転送制御部2Cは、電話データの転送中に、携帯電話機10で着信を検出したか否かを判定する(ステップS21)。携帯電話機10で着信を検出したと判定すると(ステップS21:Yes)、ステップS22へ進む。
ステップS22では、転送制御部2Cは、データ転送接続処理部2Bによる電話データの転送を停止させる(ステップS22)。
次に、転送制御部2Cは、ステップS21で検出した着信による着信状態、または、該着信による通話状態が終了し、待受状態に遷移したか否かを判定する(ステップS23)。転送制御部2Cは、携帯電話機10からHFPにより通知された電話通信状態が、発信状態または通話状態から待受状態への遷移を示すか否かを判断することで、ステップS23の判定を行う。
待受状態に遷移したと判定すると(ステップS23:Yes)、ステップS24へ進む。
ステップS24では、転送制御部2Cは、電話データの転送を最初から再開させ(ステップS24)、再度、携帯電話機10から電話データの転送を受け付ける(ステップS25)。
これにより、電話データの転送中に携帯電話機10が着信した場合であっても、以下の効果が得られる。すなわち、転送制御部2Cは、着信状態または着信に係る通話状態が終了して待受状態に遷移した後に、電話データの転送処理を最初から再開する。このため、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データおよび電話帳データを適切に取得することができる。このため、これらの電話データと、携帯電話機10に記憶されている電話データと、の整合性を保つことができる。
ここで、同時接続の状態や、同時接続中で且つ電話データ転送中に携帯電話機10が着信した場合に、待受状態へ遷移した後に電話データの転送処理を最初から再開すると、以下の課題が生じる場合がある。すなわち、図5や図6を用いて説明した上述の処理の流れはあくまで一例であって、例えばモード設定の変更等により、以下で説明する処理を実行することができる。
詳細には、電話データの転送処理を最初から再開することで、オーバーヘッドの発生により、転送に時間を要する場合がある。また、電話データを表示部5へ表示するまでに、時間を要する場合がある。また、転送中の電話データの種類や電話通信状態に拘わらず、待受状態の遷移後に電話データの転送処理を最初から再開すると、効率性に欠ける場合がある。
そこで、本実施形態では、転送制御部2Cは、以下の転送制御を実行する。転送制御の定義は、上述したため、ここでは記載を省略する。
転送制御部2Cは、電話データの転送中に、携帯電話機10の電話通信状態が遷移した場合、転送中の電話データおよび遷移後の電話通信状態に応じた、転送に関する転送制御を実行する。
電話通信状態が遷移する、とは、携帯電話機10の電話通信状態である、発信状態、着信状態、通話状態、および待受状態の何れかの電話通信状態が、他の電話通信状態へと遷移することを意味する。
例えば、転送制御部2Cは、発信履歴データを含む電話データの転送中に、電話通信状態が発信状態へ遷移した場合、少なくとも発信履歴データの転送を中止する、転送制御を実行する。転送制御部2Cは、発信履歴データの携帯電話機10からの転送を中止するように、データ転送接続処理部2Bを制御することで、該転送制御を実行する。
また、転送制御部2Cは、発信履歴データを含む電話データの転送中に、発信状態以外の電話通信状態へ遷移した場合、電話データの転送を続行する、転送制御を実行してもよい。転送制御部2Cは、電話データの携帯電話機10からの転送を続行するように、データ転送接続処理部2Bを制御することで、該転送制御を実行する。
また、転送制御部2Cは、着信履歴データおよび不在着信履歴データの少なくとも一方を含む電話データの転送中に、電話通信状態が着信状態へ遷移した場合、着信履歴データおよび不在着信履歴データの少なくとも一方の転送を中止する、転送制御を実行してもよい。転送制御部2Cは、着信履歴データおよび不在着信履歴データの少なくとも一方の携帯電話機10からの転送を中止するように、データ転送接続処理部2Bを制御することで、該転送制御を実行する。
また、転送制御部2Cは、着信履歴データおよび不在着信履歴データの少なくとも一方を含む電話データの転送中に、着信状態以外の電話通信状態へ遷移した場合、電話データの転送を続行する、転送制御を実行してもよい。転送制御部2Cは、電話データの携帯電話機10からの転送を続行するように、データ転送接続処理部2Bを制御することで、該転送制御を実行する。
また、転送制御部2Cは、電話データの転送中に、電話通信状態が発信状態へ遷移した場合、電話データの転送完了後に、電話データに含まれる少なくとも発信履歴データを再度転送する、転送制御を実行してもよい。転送制御部2Cは、電話データの転送完了後に、少なくとも発信履歴データを再度転送するように、データ転送接続処理部2Bを制御することで、該転送制御を実行する。
また、転送制御部2Cは、電話データの転送中に、電話通信状態が着信状態へ遷移した場合、電話データの転送完了後に、電話データに含まれる少なくとも着信履歴データを再度転送する、転送制御を実行してもよい。転送制御部2Cは、電話データの転送完了後に、少なくとも着信履歴データを再度転送するように、データ転送接続処理部2Bを制御することで、該転送制御を実行する。
例えば、転送制御部2Cは、転送管理データを用いて、上記転送制御を実行する。転送管理データには、上記転送制御を実行可能となるように、電話通信状態および電話データの種類に応じた、転送条件が予め設定されている。転送条件は、転送可または転送不可、および、優先順位を含む。
図7は、転送管理データのデータ構成の一例を示す模式図である。転送管理データは、電話通信状態に対して、電話データの種類ごとに転送可否を示すデータである。例えば、転送管理データは、電話通信状態と、電話データの種類ごとの転送可または転送不可を示す転送可否情報と、優先順位と、を対応付けたデータである。
優先順位は、対応する電話通信状態であるときの、転送順を意味する。優先順位が高いほど、転送順が先であることを意味する。図7中、優先順位は、“<>”内の数字で示した。値が小さいほど、優先順位が高いことを意味する。
転送管理データには、転送不可に設定された種類の電話データより、転送可に設定された種類の電話データの優先順位が高くなるように、予め優先順位が設定されている。また、転送管理データには、該優先順位の条件を満たしたうえで、よりデータ量の小さい種類の電話データの優先順位が高くなるように、予め優先順位が設定されている。
なお、待受状態には、通話が終了した状態である終話状態も含まれるものとする。また、着信状態には、キャッチホン着信中の状態も含まれるものとする。
図7中、全履歴データとは、不在着信履歴データ、着信履歴データ、発信履歴データ、を統合した履歴データである。携帯電話機10が全履歴データを生成する構成である場合、ハンズフリー装置1には、全履歴データをさらに含む電話データが転送される。
図7中、“遷移元で切替え”とは、通話状態への遷移前の電話通信状態に応じて、転送可および転送不可が定まることを意味する。転送管理データには、通話状態に対応する着信履歴データの転送可否情報として、着信状態を経由して通話状態へ遷移した場合には転送不可、発信状態を経由して通話状態へ遷移した場合には転送可、を示す情報が登録されている。また、転送管理データには、通話状態に対応する発信履歴データの転送可否情報として、着信状態を経由して通話状態へ遷移した場合には転送可、発信状態を経由して通話状態へ遷移した場合には転送不可、を示す情報が登録されている。
本実施形態では、転送制御部2Cは、同時接続の状態であるときに携帯電話機10が着信した場合、転送管理データに基づいて、転送中の電話データよび遷移後の電話通信状態に応じた、転送制御を実行すればよい。
図8は、転送制御部2Cが実行する転送制御の流れの一例を示すフローチャートである。
転送制御部2Cは、HFPとPBAPが同時接続であるときに、携帯電話機10で着信または発信を検出したか否かを判定する(ステップS90)。転送制御部2Cは、携帯電話機10からHFPにより通知された電話通信状態が、着信状態または発信状態を示すか否かを判断することで、ステップS90の判定を行う。
携帯電話機10で着信または発信を検出したと判定すると(ステップS90:Yes)、ステップS91へ進む。
ステップS91では、転送制御部2Cは、着信を検出したか否かを判定する(ステップS91)。転送制御部2Cは、携帯電話機10からHFPにより通知された電話通信状態が、着信状態を示すか否かを判断することで、ステップS91の判定を行う。着信を検出したと判定すると(ステップS91:Yes)、ステップS92へ進む。
ステップS92では、転送制御部2Cは、携帯電話機10からハンズフリー装置1へ不在着信履歴データまたは着信履歴データの転送中であるか否かを判定する(ステップS92)。ステップS92で否定判断すると(ステップS92:No)、後述するステップS94へ進む。
不在着信履歴データまたは着信履歴データの転送中である場合(ステップS92:Yes)、ステップS93へ進む。ステップS93では、転送制御部2Cは、不在着信履歴データおよび着信履歴データの転送を中止するように、転送制御を行う(ステップS93)。
そして、転送制御部2Cは、不在着信履歴データおよび着信履歴データ以外の電話データ(発信履歴データ、電話帳データ)を、転送管理データに示される優先順の高い順に転送する、転送制御を行う(ステップS94)。このため、例えば、携帯電話機10からハンズフリー装置1へ、発信履歴データが転送された後に、電話帳データが転送される。
次に、転送制御部2Cは、電話通信状態が、通話状態、待受状態、の何れかへ遷移したか否かを判定する(ステップS95)。通話状態へ遷移(着信状態が終了)したと判定すると(ステップS95:Yes)、ステップS96へ進む。ステップS96では、転送制御部2Cは、不在着信履歴データを転送するように、転送制御を行う(ステップS96)。転送制御部2Cは、転送の中止により転送できなかった残りの不在着信履歴データのみを転送してもよい。
次に、転送制御部2Cは、待受状態に遷移したか否かを判定する(ステップS97)。待受状態に遷移(着信状態が終了)したと判定すると(ステップS97:Yes)、ステップS98へ進む。ステップS98では、転送制御部2Cは、着信履歴データを転送するように、転送制御を行う(ステップS98)。転送制御部2Cは、転送の中止により転送できなかった残りの着信履歴データのみを転送してもよい。そして本ルーチンを終了する。
一方、ステップS95で待受状態に遷移したと判定すると(ステップS95:No(待受状態に遷移))、ステップS99へ進む。ステップS99では、転送制御部2Cは、不在着信履歴データおよび着信履歴データを転送するように、転送制御を行う(ステップS99)。そして、本ルーチンを終了する。
一方、上記ステップ91で発信を検出したと判定した場合(ステップS91:No)、ステップS100へ進む。
ステップS100では、転送制御部2Cは、携帯電話機10からハンズフリー装置1へ発信履歴データの転送中であるか否かを判定する(ステップS100)。ステップS100で否定判断すると(ステップS100:No)、後述するステップS102へ進む。発信履歴データの転送中であると判定すると(ステップS100:Yes)、ステップS101へ進む。
ステップS101では、転送制御部2Cは、発信履歴データの転送を中止する転送制御を行う(ステップS101)。
次に、転送制御部2Cは、携帯電話機10からハンズフリー装置1へ発信履歴データ以外の電話データを転送する転送制御を行う(ステップS102)。
次に、転送制御部2Cは、電話通信状態が通話状態、待受状態、の何れかへ遷移したか否かを判定する(ステップS103)。通話状態へ遷移(発信状態が終了)したと判定すると(ステップS103:Yes)、ステップS104へ進む。ステップS104では、転送制御部2Cは、携帯電話機10からハンズフリー装置1へ発信履歴データを転送するように、転送制御を行う(ステップS104)。転送制御部2Cは、転送の中止により転送できなかった残りの発信履歴データのみを転送してもよい。そして、本ルーチンを終了する。
一方、転送制御部2Cは、待受状態に遷移したと判定すると(ステップS103:No(待受状態に遷移))、本ルーチンを終了する。
図9は、電話データの転送中に携帯電話機10で着信が発生した場合の、転送制御の流れの説明図である。
図9に示すように、携帯電話機10の電話通信状態が待受状態であるときには、転送制御部2Cは、転送管理データに基づいて、図9に示す転送順で電話データを順次転送する転送制御を行う。詳細には、転送制御部2Cは、携帯電話機10からハンズフリー装置1へ、不在着信履歴データ、着信履歴データ、発信履歴データ、全履歴データ、電話帳データ、の順に転送するように、データ転送接続処理部2Bの転送制御を行う。
そして、携帯電話機10の電話通信状態が待受状態から着信状態へと遷移すると、転送制御部2Cは、転送管理データに基づいて、図9に示す転送順で電話データを順次転送する転送制御を行う。詳細には、転送制御部2Cは、携帯電話機10からハンズフリー装置1への不在着信履歴データの転送を中止し、ハンズフリー装置1へ発信履歴データ、電話帳データ、のこの順に転送するように転送制御を行う。
さらに、携帯電話機10の電話通信状態が着信状態から通話状態へと遷移すると、転送制御部2Cは、転送管理データに基づいて、図9に示す転送順で電話データを順次転送する転送制御を行う。詳細には、転送制御部2Cは、携帯電話機10からハンズフリー装置1へ、発信履歴データ、電話帳データ、不在着信履歴データ、着信履歴データ、全履歴データ、の順に転送するように、転送制御を行う。なお、携帯電話機10側の履歴データが未更新の場合がある。このため、着信状態から通話状態へ遷移した場合には、着信履歴データおよび全履歴データは、転送不可としてもよい。
さらに、携帯電話機10の電話通信状態が着信状態から通話状態へと遷移すると、転送制御部2Cは、転送管理データに基づいて、図9に示す転送順で電話データを順次転送する転送制御を行う。詳細には、転送制御部2Cは、携帯電話機10からハンズフリー装置1へ、発信履歴データ、電話帳データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ、全履歴データ、の順に転送するように、転送制御を行う。
なお、電話帳データのデータ量は、履歴データに比べて大きい。このため、転送制御部2Cは、履歴データの後に電話帳データを転送するように、転送制御してもよい。
このように、転送制御部2Cは、転送中の電話データおよび遷移後の電話通信状態に応じて、携帯電話機10からハンズフリー装置1への電話データの転送に関する転送制御を実行する。
このため、本実施形態のハンズフリー装置1では、ハンズフリー装置1と携帯電話機10との間の電話データの整合性を効率よく保つことができる。
なお、転送制御部2Cは、電話データの内の何れかの転送中に、電話通信状態が発信状態へと遷移した場合、転送中の電話データの転送完了後に、発信履歴データを再度転送するように、転送制御してもよい。この場合、遷移後の電話通信状態に応じた、変化の生じた可能性の高い履歴データを選択的に再度転送させることができる。このため、ハンズフリー装置1は、電話データの整合性を更に効率よく保つことができる。
また、転送制御部2Cは、電話データの何れかの転送中に、電話通信状態が着信状態へと遷移した場合、転送中の電話データの転送完了後に、着信履歴データを再度転送するように、転送制御してもよい。この場合、遷移後の電話通信状態に応じた、変化の生じた可能性の高い履歴データを選択的に再度転送させることができる。このため、ハンズフリー装置1は、電話データの整合性を更に効率よく保つことができる。
次に、PBAPによるデータ転送が成功した後における同時接続の処理について、説明する。
ハンズフリー装置1では、PBAPによるデータ転送の終了後も、HFPとPBAPとの同時接続状態が維持される。このため、ハンズフリー装置1は、所定タイミングでPBAPによりデータ転送を開始することが可能である。このため、携帯電話機10で新たな着信または発信が発生した場合も、携帯電話機10の最新の電話データをハンズフリー装置1側で更新することができる。
図10〜図15を用いて説明する。
図10〜図15では、上記図4のS2でHFPを接続した後において、携帯電話機10で着信または発信があり、該携帯電話機10に、該着信および該発信の履歴を含む着信履歴データおよび発信履歴データが記憶されている場面を想定して説明する。また、上記図4のS2でHFPを接続した後において、操作部4の操作に応じてBluetooth通信部3を介した携帯電話機10による発信処理が行われた場合を想定する。この場合、発信先の電話番号は、Bluetooth通信部3を介してハンズフリー装置1から携帯電話機10に送られる。このため、この発信を含む発信履歴データについても、携帯電話機10に記憶されている。
図10は、携帯電話機10の操作部の操作により携帯電話機10で発信処理が行われた場合に、ハンズフリー装置1で実行される転送処理の流れのフローチャートである。
上述したように、ハンズフリー装置1と携帯電話機10とのHFP接続が確立されている状態では、ハンズフリー装置1の操作部4の操作によって発信処理を行うことが可能である。また、HFP接続が確立されている状態されている状態では、携帯電話機10の操作部の操作によって発信処理を行うことで、ハンズフリー通話を行うことも可能である。
この場合、ハンズフリー装置1では、この発信処理による発信履歴データを携帯電話機10から取得し、履歴データを最新の状態へ更新する必要がある。ハンズフリー装置1は、ハンズフリー装置1からの発信であるか否かを判断することは可能である。また、ハンズフリー装置1は、携帯電話機10から通知された電話通信状態を解析することで、携帯電話機10からの発信であるか否かを判断することも可能である。
そこで、転送制御部2Cは、待受状態にあるときに、携帯電話機10からの発信があったか否かを判定する(ステップS31:Yes)。転送制御部2Cは、携帯電話機10から通知される電話通信状態が発信状態を示すか否かを判別することで、ステップS31の判定を行う。
ステップS31で肯定判断すると(ステップS31:Yes)、ステップS32へ進む。ステップS32では、転送制御部2Cは、ステップS31で判定した発信状態が待受状態に遷移したか否かを判定する(ステップS32)。転送制御部2Cは、携帯電話機10からHFPにより通知された電話通信状態が、発信状態または通話状態から待受状態への遷移を示すか否かを判断することで、ステップS32の判定を行う。
待受状態に遷移したと判定すると(ステップS32:Yes)、ステップS33へ進む。ステップS43で待受状態に遷移したと判定されるパターンは、例えば、以下の場合である。例えば、携帯電話機10で着信拒否した場合である。また、例えば、発信相手側の携帯電話機10で発信をキャンセルした場合である。また、携帯電話機10と携帯電話機10との間で、通話が終了した場合である。
ステップS33では、転送制御部2Cは、携帯電話機10から電話データ(発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データおよび電話帳データ)を取得する(ステップS33)。
これにより、携帯電話機10からの発信が終了する毎に、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データおよび電話帳データを取得することができる。このため、これらの電話データと、携帯電話機10に記憶されている電話データと、の整合性を保つことができる。
なお、転送制御部2Cは、携帯電話機10の操作部の操作により携帯電話機10で発信処理が行われた場合についても、上記図8と同様に、転送中の電話データおよび遷移後の電話通信状態に応じた、上記転送制御を実行してもよい。
また、図10のステップS32では、待受状態への遷移を判定したが、発信状態への遷移を判定してもよい。
図11は、ハンズフリー装置1の操作部4の操作により発信処理が行われた場合に、ハンズフリー装置1で実行される転送処理の流れのフローチャートである。
転送制御部2Cは、待受状態にあるときに、ハンズフリー装置1からの発信があったか否かを判定する(ステップS41:Yes)。
ステップS41で肯定判断すると(ステップS41:Yes)、ステップS42へ進む。ステップS42では、転送制御部2Cは、ステップS41で判定した発信状態が待受状態に遷移したか否かを判定する(ステップS42)。転送制御部2Cは、携帯電話機10からHFPにより通知された電話通信状態が、発信状態または通話状態から待受状態への遷移を示すか否かを判断することで、ステップS42の判定を行う。
待受状態に遷移したと判定すると(ステップS42:Yes)、ステップS43へ進む。ステップS43で待受状態に遷移したと判定されるパターンは、例えば、以下の場合である。例えば、ハンズフリー装置1で自装置からの発信を取消した場合である。また、例えば、携帯電話機10でハンズフリー装置1からの発信を取消した場合、或いは、発信相手側の携帯電話機10で着信を拒否した場合である。
ステップS43では、転送制御部2Cは、携帯電話機10から電話データ(発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データおよび電話帳データ)を取得する(ステップS43)。
これにより、ハンズフリー装置1からの発信が終了する毎に携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データおよび電話帳データを取得することができる。このため、これらの電話データと、携帯電話機10に記憶されている電話データと、の整合性を保つことができる。
なお、転送制御部2Cは、ハンズフリー装置1から発信処理が行われた場合についても、上記図8と同様に、転送中の電話データおよび遷移後の電話通信状態に応じた、上記転送制御を実行してもよい。
また、図11のステップS42では、待受状態への遷移を判定したが、発信状態への遷移を判定してもよい。
図12は、図10および図11の変形例である。図12は、図10および図11において、通話状態から待受状態に遷移した場合に、ハンズフリー装置1で実行される転送処理の流れのフローチャートである。
転送制御部2Cは、ハンズフリー装置1と携帯電話機10とがハンズフリー通話状態、または、携帯電話機10単体が通話状態であるときに、待受状態に遷移したか否かを判定する(ステップS51)。ステップS51で肯定判断される場合は、ハンズフリー装置1で終話した、携帯電話機10で終話した、または、通話相手側で終話した、場合である。
ステップS51で肯定判断すると(ステップS51:Yes)、ステップS52へ進む。ステップS52では、転送制御部2Cは、携帯電話機10から電話データ(発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データおよび電話帳データ)を取得する(ステップS43)。
このため、通話を終了する毎に、携帯電話機10から電話データを取得することができる。このため、ハンズフリー装置1に記憶される電話データと、携帯電話機10に記憶されている電話データと、の整合性を保つことができる。
なお、転送制御部2Cは、通話状態から待受状態へ遷移した場合についても、上記図8と同様に、転送中の電話データおよび遷移後の電話通信状態に応じた、上記転送制御を実行してもよい。
図13は、図10および図11の変形例である。図13は、図10および図11において、着信状態から待受状態に遷移した場合に、ハンズフリー装置1で実行される転送処理の流れのフローチャートである。
転送制御部2Cは、着信状態にあるときに、待受状態へ遷移したか否かを判断する(ステップS61)。ステップS61で肯定判断される場合は、ハンズフリー装置1で着信拒否、携帯電話機10で着信拒否、発信相手側で発信を取消、または、着信後に通話状態へ遷移し更に通話が終了、などにより、待受状態へ遷移した場合である。
ステップS61で肯定判断すると(ステップS61:Yes)、ステップS62へ進む。ステップS62では、転送制御部2Cは、携帯電話機10から電話データ(発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データおよび電話帳データ)を取得する(ステップS62)。
このため、着信を終了する毎に、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データおよび電話帳データを取得することができる。このため、ハンズフリー装置1に記憶される電話データと、携帯電話機10に記憶されている電話データと、の整合性を保つことができる。
なお、転送制御部2Cは、着信状態から待受状態へ遷移した場合についても、上記図8と同様に、転送中の電話データおよび遷移後の電話通信状態に応じた、上記転送制御を実行してもよい。
なお、ハンズフリー装置1は、待受状態から着信状態となったら直ぐに、データ転送することも可能である。しかし、着信には、着信に対して電話に出なかった不在着信と、着信状態から通話状態となった応答着信と、がある。しかし、電話通信状態は、最終的には、待受状態に遷移する。このため、転送制御部2Cは、待受状態へ遷移した場合に、着信が不在着信であるか応答着信であるかを示すデータを、携帯電話機10から取得してもよい。この場合、表示制御部2Dは、着信が不在着信であるか応答着信であるかを表す表示画面を、表示部5へ表示することができる。
なお、転送制御部2Cは、タイマを用いて、データ転送のタイミングを制御してもよい。
図14は、タイマ値を用いたデータ転送のタイミング制御の流れの一例を示すフローチャートである。
データ転送接続処理部2BがPBAPの接続を確立すると、転送制御部2Cは、タイマ値を設定する(ステップS71)。転送制御部2Cは、設定したタイマ値を所定時間間隔でデクリメントする(ステップS72)。転送制御部2Cは、タイマ値がタイムアップしたと判定すると(ステップS73:Yes)、ステップS74へ進む。
ステップS74では、転送制御部2Cは、携帯電話機10から発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データおよび電話帳データを取得する(ステップS74)。
図14に示す処理により、ハンズフリー装置1は、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データおよび電話帳データを携帯電話機10から定期的に取得することができる。このため、ハンズフリー装置1は、携帯電話機10の電話データと、ハンズフリー装置1の電話データと、の整合性を保つことができる。
図15は、ユーザによる操作部4の操作をトリガーとして、データ転送を開始する場合の流れを示すフローチャートである。
表示制御部2Dは、ユーザによる操作部4の操作により表示画面の変更指示を受け付けると、変更指示された履歴データまたは電話帳データに表示画面を切り替える。詳細には、表示制御部2Dは、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ、および電話帳データ、の何れかに表示画面を遷移させたか否かを判断する(ステップS81)。
ステップS81で肯定判断すると(ステップS81:Yes)、転送制御部2Cは、携帯電話機10から電話データを転送する(ステップS82)。
この場合、表示部5に表示される電話データが切り替えられるごとに、携帯電話機10からハンズフリー装置1へ電話データが自動転送される。
なお、図10〜図15に示す処理では、ハンズフリー装置1は、電話データを定期的に携帯電話機10から取得する形態を説明した。しかし、電話データに含まれる、電話帳データは、Vcard形式に変換する処理に時間を要する。また、電話帳データのデータ量は、履歴データのデータ量に比べて大きい。このため、携帯電話機10およびハンズフリー装置1への負荷が大きく、携帯電話機10およびハンズフリー装置1の電池容量を減らす要因となる場合がある。
そこで、携帯電話機10とハンズフリー装置1との間でPBAP接続が確立されると、ハンズフリー装置1は、所定タイミングごとに、電話帳データ以外の電話データである履歴データを、携帯電話機10から取得してもよい。これによって、携帯電話機10およびハンズフリー装置1の処理を低減でき、その電池容量の低下を抑えることができる。
また、ハンズフリー装置1の転送制御部2Cは、着信があった場合には、着信履歴データ、不在着信履歴データだけを転送し、発信があった場合は、発信履歴データだけを転送するように転送制御してもよい。この結果、無駄なデータ転送を省略できることとなり、携帯電話機10の処理を低減でき、その電池容量の低下を抑えることができる。
なお、図10〜図15を参照して説明した処理は、単独で行われてもよいし、複数が複合的に組み合わされて行われてもよい。
携帯電話機10からハンズフリー装置1へ転送されたデータに対して、ハンズフリー装置1で実行される処理を説明する。
なお、以下では、ハンズフリー装置1の作業メモリ6に記憶可能な履歴データに含まれるデータの件数が、携帯電話機10から自動転送された履歴データに含まれるデータの件数より少ない場合を想定して説明する。具体的には、携帯電話機10から自動転送された発信履歴データ、着信履歴データ、および不在着信履歴データの各々に含まれるデータの件数が、20件である場合を想定して説明する。また、作業メモリ6に記憶可能な、これらの履歴データの各々に含まれるデータの件数が、5件である場合を想定して説明する。
制御部2の表示制御部2Dは、携帯電話機10から自動転送された発信履歴データのうち発信日時が古い発信履歴データを破棄する。そして、表示制御部2Dは、発信日時が新しい5件分の発信履歴データを、作業メモリ6へ記憶する。また、表示制御部2Dは、他の履歴データ(着信履歴データ、不在着信履歴データ)についても同様に、発信日時が新しい5件分の履歴データを、作業メモリ6へ記憶する。
そして、表示制御部2Dは、ユーザによる操作部4の操作指示などに応じて、記憶された履歴データや電話帳データを表示部5へ表示すればよい。
なお、着信履歴データは、着信に対して応答した履歴データである。不在着信履歴データは、着信に対して応答しなかった履歴データである。
このため、表示制御部2Dは、これらの履歴データを同時に一覧表示する場合、応答した着信を表すアイコン図形、および、応答しなかった着信である不在着信を表すアイコン図形の少なくとも一方を、対応する履歴データごとに表示することが好ましい。応答した着信を表すアイコン図形には、例えば、受話器と矢印との組合せからなる図形を用いればよい。また、不在着信を表すアイコン図形には、例えば、受話器と×印との組み合せからなる図形を用いればよい。
また、データ転送接続処理部2Bは、PBAPを接続するときにハンズフリー装置1が携帯電話機10に対して自動転送すべき件数(本実施形態では5件)を指定し、発信日時や着信日時が新しい発信履歴データや着信履歴データ、不在着信履歴データを優先して作業メモリ6に記憶してもよい。
携帯電話機10では、電話帳データのデータ形式をBluetooth通信規格で規定されている「vCard」のデータフォーマットに変換してハンズフリー装置1へ転送する必要がある。また、電話帳データは、一般的に、発信履歴データおよび着信履歴データなどの履歴データに比べてデータ更新頻度が低い。
このため、転送制御部2Cは、発信履歴データ、着信履歴データ、および不在着信履歴データなどの履歴データを携帯電話機10から転送された後に、電話帳データを転送されるように制御してもよい。また、転送制御部2Cは、履歴データを携帯電話機10から転送された後に、ユーザによる操作部4の操作により所定の操作指示を受付けた場合に、電話帳データを転送されるように制御してもよい。
この場合、ハンズフリー装置1には、データ更新の頻度の高い履歴データが、データ更新の頻度の低い電話帳データより優先して転送される。また、転送のためのデータ変換が不要な履歴データを、転送のためのデータ変換が必要な電話帳データより先に、携帯電話機10からハンズフリー装置1へ転送することができる。このため、本実施形態のハンズフリー装置1では、利便性の向上を図ることができる。また、ユーザによる操作部4の操作によって、電話帳データを転送するか否かを選択可能としてもよい。
また、以上の説明では、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データ、電話帳データを自動転送する形態を説明したが、一部を手動転送としてもよい。この場合、ハンズフリー装置1では、ユーザから手動転送および自動転送の選択を受付け、予め設定すればよい。そして、ハンズフリー装置1は、この設定に応じて、PBAP処理を行ってもよい。例えば、ユーザが自動転送設定を行っていない場合、発信履歴データ、着信履歴データ、不在着信履歴データだけが、自動転送される。一方、手動設定による電話帳データの転送を行った場合には、電話帳データだけは不揮発性の記憶メモリ7に記憶しておく。そして、記憶されたデータは次回のハンズフリー装置1の起動時に記憶メモリ7から読出して電話帳データとして利用してもよい。
また、ハンズフリー装置1の制御部2は、携帯電話機10から転送された、発信履歴データ、着信履歴データおよび電話帳データを、転送元の携帯電話機10ごとに区別して作業メモリ6に記憶してもよい。この場合、制御部2は、転送元の携帯電話機10のIDと、ハンズフリー装置1のIDと、に基づいてリンクキーを生成する。そして、制御部2は、リンクキーと該リンクキーの生成に用いたIDによって識別される携帯電話機10から転送された電話データと、を対応付けて作業メモリ6に記憶すればよい。制御部2は、携帯電話機10から電話データを転送されるごとに、該携帯電話機10のIDを用いてリンクキーを生成する。そして、制御部2は、生成したリンクキーに対応付けて、転送された電話データを作業メモリ6へ記憶することで、電話データを更新すればよい。
電話データを転送元の携帯電話機10ごとに区別して記憶することで、ハンズフリー装置1では、携帯電話機10ごとに電話データを管理することができる。また、この場合、ハンズフリー装置1への電力供給が開始されるごとに、携帯電話機10から電話帳データを受信する必要がなくなる。このため、ユーザは、自身の携帯電話機10に対応する電話帳データをハンズフリー装置1で速やかに利用することができる。また、電話帳機能を使用するときの利便性を格段に高めることができる。
なお、本実施形態では、携帯電話機10から転送された電話データが作業メモリ6に記憶される形態を一例として説明した。しかし、少なくとも1つの種類の電話データを、記憶メモリ7に記憶してもよい。例えば、履歴データを作業メモリ6に記憶し、電話帳データを記憶メモリ7に記憶してもよい。また、履歴データおよび電話帳データを記憶メモリ7に記憶してもよい。
以上説明したように、本実施形態のハンズフリー装置1は、ハンズフリー接続部2Aと、データ転送接続処理部2Bと、転送制御部2Cと、を備える。ハンズフリー接続部2Aは、ハンズフリー通話を行うためのHFPを用いて携帯電話機10と接続するハンズフリー接続処理を実行する。データ転送接続処理部2Bは、電話に関する電話データの転送を行うためのPBAPを用いて携帯電話機10と接続し、携帯電話機10から電話データの転送を受付けるデータ転送処理を行う。転送制御部2Cは、電話データの転送中に、携帯電話機10の電話通信状態が遷移した場合、転送中の電話データおよび遷移後の電話通信状態に応じた、転送に関する転送制御を実行する。
ここで、転送中の電話データ、および、遷移後の電話通信状態に拘わらず、携帯電話機10からハンズフリー装置1への電話データの転送制御を実行すると、ハンズフリー装置1と携帯電話機10との電話データの整合性を効率よく保つことが困難な場合がある。
例えば、転送中の電話データおよび電話通信状態に拘わらず、電話データの転送処理を最初から再開する場合がある。この場合、オーバーヘッドの発生により、転送に時間を要する場合がある。また、電話データを表示部5へ表示するまでに、時間を要する場合がある。また、転送中の電話データの種類や電話通信状態に拘わらず、待受状態の遷移後に電話データの転送処理を最初から再開すると、効率性に欠ける場合がある。
一方、本実施形態のハンズフリー装置1では、電話データの転送中に、携帯電話機10の電話通信状態が遷移した場合、転送中の電話データおよび遷移後の電話通信状態に応じた、転送に関する転送制御を実行する。
このため、転送中の電話データ、および、遷移後の電話通信状態に拘わらず、携帯電話機10からハンズフリー装置1への電話データの転送制御を実行する場合に比べて、ハンズフリー装置1と携帯電話機10との電話データの整合性を効率よく保つことができる。
従って、本実施形態のハンズフリー装置1は、電話に関する電話データの整合性を効率よく保つことができる。
また、本実施形態のハンズフリー装置1によれば、HFPとPBAPとの同時接続を行って、必要なときのみ、PBAPによるデータ転送を行う。このため、本実施形態のハンズフリー装置1では、データ転送を無用に行うこと無く、携帯電話機10における最新の履歴データに応じて、ハンズフリー装置1の履歴データを更新することできる。
また、ハンズフリー装置1では、携帯電話機10との間でBluetooth通信回線を確立し、携帯電話機10から自動転送された電話データを作業メモリ6に記憶する。Kのため、ハンズフリー装置1では、作業メモリ6に記憶した発信履歴データや着信履歴データによる発信操作を可能とすることができる。よって、ハンズフリー装置1では、携帯電話機10から自動転送された履歴データから所望の電話番号を選択して発信することができる。また、ハンズフリー装置1では、自装置の発信履歴データや着信履歴データからも所望の電話番号を選択して発信することができる。このため、本実施形態のハンズフリー装置1は、上記効果に加えて、利便性の向上を図ることができる。
なお、上述した実施形態における、上記処理を実行するためのプログラムは、上記複数の機能部の各々を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしては、例えば、CPU(プロセッサ回路)がROMまたはHDDから情報処理プログラムを読み出して実行することにより、上述した複数の機能部の各々がRAM(主記憶)上にロードされ、上述した複数の機能部の各々がRAM(主記憶)上に生成されるようになっている。なお、上述した複数の機能部の各々の一部または全部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはFPGA(Field−Programmable Gate Array)などの専用のハードウェアを用いて実現することも可能である。
なお、上記には、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、本開示の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上記実施形態は、本開示の範囲または要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
例えば、ハンズフリー装置1は、ハンズフリー機能を主として実現するハンズフリー専用装置から構成されていてもよいし、音楽やラジオ音声などを再生する車両用オーディオ装置にハンズフリー機能を搭載した装置であってもよい。また、ハンズフリー装置1がポータブル性を有する、すなわち可搬タイプの構成であってもよい。
また、携帯電話機10とハンズフリー装置1とは、Bluetooth通信を行う構成に限らず、他の近距離無線通信を行う構成であってもよく、また、有線通信を行う構成であってもよい。
また、作業メモリ6に記憶可能な発信履歴データや着信履歴データの件数は1件であってもよい。
また、ハンズフリー装置1では、複数の発信履歴データ、複数の着信履歴を同時に表示してもよいし、1件ずつ表示してもよい。1件ずつ表示する場合には、例えば、最初に最新のデータを表示し、操作部4の操作により、次に最新のデータを順に表示するようにしてもよい。
また、本実施形態では、携帯電話機10とハンズフリー装置1とがBluetooth通信回線を確立した場合に、電話データを自動転送する構成を説明した。しかし、ユーザによるハンズフリー装置1または携帯電話機10の操作をトリガーとして、携帯電話機10からハンズフリー装置1へ電話データが自動転送される構成であってもよい。
本開示のハンズフリー装置は、ハンズフリー接続部と、データ転送接続処理部と、転送制御部と、を備える。ハンズフリー接続部は、ハンズフリー通話を行うためのハンズフリー通信プロトコルを用いて携帯電話機と接続するハンズフリー接続処理を実行する。データ転送接続処理部は、電話に関する電話データの転送を行うためのデータ転送プロトコルを用いて携帯電話機と接続し、前記携帯電話機から前記電話データの転送を受付けるデータ転送処理を行う。転送制御部は、前記電話データの転送中に、前記携帯電話機の電話通信状態が遷移した場合、転送中の前記電話データおよび遷移後の前記電話通信状態に応じた、転送に関する転送制御を実行する。また、転送制御部は、発信履歴データを含む前記電話データの転送中に、前記電話通信状態が発信状態へ遷移した場合、少なくとも前記発信履歴データの転送を中止する前記転送制御を実行し、前記発信履歴データを含む前記電話データの転送中に、発信状態以外の前記電話通信状態へ遷移した場合、前記発信履歴データの転送を続行する前記転送制御を実行する。