JP2021147550A - 成形材料および繊維強化複合材料 - Google Patents

成形材料および繊維強化複合材料 Download PDF

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Abstract

【課題】マトリックス樹脂の強化繊維への含浸性に優れ、かさ高い繊維束においても繊維と樹脂の界面強度が高く、優れた成形材料を提供すること、さらには、かかる成形材料を用いることで、力学特性に優れる繊維強化複合材料を提供することにある。【解決手段】不連続強化繊維の束状集合体と樹脂組成物とを含む成形材料であって、前記束状集合体は、数平均繊維長が3〜100mmの範囲内である不連続の強化繊維束が実質的にランダムに配向され、その単位面積あたりの繊維質量Fm(繊維目付) と不連続強化繊維の束状集合体の厚みTmとから算出される、かさ高性Bmが1.5〜5cm3/gの範囲内である、不連続強化繊維の束状集合体であり、前記樹脂組成物は、芳香族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、エポキシ樹脂と反応する官能基をもつ化合物、該化合物以外のエポキシ硬化剤を含む樹脂組成物である、成形材料。【選択図】なし

Description

本発明は、不連続強化繊維の束状集合体と樹脂組成物とを含む繊維強化複合材料用成形材料(「成形材料」ということもある。)、およびそれが硬化されてなる繊維強化複合材料に関する。
強化繊維とマトリックス樹脂とからなる繊維強化複合材料は、強化繊維とマトリックス樹脂の利点を生かした材料設計が出来るため、航空宇宙分野、自動車分野を始め、スポーツ分野、一般産業分野等に用途が拡大している。繊維強化複合材料は、ハンドレイアップ法、フィラメントワインディング法、プルトルージョン法、レジントランスファーモールディング(RTM)法、プリプレグのオートクレーブ成形法、成形材料のプレス成形法等により製造される。
プレス成形法に用いられる成形材料としては、プリプレグやトウプレグ、バルクモールディングコンパウンド(BMC)、シートモールディングコンパウンド(SMC)等が挙げられる。これらの成形材料は強化繊維にマトリックス樹脂を含浸させたものである。
強化繊維としては、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維、ボロン繊維等が用いられる。マトリックス樹脂としては、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂のいずれも用いられるが、強化繊維への含浸が容易な熱硬化性樹脂が用いられることが多い。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド樹脂、シアネート樹脂等が用いられる。この中で、強化繊維との接着性、寸法安定性、および、得られる繊維強化複合材料の強度や剛性といった力学特性の観点から、エポキシ樹脂が広く用いられている。
不連続強化繊維(例えば、不連続炭素繊維)の束状集合体とマトリックス樹脂からなる成形材料において、単糸数が多い繊維束からなる成形材料では成形の際の流動性には優れるが、成形品の力学特性は劣る傾向がある。これに対し、成形時の流動性と成形品の力学特性の両立を狙い、成形材料内の繊維束として、任意の単糸数に調整した繊維束を用い、マトリックス樹脂を含浸させることで、優れた成形材料を得る方法が提案されている(特許文献1)。
国際公開2017/221688号公報
特許文献1に記載の手法によれば、任意の単糸数に調整した繊維束を用いることで、力学特性に優れた成形材料を得ることができるが、マトリックス樹脂が最適化されておらず、得られる繊維強化複合材料の力学特性を最大限に発揮するには至っていなかった。また、マトリックス樹脂の含浸性を高めるために不連続強化繊維の束状集合体のかさ高さを大きくした場合、強化繊維の表面積増大に伴い、相対的にマトリックス樹脂のもつ官能基量が減少するため、強化繊維とマトリックス樹脂間の界面強度が低下し繊維強化複合材料の力学特性が低下する課題があった。
そこで、本発明の課題は、かかる従来技術の欠点を改良し、マトリックス樹脂の強化繊維への含浸性に優れ、かさ高い繊維束においても繊維と樹脂の界面強度が高く、優れた成形材料を提供すること、さらには、かかる成形材料を用いることで、力学特性に優れる繊維強化複合材料を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明の成形材料は次の構成を有する。すなわち、不連続強化繊維の束状集合体と樹脂組成物とを含む成形材料であって、前記束状集合体は、数平均繊維長が3〜100mmの範囲内である不連続の強化繊維束が実質的にランダムに配向され、その単位面積あたりの繊維質量Fm(繊維目付) と不連続強化繊維の束状集合体の厚みTmとから下式(1)により算出される、かさ高性Bmが1.5〜5cm/gの範囲内である、不連続強化繊維の束状集合体であり、前記樹脂組成物は、以下の成分(A)、(B)、(C)、(D)を含む樹脂組成物である、成形材料である。
成分(A):芳香族エポキシ樹脂
成分(B):脂肪族エポキシ樹脂
成分(C):エポキシ樹脂と反応する官能基をもつ化合物
成分(D):成分(C)以外のエポキシ硬化剤
Bm=Tm/Fm・・・(1)
本発明の成形材料は、従来の成形材料に比べ、マトリックス樹脂の強化繊維への含浸性に優れ、かさ高い繊維束においても繊維と樹脂の界面強度が高く、優れた成形材料を与え、さらには、かかる成形材料を用いることで、力学特性に優れる繊維強化複合材料を与えるという点で優れている。
以下に、本発明の望ましい実施の形態について説明する。まず、本発明を構成するエポキシ樹脂組成物について説明する。
本発明における成分(A)は、耐熱性や機械特性発現のために必要な成分である。成分(A)の芳香族エポキシ樹脂は、分子内にエポキシ基を1つ以上含む芳香族化合物であれば特に限定されないが、この例としては、2官能性エポキシ樹脂ではビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂や、ビフェニル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、あるいはこれらを変性したエポキシ樹脂等が挙げられる。3官能以上の多官能性エポキシ樹脂としては、例えばフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール型エポキシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジルアミンのようなグリシジルアミン型エポキシ樹脂、テトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタンやトリス(グリシジルオキシメタン)のようなグリシジルエーテル型エポキシ樹脂およびこれらを変性したエポキシ樹脂やこれらのエポキシ樹脂をブロム化したブロム化エポキシ樹脂が挙げられるが、これらに限定はされない。また、これらエポキシ樹脂を2種類以上組み合わせて使用しても構わない。中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂が特に好適に使用できる。これらのエポキシ樹脂を用いると、例えば、1分子中にナフタレン骨格を有するエポキシ樹脂など剛直性の高いエポキシ樹脂を用いた場合と比較して、繊維強化複合材料としたときの力学強度が向上するというさらなる効果を奏する。これは、剛直性の高いエポキシ樹脂は短時間で硬化させると架橋密度が上がるため歪みが生じやすくなるのに対し、上述のエポキシ樹脂を用いると、そういった問題が起こる可能性が低いためと考えられる。
ビスフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“jER(登録商標)”825、“jER(登録商標)”826、“jER(登録商標)”827、“jER(登録商標)”828、“jER(登録商標)”834、“jER(登録商標)”1001、“jER(登録商標)”1002、“jER(登録商標)”1003(以上三菱ケミカル(株)製)、“エピクロン(登録商標)”850(DIC(株)製)、“エポトート(登録商標)”YD−128、YD−128G、YD−128S(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製)、“DER(登録商標)”−331などが例示される。
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては“jER(登録商標)”806、“jER(登録商標)”807、“jER(登録商標)”1750、“エピクロン(登録商標)”830(DIC(株)製)、“エポトート(登録商標)”YDF−170、“エポトート(登録商標)”YDF2001などが例示される。また、アルキル置換体であるテトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、“エポトート(登録商標)”YSLV−80Y/X(新日鉄住金化学(株))などが例示される。
ビスフェノールS型エポキシ樹脂としては、“エピクロン(登録商標)”EXA−1515(DIC(株)製)などが例示される。
フェノールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては“jER(登録商標)”152、“jER(登録商標)“154(以上三菱ケミカル(株)製)、“エピクロン(登録商標)“N−740、”エピクロン(登録商標)“N−770、”エピクロン(登録商標)“N−775(以上DIC(株)製)などが例示される。
クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の市販品としては、“エピクロン(登録商標)”N−660、“エピクロン(登録商標)”N−665、“エピクロン(登録商標)”N−670、“エピクロン(登録商標)”N−673、“エピクロン(登録商標)”N−695(以上DIC(株)製)、EOCN−1020、EOCN−102S、EOCN−104S(以上日本化薬(株)製)などが例示される。
成分(A)として用いられるこれらの樹脂の常温(25℃)における樹脂粘度としては、1000000Pa・s以下であることが好ましく、さらに好ましくは、50000Pa・s以下であることが好ましい。この粘度であれば、賦形性に優れた成形材料を得ることができる。
本発明における成分(B)は、脱型時の繊維強化複合材料の割れを抑制するために必要な成分である。成分(B)の脂肪族エポキシ樹脂は十分なエポキシ樹脂組成物の低粘度化を発現させるため、脂肪族エポキシ樹脂の25℃における粘度が100mPa・s以上10000mPa・s以下であることが好ましく、120mPa・s以上10000mPa・s以下であることがより好ましい。2官能以上の脂肪族エポキシ樹脂は、繊維強化複合材料の柔軟性を向上させ、脱型時の繊維強化複合材料の割れを抑制できるため、好ましい。3官能以上の脂肪族エポキシ樹脂は繊維強化複合材料のさらなる柔軟性の向上に加え容易なBステージ化を可能にするためにより好ましい。
2官能以上の脂肪族エポキシ樹脂としては、脂環式骨格を有していてもよい2価以上の脂肪族アルコールのポリグリシジルエーテルが好ましく、脂環式骨格を有していてもよく、2価の脂肪族アルコールとしては、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、シクロヘキサンジメタノール、プロピレングリコール、3価以上の脂肪族アルコールとしてはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、テトラメチロールプロパン、ソルビトール等が挙げられる。
成分(B)として用いられる脂肪族エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合せて用いてもよい。脂肪族エポキシ樹脂の市販品としては、“デナコール(登録商標)” EX−211、EX−212、EX−313、EX−314、EX−321、EX−411、EX−421、EX−512、EX−521、EX−611、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−622(以上、ナガセケムテックス(株)製)などが例示される
成分(B)は、成分(A)および成分(B)の合計100質量部を基準として、1質量部以上30質量部以下含まれることが好ましく、10質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。成分(A)の合計100質量部に対して、成分(B)が1質量部以上30質量部以下の範囲内にある場合は、エポキシ樹脂組成物の含浸性に優れ、脱型時の繊維強化複合材料の割れを抑制することができる。
本発明における成分(C)は、エポキシ樹脂と反応する官能基をもつ化合物であって、エポキシ樹脂と共有結合することによりエポキシ樹脂を増粘させる成分であれば特に限定されないが、脂肪族アミン、酸無水物、イソシアネート化合物またはその誘導体であることが好ましい。
脂肪族アミンは、芳香環を持たないアミンであり、分子中にアミノ基を1つ以上有するものであれば特に限定されないが、この例としては、ポリアルキレンポリアミン、イソホロンジアミン、3,3‘−ジメチレンジ(シクロヘキシルアミン)、4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、3,3’−ジエチル−4,4’−ジアミノジシクロヘキシルメタン、n−アミノエチルピペラジン、ノルボルナンジアミン、ジエチレングリコールジアミノプロピルエーテル、アジピン酸ジヒドラジド、ヒドラジン、シアナミドおよびこれらの誘導体があげられる。アミノ基は第1級、第2級、第3級の炭素原子に結合されていることが好ましく、容易にBステージ化するためには、第1級、第2級の炭素原子に結合されていることがより好ましい。
酸無水物は、分子中に酸無水物基を1個以上有する化合物である。酸無水物としては、例えば、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、無水メチルナジック酸、無水マレイン酸、無水コハク酸などが挙げられる。
イソシアネート化合物であり、一分子中に平均して1個以上のイソシアネート基を有するものであれば特に限定されず、公知の脂肪族イソシアネートや芳香族イソシアネートが使用できる。脂肪族イソシアネートとしては、例えばエチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、プロピレン−1,2−ジイソシアネート、2,3−ジメチルテトラメチレンジイソシアネート、ブチレン−1,2−ジイソシアネート、ブチレン−1,3−ジイソシアネート、1,4−ジイソシアネートヘキサン、シクロペンテン−1,3−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,2,3,4−テトライソシアネートブタン、ブタン−1,2,3−トリイソシアネート等が挙げられる。成分(C)のポリイソシアネート化合物として用い得る芳香族イソシアネートとしては、例えばp−フェニレンジイソシアネート、1−メチルフェニレン−2,4−ジイソシアネート、ナフタレン−1,4−ジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニル−4,4−ジイソシアネート、ベンゼン−1,2,4−トリイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、ジフェニルプロパンジイソシアネート、テトラメチレンキシレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート等の芳香族イソシアネート、これらの芳香族イソシアネートをメチレン基等で連結した構造を有するもの等が挙げられる。
十分な樹脂組成物の低粘度化を発現させるため、成分(C)の25℃における粘度が1mPa・s以上10000mPa・s以下であることが好ましく、10mPa・s以上10000mPa・s以下であることがより好ましい。
成分(C)の各化合物は、下記の条件を満たすことが好ましい。
1.5≦α/β≦10
α:成分(A)および成分(B)のエポキシ基総数
β:成分(C)のエポキシ樹脂と反応する官能基数。
より好ましくは、3≦α/β≦10である。上記の条件を満たすことで、かさ高い不連続繊維の束状集合体においても強化繊維との界面強度が高くなり、得られる繊維強化複合材料の機械特性が向上し好ましい。また、上記の条件を満たしかつ硬化速度の2種以上の異なる化合物を併用することによって、所望の硬化挙動にあわせた樹脂組成物が得られる。
本発明における成分(D)は、エポキシ樹脂と共有結合することによりエポキシ樹脂を硬化させる成分であって、成分(C)に該当しない成分である。エポキシ樹脂を硬化させ得るものである限り、特に限定されるものではないが、アミン系、フェノール系、酸無水物系、メルカプタン系、イミダゾール類、3級アミン、有機リン化合物、ウレア化合物、アンモニウム塩、スルホニウム塩などが挙げられる。アミン系の硬化剤は、ジシアンジアミド、芳香族ポリアミン、アミノ安息香酸エステル類、チオ尿素付加アミンなどを例示できる。フェノール系の硬化剤は、ビスフェノール、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ポリフェノール化合物などを例示できる。酸無水物系の硬化剤は、無水フタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸、カルボン酸無水物などを例示できる。メルカプタン系の硬化剤は、ポリメルカプタン、ポリスルフィド樹脂などを例示できる。例示したものの中でも、アミン系硬化剤が好ましい。さらに、これらの中でもジシアンジアミドまたはその誘導体が特に好ましい。ジシアンジアミドは、エポキシ樹脂硬化物に高い機械特性や耐熱性を与える点で優れており、エポキシ樹脂の硬化剤として広く用いられる。また、樹脂組成物の保存安定性に優れることから、好適に使用できる。またジシアンジアミドの誘導体とは、ジシアンジアミドと各種化合物を結合させて得られる化合物を意味し、ジシアンジアミドと同様に、エポキシ樹脂硬化物に高い機械特性や耐熱性を与える点で優れており、また樹脂組成物の保存安定性にも優れる。ジシアンジアミドの誘導体としては、例えばジシアンジアミドと、エポキシ樹脂やビニル化合物、アクリル化合物、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−フォスファフェナントレン−10−オキサイド等の各種化合物を結合させたものなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、ジシアンジアミドと併用してもよい。かかるジシアンジアミドの市販品としては、DICY7、DICY15(以上、三菱ケミカル(株)製)などが挙げられる。
本発明における成分(D)は、成分(A)および成分(B)の合計100質量部に対して、1〜50質量部含まれることが好ましい。成分(A)および成分(B)の合計100質量部に対して、成分(D)が1〜50質量部の範囲内にある場合は、十分な硬化性向上の効果が得られるために好ましく、成分(D)が6〜50質量部の範囲内にある場合は、さらに好ましい。
硬化時間を短縮するために、本発明に係る樹脂組成物に加えて、硬化促進剤として触媒を加えてもよい。ここで、触媒とは、主剤の単独硬化反応、および、主剤と硬化剤との結合形性による硬化反応を速やかに円滑にする成分である。例えば、イミダゾール類、3級アミン、有機リン化合物、ウレア化合物、アンモニウム塩、スルホニウム塩などが挙げられる。これらの触媒のうち、2種類以上組み合わせて使用しても構わない。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、上記した成分以外の成分を含んでいても良い。例えば、各種フィラーや硬化剤、酸化防止剤などである。
本発明のエポキシ樹脂組成物は、E型粘度計で測定した25℃における粘度が0.1〜25Pa・sの範囲にあることが好ましく、その上限は10Pa・s以下であることがより好ましく、5Pa・s以下であることがさらに好ましい。25℃における粘度が0.1Pa・s以上とすることで樹脂含浸時の粘度が低くなりすぎず、樹脂が外部へ流れ出ることなく、均一に強化繊維に含浸しやすい。また、25℃における粘度が25Pa・s以下とすることで、含浸性の低下を抑制し、炭素繊維強化複合材料とした際にボイドの発生を抑制することが出来る。なお、粘度は各成分を混合し、5分間攪拌後のエポキシ樹脂組成物を測定するものとする。
本発明のエポキシ樹脂組成物を使用して得られる繊維強化複合材料の耐熱性は、樹脂組成物を硬化してなる樹脂硬化物のガラス転移温度に依存するため、高耐熱性を有した繊維強化複合材料を得るためには、例えば110℃の温度下で2時間加熱して完全硬化して得られる樹脂硬化物のガラス転移温度が110℃以上250℃以下の範囲にあることが好ましく、120℃以上220℃以下であればさらに好ましい。上記の上限と下限のいずれを組み合わせた範囲であってもよい。ガラス転移温度が110℃に満たない場合は樹脂硬化物の耐熱性が不十分な場合がある。ガラス転移温度が250℃を越える場合、3次元架橋構造の架橋密度が高くなることから樹脂硬化物が脆くなることがあり、その場合は繊維強化複合材料の引張強度や耐衝撃性が低下する場合がある。ここでガラス転移温度は、動的粘弾性測定装置(DMA)を用いた測定により求められる。
本発明の成形材料は、エポキシ樹脂組成物および不連続強化繊維の束状集合体からなる。本発明の成形材料において、強化繊維の種類や長さ、強化繊維と樹脂の含有比率等は、特に限定されないが、ガラス繊維、炭素繊維、黒鉛繊維、アラミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維および炭化ケイ素繊維等が例示される。これらの強化繊維を2種以上混合して用いても構わないが、より軽量で、より耐久性の高い成形品を得るために、炭素繊維や黒鉛繊維を用いることが好ましい。特に、材料の軽量化や高強度化の要求が高い用途においては、その優れた比弾性率と比強度のため、炭素繊維が好適に用いられる。炭素繊維としては、用途に応じてあらゆる種類の炭素繊維を用いることが可能であるが、耐衝撃性の点から高くとも300GPaの引張弾性率を有する炭素繊維であることが好ましい。また、強度の観点からは、高い剛性および機械強度を有する複合材料が得られることから、引張強度が好ましくは4.4〜6.5GPaの炭素繊維が用いられる。また、引張伸度も重要な要素であり、1.7〜2.3%の高強度高伸度炭素繊維であることが好ましい。従って、引張弾性率が少なくとも230GPaであり、引張強度が少なくとも4.4GPaであり、引張伸度が少なくとも1.7%であるという特性を兼ね備えた炭素繊維が最も適している。
炭素繊維の市販品としては、“トレカ(登録商標)”T800G−24K、“トレカ(登録商標)”T800S−24K、“トレカ(登録商標)”T700G−24K、“トレカ(登録商標)”T300−3K、および“トレカ(登録商標)”T700S−12K(以上東レ(株)製)等が例示される。
本発明の不連続の強化繊維束は、数平均繊維長が3〜100mmの範囲内である不連続の強化繊維束が実質的にランダムに配向され、不連続繊維の束状集合体の単位面積あたりの繊維質量Fm(繊維目付)と不連続繊維の束状集合体の厚みTmから下式(1)により算出される、かさ高性Bmが1.5〜5cm/gの範囲内である。
Bm=Tm/Fm・・・(1)。
不連続繊維の束状集合体のかさ高性は、不連続の強化繊維束の形状(長さ、幅、厚さ、真直性、角度など)、不連続繊維の束状集合体面内方向および面外(厚み)方向への配向から特定される特性値である。
かさ高性が1.5cm/gより小さい場合、繊維強化樹脂成形材料を得るために不連続繊維の束状集合体にマトリックス樹脂を含浸させる際、不連続の強化繊維束間および繊維束内の隙間が小さくなる傾向にあるため、マトリックス樹脂の含浸不良を生じる場合があり、安定した品質の繊維強化樹脂成形材料、ならびに該繊維強化樹脂成形材料から成形される繊維強化複合材料を得ることが出来ない。一方、かさ高性が5cm/gより大きい場合、繊維強化樹脂成形材料を得るために不連続繊維の束状集合体にマトリックス樹脂を含浸させる際、不連続繊維の束状集合体の厚みが大きくなるため、マトリックス樹脂の含浸不良を生じる場合があり、安定した品質の繊維強化樹脂成形材料ならびに該繊維強化樹脂成形材料から成形される繊維強化複合材料を得ることが出来ない。
不連続繊維の束状集合体のかさ高性測定は、以下のように実施する。まず、不連続繊維の束状集合体の単位面積あたりの繊維量Fm(繊維目付)を計測する。次に、ISO5084(1996)に準じて、0.1kNの条件で、厚さ計を用いて不連続繊維の束状集合体の厚みTmを計測する。得られた繊維目付Fmと不連続繊維の束状集合体の厚みTmから、下式(1)によりかさ高性Bmを算出する。
Bm=Tm/Fm・・・(1)
測定する不連続繊維の束状集合体の面積は、不連続繊維の束状集合体の厚み測定において2,000mm2以上の円形の面積が必要であること、一方で大きすぎると繊維目付と不連続繊維の束状集合体の厚みの測定位置を揃えるとの観点から好ましくないため、10,000mm(100mm×100mm)であることが好ましい。
本発明の不連続繊維の束状集合体において、不連続の強化繊維束の数平均繊維長を100mm以下とすることにより、繊維強化複合材料とした場合に複雑な形状の成形追従性に優れたものとすることができる。
不連続の強化繊維束の数平均繊維長測定は、以下のように実施する。不連続繊維の束状集合体から無作為に選んだ100個の不連続の強化繊維束について、1つの不連続の強化繊維束において3点以上測定した平均値を算出する。100個の不連続の強化繊維束の平均を、数平均繊維長とする。計測は、画像処理ソフトを用いてコンピュータ上で計測しても良いし、人手でノギスを用いて計測することもできる。
本発明の不連続繊維の束状集合体において、不連続の強化繊維束は実質的にランダムに配向している。実質的にランダムに配向するとは、不連続繊維の束状集合体を構成するチョップド繊維束の繊維長手方向を、任意の方向から開始して− 90°〜90°方向で45°の4方向(−90°≦θ<−45°、−45°≦θ<0°、0°≦θ<45°、45° ≦θ<90°)で分類・整理した場合、各方向に配向された繊維束の全体における割合が25±2.5%の範囲内と比較的均一に分布されていることを示す。不連続の強化繊維束が実質的にランダムに配向していることにより、不連続繊維の束状集合体にマトリックス樹脂を含浸させた成形材料は等方性材料として取り扱うことができるため、該成形材料を用いて繊維強化複合材料を成形する際の設計が容易となる。
不連続の強化繊維束の繊維配向測定は、以下のように実施する。まず、不連続繊維の束状集合体の厚み方向にわたり、全ての不連続の強化繊維束が見えるように、不連続繊維の束状集合体の厚み方向にスライスした画像を撮影する。スライスした画像を撮影する方法としては、特に制限されないが、不連続の強化繊維束の配向を保ったままで不連続の強化繊維束を媒体に転写させることを不連続繊維の束状集合体厚み方向にわたり繰り返して行い、転写後の画像を撮影する方法などが挙げられる。ここで、本発明における全ての不連続の強化繊維束とは、測定する範囲内に存在する不連続の強化繊維束の90%以上を表すものとする。次に、得られた画像から、各不連続の強化繊維束の繊維長手方向(角度)を計測する。繊維長手方向(角度)の計測は、画像処理ソフトを用いてコンピュータ上で計測しても良いし、時間は掛かるものの人手で分度器を用いて計測することもできる。得られた繊維長手方向(角度)の値から、ヒストグラムを作成し、4方向分布で整理する。なお、測定する不連続繊維の束状集合体の面積は、10,000mm以上とする。
本発明の不連続の強化繊維束は、不連続の強化繊維束の数平均フィラメント本数が、500本以上12000 本未満の範囲内であるであることが好ましい。不連続の強化繊維束の数平均フィラメント本数が500本未満であると、数平均繊維長が3〜100mmの範囲内である不連続の強化繊維束は、繊維強化複合材料とするまでの加工工程において、不連続の強化繊維束が繊維長手方向に対して曲がってしまい繊維の真直性を失い、繊維強化複合材料とした際の強化繊維による補強効果が十分に得られない、すなわち力学特性(特に強度)が発現しない場合があり、好ましくない。一方、数平均フィラメント本数が12000本以上であると、繊維強化複合材料とした際に不連続の強化繊維束の端部に応力集中が発生しやすくなり、力学特性(特に強度)のバラツキが大きくなる場合があるため、好ましくない。上記数平均フィラメント本数の不連続繊維の束状集合体を作製する方法としては、フィラメント本数が500本以上12000本未満の範囲内である連続繊維束を、数平均繊維長が3〜100mmの範囲内となるように繊維長手方向に切断し、不連続の強化繊維束を実質的にランダムに配向させる方法がある。別の方法としては、フィラメント本数が1000本以上の連続繊維束を、繊維長手方向に沿って複数の束に分繊した後に、数平均繊維長が3〜100mmの範囲内となるように繊維長手方向に切断し、不連続の強化繊維束を実質的にランダムに配向させる方法、または、フィラメント本数が1000本以上の連続繊維束を、数平均繊維長が3〜100mmの範囲内となるように繊維長手方向に切断した後に、繊維長手方向に沿って複数の不連続の強化繊維束に分割し、不連続の強化繊維束を実質的にランダムに配向させる方法、あるいは、前記2つの方法を組み合わせた方法がある。例えば、フィラメント数が48000本の連続繊維束を、繊維長手方向に沿って3000本ずつ(16等分)の束に分繊した後に、数平均繊維長が25mmとなるように繊維長手方向に切断し、さらに不連続の強化繊維束に衝撃を与えることにより半分に分割し、数平均フィラメント本数が1500本の不連続繊維の束状集合体を得ることができる。
不連続の強化繊維束の数平均フィラメント本数は、以下のように測定する。数平均繊維長を測定後の100個の不連続の強化繊維束について、質量を測定する。1つの不連続の強化繊維束において、繊維長、質量、比重(公称値)、繊維径(公称値)から、フィラメント本数を算出する。100個の不連続の強化繊維束の平均を、数平均フィラメント本数とする。
本発明の成形材料を用いた繊維強化複合材料の製造方法としては、特に限定されるものではないが、プリプレグ法、ハンドレイアップ法、レジントランスファーモールディング(RTM)、シートモールディングコンパウンド(SMC)成形が好適に用いられる(なお、RTMは、不連続強化繊維の束状集合体に樹脂組成物を注入した状態のものを、本発明の成形材料として用いる。)。これらのうち、生産性や成形体の形状自由度といった観点で、特に、本発明の成形材料をSMCとして用いるSMC成形が好適に用いられる。SMC成形時の加熱温度は本発明における樹脂組成物が硬化する温度であればよく、硬化時間の短縮の観点から110℃以上200℃以下であることが好ましい。
本発明の繊維強化複合材料は、本発明のエポキシ樹脂組成物の樹脂硬化物および強化繊維からなる。このような繊維強化複合材料において、特に自動車分野で用いられる繊維強化複合材料の場合には、高い耐熱性や曲げ強度等の力学特性力学特性等が要求される。本発明の繊維強化複合材料は、曲げ強度が300MPa以上、より好ましくは320MPa以上であることが好ましい。曲げ強度が300MPa以上であれば、繊維強化複合材料が外部から強力な応力を受ける環境下あっても、破断したり変形したりすることない優れた部材として使用可能となる。本発明の繊維強化複合材料は、耐熱性および力学特性に優れるため、自動車分野にも好適に用いられる。また、本発明の成形材料は、プレス成形時に樹脂のみが先行して流動することなく、成形温度によらず優れた流動性を発現し、繊維と樹脂の均質性が非常に高い繊維強化複合材料が得られる。
以下、実施例により、本発明の成形材料を用いた繊維強化複合材料等についてさらに詳細に説明する。
<樹脂原料>
各実施例・比較例の樹脂組成物を得るために、以下の樹脂原料を用いた。なお、表中の樹脂組成物の欄における各成分の数値は含有量を示し、その単位は、特に断らない限り「質量部」である。
1.成分(A)である芳香族エポキシ樹脂
・“エポトート(登録商標)”YD128(日鉄ケミカル&マテリアル(株)製):ビスフェノールA型エポキシ樹脂
・“jER(登録商標)”154(三菱ケミカル(株)製):フェノールノボラック型エポキシ樹脂。
2.成分(B)である脂肪族エポキシ樹脂
・デナコール(登録商標)”EX−212(ナガセケムテックス(株)製):1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル

・“デナコール(登録商標)”EX−614(ナガセケムテックス(株)製):ソルビトールポリグリシジルエーテル。
3.成分(C)であるエポキシ樹脂と反応する官能基をもつ化合物
・1,4−ブタンジアミン(東京化成工業(株)製)
・イソホロンジアミン(東京化成工業(株)製)
・HN−2200(日立化成(株)製):3or4−メチル−1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸
・“ルプラネート(登録商標)”M20S(BASF INOAC ポリウレタン(株)製):ポリメリックMDI(ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート)
・“デスモジュール(登録商標)”N3400(住化コベストロウレタン(株)製):HDIウレトジオン
・“デスモジュール(登録商標)”I(住化コベストロウレタン(株)製):イソホロンジイソシアネート。
4.成分(D)である成分(C)以外のエポキシ硬化剤
・“jERキュア(登録商標)”DICY7(三菱ケミカル(株)製):ジシアンジアミド。
・“キュアゾール(登録商標)”2MZA−PW(四国化成工業(株)製)。
<樹脂組成物の調製>
表に記載した含有割合で各成分を混合し、樹脂組成物を調製した。
<樹脂組成物の粘度の測定>
測定すべき検体を、JIS Z8803(1991)における「円すい−平板形回転粘度計による粘度測定方法」に従い、標準コーンローター(1°34’×R24)を装着したE型粘度計を使用して、25℃に保持した状態で測定した。E型粘度計としては、(株)トキメック製TVE−30Hを用いた。なお、検体としては、各成分を混合し5分間撹拌後の樹脂組成物を用いた。
<不連続繊維の束状集合体の評価方法>
不連続繊維の束状集合体の単位面積あたりの繊維量Fm(繊維目付)は、不連続繊維の束状集合体の幅方向にわたり、100mm×100mmの大きさのものを等間隔に10箇所切り出したものについて、質量を0.01g単位まで測定した。該質量を1mあたりの質量に換算して、繊維目付Fmを算出した。次いで、厚さ測定器(大栄科学精器製作所製、FS−60DS)を用いて、ISO5084(1996)に準じて0.1kNの条件下で不連続繊維の束状集合体の厚みTmを測定した。繊維目付Fmと不連続繊維の束状集合体の厚みTmとから、かさ高性Bmを算出した。
<樹脂硬化板の作製>
上記で調製した樹脂組成物を真空中で脱泡した後、2mm厚の“テフロン(登録商標)”製スペーサーにより厚み2mmになるように設定したモールド中に注入した。140℃の温度で2時間硬化させ、厚さ2mmの樹脂硬化板を得た。
<樹脂硬化物のガラス転移温度Tg測定>
樹脂硬化板から幅12.7mm、長さ40mmの試験片を切り出し、DMA(TAインスツルメンツ社製ARES)を用いてTg測定を行った。測定条件は、昇温速度5℃/分である。測定で得られた貯蔵弾性率G’の変曲点での温度をTgとした。
<SMC含浸性評価>
Bステージ化後のSMCの表面と裏面を持ち2枚に割き、厚み方向の中心部まで樹脂が含浸している場合を含浸性○、含浸していない場合を含浸性×とした。
<SMC使用繊維強化複合材料の曲げ強度測定>
前記のようにして得られた平板状の繊維強化複合材料より0度(平板長手方向を0度)と90度方向から、それぞれ100×25×1.6mmの試験片を5片(合計10片)切り出し、JIS K7074(1988年)に準拠し測定を実施した。
(実施例1、2、5〜11)
成分(A)、(B)、(C)、(D)の種類、配合量を変更して、表1に記載した含有割合で、上記した樹脂組成物の調製にしたがって樹脂組成物を作製し、25℃における粘度を測定した。また、樹脂組成物の硬化板を上記方法により作製し樹脂硬化物のTgを測定した。
炭素繊維として、繊維径7μm、引張弾性率230GPa、フィラメント数12,000本の連続した炭素繊維束“トレカ(登録商標)”T700S−12K(東レ(株)製)を使用した。前記炭素繊維束を幅が20mmとなるように拡幅処理を施した後に、5mm等間隔に並行にセットした分繊処理手段により幅方向に4等分となるように分繊した。分繊した繊維束50ボビンをクリールに設置し、ボビン外側の繊維束端部から巻き出し、繊維束の長手方向に対して直角、かつ25mm間隔のストランドカッターに連続的に挿入して繊維束を切断し、均一分散するように散布することにより、繊維配向が等方的である不連続強化繊維の束状集合体を得た。得られた不連続強化繊維の束状集合体の繊維目付は1000g/mであった。不連続強化繊維の束状集合体の厚みは3mmであり、かさ高性は3cm/gであった。得られた不連続強化繊維の束状集合体に上記エポキシ樹脂組成物を、炭素繊維重量含有率が40%となるようにローラーで含浸させることによりシート状のSMC前駆体を得た。これを50℃で21時間保持し、樹脂をBステージ化させることで、SMCを得た。得られたSMCの含浸性を上記方法で評価した。このSMCを加圧型プレス機により10MPaの加圧のもと、110℃×10分間の条件により硬化させ、厚み1.6mmの平板状の繊維強化複合材料を得た。樹脂硬化物のTgは110℃以上、樹脂含浸性は良好であり、曲げ強度は300MPa以上と機械特性も良好であった。
(実施例3、12、14)
成分(A)、(B)、(C)、(D)の種類、配合量を変更して、表1に記載した含有割合で、上記した樹脂組成物の調製にしたがって樹脂組成物を作製し、25℃における粘度を測定した。また、樹脂組成物の硬化板を上記方法により作製し樹脂硬化物のTgを測定した。分繊した繊維束の切断手段を、3.3mm間隔のストランドカッターとし、切断速度を1.5倍としたこと以外は、実施例1と同様に不連続強化繊維の束状集合体を作製し、繊維配向が等方的である不連続強化繊維の束状集合体を得た。得られた不連続強化繊維の束状集合体の繊維目付は1500g/m2であった。不連続強化繊維の束状集合体の厚みは6mmであり、かさ高性は4cm/gであった。樹脂硬化物のTgは110℃以上、樹脂含浸性は良好であり、曲げ強度は300MPa以上と機械特性も良好であった。
(実施例4、13)
成分(A)、(B)、(C)、(D)の種類、配合量を変更して、表1に記載した含有割合で、上記した樹脂組成物の調製にしたがって樹脂組成物を作製し、25℃における粘度を測定した。また、樹脂組成物の硬化板を上記方法により作製し樹脂硬化物のTgを測定した。10mm等間隔に並行にセットした分繊処理手段により幅方向に2等分となるように分繊したこと以外は、実施例1と同様に不連続強化繊維の束状集合体を作製し、繊維配向が等方的である不連続強化繊維の束状集合体を得た。得られた不連続強化繊維の束状集合体の繊維目付は1000g/mであった。不連続強化繊維の束状集合体の厚みは2mmであり、かさ高性は2cm/gであった。樹脂硬化物のTgは110℃以上、樹脂含浸性は良好であり、曲げ強度は300MPa以上と機械特性も良好であった。
(比較例1)
分繊した繊維束の切断手段を、幅方向に4等分となるように分繊しなかったこと以外は、実施例1と同様に実施した。得られた不連続強化繊維の束状集合体の繊維目付は1000g/mであった。不連続強化繊維の束状集合体の厚みは1.3mmであり、かさ高性は1.3cm/gであった。樹脂硬化物のTgは110℃以上であったが、樹脂含浸性は悪く、曲げ強度は300MPa以下であった。
(比較例2)
成分(A)、(B)、(C)、(D)の種類、配合量を変更して、表1に記載した含有割合で、上記した樹脂組成物の調製にしたがって樹脂組成物を作製したこと以外は、実施例1と同様に実施した。得られた不連続強化繊維の束状集合体の繊維目付は1000g/mであった。不連続強化繊維の束状集合体の厚みは3mmであり、かさ高性は3cm/gであった。樹脂硬化物のTgは110℃以下であり、樹脂含浸性は良好であったが、曲げ強度は300MPa以下であった。
(比較例3)
炭素繊維として、繊維径7μm、引張弾性率230GPa、フィラメント数3,000本の連続した炭素繊維束 “トレカ(登録商標)”T300−3K(東レ(株)製)を使用し、幅が5mmとなるように拡幅処理を施した後に、200ボビンをクリールに設置したこと以外は、実施例1と同様に実施した。得られた不連続強化繊維の束状集合体の繊維目付は1000g/mであった。不連続強化繊維の束状集合体の厚みは6mmであり、かさ高性は6cm/gであった。樹脂硬化物のTgは110℃以上であったが、樹脂含浸性は悪く、曲げ強度は300MPa以下であった。
(比較例4、10)
成分(A)、(B)、(C)、(D)の種類、配合量を変更して、表1に記載した含有割合で、上記した樹脂組成物の調製にしたがって樹脂組成物を作製したこと以外は、実施例1と同様に実施した。得られた不連続強化繊維の束状集合体の繊維目付は1000g/mであった。不連続強化繊維の束状集合体の厚みは3mmであり、かさ高性は3cm/gであった。樹脂硬化物のTgは110℃以上であったが、樹脂含浸性は悪く、曲げ強度は300MPa以下であった。
(比較例5、8、9)
成分(A)、(B)、(C)、(D)の種類、配合量を変更して、表1に記載した含有割合で、上記した樹脂組成物の調製にしたがって樹脂組成物を作製したこと以外は、実施例1と同様に実施した。得られた不連続強化繊維の束状集合体の繊維目付は1000g/mであった。不連続強化繊維の束状集合体の厚みは3mmであり、かさ高性は3cm/gであった。樹脂硬化物のTgは110℃以上であり、樹脂含浸性は良好であったが、曲げ強度は300MPa以下であった。
(比較例6、7)
成分(A)、(B)、(C)、(D)の種類、配合量を変更して、表1に記載した含有割合で、上記した樹脂組成物の調製にしたがって樹脂組成物を作製したこと以外は、比較例1と同様に実施した。得られた不連続強化繊維の束状集合体の繊維目付は1000g/mであった。不連続強化繊維の束状集合体の厚みは1.3mmであり、かさ高性は1.3cm/gであった。樹脂硬化物のTgは110℃以上であったが、樹脂含浸性は悪く、曲げ強度は300MPa以下であった。
Figure 2021147550
Figure 2021147550
本発明の成形材料は、従来の成形材料に比べ、マトリックス樹脂の強化繊維への含浸性に優れ、かさ高い繊維束においても繊維と樹脂の界面強度が高く、優れた成形材料を与え、さらには、かかる成形材料を用いることで、力学特性に優れる繊維強化複合材料を与えるという点で優れている。これにより、航空・宇宙用途、自動車用途の他、スポーツ・産業用途全般に繊維等に好適に用いられる。

Claims (10)

  1. 不連続強化繊維の束状集合体と樹脂組成物とを含む成形材料であって、前記束状集合体は、数平均繊維長が3〜100mmの範囲内である不連続の強化繊維束が実質的にランダムに配向され、その単位面積あたりの繊維質量Fm(繊維目付) と不連続強化繊維の束状集合体の厚みTmとから下式(1)により算出される、かさ高性Bmが1.5〜5cm/gの範囲内である、不連続強化繊維の束状集合体であり、前記樹脂組成物は、以下の成分(A)、(B)、(C)、(D)を含む樹脂組成物である、成形材料。
    成分(A):芳香族エポキシ樹脂
    成分(B):脂肪族エポキシ樹脂
    成分(C):エポキシ樹脂と反応する官能基をもつ化合物
    成分(D):成分(C)以外のエポキシ硬化剤
    Bm=Tm/Fm・・・(1)
  2. 樹脂組成物中のエポキシ基総量αと成分(C)のエポキシ樹脂と反応する官能基総量βとの比が以下の範囲である、請求項1記載の成形材料。
    1.5≦α/β≦10
  3. 25℃における粘度が0.1〜25Pa・sである、請求項1または2に記載の成形材料。
  4. 成分(C)が脂肪族アミンである、請求項1〜3のいずれかに記載の成形材料。
  5. 成分(C)が酸無水物である、請求項1〜3いずれかに記載の成形材料。
  6. 成分(C)がイソシアネートである、請求項1〜3いずれかに記載の成形材料。
  7. 成分(D)がジシアンジアミドまたはその誘導体である、請求項1〜6のいずれかに記載の成形材料。
  8. 強化繊維が炭素繊維である、請求項1〜7のいずれかに記載の成形材料。
  9. 成形材料がシートモールディングコンパウンドである、請求項1〜8のいずれかに記載の成形材料。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の成形材料が硬化されてなる繊維強化複合材料。
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