JP2021143681A - 摩擦係合装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】慣性質量の増大を抑制しつつ、ディスクやプレートの変形によるトルク伝達の応答性の悪化を抑制することができる摩擦係合装置を提供する。【解決手段】第1部材5,5aに取り付けられた第1ディスク3と、第2部材9,9aに取り付けられた第2ディスク2と、押圧部材12による押圧力を受けて各ディスク2,3を押圧部材12との間に挟み付けるストッパー7と、ストッパー7が抜け出ることを阻止する抜け止め部材6とを備えている摩擦係合装置1において、押圧部材12によって各ディスク2,3が押圧されてストッパー7と抜け止め部材6とが当接している状態で、半径方向で抜け止め部材6とストッパー7とが当接している箇所よりもストッパー7の内周部もしくはストッパー7の外周部に当接してストッパー7を支持する支持部8が、第1部材5,5aと第2部材9,9aとの少なくとも一方に設けられている。【選択図】図1
Description
この発明は、軸線方向に交互に配置されたディスクとプレートとを摩擦接触させることにより、二つの回転部材をトルク伝達可能に連結する摩擦係合装置に関するものである。
この種の装置の一例が特許文献1に記載されている。その装置は湿式の多板クラッチであって、トルクが入力される入力軸と一体となって回転するハウジングを備え、そのハウジングの内部に収容されている。また、ハウジングの内部に円筒部材が一体に設けられており、円筒部材の内壁面に複数のセパレータープレートがスプライン嵌合されている。また、円筒部材の内側に、軸線方向に延びかつ出力軸に連結された円筒部が設けられており、その円筒部の外周面に複数のフリクションプレートがスプライン嵌合されている。セパレータープレートとフリクションプレートとは軸線方向に交互に配置されている。軸線方向でセパレータープレートを挟んで一方側にピストンが設けられており、そのピストンによって他方側に各プレートを押圧するようになっている。また、円筒部材の他方側からセパレータープレートが抜け出ることを阻止する止め輪が円筒部材に設けられており、その止め輪とセパレータープレートとの間にセパレータープレートを軸線方向で他方側に押圧する荷重を受けるバッキングプレートが配置されている。そして、ピストンによって止め輪側に各プレートを押圧すると、止め輪とピストンとの間に各プレートが挟み付けられて係合状態となり、それらのプレート同士の間でトルクが伝達される。
特許文献1に記載された装置では、ピストンによって軸線方向で他方側に各プレートを押圧すると、バッキングプレートの半径方向での外周部分が止め輪に押し付けられて支持される。これに対して、バッキングプレートの半径方向での内周部分は止め輪に接触しないので、上記の内周部分は軸線方向に特には支持されない。そのため、ピストンによって軸線方向で他方側に各プレートを押圧すると、バッキングプレートの半径方向での外周部分に対してバッキングプレートの半径方向での内周部分が軸線方向で他方側に変位しすなわちバッキングプレートが撓む可能性がある。そのようなバッキングプレートの変形はその変形に伴う反力が上述した荷重に釣り合うまで生じる。つまり、上述した反力と荷重とが釣り合うまでの間においては、特許文献1に記載されたクラッチは完全な係合状態とはならない可能性があり、その結果、クラッチでのトルクの伝達に遅れが生じる。このようなトルク伝達の応答遅れを解決するために、軸線方向におけるバッキングプレートの板厚を増大してその剛性を高くすることによってバッキングプレートの変形を抑制することが考えられる。しかしながら、バッキングプレートの板厚を増大すると、その分、クラッチの軸長が増大する可能性がある。また、バッキングプレートの慣性質量が増大するので、クラッチを係合させる目標回転数に到達するまでの時間が長くなり、トルク伝達の応答性が悪化する可能性がある。
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであって、慣性質量の増大を抑制しつつ、ディスクやプレートの変形によるトルク伝達の応答性の悪化を抑制することができる摩擦係合装置を提供することを目的とするものである。
上記の目的を達成するために、この発明は、互いに係合することによってトルクを伝達しかつ互いに離隔することにより前記トルクの伝達を遮断する第1ディスクと第2ディスクと、前記第1ディスクが軸線方向に移動可能かつ円周方向にトルク伝達可能に取り付けられた第1部材と、前記第2ディスクが軸線方向に移動可能かつ円周方向にトルク伝達可能に取り付けられた第2部材と、前記軸線方向で前記第1ディスクと前記第2ディスクとを挟んだ一方側に設けられ、前記第1ディスクと前記第2ディスクとを前記軸線方向で前記一方側とは反対側の他方側に押圧して係合させる押圧部材と、前記押圧部材による押圧力を受けて前記第1ディスクおよび前記第2ディスクを前記押圧部材との間に挟み付けるストッパーと、前記ストッパーに当接することによって前記他方側から前記ストッパーが抜け出ることを阻止する抜け止め部材とを備えている摩擦係合装置において、前記押圧部材によって前記ストッパー側に前記第1ディスクと前記第2ディスクとが押圧されて前記ストッパーと前記抜け止め部材とが当接している状態で、半径方向で前記抜け止め部材と前記ストッパーとが当接している箇所よりも前記ストッパーの内周部もしくは前記ストッパーの外周部に当接して前記ストッパーを支持する支持部が、前記第1部材と前記第2部材との少なくとも一方に設けられていることを特徴とするものである。
この発明の摩擦係合装置によれば、押圧部材によって第1ディスクと第2ディスクとが軸線方向での一方側から他方側に押圧されると、それらのディスクが一体となってストッパー側に移動し、ついにはストッパーに押し付けられる。そのストッパーは抜け止め部材によって抜け止めされているので、ストッパーと押圧部材との間に第1ディスクと第2ディスクとが挟み付けられる。また、この発明では、ストッパーに抜け止め部材が当接している状態において、半径方向で抜け止め部材とストッパーとが当接している箇所よりもストッパーの内周部もしくは外周部に当接する支持部が第1部材と第2部材との少なくとも一方に設けられている。そのため、ストッパーに抜け止め部材が当接している状態では、ストッパーは支持部にも当接する。すなわち、半径方向でストッパーの内周部と外周部とが共に支持される。そのため、押圧部材によって第1ディスクと第2ディスクとが軸線方向での一方側から他方側に押圧されたときに、ストッパーの内周部と外周部とのうちの一方が他方に対して軸線方向に変位してストッパーが撓むことを抑制でき、第1ディスクと第2ディスクとが速やかに係合状態となる。したがって、摩擦係合装置の係合遅れを抑制でき、トルク伝達の応答性を向上できる。また、ストッパーの撓みを抑制するために例えばその板厚を増大することがないので、摩擦係合装置の軸長の増大や摩擦係合装置を大型化する要因になりにくい。さらに、ストッパーの慣性質量を特には増大することがなく、第1ディスクと第2ディスクとを係合させる目標回転数に速やかに上昇させることができ、これによっても、係合遅れを抑制でき、トルク伝達の応答性を向上できる。
図1は、この発明の実施形態における摩擦係合装置の一例を示す断面図である。図1に示す摩擦係合装置1は、環状に形成された複数のクラッチディスク2と、環状に形成された複数のプレッシャープレート3とを備え、それらのクラッチディスク2とプレッシャープレート3とがそれらの軸線方向に交互に配置されている。そして、軸線方向でクラッチディスク2とプレッシャープレート3との互いに対向する側面同士を摩擦接触させることにより、クラッチディスク2が連結された部材と、プレッシャープレート3が連結された部材とをトルク伝達可能に連結するように構成されている。つまり、ここに示す摩擦係合装置1は多板式の摩擦係合装置1であり、クラッチディスク2とプレッシャープレート3とを摩擦接触させることにより、ブレーキ装置やクラッチ装置として機能する。上述したクラッチディスク2がこの発明の実施形態における第2ディスクに相当し、上述したプレッシャープレート3がこの発明の実施形態における第1ディスクに相当する。
具体的には、図1に示す摩擦係合装置1は、図示しない駆動力源に連結された入力軸4と一体化されたハウジング5を備え、そのハウジング5の内部に収容されている。ハウジング5はその軸線方向での両端部が液密状態に閉じられた円筒状の部材であって、そのハウジング5の円筒状の部分(以下、外側円筒部と記す。)5aの内壁面に軸線方向に延びるスプライン歯5bが形成されている。また、プレッシャープレート3の外周部に上記のスプライン歯5bと噛み合うスプライン歯3aが形成されている。したがって、外側円筒部5aに形成されたスプライン歯5bに、プレッシャープレート3に形成されたスプライン歯3aを噛み合わせることにより、ハウジング5の軸線方向に移動可能でかつハウジング5と一体回転するように、ハウジング5にプレッシャープレート3が組み付けられる。上述したハウジング5ならびに外側円筒部5aなどがこの発明の実施形態における第1部材に相当する。
軸線方向で外側円筒部5aにおける各プレッシャープレート3を挟んで後述するピストンとは反対側つまり図1での右側に図示しない環状の溝部が形成されており、その溝部に環状のスナップリング6が嵌合されている。そのスナップリング6とプレッシャープレート3との間に、後述するピストンの押圧力(荷重)を受けるエンドプレート7が設けられている。エンドプレート7はプレッシャープレート3よりも板厚の厚い部材であって、その外周部に上記のスプライン歯5bと噛み合うスプライン歯7aが形成されている。すなわち、エンドプレート7のスプライン歯7aのピッチ円直径や歯先円直径、歯底円直径と、プレッシャープレート3のスプライン歯3aのピッチ円直径や歯先円直径、歯底円直径とは互いにほぼ同じに設定されている。したがって、外側円筒部5aに形成されたスプライン歯5bにエンドプレート7のスプライン歯7aを噛み合わせることにより、ハウジング5の軸線方向に移動可能でかつハウジング5と一体回転するように、ハウジング5にエンドプレート7が組み付けられる。そして、ピストンによってプレッシャープレート3やエンドプレート7が押圧されてスナップリング6側に移動すると、複数のプレッシャープレート3のうち、図1で最も右側に位置するプレッシャープレート3がエンドプレート7に接触する。また、エンドプレート7の外周部とスナップリング6とが接触する。こうしてスナップリング6によってプレッシャープレート3やエンドプレート7のそれ以上の移動が阻止され、また抜け止めされる。上述したスナップリング6がこの発明の実施形態における抜け止め部材に相当し、エンドプレート7がこの発明の実施形態におけるストッパーに相当する。
また、ここに示す例では、エンドプレート7の外周部とスナップリング6とが接触している状態で、エンドプレート7の内周部に接触する支持部8が、軸線方向でエンドプレート7に対向するハウジング5の内壁面つまり図1で右側のハウジング5の内壁面に一体に設けられている。これは、上記の支持部8が設けられていない状態で、ピストンによってスナップリング6にエンドプレート7の外周部が押し付けられると、その外周部に対してエンドプレート7の内周部が軸線方向に変位してエンドプレート7が撓む可能性があるので、これを避けるためである。すなわち、上記の撓みに伴う反力とピストンの荷重とが釣り合うまでの間においては、エンドプレート7に撓み変形が生じていることが要因となって摩擦係合装置1が完全な係合状態とはならず、トルク伝達の応答性が低下する可能性があるので、これを避けるためである。
上記の支持部8は半径方向にスナップリング6と並んでハウジング5の内壁面に設けられている。ここで、「並んで」とは、軸線方向でのスナップリング6の両側面のうち、エンドプレート7側の側面と、軸線方向での支持部8の側面とが半径方向で互いに重なり合っている状態を意味している。つまり、軸線方向でのスナップリング6の両側面のうち、エンドプレート7側の側面と軸線方向での支持部8の側面とは、軸線方向でほぼ同じ位置に設定されており、それらの支持部8とスナップリング6とは同心円上になっている。また、ここに示す例では、ハウジング5の内壁面にハウジング5の円周方向に一定の間隔で支持部8が設けられている。そのため、円周方向での支持部8同士の間に隙間が形成されており、その隙間を後述するオイルが半径方向に流動するようになっている。なお、図1に示す例では、3枚のプレッシャープレート3が軸線方向に所定の間隔を空けて配置されている。また、入力軸4はハウジング5の内部に予め定めた長さ延び出ており、その入力軸4におけるハウジング5の内部に延び出ている部分にピストンが軸線方向に前後動可能に設けられている。
ハウジング5の内部であって、入力軸4と同一軸線上に摩擦係合装置1の出力軸9が設けられている。その出力軸9は入力軸4に対して相対回転しかつ、図1に示すように、軸線方向で入力軸4とは反対側のハウジング5の外部に延び出ている。また出力軸9は例えば、図示しない変速機の入力軸にトルク伝達可能に連結されている。その出力軸9におけるハウジング5の内部に位置している部分の外周面にハブ10を介して軸線方向に延びる円筒部(以下、内側円筒部と記す。)9aが一体に設けられている。その内側円筒部9aはここに示す例では、半径方向で外側円筒部5aやプレッシャープレート3の内側であって、外側円筒部5aやプレッシャープレート3と同心円上に構成されている。
内側円筒部9aの外周面に軸線方向に延びるスプライン歯9bが形成されている。また、クラッチディスク2の内周部に上記のスプライン歯9bに噛み合うスプライン歯2aが形成されている。したがって、内側円筒部9aに形成されたスプライン歯9bにクラッチディスク2に形成されたスプライン歯2aを噛み合わせることにより、軸線方向に移動可能でかつ出力軸9と一体回転するように、出力軸9にクラッチディスク2が組み付けられる。図1に示す例では、2枚のクラッチディスク2のそれぞれが互いに隣接する一対のプレッシャープレート3同士の間に挟まれるように配置されている。上述した出力軸9や内側円筒部9aがこの発明の実施形態における第2部材に相当する。なお、軸線方向で各クラッチディスク2の両側面には、プレッシャープレート3に接触する環状の摩擦材(図示せず)が取り付けられ、それらの間の摩擦係数を増大させるようになっている。
上記のプレッシャープレート3とクラッチディスク2とをスナップリング6側に押圧して摩擦接触させる押圧力(荷重)を発生させるアクチュエータ11が、軸線方向でプレッシャープレート3やクラッチディスク2を挟んでスナップリング6とは反対側つまり図1での左側に設けられている。そのアクチュエータ11は一例として油圧式のアクチュエータであって、図示しない油圧源で発生させた油圧を所定の油圧に調圧し、その調圧された油圧が供給されるようになっている。そして、油圧に応じた荷重を生じてプレッシャープレート3とクラッチディスク2とを係合させるように構成されている。
具体的には、軸線方向で入力軸4側のハウジング5の側壁部に、軸線方向に凹んだ凹部が形成されている。その凹部の内部に、この発明の実施形態における押圧部材に相当するピストン12が軸線方向に移動可能に入力軸4に設けられている。凹部の内壁面のうち、半径方向で外側の内壁面と、当該半径方向で外側の内壁面に対向するピストン12の外周面との間にシール材13が設けられている。そのため、凹部とピストン12とによって区画された空間部分は液密状になっており、ここに上述した調圧された油圧が供給されるようになっている。つまり、上記の空間部分が油圧室14となっており、その油圧室14での油圧に応じた荷重によってピストン12がプレッシャープレート3側(図1での右側)に押圧される。また、ピストン12は、図1に示すように、図1で左側のハウジング5の内壁面の形状に倣った有底円筒状を成しており、そのピストン12の開口端12aにプレッシャープレート3が当接するように構成されている。さらに、上記の開口端12aに複数の切り欠き部12bが形成されており、それらの切り欠き部12bを、クラッチディスク2とプレッシャープレート3とを潤滑および冷却するオイルが流動するようになっている。
さらに、上記の摩擦係合装置1は図示しないリターンスプリングを有しており、リターンスプリングは摩擦係合装置1を解放させる方向つまり、クラッチディスク2とプレッシャープレート3とからピストン12を離隔させる方向にピストン12を押圧している。
また、摩擦係合装置1は、クラッチディスク2とプレッシャープレート3とが相対回転しつつ、それらクラッチディスク2とプレッシャープレート3との接触面の摩擦力に応じたトルクを伝達する。そのため、クラッチディスク2とプレッシャープレート3とが摺動することによって摩耗粉や摩擦熱が生じるので、摩耗粉を排出しまた摩擦熱によって昇温したクラッチディスク2とプレッシャープレート3とを冷却および潤滑するオイルが供給されるように構成されている。つまり、上記の摩擦係合装置1は湿式の摩擦係合装置1である。
クラッチディスク2とプレッシャープレート3とに対して上記のオイルを供給する構成について説明すると、ハウジング5と出力軸9との間に図示しない油圧源に連通した第1油路15が形成されている。その第1油路15を介してハウジング5内にオイルが供給されるようになっている。なお、上記のオイルはクラッチディスク2とプレッシャープレート3とを冷却および潤滑するオイルであるから、そのオイルの圧力は油圧室14に供給される油圧と比較して低くてよい。
図2は、外側円筒部5aに形成されたスプライン歯5bとプレッシャープレート3に形成されたスプライン歯3aおよびエンドプレート7に形成されたスプライン歯7aとが噛み合っている状態を示す断面図である。なお、図2には、図面を簡単にするため、外側円筒部5aに形成されたスプライン歯5bとエンドプレート7に形成されたスプライン歯7aとが噛み合っている状態を示す。図2に示すように、外側円筒部5aに形成されたスプライン歯5bの歯先とエンドプレート7に形成されたスプライン歯7aの歯底との間の隙間すなわち、頂げきは、外側円筒部5aに形成されたスプライン歯5bの歯底とエンドプレート7に形成されたスプライン歯7aの歯先との間の隙間(頂げき)よりも大きく設定されている。その大きさは上述したオイルが流動できる程度の大きさに設定されている。これは外側円筒部5aに形成されたスプライン歯5bの歯先とエンドプレート7に形成されたスプライン歯7aの歯底との間の隙間を油路(以下、第2油路と記す。)16として機能させるためである。また、図示しないが、上記と同様に、外側円筒部5aに形成されたスプライン歯5bの歯先とプレッシャープレート3に形成されたスプライン歯3aの歯底との間の隙間にも第2油路16が形成されている。さらに、図示しないが、内側円筒部9aに形成されたスプライン歯9bの歯先とクラッチディスク2に形成されたスプライン歯2aの歯底との間の隙間は、内側円筒部9aに形成されたスプライン歯9bの歯底とクラッチディスク2に形成されたスプライン歯2aの歯先との間の隙間よりも大きく設定され、その隙間をオイルが流動できるようになっている。
ここで、軸線方向でスナップリング6側のハウジング5の内壁面における、円周方向での支持部8の位置について説明する。ここに示す例では、エンドプレート7におけるスプライン歯7aの根元部分に支持部8が当接するように、ハウジング5の内壁面に支持部8が形成されている。言い換えれば、円周方向で互いに隣接する支持部8同士の間の隙間と、エンドプレート7に形成されたスプライン歯7aの歯底とが半径方向に並ぶように、ハウジング5の内壁面に支持部8が一体に形成されている。これは、上記の第2油路16に対して支持部8が半径方向に並ぶように形成されていると、遠心力によって半径方向で外側に向けてオイルが流動する場合に、第2油路16に対するオイルの流入が支持部8によって阻害される可能性があるので、これを避けるためである。なお、「並ぶように」とは、円周方向で互いに隣接する支持部8同士の間の隙間と、エンドプレート7に形成されたスプライン歯7aの歯底つまり第2油路16との少なくとも一部が半径方向で互いに重なり合っている状態を意味している。また、エンドプレート7における支持部8が接触する箇所を図2に点線で囲った領域として示してある。
次に、上述した構成の摩擦係合装置1の作用および効果について説明する。油圧室14に油圧が供給され、その油圧室14の油圧に応じた荷重によってピストン12がスナップリング6側に押圧される。そして、ピストン12がスナップリング6側に移動し、そのピストン12に押圧されたプレッシャープレート3がピストン12と一体となって軸線方向でスナップリング6側に移動してクラッチディスク2を押圧する。このようにプレッシャープレート3、クラッチディスク2の順に上記の荷重が作用していき、複数のプレッシャープレート3と複数のクラッチディスク2とが軸線方向でスナップリング6側に一体となって移動する。そして、上記のようにしてプレッシャープレート3およびクラッチディスク2がエンドプレート7側に移動してエンドプレート7に対向するクラッチディスク2がエンドプレート7に当接し、エンドプレート7をスナップリング6側に移動させ、エンドプレート7の外周部とスナップリング6とが当接する。
エンドプレート7の外周部がスナップリング6に接触すると、これとほぼ同時に、エンドプレート7の内周部に支持部8が接触する。つまり、エンドプレート7はスナップリング6と支持部8とによってそれ以上の移動が阻止される。そのため、ピストン12と、スナップリング6および支持部8との間にプレッシャープレート3とクラッチディスク2とが挟み付けられた状態となる。この状態では、スナップリング6と支持部8とによって、図1に示すように、半径方向でエンドプレート7の外周部と内周部とが支持されるため、エンドプレート7の外周部と内周部とのうちの一方が、他方に対して軸線方向に変位すること、すなわち、エンドプレート7が軸線方向に撓むことを抑制できる。その結果、エンドプレート7が撓む場合と比較して、プレッシャープレート3とクラッチディスク2とが速やかに係合状態となって、摩擦係合装置1での係合遅れを抑制でき、トルク伝達の応答性を向上できる。
また、上述した実施形態では、半径方向でスナップリング6の内側に支持部8を設けるので、つまりエンドプレート7の板厚を増大したり、スナップリング6を大型化したりしないので、摩擦係合装置1の軸長の増大や摩擦係合装置1を大型化する要因になりにくい。さらに、エンドプレート7の慣性質量が特には増大しない。そのため、エンドプレート7と一体となって回転するプレッシャープレート3の回転数を、クラッチディスク2と係合させる目標回転数に速やか上昇させることができる。これによっても摩擦係合装置1での係合遅れを抑制でき、トルク伝達の応答性を向上できる。また、スナップリング6と支持部8とはハウジング5に一体に設けられていてエンドプレート7と、スナップリング6および支持部8との間に差回転が生じないので、それらを繰り返し係合および解放させたとしても、それらの耐久性を損なうことがない。
そして、上述したハウジング5と出力軸9との間の第1油路15からハウジング5内に供給されたオイルは遠心力によって半径方向で外側に向かって移動する。そのオイルの少なくとも一部は内側円筒部9aおよびクラッチディスク2に供給されると共に、クラッチディスク2に係合しているプレッシャープレート3に供給され、それらを冷却および潤滑する。また、上記のオイルは円周方向で互いに隣接する支持部8同士の間の隙間を流動し、半径方向でハウジング5の外側部分つまり外側円筒部5aに溜まる。その外側円筒部5aに溜まったオイルは、第2油路16に流入すると共に、ハウジング5内に供給されるオイルの圧力によってピストン12側に流動する。そして、ピストン12の開口端12aに形成された切り欠き部12bを流動して図示しないドレン箇所に戻される。つまり、上述した実施形態では、摩擦係合装置1のクラッチディスク2およびプレッシャープレート3を冷却および潤滑すると共に、そのオイルの循環状態を維持できる。
なお、この発明は上述した実施形態に限定されないのであって、上述した実施形態ではハウジング5の内壁面に支持部8を設けたが、これに替えて、内側円筒部9aに一体に支持部8を設けてもよい。要は、スナップリング6と支持部8とによっていわゆる両持ち状態でエンドプレート7を支持するように構成されていればよい。また、ハウジング5の内壁面に形成する支持部8の数は、プレッシャープレート3やエンドプレート7に形成されたスプライン歯3a,7aの数と同数、あるいは、スプライン歯3a,7aの数の倍数や約数であってよく、その数は特には限定されない。要は、上述したように、スナップリング6と支持部8とによっていわゆる両持ち状態でエンドプレート7を支持し、また、第2油路16を塞がないように構成されていればよく、エンドプレート7や支持部8の強度あるいは剛性、回転バランス、第2油路16との位置関係などの要請で適宜にその数を決定してよい。
1 摩擦係合装置
2 クラッチディスク(第2ディスク)
3 プレッシャープレート(第1ディスク)
5 ハウジング(第1部材)
5a 外側円筒部(第1部材)
6 スナップリング(抜け止め部材)
7 エンドプレート(ストッパー)
8 支持部
9 出力軸(第2部材)
9a 内側円筒部(第2部材)
12 ピストン(押圧部材)
2 クラッチディスク(第2ディスク)
3 プレッシャープレート(第1ディスク)
5 ハウジング(第1部材)
5a 外側円筒部(第1部材)
6 スナップリング(抜け止め部材)
7 エンドプレート(ストッパー)
8 支持部
9 出力軸(第2部材)
9a 内側円筒部(第2部材)
12 ピストン(押圧部材)
Claims (1)
- 互いに係合することによってトルクを伝達しかつ互いに離隔することにより前記トルクの伝達を遮断する第1ディスクと第2ディスクと、
前記第1ディスクが軸線方向に移動可能かつ円周方向にトルク伝達可能に取り付けられた第1部材と、
前記第2ディスクが軸線方向に移動可能かつ円周方向にトルク伝達可能に取り付けられた第2部材と、
前記軸線方向で前記第1ディスクと前記第2ディスクとを挟んだ一方側に設けられ、前記第1ディスクと前記第2ディスクとを前記軸線方向で前記一方側とは反対側の他方側に押圧して係合させる押圧部材と、
前記押圧部材による押圧力を受けて前記第1ディスクおよび前記第2ディスクを前記押圧部材との間に挟み付けるストッパーと、
前記ストッパーに当接することによって前記他方側から前記ストッパーが抜け出ることを阻止する抜け止め部材とを備えている摩擦係合装置において、
前記押圧部材によって前記ストッパー側に前記第1ディスクと前記第2ディスクとが押圧されて前記ストッパーと前記抜け止め部材とが当接している状態で、半径方向で前記抜け止め部材と前記ストッパーとが当接している箇所よりも前記ストッパーの内周部もしくは前記ストッパーの外周部に当接して前記ストッパーを支持する支持部が、前記第1部材と前記第2部材との少なくとも一方に設けられていることを特徴とする摩擦係合装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020040730A JP2021143681A (ja) | 2020-03-10 | 2020-03-10 | 摩擦係合装置 |
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JP2020040730A JP2021143681A (ja) | 2020-03-10 | 2020-03-10 | 摩擦係合装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2021143681A true JP2021143681A (ja) | 2021-09-24 |
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Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2021143681A (ja) |
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2020
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