JP2021138509A - 糸巻取機、当接判定方法、及び当接判定プログラム - Google Patents
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Abstract
【課題】パッケージがタッチローラに当接したことを判定する。【解決手段】ワインダユニット10は、コーン型の巻取ボビン22に糸20を巻き取ってコーン型のパッケージ30を形成する。ワインダユニット10は、第1ボビン保持部B1によってクレードル23を支持するクレードル23と、第1ボビン保持部B1を回転させることによって巻取ボビン22を回転させるパッケージ駆動モータ41と、パッケージ30の外周面に当接することによって従動回転するタッチローラ29と、パッケージ30の大径側パッケージ周速と小径側パッケージ周速とを取得するパッケージ周速取得部51と、タッチローラ周速を取得するタッチローラ周速取得部52と、タッチローラ周速が小径側パッケージ周速以上大径側パッケージ周速以下の場合に、パッケージ30がタッチローラ29に当接したと判定するタッチ判定部53と、を備える。【選択図】図2
Description
本発明は、糸巻取機、当接判定方法、及び当接判定プログラムに関する。
例えば、特許文献1には、ボビンに糸を巻き取ってパッケージを形成する糸巻取機が記載されている。この糸巻取機では、パッケージの外周面をタッチローラに押し付けることにより、パッケージの形状を整えること等が行われている。また、このような糸巻取機では、糸の巻き取り開始時においてボビンの外周面とタッチローラの外周面との間に僅かな隙間が設けられるようにボビンを設置し、ボビンに糸が巻き取られてパッケージが形成されるに伴ってパッケージの外周面をタッチローラの外周面に当接させることが行われている。
例えば、特許文献1に記載された糸巻取機では、タッチローラに当接するパッケージの当接姿勢を判定している。このパッケージの当接姿勢を判定するため、糸巻取機では、パッケージがタッチローラに当接した状態であることを判定する必要がある。そこで、本発明は、パッケージがタッチローラに当接したことを判定可能な糸巻取機、当接判定方法、及び当接判定プログラムを提供することを目的とする。
本発明は、コーン型のボビンに糸を巻き取ってコーン型のパッケージを形成する糸巻取機であって、ボビンを保持するボビン保持部によってボビンを回転可能に支持するクレードルと、クレードルに取り付けられ、ボビン保持部と相対回転不能に連結された回転軸を有してボビン保持部を回転させることによってボビンを回転させる駆動部と、パッケージの外周面に当接することによって、パッケージの回転に伴って従動回転するタッチローラと、パッケージの外周面の大径側端部における周速である大径側パッケージ周速とパッケージの外周面の小径側端部における周速である小径側パッケージ周速とを取得するパッケージ周速取得部と、タッチローラの外周面の周速であるタッチローラ周速を取得するタッチローラ周速取得部と、タッチローラ周速が小径側パッケージ周速以上大径側パッケージ周速以下の場合に、パッケージがタッチローラに当接したと判定するタッチ判定部と、を備える。
この糸巻取機においては、パッケージがタッチローラに当接すると、タッチローラがパッケージの回転によって従動回転するため、タッチローラの周速がパッケージの周速と同じとなる。ここで、この糸巻取機は、コーン型のパッケージを形成する。パッケージの外周面とタッチローラの外周面とは、一点で接触する。以下、このパッケージとタッチローラとが当接する点をドライブポイントという。このドライブポイントは、パッケージの外周面の大径側端部の位置とパッケージの外周面の小径側端部の位置との間のいずれかに位置する。回転するコーン型のパッケージがタッチローラに当接している場合、ドライブポイントがパッケージの外周面の大径側端部に位置しているときと、ドライブポイントがパッケージの外周面の小径側端部に位置しているときとではタッチローラの周速が異なる。このように、パッケージの回転速度が一定であっても、タッチローラに当接するパッケージの当接部位に応じて、タッチローラの周速が変化する。このため、糸巻取機において、パッケージ周速取得部は、パッケージの外周面において最も周速が速い大径側パッケージ周速と、最も周速が遅い小径側パッケージ周速とを取得する。そして、タッチ判定部は、タッチローラ周速が小径側パッケージ周速以上大径側パッケージ周速以下の場合に、パッケージがタッチローラに当接したと判定する。このように、糸巻取機は、コーン型のパッケージを形成する場合において、パッケージがタッチローラに当接したことを判定できる。
糸巻取機において、タッチ判定部は、タッチローラ周速が小径側パッケージ周速以上大径側パッケージ周速以下の状態が、予め定められた判定時間以上継続した場合に、パッケージがタッチローラに当接したと判定してもよい。この場合、糸巻取機は、パッケージがタッチローラに安定した状態で当接している場合に、パッケージがタッチローラに当接したと判定できる。
糸巻取機において、パッケージ周速取得部は、ボビンの形状及びパッケージの回転速度に基づいて、大径側パッケージ周速及び小径側パッケージ周速を演算によって導出してもよい。この場合、糸巻取機は、ボビンの形状及びパッケージの回転速度に基づいて、大径側パッケージ周速及び小径側パッケージ周速を精度よく算出し、取得できる。
糸巻取機は、タッチローラに当接するパッケージの当接姿勢を判定する姿勢判定部を更に備え、パッケージ周速取得部は、ボビンの回転軸方向における予め定められた位置でのパッケージの外周面の周速である基準パッケージ周速を更に取得し、姿勢判定部は、タッチ判定部によってパッケージがタッチローラに当接したと判定された後、基準パッケージ周速とタッチローラ周速とを比較することにより、当接姿勢を判定してもよい。
ここで、上述したように、タッチローラに当接するパッケージの当接部位に応じて、タッチローラの周速が変化する。このため、姿勢判定部は、パッケージの外周面における予め定められた位置での基準パッケージ周速と、タッチローラの周速とを比較することで、パッケージのどの部位がタッチローラに当接しているか、すなわち、パッケージの当接姿勢を判定できる。このように、糸巻取機は、タッチローラに当接するパッケージの当接姿勢を判定することができる。
糸巻取機は、糸が引っ掛けられる糸ガイド部を移動させることによりパッケージに巻き取られる糸をトラバースするトラバース装置と、パッケージによって巻き取られる糸の巻取方向の糸速を検出する糸速検出部を更に備え、姿勢判定部は、更に、タッチ判定部によってパッケージがタッチローラに当接したと判定された後、糸速とタッチローラ周速との差の時間的変化に基づいて、当接姿勢を判定してもよい。
ここで、例えば、パッケージの大径側端部がタッチローラに当接している場合(すなわち、小径側端部はタッチローラから浮いている状態)、糸が巻き取られるに従ってパッケージとタッチローラとの間の糸の層(糸の量)が増加する。ボビン及びパッケージがコーン型であり、大径側と小径側とでは周速が異なるため、パッケージの外周面とタッチローラの外周面とは一点(ドライブポイント)で接する。そして、糸の層の増加に伴って、パッケージの外周面とタッチローラとが当接するドライブポイントは、パッケージ外周面の中央位置(回転軸方向の中央位置)に向けて移動する。このドライブポイントの移動の速さは、パッケージとタッチローラとの隙間が糸によって埋められる速さによって変化する。すなわち、例えば、パッケージの大径側端部がタッチローラに当接した状態とする。この状態で、パッケージとタッチローラとの隙間が広い場合(パッケージの小径側端部とタッチローラ外周面との隙間が広い場合)は、パッケージとタッチローラとの隙間が狭い場合(パッケージの小径側端部とタッチローラ外周面との隙間が狭い場合)と比べて、ドライブポイントの移動が遅い。また、糸はパッケージの大径側端部と小径側端部との間でトラバースされながら巻き取られているため、パッケージ外周面の中央位置の周速とは、糸速(糸の平均の走行速度)となる。このため、ドライブポイントがパッケージ外周面の中央位置付近まで移動した場合、タッチローラの周速は、パッケージ外周面の中央位置での周速とほぼ同じとなる。すなわち、タッチローラの周速が、糸速とほぼ同じとなる。このように、パッケージに糸が巻き取られるに従って、タッチローラの周速が糸速に収束する。また、タッチローラの周速が糸速に収束するときの速さは、パッケージとタッチローラとの隙間の大きさ、すなわち、タッチローラの回転軸に対するボビン(パッケージ)の回転軸の傾斜の状態によって変化する。従って、姿勢判定部は、糸速とタッチローラの周速との差の時間的変化に基づいて、タッチローラに対するボビン(パッケージ)の傾斜の状態、すなわち、タッチローラに対するパッケージの当接姿勢を判定することができる。
糸巻取機は、姿勢判定部によって判定された当接姿勢が予め定められた報知対象の当接姿勢であるか否かを判定する報知判定部と、報知判定部によって報知対象の当接姿勢であると判定された場合に報知を行う報知部と、を更に備えていてもよい。この場合、糸巻取機のオペレータは、報知部の報知結果に基づいてパッケージの当接姿勢を把握できる。そして、オペレータは、パッケージの当接姿勢を調整する、或いは糸の巻き取りを停止させる等の対応が可能となる。
糸巻取機は、報知対象の当接姿勢を入力する報知姿勢入力部を更に備え、報知判定部は、予め定められた報知対象の当接姿勢として、報知姿勢入力部によって入力された報知対象の当接姿勢を用いてもよい。この場合、糸巻取機のオペレータは、報知対象の当接姿勢を報知姿勢入力部を用いて設定することができる。そして、糸巻取機のオペレータは、例えば、巻き取る糸の種類等に応じて報知対象の当接姿勢を切り替えることができる。
本発明は、コーン型のボビンを保持するボビン保持部によってボビンを回転可能に支持するクレードルと、クレードルに取り付けられ、ボビン保持部と相対回転不能に連結された回転軸を有してボビン保持部を回転させることによってボビンを回転させ、ボビンに糸を巻き取ってコーン型のパッケージを形成する駆動部と、パッケージの外周面に当接することによって、パッケージの回転に伴って従動回転するタッチローラと、を備える糸巻取機において実行される当接判定方法であって、パッケージの外周面の大径側端部における周速である大径側パッケージ周速とパッケージの外周面の小径側端部における周速である小径側パッケージ周速とを取得するパッケージ周速取得ステップと、タッチローラの外周面の周速であるタッチローラ周速を取得するタッチローラ周速取得ステップと、タッチローラ周速が小径側パッケージ周速以上大径側パッケージ周速以下の場合に、パッケージがタッチローラに当接したと判定するタッチ判定ステップと、を含む。
この当接判定方法においても、上記糸巻取機と同様に、タッチローラ周速が小径側パッケージ周速以上大径側パッケージ周速以下の場合に、パッケージがタッチローラに当接したと判定する。これにより、この当接判定方法によれば、コーン型のパッケージを形成する場合において、パッケージがタッチローラに当接したことを判定できる。
当接判定方法は、ボビンの外周面とタッチローラの外周面との間に隙間が設けられた状態となるように、ボビン保持部にボビンを保持させるボビン設置ステップを更に含み、糸巻取機は、ボビンの外周面とタッチローラの外周面との間に隙間が設けられた状態で、駆動部を駆動させて糸の巻き取りを開始してもよい。これにより、ボビンがタッチローラから離間した状態で、糸の巻き取りを開始できる。
本発明に係る当接判定プログラムは、コーン型のボビンを保持するボビン保持部によってボビンを回転可能に支持するクレードルと、クレードルに取り付けられ、ボビン保持部と相対回転不能に連結された回転軸を有してボビン保持部を回転させることによってボビンを回転させ、ボビンに糸を巻き取ってコーン型のパッケージを形成する駆動部と、パッケージの外周面に当接することによって、パッケージの回転に伴って従動回転するタッチローラと、を備える糸巻取機において、パッケージの外周面の大径側端部における周速である大径側パッケージ周速とパッケージの外周面の小径側端部における周速である小径側パッケージ周速とを取得するパッケージ周速取得処理と、タッチローラの外周面の周速であるタッチローラ周速を取得するタッチローラ周速取得処理と、タッチローラ周速が小径側パッケージ周速以上大径側パッケージ周速以下の場合に、パッケージがタッチローラに当接したと判定するタッチ判定処理と、をコンピュータに実行させる。
この当接判定プログラムにおいても、上記糸巻取機と同様に、タッチローラ周速が小径側パッケージ周速以上大径側パッケージ周速以下の場合に、パッケージがタッチローラに当接したと判定する。これにより、この当接判定プログラムによれば、コーン型のパッケージを形成する場合において、パッケージがタッチローラに当接したことを判定できる。
本発明によれば、パッケージがタッチローラに当接したことを判定できる。
以下、本発明に係る糸巻取機、当接判定方法、及び当接判定プログラムの実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
図1を参照して、本実施形態のワインダユニット(糸巻取機)10を備える自動ワインダ1の全体的な構成について説明する。なお、本明細書において「上流」及び「下流」とは、糸巻取時での糸の走行方向における上流及び下流を意味する。
図1に示されるように、自動ワインダ1は、並べて配置された複数のワインダユニット10と、自動玉揚装置80と、機台制御装置90と、を主要な構成として備えている。各ワインダユニット10は、給糸ボビン21から解舒された糸20をトラバースしながら巻取ボビン(ボビン)22(図2参照)に巻き取り、パッケージ30を形成する。なお、トラバースとは、巻かれる糸に往復運動を与えることを意味する。パッケージ30は、綾巻きパッケージである。
自動玉揚装置80は、各ワインダユニット10においてパッケージ30が満巻(満管)となった際に、当該ワインダユニット10の位置まで走行し、当該ワインダユニット10から満巻のパッケージ30を排出させると共に、当該ワインダユニット10に空ボビン(空の巻取ボビン22)を供給する。
機台制御装置90は、設定部(報知姿勢入力部)91と、表示部92と、スピーカ93とを備えている。設定部91は、オペレータが所定の設定値を入力したり適宜の制御方法を選択したりすることで、各ワインダユニット10に対する設定を行うことができる。オペレータが設定部91に入力する所定の設定値には、糸20を巻き取る巻取ボビン22の種類(形状)を特定するためのボビン情報が含まれている。なお、ボビン情報は、使用する巻取ボビン22の種類をオペレータが直接入力することによって特定されることに限定されない。例えば、巻き取る糸20の種類によって使用される巻取ボビン22の種類が決定される場合、ボビン情報は、オペレータが入力した糸20の種類から特定されてもよい。
また、設定部91は、報知対象の当接姿勢の入力を受け付ける。この報知対象の当接姿勢は、オペレータによって入力される。設定部91は、オペレータが入力した報知対象の当接姿勢を各ワインダユニット10に対して設定する。報知対象の当接姿勢については後述する。表示部92は、各ワインダユニット10の糸20の巻取状況、及び、発生したトラブルの内容等を表示可能に構成されている。なお、表示部92がタッチパネルで構成され、設定部91が表示部92に含まれていてもよい。スピーカ93は、後述する報知指示部56からの指示に基づいて音を出力することによってオペレータに報知を行う。
次に、図2を参照して、ワインダユニット10の構成を具体的に説明する。各ワインダユニット10は、図2に示されるように、巻取ユニット本体17と、ユニット制御部50と、を主要な構成として備えている。
ユニット制御部50は、例えば、CPUと、RAMと、ROMと、I/Oポートと、通信ポートと、を備えて構成されている。上記ROMには、巻取ユニット本体17の各構成を制御するためのプログラムが記録されている。I/Oポート及び通信ポートには、巻取ユニット本体17が備える各部(詳細は後述)及び機台制御装置90が接続されており、制御情報等の通信ができるように構成されている。これにより、ユニット制御部50は、巻取ユニット本体17が備える各部の動作を制御することができる。
巻取ユニット本体17は、給糸ボビン21とタッチローラ29との間の糸走行経路中に、給糸ボビン21側から順に、糸解舒補助装置12と、テンション付与装置13と、糸継装置14と、光電式定長装置(糸速検出部)15と、糸監視装置16と、を有している。巻取ユニット本体17の下部には、給糸部11が設けられている。給糸部11は、図略のボビン搬送システムによって搬送されてきた給糸ボビン21を所定の位置に保持できるように構成されている。
糸解舒補助装置12は、給糸ボビン21の芯管に被さる規制部材40を給糸ボビン21からの糸20の解舒と連動して下降させることにより、給糸ボビン21からの糸20の解舒を補助する。規制部材40は、給糸ボビン21から解舒された糸20の回転と遠心力によって給糸ボビン21上部に形成された糸20のバルーンに接触し、糸20のバルーンを適切な大きさに制御することによって糸20の解舒を補助する。規制部材40の近傍には給糸ボビン21のチェース部を検出するための図略のセンサが設けられている。このセンサがチェース部の下降を検出すると、糸解舒補助装置12は、チェース部の下降に追従して規制部材40を例えばエアシリンダ(図示せず)によって下降させる。
テンション付与装置13は、走行する糸20に所定のテンションを付与する。テンション付与装置13としては、例えば、固定の櫛歯に対して可動の櫛歯を配置するゲート式の装置を用いることができる。可動の櫛歯は、固定の櫛歯に対して噛合せ状態又は解放状態になるように、ロータリ式のソレノイドにより回動される。なお、テンション付与装置13としては、上記ゲート式の装置以外にも、例えば、ディスク式の装置を採用することができる。
糸継装置14は、糸監視装置16が糸欠陥を検出して行う糸切断時、又は給糸ボビン21からの解舒中の糸切れ時等に、給糸ボビン21からの下糸と、パッケージ30からの上糸とを糸継ぎする。このような上糸と下糸とを糸継ぎする糸継装置としては、機械式のノッター、又は、圧縮空気等の流体を用いるスプライサ等を使用することができる。
光電式定長装置15は、巻取ボビン(ボビン)22又はパッケージ30に巻き取られる糸20の巻取方向の糸20の糸速を検出する。ここで、糸20の巻取方向とは、巻取ボビン22又はパッケージ30に巻き取られることによって、巻取ボビン22又はパッケージ30に向って糸20が進む方向である。すなわち、糸20の巻取方向とは、後述するトラバース装置70によってトラバースされる糸20のトラバース方向に交差する方向である。
光電式定長装置15は、例えば、非接触の光電式の定長装置であって、糸20の走行速度である糸速を糸20に触れることなく検出する。具体的には、光電式定長装置15は、糸20を受光素子上に投影し、その投影された糸20が走行する際に生じる光電流の変化をいわゆる空間フィルタ原理を用いて処理することにより、巻取ボビン22又はパッケージ30に巻き取られる糸20の糸速を検出してもよい。
糸監視装置16は、糸20の太さを検出するための図略のセンサが配置されたヘッド49と、このセンサからの糸太さ信号を処理するアナライザ59と、を備えている。アナライザ59は、ユニット制御部50内に設けられている。但し、糸監視装置16のアナライザ59は、ユニット制御部50内に設けられることに限定されない。アナライザ59は、ヘッド49の近傍に設けられていてもよい。糸監視装置16は、上記センサからの糸太さ信号を監視することにより、スラブ等の糸欠陥を検出する。ヘッド49の近傍には、糸監視装置16が糸欠陥を検出したときに直ちに糸20を切断するカッター39が設けられている。
糸継装置14の下側には、下糸の糸端を捕捉して糸継装置14に案内する下糸捕捉部材25が設けられている。糸継装置14の上側には、上糸の糸端を捕捉して糸継装置14に案内する上糸捕捉部材26が設けられている。下糸捕捉部材25は、下糸パイプアーム33と、この下糸パイプアーム33の先端に形成された下糸吸引口32と、を備えている。上糸捕捉部材26は、上糸パイプアーム36と、この上糸パイプアーム36の先端に形成された上糸吸引口35と、を備えている。
下糸パイプアーム33と上糸パイプアーム36とは、それぞれ軸34及び軸37を中心に回動可能に構成されている。下糸パイプアーム33及び上糸パイプアーム36には、適宜の負圧源がそれぞれ接続されている。下糸パイプアーム33は、下糸吸引口32に吸引流を発生させて、下糸の糸端を吸引捕捉できるように構成されている。上糸パイプアーム36は、上糸吸引口35に吸引流を発生させて、上糸の糸端を吸引捕捉できるように構成されている。下糸パイプアーム33及び上糸パイプアーム36には、その基端側にシャッタ(図示せず)がそれぞれ設けられている。各シャッタは、ユニット制御部50からの信号に応じて開閉される。これにより、下糸吸引口32及び上糸吸引口35からの吸引流の停止及び発生が制御される。
巻取ユニット本体17は、巻取ボビン22を着脱可能且つ回転可能に支持するクレードル23と、巻取ボビン22の外周面又はパッケージ30の外周面に接触して回転可能なタッチローラ29と、を更に備えている。巻取ボビン22は、両端の径が異なるコーン型(円錐型)の形状を有している。巻取ユニット本体17は、糸20をトラバースさせるためのアーム式のトラバース装置70をクレードル23の近傍に備えている。巻取ユニット本体17は、トラバース装置70によって糸20をトラバースしながら糸20を巻取ボビン22又はパッケージ30に巻き取る。トラバース箇所のやや上流には、ガイドプレート28が設けられている。ガイドプレート28は、上流側の糸20をトラバース箇所へと案内する。ガイドプレート28の更に上流には、セラミック製のトラバース支点部27が設けられている。トラバース装置70は、このトラバース支点部27を支点として、図2の矢印に示す方向に糸20をトラバースさせる。
巻取ユニット本体17は、トラバース装置70によって糸20をトラバースしながら、コーン型の巻取ボビン22に糸20を巻き取らせてコーン型のパッケージ30を形成する。
具体的には、トラバース装置70は、図2及び図3に示されるように、トラバース駆動モータ76と、出力軸77と、トラバースアーム74とを備えている。なお、図3は、タッチローラ29の軸方向に見た図である。パッケージ30の巻取方向の回転は、図3において時計回りであり、パッケージ30の反巻取方向の回転は、図3において反時計回りである。
トラバース駆動モータ76は、トラバースアーム74を駆動するモータであって、サーボモータ等により構成されている。トラバース駆動モータ76の動作は、ユニット制御部50により制御されている。トラバース駆動モータ76は、ステップモータ又はボイスコイルモータ等の他のモータであってもよい。トラバースアーム74の先端部には、例えば糸20が引っ掛けられるフック形状の糸ガイド部73が形成されている。トラバースアーム74は、糸ガイド部73によって糸20を案内できる。トラバース装置70は、糸ガイド部73が糸20を案内した状態でトラバースアーム74を往復旋回運動させる(糸ガイド部73を移動させる)ことにより、パッケージ30に巻き取られる糸20をトラバースさせることができる。
トラバース駆動モータ76の動力は、出力軸77を介して、トラバースアーム74の基端部に伝達されている。トラバース駆動モータ76のロータが正逆回転することで、トラバースアーム74が図3の紙面垂直方向(図2の左右方向(パッケージ30の巻幅方向))に往復旋回運動を行う。なお、図3におけるトラバースアーム74は、トラバースの端部における位置を示している。
タッチローラ29は、パッケージ30の外周面に当接することによって、パッケージ30の回転に伴って従動回転する。タッチローラ29は、両端の径が同一の円柱型の形状を有している。タッチローラ29には、パッケージ30の外周面が押し付けられている。タッチローラ29は、パッケージ30の形状を整える機能を有している。また、タッチローラ29は、トラバースされた糸20をトラバースされた位置で保持しつつ、パッケージ30に巻き取らせる機能を有している。タッチローラ29には、タッチローラ29の回転速度を検出する回転速度センサ31が設けられている。回転速度センサ31は、タッチローラ29の回転速度に応じた回転検出信号をユニット制御部50に対して送信する。回転速度センサ31としては、タッチローラ29に取り付けられた磁石の磁気の変化を計測するセンサなど、種々のセンサを用いることができる。
なお、図4に示されるように、本実施形態においてタッチローラ29は、糸20の巻き取り開始時において、巻取ボビン22の外周面とタッチローラ29の外周面との間に隙間Tが設けられるように設置される。隙間Tの大きさは、例えば、糸20の巻き取り開始前に、オペレータが巻取ボビン22を支持するクレードル23の位置又はタッチローラ29の設置位置の調整を行うことによって設定され得る。このように、オペレータによって、巻取ボビン22の外周面とタッチローラ29の外周面との間に隙間Tが設けられた状態となるように、第1ボビン保持部B1及び第2ボビン保持部B2に巻取ボビン22を保持させるボビン設置ステップが実行される。そして、ワインダユニット10は、巻取ボビン22の外周面とタッチローラ29の外周面との間に隙間Tが設けられた状態で、パッケージ駆動モータ41を駆動させて糸20の巻き取りを開始する。
これにより、例えば、糸20の巻き取り開始時に巻取ボビン22に振動が生じたとしても、巻取ボビン22の振動を隙間Tによって吸収できる。この隙間Tは、一例として1mm〜2mm程度であってもよい。但し、隙間Tは、ワインダユニット10の機種又は巻取ボビン22の種類等に応じて適宜設定される。
クレードル23は、一対の第1クレードルアーム23a及び第2クレードルアーム23bと、第1クレードルアーム23aの基端部と第2クレードルアーム23bの基端部とを連結する連結部23cと、を有している。クレードル23は、連結部23cに設けられた回動軸48を中心に回動可能に構成されている。クレードル23は、巻取ボビン22への糸20の巻き取りに伴うパッケージ30の径の増大を、クレードル23が回動することによって吸収する。
第1クレードルアーム23aの先端部には、巻取ボビン22の一方の端部を保持する第1ボビン保持部(ボビン保持部)B1が設けられている。第2クレードルアーム23bの先端部には、巻取ボビン22の他方の端部を保持する第2ボビン保持部B2が設けられている。また、第1クレードルアーム23aの先端部には、サーボモータで構成されるパッケージ駆動モータ(駆動部)41が取り付けられている。パッケージ駆動モータ41は、巻取ボビン22に糸20を巻き取るために、第1ボビン保持部B1及び第2ボビン保持部B2によって保持された巻取ボビン22を回転駆動する。パッケージ駆動モータ41は、パッケージ30(巻取ボビン22)を巻取方向に回転させる正転回転、及び、巻取方向とは反対方向の反巻取方向にパッケージ30を回転させる逆転回転でパッケージ30を回転駆動可能である。パッケージ駆動モータ41のモータ軸(回転軸)は、巻取ボビン22を保持する第1ボビン保持部B1と相対回転不能に連結される。パッケージ駆動モータ41は、第1ボビン保持部B1を回転させることによって巻取ボビン22を回転させる。このように、巻取ボビン22は、いわゆるダイレクトドライブ方式によってパッケージ駆動モータ41によって回転させられる。
パッケージ駆動モータ41の動作は、ユニット制御部50により制御される。パッケージ駆動モータ41としては、サーボモータに限られず、ステップモータ、インダクションモータといった各種のモータを採用することができる。パッケージ駆動モータ41には、パッケージ駆動モータ41のモータ軸の回転速度を検出する回転速度センサ24が設けられている。回転速度センサ24は、モータ軸の回転速度に応じた回転検出信号をユニット制御部50に対して送信する。
ユニット制御部50は、上述したアナライザ59に加え、パッケージ周速取得部51、タッチローラ周速取得部52、タッチ判定部53、姿勢判定部54、報知判定部55、報知指示部56、記憶部57、及びパッケージ駆動制御部58を更に備えている。
パッケージ周速取得部51は、図5(a)に示されるように、巻取ボビン22に形成されたコーン型のパッケージ30の外周面の大径側端部30aにおける周速である大径側パッケージ周速と、パッケージ30の外周面の小径側端部30bにおける周速である小径側パッケージ周速とを取得する。すなわち、パッケージ周速取得部51は、大径側パッケージ周速と小径側パッケージ周速とを取得するパッケージ周速取得ステップを実行する。
本実施形態において、パッケージ周速取得部51は、巻取ボビン22の形状及びパッケージ30の回転速度に基づいて、大径側パッケージ周速及び小径側パッケージ周速を演算によって導出する。巻取ボビン22の形状とは、巻取ボビン22の形状を特定する情報、及び巻取ボビン22の外周面のうちパッケージ30を形成する部分に関する情報等が含まれている。具体的には、ボビン形状には、一例として、図5(b)に示されるように、コーン型の巻取ボビン22の外周面の傾斜(テーパ形状)を特定するためのボビン傾斜角度αと、巻取ボビン22における回転軸方向の中央位置でのボビンセンター外径Kと、パッケージ30の巻取幅Lとが含まれている。パッケージ周速取得部51は、このボビン形状とパッケージ30の回転速度とに基づいて、巻取ボビン22に形成されるパッケージ30の大径側パッケージ周速及び小径側パッケージ周速を周知の方法によって算出することができる。
例えば、パッケージ周速取得部51は、巻取ボビン22の形状に基づいて大径側端部30aの周長[m]を算出する。パッケージ周速取得部51は、大径側端部30aの周長にパッケージ30の回転速度[rpm]を乗算することにより、大径側パッケージ周速[m/min]を得ることができる。同様に、パッケージ周速取得部51は、巻取ボビン22の形状に基づいて小径側端部30bの周長[m]を算出し、算出した小径側端部30bの周長にパッケージ30の回転速度[rpm]を乗算することにより、小径側パッケージ周速[m/min]を得ることができる。なお、パッケージ周速取得部51は、パッケージ30の回転速度として、パッケージ駆動モータ41のモータ軸の回転速度を検出する回転速度センサ24の検出結果を用いることができる。なお、周長、回転速度、及び周速の単位の一例として、それぞれ[m]、[rpm]、及び[m/min]を例示したが、これらの単位は一例であり、これらの単位に限定されない。
巻取ボビン22の形状は、巻取ボビン22の種類ごとに予め記憶部57に記憶されている。パッケージ周速取得部51は、設定部91に入力されたボビン情報に基づいて、使用されている巻取ボビン22の種類を特定することができる。パッケージ周速取得部51は、特定した種類に応じた巻取ボビン22の形状を記憶部57から取得してもよい。
ここで、パッケージ周速取得部51によって算出された大径側パッケージ周速及び小径側パッケージ周速は、糸20の巻き取りの開始後、巻取ボビン22に形成されるパッケージ30がタッチローラ29に当接したか否かの判定に用いられる。上述したように、糸20の巻き取り開始時においては、巻取ボビン22の外周面とタッチローラ29の外周面との間に僅かな隙間Tが設けられている。隙間Tが僅かであるため、隙間Tが糸20によって埋められてパッケージ30の外周面がタッチローラ29の外周面に当接した時点(当接していない状態から当接した状態に変わった時点)においては、パッケージ30の層厚は薄い。すなわち、パッケージ周速取得部51は、層厚が非常に薄いパッケージ30における大径側パッケージ周速及び小径側パッケージ周速を算出できればよい。
このため、パッケージ周速取得部51は、巻取ボビン22の外周面の形状をパッケージ30の外周面の形状としてみなして、巻取ボビン22の外周面の形状を用いてパッケージ30の大径側の周速等を算出してもよい。具体的には、例えば、パッケージ周速取得部51は、ボビン情報に基づいて、巻取ボビン22の外周面のうち糸20が巻き取られる部分の形状を特定する。そして、パッケージ周速取得部51は、特定した形状を、大径側パッケージ周速及び小径側パッケージ周速を算出するためのパッケージ30の外周面の形状として用いてもよい。
但し、パッケージ周速取得部51は、巻取ボビン22の外周面の形状をパッケージ30の外周面の形状としてみなして用いることに限定されない。すなわち、パッケージ周速取得部51は、巻取ボビン22に巻かれたパッケージ30の層厚を考慮して、大径側パッケージ周速等を算出してもよい。この場合、例えば、パッケージ周速取得部51は、巻取ボビン22に巻き取られた糸20の長さに基づいてパッケージ30の層厚を算出してもよい。この巻取ボビン22に巻かれた糸20の長さは、例えば、光電式定長装置15で検出された糸20の糸速及び巻き取り開始からの経過時間等に基づいて算出されてもよい。
さらに、パッケージ周速取得部51は、パッケージ30がタッチローラ29に当接した後、パッケージ30の回転軸方向における予め定められた位置でのパッケージ30の外周面の周速(基準パッケージ周速)を取得する。なお、パッケージ30がタッチローラ29に当接した後とは、巻取ボビン22に糸20が巻き取られることによって隙間Tが糸20によって埋められ、巻取ボビン22に巻き取られた糸20がタッチローラ29に当接している状態である。すなわち、パッケージ30がタッチローラ29に当接している状態である。この状態とは、詳しくは後述するタッチ判定部53によって、パッケージ30がタッチローラ29に当接したと判定された状態である。
本実施形態において、パッケージ周速取得部51は、回転軸方向における予め定められた位置での周速として、パッケージ30における回転軸方向の中央位置での外周面の周速を取得する。パッケージ周速取得部51は、パッケージ30における回転軸方向の中央位置での外周面の周速を、周知の方法に基づいて取得することができる。
例えば、パッケージ周速取得部51は、予め定められた位置でのパッケージ30の外周面の周速を、当該周速を算出するための周速算出情報に基づいて演算によって導出してもよい。この周速算出情報には、例えば、巻取ボビン22の形状、巻取ボビン22の回転速度、及び、巻き取られる糸20の糸速の少なくともいずれかが含まれている。なお、この巻取ボビン22の形状として、記憶部57に記憶された情報を用いることができる。巻取ボビン22の回転速度としては、回転速度センサ24の検出結果を用いることができる。巻き取られる糸20の糸速としては、光電式定長装置15の検出結果を用いることができる。なお、糸速として、光電式定長装置15の検出結果に替えて、糸監視装置16の検出結果を用いることもできる。
一例として、パッケージ周速取得部51は、パッケージ30がタッチローラ29に当接した後においては、光電式定長装置15で検出された糸速と回転速度センサ24で検出された回転速度とに基づいて、パッケージ30における回転軸方向の中央位置での径を算出する。そして、パッケージ周速取得部51は、算出したパッケージ30の径に基づいて、パッケージ30中央位置での外周面の周速を算出してもよい。他の一例として、パッケージ周速取得部51は、パッケージ30がタッチローラ29に当接した後においては、光電式定長装置15で検出された糸20の糸速を、パッケージ30における回転軸方向の中央位置での外周面の周速として用いてもよい。本実施形態では、パッケージ30がコーン型であり、トラバース装置70でトラバースされる糸20の平均糸速が光電式定長装置15によって検出される。このため、光電式定長装置15で検出された糸20の糸速が、パッケージ30における回転軸方向の中央位置での外周面の周速となる。
以下、パッケージ30における回転軸方向の中央位置での外周面の周速を、「パッケージ中央径周速」という。
パッケージ駆動制御部58は、巻取ボビン22又はパッケージ30によって巻き取られる糸20の糸速が予め定められた糸速となるように、パッケージ駆動モータ41の回転速度を制御する。例えば、パッケージ駆動制御部58は、巻取ボビン22又はパッケージ30における回転軸方向の中央位置での径に基づいて、予め定められた糸速を実現するためのパッケージ駆動モータ41の回転速度を算出することができる。パッケージ駆動制御部58は、巻取ボビン22又はパッケージ30における回転軸方向の中央位置での径を、周知の方法に基づいて算出することができる。
一例として、パッケージ駆動制御部58は、糸20の巻き取り開始時においては、巻取ボビン22の回転軸方向の中央位置での径(ボビンセンター外径K)として、予め記憶部57に記憶された巻取ボビン22の形状を用いてもよい。また、一例として、パッケージ駆動制御部58は、糸20の巻き取り開始後においては、光電式定長装置15で検出された糸速と回転速度センサ24で検出された回転速度とに基づいてパッケージ30の径を算出してもよい。光電式定長装置15で検出された糸速を用いてパッケージ30の径を算出する場合、パッケージ駆動制御部58は、実際の糸20の糸速に基づいてパッケージ駆動モータ41の回転速度を調整する制御、すなわちフィードバック制御を行うことができる。
タッチローラ周速取得部52は、タッチローラ29の外周面の周速を取得する。一例として、タッチローラ周速取得部52は、タッチローラ29の径の大きさ、及び回転速度センサ31によって検出された回転速度とに基づいて、タッチローラ29の外周面の周速を演算によって導出することができる。タッチローラ29の径の大きさは、予めタッチローラ周速取得部52に設定されている。以下、タッチローラ29の外周面の周速を、「タッチローラ周速」という。このように、タッチローラ周速取得部52は、タッチローラ周速を取得するタッチローラ周速取得ステップを実行する。
例えば、タッチローラ周速取得部52は、タッチローラ29の径の大きさに基づいてタッチローラ29の周長[m]を算出する。タッチローラ周速取得部52は、タッチローラ29の周長にパッケージ30の回転速度[rpm]を乗算することにより、タッチローラ周速[m/min]を得ることができる。
タッチ判定部53は、タッチローラ29の外周面と巻取ボビン22の外周面との間に隙間がある状態で糸20の巻き取りが開始された後、パッケージ30がタッチローラ29に当接したか否かを判定する。具体的には、タッチ判定部53は、次の式(1)に示されるように、タッチローラ周速取得部52で取得されたタッチローラ周速が、パッケージ周速取得部51で取得された小径側パッケージ周速以上大径側パッケージ周速以下の場合に、パッケージ30がタッチローラ29に当接したと判定する。
小径側パッケージ周速≦タッチローラ周速≦大径側パッケージ周速 …(1)
このように、タッチ判定部53は、タッチローラ周速が小径側パッケージ周速以上大径側パッケージ周速以下の場合に、パッケージ30がタッチローラ29に当接したと判定するタッチ判定ステップを実行する。
小径側パッケージ周速≦タッチローラ周速≦大径側パッケージ周速 …(1)
このように、タッチ判定部53は、タッチローラ周速が小径側パッケージ周速以上大径側パッケージ周速以下の場合に、パッケージ30がタッチローラ29に当接したと判定するタッチ判定ステップを実行する。
ここで、ワインダユニット10においては、パッケージ30がタッチローラ29に当接すると、タッチローラ29がパッケージ30の回転によって従動回転するため、タッチローラ29の周速がパッケージ30の周速と同じとなる。本実施形態のワインダユニット10は、コーン型のパッケージ30を形成する。パッケージ30とタッチローラ29とは、ドライブポイント(パッケージ30とタッチローラ29とが当接する点)で接触する。タッチローラ29は、ドライブポイントにおいてパッケージ30に従動して回転させられる。このドライブポイントは、パッケージ30の外周面の大径側端部30aとパッケージの外周面の小径側端部30bとの間のいずれかに位置する。回転するコーン型のパッケージ30がタッチローラ29に当接している場合、ドライブポイントがパッケージ30の外周面の大径側端部30aに位置しているときと、ドライブポイントがパッケージ30の外周面の小径側端部30bに位置しているときとではタッチローラ29の周速が異なる。
このように、パッケージ30の回転速度が一定であっても、タッチローラ29に当接するパッケージ30の当接部位に応じて、タッチローラ29の周速が変化する。このため、パッケージ周速取得部51は、パッケージ30の外周面において最も周速が速い大径側パッケージ周速と、最も周速が遅い小径側パッケージ周速とを取得する。そして、タッチ判定部53は、タッチローラ周速が小径側パッケージ周速以上大径側パッケージ周速以下の場合に、パッケージ30がタッチローラ29に当接したと判定する。これにより、タッチ判定部53は、パッケージ30の外周面のいずれの位置にタッチローラ29が当接した場合であっても、パッケージ30がタッチローラ29に当接したことを判定できる。
なお、タッチローラ周速取得部52で取得されるタッチローラ周速の値が安定しておらず、値が上下に変動することがある。例えば、回転するパッケージ30の風圧の影響などによってタッチローラ29が回転することがある。このため、タッチ判定部53は、タッチローラ周速が小径側パッケージ周速以上大径側パッケージ周速以下の状態が、予め定められた判定時間以上継続した場合に、パッケージ30がタッチローラ29に当接したと判定することができる。
姿勢判定部54は、タッチ判定部53によってパッケージ30がタッチローラ29に当接したと判定された後、タッチローラ29に当接するパッケージ30の当接姿勢を判定する。姿勢判定部54は、パッケージ周速取得部51で取得されたパッケージ中央径周速と、タッチローラ周速取得部52で算出されたタッチローラ周速とを比較することにより、タッチローラ29に当接するパッケージ30の当接姿勢を判定する。ここでは姿勢判定部54は、当接姿勢として、パッケージ30の大径側端部30aがタッチローラ29に当接しているか、小径側端部30bがタッチローラ29に当接しているか、大径側端部30aと小径側端部30bとの間の中央位置がタッチローラ29に当接しているかを判定する。
ここで、上述したように、パッケージ30の回転速度が一定であっても、パッケージ30がタッチローラ29に当接するドライブポイントの位置に応じて、タッチローラ周速が変化する。このため、姿勢判定部54は、パッケージ中央径周速とタッチローラ周速とを比較することで、パッケージ30のどの部位がタッチローラ29に当接しているか、すなわち、タッチローラ29に対するパッケージ30の当接姿勢を判定できる。
具体的には、姿勢判定部54は、パッケージ30がタッチローラ29に当接した後において、タッチローラ周速とパッケージ中央径周速とが次の式(2)を満たす場合、図6(a)に示されるように、パッケージ30の大径側端部30aがタッチローラ29に当接していると判定する。
タッチローラ周速/パッケージ中央径周速>1 …(2)
タッチローラ周速/パッケージ中央径周速>1 …(2)
姿勢判定部54は、パッケージ30がタッチローラ29に当接した後において、タッチローラ周速とパッケージ中央径周速とが次の式(3)を満たす場合、図6(b)に示されるように、パッケージ30の回転軸方向における中央位置での外周面がタッチローラ29に当接していると判定する。
タッチローラ周速/パッケージ中央径周速=1 …(3)
タッチローラ周速/パッケージ中央径周速=1 …(3)
姿勢判定部54は、パッケージ30がタッチローラ29に当接した後において、タッチローラ周速とパッケージ中央径周速とが次の式(4)を満たす場合、図6(c)に示されるように、パッケージ30の小径側端部30bがタッチローラ29に当接していると判定する。
タッチローラ周速/パッケージ中央径周速<1 …(4)
タッチローラ周速/パッケージ中央径周速<1 …(4)
さらに、姿勢判定部54は、光電式定長装置15で検出された糸20の糸速とタッチローラ周速取得部52で算出されたタッチローラ周速との差の時間的変化に基づいて、当接姿勢を判定することができる。ここでは、姿勢判定部54は、図7(a)に示されるように、パッケージ30の大径側端部30aがタッチローラ29に当接した状態(大径側端部30aにおいて隙間Tが0になった状態)で、小径側端部30bとタッチローラ29との隙間Tbが広いか又は狭いかを当接姿勢として判定する。同様に、姿勢判定部54は、図7(b)に示されるように、パッケージ30の小径側端部30bがタッチローラ29に当接した状態(小径側端部30bにおいて隙間Tが0になった状態)で、大径側端部30aとタッチローラ29との隙間Taが広いか又は狭いかを当接姿勢として判定する。
ここで、例えば、図7(a)に示されるように、パッケージ30の大径側端部30aがタッチローラ29に当接している場合、糸20が巻き取られるに従ってパッケージ30とタッチローラ29との間の糸20の層(糸の量)が増加する。巻取ボビン22及びパッケージ30がコーン型であり、大径側と小径側とでは周速が異なる。このため、上述したように、パッケージ30の外周面とタッチローラ29の外周面とは一点(ドライブポイント)で接する。そして、糸20の層の増加に伴って、パッケージ30の外周面とタッチローラ29とが当接するドライブポイントは、パッケージ30の外周面の中央位置(回転軸方向の中央位置)に向けて移動する。このドライブポイントの移動の速さは、パッケージ30とタッチローラ29との隙間が糸によって埋められる速さによって変化する。
すなわち、例えば、パッケージ30の大径側端部30aがタッチローラ29に当接した状態とする。この状態で、パッケージ30とタッチローラ29との隙間が広い場合は、パッケージ30とタッチローラ29との隙間が狭い場合と比べて、ドライブポイントの移動が遅い。具体的には、図7(a)に示されるようにパッケージ30とタッチローラ29との隙間が広い場合(小径側端部30bとタッチローラ29の外周面との隙間Tbが広い場合)は、図6(a)に示されるようにパッケージ30とタッチローラ29との隙間が狭い場合(小径側端部30bとタッチローラ29の外周面との隙間Tbが狭い場合)と比べて、隙間が糸20によって埋められる速さが遅いため、ドライブポイントの移動が遅い。
同様に、パッケージ30の小径側端部30bがタッチローラ29に当接した状態とする。この状態で、パッケージ30とタッチローラ29との隙間が広い場合は、パッケージ30とタッチローラ29との隙間が狭い場合と比べて、ドライブポイントの移動が遅い。具体的には、図7(b)に示されるようにパッケージ30とタッチローラ29との隙間が広い場合(パッケージ30の大径側端部30aとタッチローラ29の外周面との隙間Taが広い場合)は、図6(c)に示されるようにパッケージ30とタッチローラ29との隙間が狭い場合(大径側端部30aとタッチローラ29の外周面との隙間Taが狭い場合)と比べて、隙間が糸20によって埋められる速さが遅いため、ドライブポイントの移動が遅い。
また、糸20はパッケージ30の大径側端部30aと小径側端部30bとの間でトラバースされながら巻き取られているため、パッケージ中央径周速とは、糸20の糸速(糸20の平均の走行速度)となる。このため、ドライブポイントがパッケージ30の外周面の中央位置付近(回転軸方向の中央位置付近)まで移動した場合、タッチローラ周速は、パッケージ中央径周速とほぼ同じとなる。すなわち、タッチローラ周速が、糸20の糸速とほぼ同じとなる。但し、パッケージ30とタッチローラ29との間での滑りの発生等によって、タッチローラ周速とパッケージ中央径周速とは厳密には同じとならないことがある。
このように、巻取ボビン22に糸20が巻き取られるに従って、タッチローラ周速が糸20の糸速に収束する。また、タッチローラ周速が糸20の糸速に収束するときの速さは、パッケージ30とタッチローラ29との隙間の大きさ、すなわち、タッチローラ29の回転軸に対する巻取ボビン22(パッケージ30)の回転軸の傾斜の状態によって変化する。
ここで、図6(a)、図6(c)、図7(a)及び図7(b)に示される状態で糸20を巻き取ったときのタッチローラ周速の変化を図8に示す。図8に示される曲線L1は、図7(a)に示される状態で糸20を巻き取ったときの周速の変化を示している。図8に示される曲線L2は、図6(a)に示される状態で糸20を巻き取ったときの周速の変化を示している。図8に示される曲線S1は、図7(b)に示される状態で糸20を巻き取ったときの周速の変化を示している。図8に示される曲線S2は、図6(c)に示される状態で糸20を巻き取ったときの周速の変化を示している。
このように、例えば、パッケージ30の大径側端部30aがタッチローラ29に当接していても、タッチローラ29に対する巻取ボビン22(パッケージ30)の傾斜の状態によって、図8において曲線L1及びL2で示されるように、タッチローラ周速が糸20の糸速に収束するまでに要する時間が異なる。同様に、パッケージ30の小径側端部30bがタッチローラ29に当接していても、タッチローラ29に対する巻取ボビン22(パッケージ30)の傾斜の状態によって、図8において曲線S1及びS2で示されるように、タッチローラ周速が糸20の糸速に収束するまでに要する時間が異なる。
従って、姿勢判定部54は、糸20の巻き取りを開始してから所定時間経過後におけるタッチローラ周速が、糸20の糸速に対してどの程度収束したかに基づいて、タッチローラ29に対する巻取ボビン22(パッケージ30)の傾斜の状態、すなわち、当接姿勢を判定することができる。なお、姿勢判定部54は、糸20の巻き取りを開始してから所定時間経過後におけるタッチローラ周速が、糸20の糸速よりも早いか遅いかに基づいて、パッケージ30の大径側端部30a及び小径側端部30bのどちらがタッチローラ29に当接しているかを判定することもできる。すなわち、姿勢判定部54は、タッチローラ周速が糸20の糸速よりも早い場合にはパッケージ30の大径側端部30aがタッチローラ29の外周面に当接していると判定する。姿勢判定部54は、タッチローラ周速が糸20の糸速よりも遅い場合にはパッケージ30の小径側端部30bがタッチローラ29の外周面に当接していると判定する。
以上のように、姿勢判定部54は、タッチローラ周速とパッケージ中央径周速とを比較することにより、パッケージ30の大径側端部30a、小径側端部30b、中央位置のいずれがタッチローラ29に当接しているかを当接姿勢として判定する。また、姿勢判定部54は、糸20の糸速とタッチローラ周速との差の時間的変化に基づいて、タッチローラ29に対する巻取ボビン22(パッケージ30)の傾斜の状態を当接姿勢として判定する。
報知判定部55は、姿勢判定部54によって判定された当接姿勢が予め定められた報知対象の当接姿勢であるか否かを判定する。報知判定部55は、予め定められた報知対象の当接姿勢として、設定部91によって設定された報知対象の当接姿勢を用いる。報知対象の当接姿勢とは、パッケージ30の大径側端部30a、小径側端部30b、中央位置のいずれがタッチローラ29に当接しているか、並びに、タッチローラ29に対する巻取ボビン22(パッケージ30)の傾斜の状態の少なくともいずれかが含まれる。
本実施形態では、報知対象の当接姿勢の一例として、パッケージ30の小径側端部30bがタッチローラ29に当接している状態、及びパッケージ30の中央位置がタッチローラ29に当接している状態が設定されてもよい。更に、報知対象の当接姿勢の一例として、パッケージ30の大径側端部30aがタッチローラ29に当接し、且つパッケージ30の小径側端部30bとタッチローラ29の外周面との隙間Tbが所定値以上となるパッケージ30の傾斜の状態が設定されてもよい。
報知指示部56は、パッケージ30の当接姿勢が報知対象の当接姿勢であると報知判定部55によって判定された場合に、スピーカ93を作動させて報知を行う。このように、報知指示部56及びスピーカ93は、報知判定部55によって報知対象の当接姿勢であると判定された場合に報知を行う報知部として機能する。
記憶部57は、パッケージ30を識別する識別情報と、姿勢判定部54において当該パッケージ30について判定された当接姿勢とを対応付けて記憶する。記憶部57は、パッケージ30の識別情報として、ユニット制御部50が各パッケージ30を管理するために付与した識別情報等、周知の方法によって付与された識別情報を用いることができる。上述したように、記憶部57は、巻取ボビン22の形状を巻取ボビン22の種類ごとに予め記憶している。
また、記憶部57には、ワインダユニット10において各種の動作を実行させるためのプログラムを記憶している。例えば、記憶部57は、パッケージ30がタッチローラ29に当接したと判定するための当接判定プログラムが記憶されている。具体的には、図9に示されるように、記憶部57内には、当接判定プログラムPが記憶されている。記憶部57は、当接判定プログラムPを格納した非一時的なコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であってもよい。ユニット制御部50は、当接判定プログラムPをプロセッサ上に読み込ませて実行することによって、ワインダユニット10における当接判定方法を実現する。当接判定プログラムPは、パッケージ周速取得モジュールP1、タッチローラ周速取得モジュールP2、及びタッチ判定モジュールP3を含む。パッケージ周速取得モジュールP1、タッチローラ周速取得モジュールP2、及びタッチ判定モジュールP3を実行させることにより実現される処理は、上述したパッケージ周速取得ステップにおけるパッケージ周速取得処理、タッチローラ周速取得ステップにおけるタッチローラ周速取得処理、及びタッチ判定ステップにおけるタッチ判定処理とそれぞれ同様である。当接判定プログラムPは、例えば、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等の有形の記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。或いは、当接判定プログラムPは、データ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。
なお、ユニット制御部50は上述した当接姿勢の判定等に加え、ワインダユニット10の各部の動作を制御する。例えば、ユニット制御部50は、トラバース駆動モータ76の動作を制御する。更に、ユニット制御部50は、下糸捕捉部材25及び上糸捕捉部材26の捕捉動作(下糸パイプアーム33と上糸パイプアーム36の回動)を制御する。ユニット制御部50は、下糸パイプアーム33及び上糸パイプアーム36に設けられたシャッタの開閉を制御し、下糸吸引口32及び上糸吸引口35からの吸引流の停止及び発生を制御する。
以上、本実施形態のワインダユニット10では、タッチローラ29の外周面と巻取ボビン22の外周面との間に隙間Tがある状態で糸20の巻き取りが開始される。タッチ判定部53は、パッケージ30の周速とタッチローラ29の周速とに基づいて、パッケージ30がタッチローラ29に当接したか否かを判定する。ここで、巻取ボビン22及びパッケージ30はコーン型である。このため、上述したように、パッケージ30の回転速度が一定であっても、タッチローラ29に当接するパッケージ30の当接部位に応じて、タッチローラ29の周速が変化する。そこで、パッケージ周速取得部51は、パッケージ30の外周面において最も周速が速い大径側パッケージ周速と、最も周速が遅い小径側パッケージ周速とを取得する。そして、タッチ判定部53は、タッチローラ周速が小径側パッケージ周速以上大径側パッケージ周速以下の場合に、パッケージ30がタッチローラ29に当接したと判定する。これにより、タッチ判定部53は、パッケージ30の外周面のいずれの位置にタッチローラ29が当接した場合であっても、パッケージ30がタッチローラ29に当接したことを判定できる。このように、ワインダユニット10は、コーン型のパッケージ30を形成する場合において、パッケージ30がタッチローラ29に当接したことを判定できる。
タッチ判定部53は、タッチローラ周速が小径側パッケージ周速以上大径側パッケージ周速以下の状態が、予め定められた判定時間以上継続した場合に、パッケージ30がタッチローラ29に当接したと判定する。この場合、ワインダユニット10は、パッケージ30がタッチローラ29に安定した状態で当接している場合に、パッケージ30がタッチローラ29に当接したと判定できる。
パッケージ周速取得部51は、巻取ボビン22の形状及びパッケージ30の回転速度に基づいて、パッケージ30の大径側パッケージ周速及び小径側パッケージ周速を演算によって導出する。この場合、ワインダユニット10は、パッケージ30の大径側パッケージ周速及び小径側パッケージ周速を精度よく算出し、取得できる。
姿勢判定部54は、タッチ判定部53によってパッケージ30がタッチローラ29に当接したと判定された後、パッケージ中央径周速(基準パッケージ周速)とタッチローラ周速とを比較することにより、パッケージ30の当接姿勢を判定する。ここで、上述したように、タッチローラ29に当接するパッケージ30の当接部位に応じて、タッチローラ29の周速が変化する。このため、姿勢判定部54は、パッケージ30の外周面における予め定められた位置での周速(パッケージ中央径周速)と、タッチローラ29の周速とを比較することで、パッケージ30のどの部位がタッチローラ29に当接しているか、すなわち、パッケージ30の当接姿勢を判定できる。このように、ワインダユニット10は、タッチローラ29に当接するパッケージ30の当接姿勢を判定することができる。
タッチローラ29に対する巻取ボビン22の傾斜の状態によって、パッケージ30の外周面の中央位置に向けて移動するドライブポイントの移動の速さが変化する。すなわち、タッチローラ周速が糸20の糸速に収束するときの速さが異なる。従って、姿勢判定部54は、糸速とタッチローラ周速との差の時間的変化に基づいて、タッチローラ29に対する巻取ボビン22の傾斜の状態、すなわち、タッチローラ29に対するパッケージ30の当接姿勢を判定することができる。
報知判定部55によって報知対象の当接姿勢であると判定された場合、報知指示部56は、スピーカ93から音を出力して報知を行う。この場合、ワインダユニット10のオペレータは、スピーカ93から出力された音に基づいて巻取ボビン22又はパッケージ30の当接姿勢を把握できる。そして、オペレータは、巻取ボビン22又はパッケージ30の当接姿勢を調整する、或いは糸20の巻き取りを停止させる等の対応が可能となる。
報知判定部55によって報知対象の当接姿勢であると判定された場合、報知指示部56は、スピーカ93から音を出力して報知を行う。この場合、ワインダユニット10のオペレータは、スピーカ93から出力された音に基づいて巻取ボビン22又はパッケージ30の当接姿勢を把握できる。そして、オペレータは、巻取ボビン22又はパッケージ30の当接姿勢を調整する、或いは糸20の巻き取りを停止させる等の対応が可能となる。
また、ワインダユニット10において実行される当接判定方法及び当接判定プログラムPにおいても、ワインダユニット10と同様に、タッチローラ周速が小径側パッケージ周速以上大径側パッケージ周速以下の場合に、パッケージ30がタッチローラ29に当接したと判定する。これにより、この当接判定方法及び当接判定プログラムPによれば、コーン型のパッケージ30を形成する場合において、パッケージ30がタッチローラ29に当接したことを判定できる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明は、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲で変形してもよい。
例えば、上記のワインダユニット10では、タッチ判定部53によってパッケージ30がタッチローラ29に当接したと判定された後、姿勢判定部54が当接姿勢の判定を行った。これに限定されず、ワインダユニット10は、タッチ判定部53における当接の判定結果に基づいて、当接姿勢の判定以外の処理を行ってもよい。
パッケージ周速取得部51は、大径側パッケージ周速と小径側パッケージ周速とを演算によって導出することに限定されない。例えば、巻取ボビン22の形状毎に大径側パッケージ周速及び小径側パッケージ周速を予め記憶部57が記憶していてもよい。この場合、パッケージ周速取得部51は、記憶部57から、巻取ボビン22の形状に応じた大径側パッケージ周速及び小径側パッケージ周速を取得してもよい。
例えば、巻取ボビン22の歪み等によって、巻取ボビン22の外周面によって規定される中心軸と、巻取ボビン22の回転軸とがずれていることがある。この場合、巻取ボビン22の外周面がタッチローラ29の外周面に間欠的に当接することとなり、タッチローラ29の周速が上昇しない。このため、姿勢判定部54は、所定時間経過してもタッチローラ周速が所定値以上とならない場合、巻取ボビン22に歪みが生じていると判定してもよい。
トラバース装置70は、トラバースアーム74を往復旋回運動させることによって糸20をトラバースする構成に限定されない。例えば、トラバース装置70は、糸ガイド部73を、ベルト駆動によって往復運動させることによって、糸20をトラバースする構成であってもよい。
報知判定部55によって報知対象の当接姿勢であると判定された場合、パッケージ駆動制御部58は、糸20の巻き取りを停止してもよい。報知指示部56は、スピーカ93に加え又はスピーカ93に代えて、表示部(報知部)92の表示態様を変化させることによって報知を行ってもよい。また、報知指示部56は、各ワインダユニット10に備えられた報知部(スピーカ、ランプ、7セグメントディスプレイ、ディスプレイ等)によって報知を行ってもよい。
パッケージ周速取得部51は、パッケージ30における回転軸方向の予め定められた位置での周速として、回転軸方向の中央位置での外周面の周速を取得した。これに限定されず、パッケージ周速取得部51は、パッケージ30における回転軸方向の予め定められた位置での周速として、大径側端部と小径側端部との間の所定の位置での外周面の周速を取得してもよい。
なお、ワインダユニット10は、当接姿勢の判定結果に基づいて報知を行うことは必須ではない。ワインダユニット10は、当接姿勢を判定するのみ、又は判定した当接姿勢とパッケージ30の識別情報とを対応付けて記憶するのみでもよい。報知判定部55が判定の際に用いる報知対象の当接姿勢は、設定部91によって入力可能な構成でなくてもよい。この場合、報知判定部55は、予め設定された当接姿勢を報知対象の当接姿勢として用いてもよい。
以上に記載された実施形態及び種々の変形例の少なくとも一部が任意に組み合わせられてもよい。
10…ワインダユニット(糸巻取機)、15…光電式定長装置(糸速検出部)、20…糸、22…巻取ボビン(ボビン)、23…クレードル、29…タッチローラ、30…パッケージ、30a…大径側端部、30b…小径側端部、41…パッケージ駆動モータ(駆動部)、51…パッケージ周速取得部、52…タッチローラ周速取得部、53…タッチ判定部、54…姿勢判定部、55…報知判定部、56…報知指示部(報知部)、70…トラバース装置、73…糸ガイド部、91…設定部(報知姿勢入力部)、92…表示部(報知部)、93…スピーカ(報知部)、B1…第1ボビン保持部(保持部)。
Claims (10)
- コーン型のボビンに糸を巻き取ってコーン型のパッケージを形成する糸巻取機であって、
前記ボビンを保持するボビン保持部によって前記ボビンを回転可能に支持するクレードルと、
前記クレードルに取り付けられ、前記ボビン保持部と相対回転不能に連結された回転軸を有して前記ボビン保持部を回転させることによって前記ボビンを回転させる駆動部と、
前記パッケージの外周面に当接することによって、前記パッケージの回転に伴って従動回転するタッチローラと、
前記パッケージの外周面の大径側端部における周速である大径側パッケージ周速と前記パッケージの外周面の小径側端部における周速である小径側パッケージ周速とを取得するパッケージ周速取得部と、
前記タッチローラの外周面の周速であるタッチローラ周速を取得するタッチローラ周速取得部と、
前記タッチローラ周速が前記小径側パッケージ周速以上前記大径側パッケージ周速以下の場合に、前記パッケージが前記タッチローラに当接したと判定するタッチ判定部と、を備える糸巻取機。 - 前記タッチ判定部は、前記タッチローラ周速が前記小径側パッケージ周速以上前記大径側パッケージ周速以下の状態が、予め定められた判定時間以上継続した場合に、前記パッケージが前記タッチローラに当接したと判定する、請求項1に記載の糸巻取機。
- 前記パッケージ周速取得部は、前記ボビンの形状及び前記パッケージの回転速度に基づいて、前記大径側パッケージ周速及び前記小径側パッケージ周速を演算によって導出する、請求項1又は2に記載の糸巻取機。
- 前記タッチローラに当接する前記パッケージの当接姿勢を判定する姿勢判定部を更に備え、
前記パッケージ周速取得部は、前記ボビンの回転軸方向における予め定められた位置での前記パッケージの外周面の周速である基準パッケージ周速を更に取得し、
前記姿勢判定部は、前記タッチ判定部によって前記パッケージが前記タッチローラに当接したと判定された後、前記基準パッケージ周速と前記タッチローラ周速とを比較することにより、前記当接姿勢を判定する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の糸巻取機。 - 前記糸が引っ掛けられる糸ガイド部を移動させることにより前記パッケージに巻き取られる前記糸をトラバースするトラバース装置と、
前記パッケージによって巻き取られる前記糸の巻取方向の糸速を検出する糸速検出部を更に備え、
前記姿勢判定部は、更に、前記タッチ判定部によって前記パッケージが前記タッチローラに当接したと判定された後、前記糸速と前記タッチローラ周速との差の時間的変化に基づいて、前記当接姿勢を判定する、請求項4に記載の糸巻取機。 - 前記姿勢判定部によって判定された前記当接姿勢が予め定められた報知対象の当接姿勢であるか否かを判定する報知判定部と、
前記報知判定部によって前記報知対象の当接姿勢であると判定された場合に報知を行う報知部と、を更に備える、請求項4又は5に記載の糸巻取機。 - 前記報知対象の当接姿勢を入力する報知姿勢入力部を更に備え、
前記報知判定部は、前記予め定められた報知対象の当接姿勢として、前記報知姿勢入力部によって入力された前記報知対象の当接姿勢を用いる、請求項6に記載の糸巻取機。 - コーン型のボビンを保持するボビン保持部によって前記ボビンを回転可能に支持するクレードルと、
前記クレードルに取り付けられ、前記ボビン保持部と相対回転不能に連結された回転軸を有して前記ボビン保持部を回転させることによって前記ボビンを回転させ、前記ボビンに糸を巻き取ってコーン型のパッケージを形成する駆動部と、
前記パッケージの外周面に当接することによって、前記パッケージの回転に伴って従動回転するタッチローラと、を備える糸巻取機において実行される当接判定方法であって、
前記パッケージの外周面の大径側端部における周速である大径側パッケージ周速と前記パッケージの外周面の小径側端部における周速である小径側パッケージ周速とを取得するパッケージ周速取得ステップと、
前記タッチローラの外周面の周速であるタッチローラ周速を取得するタッチローラ周速取得ステップと、
前記タッチローラ周速が前記小径側パッケージ周速以上前記大径側パッケージ周速以下の場合に、前記パッケージが前記タッチローラに当接したと判定するタッチ判定ステップと、を含む当接判定方法。 - 前記ボビンの外周面と前記タッチローラの外周面との間に隙間が設けられた状態となるように、前記ボビン保持部に前記ボビンを保持させるボビン設置ステップを更に含み、
前記糸巻取機は、前記ボビンの外周面と前記タッチローラの外周面との間に隙間が設けられた状態で、前記駆動部を駆動させて前記糸の巻き取りを開始する、請求項8に記載の当接判定方法。 - コーン型のボビンを保持するボビン保持部によって前記ボビンを回転可能に支持するクレードルと、
前記クレードルに取り付けられ、前記ボビン保持部と相対回転不能に連結された回転軸を有して前記ボビン保持部を回転させることによって前記ボビンを回転させ、前記ボビンに糸を巻き取ってコーン型のパッケージを形成する駆動部と、
前記パッケージの外周面に当接することによって、前記パッケージの回転に伴って従動回転するタッチローラと、を備える糸巻取機において、
前記パッケージの外周面の大径側端部における周速である大径側パッケージ周速と前記パッケージの外周面の小径側端部における周速である小径側パッケージ周速とを取得するパッケージ周速取得処理と、
前記タッチローラの外周面の周速であるタッチローラ周速を取得するタッチローラ周速取得処理と、
前記タッチローラ周速が前記小径側パッケージ周速以上前記大径側パッケージ周速以下の場合に、前記パッケージが前記タッチローラに当接したと判定するタッチ判定処理と、をコンピュータに実行させる、当接判定プログラム。
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JP2020038594A JP2021138509A (ja) | 2020-03-06 | 2020-03-06 | 糸巻取機、当接判定方法、及び当接判定プログラム |
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