JP2021138187A - 車体下部構造 - Google Patents

Abstract

【課題】フロアパネルの下に電池ケースが配置されている車体下部構造に関し、車体の下側から加わる衝撃から電池セルを保護する。【解決手段】車体下部構造２は、フロアパネル３の下に配置されている電池ケース１０と、電池ケース１０の下に配置されている保護板５と、電池ケース１０に収容されている電池スタック３０ｂ、３０ｃを備える。電池スタック３０ｂ、３０ｃでは、中間プレート３５と複数の電池セルが積層されている。電池ケース１０の底板１３と保護板５の一方に他方に向けて突出する突起６が設けられている。突起６は、中間プレート３５の下に位置している。車体の下から突起６を介して加わる衝撃は電池セルではなく、中間プレート３５が受けるので、電池セルのダメージが軽減される。【選択図】図４

Description

本明細書が開示する技術は、車体下部構造に関する。特に、フロアパネルの下に電池ケースが配置されており、その下に保護板が配置されている下部構造に関する。

電気自動車では、走行用のモータに電力を供給する複数の電池セルが車体のフロアパネルの下に配置されている（例えば特許文献１）。複数の電池セルは、ケースに収容され、ケースがフロアパネルの下に取り付けられる。

特開２０１８−６１１７号公報

走行中に小石、岩、路面のバンプ、スピードブレーカなどが車体の底に接触する可能性がある。フロアパネルの下に電池セルが配置されていると、車体の底に強い衝撃が加わると電池セルがダメージを受けるおそれがある。本明細書は、車体の下側から加わる衝撃から電池セルを保護する構造（車体下部構造）を提供する。

本明細書が開示する車体下部構造は、フロアパネルの下に配置されている電池ケースと、電池ケースの下に配置されている保護板と、電池ケースに収容されている電池スタックを備える。電池スタックでは、中間プレートと複数の電池セルが積層されている。電池ケースの底板と保護板のうち少なくとも一方に他方に向けて突出する突起が設けられている。突起は、中間プレートの下に位置している。

走行中に岩などが保護板に接触すると、衝撃は突起を通じて電池ケースの底板に加わる。突起は電池スタックの中間プレートの下に位置しているので、突起を介して加わる衝撃は電池セルではなく、中間プレートが受ける。車体の下側から加わる衝撃は中間プレートが受けるので、電池セルのダメージが軽減される。本明細書が開示する車体下部構造は、車体の下側から加わる衝撃から電池セルを保護する。

中間プレートは複数の電池セルの積層方向にて電池スタックの中央に配置されているとよい。車体の下側から衝撃が加わると中間プレートが上方へ移動する。中間プレートが電池スタックの中央に配置されていると、中間プレートの両側が均等に上へ持ち上がり、衝撃が吸収される。

電池ケースの中に複数の電池スタックが平行に配置されており、突起は隣り合う電池スタックの一方の中間プレートの端の下から他方の中間プレートの端の下にわたって位置しているとよい。突起から受ける衝撃は隣り合う２個の中間プレートに分散される。

電池ケースは、隣り合う電池スタックの間を通っている梁を備えており、突起は、電池ケースを平面視したときに梁と重ならないように位置しているとよい。梁と突起が重なると車体の下側から加わる衝撃が突起を介して梁に伝わる。梁に強い衝撃が加わると電池ケースが変形するおそれがある。梁と重ならないように突起を配置することで、電池ケースの変形を抑えることができる。

本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。

車体のフロアパネルの斜視図である。 電池ケースの分解図である。 電池ケースの平面図である。 電池ケースと保護板の断面図である。 変形例の車体下部構造を示す断面図である。

図面を参照して実施例の車体下部構造２を説明する。実施例の車体下部構造２は、電気自動車に採用されている。図１に、電気自動車の車体１００の斜視図を示す。キャビンの床がフロアパネル３に相当する。フロアパネル３も車体１００の一部を構成する。図１の座標系のＦ軸は車両前方を示しており、Ｖ軸は車両上方を示しており、Ｌ軸は、車両の後方から前方をみたときの「左」を示している。以後の図でも、座標系の各軸の意味は同じである。

フロアパネル３の下に電池ケース１０が配置されている。図１では、電池ケース１０を簡略化して描いてある。電池ケース１０の中には複数の電池セル（不図示）が収容されている。電気自動車１は、不図示の走行用モータを備えており、複数の電池セルが走行用モータに電力を供給する。

フロアパネル３と電池ケース１０は、一対のロッカ４に支持されている。それぞれのロッカ４は、車体１００の車幅方向の側方下部に配置されているとともに車体１００の前後方向に延びている。一対のロッカ４は、車体１００の強度を保持するフレームの一種である。ロッカはサイドシルと呼ばれることもある。

図１では見えないが、車体１００の底（電池ケース１０の下）には電池ケース１０を保護する保護板が取り付けられている。保護板も、一対のロッカ４に固定されている。電池ケース１０は、保護板とフロアパネル３の間の空間に位置する。

電池ケース１０について説明する。図２に、電池ケース１０の分解斜視図を示す。図２には、電池ケース１０の下に位置する保護板５も図示されている。

電池ケース１０は、ケース本体１１とケースカバー１２で構成される。ケース本体１１とケースカバー１２は、それぞれ、フランジ１８、１９を備えている。フランジ１８、１９が不図示のボルトで締結され、ケースカバー１２がケース本体１１に固定される。

ケース本体１１の中には車幅方向（図中のＬ方向）に通るクロスメンバ１４ａ、１４ｂが設けられている。クロスメンバ１４ａ、１４ｂは、ケース本体１１の底板１３を折り曲げて形成されている。クロスメンバ１４ａ、１４ｂは、ケース本体１１の強度を高める。

電池ケース１０の中には複数の電池スタック３０ａ−３０ｅが収容される。複数の電池スタック３０ａ−３０ｅのいずれかを区別なく示す場合は電池スタック３０と表記する。電池スタック３０は、複数の電池セル３１とエンドプレート３２と中間プレート３５が積層されたアセンブリである。図２では、電池スタック３０ａの電池セルとエンドプレートとクランプと中間プレートにのみ符号３１、３２、３３、３５を付し、残りの電池スタック３０ｂ−３０ｅの部品には符号３１、３２、３３、３５を省略した。

複数の電池セル３１は、いくつかのグループに分散されており、それぞれのグループが電池スタック３０としてまとめられる。電池スタック３０の中で複数の電池セル３１が直列に接続される。複数の電池スタック３０は並列に接続される。そのような電気的接続により、高電圧大容量の電池が実現する。

電池スタック３０において複数の電池セル３１は積層されており、積層方向の中央に中間プレート３５が挟まれている。電池セル３１のアセンブリの両端のそれぞれにエンドプレート３２が配置されている。図２では、理解を助けるために、エンドプレート３２と中間プレート３５はグレーで示してある。複数の電池セル３１と中間プレート３５とエンドプレート３２のアセンブリは一対のクランプ３３で結束される。電池セル３１は扁平であり、それぞれのクランプ３３は、電池セル３１の幅の狭い側面に取り付けられ、電池セル３１を上下から挟み込む。

中間プレート３５は、電池スタック３０において電池セル３１を２個のグループに分ける。中間プレート３５は、複数の電池セル３１の積層方向において電池スタック３０のほぼ中央に配置されている。すなわち、中間プレート３５は、電池スタック３０に含まれる複数の電池セル３１を二分する。複数の電池セル３１を２個のグループに分けることで電池セル３１を管理し易くなる。

また、複数の電池セル３１の半分は、一対のクランプ３３と一方のエンドプレート３２と中間プレート３５に囲まれる。複数の電池セル３１の残り半分は、一対のクランプ３３と他方のエンドプレート３２と中間プレート３５に囲まれる。電池セル３１を囲むクランプ３３とエンドプレート３２と中間プレート３５は、電池セル３１を保護する。

クロスメンバ１４ａ、１４ｂはケース本体１１の内部空間を仕切る。前側のクロスメンバ１４ａとケース本体１１の前板１７ａの間に１個の電池スタック３０ａが収容される。２本のクロスメンバ１４ａ、１４ｂの間に２個の電池スタック３０ｂ、３０ｃが収容される。後側のクロスメンバ１４ｂとケース本体１１の後板１７ｂの間に２個の電池スタック３０ｄ、３０ｅが収容される。クロスメンバ１４ａ、１４ｂで仕切られた空間に少ない数の電池スタック３０を収容することで、衝突に対する電池スタック３０の安全性が高まる。

電池ケース１０の下には保護板５が配置される。保護板５は、一対のロッカ４（図１参照）の下に固定される。保護板５は、走行中に巻き上げられる小石、地面から突出する岩との接触から電池ケース１０を保護する。

保護板５には上方に突出する複数の突起６ａ、６ｂ、６ｃが設けられている。図３に、ロッカ４に取り付けられた電池ケース１０と保護板５の平面図を示す。図３では、電池ケース１０のケースカバー１２とフロアパネル３の図示は省略した。図３では、電池スタック３０ｅの電池セルとエンドプレートとクランプと中間プレートにのみ符号３１、３２、３３、３５を付し、残りの電池スタック３０ａ−３０ｄの部品には符号３１、３２、３３、３５を省略した。

図３では、破線で突起６ａ−６ｃの配置を示してある。また、図３では、エンドプレート３２と中間プレート３５をグレーで示してある。エンドプレート３２の一部と中間プレート３５の一部はクランプ３３で隠れて見えないが、図３ではエンドプレート３２の範囲と中間プレート３５の範囲をグレーで示してある。

突起６ａは、電池スタック３０ａの中間プレート３５の直下に位置している。突起６ｂは、電池スタック３０ｂの中間プレート３５の端の下から電池スタック３０ｃの中間プレート３５の端の下にわたるように位置している。突起６ｃは、電池スタック３０ｄの中間プレート３５の端の下から電池スタック３０ｅの中間プレート３５の端の下にわたって位置している。いずれの突起も中間プレートの下に位置する。

図４に、電池ケース１０と保護板５の断面図を示す。図４は、電池スタック３０ｂ、３０ｃとその周辺の断面図である。図４は、中間プレート３５を横断する断面で電池ケース１０と保護板５をカットした断面を示している。電池ケース１０はフロアパネル３と保護板５の間の空間に位置する。

ケース本体１１の底板１３には、冷却液が流れる流路２１が設けられている。図４では流路２１は中間プレート３５の底に接している。流路２１は、電池スタック３０における複数の電池セル３１の積層方向（図中の座標系のＬ方向）に通っており、電池セル３１の底に接する。流路２１を流れる冷却液により電池セル３１は冷却される。

保護板５と電池ケース１０の間には空間が確保されている。先に述べたように、保護板５には上方に突出する突起６ｂが設けられている。突起６ｂは、電池スタック３０ｂの中間プレート３５の端の下から電池スタック３０ｃの中間プレート３５の端の下にわたって位置する。突起６ｃも同様に、電池スタック３０ｄの中間プレート３５の端の下から電池スタック３０ｅの中間プレート３５の端の下にわたって位置する。図３を参照して述べたように、突起６ａは、電池スタック３０ａの中間プレート３５の直下に位置する。

車体下部構造２の特徴を以下に列挙する。保護板５は、走行中に巻き上げられる小石や路上の岩との接触から電池ケース１０を保護する。保護板５が路上の岩と強く接触すると、保護板５が上方へ変形する。突起６ａ−６ｃが電池ケース１０の底板１３に接触する。突起６ａ−６ｃは中間プレート３５の下に位置しているので、突起６ａ−６ｃから伝わる衝撃は中間プレート３５が受ける。突起６ａ−６ｃからの衝撃が電池セル３１に直接に伝わらないので、電池セル３１が受けるダメージが軽減される。

中間プレート３５は、複数の電池セル３１の積層方向において電池スタック３０の中央に位置する。中間プレート３５が下から衝撃を受けると、電池スタック３０は、積層方向の中央が盛り上がるように変形する。別言すれば、電池スタック３０は、中央が高く両端が低くなるようにアーチ形状に変形する。この変形も、電池セル３１が受ける衝撃の緩和に貢献する。

突起６ｂは、隣り合う電池スタック３０ｂ、３０ｃの一方の中間プレート３５の端の下から他方の中間プレート３５の端の下にわたって位置している。突起６ｂが上方へ移動すると、電池スタック３０ｂ、３０ｃの両方の中間プレート３５に衝撃が伝わる。突起６ｂから伝わる衝撃は２個の中間プレート３５に分散する。この点も電池セル３１のダメージ緩和に貢献する。

突起６ａは１個の電池スタック３０ａの中間プレート３５の直下に位置する。車体の底に岩が接触すると、保護板５とともに突起６ａが持ち上がり、衝撃が１個の中間プレート３５に伝わる。突起が２個の中間プレート３５の下に位置する場合と比較すると、大きな衝撃が電池スタック３０ａの中間プレート３５に伝わる。しかし、電池スタック３０ａの中間プレート３５も、電池セル３１のダメージ低減に貢献する。

図３に示されているように、電池ケース１０はクロスメンバ１４ａ、１４ｂを備えており、突起６ａ−６ｃは、平面視においてクロスメンバ１４ａ、１４ｂと重ならない位置に配置されている。車体の下からの衝撃がクロスメンバ１４ａ、１４ｂに加わると電池ケース１０が変形するおそれがある。平面視において突起６ａ−６ｃがクロスメンバ１４ａ、１４ｂと重ならないように配置されていることで、車体の下から受ける衝撃による電池ケース１０の変形を抑えることができる。

図５に、変形例の車体下部構造２ａの断面図を示す。変形例の車体下部構造２ａでは、保護板５には突起が無く、電池ケース１０の底板１１３に突起１６を設けた。突起１６は、保護板５に向けて下方に突出している。突起１６は、中間プレート３５の下に配置されている。車体下部構造２ａにおいて突起１６以外の構造は先の車体下部構造２と同じである。変形例の車体下部構造２ａも、実施例の車体下部構造２と同じ利点を与える。

本明細書が開示する車体下部構造では、電池ケースの底板と保護板のうち少なくとも一方が突起を備えていればよい。突起は、底板と保護板の一方から他方へと突出する。そのような突起が中間プレートの下に位置していればよい。

以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。

２、２ａ：車体下部構造
３：フロアパネル
４：ロッカ
５：保護板
６ａ−６ｃ：突起
１０：電池ケース
１１：ケース本体
１２：ケースカバー
１３、１１３：底板
１４ａ、１４ｂ：クロスメンバ
１６：突起
１８、１９：フランジ
３０、３０ａ−３０ｅ ：電池スタック
３１：電池セル
３２：エンドプレート
３３：クランプ
３５：中間プレート
１００：車体

Claims (5)

1. フロアパネルの下に配置されている電池ケースと、
   前記電池ケースの下に配置されている保護板と、
   前記電池ケースに収容されており、中間プレートと複数の電池セルが積層されている電池スタックと、
   を備えており、
   前記電池ケースの底板と前記保護板のうち少なくとも一方に他方に向けて突出する突起が設けられており、
   前記突起は、前記中間プレートの下に位置している、車体下部構造。
2. 前記中間プレートは前記電池セルの積層方向にて前記電池スタックの中央に配置されている、請求項１に記載の車体下部構造。
3. 前記電池ケースの中に複数の前記電池スタックが平行に配置されており、
   前記突起は隣り合う前記電池スタックの一方の前記中間プレートの端の下から他方の前記中間プレートの端の下にわたって位置している、請求項１または２に記載の車体下部構造。
4. 前記電池ケースは、隣り合う前記電池スタックの間を通っている梁を備えており、
   前記突起は、前記電池ケースを平面視したときに前記梁と重ならない位置に配置されている、請求項１から３のいずれか１項に記載の車体下部構造。
5. 前記保護板は、一対のロッカに固定されている、請求項１から４のいずれか１項に記載の車体下部構造。

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