JP2021134257A - コート液、コート液セット及び親水性部材 - Google Patents

コート液、コート液セット及び親水性部材 Download PDF

Info

Publication number
JP2021134257A
JP2021134257A JP2020030235A JP2020030235A JP2021134257A JP 2021134257 A JP2021134257 A JP 2021134257A JP 2020030235 A JP2020030235 A JP 2020030235A JP 2020030235 A JP2020030235 A JP 2020030235A JP 2021134257 A JP2021134257 A JP 2021134257A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating liquid
film
solvent
mass
zinc oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020030235A
Other languages
English (en)
Inventor
洋 佐々木
Hiroshi Sasaki
洋 佐々木
俊介 森
Shunsuke Mori
俊介 森
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Corp
Original Assignee
Showa Denko Materials Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko Materials Co Ltd filed Critical Showa Denko Materials Co Ltd
Priority to JP2020030235A priority Critical patent/JP2021134257A/ja
Publication of JP2021134257A publication Critical patent/JP2021134257A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Finishing Walls (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)

Abstract

【課題】親水性を有し長時間紫外光を受けても基材の樹脂成分を劣化させにくく高い透明性を有する膜を形成可能なコート液、及びそのコート液を用いて形成された膜を有する親水性部材を提供する。【解決手段】酸化亜鉛粒子4と、二酸化ケイ素粒子5と、バインダー材料3と、溶剤と、を含有するコート液。前記バインダー材料は、加水分解性の有機ケイ素化合物を含み、溶剤は、アルコールを含み、溶剤のうち、アルコールの含有量は、80質量%超100質量%以下である、前記コート液。【選択図】図1

Description

本発明は、コート液、コート液セット及び親水性部材に関する。
野外の風雨に曝される樹脂基材、建築物外壁等は、付着した水滴が乾燥すると、斑点状の汚れが付着する。これを防止するためには、その表面を親水化することにより、水滴を水膜化し、汚れが可能な限り流れ落ちるように、また、汚れが局所的に付着しないようにする手段が考えられている。
また、直射日光を受けると、樹脂基材は、直射日光に含まれる紫外光によって、表面の分子が分解し、表面が劣化する問題がある。建築物の外壁に顔料を含有する樹脂膜がコートされている場合も、樹脂膜が紫外光により次第に劣化する問題がある。
特許文献1には、酸化亜鉛粒子とシリカ粒子を含む紫外線防止層が、樹脂板などの基材の表面に形成された建材、及び、その製作方法として、シリカ粒子、酸化亜鉛粒子、界面活性剤、アルコールおよび水を混合して生成した塗料を用いることが開示されている。
特開2016−2681号公報
特許文献1には、酸化亜鉛は光励起してラジカル(光ラジカル)を発生させ、このラジカルによって有機塗膜を分解するという性質を有していること、有機物バインダーを使用することなく、基材もしくは中間樹脂層の表面に酸化亜鉛粒子を固定することが記載されている。また、特許文献1においては、シリカ粒子がバインダーとして紫外線防止層を構成するものとされている。
しかし、長年風雨に曝される部材の表面にバインダー無しで長期に亘って膜を維持することは容易なことではない。このことは、樹脂で形成されている基材の表面に設けた膜の場合、特に顕著である。したがって、膜の維持の観点からは、やはりバインダーを用いることが得策と考えられる。
本発明の目的は、親水性を有し長時間紫外光を受けても基材の樹脂成分を劣化させにくく高い透明性を有する膜を形成可能なコート液、及びそのコート液を用いて形成された膜を有する親水性部材を提供することにある。
本発明のコート液は、酸化亜鉛粒子と、二酸化ケイ素粒子と、バインダー材料と、溶剤と、を含有し、バインダー材料は、加水分解性の有機ケイ素化合物を含み、溶剤は、アルコールを含み、溶剤のうち、アルコールの含有量は、80質量%超100質量%以下である。
本発明によれば、親水性を有し長時間紫外光を受けても基材の樹脂成分を劣化させにくく高い透明性を有する膜を形成可能なコート液、及びそのコート液を用いて形成された膜を有する親水性部材を提供することができる。
本発明の親水性部材を示す模式断面図である。
親水性を有する部材は、小さな水滴がわずかに付着しても水膜が形成しやすいため、汚れを表面全体に広げることにより局所的な汚れが付着しないようにすることが可能である。この特性を利用して、親水性を有する部材を屋外に長期間設置する場合も多い。この場合に、当該部材を構成する基材に含まれる樹脂成分が紫外光により劣化しにくいようにすることが望まれている。また、このような部材については、意匠性が損なわれないことも重要である。このため、可視領域で高い透明性を有する膜を基材に形成することが求められている。そのような膜を形成するためのコート液も望まれている。
我々は、鋭意検討を行った結果、基材の最外表面に、二酸化ケイ素粒子、酸化亜鉛粒子、及びこれらを固定する二酸化ケイ素を含む膜を設けた部材が、親水性及び紫外光耐性を有することを見出した。そして、このような膜を形成するためのコート液についても、検討を行った。
コート液の塗布対象としては、鏡、窓ガラス、レンズ、自動車の車体やセンサ、内装建材等が一般的であり、本発明に係るコート液もこれらに塗布することができる。
本発明に係るコート液を塗布する対象となる基材は、特に、屋外で使用される製品、屋外に設けられる構造物に用いることが好適である。屋外で使用される製品や屋外に設けられる構造物の具体例としては、パラボラアンテナ、電線皮膜、建築物外壁、自動車のヘッドランプ等がある。これらの基材は、樹脂で形成されているものであってもよく、樹脂を含むものであってもよい。
パラボラアンテナの筐体には、主にABS樹脂(アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンの共重合体)が用いられている。ABS樹脂は、屋外に放置すると、紫外線の曝露によって化学結合の切断、或いは酸化等の反応を引き起こし、筐体が脆くなり、強風や、雹、霰の衝突等の物理的衝撃を受けて破損するおそれがある。また、受信する波長がミリ波の場合は、降雨時、アンテナ表面に厚さがサブミリメートル乃至ミリメートルの水滴が付着すると、受信感度を著しく低下させるおそれがある。
以上の点で、パラボラアンテナには、紫外光に直接曝露しないよう、また、水滴を薄い水膜化することによりミリ波の受信感度を低下させないよう、コート膜を設けることが望まれている。
電線皮膜は、銅を中心とする金属線の表面にコートされる樹脂であり、材質はポリ塩化ビニル、ポリエチレン等が用いられている。これらの樹脂も、屋外に放置すると、ABS樹脂と同様に、紫外線の曝露によって化学結合の切断、酸化等の反応を引き起こし、皮膜が脆くなり、破損する場合がある。また、降雨時に付着した水滴が冬期に凍って氷柱が成長し落下したり、降雨時に電線表面に付着した水滴から生じるコロナ放電に起因して、コロナ騒音が発生することがある。そのため、紫外光に直接曝露しないよう、また、水滴を薄い水膜化することにより雨水が短時間で乾燥するよう、コート膜を設けることが望まれている。
建築物外壁は、主にアクリル樹脂をバインダーとする塗料がコートされている。アクリル樹脂も、屋外に放置すると、ABS樹脂と同様に、紫外線の曝露によって化学結合の切断、酸化等の反応を引き起こし、塗膜が脆くなる。また、樹脂が黄変することで、外壁が黄ばんでくる等の課題もある。さらに、降雨時に付着した水滴が残っているときに汚れが付着し、汚れ跡で外観が悪化したり、外壁が結露し、乾きにくいとカビやコケが生えて外観が悪化したりする場合がある。そのため、紫外光に直接曝露しないよう、また、水滴を薄い水膜化することにより雨水が短時間で乾燥するよう、コート膜を設けることが望まれている。
自動車のヘッドランプは、主にポリカーボネート樹脂が用いられている。ポリカーボネート等の自動車のヘッドランプに用いられる樹脂も、屋外に放置すると、ABS樹脂と同様に、紫外線の曝露によって化学結合の切断、或いは酸化等の反応を引き起こし、皮膜が脆くなる。また、樹脂が黄変することで、黄ばみが生じる等の課題もある。さらに、温度或いは湿度の変化に伴い表面が結露し、生じた水滴がランプから発せられた光を散乱してしまい、前方を照らす光量を低下させ、視認性を低下させてしまう課題もある。そのため、紫外光に直接曝露しないよう、また、水滴を薄い水膜化することにより結露水が短時間で乾燥するよう、コート膜を設けることが望まれている。
本発明は、樹脂製の基材の表面に、親水性を有しかつ紫外光を吸収する機能を有する膜を設けることにより、紫外光によって基材が劣化しないように、且つ表面を親水性にするために好適なものである。
なお、基材は、樹脂を含まないガラス、セラミックス、金属等であってもよい。
以下、本発明の実施形態について、図面等を用いて説明する。
図1は、本発明の親水性部材を示す模式断面図である。
本図においては、親水性部材10は、基材1の表面に膜2を形成したものである。膜2は、バインダー3に酸化亜鉛粒子4及び二酸化ケイ素粒子5が分散された構成を有する。バインダー3は、二酸化ケイ素である。
以下、膜2の形成に用いるコート液について説明する。
1.コート液
コート液は、二酸化ケイ素粒子、酸化亜鉛粒子、バインダー材料及びアルコールを含む。
i)バインダー材料
バインダー材料としては、バインダーである二酸化ケイ素を形成可能で、且つ、アルコール系の溶剤に溶解可能な加水分解性のケイ素化合物であるシリカゾルが好適である。このシリカゾルは、アルコキシシランの重合体が溶剤に溶解・懸濁した状態となっている。アルコキシシラン以外では、クロルシランを使ってもアルコール系の溶剤に溶解可能な加水分解性ケイ素化合物を調製でき、本発明のバインダーとして使用することも可能である。但し、膜中に塩素原子を含むため、膜を形成する基材の近傍に金属部材があると、その部材の腐食を誘発する可能性もあるため、バインダーを調製する際はアルコキシシランの方が好適である。
バインダー材料としては、シリカゾル以外に、種々の置換基を有するアルコキシシラン化合物を用いることが可能である。
具体的には、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、4−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
ii)酸化亜鉛粒子
親水性部材の意匠性を損ねないよう形成される膜は、可視光をかなりの程度透過する必要のあると考えている。我々の検討では、実用性を考えると、可視領域である波長400〜700nmの光は、85%以上透過することが望ましい。特に、可視領域の真ん中の波長である550nmにおいては、透過率が90%以上であることが望ましい。膜中にある酸化亜鉛粒子のサイズが大きいと、可視光が酸化亜鉛粒子により散乱され、実質的な透過率が低下する。特に、平均粒子径が80nm以上になると、膜が白濁してしまう。
そのため、コート液中の酸化亜鉛粒子の平均粒子径は、60nm以下にすることが望ましい。
酸化亜鉛粒子の平均粒子径は、5nm以上が望ましいが、20nm以上が更に望ましい。これは、平均粒子径が20nm以上とすることにより、後述する膜の作製工程において、秤量等で酸化亜鉛粒子を扱う際、酸化亜鉛粒子が飛散しにくくなるためである。なお、酸化亜鉛粒子が凝集したとしても、基材が不透明である場合は、膜の光透過性は問題とならない場合が多い。
以上より、酸化亜鉛粒子の平均粒子径は、5nm以上60nm以下が好適であり、20nm以上60nm以下が更に好適である。
iii)二酸化ケイ素粒子
上述の酸化亜鉛粒子の場合と同様、実用性の観点から、可視領域である波長400〜700nmの領域は、85%以上透過することが望ましい。特に、可視領域の真ん中の波長である550nmにおいては、透過率が90%以上であることが望ましい。膜中にある二酸化ケイ素粒子のサイズが大きいと、可視光が二酸化ケイ素粒子により散乱され、実質的な透過率が低下する。特に、平均粒子径が100nm未満とすることにより、膜の白濁を抑制できる。
そのため、コート液中の二酸化ケイ素粒子の平均粒子径は、50nm以下にすることが更に望ましい。また、後述する膜の作製工程において、秤量等で二酸化ケイ素粒子を扱う際に、二酸化ケイ素粒子を飛散しにくくするため、平均粒子径は10nm以上が望ましい。
以上より、二酸化ケイ素粒子の平均粒子径は、10nm以上50nm以下が好適である。
iv)酸化亜鉛粒子、二酸化ケイ素粒子及び二酸化ケイ素バインダーの割合
酸化亜鉛粒子の割合が高いほど、紫外光吸収割合が高まる。また、二酸化ケイ素粒子の割合が高いほど、膜表面の親水性が高まる。さらに、二酸化ケイ素バインダーの割合が高いほど、耐擦性等の物理的強度が高まる。よって、それぞれの材料の割合を適切にすることにより、実用的な膜を形成するコート液が調整可能となる。
我々の検討から、実用に耐える膜の強度を維持するには、コート液中の溶剤を除いた成分のうち、二酸化ケイ素バインダーの割合は、最低5質量%は必要と考えられる。また、親水性を付与するため、二酸化ケイ素粒子の割合は、最低5質量%は必要と考えられる。
よって、酸化亜鉛粒子の上限値は90質量%となる。
また、膜が厚くなると、物理的強度が低下する。我々の検討の結果、実用的強度を確保するには、膜の厚さが約1000nmが上限と判断された。仮に膜厚が1000nmの場合、370nm付近の近紫外光を70%程度吸収する酸化亜鉛粒子の割合は、60質量%程度必要となる。よって、コート液中の溶剤を除いた成分のうち、酸化亜鉛粒子の割合は、60質量%以上90質量%以下になると考えられる。
v)分散剤
二酸化ケイ素粒子は、酸化亜鉛粒子に比べて比重が2.4以上2.6以下と小さいため、分散剤を添加しなくとも分散する場合がある。一方、酸化亜鉛粒子は、比重が約5.6であり、沈殿しやすいため、分散剤を加えることが望ましい。
分散剤としては、非イオン性の界面活性剤が好適である。
具体的には、ポリエチレングリコールのジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールのジアルキルエステル、ポリエチレングリコールのモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールのモノアルキルエステル等が挙げられる。添加率は、酸化亜鉛粒子に対して0.1質量%以上1.0質量%以下程度が好ましい。
分散剤を加えない場合は、酸化亜鉛粒子の表面に疎水性の層を形成させることが好ましい。具体的には、末端が疎水性の炭化水素鎖又は芳香環のアルコキシシラン化合物を酸化亜鉛粒子の表面にコートし、加熱することにより、酸化亜鉛粒子の表面に疎水基を形成する。これにより、アルコール溶剤中での分散性が向上する。
それ以外の方法としては、ジクロロジメチルシランをコートした後、加水分解することにより、酸化亜鉛粒子の表面にポリジメチルシロキサンからなる層を形成する。これにより、アルコール溶剤中での分散性が向上する。
vi)溶剤
コート液を塗布する基材としては、紫外光により劣化しやすい樹脂を用いることができる。この場合、溶剤としては、樹脂の溶解又は膨潤が発生するケトン系、エステル系又はエーテル系のものは好ましくない。この観点から、溶剤としては、アルコールが好ましい。
アルコールは、汎用のものでかまわない。但し、塗布後に速やかに乾燥する方が大量の製品に塗布する際は有利と考えられる。このため、溶剤の沸点は、低い方が好ましい。ただ、沸点が低すぎると、高湿環境下で塗布する際に表面に結露が発生し、膜が濁る可能性がある。よって、沸点が78℃以上118℃以下(1気圧)の溶剤が望ましい。
具体的には、沸点が78℃のエタノール、97℃の1−プロパノール、82℃の2−プロパノール(イソプロパノール)、118℃の1−ブタノール、99℃の2−ブタノール、82℃の2−メチル−2−プロパノール等が挙げられる。
なお、溶剤には、水が含まれていてもよい。溶剤のうち、アルコールの含有量は、80質量%超100質量%以下であることが望ましい。二成分の溶媒の場合、溶剤のうち、水の含有量は、0質量%以上20質量%以下であることが望ましい。水の含有量が20質量%を超えると、膜の凹凸が大きくなるおそれがあり、望ましくない。水の含有量は、更に少ない方がよく、5質量%以下であることが更に望ましい。
2.膜の形成
基材の表面への膜の形成は、無機酸化物粒子として、酸化亜鉛粒子及び二酸化ケイ素粒子の両方を含むコート液を用いる。
それ以外の方法としては、無機酸化物粒子のうち、酸化亜鉛粒子を含み二酸化ケイ素粒子を含まないコート液と、二酸化ケイ素粒子を含み酸化亜鉛粒子を含まないコート液とを別々に調製し、これらのコート液のうちの一方のコート液を塗布・熱硬化し、その後、他方のコート液を塗布・熱硬化することによっても形成可能である。
このような二度の塗布・熱硬化を行う場合は、酸化亜鉛粒子を含むコート液を始めに塗布・熱硬化し、その後、二酸化ケイ素粒子を含むコート液を塗布・熱硬化することが望ましい。これは、親水機能は、膜の表面で発揮されるため、親水性発現の源である二酸化ケイ素粒子は、最外表面側にあることが望ましいためである。酸化亜鉛は、紫外光の吸収を目的とするものであるため、酸化亜鉛粒子を含む膜は、最外表面側、基材との界面側のどちらにあってもかまわない。
i)前処理
基材がアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂等の場合は、アルコール系溶剤との親和性が比較的高いため、コート液の塗布はしやすい。
しかし、基材がポリテトラフルオロエチレン等の場合、コート液の濡れ性が低い。このため、塗布前に、酸素プラズマの照射、オゾンガスへの曝露、火炎による炙りなどの方法により、基材の表面の濡れ性を向上させることが望ましい。
また、梅雨時や夏季は、湿度が高いため、コート後に空気中の水分が塗布直後のコート液に混入し、製膜後の膜が濁る場合がある。この場合は、基材をあらかじめ加熱した後に塗布することにより、コート液中のアルコールの揮発によるコート面の冷却に伴う結露が生じにくくなり、膜の白濁化が抑制可能となる。但し、加熱の際は、基材が変形しない程度の温度に調整する。
ii)コート方法
コート方法は、基材の形状等を考慮して、適宜、ディップコート、スピンコート、フローコート、スプレーコート等を選択して用いることができる。
なお、酸化亜鉛粒子等の分散性を高めた上で塗布することが望ましいため、塗布直前に遊星ボールミルやホモジナイザー等で攪拌し、直後に塗布することが望ましい。
iii)膜の厚さ、表面粗さ、各組成の割合等
膜の厚さは、用いる酸化亜鉛粒子、二酸化ケイ素粒子のサイズにより多少変わるが、概ね100nm以上1000nm以下が好適である。酸化亜鉛が紫外光を吸収するため、単位面積当たりの酸化亜鉛は、ある程度の割合で混合する必要がある。平均粒子径が20nm以上60nm以下の場合、酸化亜鉛は2g/m以上4g/m以下程度が必要となる。これにより、近紫外領域の370nmでの透過率が1.5%以上40%以下程度となる。
なお、粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)により測定した。平均粒子径については、一方向の最大寸法と最小寸法を含む粒子の直径を複数測定し、その平均をとった値である。
膜厚が100nmであって、用いる粒子のサイズが50nm以上60nm以下の場合は、表面の粗さは、10nm程度になる。ここでは、粗さは、算術平均粗さ(Ra)で表す。
膜が厚くなるほど、Raは小さくなる傾向がある。また、用いる粒子のサイズが小さくなるほど、具体的には10nm以上20nm以下程度になると、Raは2nm程度まで小さくなる。
Raが大きいと、とがったものが表面の凹凸に引っかかりやすくなるため、膜が剥離しやすくなる問題がある。また、表面の凹凸に野外の汚れ、具体的には粉塵、スス等が入り込み、雨に当たっても除去されにくくなる。よって、Raが小さいほど、耐擦性及び防汚性に優れることになる。このため、膜は厚めに、また、用いる粒子は、小さめのものを用いることが望ましい。
まとめると、膜の算術平均粗さ(Ra)は、2nm以上10nm以下であることが望ましい。
本発明の膜の断面写真では、基材の表面に形成された膜の断面には、酸化亜鉛粒子及び二酸化ケイ素粒子とともに、所々に空隙が観察された。その形状は不定形であり、短辺の長さは10nm以上50nm以下程度、長辺の長さは30nm以上80nm以下程度であった。
なお、酸化亜鉛粒子を膜の表面側ではなく、基材との界面側に多く分布させてもよい。
3.基材
基材は、アクリルやポリカーボネート等の有機樹脂を想定している。形状としては、樹脂板、樹脂フィルム等が該当するが、これ以外では、金属やガラスといった無機基材の表面に形成された樹脂をバインダーとするコート膜等も含まれる。
以下、実施例について説明する。
実施例1は、コート液(塗料)の調製、及び基材への製膜の例を示す。
(1)酸化亜鉛粒子の表面処理
容量が1000mlのナスフラスコに平均粒子径が30nmの酸化亜鉛粒子(50g)、ドデシルトリメトキシシランの10質量%エタノール溶液(250g)を投入した。60℃で1時間攪拌後、このナスフラスコをエバポレータに取り付け、加熱温度60℃で若干減圧することにより、エタノールを揮発させた。これにより、表面に疎水性の炭化水素鎖の一種であるドデシル基を有する平均粒子径30nmの酸化亜鉛粒子Aが得られた。
(2)コート液の調製
酸化亜鉛粒子A(0.4g)、熱硬化後の二酸化ケイ素濃度で約2質量%のシリカゾル液(溶剤はイソプロパノール)(6.7g)、平均粒子径10nmの二酸化ケイ素粒子の15質量%分散液(溶剤はイソプロパノール)(0.9g)を混合し、超音波ホモジナイザーを使って分散性を向上させることにより、半透明のコート液1を調製した。
ここで、シリカゾル液の作製方法について更に説明する。
テトラエトキシシラン(70質量部)をイソプロパノール(930質量部)に溶解し、極微量の硝酸を加え、50℃で約1時間加温した。この過程を経ることで、ケイ素濃度で約1質量%、溶媒を揮発させ、熱硬化後の二酸化ケイ素濃度で約2質量%のシリカゾル液(1000質量部)を得た。この液が二酸化珪素構造とアルコキシシラン部位とを有する化合物を含む液である。
このようにして作製したシリカゾル液に、酸化亜鉛粒子、及び二酸化ケイ素粒子の分散液を混合してコート液1を調製した。
(3)製膜
コート液1をスピンコート法(回転数:1000rpm、回転時間:30秒間)で厚さ2mmのアクリル板からなるスライドガラスに塗布した。その後、70℃で30分間加熱することにより、アクリル板の表面にコート膜1を形成した。
(4)評価
a)接触角
コート膜表面の水との接触角を測定した。
b)光透過率
紫外可視分光光度計を用いて、波長370nm及び550nmの光の透過率を測定した。370nmの透過率が低いほど、紫外光の吸収率が高いことを示す。550nmの透過率が高いほど、可視領域での透過率、すなわち透明性が高いことになる。
c)鉛筆硬度
JIS K5600−5−4に則り、加重750g、摺動速度1mm/秒で、コート膜の鉛筆硬度を測定した。
(5)結果
コートする前のアクリル板の水との接触角は、約90°であった。光の透過率は、370nmで91%、550nmで92%であった。鉛筆硬度はH〜2Hであった。
これに対して、コート膜1を形成したアクリル板は、水との接触角は10°以下であった。光の透過率は、370nmで40%であり、約50%紫外光を吸収することが判った。また、550nmでは92%透過しており、膜の透明性が高いことが判った。鉛筆硬度は、Hであり、基材とほぼ同レベルであった。
膜の粗さを示す指標の一つである算術平均粗さ(Ra)は2nmと小さく、表面での光の乱反射を起こしにくいと考えられ、このことが波長550nmにおける光透過率が92%と高い結果につながったと考えられる。
本実施例では、酸化亜鉛の平均粒子径を変えることによる可視領域での光透過性の変化を調べた。
(1)製膜プロセス
平均粒子径が30nmの酸化亜鉛粒子(50g)の代わりに、平均粒子径が57nmの酸化亜鉛粒子(50g)を使う以外は、実施例1と同様の方法で、ドデシル基を有する平均粒子径が57nmの酸化亜鉛粒子Bを得た。
酸化亜鉛粒子B(0.4g)、熱硬化後の二酸化ケイ素濃度で約2質量%のシリカゾル液(溶剤はイソプロパノール)(6.7g)、平均粒子径48nmの二酸化ケイ素粒子の15質量%分散液(溶剤はイソプロパノール)(0.9g)を混合し、超音波ホモジナイザーを使って分散性を向上させることにより、半透明のコート液2を調製した。
この液を用いて、実施例1と同様のスピンコート及び加熱により、アクリル板の表面にコート膜2を形成した。
(2)結果
コート膜2を形成したアクリル板は、水との接触角は10°以下であった。光の透過率は、波長370nmで40%であり、約50%紫外光を吸収することが判った。
また、波長550nmでは90%透過しており、膜の透明性が高いことが判った。鉛筆硬度はHであり、基材とほぼ同レベルであった。
Raは10nmであり、実施例1の膜に比べると大きいが、これは、用いた酸化亜鉛粒子及び二酸化ケイ素粒子のサイズが実施例1の場合に比べて大きいためと判断する。ただ、550nmの光透過性が高かったことから、実用上問題になる粗さとは言えないと判断した。
(比較例1)
本比較例では、酸化亜鉛の平均粒子径を変えることによる可視領域での光透過性の変化を調べた。
(1)製膜プロセス
平均粒子径が30nmの酸化亜鉛粒子(50g)の代わりに、平均粒子径が64nmの酸化亜鉛粒子(50g)を使う以外は、実施例1と同様の方法で、ドデシル基を有する平均粒子径が64nmの酸化亜鉛粒子Cを得た。
酸化亜鉛粒子C(0.4g)、熱硬化後の二酸化ケイ素濃度で約2質量%のシリカゾル液(溶剤はイソプロパノール)(6.7g)、平均粒子径15nmの二酸化ケイ素粒子の15質量%分散液(溶剤はイソプロパノール)(0.9g)を混合し、超音波ホモジナイザーを使って分散性を向上させることにより、半透明のコート液3を調製した。
この液を用いて、実施例1と同様のスピンコート及び加熱により、アクリル板の表面にコート膜3を形成した。
(2)結果
コート膜3を形成したアクリル板は、水との接触角は10°以下であった。光の透過率は370nmで40%であり、約50%紫外光を吸収することが判った。
しかし、550nmでは透過率が72%まで低下し、膜の透明性の低いことが判った。膜も白っぽく曇っていて目視でも透過率が低いことが確認された。
Raは20nmであり、実施例1及び2で形成した膜に比べて大きい。平均粒子径の大きい酸化亜鉛粒子を用いたことにより、膜の表面が粗くなり、それが表面の光散乱の影響を強め、結果的に550nmでの光透過性を低下させたものと判断した。
鉛筆硬度はHであり、基材とほぼ同レベルであった。
本比較例及び実施例2の結果より、酸化亜鉛粒子の平均粒子径を60nm以下にすることにより、可視領域での透過性を高めることが可能となることが示された。
(比較例2)
本比較例では、二酸化ケイ素の平均粒子径を変えることによる可視領域での光透過性の変化を調べた。
(1)製膜プロセス
平均粒子径30nmの酸化亜鉛粒子A(0.4g)、熱硬化後の二酸化ケイ素濃度で約2質量%のシリカゾル液(溶剤はイソプロパノール)(6.7g)、平均粒子径54nmの二酸化ケイ素粒子の15質量%分散液(溶剤はイソプロパノール)(0.9g)を混合し、超音波ホモジナイザーを使って分散性を向上させることにより、半透明のコート液4を調製した。
この液を用いて、実施例1と同様のスピンコート及び加熱により、アクリル板の表面にコート膜4を形成した。
(2)結果
コート膜4を形成したアクリル板は、水との接触角は10°以下であった。光の透過率は、波長370nmで42%であり、約50%紫外光を吸収することが判った。
しかし、550nmでは透過率が78%まで低下し、膜の透明性が低いことが判った。膜も白っぽく曇っていて目視でも透過率が低いことが確認された。
Raは16nmであり、実施例1及び2で形成した膜に比べて大きい。平均粒子径の大きい二酸化ケイ素粒子を用いることにより、膜の表面が粗くなり、それが表面の光散乱の影響を強め、結果的に550nmでの光透過性を低下させたものと判断した。
鉛筆硬度はHであり、基材とほぼ同レベルであった。
本比較例及び実施例2の結果より、二酸化ケイ素の平均粒子径を50nm以下にすることにより、可視領域での透過性を高めることが可能となることが示された。
本実施例では、二酸化ケイ素の形状を変えることによる性能への影響を調べた。
(1)製膜プロセス
平均粒子径30nmの酸化亜鉛粒子A(0.4g)、熱硬化後の二酸化ケイ素濃度で約2質量%のシリカゾル液(溶剤はイソプロパノール)(6.7g)、短辺が10nm以上20nm以下、長辺が40nm以上100nm以下の棒状の二酸化ケイ素粒子の15質量%分散液(溶剤はイソプロパノール)(0.9g)を混合し、超音波ホモジナイザーを使って分散性を向上させることにより、半透明のコート液5を調製した。
ここで、二酸化ケイ素粒子の短辺及び長辺の長さについては、SEMにより測定した。長辺は、各粒子の最大寸法を採用した。短辺は、各粒子の長辺の方向に直交する方向における最大寸法を採用した。短辺及び長辺の長さの範囲は、個数基準の粒度分布において、メジアン径(D50)を中心として90%の粒子が含まれる粒径の範囲で区切ったものである。言い換えると、粒度分布の両端各5%を除いた粒径の範囲である。
コート液5を用いて、実施例1と同様のスピンコート及び加熱により、アクリル板の表面にコート膜5を形成した。
(2)結果
コート膜5を形成したアクリル板は、水との接触角は10°以下であった。光の透過率は、波長370nmで44%であり、約50%紫外光を吸収することが判った。
また、波長550nmでは93%透過しており、膜の透明性が高いことが判った。鉛筆硬度はHであり、基材とほぼ同レベルであった。
Raは5nmと小さく、膜の表面での光散乱の程度が低かった。このため、550nmでの光透過性をほとんど低下させなかったものと判断した。
よって、用いる二酸化ケイ素粒子が球状ではなく不定形であっても、可視領域での透過性の高い膜が形成可能であることが示された。
本実施例では、膜のバインダーとして添加されるシリカゾルの割合を変えることによる性能への影響を調べた。
(1)製膜プロセス
平均粒子径30nmの酸化亜鉛粒子A(2.4g)、熱硬化後の二酸化ケイ素濃度で約2質量%のシリカゾル液(溶剤はイソプロパノール)(6.7g)、平均粒子径10nmの二酸化ケイ素粒子の15質量%分散液(溶剤はイソプロパノール)(0.9g)を混合し、超音波ホモジナイザーを使って分散性を向上させることにより、半透明のコート液6を調製した。
この液を用いて、実施例1と同様のスピンコート及び加熱により、アクリル板の表面にコート膜6を形成した。
このコート膜の質量組成は、酸化亜鉛が89.9%、二酸化ケイ素粒子が5.1%、二酸化ケイ素バインダーが5.0%であった。
(2)結果
コート膜6を形成したアクリル板は、水との接触角は10°以下であった。光の透過率は、波長370nmで1.5%であり、約90%紫外光を吸収することが判った。
酸化亜鉛粒子の割合が高くても、Raは5nmと小さく、膜の表面での光散乱の程度が低かった。このため、550nmでの光透過性をほとんど低下させなかったものと判断した。
また、波長550nmでは91%透過しており、膜の透明性が高いことが判った。鉛筆硬度はHであり、基材とほぼ同レベルであった。
(比較例3)
本比較例では、膜のバインダーとして添加されるシリカゾルの割合を変えることによる性能への影響を調べた。
(1)製膜プロセス
平均粒子径30nmの酸化亜鉛粒子A(2.8g)、熱硬化後の二酸化ケイ素濃度で約2質量%のシリカゾル液(溶剤はイソプロパノール)(6.7g)、平均粒子径10nmの二酸化ケイ素粒子の15質量%分散液(溶剤はイソプロパノール)(0.9g)を混合し、超音波ホモジナイザーを使って分散性を向上させることにより、半透明のコート液7を調製した。
この液を用いて、実施例1と同様のスピンコート及び加熱により、アクリル板の表面にコート膜7を形成した。
このコート膜の質量組成は、酸化亜鉛が91.2%、二酸化ケイ素粒子が4.4%、二酸化ケイ素バインダーが4.4%であった。
(2)結果
コート膜7を形成したアクリル板は、水との接触角は20°であった。これは、親水性を付与する二酸化ケイ素粒子の割合が低いためと考えられる。
光の透過率は、波長370nmで1.1%であり、約90%紫外光を吸収することが判った。また、波長550nmでは91%透過しており、膜の透明性が高いことが判った。
酸化亜鉛粒子の割合が高くても、Raは5nmと小さく、膜の表面での光散乱の程度が低かった。このため、550nmでの光透過性をほとんど低下させなかったものと判断した。
しかし、鉛筆硬度は2Bと低かった。これは、二酸化ケイ素バインダーの割合が低いためと考えられる。
本コート膜は、酸化亜鉛の割合が90%以上であるため、相対的に親水性を付与する二酸化ケイ素粒子、バインダーである二酸化ケイ素の割合が低下したため、親水性が低下し、且つ膜の物理的強度も低下したものと考えられる。
よって、コート液中の溶剤を除いた成分中の酸化亜鉛の割合は、90%以下にすることが好適といえる。また、コート膜中の酸化亜鉛の割合も、90%以下にすることが好適といえる。
本実施例では、酸化亜鉛粒子を含む膜と、二酸化ケイ素粒子を含む膜とを重ねた多層膜の形成プロセス及び結果を示す。すなわち、本実施例は、二液型のコート液セットに関するものであり、酸化亜鉛粒子を含む液と、二酸化ケイ素粒子を含む液とを分けて保存し、これらを別々に塗布する例である。
当該コート液セットは、第一のコート液と、第二のコート液と、を含む。
第一のコート液は、酸化亜鉛粒子と、第一のバインダー材料と、第一の溶剤と、を含有する。第二のコート液は、二酸化ケイ素粒子と、第二のバインダー材料と、第二の溶剤と、を含有する。第一のバインダー材料及び第二のバインダー材料は、加水分解性の有機ケイ素化合物を含み、第一の溶剤及び第二の溶剤は、アルコールを含み、第一の溶剤のうち、アルコールの含有量は、80質量%超100質量%以下であり、第二の溶剤のうち、アルコールの含有量は、80質量%超100質量%以下である。加水分解性の有機ケイ素化合物としては、アルコキシシラン化合物が好ましい。
(1)製膜プロセス
平均粒子径30nmの酸化亜鉛粒子A(2.4g)、熱硬化後の二酸化ケイ素濃度で約2質量%のシリカゾル液(溶剤はイソプロパノール)(13.4g)を混合し、超音波ホモジナイザーを使って分散性を向上させることにより、半透明のコート液8を調製した。
この液を用いて、実施例1と同様のスピンコート及び加熱により、アクリル板の表面にコート膜8を形成した。コート膜8は、第一のコート液の一例である。
次に、熱硬化後の二酸化ケイ素濃度で約2質量%のシリカゾル液(溶剤はイソプロパノール)(6.7g)、平均粒子径10nmの二酸化ケイ素粒子の15質量%分散液(溶剤はイソプロパノール)(0.9g)を混合し、超音波ホモジナイザーを使って分散性を向上させることにより、ほぼ透明のコート液9を調製した。
この液を用いてコート膜8を形成した表面に、実施例1と同様のスピンコート及び加熱により、コート膜9を形成した。すなわち、アクリル板の上にコート膜8、更にその上にコート膜9を形成した。コート膜9は、第二のコート液の一例である。
(2)結果
上記2層のコート膜を形成したアクリル板は、水との接触角は10°以下であった。光の透過率は、370nmで1.5%であり、約90%紫外光を吸収することが判った。
また、550nmでは91%透過しており、膜の透明性が高いことが判った。鉛筆硬度はHであり、基材とほぼ同レベルであった。
2層重ねた膜ではあるが、Raは5nmと小さく、膜表面での光散乱の程度が低かった。このため、550nmでの光透過性をほとんど低下させなかったものと判断した。
よって、酸化亜鉛粒子を含有する膜と、二酸化ケイ素粒子を含有する膜とを重ねることによっても、所望の効果を有する膜を形成することができることが示された。
1:基材、2:膜、3:バインダー、4:酸化亜鉛粒子、5:二酸化ケイ素粒子、10:親水性部材。

Claims (16)

  1. 酸化亜鉛粒子と、
    二酸化ケイ素粒子と、
    バインダー材料と、
    溶剤と、を含有し、
    前記バインダー材料は、加水分解性の有機ケイ素化合物を含み、
    前記溶剤は、アルコールを含み、
    前記溶剤のうち、前記アルコールの含有量は、80質量%超100質量%以下である、コート液。
  2. 前記有機ケイ素化合物は、アルコキシシラン化合物である、請求項1記載のコート液。
  3. 前記酸化亜鉛粒子の平均粒子径は、20nm以上60nm以下である、請求項1記載のコート液。
  4. 前記二酸化ケイ素粒子の平均粒子径は、10nm以上50nm以下である、請求項1記載のコート液。
  5. 前記溶剤は、水を含み、
    前記溶剤のうち、前記水の含有量は、0質量%以上20質量%以下である、請求項1記載のコート液。
  6. 前記溶剤以外の成分のうち、前記酸化亜鉛粒子の割合は、60質量%以上90質量%以下である、請求項1記載のコート液。
  7. 前記二酸化ケイ素粒子の形状は、棒状であり、
    前記二酸化ケイ素粒子の短辺の長さは、10nm以上20nm以下であり、
    前記二酸化ケイ素粒子の長辺の長さは、40nm以上100nm以下である、請求項1記載のコート液。
  8. 前記溶剤の沸点は、78℃以上118℃以下である、請求項1記載のコート液。
  9. 分散剤を更に含有する、請求項1記載のコート液。
  10. 前記分散剤は、非イオン性の界面活性剤である、請求項9記載のコート液。
  11. 酸化亜鉛粒子と、第一のバインダー材料と、第一の溶剤と、を含有する第一のコート液と、
    二酸化ケイ素粒子と、第二のバインダー材料と、第二の溶剤と、を含有する第二のコート液と、を含み、
    前記第一のバインダー材料及び前記第二のバインダー材料は、加水分解性の有機ケイ素化合物を含み、
    前記第一の溶剤及び第二の溶剤は、アルコールを含み、
    前記第一の溶剤のうち、前記アルコールの含有量は、80質量%超100質量%以下であり、
    前記第二の溶剤のうち、前記アルコールの含有量は、80質量%超100質量%以下である、コート液セット。
  12. 前記有機ケイ素化合物は、アルコキシシラン化合物である、請求項11記載のコート液セット。
  13. 基材と、
    前記基材の表面に形成された膜と、を有し、
    前記膜は、酸化亜鉛粒子と、二酸化ケイ素粒子と、二酸化ケイ素バインダーと、を含み、
    前記膜のうち、前記酸化亜鉛粒子の含有量は、60質量%以上90質量%以下である、親水性部材。
  14. 前記膜は、空隙を含む、請求項13記載の親水性部材。
  15. 前記酸化亜鉛粒子の平均粒子径は、20nm以上60nm以下である、請求項13記載の親水性部材。
  16. 前記膜の厚さは、100nm以上1000nm以下である、請求項13記載の親水性部材。
JP2020030235A 2020-02-26 2020-02-26 コート液、コート液セット及び親水性部材 Pending JP2021134257A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020030235A JP2021134257A (ja) 2020-02-26 2020-02-26 コート液、コート液セット及び親水性部材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020030235A JP2021134257A (ja) 2020-02-26 2020-02-26 コート液、コート液セット及び親水性部材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021134257A true JP2021134257A (ja) 2021-09-13

Family

ID=77660290

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020030235A Pending JP2021134257A (ja) 2020-02-26 2020-02-26 コート液、コート液セット及び親水性部材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021134257A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP3077199B2 (ja) 光触媒性親水性コーテイング組成物
Thompson et al. Transparent self-cleaning and antifogging silica nanoparticle films
JP3303696B2 (ja) 光触媒性親水性コ−ティング組成物
US7959980B2 (en) Hydrophilic compositions, methods for their production, and substrates coated with such compositions
CN100381527C (zh) 光催化剂涂布液、光催化剂膜和光催化剂构件
JP2003291243A (ja) 基材表面の清浄化方法、清浄化表面を備えた基材及び清浄性コーティング組成物
KR20000016116A (ko) 방오성 부재 및 방오성 코팅 조성물
CN103975028A (zh) 涂料组合物以及由其制备的减反射涂层
WO2011040405A1 (ja) 光触媒塗装体およびそのための光触媒コーティング液
CN1563231A (zh) 纳米透明隔热复合涂料及其该涂料的隔热效果测试装置
JP4309744B2 (ja) フッ素系複合樹脂フィルム及び太陽電池
WO2021132696A1 (ja) 透明積層体
JP2000303027A (ja) 光触媒性親水性コーティング組成物
Shahzadi et al. Transparent, self-cleaning, scratch resistance and environment friendly coatings for glass substrate and their potential applications in outdoor and automobile industry
Kong et al. Mechanically Robust Hybrid Coatings for Antifogging, Antireflection, and Self‐Cleaning Applications
JP7376239B2 (ja) 親水性部材並びにこれを用いたレンズ、車載用カメラ、樹脂フィルム及び窓
Power et al. Versatile Self‐Cleaning Coating Production Through Sol–Gel Chemistry
JPH1191030A (ja) 光触媒性親水性部材
JP6302518B2 (ja) 遮熱塗料、遮熱性積層塗膜および塗装物品
JP2021134257A (ja) コート液、コート液セット及び親水性部材
JP3087682B2 (ja) 光触媒性親水性部材
JP4884646B2 (ja) 接着層形成用組成物および光触媒担持構造体
EP2778204B1 (en) Infrared reflective film, infrared reflective paint, and infrared reflector
JP2012168377A (ja) 紫外線遮蔽粒子、紫外線遮蔽ハードコート用樹脂組成物、紫外線遮蔽ハードコート膜、自動車用プラスチック製ヘッドレンズカバー
CN1315955C (zh) 光催化剂膜形成用组合物以及带有光催化剂膜的基材