JP2021130863A - バナジウム分離方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム分離装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】低コストで回収率が高いバナジウム分離方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム分離装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置を提供する。【解決手段】4価及び/又は5価のバナジウム化合物と、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)及び/又は硫酸水素アンモニウム(NH4HSO4)と、を少なくとも含有するバナジウム含有物からバナジウムを分離するバナジウム分離方法であって、バナジウム含有物を450℃以上に加熱してアンモニアガス(NH3)及び硫酸ガス(SO3及び/又はSO2)を揮発させ、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)、五酸化バナジウム(V2O5)及び四酸化二バナジウム(V2O4)の少なくとも1種類を生成させる熱分解工程と、を備えることを特徴とするバナジウム分離方法である。【選択図】図2
Description
本発明は、硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムを含有する廃棄物などの金属混合物からバナジウムを分離するためのバナジウム分離方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム分離装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置に関する。また、本発明は、硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムを含有しない燃焼灰や廃触媒等の廃棄物などの金属混合物から、バナジウムの分離工程で硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムが発生する場合においてバナジウムを分離するためのバナジウム分離方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム分離装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置に関する。
原油など重質油を常圧蒸留した常圧蒸留残渣油や減圧蒸留して得られる減圧蒸留残渣油、オイルコークス、オイルサンドなどを燃焼した燃焼灰には、バナジウム(V)、ニッケル(Ni)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)などの複数の金属が含まれている。このうち有価金属であるバナジウムは、近年、大型電池となるレドックス・フロー電池の主構成物で大量供給が望まれており、効率的な回収方法の確立が望まれている。レドックス・フロー電池の電解液は、正極側では酸化硫酸バナジウム(IV)が、負極側では硫酸バナジウム(III)が用いられる。
本発明者は、ニッケル、コバルト、マンガン、パラジウム、白金、銅及び亜鉛から選択される1種類以上の2価又は3価金属と、バナジウムと、を少なくとも含有する金属混合物からバナジウムを分離する方法を開発している(例えば、特許文献1参照)。この方法では、金属混合物を酸で浸出させて浸出液を得、これにアンモニア性アルカリ水溶液を加えてpHを10〜12に調整して金属イオンのアンミン錯体とバナジウムイオンのアニオン錯体とを生成させる。そして、アンミン錯体とアニオン錯体とが生成したアルカリ水溶液に担体を加えて金属イオンを選択的に吸着させて回収し、回収後のアルカリ水溶液に含まれる4価のバナジウムのアニオン錯体からバナジウムを回収する。担体としては、褐炭などが例示されている。
4価のバナジウムのアニオン錯体は、硫酸などの酸性溶液を加えて酸性に調整し、アニオン錯体から得られる硫酸バナジウムと硫酸水素アンモニウムの混合物を晶析沈殿させる。続いて、この沈殿物を500℃付近で加熱焼成(酸化)処理することで硫酸バナジル(IV)(VOSO4)が得られる。さらに、600℃付近に加熱焼成(酸化)処理を行うことで、五酸化バナジウム(V2O5)として回収する。五酸化バナジウムは、アンモニアと反応させてメタバナジン酸アンモニウムとし、窒素ガス雰囲気下において高温で分解して酸化物(V2O3)とする。そして、この酸化物を濃硫酸と反応させて硫酸バナジウム(III)とすることで、レドックス・フロー電池用電解液の負極材料とすることができる。
ところで、重質油などの石油系燃焼灰には、触媒などに含まれる有価金属だけでなく油分が含まれるため、炭素、水素、硫黄、窒素などの元素も多く含まれる。通常、重質油は、ボイラなどで燃焼処理されるが、その廃ガスには窒素(N2)、酸素(O2)、二酸化炭素(CO2)、硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)などの揮発性ガスと、V2O5、NiOなどの金属化合物や未燃焼のカーボンなどを含む灰分(アッシュ)とが含まれる。
これらのうちSOx、NOxは大気汚染物質であり、日本国内においては大気中への放出は法律で規制されているため、燃焼処理後はこれらのガスを分解・除去する必要がある。通常、NOxは、触媒と、還元剤としてアンモニア(NH3)とを揮発性ガスに添加し、約400℃に加熱することで、窒素と水に分解して廃棄している。しかしながら、アンモニアは硫黄酸化物(SOx)と反応しやすく、その結果、反応物である硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)や硫酸水素アンモニウム(NH4HSO4)が生成する。このため、重質油燃焼灰には、有価金属の化合物のみならず、硫酸アンモニウムや硫酸水素アンモニウムが含まれる。原料に含まれる硫酸アンモニウムや硫酸水素アンモニウムは、バナジウム回収の最終段階まで硫酸水素アンモニウムとして残存する。なお、外国においては、SOx、NOxなどの大気汚染物質の大気放出が規制されていないことが多い。この場合、原料中に硫酸アンモニウムや硫酸水素アンモニウムは含まれないが、上述したようにバナジウムのアニオン錯体から硫酸水素アンモニウムが生成・残存する。したがって、最終的には、バナジウムと硫酸水素アンモニウムとを分離する必要が生じる。
バナジウムを含有する廃棄物からバナジウムを分離する方法として、従来、バナジウムを含有するスラリーに酸化性ガスを供給してメタバナジン酸アンモニウム含有スラリーを調製し、メタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)を析出させる方法が知られている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、特許文献2の方法では、酸化性ガスの導入などにコストがかかり、安価にバナジウムを回収することが困難であった。また、本文献の方法では、レドックス・フロー電池用電解液の負極材料とするためには、メタバナジン酸アンモニウムを硫酸バナジウムに転化させる必要がある。このため、本文献の方法では、特にレドックス・フロー電池用電解液用の負極材料を提供する目的では、コストがかかるほか、回収率が低くなるという不都合があった。
本発明の目的は、低コストで回収率が高いバナジウム分離方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム分離装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置を提供することにある。
本発明は、4価及び/又は5価のバナジウム化合物と、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)及び/又は硫酸水素アンモニウム(NH4HSO4)と、を少なくとも含有するバナジウム含有物からバナジウムを分離するバナジウム分離方法であって、前記バナジウム含有物を450℃以上に加熱してアンモニアガス(NH3)及び硫酸ガス(SO3及び/又はSO2)を揮発させ、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)、五酸化バナジウム(V2O5)及び四酸化二バナジウム(V2O4)の少なくとも1種類を生成させる熱分解工程と、を備えることを特徴とするバナジウム分離方法である。
本発明では、バナジウム含有物を450℃以上に加熱してガスを揮発させることで、バナジウム化合物を分離することができる。すなわち、加熱処理によりガスを揮発させることで、レドックス・フロー電池用電解液用の直接の正極材料である酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)や、負極材料の原料である五酸化バナジウム(V2O5)及び/又は四酸化二バナジウム(V2O4)を効率的に分離させることができる。
この場合において、前記熱分解工程は、450〜550℃で加熱することで酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)を主な生成物として生成させるか、あるいは、550℃超で加熱することで五酸化バナジウム(V2O5)及び/又は四酸化二バナジウム(V2O4)を主な生成物として生成させることが好ましい。
このように、加熱温度を調整することで、レドックス・フロー電池用電解液用の直接の正極材料である酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)と、負極材料の原料である五酸化バナジウム(V2O5)及び/又は四酸化二バナジウム(V2O4)とを選択的に生成させることができる。
さらに、前記熱分解工程の前工程において、前記バナジウム含有物に硫酸を添加してpH2〜4にするpH調整工程を更に備えることが好ましい。
このように、熱分解工程前に原料として安価な硫酸を添加して硫酸バナジウムを生成させることで、次の熱分解工程においてバナジウムを酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)、五酸化バナジウム(V2O5)、四酸化二バナジウム(V2O4)として効率的に分離させることができる。
さらに、前記pH調整工程の前工程において、pH5〜7にして硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムの結晶を析出させる中和晶析工程を更に備えることが好ましい。
このように、硫酸アンモニウム等の含有量が多い場合には、pH調整前に硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムの結晶を析出させて分離することで、事前に硫酸アンモニウムの量を低減させることができる。
この場合において、前記熱分解工程の前の段階において、前記バナジウム含有物にアンモニア性アルカリ水溶液を加えてpHを10〜12に調整することで、前記2価又は3価金属の酸化物の一部を前記2価又は3価金属の酸化物の水酸化物のスラッジと、2価のニッケル及び/又はコバルトイオンのアンミン錯体と、前記4価のバナジウムイオンのアニオン錯体とを生成するアルカリ添加工程と、カルボキシル基を有する担体によって前記2価のニッケル及び/又はコバルトのアンミン錯体を選択的に吸着させるイオン吸着分離工程と、前記スラッジを分離するスラッジ分離工程と、を備えることが好ましい。
このように、バナジウム含有物にアンモニア性アルカリ水溶液を加えてpHを10〜12に調整することで水酸化物のスラッジとニッケル及び/又はコバルトのアンミン錯体とバナジウムのアニオン錯体とを生成させ、スラッジ分離と、アンミン錯体の選択イオン吸着分離とを行う。このように、アルカリを加えるという簡単な工程で、バナジウムのアニオン錯体を生成させることが可能となる。
また、本発明は、上記のいずれかに記載のバナジウム分離方法で回収した前記バナジウムを原料としてレドックス・フロー電池用電解液を製造する電解液製造工程を有することを特徴とするレドックス・フロー電池用電解液の製造方法である。
このように、本発明では、レドックス・フロー電池用電解液の原料である酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)、五酸化バナジウム(V2O5)及び四酸化二バナジウム(V2O4)の少なくとも1種類を混合液から効率的に分離させて電解液を調整することができる。
本発明は、4価及び/又は5価のバナジウム化合物と、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)及び/又は硫酸水素アンモニウム(NH4HSO4)と、を少なくとも含有するバナジウム含有物からバナジウムを分離するバナジウム分離装置であって、前記バナジウム含有物を450℃以上に加熱してアンモニアガス(NH3)及び硫酸ガス(SO3及び/又はSO2)を揮発させ、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)、五酸化バナジウム(V2O5)及び四酸化二バナジウム(V2O4)の少なくとも1種類を生成させる熱分解手段と、を備えることを特徴とするバナジウム分離装置である。
本発明では、バナジウム含有物を450℃以上に加熱してガスを揮発させることで、バナジウム化合物を分離することができる。すなわち、加熱処理によりガスを揮発させることで、レドックス・フロー電池用電解液用の直接の正極材料である硫酸バナジウムや、負極材料の原料である五酸化バナジウム(V2O5)及び/又は四酸化二バナジウム(V2O4)を効率的に分離させることができる。
この場合において、前記熱分解手段は、450〜550℃で加熱することで酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)を主な生成物として生成させるか、あるいは、550℃超で加熱することで五酸化バナジウム(V2O5)及び/又は四酸化二バナジウム(V2O4)を主な生成物として生成させることが好ましい。
このように、加熱温度を調整することで、レドックス・フロー電池用電解液用の直接の正極材料である酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)と、負極材料の原料である五酸化バナジウム(V2O5)及び/又は四酸化二バナジウム(V2O4)とを選択的に生成させることができる。
さらに、前記熱分解手段の前段階において、前記バナジウム含有物に硫酸を添加してpH2〜4にするpH調整手段を更に備えることが好ましい。
このように、熱分解手段前に原料として安価な硫酸を添加して硫酸バナジウムを生成させることで、次の熱分解手段においてバナジウムを酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)、五酸化バナジウム(V2O5)、四酸化二バナジウム(V2O4)として効率的に分離させることができる。
さらに、前記pH調整手段の前段階において、pH5〜7にして硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムの結晶を析出させる中和晶析手段を更に備えることが好ましい。
このように、硫酸アンモニウム等の含有量が多い場合には、pH調整前に硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムの結晶を析出させて分離することで、事前に硫酸アンモニウムの量を低減させることができる。
この場合において、前記熱分解手段の後の段階において、前記バナジウム含有物にアンモニア性アルカリ水溶液を加えてpHを10〜12に調整することで、前記2価又は3価金属の酸化物の一部を前記2価又は3価金属の酸化物の水酸化物のスラッジと、2価のニッケル及び/又はコバルトイオンのアンミン錯体と、前記4価のバナジウムイオンのアニオン錯体とを生成するアルカリ添加手段と、カルボキシル基を有する担体によって前記2価のニッケル及び/又はコバルトのアンミン錯体を選択的に吸着させるイオン吸着分離手段と、前記スラッジを分離するスラッジ分離手段と、を備えることが好ましい。
このように、バナジウム含有物にアンモニア性アルカリ水溶液を加えてpHを10〜12に調整することで水酸化物のスラッジとニッケル及び/又はコバルトのアンミン錯体とバナジウムのアニオン錯体とを生成させ、スラッジ分離と、アンミン錯体の選択イオン吸着分離とを行う。このように、アルカリを加えるという簡単な工程で、バナジウムのアニオン錯体を生成させることが可能となる。
また、本発明は、上記のいずれかに記載のバナジウム分離装置で回収した前記バナジウムを原料としてレドックス・フロー電池用電解液を製造する電解液製造手段を有することを特徴とするレドックス・フロー電池用電解液の製造装置である。
このように、本発明では、レドックス・フロー電池用電解液の原料である酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)、五酸化バナジウム(V2O5)及び四酸化二バナジウム(V2O4)の少なくとも1種類を混合液から効率的に分離させて電解液を調整することができる。
本発明によれば、低コストで回収率が高いバナジウム分離方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム分離装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置を提供することができる。
以下、本発明のバナジウム分離方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法、並びにバナジウム分離装置、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
1.バナジウム分離方法
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係るバナジウム分離方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法を示す処理フロー図である。
図1及び図2は、本発明の一実施形態に係るバナジウム分離方法、及びレドックス・フロー電池用電解液の製造方法を示す処理フロー図である。
本発明のバナジウム分離方法は、バナジウム及び/又はバナジウム化合物を含有する廃棄物に好適に適用することができる。このような廃棄物としては、例えば、重質油などの石油系燃焼灰、常圧又は減圧蒸留残油となる焼却ボイラ灰、部分酸化灰、石油コークス灰、オイルサンドの残渣灰、バナジウムスラグ、各種化学反応触媒の廃触媒、産業廃棄物、廃液などを挙げることができる。また、廃棄物としては、これらの灰を水などで洗浄した洗浄水も含むことができる。特に、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)や硫酸水素アンモニウム(NH4HSO4)(以下、「硫酸アンモニウム等」や「硫安分」ということがある)を含む廃棄物に好適に適用することができるが、硫酸アンモニウム等を含まない廃棄物にも適用できる。硫酸アンモニウム等を多く含む廃棄物としては、石油系燃焼灰やその洗浄水などを挙げることができる。
石油精製からの廃触媒には、例えば、バナジウム、ニッケル、コバルト、モリブデン、銅、亜鉛、パラジウム、白金、鉄、リン、硫黄などが含まれる。一般にこれらの金属は、硫化物として多く含まれる。
また、バナジウムスラグは、磁鉄鉱を焼成する際に生じるスラグであり、バナジウム、マンガン、アルミニウム、鉄、チタン、ケイ素、カルシウム、リンなどの金属混合物が含まれる。一般に、これらの金属は、酸化物として多く含まれる。
また、残渣灰には、ニッケルとバナジウムの他に、鉄、マグネシウム、モリブデン、コバルト、マンガン、チタンなどの金属混合物が含まれる。
廃棄物中に硫酸アンモニウム等が含まれる場合、硫酸アンモニウム等は重量比で1%以上、好ましくは5%以上、より好ましくは10%以上含まれていることが好ましい。また、本発明は、これらの廃棄物において、バナジウムが重量比で1%以上、好ましくは3%以上、より好ましくは5%以上含まれているものに好適に用いることができる。さらに、本発明は、ニッケル、鉄又はマグネシウムなどの2価又は3価金属が、いずれも重量比で0.1%以上、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上、10%以下含まれているものに好適に用いることができる。
以下の実施形態では、廃棄物として、バナジウムと、ニッケル、鉄及びマグネシウムから選択される1種類以上の2価又は3価金属とを含む重質油燃焼灰から、バナジウムを分離するバナジウム分離方法について説明する。より詳細には、NOx大気汚染物質の分解・除去を、約400℃かつ触媒存在下でアンモニアガスとの反応で水と窒素に分解させる系で発生する原料燃焼灰を代表として説明する。なお、本実施形態では、図1に示すフローによってバナジウム以外のニッケル等の金属(不純物)を分離除去したのち、図2に示すフローによって熱分解を行っているが、目的とする製品によってはこれに限定されない。例えば、製品中にこれらの不純物が含まれていても問題ないような場合は、図1に示すフローの一部又はすべてを行わないか、他の処理を行うようにしてもよい。
(原料スラリー調製)
以下、図1を参照して、担体を用いてバナジウムを分離する工程について説明する。まず、燃焼灰に酸(硫酸など)を添加して原料スラリーを調製する。燃焼灰に対する酸の添加量としては、適宜設定することができるが、燃焼灰に対して1〜50質量%程度が好ましい。
以下、図1を参照して、担体を用いてバナジウムを分離する工程について説明する。まず、燃焼灰に酸(硫酸など)を添加して原料スラリーを調製する。燃焼灰に対する酸の添加量としては、適宜設定することができるが、燃焼灰に対して1〜50質量%程度が好ましい。
(pH調製:アルカリ添加工程)
次に、上記の工程で得られた原料スラリーにアンモニア性アルカリ水溶液を加えてpHを調整することで、水酸化鉄、水酸化マグネシウムと、ニッケルとバナジウムのそれぞれの錯体とを生成させる(ステップ31)。アンモニア性アルカリ水溶液としては、例えばアンモニア水(水酸化アンモニウム(NH4OH))を挙げることができる。添加するアンモニア水の濃度としては、後述する錯体が十分に生成すれば特に制限はないが、15〜35質量%の範囲内が好ましく、20〜30質量%の範囲内がより好ましい。また、本工程では、pHを10.5〜12の範囲内に調整するが、10〜11の範囲内に調整することがより好ましい。
次に、上記の工程で得られた原料スラリーにアンモニア性アルカリ水溶液を加えてpHを調整することで、水酸化鉄、水酸化マグネシウムと、ニッケルとバナジウムのそれぞれの錯体とを生成させる(ステップ31)。アンモニア性アルカリ水溶液としては、例えばアンモニア水(水酸化アンモニウム(NH4OH))を挙げることができる。添加するアンモニア水の濃度としては、後述する錯体が十分に生成すれば特に制限はないが、15〜35質量%の範囲内が好ましく、20〜30質量%の範囲内がより好ましい。また、本工程では、pHを10.5〜12の範囲内に調整するが、10〜11の範囲内に調整することがより好ましい。
(固液分離:スラッジ分離工程)
次に、ステップ31で得られたアルカリ水溶液をろ過分離し、ろ過沈殿物(スラッジ)とろ液とを分ける(ステップ32)。スラッジは、水酸化鉄、水酸化マグネシウムなどの水酸化物で、コロイド状の固形成分として分離される(ステップ33)。この工程で、鉄とマグネシウムが金属混合物から分離される。
次に、ステップ31で得られたアルカリ水溶液をろ過分離し、ろ過沈殿物(スラッジ)とろ液とを分ける(ステップ32)。スラッジは、水酸化鉄、水酸化マグネシウムなどの水酸化物で、コロイド状の固形成分として分離される(ステップ33)。この工程で、鉄とマグネシウムが金属混合物から分離される。
一方、ステップ32で得られたろ液はアルカリ水溶液で、2価のニッケルイオンのアンミン錯体と、4価及び/又は5価のバナジウムイオンのアニオン錯体とを含んでいる。2価のニッケルイオンのアンミン錯体としては、一例として、(NH4)2Ni(SO4)2などが挙げられ、4価のバナジウムイオンのアニオン錯体としては、一例として、(NH4)2V2(OH)6(SO4)2などが挙げられる。
(褐炭イオン交換反応)
このアルカリ水溶液にカルボキシル基を有する担体を添加して所定時間撹拌し、アンミン錯体中のニッケルイオンと担体中のカルボキシル基とのイオン吸着(イオン交換)反応によりニッケルイオンを選択的に吸着させる(ステップ34:イオン吸着分離工程)。カルボキシル基を有する担体としては、アンミン錯体中にニッケルとイオン吸着反応をするものであれば特に限定されない。担体としては、天然の石炭などを挙げることができる。さらに、石炭としては、安価かつ入手が容易であるなどの観点から、炭素含有量の比較的少ない低品位炭が好ましい。低品位炭としては、例えば、亜瀝青炭、褐炭、亜炭、泥炭を挙げることができる。
このアルカリ水溶液にカルボキシル基を有する担体を添加して所定時間撹拌し、アンミン錯体中のニッケルイオンと担体中のカルボキシル基とのイオン吸着(イオン交換)反応によりニッケルイオンを選択的に吸着させる(ステップ34:イオン吸着分離工程)。カルボキシル基を有する担体としては、アンミン錯体中にニッケルとイオン吸着反応をするものであれば特に限定されない。担体としては、天然の石炭などを挙げることができる。さらに、石炭としては、安価かつ入手が容易であるなどの観点から、炭素含有量の比較的少ない低品位炭が好ましい。低品位炭としては、例えば、亜瀝青炭、褐炭、亜炭、泥炭を挙げることができる。
また、アルカリ水溶液のpHは、10〜12の範囲、より好ましくは10.5〜11の範囲が好ましい。上記のpHが10〜12の範囲内であると、ニッケルイオンの褐炭への吸着がバナジウムの吸着よりも優先的に生じ、バナジウムとニッケルの混合溶液中から圧倒的にニッケルイオンを選択的に回収することができる。
(固液分離)
次に、アルカリ水溶液をろ過分離する(ステップ35)。沈殿物となるニッケルイオンを吸着した担体を洗浄・乾燥させる(ステップ36)。ニッケルイオンを吸着した担体からのニッケルの回収は、担体ごと燃焼させ、ニッケルを酸化ニッケル(NiO/NiO2)として回収することができる。
次に、アルカリ水溶液をろ過分離する(ステップ35)。沈殿物となるニッケルイオンを吸着した担体を洗浄・乾燥させる(ステップ36)。ニッケルイオンを吸着した担体からのニッケルの回収は、担体ごと燃焼させ、ニッケルを酸化ニッケル(NiO/NiO2)として回収することができる。
ステップ35で得られるろ液は、4価のバナジウムイオンのアニオン錯体と硫酸アンモニウム等とを含む混合液となる。なお、図1の工程(ステップ31〜36)の詳細については、特許文献1(国際公開第2017/010437号)を参照することができる。
(硫安晶析)
次に、図2を参照して、4価のバナジウムイオンのアニオン錯体と硫酸アンモニウム等とを含む混合液(バナジウム含有物)からバナジウムを分離する工程について説明する。まず、ステップ35で得られた混合液に硫酸を加えてpH5〜7にする(中和晶析工程:ステップ41)。本工程におけるpHは、5〜7の範囲内であり、5.5〜6.5の範囲内が好ましく、ほぼ6が特に好ましい。本工程における温度は、50〜60℃の範囲が好ましい。混合液中に含まれるバナジウムの量は、重量比で通常は0.01%以上であり、好ましくは0.1%以上であり、より好ましくは1%以上である。また、混合液中に含まれる硫酸アンモニウム等の量は、重量比で通常は0.1%以上であり、好ましくは1%以上であり、より好ましくは5%以上である。
次に、図2を参照して、4価のバナジウムイオンのアニオン錯体と硫酸アンモニウム等とを含む混合液(バナジウム含有物)からバナジウムを分離する工程について説明する。まず、ステップ35で得られた混合液に硫酸を加えてpH5〜7にする(中和晶析工程:ステップ41)。本工程におけるpHは、5〜7の範囲内であり、5.5〜6.5の範囲内が好ましく、ほぼ6が特に好ましい。本工程における温度は、50〜60℃の範囲が好ましい。混合液中に含まれるバナジウムの量は、重量比で通常は0.01%以上であり、好ましくは0.1%以上であり、より好ましくは1%以上である。また、混合液中に含まれる硫酸アンモニウム等の量は、重量比で通常は0.1%以上であり、好ましくは1%以上であり、より好ましくは5%以上である。
混合液への硫酸の添加は、混合液をスターラーなどで撹拌しながら行うことが好ましい。硫酸添加後は、10分間〜1時間程度混合液を静置する。この工程に続く蒸発濃縮工程において、混合液中に含まれる硫酸アンモニウムの濃度が高い場合は、4価のバナジウムイオンのアニオン錯体と硫酸アンモニウムとの溶解度の差で硫酸アンモニウムの結晶が析出する。
析出した硫酸アンモニウムを遠心分離機などで分離することで、混合液中に含まれる硫酸アンモニウムの量を低減することができる(ステップ42)。遠心分離機による分離条件としては、例えば100〜1000G、1〜30分間の範囲内が好ましい。遠心分離機としては、分離した硫酸アンモニウム結晶の表面に付着したバナジウム錯体を水洗回収できる機能を持つものが好ましい。
(硫酸バナジル/硫安共晶析)
次に、4価のバナジウムイオンのアニオン錯体を含む混合液に硫酸をさらに加えてpH2〜4にする(pH調整工程:ステップ43)。本工程におけるpHは、2〜4の範囲内であり、2.5〜3.5の範囲内が好ましく、ほぼ3が特に好ましい。本工程における温度は、50〜60℃の範囲が好ましい。混合液への硫酸の添加は、混合液をスターラーなどで撹拌しながら行うことが好ましい。硫酸添加後は、10分間〜1時間程度混合液を静置する。この工程により、下記の反応により、酸化硫酸バナジウム(IV)(硫酸バナジル)と硫酸水素アンモニウムとが生成し、続く蒸発濃縮工程においてこれらが共晶析出される。
(NH4)2V2(OH)6(SO4)2+H2SO4→2VOSO4+2NH4HSO4+4H2O
次に、4価のバナジウムイオンのアニオン錯体を含む混合液に硫酸をさらに加えてpH2〜4にする(pH調整工程:ステップ43)。本工程におけるpHは、2〜4の範囲内であり、2.5〜3.5の範囲内が好ましく、ほぼ3が特に好ましい。本工程における温度は、50〜60℃の範囲が好ましい。混合液への硫酸の添加は、混合液をスターラーなどで撹拌しながら行うことが好ましい。硫酸添加後は、10分間〜1時間程度混合液を静置する。この工程により、下記の反応により、酸化硫酸バナジウム(IV)(硫酸バナジル)と硫酸水素アンモニウムとが生成し、続く蒸発濃縮工程においてこれらが共晶析出される。
(NH4)2V2(OH)6(SO4)2+H2SO4→2VOSO4+2NH4HSO4+4H2O
混合液中に含まれるバナジウム化合物としては、上述した4価のバナジウムイオンのアニオン錯体に限定されず、4価のバナジウム化合物を挙げることができる。4価のバナジウム化合物として、例えば、硫酸バナジル(VOSO4)、二酸化バナジウム(VO2)を挙げることができる。混合液中に含まれるバナジウムの量は、重量比で通常は0.01%以上であり、好ましくは0.1%以上であり、より好ましくは1%以上である。また、混合液中に含まれる硫酸アンモニウム等の量は、重量比で通常は0.1%以上であり、好ましくは1%以上であり、より好ましくは5%以上である。
この共晶析出物を遠心分離機などで分離することで、酸化硫酸バナジウム(IV)(硫酸バナジル)と硫酸アンモニウム等を固形物として回収できる。遠心分離の条件としては、例えば50〜60℃で、100〜1000G、1〜30分間の範囲内が好ましい。
(焼成炉熱分解:熱分解工程)
次に、ステップ43で得られた共晶析出物を酸素存在下で熱分解する(ステップ44)。この工程で、共晶析出中に含まれる硫酸水素アンモニウムは、下記の反応によってアンモニアと三酸化硫黄と水蒸気となって揮発する(ステップ45)。この反応は、450℃以上で進行する。なお、硫酸アンモニウムは、昇温過程において硫酸水素アンモニウムに変換される(下記式参照)。
NH4HSO4→NH3+SO3+H2O
次に、ステップ43で得られた共晶析出物を酸素存在下で熱分解する(ステップ44)。この工程で、共晶析出中に含まれる硫酸水素アンモニウムは、下記の反応によってアンモニアと三酸化硫黄と水蒸気となって揮発する(ステップ45)。この反応は、450℃以上で進行する。なお、硫酸アンモニウムは、昇温過程において硫酸水素アンモニウムに変換される(下記式参照)。
NH4HSO4→NH3+SO3+H2O
この熱分解において、共晶析出物を450〜550℃で加熱することで、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)を主な生成物として生成させる。酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)は、レドックス・フロー電池の正極側の電解液の直接の原料として有用である。
一方、共晶析出物を550℃超で加熱することで、酸化硫酸バナジウム(IV)を酸化して、五酸化バナジウム(V2O5)及び/又は四酸化二バナジウム(V2O4)を主な生成物として生成させることができる。五酸化バナジウム(V2O5)や四酸化二バナジウム(V2O4)は、希硫酸浸出及び還元剤添加により正極側電解液を生成することができ、又は濃硫酸と反応させて硫酸バナジウム(III)を生成することができる。この硫酸バナジウム(III)は、レドックス・フロー電池の負極側の電解液の原料として有用である。すなわち、共晶析出物の熱分解温度を調整することで、レドックス・フロー電池の電解液の正極側と負極側の材料を選択的に生成させることができる。この場合の加熱温度の下限は、硫酸水素アンモニウムの完全分解温度の400℃、上限は、アンモニア燃焼が起こる650℃である。
熱分解は、焼成炉などを用い、燃料を燃焼させて行う。燃料としては、LPGガスを挙げることでき、空気を混入して燃焼させることができる。熱分解は、共晶析出物を焼成炉等に投入したのち、450〜550℃、あるいは550℃超の所定温度まで昇温し、所定の時間、温度を保持することで行う。熱分解の時間は、10分間〜10時間程度であり、30分間〜5時間の範囲内が好ましい。なお、所定の温度までは、一定間隔で段階的に昇温することが好ましく、例えば、10℃昇温ののち1時間程度保持し、これを繰り返すことで上記の所定温度まで昇温することが好ましい。
熱分解工程が行われる共晶析出物に含まれる硫酸アンモニウム等の量は、上記の熱分解が進行する量であれば特に制限はないが、共晶析出物の全体量に対して、5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、15重量%以上が特に好ましい。共晶析出物に含まれる硫酸アンモニウムの量の上限は、特に制限はないが、80重量%以下が好ましく、70重量%以下がより好ましく、60重量%以下が特に好ましい。
2.レドックス・フロー電池用電解液の製造方法
本発明のレドックス・フロー電池用電解液の製造方法は、上述したバナジウム分離方法に加えて、当該方法で回収したバナジウムをレドックス・フロー電池用の電解液の原料とする(電解液製造工程)。レドックス・フロー電池用電解液としては、正極側は酸化硫酸バナジウム(IV)を、負極側は硫酸バナジウム(III)を使用することができる。レドックス・フロー電池用電解液中に含まれるバナジウムの濃度は、特に制限はないが、正極側、負極側いずれも、例えば0.1mol/l〜10mol/lの範囲内、好ましくは1〜3mol/lの範囲内とすることができる。
本発明のレドックス・フロー電池用電解液の製造方法は、上述したバナジウム分離方法に加えて、当該方法で回収したバナジウムをレドックス・フロー電池用の電解液の原料とする(電解液製造工程)。レドックス・フロー電池用電解液としては、正極側は酸化硫酸バナジウム(IV)を、負極側は硫酸バナジウム(III)を使用することができる。レドックス・フロー電池用電解液中に含まれるバナジウムの濃度は、特に制限はないが、正極側、負極側いずれも、例えば0.1mol/l〜10mol/lの範囲内、好ましくは1〜3mol/lの範囲内とすることができる。
正極側の電解液の原料である酸化硫酸バナジウム(IV)の製造方法としては、ステップ44で得られたVOSO4をそのまま使用することができる。また、五酸化バナジウム(V2O5)や四酸化二バナジウム(V2O4)が混合している場合、硫酸と還元剤を添加することで、VOSO4を生成させることができる。この場合、ステップ44の熱分解で得られた固化物に硫酸を添加することで、正極電解液の材料を製造することができる(ステップ46)。
また、負極側の電解液の原料である硫酸バナジウム(III)の製造方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。まず、ステップ44で得られた五酸化バナジウム(V2O5)や四酸化二バナジウム(V2O4)などの粉状物からメタバナジン酸アンモニウムを生成し、窒素ガス雰囲気下にて高温で分解して酸化物(V2O3)とする(ステップ47)。次に、得られた酸化物に対して、高圧反応法や大気圧法で硫酸バナジウム(III)を得る。高圧反応法は、例えば、250℃、40気圧の条件下で5〜40%濃硫酸をV2O3に添加して溶解析出させて硫酸バナジウム(III)を得る方法である。一方、大気圧法は、例えば、250℃、大気圧の条件下で80%濃硫酸をV2O3に添加して溶解析出させ、その後に50%未満の希硫酸に溶解させることで硫酸バナジウム(III)を得る方法である。
3.バナジウム分離装置
また、本発明のバナジウム分離装置は、上述したバナジウム分離方法を実施するための装置として構成することができる。本発明のバナジウム分離装置は、一例として、錯体生成槽、ニッケル回収槽、硫安晶析槽、共晶析槽、熱分解装置を備えるバナジウム分離システム(プラントなど)として構成することができる。
また、本発明のバナジウム分離装置は、上述したバナジウム分離方法を実施するための装置として構成することができる。本発明のバナジウム分離装置は、一例として、錯体生成槽、ニッケル回収槽、硫安晶析槽、共晶析槽、熱分解装置を備えるバナジウム分離システム(プラントなど)として構成することができる。
錯体生成槽は、原料スラリーにアンモニア性アルカリ水溶液を加えてpHを10〜12に調整し、2価のニッケルイオンのアンミン錯体と4価及び/又は5価のバナジウムイオンのアニオン錯体とをアルカリ水溶液中に生成させるための手段(イオン吸着分離手段)である。錯体生成槽では、2価又は3価金属の酸化物の一部は、2価又は3価金属の酸化物の水酸化物のスラッジとなり(本発明のアルカリ添加手段に相当)、続いて、このスラッジを分離する(本発明のスラッジ分離手段に相当)することで、2価又は3価金属を除去する。錯体生成槽では、上述したステップ31〜33で説明した方法で錯体を生成させる。
ニッケル回収槽は、アンミン錯体とアニオン錯体とが生成したアルカリ水溶液にカルボキシル基を有する担体を加えて、担体にアンミン錯体中のニッケルイオンを選択的に吸着させてニッケルイオンを回収する手段である。ニッケル回収槽では、上述したステップ34〜36で説明した方法でニッケルを回収する。
硫安晶析槽は、ニッケル回収後の混合液に硫酸を添加してpH5〜7にすることで、硫酸アンモニウムの結晶を析出させる手段であり、本発明の中和晶析手段に相当する。硫安晶析槽では、上述したステップ41とステップ42で説明した方法で硫酸アンモニウムを除去する。
共晶析槽は、硫安晶析後の混合液(バナジウム含有物)に硫酸を添加してpH2〜4にする手段であり、本発明のpH調整手段に相当する。共晶析槽では、上述したステップ43で説明した方法で酸化硫酸バナジウム(IV)(硫酸バナジル)と硫酸アンモニウム等との共晶析を行う。
熱分解装置は、バナジウム含有物を450℃以上に加熱してアンモニアガス(NH3)及び硫酸ガス(SO3及び/又はSO2)を揮発させ、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)、五酸化バナジウム(V2O5)及び四酸化二バナジウム(V2O4)の少なくとも1種類を生成させる装置である。熱分解装置は、本発明の熱分解手段に相当する。熱分解装置では、上述したステップ44とステップ45で説明した方法で熱分解を行う。
4.レドックス・フロー電池用電解液の製造装置
本発明のレドックス・フロー電池用電解液の製造装置は、上述したバナジウム分離装置で得られたバナジウムをレドックス・フロー電池用電解液の原料とする。すなわち、本発明の製造装置は、バナジウム回収装置で回収したバナジウムから、上記「2.レドックス・フロー電池用電解液の製造方法」に記載した方法で電解液を製造する電解液製造手段を有する。電解液製造手段では、上述したステップ46やステップ47で説明した方法で電解液製造を製造する。
本発明のレドックス・フロー電池用電解液の製造装置は、上述したバナジウム分離装置で得られたバナジウムをレドックス・フロー電池用電解液の原料とする。すなわち、本発明の製造装置は、バナジウム回収装置で回収したバナジウムから、上記「2.レドックス・フロー電池用電解液の製造方法」に記載した方法で電解液を製造する電解液製造手段を有する。電解液製造手段では、上述したステップ46やステップ47で説明した方法で電解液製造を製造する。
5.変形例
(変形例1)
以下、本実施形態の変形例について説明する。上記の実施形態では、ステップ34において褐炭を用いたイオン交換反応によって担体にニッケルを選択的に吸着させてバナジウムと分離しているが、本発明はこれに限定されず、他の方法で分離することも可能である。
(変形例1)
以下、本実施形態の変形例について説明する。上記の実施形態では、ステップ34において褐炭を用いたイオン交換反応によって担体にニッケルを選択的に吸着させてバナジウムと分離しているが、本発明はこれに限定されず、他の方法で分離することも可能である。
他の方法としては、例えば、メタバナジン酸アンモニウム沈殿法を挙げることができる。この方法では、バナジウムと硫酸アンモニウムとを少なくとも含むスラリーに、アンモニアを添加してバナジウムと反応させ、メタバナジン酸アンモニウム(NH4VO3)を生成させる。反応温度は、通常は20〜60℃の範囲内であり、好ましくは30〜40度の範囲内である。また、反応時間は、通常は10分間から10時間の範囲内であり、好ましくは1〜5時間の範囲内である。反応時のpHは、通常はpH8以上であり、好ましくはpH9〜pH12の範囲内である。バナジウムはバナジン酸アンモニウムとして沈殿するため、これを遠心分離法など適当な分離法で分離回収する。このメタバナジン酸アンモニウム沈殿法は、スラリー中に含まれるニッケルの量がバナジウムの量と比較して大幅に低い場合(例えば、V/Ni=100以上)に、特に効率的にニッケルとバナジウムを分離することができる。
(変形例2)
上記の他の方法としては、例えばイオン交換樹脂分離法を挙げることができる。この方法で使用するイオン交換樹脂としては、バナジウムを選択的に吸着するものを挙げることができる。このようなイオン交換樹脂としては、例えば、ポリアミン型キレート樹脂である「ダイヤイオン CR20(H2SO4形)」(三菱ケミカル製)を例示することができる。スラリーのpHは、通常はpH3〜7の範囲内であり、好ましくはpH4〜6の範囲内である。この方法でも、ニッケルとバナジウムを含むスラリーからバナジウムのみを選択的に分離することができる。
上記の他の方法としては、例えばイオン交換樹脂分離法を挙げることができる。この方法で使用するイオン交換樹脂としては、バナジウムを選択的に吸着するものを挙げることができる。このようなイオン交換樹脂としては、例えば、ポリアミン型キレート樹脂である「ダイヤイオン CR20(H2SO4形)」(三菱ケミカル製)を例示することができる。スラリーのpHは、通常はpH3〜7の範囲内であり、好ましくはpH4〜6の範囲内である。この方法でも、ニッケルとバナジウムを含むスラリーからバナジウムのみを選択的に分離することができる。
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、これらは本発明の目的を限定するものではなく、また、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。
1.バナジウム含有混合物からのバナジウムの分離
(1)模擬液作成
下記表に記載の原料配合表の試薬を秤量した。次に、500mlビーカーに蒸留水を250ml/300ml入れ、スターラーで撹拌しながら粉末の試薬を溶解した。試薬を溶解したのち、アンモニア水をゆっくりと添加し、pH11の模擬液を得た。
(1)模擬液作成
下記表に記載の原料配合表の試薬を秤量した。次に、500mlビーカーに蒸留水を250ml/300ml入れ、スターラーで撹拌しながら粉末の試薬を溶解した。試薬を溶解したのち、アンモニア水をゆっくりと添加し、pH11の模擬液を得た。
スターラーを用いて得られた模擬液を300rmpで30分間撹拌したのち、30分間静置した。続いて、静置後の模擬液をスイングローターで500G、10分間にて沈殿物を除去し、上澄み液を得た。
(2)褐炭によるNi回収
得られた上澄み液に褐炭(粒径<45μm)を3g添加した。使用する褐炭は、粉砕して45μmの篩にかけて篩目を通過したものを使用した。褐炭を添加した上澄み液を、褐炭が静置しない程度にゆっくりと一晩(16時間)かけて室温(25℃)でスターラー(回転数100rpm)を用いて撹拌した。撹拌が終了した上澄み液を遠心分離機にかけ、Ni担持褐炭を回収した。Ni担持褐炭は、スイングローターを用いて500G、10分間で沈殿させて回収した。
得られた上澄み液に褐炭(粒径<45μm)を3g添加した。使用する褐炭は、粉砕して45μmの篩にかけて篩目を通過したものを使用した。褐炭を添加した上澄み液を、褐炭が静置しない程度にゆっくりと一晩(16時間)かけて室温(25℃)でスターラー(回転数100rpm)を用いて撹拌した。撹拌が終了した上澄み液を遠心分離機にかけ、Ni担持褐炭を回収した。Ni担持褐炭は、スイングローターを用いて500G、10分間で沈殿させて回収した。
(3)中和晶析
Ni担持褐炭を回収した後の上澄み液を、スターラーを用いて室温(25℃)でゆっくりと撹拌しながら、濃硫酸(36N)を用いて上澄み液をpH6.0に調整した。上澄み液がpH6.0に達したら、スターラーを用いて100rpmで30分間撹拌したのち、30分間静置し、硫酸アンモニウムの析出物を沈殿させた。静置後、スイングローターを用いて500G、10分間で硫酸アンモニウムの析出物を回収した。
Ni担持褐炭を回収した後の上澄み液を、スターラーを用いて室温(25℃)でゆっくりと撹拌しながら、濃硫酸(36N)を用いて上澄み液をpH6.0に調整した。上澄み液がpH6.0に達したら、スターラーを用いて100rpmで30分間撹拌したのち、30分間静置し、硫酸アンモニウムの析出物を沈殿させた。静置後、スイングローターを用いて500G、10分間で硫酸アンモニウムの析出物を回収した。
(4)酸化晶析
析出物回収後の上澄み液をゆっくりとスターラーで撹拌しながら、室温(25℃)にて、濃硫酸(36N)を添加し、pH3.0に調整した。pH3.0に達したら、スターラーにて100rpmで30分間撹拌したのち、30分間静置した。静置後、スイングローターを用いて500G、10分間で沈殿物を回収した。
析出物回収後の上澄み液をゆっくりとスターラーで撹拌しながら、室温(25℃)にて、濃硫酸(36N)を添加し、pH3.0に調整した。pH3.0に達したら、スターラーにて100rpmで30分間撹拌したのち、30分間静置した。静置後、スイングローターを用いて500G、10分間で沈殿物を回収した。
(5)蒸発乾固
蒸発皿に上澄み液を入れ、80℃にて静置して乾燥させた。蒸発皿は大きめのものを使用し、上澄み液の残液を少しずつ継ぎ足して乾燥させた。乾燥物は硫酸を含み固形とはならず、ガム状であった。
蒸発皿に上澄み液を入れ、80℃にて静置して乾燥させた。蒸発皿は大きめのものを使用し、上澄み液の残液を少しずつ継ぎ足して乾燥させた。乾燥物は硫酸を含み固形とはならず、ガム状であった。
(6)加熱分解
乾燥物をるつぼに入れ、電気炉で昇温した。昇温は、下記の温度チャートのように、10℃昇温と1時間保持ののち20℃昇温と1時間保持のステップを繰り返し、最終的に400℃(比較例1)、500℃(実施例1)、600℃(実施例2)まで昇温した3つのサンプルを作成した。なお、昇温中は、通気も兼ねて電気炉の炉を少し開け、熱電対をるつぼの内側から底に当ててセットし、サンプルの温度を測定した。試料温度及び炉内温度はデータロガーにて記録した。また、一定温度で保持するタイミングでるつぼの内側に付着したサンプルを棒でこそぎ落としてかき混ぜ、サンプル全体が均一な温度で加熱されるようにした。
<昇温チャート>
●比較例1:90℃で1時間保持→昇温→100℃で1時間保持→昇温→120℃で1時間保持→昇温→130℃で1時間保持→昇温→150℃で1時間保持→・・・→400℃で1時間保持
●実施例1:90℃で1時間保持→昇温→100℃で1時間保持→昇温→120℃で1時間保持→昇温→130℃で1時間保持→昇温→150℃で1時間保持→・・・→500℃で3時間保持
●実施例2:90℃で1時間保持→昇温→100℃で1時間保持→昇温→120℃で1時間保持→昇温→130℃で1時間保持→昇温→150℃で1時間保持→・・・→600℃で1時間保持
乾燥物をるつぼに入れ、電気炉で昇温した。昇温は、下記の温度チャートのように、10℃昇温と1時間保持ののち20℃昇温と1時間保持のステップを繰り返し、最終的に400℃(比較例1)、500℃(実施例1)、600℃(実施例2)まで昇温した3つのサンプルを作成した。なお、昇温中は、通気も兼ねて電気炉の炉を少し開け、熱電対をるつぼの内側から底に当ててセットし、サンプルの温度を測定した。試料温度及び炉内温度はデータロガーにて記録した。また、一定温度で保持するタイミングでるつぼの内側に付着したサンプルを棒でこそぎ落としてかき混ぜ、サンプル全体が均一な温度で加熱されるようにした。
<昇温チャート>
●比較例1:90℃で1時間保持→昇温→100℃で1時間保持→昇温→120℃で1時間保持→昇温→130℃で1時間保持→昇温→150℃で1時間保持→・・・→400℃で1時間保持
●実施例1:90℃で1時間保持→昇温→100℃で1時間保持→昇温→120℃で1時間保持→昇温→130℃で1時間保持→昇温→150℃で1時間保持→・・・→500℃で3時間保持
●実施例2:90℃で1時間保持→昇温→100℃で1時間保持→昇温→120℃で1時間保持→昇温→130℃で1時間保持→昇温→150℃で1時間保持→・・・→600℃で1時間保持
(7)サンプル分析
実施例1、実施例2、比較例1のサンプルのそれぞれについて、「2400II」(パーキンエルマージャパン製)を用いて元素分析を行った。また、対照として、NH4VO3(対照1)、VOSO4xH2O(対照2)、V2O5(対照3)の3つのサンプルも同様に元素分析した。その結果を下記表に示す。
実施例1、実施例2、比較例1のサンプルのそれぞれについて、「2400II」(パーキンエルマージャパン製)を用いて元素分析を行った。また、対照として、NH4VO3(対照1)、VOSO4xH2O(対照2)、V2O5(対照3)の3つのサンプルも同様に元素分析した。その結果を下記表に示す。
実施例1は、硫黄(S)の含有量が多いが、その他の元素は少量であり、対照2と類似した結果となった。このことから、実施例1では、主生成物としてVOSO4xH2Oが多く含まれることがわかった。実施例2は、いずれの元素も少量であり、対照3と類似した結果となった。このことから、実施例2では、主生成物としてV2O5が多く含まれることがわかった。これらのことから、サンプルを500℃前後の温度で加熱すると、VOSO4xH2Oが主生成物となり、600℃程度の温度で加熱すると、V2O5が主生成物となることがわかった。
一方、比較例1は、窒素(N)、硫黄(S)、水素(H)が多く含まれている。このことから、比較例1では、NH4VO3、VOSO4xH2O、(NH4)2SO4などが主生成物であると考えられる。すなわち、加熱温度が400℃と低い場合は、サンプルに含まれる硫酸アンモニウムなどが分解せずに残存していると考えられる。
Claims (12)
- 4価及び/又は5価のバナジウム化合物と、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)及び/又は硫酸水素アンモニウム(NH4HSO4)と、を少なくとも含有するバナジウム含有物からバナジウムを分離するバナジウム分離方法であって、
前記バナジウム含有物を450℃以上に加熱してアンモニアガス(NH3)及び硫酸ガス(SO3及び/又はSO2)を揮発させ、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)、五酸化バナジウム(V2O5)及び四酸化二バナジウム(V2O4)の少なくとも1種類を生成させる熱分解工程と、
を備えることを特徴とするバナジウム分離方法。 - 前記熱分解工程は、450〜550℃で加熱することで酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)を主な生成物として生成させるか、あるいは、
550℃超で加熱することで五酸化バナジウム(V2O5)及び/又は四酸化二バナジウム(V2O4)を主な生成物として生成させることを特徴とする請求項1に記載のバナジウム分離方法。 - 前記熱分解工程の前工程において、前記バナジウム含有物に硫酸を添加してpH2〜4にするpH調整工程を更に備えることを特徴とする請求項1に記載のバナジウム分離方法。
- 前記pH調整工程の前工程において、pH5〜7にして硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムの結晶を析出させる中和晶析工程を更に備えることを特徴とする請求項3に記載のバナジウム分離方法。
- 前記熱分解工程の前の段階において、
前記バナジウム含有物にアンモニア性アルカリ水溶液を加えてpHを10〜12に調整することで、前記2価又は3価金属の酸化物の一部を前記2価又は3価金属の酸化物の水酸化物のスラッジと、2価のニッケル及び/又はコバルトイオンのアンミン錯体と、前記4価のバナジウムイオンのアニオン錯体とを生成するアルカリ添加工程と、
カルボキシル基を有する担体によって前記2価のニッケル及び/又はコバルトのアンミン錯体を選択的に吸着させるイオン吸着分離工程と、
前記スラッジを分離するスラッジ分離工程と、を備えることを特徴とする請求項1に記載のバナジウム分離方法。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載のバナジウム分離方法で回収した前記バナジウムを原料としてレドックス・フロー電池用電解液を製造する電解液製造工程を有することを特徴とするレドックス・フロー電池用電解液の製造方法。
- 4価及び/又は5価のバナジウム化合物と、硫酸アンモニウム((NH4)2SO4)及び/又は硫酸水素アンモニウム(NH4HSO4)と、を少なくとも含有するバナジウム含有物からバナジウムを分離するバナジウム分離装置であって、
前記バナジウム含有物を450℃以上に加熱してアンモニアガス(NH3)及び硫酸ガス(SO3及び/又はSO2)を揮発させ、酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)、五酸化バナジウム(V2O5)及び四酸化二バナジウム(V2O4)の少なくとも1種類を生成させる熱分解手段と、
を備えることを特徴とするバナジウム分離装置。 - 前記熱分解手段は、450〜550℃で加熱することで酸化硫酸バナジウム(IV)(VOSO4)を主な生成物として生成させるか、あるいは、
550℃超で加熱することで五酸化バナジウム(V2O5)及び/又は四酸化二バナジウム(V2O4)を主な生成物として生成させることを特徴とする請求項7に記載のバナジウム分離装置。 - 前記熱分解手段の前段階において、前記バナジウム含有物に硫酸を添加してpH2〜4にするpH調整手段を更に備えることを特徴とする請求項7に記載のバナジウム分離装置。
- 前記pH調整手段の前段階において、pH5〜7にして硫酸アンモニウム及び/又は硫酸水素アンモニウムの結晶を析出させる中和晶析手段を更に備えることを特徴とする請求項7に記載のバナジウム分離装置。
- 前記熱分解手段の前の段階において、
前記バナジウム含有物にアンモニア性アルカリ水溶液を加えてpHを10〜12に調整することで、前記2価又は3価金属の酸化物の一部を前記2価又は3価金属の酸化物の水酸化物のスラッジと、2価のニッケル及び/又はコバルトイオンのアンミン錯体と、前記4価のバナジウムイオンのアニオン錯体とを生成するアルカリ添加手段と、
カルボキシル基を有する担体によって前記2価のニッケル及び/又はコバルトのアンミン錯体を選択的に吸着させるイオン吸着分離手段と、
前記スラッジを分離するスラッジ分離手段と、を備えることを特徴とする請求項7に記載のバナジウム分離装置。 - 請求項7〜11のいずれか1項に記載のバナジウム分離装置で回収した前記バナジウムを原料としてレドックス・フロー電池用電解液を製造する電解液製造手段を有することを特徴とするレドックス・フロー電池用電解液の製造装置。
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