JP2021129456A - 送電装置、受電装置、それらの制御方法、およびプログラム - Google Patents

送電装置、受電装置、それらの制御方法、およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】より適切な異物検出技術を提供する。【解決手段】送電装置402は、送電が停止されている状態で、送電アンテナ105における送電波形の波形減衰率を測定する測定し、測定された波形減衰率に基づいて、送電装置402と受電装置401との間の異物の検出のために使用する閾値を設定し、閾値が設定された後に測定された波形減衰率と閾値に基づいて、送電装置402と受電装置401との間の異物が存在するか否かを判定する。【選択図】図10

Description

本発明は、無線電力伝送技術に関する。
近年、無線電力伝送システムの技術開発が広く行われている。特許文献1では、無線充電規格の標準化団体Wireless Power Consortium(WPC)が策定するWPC規格に準拠した送電装置および受電装置が開示されている。また、特許文献2には、WPC規格における、異物検出(Foreign Object Detection)の方法が開示されている。また、特許文献3には、送電装置は、受電装置に対して異物検出用の信号を送信し、受電装置からのエコー信号を用いて異物の有無を判定する、異物検出方法が開示されている。
特開2015−56959号公報 特開2017−70074号公報 特開2015−27172号公報
特許文献3に開示される異物検出方法では、異物を検出するための異物検出用の信号を送信しなければならない。よって、異物検出用の信号を送信するための回路の追加、および、異物検出用の信号を送信するための時間が必要になり、コスト増加、伝送効率低下を招くという課題があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、より適切な異物検出技術を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための一手段として、本発明の送電装置は以下の構成を有する。すなわち、
送電装置であって、
送電アンテナを介して受電装置へ無線で送電を行う送電手段と、
前記送電手段による送電を制御する制御手段と、
前記制御手段により前記送電が停止されている状態で、送電波形の波形減衰率を測定する測定手段と、
前記測定された波形減衰率に基づいて、前記送電装置と前記受電装置との間の異物の検出のために使用する閾値を設定する設定手段と、
前記設定手段により前記閾値が設定された後に、前記測定手段により測定された前記波形減衰率と前記閾値に基づいて前記異物が存在するか否かを判定する判定手段と、
を有する。
本発明によれば、より適切な異物検出技術を提供することができる。
送電装置の構成例を示すブロック図である。 受電装置の構成例を示すブロック図である。 送電装置の制御部の機能構成例を示すブロック図である。 無線電力伝送システムの構成例を示す図である。 WPC規格に従った電力伝送のためのシーケンス図である。 波形減衰法による異物検出の原理を説明する図である。 送電中の送電波形で異物検出を行う方法を説明するための図である。 いくつかの実施形態における送電装置により実行される処理のフローチャートである。 いくつかの実施形態における受電装置により実行される処理のフローチャートである。 いくつかの実施形態における送電装置と受電装置のシーケンス図である。 波形減衰法による異物検出閾値の設定方法を説明するための図である。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
[実施形態1]
(無線電力伝送システムの構成)
図4に、本実施形態における無線電力伝送システム(無線充電システム)の構成例を示す。本システムは、一例において、受電装置401と送電装置402を含んで構成される。以下では、受電装置401をRXと呼び、送電装置402をTXと呼ぶ場合がある。RXは、TXから受電して内蔵バッテリに充電を行う電子機器である。TXは、TXの一部である充電台403に載置されたRXに対して無線で送電する電子機器である。以下、充電台403はTXの一部であるため、「充電台403に戴置された」ことを「TX(送電装置402)に載置された」という場合がある。点線で囲む範囲404は、RXがTXから受電が可能な範囲である。なお、RXとTXは無線充電以外のアプリケーションを実行する機能を有しうる。RXの一例はスマートフォンであり、TXの一例はそのスマートフォンを充電するためのアクセサリ機器である。RX及びTXは、タブレットや、ハードディスク装置やメモリ装置などの記憶装置であってもよいし、パーソナルコンピュータ(PC)などの情報処理装置であってもよい。また、RX及びTXは、例えば、撮像装置(カメラやビデオカメラ等)であってもよい。
本システムでは、WPC(Wireless Power Consortium)規格に基づいて、無線充電のための電磁誘導方式を用いた無線電力伝送を行う。すなわち、RXとTXは、RXの受電アンテナとTXの送電アンテナとの間で、WPC規格に基づく無線充電のための無線電力伝送を行う。なお、本システムに適用される無線電力伝送方式は、WPC規格で規定された方式に限られず、他の電磁誘導方式、磁界共鳴方式、電界共鳴方式、マイクロ波方式、レーザー等を利用した方式であってもよい。また、本実施形態では、無線電力伝送が無線充電に用いられるものとするが、無線充電以外の用途で無線電力伝送が行われてもよい。
WPC規格では、受電装置が送電装置から受電する際に保証される電力の大きさが、Guaranteed Power(以下、「GP」と呼ぶ)と呼ばれる値によって規定される。GPは、例えば受電装置と送電装置の位置関係が変動して受電アンテナと送電アンテナとの間の送電効率が低下したとしても、受電装置の負荷(例えば、充電用の回路、バッテリー等)への出力が保証される電力値を示す。例えばGPが5ワットの場合、受電アンテナと送電アンテナの位置関係が変動して送電効率が低下したとしても、送電装置は、受電装置内の負荷へ5ワットを出力することができるように制御して送電を行う。
また、WPC規格では、送電装置が、送電装置の周囲に(送電アンテナ近傍に)受電装置ではない物体(異物)が存在することを検出する手法が規定されている。より詳細には、送電装置における送電電力と受電装置における受電電力の差分により異物を検出するPower Loss(パワーロス)法と、送電装置における送電アンテナ(送電コイル)の品質係数(Q値)の変化により異物を検出するQ値計測法が規定されている。Power Loss法による異物検出は、後述するCalibrationフェーズにより得られたデータを基に、電力伝送(送電)中(後述のPower Transferフェーズ)に実施される。また、Q値計測法による異物検出は、電力伝送前(後述のDigital Ping送信前、NegotiationフェーズまたはRenegotiationフェーズ)に実施される。
本実施形態によるRXとTXは、WPC規格に基づく送受電制御のための通信を行う。WPC規格では、電力伝送が実行されるPower Transferフェーズと、実際の電力伝送前の1以上のフェーズとを含んだ、複数のフェーズが規定され、各フェーズにおいて必要な送受電制御のための通信が行われる。電力伝送前のフェーズは、Selectionフェーズ、Pingフェーズ、Identification and Configurationフェーズ、Negotiationフェーズ、Calibrationフェーズを含みうる。なお、以下では、Identification and ConfigurationフェーズをI&Cフェーズと呼ぶ。以下、各フェーズの処理について説明する。
Selectionフェーズでは、TXが、Analog Pingを間欠的に送信し、物体がTXの充電台に載置されたこと(例えば充電台にRXや導体片等が載置されたこと)を検出する。TXは、Analog Pingを送信した時の送電アンテナの電圧値と電流値の少なくともいずれか一方を検出し、電圧値がある閾値を下回る場合又は電流値がある閾値を超える場合に物体が存在すると判断し、Pingフェーズに遷移する。
Pingフェーズでは、TXが、Analog Pingより電力が大きいDigital Pingを送信する。Digital Pingの電力の大きさは、TXの上に載置されたRXの制御部が起動するのに十分な電力である。RXは、受電電圧の大きさをTXへ通知する。このように、TXは、そのDigital Pingを受信したRXからの応答を受信することにより、Selectionフェーズにおいて検出された物体がRXであることを認識する。TXは、受電電圧値の通知を受けると、I&Cフェーズに遷移する。また、TXはDigital Pingを送信する前に、送電アンテナ(送電コイル)のQ値(Q−Factor)を測定する。この測定結果は、Q値計測法を用いた異物検出処理を実行する際に使用する。
I&Cフェーズでは、TXは、RXを識別し、RXから機器構成情報(能力情報)を取得する。そのため、RXは、ID Packet及びConfiguration Packetを送信する。ID PacketにはRXの識別子情報が含まれ、Configuration Packetには、RXの機器構成情報(能力情報)が含まれる。ID Packet及びConfiguration Packetを受信したTXは、アクノリッジ(ACK、肯定応答)で応答する。そして、I&Cフェーズが終了する。
Negotiationフェーズでは、RXが要求するGPの値やTXの送電能力等に基づいてGPの値が決定される。またTXは、RXからの要求に従って、Q値計測法を用いた異物検出処理を実行する。また、WPC規格では、一旦Power Transferフェーズに移行した後、RXの要求によって再度Negotiationフェーズと同様の処理を行う方法が規定されている。Power Transferフェーズから移行してこれらの処理を行うフェーズのことをRenegotiationフェーズと呼ぶ。
Calibrationフェーズでは、WPC規格に基づいてCalibrationを実施する。また、RXが所定の受電電力値(軽負荷状態における受信電力値/最大負荷状態における受信電力値)をTXへ通知し、TXが、効率よく送電するための調整を行う。TXへ通知された受信電力値は、Power Loss法による異物検出処理のために使用されうる。
Power Transferフェーズでは、送電の開始、継続、及びエラーや満充電による送電停止等のための制御が行われる。TXとRXは、これらの送受電制御のために、WPC規格に基づいて無線電力伝送を行う際に使用するものと同じ送電アンテナ(送電コイル)、受電アンテナ(受電コイル)を用いて、送電アンテナあるいは受電アンテナから送信される電磁波に信号を重畳する通信を行う。なお、TXとRXとの間で、WPC規格に基づく通信が可能な範囲は、TXの送電可能範囲とほぼ同様である。
(送電装置および受電装置の構成)
続いて、本実施形態による送電装置402(TX)及び受電装置401(RX)の構成について説明する。なお、以下で説明する構成は一例に過ぎず、説明される構成の一部(場合によっては全部が)他の同様の機能を果たす他の構成と置き換えられ又は省略されてもよく、さらなる構成が説明される構成に追加されてもよい。さらに、以下の説明で示される1つのブロックが複数のブロックに分割されてもよいし、複数のブロックが1つのブロックに統合されてもよい。また、以下に示す各機能ブロックは、ソフトウェアプログラムとして機能が実施されるものとするが、本機能ブロックに含まれる一部または全部がハードウェア化されていてもよい。
図1は、本実施形態に係る送電装置402(TX)の構成例を示す機能ブロック図である。TXは、制御部101、電源部102、送電部103、通信部104、送電アンテナ105、メモリ106、アンテナ切り替え部107を有する。図1では、制御部101、電源部102、送電部103、通信部104、メモリ106、アンテナ切り替え部107は別体として記載しているが、これらの内の任意の複数の機能ブロックは、同一チップ内に実装されてもよい。
制御部101は、例えばメモリ106に記憶されている制御プログラムを実行することにより、TX全体を制御する。また、制御部101は、TXにおける機器認証のための通信を含む送電制御に関する制御を行う。さらに、制御部101は、無線電力伝送以外のアプリケーションを実行するための制御を行ってもよい。制御部101は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はMPU(MicroProcessor Unit)等の1つ以上のプロセッサーを含んで構成される。なお、制御部101は、特定用途向け集積回路(ASIC:Application Specific Integrated Circuit)等のハードウェアで構成されてもよい。また、制御部101は、所定の処理を実行するようにコンパイルされたFPGA(Field Programmable Gate Array)等のアレイ回路を含んで構成されてもよい。制御部101は、各種処理を実行中に記憶しておくべき情報をメモリ106に記憶させる。また、制御部101は、タイマ(不図示)を用いて時間を計測しうる。
電源部102は、各機能ブロックに電源を供給する。電源部102は、例えば、商用電源又はバッテリである。バッテリには、商用電源から供給される電力が蓄電される。
送電部103は、電源部102から入力される直流又は交流電力を、無線電力伝送に用いる周波数帯の交流周波数電力に変換し、その交流周波数電力を送電アンテナ105へ入力することによって、RXに受電させるための電磁波を発生させる。例えば、送電部103は、電源部102が供給する直流電圧を、FET(Field Effect Transister)を使用したハーフブリッジ又はフルブリッジ構成のスイッチング回路で交流電圧に変換する。この場合、送電部103は、FETのON/OFFを制御するゲ−トドライバを含む。
送電部103は、送電アンテナ105に入力する電圧(送電電圧)又は電流(送電電流)、又はその両方を調節することにより、出力させる電磁波の強度を制御する。送電電圧又は送電電流を大きくすると電磁波の強度が強くなり、送電電圧又は送電電流を小さくすると電磁波の強度が弱くなる。また、送電部103は、制御部101の指示に基づいて、送電アンテナ105からの送電が開始又は停止されるように、交流周波数電力の出力制御を行う。また、送電部103はWPC規格に対応した受電装置401(RX)の充電部206(図2)に15ワット(W)の電力を出力するだけの電力を供給する能力があるものとする。
通信部104は、RXとの間で、上述のようなWPC規格に基づく送電制御のための通信を行う。通信部104は、送電アンテナ105から出力される電磁波を変調し、RXへ情報を伝送して、通信を行う。また、通信部104は、RXが変調した送電アンテナ105から送電される電磁波を復調して、RXが送信した情報を取得する。すなわち、通信部104で行う通信は、送電アンテナ105から送電される電磁波に信号が重畳されて行われる。また、通信部104は、送電アンテナ105とは異なるアンテナを用いたWPC規格とは異なる規格による通信でRXと通信を行ってもよいし、複数の通信を選択的に用いてRXと通信を行ってもよい。
メモリ106は、制御プログラムを記憶するほかに、TX及びRXの状態(送電電力値、受信電力値等)なども記憶しうる。例えば、TXの状態は制御部101により取得され、RXの状態はRXの制御部201(図2)により取得され、通信部104を介して受信されうる。
送電アンテナ105は、複数のアンテナ(コイル)を有する。アンテナ切り替え部107は、複数のアンテナ(コイル)のうち、いずれか一つを選択し、切り替える。あるいは、送電アンテナ105は複数のアンテナではなく、一つの送電アンテナ105を有するものであってもよい。その場合、アンテナ切り替え部107は必要ない。
図2は、本実施形態による受電装置401(RX)の構成例を示すブロック図である。RXは、制御部201、UI(ユーザーインタフェース)部202、受電部203、通信部204、受電アンテナ205、充電部206、バッテリ207、メモリ208、スイッチ部209を有する。なお、図2に示す複数の機能ブロックを1つのハードウェアモジュールとして実現してもよい。
制御部201は、例えばメモリ208に記憶されている制御プログラムを実行することによりRX全体を制御する。すなわち、制御部201は、図2で示す各機能部を制御する。さらに、制御部201は、無線電力伝送以外のアプリケーションを実行するための制御を行ってもよい。制御部201の一例は、CPU又はMPU等の1つ以上のプロセッサーを含んで構成される。なお、制御部201が実行しているOS(Operating System)との協働によりRX全体(RXがスマートフォンである場合には当該スマートフォン全体)を制御するようにしてもよい。
また、制御部201は、ASIC等のハードウェアで構成されてもよい。また、制御部201は、所定の処理を実行するようにコンパイルされたFPGA等のアレイ回路を含んで構成されてもよい。制御部201は、各種処理を実行中に記憶しておくべき情報をメモリ208に記憶させる。また、制御部201は、タイマ(不図示)を用いて時間を計測しうる。
UI部202は、ユーザーに対する各種の出力を行う。ここでいう各種の出力とは、画面表示、LED(Light Emitting Diode)の点滅や色の変化、スピーカーによる音声出力、RX本体の振動等の動作である。UI部202は液晶パネル、スピーカー、バイブレーションモーター等により実現される。
受電部203は、受電アンテナ205において、TX402の送電アンテナ105から放射された電磁波による発生する電磁誘導により生じた交流電力(交流電圧及び交流電流)を取得する。そして、受電部203は、交流電力を直流又は所定周波数の交流電力に変換して、バッテリ207を充電するための処理を行う充電部206に電力を出力する。すなわち、受電部203は、RXにおける負荷に対して電力を供給する。上述のGPは、受電部203から出力されることが保証される電力量である。受電部203は、充電部206がバッテリ207を充電するための電力を供給し、充電部206に15ワットの電力を出力するだけの電力を供給する能力があるものとする。
スイッチ部209は、受電した電力をバッテリ(負荷)に供給するか否かを制御するためのものである。また、負荷の値を制御する機能も有する。充電部206とバッテリ207を、スイッチ部209が接続すれば、受電した電力はバッテリ207に供給される。スイッチで充電部206とバッテリ207を、スイッチ部209が切断すれば、受電した電力はバッテリ207に供給されない。なお、スイッチ部209は、図2においては、充電部206とバッテリ207の間に配置されているが、受電部203と充電部206の間に配置されてもよい。あるいは、図2ではスイッチ部209を一つのブロックとして記載しているが、スイッチ部209を充電部206の一部として実現することも可能である。通信部204は、TXが有する通信部104との間で、上述したようなWPC規格に基づく受電制御ための通信を行う。通信部204は、受電アンテナ205から入力された電磁波を復調してTXから送信された情報を取得する。そして、通信部204は、その入力された電磁波を負荷変調することによってTXへ送信すべき情報に関する信号を電磁波に重畳することにより、TXとの間で通信を行う。なお通信部204は、受電アンテナ205とは異なるアンテナを用いたWPC規格とは異なる規格による通信でTXと通信を行ってもよいし、複数の通信を選択的に用いてTXと通信を行ってもよい。
メモリ208は、制御プログラムを記憶するほかに、TX及びRXの状態なども記憶する。例えば、RXの状態は制御部201により取得され、TXの状態はTXの制御部101により取得され、通信部204を介して受信されうる。
次に、図3を参照して、TX402の制御部101の機能について説明する。図3は、送電装置402(TX)の制御部101の機能構成例を示すブロック図である。制御部101は、通信制御部301、送電制御部302、測定部303、設定部304、異物検出部305を有する。通信制御部301は、通信部104を介したWPC規格に基づいたRXとの制御通信を行う。送電制御部302は、送電部103を制御し、RXへの送電を制御する。測定部303は、後述する波形減衰率を測定する。また、送電部103を介してRXに対して出力する電力を計測し、単位時間ごとに平均出力電力を測定する。また、送電アンテナ(送電コイル)のQ値を測定する。設定部304は、測定部303により測定された波形減衰率に基づいて、異物検出のために用いる閾値を、例えば算出処理により、設定する。
異物検出部305は、Power Loss法による異物検出機能や、Q値計測法による異物検出機能や、波形減衰法による異物検出機能を実現しうる。また異物検出部305は、その他の手法を用いて異物検出処理を行うための機能を有してもよい。例えばNFC(Near Feald Communication)通信機能を備えるTXにおいては、異物検出部305は、NFC規格による対向機検出機能を用いて異物検出処理を行ってもよい。また、異物検出部305は、異物を検出する以外の機能として、TX上の状態が変化したことを検出することもできる。例えば、TXは、TX上の受電装置の数の増減も、検出することが可能である。設定部304は、TXが、Power Loss法や、Q値計測法や、波形減衰法による異物検出を行う上で、異物の有無を判定するための基準となる閾値を設定する。また設定部304は、その他の手法を用いた異物検出処理を行う上で必要となる、異物の有無を判定するための基準となる閾値を設定する機能を有してもよい。また、異物検出部305は、設定部304により設定された閾値と、測定部303により測定された波形減衰率や出力電力やQ値に基づいて、異物検出処理を行うことができる。
通信制御部301、送電制御部302、測定部303、設定部304、異物検出部305は、制御部101において動作するプログラムとしてその機能が実現される。各処理部は、それぞれが独立したプログラムとして構成され、イベント処理等によりプログラム間の同期をとりながら並行して動作しうる。
(WPC規格に従った電力伝送のための処理の流れ)
次に、WPC規格で規定されている、Selectionフェーズ、Pingフェーズ、I&Cフェーズ、Negotiationフェーズ、Calibrationフェーズ、Power Transferフェーズの、送電装置、受電装置の動作について、図5のシーケンス図を用いて説明する。図5は、WPC規格に従った電力伝送のためのシーケンス図である。ここでは、送電装置402(TX)と受電装置401(RX)を例に説明する。
TXは、送電可能範囲内に存在する物体を検出するため、WPC規格のAnalog Pingを繰り返し間欠送信している(F501)。TXは、WPC規格のSelectionフェーズとPingフェーズとして規定されている処理を実行し、RXが載置されるのを待ち受ける。RXのユーザーは、RX(例えばスマートフォン)を充電すべくRXをTXに近づける(F502)。例えば、RXをTXに積載することにより、RXをTXに近づける。TXは、送電可能範囲内に物体が存在することを検出すると(F503、F504)、WPC規格のDigital Pingを送信する(F505)。RXはDigital Pingを受信すると、TXがRXを検知したことを把握できる(F506)。またTXは、Digital Pingに対する所定の応答があった場合に、検出された物体がRXであり、RXが充電台403に載置されたと判定する。TXは、RXの載置を検出すると、WPC規格で規定されたI&Cフェーズの通信により、RXから識別情報と能力情報を取得する(F507)。ここで、RXの識別情報には、Manufacturer CodeとBasic Device IDが含められる。また、RXの能力情報には、対応しているWPC規格のバージョンを特定可能な情報要素や、RXが負荷に供給できる最大電力を特定する値であるMaximum Power Value、WPC規格のNegotiation機能を有するか否かを示す情報が含められる。なお、TXは、WPC規格のI&Cフェーズの通信以外の方法でRXの識別情報と能力情報を取得してもよい。また、識別情報は、Wireless Power ID等の、RXの個体を識別可能な任意の他の識別情報であってもよい。能力情報として、上記以外の情報を含んでいてもよい。
続いて、TXは、WPC規格で規定されたNegotiationフェーズの通信により、RXとGPの値を決定する(F508)。なお、F508では、WPC規格のNegotiationフェーズの通信に限らず、GPを決定する他の手順が実行されてもよい。また、TXは、RXがNegotiationフェーズに対応していないことを示す情報を(例えばF507において)取得した場合に、Negotiationフェーズの通信は行わず、GPの値を(例えばWPC規格で予め規定された)小さな値としてもよい。本実施形態では、GP=5ワットとする。
TXは、GPの決定後、当該GPに基づいてCalibrationを行う。Calibration処理では、まず、RXが、TXに軽負荷状態(負荷切断状態、送電電力が第一閾値以下になる負荷状態)における受電電力を含む情報(以降、第1基準受電電力情報と呼ぶ。)を送信する(F509)。本実施形態での第1基準受電電力情報は、TXの送電電力が250ミリワットの時の、RXの受電電力情報とする。第1基準受電電力情報は、WPC規格で規定されるReceived Power Packet(mode1)であるが、他のメッセージが用いられてもよい。TXは、自装置の送電状態に基づいて、第1基準受電電力情報を受け入れるか否かを判定する。TXは、受け入れる場合は肯定応答=ACKを、受け入れない場合は否定応答=NAKを、RXへ送信する。
次にRXは、TXからACKを受信すると(F510)、TXに負荷接続状態(送電電力が第二閾値以上になる負荷状態)における受電電力を含む情報(以降、第2基準受電電力情報と呼ぶ。)を送信する必要がある。本実施形態では、GPが5ワットであることから、第2基準受電電力情報は、TXの送電電力が5ワットの時の、RXの受電電力情報とする。ここで第2基準受電電力情報は、WPC規格で規定されるReceived Power Packet(mode2)であるが、他のメッセージが用いられてもよい。RXはTXからの送電電力を5ワットまで増加させるために、正の値を含む送電出力変更指示を送信する(F511)。
TXは上述した送電出力変更指示を受信し、送信電力の増加対応が可能な場合、ACKを応答し、送信電力の増加を行う(F512、F513)。第2基準受電電力情報は、TXの送電電力が5ワットの時の受電電力情報であることから、TXは、5ワットを超える電力増加要求をRXから受信した場合は(F514)、送電出力変更指示に対してNAKを応答することで、規定以上の電力送電を抑止する(F515)。
RXは、TXよりNAKを受信することで既定の受電電力に達したと判断すると、TXへ負荷接続状態における受電電力を含む情報を、第2基準受電電力情報として送信する(F516)。TXは、TXの送電電力値、および、第1および第2基準受電電力情報に含まれる受電電力値に基づいて、TX-RX間の電力損失量を算出することが可能となり、またそれらを補間することで、すべてのTXの送電電力時(本ケースでは、TX送電電力が250ミリワットから5ワット)におけるTX−RX間の電力損失値を算出することができる(F517)。TXは、RXからの第2基準受電電力情報に対してACKを送信し(F518)、Calibration処理を完了する。充電処理を開始可能と判断したTXは、RXに対して送電処理を開始し、RXの充電が開始される。そして、TXとRXが機器認証処理を行い(F519)、相互の機器がより大きなGPに対応可能と判明して、GPをより大きな値、ここでは15ワットに再設定するようにしてもよい(F520)。
RXとTXは上述したように、TXの送電電力を15ワットまで増加させるために、送電出力変更指示、ACK、NAKを使い送電出力を上げる(F521〜F524)。TX、RXはGP=15ワットに対して、再度Calibration処理を実施する。具体的には、RXは、TXの送電電力が15ワットの時の、RXの負荷接続状態における受電電力情報を含む情報(以降、第3基準受電電力情報と呼ぶ。)を送信する(F525)。TXは、第1、第2及び第3の基準受電電力情報に含まれる受電電力に基づいてCalibrationを行い、すべてのTXの送電電力時(本ケースでは、TX送電電力が250ミリワットから15ワット)におけるTX−RX間の電力損失量を算出することが可能となる(F526)。TXはRXからの第3基準受電電力情報に対してACKを送信し(F527)、Calibration処理を完了する。充電処理を開始可能と判断したTXは、RXに対して送電処理を開始し、Power Transferフェーズに移行する(F528)。
Power Transferフェーズでは、TXはRXに対して、送電を行う。また、Power Loss法による、異物検出が行われる。Power Loss法ではまず、TXは、上述したCalibrationにより、TXによる送電電力と、RXによる受電電力との差分から、TX−RX間の異物がない状態の電力損失量を事前に算出する。当該算出値を、送電処理中の通常状態(異物がない状態)における、基準の電力損失量であるとする。そのうえで、TXは、その後の送電中に算出したTX−RX間の電力損失量が、当該通常状態の電力損失量から閾値以上はなれた場合に「異物あり」と判定する。
このように、Power Transferフェーズ中には、Power Loss法による異物検出が行われる。しかし、一つの異物検出方法のみでは、異物の誤検出の可能性や、異物が有るにも関わらずなしと判定してしまう誤判定の可能性がある。異物検出の精度をより向上させるためには、一般的に、複数の異物検出方法を組み合わせて実施することが望ましい。特に、Power Transferフェーズは、TXが送電を行うフェーズであり、送電中に、TXとRXの間に異物が混入すると、異物からの発熱等が大きくなるため、このフェーズにおいて複数の異物検出を実施して、異物検出精度を向上させることが望ましい。そこで、本実施形態では、Power Loss法とは異なる異物検出方法を考える。
(波形減衰法による異物検出方法)
Power Transferフェーズでは、送電装置は受電装置に対して、送電を行っている。よって、この送電の波形を用いて異物検出を行うことができれば、新たに異物検出用信号等を構成することなく、異物検出が可能となる。送電波形を用いて、その送電波形の減衰状態から異物検出を行う方法(以下、波形減衰法と呼ぶ)を、図6を用いて説明する。図6は、波形減衰法による異物検出の原理を説明する図である。ここでは、送電装置402(TX)と受電装置401(RX)を例に説明する。
図6において、波形は、TXの送電アンテナ(送電コイル)に印加される高周波電圧の電圧値600(以降、単に電圧値と言う)の時間経過を示しており、横軸は時間、縦軸は電圧値である。TXは、送電アンテナを介してRXに送電を行い、時間T0において送電を停止し、送電アンテナ(送電コイル)への高周波電圧の印加は停止される。TXから送電される送電波形の周波数は、所定(固定)の周波数である。その周波数はWPC規格で使用される85kHzから205kHzの間である。点601は、高周波電圧の包絡線の一部であり、時間Tにおける電圧値である。図中の(T、A)は、時間Tにおける電圧値がA1であることを示す。同様に、点602は、高周波電圧の包絡線の一部であり、時間Tにおける電圧値である。図中の(T、A)は、時間Tにおける電圧値がAであることを示す。この時、この送電アンテナの品質係数(Q値)は、時間T0以降の電圧値の時間変化に基づいて求めることが可能である。具体的には、例えば、電圧値の包絡線である点601および602の時間、電圧値および高周波電圧の周波数fに基づいて式1により算出される。

Q=πf(T-T)/ln(A/A) (式1)

TXとRXの間に異物が存在する場合には、このQ値が低下する。これは、異物が存在する場合には、当該異物によってエネルギーの損失が発生するためである。よって、波形の減衰の傾きに着目すると、異物が無い時よりも、異物が有る時の方が、異物によるエネルギーの損失が発生するため、点601と点602を結ぶ直線の傾きが急になり、波形の減衰率が高くなる。つまり、波形減衰法は、この点601と点602の減衰状態から異物の有無の判定を行うものであり、実際に異物の有無を判定する上では、この減衰状態を表す何らかの数値の比較によって判定をすることが可能となる。例えば、上述したQ値の比較でもよい。Q値が低くなるということは、波形減衰率が高くなることを意味する。あるいは、(A-A)/(T-T)から求められる点601と点602を結ぶ直線の傾きの値の比較でもよい。あるいは、波形の減衰状態を観測する時間が固定であるならば、電圧値の差を表す(A-A)や、電圧値の比(A/A)の値を比較することでもよい。あるいは、送電を行うときの電圧値Aが一定であるならば、所定の時間経過後の、電圧値Aの値を比較することでもよい。あるいは、電圧値Aが所定の電圧値Aになるまでの時間(T-T)の値を比較することでもよい。
以上述べたように、送電停止後の波形の減衰状態によって異物の有無は判定可能であり、その減衰状態を表す値は複数存在する。この減衰状態を表す値のことを、以下、「波形減衰率」と呼ぶ。また、上述したように、式1で算出されるQ値も、波形の減衰状態を表す値であるため、「波形減衰率」に含まれるものとする。また、図6の縦軸は、送電アンテナ(コイル)に印可される電圧値として説明をしたが、送電アンテナ(コイル)を流れる電流値であっても、図6と同様に送電停止後に異物の有無によって波形の減衰状態は変化し、異物が有る場合は、より減衰率が高くなる。よって、送電アンテナ(コイル)を流れる電流値に対しても、上述した方法を適用して、電流波形より求められるQ値、減衰波形の傾き、電流値の差、電流値の比、電流値、所定の電流値になるまでの時間等から、異物有無の判定し、異物を検出することが可能となる。なお、上記では、TXは送電を停止したときの波形減衰率を測定するようにしたが、送電装置が送電の電力(電圧、電流)を所定の値まで下げたときの波形減衰率を測定するようにしてもよい。
波形減衰法により、送電中の送電波形で異物検出を行う方法について、図7を用いて説明する。図7は、送電中の送電波形で異物検出を行う方法を説明するための図である。図7では、波形減衰法による異物検出を行う際の送電波形が示され、横軸は時間、縦軸は送電アンテナ(送電コイル)の電圧値を表す。縦軸は、図6と同様、送電アンテナを流れる電流値としてもよい。TXは、送電開始をする(図7の「送電開始」)。TXが送電を開始(図7の「送電開始」)した直後の過渡応答の期間(図7の「過渡応答期間」)は、送電波形が安定しない。よって、この送電波形が安定しない過渡応答期間中は、RXはTXに対して通信(負荷変調による通信)を行わないように制御する。また、TXはRXに対して通信(周波数偏移変調による通信)を行わないように制御する。
TXは、異物検出を行うタイミングになったら、送電を停止する(図7の「送電停止」)。すると、送電波形は減衰するので、この減衰波形より、波形減衰率(Q値、あるいは減衰の傾き等)を算出して利用することで、異物を検出することが可能となる(図7の「異物検出期間」)。そして、所定の時間経過後、TXは送電を再開する(図7の「送電再開」)。上述したのと同様、TXが送電を開始(図7の「送電開始」)した直後の過渡応答の期間(図7の「過渡応答期間」)は、送電波形が安定しない。よって、この送電波形が安定しない過渡応答期間中は、RXはTXに対して通信(負荷変調による通信)を行わないように制御する。また、TXはRXに対して通信(周波数偏移変調による通信)を行わないように制御する。TXは、異物検出を行うタイミングになったら、送電を停止する(図7の「送電停止」)。すると、送電波形は減衰するので、この減衰波形より、波形減衰率を算出して利用することで、異物を検出することが可能となる(図7の「異物検出期間」)。そして、所定の時間経過後、TXは送電を再開する(図7の「送電再開」)。以上が波形減衰法による異物検出の基本的な原理である。
(波形減衰法をWPC規格に適用した場合の送電装置の処理)
次に、WPC規格においてこの波形減衰法を適用し、異物検出を行う場合の送電装置の処理について簡単に説明する。波形減衰法によって異物検出を実施する場合には、送電装置は、異物が無い状態での波形減衰率を予め測定し、それを基準として閾値を算出する。送電装置は、波形減衰法による異物検出を実行し、測定された波形減衰率が、当該閾値と比較して大きい場合には「異物有り」と判定し、当該閾値と比較して小さい場合には「異物無し」と判定する。
異物が無い状態での波形減衰率を予め測定するときのタイミングについて説明する。WPC規格においては、前述のようにNegotiationフェーズにおいて、Q値計測法による異物検出を行う。そして異物検出の結果、異物が無いと判定された場合に、Calibrationフェーズ、Power Transferフェーズと進む。つまり、Negotiationフェーズ以降に進んだということは、Q値計測法による異物検出の結果、異物が無いと判定されたことを意味している。よって、Negotiationフェーズ、Calibrationフェーズ、Power Transferフェーズのいずれかにおいて波形減衰率を測定すれば、異物が無い状態での波形減衰率を測定できる可能性が高い(Negotiationフェーズにおいて、Q値計測法による異物検出で、異物が無いと判定しているため)。よって、異物が無い状態での波形減衰率を測定するタイミングとしては、Negotiationフェーズ、Calibrationフェーズ、Power Transferフェーズのいずれかでよい。
本実施形態では、この中で、Power Transferフェーズ中に実施する場合について説明する。異物が無い状態での波形減衰率を測定するタイミングは、Power Transferフェーズの最初の段階に設定する。理由は、時間が経過すればするほど、送電装置と受電装置の間に異物が混入する確率が上がるためである。そして、受電装置あるいは送電装置が指定する、異物検出を行うタイミングで、送電装置は送電波形の波形減衰率を測定する。送電装置はその後、測定した波形減衰率を、上述した、異物が無い状態での波形減衰率から算出した閾値と比較し、異物の有無を判定する。
(実施形態1における処理の流れ)
送電装置と受電装置による具体的な異物検出処理の流れに関して、図8〜図10を参照して説明する。図8は、本実施形態における送電装置により実行される処理のフローチャート、図9は本実施形態における受電装置により実行される処理のフローチャートである。図10は、送電装置と受電装置のシーケンス図である。以下、送電装置402(TX)と受電装置401(RX)を例に説明する。また、上述したように、本実施形態では、Power Transferフェーズ中に異物検出処理が行われるものとする。
(1)波形減衰法による異物検出の閾値の設定
まず、波形減衰法による異物検出の閾値を設定する処理の流れを説明する。無線電力伝送システムは、Power Transferフェーズに入ると、TXは送電を開始し(S801、F1001)、RXは受電を開始する(S901)。この段階では、RXは、スイッチ部209を切断し、RXの負荷(バッテリ207)を切断している(F1002)。RXは、TXによる送電開始直後、通信禁止期間(所定の時間)が経過したか否かを判定する(S902、F1003)。これは、通信禁止期間が経過するまでは送電波形が安定しないため、定常状態に安定するまでの待つためである。通信禁止期間の経過後、RXは波形減衰率を測定するか否かを判定する(S903、F1004)。異物検出のための、波形減衰率の閾値がまだ設定(算出)されていない場合は、RXは、波形減衰率を測定すると判定する。この場合、RXは、TXに対して波形減衰率測定実施の指示を、通信部104により送信する(S904、F1005)。当該指示は、TXに対して、波形減衰法による異物検出の閾値を設定するための波形減衰率の測定実施を要求するためのコマンドである。そして、RXは、スイッチ部209を切断し、RXの負荷(バッテリ207)を切断する(S905、F1006)。なお、このスイッチ部209の切断は、コマンド送信(S904)の前に行ってもよい。
ここで、RXの負荷(バッテリ207)を切断する理由を述べる。波形減衰率は、RXの負荷(バッテリ207)、あるいはTXの送電電力の状態に影響されて変動する。よって、波形減衰率を測定する際には、予めRXの負荷(バッテリ207)の影響を排除するために、負荷を切断した上で、測定を行うようにする。TXは、通信部104により、波形減衰率測定実施の指示をRXから受信したか否かを判定する(S802)。指示を受信した場合には(S802でYES)、TXは、受信した指示の内容が、閾値決定のための波形減衰率の測定であるか否かを判定する(S803、F1007)。受信した指示が、異物検出の閾値を設定するための測定実施を要求するコマンドである場合(S803でYES)、TXは送電を一時的に停止(瞬断)する(S804、F1008)。そして、TXは、所定時間経過後に波形減衰率を測定する(S805、F1009)。ここで所定時間の経過を待機する理由は、送電停止直後は、過渡応答の不安定な状態であるためである。次に、TXは、S805で測定した波形減衰率から閾値を算出する(S806、F1010)。例えばTXは、測定した波形減衰率に所定のマージンを加算した値を、閾値として算出する。そして、TXは、算出した閾値をメモリ106に記憶する(S807、F1011)。そして、TXは送電を再開する(S808)。
RXは、TXが送電を再開し、かつ送電波形が定常状態になるまでの、所定の時間が経過するのを待機する(S906、F1012)。ここで所定の時間待機するのは、送電中の送電波形が安定していない(定常状態でない)状態の場合、RXに過電力が印可されてしまう可能性があるからである。所定の時間経過後、RXは負荷(バッテリ207)を接続する(S907、F1013)。RXは、例えばバッテリ207が満充電になった等で、送電を停止することを要求するか否かを判定する(S908)。送電を停止することを要求すると判定した場合には(S908でYES)、RXは、EPT(End Power Transfer)コマンドをTXに送信(S909)することにより送電停止要求を行い、処理を終了する(S910)。S908で、RXは、送電を停止することを要求しない場合には(S908でNO)、受電を開始する(S911)。以上の動作で、TXは、異物が無い状態での波形減衰率を測定して、その結果から異物有無の判定を行う際に必要となる閾値を設定することが可能となる。
(2)異物検出の動作
次に、異物検出を行う動作について説明する。TXは送電中(S801)であり、RXは受電中(S901)である。RXは、通信禁止期間が経過したか否かを判定する(S902、F1014)。通信禁止期間の経過後、RXは波形減衰率を測定するか否かを判定する(S903、F1015)。RXは、異物が存在するか否かを確認するための異物検出を行うために、波形減衰率を測定すると判定する。この場合、RXは、TXに対して波形減衰率測定実施の指示を、通信部104により送信する(S904、F1016)。当該指示は、TXに対して、波形減衰法による異物検出実施(異物有無の判定の実施)を要求するためのコマンドである。そして、RXは、スイッチ部209を切断し、RXの負荷(バッテリ207)を切断する(S905、F1017)。なお、このスイッチ部209の切断は、コマンド送信(S904)前に行ってもよい。RXの負荷を切断する理由は上述の通りである。TXは、通信部104により、波形減衰率測定実施の指示をRXから受信したか否かを判定する(S802)、指示を受信した場合には(S802でYES)、TXは、受信した指示の内容が、閾値決定のための波形減衰率測定であるか否かを判定する(S803、F1018)。受信した指示が、波形減衰法による異物検出実施(異物有無の判定の実施)を要求するコマンドである場合(S803でNO)、TXは、送電を一時的に停止(瞬断)する(S809、F1019)。そして、TXは、所定時間経過後に波形減衰率を測定する(S810、F1020)。ここで所定時間の経過を待機する理由は、送電停止直後は、過渡応答の不安定な状態であるためである。次に、TXは、S806で算出した閾値と、S810で測定した波形減衰率とを比較し、異物の有無を判定する(S811、F1021)。判定の結果、異物が有ると判定した場合には(S812でYES)、TXは送電を停止し(S815、F1023)、処理を終了する(S816)。判定の結果、異物が無いと判定した場合には(S812でNO)、TXは、RXから送電停止の指示があったか(EPTコマンドが受信されたか)否かを判定する(S813)。送電停止の指示があった場合には(S813でYES)、TXは送電を停止し(S815)、処理を終了する(S816)。送電停止の指示がなかった場合には(S813でNO)、TXは送電を再開する(S814)。
RXは、TXが送電を再開し、かつ送電波形が定常状態になるまでの、所定の時間が経過するのを待機する(S906)。所定の時間待機する理由は上述した通りである。所定の時間経過後、RXは負荷(バッテリ207)を接続する(S907)。RXは、例えばバッテリ207が満充電になった等で、送電を停止することを要求するか否かを判定する(S908)。送電を停止することを要求すると判定した場合には(S908でYES)、RXは、EPTコマンドをTXに送信することにより送電停止要求を行い、処理を終了する(S910)。ここで、TXが「異物有り」と判断したことにより(S812でYES)、RXが、TXからの送電が行われていないと判断した場合には、RXは、EPTコマンドをTXに送信(F1024)することにより送電停止要求を行い、処理を終了する(S910)。これにより、正常に送電を終了できる。あるいは、RXは、TXに対してEPTコマンドを送信せずに終了し(S910)、リセット状態(Stand−By状態)に移行してもよい。S908で、RXは、送電を停止することを要求しない場合には(S908でNO)、受電を開始する(S910)。以上の動作で、送電波形の波形減衰率を利用して、TXは、TXとRXとの間の異物の有無を判定することが可能となる。
なお、上述した実施形態においては、波形減衰率を測定する際には、予めRXの負荷の影響を排除するために、RXの負荷を切断した上で、測定を行うようにした。これに替えて、波形減衰率を測定する際には、予めRXの負荷の影響を小さくするために、RXの負荷の値を制御した上で、測定を行うようにしてもよい。例えば、RXに小さな電力しか供給されないような状態になるように、RXの負荷が軽負荷状態(Light Loadの状態)になるように負荷を制御することで実現できる。
なお、上述した実施形態においては、TXによる波形減衰率の測定実施のタイミングは、RXからTXに対して指示することにより実現した(S803)。これに替えて、TXがタイミングを決定し、そのタイミングをTXがRXに対して通知することでも実現できる。具体的には、例えば、TXは、図8のS802、S803の処理に替えて、まず、通信禁止期間が経過したか否かを判定する。そして、通信禁止期間の経過後、TXは閾値決定のための波形減衰率を測定するか否かを判定する。あるいは、異物の有無を検出するための波形減衰率を測定するか否かを判定する。TXは波形減衰率を測定すると判定すると、TXは波形減衰率の測定実施のタイミングを決定し、そのタイミングをRXに対して通知する。なお、TXは、同時に、波形減衰率の測定が、閾値決定のための測定である場合には、閾値決定のための測定であることをRXに通知し、異物の有無を検出するための測定である場合には、異物の有無を検出するための測定であることをRXに対して通知してもよい。そして、RXは、測定実施のタイミングでスイッチ部209を切断し、RXの負荷(バッテリ207)を切断する。あるいは、RXの負荷(バッテリ207)の値が軽負荷状態(Light Loadの状態)になるように負荷を制御する。以上により、TXは波形減衰率を測定することが可能になる。また、TXによる波形減衰率の測定実施のタイミングは、予め定められた所定のタイミングにおいて実行されるように構成されてもよい。当該所定のタイミングにおいて、TXは波形減衰率の測定を実施し、RXは負荷を切断する、あるいは負荷の値が軽負荷状態(Light Loadの状態)になるように負荷を制御することで、実現可能である。また、TXは、ユーザーから異物検出の閾値設定の指示があった場合に、S804に進み、ユーザーから異物検出を行う指示があった場合に、S809に進むように構成されてもよい。ユーザーからの指示は、TXに対する所定の入力/操作により実現され得る。
また、上述した実施形態においては、TXが、TXの送電アンテナ(送電コイル)に印可される電圧、あるいは送電アンテナ(送電コイル)に流れる電流の減衰率を測定し、異物検出の有無を判定する方法について述べた。しかし、送電アンテナ(送電コイル)と受電アンテナ(受電コイル)は対向して、電磁的に結合しているため、送電アンテナの電磁エネルギーは、受電アンテナにも励起される。そのため、RXが、RXの受電アンテナ(受電コイル)に印可される電圧、あるいは受電アンテナ(受電コイル)に流れる電流の減衰率を測定し、異物検出の有無を判定することも可能である。
また、TXが波形減衰率を測定した場合には、その波形減衰率、あるいはその波形減衰率から求められた閾値をRXに通知してもよい。それにより、RX側でも異物有無の判定を実施することが可能となる。あるいは、RXが波形減衰率を測定した場合には、その波形減衰率、あるいはその波形減衰率から求められた閾値をTXに通知してもよい。それにより、TX側でも異物有無の判定を実施することが可能となる。
また、上述した実施形態においては、波形減衰法によって異物検出を実施する場合には、異物が無い状態での波形減衰率を予め測定し、それを基準として閾値を算出した。そして、波形減衰法による異物検出を実行し、測定された波形減衰率が、当該閾値と比較して大きい場合には「異物有り」と判定し、当該閾値と比較して小さい場合には「異物無し」と判定することで、実現した。しかし、異物が無いと想定されるタイミングに測定した、前の波形減衰率から求められる閾値と比較することで、異物検出を実施してもよい。例えば、最初に、Power Loss法によって異物が無いことを確認する。次に、波形減衰法により、一回目の波形減衰率測定を実施し、閾値を算出する。この場合、予めPower Loss法によって異物が無いことが確認されているので、この波形減衰率、あるいは閾値は、異物が無い状態の値であると考えられる。次に、波形減衰法により、二回目の波形減衰率測定を実施し、閾値を算出する。このとき、異物検出を行うためには、一回目の波形減衰率測定の測定結果や、閾値と比較することで実現できる。なぜなら、一回目の波形減衰率測定の測定結果や、閾値は、異物が無い状態のものであるからである。つまり、波形減衰法により異物検出を実施する際には、その前に異物が無い状態で測定されたと考えられる波形減衰率、あるいは閾値と比較することでも実現できる。
また、上述した実施形態では、TXから送電される送電波形の周波数は、所定(固定)の周波数とした。しかし、複数の周波数を用いて、各周波数において、本実施系で述べた異物検出のための動作を行い、それらの結果を組みわせることで、異物有無の判定を行ってもよい。所定の(固定)の一つの周波数での波形減衰率だけでなく、複数の周波数の波形減衰率を用いて異物検出を行うことで、より精度の高い異物検出を行うことが可能となる。
また、本実施形態では、TXが送電を停止直後、あるいは送電を開始直後は、過渡応答で送電波形が不安定であるため、各動作に移行する前に待機時間を設けた。しかし、この送電波形が不安定になる原因は、送電を急に開始したり、急に停止したりすることによって引き起こされる。よって、これを緩和するために、TXは、送電を開始するときには送電電力を段階的に上げるように制御してもよい。あるいは、送電を停止/一時停止する際には、送電電力を段階的に下げるように制御してもよい。
[実施形態2]
実施形態1では、送電装置が送電を停止して送電波形の波形減衰率を測定する際、受電装置の負荷の影響を排除するために、受電装置の負荷を切断した上で波形減衰率を測定するように制御する手法について述べた。一方で、この手法では、受電装置が所定のタイミングで負荷を切断・接続する必要があり、そのために時間を要することから、電力伝送効率の低下を引き起こし得る。本実施形態では、波形減衰率を測定する際に、受電装置の負荷を切断することなく、接続したまま測定する手法について述べる。
送電装置の送電電力は、受電装置の負荷(バッテリ)の状態によって変化する。つまり、受電装置は、受電装置の負荷の状態を制御することにより、送電装置からの送電電力を制御することが可能である。送電装置は、異物が無い状態における、受電装置側の負荷の各状態(各送電電力値)での波形減衰率を予め測定し、その測定結果に基づき、異物有無の判定に用いる閾値を、受電装置側の負荷の各状態(各送電電力)において設定するようにする。異物検出を行う際には、受電装置の負荷を切断することなく、送電装置は、波形減衰率を測定し、送電電力の値に応じた閾値と比較をすることで、異物の有無の判定を行うようにする。
以下、送電装置402(TX)と受電装置401(RX)による処理の流れを説明する。なお、TXとRXの構成、処理フロー、および動作シーケンスは、基本的に実施形態1と同様である。異なる点は、TXが、RXから受信した指示が、異物検出の閾値を設定するための測定実施を要求するコマンドである場合(S803でYES)に、S805において波形減衰率を測定する方法が異なる。本実施形態におけるTXとRXが、波形減衰法による異物検出の閾値を設定するための測定を実施する手法について、図8と図11を参照して説明する。
図11は、波形減衰法による異物検出閾値の設定方法を説明するための図である。まず、RXは、TXから送電があった場合に、RXの負荷に電力が供給されない(切断)、あるいはとても小さな電力しか供給されないような状態になるように、RXの負荷が軽負荷状態(Light Loadの状態)になるように制御する。この時のTXの送電電力をPt1とする。そして、TXは、その状態で送電を停止し(S804)、波形減衰率を測定する(S805)。この時の波形減衰率をδ1とする。この時、TXは、送電電力Pt1(送電装置は、送電装置が送電している送電電力Ptを認識している)と、波形減衰率δ1を関連づけてメモリに記憶しておく(点1100)。次に、RXは、TXから送電があった場合に、RXの負荷に最大電力が供給される、あるいは所定の閾値以上の電力が供給される状態になるように、RXの負荷が負荷接続状態(Connected Loadの状態)になるように制御する。この時のTXの送電電力をPt2とする。そして、TXは、その状態で送電を停止し(S804)、波形減衰率を測定する(S805)。この時、TXは、送電電力Pt2と、波形減衰率δ2を関連づけてメモリに記憶しておく(点1101)。続いて、TXは、点1100と点1101を直線補間し、直線1102を作成する。直線1102は、TXとRXの周辺に異物が存在しない状態における送電電力と、送電波形の波形減衰率の関係を示している。よって、TXは送電電力値と直線1102から、異物がない状態における、送電電力値毎の、送電波形の波形減衰率を予想することができる。例えば、送電電力値がPt3の場合は、送電電力値がPt3を示す直線1102上の点1103から、波形減衰率はδ3であると予想することができる。この直線1102を基に、TXは、送電電力値毎の、送電波形の波形減衰率を予想することが可能となる。そして、それらを基に、TXは、異物がない状態における、送電電力値毎の、異物有無の判定に用いる閾値を算出することが可能となる。
なお、RXは、負荷に対する、電力が供給されない/軽負荷の状態となるような制御(第1の制御)と、負荷接続状態となるような制御(第2の制御)を、それぞれTXに制御を行うことを通知したあとに行ってもよい。また、当該2つの制御はいずれが先に行われてもよい。
実施形態1では、RXは、異物検出実施(異物有無の判定の実施)の時には、RXの負荷を切断した。しかし、本実施形態では、異物検出実施(異物有無の判定の実施)の時には、RXは負荷を切断する必要はない。TXは、異物検出実施(異物有無の判定の実施)の時には、TXが送電する送電電力値を認識することができるため、図11から算出された閾値と比較することで、異物検出有無の判定を行うことが可能となる。つまり、本実施形態では、負荷(送電電力値)毎に閾値を設定するため、異物検出実施(異物有無の判定の実施)の時は、その時の負荷(送電電力値)における波形減衰率と、その負荷(送電電力値)に対応する閾値を比較すればよい。よって、実施形態1のときのようにRXの負荷を切断する必要はない。
これにより、TXが異物検出実施(異物有無の判定の実施)のための、波形減衰率を測定する際に、RXは負荷の接続・切断を行う必要がなくなるため、電力伝送効率の低下を招くことなく、異物検出を行うことが可能となる。
なお、本実施形態で述べた、負荷(各送電電力値)毎の、異物有無の判定に用いる閾値を算出するための動作は、Calibrationフェーズにおいて行われてもよい。上述したように、Calibrationフェーズでは、TXは、Power Loss法による異物検出を行う際に必要となるデータを取得する。その際、RXの負荷状態が、軽負荷状態(Light Loadの状態)と、負荷接続状態(Connected Loadの状態)であるときに、TXはデータを取得する。よって、図11における、点1100と点1101の測定は、上述したCalibrationフェーズにおいて、RXが軽負荷状態(Light Loadの状態)と、負荷接続状態(Connected Loadの状態)になった時に、一緒に測定することで実現できる。すなわち、TXは、RXから第1基準受電電力情報を受信した際に、Calibrationフェーズで行うべき処理に加えて、点1100の測定を行う。また、TXは、RXから第2基準受電電力情報を受信した際に、Calibrationフェーズで行うべき処理に加えて、点1101の測定を行う。このようにすることで、新たに点1100と、点1101の測定を行う処理を別に設ける必要がなくなるため、より短時間で点1100と、点1101の測定を行うことが可能となる。
[実施形態3]
実施形態2では、異物の有無の判定に用いる閾値を、受電装置の負荷毎(送電装置が送電する送電電力値毎)に設定することによって、負荷の切断が必要なくなる手法について述べた。本実施形態では、実施形態2において、送電装置、あるいは受電装置の状態が変化した場合や、送電電力の最大値が変更になった場合に、異物検出の閾値を更新・追加する手法について述べる。ここでは、送電装置402(TX)と受電装置401(RX)を例に説明する。
図11に示したように、実施形態2では、異物が無い状態における、TXの送電電力が最小の時の波形減衰率(点1100)と、TXの送電電力が最大の時の波形減衰率(点1101)を直線補間することで(直線1102)、異物検出の閾値を算出するようにした。しかし、図11の線形補間された直線1102は、TXあるいはRXの状態が変化すると、変化し得る。例えば、TXあるいはRXの温度が上昇した場合である。TXが送電する電力は、その電力が大きくなればなるほど、また送電時間が長くなればなるほど、TXあるいはRXの筐体、あるいは内部の回路等の温度は上昇する。あるいは、RXがモバイルPCやスマートフォンの場合、アプリケーション等が使用され、データ処理等を行うことにより、温度上昇も考えられる。温度の上昇は、TXあるいはRXの筐体の形状の変化や、電気回路の各部品の電気的特性の変化等をもたらす。これらが発生することにより、図11の直線1102は変化し、各送電電力値に対する、異物が無い状態における波形減衰率が変化する。この場合、各送電電力値の、異物検出の閾値を再度算出しなければならない。あるいは、TXに載置されるRXが移動した場合においても、図11の直線1102は変化し、各送電電力値に対する、異物が無い状態における波形減衰率が変化する。この場合も、各送電電力値の、異物検出の閾値を再度算出しなければならない。あるいは、例えば図5のF519、F520に示したように、お互いが機器認証を行い、送電するGPあるいは最大電力が変更される可能性もある。GPあるいは最大電力が変更になる場合には、図11の送電電力Pt2よりもさらに大きい送電電力の、送電電力と波形減衰率の関係のプロットが必要になる。すなわち、TXあるいはRXの状態が変化することで、図11に示す、送電電力と波形減衰率の関係を更新・追加する必要がある。
RXは、上述したようなTXあるいはRXの状態変化があり、異物検出に用いる閾値の更新・追加が必要であると判定した場合、RXは、TXに対して、実施形態1、2で述べたような、波形減衰法による異物検出の閾値を設定するための測定実施を要求するコマンドを送信する(S803でYES)。そして、RXは、送電電力と波形減衰率の関係の更新あるいは追加をしたいポイントの送電電力となるように、負荷を制御する。TXは、当該コマンドを受信したら、送電を一時停止し(S804)、送電波形の波形減衰率を測定する(S805)。そして、TXは、送電電力と、測定した波形減衰率を関連づけて、図11に示した、送電電力と波形減衰率の関係の更新あるいは追加を行う。そして、TXは、それに基づき、異物検出の閾値の算出を行い、閾値の更新あるいは追加を行う。以降、当該閾値を用いて、TXは異物有無の判定を行う。なお、上述した実施形態においては、異物検出に用いる閾値の更新・追加が必要であるかどうかの判定は、RXが実施することにより実現した。これに替えて、TXが当該判定を行い、判定の結果、異物検出に用いる閾値の更新・追加が必要であると判定した場合はその旨をRXに対して通知することでも実現できる。具体的には、例えば、TXは、上述したようなTXあるいはRXの状態変化があり、異物検出に用いる閾値の更新・追加が必要であると判定した場合、TXは、RXに対して、異物検出に用いる閾値の更新・追加を実施するために、波形減衰法による異物検出の閾値を設定するための測定を行うことを通知する。RXは、当該通知を受信したら、送電電力と波形減衰率の関係の更新あるいは追加をしたいポイントの送電電力となるように、負荷を制御する。負荷の制御が完了したら、RXはTXに対して、負荷制御が完了した旨を通知する。TXは、当該通知を受信したら、送電を一時停止し(S804)、送電波形の波形減衰率を測定する(S805)。そして、TXは、送電電力と、測定した波形減衰率を関連づけて、図11に示した、送電電力と波形減衰率の関係の更新あるいは追加を行う。そして、TXは、それに基づき、異物検出の閾値の算出を行い、閾値の更新あるいは追加を行う。以降、当該閾値を用いて、TXは異物有無の判定を行う。
本実施形態によれば、送電装置あるいは受電装置の状態が変化した場合でも、その状態にあった異物検出の閾値を設定することが可能となる。
[実施形態4]
図8〜図10を参照して説明したように、上述の実施形態では、波形減衰法による異物検出有無の判定は、送電装置402(TX)が送電するフェーズである、Power Transferフェーズ中に行われる。具体的には、Power Transferフェーズ中に、受電装置401(RX)が異物有無の判定が必要と判断した際に、TXに対して、波形減衰法による異物検出実施(異物有無の判定の実施)を要求するコマンドを送信する。そして、TXが当該コマンドを受信して異物検出を行い、異物有無の判定を行う。
一方で、WPCの規格には、Power Transferフェーズ中に異物検出を行う方法として、Power Loss法による異物検出方法が規格化されている。具体的には、受電装置が異物有無の判定が必要と判断した際に、受電装置が送電装置に対して、Power Loss法による異物検出実施(異物有無の判定の実施)を要求するコマンドを送信する。そして、送電装置が当該コマンドを受信して、送電装置は異物検出を行い、異物有無の判定を行う。
上述したように、送電装置が送電を行うPower Transferフェーズにおいて、送電装置と受電装置の間に異物が混入すると、異物からの発熱等が大きくなるため、このフェーズにおいて複数の異物検出を実施して、異物検出精度を向上させることが望ましい。このことを考慮して、本実施形態では、Power Loss法と、波形減衰法の二つの方法を組み合わせることで、より精度の高い異物検出を行うようにする。以下、具体的な手法について述べる。ここでは、送電装置402(TX)と受電装置401(RX)を例に説明する。
一つ目の手法は、Power Transferフェーズ中に実施する異物検出として、Power Loss法と、波形減衰法の二つの方法を、定期的に交互に実施することである。RXは、TXに対してPower Loss法と、波形減衰法の二つの方法を定期的に、交互に実施するように指示し、TXはそれぞれの異物検出を行う。TXは、どちらか一方の方法で「異物有り」と判定した場合に、送電を停止する。これにより、一つの方法による異物検出結果に依存することが無いので、より高精度な異物検出を行うことが可能となる。
二つ目の手法は、Power Loss法と波形減衰法の二つの方法において、「異物有り」と判定された場合に、送電を停止する方法である。TXがPower Loss法で定期的に異物検出を行い、「異物無し」と判定した場合には、送電を継続する。TXがPower Loss法で定期的に異物検出を行い、Power Loss法で「異物有り」と判定した場合には、波形減衰法による異物検出を行い、波形減衰法で「異物有り」と判定した場合に、送電を停止する。つまり、2つの方法において「異物有り」と判定した場合に、送電を停止するように制御する。送電が停止されるのは、Power Loss法と波形減衰法の二つの方法において、「異物有り」と判定された場合のみであり、「異物有り」と誤判定する確率を低減することが可能となる。
三つ目の手法は、Power Loss法と、波形減衰法の二つの方法において、「異物無し」と判定された場合に、送電を継続する方法である。TXはPower Loss法で定期的に異物検出を行い、Power Loss法で「異物有り」と判定した場合には、送電を停止する。あるいは、TXは、Power Loss法で定期的に異物検出を行い、Power Loss法で「異物無し」と判定した場合に、波形減衰法による異物検出を行い、波形減衰法で「異物有り」と判定した場合に、送電を停止する。波形減衰法による異物検出を行い、波形減衰法で「異物無し」と判定した場合には、TXは送電を継続する。送電を継続できるのは、Power Loss法と、波形減衰法の二つの方法において、「異物無し」と判定された場合のみであり、「異物無し」と誤判定する確率を低減することが可能となる。
四つ目の方法は、2つの異物検出方法において、異物有無の異なる判定結果が出た場合に、再度いずれかの方法による異物検出を実施し、複数の判定結果に基づいて総合的に判定を行い、適切に送電制御を行う方法である。TXはPower Loss法で異物検出を行い、Power Loss法で「異物有り」と判定した場合であっても、波形減衰法による異物検出を行う。そして、波形減衰法で「異物無し」と判定した場合には、再度どちらか(Power Loss法、あるいは波形減衰法)による異物検出を行う。あるいは、TXはPower Loss法で異物検出を行い、Power Loss法で「異物無し」と判定した場合であっても、波形減衰法による異物検出を行う。そして、波形減衰法で「異物有り」と判定した場合には、再度どちらか(Power Loss法、あるいは波形減衰法)による異物検出を行う。TXは、Power Loss法と波形減衰法それぞれによる「異物有り」「異物無し」の判定結果に基づいて、総合的に判定を行い、送電を継続するか、停止するかを判定して、適切に送電制御を行う。たとえば、「異物有り」と判定した回数と、「異物無し」と判定した回数を比較し、多い方を最終的な判定結果としてもよい。あるいは、たとえば、Power Loss法と、波形減衰法のそれぞれの方法において、「異物有り」と判定されたケースが存在する場合には、「異物有り」を最終的な判定結果としてもよい。あるいは、たとえば、Power Loss法と、波形減衰法のそれぞれの方法において、「異物無し」と判定されたケースが存在する場合には、「異物無し」を最終的な判定結果としてもよい。2つの方法において、異物有無の異なる判定結果が出た場合に、再度いずれかの方法による異物検出を実施し、複数の判定結果に基づいて総合的に判定を行うことで、各判定結果に基づき、適切な判定をすることが可能となる。
上述した四つの手法においては、異物検出の判定結果として、「異物有り」「異物無し」の2つの判定結果が得られる場合について述べた。これは、実施形態1、実施形態2、実施形態3で述べたように、異物検出の判定は、算出した閾値に対して、測定された値が大きいか小さいかで行われる。しかし、「異物無し」と判定された場合でも、閾値に対してマージンが少なく、異物が存在することが疑われるケースがある。異物が存在することが疑われるケースに対しても、上述した四つの手法を適用することにより、より精度の高い異物検出を行うことが可能となる。具体的には、上述した四つの手法において、「異物有り」と判定した場合の処理を、「異物が存在することが疑われる」と判定した場合にも実施してもよい。ここで、「異物が存在することが疑われる」と判定する場合とは、異物有無の判定に使用する閾値に対して所定のマージンを加えた新たな閾値を設けて、当該新たな閾値を基準にして判定を行うことで実現できる。これにより、より精度の高い異物検出が可能となる。また、上述した四つの手法においては、まずPower Loss法で異物検出を行い、その後に波形減衰法による異物検出を行う構成とした。この理由は以下の通りである。Power Loss法は、TXからRXへの送電を停止せずに行える方法であるが、波形減衰法は、TXからRXへの送電を一時的に停止する必要があり、電力伝送効率が低下してしまう。よって、先にPower Loss法で異物検出を行い、その後に波形減衰法による異物検出を行う構成とした方が、電力伝送効率の低下を抑制できるケースがあるためである。しかし、上述した四つの手法において、まず波形減衰法で異物検出を行い、その後にPower Loss法による異物検出を行う構成としても、同様の効果を得ることができる。
[実施形態5]
実施形態1では、波形減衰法による異物検出を行う上での閾値(基準)を作成する上で必要となる、異物が無い状態での波形減衰率を予め測定するタイミングについて、Negotiationフェーズ、Calibrationフェーズ、Power Transferフェーズのいずれかにおけるタイミングであるとした。WPC規格においては、前述のようにNegotiationフェーズにおいて、Q値計測法による異物検出を行うため、Negotiationフェーズ以降にフェーズが進んだということは、Q値計測法による異物検出の結果、異物が無いと判定されたことを意味している。よって、Negotiationフェーズ、Calibrationフェーズ、Power Transferフェーズのいずれかにおいて波形減衰率を測定すれば、異物が無い状態での波形減衰率を測定できる可能性が高いからである。
しかし、NegotiationフェーズにおいてQ値計測法により異物検出が無いことを確認してから、Negotiationフェーズ、Calibrationフェーズ、Power Transferフェーズのいずれかにおいて、異物が無い状態での波形減衰率の測定を実施するまでの間に、送電装置と受電装置の間に異物が混入してしまうと、異物が無い状態での波形減衰率の測定を正確に実施できなくなってしまう。よって、理想的には、異物が無い状態での波形減衰率の測定を行う直前に、異物が無いことを確認できていることが望ましい。これを実現するための手法を以下に述べる。以下、送電装置402(TX)と受電装置401(RX)を例に説明する。
例えば、RXは、TXあるいはRXの状態が変化したことを検知し、波形減衰法による異物検出に用いる閾値の更新・追加が必要であると判定した場合(実施形態3)、RXはTXに対してPower Loss法による異物検出実行のコマンドを送信する。TXはPower Loss法による異物検出を実行し、異物の有無を判定する。その結果、異物が無いと判定された場合には、TXはRXに対して異物はない旨を通知し、RXは波形減衰法による異物検出に用いる閾値の更新・追加をするための動作を実行する。すなわち、RXは、TXに対して、実施形態1、2で述べたような、波形減衰法による異物検出の閾値を設定するための測定実施を要求するコマンドを送信する。そして、RXは、送電電力と波形減衰率の関係の更新あるいは追加をしたいポイントの送電電力となるように、負荷を制御する。TXは、当該コマンドを受信したら、送電を一時停止し、送電波形の波形減衰率を測定する。そして、TXは測定した波形減衰率を用いて、波形減衰法による異物検出の閾値を算出して、閾値として設定する。
このように、RXは波形減衰法の閾値を更新・変更すると判断した場合には、そのための動作を行う直前に、Power Loss法によって異物が無いことを確認したうえで、波形減衰法の閾値を更新・変更するための動作を実施する。これにより、波形減衰法による異物検出の閾値を設定するための測定を実施するときには、異物が無い状態である確率が極めて高く、より正確な異物検出閾値の設定が可能となる。
上記の例では、波形減衰法の閾値を更新・変更するための動作を行う直前に、Power Loss法によって異物が無いことを確認する方法について述べた。しかし、Power Loss法においても、異物有無を判定するための閾値は存在し、それは波形減衰法と同様に、TXあるいはRXの状態が変化した場合に、当該閾値を更新・追加する必要が生じる。そして、それはPower Transferフェーズにおいて行うことも可能である。よって、上述した方法と同様に、RXはPower Loss法の閾値を更新・変更すると判断した場合には、そのための動作を行う直前に、波形減衰法によって異物が無いことを確認したうえで、Power Loss法の閾値を更新・変更するための動作を実施させることも可能である。つまり、例えば、RXは、TXあるいはRXの状態が変化したことを検知し、Power Loss法の異物検出に用いる閾値の更新・追加が必要であると判定した場合、RXはTXに対して、波形減衰法による異物検出実行のコマンドを送信する。TXは波形減衰法による異物検出を実行し、異物の有無を判定する。その結果、異物が無いと判定された場合には、TXはRXに対して異物はない旨を通知し、RXはPower Loss法による異物検出に用いる閾値の更新・追加をするための動作を実行する。すなわち、RXは異物検出に用いる閾値の更新・追加をするために、Power Loss法による異物検出の閾値を設定するための測定実施を要求するコマンドを送信する。そして、RXは、更新あるいは追加をしたい閾値(ポイント)の送電電力となるよう、負荷を制御する。TXは、当該コマンドを受信したら、Power Loss法による異物検出の閾値を算出して、閾値として設定する。これにより、Power Loss法による異物検出の閾値を設定するための測定を実施するときには、異物が無い状態である確率が極めて高く、より正確な異物検出閾値の設定が可能となる。
[変形例]
上述した実施形態で述べたPower Loss法は、波形減衰法とは異なる別の異物検出方法として挙げた例である。よって、上述したPower Loss法に替えて別の異物検出方法を使用してもよい。例えば、Q値計測法を使用してもよい。Q値を測定する方法としては、共振周波数の信号(例えば、正弦波、矩形波等)を送信し、当該共振周波数におけるQ値を測定する方法がある。あるいは、共振周波数近傍の複数の周波数の信号を複数回送信し、それらのQ値を測定する方法がある。あるいは、電気的特性を測定したい複数の周波数のすべての周波数成分、あるいは一部の周波数成分を有する信号(例えば、パルス波)を1回送信し、その測定結果に対して演算処理(例えば、フーリエ変換)を行うことで、複数の周波数におけるQ値を測定する方法がある。あるいは、所定の信号を送信(送電ではなく、信号)したのちに送信を停止し、当該信号が減衰する減衰状態を測定する方法がある。この信号の減衰状態はQ値と相関があるため、これを基に異物検出を行ってもよい。あるいは、送電アンテナの共振周波数、共振曲線の鋭さ、あるいは送電アンテナのインダクタ値や、送電アンテナと送電装置上に載置される物体との結合係数、送電装置の送電アンテナを含む送電部の電気的特性等の測定結果を用いて、異物検出する方法を使用してもよい。また、これらの方法は、一つの周波数または複数の周波数における電気的特性の測定結果を基に異物の有無を判定するものであってもよいし、なお、複数の周波数における電気的特性を測定するための方法としては、電気的特性を測定したい各周波数の信号(例えば、正弦波、矩形波等)を複数回送信し、各々の周波数の信号における電気的特性を測定することで実現可能である。この方法は、送電装置での演算処理を比較的少なくして測定ができるという効果がある。あるいは、電気的特性を測定したい複数の周波数のすべての周波数成分を有する信号(例えば、パルス波)を1回送信し、その測定結果に対して演算処理(例えば、フーリエ変換)を行うことで、複数の周波数における電気的特性を算出することができる。あるいは、電気的特性を測定したい複数の周波数の一部の周波数成分を有する信号を複数回送信し、その測定結果に対して演算処理(例えば、フーリエ変換)を行うことで、複数の周波数における電気的特性を算出することができる。この方法は、測定のための信号を送信する回数を少なくすることができるため、比較的短時間で測定ができるという効果がある。あるいは、送電装置に実装された光電センサ、渦電流式変位センサ、接触式変位センサ、超音波センサ、画像判別センサ、重量センサ等のセンサによる測定結果を用いて、異物検出を行う方法でもよい。
また、上述した実施形態に記載の内容は、適宜組み合わせることができる。
[その他の実施形態]
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
101 制御部、103 送電部、105 送電アンテナ、303 測定部、304 設定部、305 異物検出部、401 受電装置、402 送電装置

Claims (18)

  1. 送電装置であって、
    送電アンテナを介して受電装置へ無線で送電を行う送電手段と、
    前記送電手段による送電を制御する制御手段と、
    前記制御手段により前記送電が停止されている状態で、送電波形の波形減衰率を測定する測定手段と、
    前記測定された波形減衰率に基づいて、前記送電装置と前記受電装置との間の異物の検出のために使用する閾値を設定する設定手段と、
    前記設定手段により前記閾値が設定された後に、前記測定手段により測定された前記波形減衰率と前記閾値に基づいて前記異物が存在するか否かを判定する判定手段と、
    を有することを特徴とする送電装置。
  2. 前記異物の検出を行うことを決定する決定手段を更に有し、
    前記設定手段により前記閾値が設定された後に、前記制御手段は前記送電を再開し、
    前記決定手段により前記異物の検出を行うことが決定された場合に、
    前記制御手段は前記送電を停止し、
    前記制御手段により前記送電が停止されている状態で、前記測定手段は、前記波形減衰率を異物検出用の波形減衰率として測定し、
    前記判定手段は、前記測定された異物検出用の波形減衰率と前記閾値とを比較することにより、前記異物が存在するか否かを判定する
    ことを特徴とする請求項1に記載の送電装置。
  3. 前記決定手段は、前記受電装置から異物の検出の指示があった場合に、前記異物の検出を行うことを決定することを特徴とする請求項2に記載の送電装置。
  4. 前記決定手段は、ユーザーから異物の検出の指示があった場合に、前記異物の検出を行うことを決定することを特徴とする請求項2に記載の送電装置。
  5. 前記判定手段は、更に、WPC(Wireless Power Consortium)に基づくPower Loss法により、前記異物が存在するか否かを判定することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の送電装置。
  6. 前記測定手段は、前記受電装置の負荷が切断されている状態で前記波形減衰率を測定し、
    前記設定手段は、前記波形減衰率に所定のマージンを加算した値を、前記閾値として設定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の送電装置。
  7. 前記測定手段は、前記受電装置の負荷が軽負荷の状態または切断されている状態で前記波形減衰率を第1の波形減衰率として測定し、前記受電装置の負荷が接続されている状態で前記波形減衰率を第2の波形減衰率として測定し、
    前記設定手段は、前記第1の波形減衰率と前記第2の波形減衰率に基づいて前記閾値を設定することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の送電装置。
  8. 前記設定手段は、前記受電装置から閾値の更新の指示があった場合に、前記閾値を更新することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の送電装置。
  9. 前記制御手段は、前記送電を停止する際に、前記送電のための送電電力を段階的に下げることにより前記送電を一時停止することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の送電装置。
  10. 前記送電波形は、前記送電アンテナに印可される送電電圧の時間に対する波形であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の送電装置。
  11. 前記送電波形は、前記送電アンテナに流れる送電電流の時間に対する波形であることを特徴とする請求項1から9のいずれか1項に記載の送電装置。
  12. 受電装置であって、
    受電アンテナを介して送電装置から無線で受電を行う受電手段と、
    前記受電手段に接続された負荷を制御する制御手段と、
    前記受電手段による前記受電が開始された後に、前記送電装置に対して、送電波形の波形減衰率を測定するための指示を通知する通知手段とを有し、
    前記通知手段により前記指示が通知された場合に、前記制御手段は、前記負荷を前記受電手段から切断し、
    前記制御手段は、当該負荷の切断から所定の時間が経過した場合に、前記負荷を前記受電手段に接続する
    ことを特徴とする受電装置。
  13. 受電装置であって、
    受電アンテナを介して送電装置から無線で受電を行う受電手段と、
    前記受電手段に接続された負荷を制御する制御手段と、
    前記受電手段による前記受電が開始された後に、前記送電装置に対して、送電波形の波形減衰率を測定するための指示を通知する通知手段とを有し、
    前記通知手段により前記指示が通知された場合に、
    前記制御手段は、前記負荷に対して、軽負荷の状態または前記受電手段から切断されている状態になるような第1の制御と、前記受電手段に接続されている状態になるような第2の制御を行い、
    前記制御手段は、前記第1の制御と前記第2の制御から所定の時間が経過した場合に、前記負荷を前記受電手段に接続する
    ことを特徴とする受電装置。
  14. 送電アンテナを介して受電装置へ無線で送電を行う送電装置の制御方法であって、
    前記送電装置は、
    送電アンテナを介して受電装置へ無線で送電を行う送電手段を有し、
    前記制御方法は、
    前記送電手段による送電を制御する制御工程と、
    前記制御工程において前記送電が停止されている状態で、送電波形の波形減衰率を測定する測定工程と、
    前記測定された波形減衰率に基づいて、前記送電装置と前記受電装置との間の異物の検出のために使用する閾値を設定する設定工程と、
    前記設定工程において前記閾値が設定された後に、前記測定工程において測定された前記波形減衰率と前記閾値に基づいて前記異物が存在するか否かを判定する判定工程と、
    を有することを特徴とする送電装置の制御方法。
  15. 受電装置の制御方法であって、
    前記受電装置は、
    受電アンテナを介して送電装置から無線で受電を行う受電手段を有し、
    前記制御方法は、
    前記受電手段による前記受電が開始された後に、前記送電装置に対して、前記送電装置の送電アンテナにおける送電波形の時間変化である波形減衰率を測定するための指示を通知する通知工程と、
    前記通知工程において前記指示が通知された場合に、前記受電手段に接続された負荷を前記受電手段から切断し、当該負荷の切断から所定の時間が経過した場合に、前記負荷を前記受電手段に接続する制御工程と、
    を有することを特徴とする受電装置の制御方法。
  16. 受電装置の制御方法であって、
    前記受電装置は、
    受電アンテナと受電アンテナを介して送電装置から無線で受電を行う受電手段を有し、
    前記制御方法は、
    前記受電手段による前記受電が開始された後に、前記送電装置に対して、前記送電装置の送電アンテナにおける送電波形の時間変化である波形減衰率を測定するための指示を通知する通知工程と、
    前記通知工程において前記指示が通知された場合に、前記受電手段に接続された負荷に対して、軽負荷の状態または前記受電手段から切断されている状態になるような第1の制御と、前記受電手段に接続されている状態になるような第2の制御を行い、前記第1の制御と前記第2の制御から所定の時間が経過した場合に、前記負荷を前記受電手段に接続する制御工程と、
    を有することを特徴とする受電装置の制御方法。
  17. コンピュータを、請求項1から11のいずれか1項に記載の送電装置として機能させるためのプログラム。
  18. コンピュータを、請求項12または13に記載の受電装置として機能させるためのプログラム。
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