JP2021127405A - ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物および成形品 Download PDF

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Abstract

【課題】金属レベルの線膨張係数を保持し、優れた比摩耗性を有し、耐衝撃性と強度に優れたポリカーボネート樹脂組成物。
【解決手段】ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)を10〜100質量部、平均厚さが0.45〜1μmのガラスフレーク(C)を10〜100質量部、扁平率が1.5超8以下の扁平断面ガラス繊維(D)を5〜100質量部、及びポリテトラフルオロエチレン(E)を3〜70質量部含有し、ポリテトラフルオロエチレン(E)と扁平断面ガラス繊維(D)の含有量の質量比(E)/(D)が1未満であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明はポリカーボネート樹脂組成物に関し、詳しくは、金属レベルの線膨張係数を保持し、優れた比摩耗性を有し、耐衝撃性と強度に優れたポリカーボネート樹脂組成物および成形品に関する。
ポリカーボネート樹脂は優れた機械特性を有し、エンジニアリングプラスチックとして広く使用されており、利用分野によってはその性質、特に機械的物性を改善する目的で、様々の強化剤、添加剤を配合することが行われてきた。そして高い機械的強度、剛性の要求される分野においては、ガラス繊維等の繊維状の強化材を用いることが行われている。しかし、ポリカーボネート樹脂にガラス繊維を配合した樹脂組成物は機械的強度、剛性は優れるものの、繊維の配向による成形収縮率の異方性が生じてしまう欠点を有している。
近年、例えばカメラ等のレンズを備える撮像又は光学機器においては、軽量化や低コスト化のため鏡胴用筒状体(鏡筒)の樹脂化が図られており、ポリカーボネート樹脂をガラス繊維で強化された材料も使用されている。レンズ鏡筒においては、合焦やズーム駆動時において、光学系の光軸がずれないように、鏡筒の材質には十分な剛性と高い寸法精度が要求される。
特定の断面形状を有するガラス繊維を用いて寸法精度を改善することも行われている。
特許文献1ではポリカーボネート樹脂と特定の断面形状を有する扁平断面ガラス繊維とリン酸エステル系難燃剤からなる機械強度と難燃性の改良された芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が提案されている。その実施例では、扁平断面ガラス繊維と厚さ5μmのガラスフレークを特定の量比で配合し、さらにリン酸エステル系難燃剤及びポリテトラフルオロエチレンを含有するポリカーボネート樹脂組成物が記載されているが、その異方性は十分満足できるものとはいえず、またリン系難燃剤を使用しているためポリカーボネート樹脂を可塑化することによる衝撃強度及び耐熱性の低下が発生しやすいことから、衝撃強度と耐熱性と異方性は不十分であり満足できるものではなかった。
そして、さらに、鏡筒は樹脂材料とアルミニウムやマグネシウム等の金属(または合金)と複合化されているため、広い使用環境温度においても熱膨脹差に基づく光軸のずれを防止する必要があり、樹脂材料はこれら金属と線膨脹係数が近似していることが求められる。
本出願人は、先に特許文献2にて、寸法安定性に優れ、アルミニウム等の金属との線膨脹係数が同等レベルであるポリカーボネート樹脂材料を提案した。
しかしながら、特許文献2の材料は比摩耗性、例えばアルミニウムに対する比摩耗性が悪いという問題が見いだされた。
特許第5021918号公報 特許第6475401号公報
本発明は、上記状況に鑑みなされたものであり、その目的(課題)は金属レベルの線膨張係数を保持し、優れた比摩耗性を有し、耐衝撃性と強度に優れたポリカーボネート樹脂組成物を提供することにある。
本発明者は、上記課題を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、ポリカーボネート樹脂に、AS樹脂、特定厚みのガラスフレーク、特定の扁平率の扁平断面ガラス繊維を配合した上で、さらにポリテトラフルオロエチレンを特定の量で配合することにより、金属レベルの線膨張係数を保持し、優れた比摩耗性を有し、耐衝撃性と強度に優れたポリカーボネート樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、以下のポリカーボネート樹脂組成物及び成形品に関する。
[1]ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)を10〜100質量部、平均厚さが0.45〜1μmのガラスフレーク(C)を10〜100質量部、扁平率が1.5超8以下の扁平断面ガラス繊維(D)を5〜100質量部、及びポリテトラフルオロエチレン(E)を3〜70質量部含有し、ポリテトラフルオロエチレン(E)と扁平断面ガラス繊維(D)の含有量の質量比(E)/(D)が1未満であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
[2]扁平断面ガラス繊維(D)の含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、20質量部超50質量部以下である上記[1]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[3]ISO11359−2に基づいて測定されるMD方向とTD方向の線膨脹係数が、いずれも15×10−6/K〜35×10−6/Kの範囲にあり、MD方向とTD方向の線膨張係数の比(MD/TD)が0.8〜1.1の範囲にある上記[1]または[2]に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[4]JIS K7218 A法に規定されるスラストリング摩耗試験において、アルミニウムを相手材とした際の比摩耗量が10×0.01mm/kgf・km以下である上記[1]〜[3]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
[5]上記[1〜[4]のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物の成形品。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、優れた比摩耗性を有し、線膨脹係数がアルミニウムやマグネシウム金属等と同レベルであり、さらに耐衝撃性に優れ、強度と寸法安定性、低異方性にも優れる。
以下、本発明について実施形態及び例示物等を示して詳細に説明する。
なお、本明細書において、「〜」とは、特に断りがない場合、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
以下、本発明のポリカーボネート樹脂組成物を構成する各成分等につき、詳細に説明する。
[ポリカーボネート樹脂(A)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物が含有するポリカーボネート樹脂(A)は、その種類に制限は無く、また、1種のみを用いてもよく、2種以上を、任意の組み合わせ及び任意の比率で、併用してもよい。
ポリカーボネート樹脂は、一般式:−[−O−X−O−C(=O)−]−で示される炭酸結合を有する基本構造の重合体である。上記式中、Xは、一般には炭化水素であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
ポリカーボネート樹脂(A)としては、特には芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。芳香族ポリカーボネート樹脂とは、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素であるポリカーボネート樹脂をいう。芳香族ポリカーボネートは、各種ポリカーボネートの中でも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、優れている。
芳香族ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限はないが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなる芳香族ポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物及びカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしてもよい。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いてもよい。また芳香族ポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、芳香族ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単独重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このような芳香族ポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例を挙げると、
1,2−ジヒドロキシベンゼン、1,3−ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4−ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5−ジヒドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’−ジヒドロキシ−1,1’−ビナフチル、1,2−ジヒドロキシナフタレン、1,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルエーテル、1,4−ビス(3−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1−ビス(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−(3−シクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、
1,3−ビス[2−(4−ヒドロキシフェニル)−2−プロピル]ベンゼン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)(4−プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−ナフチルエタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、
4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,4−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,5−ジメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−プロピル−5−メチルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−tert−ブチル−シクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3−フェニルシクロヘキサン、
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4’−ジヒドロキシ−3,3’−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
これらの中でもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)が好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーの例を挙げると、
エタン−1,2−ジオール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジオール、2−メチル−2−プロピルプロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、デカン−1,10−ジオール等のアルカンジオール類;
シクロペンタン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,2−ジオール、シクロヘキサン−1,4−ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2,2,4,4−テトラメチル−シクロブタン−1,3−ジオール等のシクロアルカンジオール類;
エチレングリコール、2,2’−オキシジエタノール(即ち、ジエチレングリコール)、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、スピログリコール等のグリコール類;
1,2−ベンゼンジメタノール、1,3−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジメタノール、1,4−ベンゼンジエタノール、1,3−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,3−ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,6−ビス(ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4,4’−ビフェニルジメタノール、4,4’−ビフェニルジエタノール、1,4−ビス(2−ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビスフェノールAビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、ビスフェノールSビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル等のアラルキルジオール類;
1,2−エポキシエタン(即ち、エチレンオキシド)、1,2−エポキシプロパン(即ち、プロピレンオキシド)、1,2−エポキシシクロペンタン、1,2−エポキシシクロヘキサン、1,4−エポキシシクロヘキサン、1−メチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、2,3−エポキシノルボルナン、1,3−エポキシプロパン等の環状エーテル類;等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。
ポリカーボネート樹脂(A)の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、粘度平均分子量[Mv]で10,000〜40,000であることが好ましい。粘度平均分子量が10,000未満では、機械的強度が十分ではなくなる傾向があり、粘度平均分子量が40,000を超えると、流動性が悪く成形性が悪くなる傾向にある。粘度平均分子量は、より好ましくは16,000〜40,000であり、さらに好ましくは18,000〜30,000、特には18,500〜25,000である。分子量をこのような範囲に調節するには、後記するような分子量調節剤の量を制御する等の公知の方法で可能である。
ここで、粘度平均分子量[Mv]とは、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dl/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10−4Mv0.83 から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dl)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
Figure 2021127405
ポリカーボネート樹脂に関するその他の事項
ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1,000ppm以下、好ましくは800ppm以下、より好ましくは600ppm以下である。このようにすることで、ポリカーボネート樹脂組成物の滞留熱安定性及び色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂では、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、ポリカーボネート樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の質量に対する、末端水酸基の質量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)にて行われる。
なお、ポリカーボネート樹脂(A)は、ポリカーボネート樹脂の1種のみを含む態様に限定されず、モノマー組成、分子量、末端水酸基濃度等が異なるポリカーボネート樹脂の2種以上を混合して使用してもよい。また、ポリカーボネート樹脂に他の熱可塑性樹脂を混合したアロイ(混合物)として組み合わせて用いてもよい。
さらに、例えば、難燃性や耐衝撃性をさらに高める目的で、ポリカーボネート樹脂を、シロキサン構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性や難燃性をさらに向上させる目的でリン原子を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;熱酸化安定性を向上させる目的で、ジヒドロキシアントラキノン構造を有するモノマー、オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;光学的性質を改良するためにポリスチレン等のオレフィン系構造を有するオリゴマーまたはポリマーとの共重合体;耐薬品性を向上させる目的でポリエステル樹脂オリゴマーまたはポリマーとの共重合体;等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体として構成してもよい。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1,500以上、好ましくは2,000以上であり、また、通常9,500以下、好ましくは9,000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量%以下とすることが好ましい。
さらにポリカーボネート樹脂は、バージン原料だけでなく、使用済みの製品から再生されたポリカーボネート樹脂(いわゆるマテリアルリサイクルされたポリカーボネート樹脂)であってもよい。前記の使用済みの製品としては、例えば、光学ディスク等の光記録媒体;導光板;自動車窓ガラス、自動車ヘッドランプレンズ、風防等の車両透明部材;水ボトル等の容器;メガネレンズ;防音壁、ガラス窓、波板等の建築部材などが挙げられる。また、製品の不適合品、スプルー、ランナー等から得られた粉砕品またはそれらを溶融して得たペレット等も使用可能である。
ただし、再生されたポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネート樹脂組成物に含まれるポリカーボネート樹脂のうち、80質量%以下であることが好ましく、なかでも50質量%以下であることがより好ましい。再生されたポリカーボネート樹脂は、熱劣化や経年劣化等の劣化を受けている可能性が高いため、このようなポリカーボネート樹脂を前記の範囲よりも多く用いた場合、色相や機械的物性を低下させる可能性があるためである。
[アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)を含有する。アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)は、アクリロニトリルとスチレン系単量体との共重合体であり、さらに他の共重合可能な単量体との共重合体であってもよい。
アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)を構成するスチレン系単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルキシレン、エチルスチレン、ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、ビニルナフタレン、メトキシスチレン、モノブロムスチレン、ジブロムスチレン、フルオロスチレン、トリブロムスチレンなどが挙げられ、スチレン、α−メチルスチレンがより好ましく、特にスチレンが好ましい。
スチレン系単量体とアクリロニトリル以外の他の共重合可能な単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル系単量体や、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−フェニルマレイミドなどのマレイミド系単量体、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、イタコン酸などのα,β−不飽和カルボン酸及びその無水物が挙げられる。
これらの中では(メタ)アクリル酸エステル系単量体が好ましく挙げられ、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、アミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、特にメチルメタアクリレートを挙げることができる。
なお、(メタ)アクリレートの表記はメタクリレート及びアクリレートのいずれをも含むことを示し、(メタ)アクリル酸エステルの表記はメタクリル酸エステル及びアクリル酸エステルのいずれをも含むことを示す。
アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)を製造する方法は、制限はなく、公知の方法が採用でき、例えば、塊状重合、乳化重合、溶液重合、懸濁重合等の方法が用いられる。
アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)中のアクリロニトリル単量体は、5〜50質量%が好ましく、8〜45質量%がより好ましい。また、スチレン系単量体に由来する単位の含有率は、50〜95質量%が好ましく、55〜92質量%がより好ましい。
また、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)のメルトボリュームレート(MVR)としては、220℃、荷重10kgで5〜100cm/10分の範囲にあることが好ましく、10〜80cm/10分がより好ましい。
また、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)は、6万〜22万の範囲にあることが好ましく、8万〜20万であることがより好ましい。
なお、本発明において、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)の質量平均分子量(Mw)の測定は、GPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法によって行われる。
アクリロニトリル−スチレン系共重合体は、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)またはアクリロニトリル−スチレン−アクリルゴム共重合体(ASA樹脂)が挙げられ、特にアクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)が好ましい。
アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、10〜100質量部である。含有量が10質量部未満では樹脂溶融粘度が高く成形性が悪くなり、100質量部を超えると耐熱性が低下することに加え、ウェルド強度が低下する。アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)の含有量は、好ましくは12質量部以上であり、13質量部以上がより好ましく、好ましくは80質量部以下であり、より好ましくは60質量部以下、さらには50質量部以下、中でも40質量部以下、特には30質量部以下であることが好ましい。
[ガラスフレーク(C)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、平均厚みが0.45〜1μmのガラスフレーク(C)を含有する。
本発明におけるガラスフレーク(C)は平均厚みが0.45〜1μmであり、通常のガラスフレークの厚みが5μm程度であるのに比べ、より薄肉のものを使用する。ガラスフレーク(C)の平均厚みは、好ましくは0.5〜0.9μmであり、さらに好ましくは0.55〜0.85μm、特に好ましくは0.6〜0.8μmである。平均厚みが上記範囲の上限を超える場合は、ポリカーボネート樹脂組成物の弾性率が低下しやすく、また平均厚みが上記範囲の下限を下回る場合は、ガラスフレークが極端に割れやすくなり、剛性や耐衝撃性が低下するため好ましくない。
ここでガラスフレークの平均厚みは、以下の方法で測定される値である。すなわち、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、100枚以上のガラスフレークにつき厚みを測定し、その測定値を平均することによって求める。この場合、ガラスフレーク単体を走査型電子顕微鏡で観察してもよく、ガラスフレークを樹脂に充填して成形し、これを破断し、その破断面を観察して測定してもよい。
また、ガラスフレーク(C)の平均粒径(長さ)は、5〜1000μmが好ましく、より好ましくは20〜700μm、さらに好ましくは50〜200μmである。ここで平均粒径は、ガラスフレークの長径であり、重量平均分布のメジアン径D50として算出されるものである。
ガラスフレーク(C)は、公知の表面処理剤、例えばシランカップリング剤、メチルハイドロジェンシロキサン、チタネートカップリング剤、またはアルミネートカップリング剤等で表面処理が施されたものが機械的強度向上の点から好ましい。さらに、ガラスフレークは、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の結合剤により、造粒または集束したものがハンドリングの点より好ましい。但し、かかる造粒または集束により得られる顆粒物または集束物に対しては、上述したガラスフレークの平均粒径範囲や厚みの範囲は適用されない。また、ガラスフレークのガラス組成は、特に制限はなく、Aガラス、Cガラス及びEガラス等に代表される各種のガラス組成のものを適宜選択し用いることができる。
ガラスフレーク(C)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、10〜100質量部であり、好ましくは15質量部以上、より好ましくは20質量部以上であり、さらに好ましくは25質量部以上であり、特に好ましくは30質量部超であり、また、好ましくは90質量部以下、より好ましくは85質量部以下、さらに好ましくは80質量部以下である。
[扁平断面ガラス繊維(D)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、扁平率が1.5超〜8以下の扁平断面ガラス繊維(D)を、上記した薄肉のガラスフレーク(C)と組み合わせて含有することを特徴とする。このような扁平断面のガラス繊維(D)をガラスフレーク(C)と組み合わせて用いることで、強度と低異方性に優れ、線膨脹係数がアルミニウムやマグネシウム金属等の金属と同レベルであるポリカーボネート樹脂組成物とすることが可能となる。
扁平断面ガラス繊維(D)の扁平率は、ガラス繊維の繊維方向断面における長径(幅)と短径(厚み)の比(幅/厚み、以下「扁平率」という。)の平均値は、好ましくは1.6以上であり、より好ましくは1.8以上、さらに好ましくは2以上であり、好ましくは7以下であり、より好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下である。
また、扁平断面ガラス繊維(D)の繊維断面の長径(幅)の平均値は、10〜50μmであるものが好ましく、より好ましくは12〜40μm、さらに好ましくは15〜35μm、特に好ましくは、18〜30μmである。また、また、扁平断面ガラス繊維(D)の繊維断面の短径(厚み)の平均値は、好ましくは3〜20μmであり、より好ましくは4〜15μm、さらに好ましくは5〜12μmである。
扁平断面ガラス繊維(D)の数平均繊維長は、0.5〜20mmであることが好ましく、1〜15mmであることがより好ましく、2〜10mmであることがさらに好ましい。
また、扁平断面ガラス繊維(D)の平均繊維長と平均繊維径の比(アスペクト比)は、好ましくは2〜120であり、より好ましくは2.5〜70、さらに好ましくは3〜50である。扁平断面ガラス繊維の平均繊維長と平均繊維径の比(アスペクト比)が、2未満の場合は、機械的強度が低下する傾向にあり、逆に120を超える場合は、ソリや異方性が大きくなるほか、成形品外観が著しく悪化する傾向にある。
扁平断面ガラス繊維(D)としては、通常熱可塑性樹脂に使用されているものであれば、Aガラス、Eガラス、ジルコニア成分含有の耐アルカリガラス組成も使用可能である。中でも本発明に用いる扁平断面ガラス繊維(D)としては、ポリカーボネート樹脂組成物の熱安定性を向上させる目的から無アルカリガラス(Eガラス)が好ましい。
本発明で使用する扁平断面ガラス繊維(D)は、ポリカーボネート樹脂との密着性を向上させる目的で、アミノシラン、エポキシシラン等のシランカップリング剤などにより表面処理を行うことができる。
また、扁平断面ガラス繊維(D)は、これらの繊維を多数本集束したものを、所定の長さに切断したチョップドストランドとして用いることも好ましく、このとき扁平断面ガラス繊維は収束剤を配合することが好ましい。収束剤を配合することで、ポリカーボネート樹脂組成物の生産安定性が高まる利点に加え、良好な機械物性を得ることができる。
収束剤としては、特に制限はないが、例えば、ウレタン系、エポキシ系、アクリル系等の収束剤が挙げられる。
扁平断面ガラス繊維(D)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、5〜100質量部である。扁平断面ガラス繊維(D)の含有量が5質量部未満では弾性率や耐衝撃性が不十分であり、逆に100質量部を超えると耐衝撃性や流動性が不十分となる。扁平断面ガラス繊維(D)の含有量は、好ましくは6質量部以上、より好ましくは7質量部以上であり、さらに好ましくは10質量部以上、特に好ましくは15質量部超であり、また好ましくは90質量部以下、より好ましくは80質量部以下、さらに好ましくは70質量部以下、特に好ましくは65質量部以下であり、60質量部以下であることが最も好ましい。
[ポリテトラフルオロエチレン(E)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記したガラスフレーク(C)と扁平断面ガラス繊維(D)に加えて、ポリテトラフルオロエチレン(E)を含有する。ポリテトラフルオロエチレン(E)を、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)、ガラスフレーク(C)及び扁平断面ガラス繊維(D)と組み合わせて含有することにより、比摩耗性に優れた高度の摺動性を示すことが可能である。
ポリテトラフルオロエチレン(E)はD50粒径が3〜50μmの範囲にあることが好ましい。3μm未満では分子量が低いため、表層部でポリカーボネートと相分離し、シルバーストリーク等の外観が悪化しやすく、50μmを超えるとポリテトラフルオロエチレンが表層よりも沈みやすく、摺動性が悪化しやすい。D50粒径は、好ましくは4μm以上、より好ましくは5μm以上、さらに好ましくは6μm以上であり、好ましくは47μm以下、より好ましくは45μm以下、さらに好ましくは40μm以下、中でも33μm以下、とりわけ30μm以下、さらには25μm以下、20μm以下、特には15μm以下であり、最も好ましくは10μm以下である。D50粒径が、例えば20μm以下、あるいは15μm以下、さらには10μm以下のように小粒径になると、成形品の外観がさらに良化し、耐衝撃性も向上し、成型収縮率も小さくなるので好ましい。
ポリテトラフルオロエチレン(E)のD50粒径は、樹脂組成物製造時の溶融混練の影響を受けて小さくなることはあまり考えられないが、本発明においては溶融混練前の原料のD50粒径である。なお、ポリテトラフルオロエチレンには乳化重合と懸濁重合の2種の製法があり、乳化重合品と懸濁重合品では対象となる状態が異なるため、乳化重合の場合は2次粒子径を対象とし、懸濁重合は1次粒子径を対象とする。
ポリテトラフルオロエチレン(E)は、フィブリル形成能を有さないフッ素樹脂であることが好ましい。ここで、「フィブリル形成能」とは、せん断力等の外的作用により、樹脂同士が結合して繊維状になる傾向を示すことをいう。フッ素樹脂が「フィブリル形成能を有さない」かどうかの目安は、比溶融粘度により評価することも可能であり、380℃における比溶融粘度(ASTM 1238−52T)が1×10ポイズ以下であり、さらには1×10ポイズ以下であり、その下限は、通常、5×10ポイズである。
ポリテトラフルオロエチレン(E)がフィブリル形成能を有さないことで、溶融混練や成形加工時等にフィブリルを形成することがなく摺動性を良くすることができる。
ポリテトラフルオロエチレン(E)は、フィブリル形成能を有さない範囲で、共重合成分としてヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、フルオロアルキルエチレン及びパーフルオロアルキルビニルエーテル等の含フッ素オレフィン、パーフルオロアルキル(メタ)アクリレート等の含フッ素アルキル(メタ)アクリレートを用いることができる。このような共重合成分の含有量は、ポリテトラフルオロエチレン中の全テトラフルオロエチレンに対して、好ましくは10質量%以下である。
また、ポリテトラフルオロエチレン(E)の質量平均分子量(Mv)は、特に限定されないが、10,000以上が好ましく、30,000以上がより好ましく、50,000以上がさらに好ましく、100,000以上が特に好ましい。質量平均分子量の上限は、特に限定されないが、通常10,000,000以下である。
ポリテトラフルオロエチレン(E)の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、3〜70質量部である。含有量が3質量部未満では摺動性が不十分となり、70質量部を超えると外観が悪化し、流動性が不十分となる。好ましい含有量は3.5質量部以上、より好ましくは4質量部以上であり、また好ましくは60質量部以下、より好ましくは50質量部以下である。
[テトラフルオロエチレン(E)と扁平断面ガラス繊維(D)の含有量の質量比(E)/(D)]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物において、テトラフルオロエチレン(E)と扁平断面ガラス繊維(D)の含有量の質量比(E)/(D)は、1未満とする。扁平断面ガラス繊維(D)の量に比べてテトラフルオロエチレン(E)の量を少なくすることで、金属レベルの線膨張係数と優れた比摩耗性を保持し、耐衝撃性と強度に優れたポリカーボネート樹脂組成物とすることができる。(E)/(D)は、好ましくは0.9以下、より好ましくは0.8以下、さらに好ましくは0.75以下であり、好ましくは0超であり、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上である。
また、テトラフルオロエチレン(E)とガラスフレーク(C)の含有量の質量比(E)/(C)は、1以下であることが、金属レベルの線膨張係数を保持する点から好ましい。(E)/(C)は、より好ましくは0.05以上、さらに好ましくは0.1以上、特に好ましくは0.15以上である。
また、ガラスフレーク(C)及び扁平断面ガラス繊維(D)の含有量の合計は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、30〜120質量部であることが好ましく、より好ましくは35質量部以上、より好ましくは110質量部以下、さらに好ましくは105質量部以下である。
[添加剤等]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記した以外のその他の添加剤、例えば、安定剤、離型剤、難燃剤、蛍光増白剤、顔料、染料、耐衝撃改良剤、帯電防止剤、可塑剤、相溶化剤などの添加剤を含有することができる。これらの添加剤あるいは他の樹脂は1種または2種以上を配合してもよい。
顔料としては、染顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料、有機染料などが挙げられ、特に無機顔料として、カーボンブラックが好ましい。
カーボンブラックを含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.005質量部以上、より好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常5質量部以下、好ましくは4質量部以下、より好ましくは3質量部以下、さらに好ましくは2質量部以下である。
また、さらに前記した成分以外のその他の摺動性改良剤、例えばシリコーンとポリオレフィンの混合物(グラフト結合物を含む)、あるいはシリコーン系エラストマー等を含有してもよい。ただし、その他の摺動性改良剤を含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、好ましくは15質量部以下、中でも10質量部以下、特には7質量部以下とすることが好ましい。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)及びアクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)以外の他のポリマーを含有することもできる。その他の樹脂としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート樹脂などの熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリイミド樹脂;ポリエーテルイミド樹脂;ポリフェニレンエーテル樹脂;ポリフェニレンサルファイド樹脂;ポリスルホン樹脂等が挙げられる。その他の樹脂は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせ及び比率で含有されていても良い。
ただし、ポリカーボネート樹脂(A)及びアクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)以外のその他の樹脂を含有する場合の含有量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、20質量部以下とすることが好ましく、10質量部以下がより好ましく、さらに5質量部以下、特には3質量部以下とすることが好ましい。
[ポリカーボネート樹脂組成物の製造方法]
本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法に制限はなく、公知のポリカーボネート樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、ポリカーボネート樹脂(A)及びアクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)、ガラスフレーク(C)、扁平断面ガラス繊維(D)及びテトラフルオロエチレン(E)、並びに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。なお、溶融混練の温度は特に制限されないが、通常260〜320℃の範囲である。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、上記したポリカーボネート樹脂組成物をペレタイズしたペレットを各種の成形法で成形して各種成形品を製造することができる。またペレットを経由せずに、押出機で溶融混練された樹脂を直接、成形して成形品にすることもできる。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、ISO 11359−2に基づいて測定されるMD方向とTD方向の線膨脹係数が、好ましくは15×10−6/K〜35×10−6/Kの範囲にあり、MDとTDの線膨張係数比が0.8〜1.1の範囲にあることが好ましい。本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、好ましくはこのような範囲の線膨脹係数を有することで、例えば、アルミニウムやマグネシウム等の金属(または合金)と複合化した鏡筒等としてすると、これら金属と線膨脹係数が近似しており、広い使用環境温度においても熱膨脹差に基づく真円度や光軸のずれ等を防止することが可能となる。
MDとTDの線膨張係数比(MD/TD)は、より好ましくは0.92以上、さらに好ましくは0.94以上であり、また、より好ましくは1.08以下、さらに好ましくは1.06以下である。
また、本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、極めて優れた比摩耗性を有し、JIS K7218 A法に規定されるスラストリング摩耗試験において、アルミニウムを相手材とした際の比摩耗量が好ましくは10×0.01mm/kgf・km以下であり、より好ましくは8×0.01mm/kgf・km、さらに好ましくは6×0.01mm/kgf・kmである。
本発明のポリカーボネート樹脂組成物から得られた成形品は、強度と低異方性に優れ、線膨脹係数がアルミニウムやマグネシウム金属等と同レベルである。従って、その用途としては、例えば、カメラ、望遠鏡、顕微鏡、投影露光装置、光学測定装置等の筐体部品やレンズ鏡筒等、スマートフォン用カメラ、車載カメラ、ドライブレコーダー、監視カメラ、ドローン搭載用小型カメラ等の筐体部品や機構部品等、車の衝突防止センサー、バックモニター用センサー、車速センサー、温度センサー、防犯用センサー等のセンサーの筐体や機構部品、自動車、バイク、自転車、車椅子等のフレーム部材や外板部材、家庭用テレビ、パソコン用ディスプレイ、車載モニター、スマートフォン、ヘッドマウントディスプレイのパネル部材や機構部品等、バーコードリーダー、スキャナー等の読み取り装置の筐体や機構部品、エアコン、空気清浄器、コンプレッサー等の筐体や機構部品、有線・無線LANルーター、WIFI受信機、WIFIストレージ、USBメモリ、メモリーカード、カードリーダー、データーサーバー保存機器等の情報機器の筐体や機構部品、光学機器、半導体パッケージ基板、半導体製造装置などの製造・加工設備部品、計測機器部品等が好ましく挙げられる。
以下、本発明を実施例により、更に具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定して解釈されるものではない。
以下の実施例及び比較例で使用した原料は次の通りである。
Figure 2021127405
(実施例1〜10、比較例1〜6)
[樹脂組成物ペレットの製造]
上記した各成分の内、ガラスフレーク(C)及びガラス繊維(D)を除いた成分を、下記表2−3に記載の割合で配合し、タンブラーミキサーにて均一混合した後、ホッパーから、押出機にフィードして溶融混練した。ガラスフレーク(C)及びガラス繊維(D)は、それぞれ押出機の上流からバレル長さLの2/3の下流位置から下記表2−3に記載の割合でサイドフィードした。
押出機としては、日本製鋼所社製二軸押出機(TEX25αIII、L/D=52.5)を用い、スクリュー回転数200rpm、シリンダー温度300℃、吐出量25kg/hrの条件で溶融押出した。ガラスフレーク(C)及びガラス繊維(D)以外の原料のサイドフィード後の溶融混練時間は15秒であった。押出されたストランドを水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてペレット化した。
上記製造方法で得られたペレットを、120℃で5時間乾燥させた後、日精樹脂工業社製のNEX80射出成形機を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度100℃、射出速度100mm/s、保圧80MPaの条件で、厚さ4mmのISOダンベル試験片と、長さ100mm×幅100mm×厚さ2mmの平板状成形品を成形した。
[曲げ弾性率の測定]
上記で得られたISOダンベル片(厚さ4mm)を用い、ISO178に基づいて、曲げ弾性率(単位:MPa)を測定した。
[シャルピー衝撃強度(ノッチ付き)の測定]
上記で得られたISOダンベル片(厚さ4mm)を用い、ISO179に基づいて、ノッチ付きシャルピー強度(単位:kJ/m)を測定した。
シャルピー衝撃強度は7kJ/m以上であることが好ましく、8kJ/m以上がより好ましく、9kJ/m以上がさらに好ましく、10kJ/m以上が特に好ましい。
[線膨張係数の測定]
上記で得られた平板状成形品の中心部を、MD/TD方向にそれぞれ長さ15mm×幅10mm×厚さ2mmに切り出すことで試験片を得、線膨張係数の測定に用いた。
測定機器としては、日立ハイテクサイエンス製TMA7100を用い、試験片の長さ部分を測定の対象にし、−10〜+40℃まで20℃/分の速度で昇温し、温度変化量に対する寸法の変化量の傾きから線膨張係数(単位:/K)を算出した。
[異方性の評価]
上記で算出したMDとTDとの線膨張係数の比(MD/TD)を算出した。
[比摩耗量]
上述した方法で得られた樹脂組成物のペレットを、120℃で5時間乾燥した後、射出成型機(日本製鋼所社製「J55−60H」)を用いて、シリンダー温度300℃、金型温度100℃の条件で射出成形し、円筒形スラスト試験片(接触面積2cm)の試験片を作製した。
得られた円筒形スラスト試験片について、鈴木式摩擦摩耗試験機を用い、温度23℃、試験面圧1.72MPa、試験速度69mm/sec、試験時間180分の条件で、円筒形スラスト試験片(本材料)を非回転側とし、相手材としてのアルミニウム板を下にして、摩擦摩耗試験を行い、本材料と相手材(アルミニウム板)の比摩耗量(単位:×0.01mm/kgf・km)を測定した。
以上の評価結果を、以下の表2に示す。
Figure 2021127405
Figure 2021127405
本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、金属レベルの線膨張係数を保持し、優れた比摩耗性を有し、耐衝撃性と強度に優れるので、鏡筒他、各種の用途に好適に使用でき、産業上の利用性は高い。

Claims (5)

  1. ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、アクリロニトリル−スチレン系共重合体(B)を10〜100質量部、平均厚さが0.45〜1μmのガラスフレーク(C)を10〜100質量部、扁平率が1.5超8以下の扁平断面ガラス繊維(D)を5〜100質量部、及びポリテトラフルオロエチレン(E)を3〜70質量部含有し、ポリテトラフルオロエチレン(E)と扁平断面ガラス繊維(D)の含有量の質量比(E)/(D)が1未満であることを特徴とするポリカーボネート樹脂組成物。
  2. 扁平断面ガラス繊維(D)の含有量が、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対し、20質量部超50質量部以下である請求項1に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. ISO11359−2に基づいて測定されるMD方向とTD方向の線膨脹係数が、いずれも15×10−6/K〜35×10−6/Kの範囲にあり、MD方向とTD方向の線膨張係数の比(MD/TD)が0.8〜1.1の範囲にある請求項1または2に記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  4. JIS K7218 A法に規定されるスラストリング摩耗試験において、アルミニウムを相手材とした際の比摩耗量が10×0.01mm/kgf・km以下である請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物の成形品。
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