JP2021124830A - 衝突回避支援装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 前方センサが誤って連続障害物を検知した場合に、自動操舵制御を早期に終了させる。【解決手段】 運転支援ECUは、連続障害物が検知された場合に、連続障害物の延びる方向に自車両を偏向させるべく、連続障害物の延びる方向に応じて設定される制御終了角度まで自車両を偏向させる回避目標軌道を設定し(S13)、自車両が回避目標軌道に沿って走行するように自動操舵制御を実施する(S15,S16)。運転支援ECUは、自動操舵制御が開始された後、自車両の縦方向移動距離Dxが上限距離Dmaxに到達した場合には(S18:Yes)、自車両の偏向角が制御終了角度に到達していなくても、自動操舵制御を終了する。【選択図】 図2
Description
本発明は、自車両が障害物に衝突することを回避するようにドライバーを支援する衝突回避支援装置に関する。
従来から、カメラあるいはレーダ等の前方センサによって自車両が衝突する可能性の高い障害物が検知された場合に、自車両と障害物との衝突を回避するための自動操舵制御を実施する衝突回避支援装置が知られている。例えば、特許文献1に提案された衝突回避支援装置(従来装置と呼ぶ)は、自車両の中心から前方に延びる直線である前方中心線に対して斜め前方に傾いて延びる連続的な前方障害物(以下、連続障害物と呼ぶ)が検知され、その連続障害物に自車両が衝突する可能性が高い場合、連続障害物の形成方向(斜め前方)に沿って自車両を回避させるように自動操舵制御を実施する。
この従来装置においては、図4に示すように、例えば、ガードレールのような連続障害物Xを直線に近似し、自車両Aが連続障害物Xの直線と平行になるまで自車両Aを偏向させるように自動操舵制御を実施することによって自車両が連続障害物に衝突することを回避する。従来装置は、自動操舵制御の開始時に制御終了角度θ*を演算し、自車両が制御終了角度θ*にまで偏向した時点で自動操舵制御を終了する。制御終了角度θ*は、連続障害物Xの自車両Aに対する角度θt(直線に近似した連続障害物Xの形成方向線Ltと自車両Aの前方中心線Laとのなす角度)に、若干のマージン角度を加算されて設定される。図中、符号Rは、自動操舵制御における自車両Aの回避目標軌道を表す。
しかしながら、前方センサが誤って連続障害物を検知することが考えられる。例えば、図5に示すように、実際には存在していない連続障害物X’を前方センサが誤って検知した場合には、自動操舵制御が実施されて自車両Aが偏向する。このとき、制御システムは、自車両を回避目標軌道R’に沿って走行するように自動操舵制御を開始する。一方、ドライバーは、自車両Aが偏向しないように、自動操舵制御に対向して操舵ハンドルを強く保持することが予想される。このため、自車両Aは、例えば、図5の実軌道R1に示すような軌道で走行する。この場合、制御システムは、自車両Aの偏向角が制御終了角度に到達しないあいだは、自動操舵制御を継続しようとする。このため、自車両Aが衝突回避対象となる連続障害物X’(誤認識された連続障害物)を通り過ぎても、不要な自動操舵制御が継続されてしまう。
このように、従来装置においては、前方センサが誤って連続障害物を検知した場合、不要な自動操舵制御の実施される時間が長くなるおそれがある。従って、ドライバーが違和感を覚える期間が長くなる。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、前方センサが誤って連続障害物を検知した場合に、自動操舵制御を早期に終了させることを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、
自車両の前方に存在する障害物を検知する障害物検知手段(11,12)と、
前記自車両が前記障害物と衝突する可能性が高い場合に、前記自車両と前記障害物との衝突を回避するための自動操舵制御を実施する操舵回避制御手段(10,30)と
を備えた衝突回避支援装置において、
前記操舵回避制御手段は、
前記障害物検知手段によって、前記自車両の中心から前方に延びる直線である前方中心線に対して斜め前方に傾いて延びる連続的な障害物が検知された場合に、前記連続的な障害物の延びる方向に前記自車両を偏向させるように自動操舵制御を開始し、前記自車両の偏向角が、前記連続的な障害物の延びる方向に応じて設定される制御終了角度に到達したときに前記自動操舵制御を終了する連続障害物操舵回避制御手段(S14〜S16)と、
前記自動操舵制御の開始時点における前記自車両の前後方向を縦方向と定義し、前記自動操舵制御の開始からの前記自車両の縦方向の移動量(Dx)が、前記自動操舵制御の開始時における前記連続的な障害物の前記自車両から最も離れた点(P)までの前記自車両からの縦方向の距離に応じて設定される上限距離(Dmax)以上であるか否かを判定する縦方向移動量判定手段(S18)と、
前記縦方向移動量判定手段によって前記縦方向の移動量が前記上限距離以上であると判定された場合、前記自車両の偏向角が前記制御終了角度に到達していなくても前記連続障害物操舵回避制御手段の実施する前記自動操舵制御を終了させる自動操舵制御実施制限手段(S18:Yes,END)と
を備えたことにある。
自車両の前方に存在する障害物を検知する障害物検知手段(11,12)と、
前記自車両が前記障害物と衝突する可能性が高い場合に、前記自車両と前記障害物との衝突を回避するための自動操舵制御を実施する操舵回避制御手段(10,30)と
を備えた衝突回避支援装置において、
前記操舵回避制御手段は、
前記障害物検知手段によって、前記自車両の中心から前方に延びる直線である前方中心線に対して斜め前方に傾いて延びる連続的な障害物が検知された場合に、前記連続的な障害物の延びる方向に前記自車両を偏向させるように自動操舵制御を開始し、前記自車両の偏向角が、前記連続的な障害物の延びる方向に応じて設定される制御終了角度に到達したときに前記自動操舵制御を終了する連続障害物操舵回避制御手段(S14〜S16)と、
前記自動操舵制御の開始時点における前記自車両の前後方向を縦方向と定義し、前記自動操舵制御の開始からの前記自車両の縦方向の移動量(Dx)が、前記自動操舵制御の開始時における前記連続的な障害物の前記自車両から最も離れた点(P)までの前記自車両からの縦方向の距離に応じて設定される上限距離(Dmax)以上であるか否かを判定する縦方向移動量判定手段(S18)と、
前記縦方向移動量判定手段によって前記縦方向の移動量が前記上限距離以上であると判定された場合、前記自車両の偏向角が前記制御終了角度に到達していなくても前記連続障害物操舵回避制御手段の実施する前記自動操舵制御を終了させる自動操舵制御実施制限手段(S18:Yes,END)と
を備えたことにある。
本発明の衝突回避支援装置は、障害物検知手段と操舵回避制御手段とを備えている。障害物検知手段は、自車両の前方に存在する障害物を検知する。操舵回避制御手段は、自車両が障害物と衝突する可能性が高い場合に、自車両と障害物との衝突を回避するための自動操舵制御(操舵輪の自動操舵制御)を実施する。
操舵回避制御手段は、連続障害物操舵回避制御手段を備えている。連続障害物操舵回避制御手段は、障害物検知手段によって、自車両の中心から前方に延びる直線である前方中心線に対して斜め前方に傾いて延びる連続的な障害物が検知された場合に、連続的な障害物の延びる方向に自車両を偏向させるように自動操舵制御を開始し、自車両の偏向角が、連続的な障害物の延びる方向に応じて設定される制御終了角度に到達したときに自動操舵制御を終了する。例えば、自車両の向きと連続的な障害物の形成方向とのなす角度だけ自車両を偏向させれば、自車両を障害物に沿って走行させて衝突回避することができる。従って、制御終了角度は、自車両の向きと連続的な障害物の延びる方向とのなす角度(傾斜角度)に基づいて設定することができる。例えば、制御終了角度は、傾斜角度にマージン角度を加算した角度に設定するとよい。
例えば、連続障害物操舵回避制御手段は、自動操舵制御を開始する際に自車両を制御終了角度まで偏向させる回避目標軌道を設定し、自車両が回避目標軌道に沿って走行するように自動操舵制御を実施するように構成されているとよい。
障害物検知手段が、誤って、自車両の中心から前方に延びる直線である前方中心線に対して斜め前方に傾いて延びる連続的な障害物を検知した場合、つまり、実際には存在しない前記連続的な障害物を検知した場合には、その障害物を衝突回避対象とした不要な自動操舵制御が開始されてしまう。このとき、ドライバーは、自車両が偏向しないように、自動操舵制御に対向して操舵ハンドルを強く保持することが予想される。この場合、操舵回避制御手段は、自車両の偏向角が制御終了角度に到達しないあいだは、自動操舵制御を継続しようとする。このため、誤った自動操舵制御の実施される時間が長くなるおそれがある。
そこで、操舵回避制御手段は、更に、縦方向移動量判定手段と、自動操舵制御実施制限手段とを備えている。縦方向移動量判定手段は、自動操舵制御の開始時点における自車両の前後方向を縦方向と定義し、自動操舵制御の開始からの自車両の縦方向の移動量が、上限距離以上であるか否かを判定する。この上限距離は、自動操舵制御の開始時における連続的な障害物の自車両から最も離れた点までの自車両からの縦方向の距離に応じて設定される。例えば、上限距離は、自動操舵制御の開始時における連続的な障害物の自車両から最も離れた点までの自車両からの縦方向の距離に、所定のマージン距離を加算した値に設定するとよい。
自動操舵制御実施制限手段は、縦方向移動量判定手段によって縦方向の移動量が上限距離以上であると判定された場合、自車両の偏向角が制御終了角度に到達していなくても連続障害物操舵回避制御手段の実施する自動操舵制御を終了させる。
この結果、本発明によれば、障害物検知手段が誤って連続的な障害物を検知した場合に、自動操舵制御を早期に終了させることができる。従って、ドライバーが違和感を覚える期間を短くすることができる。
上記説明においては、発明の理解を助けるために、実施形態に対応する発明の構成要件に対して、実施形態で用いた符号を括弧書きで添えているが、発明の各構成要件は、前記符号によって規定される実施形態に限定されるものではない。
以下、本発明の実施形態に係る車両の衝突回避支援装置について図面を参照しながら説明する。
本発明の実施形態に係る衝突回避支援装置は、車両(以下において、他の車両と区別するために、「自車両」と称呼される場合がある。)に適用される。衝突回避支援装置は、図1に示すように、運転支援ECU10、メータECU20、電動パワーステアリングECU30、および、ブレーキECU40を備えている。
これらのECUは、マイクロコンピュータを主要部として備える電気制御装置(Electronic Control Unit)であり、CAN(Controller Area Network)100を介して相互に情報を送信可能及び受信可能に接続されている。本明細書において、マイクロコンピュータは、CPU、ROM、RAM、不揮発性メモリ及びインターフェースI/F等を含む。CPUはROMに格納されたインストラクション(プログラム、ルーチン)を実行することにより各種機能を実現するようになっている。これらのECUは、幾つか又は全部が一つのECUに統合されてもよい。
また、CAN100には、車両状態を検知する複数の車両状態センサ50、および、運転操作状態を検知する複数の運転操作状態センサ60が接続されている。車両状態センサ50は、例えば、車両の走行速度を検知する車速センサ、車輪の回転速度を検知する車輪速センサ、車両の前後方向の加速度を検知する前後加速度センサ、車両の横方向の加速度を検知する横加速度センサ、および、車両のヨーレートを検知するヨーレートセンサなどである。
運転操作状態センサ60は、アクセルペダルの操作量を検知するアクセル操作量センサ、ブレーキペダルの操作量を検知するブレーキ操作量センサ、ブレーキペダルの操作の有無を検知するブレーキスイッチ、操舵角を検知する操舵角センサ、操舵トルクを検知する操舵トルクセンサ、および、変速機のシフトポジションを検知するシフトポジションセンサなどである。
車両状態センサ50、および、運転操作状態センサ60によって検知された情報(センサ情報と呼ぶ)は、CAN100に送信される。各ECUにおいては、CAN100に送信されたセンサ情報を、適宜、利用することができる。尚、センサ情報は、特定のECUに接続されたセンサの情報であって、その特定のECUからCAN100に送信される場合もある。例えば、操舵角センサは、電動パワーステアリングECU30に接続されていてもよい。この場合、電動パワーステアリングECU30から操舵角を表すセンサ情報がCAN100に送信される。他のセンサにおいても同様である。また、CAN100を介在させることなく、特定のECU間における直接的な通信により、センサ情報の授受が行われる構成が採用されてもよい。
運転支援ECU10は、ドライバーの運転支援を行う中枢となる制御装置であって、衝突回避支援制御を実施する。この衝突回避支援制御は、運転支援制御の一つであって、自車両の前方に障害物が検知された場合に、ドライバーに対して注意喚起を行い、衝突の可能性が更に高くなった場合に、自動ブレーキおよび自動操舵の少なくとも一方によって、自車両と障害物との衝突を回避する制御である。衝突回避支援制御は、一般に、PCS制御(プリクラッシュセーフティ制御)と呼ばれているため、以下、衝突回避支援制御をPCS制御と呼ぶ。
尚、運転支援ECU10は、PCS制御に加えて、他の運転支援制御を実施する構成であってもよい。例えば、運転支援ECU10は、自車両を車線の中央位置に沿って走行させる車線維持支援制御などを実施してもよい。
運転支援ECU10には、カメラセンサ11、レーダセンサ12、ブザー13、および、設定操作器14が接続されている。
カメラセンサ11は、車室内のフロントウインドの上部に配設されている。カメラセンサ11は、カメラ部、および、カメラ部によって撮影して得られた画像データを解析する画像処理部を備えている。カメラセンサ11(カメラ部)は、例えば、ステレオカメラであって、自車両の前方の風景を撮影する。カメラセンサ11(画像処理部)は、撮影された画像に基づいて、道路の白線、および、自車両の前方に存在する立体物を認識し、それらの情報(白線情報、立体物情報)を所定の周期で運転支援ECU10に供給する。白線情報は、自車両と白線との相対的な位置関係(向きを含む)、および、白線の曲率などを表す情報である。立体物情報は、自車両の前方に検知された立体物の種類、立体物の大きさ、および、立体物の自車両に対する相対的な位置関係などを表す情報である。
レーダセンサ12は、車体のフロント中央部に設けられ、自車両の前方領域に存在する立体物を検知する。レーダセンサ12は、レーダ送受信部と信号処理部(図示略)とを備えており、レーダ送受信部が、ミリ波帯の電波(以下、「ミリ波」と称呼する。)を放射し、放射範囲内に存在する立体物(例えば、他車両、歩行者、自転車、構造物など)によって反射されたミリ波(即ち、反射波)を受信する。信号処理部は、送信したミリ波と受信した反射波との位相差、反射波の減衰レベル及びミリ波を送信してから反射波を受信するまでの時間等に基づいて、自車両と立体物との距離、自車両と立体物との相対速度、自車両に対する立体物の相対位置(方向)等を演算し、それらの演算結果を表す情報(立体物情報)を所定の周期で運転支援ECU10に供給する。
運転支援ECU10は、カメラセンサ11から供給される立体物情報とレーダセンサ12から供給される立体物情報とを合成して、精度の高い立体物情報を取得する。
以下、カメラセンサ11およびレーダセンサ12から得られる自車両の前方の情報を、前方情報と総称する。また、カメラセンサ11とレーダセンサ12とをあわせて前方センサと呼ぶ。
ブザー13は、運転支援ECU10から出力されるブザー鳴動信号を入力して鳴動する。運転支援ECU10は、ドライバーに対して運転支援状況を知らせる場合、および、ドライバーに対して注意を促す場合等においてブザー13を鳴動させる。
設定操作器14は、ドライバーが各種の設定を行うための操作器であって、例えば、操舵ハンドルに設けられている。運転支援ECU10は、設定操作器14の設定信号を入力して、各種の設定処理を行う。例えば、設定操作器14は、PCS制御などの運転支援制御のそれぞれについて、個々に作動させる/作動させないという選択操作に用いられる。
メータECU20は、表示器21に接続されている。表示器21は、例えば、運転席の正面に設けられたマルチインフォーメーションディスプレイであって、車速等のメータ類の計測値の表示に加えて、各種の情報を表示する。例えば、メータECU20は、運転支援ECU10から運転支援状況に応じた表示指令を受信すると、その表示指令で指定された画面を表示器21に表示させる。尚、表示器21としては、マルチインフォーメーションディスプレイに代えて、あるいは、加えて、ヘッドアップディスプレイ(図示略)を採用することもできる。ヘッドアップディスプレイを採用する場合には、ヘッドアップディスプレイの表示を制御する専用のECUを設けるとよい。
電動パワーステアリングECU30は、電動パワーステアリング装置の制御装置である。以下、電動パワーステアリングECU30をEPS・ECU(Electric Power Steering ECU)30と呼ぶ。EPS・ECU30は、モータドライバ31に接続されている。モータドライバ31は、転舵アクチュエータである転舵用モータ32に接続されている。転舵用モータ32は、図示しない車両のステアリング機構に組み込まれている。EPS・ECU30は、ステアリングシャフトに設けられた操舵トルクセンサによって、ドライバーが操舵ハンドル(図示略)に入力した操舵トルクを検知し、この操舵トルクに基づいて、モータドライバ31の通電を制御して、転舵用モータ32を駆動する。この転舵用モータ32の駆動によってステアリング機構に操舵トルクが付与されて、ドライバーの操舵操作をアシストする。
また、EPS・ECU30は、CAN100を介して運転支援ECU10から操舵指令を受信した場合には、操舵指令で特定される制御量で転舵用モータ32を駆動して操舵トルクを発生させる。この操舵トルクは、上述したドライバーの操舵操作(ハンドル操作)を軽くするために付与される操舵アシストトルクとは異なり、ドライバーの操舵操作を必要とせずに、運転支援ECU10からの操舵指令によってステアリング機構に付与されるトルクを表す。
ブレーキECU40は、ブレーキアクチュエータ41に接続されている。ブレーキアクチュエータ41は、ブレーキペダルの踏力によって作動油を加圧する図示しないマスタシリンダと、左右前後輪に設けられる摩擦ブレーキ機構42との間の油圧回路に設けられる。摩擦ブレーキ機構42は、車輪に固定されるブレーキディスク42aと、車体に固定されるブレーキキャリパ42bとを備える。ブレーキアクチュエータ41は、ブレーキECU40からの指示に応じてブレーキキャリパ42bに内蔵されたホイールシリンダに供給する油圧を調整し、その油圧によりホイールシリンダを作動させることによりブレーキパッドをブレーキディスク42aに押し付けて摩擦制動力を発生させる。従って、ブレーキECU40は、ブレーキアクチュエータ41を制御することによって、自車両の制動力を制御することができる。
<PCS制御>
次に、PCS制御について説明する。運転支援ECU10は、前方センサから供給される前方情報と、車両状態センサ50によって検知される車両状態とに基づいて、自車両が立体物に衝突するか否かについて判定する。例えば、運転支援ECU10は、立体物が現状の移動状態(立体物が静止物の場合は停止状態)を維持し、かつ、自車両が現状の走行状態を維持した場合に、自車両が立体物に衝突するか否かについて判定する。運転支援ECU10は、その判定結果に基づいて、自車両が立体物に衝突すると判定した場合に、その立体物を障害物であると認定する。
次に、PCS制御について説明する。運転支援ECU10は、前方センサから供給される前方情報と、車両状態センサ50によって検知される車両状態とに基づいて、自車両が立体物に衝突するか否かについて判定する。例えば、運転支援ECU10は、立体物が現状の移動状態(立体物が静止物の場合は停止状態)を維持し、かつ、自車両が現状の走行状態を維持した場合に、自車両が立体物に衝突するか否かについて判定する。運転支援ECU10は、その判定結果に基づいて、自車両が立体物に衝突すると判定した場合に、その立体物を障害物であると認定する。
運転支援ECU10は、障害物を検知した場合、自車両が障害物に衝突するまでの予測時間である衝突予測時間TTCを演算する。この衝突予測時間TTCは、障害物と自車両とのあいだの距離dと、障害物に対する自車両の相対速度Vrとに基づいて、次式(1)によって演算される。
TTC=d/Vr ・・・(1)
TTC=d/Vr ・・・(1)
この衝突予測時間TTCは、自車両が障害物に衝突する可能性の高さを表す指標として用いられ、その値が小さいほど、自車両が障害物に衝突する可能性(危険性)が高くなる。
本実施形態におけるPCS制御では、衝突予測時間TTCに基づいて、自車両が障害物に衝突する可能性のレベルを2段階に分け、初期の第1段階では、ブザー13および表示器21を使ってドライバーに警告を与える。自車両が障害物に衝突する可能性のレベルが第1段階よりも高くなった第2段階では、自動ブレーキ制御および自動操舵制御の少なくとも一方によって衝突回避支援が行われる。
この場合、運転支援ECU10は、衝突予測時間TTCが警報用閾値TTCw以下にまで低下したときに、自車両が障害物に衝突する可能性のレベルが第1段階に到達したと判定し、衝突予測時間TTCが更に低下して作動用閾値TTCa(<TTCw)以下になると、自車両が障害物に衝突する可能性のレベルが第2段階に到達したと判定する。
次に、運転支援ECU10の実施する特徴的な自動操舵制御について説明する。本実施形態においては、図4に示すように、自車両Aの中心から前方に延びる直線である前方中心線Laに対して斜め前方に傾いて延びる連続的な構造物Xが検知され、この連続的な構造物(連続構造物Xと呼ぶ)に自車両Aが衝突する可能性が高い場合、その連続構造物XAに沿って自車両Aが走行するように、自車両Aを偏向させる自動操舵制御を実施する。この自動操舵制御を、特に、連続障害物操舵回避制御と呼ぶ。連続構造物Xは、例えば、ガードレール、あるいは、壁であって、自車両Aに対向する面を直線に近似することができる。この例では、連続構造物Xの形成方向線Ltと、自車両Aの前方中心線Laとのなす角度がθtとなっている。このθtを角度差θtと呼ぶ。
<連続障害物操舵回避制御ルーチン>
図2は、運転支援ECU10の実施する連続障害物操舵回避制御処理を具体的に示した連続障害物操舵回避制御ルーチンを表す。運転支援ECU10は、所定の演算周期にて連続障害物操舵回避制御ルーチンを実施する。
図2は、運転支援ECU10の実施する連続障害物操舵回避制御処理を具体的に示した連続障害物操舵回避制御ルーチンを表す。運転支援ECU10は、所定の演算周期にて連続障害物操舵回避制御ルーチンを実施する。
運転支援ECU10は、連続障害物操舵回避制御ルーチンを開始すると、ステップS11において、前方センサから供給される前方情報に基づいて、自車両Aの前方に連続構造物Xが検知されているか否かについて判定する。
運転支援ECU10は、自車両Aの前方に連続構造部Xが検知されていないと判定した場合(S11:No)、本ルーチンを一旦終了する。自車両Aの前方に連続構造物Xが検知されている場合、運転支援ECU10は、その処理をステップS12に進めて、自車両Aが連続構造物Xに衝突する可能性が高いか否かについて判定する。この場合、運転支援ECU10は、自車両Aが現状の走行状態を継続した場合に連続構造物Xに衝突すると推定される衝突点を求め、自車両Aが衝突点に到達するまでの衝突予測時間TTCを演算する。運転支援ECU10は、衝突予測時間TTCが作動用閾値TTCa以下であるか否かに基づいて、自車両Aが連続構造物Xに衝突する可能性が高いか否かについて判定する。
運転支援ECU10は、衝突予測時間TTCが作動用閾値TTCaより大きい場合、本ルーチンを一旦終了し、衝突予測時間TTCが作動用閾値TTCa以下である場合、その処理をステップS13に進める。以下、連続構造物Xのうち、衝突予測時間TTCが作動用閾値TTCa以下であると判定されたものを連続障害物Xと呼ぶ。
運転支援ECU10は、ステップS13において、連続障害物Xの延びる方向に自車両Aを偏向させる回避目標軌道を演算する。この場合、運転支援ECU10は、連続障害物Xを直線に近似して、連続障害物Xの形成方向線Ltと自車両Aの前方中心線La(前後軸線)とのなす角度である角度差θtを演算し、角度差θtに若干のマージン角度θmを加算した角度を制御終了角度θ*(=θt+θm)に設定する。マージン角度θmは、自動操舵制御における制御誤差等を考慮して、制御誤差等が発生しても少なくとも自車両を角度差θtだけは偏向できるように設定される値である。
運転支援ECU10は、自車両Aを制御終了角度θ*まで偏向させて連続障害物Xとの衝突を回避する軌道である回避目標軌道を算出する。従って、回避目標軌道は、現在位置から、自車両Aの偏向角が制御終了角度θ*に到達する位置までの自車両Aの目標軌道である。自車両Aの偏向角は、現時点(自動操舵制御の開始時点)から自車両Aが偏向した角度を表す。回避目標軌道は、例えば、図4において、符号Rで表される矢印で示した軌道である。
運転支援ECU10は、回避目標軌道を算出すると、その処理をステップS14に進めて、自車両Aを回避目標軌道に沿って走行させる自動操舵制御を開始する。
まず、運転支援ECU10は、ステップS14において、回避目標軌道に基づいて、自車両Aを回避目標軌道に沿って走行させるための操舵制御量(例えば、目標舵角)を演算する。
続いて、運転支援ECU10は、ステップS15において、操舵制御量を表す操舵指令をEPS・ECU30に送信する。これによりEPS・ECU30は、操舵制御量が得られるようにモータドライバ31の作動を制御する。こうして、ドライバーの操舵操作を要することなく、自動操舵制御によって操舵輪の舵角が制御される。
続いて、運転支援ECU10は、ステップS16において、自車両Aが制御終了角度θ*にまで偏向したか否かについて判定する。自動操舵制御の開始当初は、自車両Aは、制御終了角度θ*にまで偏向していない。この場合、運転支援ECU10は、その処理をステップS17に進める。尚、自車両Aの偏向角は、例えば、ヨーレートセンサによって検知されるヨーレートを積分することによって求められる。
運転支援ECU10は、ステップS17において、自動操舵制御を開始してからの経過時間tが制限時間tmaxに到達したか否かについて判定する。運転支援ECU10は、自動操舵制御を開始してからの経過時間tを計測するタイマを備え、そのタイマ値である経過時間tと制限時間tmaxとを比較する。この制限時間tmaxは、自動操舵制御の制限時間である。この制限時間tmaxは、長めの時間に設定されている。制限時間tmaxを短めに設定すると、自動操舵制御が正常に実施されている最中に、終了してしまうおそれがあるからである。
自動操舵制御の開始当初においては、経過時間tは、制限時間tmax未満である(S17:No)。この場合、運転支援ECU10は、その処理をステップS18に進める。
運転支援ECU10は、ステップS18において、自動操舵制御が開始されてからの自車両Aの縦方向移動距離Dxが上限距離Dmaxに到達したか否かについて判定する。ここで上限距離について説明する。
図3に示すように、自動操舵制御の開始時点における自車両Aの前後方向を縦方向と定義する。自車両Aの縦方向移動距離Dxは、自動操舵制御中の自車両Aの縦方向の移動距離を表す。上限距離Dmaxは、自車両Aの前端から、自動操舵制御の開始時における連続障害物Xの自車両Aから最も離れた点P(最遠点)までの縦方向の距離D1(最遠点距離D1と呼ぶ)に応じて設定される距離であって、自動操舵制御の継続を制限する自車両Aの縦方向の移動距離である。本実施形態においては、上限距離Dmaxは、最遠点距離D1にマージン距離Dmを加算して求められる(Dmax=D1+Dm)。
連続障害物Xへの衝突を回避する自動操舵制御は、基本的には、自車両の偏向角が制御終了角度θ*に到達するまで継続される。しかし、前方センサが誤って連続障害物X’を検知した場合(実際には存在していない連続障害物X’を検知した場合)、ドライバーは、自車両Aが偏向しないように、自動操舵制御に対向して操舵ハンドルを強く保持することが予想される。このため、自車両Aが衝突回避対象となる連続障害物X’(誤認識された連続障害物)を通り過ぎても、自動操舵制御が継続されてしまう(図5参照)。
そこで、本実施形態においては、自動操舵制御がいつまでも継続されないように、自動操舵制御を継続することができる自車両Aの縦方向移動距離Dxが制限されている。この縦方向移動距離Dxの制限値が上限距離Dmaxである。
運転支援ECU10は、自動操舵制御を開始してからの自車両Aの縦方向移動距離Dxを所定の演算周期で演算し、ステップS18において、縦方向移動距離Dxが上限距離Dmax以上であるか否かについて判定する。自動操舵制御の開始当初は、「No」と判定される。この場合、運転支援ECU10は、その処理をステップS14に戻して上述した処理を繰り返す。従って、基本的には、自動操舵制御によって自車両Aの向きが連続障害物Xの向き(形成方向)に近づいていく。ただし、ドライバーが自動操舵制御に対向して操舵ハンドルを強く保持した場合には、自車両Aの偏向が抑えられる。
運転支援ECU10は、自動操舵制御の実施によって、自車両Aが制御終了角度θ*にまで偏向したことが検知されると(S16:Yes)、運転支援ECU10は、本ルーチンを終了する。従って、自車両Aの偏向角が制御終了角度θ*に到達した時点で自動操舵制御が終了する。これにより、連続障害物Xとの衝突が回避される。
また、自動操舵制御の途中で経過時間tが制限時間tmaxに到達した場合(S17:Yes)、運転支援ECU10は、本ルーチンを終了する。従って、自動操舵制御の実施時間が制限時間tmaxに到達した時点で自動操舵制御が終了する。
また、自動操舵制御の途中で、自車両Aの縦方向移動距離Dxが上限距離Dmaxに到達した場合(S18:Yes)、運転支援ECU10は、本ルーチンを終了する。従って、自車両Aの偏向角が制御終了角度θ*に到達していなくても、自動操舵制御が終了する。これにより、前方センサが誤って連続障害物X’を検知し、この検知した連続障害物X’を衝突回避対象として自動操舵制御が実施されても、自車両Aが連続障害物X’を通り抜けると自動操舵制御が終了する。
以上説明した本実施形態の衝突回避支援装置によれば、連続障害物Xが検知された場合に、連続障害物Xの延びる方向に自車両Aを偏向させるべく、連続障害物Xの延びる方向に応じて設定される制御終了角度θ*まで自車両Aを偏向させる回避目標軌道が設定され、自車両Aが回避目標軌道に沿って走行するように自動操舵制御が実施される。
また、自動操舵制御の途中で自車両Aの縦方向移動距離Dxが上限距離Dmaxに到達した場合には、自車両Aの偏向角が制御終了角度θ*に到達していなくても、自動操舵制御が終了する。従って、前方センサが誤って連続障害物X’を検知した場合であっても、自動操舵制御を早めに終了させることができる。
例えば、自動操舵制御は、制限時間tmaxによっても終了させることができるが、自動操舵制御が正常に実施されている場合(正しく連続障害物Xが検知されている場合)には、その途中で時間制限によって終了させないようにする必要がある。このため、制限時間tmaxは、短めの時間に設定することができない。
これに対して、本実施形態においては、前方センサが誤って連続障害物X’を検知した場合であっても、ステップS18の処理が組み込まれているため、自動操舵制御を早めに終了させることができる。この結果、ドライバーが違和感を覚える期間を短縮することができる。
以上、本実施形態に係る衝突回避支援装置について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、連続障害物操舵回避制御は、自動ブレーキ制御と並行して実施されてもよいし、自動ブレーキ制御を実施することなく単独で実施されてもよい。また、例えば、自動ブレーキ制御だけでは、衝突回避をすることができないと判定される場合に限って、連続障害物操舵回避制御が実施されるように構成されていてもよい。
また、本実施形態においては、自車両の前方情報に基づいて自動操舵制御を実施するように構成されているが、例えば、自車両の後方周辺(例えば、左後側方および右後側方)を検知するレーダセンサおよびカメラセンサ等からなる後方センサを備えて、自車両の後方情報についても取得する構成であってもよい。この場合には、自車両の後方を走行している他車両を監視しながら、自動操舵制御による衝突回避支援を実施することができる。
10…運転支援ECU、11…カメラセンサ、12…レーダセンサ、13…ブザー、14…設定操作器、20…メータECU、21…表示器、30…電動パワーステアリングECU、31…モータドライバ、32…転舵用モータ、40…ブレーキECU、41…ブレーキアクチュエータ、42…摩擦ブレーキ機構、50…車両状態センサ、60…運転操作状態センサ、A…自車両、t…経過時間、tmax…制限時間、Dx…縦方向移動距離、Dmax…上限距離、D1…最遠点距離、Dm…マージン距離、X,X’…連続障害物(連続構造物)、P…最遠点、R…回避目標軌道。
Claims (1)
- 自車両の前方に存在する障害物を検知する障害物検知手段と、
前記自車両が前記障害物と衝突する可能性が高い場合に、前記自車両と前記障害物との衝突を回避するための自動操舵制御を実施する操舵回避制御手段と
を備えた衝突回避支援装置において、
前記操舵回避制御手段は、
前記障害物検知手段によって、前記自車両の中心から前方に延びる直線である前方中心線に対して斜め前方に傾いて延びる連続的な障害物が検知された場合に、前記連続的な障害物の延びる方向に前記自車両を偏向させるように自動操舵制御を開始し、前記自車両の偏向角が、前記連続的な障害物の延びる方向に応じて設定される制御終了角度に到達したときに前記自動操舵制御を終了する連続障害物操舵回避制御手段と、
前記自動操舵制御の開始時点における前記自車両の前後方向を縦方向と定義し、前記自動操舵制御の開始からの前記自車両の縦方向の移動量が、前記自動操舵制御の開始時における前記連続的な障害物の前記自車両から最も離れた点までの前記自車両からの縦方向の距離に応じて設定される上限距離以上であるか否かを判定する縦方向移動量判定手段と、
前記縦方向移動量判定手段によって前記縦方向の移動量が前記上限距離以上であると判定された場合、前記自車両の偏向角が前記制御終了角度に到達していなくても前記連続障害物操舵回避制御手段の実施する前記自動操舵制御を終了させる自動操舵制御実施制限手段と
を備えた衝突回避支援装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2020016450A JP2021124830A (ja) | 2020-02-03 | 2020-02-03 | 衝突回避支援装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2020016450A JP2021124830A (ja) | 2020-02-03 | 2020-02-03 | 衝突回避支援装置 |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2021124830A true JP2021124830A (ja) | 2021-08-30 |
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ID=77458910
Family Applications (1)
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JP2020016450A Pending JP2021124830A (ja) | 2020-02-03 | 2020-02-03 | 衝突回避支援装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2021124830A (ja) |
-
2020
- 2020-02-03 JP JP2020016450A patent/JP2021124830A/ja active Pending
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