JP2021104908A - ガス検出材料 - Google Patents

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Masahito Tsujiguchi
雅人 辻口
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【課題】本発明は、肺がんセンサー等に使用されるガス検出材料に関する。GC−MSは、大がかりで非常に高価であり、分析に長時間を要するという問題がある。本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、目的とするガスを安価かつ容易に検出することが可能なガス検出材料を提供する。【解決手段】質量%でZrO2を4%超含有する多孔質ガラス、並びに、前記多孔質ガラスが有する細孔内に担持されたアルカリ性化合物及びガス検知剤、を備えることを特徴とするガス検出材料。【選択図】なし

Description

本発明は、肺がんセンサー等に使用されるガス検出材料に関する。
肺がんは、死亡率が最も高いがんのひとつである。それは現状の主な検査方法である胸部エックス線撮影では、肺がんの早期発見が困難なことによるものである。そこで、呼気から肺がん患者に特異的に増加する成分を分析することにより、肺がんを早期診断する方法が検討されている。
例えば、ガスクロマトグラフィー質量分析計(GC−MS)を用いて、肺がん患者の呼気を分析した結果、健常者と比較し、ノナナール等のアルデヒド系ガスが高濃度で含まれているといった結果が開示されている(例えば、非特許文献1参照)。
半田、宮澤、肺がんの呼気分析による診断、医学のあゆみ、Vol.240、No.11、933−935(2012)
しかしながら、GC−MSは、大がかりで非常に高価であり、分析に長時間を要するという問題がある。
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、目的とするガスを安価かつ容易に検出することが可能なガス検出材料を提供することを目的とする。
本発明のガス検出材料は、質量%でZrOを4%超含有する多孔質ガラス、並びに、前記多孔質ガラスが有する細孔内に担持されたアルカリ性化合物及びガス検知剤、を備えることを特徴とする。
多孔質ガラスの細孔内に担持されたガス検知剤が、触媒であるアルカリ性化合物下にてアルデヒド系ガスと反応すると、ガス検知剤の特定波長での吸光度が変化する。この吸光度の変化を測定することにより、アルデヒド系ガスを検出することができる。
なお、多孔質ガラスの耐アルカリ性が低い場合、アルカリ性化合物により細孔の内壁が一部溶解して軟化流動し、細孔が目詰まりを起こすおそれがある。この場合、ガス検知剤を細孔内に担持することが困難になる。特に多孔質ガラスの細孔径が小さい場合は、この問題が生じやすい。一方、本発明のガス検出材料は、使用する多孔質ガラスが、質量%でZrOを4%超と多く含有することにより耐アルカリ性に優れるため、上記のような不具合が発生しにくい。
本発明のガス検出材料は、多孔質ガラスが、質量%で、SiO 50%以上を含有することが好ましい。
本発明のガス検出材料は、細孔径分布の中央値が200nm以下であることが好ましい。
本発明のガス検出材料は、アルカリ性化合物が、水酸化ナトリウムであることが好ましい。
本発明のガス検出材料は、ガス検知剤が、バニリン、及び/又はバニリンの誘導体であることが好ましい。
本発明のガス検出材料は、アルデヒド系ガス検出用であることが好ましい。
本発明によれば、目的とするガスを安価かつ容易に検出することが可能なガス検出材料を提供することができる。
本発明のガス検出材料は、多孔質ガラス、アルカリ性化合物及びガス検知剤を備える。アルカリ性化合物とガス検知剤は、多孔質ガラスが有する細孔内に担持されている。
以下に各構成要素ごとに説明する。
(多孔質ガラス)
本発明のガス検出材料において、多孔質ガラスは、アルカリ性化合物及びガス検知剤を担持させるための担体としての役割を有する部材である。本発明のガス検出材料は、ガス検知剤の特定波長での吸光度の変化を測定することにより、アルデヒド系ガスを検出するため、高い光透過率が要求される。多孔質ガラスは、多孔質高分子材料、多孔質セラミック、シリカゲル等の他の多孔体と比較して、光透過性に優れるため好ましい。
多孔質ガラスは、質量%で、ZrOを4%超、5%以上、6%以上、特に7%以上含有することが好ましい。ZrOの含有量が少なすぎると、多孔質ガラスの耐アルカリ性に劣り、上述したような不具合が発生しやすくなる。ZrOの含有量の上限は特に限定されないが、多すぎると、多孔質ガラスの製造工程においてガラス母材が失透しやすくなるとともに分相しにくくなる。よって、ZrOの含有量は30%以下、25%以下、20%以下、15%以下、12%以下、特に10%以下であることが好ましい。
多孔質ガラスは、質量%で、SiOを50%以上、54%以上、60%以上、70%以上、80%以上、特に85%以上含有することが好ましい。SiOの含有量が少なすぎると、多孔質ガラスの耐アルカリ性、耐候性、機械的強度が低下しやすくなる。SiOの含有量の上限は特に限定されないが、他成分の含有量を考慮し、96%未満であり、95%以下、94%以下、特に93%以下であることが好ましい。
多孔質ガラスは、上記成分以外にも、質量%で、NaO 0〜15%(さらには1〜10%)、KO 0〜10%(さらには0超〜5%)、P 0〜10%(さらには0超〜10%、特に0.05〜8%)、Al 0〜20%(さらには0超〜20%、特に1〜15%)、及び、RO(RはMg、Ca、Sr及びBaから選択される少なくとも1種) 0〜20%(さらには、0超〜15%)を含有していてもよい。これらの成分は、多孔質ガラスを製造するためのガラス母材が含有する成分に由来するものである。
多孔質ガラスは、例えば、ガラス母材を熱処理してシリカリッチ相と酸化ホウ素リッチ層の2相に分相させ、一方の相を酸で除去することにより得られる。ガラス母材としては、モル%で、SiO 40〜80%、B 0超〜40%、LiO 0〜20%、NaO 0〜20%、KO 0〜20%、P 0〜2%、ZrO 0超〜20%、Al 0〜10%、RO(RはMg、Ca、Sr及びBaから選択される少なくとも1種) 0〜20%を含有するものが挙げられる。以下に、ガラス母材における各成分の含有量をこのように特定した理由を説明する。なお、特に断りがない場合、以下のガラス母材における成分含有量に関する説明において、「%」は「モル%」を意味する。
SiOはガラスネットワークを形成する成分である。SiOの含有量は40〜80%、45〜75%、47〜60%、特に50〜65%であることが好ましい。SiOの含有量が少なすぎると、多孔質ガラスの耐候性や機械的強度が低下する傾向がある。また、製造工程において、シリカゲルの水和による膨張量が、シリカリッチ相中からNaO等のアルカリ成分が溶出することによる収縮量より小さくなりやすく、多孔質ガラスに割れが発生しやすくなる。一方、SiOの含有量が多すぎると、分相しにくくなる。
はガラスネットワークを形成し、分相を促進する成分である。Bの含有量は0超〜40%、10〜30%、特に15〜25%であることが好ましい。Bの含有量が多すぎると、ガラス母材の耐候性が低下しやすくなる。
LiOは溶融温度を低下させて溶融性を改善する成分であるとともに、分相を促進させる成分である。LiOの含有量は0〜20%、0超〜20%、0.3〜15%、特に0.6〜10%であることが好ましい。LiOの含有量が多すぎると、逆に分相しにくくなる。
NaOは溶融温度を低下させて溶融性を改善する成分であるとともに、分相を促進させる成分である。NaOの含有量は0〜20%、0超〜20%、3〜15%、特に4〜10%であることが好ましい。NaOの含有量が少なすぎると、上記効果を得にくい。一方、NaOの含有量が多すぎると、逆に分相しにくくなる。
Oは溶融温度を低下させて溶融性を改善する成分であるとともに、分相を促進させる成分である。また、シリカリッチ相中のZrO含有量を増加させる成分である。そのため、KOを含有させることにより、得られる多孔質ガラス中のZrO含有量が増加し、耐アルカリ性を向上させることができる。KOの含有量は0〜20%、0超〜20%、0.3〜5%、特に0.8〜3%であることが好ましい。KOの含有量が多すぎると、逆に分相しにくくなる。
LiO+NaO+KOの含有量は0〜20%、0超〜20%、2〜15%、4〜12%、特に5〜10%であることが好ましい。LiO+NaO+KOの含有量が多すぎると、分相しにくくなる。
NaO/Bは0.1〜0.5、0.15〜0.45、特に0.2〜0.4であることが好ましい。このようにすれば、製造工程において、シリカゲルの水和による膨張量と、シリカリッチ相中からNaOが溶出することによる収縮量のバランスが取れ、多孔質ガラスに割れが発生しにくくなる。
(LiO+NaO+KO)/Bは0.2〜0.5、0.29〜0.45、0.31〜0.42、特に0.33〜0.42であることが好ましい。このようにすれば、製造工程において、シリカゲルの水和による膨張量と、シリカリッチ相中からアルカリ成分が溶出することによる収縮量のバランスが取れ、多孔質ガラスに割れが発生しにくくなる。
は分相を顕著に促進させる成分である。また、シリカリッチ相中のZrO含有量を増加させる成分である。そのため、Pを含有させることにより、得られる多孔質ガラス中のZrO含有量が増加し、耐アルカリ性を向上させることができる。Pの含有量は0〜2%、0超〜2%、0.01〜1.5%、特に0.02〜1%であることが好ましい。Pの含有量が多すぎると、溶融中に分相しやすくなる。ガラスが溶融中に分相すると、分相状態を制御できず、透明性を有するガラスを得にくくなる。またPの含有量が多すぎると、溶融中に結晶化しやすくなり、この場合も透明性を有するガラスを得にくくなる。
なお、得られる多孔質ガラス中のZrO含有量を高めるためには、KO及びPから選択される少なくとも1種を必須成分として含有することが好ましい。
ZrOはガラス母材の耐候性や多孔質ガラスの耐アルカリ性を向上させる成分である。ZrOの含有量は0超〜20%、2〜15%、特に2.5〜12%であることが好ましい。ZrOの含有量が少なすぎると、上記効果を得にくい。一方、ZrOの含有量が多すぎると、失透しやすくなるとともに分相しにくくなる。
なおP/ZrOは、0.005〜0.5、特に0.01〜0.2であることが好ましい。P/ZrOが大きすぎると溶融中に分相または結晶化しやすくなり、透明性を有するガラスを得にくくなる。一方、P/ZrOが小さすぎると分相しにくくなる。
Alは多孔質ガラスの耐候性や機械的強度を向上させる成分である。Alの含有量は0〜10%であり、0.1〜7%、特に1〜5%であることが好ましい。Alの含有量が多すぎると、溶融温度が上昇し溶融性が低下しやすくなる。
RO(RはMg、Ca、Sr及びBaから選択される少なくとも1種)は、シリカリッチ相中のZrO含有量を増加させる成分である。そのため、ROを含有させることにより、得られる多孔質ガラス中のZrO含有量が増加し、耐アルカリ性を向上させることができる。また、ROは多孔質ガラスの耐候性を向上させる成分である。ROの含有量(MgO、CaO、SrO及びBaOの合量)は0〜20%であり、1〜17%、3〜15%、4〜13%、5〜12%、特に6.5〜12であることが好ましい。ROの含有量が多すぎると、分相しにくくなる。なお、MgO、CaO、SrO及びBaOの含有量は各々0〜20%、1〜17%、3〜15%、4〜13%、5〜12%、特に6.5〜12であることが好ましい。また、MgO、CaO、SrO及びBaOから選択される少なくとも2種の成分を含有させる場合、その合量は0〜20%、1〜17%、3〜15%、4〜13%、5〜12%、特に6.5〜12であることが好ましい。ROのなかで、多孔質ガラスの耐アルカリ性を向上させる効果が特に大きいという点で、CaOを使用することが好ましい。
ガラス母材には、上記成分以外にも下記の成分を含有させることができる。
ZnOはシリカリッチ相中のZrO含有量を増加させる成分である。また多孔質ガラスの耐候性を向上させる効果もある。ZnOの含有量は0〜20%、0〜10%、特に0〜3%未満であることが好ましい。ZnOの含有量が多すぎると、分相しにくくなる。
また、TiO、La、Ta、TeO、Nb、Gd、Y、Eu、Sb、SnO及びBi等を各々15%以下、各々10%以下、特に各々5%以下、合量で30%以下の範囲で含有させてもよい。
なお、PbOは環境負荷物質であるため、実質的に含有しないことが好ましい。ここで「実質的に含有しない」とは、意図的に原料として含有させないことを意味し、不可避的不純物の混入を排除するものではない。客観的には含有量が0.1%未満であることを意味する。
上記のガラス組成となるように調合したガラスバッチを、例えば1300〜1600℃で4〜12時間溶融する。次いで、溶融ガラスを成形した後、例えば400〜600℃で10分〜10時間徐冷を行うことによりガラス母材を得る。得られたガラス母材の形状は特に限定されないが、平面形状が矩形や円形の板状であることが好ましい。なお、得られたガラス母材を所望の形状にするために、切削、研磨等の加工を施しても構わない。
得られたガラス母材は、アスペクト比が2〜1000、特に5〜500であることが好ましい。アスペクト比が小さすぎると、酸化ホウ素リッチ相を酸により除去(エッチング)する工程において、ガラス母材の表面と内部にてエッチング速度に大きな差が出るため、多孔質ガラス内部に応力が発生しやすく、割れが発生しやすくなる。一方、アスペクト比が大きすぎると、取り扱いにくくなる。なお、アスペクト比は下記の式により算出する。
アスペクト比=(ガラス母材の底面積)1/2/ガラス母材の厚み
なお、得られたガラス母材の底面積と厚みは、上記アスペクト比となるように適宜調整すればよい。例えば、底面積は1〜1000mm、特に5〜500mmであることが好ましく、厚みは0.1〜1mm、特に0.2〜0.5mmであることが好ましい。
次に、得られたガラス母材を熱処理し、シリカリッチ相と酸化ホウ素リッチ相の2相に分相(スピノーダル分相)させる。熱処理温度は500〜800℃、特に600〜750℃であることが好ましい。熱処理温度が高すぎると、ガラス母材が軟化し、所望の形状を得にくくなる。一方、熱処理温度が低すぎると、ガラス母材を分相させにくくなる。熱処理時間は1分以上、10分以上、特に30分以上であることが好ましい。熱処理時間が短すぎると、ガラス母材を分相させにくくなる。熱処理時間の上限は特に限定されないが、長時間熱処理しても分相はある一定以上は進まなくなるため、現実的には180時間以下である。
次に、2相に分相させたガラス母材を酸に浸漬させ、酸化ホウ素リッチ相を除去し、多孔質ガラス(多孔質ガラス部材)を得る。酸としては、塩酸や硝酸を用いることができる。なお、これらの酸を混合して用いてもよい。酸の濃度は0.1〜5規定、特に0.5〜3規定であることが好ましい。浸漬時間は1時間以上、10時間以上、特に20時間以上であることが好ましい。浸漬時間が短すぎると、エッチングが不十分となり、所望の連続孔を有する多孔質ガラスを得にくくなる。浸漬時間の上限は特に限定されないが、現実的には100時間以下である。酸の温度は20℃以上、25℃以上、特に30℃以上であることが好ましい。酸の温度が低すぎると、エッチングが不十分となり、所望の連続孔を有する多孔質ガラスを得にくくなる。酸の温度の上限は特に限定されないが、現実的には、95℃以下である。
なお、ガラス母材を分相させる工程において、ガラス母材の最表面にシリカ含有層(シリカを概ね80モル%以上含有する層)が形成される場合がある。シリカ含有層は酸で除去し難いため、シリカ含有層が形成された際は、分相させたガラス母材を切削または研磨し、シリカ含有層を除去した後に酸に浸漬させると、酸化ホウ素リッチ相を除去しやすくなる。また、シリカ含有層を除去するために、分相後のガラス母材をフッ酸に短時間浸漬させてもよい。
多孔質ガラスの細孔径分布の中央値は、200nm以下、100nm以下、80nm以下、60nm以下、50nm以下、45nm以下、特に42nm以下であることが好ましい。このように細孔径分布の中央値を小さくすれば、多孔質ガラスの光透過率が高くなり、ガス検知感度が向上しやすくなる。細孔径分布の中央値の下限は特に限定されないが、現実的には1nm以上、2nm以上、さらには4nm以上である。また、孔の形状としては、真球状や略楕円状の孔の連続体や、チューブ状等が挙げられる。なお、多孔質ガラスのアスペクト比、底面積、厚み等の寸法はガラス母材と同様である。
多孔質ガラスは、波長400nmにおける厚み0.5mmでの光透過率が0.02%以上、0.05%以上、特に0.1%以上であることが好ましい。光透過率が低すぎると、ガス検出材料の担体として使用することが困難となる傾向がある。
(アルカリ性化合物)
アルカリ性化合物としては、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属の炭酸塩、アルカリ金属の炭酸水素塩、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属の炭酸塩等を使用することができる。なかでも、触媒能力が高い水酸化ナトリウムを使用することが好ましい。
(ガス検知剤)
ガス検知剤としては、吸収波長が350〜750nmにあり、アルカリ性化合物下でアルデヒド系ガスと反応し、吸光度が変化するものであれば特に限定されないが、バニリン、及び/又はバニリン誘導体を使用することが好ましい。バニリン、及び/又はバニリン誘導体は、室温で揮発しないため取り扱いやすいという利点がある。なお、これ以外のガス検知剤を使用することも可能である。
次に、本発明のガス検出材料の製造方法の一例について説明する。
まず、アルカリ性化合物、及びガス検知剤を水等の溶媒と混合し、アルカリ性化合物、及びガス検知剤を含んだ混合液を得る。混合液中におけるアルカリ性化合物の濃度は0.1〜10規定、特に0.25〜5規定が好ましい。アルカリ性化合物の濃度が低すぎると、ガスとガス検知剤との反応が十分進まない虞がある。一方、アルカリ性化合物の濃度が高すぎると、多孔質ガラスと反応しやすくなり、多孔質ガラスの機械的強度が低下する虞がある。
ガス検知剤の添加量(混合液中における含有量)は、多孔質ガラスに対する質量比で、ガス検知剤/多孔質ガラス=0.01〜100、特に0.1〜10が好ましい。ガス検知剤の添加量が少なすぎると、ガス検出材料の機能が不十分になる傾向がある。一方、ガス検知剤が多すぎると、多孔質ガラスの細孔を塞いでしまう虞があり、この場合もガス検出材料の機能が不十分になる傾向がある。
次に、得られた混合液中に、多孔質ガラスを浸漬させることにより、多孔質ガラスの細孔内にアルカリ性化合物、及びガス検知剤が担持されたガス検出材料を得る。なお、0.01〜100L(好ましくは0.1〜10L)の混合液に対して、0.01g〜10kg(好ましくは10g〜10kg)の多孔質ガラスを浸漬させることが好ましく、浸漬時間は、1分〜50時間であることが好ましい。なお、多孔質ガラスを浸漬させた後、減圧乾燥等により水分を揮発させても構わない。
次に、アルデヒド系ガスを検出する方法について説明する。
まず、ガス検出材料の特定波長での吸光度を分光光度計等により測定する。
次に、ガス検出材料を測定ガスが封入されたテトラバック等に入れ、1分〜5時間放置することにより、ガス検出材料に測定ガスを暴露させる。なお、ガス検出材料と測定ガスとの反応を促進させるために、暴露後のガス検出材料を50〜200℃にて5分〜1時間加熱しても構わない。
次いで、暴露後のガス検出材料の特定波長での吸光度を分光光度計等により測定し、先に測定したガス検出材料の吸光度と異なれば、測定ガス中にアルデヒド系ガスが含まれていることになる。なお、あらかじめアルデヒド系ガスの量が既知の標準ガスを用いて、検量線を作成すれば、暴露前後でのガス検出材料の吸光度の差から、アルデヒド系ガスの量を求めることも可能である。
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(多孔質ガラスの作製)
モル%で、SiO 58%、B 20%、NaO 6.2%、ZrO 3%、Al 2%、CaO 9.5%、KO 1.2%、P 0.1%のガラス組成になるように調合した原料を白金坩堝に入れ、1450℃で4時間溶融した。原料の溶融に際しては、白金スターラーを用いて攪拌し、均質化を行った。次いで、得られた溶融ガラスを金属板上に流し出して板状に成形した後、580℃〜540℃で30分間徐冷しガラス母材を得た。
得られたガラス母材を10mm×10mm×0.5mmのサイズとなるよう切削及び研磨した。その後、電気炉にて680℃で10時間熱処理し、分相させた。分相後のガラス母材を、1規定の硝酸(95℃)中に48時間浸漬した後、イオン交換水で洗浄し、続いて3規定の硫酸(95℃)中に48時間浸漬した後、イオン交換水で洗浄した。
得られた多孔質ガラスの断面をFE−SEM(電界放出形走査電子顕微鏡、日立製作所社製SU−8220)で観察したところ、いずれのガラスも、スピノーダル分相に基づいたスケルトン構造を有していた。また、得られた多孔質ガラスの組成は、質量%で、SiO 88%、ZrO 8%、Al 3%、P 1%であり、細孔径分布の中央径は40nmであった。また、波長420nmにおける厚み0.5mmでの光透過率は約10%であった。
ガラス組成は、エネルギー分散型X線分析装置(堀場製作所社製 EX−250)により測定した。
細孔分布の中央値は、細孔径分布測定装置(カンタクローム社製 QUADRASORB SI)により測定した。
光透過率は、分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製 UH−4150)により測定した。
(ガス検出材料の作製)
バニリン0.05gと純水5mlを混合し、バニリン水溶液を得た。つぎに、水酸化ナトリウム2gを純水10mlと混合し、水酸化ナトリウム濃度が5規定である水酸化ナトリウム水溶液を得た。バニリン水溶液5mlと水酸化ナトリウム水溶液10mlを混合し、混合溶液15mlを得た。
多孔質ガラスを、上記混合溶液15mlに2時間浸漬させた後、多孔質ガラスを減圧中に24時間放置して水分を蒸発させることにより、ガス検出材料を得た。
(ノナナールの検出)
まず、上記で作製したガス検出材料の波長420nmでの吸光度を分光光度計(日立ハイテクサイエンス社製 UH−4150)により測定したところ、吸光度(a.u.)は3.2であった。
次に、ガス検出材料をノナナール2.8ppmを含有するガスを封入したテトラバックに入れ、4時間放置することにより、ガス検出材料にガスを暴露させた。次いで、暴露後のガス検出材料を100℃にて60分間加熱した。
加熱後のガス検出材料の波長420nmでの吸光度を分光光度計により測定したところ、吸光度は4.1と暴露前の吸光度より0.9大きくなった。このことより、ppmオーダーでのノナナールの検出が可能であることが分かった。
(比較例)
モル%で、SiO 59%、B 20%、NaO 7%、ZrO 3%、Al 2%、CaO 9%のガラス組成になるように調合した原料を白金坩堝に入れ、1400℃で4時間溶融したこと以外は、実施例と同様にして多孔質ガラスを作製した。
得られた多孔質ガラスの断面をFE−SEMで観察したところ、いずれのガラスも、スピノーダル分相に基づいたスケルトン構造を有していた。また、得られた多孔質ガラスの組成は、質量%でSiO 93%、ZrO 4%、Al 3%であり、細孔径分布の中央径は40nmであった。また、波長420nmにおける厚み0.5mmでの光透過率は約30%であった。
得られた多孔質ガラスを用い、濃度が2.5規定である水酸化ナトリウム水溶液を用いた以外は、実施例と同様にしてガス検出材料を作製した。
(ノナナールの検出)
まず、作製したガス検出材料の波長420nmでの吸光度を分光光度計により測定したところ、吸光度は3.2であった。
次に、ガス検出材料をノナナール2.8ppmを含有するガスを封入したテトラバックに入れ、4時間放置することにより、ガス検出材料にガスを暴露させた。次いで、暴露後のガス検出材料を100℃にて60分間加熱した。
加熱後のガス検出材料の波長420nmでの吸光度を分光光度計により測定したところ、吸光度は3.2と暴露前の吸光度と変化が見られなかった。このことより、ppmオーダーでのノナナールの検出が不可能であることが分かった。
本発明のガス検出材料は、呼気診断、皮膚ガス測定、口臭チェッカー、環境モニタリング、作業環境管理など幅広い用途に好適である。

Claims (6)

  1. 質量%でZrOを4%超含有する多孔質ガラス、並びに、前記多孔質ガラスが有する細孔内に担持されたアルカリ性化合物及びガス検知剤、を備えることを特徴とするガス検出材料。
  2. 前記多孔質ガラスが、質量%で、SiO 50%以上を含有することを特徴とする請求項1に記載のガス検出材料。
  3. 細孔径分布の中央値が200nm以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のガス検出材料。
  4. 前記アルカリ性化合物が、水酸化ナトリウムであることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のガス検出材料。
  5. 前記ガス検知剤が、バニリン、及び/又はバニリンの誘導体であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のガス検出材料。
  6. アルデヒド系ガス検出用であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のガス検出材料。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH0446037A (ja) * 1990-06-13 1992-02-17 Central Glass Co Ltd ポーラスガラス用組成物

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辻口雅人: "「耐アルカリ性多孔質ガラスを用いたガスセンサー」", 第80回応用物理学会秋季学術講演会 講演予稿集, JPN6023026480, September 2019 (2019-09-01), JP, pages 11 - 020, ISSN: 0005095340 *

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