JP2021090321A - 光電変換素子のi−v特性データ決定プログラム及びi−v特性データ決定方法 - Google Patents
光電変換素子のi−v特性データ決定プログラム及びi−v特性データ決定方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】正確なI−V特性データを短時間で簡便に決定できるプログラムを提供する。【解決手段】光電変換素子のI−V特性データ決定プログラムであって、I−V特性データ測定装置に、特定の遅延・積算時間で、光電変換素子への印加電圧を片道掃引させてI−V特性データを取得させる処理P2、データに基づいて、式(1)のRを算出する処理P3、Rが式(2)を満足するか判別する処理を実行させ、判別時にRが式(2)を満足しない場合、遅延・積算時間を変更し、満足するまで、上記処理を行うステップを繰り返す処理P4を実行させるプログラム。R=dI(V)/dV・・(1)(Vは0〜Vocの印加電圧、I(V)は電流値、Vocは開放電圧)R≦δ・・(2)(δは、3個以上の素子のデータにおいて、Rmaxの平均値x、標準偏差をσとしたときに、x+3σ。Rmaxは3個以上の素子のデータのRの最大値。)【選択図】図2
Description
本発明は、光電変換素子のI−V特性データ決定プログラム及びI−V特性データ決定方法に関する。
光電変換素子のI−V特性データは、光電変換素子をソースメータに電気的接続をして、印加する電圧を掃引し、印加電圧に対する電流値を測定することで得られる。
従来、光電変換素子のI−V特性データ決定方法としては、印加電圧を開放電圧Vocから0Vまで逆方向掃引した後、印加電圧を0Vから開放電圧Vocまで順方向掃引すること、すなわち往復掃引することによってI−V特性データを測定し、得られるI−V特性同士間のヒステリシスが無くなるか小さくなるI−V特性データを正確なI−V特性データとして決定する方法が知られている(例えば下記非特許文献1参照)。
Y. Hishikawa, "Traceable Performance Characterization of State-of-the Art PV Devices", Proceedings of the 27th EUPVSEC, 2954-2960(2012)
しかし、上記非特許文献1に記載の光電変換素子のI−V特性データ決定方法は、以下に示す課題を有していた。
すなわち、例えば光増感色素を用いた光電変換素子では、光に対する応答が遅い場合があり、その場合には、数百個の光電変換素子のI−V特性データを上記I−V特性データ決定方法で測定すると、往復掃引が行われるため極めて時間がかかる。また、I−V特性データに基づいてI−V曲線を出力し、オペレータが確認すれば、I−V特性データの異常を容易に評価できる。しかし、この場合も、数多くの光電変換素子について正確なI−V特性データを決定するのに極めて時間がかかる。さらに、光電変換素子について長期の耐久性試験を行い、I−V特性データを経時的に測定する場合、光劣化や熱劣化を起こした光電変換素子では、初期状態に比べて光応答がさらに遅くなることがある。この場合、印加電圧の掃引速度に関する測定条件である遅延時間や積算時間を初期値のままで引き続き電圧掃引を行うと、掃引速度が速すぎることとなり、不正確なI−V特性データが得られるおそれがある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、正確なI−V特性データを短時間で簡便に決定することができる光電変換素子のI−V特性データ決定プログラム及びI−V特性データ決定方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、光電変換素子のI−V特性データを決定するための光電変換素子のI−V特性データ決定プログラムであって、コンピュータに対し、前記光電変換素子に接続されたI−V特性データ測定装置に、特定の遅延時間及び積算時間で、前記光電変換素子に印加する電圧を片道掃引させ、印加電圧に対応する電流値を測定させることによりI−V特性データを測定させてI−V特性データを取得するデータ取得処理、前記I−V特性データに基づいて、下記式(1)で表されるRを算出する算出処理、及び、前記Rが下記式(2)を満足するかどうかを判別する判別処理を実行させ、前記判別処理で、前記Rが下記式(2)を満足しない場合には、前記遅延時間及び前記積算時間の少なくとも一方を変更し、前記Rが下記式(2)を満足するまで、前記データ取得処理、前記算出処理及び前記判別処理を行うステップを繰り返す繰返し処理を実行させる、光電変換素子のI−V特性データ決定プログラムである。
R=dI(V)/dV・・・(1)
(前記式(1)中、Vは、0以上Voc以下の範囲の印加電圧を表し、I(V)は、印加電圧がVであるときに取得される電流値を表し、VocはI−V特性データにおいて電流値がゼロのときの電圧を表す。)
R≦δ・・・・・・・・・・(2)
(前記式(2)中、δは、前記光電変換素子と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子について測定されたI−V特性データにおいて、Rmaxの平均値をxとし、Rmaxの標準偏差をσとしたときに、x+3σである。Rmaxは、前記光電変換素子と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子の各々について測定されたI−V特性データにおける前記Rの最大値を表す。)
R=dI(V)/dV・・・(1)
(前記式(1)中、Vは、0以上Voc以下の範囲の印加電圧を表し、I(V)は、印加電圧がVであるときに取得される電流値を表し、VocはI−V特性データにおいて電流値がゼロのときの電圧を表す。)
R≦δ・・・・・・・・・・(2)
(前記式(2)中、δは、前記光電変換素子と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子について測定されたI−V特性データにおいて、Rmaxの平均値をxとし、Rmaxの標準偏差をσとしたときに、x+3σである。Rmaxは、前記光電変換素子と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子の各々について測定されたI−V特性データにおける前記Rの最大値を表す。)
この光電変換素子のI−V特性データ決定プログラムによれば、光電変換素子に接続されたI−V特性データ測定装置に、特定の遅延時間及び積算時間で、光電変換素子に印加する電圧を片道掃引させ、印加電圧に対応する電流値を測定させることによりI−V特性データを測定させる処理をコンピュータに実行させる。また、I−V特性データに基づいてI−V曲線を出力し、オペレータが確認する必要もなくなる。このため、I−V特性データを短時間で測定することができる。また、Rが式(2)を満足するかどうかを判別することで取得されるI−V特性データが不正確であるかどうかを簡便に判別することができる。さらに、Rが式(2)を満足しない場合には、上記繰返し処理で、遅延時間及び積算時間の少なくとも一方を変更した上で、Rが式(2)を満足するまでデータ取得処理、算出処理及び判別処理を行うステップが繰り返される。このため、最終的に正確なI−V特性データを決定することができる。従って、本発明の光電変換素子のI−V特性データ決定プログラムは、正確なI−V特性データを短時間で簡便に決定することができる。
なお、本発明の光電変換素子のI−V特性データ決定プログラムによれば、I−V特性データを短時間で測定することができるため、本発明の光電変換素子のI−V特性データ決定プログラムは、光応答が遅い光電変換素子のI−V特性データを測定する場合や、大量の光電変換素子についてI−V特性データを測定する場合に有用である。また、本発明の光電変換素子のI−V特性データ決定プログラムでは、Rが式(2)を満足しない場合には、上記繰返し処理で、遅延時間及び積算時間の少なくとも一方を変更した上で、Rが式(2)を満足するまでデータ取得処理、算出処理及び判別処理を行うステップが繰り返される。このため、本発明の光電変換素子のI−V特性データ決定プログラムは、光応答が経時的に遅くなる光電変換素子について特に有効である。さらに、正確なI−V特性データにおいては、δは、印加電圧が0〜Vocの範囲内である場合において、通常0以下であるか、0を超える正の数であったとしても十分小さい値である。このため、データ取得処理において印加電圧の遅延時間及び積算時間が短すぎる場合に特徴的な、一部の電流値が高くなるI−V特性データや一部の電流値が急激に落ち込んでいるI−V特性データについては、不正確なI−V特性データとして判別処理において容易に判別することができる。
また、本発明は、光電変換素子のI−V特性データを決定するための光電変換素子のI−V特性データ決定方法であって、前記光電変換素子に接続されたI−V特性データ測定装置に、特定の遅延時間及び積算時間で、前記光電変換素子に印加する電圧を片道掃引させ、印加電圧に対応する電流値を測定させることによりI−V特性データを測定させてI−V特性データを取得するデータ取得処理、前記I−V特性データに基づいて、下記式(1)で表されるRを算出する算出処理、及び、前記Rが下記式(2)を満足するかどうかを判別する判別処理を行い、前記判別処理で、前記Rが下記式(2)を満足しない場合には、前記遅延時間及び前記積算時間の少なくとも一方を変更し、前記Rが下記式(2)を満足するまで、前記データ取得処理、前記算出処理及び前記判別処理を行うステップを繰り返す繰返し処理を行う、光電変換素子のI−V特性データ決定方法である。
R=dI(V)/dV・・・(1)
(前記式(1)中、Vは、0以上Voc以下の範囲の印加電圧を表し、I(V)は、印加電圧がVであるときに取得される電流値を表し、VocはI−V特性データにおいて電流値がゼロのときの電圧を表す。)
R≦δ・・・・・・・・・・(2)
(前記式(2)中、δは、前記光電変換素子と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子の各々について測定されたI−V特性データにおけるRmaxの平均値をxとし、Rmaxの標準偏差をσとしたときに、x+3σである。Rmaxは、前記光電変換素子と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子の各々について測定されたI−V特性データにおける前記Rの最大値を表す。)
R=dI(V)/dV・・・(1)
(前記式(1)中、Vは、0以上Voc以下の範囲の印加電圧を表し、I(V)は、印加電圧がVであるときに取得される電流値を表し、VocはI−V特性データにおいて電流値がゼロのときの電圧を表す。)
R≦δ・・・・・・・・・・(2)
(前記式(2)中、δは、前記光電変換素子と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子の各々について測定されたI−V特性データにおけるRmaxの平均値をxとし、Rmaxの標準偏差をσとしたときに、x+3σである。Rmaxは、前記光電変換素子と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子の各々について測定されたI−V特性データにおける前記Rの最大値を表す。)
この光電変換素子のI−V特性データ決定方法によれば、光電変換素子に接続されたI−V特性データ測定装置に、特定の遅延時間及び積算時間で、前記光電変換素子に印加する電圧を片道掃引させ、印加電圧に対応する電流値を測定させることによりI−V特性データを測定させる。すなわち、印加電圧については往復掃引ではなく片道掃引にしてI−V特性データを測定させる。このため、I−V特性データを短時間で測定することができる。また、Rが式(2)を満足するかどうかを判別することで、取得されるI−V特性データが不正確であるかどうかを簡便に判別することができる。さらに、Rが式(2)を満足しない場合には、上記繰返し処理で、遅延時間及び積算時間の少なくとも一方を変更した上で、Rが式(2)を満足するまでデータ取得処理、算出処理及び判別処理を行うステップが繰り返される。このため、最終的に正確なI−V特性データを決定することができる。従って、本発明の光電変換素子のI−V特性データ決定方法は、正確なI−V特性データを短時間で簡便に決定することができる。
なお、本発明の光電変換素子のI−V特性データ決定方法によれば、I−V特性データを短時間で測定することができるため、本発明の光電変換素子のI−V特性データ決定方法は、光応答が遅い光電変換素子のI−V特性データを測定する場合や、大量の光電変換素子についてI−V特性データを測定する場合に有用である。また、本発明の光電変換素子のI−V特性データ決定方法では、Rが式(2)を満足しない場合には、上記繰返し処理で、遅延時間及び積算時間の少なくとも一方を変更した上で、Rが式(2)を満足するまでデータ取得処理、算出処理及び判別処理を行うステップが繰り返される。このため、本発明の光電変換素子のI−V特性データ決定方法は、光応答が経時的に遅くなる光電変換素子について特に有効である。さらに、正確なI−V特性データにおいては、δは、印加電圧が0〜Vocの範囲内である場合において、通常0以下であるか、0を超える正の数であったとしても十分小さい値である。このため、データ取得処理において印加電圧の遅延時間及び積算時間が短すぎる場合に特徴的な、一部の電流値が高くなるI−V特性データや一部の電流値が急激に落ち込んでいるI−V特性データについては、不正確なI−V特性データとして判別処理において容易に判別することができる。
なお、本明細書において、電圧の単位は「ボルト」とし、電流の単位は「アンペア」とする。
本発明によれば、正確なI−V特性データを短時間で簡便に決定することができる光電変換素子のI−V特性データ決定プログラム及びI−V特性データ決定方法が提供される。
以下、本発明の光電変換素子のI−V特性データ決定方法の一実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、本発明の光電変換素子のI−V特性データ決定方法を実施する光電変換素子のI−V特性データ決定システムの一例を示す概略図である。
図1に示すように、光電変換素子のI−V特性データ決定システム100は、光電変換素子10と、I−V特性データ測定装置20と、入力部30と、コンピュータ40と、出力部50とを備える。コンピュータ40は、メモリ41と、記憶部42と、演算部43とを有し、記憶部42は、光電変換素子のI−V特性データ決定プログラムを格納している。光電変換素子10とI−V特性データ測定装置20とは互いに電気的に接続され、I−V特性データ測定装置20とコンピュータ40も互いに電気的に接続されている。また、コンピュータ40は、入力部30及び出力部50に電気的に接続されている。
光電変換素子10は、光を照射されて発電した状態となっている。光電変換素子10としては、例えば有機太陽電池及び色素増感太陽電池が挙げられる。
I−V特性データ測定装置20は、特定の遅延時間TA及び積算時間TBで、光電変換素子10に印加する電圧を変化させ、印加電圧に対応する電流値を測定することによりI−V特性データを測定するものである。
I−V特性データ測定装置20としては、例えばソースメータが挙げられる。
入力部30は、コンピュータ40に測定条件としての遅延時間及び積算時間を入力させるものである。
出力部50は、コンピュータ40の演算部43で演算された結果を出力するものである。
次に、上述した光電変換素子のI−V特性データ決定システム100における光電変換素子のI−V特性データ決定プログラムを用いたI−V特性データ決定方法について図2及び図3を参照しながら説明する。図2は、本発明の光電変換素子のI−V特性データ決定方法の一実施形態を示すフローチャート、図3は、I−V特性データ測定装置20において、印加電圧の設定値を、時間の経過とともにステップ状に変化させたときのグラフである。
まず、入力部30を用いて、コンピュータ40の記憶部42に格納された光電変換素子のI−V特性データ決定プログラムを起動させる。
このとき、上記プログラムの入力画面が出力部50に表示される。出力部50には、測定条件を入力させる画面が表示される。測定条件としては、具体的には、I−V特性データ測定装置20による印加電圧の掃引速度に関する遅延時間TA及び積算時間TBなどを入力する(P1)。
図3において、両矢印の区間は電流が測定されている状態にあることを示している。図3に示すように、遅延時間TAとは、印加電圧が設定値に到達してから電流値測定が開始されるまでの時間であり、積算時間TBとは、電流値を測定している時間である。印加電圧は、ある設定値に変化させられて遅延時間及び積算時間が経過した後、次の異なる設定値に変化させられる。
遅延時間TA及び積算時間TBは、I−V特性データの測定を行う光電変換素子10の中から3個以上の光電変換素子10を抽出し、これらの各々について印加電圧を往復掃引することにより得られる2つのI−V曲線にヒステリシスが生じないような遅延時間及び積算時間とすればよい。このとき抽出する光電変換素子10の個数は3個以上であればよいが、10個以上であることが好ましい。
そして、上記プログラムによって、コンピュータ40に対して以下の(A)データ取得処理、(B)算出処理、(C)判別処理及び(D)繰返し処理、を実行させる。
(A)データ取得処理
光電変換素子10に接続されたI−V特性データ測定装置20に、光電変換素子10に印加する電圧を逆方向掃引させ、印加電圧に対応する電流値を測定させることによりI−V特性データを測定させてI−V特性データを取得する処理(P2)
光電変換素子10に接続されたI−V特性データ測定装置20に、光電変換素子10に印加する電圧を逆方向掃引させ、印加電圧に対応する電流値を測定させることによりI−V特性データを測定させてI−V特性データを取得する処理(P2)
(B)算出処理
上記データ取得処理で取得されたI−V特性データに基づいて、下記式(1)で表されるRを算出する処理(P3)
R=dI(V)/dV・・・(1)
(上記式(1)中、Vは、0以上Voc以下の範囲の印加電圧を表し、I(V)は、印加電圧がVであるときに取得される電流値を表し、VocはI−V特性データにおいて電流値がゼロのときの電圧を表す。)
上記データ取得処理で取得されたI−V特性データに基づいて、下記式(1)で表されるRを算出する処理(P3)
R=dI(V)/dV・・・(1)
(上記式(1)中、Vは、0以上Voc以下の範囲の印加電圧を表し、I(V)は、印加電圧がVであるときに取得される電流値を表し、VocはI−V特性データにおいて電流値がゼロのときの電圧を表す。)
(C)判別処理
Rが下記式(2)を満足するかどうかを判別する処理(P4)
R≦δ・・・・・・・・・・(2)
(上記式(2)中、δは、光電変換素子10と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子について測定されたI−V特性データにおいて、Rmaxの平均値をxとし、Rの最大値の標準偏差をσとしたときに、x+3σである。Rmaxは、上記光電変換素子と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子の各々について測定されたI−V特性データにおけるRの最大値を表す。)
Rが下記式(2)を満足するかどうかを判別する処理(P4)
R≦δ・・・・・・・・・・(2)
(上記式(2)中、δは、光電変換素子10と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子について測定されたI−V特性データにおいて、Rmaxの平均値をxとし、Rの最大値の標準偏差をσとしたときに、x+3σである。Rmaxは、上記光電変換素子と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子の各々について測定されたI−V特性データにおけるRの最大値を表す。)
(D)繰返し処理
上記判別処理で、Rが上記式(2)を満足しない場合には、コンピュータ40によって、遅延時間TA及び積算時間TBをそれぞれ遅延時間TA+ΔTA及び積算時間TB+ΔTBに変更し、Rが上記式(2)を満足するまで、上記データ取得処理、上記算出処理及び上記判別処理を行うステップを繰り返す処理
上記判別処理で、Rが上記式(2)を満足しない場合には、コンピュータ40によって、遅延時間TA及び積算時間TBをそれぞれ遅延時間TA+ΔTA及び積算時間TB+ΔTBに変更し、Rが上記式(2)を満足するまで、上記データ取得処理、上記算出処理及び上記判別処理を行うステップを繰り返す処理
上記判別処理で、Rが上記式(2)を満足しない場合には、処理は終了する。なお、終了したことが出力部50に出力されてもよい。
また、繰返し処理によって、最終的にRが式(2)を満足することとなった場合にも、処理は終了する。なお、終了したことが出力部50に出力されてもよい。
なお、繰返し処理の回数は1回以上であれば特に制限されないが、繰返し処理は、3回以上行ってもRが式(2)を満足しない場合には終了することが好ましく、5回以上行ってもRが式(2)を満足しない場合には終了することがより好ましい。I−V特性データのグラフが例えば図7に示す通りとなる場合には、何度繰返し処理を行っても、Rが式(2)を満足することがないからである。
こうして、Rが上記式(2)を満足するI−V特性データが正確なI−V特性データとして決定される。図4に、正確なI−V特性データの一例のグラフを示す。
この光電変換素子のI−V特性データ決定プログラムを用いたI−V特性データ決定方法によれば、光電変換素子10に接続されたI−V特性データ測定装置20に、特定の遅延時間TA及び積算時間TBで、光電変換素子10に印加する電圧を逆方向掃引させ、印加電圧に対応する電流値を測定させることによりI−V特性データを測定させる処理をコンピュータ40に実行させる。また、I−V特性データに基づいてI−V曲線を出力し、オペレータが確認する必要もなくなる。このため、I−V特性データを短時間で測定することができる。また、判別処理によって、Rが式(2)を満足するかどうかを判別することで取得されるI−V特性データが不正確であるかどうかを簡便に判別することができる。さらに、Rが式(2)を満足しない場合には、上記繰返し処理で、遅延時間TA及び積算時間TBを変更した上で、Rが式(2)を満足するまで上記データ取得処理、上記算出処理及び上記判別処理を行うステップが繰り返される。このため、最終的に正確なI−V特性データを決定することができる。従って、光電変換素子のI−V特性データ決定方法は、正確なI−V特性データを短時間で簡便に決定することができる。
なお、光電変換素子のI−V特性データ決定方法によれば、I−V特性データを短時間で測定することができるため、光電変換素子のI−V特性データ決定方法は、光応答が遅い光電変換素子10のI−V特性データを測定する場合や、大量の光電変換素子10についてI−V特性データを測定する場合に有用である。また、光電変換素子のI−V特性データ決定方法では、Rが式(2)を満足しない場合には、上記繰返し処理で、遅延時間TA及び積算時間TBを変更した上で、Rが式(2)を満足するまでデータ取得処理、算出処理及び判別処理を行うステップが繰り返される。このため、光電変換素子のI−V特性データ決定方法は、光応答が経時的に遅くなる光電変換素子10について特に有効である。さらに、正確なI−V特性データにおいては、δは、印加電圧が0〜Vocの範囲内である場合において、通常0以下であるか、0を超える正の数であったとしても十分小さい値である。このため、データ取得処理において印加電圧の遅延時間及び積算時間が短すぎる場合に特徴的な、一部の電流値が高くなるI−V特性データ(図5及び図6参照)や、一部の電流値が急激に落ち込んでいるI−V特性データ(図7参照)については、不正確なI−V特性データとして判別処理において容易に判別することができる。
次に、上記データ取得処理、上記算出処理、上記判別処理及び上記繰返し処理について詳細に説明する。
(データ取得処理)
データ取得処理は、光電変換素子10に印加する電圧を逆方向掃引させ、印加電圧に対応する電流値を測定させることによりI−V特性データを測定させてI−V特性データを取得する処理である。ここで、印加電圧を順方向掃引するのではなく逆方向掃引するのは以下の理由による。すなわち、印加電圧を順方向掃引すると、遅延時間TA及び積算時間TBが不適当であった場合に図5や図6のような一部の電流値が高くなるI−V特性データが出力されにくく、不良を見逃すおそれがあるが、印加電圧を逆方向掃引すると、遅延時間TA及び積算時間TBが不適当であった場合に図5や図6のような一部の電流値が高くなるI−V特性データが出力されやすく、不良を発見しやすくなるからである。
データ取得処理は、光電変換素子10に印加する電圧を逆方向掃引させ、印加電圧に対応する電流値を測定させることによりI−V特性データを測定させてI−V特性データを取得する処理である。ここで、印加電圧を順方向掃引するのではなく逆方向掃引するのは以下の理由による。すなわち、印加電圧を順方向掃引すると、遅延時間TA及び積算時間TBが不適当であった場合に図5や図6のような一部の電流値が高くなるI−V特性データが出力されにくく、不良を見逃すおそれがあるが、印加電圧を逆方向掃引すると、遅延時間TA及び積算時間TBが不適当であった場合に図5や図6のような一部の電流値が高くなるI−V特性データが出力されやすく、不良を発見しやすくなるからである。
このとき、印加電圧は通常、ステップ状に変化され、印加電圧が異なる設定値に変化されるたびに、電流値が測定される。電流値の測定は、印加電圧が異なる設定値に変化されて遅延時間TAを経過した後に開始され、積算時間TBの間、行われる。こうして測定された電流値の平均値が印加電圧に対する電流値として扱われる。
取得された電流値及び印加電圧は、I−V特性データ測定装置20からコンピュータ40に移送されてコンピュータ40の記憶部42に格納される。
(算出処理)
算出処理は、データ取得処理で取得されたI−V特性データに基づいて、上記式(1)で表されるRの値を算出する処理である。
算出処理は、データ取得処理で取得されたI−V特性データに基づいて、上記式(1)で表されるRの値を算出する処理である。
Rは、I−V特性データに基づいて作成されるI−V曲線において、印加電圧がVであるときの点における接線の傾きを表すものである。
Rは、ある印加電圧V1及びその印加電圧V1に最も近い印加電圧V2と、それらにそれぞれ対応する電流値I1及びI2から、下記(3)式に基づいて算出される。
R=(I2−I1)/(V2−V1)・・・(3)
R=(I2−I1)/(V2−V1)・・・(3)
算出処理では、プログラムが、コンピュータ40の記憶部42に格納されたI−V特性データをメモリ41上に読み出し、上記(3)式に基づいて演算部43にてRの値を算出させる。算出されたRの値は、コンピュータ40の記憶部42に格納される。
(判別処理)
判別処理では、算出処理で算出されて記憶部42に格納されたRの値がメモリ41上に読み出され、このRの値とδの値との差(=δ−R)が0以上であるかどうかが演算部43で計算される。
判別処理では、算出処理で算出されて記憶部42に格納されたRの値がメモリ41上に読み出され、このRの値とδの値との差(=δ−R)が0以上であるかどうかが演算部43で計算される。
判別処理において、δは、光電変換素子10と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子について測定されたI−V特性データにおいて、Rmaxの平均値をxとし、Rmaxの標準偏差をσとしたときに、x+3σである。Rmaxは、上記光電変換素子と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子の各々について測定されたI−V特性データにおけるRの最大値を表す。ここで、δを単純にxとはせずに、x+3δとしたのは、Rの誤差によるばらつきを考慮したものである。x+3σは、Rの正規分布において、Rの値が存在する確率が99.7%となるx−3σ〜x+3σの領域の上限を表すものであり、Rがx+3σ以下となる確率が極めて高くなることから、δとしてx+3σを設定したものである。
ここで、Rmaxの平均値x及びRmaxの標準偏差σを算出する場合、使用する光電変換素子10の個数は3個以上であればよいが、10個以上であることが好ましい。この場合、不正確なI−V特性データをより精度よく排除することができる。
(繰返し処理)
繰返し処理においては、測定回数を1回増加させるたびに遅延時間TAをΔTA増加させてTA+ΔTAとし、積算時間TBをΔTB増加させてTB+ΔTBに変更する。このときのΔTAの値、及び、ΔTBの値は、本実施形態では、予めプログラムで設定されている。
繰返し処理においては、測定回数を1回増加させるたびに遅延時間TAをΔTA増加させてTA+ΔTAとし、積算時間TBをΔTB増加させてTB+ΔTBに変更する。このときのΔTAの値、及び、ΔTBの値は、本実施形態では、予めプログラムで設定されている。
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、繰返し処理を行うたびに、遅延時間TA及び積算時間TBの両方が変更されているが、少なくとも一方が変更されていればよい。このため、遅延時間TAのみが変更されてもよいし、積算時間TBのみが変更されてもよい。
また、上記実施形態では、データ取得処理において、印加電圧が逆方向掃引されているが、片道掃引されればよく、順方向掃引されてもよい。
さらに、上記実施形態では、コンピュータ40により、上記データ取得処理、上記算出処理及び上記判別処理を行うステップとその後の繰り返し処理を実行させているが、コンピュータ40の代わりに、上記I−V特性データ決定システム100のオペレータが、上記データ取得処理、上記算出処理及び上記判別処理を行うステップとその後の繰り返しステップを行ってもよい。
10…光電変換素子
20…I−V特性データ測定装置
40…コンピュータ
100…光電変換素子のI−V特性データ測定システム
20…I−V特性データ測定装置
40…コンピュータ
100…光電変換素子のI−V特性データ測定システム
Claims (2)
- 光電変換素子のI−V特性データを決定するための光電変換素子のI−V特性データ決定プログラムであって、
コンピュータに対し、
前記光電変換素子に接続されたI−V特性データ測定装置に、特定の遅延時間及び積算時間で、前記光電変換素子に印加する電圧を片道掃引させ、印加電圧に対応する電流値を測定させることによりI−V特性データを測定させてI−V特性データを取得するデータ取得処理、
前記データ取得処理で取得された前記I−V特性データに基づいて、下記式(1)で表されるRを算出する算出処理、及び、
前記Rが下記式(2)を満足するかどうかを判別する判別処理を実行させ、
前記判別処理で、前記Rが下記式(2)を満足しない場合には、前記遅延時間及び前記積算時間の少なくとも一方を変更し、前記Rが下記式(2)を満足するまで、前記データ取得処理、前記算出処理及び前記判別処理を行うステップを繰り返す繰返し処理を実行させる、光電変換素子のI−V特性データ決定プログラム。
R=dI(V)/dV・・・(1)
(前記式(1)中、Vは、0以上Voc以下の範囲の印加電圧を表し、I(V)は、印加電圧がVであるときに取得される電流値を表し、VocはI−V特性データにおいて電流値がゼロのときの電圧を表す。)
R≦δ・・・・・・・・・・(2)
(前記式(2)中、δは、前記光電変換素子と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子について測定されたI−V特性データにおいて、Rmaxの平均値をxとし、Rmaxの標準偏差をσとしたときに、x+3σである。Rmaxは、前記光電変換素子と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子の各々について測定されたI−V特性データにおける前記Rの最大値を表す。) - 光電変換素子のI−V特性データを決定するための光電変換素子のI−V特性データ決定方法であって、
前記光電変換素子に接続されたI−V特性データ測定装置に、特定の遅延時間及び積算時間で、前記光電変換素子に印加する電圧を片道掃引させ、印加電圧に対応する電流値を測定させることによりI−V特性データを測定させてI−V特性データを取得するデータ取得処理、
前記I−V特性データに基づいて、下記式(1)で表されるRを算出する算出処理、及び、
前記Rが下記式(2)を満足するかどうかを判別する判別処理
を行い、
前記判別処理で、前記Rが下記式(2)を満足しない場合には、前記遅延時間及び前記積算時間の少なくとも一方を変更し、前記Rが下記式(2)を満足するまで、前記データ取得処理、前記算出処理及び前記判別処理を行うステップを繰り返す繰返し処理を行う、光電変換素子のI−V特性データ決定方法。
R=dI(V)/dV・・・(1)
(前記式(1)中、Vは、0以上Voc以下の範囲の印加電圧を表し、I(V)は、印加電圧がVであるときに取得される電流値を表し、VocはI−V特性データにおいて電流値がゼロのときの電圧を表す。)
R≦δ・・・・・・・・・・(2)
(前記式(2)中、δは、前記光電変換素子と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子について測定されたI−V特性データにおいて、Rmaxの平均値をxとし、Rmaxの標準偏差をσとしたときに、x+3σである。Rmaxは、前記光電変換素子と同一の構成を有する3個以上の光電変換素子の各々について測定されたI−V特性データにおける前記Rの最大値を表す。)
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JP2019220780A JP2021090321A (ja) | 2019-12-05 | 2019-12-05 | 光電変換素子のi−v特性データ決定プログラム及びi−v特性データ決定方法 |
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