以下の説明は、事実上単なる例示であり、決して本開示及びその用途を限定することを意図したものではない。例えば、本明細書に含まれる教示に従って作製され、使用されるプラズマランプは、プラズマランプ及びその使用をより完全に示すように、本開示を通して形状が平坦又は平面型であるように説明される。しかし、例えば、湾曲表面を含むような異なる形状因子を組み込むか又は利用する、本明細書において定められる種々の特徴及び要素を備えるプラズマランプの形成もまた、本開示の範囲内にあると考えられる。本説明を通して、対応する参照数字は、類似の又は対応する部品及び特徴を示すことを理解されたい。
本開示は一般に、約100ナノメートルから約400ナノメートルまで広がる紫外(UV)及び真空紫外(VUV)スペクトル範囲内の離散的な波長において、ワット級の平均出力を発生することができるプラズマランプを提供する。例えば、約200mW/cm2を超える出力強度は、172nm(hν=7.2eV、Xe2 *が発光体)において発光するプラズマランプから再現性よく連続的に達成することができる。このレベルの強度は、一般に平坦で薄い(例えば、厚さが6mm以下)100cm2(4”×4”)のランプから供給される20Wを超える平均出力に対応する。さらに、この172nmのプラズマランプによって生成されるピーク出力は、現在1kWを超え、これは、原子又は分子による2つ又はそれ以上の光子の同時吸収を必要とする光化学用途のために魅力的である。さらに、本開示の教示に従って形成されるプラズマランプの体積は、同じ平均出力のレーザよりも、大きさが典型的には3〜4桁小さい。従って、本明細書で説明されるプラズマランプは、例えば、VUVスペクトル領域において1963年以降に開発された事実上全てのレーザよりも強力で高効率である。
図1A及び図1Cを参照すると、プラズマランプ1は、一般に、2つ又はそれ以上の内部板5を備え、或いはそれらから構成され、或いはそれらから基本的に構成され、各々の内部板5は、各内部板5の内表面7が互いに実質的に平行となるように配置された内表面7及び外表面8を有する。少なくとも1つの内部板5は、プラズマランプからの所望の発光の波長において、高度に透過性である必要がある。マイクロキャビティ30の少なくとも1つのアレイ25が、少なくとも1つの内部板5の内表面7の中に形成される。任意選択として、1つ又はそれ以上のスペーサ10を内部板5の内表面7の間に、スペーサ10が内部板5を所定の固定距離に分離されるように保つように、配置することができる。存在する場合、少なくとも1つのスペーサ10は、内部板5の縁の近くに配置される縁スペーサ10aである。縁スペーサ10aは内部板5と共に気密封止を形成し、内部板5の間の空間に固定体積を創出する。内部でグロー放電(プラズマ)が生成されるガス13が、この空間の体積を占める。従って、ガス13もまた、マイクロキャビティ30のアレイ25と接触する。望ましい場合、プラズマランプ1は、内表面7の間に存在するスペーサを用いずに形成することができる。このタイプの設計において、プラズマ放電はマイクロキャビティ30のアレイの内部で形成される。
複数の電極17が、時間変化する電圧を供給するように設計された電源18に接続される。少なくとも1つの電極17が、各々の内部板5の外表面8の上に配置される。最後に、1つ又はそれ以上の保護窓20を任意選択として、それらによるさらなる環境保護をもたらすために、各々の電極17の反対側に配置することができる。そのような保護窓は、本開示のプラズマランプの動作には本質的でなく、事実、プラズマランプ内部で発生されるUV/VUV発光の一部分を吸収する。ランプ保護窓によって吸収されるランプ発光の一部分は、本開示のプラズマランプの高い強度特性により窓材料内に生成される色中心の結果である。
時間変化する電圧がガス13と相互作用する場合、空間的に一様なグロー放電(プラズマ)が、マイクロキャビティ30と内部板5の間の固定体積との両方の内部に形成される。UV/VUVスペクトル領域内の所望の放射35を発するのがこのグロー放電プラズマである。従来の誘電体障壁型放電ランプのストリーマ特性が存在しないか又は本開示のプラズマランプによって強く抑制されることが強調されるべきである。この特性のみが、プラズマランプ内の空間的に均一な放電を維持しながら、これらのUV/VUVランプがより高いガス圧で動作する(それにより、より大きい出力を発生する)ことを可能にする。プラズマランプ内に作製されるマイクロキャビティアレイは、均一なグロー放電を生成するだけでなく、プラズマランプを安定化させ、駆動電圧波形の各サイクルに対して本質的に同一の放射の短パルス(100ns未満)の生成をもたらす。
電球又は円筒の形状の従来のランプは、一般に、ランプ外皮自体(レンズとして振る舞うことができる)によるUV/VUV放射の集束を解消するための光学系の存在を必要とする。さらに、従来のランプから、意図した用途に望ましい以外の方向に出る放射を捕らえることは、このスペクトル領域のための、多くの場合高価で壊れやすい、コリメーティング光学系を必要とする。これに比べて、本開示のプラズマランプは、円筒型UV/VUVランプを反射型又は透過型のコリメーティング又は集束光学系に適合させる費用を無くす。平坦で薄いプラズマランプはまた、UV/VUVスペクトル領域において100〜1000Wを超える平均出力を生成する、面積が数平方メートル(又はそれ以上)の発光表面を実現するように、タイル張りにすることができる。そのような出力レベルは、サイズが小さく狭帯域の放射を発するランプに関して前例がない。この同じ言明はまた、VUV領域で動作するレーザに対しても一般に成り立つ。事実、2つのVUVレーザ、即ち、ArF及びF2、のみが、普通、数ワットの平均出力を発生することができる。しかし、これらのレーザのいずれも、小型であるとも、安価であるとも見做すことができない。さらに、高出力UV/VUVレーザのデューティサイクルは、典型的には、100HzのPRFに対して10(−6)のオーダであり、これに対して本開示のプラズマランプは、135kHzに至るPRF値において既に動作しており、これは約0.1%を超えるデューティサイクルに相当し、又は大部分のUV/VUVレーザのものよりも大きさが3桁以上大きい。
従来のランプの計測された出力に対する、本開示の教示により形成されたプラズマランプの計測された出力の大幅な増加は、幾つかの要因によって起こる。これらの内の1つは、プラズマランプ内のマイクロキャビティの少なくとも一つのアレイの存在である。マイクロキャビティは、所望のUV/VUV放射を生成する要因であるプラズマ内の電場強度の局所的整形のために役立つ。従って、マイクロキャビティは局所電場を強くし、これが所望のUV/VUV放射を生成するために本質的である電子的に励起された原子及び分子をより効果的に生成する結果をもたらす。
さらに図1Aを参照すると、1つ又はそれ以上の幾何学的構造を備えるマイクロキャビティ30が、少なくとも1つの内部板5の内表面7、又はプラズマランプによって生成される放射が通過するプラズマランプ1の窓の中に作製される。マイクロキャビティの形状は、それらに限定されないが、半球、円筒、半円筒、楕円体、円錐台、放物面体、切頭楕円体、及び立方体を含むことができる。マイクロキャビティ30は、異なる空間的寸法、中心間の間隔(ピッチとして知られる)又はそれらの組み合わせを示すことができる。空間的寸法は、1つ又はそれ以上の深さ(di)及び幅(wi)を含むことができる。
マイクロキャビティ30はまた、プラズマランプの効率を高める能力をもたらす。これらのマイクロキャビティ30は、プラズマランプ1の内部の、従来のランプ技術が統計的に(空間及び時間の両方において)分布するストリーマのみを発生する、ガス圧13においてさえも、プラズマランプ内に空間的に均一なグロー放電を生成するのに有効である。マイクロキャビティ30のアレイ25の他の機能、例えば、システムに電力供給する電圧パルスの改善された使用もまた種々の利益をもたらす。プラズマランプ1内にマイクロキャビティ30のアレイ25が存在しない場合、出力が急激に低下する(約172nmのピーク波長における放射を発するプラズマランプ1の場合には少なくとも1/4に)ことが計測される。本開示の一態様により、マイクロキャビティ30の少なくとも1つのアレイ25が、内部板5の内表面7又はプラズマランプ1に対して内側の窓、の中に作製され、アレイが内部に存在する平面が、プラズマランプ1の別の内部板5又は窓に近似的に平行となるように向けられる。本開示の他の態様は、プラズマランプの2つの内表面が平行であることを必要としない。
次に図1Bを参照すると、マイクロキャビティ30a、30bの少なくとも2つのアレイ25a、25bが、プラズマランプ1の少なくとも1つの内部板5の中に作製される。第2のアレイ25bは、第1のアレイ25aを構成するマイクロキャビティ30aのものとは異なる幾何学的構造及び/又は空間的寸法を有するマイクロキャビティ30bを有するように選択される。図1Bの特定の例に示されるように、第1のアレイ25a内のマイクロキャビティ30aの形状は主空間寸法(wa)を有する半球であり、他方、第2のアレイ25b内のマイクロキャビティ30bの形状は主空間寸法(wb)を有する楕円体であり、ここでwb<waである。マイクロキャビティ30bの第2のアレイ25bの機能は、第1のアレイ25a内のマイクロキャビティ30aの閾値破壊電圧レベル(BVL:break down voltage level)とは異なる閾値BVLにおいて、各々のマイクロキャビティ30b内にプラズマを形成することである。望ましい場合、マイクロキャビティ30a、30bの異なるアレイ25a、25bは、1つのアレイ25a内のマイクロキャビティ30aが別のアレイ25bのマイクロキャビティ30bと交互になるか又は千鳥状になるように、内部板5の内表面7の上で空間的に分離するか、又は織り混ぜるか又は編み合わせることができる。
本開示におけるプラズマランプの設計に関連する1つの利点は、プラズマランプを駆動する電圧波形が光発生プラズマによって、全てが同じ幾何学的構造で同じピッチで間隔をあけられたマイクロキャビティの単一アレイを内部に有するプラズマランプと比べて、より効果的且つ効率的に用いられることである。適切に選択される場合、織り交ぜられたマイクロキャビティのアレイは、UV/VUVプラズマランプの発光の効率を実質的に高めることができ、その理由は、プラズマランプを駆動する「電力パルス」(I×V、ここでI及びVは、それぞれ時間変化する電流及び電圧波形を表す)がより効果的に利用されるからである。即ち、例えば、1つのアレイ内のより小さい直径のマイクロキャビティが、より大きいマイクロキャビティに必要なものより高い電圧で発火する(それらの内部にプラズマを生成する)ことになる(同じガス及び一定圧力を仮定して)。従って、一つより多くのサイズ及び幾何学的構造のマイクロキャビティを有することは、駆動電気波形の利用、及び従ってプラズマランプの効率に関して有利である。過去2年間にわたって行われた試験において、この結論は、半分がマイクロキャビティを有しない複数のプラズマランプの研究によって確認されている。マイクロキャビティの無いプラズマランプの作製において、マイクロキャビティ含有プラズマランプに対するランプ効率の改善が内部板5の1つ又は両方の薄化の結果では無いことを確実にするために、注意が払われた。即ち、マイクロキャビティの深さが、事実上、内部板の厚さを減少させるので、マイクロキャビティの無い幾つかのランプが、この効果を打ち消す厚さの内部板5を用いて作製された。データは、マイクロキャビティアレイを組み込まないプラズマランプに比べて、マイクロキャビティアレイを有するプラズマランプの出力が少なくとも2倍(多くの場合、4倍以上)に増加することを一貫して示した。さらに二重キャビティアレイランプは単一アレイランプよりも効率的である。
本開示の平面型プラズマランプは、UV及びVUVスペクトル領域内の複数の離散的波長において発光することができ、前例の無いレベルの強度を伴う。例えば、VUVスペクトル範囲内の172nm(7.2eVの光子エネルギー)における放射を単一の石英内部板又は窓を通して発する平坦なプラズマランプは、200mW/cm2以上の強度を発生することができる。プラズマランプ表面積の平方cm当たり240mWを超える強度が実現されており、マイクロキャビティアレイ構造、ガス混合物、及びスペーサ厚の最適化によって著しくより高い値が可能である。平面型プラズマランプの設計は、単一の内部板又は窓を通しての発光に都合が良いが、140mW/cm2を超える発光強度はまた、第2の内部板又は窓を通して発することができる。従って、100cm2(4”×4”)のプラズマランプは、単一内窓のみを通して20Wを超える平均出力を発生することができる。そのような大きい出力レベルは、これまで得られておらず、本開示のプラズマランプの平坦な形状因子及び厚さはこれまで知られていない。例えば、既存の市販の172nmランプは、一般に最大強度が50mW/cm2のVUV放射を発するが、これは本開示のプラズマランプを用いて達成される強度から、少なくとも1/4に減少する。上記のように、本開示のプラズマランプからマイクロキャビティのアレイ(単数又は複数)を取り除く(例えば、プラズマランプ構造の残り部分は同じままである)と、変形されたプラズマランプの出力強度は、典型的には、少なくとも1/2又は1/3に減少する。
ガスは、1つ又はそれ以上の希ガス、1つ又はそれ以上のハロゲンガス、或いは少なくとも1つのハロゲンガスと1つ又はそれ以上の希ガスとの混合物を含むことができる。望ましい場合には、ガスは、幾つか名称を挙げれば、1つ又はそれ以上のハロゲン化金属、ナトリウム、水銀、又は硫黄などの、他のガス又は蒸気を含むことができる。代替的に、ガスは、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)、或いはそれらの混合物であって、Ne対Xeの比(Ne:Xe)が1:99〜99:1の間、或いは25:75〜75:25の間、或いは40:60〜60:40の間、或いは約50:50である混合物を含むことができる。プラズマランプ内に含まれるガスの圧力は、約100torrから1気圧を大きく超える範囲、或いは100torr〜760torrの間、或いは1気圧又はそれ以上とすることができる。例えば、126nmにおいてAr二量体からの放射を効率的に生成するように設計されたランプは、少なくとも数bar(気圧)の内部ガス圧を有すると予期される。
プラズマがマイクロキャビティ内に生成されると、ピーク波長(即ち、最大強度に対応する波長)を有するUV/VUV放射を発する電子状態にある分子が形成される。特に興味のある分子、及びそれらに付随するピーク波長は、限定なしに、NeF*(108nm)、Ar2 *(126nm)、Kr2 *(146nm)、F2 *(158nm)、ArBr*(165nm)、Xe2 *(172nm)、ArCl*(175nm)、KrI*(190nm)、ArF*(193nm)、KrBr*(207nm)、KrCl*(222nm)、KrF*(248nm)、XeI*(254nm)、Cl2 *(258nm)、XeBr*(282nm)、Br2 *(289nm)、ArD*(290〜300nm)、XeCl*(308nm)、I2 *(342nm)、又はXeF*(351、353nm)を含む。ガスがキセノンであり、Xe2 *エキシマ分子から発せられるUV/VUV放射が約172nmのピーク波長にあるとき、プラズマランプの平均出力強度は、200mW/cm2より大きくすることができ、ピーク出力は1kWより大きくすることができる。
再び図1A〜図1Cを参照すると、プラズマランプ1の本体は、任意選択としてスペーサ10によって分離される2つの平坦な内部板5を備える。プラズマランプによって発生される光の波長(単数又は複数)が約300nmを超える場合、内部板は比較的安価なガラス、例えばホウ珪酸ガラスから作製することができる。しかし、(図1Bに示されるように)、プラズマランプが、深UV又はVUV(波長λ<300nm)の放射を生成するように意図される場合、2つの内部板は、溶融シリカ又は石英から作製することができる。溶融シリカ(又は石英)は発光波長(単数又は複数)において低い吸収を示す高品質のものであることが好ましい。UV及びVUVスペクトル領域における窓材料(溶融シリカ又は石英など)による吸収の主因は、色中心の形成である。代替的にサファイアがこの能力において役に立ち得るが、サファイアは複屈折性であり、一般に高価である。2つの内部板5のうちの少なくとも1つの中に、各々が空間深さ(di)及び幅(wi)を有する、マイクロキャビティ30のアレイ25が作製される。
場合により、内部板を固定距離に分離するため、及び内部板を互いに平行に維持するために使用されるスペーサは、限定なしに、所定のスペーサパターンを示す一体型構造体の部分、或いは円板、球、ペレット、円筒、立方体など、及びそれらの組み合わせの形状を有する分離した構造体とすることができる。内部板の内表面の間の距離は、使用されるスペーサのサイズによって予め決定される。内部板の間の分離距離は約0mm(スペーサが使用されない場合)〜約2.0mmの間であるが、代替的により大きく又はより小さく、或いは約0.6〜1.0mmの間とすることができる。スペーサの位置は、それらに限定されないが、スペーサの表面と内部板との間の摩擦の使用、又は蛍光体コーティング若しくはフリットのような他の材料の使用による結合を含む、任意の適切な機構によって保持される。
マイクロキャビティの深さ(di)は一般に約1マイクロメートル〜1,000マイクロメートル(μm)の範囲、或いは約5μm〜約600μmの間、或いは約10μm〜約600μmである。マイクロキャビティの空間幅(wi)は、約3μm〜約5,000μmの範囲、或いは約5μm〜約1,500μmの間、或いは約25μm〜約500μmである。マイクロキャビティの少なくとも2つのアレイ25a、25bが、図1Bに示されるように、2つの平坦な内部板のうちの下の方の中に作製されるときに、2つのアレイは、各々のアレイ内のマイクロキャビティが異なる形状並びに深さ(da、db)及び/又は空間幅(wa、wb)の寸法を示すことができる点で区別することができる。
ガスに関係する破壊電圧は、ガス圧(p)とマイクロキャビティの主要な寸法(di、wi)との積によって調整することができる。従って、ガス圧の固定値に対して、異なる寸法値を有するマイクロキャビティ内に、駆動電圧の異なる値において、プラズマが生成されることになる。実際に、異なる寸法のマイクロキャビティは、プラズマランプを横切って印加される電圧の異なる値において発火(プラズマを発生する)することになる。
さらに図1A〜図1Cを参照すると、2つの内部板5の外表面8に取り付けられた電極17によってプラズマランプ1に電力が印加される。電極17は、蒸発、スパッタリング、又は当技術分野で既知の任意の他の堆積プロセスによって内部板5の外表面8の上に堆積された細いニッケル膜(線)のグリッドなどの、多くの形状のうちの1つを取ることができる。電極として使用することができる材料の幾つかの特定の例は、それらに限定されないが、とりわけ、酸化インジウム錫(ITO:indium tin oxide)、フッ素ドープ酸化錫(FTO:fluorine−doped tin oxide)、又はドープ酸化錫などの透明導電性酸化物(TCO:transparent conductive oxide)、カーボンナノチューブ、グラフェンなどを含む膜、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)[PEDOT]、ドープPEDOT、ポリ(4,4−ジオクチルシクロペンタジチオフェン)、或いは、ポリアセチレン、ポリアニリン、ポリピロール又はポリチオフェンの誘導体、などの透明導電性ポリマー、或いは、幾つかの名称を挙げれば、銅、金、ニッケル、又は白金などのパターン化金属又は金属合金を含む。
電極の透明性は、約85%超、或いは90%超、及び好ましくは90%〜約97%の間、にする必要がある。パターン化金属線の場合、全体的透明性(「開放性」)は、ランプの全発光面積に対して、電極線によって占められるランプ表面積を比較することによって算出される。プラズマランプ1組立体は、プラズマランプ1の外側に電極17を覆う2つの付加的な窓20を取り付けることにより完成する。これらの外窓20は安全措置として設けられるが、また電極17を環境への露出から保護する目的にも役立つ。
さらに図1A〜1Cに示されるように、貫通チャネル又はガス充填ポート15(例えば、円形穴)がさらに、内部板5の1つ並びにそれに付随する外窓20に、プラズマランプ1の内部板5とスペーサ10とによって囲まれた固定体積内に初めに存在する空気の排気、並びに所望のガス(単数又は複数)又は蒸気13によるプラズマランプ1のバックフィリングを可能にするために、設けられる。代替的に、ガス充填ポートは、マイクロキャビティアレイを含む内部板を通るように位置決めされる。
プラズマランプの構造は、誘電体障壁放電(DBD:dielectric barrier discharge)装置のものであるから、駆動電圧は時間変化する必要がある。2電圧波形の特定の例は、それに限定されないが、100ナノ秒(ns)未満の立ち上がり時間及び調節可能PRFを有する20kHzの正弦及び両極性パルスを含む。組み立てられたとき、プラズマランプは典型的には、約6mm又はそれ以下の全厚を有する。
プラズマランプの内部板5及び外窓20が放射透過性材料で作製されるとき、UV/VUV放射は内部板及び外窓を通して周囲に伝わることができる。例えば、UV/VUV放射は、全ての内部板及び外窓が透過性材料で作製されるとき、プラズマランプから、プラズマランプの両面を通して出てくることができる。大部分の光放射はプラズマランプの前面を通して(即ち、マイクロキャビティのアレイを含む窓と反対側の内部板/窓を通して)発せられる。しかし、これまで試験されたプラズマランプに関して、プラズマランプの反対側又は背面を通して発せられる放射の強度は、前面を通してプラズマランプを出るものの70%ほどにもなり得る。従って、このプラズマランプ技術は、両面発光を必要とする用途における使用に好適である。
プラズマランプの単一面を通してのUV/VUV放射の発光が望ましい場合、簡単な平面反射鏡をプラズマランプの背面(即ち、内部板の外面又は外部板の何れかの面の上のマイクロキャビティのアレイの後方)に取り付けることができる。平面反射鏡はプラズマランプと一体にするか又はそれに取り付けることができる。プラズマランプの前面を通して発せられるUV/VUV放射の強度は、反射表面がプラズマランプの背面に加えられるとき、40%又はそれ以上増加し得る。平面反射鏡は、好ましい波長(単数又は複数)が反射鏡によって優先的に反射されるように、回折構造を備えることができる。
次に、図2A及び図2Bを参照すると、図1Bの略図により溶融シリカの内部板及び外窓を用いて構築され、組み立てられた5”×5”のプラズマランプ1(約156平方cmの表面積)の動作中の顕微鏡写真が示される。これらの画像は、プラズマランプ内に存在するマイクロキャビティパターンの明瞭な図を与え、マイクロキャビティの中及び周囲のプラズマ分布に対する駆動電圧波形の影響を示す。図2A及び図2Bの両方は、プラズマランプの動作中に望遠鏡及びCCDカメラを用いて記録された、プラズマランプ1の表面の一部分の顕微鏡写真である。プラズマランプは450トルの圧力に充填されたキセノン(Xe)ガスによって動作され、この場合、関心のある発光体(Xe2 *)がVUVスペクトル領域内の172nmにおける放射を生成するので、少量の酸素をプラズマランプ内のXeガスに意図的に導入し、一酸化キセノン(XeO)分子から発せられる可視(緑)蛍光がランプ性能の視覚による評価を可能にするようにした。より具体的には、XeO*分子によって発せられる蛍光は、プラズマランプ1のアレイ中に存在する2つの異なるサイズの半球マイクロキャビティ30a、30bの可視化を可能にする。この画像において、顕微鏡写真内のより大きい円は、内部板を分離するのに使用される溶融シリカスペーサ10である。
図2Aにおいて、20Hz(1.7kVRMS)の正弦ac波形が駆動電圧として、1つのアレイ内のより大きいマイクロキャビティ30Aの至る所で均一に発光を生成するように、使用される。プラズマランプ1内のマイクロキャビティの全ては、形状が半球であるが、より大きい半球30aの幅(wa)は約2mmであり、他方、4つの大きい半球の交線上に位置する、より小さい半球30bの直径は約800μmである。
図2Bにおいて、マイクロキャビティ30A、30bから発する蛍光の分布は、100ns(持続時間が約1μs)未満の立ち上がり時間のパルスを含む30kH(1.4kVpeak)波形が、プラズマランプの駆動電圧として使用されるとき、強く変化する。この場合、発光はより明瞭にマイクロキャビティに閉じ込められ、パルスによって生成される増加した電場強度は、各々のマイクロキャビティの放物線型の横プロフィルと結合して、半球の中心からの発光を強くする。予期されるように、プラズマランプ1の性能は、プラズマランプ内部に存在するマイクロキャビティのアレイの空間的分布及び幾何学的構造に依存する。
ゲート強化型CCDカメラを、アレイの時間的挙動を観測するのに使用することができる。次に図3を参照すると、赤色の範囲50が観測される最大放射強度を表し、他方、青色の範囲51が観測される最低の発光強度を表す、偽の色画像が与えられる。この画像は、図2A及び図2Bに関して上述したように、2つのアレイの半球の直径が2mm及び800μmである2つの織り交ぜられたアレイ(100cm2(4”×4”)ランプに対する)の小部分を示している。このプラズマランプ1に導入されるガス混合物は、315トルのXe及び135トルのNeである。プラズマランプは20kHz(1.8kVRMS)のac正弦波電圧の印加によって電力供給される。この特定のマイクロキャビティアレイ設計に関して、より大きい半球マイクロキャビティ30aからの発光は環の形状を取り、他方、より小さい半球マイクロキャビティ30bは、より空間的に均一な発光を生成する。ゲート強化型CCDカメラを用いる蛍光の時間分解計測は、駆動電圧が上昇する際に、より大きいキャビティ30aが初めに発火し、他方、より小さいキャビティ30bがその後に発火することを示している。従って、異なるサイズのキャビティは、駆動電圧波形の異なる部分と相互作用し、及びそれから電力を吸収する。この挙動は部分的に、現在13%であるが、将来は少なくとも20%に達すると期待される、これらのプラズマランプの高い電気効率の要因である。
次に図4を参照すると、マイクロキャビティの2つの織り交ぜられたアレイを有するプラズマランプに関する70/30%のXe/Neガス混合物の代表的なスペクトルが示される。Xe2 *エキシマ分子の発せられた放射は、VUV分光器及び光電子増倍管を用いて計測される。ピーク発光は172nm付近で生じ、波長積分発光は、キセノンガスの分圧と共に急速に大きくなる。Xe2 *放射のスペクトル幅は約9nmである。100cm2(4”×4”)プラズマランプによって発せられるXe2 *発光の強度の計測は、マイクロキャビティをベースとするプラズマランプが、これまで達成可能ではなかった効率及び全放射出力の値を可能にすることを明白に示している。例えば、100cm2Xe2 *プラズマランプによって放射された強度及び出力の計測値が図5に要約されている。プラズマランプ内のキセノン(Xe)ガス圧が500トルの場合、プラズマランプへの入力電力が160Wであるとき、プラズマランプによって200mW/cm2を超える強度が放射される。強度のこの最大値は、プラズマランプの両面を通して放射される20Wを超える出力(173nmにおける)に相当し、全体的効率(プラズマランプに供給された電力で割られたVUV出力)は10%を超える。
マイクロキャビティのアレイを有しないことを除いて、サイズ及び形状が図2のものに等しいプラズマランプは、最大強度及びその出力の、それぞれ約70mW/cm2及び9Wへの減少を示している。さらに、プラズマランプ内にマイクロキャビティが無ければ、プラズマは全体的に条線(「フィラメント」)で構成され、従って、プラズマの空間的均一さは不十分である。これに比較して、マイクロキャビティの1つ又はそれ以上のアレイの組み込みは、VUV出力放射がプラズマランプの全表面にわたって空間的に均一になる拡散グローとなるプラズマを生じる。
次に、図6A〜図6Eを参照すると、マイクロキャビティの1つ、2つ又はそれ以上の織り交ぜられたアレイを有するプラズマランプの幾つかの可能な設計(多数の中の)が示され、それらの中で、マイクロキャビティの幾何学的構造及びサイズの範囲が限定なく変えられる。主アレイが、w1の出口開口(即ち、外窓に向き合う開口)を有する円筒、円錐台、又は放物面体キャビティを備える場合、アレイによって占められる表面の利用、並びに駆動電圧波形の電気的利用は、マイクロキャビティの第2又は第3のアレイの導入によって高められる。
次に図7Aを参照すると、図1Aの最外側の窓20が除去された、簡易化された構造を有するプラズマランプ1が示される。この状況においては、UV/VUV透過性材料の薄膜40の、電極17上への堆積が、限定的な環境保護をもたらすために、望ましい。この透過性材料40は、酸化アルミニウム又はダイアモンド膜とすることができるが、それらに限定されない。
次に図7Bを参照すると、マイクロキャビティ30a、30bの2つのアレイ25a、25bが、1つのアレイ25a、25bが両方の溶融シリカ内部板5の内表面7の中に設けられるように作製される、プラズマランプ1の代替的構造が示される。マイクロキャビティ30a、30bは、形状及びサイズが類似でも異なっても良い。図7Bにおいて、第1のアレイ25aは、深さd1及び幅w1を有するマイクロキャビティ30aを備え、他方、第2のアレイ25bは、深さd2及び幅w2を有するマイクロキャビティ30bを備える。各々の内部板5の内表面7の上のマイクロキャビティ30a、30bの位置を交互にするか又は織り交ぜることによって、プラズマランプ1から発することができるUV/VUV放射の効率を高めることができる。
図7Cに示される最後の例示的な構造は、開空間又は開いた窓65構造をもたらすように、プラズマランプの一方の側の内部板5及び外窓20が除去された構造である。この構造の主要な機能は、内部板5及び外板/窓20によるランプ放射35の吸収を避けることである。この問題は、プラズマランプによって生成される放射35の波長(単数又は複数)が減少し、約106nmのLiF「遮断」波長に近づくにつれて重要性を増す。H2及びNe2などの二原子分子からの発光は、事実上全ての窓材料が吸収する波長にあり(例えば、深真空紫外、λ<120nm)、図7Cに示されるように、「標的」67及び、標的とプラズマランプとの間の介在領域を、プラズマランプ1内と同じガス13又はガス混合物に浸すことが、窓吸収に起因するランプ出力の損失を避ける1つの手法である。
図8A及び図8Bは、本開示の教示に従って形成されるプラズマランプに関連する2つの他の特定な設計可能性を、限定なしに示している。これらの設計の内の1つ(図8A)は、ランプ放射を効率的に透過することができる窓77を有する第2のチャンバ75からプラズマランプ1を分離する。第2のチャンバ75は、プラズマランプ1内に存在するガス13とは異なるガス80又は蒸気(又はそれらの混合物)を含むことができる。ガス又は蒸気80は、プラズマランプ1からの放射35によって照射されるとき、例えば、電子回路用の基板又はチップとすることが可能な「標的」67の上に膜が成長することになるように、選択される。プラズマランプ1から発せられた放射35の吸収損失を減らすために、プラズマランプを、真空73を生じるように排気することができるチャンバ71の中に置くことができる。特定の例は、基板上に窒化ガリウム(GaN)の薄膜を生じるように、アンモニア(NH3)とトリメチルガリウム((CH3)3Ga)との混合物を照射する172nmプラズマランプであろう。
次に図8Bを参照すると、代替的に、プラズマランプ1は、商業的関心のある種々の分子の光化学的生成に好適であるように設計することができる。一例はギ酸の生成であり、この状況においては、ガス相からの光化学的生成物の抽出のために準備される。この図は、プラズマランプ1内のガス/ガス混合物13によって生成されるUV/VUV放射35が、内部板5の内表面7の上に堆積された蛍光体材料90又は蛍光体材料の混合物によって他の波長に変換される、プラズマランプ1を示している。蛍光体材料又は蛍光体材料の混合物は、内部板5の内表面7全体を覆うことができ、或いは、蛍光体が内部板5の内表面7の一部分だけを覆うように、型版で刷り込むか又はパターン化することができる。蛍光体材料の組成物は、それらに限定されないが、酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物、セレン化物、ハロゲン化物、又は、亜鉛、カドミウム、マンガン、アルミニウム、シリコン、種々の希土類金属のケイ酸塩、或いはそれらの混合物を含むことができる。蛍光体材料は単層として、或いは、各々の層の組成が個々に制御できる複層として付けることができる。蛍光体層の厚さは、約0.5μm〜約100μmの範囲とすることができ、或いは、約8μm〜約25μmの間にすることができる。蛍光体層は、スクリーン印刷、噴霧、カーテン塗装、浸漬塗装、スパッタリング、又は化学蒸着を含む任意の手段によって付けることができる。
本開示のプラズマランプは、約100nm〜400nmの波長範囲の、或いは約126nm〜約353nmの間のUV/VUV放射を発することができる。図9には、Xeガスとヨウ素(I2)蒸気の混合物を有するプラズマランプに関する代表的なスペクトル(波長の関数としてプロットされたランプ強度)が与えられている。このスペクトルにおける最も強い特徴は、254nmにピークを有する一ヨウ化キセノン(XeI*)のB→X発光帯である。
図10は、プラズマランプがキセノン(Xe)ガスで充填され、1つの内部板の内表面が蛍光体材料の膜でコーティングされている、図9のプラズマランプに関して計測された発光スペクトルを示す。この場合、Xe2 *分子からの172nm発光は、230〜290nmスペクトル領域に「低周波数変換」される。このスペクトル内の第2のトレースは、プラズマランプの外面(単数又は複数)に蛍光体材料がコーティングされるときに記録されたスペクトルである。
本開示の別の態様により、複合構造を有するプラズマランプを形成する方法が提供される。図11を参照すると、方法100は、各々の内部板が内表面及び外表面を有する2つ又はそれ以上の内部板を準備すること105を含む。110では、少なくとも1つの内部板の内表面に少なくとも1つのマイクロキャビティアレイが形成される。115では、各々の内部板の内表面は、別の内部板の内表面に向き合うように、位置決めされる。或いは、各々の内部板の内表面は互いに平行である。任意選択として、120では、1つ又はそれ以上のスペーサを、内部板の内表面の間に、スペーサが内部板を所定の固定距離に分離されるように保つように、挿入することができる。使用される場合、少なくとも1つのスペーサは、内部板の縁の近くに配置される縁スペーサである。125では、縁封止と内部板との間に気密封止が形成され、それにより内部板の間に固定体積が創出される。130では、少なくとも1つの内部板を貫通するガス充填ポートが形成され、135では、固定体積が排気される。140では、排気された固定体積は、グロー放電を生成することができるガス(又はガス混合物)でバックフィルされる。従って、ガスは、マイクロキャビティのアレイに接触し、それを充填する。140で一度ガスがバックフィルされると、145でガス充填ポートが閉鎖され、それによりプラズマランプ内にガスが封止される。150では、複数の電極が形成され、時間変化する電圧を供給するように設計された電源に接続される。少なくとも1つの電極が、少なくとも1つの内部板の外表面の上に配置される。最後に、155では1つ又はそれ以上の保護窓が少なくとも1つの電極の上に、或いは、各々の電極の上に配置される。電極への時間変化する電圧の印加160は、1つ又はそれ以上のマイクロキャビティアレイの内部に、空間的に均一なグロー放電プラズマを発生し、そのグロー放電が、UV/VUVスペクトル領域内の放射を発する。
次に図12を参照すると、本開示のプラズマランプを作製するのに使用される幾つかのプロセスステップの特定の例が、限定なしに与えられている。図12A〜図12Cに示されるプロセスステップは、光学的透過材料の平板の一面上にマイクロキャビティの1つ又はそれ以上のアレイの製作を伴う。図12には、具体的に溶融シリカが示されているが、発せられる放射の波長(単数又は複数)に応じて、他の材料を使用することもできる。VUV領域の大部分にわたる優れた透過性を示す例示的な材料は、フッ化カルシウム、フッ化マグネシウム、フッ化リチウム及びサファイアを含む。アレイ内のマイクロキャビティの位置及び横寸法は、ポリジメチルシロキサン(PDMS:polydimethylsiloxane)スタンプ111及びUV硬化性インク113を含むリソグラフィプロセス(図12Aに示される)によって定められる。マイクロキャビティ自体は、限定なしに、微細粉末114及び高解像度マスク116の使用を含む微細粉末アブレーションプロセス(図12B参照)によって形成することができる。各々のマイクロキャビティの深さ(d)及び幅(w)(並びに、ある程度まで、マイクロキャビティの形状)は、表面に対する微細粉末114ジェットの照射の時間によって決定される。UV硬化性インクは微細粉末ジェットに対する耐性を有することが見出されており、従って、マイクロキャビティ作製プロセスのための適切なマスク116として働くことができる。図12Bには、微細粉末アブレーションが示されているが、幾つかの名称を挙げれば、レーザアブレーション、穿孔及び化学処理を含む他の周知のプロセスによるマイクロキャビティアレイの形成も、本開示の範囲内にある。図12Cは、内部板5の内表面7の中のマイクロキャビティ30aのアレイ25aの完了した形成を示す。
図12Dは、プラズマランプの2つの溶融シリカ内部板5の間のシリカスペーサ10の挿入を示す。スペーサ10、10aは、所望のスペーサパターンを定めるように、機械加工された単一のシートとすることができる。代替的に、スペーサ10、10aは、溶融シリカ窓のうちの1つの上に手で又はロボット制御で配置された溶融シリカセグメント(円板、ペレット、円筒、球など)とすることができる。スペーサ(単数又は複数)の構成に関わらず、スペーサ10、10aの各部分は、望ましい場合、その両面を、750℃を超える、或いは850℃を超える、或いは約900〜950℃の範囲内の温度において、焼成するように設計されたフリット127でコーティングすることができる。代替的に、スペーサ(単数又は複数)が存在しない場合、内部板5が互いに直接に結合される。
プラズマランプの2つの内部板が焼成プロセスによって封止された後(図12E参照)、短い長さの石英配管がさらに、ガラスフリットで組立体に封止される。次に、プラズマランプの内部が、ガス充填ポート15を通して真空システムによって排気され、その後、所望のガス組成物でバックフィルされる。プラズマランプ内のガス又はガス混合物の純度を最大にするために、ガスで充填された後、しかしプラズマランプが封止される前に、プラズマランプを動作させることが必要であり得る。プラズマランプが放電によって自己加熱された後、もう一度排気し、次いで再充填することができる。次に、ガス充填配管15が封止され(図12F参照)、それによりガス13がプラズマランプ内に閉じ込められる。望ましい場合、小さい「ゲッタ」をさらにプラズマランプ内に取り付け、最終のガス充填がプラズマランプ内に導入された後、焼成することができ、次にプラズマランプが封止される。ゲッタの機能は、プラズマランプの性能に対する悪影響を有する残留不純物(水蒸気、O2、N2など)を除去することである。市販のゲッタの一例は、SAESによって世界中で販売されているバリウムゲッタである。
図12G〜図12Iは、プラズマランプの両方の内部板(窓)の外表面上の金属グリッド電極の形成を示している。図12Gにおいて、Cr/Ni層117が、溶融シリカ内部板5の外表面8の上に堆積される。Cr/Ni層をパターン化された電極17の中に形成するために光リソグラフィパターン化プロセス(図12H)を限定なしに使用することができる。組立てプロセスは、任意選択として、プラズマランプ1の外側に2つの付加的な石英窓20を封止することによって完結することができる(図12I参照)。これらの外窓20は、電極を保護する助けとして役立ち得る。以前に言及したように、これらの付加的な窓は、それらが吸収する(色中心形成による)ランプ出力が好ましくない場合には、廃棄することができる。従って、望ましい場合、付加的又は保護の窓は存在する必要がなく又はプラズマランプの形成に用いられる必要がない。
以下の特定の例は、本開示のプラズマランプの使用、並びにそれらから形成される製品を示すために与えられるものであり、本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。当業者であれば、本開示を考慮して、本明細書で開示される特定の実施形態に多くの変更を加えることができ、それでもなお、本開示の趣旨又は範囲から逸脱せずに又は超えることなしに、同様の又は類似の結果を得ることができることを認識するであろう。当業者はさらに、本明細書で報告されるいずれの特性も、日常的に計測される特性を表し、複数の異なる方法によって得ることができることを理解するであろう。本明細書で説明される方法は、1つのそのような方法を表し、本開示の範囲を超えずに他の方法を使用することができる。
次に図13〜図17を参照すると、上記の方法に従って準備され、本明細書でさらに定められたプラズマランプ5の使用が、限定のない幾つかの用途において、強調されている。図13A〜図14Bに示される1つのそのような用途は、それらに限定されないが、水の消毒及び処理である。VUV放射プラズマランプ1の平面性のために、複数のプラズマランプ1を平行になるように配置することができ、それにより、水200が平面のプラズマランプ1の間、チャネル201の中を通過することを可能にする。当業者は、所望であれば又は所望の場合、プラズマランプは湾曲表面を備えることができることを理解するであろう。プラズマランプ1内に発生するプラズマから発せられるUV/VUV放射35は、水200中のバクテリア及び病原体を殺す。このUV/VUV放射35はまた、芳香族炭化水素のような、廃水200中の望ましくない分子を解離する(分解する)ことになる光化学反応をもたらすことができる。プラズマランプは平坦であるので、軸が平行である任意の幾何学的配置に置かれた円筒ランプとは対照的に、プラズマランプの間の距離は一定である。プラズマランプ1の間の距離は、約0.5mm〜約50mmの範囲、或いは、約0.5mm〜約10mmの間とすることができる。任意選択として、複数のプラズマランプを、光反射槽205の中に、又はプラズマランプ1に結合することができ、及び/又はチャネルアレイ209を形成することができるフローセル207の中に配置することができる。さらに、窒素又は別の比較的不活性なガス210を流水200中に泡立てることができる。
図15には、軽量で携帯用に設計された、小型の水消毒システム290の図が示される。水消毒システム290は任意の所望のサイズにすることができるが、軽量且つ携帯用のサイズは、約10cm〜約12cmの範囲の直径を有することができる。この水消毒システム290は、野外又は廃水300aの前処理コンパートメント305、前置フィルタ302a、少なくとも1つのプラズマランプ1を備える水処理コンパートメント310及び水処理チャンバ315を備え、ここでプラズマランプ1から生じるUV/VUV放射35が廃水300aと相互作用し、それにより廃水300aを処理(消毒、有機分子濃度を減らすなど)する。プラズマランプは電力回路又はバッテリパック318によって電力供給することができ、水消毒システムを完全に携帯用にする。処理された水300bは、第2のフィルタ302bを通過して純水貯水槽320に入る。前処理コンパートメント305は、任意選択として、望ましい場合、小型の太陽電池パネル又はバッテリコンパートメント325を備えることができる。
図16は、2つ又はそれ以上のスペクトル領域35a、35bにおけるUV/VUV放射を生成することができる、本開示の別の態様を示す図である。プラズマランプ1の表面の平担な幾何学的構造は、プラズマランプの異なる領域が別個の波長の発生に充てられるように、セグメント化することができる。UV変換蛍光体材料127を、内部板5の内表面7の一部分に、発せられたUV/VUV放射35a、35bの波長の変化を引き起こすように、コーティングすることができる。スペクトルの2つ又はそれ以上の別々の領域におけるUV及び/又はVUV光子の、単一の小型ランプからの使用可能性は、消毒(異なる病原体が異なる波長において優先的に不活性化されるため)及び、発色団が「付けられた」生物学的分子がUV又はVUV光子の吸収に応答して可視蛍光を発する医療診断、を含む用途に著しい価値を有する。円筒型ランプの内表面上の異なる領域を異なる蛍光体でコーティングする試みは困難を伴うが、それを、平担なプラズマランプの内表面上に、プラズマランプの組立てより前に試みることは比較的容易であることに留意されたい。
図17には、自動車エンジンの空気取入れ口の中にオゾン(O3)を発生させるためのシステム400が示される。本開示のプラズマランプ1の高効率性及び小型性のために、今や、自動車エンジン内に小さいXe2 *(172nm)発光プラズマランプ1を配置することが可能である。普通の空気に対する172nm放射35の照射はオゾンを効率的に生成する。換言すれば、空気中の酸素は、Xe二量体ランプの172nm波長において強く吸収することが知られている。酸素が172nm光子を吸収すると、分子は2つの遊離酸素原子に分解する。これらの遊離酸素原子と酸素分子との相互作用がオゾンを生成する。オゾンは、自動車の燃料消費効率を向上させることが知られているので、燃焼プロセスの直前且つ絞り弁410の下流に位置する空気取入れ口405内への高効率172nmプラズマランプの導入は、全ての自動車の燃料消費効率を著しく向上させる経済的システムをもたらすと期待される。類似のシステムがまた、トラック、バス、及び全ての車両(トラクタ、航空機など)及び内燃エンジンを必要とする製品(芝刈機、草刈機など)の燃料消費効率を改善するのに有効であると期待される。内部の空気流がより大きなより大きいエンジンに対しては、プラズマランプのアレイ又は単一のより大きいプラズマランプが必要となり得る。オゾンは、自動車、トラックなどの燃料消費効率を向上させると考えられるばかりでなく、燃焼プロセスを改善するので、エンジンサイクル毎に消費される所与の量の燃料に対して、エンジンによって生成される出力を増すことに留意されたい。従って、エンジンによって生成される出力の増加は、飛行機(プロペラ駆動並びにジェット)に対して具体的な価値を有するものと期待され、従来の内燃エンジンによる所与の量の馬力に対して、オゾン支援燃焼のこの利益は、燃料消費をさらに削減するであろう。
本明細書内で、実施形態は、明瞭且つ簡潔な明細書を書くことを可能にするように説明されているが、実施形態は、本発明から逸脱せずに、様々に組み合わせること又は分離することができることが、意図され、当業者によって認識されるであろう。例えば、本明細書で説明された全ての好ましい特徴は、本明細書で説明される本発明の全ての態様に適用できることを認識されたい。
本発明の種々の形態の上記の説明は、例証及び説明のために与えられている。これは網羅的であること、又は本発明を開示された正確な形態に限定することを意図したものではない。上記の教示を考慮すれば、多くの修正物又は変形物が可能である。論じられた形態は、本発明の原理、並びに、当業者が本発明を、考えられる特定の使用に適するように種々の形態及び種々の修正物を用いて利用することを可能にするその実際的用途、の最良の例証をもたらすように選択され、説明された。全てのそのような修正物及び変形物は、公正、合法的、及び公平に権利が与えられる幅に従って解釈されるとき、添付の特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲に入る。