JP2021088285A - 車両制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電子部品の制御安定性を向上することができる車両制御装置を提供する。【解決手段】車両制御装置は、実測値検出部16と、目標値設定部11と、状態量演算部17と、制御入力演算部12と、を備えている。制御入力演算部12は、状態量に基づいて制御目標となる超平面を算出する超平面演算部19と、超平面及び状態量に基づいて、制御量となる等価制御入力を算出する等価制御入力演算部13と、を備えている。【選択図】図2
Description
本発明は、車両を制御する車両制御装置に関するものである。
車両には、自動変速機の変速機構に油圧を供給するソレノイドバルブのように電流により制御される電子部品が設けられている。そして、変速機構には、ソレノイドバルブにより調圧した油圧が供給される。このソレノイドバルブによる調圧は、ソレノイドバルブ内のプランジャの位置を細かく可変し、油路のコンダクタンスを調整することで実施される。また、プランジャは、バルブの内部に流す電磁石の電流量をPWM制御によって制御することで変位する。
このソレノイドバルブのような電子部品を制御する技術としては、例えば、特許文献1に記載されているようなものがある。特許文献1には、駆動制御手段と、目標値制御手段と、電流制御量付加制御手段とを備えた技術が記載されている。駆動制御手段は、誘導性負荷に流れる電流が目標電流値に近づくようPWM制御により誘導性負荷の駆動制御を行う。目標値制御手段は、設定電流値に、PWM制御の周期よりも大きくな周期を有する所定振幅の電流制御量を付加して目標電流値を生成する。そして、電流制御量付加制御手段は、設定電流値の変化時に電流制御量の付加を電流制御量の特定の位相状態から開始させる。
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、電子部品、例えば、ソレノイドバルブに設けられたプランジャ等の機械機構は、使用環境により摩擦抵抗や粘性等の動特性が変化する。しかしながら、特許文献1に記載された技術では、動特性の変化を考慮していなかったため、電子部品の制御安定性が低下していた。
本目的は、上記の問題点を考慮し、電子部品の制御安定性を向上することができる車両制御装置を提供することにある。
上記課題を解決し、目的を達成するため、車両制御装置は、車両に搭載された電子部品の電流を制御する車両制御装置において、実測値検出部と、目標値設定部と、状態量演算部と、制御入力演算部と、を備えている。実測値検出部は、電子部品の動作に応じて変化する車両の物理状態の実測値を実測する。目標値設定部は、電子部品に供給する電流の目標値を算出する。状態量演算部は、実測値及び目標値に基づいて、前記車両の状態量を算出する。制御入力演算部は、状態量及び目標値に基づいて、電子部品に供給する電流の制御量を算出する。
また、制御入力演算部は、状態量に基づいて制御目標となる超平面を算出する超平面演算部と、超平面及び状態量に基づいて、制御量となる等価制御入力を算出する等価制御入力演算部と、を備えている。
また、制御入力演算部は、状態量に基づいて制御目標となる超平面を算出する超平面演算部と、超平面及び状態量に基づいて、制御量となる等価制御入力を算出する等価制御入力演算部と、を備えている。
上記構成の車両制御装置によれば、実測値検出部が検出した実測値に基づいて制御量となる等価制御入力を算出することができ、電子部品の制御安定性を向上させることができる。
以下、車両制御装の実施の形態例について、図1〜図5を参照して説明する。なお、各図において共通の部材には、同一の符号を付している。
1.実施の形態例
1−1.車両制御装置の構成例
まず、実施の形態例(以下、「本例」という)にかかる車両制御装置の構成例について、図1から図4を参照して説明する。
図1は、車両制御装置を備えた車両の構成例を示す概略構成図である。
1−1.車両制御装置の構成例
まず、実施の形態例(以下、「本例」という)にかかる車両制御装置の構成例について、図1から図4を参照して説明する。
図1は、車両制御装置を備えた車両の構成例を示す概略構成図である。
図1に示すように、車両100は、車両制御装置の一例を示す変速機制御装置(TCU:Transmission Control Unit)110と、エンジン120と、エンジン120を制御するエンジン制御装置(ECU:Engine Control Unit)150を備えている。また、車両100は、エンジン120からの動力が伝達されるトルクコンバータ161と、変速機130と、ドライブシャフト162等を備えている。
トルクコンバータ161は、変速機130の入力軸に接続されており、エンジン120の動力を変速機130に伝達する。変速機130の出力軸には、ドライブシャフト162が接続されており、ドライブシャフト162には、タイヤ163が接続されている。そして、変速機130の出力軸の回転が、ドライブシャフト162を介してタイヤ163に伝達される。
ECU150は、エンジン120が最適な運転状態となるように、エンジン120を制御する。エンジン120には、エンジン120の状態を検出する各種センサが取り付けられている。ECU150は、信号線171を介してエンジン120に設けた各種センサに接続されている。ECU150は、信号線171を介して各種センサが検出した検出信号を取得し、この検出信号に基づいてエンジン120を制御する。
また、ECU150は、通信路173を介してTCU110と情報を送受信可能に接続されている。通信路173としては、例えば、CAN(Control Area Network)通信等が適用される。ECU150は、エンジン回転数、エンジントルク、車両100の速度、アクセルペダル開度等の車両情報を、通信路173を介してTCU110に送信する。
変速機130は、電子部品の一例を示すリニアソレノイド(以下、「リニアSOL」と称す)131と、変速機構132と、油圧センサ133等を備えている。変速機構132は、油圧アクチュエータ(油圧ACT)140(図2参照)を有している。そして、油圧ACT140は、リニアSOL131から供給される油圧により作動する。これにより、変速機構132が作動する。すなわち、変速比の制御は、リニアSOL131により変速機構132における油圧ACT140の作動油圧を制御することで実施される。このリニアSOL131は、後述するTCU110に設けたリニアSOLドライバ112により駆動する。
油圧センサ133は、変速機構132の物理状態の一例として、作動油圧を検出する。そして、油圧センサ133は、検出した油圧情報を、信号線175を介してTCU110の変速制御部111に出力する。
TCU110は、変速制御部111と、リニアSOLドライバ112とを有している。リニアSOLドライバ112は、リニアSOL131と、信号線172を介して接続されている。そして、リニアSOLドライバ112は、リニアSOL131に流れる電流を制御することで、リニアSOL131を駆動させる。
また、リニアSOLドライバ112は、信号線174を介して、変速制御部111に接続している。リニアSOLドライバ112は、信号線174を介して、変速制御部111に、リニアSOL131の状態、例えばSOL駆動電流量やSOL温度等を表すSOL情報を出力する。
変速制御部111は、ECU150から取得した車両情報、油圧センサ133から取得した油圧情報、リニアSOLドライバ112から取得したSOL情報に基づいて、リニアSOL131の駆動電流量(制御量)を算出する。変速制御部111は、制御量をリニアSOLドライバ112に出力する。そして、リニアSOLドライバ112は、受信した制御量に基づいてリニアSOL131の電流を制御する。
1−2.油圧制御の構成例
次に、TCU110における油圧制御の構成について図2を参照して説明する。図2は、TCU110における油圧制御の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、TCU110は、目標値設定部11と、制御入力演算部12と、実測値検出部16と、状態量演算部17と、を備えている。
次に、TCU110における油圧制御の構成について図2を参照して説明する。図2は、TCU110における油圧制御の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、TCU110は、目標値設定部11と、制御入力演算部12と、実測値検出部16と、状態量演算部17と、を備えている。
目標値設定部11は、ECU150から受信した車両情報に基づいて、変速機構132の作動油圧の目標値を設定する。そして、目標値設定部11は、設定した目標値を制御入力演算部12に出力する。目標値設定部11が設定する目標値としては、例えば、変速機構132の油圧ACT140にリニアSOL131が供給する油圧の目標値である。
実測値検出部16は、油圧センサ133が検出した油圧情報、すなわち油圧の実測値を取得する。実測値検出部16は、取得した実測値を状態量演算部17に出力する。状態量演算部17は、取得した実測値と目標値設定部11が設定した目標値に基づいて、制御入力演算部12が演算する制御対象の状態量を算出する。
具体的には、状態量演算部17は、第1次状態量と、第2次状態量と、第3次状態量の3次の状態量を演算する。第1次状態量は、後述する第2次状態量である実測値と目標値との間の偏差を時間で積分した値である。第2次状態量は、実測値検出部16が取得した油圧の実測値である。そして、第3次状態量は、実測値、すなわち第2次状態量の時間変化の割合である時間微分値である。状態量演算部17は、演算した第1次状態量、第2次状態量及び第3次状態量を制御入力演算部12に出力する。
制御入力演算部12は、等価制御入力演算部13と、非線形制御入力演算部14と、切換関数演算部15と、安定補償入力演算部18と、超平面演算部19と、を備えている。
超平面演算部19は、状態量演算部17が演算した状態量に基づいて、スライディングモード制御における超平面を算出する。超平面とは、制御対象が設計者の意図に沿って動いているときの挙動を示した平面である。
等価制御入力演算部13は、状態量と、超平面に基づいてスライディングモード制御における等価制御入力を算出する。切換関数演算部15は、状態量と、超平面に基づいてスライディングモード制御における切換関数σを算出する。
また、非線形制御入力演算部14は、状態量、超平面及び切換関数σに基づいて、スライディングモード制御における非線形制御入力を算出する。そして、制御入力演算部12は、算出した等価制御入力と非線形制御入力を加算した制御入力を、制御量としてリニアSOLドライバ112に入力する。
また、安定補償入力演算部18は、制御入力演算部12における制御入力の変化の安定化を図るために、補償量(補償入力)を算出する。また、図2に示す例では、安定補償入力演算部18は、算出した補償量を状態量又は、切換関数に加算する。
本例のTCU110は、リニアSOL131の動特性を含めた制御入力を算出できるように、油圧の指令値に対する追従性を状態変数とするサーボ制御系である。具体的には、第1次状態量、第2次状態量及び第3次状態量を制御対象の状態量とする拡大系のコントローラである。
2.油圧制御例
次に、上述した構成を有するTCU110における油圧制御例について図2及び図3を参照して説明する。
図3は、油圧制御例を示すフローチャートである。
次に、上述した構成を有するTCU110における油圧制御例について図2及び図3を参照して説明する。
図3は、油圧制御例を示すフローチャートである。
まず、実測値検出部16は、油圧センサ133が検出した油圧情報、すなわち油圧の実測値を取得する(ステップS11)。次に、状態量演算部17は、実測値に基づいて、状態量、すなわち第1次状態量、第2次状態量及び第3次状態量を算出する(ステップS12)。
また、本例のTCU110は、第1次状態量、第2次状態量及び第3次状態量を制御対象の状態量とする拡大系のコントローラである。そして、この拡大系のコントローラにおける状態量ベクトルXは、実測値(油圧)x、目標値r、第1次状態量x1、第2次状態量x2、第3次状態量x3とした場合、下記数1によって表される。
[数1]
[数1]
この拡大系のコントローラを設計するための状態方程式は、下記数2によって表される。
[数2]
Uは、制御入力演算部12で演算されて、リニアSOLドライバ112に指令する制御入力である。また、行列A、行列Bを得る方法としては、開ループの状態でリニアSOLドライバ112に目標電流を指令した際の油圧の応答により予め逐次最小二乗法により算出する。
[数2]
Uは、制御入力演算部12で演算されて、リニアSOLドライバ112に指令する制御入力である。また、行列A、行列Bを得る方法としては、開ループの状態でリニアSOLドライバ112に目標電流を指令した際の油圧の応答により予め逐次最小二乗法により算出する。
具体的には、リニアSOLドライバ112から、リニアSOL131、油圧ACT140、実測値検出部16までのシステムを制御対象とみなす。そして、リニアSOLドライバ112に指令する目標電流を入力、実測値検出部16で検出する実測値(油圧)を出力として、逐次最小二乗法によりシステム同定する。これにより、油圧センサ133による実測値(油圧)を用いて、リニアSOL131の動特性を含む油圧制御系全体の状態を同定することができる。
次に、超平面演算部19は算出した状態量に基づいて制御目標となる超平面Sを算出し(ステップS12)する。そして、算出した超平面S及び状態量に基づいて、等価制御入力演算部13は、スライディングモード制御の2つの制御入力のうち、等価制御入力Uepを算出する(ステップS13)。
数5を上述した拡大系の状態方程式である数3に代入し、まとめることで下記数6となり、等価制御入力Uep(U)を算出することができる。このように、実測値に基づいて状態量Xを算出し、適切な等価制御入力を算出することができる。
[数6]
[数6]
また、極は数2より得られるリニアSOL131の動特性を含むものである。そのため、経年変化や使用環境の変化によりリニアSOL131の摺動特性が変化する。そして、リニアSOL131の動特性が変化すると、制御対象であるリニアSOLドライバ112からリニアSOL131、油圧ACT140、実測値検出部16までのシステムを含む制御系の極の配置が変化する。その結果、制御対象の各状態量Xの応答は、超平面Sから剥離する。
また、切換関数σは、制御対象の各状態量と超平面Sの剥離量を算出するものである。そして、切換関数演算部15は、超平面Sと状態量Xに基づいて数4から切換関数σを算出する(ステップ15)。この切換関数σは、外乱量を表すことになる。切換関数σの値の大きさによって、同定次からの制御点のずれを判断することいができる。
また、状態量Xと超平面Sの剥離量の影響は、非線形制御入力Unlを用いて打ち消すことができる。そして、非線形制御入力演算部14は、状態量X、超平面S及び切換関数σに基づいて、非線形制御入力Unlを算出する(ステップS16)。制御入力演算部12は、算出した等価制御入力と非線形制御入力を加算し、制御量を算出する(ステップS17)。
次に、非線形制御入力Unlの算出方法について説明する。
切換関数σの値は、制御目標と超平面Sとの間の距離を表している。そして、非線形制御入力Unlの目標は、切換関数σ=0を実現することである。すなわち、非線形制御入力Unlは、外乱のある状況において制御対象を超平面S上に拘束する役割を担う。まず、切換関数σ=0を実現するためリアプノフ関数Vの候補を下記数8にしたがって選択する。
[数8]
切換関数σの値は、制御目標と超平面Sとの間の距離を表している。そして、非線形制御入力Unlの目標は、切換関数σ=0を実現することである。すなわち、非線形制御入力Unlは、外乱のある状況において制御対象を超平面S上に拘束する役割を担う。まず、切換関数σ=0を実現するためリアプノフ関数Vの候補を下記数8にしたがって選択する。
[数8]
切換ゲインKnlは、非線形制御入力Unlの大きさを決める。そして、切換ゲインKnlが正の値であれば、上述した数9を満たすため、安定なスライディングモード制御を実現することができる。
平滑関数は、非線形制御入力Unlを超平面Sの前後で切り換える際の変化率を制限することによりチャタリングを抑制する関数である。この平滑関数は、切換関数σの値とその絶対値によって構成される。そのため、平滑関数は、符号関数sgn(σ)と同様の効果を発揮し、非線形制御入力Unlを超平面Sの前後で切り換える作用を有している。なお、平滑関数パラメータδにより超平面Sの前後における非線形制御入力Unlの変化率を調整することができ、平滑関数を用いることが好ましい。
また、上述したように、切換ゲインKnlは、非線形制御入力Unlの大きさを決めるため、一般的にモデル化誤差や外乱の最大値よりも大きい値に設定することで制御対象を超平面Sへの拘束性能を向上させることができる。具体的には、リニアSOL131の内部の電磁石により発生する力がプランジャの摺動抵抗の最大静止摩擦力以上となるような電流値となるように、切換ゲインKnlを設定することが望ましい。
実際には、電磁石のヒステリシス等の物理的な不感帯や、制御モデルのモデル化誤差等による理想状態からの乖離文を、補正量として加える必要がある。そのため、切換ゲインKnlは、上述した値よりも大きく設定する必要がある。また、非線形制御入力Unlの切換ゲインKnlを大きくした場合、制御入力演算部12が入力する制御入力が大きく不連続的に変化する。その結果、切換段差を生じさせ、制御対象が高周波振動する現象、いわゆるチャタリングが発生し、制御対象の動作を不安定化させるおそれがある。
このような、制御対象の動作の不安定化を解消させるため、本例では、制御量、すなわち等価制御入力Uepと非線形制御入力Unlとの和から安定補償入力演算部18により補償量(補償入力)を算出している。そして、安定補償入力演算部18は、算出した補償量を状態量又は、切換関数に加算している。これにより、制御入力演算部12における制御入力の変化の安定化を図ることができ、非線形制御入力Unlの切換ゲインKnlを大きく設定した場合でも、制御を不安定にすることなく、ロバスト性を向上させることができる。
3.他の例
なお、図2に示す例では、補償量を状態量又は、切換関数に加算する例を説明したが、これに限定されるものではない。図4は、車両制御装置における油圧制御構成の他の例を示すブロック図である。
なお、図2に示す例では、補償量を状態量又は、切換関数に加算する例を説明したが、これに限定されるものではない。図4は、車両制御装置における油圧制御構成の他の例を示すブロック図である。
図4に示す例では、安定補償入力演算部18は、目標電流と実測値の間において制御対象であるリニアSOLドライバ112からリニアSOL131、油圧ACT140、実測値検出部16までのシステムを含む制御系と並列に実装されている。安定補償入力演算部18は、目標電流である制御入力演算部12の制御入力を入力とし、下記数11のフィルタを通過した出力を実測値検出部16で検出した実測値に加える。すなわち、安定補償入力演算部18は、等価制御入力演算部13が算出した等価制御入力Uepと非線形制御入力演算部14が算出した非線形制御入力Unlをもとに補償入力を算出する。
このように、制御対象と並列な位置にフィルタである安定補償入力演算部18を設けることで、スライディングモードコントローラである制御入力演算部12側から見た、見かけ上の制御対象の極を安定化することができる。その結果、制御対象の動作の安定化を図ることができる。
なお、その他の構成は、図2に示す例と同様であるため、その説明は省略する。
4.油圧制御のタイミングチャート
図5は、上述した構成を有するTCU110における油圧制御のタイミングチャートについて図5を参照して説明する。
図5は、TCU110の油圧制御を示すタイミングチャートである。
図5は、上述した構成を有するTCU110における油圧制御のタイミングチャートについて図5を参照して説明する。
図5は、TCU110の油圧制御を示すタイミングチャートである。
図5に示すタイミングチャートでは、制御対象に負荷外乱として摩擦負荷を印加し、目標値設定部11にてステップ入力を指令した場合のスライディングモード制御の結果を示す。油圧応答における破線は目標値Q1を示し、実線は安定補償入力演算部18によって安定補償入力を加えた油圧応答Q2を示している。また、油圧応答における一点鎖線は安定補償入力演算部18によって安定補償入力を加えていない油圧応答Q3を示す。さらに、切換関数における実線は安定補償入力を加えた切換関数R2を示し、一点鎖線は安定補償入力演算部18によって安定補償入力を加えていない切換関数R3を示す。
図5に示すように、目標値Q1に対する油圧応答の応答性は、油圧応答Q2及びQ3ともに差がないとみなせる。しかしながら、安定性においては、安定補償入力のない油圧応答Q3は、過度と定常ともに外乱の影響を受けて圧力がふらついている。これに対して、安定補償入力のある油圧応答Q2では、負荷外乱が変動しても圧力は安定している。そして、油圧応答Q2は、目標値Q1に追従しており、制御の安定性が向上している。
また、切換関数においても、切換関数R2及びR3ともに0近傍に収束している。しかしながら、安定補償入力のある切換関数R2のほうが切換関数R3よりも0近傍に収束していることが分かる。これは、安定補償入力により安定性が向上したためである。これにより、非線形制御入力Unlを算出する際に、さらに高い切換ゲインKnlを設定でき、より制御性能の向上を図ることができる。
上述したように、本例のTCU110によれば、スライディングモード制御により、切換関数σを超平面Sの近傍に安定化させる等価制御入力Uepと、切換関数σを超平面S上に拘束する非線形制御入力Unlを適切な値に設定している。これにより、外乱の影響を受け難いロバストな制御を実現することができる。
また、本例のスライディングモード制御では、油圧の変化量がリニアSOLの動特性をもとめ、超平面Sに含めることで、プランジャの摺動抵抗の変化を切換関数σで検出することができる。さらに、切換ゲインKnlを高く設定して、プランジャの摺動抵抗分に相当する電流以上の電流値を非線形制御入力Unlとして設定することで、切換関数σで検出する外乱に応じて補償することができる。
さらに、実測値として油圧だけでなく、油温を含めることで、油温による制御応答の変動分も切換関数σに含めることができる。そして、プランジャの摺動抵抗及び油温低下による応答遅れ分を補正する電流の最大値以上に非線形制御入力Unlを設定することで、油温低下による応答遅れ分も補正することができる。
さらに、安定補償入力演算部18により補償量(安定補償入力)を算出し、算出した補償量を状態量又は、切換関数に加算している。これにより、制御入力演算部12における制御入力の変化の安定化を図ることができる。また、スライディングモード制御の制御入力と制御対象との間にフィルタである安定補償入力演算部18を並列に設けることで、外乱及び制御入力の変化に対して安定した制御を行うことができる。以上により、リニアSOL131の制御の安定性と、ロバスト性を向上させることができる。
なお、本発明は、上述し、かつ図面に示した実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
なお、上述した実施の形態例では、電流の制御を行う電子部品の一例としてリニアSOL131を適用した例を説明したが、これに限定されるものではない。電流の制御を行う電子部品としては、状態量が時間的に変化するものであればよく、例えば、モータ等の電制アクチュエータ、内燃機関や制動装置等のその他各種の電子部品を適用することができる。そして、任意の電子部品の状態量を上述したスライディングモード制御によって制御することで、電子部品の動特性を考慮し、環境変化にロバストな制御を提供することができる。
また、上述した実施の形態例は本発明を分かりやすく説明するために装置の構成を詳細かつ具体的に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、ここで説明した実施の形態例の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることは可能であり、さらにはある実施の形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施の形態例の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
さらに、上記の各構成要素、機能、処理部等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路の設計などによりハードウエアで実現してもよい。また、上記の各構成要素、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウエアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリやハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、又はICカード、SDカード、DVD等の記録媒体に格納することができる。
11…目標値設定部、 12…制御入力演算部、 13…等価制御入力演算部、 14…非線形制御入力演算部、 15…切換関数演算部、 16…実測値検出部、 17…状態量演算部、 18…安定補償入力演算部、 19…超平面演算部、 100…車両、 110…変速機制御装置(車両制御装置)、 111…変速制御部、 112…リニアSOLドライバ、 120…エンジン、 130…変速機、 131…リニアSOL(電子部品)、 132…変速機構、 133…油圧センサ、 140…油圧ACT、 150…エンジン制御装置
Claims (7)
- 車両に搭載された電子部品の電流を制御する車両制御装置において、
前記電子部品の動作に応じて変化する前記車両の物理状態の実測値を実測する実測値検出部と、
前記電子部品に供給する電流の目標値を算出する目標値設定部と、
前記実測値及び前記目標値に基づいて、前記車両の状態量を算出する状態量演算部と、
前記状態量及び前記目標値に基づいて、前記電子部品に供給する電流の制御量を算出する制御入力演算部と、を備え、
前記制御入力演算部は、
前記状態量に基づいて制御目標となる超平面を算出する超平面演算部と、
前記超平面及び前記状態量に基づいて、前記制御量となる等価制御入力を算出する等価制御入力演算部と、を備えた
車両制御装置。 - 前記制御入力演算部は、
前記超平面と前記状態量から外乱量を表す切換関数を算出する切換関数演算部と、
前記切換関数から非線形制御入力を算出する非線形制御入力演算部と、を備え、
前記等価制御入力と前記非線形制御入力を加算し、前記制御量を算出する
請求項1に記載の車両制御装置。 - 前記非線形制御入力演算部は、前記非線形制御入力を前記電子部品に生じる外乱の最大値よりも大きな値に設定する
請求項2に記載の車両制御装置。 - 前記制御入力演算部により算出される前記制御量の変化を安定させる補償入力を算出する安定補償入力演算部をさらに備えた
請求項2に記載の車両制御装置。 - 前記安定補償入力演算部は、前記等価制御入力演算部が算出した等価制御入力と前記非線形制御入力演算部が算出した非線形制御入力に基づいて、前記補償入力を算出する
請求項4に記載の車両制御装置。 - 前記安定補償入力演算部は、算出した前記補償入力を前記状態量又は前記実測値に加算する
請求項4に記載の車両制御装置。 - 前記状態量演算部は、第1次状態量と、第2次状態量と、第3次状態量を算出し、
前記第1次状態量は、前記第2次状態量と前記目標値との間の偏差を時間で積分した値であり、
前記第2次状態量は、前記実測値検出部により実測した前記実測値であり、
前記第3次状態量は、前記第2次状態量の時間変化の割合である時間微分値である
請求項1に記載の車両制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019219933A JP2021088285A (ja) | 2019-12-04 | 2019-12-04 | 車両制御装置 |
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ID=76219119
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JP2019219933A Pending JP2021088285A (ja) | 2019-12-04 | 2019-12-04 | 車両制御装置 |
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2019
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