JP2021088115A - ディスプレイ素子保護用の積層フィルムの製造方法 - Google Patents

ディスプレイ素子保護用の積層フィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】良好なバリア性を有し、かつ、シワの発生が抑制されたディスプレイ素子保護用の積層フィルムを提供する。【解決手段】基材層101と、無機物層102と、ガスバリア層103と、をこの順番に備えるディスプレイ素子保護用の積層フィルム100の製造方法であって、基材層101上に形成された無機物層102上に、ポリカルボン酸およびポリアミン化合物を含む混合物からなる塗工層を形成する工程(A)と、基材層101および無機物層102とともに上記塗工層を加熱することによって、上記塗工層を硬化し、ガスバリア層103を形成する工程(B)と、を含み、工程(B)の前後における積層フィルム100のTD方向における収縮率が1.0%未満である積層フィルムの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイ素子保護用の積層フィルムの製造方法に関する。
量子ドットとは、直径1〜数十nm程度の半導体ナノ粒子であり、スペクトル半値幅が狭く、発光効率が高く、色再現性が高いなどの特徴を有することから、ディスプレイへの応用が期待されており、1)液晶ディスプレイのカラーフィルターとして量子ドットを使うこと、2)量子ドットを採用したLEDバックライトを用いること、3)マイクロLEDの上に量子ドットを搭載すること等の提案がなされている。
量子ドット層は水分や酸素の侵入により劣化が起きるため、これを保護するガスバリア性フィルムが必要とされる。
このようなディスプレイ素子保護用フィルムに関する技術として、特許文献1に記載のものがある。
特許文献1(国際公開第2016/059843号)には、シリカ蒸着層を含むバリアフィルムと、拡散層とを備える量子ドット保護フィルムであって、上記シリカ蒸着層に含まれる酸素とケイ素のO/Si比が原子比で1.7以上2.0以下であり、上記シリカ蒸着層の屈折率が1.5以上1.7以下であり、波長450nm、波長540nm、及び波長620nmの全ての波長において、上記量子ドット保護フィルムの反射率が10%以上20%以下であり、且つ、透過率が80%以上95%以下である、量子ドット保護フィルムが記載されている。
国際公開第2016/059843号
本発明者らの検討によると、ポリカルボン酸およびポリアミン化合物の架橋体により形成されたガスバリア層を備えるフィルムは、ガスバリア性に優れるものの、生産工程での高温処理によりフィルムが熱収縮することで、シワが発生し、外観が悪くなる場合があることが明らかになった。シワが発生すると、ディスプレイ素子保護用フィルムに適用し難くなる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、良好なバリア性を有し、かつ、シワの発生が抑制されたディスプレイ素子保護用の積層フィルムを提供するものである。
本発明者らは、上記課題を達成するために鋭意研究を重ねた。その結果、ポリカルボン酸およびポリアミン化合物の架橋体により形成されたガスバリア層を形成する際に、フィルムのTD方向における収縮率を特定の範囲とすることにより、良好なバリア性を有し、かつ、シワの発生が抑制されたフィルムを得ることができるという知見を得て、本発明を完成させた。
本発明によれば、以下に示す積層フィルムの製造方法が提供される。
[1]
基材層と、無機物層と、ガスバリア層と、をこの順番に備えるディスプレイ素子保護用の積層フィルムの製造方法であって、
上記基材層上に形成された上記無機物層上に、ポリカルボン酸およびポリアミン化合物を含む混合物からなる塗工層を形成する工程(A)と、
上記基材層および上記無機物層とともに上記塗工層を加熱することによって、上記塗工層を硬化し、上記ガスバリア層を形成する工程(B)と、
を含み、
上記工程(B)の前後における上記積層フィルムのTD方向における収縮率が1.0%未満である積層フィルムの製造方法。
[2]
上記[1]に記載の積層フィルムの製造方法において、
上記積層フィルムは量子ドット保護用である積層フィルムの製造方法。
[3]
上記[1]または[2]に記載の積層フィルムの製造方法において、
上記ガスバリア層の赤外線吸収スペクトルにおいて、
1493cm−1における測定点と1780cm−1における測定点とを結ぶ直線をベースラインとして設定し、吸収帯1493cm−1以上1780cm−1以下の範囲における全ピーク面積をAとし、吸収帯1598cm−1以上1690cm−1以下の範囲における全ピーク面積をBとしたとき、B/Aで示されるアミド結合の面積比率が0.20以上である積層フィルムの製造方法。
[4]
上記[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の積層フィルムの製造方法において、
(上記混合物中の上記ポリアミン化合物に含まれる−NH基のモル数および−NH基のモル数の合計)/(上記混合物中の上記ポリカルボン酸に含まれる−COOH基のモル数)が22/100以上99/100以下の範囲にある積層フィルムの製造方法。
[5]
上記[1]乃至[4]のいずれか一つに記載の積層フィルムの製造方法において、
上記基材層を150℃で30分間加熱処理したときの、上記加熱処理前後における上記基材層のTD方向における収縮率が0.0%以上1.0%以下である積層フィルムの製造方法。
[6]
上記[1]乃至[5]のいずれか一つに記載の積層フィルムの製造方法において、
上記基材層の全光線透過率が90%以上である積層フィルムの製造方法。
[7]
上記[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の積層フィルムの製造方法において、
上記ポリカルボン酸が、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸およびアクリル酸とメタクリル酸との共重合体から選択される一種または二種以上を含む積層フィルムの製造方法。
[8]
上記[1]乃至[7]のいずれか一つに記載の積層フィルムの製造方法において、
上記ポリアミン化合物が、脂肪族系ポリアミン類および側鎖にアミノ基を有するポリアミド類から選択される少なくとも一方を含む積層フィルムの製造方法。
[9]
上記[1]乃至[8]のいずれか一つに記載の積層フィルムの製造方法において、
上記無機物層が、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよびアルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物により形成されたものである積層フィルムの製造方法。
[10]
上記[1]乃至[9]のいずれか一つに記載の積層フィルムの製造方法において、
上記基材層が熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂から選択される少なくとも一方を含む積層フィルムの製造方法。
本発明によれば、良好なバリア性を有し、かつ、シワの発生が抑制されたディスプレイ素子保護用の積層フィルムを提供することができる。
本発明に係る実施形態の積層フィルムの構造の一例を模式的に示した断面図である。 本発明に係る実施形態の積層フィルムの構造の一例を模式的に示した断面図である。
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。なお、文中の数字の間にある「〜」は特に断りがなければ、以上から以下を表す。
<積層フィルムの製造方法>
以下、本実施形態に係る積層フィルム100の製造方法の一例について説明する。
図1および図2は、本発明に係る実施形態の積層フィルム100の構造の一例を模式的に示した断面図である。
本実施形態に係る積層フィルム100の製造方法は、基材層101と、無機物層102と、ガスバリア層103と、をこの順番に備えるディスプレイ素子保護用の積層フィルム100の製造方法であって、基材層101上に形成された無機物層102上に、ポリカルボン酸およびポリアミン化合物を含む混合物からなる塗工層を形成する工程(A)と、基材層101および無機物層102とともに上記塗工層を加熱することによって、上記塗工層を硬化し、ガスバリア層103を形成する工程(B)と、を含む。そして、工程(B)の前後における積層フィルム100のTD方向における収縮率が1.0%未満である。
上述したように、本発明者らの検討によると、ポリカルボン酸およびポリアミン化合物の架橋体により形成されたガスバリア層を備えるフィルムは、ガスバリア性に優れるものの、生産工程での高温処理によりフィルムが熱収縮することで、シワが発生し、外観が悪くなる場合があることが明らかになった。シワが発生すると、ディスプレイ素子保護用フィルムに適用し難くなる。
本発明者らは、良好なバリア性を有し、かつ、シワの発生が抑制されたディスプレイ素子保護用の積層フィルムを実現するために、鋭意検討を重ねた。その結果、ガスバリア層103を形成する工程(B)の前後における積層フィルム100のTD方向における収縮率という尺度が、良好なバリア性を有し、かつ、シワの発生が抑制されたディスプレイ素子保護用の積層フィルムを得るための設計指針として有効であることを初めて見出した。
すなわち、本実施形態に係る積層フィルム100の製造方法では、工程(B)の前後における積層フィルム100のTD方向における収縮率を上記上限値未満とすることで、得られる積層フィルム100のバリア性を良好にしながら、シワの発生を抑制することが可能となる。
本実施形態に係る積層フィルム100の製造方法において、工程(B)の前後における積層フィルム100のTD方向における収縮率の上限は1.0%未満であるが、得られる積層フィルム100のシワの発生をより一層抑制する観点から、0.90%以下が好ましく、0.80%以下がより好ましい。
本実施形態に係る積層フィルム100の製造方法において、工程(B)の前後における積層フィルム100のTD方向における収縮率は、例えば、基材層101を形成するための樹脂フィルムとして熱収縮率が低いフィルムを使用する;基材層101を形成するための樹脂フィルムに熱処理などの応力緩和処理をおこない、熱応力を低減させる;上記塗工層を加熱硬化する際の加熱処理の方法・温度・時間を調整する;等により制御することができる。
以下、本実施形態に係る積層フィルム100の製造方法の各工程について説明する。
<工程(A)>
まず、基材層101上に形成された無機物層102上に、ポリカルボン酸およびポリアミン化合物を含む混合物(以下、ガスバリア用塗材とも呼ぶ。)からなる塗工層を形成する工程について説明する。
はじめに、ガスバリア用塗材を調製する。
ガスバリア用塗材は、例えば、以下のようにして調製することができる。
まず、ポリカルボン酸に、塩基を加えることによりポリカルボン酸のカルボキシ基を完全にまたは部分的に中和する。次いで、カルボキシ基を完全にまたは部分的に中和したポリカルボン酸にポリアミン化合物を添加する。このような手順でポリカルボン酸およびポリアミン化合物を混合することにより、ポリカルボン酸およびポリアミン化合物の凝集物の生成を抑制でき、均一なガスバリア用塗材を得ることができる。これにより、ポリカルボン酸に含まれる−COOH基とポリアミン化合物に含まれるアミノ基との脱水縮合反応をより効果的に進めることが可能となる。
ここで、塩基によってポリカルボン酸を中和することにより、ポリアミン化合物とポリカルボン酸とを混合する際に、ゲル化が起こることを抑制することができる。したがって、ポリカルボン酸において、ゲル化防止の観点から塩基によってカルボキシ基の部分中和物または完全中和物とすることが好ましい。中和物は、ポリカルボン酸のカルボキシ基を塩基で部分的にまたは完全に中和することにより、すなわち、ポリカルボン酸のカルボキシ基を部分的または完全にカルボン酸塩とすることにより得ることができる。また、必要に応じて、完全中和より過剰な塩基を添加してもよい。これにより、ポリアミン化合物を添加する際、ゲル化を防止できる。中でも、高分子量のポリカルボン酸を用いる場合、完全中和より過剰な塩基の添加は、ゲル化を防止に有用である。
ポリカルボン酸の中和物は、ポリカルボン酸の水溶液に塩基を添加することにより調製するが、ポリカルボン酸と塩基の量比を調節することにより、所望の中和度とすることができる。本実施形態においてはポリカルボン酸の塩基による中和度は、ポリアミン化合物のアミノ基との中和反応に起因するゲル化を十分に抑制する観点から、好ましくは30〜400当量%であり、より好ましくは40〜300当量%、さらに好ましくは50〜250当量%である。
塩基としては、任意の水溶性塩基を用いることができる。水溶性塩基として、揮発性塩基と不揮発性塩基のいずれかまたは双方を使用することができるが、残存した遊離塩基によるガスバリア性低下を抑制する観点から乾燥・硬化の際に除去が容易な揮発性塩基であることが好ましい。
揮発性塩基としては、例えば、アンモニア、モルホリン、アルキルアミン、2−ジメチルアミノエタノール、N−メチルモノホリン、エチレンジアミン、トリエチルアミン等の三級アミンまたはこれらの水溶液、あるいはこれらの混合物が挙げられる。良好なガスバリア性を得る観点から、アンモニア水溶液が好ましい。
不揮発性塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウムまたはこれらの水溶液、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
また、ガスバリア用塗材の固形分濃度は、ガスバリア用塗材を塗工する際の塗工性を向上させる観点から、0.5〜15質量%に設定することが好ましく、1〜10質量%に設定することがさらに好ましい。
(ポリカルボン酸およびポリアミン化合物の配合比率)
本実施形態において、(混合物(ガスバリア用塗材)中のポリアミン化合物に含まれる−NH基のモル数および−NH基のモル数の合計)/(混合物(ガスバリア用塗材)中のポリカルボン酸に含まれる−COOH基のモル数)は、好ましくは22/100以上、より好ましくは25/100以上、さらに好ましくは30/100以上、さらにより好ましく35/100以上である。
一方、本実施形態において、(混合物(ガスバリア用塗材)中のポリアミン化合物に含まれる−NH基のモル数および−NH基のモル数の合計)/(混合物(ガスバリア用塗材)中のポリカルボン酸に含まれる−COOH基のモル数)は、好ましくは99/100以下、より好ましくは75/100以下、さらに好ましくは70/100以下、特に好ましくは65/100以下である。本実施形態に係るガスバリア層103を得るためには、(混合物(ガスバリア用塗材)中のポリアミン化合物に含まれる−NH基のモル数および−NH基のモル数の合計)/(混合物(ガスバリア用塗材)中のポリカルボン酸に含まれる−COOH基のモル数)が上記範囲内になるように、ガスバリア用塗材中のポリカルボン酸およびポリアミン化合物の配合比率を調整することが好ましい。
(ポリカルボン酸)
ポリカルボン酸は、分子内に2個以上のカルボキシ基を有するものである。ポリカルボン酸の具体例として、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、桂皮酸、3−ヘキセン酸、3−ヘキセン二酸等のα,β−不飽和カルボン酸の単独重合体またはこれらの共重合体が挙げられる。また、上記α,β−不飽和カルボン酸と、エチルエステル等のエステル類、エチレン等のオレフィン類等との共重合体であってもよい。
これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、クロトン酸、桂皮酸の単独重合体またはこれらの共重合体が好ましく、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、アクリル酸とメタクリル酸との共重合体から選択される一種または二種以上の重合体であることがより好ましく、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸から選択される少なくとも一種の重合体であることがさらに好ましく、アクリル酸の単独重合体、メタクリル酸の単独重合体から選択される少なくとも一種の重合体であることが特に好ましい。
ここで、本実施形態において、ポリアクリル酸とは、アクリル酸の単独重合体、アクリル酸と他のモノマーとの共重合体の両方を含む。アクリル酸と他のモノマーとの共重合体の場合、ポリアクリル酸は、重合体100質量%中に、アクリル酸由来の構成単位を、通常は90質量%以上、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上含む。
また、本実施形態において、ポリメタクリル酸とは、メタクリル酸の単独重合体、メタクリル酸と他のモノマーとの共重合体の両方を含む。メタクリル酸と他のモノマーとの共重合体の場合、ポリメタクリル酸は、重合体100質量%中に、メタクリル酸由来の構成単位を、通常は90質量%以上、好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上含む。
また、本実施形態において、ポリカルボン酸はカルボン酸モノマーが重合した重合体であり、ポリカルボン酸の重量平均分子量は、ガスバリア性および取扱い性のバランスに優れる観点から、好ましくは5×10以上であり、より好ましくは1.5×10以上、さらに好ましくは2×10以上、さらにより好ましくは5×10以上である。
一方、ガスバリア層103の生産性を向上する観点から、ポリカルボン酸の重量平均分子量は、好ましくは2×10以下であり、好ましくは1.5×10以下、より好ましくは1.3×10以下である。
ここで、本実施形態において、ポリカルボン酸の分子量はポリエチレンオキサイド換算の重量平均分子量であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。
(ポリアミン化合物)
本実施形態に係るポリアミン化合物は、主鎖あるいは側鎖あるいは末端にアミノ基を2つ以上有するポリマーである。具体的には、ポリアリルアミン(PAAm)、ポリビニルアミン(PVAm)、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリ(トリメチレンイミン)等の脂肪族系ポリアミン類;ポリリジン、ポリアルギニンのように側鎖にアミノ基を有するポリアミド類;等が挙げられる。また、アミノ基の一部を変性したポリアミンでもよい。ガスバリア性に優れる架橋体を短時間で効率良く形成する観点から、ポリアミンは、好ましくは分岐型ポリエチレンイミン(B−PEI)等の分岐型ポリアミンを含み、さらに好ましくは分岐型ポリアミンであり、よりいっそう好ましくは分岐型ポリエチレンイミンである。
これらのポリアミン化合物は一種を単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態に係るポリアミン化合物の重量平均分子量は、積層フィルム100の生産性とガスバリア性とのバランスを向上させる観点から、好ましくは2×10以上であり、さらに好ましくは5×10以上である。
また、同様の観点から、ポリアミン化合物の重量平均分子量は、好ましくは1×10以下であり、より好ましくは8×10以下、さらに好ましくは5×10以下である。
ここで、本実施形態において、ポリアミン化合物の分子量は沸点上昇法や粘度法を用いて測定することができる。
本実施形態において、ガスバリア性に優れる架橋体を短時間で効率良く形成する観点から、ポリカルボン酸およびポリアミン化合物の組み合わせは、好ましくはポリアクリル酸および分岐型ポリアミンであり、さらに好ましくはポリアクリル酸および分岐型ポリエチレンイミンである。
また、ポリアクリル酸および分岐型ポリエチレンイミンの組み合わせにおける、ポリアクリル酸の重量平均分子量は、同様の観点から、5×10以上であり、より好ましくは1.5×10以上、さらに好ましくは2×10以上、さらにより好ましくは5×10以上であり、また、好ましくは2×10以下であり、より好ましくは1.5×10以下、さらに好ましくは1.3×10以下である。
また、ポリアクリル酸および分岐型ポリエチレンイミンの組み合わせにおける、分岐型ポリエチレンイミンの重量平均分子量は、同様の観点から、好ましくは2×10以上であり、さらに好ましくは5×10以上であり、また、好ましくは1×10以下であり、より好ましくは8×10以下、さらに好ましくは5×10以下である。
本実施形態に係るガスバリア用塗材には、2価以上の多価金属化合物を添加してもよい。多価金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、アルムニウム等が挙げられ、亜鉛が好ましい。多価金属化合物は1種でも2種以上を添加してもよい。
多価金属化合物としては、具体的には酸化マグネシウム、カルシウム、酸化バリウム、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化亜鉛が好ましい。
また、ガスバリア用塗材には、塗布の際にはじきが発生するのを防止する観点から、界面活性剤をさらに添加することが好ましい。界面活性剤の添加量は、ガスバリア用塗材の固形分全体を100質量%としたとき、0.01〜3質量%が好ましく、0.01〜1質量%がより好ましい。
本実施形態において、界面活性剤としては、例えば、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられ、良好な塗工性を得る観点から、非イオン性界面活性剤が好ましく、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類がより好ましい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、シリコーン系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、含フッ素界面活性剤等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル類としては、例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル等を挙げることができる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル類としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類を挙げることができる。
ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル類としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンラウリン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル等を挙げることができる。
ソルビタン脂肪酸エステル類としては、例えば、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等を挙げることができる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ジメチルポリシロキサン等を挙げることができる。
アセチレンアルコール系界面活性剤としては、例えば、2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール等を挙げることができる。
含フッ素系界面活性剤としては、例えば、フッ素アルキルエステル等を挙げることができる。
本実施形態に係るガスバリア用塗材は、本発明の目的を損なわない範囲で、他の添加剤を含んでもよい。例えば、滑剤、スリップ剤、アンチ・ブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、顔料、染料、無機また有機の充填剤等の各種添加剤を添加してよい。
次いで、ガスバリア用塗材を基材層101上に形成された無機物層102上に塗工し、ポリカルボン酸およびポリアミン化合物を含む混合物からなる塗工層を形成する。
本実施形態に係るガスバリア用塗材の塗工方法は、限定されず、通常の方法を用いることができる。例えば、メイヤーバーコーター、エアーナイフコーター、ダイレクトグラビアコーター、グラビアオフセット、アークグラビアコーター、グラビアリバースおよびジェットノズル方式等のグラビアコーター、トップフィードリバースコーター、ボトムフィードリバースコーターおよびノズルフィードリバースコーター等のリバースロールコーター、5本ロールコーター、リップコーター、バーコーター、バーリバースコーター、ダイコーター、アプリケーター等種々公知の塗工機を用いて塗工する方法が挙げられる。
塗工層の厚み(ウエット厚み)は、得られる積層フィルム100のバリア性能をより良好なものとする観点から、好ましくは0.05μm以上であり、より好ましくは1μm以上である。
また、得られる積層フィルム100がカールすることを抑制する観点、および、ポリカルボン酸に含まれる−COOH基とポリアミン化合物に含まれるアミノ基との脱水縮合反応をより効果的に進める観点から、ウエット厚みは、好ましくは300μm以下であり、より好ましくは200μm以下、さらに好ましくは100μm以下、よりいっそう好ましくは30μm以下である。
<工程(B)>
次いで、基材層101および無機物層102とともに上記塗工層を加熱することによって、上記塗工層を硬化し、ガスバリア層103を形成する工程について説明する。
この工程(B)では、加熱手段により上記塗工層を加熱し、ポリカルボン酸に含まれるカルボキシ基とポリアミン化合物に含まれるアミノ基とを脱水縮合反応させることにより、上記塗工層を硬化し、アミド結合を有するガスバリア層103を形成する。
加熱硬化における加熱処理の方法・温度・時間は、工程(B)の前後における積層フィルム100のTD方向における収縮率が1.0%未満になるように設定される。
加熱処理の方法については、上記の観点から選択され、例えば、ガスバリア用塗材を硬化させられるもの、硬化したガスバリア用塗材を加熱できる方法であればよい。具体例として、オーブン、ドライヤー等の対流伝熱によるもの、加熱ロール等の伝導伝熱によるもの、赤外線、遠赤外線・近赤外線のヒーター等の電磁波を用いる輻射伝熱によるもの、マイクロ波等内部発熱によるものが挙げられる。乾燥、加熱処理に使用する装置としては製造効率の観点から乾燥と加熱処理の双方をおこなえる装置が好ましい。その中でも具体的には乾燥、加熱、アニーリング等に利用できるという観点から熱風オーブンを用いることが好ましく、また、フィルムへの熱伝導効率に優れているという観点から加熱ロールを用いることが好ましい。また、乾燥、加熱処理に使用する方法を適宜組み合わせてもよい。熱風オーブンと加熱ロールを併用してもよく、たとえば、熱風オーブンで混合物を乾燥後、加熱ロールで加熱処理をおこなえば加熱処理工程が短時間となり製造効率の観点から好ましい。また、熱風オーブンのみで乾燥と加熱処理をおこなうことが好ましい。熱風オーブンを用いて、混合物を乾燥させる場合、加熱処理温度は120〜180℃、加熱処理時間は1秒〜10分、好ましくは加熱処理温度が130〜180℃、加熱処理時間が3秒〜5分の条件で加熱処理をおこなうことが望ましい。さらに上述したように加熱ロールを併用することで短時間での加熱処理が可能となる。なお、ポリカルボン酸に含まれる−COOH基とポリアミン化合物に含まれるアミノ基との脱水縮合反応を効果的に進める観点から、加熱処理温度および加熱処理時間は、混合物のウエット厚みに応じて調整することが重要である。
塗工層の乾燥・硬化後の厚みは、ガスバリア性を向上させる観点から、好ましくは0.01μm以上であり、より好ましくは0.05μm以上、さらに好ましくは0.1μm以上である。また、積層フィルム100の生産性を向上させる観点から、上記厚みは好ましくは15μm以下であり、さらに好ましくは5μm以下、よりいっそう好ましくは1μm以下である。また、上記厚みは、具体的には、積層フィルム100における、ガスバリア層103の厚みである。
乾燥および熱処理は、乾燥後、熱処理をおこなってもよいし、乾燥と熱処理を同時におこなってもよい。乾燥、熱処理する方法は、本発明の目的を達成することができる方法であれば制限はされないが、乾燥、加熱、アニーリング等種々に利用できるという観点から、オーブンによる方法が好ましく、また、加熱目的ではフィルムへの熱伝導効率に優れているという観点から、加熱ロールによる方法がさらに好ましい。
また、ガスバリア層103を形成する工程(B)では、得られるガスバリア層103の赤外線吸収スペクトルにおいて、1493cm−1における測定点と1780cm−1における測定点とを結ぶ直線をベースラインNとして設定し、赤外線吸収スペクトルとNとの差スペクトルにおいて、吸収帯1493cm−1以上1780cm−1以下の範囲における全ピーク面積をAとし、吸収帯1598cm−1以上1690cm−1以下の範囲における全ピーク面積をBとしたとき、B/Aで示されるアミド結合の面積比率がガスバリア性の観点から好ましくは0.20以上となるまで加熱をおこなう。これにより、より一層ガスバリア性能に優れた積層フィルム100を得ることができる。また、B/Aで示されるアミド結合の面積比率の上限は、外観、寸法安定性、生産性のバランスをより向上させる観点から、好ましくは0.370未満であり、より好ましくは0.36以下、さらに好ましくは0.35以下である。
B/Aで表されるアミド結合の面積比率は、ガスバリア層103中のC=O伸縮振動成分のうち、アミド結合由来の成分比率に関係した指標となる。但し、ガスバリア層103の赤外線吸収スペクトルは、ガスバリア層103の表面の赤外線吸収スペクトルを赤外線全反射測定(ATR−IR法)により得る。
本実施形態に係るガスバリア層103は赤外線吸収スペクトルにおける未反応のカルボン酸のνC=Oに基づく吸収が1700cm−1付近にみられ、架橋構造であるアミド結合のνC=Oに基づく吸収が1630〜1685cm−1付近にみられ、カルボン酸塩のνC=Oに基づく吸収が1540〜1560cm−1付近にみられる。
すなわち、本実施形態において、赤外線吸収スペクトルにおける吸収帯1493cm−1以上1780cm−1以下の範囲における全ピーク面積Aは、カルボン酸とアミド結合とカルボン酸塩の合計量の指標を表し、吸収帯1598cm−1以上1690cm−1以下の範囲における全ピーク面積Bはアミド結合の存在量の指標を表していると考えられる。
なお、本実施形態において、上記全ピーク面積AおよびBは、以下の手順で測定できる。
まず、本実施形態のガスバリア層103から1cm×3cmの測定用サンプルを切り出す。次いで、そのガスバリア層103の表面の赤外線吸収スペクトルを赤外線全反射測定(ATR法)により得る。得られた赤外線吸収スペクトルから、以下の手順(1)〜(4)で上記全ピーク面積AおよびBを算出する。
(1)1780cm−1と1493cm−1の吸光度を直線(N)で結び、吸収帯1493cm−1以上1780cm−1以下の範囲の吸光スペクトルとNで囲まれる面積を全ピーク面積Aとする。
(2)1690cm−1の吸光度(Q)から垂直に直線(O)を下ろし、NとOの交差点をPとし、1598cm−1の吸光度(R)から垂直に直線(S)を下ろし、NとSの交差点をTとし、吸収帯1598cm−1以上1690cm−1以下の範囲の吸収スペクトルと直線S、点T、直線N、点P、直線O、吸光度Q、吸光度Rで囲まれる面積を全ピーク面積Bとする。
次いで、上記の方法で求めた面積から面積比B/Aを求める。
ポリカルボン酸およびポリアミン化合物を含む混合物により形成されたガスバリア層103にはイオン架橋とアミド架橋という2種類の架橋構造が存在し、これらの架橋構造の存在比率がガスバリア性能を向上させる観点において重要である。なお、上記イオン架橋とは、ポリカルボン酸に含まれるカルボキシ基とポリアミン化合物に含まれるアミノ基とが酸塩基反応を起こすことによって生成するものであり、上記アミド架橋とは、ポリカルボン酸に含まれるカルボキシ基とポリアミン化合物に含まれるアミノ基とが脱水縮合反応を起こすことによって生成するものである。
本実施形態に係るガスバリア層103のB/Aで示されるアミド結合の面積比率は、ガスバリア層103の製造条件を適切に調節することにより制御することが可能である。本実施形態においては、とくにポリカルボン酸およびポリアミン化合物の配合比率、ガスバリア用塗材の調製方法、上記ガスバリア用塗材の加熱処理の方法・温度・時間等が、上記B/Aで示されるアミド結合の面積比率を制御するための因子として挙げられる。
以下、各層の構成をさらに具体的に説明する。
(ガスバリア層)
ガスバリア層103は、具体的には、前述した混合物からなるガスバリア用塗材により形成されたものであり、ガスバリア用塗材を、基材層101上に形成された無機物層102上に塗布した後、乾燥、熱処理をおこない、ガスバリア用塗材を硬化させることによって得ることができるが、この方法に限定されない。
(基材層)
基材層101は、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂、または紙等の有機質材料により形成されており、熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂から選択される少なくとも一方を含むことが好ましい。
熱硬化性樹脂としては、公知の熱硬化性樹脂、例えば、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ユリア・メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、公知の熱可塑性樹脂、例えば、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、ポリ(1−ブテン)等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン−6、ナイロン−66、ポリメタキシレンアジパミド等)、ポリ塩化ビニル、ポリイミド、エチレン酢酸ビニル共重合体もしくはその鹸化物、ポリビニルアルコール、ポリアクリロニトリル、ポリカーボネート、ポリスチレン、アイオノマー、フッ素樹脂あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
これらの中でも、透明性を良好にする観点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミドから選択される一種または二種以上が好ましく、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートから選択される一種または二種以上がより好ましい。
また、熱可塑性樹脂により形成された基材層101は、積層フィルム100の用途に応じて、単層であっても、二種以上の層であってもよい。
また、上記熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂により形成されたフィルムを少なくとも一方向、好ましくは二軸方向に延伸して基材層としてもよい。
基材層101としては、透明性、剛性、耐熱性に優れる観点から、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアミド、ポリイミドから選択される一種または二種以上の熱可塑性樹脂により形成された二軸延伸フィルムが好ましく、低収縮性や透明性、機械的強度、価格等のバランスに優れる観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートから選択される一種または二種以上の熱可塑性樹脂により形成された二軸延伸フィルムがより好ましい。
また、基材層101の表面に、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・ビニルアルコール共重合体、アクリル樹脂、ウレタン系樹脂等がコーティングされていてもよい。
さらに、基材層101はガスバリア層103との接着性を改良するために、表面処理を行ってもよい。具体的には、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、プライマーコート処理等の表面活性化処理を行ってもよい。
基材層101を150℃で30分間加熱処理したときの、上記加熱処理前後における基材層101のTD方向における収縮率は好ましくは0.0%以上1.0%以下であり、より好ましくは0.0%以上0.5%以下である。上記収縮率は、JIS K7133(1999)に準拠して測定することができる。
基材層101の収縮率が上記範囲内であると、工程(B)の前後における積層フィルム100のTD方向における収縮率を前述した範囲内に制御しやすいため好ましい。
基材層101の全光線透過率は、積層フィルム101の透明性を向上させる観点から、90%以上であることが好ましく、92%以上であることがより好ましい。
基材層101の全光線透過率は、JIS K7375(2008)に準じて測定することが可能である。
基材層101の厚さは、良好なフィルム特性を得る観点から、1〜1000μmが好ましく、1〜500μmがより好ましく、1〜300μmがさらに好ましい。
基材層101の形状は、特に限定されないが、例えば、シートまたはフィルム等の形状が挙げられる。
(無機物層)
図1に示すように、積層フィルム100において、無機物層102が基材層101とガスバリア層103との間にさらに積層されている。これにより、酸素バリア性や水蒸気バリア性等のバリア性能をさらに向上させることができる。
無機物層102を構成する無機物は、例えば、バリア性を有する薄膜を形成できる金属、金属酸化物、金属窒化物、金属弗化物、金属酸窒化物等が挙げられる。
無機物層102を構成する無機物としては、例えば、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等の周期表2A族元素;チタン、ジルコニウム、ルテニウム、ハフニウム、タンタル等の周期表遷移元素;亜鉛等の周期表2B族元素;アルミニウム、ガリウム、インジウム、タリウム等の周期表3A族元素;ケイ素、ゲルマニウム、錫等の周期表4A族元素;セレン、テルル等の周期表6A族元素等の単体、酸化物、窒化物、弗化物、または酸窒化物等から選択される1種または2種以上を挙げることができる。
なお、本実施形態では、周期表の族名は旧CAS式で示している。
さらに、上記無機物の中でも、バリア性、コスト等のバランスに優れていることから、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、アルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物が好ましい。これらの中でも、酸化ケイ素(シリカ)を蒸着してなる層が、高温高湿度下でのバリア性の耐久性が高いことから特に好ましい
なお、酸化ケイ素には、二酸化ケイ素の他、一酸化ケイ素、亜酸化ケイ素が含有されていてもよい。
無機物層102は上記無機物により形成されている。無機物層102は単層の無機物層から構成されていてもよいし、複数の無機物層から構成されていてもよい。また、無機物層102が複数の無機物層から構成されている場合には同一種類の無機物層から構成されていてもよいし、異なった種類の無機物層から構成されていてもよい。
無機物層102の厚さは、バリア性、密着性、取扱い性等のバランスの観点から、通常1nm以上1000nm以下、好ましくは1nm以上500nm以下である。
本実施形態において、無機物層102の厚さは、透過型電子顕微鏡や走査型電子顕微鏡による観察画像により求めることができる。
無機物層102の形成方法は特に限定されず、例えば、真空蒸着法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、化学気相成長法、物理気相蒸着法、化学気相蒸着(CVD)法、プラズマCVD法、ゾルゲル法等により基材層101の片面または両面に無機物層102を形成することができる。中でも、スパッタリング法、イオンプレーティング法、化学気相蒸着(CVD)法、物理気相蒸着(PVD)法、プラズマCVD法等の減圧下での製膜が望ましい。これにより、窒化珪素や酸化窒化珪素等の珪素を含有する化学的に活性な分子種が速やかに反応することにより、無機物層102の表面の平滑性が改良され、孔を少なくすることができるものと予想される。
これらの結合反応を迅速に行うには、その無機原子や化合物が化学的に活性な分子種もしくは原子種であることが望ましい。
積層フィルム100において、基材層101、無機物層102およびガスバリア層103のそれぞれは、必ずしも直接接している必要はなく、基材層と無機物層との層間および/または無機物層とガスバリア層との層間に接着層やアンダーコート剤および/またはシランカップリング剤等を含む機能層を介在させてもよい。
さらに積層フィルムは、基材層101とは別の基材層104を有してもよい。
積層フィルム100全体の透明性を向上させる観点から、基材層101と同様の方法で求められる、基材層104の全光線透過率が、85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。
基材層104は、基材層101と同様の方法で、150℃で30分間加熱処理したときのTD方向における収縮率が、0.0%以上1.0%以下であることが望ましい。
積層フィルム100としては図1に示した他にも、例えば図2のような基材層101/無機物層102/ガスバリア層103/接着層/基材層104層の構成を挙げることができる。
図2に示す積層フィルム100は、例えば、ガスバリア用塗材を、基材層101上に形成された無機物層102上に塗布した後、乾燥、熱処理をおこない、ガスバリア層103を形成し、さらに接着層を介して基材層104を貼り合せて得ることができる。
ガスバリア層103と無機物層102との接着性を向上させる観点から、ガスバリア層103と無機物層102との間にシランカップリング剤からなる層を設けてもよい。
上記シランカップリング剤としては特に限定されないが、例えば、2−クロロエチルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン等のハロゲン含有シランカップリング剤;2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリメトキシシラン、2−グリシジルオキシエチルトリエトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;2−アミノエチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−[N−(2−アミノエチル)アミノ]エチルトリメトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−[N−(2−アミノエチル)アミノ]プロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;2−メルカプトエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤;2−メタクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、2−メタクリロイルオキシエチルトリエトキシシラン、2−アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイル基含有シランカップリング剤等が挙げられる。これらのシランカップリング剤は一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。
(アンダーコート層)
積層フィルム100において、基材層101と、無機物層102との接着性を向上させる観点から、基材層101上にアンダーコート層がさらに積層されていてもよい。基材層101と、無機物層102との間にアンダーコート層を設けることによりガスバリア層103の追従性がさらに向上し外的な変形が加えられても積層フィルム100においてガスバリア層103はより安定的な接着状態を保つことができる。
上記アンダーコート層としては、例えば、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、オキサゾリン系樹脂、アクリル系樹脂から選択される一種または二種以上により構成されていることが好ましい。
また、オキサゾリン系樹脂を使用する場合、上記アンダーコート層は、オキサゾリン基含有水性ポリマー(A)、水性アクリル系樹脂(B)および水性ポリエステル系樹脂(C)を含むオキサゾリン系樹脂組成物により構成されていることが好ましい。
オキサゾリン系樹脂組成物は、例えば、オキサゾリン基含有量が6.0〜9.0mmol/gであるオキサゾリン基含有水性ポリマー(A)、カルボキシ基含有量が0.5〜3.5mmol/gである水性アクリル系樹脂(B)、およびカルボキシ基含有量が0.5〜2.0mmol/gである水性ポリエステル系樹脂(C)により構成されている。
また、上記オキサゾリン系樹脂組成物は、例えば、オキサゾリン基含有水性ポリマー(A)を10〜55質量%、水性アクリル系樹脂(B)を10〜80質量%、水性ポリエステル系樹脂(C)を10〜80質量%含有する(オキサゾリン基含有水性ポリマー(A)、水性アクリル系樹脂(B)および水性ポリエステル系樹脂(C)の合計量を100質量%とする)。
また、上記オキサゾリン系樹脂組成物は、例えば、オキサゾリン基のモル数とカルボキシ基のモル数との比率〔オキサゾリン基のモル数(xmmol)とカルボキシ基のモル数(ymmol)の比(x/y)×100[mol%]で示される。〕が150〜420mol%である。
上記オキサゾリン系樹脂組成物においては、オキサゾリン基含有水性ポリマー(A)、水性アクリル系樹脂(B)、および水性ポリエステル系樹脂(C)を含むことが好ましく、必要に応じてそれ以外の他のポリマー成分も併用される。
また、オキサゾリン基含有水性ポリマー(A)のオキサゾリン基含有量は、好ましくは6.0〜9.0mmol/g、より好ましくは6.5〜8.5mmol/g、さらに好ましくは7.0〜8.0mmol/gである。
また、オキサゾリン基含有水性ポリマー(A)の配合割合は、好ましくは10〜55質量%、より好ましくは15〜50質量%、さらに好ましくは18〜50質量%、特に好ましくは20〜45質量%である(オキサゾリン基含有水性ポリマー(A)、水性アクリル系樹脂(B)および水性ポリエステル系樹脂(C)の合計量を100質量%とする)。
オキサゾリン基含有水性ポリマー(A)のオキサゾリン基含有量が上記下限値以上である場合やオキサゾリン基含有水性ポリマー(A)の配合割合が上記下限値以上である場合はオキサゾリン基による架橋がより良好となる。一方、オキサゾリン基含有水性ポリマー(A)のオキサゾリン基含有量が上記上限値以下である場合やオキサゾリン基含有水性ポリマー(A)の配合割合が上記上限値以下である場合は、未反応のオキサゾリン基が減り、耐熱水性および耐溶剤性がより良好なものとなる。このような範囲に調節することにより、積層フィルム100の熱水処理後のガスバリア性の安定性を向上させることができる。
水性アクリル系樹脂(B)については、カルボキシ基含有量が好ましくは0.5〜3.5mmol/gであり、より好ましくは0.8〜3.5mmol/gであり、さらに好ましくは1.0〜3.0mmol/gであり、特に好ましくは1.5〜3.0mmol/gであり、最も好ましくは2.0〜3.0mmol/gである。
このような範囲に調節することにより、積層フィルム100の接着安定性を確保でき優れたガスバリア性を維持することができる。
また、水性アクリル系樹脂(B)の配合割合は好ましくは10〜80質量%であり、より好ましくは20〜80質量%であり、さらに好ましくは10〜70質量%であり、特に好ましくは10〜65質量%であり、最も好ましくは15〜65質量%である(オキサゾリン基含有水性ポリマー(A)、水性アクリル系樹脂(B)および水性ポリエステル系樹脂(C)の合計量を100質量%とする)。
水性アクリル系樹脂(B)の配合割合が上記下限値以上である場合は、耐水性、耐溶剤性の効果が十分に発揮される傾向にあり、水性アクリル系樹脂(B)の配合割合が上記上限値以下である場合は、積層フィルム100の接着安定性がより良好なものとなる。
さらに、水性ポリエステル系樹脂(C)のカルボキシ基含有量は、好ましくは0.5〜2.0mmol/gであり、より好ましくは0.7〜1.8mmol/gであり、さらに好ましくは0.8〜1.6mmol/gであり、特に好ましくは1.0〜1.5mol/gであり、最も好ましくは1.0〜1.4mmol/gである。
このような範囲に調節することにより、積層フィルム100の接着安定性を確保でき優れたガスバリア性を維持することができる。
また、水性ポリエステル系樹脂(C)の配合割合は、好ましくは10〜80質量%であり、より好ましくは10〜70質量%であり、さらに好ましくは15〜70質量%であり、特に好ましくは15〜65質量%である(オキサゾリン基含有水性ポリマー(A)、水性アクリル系樹脂(B)および水性ポリエステル系樹脂(C)の合計量を100質量%とする)。
水性ポリエステル系樹脂(C)の配合割合が上記下限値以上である場合は、積層フィルム100の接着安定性がより良好なものとなり、水性ポリエステル系樹脂(C)の配合割合が上記上限値以下である場合は、積層フィルム100の耐水性がより良好なものとなる。
このような範囲に調節することにより、積層フィルム100の接着安定性を確保でき優れたガスバリア性を維持することができる。
オキサゾリン系樹脂組成物のオキサゾリン基のモル数とカルボキシ基のモル数の比率〔オキサゾリン基のモル数(xmmol)とカルボキシ基のモル数(ymmol)の比(x/y)×100[mol%]で示している。〕は、好ましくは100〜420mol%であり、より好ましくは150〜420mol%であり、さらに好ましくは130〜420mol%であり、特に好ましくは165〜420mol%である。
(オキサゾリン基含有水性ポリマー(A))
オキサゾリン基含有水性ポリマー(A)としては、付加重合性オキサゾリン基含有モノマー単独もしくは他のモノマーとの重合によって得られるポリマー等が挙げられる。付加重合性オキサゾリン基含有モノマーとしては、例えば、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−エチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中では2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが好適である。
また、他のモノマーとしては、付加重合性オキサゾリン基含有モノマーと共重合可能なモノマーであればよく、例えばアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基等)等のアクリレートあるいはメタクリレート;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等の不飽和カルボン酸類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル類;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N、N−ジアルキルアクリルアミド、N、N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、シクロヘキシル基等)等の不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸のエステル部にポリアルキレンオキシドを付加させたもの等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;エチレン、プロピレン等のα−オレフィン類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等の含ハロゲンα、β−不飽和モノマー類;スチレン、α−メチルスチレン等のα、β−不飽和芳香族モノマー等を挙げることができ、これらの1種または2種以上のモノマーを使用することができる。
(水性アクリル系樹脂(B))
水性アクリル系樹脂(B)としては、アルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレートを主要な成分とする樹脂であり、具体的には、アルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレート成分の含有割合が通常40〜95mol%、共重合可能で且つ官能基を有するビニル単量体成分の含有割合が通常5〜60mol%の水溶性または水分散性樹脂である。
上記のビニル単量体における官能基としては、例えば、カルボキシ基、酸無水物基、スルホン酸基またはその塩、アミド基またはアルキロール化されたアミド基、アミノ基(置換アミノ基を含む)、アルキロール化されたアミノ基またはそれらの塩、水酸基、エポキシ基等が挙げられ、特に、カルボキシ基、酸無水物基、エポキシ基等が好ましい。これらの基は、樹脂中に2種類以上含有されていてもよい。
水性アクリル系樹脂(B)において、アルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレートの含有量を40mol%以上にすることにより、塗布性、塗膜の強度、耐ブロッキング性が特に良好になる。そして、アルキルアクリレートおよび/またはアルキルメタクリレートを95mol%以下とし、共重合成分として特定の官能基を有する化合物を水性アクリル系樹脂に5mol%以上導入することにより、水溶化ないし水分散化を容易にすると共にその状態を長期にわたり安定化することができる。その結果、硬化物の層と基材層、とりわけポリエステルフイルム層との接着性の改善、硬化物の層内での反応による硬化物の層の強度、耐水性、耐薬品性の改善等を図ることができる。
上記のアルキルアクリレートおよびアルキルメタクリレートのアルキル基としては、例えば、メチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。カルボキシ基や酸無水物等を有する化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸等や、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩等が挙げられ、さらに、無水マレイン酸等の無水物等が挙げられる。スルホン酸基またはその塩を有する化合物としては、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸や、これらスルホン酸のナトリウム等の金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
上記のアミド基またはアルキロール化されたアミド基を有する化合物としては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、メチロール化アクリルアミド、メチロール化メタクリルアミド等が挙げられる。
上記のアミノ基やアルキロール化されたアミノ基またはそれらの塩を有する化合物としては、例えば、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、2−アミノエチルビニルエーテル、3−アミノプロピルビニルエーテル、2−アミノブチルビニルエーテル、ジメチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。
上記の水酸基を有する化合物としては、例えば、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート、β−ヒドロキシプロピルアクリレート、β−ヒドロキシプロピルメタクリレート、β−ヒドロキシビニルエーテル、5−ヒドロキシペンチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート等が挙げられる。エポキシ基を有する化合物としては、例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート等が挙げられる。
さらに、併用し得る化合物としては、例えば、アクリロニトリル、スチレン類、ブチルビニルエーテル、マレイン酸モノまたはジアルキルエステル、フマル酸モノまたはジアルキルエステル、イタコン酸モノまたはジアルキルエステル、酢酸ビニル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記の水性アクリル系樹脂(B)としては、いずれのタイプのアクリル系樹脂であってもよいが、乳化剤を含まないタイプのアクリル系樹脂が好適に使用される。その理由は、上記のオキサゾリン基含有水性ポリマー(A)の耐水性が乳化剤によって阻害されないからである。
したがって、水性アクリル系樹脂(B)は、反応性乳化剤を使用して合成された自己分散タイプの水性アクリル系樹脂や高分子量の界面活性剤を使用して合成された水性アクリル系樹脂であってもよい。その理由は、上記のオキサゾリン基含有水性ポリマー(A)の耐水性が反応した乳化剤や高分子量の界面活性剤によって阻害されないからである。
水性アクリル系樹脂(B)は、オキサゾリン基含有水性ポリマー(A)の耐水性や耐溶剤性の低下を防止する。上記の低下防止効果は、次の理由によると考えられる。アクリル系樹脂の被膜には、ポリエチレンテレフタレート表面にオリゴマーが析出するのを防止する効果がある。このオリゴマー析出の防止効果により、オリゴマー塊によって形成された欠陥バリア層に浸入した水分の被塗布層、すなわち基材層への攻撃が阻止される。したがって、水性アクリル系樹脂は、オキサゾリン基含有水性ポリマー(A)の耐水性および耐溶剤性を十分に発揮させると考えられる。
(水性ポリエステル系樹脂(C))
水性ポリエステル系樹脂(C)は、特に制限されないが、好ましくは低分子の親水性分散剤等を含有しない水性または水分散性の飽和または不飽和ポリエステル等が挙げられる。
上記の飽和ポリエステルのジカルボン酸成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,5−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の脂肪族ジカルボン酸、オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸およびそれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。グリコール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等の脂肪族グリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、p−キシレンジオール等の芳香族ジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリ(オキシアルキレン)グリコール等が挙げられる。
上記の飽和ポリエステルは線状構造であるが、3価以上のエステル形成成分を使用して分岐状ポリエステルとすることもできる。一方、上記の不飽和ポリエステルとしては、例えば、次の(1)および(2)で示されるものが挙げられる。
(1)特公昭45−2201号公報、特公昭44−7134号公報、特開昭48−78233号公報、特開昭50−58123号公報等で知られている様に、共重合性不飽和基を含有する原料成分と他の原料成分とを反応させて得られる樹脂骨格中に共重合性不飽和基を有する不飽和ポリエステル。
(2)特公昭49−47916号公報、特公昭50−6223号公報等で知られている様に、共重合性不飽和基を持たない飽和ポリエステルを得た後、その飽和ポリエステル中に存在する水酸基またはカルボキシ基等の官能基と反応性を有する官能基とビニル基を有するビニル系モノマーを飽和ポリエステルに付加して得られる不飽和ポリエステル。
上記のビニル系モノマーとしては、例えば、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基とビニル基を有する化合物、ビニルメトキシシラン、メタクリロキシエチルトリメトキシシラン等のアルコキシシラノール基とビニル基を有する化合物、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸等の酸無水基とビニル基を有する化合物、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート−ヘキサメチレンジイソシアネート付加物等のイソシアネート基とビニル基を有する化合物等が挙げられる。
水性ポリエステル系樹脂(C)は、水媒体との親和性を高めるため、カルボキシ基を含有するものが好ましい。飽和または不飽和ポリエステルの側鎖へのカルボキシ基の導入は、カルボン酸を有するジオキサン化合物をポリエステルと反応させる方法(特開昭61−228030号公報)、不飽和カルボン酸をポリエステルにラジカル的にグラフトする方法(特開昭62−225510号公報)、ポリエステルとハロゲノ酢酸を反応させて芳香族環に置換基を導入する方法(特開昭62−225527号公報)、ポリエステルと多価無水カルボン酸化合物とを反応させる方法(特開昭62−240318号公報)等により容易に行うことができる。
水性ポリエステル系樹脂(C)のカルボキシ基は対イオンを有していてもよく、このような対イオンとしては、通常一価イオン、好ましくは水素イオンまたはアンモニウムイオンを含むアミン系オニウムイオンが挙げられる。
上記アンダーコート層に用いられるポリウレタン系樹脂としては、各種ポリウレタン樹脂、ポリウレタンポリ尿素樹脂およびそれらのプレポリマー等が例示できる。このようなウレタン樹脂の具体例としては、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルジイソシアネート等のジイソシアネート成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール、ポリエステルジオール、ポリエーテルジオール、ポリカーボネートジオール、ポリエチレングリコール等のジオール成分との反応物;末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマーと、アミノ化合物、アミノスルホン酸塩、ポリヒドロキシカルボン酸、重亜硫酸等との反応物;等を挙げることができる。
上記アンダーコート層に用いられるポリエステル系樹脂としては、各種ポリエステル樹脂およびそれらの変性物が例示できる。このようなポリエステル樹脂の具体例としては、テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、2−スルホイソフタル酸、5−スルホイソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、コハク酸、ドデカン二酸等の多価カルボン酸成分と、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノール等のジオール成分との反応物が挙げられ、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等による変性物も含まれる。
アンダーコート層の厚さは、良好な接着性を得る観点から、0.001μm以上であることが好ましく、経済的であるという観点から0.5μm以下であることが好ましい。
本実施形態に係る積層フィルム100は良好なバリア性を有し、かつ、シワの発生が抑制されているため、ディスプレイ素子保護用の積層フィルムとして好適に用いることができる。
ディスプレイ素子としては、QD(量子ドット)、有機ELディスプレイのエレクトロルミネセンス素子等が挙げられる。量子ドットとは、直径1〜数十nm程度の半導体ナノ粒子であり、例えば、バックライトのLED(発光ダイオード)波長変換用蛍光体として使用される。本実施形態に係る積層フィルム100は、この量子ドット層を保護するバリアフィルムとしてとりわけ好適に使用し得る。
(量子ドット積層体)
本実施形態に係る量子ドット積層体は、蛍光体を含む量子ドット層と、本実施形態に係る積層フィルム100とを備えることが好ましい。本実施形態に係る量子ドット積層体によれば、蛍光体を含む量子ドット層によって、幅広い励起スペクトルと高い量子効率とが提供される。さらに、本実施形態に係る量子ドット積層体によれば、良好なバリア性を有する本実施形態に係る積層フィルム100を量子ドット保護用フィルムとして備えるので、長期間にわたって高い量子効率など良好な光学特性を維持することができる。
(バックライトユニット)
本実施形態に係るバックライトユニットは、LED光源と、導光板と、導光板の上に設置された上記量子ドット積層体と、を備えることが好ましい。本実施形態に係るバックラトユニットによれば、長期間にわたって高い輝度とディスプレイ適用時の優れた外観とが得られる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本実施形態を、実験例を参照して詳細に説明する。なお、本実施形態は、これらの実験例の記載に何ら限定されるものではない。
はじめに、各例で用いたポリカルボン酸およびポリアミンの試料を説明する。
(溶液(Z1)の作製):PAA80万
ポリアクリル酸(東亜合成社製、製品名:ジュリマーAC−10H、20%水溶液、重量平均分子量:8×10)に精製水を添加して10%のポリアクリル酸水溶液を得た。
(溶液(Z2)の作製):PAA10万
ポリアクリル酸アンモニウム(東亜合成社製、製品名:アロンA−30、30%水溶液、重量平均分子量:1×10)の混合物に精製水を添加して10%溶液にしたポリアクリル酸アンモニウム水溶液を得た。
(溶液(Y1)の作製):B−PEI1万
分岐型ポリエチレンイミン(日本触媒社製、製品名:エポミンSP−200、数平均分子量:1×10)に精製水を添加して10%溶液にした分岐型ポリエチレンイミン水溶液Y1を得た。配合の計算に用いる分岐型ポリエチレンイミンのアミン比率は、1級:2級:3級=1.0:1.0:0.9とした。
次に、ガスバリア層の作製に用いた塗工液の作製方法を説明する。
(塗工液(X1)の作製)
((NH+NH)/COOH)が0.55となるように、溶液(Z1)に溶液(Y1)を添加し、撹拌して透明均一な混合液を得た。さらに上記混合液の固形分濃度が1.5質量%になるように精製水を添加し、均一溶液になるまで撹拌した後、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、花王社製、商品名:エマルゲン120)を混合液の固形分に対して0.3質量%となるように混合し、塗工液(X1)を調製した。
(塗工液(X2)の作製)
((NH+NH)/COOH)が0.55となるように、溶液(Z2)に溶液(Y1)を添加し、撹拌して透明均一な混合液を得た。さらに上記混合液の固形分濃度が1.5質量%になるように精製水を添加し、均一溶液になるまで撹拌した後、非イオン性界面活性剤(ポリオキシエチレンラウリルエーテル、花王社製、商品名:エマルゲン120)を混合液の固形分に対して0.3質量%となるように混合し、塗工液(X2)を調製した。
(シランカップリング剤塗工液の作製)
アミノ基を有するシランカップリング剤(信越化学社製、製品名:KBM−603、固形分100%)を、濃度が1.5質量%になるように水/IPA(水:IP=30:70)混合液に溶解し、シランカップリング剤塗工液を調製した。
(実施例1)
二軸延伸成膜機を用いて、ポリエチレンテレフタレートに、アンダーコート層を形成するためのコーティング剤をインラインコートし、厚さ0.1μmのアンダーコート層を有する厚さ25μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(収縮率:0.5%、光線透過率:92%)を得た。
アンダーコート層を形成するためのコーティング剤は、オキサゾリン基含有水性ポリマー(A)として、オキサゾリン基含有量が7.7mmol/gである水性塗剤の日本触媒(株)社製「エポクロスWS−300」と、水性アクリル系樹脂(B)として、カルボキシ基含有量が0.8mmol/gである東亜合成(株)社製「ジュリマーET−325」と、水性ポリエステル系樹脂(C)として、カルボキシ基含有量が1.2mmol/gである日本合成化学工業(株)社製「ポリエスターWR−961」とを、オキサゾリン基のモル数とカルボキシ基のモル数との比率〔オキサゾリン基のモル数(xmmol)とカルボキシ基のモル数(ymmol)の比(x/y)×100[mol%]〕が254mol%となるように、固形分比(質量比)で(A)/(B)/(C)=23/58/19の割合で配合することによって調製した。
ここで、PETフィルムの収縮率は、JIS K7133(1999)に準拠して測定した。加熱処理は、処理温度150℃、処理時間30分間の条件で行った。
また、PETフィルムの全光線透過率は、JIS K7375(2008)に準拠して測定した。
得られたアンダーコート層を有するPETフィルムのアンダーコート層面に、真空蒸着法により無機物層である一酸化ケイ素層(厚さ:18nm)を形成した。
得られたシランカップリング剤塗工液を、上記無機物層上に、グラビアコーターを用いて乾燥後の塗工量が0.05g/mとなるように塗工し、80℃の熱風乾燥機にて2秒間乾燥した。
次いで、得られた塗工液(X1)を、シランカップリング剤を塗布した上記無機物層上に、乾燥後の塗工量が0.29g/mとなるように塗工し、150℃の熱風乾燥機にて17秒間乾燥および熱処理をした。
得られた積層フィルムについて、以下の評価をおこなった。
(実施例2〜3および比較例1)
塗工液(X1)の塗工量および乾燥・熱処理温度を表1に示す値に変更した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、以下の評価をそれぞれおこなった。
(実施例4〜7および比較例2)
塗工液(X1)を塗工液(X2)に変更し、さらに塗工液(X2)の塗工量および乾燥・熱処理温度を表1に示す値に変更し、さらに無機物層の厚みを表1に示す値に変更した以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製し、以下の評価をそれぞれおこなった。
(実施例8)
実施例5で得られた積層フィルムのガスバリア層側(塗工液X2側)に、接着剤を介して厚さ75μmのPETフィルム(収縮率:0.2%、光線透過率:90%)を貼り合せて、図2に示す基材層101/無機物層102/ガスバリア層103/接着層/基材層104の構成を有する積層フィルムを作製した。得られた積層フィルムを用い、以下の評価をおこなった。
<評価>
(1)積層フィルムのTD方向における収縮率の測定
積層フィルムのTD方向における収縮率は、以下の式から算出した。
収縮率=100×(乾燥・熱処理後の積層フィルムのTD方向の長さ)/(乾燥・熱処理前の積層フィルムのTD方向の長さ)
ここで、実施例8において、乾燥・熱処理後の積層フィルムのTD方向の長さは、接着層および基材層104を貼り付ける前の積層フィルムのTD方向の長さである。
(2)IR測定および解析方法
得られた積層フィルムについて、それぞれ1cm×3cmの測定用サンプルを切り出した。次に、その積層フィルムのガスバリア層側表面の赤外線吸収スペクトルを赤外線全反射測定(ATR−IR法)により得た。測定には、日本分光社製FT/IR−460装置を用い、多重反射測定ユニットATR PRO410−M(プリズム:Germanium結晶、入射角度45度、多重反射回数=5)を装着し、室温で、分解能2cm−1、積算回数150回で測定した。PETフィルムも測定サンプルとして用意し、同じようにして、PETフィルム表面の赤外線吸収スペクトルを測定した。
得られた積層フィルムの赤外線吸収スペクトルには、PETフィルムの影響を含むため、一般的な差スペクトル解析法によりPETフィルムの影響を除いた。具体的には、以下に示す手法を用いた。
積層フィルムとPETフィルムの赤外線吸収スペクトルは、1493cm−1における測定点と1780cm−1における測定点とを直線(ベースライン:N)で結び、1493cm−1〜1780cm−1の波数範囲において、赤外線吸収スペクトルとNとの差スペクトルを得て、それぞれスペクトル(SBN)、スペクトル(SSN)とした。さらに、積層フィルムとPETフィルムの赤外線吸収スペクトルの1325cm−1における測定点と1355cm−1における測定点とを直線(ベースライン:M)で結び、1325cm−1〜1355cm−1の波数範囲において、得られた赤外線吸収スペクトルとMとの差スペクトルを得て、それぞれスペクトル(SBM)、スペクトル(SSM)とした。スペクトル(SBM)のIRピークは、PETフィルムだけの影響で現れるIRピークとなるように波数範囲を選び、スペクトル(SBN)におけるPETフィルムの影響を除くための基準ビークとした。スペクトル(SBM)及びスペクトル(SSM)について、1325cm−1以上1355cm−1以下のピーク面積をそれぞれ面積(ABM)、面積(ASM)とし、係数αを次式から計算した。係数αは、0≦α<1となる。
α=面積(ABM)/面積(ASM
この係数αを使って、1493cm−1から1780cm−1の波数範囲において、次式に従った差スペクトル解析を行い、PETフィルムの影響を除いたスペクトル(SBN’)を得た。
<スペクトル(SBN’)>=<スペクトル(SBN)>−α*<スペクトル(SSN)>
そして、上記の解析を通じて有られたスペクトル(SBN’)において、1493cm−1以上1780cm−1以下の波数範囲における全ピーク面積をA、1598cm−1以上1690cm−1以下の波数範囲における全ピーク面積をBとしたとき、アミド結合の面積比率を(B/A)として計算した。
(3)酸素透過度[mL/(m・day・MPa)])
厚さ50μmの無延伸LLDPEフィルム(三井化学東セロ社製、商品名:FC−S)の片面に、ポリウレタン系接着剤((三井化学社製、商品名:タケラックA1143):9質量部、イソシアネート系硬化剤(三井化学社製、商品名:タケネートA50):1質量部、及び酢酸エチル:10質量部を含む)を塗布し乾燥後、実施例および比較例で得られた積層フィルムのガスバリア層面と貼り合わせ(ドライラミネート)、試験サンプルを得た。
上記で得られた試験サンプルの酸素透過性を、モコン社製OX−TRAN2/21を用いて、JIS K 7126に準じ、温度20℃、湿度90%RHの条件で測定した。
(4)水蒸気透過度[g/(m・day)]
厚さ50μmの無延伸LLDPEフィルム(三井化学東セロ社製、商品名:FC−S)の片面に、ポリウレタン系接着剤((三井化学社製、商品名:タケラックA1143):9質量部、イソシアネート系硬化剤(三井化学社製、商品名:タケネートA50):1質量部、及び酢酸エチル:10質量部を含む)を塗布し乾燥後、実施例および比較例で得られた積層フィルムのガスバリア層面と貼り合わせ(ドライラミネート)、試験サンプルを得た。
得られた試験サンプルを無延伸LLDPEフィルムが内面になるように重ねて試験サンプルを折り返し、3方をヒートシールし、袋状にした後、内容物として塩化カルシウムを入れ、もう1方をヒートシールにより、表面積が0.01mになるように袋を作成し、40℃、90%RHの条件で300時間放置し、その重量差で水蒸気透過度を測定した。
(5)外観評価
得られた積層フィルムの外観(シワの有無)を以下の基準により評価した。
A4サイズにカットしたフィルム1枚を、黒色の布の上に置き、LED照明の下で、凹凸(シワ)の山の数を数える。
判定基準は、A4サイズで山の数が10本より多い場合は×、10本以下の場合を○とする。
Figure 2021088115
100 積層フィルム
101 基材層
102 無機物層
103 ガスバリア層
104 基材層

Claims (10)

  1. 基材層と、無機物層と、ガスバリア層と、をこの順番に備えるディスプレイ素子保護用の積層フィルムの製造方法であって、
    前記基材層上に形成された前記無機物層上に、ポリカルボン酸およびポリアミン化合物を含む混合物からなる塗工層を形成する工程(A)と、
    前記基材層および前記無機物層とともに前記塗工層を加熱することによって、前記塗工層を硬化し、前記ガスバリア層を形成する工程(B)と、
    を含み、
    前記工程(B)の前後における前記積層フィルムのTD方向における収縮率が1.0%未満である積層フィルムの製造方法。
  2. 請求項1に記載の積層フィルムの製造方法において、
    前記積層フィルムは量子ドット保護用である積層フィルムの製造方法。
  3. 請求項1または2に記載の積層フィルムの製造方法において、
    前記ガスバリア層の赤外線吸収スペクトルにおいて、
    1493cm−1における測定点と1780cm−1における測定点とを結ぶ直線をベースラインとして設定し、吸収帯1493cm−1以上1780cm−1以下の範囲における全ピーク面積をAとし、吸収帯1598cm−1以上1690cm−1以下の範囲における全ピーク面積をBとしたとき、B/Aで示されるアミド結合の面積比率が0.20以上である積層フィルムの製造方法。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載の積層フィルムの製造方法において、
    (前記混合物中の前記ポリアミン化合物に含まれる−NH基のモル数および−NH基のモル数の合計)/(前記混合物中の前記ポリカルボン酸に含まれる−COOH基のモル数)が22/100以上99/100以下の範囲にある積層フィルムの製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の積層フィルムの製造方法において、
    前記基材層を150℃で30分間加熱処理したときの、前記加熱処理前後における前記基材層のTD方向における収縮率が0.0%以上1.0%以下である積層フィルムの製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれか一項に記載の積層フィルムの製造方法において、
    前記基材層の全光線透過率が90%以上である積層フィルムの製造方法。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の積層フィルムの製造方法において、
    前記ポリカルボン酸が、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸およびアクリル酸とメタクリル酸との共重合体から選択される一種または二種以上を含む積層フィルムの製造方法。
  8. 請求項1乃至7のいずれか一項に記載の積層フィルムの製造方法において、
    前記ポリアミン化合物が、脂肪族系ポリアミン類および側鎖にアミノ基を有するポリアミド類から選択される少なくとも一方を含む積層フィルムの製造方法。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の積層フィルムの製造方法において、
    前記無機物層が、酸化ケイ素、酸化アルミニウムおよびアルミニウムからなる群から選択される一種または二種以上の無機物により形成されたものである積層フィルムの製造方法。
  10. 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の積層フィルムの製造方法において、
    前記基材層が熱硬化性樹脂および熱可塑性樹脂から選択される少なくとも一方を含む積層フィルムの製造方法。
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