JP2021084905A - 経口医薬製剤およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 製剤を構成する被覆粒子の凝集を抑制し、優れた溶出性を提供し得る経口医薬製剤およびその製造方法を提供すること。【解決手段】 本発明は、薬剤粒子と腸溶層と被覆層とをこの順で備える被覆粒子を含有する経口医薬製剤であって、該薬剤粒子が酸に不安定な薬剤を含有し、該被覆層が低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよび結合剤を含有する、経口医薬製剤である。本発明の経口医薬製剤によれば、錠剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、カプセル剤、ドライシロップ剤、トローチ剤、末剤、散剤などの種々の剤形に適用可能である。【選択図】なし

Description

本発明は経口医薬製剤およびその製造方法に関し、より詳細には薬剤の溶出性に優れる経口医薬製剤およびその製造方法に関する。
酸に不安定な薬剤については、服用後の胃酸による失活を防ぐために薬剤に腸溶層を被覆して顆粒を作製し、これをカプセルに充填することにより製剤化されることがある。例えば、セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)であるデュロキセチン塩酸塩は、酸に不安定であるため、薬剤(デュロキセチン塩酸塩)と添加物とを含む内容物に対して腸溶性コーティングが施され、該内容物(顆粒)を硬カプセルに充填したカプセル剤の剤形で市販されている(非特許文献1)。このような腸溶性コーティングが施されたデュロキセチン塩酸塩の顆粒を製造するために、腸溶層をヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート(HPMCAS)で形成する方法が報告されている(特許文献1)。
一般に、こうしたカプセル剤は嚥下し難く服用性に欠く点が指摘されている。そのため、服用が容易な錠剤としての製剤化が所望されている。
しかし、腸溶性ポリマーはその種類に関わらずベタつきが強いため、最外層に腸溶性コーティングが施された顆粒は、錠剤として製剤化すべく打錠すると、顆粒同士が必要以上に凝集する傾向にある。そのため、打錠して得られた錠剤は、薬剤の溶出率が低下する点が指摘されていた。
また、特許文献1では、腸溶層の外側に、ヒドロキシプロピルメチルセルロースやポリビニルピロリドンなどの重合物質で形成されるフィニッシング層を設けてもよいことが開示されている。しかし、このような重合物質は水溶性高分子であるため、腸溶層をこれらで被覆してもベタつきは解消されず、依然として打錠によって顆粒が凝集し易い。そのため、薬剤の溶出率が低下するという点は、依然として回避することが困難であった。
特許3707831号公報
「サインバルタ(登録商標)カプセル20mg・サインバルタ(登録商標)カプセル30mg」医薬品インタビューフォーム 2019年4月改訂(改訂第13版)
本発明は、上記問題の解決を課題とするものであり、その目的とするところは、酸に不安定な薬剤を含有する経口医薬製剤において、錠剤の剤形であっても、腸溶層を備えた薬剤含有粒子の凝集を抑制し、優れた溶出性を有する経口医薬製剤およびその製造方法を提供することにある。
本発明は以下を包含する:
(1)薬剤粒子と腸溶層と被覆層とをこの順で備える被覆粒子を含有する経口医薬製剤であって、
該薬剤粒子が酸に不安定な薬剤を含有し、
該被覆層が低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよび結合剤を含有する、経口医薬製剤。
(2)錠剤の剤形を有する、(1)に記載の経口医薬製剤。
(3)上記錠剤が口腔内崩壊錠である、(2)に記載の経口医薬製剤。
(4)上記被覆層が、上記低置換度ヒドロキシプロピルセルロース100質量部に対して0.5質量部から10質量部の前記結合剤を含有する、(1)から(3)のいずれかに記載の経口医薬製剤。
(5)上記被覆層が、上記低置換度ヒドロキシプロピルセルロース100質量部に対して0.5質量部から3.5質量部の前記結合剤を含有する、(3)に記載の経口医薬製剤。
(6)上記被覆層が、上記被覆粒子の総質量に対して4.5質量%以上20質量%以下の割合で構成されている、(1)から(5)のいずれかに記載の経口医薬製剤。
(7)上記結合剤がポリビニルアルコールである、(1)から(6)のいずれかに記載の経口医薬製剤。
(8)経口医薬製剤の製造方法であって、
酸に不安定な薬剤を含有する薬剤粒子を作製する工程、
該薬剤粒子に腸溶層を形成して腸溶性粒子を得る工程、および
該腸溶性粒子に被覆層を形成して被覆粒子を得る工程、
を包含し、
該被覆層が、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよび結合剤を含有する懸濁液を該腸溶性粒子に付着させることにより形成される、方法。
(9)さらに、上記被覆粒子を圧縮成形する工程を包含する、(8)に記載の方法。
本発明によれば、酸に不安定な薬剤を含有する経口医薬製剤において、錠剤の剤形であっても、薬剤の溶出性を良好に保持することができる。本発明の経口医薬製剤は、例えば口腔内崩壊錠や普通錠などの錠剤の剤形に製造することができるため、カプセル剤よりも嚥下し易く、服用が容易である。
実施例1および比較例1で作製した錠剤を構成する粒子の走査電子顕微鏡写真であって、(a)は実施例1で得られた被覆粒子の写真であり、(b)は比較例1で得られた被覆層を有していない腸溶性粒子の写真である。 実施例1〜3および比較例1で得られた錠剤の溶出試験の結果を示すグラフである。
以下、本発明について詳述する。
(経口医薬製剤)
本発明の経口医薬製剤は、薬剤粒子と腸溶層と被覆層とをこの順で備える被覆粒子を含有する。
被覆粒子を構成する薬剤粒子は、酸に不安定な薬剤を含有する。
本明細書において、用語「酸に不安定な薬剤」とは、酸性物質を含有する水溶液または固体が存在する環境下において、変質(例えば、分解、置換、付加、脱離、重縮合、酸化、還元または中和、あるいはそれらの組み合わせによる化学反応を包含する)を通じてその物理的性質および/または化学的性質が経時的に変化する薬剤化合物を総称していう。1つの実施形態では、酸に不安定な薬剤としては、胃酸のような強酸性物質の存在下で変質し得る薬剤、例えばpH1〜6、好ましくはpH1〜4、より好ましくはpH1〜3、さらにより好ましくはpH1〜1.5の水溶液の存在下で変質し得る薬剤が挙げられる。
酸に不安定な薬剤としては、必ずしも限定されないが、例えば、デュロセキチン、エソメプラゾール、オメプラゾール、ラベプラゾール、ランソプラゾール、ジダノシン、ジゴキシン、エリスロマイシン、パンクレアチン、およびプラバスタチン;ならびにこれらの薬学的に許容し得る塩(例えば、塩酸塩、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩、トリエチルアンモニウム塩、モノエタノールアンモニウム塩、トリエタノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、置換ピリジニウム塩などの医薬的に許容し得るアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、非毒性金属塩、アンモニウム塩および置換アンモニウム塩)および水和物等が挙げられる。うつ病;うつ状態;糖尿病性神経障害、線維筋痛症、慢性腰痛症などに伴う疼痛;に対する治療または予防に加え、糖尿病性ニューロパチー、腹圧性尿失禁、全般性不安障害に対する治療または予防への適用も知られており、有用性および汎用性が期待されている点から、デュロセキチン塩酸塩が好ましい。
本発明における酸に不安定な薬剤の含有量は、含有される薬剤の種類や用量等に応じて変動するため必ずしも限定されないが、経口医薬製剤の全体質量を基準にして、0.5質量%〜50質量%、好ましくは1質量%〜20質量%である。薬剤の含有量が0.5質量%を下回ると、1回の投与に要する経口医薬製剤の全体量が増大して患者に過度の服用負担を与えることがある。薬剤の含有量が50質量%を上回ると、所望の剤形を保持することが困難となる場合がある。
薬剤粒子は、1)上記酸に不安定な薬剤そのものであってもよいし、2)上記酸に不安定な薬剤と薬理学的に許容される添加物(例えば、後述する各剤など)との混合物を造粒したものであってもよいし、3)コア粒子の表面に上記酸に不安定な薬剤を含む薬物層が形成されたものであってもよい。薬剤粒子は、3)コア粒子の表面に上記酸に不安定な薬剤を含む薬物層が形成されたものであることが好ましい。
コア粒子としては、薬理学的に不活性な粒子が好ましく、例えば製薬分野にて一般に使用されている賦形剤を用いることができる。賦形剤の例としては、乳糖・結晶セルロース球状顆粒、精製白糖球状顆粒、白糖・デンプン球状顆粒、D−マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、イソマルト、マルチトール、ショ糖、ブドウ糖、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、デキストリン等が挙げられる。コア粒子は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
コア粒子の平均粒子径は、必ずしも限定されないが、好ましくは直径50μm〜850μm、より好ましくは直径100μm〜700μmである。
薬剤層は、上記酸に不安定な薬剤とともに第1のコーティング剤を含有し得る。
第1のコーティング剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルアルコール・アクリル酸・メタクリル酸メチル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、メタクリル酸コポリマー、アクリル酸エチル・メタクリル酸メチルコポリマー、タルク、および酸化チタン、ならびにそれらの組み合わせ等が挙げられる。薬剤層に含まれる第1のコーティング剤の含有量は、例えば、酸に不安定な薬剤の含有量、コア粒子の平均粒子径およびその含有量等に応じて当業者によって適切に選択され得る。
薬剤層には、第1のコーティング剤とともに、酸に不安定な薬剤の変質を抑制し類縁物質の生成を回避するための安定剤を含有させることができる。安定剤としては、例えば、無機系アルカリ化剤および有機系アルカリ化剤、ならびにそれらの組み合わせ等が挙げられる。
無機系アルカリ化剤は、無機化合物により構成されており、上記酸に不安定な薬剤と共存させることにより、水溶液中でのpHを調節する等の役割を果たし、酸性条件下での当該薬剤の変質を防止することができる。さらに、無機系アルカリ化剤は、経口医薬製剤の保管の間に生じ得る、上記薬剤成分の変質による類縁物質の形成を抑制することができる。
無機系アルカリ化剤としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属元素を含む炭酸塩、重炭酸塩、水酸化物塩、または酸化物、あるいはそれらの組み合わせ等が挙げられる。無機系アルカリ化剤を構成し得るアルカリ金属の例としては、ナトリウムおよびカリウム等が挙げられる。無機系アルカリ化剤を構成し得るアルカリ土類金属の例としては、マグネシウムおよびカルシウム等が挙げられる。無機系アルカリ化剤のより具体的な例としては、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、および炭酸水素ナトリウム、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。例えば、上記酸に不安定な薬剤としてデュロキセチン塩酸塩を用いた場合、当該デュロキセチン塩酸塩の安定性を最も効果的に保持し得るとの理由から、炭酸マグネシウムを用いることが好ましい。
有機系アルカリ化剤は、必ずしも限定されないが、例えばメグルミン、アルギニン、ヒスチジン、リジン、およびアミノアルキルメタクリレートコポリマーE(例えば、Eudragit(登録商標)(Evonik社製))、ならびにそれらの組み合わせ等が挙げられる。
薬剤層における安定剤の含有量は、上記酸に不安定な薬剤1質量部に対して、好ましくは0.0001質量部〜10質量部、より好ましくは0.001質量部〜5質量部である。安定剤の含有量が0.0001質量部を下回ると、上記薬剤の変質に伴う類縁物質の形成を充分に抑制できない場合がある。安定剤の含有量が10質量部を上回ると、もはや類縁物質の形成抑制にはそれ以上の変化は見られず、むしろ経口医薬製剤としての生産性を低下させるおそれがある。
薬剤粒子は、必要に応じて中間層で覆われていてもよい。
中間層は、例えば薬剤粒子(例えば、上記薬剤層)上に直接配置される層であり、薬剤と腸溶層とが直接接触するのを避けるための層である。中間層は、第2のコーティング剤と、必要に応じて、帯電防止剤等を含有させることができる。第2のコーティング剤は、通常、非腸溶性のコーティング剤であり、具体的な例としては、上記薬剤層を構成する第1のコーティング剤に例示したものが挙げられる。本発明において、第2のコーティング剤は第1のコーティング剤と同一であってもよいし異なっていてもよい。
中間層に含まれる帯電防止剤の例としては、軽質無水ケイ酸、含水二酸化ケイ素、タルク、およびステアリン酸マグネシウム、ならびにそれらの組み合わせ等が挙げられる。中間層を構成する第2のコーティング剤および帯電防止剤の含有量は特に限定されず、当業者によって適切な含有量が選択され得る。
本発明において、腸溶層は、薬剤粒子の表面(例えば上記中間層が設けられている場合は当該中間層の外側表面、上記中間層が設けられていない場合には薬剤層の外側表面)上にされている。
腸溶層は、主に腸溶性のコーティング剤(第3のコーティング剤ともいう)から構成されている。第3のコーティング剤は、腸溶性ポリマーを含有していればよく、必要に応じて、クエン酸トリエチルなどの可塑剤、タルク等の付着防止剤、酸化チタンなどの遮光剤、その他各種添加剤ならびにそれらの組み合わせを含有し得る。腸溶性ポリマーの例としては、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル、メタクリル酸共重合体、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートブチレート、ヒプロメロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、およびカルボキシメチルエチルセルロース、ならびにそれらの組み合わせ等が挙げられる。
本発明において、被覆層は、腸溶層の外側表面上、すなわち当該腸溶層の外側表面の一部または全体を覆って形成されている。本発明においては、被覆粒子を構成する被覆層は腸溶層の外側表面の全体を覆って付与されていることが好ましい。これにより、被覆粒子表面への腸溶層の露出が防止され、被覆粒子のベタつきによる薬剤の溶出性低下を回避することができる。
被覆層は、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよび結合剤を含有する。一般に、粒子のコーティングには水溶性ポリマーが用いられるところ、本発明においては、敢えて、水不溶性の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを使用する。これにより、被覆粒子の表面は水不溶性の微小な凹凸形状となるので、打錠された場合にも被覆粒子(顆粒)同士の凝集を防止することができる。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、極めて少量のヒドロキシプロピル基(−OCOH)をグルコース環に導入したものであり、通常所定の平均粒子径(例えば10μm〜60μm、好ましくは15μm〜40μm)を有する粒子(例えば、微粉状、重質、繊維状、または長繊維状の形態)である。
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースはまた、そのモル置換度(1グルコースあたりのヒドロキシプロピル基の数)が例えば0.2〜0.4であるものを包含する。これに対し、一般的なヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の当該モル置換度は約3より大きい。このモル置換度の相違により、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、一般的なヒドロキシプロピルセルロース(HPC)とは異なる性質を有する。例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)は水溶性およびアルコール可溶性であるのに対し、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは嵩高く、水または水溶液に対して不溶性の性質を有する。
このように、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)とは全く別異の化合物として明確に区別される。
さらに、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは、例えば日本薬局方に記載のセルロースの低置換度ヒドロキシプロピルエーテルであり、換算した乾燥物を基準として好ましくは5%〜16%、より好ましくは7%〜14%、さらにより好ましくは9%〜12%のヒドロキシプロポキシ基を有する。ヒドロキシプロポキシ基の割合が上記範囲であれば、所望の嵩高さを有し、かつ水不溶性であるという低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの特性を発揮する。
本発明において、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースは崩壊剤の1種として機能し得る。
被覆層に含有される低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの平均粒子径は、特に限定されないが、好ましくは10μm〜60μm、より好ましくは20μm〜55μmである。低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの平均粒子径が10μm未満であると、被覆粒子の表面に凹凸を形成し難くなることがあり、一方、60μmを上回ると、腸溶性粒子の表面に付着させ難くなることがある。
なお、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの平均粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置などにより測定することができる。
結合剤は、腸溶層で覆われた薬剤粒子上で上記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの粒子を接着させる機能を果たす。
結合剤としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)(ここで、PVAは部分けん化物および完全けん化物のいずれであってもよい)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC;ヒプロメロース)、ポリビニルピロリドン(PVP;ポビドン)、メチルセルロース、およびエチルセルロース、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの粒子を少量で強固に接着することができるという点から、ポリビニルアルコールが好ましく、ポリビニルアルコールの部分けん化物がさらに好ましい。結合剤としてポリビニルアルコールの部分けん化物が用いられる場合、そのけん化度は、好ましくは85モル%〜90モル%である。
本発明の経口医薬製剤において、被覆層に含まれる結合剤の含有量は、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース100質量部に対して、好ましくは0.5質量部〜10質量部、より好ましくは1質量部〜5質量部である。結合剤の含有量が0.5質量部を下回ると、腸溶層で覆われた薬剤粒子上で低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを十分に接着して強固な被膜層を形成することができないことがある。結合剤の含有量が10質量部を上回ると、被覆粒子(顆粒)同士の凝集が起こることがある。
さらに本発明の経口医薬製剤が口腔崩壊錠である場合、被覆層に含まれる結合剤の含有量は、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース100質量部に対して、好ましくは0.5質量部〜7質量部、より好ましくは1質量部〜3.5質量部である。被膜層に含まれる結合剤がこのような範囲の含有量で含まれていることにより、得られる経口医薬製剤(口腔内崩壊錠)は、口の中での唾液や少量の水による速やかな崩壊性を可能にするとともに、当該製剤からの酸に不安定な薬剤の溶出性の低下を防止することができる。
本発明において、被覆層は、被覆粒子の総質量に対して、好ましくは4.5質量%以上50質量%以下、より好ましくは4.5質量%以上20質量%以下の割合で含有されている。被覆層の割合が4.5質量%未満であると、得られる被覆粒子は互いに凝集し易くなり、それを用いて作製した経口医薬製剤からの薬剤の溶出性は低下することがある。被覆層の割合が50質量%を上回ると、被覆粒子が大きくなり、それに応じて錠剤自体も大きくなるため、服用性が低下するおそれがある。
被覆層には、上記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよび結合剤による効果を阻害しない範囲において他の添加剤が含まれていてもよい。しかし、より強固な層を形成するためには、被膜層は、上記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよび結合剤のみで構成されていてもよい。
本発明の経口医薬製剤は、上記被覆粒子とともに他の添加剤を含有していてもよい。
被覆粒子とともに添加され得る他の添加剤としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、流動化剤、矯味剤、香料、および滑沢剤、ならびにそれらの組み合わせが挙げられる。
被覆粒子とともに添加され得る賦形剤の例としては、乳糖、結晶セルロース、D−マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、イソマルト、マルチトール、白糖、ショ糖、ブドウ糖、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、コメデンプン、コムギデンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、アルファー化デンプン、部分アルファー化デンプン、カルボキシメチルスターチナトリウム、およびデキストリン、ならびにそれらの組み合わせ等が挙げられる。経口医薬製剤における当該賦形剤の含有量は、当業者によって適宜選択され得る。
被覆粒子とともに添加され得る崩壊剤の例としては、カルメロース、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、およびクロスポビドン、ならびにそれらの組み合わせ等が挙げられる。経口医薬製剤における当該崩壊剤の含有量は、当業者によって適宜選択され得る。
被覆粒子とともに添加され得る流動化剤の例としては、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、タルク、合成ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、ならびにそれらの組合せ等が挙げられる。経口医薬製剤における当該流動化剤の含有量は、当業者によって適宜選択され得る。
被覆粒子とともに添加され得る矯味剤の例としては、アスコルビン酸、L−アスパラギン酸、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム、およびソーマチン、ならびにそれらの組み合わせ等が挙げられる。経口医薬製剤における当該矯味剤の含有量は、当業者によって適宜選択され得る。
被覆粒子とともに添加され得る香料の例としては、ミント、レモン香料、オレンジコートン、パイナップルフレーバー、およびl−メントール、ならびにそれらの組み合わせ等が挙げられる。経口医薬製剤における当該香料の含有量は、当業者によって適宜選択され得る。
被覆粒子とともに添加され得る滑沢剤の例としては、軽質無水ケイ酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、フマル酸ステアリルナトリウム、タルク、および硬化油、ならびにそれらの組み合わせ等が挙げられる。経口医薬製剤における当該滑沢剤の含有量は、当業者によって適宜選択され得る。
本発明の経口医薬製剤は、錠剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、カプセル剤、ドライシロップ剤、トローチ剤、末剤および散剤等の固形製剤であれば特に限定されないが、打錠した場合であっても凝集せず溶出性を損なわないという上記被覆粒子の優位性を活かす上では、錠剤の剤形であることが好ましい。錠剤のより具体的な例としては、普通錠、口腔内崩壊錠、チュアブル錠、発泡錠、分散錠、および溶解錠等が挙げられる。このような錠剤であれば、カプセル剤と比較して嚥下し易く服用者への負担を低減することができる。服用性の点では、中でも特に、口腔内崩壊錠の形態を有することがより好ましい。さらに、本発明の経口医薬製剤は、口腔内崩壊錠または普通錠のような錠剤の形態を有している場合、これらの錠剤は素錠のままであってもよく、あるいは当該技術分野において公知のコーティング剤を用いてフィルムコーティングされた錠剤(フィルムコーティング錠)であってもよい。
(経口医薬製剤の製造方法)
本発明の経口医薬製剤は、例えば以下のようにして製造される。
まず、酸に不安定な薬剤を含有する薬剤粒子が作製される。以下では、薬剤粒子が、コア粒子の表面に酸に不安定な薬剤を含む薬物層が形成されたものである場合の作製方法について説明する。なお、薬剤粒子が、酸に不安定な薬剤と薬理学的に許容される添加物(例えば、後述する各剤など)との混合物を造粒したものである場合の混合方法および造粒方法については、特に制限されるものではなく、公知の方法を適宜採用することができる。
薬剤粒子の作製では、上記のようなコア粒子に、酸に不安定と薬剤を、例えば第1のコーティング剤および必要に応じて安定剤を含む懸濁液または溶液を付与(例えばスプレー)し、必要に応じて乾燥することにより、コア粒子上に薬剤層が形成する。さらに、中間層を設ける場合には、薬剤層の外側表面に、第2のコーティング剤を含む懸濁液または溶液を付与(例えばスプレー)し、必要に応じて乾燥することにより、中間層が配置される。
次いで、薬剤粒子に腸溶層が形成され、腸溶性粒子が作製される。
具体的には、薬剤粒子に、上記第3のコーティング剤を含む懸濁液または溶液を付与(例えばスプレー)し、必要に応じて乾燥することにより、腸溶層を有する腸溶性粒子を得ることができる。
その後、得られた腸溶性粒子に被覆層が形成され被覆粒子が作製される。
具体的には、腸溶性粒子に、上記低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよび結合剤を含む懸濁液を付与(例えばスプレー)し、必要に応じて乾燥することにより、被覆層が形成される。
ここで、上記薬剤粒子(薬剤層および中間層の形成を含む)、腸溶性粒子および被覆粒子の一連の作製には、流動層造粒法、微粒子コーティング法などの従来の造粒方法を適用することができる。本発明においては、特に市販の転動流動層コーティング装置による微粒子コーティング法を採用することによって、薬剤粒子から被覆粒子までの作製を同一の装置内で行ってもよい。
また、こうして得られた被覆粒子は、必要に応じて他の添加剤と混合され、打錠機によって圧縮成形され、錠剤(素錠)の剤形に加工されることが好ましい。ここで、他の添加剤は、圧縮成形の前にあらかじめ被覆粒子とともに造粒物に成形されていてもよい。ただし、他の添加剤のうち滑沢剤については、造粒物とは別に混合することが望ましい。加えて、必要に応じてこの錠剤に当業者に公知の手段を用いてフィルムコーティングが行われてもよい。
このようにして本発明の経口医薬製剤を製造することができる。
本発明の経口医薬製剤は、その薬効成分として含有される上記薬剤の種類に応じて、種々の用法および用量にて患者に投与される。また、この投与が行われるまでの期間は、例えば冷暗所に保管され得る。本発明の経口医薬製剤は、顆粒(被覆粒子)がベタつきにより凝集することがないので、打錠して圧縮成形したとしても、薬剤の溶出性を低下させることがない。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1:錠剤(E1)の作製)
表1および2に示す組成となるように、デュロキセチン塩酸塩22.4mg(デュロキセチンとして20mg)を含有する錠剤を以下のようにして作製した。
<第1の薬剤粒子の作製>
デュロキセチン塩酸塩、炭酸マグネシウムおよびタルクを少量の精製水に分散させた後、ヒプロメロース添加して溶解させて第1の懸濁液を得た。転動流動層コーティング機(株式会社パウレック製MP−01)を使用し、この第1の懸濁液を乳糖・結晶セルロース球状顆粒にスプレーして、コア粒子を薬剤層で被覆した第1の薬剤粒子を得た。
<中間層の形成(第2の薬剤粒子の作製)>
タルクおよび酸化チタンを少量の精製水に分散させた後、エタノールおよびヒプロメロースを添加して第2の懸濁液を得た。次いで、上記と同様の転動流動層コーティング機内でこの第2の懸濁液を第1の薬剤粒子にスプレーして、第1の薬剤粒子を中間層で被覆した第2の薬剤粒子を得た。
<腸溶層の形成(腸溶性粒子の作製)>
タルクおよび酸化チタンを少量の精製水に分散させた後、エタノール、クエン酸トリエチル、およびヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルを添加して第3の懸濁液を得た。次いで、上記と同様の転動流動層コーティング機内でこの第3の懸濁液を第2の薬剤粒子にスプレーして、第2の薬剤粒子を腸溶層で被覆した腸溶性粒子を得た。
<被覆層の形成(被覆粒子の作製)>
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(信越化学工業(株)製L−HPC(登録商標)LH−31;ヒドロキシプロポキシ基含量11%、平均粒子径20μm)を少量の精製水に分散させた後、80℃に加温した精製水に溶解させたポリビニルアルコール(三菱ケミカル(株)製ゴーセノールEG−03P;けん化度86.5〜89.0モル%(部分けん化物))を添加して、第4の懸濁液を得た。次いで、上記と同様の転動流動層コーティング機内で、この第4の懸濁液を腸溶性粒子に対してスプレーして、腸溶性粒子を被覆層で被覆した被覆粒子を得た。
なお、実施例1で得られた被覆粒子における被覆層の割合は4.7質量%であった。被覆層における結合剤(ポリビニルアルコール)の量は低置換度ヒドロキシプロピルセルロース100質量部に対して3.1質量部であった。
<打錠(錠剤の作製)>
被覆粒子に、D−マンニトール、結晶セルロース、クロスポビドン、スクラロース、軽質無水ケイ酸、l−メントール、およびフマル酸ステアリルナトリウムを添加かつ混合して、打錠用顆粒を得た。その後、この打錠用顆粒を単発打錠機内で圧縮成形して、錠剤(E1)(重量400.4mg、錠剤径9.5mm、錠剤厚み5.2mmおよび硬度65N)を得た。
Figure 2021084905
Figure 2021084905
なお、実施例1で作製した被覆粒子および腸溶性粒子の表面状態を、走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ製TM3030Plus)により観察した。被覆粒子の電子顕微鏡写真を図1の(a)に、腸溶性粒子の電子顕微鏡写真を図1の(b)に、それぞれ示す。
図1(a)と図1(b)の対比より、被覆粒子の表面は微小な凹凸で形成される被覆層で略完全に覆われていることが分かった。本発明の医薬製剤は、この微少な凹凸が存在することにより、打錠された場合にも被覆粒子(顆粒)同士の凝集を防止することができる。
(実施例2:錠剤(E2)の作製)
錠剤の被覆層に含まれる低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの含有量を12.8mg(2倍)、当該被覆層に含まれるポリビニルアルコールの含有量を0.4mg(2倍)に変更し、かつ打錠の際、被覆粒子とともに添加したD−マンニトールの含有量を131.6mgに変更したこと以外は、実施例1と同様にして錠剤(E2)(重量400.4mg、錠剤径9.5mm、錠剤厚み5.2mmおよび硬度65N)を得た。
なお、実施例2で得られた被覆粒子における被覆層の割合は9.1質量%であった。被覆層における結合剤(ポリビニルアルコール)の量は低置換度ヒドロキシプロピルセルロース100質量部に対して3.1質量部であった。
(実施例3:錠剤(E3)の作製)
錠剤の被覆層に含まれる低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの含有量を17.92mg(2.8倍)、当該被覆層に含まれるポリビニルアルコールの含有量を0.56mg(2.8倍)に変更し、かつ打錠の際、被覆粒子とともに添加したD−マンニトールの含有量を126.3mgに変更したこと以外は、実施例1と同様にして錠剤(E3)(重量400.4mg、錠剤径9.5mm、錠剤厚み5.2mmおよび硬度65N)を得た。
なお、実施例3で得られた被覆粒子における被覆層の割合は12.2質量%であった。被覆層における結合剤(ポリビニルアルコール)の量は低置換度ヒドロキシプロピルセルロース100質量部に対して3.1質量部であった。
(比較例1:錠剤(C1)の作製)
腸溶性粒子に被覆層を設けなかったこと(すなわち、被覆粒子の代わりに腸溶性粒子を用いたこと)、および打錠の際、被覆粒子とともに添加したD−マンニトールの含有量を144.8mgに変更したこと以外は、実施例1と同様にして錠剤(C1)を得た。
(試験例1:溶出性試験)
実施例1〜3および比較例1で得られた錠剤(E1)〜(E3)および(C1)について、日本薬局方溶出試験法第2法(パドル法)によるデュロキセチンの溶出性試験を行った。試験液として溶出試験液第2液(pH6.8)900mLを用い、それぞれパドル回転数75rpmにて、120分間の溶出率(%)の経時変化を所定の時間毎に測定した。得られた結果を図2に示す。
図2に示すように、実施例1〜3で得られた錠剤(E1)〜(E3)は、比較例1の錠剤(C1)と比較して試験開始後30分の段階で既に高い溶出率を示し、いずれも優れた溶出性を有していた。特に、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよび結合剤の濃度を高めた実施例3の錠剤(E3)では、試験開始後60分近くで略100%の溶出率を達成していた。
(実施例4:錠剤(E4)の作製)
錠剤に含まれる低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの含有量を17.0mgに変更し、結合剤(ポリビニルアルコール)の含有量を0.5mgに変更し、かつ打錠の際、被覆粒子とともに添加したD−マンニトールの含有量を127.3mgに変更したこと以外は、実施例1と同様にして錠剤(E4)(重量400.4mg、錠剤径9.5mm、錠剤厚み5.2mmおよび硬度65N)を作製した。
なお、実施例4で得られた被覆粒子における被覆層の割合は11.7質量%であった。被覆層における結合剤(ポリビニルアルコール)の量は低置換度ヒドロキシプロピルセルロース100質量部に対して2.9質量部であった。
(実施例5:錠剤(E5)の作製)
錠剤に含まれる低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの含有量を17.0mgに変更し、結合剤(ポリビニルアルコール)の含有量を1.0mgに変更し、かつ打錠の際、被覆粒子とともに添加したD−マンニトールの含有量を126.8mgに変更したこと以外は、実施例1と同様にして錠剤(E5)(重量400.4mg、錠剤径5.2mm、錠剤厚み5.2mmおよび硬度65N)を作製した。
なお、実施例5で得られた被覆粒子における被覆層の割合は12.0質量%であった。被覆層における結合剤(ポリビニルアルコール)の量は低置換度ヒドロキシプロピルセルロース100質量部に対して5.9質量部であった。
(口腔内崩壊時間)
実施例4および5で得られた錠剤(E4)および(E5)を、それぞれ5人の被験者が服用し、服用後から錠剤が口腔内で崩壊したと感じられた時点までの時間を測定し、その平均値を算出した。結果を表3に示す。
Figure 2021084905
表3に示すように、実施例4および5で得られた錠剤(E4)および(E5)はいずれも、口腔内で比較的短時間で崩壊可能であるが、特に、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの含有量に対して結合剤の含有量を低く抑えると(実施例4)、より短時間での口腔内崩壊を達成することができることが分かった。
本発明によれば、酸に不安定な薬剤を有効成分とする医薬製剤を、錠剤、丸剤、カプセル剤、トローチ剤などの種々の剤形にて提供することができ、製薬分野において有用である。

Claims (9)

  1. 薬剤粒子と腸溶層と被覆層とをこの順で備える被覆粒子を含有する経口医薬製剤であって、
    該薬剤粒子が酸に不安定な薬剤を含有し、
    該被覆層が低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよび結合剤を含有する、経口医薬製剤。
  2. 錠剤の剤形を有する、請求項1に記載の経口医薬製剤。
  3. 前記錠剤が口腔内崩壊錠である、請求項2に記載の経口医薬製剤。
  4. 前記被覆層が、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロース100質量部に対して0.5質量部から10質量部の前記結合剤を含有する、請求項1から3のいずれかに記載の経口医薬製剤。
  5. 前記被覆層が、前記低置換度ヒドロキシプロピルセルロース100質量部に対して0.5質量部から3.5質量部の前記結合剤を含有する、請求項3に記載の経口医薬製剤。
  6. 前記被覆層が、前記被覆粒子の総質量に対して4.5質量%以上20質量%以下の割合で構成されている、請求項1から5のいずれかに記載の経口医薬製剤。
  7. 前記結合剤がポリビニルアルコールである、請求項1から6のいずれかに記載の経口医薬製剤。
  8. 経口医薬製剤の製造方法であって、
    酸に不安定な薬剤を含有する薬剤粒子を作製する工程、
    該薬剤粒子に腸溶層を形成して腸溶性粒子を得る工程、および
    該腸溶性粒子に被覆層を形成して被覆粒子を得る工程、
    を包含し、
    該被覆層が、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよび結合剤を含有する懸濁液を該腸溶性粒子に付着させることにより形成される、方法。
  9. さらに、前記被覆粒子を圧縮成形する工程を包含する、請求項8に記載の方法。
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