JP2021080444A - ブロックポリイソシアネート組成物、硬化性組成物及び硬化物 - Google Patents

ブロックポリイソシアネート組成物、硬化性組成物及び硬化物 Download PDF

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陽子 田中
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Abstract

【課題】硬化物としたときの伸度及び基材との密着性に優れるブロックポリイソシアネート組成物を提供する。【解決手段】ブロックポリイソシアネート組成物は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネート化合物、並びに、炭素数3以上10以下のアルコールから誘導されるポリイソシアネートと、熱解離性ブロック剤と、から誘導されるブロックポリイソシアネートを含み、有機溶剤を実質的に含まないブロックポリイソシアネート組成物であって、前記ポリイソシアネート中のイソシアネート基の平均官能基数が1.8以上2.5以下であり、前記ブロックポリイソシアネート組成物の60℃における粘度が400mPa・s以上10000mPa・s以下である。【選択図】なし

Description

本発明は、ブロックポリイソシアネート組成物、硬化性組成物及び硬化物に関する。
脂肪族ジイソシアネート又は脂環族ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートは、無黄変型であり、耐候性や耐薬品性、可撓性に優れた硬化剤であることが知られている。
また、上記ポリイソシアネートのイソシアネート基を、熱解離性のブロック剤により封鎖させたブロックポリイソシアネートは、主剤である活性水素化合物と混合しても常温では反応せず、加熱することによりブロック剤が解離し、イソシアネート基が再生されて硬化が進行する。このため、あらかじめ主剤と硬化剤を混合した状態で貯蔵することが可能となる。
イソシアネート基を封鎖する熱解離性ブロック剤として、オキシム系化合物、アルコール系化合物、フェノール系化合物、アミン系化合物等があり、種々のポリイソシアネートとブロック剤との組み合わせが提案されている。
ブロックポリイソシアネートは、ブロックすることで生成するウレタン結合又は尿素結合による分子間水素結合により、高粘度化するという問題がある。そのため、通常有機溶剤で希釈、低粘度化して用いられる。また、一般にポリウレタン樹脂塗料は、有機溶剤や水で希釈して使用するため、低粘度化するように希釈したものの方が取り扱い性で有利という利点がある。
しかし、大気汚染に対する環境保全や省資源の観点から、有機溶剤使用量の削減が急務となっている。
そこで近年、原料である主剤及び硬化剤中に有機溶剤を使用しない、完全無溶剤ポリウレタン樹脂が注目されている。それに伴い、無溶剤で使用することが可能なブロックポリイソシアネート組成物が知られている。例えば、特許文献1においては、特定の構造を有するイソシアヌレートをブロック化したブロック化ポリイソシアネートが提案されている。加温時に大きな粘度の低下を示すことから、取り扱いが容易であり、またNCO基含有率が高いため、これを用いた樹脂組成物は高い耐久性能を有していることが記載されている。
特開2014−19752号公報
しかしながら、特許文献1記載のブロックポリイソシアネート組成物は、加温時に大きな粘度の低下を示すが、依然として粘度が高く、用途によっては取り扱いが困難である。また、1分子中のイソシアネート基含有率が高く、イソシアネート基の平均官能基数が高いため、硬化性が高く、硬化物とした際に伸度を求められる用途では十分な性能を得ることができないという問題がある。また構造上、基材との密着性が十分でない場合がある。
これらのことから、実質的に有機溶剤を含まないブロックポリイソシアネート組成物を硬化剤として使用した場合、粘度及び伸度のより一層の改良が必要とされている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、硬化物としたときの伸度及び基材との密着性に優れるブロックポリイソシアネート組成物、並びに前記ブロックポリイソシアネート組成物を用いた硬化性組成物及び硬化物を提供する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1) 脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネート化合物、並びに、炭素数3以上10以下のアルコールから誘導されるポリイソシアネートと、熱解離性ブロック剤と、から誘導されるブロックポリイソシアネートを含み、有機溶剤を実質的に含まないブロックポリイソシアネート組成物であって、
前記ポリイソシアネート中のイソシアネート基の平均官能基数が1.8以上2.5以下であり、
前記ブロックポリイソシアネート組成物の60℃における粘度が400mPa・s以上10000mPa・s以下である、ブロックポリイソシアネート組成物。
(2) 前記熱解離性ブロック剤が、オキシム系化合物、酸アミド系化合物、アミン系化合物、活性メチレン系化合物、及びピラゾール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、(1)に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
(3) 前記脂肪族ジイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネートを含む、(1)又は(2)に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
(4) (1)〜(3)のいずれか一つに記載のブロックポリイソシアネート組成物と、活性水素化合物と、を含有する、硬化性組成物。
(5) 前記活性水素化合物が、ポリオール化合物を含む、(4)に記載の硬化性組成物。
(6) (4)又は(5)に記載の硬化性組成物を硬化させてなる、硬化物。
上記態様のブロックポリイソシアネート組成物によれば、硬化物としたときの伸度及び基材との密着性に優れるブロックポリイソシアネート組成物を提供することができる。上記態様の硬化性組成物は、前記ブロックポリイソシアネート組成物を含み、硬化物としたときの伸度及び基材との密着性に優れる。上記態様の硬化物は、前記硬化性組成物を硬化させてなり、伸度及び基材との密着性に優れる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」ともいう。)について、詳細に説明する。本実施形態はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。以下、本発明の好ましい形態について詳細に述べる。
≪ブロックポリイソシアネート組成物≫
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートと、熱解離性ブロック剤と、から誘導されるブロックポリイソシアネートを含み、有機溶剤を実質的に含まない。前記ポリイソシアネートは、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネート化合物、並びに、炭素数3以上10以下のアルコールから誘導される。
前記ポリイソシアネート中のイソシアネート基の平均官能基数が1.8以上2.5以下である。
前記ブロックポリイソシアネート組成物の60℃における粘度が400mPa・s以上10000mPa・s以下である。
<イソシアネート基の平均官能基数>
ポリイソシアネート中のイソシアネート基の平均官能基数(fn)は1.8以上2.5以下であり、1.9以上2.4以下が好ましく、2.0以上2.4以下がより好ましい。イソシアネート基の平均官能基数(fn)が上記下限値以上であることで、ブロックポリイソシアネート組成物の硬化性が優れる傾向にあり、上記上限値以下であることで、ブロックポリイソシアネート組成物が主剤と反応した際の架橋密度が密になりすぎず、得られる硬化物に弾性を与えることができ、伸度に優れる。そのため、得られる硬化物が脆くならずに基材との密着性に優れる傾向にある。
イソシアネート基の平均官能基数(fn)は、以下の式を用いて算出することができる。以下の式において、「Mn」はポリイソシアネートの数平均分子量を示し、「NCO%」はポリイソシアネートのイソシアネート基含有率を示す。ポリイソシアネートのMn及びNCO%について、好ましい範囲及び測定方法について、後述する。
[fn] = [Mn]×[NCO%]/4200
イソシアネート基の平均官能基数(fn)を上記範囲内に制御する方法としては、例えば、(i)炭素数3以上10以下のアルキレンジオールとジイソシアネート化合物とから誘導されるウレタン基を有するポリイソシアネート(以下、「ウレタンプレポリマー」と称する場合がある)を用いてブロックポリイソシアネート組成物を製造する方法;(ii)炭素数3以上10以下の脂肪族アルコールとジイソシアネート化合物とから誘導されるイソシアヌレート基及びアロファネート基を有するポリイソシアネート混合物を用いてブロックポリイソシアネート組成物を製造する方法等が挙げられる。
<60℃における粘度>
ブロックポリイソシアネート組成物の60℃における粘度は、400mPa・s以上10000mPa・s以下であり、500mPa・s以上9,000mPa・s以下が好ましく、550mPa・s以上8,000mPa・s以下がより好ましい。
60℃における粘度は、E型粘度計を用いて60℃下で行なうことができる。また、ローターは粘度に応じて選択することができる。60℃における粘度は、具体的には、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
ブロックポリイソシアネート組成物の60℃における粘度を上記範囲内に制御する方法としては、例えば、使用するポリイソシアネートの粘度を制御する方法等が挙げられる。或いは、例えば、熱解離性ブロック剤の種類を選択する方法、より具体的には、鎖状構造からなる熱解離性ブロック剤を選択する方法等が挙げられる。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、上記構成を有することで、硬化物としたときの伸度及び基材との密着性に優れたものとすることができる。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物の構成成分について、以下に詳細を説明する。
<ブロックポリイソシアネート>
ブロックポリイソシアネートは、ポリイソシアネートと熱解離性ブロック剤との反応物である。すなわち、ブロックポリイソシアネートは、ポリイソシアネート中の少なくとも一部のイソシアネート基が熱解離性ブロック剤で封止されている。中でも、本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物に含まれるブロックポリイソシアネートは、ポリイソシアネート中の全てのイソシアネート基が熱解離性ブロック剤で封止されていることが好ましい。ポリイソシアネート中の全てのイソシアネート基が熱解離性ブロック剤で封止されていることは、例えば、フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)にて、イソシアネートに起因する吸収の消失により確認することができる。
ブロックポリイソシアネートは、アロファネート基、ウレトジオン基、イミノオキサジアジンジオン基、イソシアヌレート基、ウレタン基及びビウレット基からなる群より選ばれる1種以上の官能基を有することができる。中でも、ポリイソシアネートのイソシアネート基の平均官能基数(fn)を1.8以上2.5以下に制御する観点から、ウレタン基、イソシアヌレート基、又はアロファネート基を有することが好ましい。
なお、本明細書において、「ウレタン基」とは、1つのイソシアネート基と1つの水酸基とを反応させてなる官能基である。
「イソシアヌレート基」とは、3つのイソシアネート基を環化三量化してなる官能基である。
「アロファネート基」とは、2つのイソシアネート基と1つの水酸基とを反応させてなる官能基である。
[ポリイソシアネート]
ポリイソシアネートは、ジイソシアネート化合物と炭素数3以上10以下のアルコールとの反応物である。
(ジイソシアネート化合物)
ポリイソシアネートの製造に用いられるジイソシアネート化合物としては、その構造の中にベンゼン環を含まないものであり、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選択される少なくとも1種である。脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートは、いずれか1種を使用してもよく、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートを組み合わせて用いてもよい。
脂肪族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、具体的には、炭素数4以上30以下のものが好ましく、例えば、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、ペンタメチレン−1,5−ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」と略記する場合がある)、2,2,4−トリメチル−ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。中でも、耐候性、工業的入手の容易さから、HDIが好ましい。脂肪族ジイソシアネートは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
脂環族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、具体的には、炭素数8以上30以下のものが好ましく、例えば、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と略記する場合がある)、1,3−ビス(イソシアネートメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。脂環族ジイソシアネートは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(炭素数3以上10以下のアルコール)
炭素数3以上10以下のアルコールとしては、特に限定されないが、具体的には、炭素数3以上10以下のアルキレンジオール、又は炭素数3以上10以下の脂肪族モノアルコールが好ましい。
炭素数3以上10以下のアルキレンジオールは、その骨格は飽和炭化水素基であるが、骨格中にエーテル結合及びエステル結合からなる群より選ばれる少なくともの結合を含んでいてもよい。このようなアルキレンジオールとしては、例えば、1,2−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、2,3―ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、2,3−ペンタンジオール、3−メチル−1,2−ブタンジオール、2−メチル−2,3ブタンジオール、2,3−ジメチル−2,3−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ブタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、ヘキサメチルトリメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2−ジメチル−1,3−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1、3−ペンタンジオール、3−メチル−2,5−ペンタンジオール、1,4−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2,5-ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、ジプロピレングリコール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオールモノヒドロキシビバレート等が挙げられる。中でも、分岐鎖状であるアルキレンジオールが好ましく、1,3−ブタンジオール又はネオペンチルグリコールが特に好ましい。分岐鎖状であるアルキレンジオールを用いることで、反応生成物であるポリイソシアネートが固体となること防ぎ、得られるポリイソシアネートの粘度が上昇することをより効果的に抑制することができる。
これらアルキレンジオールは1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
このようなアルキレンジオールと、上記ジイソシアネート化合物とから誘導されるポリイソシアネートは、ウレタン基を有するポリイソシアネート(ウレタンプレポリマー)である。当該ウレタンプレポリマーを用いることで、本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネートのイソシアネート基の平均官能基数(fn)を1.8以上2.5以下に制御することができる。
炭素数3以上10以下の脂肪族モノアルコールとしては、特に限定されないが、具体的には、炭素数4以上8以下の脂肪族モノアルコールが好ましく、例えば、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチルプロピルアルコール(イソブタノール)、tert−ブチルアルコール、1−ペンタール、1−ヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール等が挙げられる。炭素数が上記範囲内の脂肪族モノアルコールを用いることで、得られるポリイソシアネート混合物の粘度の上昇をより効果的に抑制することができる。
このような脂肪族モノアルコールと、上記ジイソシアネート化合物とから誘導されるポリイソシアネートは、分子内にイソシアヌレート基及びアロファネート基を含有するポリイソシアネート、若しくは、イソシアヌレート基を含有するポリイソシアネート及びアロファネート基を含有するポリイソシアネートの混合物、又はこれらの混合物である。
[ポリイソシアネートの製造方法]
ポリイソシアネートの製造方法としては、上述したように、イソシアネート基の平均官能基数(fn)を1.8以上2.5以下に制御する観点から、例えば、(i)炭素数3以上10以下のアルキレンジオールとジイソシアネート化合物とを用いてウレタン基を有するポリイソシアネート(以下、「ウレタンプレポリマー」と称する場合がある)を製造する方法(以下、「製法(i)」と略記する場合がある);(ii)炭素数3以上10以下の脂肪族アルコールとジイソシアネート化合物とを用いてイソシアヌレート基及びアロファネート基を有するポリイソシアネート混合物を製造する方法(以下、「製法(ii)」と略記する場合がある)等が挙げられる。
(製法(i))
製法(i)における反応温度は通常160℃以下であり、60℃以上160℃以下が好ましい。反応時間は、通常4時間以内で行われる。
反応に際し、イソシアネート基に不活性な任意の溶媒を用いてもよく、或いは、必要であればイソシアネート基と水酸基の反応促進のための触媒を用いることもできる。
製法(i)において、反応に際してのジイソシアネート化合物と炭素数3以上10以下のアルキレンジオールのモル比が重要であり、水酸基に対するイソシアネート基のモル比(NCO/OH)で4以上が好ましく、6以上25以下がより好ましい。NCO/OHが上記下限値以上であることで、ジイソシアネート化合物と炭素数3以上10以下のアルキレンジオール間で逐次付加重合が起こり、高分子体が生成することを効果的に抑制することができ、その結果として得られるウレタンプレポリマーの粘度の上昇を効果的に抑制することができる。
また、炭素数3以上10以下のアルキレンジオールを用いてポリイソシアネートを製造する場合に、数平均分子量100以上4000以下のポリエチレングリコール及び両末端をエチレンオキサイド等で1級水酸基化したポリプロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1種のポリオール化合物を反応中に用いてもよい。
反応終了後、反応混合物中の余剰のジイソシアネート化合物及び溶媒等を、例えば、流加式薄膜蒸発装置、溶剤抽出法等を用いて回収する。
(製法(ii))
製法(ii)におけるウレタン化反応の温度は、40℃以上200℃以下の範囲から適宜選択することができる。ウレタン化反応の反応温度が上記下限値以上であることで、反応速度が遅くなり、反応に多大な時間を費やすことをより効果的に抑制することができる。反応温度が上記上限値以下であることで、着色や副反応が起こることをより効果的に抑制することができる。
製法(ii)における反応において、イソシアヌレート化触媒や、アロファネート化触媒を用いてもよい。
イソシアヌレート化触媒とは、3分子のHDIからイソシアヌレートを優先的に生成させるものをいい、具体的には、テトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド及び有機弱酸塩、ヒドロキシアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド及び有機弱酸塩、アルキルカルボン酸のアルカリ金属塩、金属アルコラート、アミノシリル基含有化合物、マンニッヒ塩基類、第3級アミン類とエポキシ化合物との併用、燐系化合物等が挙げられる。
テトラアルキルアンモニウムとしては、例えば、テトラメチルアンモニウム、モノエチルトリメチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等が挙げられる。
有機弱酸としては、例えば、酢酸、カプリン酸等が挙げられる。
ヒドロキシアルキルアンモニウムとしては、例えば、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等が挙げられる。
アルキルカルボン酸としては、例えば、酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等が挙げられる。
アルカリ金属塩を構成する金属としては、例えば、錫、亜鉛、鉛等が挙げられる。
金属アルコラートとしては、例えば、ナトリウムアルコラート、カリウムアルコラート等が挙げられる。
アミノシリル基含有化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。
燐系化合物としては、例えば、トリブチルホスフィン等が挙げられる。
イソシアヌレート化触媒の添加量は、ジイソシアネート化合物の質量に対して、通常0.0005質量%以上1質量%以下であり、0.001質量%以上0.05質量%以下が好ましい。イソシアヌレート化触媒の添加量が上記下限値以上であることで、反応をより効率良く進行することができる。一方、上記上限値以下であることで、反応の制御をより簡便に行うことができる。
イソシアヌレート化の反応温度は通常40℃以上160℃以下で行うことができる。反応温度が上記下限値以上であることで、反応速度が遅くなり、触媒の添加量が多くなることをより効果的に抑制することができる。反応温度が上記上限値以下であることで、着色や副反応が起こることをより効果的に抑制することができる。
アロファネート化触媒としては、以下に限定されないが、例えば、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、ジルコニウム、ジルコニル等のアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
錫のアルキルカルボン酸塩(有機錫化合物)としては、例えば、2−エチルヘキサン酸錫、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
鉛のアルキルカルボン酸塩(有機鉛化合物)としては、例えば、2−エチルヘキサン酸鉛等が挙げられる。
亜鉛のアルキルカルボン酸塩(有機亜鉛化合物)としては、例えば、2−エチルヘキサン酸亜鉛等が挙げられる。
ビスマスのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2−エチルヘキサン酸ビスマス等が挙げられる。
ジルコニウムのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2−エチルヘキサン酸ジルコニウム等が挙げられる。
ジルコニルのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2−エチルヘキサン酸ジルコニル等が挙げられる。これら触媒は、1種を単独又は2種以上を併用することができる。
また、上記イソシアヌレート化反応触媒もアロファネート化反応触媒となり得る。上記イソシアヌレート化反応触媒を用いて、アロファネート化反応を行なう場合は、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートも当然のことながら生成する。
中でも、アロファネート化反応触媒として、上記イソシアヌレート化反応触媒を用いて、アロファネート化反応とイソシアヌレート化反応とを行うことが経済的生産上、好ましい。
アロファネート化反応触媒の使用量の上限値は、仕込んだジイソシアネート化合物の質量に対して、10000質量ppmが好ましく、1000質量ppmがより好ましく、500質量ppmがさらに好ましい。一方、アロファネート化反応触媒の使用量の下限値は、特別な限定はないが、例えば、10質量ppmとすることができる。
反応の転化率は、ポリイソシアネート混合物の目的に応じて決定できるが、通常、15質量%以上60質量%以下とすることができる。転化率が上記下限値以上であることで、より経済的にポリイソシアネート混合物が得られる。一方、上記上限値以下であることで、ポリイソシアネート混合物の粘度の上昇をより効果的に抑制することができる。なお、転化率は以下の式より求めることができる。
[転化率] = [ポリイソシアネート混合物の質量]/[仕込んだ原料の質量]×100
反応の進行は、反応液のイソシアネート基含有率の測定、赤外分光測定、屈折率測定等で追跡することができる。反応が目的の転化率に達した後、例えば塩酸、硫酸、硫酸エステル、リン酸、リン酸エステル等の触媒毒を添加し、反応を停止する。
反応系には、溶剤を用いてもよく、用いなくてもよい。ただし、溶剤を用いる際は、イソシアネート基に対し反応活性を持たない溶剤を選択することができる。溶剤としては、例えば、芳香族炭化水素類、エステル類、低極性有機溶剤等が挙げられる。芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等が挙げられる。エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。低極性有機溶剤としては、例えば、ミネラルスピリット、テレビン油等が挙げられる。
反応停止後、必要であれば失活触媒を濾過により除去した後、未反応のジイソシアネート化合物及び溶剤を除去してポリイソシアネート混合物を得る。このジイソシアネート化合物及び溶剤の除去は、例えば薄膜蒸発法や溶剤抽出法により行われる。なお、使用する
ジイソシアネート化合物には、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を加えてもよい。
[ポリイソシアネートの物性]
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物の製造に用いられるポリイソシアネートの物性は以下のとおりである。
(粘度)
ポリイソシアネートの25℃における粘度は、実質的に有機溶剤やジイソシアネート化合物を含んでいない状態で、80mPa・s以上2500mPa・s以下が好ましく、100mPa・s以上2000mPa・s以下がより好ましい。25℃における粘度は、E型粘度計で25℃下にて標準ローター(1°34’×R24)を用いて測定することができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
(数平均分子量)
ポリイソシアネートの数平均分子量(Mn)は、特別に限定されないが、400以上25000以下が好ましく、450以上1500以下がより好ましく、470以上1000以下がさらに好ましい。数平均分子量が上記範囲内であることで、ポリイソシアネートのイソシアネート基の平均官能基数を1.8以上2.5以下の範囲内とすることができる。
数平均分子量は、例えば、GPCを用いて測定することができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
(イソシアネート基含有率)
ポリイソシアネートのイソシアネート基含有率(NCO含有率)は、実質的に溶剤やジイソシアネートを含んでいない状態で、5質量%以上25質量%以下が好ましく、10質量%以上24質量%以下がより好ましく、15質量%以上24質量%以下がさらに好ましい。NCO含有率が上記範囲内であることで、ポリイソシアネートのイソシアネート基の平均官能基数を1.8以上2.5以下の範囲内とすることができる。NCO含有率は、例えば、ポリイソシアネートのイソシアネート基を過剰のアミン(例えば、ジブチルアミン等)と反応させ、残ったアミンを塩酸等の酸で逆滴定することによって求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
[熱解離性ブロック剤]
熱解離性ブロック剤とは、活性水素を分子内に1個有する化合物であり、加熱によりイソシアネート基から解離する性質を有する。解離に必要な温度は、ブロック剤とイソシアネート基が形成する構造によって異なるが、例えば40℃以上300℃以下である。熱解離性ブロック剤として具体的には、例えば、アルコール系化合物、アルキルフェノール系化合物、フェノール系化合物、活性メチレン系化合物、メルカプタン系化合物、酸アミド系化合物、酸イミド系化合物、イミダゾール系化合物、尿素系化合物、オキシム系化合物、アミン系化合物、イミン系化合物、ピラゾール系化合物等が挙げられる。
熱解離性ブロック剤として、より具体的には、例えば、下記に示す化合物等が挙げられる。これらのブロック剤は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
(1)アルコール系化合物:メタノール、エタノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、2−メトキシエタノール、2−エトキシエタノール、2−ブトキシエタノール。
(2)アルキルフェノール系化合物:炭素原子数4以上のアルキル基を置換基として有するモノ又はジアルキルフェノール類。例えば、n−プロピルフェノール、iso−プロピルフェノール、n−ブチルフェノール、sec−ブチルフェノール、tert−ブチルフェノール、n−ヘキシルフェノール、2−エチルヘキシルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ノニルフェノール等のモノアルキルフェノール類;ジ−n−プロピルフェノール、ジイソプロピルフェノール、イソプロピルクレゾール、ジ−n−ブチルフェノール、ジ−tert−ブチルフェノール、ジ−sec−ブチルフェノール、ジ−n−オクチルフェノール、ジ−2−エチルヘキシルフェノール、ジ−n−ノニルフェノール等のジアルキルフェノール類。
(3)フェノール系化合物:フェノール、クレゾール、エチルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル。
(4)活性メチレン系化合物:マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン。
(5)メルカプタン系化合物:ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン。
(6)酸アミド系化合物:アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム。
(7)酸イミド系化合物:コハク酸イミド、マレイン酸イミド。
(8)イミダゾール系化合物:イミダゾール、2−メチルイミダゾール。
(9)尿素系化合物:尿素、チオ尿素、エチレン尿素。
(10)オキシム系化合物:ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム。
(11)アミン系化合物:ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、イソプロピルエチルアミン。
(12)イミン系化合物:エチレンイミン、ポリエチレンイミン。
(13)ピラゾール系化合物:ピラゾール、3−メチルピラゾール、3,5−ジメチルピラゾール。
上記熱解離性ブロック剤の中でも、入手容易性や、得られるブロックポリイソシアネート組成物の粘度や硬化温度、硬化時間の点で、オキシム系化合物、酸アミド系化合物、アミン系化合物、活性メチレン系化合物、又はピラゾール系化合物が好ましく、メチルエチルケトオキシム、ε−カプロラクタム、マロン酸ジエチル、アセト酢酸エチル、又は3,5−ジメチルピラゾールがより好ましく、メチルエチルケトオキシム、又は3,5−ジメチルピラゾールがさらに好ましい。
[有機溶剤]
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、有機溶剤を実質的に含まない。「有機溶剤を実質的に含まない」とは、ブロックポリイソシアネート組成物の総質量に対する有機溶剤の含有量が0質量%以上10質量%以下であることをいう。また、ブロックポリイソシアネート組成物と主剤である活性水素化合物とを含む硬化性組成物を硬化させてなる、硬化物のボイド発生を抑制する観点から、有機溶剤の含有量は0質量%以上5質量%以下が好ましく、0質量%以上3質量%以下がより好ましく、0質量%以上1質量%以下がさらに好ましく、0質量%以上0.1質量%以下が特に好ましく、0質量%が最も好ましい。
有機溶剤としては、特に限定されないが、具体的には、脂肪族炭化水素系溶剤、脂環族炭化水素系溶剤、ケトン系溶剤、エステル系溶剤、芳香族系溶剤、グリコール系溶剤、エーテル系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤、ピロリドン系溶剤、アミド系溶剤、スルホキシド系溶剤、ラクトン系溶剤、アミン系溶剤が挙げられる。脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等が挙げられる。脂環族炭化水素系溶剤としては、例えば、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等が挙げられる。ケトン系溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等が挙げられる。エステル系溶剤としては、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。芳香族系溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、メシチレン、アニソール、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、クロロベンゼン等が挙げられる。グリコール系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。エーテル系溶剤としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。ハロゲン化炭化水素系溶剤としては、例えばジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム等が挙げられる。ピロリドン系溶剤としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。アミド系溶剤としては、例えば、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられる。スルホキシド系溶剤としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。ラクトン系溶剤としては、例えば、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。アミン系溶剤としては、例えば、モルフォリン等が挙げられる。
これら有機溶剤は1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
<ブロックポリイソシアネート組成物の製造方法>
上記で詳述した原料を用いて、本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物を製造することができる。以下、その製造方法の一例を詳述する。
ポリイソシアネートの全てのイソシアネート基をブロックする場合、ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基のモル数に対する熱解離性ブロック剤のモル数熱解離性ブロック剤のモル数の比{(熱解離性ブロック剤のモル数)/(ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基のモル数)}は、1.0以上1.5以下が好ましく、1.0以上1.3以下がより好ましく、1.0以上1.2以下がさらに好ましい。その場合、過剰又は未反応の熱解離性ブロック剤は、ブロックポリイソシアネート組成物中に残留するが、その後除去することができる。
ブロック化反応の温度は、特に限定されないが、−20℃以上150℃以下で行うことができ、反応速度や副反応の観点から、0℃以上100℃以下が好ましい。
ポリイソシアネートと熱解離性ブロック剤との反応は、無溶剤で進行するが、必要に応じて有機溶剤を用いることもできる。このような有機溶剤としては、イソシアネート基との反応性を有していない有機溶剤を使用することができ、具体的には、上記「有機溶剤」において例示されたものと同様のものが挙げられる。この有機溶剤は反応後に除去することができる。
反応に際して、触媒として用いてもよい。触媒としては、例えば、有機金属塩、3級アミン系化合物、アルカリ金属のアルコラート等が挙げられる。有機金属塩に含まれる金属としては、例えば、錫、亜鉛、鉛等が挙げられる。アルカリ金属としては、例えば、ナトリウム等が挙げられる。触媒を用いる場合の反応温度は、−20℃以上150℃以下が好ましく、0℃以上100℃以下がより好ましい。反応温度が上記下限値以上であることで、反応性をより高くすることができ、一方、上記上限値以下であることで、副反応をより効果的に抑えることができる。反応後、イソシアネート基が残存する場合は、ブロック剤等を更に添加して、完全にイソシアネート基を消失させることが好ましい。
ブロックポリイソシアネートの生成後に有機溶剤を添加する場合には、反応釜や撹拌機等を用いた公知の方法で、上述した製造方法で得られたブロックポリイソシアネート組成物に、所望の含有量となるように有機溶剤を添加し混合することができる。
有機溶剤としては、上記「有機溶剤」において例示されたものや、反応性モノマー及びオリゴマー等が挙げられる。反応性モノマー及びオリゴマーとしては具体的には、例えば、メタクリル酸誘導体、アクリル酸誘導体、エポキシ化合物、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
メタクリル酸誘導体としては、例えば、エチルメタクレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、n−ラウリルメタクリレート、n−ステアリルメタクリレート、ブトキシジエチレンメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクレート、シクロヘキシルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボニルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシブチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、グリシジルメタクリレート、2−メタクロイロキシエチルアシッドホスフェート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコール(PEG)ジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールメタクリレート、1,9−ノナンジオールメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、2−ヒドロキシエチル−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(EO)付加物ジメタクリレート、トリエチロールプロパントリメタクリレート、トリフロロエチルメタクレート等が挙げられる。
アクリル酸誘導体としては、例えば、イソアミルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクレート、エトキシ−ジエチレングリコールアクリレート、メトキシ−トリエチレグリコールアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メトキシ−ポリエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、2−アクリロイロキシエチル−コハク酸、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−アクリロイロキシエチル−フタル酸、2−アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル−フタル酸、ネオペンチルグリコール−アクリル酸−安息香酸エステル、2−アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、トリエチレングリコールジアクリレート、PEGジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、3−メチル−1,5ペンタンジオールジアクリレート、1.6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(PO)付加物ジアクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールアクリル酸付加物、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
エポキシ化合物としては、例えば、高級アルコールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールAのPO付加物ジグリシジルエーテルが挙げられる。
エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、エポキシエステルアクリル酸付加物、エポキシエステルメタクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタアクリル酸付加物が挙げられる。
≪硬化性組成物≫
本実施形態の硬化性組成物は、硬化剤成分である上記ブロックポリイソシアネート組成物と、主剤成分である活性水素化合物と、を含む。本実施形態の硬化性組成物は、加熱することによって、イソシアネート基に結合した熱解離性ブロック剤が解離して、遊離のイソシアネート基と活性水素化合物中の活性水素とが反応して結合を形成することで、硬化物が得られる。なお、活性水素化合物は、有機溶剤を実質的に含まない(活性水素化合物の総質量に対して有機溶剤の含有量が10質量%以下である)ものが好ましい。
本実施形態の硬化性組成物は、上記ブロックポリイソシアネート組成物を含むことから、硬化物としたときの伸度及び基材との密着性に優れる。
<活性水素化合物>
活性水素化合物としては、特に限定されないが、具体的には、分子内に活性水素が2つ以上結合している化合物であり、例えば、ポリオール化合物、ポリアミン化合物、ポリチオール化合物等が挙げられる。中でも、強靭性という観点から、活性水素化合物は、ポリオール化合物が好ましい。特に、活性水素化合物としてポリオールを用いる場合は、硬化性組成物をポリウレタン組成物とも言う。
[ポリオール化合物]
ポリオール化合物としては、特に限定されないが、具体的には、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリオレフィンポリオール、フッ素ポリオール、ポリカーボネートポリオール、エポキシ樹脂等が挙げられる。
ポリエステルポリオールとしては、例えば、特に限定されないが、例えば、二塩基酸の単独又は混合物と、多価アルコールの単独又は混合物との縮合反応によって得られる生成物が挙げられる。
二塩基酸としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種の二塩基酸が挙げられる。
多価アルコールとしては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、及び、グリセリンからなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコールが挙げられる。
アクリルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、水酸基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体の単独又は混合物と、これと共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体の単独又は混合物とを共重合したものが挙げられる。
水酸基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、アクリル酸ヒドロキシブチル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸ヒドロキシブチル等が挙げられる。
水酸基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体と共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体としては、特に限定されないが、例えば、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、不飽和カルボン酸、不飽和アミド、ビニル系単量体、加水分解性シリル基を有するビニル系単量体が挙げられる。
アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−n−ヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル等が挙げられる。
メタクリル酸エステルとしては、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。
不飽和アミドとしては、例えば、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−メチレンビスアクリルアミド、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、マレイン酸アミド、マレイミド等が挙げられる。
ビニル系単量体としては、例えば、メタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル等が挙げられる。
加水分解性シリル基を有するビニル系単量体としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、アルカリ金属の水酸化物、又は、強塩基性触媒を使用して、多価アルコールの単独又は混合物に、アルキレンオキサイドの単独又は混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール、ポリアミン化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール、上記ポリエーテルポリオールを媒体としてアクリルアミド等を重合して得られるいわゆるポリマーポリオールが挙げられる。
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
強塩基性触媒としては、例えば、アルコラート、アルキルアミン等が挙げられる。
多価アルコールとしては、上記ポリエステルポリオールにおいて例示されたものと同様のものが挙げられる。また、多価アルコールとしては、さらに、非糖類、糖アルコール系化合物、単糖類、二糖類、三糖類、四糖類等を用いてもよい。非糖類としては、例えば、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等が挙げられる。糖アルコール系化合物としては、例えば、エリトリトール、D−トレイトール、L−アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等が挙げられる。単糖類としては、例えば、アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等が挙げられる。二糖類としては、例えば、トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等が挙げられる。三糖類としては、例えば、ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース等が挙げられる。四糖類としては、例えば、スタキオース等が挙げられる。
アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイド等が挙げられる。
ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン類等が挙げられる。
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、末端水酸基化ポリブタジエン、末端水酸基化ポリイソプレン、及びそれらの水素添加物等が挙げられる。
フッ素ポリオールとは、分子内にフッ素を含むポリオールであり、例えば、特開昭57−34107号公報(参考文献1)及び特開昭61−275311号公報(参考文献2)で開示されているフルオロオレフィン、シクロビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、低分子カーボネート化合物、又は、該低分子カーボネート化合物と多価アルコールとを縮重合して得られるものが挙げられる。多価アルコールとしては、上記「ポリエステルポリオール」において例示されたものと同様のものが挙げられる。
低分子カーボネート化合物としては、例えば、ジアルキルカーボネート、アルキレンカーボネート、ジアリールカーボネート等が挙げられる。
ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート等が挙げられる。
アルキレンカーボネートとしては、例えば、エチレンカーボネート等が挙げられる。
ジアリールカーボネートとしては、例えば、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリコールエーテル型エポキシ樹脂、脂肪族不飽和化合物のエポキシ型樹脂、エポキシ型脂肪酸エステル、多価カルボン酸エステル型エポキシ樹脂、アミノグリシジル型エポキシ樹脂、β−メチルエピクロ型エポキシ樹脂、環状オキシラン型エポキシ樹脂、ハロゲン型エポキシ樹脂、レゾルシン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
ポリオール化合物の水酸基価は、架橋密度や硬化樹脂の機械的物性の点で、樹脂あたり5mgKOH/g以上400mgKOH/g以下が好ましく、10mgKOH/g以上300mgKOH/g以下がより好ましく、15mgKOH/g以上250mgKOH/g以下がさらに好ましい。なお、水酸基価は滴定法に基づいて求めることができる。
本実施形態の硬化性組成物において、活性水素化合物の水酸基に対するブロックされたイソシアネート基のモル当量比率([ブロックされたイソシアネート基]/[水酸基])は、通常、1/10以上10/1以下に設定されることが好ましく、1/5以上5/1以下に設定されることがより好ましく、1/2以上2/1以下に設定されることがさらに好ましい。上記好ましい数値範囲とすることにより、硬化性に優れる傾向にある。
<その他の硬化剤>
本実施形態の硬化性組成物は、上記ブロックポリイソシアネート組成物及び上記活性水素化合物に加えて、メラミン系硬化剤、エポキシ系硬化剤等の他の硬化剤を更に含むことができる。メラミン系硬化剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、完全アルキルエーテル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、一部にイミノ基を有するイミノ基型メラミン樹脂等が代表的なものとして挙げられる。
メラミン系硬化剤を併用する場合は、酸性化合物の添加が有効である。酸性化合物としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、カルボン酸、スルホン酸、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステル等が挙げられる。
カルボン酸としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、酢酸、乳酸、コハク酸、シュウ酸、マレイン酸、デカンジカルボン酸等が代表的なものとして挙げられる。スルホン酸としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等が挙げられる。酸性リン酸エステルとしては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジラウリルホスフェート、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノオクチルホスフェート等が挙げられる。亜リン酸エステルとしては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ジエチルホスファイト、ジブチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジラウリルホスファイト、モノエチルホスファイト、モノブチルホスファイト、モノオクチルホスファイト、モノラウリルホスファイト等が挙げられる。
<その他の添加剤>
本実施形態の硬化性組成物は、上記ブロックポリイソシアネート組成物及び上記活性水素化合物に加えて、目的及び用途に応じて、例えば、硬化促進触媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、顔料、レベリング剤、可塑剤、界面活性剤等の各種添加剤を更に含むことができる。
硬化促進触媒としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、スズ系化合物、亜鉛化合物、チタン化合物、コバルト化合物、ビスマス化合物、ジルコニウム化合物、アミン化合物等が挙げられる。スズ系化合物としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジメチルスズジネオデカノエート、ビス(2−エチルヘキサン酸)スズ等が挙げられる。亜鉛化合物としては、例えば、2−エチルヘキサン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛等が挙げられる。チタン化合物としては、例えば、2−エチルヘキサン酸チタン、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトナート)等が挙げられる。コバルト化合物としては、例えば、2−エチルヘキサン酸コバルト、ナフテン酸コバルト等が挙げられる。ビスマス化合物としては、例えば、2−エチルヘキサン酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等が挙げられる。ジルコニウム化合物としては、例えば、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、2−エチルヘキサン酸ジルコニル、ナフテン酸ジルコニル等が挙げられる。
酸化防止剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。
光安定剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系化合物等が挙げられる。
顔料としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、インディゴ、パールマイカ、アルミニウム等が挙げられる。
レベリング剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、シリコーンオイル等が挙げられる。
可塑剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、フタル酸エステル類、リン酸系化合物、ポリエステル系化合物等が挙げられる。
界面活性剤としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、公知のアニオン界面活性剤、公知のカチオン界面活性剤、公知の両性界面活性剤等が挙げられる。
<硬化性組成物の製造方法>
硬化性組成物の製造方法は、特に限定されず、反応釜や撹拌機等を用いた公知の方法で、上記ブロックポリイソシアネート組成物と、上記活性水素化合物とを混合して行なうことができる。
<使用用途>
本実施形態の硬化性組成物は、例えば、塗料、接着剤、粘着剤、インキ、シーリング剤、注型剤、封止剤、表面改質剤、コーティング剤等として、優れた性能を発揮する。
≪硬化物≫
本実施形態の硬化物は、上記硬化性組成物を硬化させてなる。本実施形態の硬化物は、伸度及び基材との密着性に優れる。
本実施形態の硬化物の製造方法として具体的には、上記硬化性組成物を加熱することによって、ブロックポリイソシアネート中のイソシアネート基に結合した熱解離性ブロック剤が解離して、この遊離のイソシアネート基と活性水素化合物中の活性水素とが反応して結合を形成することで、硬化物が得られる。本実施形態の硬化物は、有機溶剤を実質的に含まないブロックポリイソシアネート組成物を使用していることから、厚く成形してもボイドの発生が抑制されたものとなる。特に、活性水素化合物としてポリオールを用いた硬化性組成物を硬化させた場合には、ポリウレタン硬化物とも言う。
本実施形態の硬化物としては、例えば、塗膜等が挙げられる。塗膜は、上記硬化性組成物を基材等に塗工して硬化させることで得られる。塗工方法としては、例えば、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、静電塗装、ベル塗装等が挙げられる。
基材としては、例えば、金属(例えば、Al−Mg合金等)、木材、ガラス、石、セラミック材料、コンクリート、硬質及び可撓性プラスチック(例えば、メラミン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体等)、繊維、皮革、紙等の材料を成形してなる成形品等が挙げられる。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。実施例及び比較例で用いた、物性の測定方法、評価方法、及び原料の合成例は、以下のとおりである。
なお、以下で、物の量又は割合を示す「%」は、特に断らない限り、質量基準の値を意味するものとする。
<物性の測定方法>
[物性1]
(ポリイソシアネートのイソシアネート基含有率)
ポリイソシアネート2g以上3g以下を20mLのトルエンに溶解し、2Nジ−n−ブチルアミントルエン溶液を20mL添加して混合し、15分間放置した。イソプロパノール70mLを加え、1N塩酸により逆滴定した。この逆滴定の結果からポリイソシアネートのイソシアネート基含有率(「NCO含有率」又は「NCO%」と略記する場合がある)(質量%)を求めた。
[物性2]
(ポリイソシアネートの数平均分子量)
ポリイソシアネートの数平均分子量(Mn)は下記条件のGPCを用いて測定し、ポリスチレン基準で算出した。
(測定条件)
装置:東ソー(株)、HLC−802A
カラム:東ソー(株)、G1000HXL×1本、G2000HXL×1本、G3000HXL×1本
キャリアー:テトラヒドロフラン
検出方法:示差屈折計
[物性3]
(ポリイソシアネートのイソシアネート基の平均官能基数)
ポリイソシアネートのイソシアネート基の平均官能基数(fn)は、下記式により求めた。
[fn] = Mn×[NCO%]/4200
[物性4]
(ポリイソシアネートの粘度)
ポリイソシアネートの粘度は、E型粘度計RE−85R(株式会社トキメック社製)を用いて25℃で測定した。ローターは標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は以下のとおりである。
(回転数)
100r.p.m.(128mPa・s未満の場合)
50r.p.m.(128mPa・s以上256mPa・s未満の場合)
20r.p.m.(256mPa・s以上640mPa・s未満の場合)
10r.p.m.(640mPa・s以上1280mPa・s未満の場合)
5r.p.m.(1280mPa・s以上2560mPa・s未満の場合)
2.5r.p.m.(2560mPa・s以上5120mPa・s未満の場合)
1.0r.p.m.(5120mPa・s以上12800mPa・s未満の場合)
0.5r.p.m.(12800mPa・s以上25600mPa・s未満の場合)
[物性5]
(ブロックポリイソシアネート組成物の粘度)
ブロックポリイソシアネート組成物の粘度は、5,000mPa・s未満の場合にはE型粘度計RE85R(株式会社トキメック社製)を用いて、5,000mPa・s以上の場合にはE型粘度計RE−80U(株式会社トキメック社製)を用いて60℃で測定した。ローターは標準ローター(3°×R14)を用いた。回転数は以下のとおりである。
(回転数)
100r.p.m.(5002mPa・s未満の場合)
50r.p.m.(5002mPa・s以上10.00Pa・s未満の場合)
20r.p.m.(10.00Pa・s以上25.01Pa・s未満の場合)
10r.p.m.(25.01Pa・s以上50.02Pa・s未満の場合)
5r.p.m.(50.02Pa・s以上100.0Pa・s未満の場合)
4r.p.m.(100.0Pa・s以上125.1Pa・s未満の場合)
2.5r.p.m.(125.1Pa・s以上200.1Pa・s未満の場合)
2.0r.p.m.(200.1Pa・s以上250.1Pa・s未満の場合)
1.0r.p.m.(250.1Pa・s以上500.2Pa・s未満の場合)
0.5r.p.m.(500.2Pa・s以上1000Pa・s未満の場合)
<評価方法>
[評価1−1]
(破断伸度1)
表1に記載の各ブロックポリイソシアネート組成物と、アクリルポリオール化合物(商品名「Setalux1152」、樹脂の総質量に対する固形分量61質量%、樹脂中水酸基価138.7mgKOH/g、Allnex社製)とを、それぞれ水酸基に対するブロックされたイソシアネート基のモル当量比率([ブロックされたイソシアネート基]/[水酸基])が1.0となるように配合して、塗料組成物を調製した。次いで、得られた塗料組成物を専用塗装板(ポリプロピレン製)上にアプリケーターにて乾燥後の膜厚が50μmになるように塗工して塗膜を形成した。オーブンにて、表1に示す温度で30分間焼き付けた後、常温で1日間乾燥した。その後、塗膜を剥がし、幅1cm、長さ4cmに切り出し、膜厚測定した。その後、引張試験機(TENSILON RTE−1210)で2cm長の23℃又は40℃での破断伸度(%)を測定した。破断伸度の値が大きいほど、伸度が良好であると評価した。
[評価1−2]
(基材への密着性1)
表1に記載の各ブロックポリイソシアネート組成物と、アクリルポリオール化合物(商品名「アクリディックA801」、樹脂の総質量に対する固形分量49.5質量%、樹脂中水酸基価103mgKOH/g、DIC社製)とを、それぞれ水酸基に対するブロックされたイソシアネート基のモル当量比率([ブロックされたイソシアネート基]/[水酸基])が1.0となるように配合して、塗料組成物を調製した。次いで、得られた塗料組成物を密着性試験に使用する各基材(アルミ合金からなる基材(商品名「アルミ5052P」、日光化成社製)、メラミン樹脂からなる基材(商品名「メラミンNL−MG」、日光化成社製)、アクリロニトリル−スチレン共重合体からなる基材(商品名「AS767−3−2241」、旭化成社製))にアプリケーターで乾燥後の膜厚が約50μmになるように塗工して塗膜を形成した。オーブンにて、表1に示す温度で30分間焼き付けた後、常温で7日間乾燥した。得られた塗膜を用いて、基盤目試験(クロスカット法)を行った。具体的には、塗膜に1mm間隔で100マスの基盤目状の切込みを入れた後、セロファンテープを貼り、引き剥がした際に残存する基盤目の数を計測し、100マス中残存した基盤目の割合を算出した。下記評価基準に従い、基材への密着性を評価した。
(評価基準)
◎:100/100
〇:80/100超100/100未満
△:50/100以上80/100以下
×:50/100未満
[評価2−1]
(破断伸度2)
表2に記載のブロックポリイソシアネート組成物と、アクリルポリオール化合物(商品名「Setalux1767vv−65」、樹脂の総質量に対する固形分量65.0質量%、樹脂中水酸基価150mgKOH/g、Allnex社製)とを、それぞれ水酸基に対するブロックされたイソシアネート基のモル当量比率([ブロックされたイソシアネート基]/[水酸基])が1.0となるように配合し、ジオクチル錫触媒(商品名「ネオスタンU−810」、日東化成社製)を樹脂固形分に対して1質量%になるように配合した。さらに、表2に記載の塗料組成物の固形分になるように酢酸ブチルで希釈し、塗料組成物を調製した。次いで、得られた塗料組成物を専用塗装板(ポリプロピレン製)上にアプリケーターにて乾燥後の膜厚が40μmになるように塗工して塗膜を形成した。オーブンにて、表2に示す温度で30分間焼き付けた後、常温で7日間乾燥した。その後、塗膜を剥がし、幅1cm、長さ4cmに切り出し、膜厚測定した。その後、引張試験機(TENSILON RTE−1210、チャック間:20mm 速度:20mm/分)で2cm長の5℃又は23℃での破断伸度(%)を測定した。破断伸度の値が大きいほど、伸度に優れ、23℃における破断伸度が100%以上であるものを良好であると評価した。
[評価2−2]
(基材への密着性2)
表2に記載のブロックポリイソシアネート組成物と、アクリルポリオール化合物(商品名「Setalux1767vv−65」、樹脂の総質量に対する固形分量65.0質量%、樹脂中水酸基価150mgKOH/g、Allnex社製)とを、それぞれ水酸基に対するブロックされたイソシアネート基のモル当量比率([ブロックされたイソシアネート基]/[水酸基])が1.0となるように配合し、ジオクチル錫触媒(商品名「ネオスタンU−810」、日東化成社製)を樹脂固形分に対して1質量%になるように配合した。さらに、表2に記載の塗料組成物の固形分になるように酢酸ブチルで希釈し、塗料組成物を調製した。次いで、得られた塗料組成物を密着性試験に使用する各基材(軟鋼板(JIS、G、4305)、ブリキ板(JIS,G、3141(SPCC、SB))、SUS板(「SUS304」(JIS,G、4305)」「SUS316」(JIS、G,4305))、ポリカーボネート板(タモロンPC−1600)以上すべてテストピース社製))にアプリケーターで乾燥後の膜厚が約40μmになるように塗工して塗膜を形成した。オーブンにて、表2に示す温度で30分間焼き付けた後、常温で7日間乾燥した。得られた塗膜を用いて、基盤目試験(クロスカット法)を上記「評価1−1」と同様の方法で行った。下記評価基準に従い、基材への密着性を評価した。
(評価基準)
◎:100/100
〇:80/100超100/100未満
△:50/100以上80/100以下
×:50/100未満
[評価2−3]
(塗膜硬度)
表2に記載のブロックポリイソシアネート組成物と、アクリルポリオール化合物(商品名「Setalux1767vv−65」、樹脂の総質量に対する固形分量65.0質量%、樹脂中水酸基価150mgKOH/g、Allnex社製)とを、それぞれ水酸基に対するブロックされたイソシアネート基のモル当量比率([ブロックされたイソシアネート基]/[水酸基])が1.0となるように配合し、ジオクチル錫触媒(商品名「ネオスタンU−810」、日東化成社製)を樹脂固形分に対して1質量%になるように配合した。さらに、表2に記載の塗料組成物の固形分になるように酢酸ブチルで希釈し、塗料組成物を調製した。次いで、得られた塗料組成物を専用塗装板(ガラス製)上にアプリケーターにて乾燥後の膜厚が40μmになるように塗工して塗膜を形成した。オーブンにて、表2に示す温度で30分間焼き付けた後、常温で7日間乾燥した。その後、ケーニッヒによる振り子硬度(DIN EN ISO 1522に準拠、振幅が6°から3°に減衰するまでの回数)を測定し、評価した。ケーニッヒによる振り子硬度の値が高いほど塗膜硬度が良好であると評価した。
[評価2−4]
(硬化温度の測定)
表2に記載のブロックポリイソシアネート組成物と、アクリルポリオール化合物(商品名「Setalux1767vv−65」、樹脂の総質量に対する固形分量65.0質量%、樹脂中水酸基価150mgKOH/g、Allnex社製)とを、それぞれ水酸基に対するブロックされたイソシアネート基のモル当量比率([ブロックされたイソシアネート基]/[水酸基])が1.0となるように配合し、ジオクチル錫触媒(商品名「ネオスタンU−810」、日東化成社製)を樹脂固形分に対して1質量%になるように配合した。さらに、表2に記載の塗料組成物の固形分になるように酢酸ブチルで希釈し、塗料組成物を調製した。次いで、得られた塗料組成物を専用塗装板(ポリプロピレン製)上にアプリケーターにて乾燥後の膜厚が40μm及び30μmになるように塗工して塗膜を形成した。オーブンにて、所定の温度で30分間焼き付けた後、常温に戻して、塗膜を得た。得られた塗膜をアセトン中に23℃で24時間浸漬した後、不溶分の質量を測定した。次いで、浸漬前の塗膜質量に対する不溶分質量の比率(重量%)をゲル分率として算出した。ゲル分率が90%以上となる温度を表2に記載した。
<ポリイソシアネートの合成>
[合成例1]
(ポリイソシアネートA−1の合成)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI):2520g、及び、1,3−ブタンジオール:90gを仕込み、撹拌下反応器内温度を160℃とし、1時間保持した。その後、反応液から薄膜蒸発器を用いて0.2mmHg、160℃の条件下で未反応のHDIを除去した。得られたポリイソシアネートA−1は25℃における粘度は500mPa・s、イソシアネート基の平均官能基数は2.4、イソシアネート基含有率は19.7質量%、数平均分子量は600であった。
[合成例2]
(ポリイソシアネートA−2の合成)
合成例1と同様の装置に、HDI:2000g、ネオペンチルグリコール:60g、及び、ポリエチレングリコール400(商品名「PEG−400」、東京化成工業株式会社製):460gを仕込み、撹拌下反応器内温度を90℃とし、4時間保持した。その後合成例1と同様の方法で未反応のHDIを除去した。得られたポリイソシアネートA−2は25℃における粘度は1800mPa・s、イソシアネート基の平均官能基数は2.3、イソシアネート基含有率は15.9質量%、数平均分子量は606であった。
[合成例3]
(ポリイソシアネートA−3の合成)
合成例1と同様の装置に、HDI:561.9g及びイソブタノール:38.1gを仕込み、撹拌下、90℃で60分間ウレタン化反応を行った。温度を120℃に上げた後、アロファネート化触媒として2−エチルヘキサン酸ジルコニルを固形分換算で溶液の総質量に対して20質量%含有するミネラルスピリット溶液:0.28gを加えた。さらに60分撹拌後、リン酸を固形分換算で溶液の総質量に対して85質量%含有する水溶液:0.097gを加え反応を停止した。反応液を濾過後、合成例1と同様の方法で未反応のHDIを除去して、ポリイソシアネートA−3を得た。得られたポリイソシアネートA−3は25℃における粘度は110mPa・s、イソシアネート基の平均官能基数は2.0、イソシアネート基含有率は17.2質量%、数平均分子量は488であった。
[合成例4]
(ポリイソシアネートA−4の合成)
合成例1と同様の装置に、HDI:600g及びイソブタノール:2.5gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃とし、2時間保持した。その後、イソシアヌレート化反応触媒としてトリメチル−2−メチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドをイソブタノールで溶液の総質量に対して5質量%となるように希釈した溶液:0.5gを加え、イソシアヌレート化反応を行い、転化率が18%になった時点で燐酸を添加し反応を停止した。反応液をさらに160℃とし、1時間保持した。反応液をろ過後、合成例1と同様の方法で未反応のHDIを除去した。得られたポリイソシアネートA−4の25℃における粘度は500mPa・s、イソシアネート基の平均官能基数は3.0、イソシアネート基含有率は23.2質量%、数平均分子量は543であった。
[合成例5]
(ポリイソシアネートA−5の合成)
合成例1と同様の装置に、HDI:500gを仕込み、60℃で撹拌下、テトラメチルアンモニウムカプリエート:0.08gを加えた。60℃で反応を進行させ、4時間後反応液のイソシアネート基含有率及び屈折率測定により、ポリイソシアネートへの転化率が20%になった時点で、リン酸:0.2gを添加して反応を停止した。反応液を濾過後、合成例1と同様の方法で未反応のHDIを除去して、ポリイソシアネートA−5を得た。得られたポリイソシアネートA−5の25℃における粘度は1300mPa・s、イソシアネート基の平均官能基数は3.3、イソシアネート基含有率は23.1質量%、数平均分子量は590であった。
[合成例6]
(ポリイソシアネートA−6の合成)
合成例1と同様の装置に、HDI:1000g、ポリカプロラクトン(PCL)トリオール(商品名「ポリライトOD−X−2586、DIC株式会社製、3官能、数平均分子量850、水酸基価202mgKOH/g、代表構造式 R−[O[CO(CHO]H]])237gを仕込み、撹拌下反応器内温度を95℃とし、1時間保持した。その後、合成例1と同様の方法で未反応のHDIを除去して、ポリイソシアネートA−6を得た。得られたポリイソシアネートA−6は25℃における粘度は5400mPa・s、イソシアネート基の平均官能基数は3.3、イソシアネート基含有率は9.1質量%、数平均分子量は850であった。
<ブロックポリイソシアネート組成物の製造>
[実施例1〜3及び比較例2〜3]
(ブロックポリイソシアネート組成物BP−a1〜BP−a3及びBP−b2〜BP−b3の製造)
合成例1と同様の装置に、合成例1〜3、5又は6で合成したポリイソシアネートA−1〜A−3、A−5又はA−6を仕込んで40℃に加温し、メチルエチルケトオキシムを、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基のモル量に対し、1.05倍モル量となるように徐々に加えた。全て加えた後で、60℃に加温し、2時間撹拌した。フーリエ変換赤外分光法(FT−IR)にて、イソシアネートに起因する吸収が消失するのを確認した後、撹拌を停止し、各ブロックポリイソシアネート組成物を得た。
[実施例4及び比較例1]
(ブロックポリイソシアネート組成物BP−a4及びBP−b1の製造)
合成例1と同様の装置に、合成例3又は合成例4で合成したポリイソシアネートA−3又は4をそれぞれ仕込んで80℃に加温し、3,5−ジメチルピラゾールを、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基のモル量に対し、1.05倍モル量となるように徐々に加えた。全て加えた後で、さらに2時間撹拌した。FT−IRにて、イソシアネートに起因する吸収が消失するのを確認した後、撹拌を停止し、各ブロックポリイソシアネート組成物を得た。
実施例及び比較例で得られたブロックポリイソシアネート組成物の物性を上記記載の方法を用いて測定し、上記記載の方法を用いて、評価を行なった。結果を表1及び表2に示す。表1中、「アルミ」は、アルミ5052Pを示し、「メラミン」は、メラミンNL−MGを示し、「AS」は、AS767−3−2241を示す。表2中、「PC」は、ポリカーボネート板を示す。
Figure 2021080444
Figure 2021080444
表1から、イソシアネート基の平均官能基数が2.0以上2.4以下のポリイソシアネートを用いており、且つ、60℃での粘度が580mPa・s以上7500mPa・s以下であるブロックポリイソシアネート組成物BP−a1〜BP−a4(実施例1〜4)では、破断伸度及び基材への密着性が良好であった。
ブロックポリイソシアネート組成物BP−a1〜BP−a2(実施例1〜2)において、ポリイソシアネートの合成時に使用したアルコールの炭素数が大きいほど、破断伸度がより大きく良好になる傾向がみられた。
ブロックポリイソシアネート組成物BP−a1及びBP−a3(実施例1及び3)において、ポリイソシアネートの合成時に使用したアルコールが脂肪族モノアルコールであるブロックポリイソシアネート組成物BP−a3(実施例3)では、破断伸度がより大きく、より良好になる傾向がみられた。
一方、表1において、イソシアネート基の平均官能基数が2.5超のポリイソシアネートを用いており、且つ、60℃での粘度が10000mPa・s超であるブロックポリイソシアネート組成物BP−b1〜BP−b2(比較例1〜2)では、破断伸度及び基材への密着性がいずれも劣っていた。
また、表2から、イソシアネート基の平均官能基数が2.4のポリイソシアネートを用いており、且つ、60℃での粘度が5000mPa・sであるブロックポリイソシアネート組成物BP−a1(実施例1)では、破断伸度、基材への密着性、塗膜硬度及び硬化温度がいずれも良好であった。
一方、表2において、イソシアネート基の平均官能基数が2.5超のポリイソシアネートを用いており、且つ、60℃での粘度が10000mPa・s超であるブロックポリイソシアネート組成物BP−b1〜BP−b2(比較例1〜2)では、塗膜硬度は良好であったが、破断伸度及び基材への密着性がいずれも劣っていた。
また、炭素数10超のアルコールと、イソシアネート基の平均官能基数が2.5超のポリイソシアネートと、ブロック剤と、から誘導されたブロックポリイソシアネートを含むブロックポリイソシアネート組成物BP−b3(比較例3)では、基材への密着性は良好であったが、破断伸度及び塗膜硬度がいずれも劣っていた。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物によれば、硬化物としたときの伸度及び基材との密着性に優れるブロックポリイソシアネート組成物を提供することができる。本実施形態の硬化性組成物は、前記ブロックポリイソシアネート組成物を含み、硬化物としたときの伸度及び基材との密着性に優れる。本実施形態の硬化性組成物は、例えば、塗料、接着剤、粘着剤、インキ、シーリング剤、注型剤、封止剤、表面改質剤、コーティング剤等として、優れた性能を発揮する。

Claims (6)

  1. 脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネート化合物、並びに、炭素数3以上10以下のアルコールから誘導されるポリイソシアネートと、熱解離性ブロック剤と、から誘導されるブロックポリイソシアネートを含み、有機溶剤を実質的に含まないブロックポリイソシアネート組成物であって、
    前記ポリイソシアネート中のイソシアネート基の平均官能基数が1.8以上2.5以下であり、
    前記ブロックポリイソシアネート組成物の60℃における粘度が400mPa・s以上10000mPa・s以下である、ブロックポリイソシアネート組成物。
  2. 前記熱解離性ブロック剤が、オキシム系化合物、酸アミド系化合物、アミン系化合物、活性メチレン系化合物、及びピラゾール系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である、請求項1に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
  3. 前記脂肪族ジイソシアネートがヘキサメチレンジイソシアネートを含む、請求項1又は2に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のブロックポリイソシアネート組成物と、活性水素化合物と、を含有する、硬化性組成物。
  5. 前記活性水素化合物が、ポリオール化合物を含む、請求項4に記載の硬化性組成物。
  6. 請求項4又は5に記載の硬化性組成物を硬化させてなる、硬化物。
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