JP2021078317A - 電気接続箱 - Google Patents

Abstract

【課題】蓋体が筐体に上下嵌合及び回転嵌合可能な電気接続箱において筐体の側壁に設けられたケーブル接続部の被水を防止できる電気接続箱を提供する。
【解決手段】電気接続箱は、開口部を有する筐体１３と、筐体１３の側壁３１の外面に突設された係止突板と、開口部を覆って筐体１３に嵌合される蓋体と、蓋体から垂下されて係止突板に係合することにより蓋体を筐体１３に回転嵌合させるフックと、蓋体を側壁３１に固定するロック部と、蓋体から垂下され、側壁３１に設けられたケーブル接続部６３を覆う保護壁２３と、保護壁２３の垂下方向に沿う両側の側縁６９に形成され、それぞれが保護壁２３と平行となって同一方向に向く一対の係止片２５ａ，２５ｂと、一対の係止片２５ａ，２５ｂを受け入れる保護壁受入口７７が同一方向を向き、ロック部の係合が開始されたときに係止片２５ａ，２５ｂを受け入れる一対のスリット２７ａ，２７ｂと、を備える。
【選択図】図７

Description

本発明は、電気接続箱に関する。

車両に搭載されて電装品を収容する電気接続箱には、側壁にケーブル接続部が設けられるものがある（特許文献１）。特許文献１の電気接続箱では、ケーブル接続部が、開口窓と、この開口窓に装着されるスライドカバーと、スライドカバーに設けられるハーネス貫通孔とを有する。この他、ケーブル接続部には、入力端子部を有するものもある。
図１１に示すこの種の電気接続箱５０１は、筐体５０３の側壁５０５にケーブル接続部５０７が設けられる。ケーブル接続部５０７には、電源ケーブルの末端に取り付けられた端子を接続する入力端子部５０９が設けられる。電源ケーブルは、末端に取り付けられた端子が入力端子部５０９に固定されることにより、入力端子部５０９に導通されるバスバーを介して筐体５０３に収容される電装品に電気的に接続される。

入力端子部締結部に接続された電源ケーブルは、ケーブル接続部５０７から下方へ導出される。筐体５０３に組み付けられる蓋体５１１には、このケーブル接続部５０７と共に接続された電源ケーブルの一部分を覆う板状の保護壁５１３が垂設される。蓋体５１１が上下嵌合される電気接続箱５０１では、蓋体５１１が筐体５０３の上方からほぼ垂直に平行移動されて、開口部５１５を覆って組み付けられる。このため、ケーブル接続部５０７には、保護壁５１３の両側の側縁５１７をガイドするスリット５１９が上下に延在して設けられている。
図１２に示すように、スリット５１９は、保護壁受入口５２１が対向するように開口する。電気接続箱５０１は、スリット５１９が、上方から移動される保護壁５１３の側縁５１７を受け入れる。これにより、電気接続箱５０１は、保護壁５１３が側壁５０５から離間しないように筐体５０３へ組付けられ、ケーブル接続部５０７の被水が防止された。

特開２０１３−７４６８１号公報

しかしながら、従来の電気接続箱には、上記した上下嵌合に加え、蓋体５１１を回動して嵌合する回転嵌合も可能にしたいものがある。回転嵌合タイプの電気接続箱では、蓋体５１１の一辺を回転中心として、蓋体５１１の他辺を筐体５０３に向けて押下することにより、ロック部をロックして蓋体５１１を筐体５０３に組み付ける。この回転嵌合タイプの電気接続箱では、板状の保護壁５１３が蓋体５１１の回転とともに、回転する。このため、図１２に示した保護壁受入口５２１が対向する一対のスリット５１９では、蓋体５１１と共に円弧を描いて移動する保護壁５１３の回転軌跡が干渉する。両側の側縁５１７がガイドされる板状の保護壁５１３は、例えば、回転中心に垂直な面（図１２の紙面に垂直で且つ保護壁５１３に平行な面）に平行となった状態のまま回転される。このため、同平面上で上下に延在する平行な一対のスリット５１９の間へは、蓋体５１１は、スリット５１９に円弧状の軌跡が干渉するため、挿入が不能となる。また、保護壁５１３が干渉することから、蓋体５１１も同時に筐体５０３への嵌合が不能となる。そのため、回転嵌合される電気接続箱においても、側壁５０５から離間しないように保護壁５１３を組付けして、ケーブル接続部５０７の被水を防止したい要請がある。

本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、蓋体が筐体に上下嵌合及び回転嵌合可能な電気接続箱において筐体の側壁に設けられたケーブル接続部の被水を防止できる電気接続箱を提供することにある。

本発明に係る上記目的は、下記構成により達成される。
（１） 開口部を側壁の上端に有する筐体と、前記開口部の一辺に沿う前記側壁の外面に突設された係止突板と、前記開口部を覆って前記筐体に嵌合される蓋体と、前記蓋体から垂下されて前記係止突板に係合することにより前記蓋体を前記筐体に回転嵌合させるフックと、前記蓋体と前記筐体との間設けられ、前記蓋体を前記側壁に固定するロック部と、前記蓋体から垂下され、前記側壁に設けられたケーブル接続部を覆う保護壁と、前記保護壁の垂下方向に沿う両側の側縁に形成され、それぞれが前記保護壁と平行となって同一方向に向く一対の係止片と、前記一対の係止片を受け入れる保護壁受入口が同一方向を向き、前記ロック部の係合が開始されたときに前記係止片を受け入れる一対のスリットと、を備えることを特徴とする電気接続箱。

上記（１）の構成の電気接続箱によれば、筐体の開口部に、蓋体が上下嵌合及び回転嵌合可能に設けられる。上下嵌合は、蓋体が筐体の上方からほぼ垂直に平行移動されて、開口部を覆って組み付けられる。回転嵌合は、蓋体に設けられたフックが筐体の一辺に沿う側壁に設けられた係止突板に係合されることにより、フックを回転中心として蓋体が回動される。回動された蓋体は、開口部を覆って筐体に組み付けられる。筐体に組み付けられた蓋体は、蓋体と筐体との間に設けられたロック部により嵌合状態にロックされる。
側壁の外面には、ケーブル接続部が設けられる。蓋体には、側壁と平行となってこのケーブル接続部を外側から覆う保護壁が垂下されて設けられる。保護壁は、垂下方向に沿う両側の側縁に、保護壁と平行な係止片が形成される。従って、保護壁には、一対の係止片が設けられる。一対の係止片は、それぞれが同一方向を向いている。
ケーブル接続部が設けられた側壁には、一対の係止片を受け入れる保護壁受入口を同一方向に向けた一対のスリットが形成される。スリットの保護壁受入口は、上端と、一対の係止片のそれぞれに向かう側端とが開口する。
蓋体が上下嵌合されると、保護壁の両側における側縁の下端が、保護壁受入口の上端開口からスリットに接近する。蓋体は、保護壁の両側の側縁に設けられたそれぞれの係止片が、側壁のスリットに挿入されることにより、保護壁下端の両側が側壁に係止され、側壁からの離間が規制されて、ケーブル接続部を確実に覆うことができる。
一方、電気接続箱は、蓋体が回転嵌合される場合がある。保護壁は、例えば一方の側縁の係止片が回転中心を向く場合、他方の側縁の係止片は１８０°方向転換されて一方の側縁の係止片と同一方向を向くように形成されている。つまり、両側の側縁に形成されるそれぞれの係止片が保護壁と平行となって同一方向に向く。
ケーブル接続部が設けられた側壁には、一対の係止片を受け入れる一対のスリットが形成される。一対のスリットは、係止片を受け入れる保護壁受入口が同一方向を向く。つまり、回転嵌合時には、同一方向を向いた一対の係止片が、同一方向に向かって開口する一対の保護壁受入口のそれぞれに受け入れられるように構成されている。このスリットは、保護壁の垂下方向の下端に対応して配置される。また、一対のスリットは、蓋体が回動され、ロック部の係合が開始されたときに、係止片を受け入れる上下方向の位置に配置されている。
保護壁は、例えば蓋体の回転中心に直交する蓋体の一辺から、ケーブル接続部が設けられた側壁に沿って垂下される場合、蓋体が回転嵌合されると、回転中心に直交する仮想面と平行に回転移動する。ここで、一対の係止片は、上記のように共に回転方向に向いている。この一対の係止片を受け入れる一対のスリットは、仮想面に沿う方向で離間して配置され、保護壁の回転方向と反対方向に保護壁受入口が開口している。従って、ケーブル接続部を挟む両側で側壁に配置された一対のスリットは、保護壁の円弧状の軌跡と干渉せずに、仮想面に沿って回転移動される一対の係止片を保護壁受入口の側端開口から受け入れることができる。蓋体は、保護壁の両側に設けられたそれぞれの係止片が、側壁のスリットに挿入されることにより、保護壁の垂下方向の下端が側壁に係止され、側壁からの離間が規制されて、ケーブル接続部を確実に覆うことができる。

（２） 前記一対のスリットの保護壁受入口には、保護壁誘い込み突起が設けられ、前記保護壁誘い込み突起が、前記保護壁の進入する前記保護壁誘い込み突起の正面に設けられて前記スリットの手前側に向かってスリット幅を徐々に広げる拡幅テーパ部と、前記保護壁誘い込み突起の上面に設けられ前記スリットに向かって下り傾斜する下りテーパ部と、前記拡幅テーパ部と前記下りテーパ部と前記保護壁誘い込み突起の突起外面との交わる角部を面取りした面取りテーパ部と、を有することを特徴とする上記（１）に記載の電気接続箱。

上記（２）の構成の電気接続箱によれば、スリットの保護壁受入口に設けられる保護壁誘い込み突起は、スリットを挟んで側壁の反対側に設けられる。保護壁誘い込み突起には、拡幅テーパ部と、下りテーパ部と、面取りテーパ部とが形成される。
拡幅テーパ部は、保護壁が進入する保護壁誘い込み突起の正面に設けられて、スリットの手前側に向かってスリット幅を徐々に広げる。即ち、拡幅テーパ部は、スリットに向かって徐々に狭くなるテーパ面に係止片を摺接させて、スリットへ導く。拡幅テーパ部は、蓋体が回転嵌合される際の保護壁の係止片をスリットへ円滑に案内することができる。
下りテーパ部は、保護壁誘い込み突起の上面に設けられる。下りテーパ部は、側壁と保護壁誘い込み突起との間に開口するスリットの上端開口に向かって下り傾斜する。下りテーパ部は、蓋体が上下嵌合される際の保護壁の係止片をスリットへ円滑に案内する。
面取りテーパ部は、拡幅テーパ部と、下りテーパ部と、保護壁誘い込み突起の突起外面との交わる角部を面取りして形成される。面取りテーパ部は、一対の保護壁誘い込み突起のそれぞれに形成される。蓋体が嵌合される際、保護壁の両側における側縁の下端が、保護壁受入口の上端開口からスリットに接近する。この際、保護壁は、垂下方向の下端がスリットに対して側壁から離れる方向に傾く場合がある。面取りテーパ部は、このように蓋体が傾いて嵌合される際の保護壁の係止片をスリットへ円滑に案内することができる。

（３） 前記一対の係止片のうち少なくとも一方の係止片が、この一方の係止片に沿って延在しこの一方の係止片の一部を延在方向の筒側壁として共有する筒部を有することを特徴とする上記（１）または（２）の電気接続箱。

上記（３）の構成の電気接続箱によれば、一対の係止片のうち少なくとも一方の係止片に形成された筒部は、少なくとも一方の係止片を筒側壁として利用し、少なくとも一方の係止片と一体に形成されている。保護壁は、側縁に沿って筒部が設けられることにより、高い平面度で形状を維持することが可能となる。これにより、電気接続箱は、保護壁の係止片をスリットへ安定して挿入できるとともに、スリットに係止された保護壁のスリットからの容易な離脱が抑制される。

本発明に係る電気接続箱によれば、蓋体が筐体に上下嵌合及び回転嵌合可能な電気接続箱において筐体の側壁に設けられたケーブル接続部の被水を防止できる。

以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態（以下、「実施形態」という。）を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。

本発明の一実施形態に係る電気接続箱の外観を表す斜視図である。 図１に示した電気接続箱の平面図である。 蓋体の回動基端部を表す一部分を切り欠いた要部斜視図である。 ケーブル接続部の斜視図である。 保護壁を裏側から見た蓋体の要部斜視図である。 保護壁を下側から見た蓋体の要部下面図である。 図１に示した電気接続箱のケーブル接続部近傍の平断面図である。 スリットの要部拡大斜視図である。 図１に示した電気接続箱の上下嵌合過程を表す側面図である。 図１に示した電気接続箱の回転嵌合過程を表す側面図である。 従来の電気接続箱の上下嵌合過程を表す要部分解斜視図である。 図１１に示した電気接続箱のケーブル接続部近傍の水平断面図である。

以下、本発明に係る実施形態を、図面を参照して説明する。
図１は、本発明の一実施形態に係る電気接続箱１１の外観を表す斜視図である。
本実施形態に係る電気接続箱１１は、例えば、車両に搭載され、図示しない車両の電源（二次電池）と電子機器との間に介在し、その電源から電子機器への供給電力を調整する。この電気接続箱１１は、リレーボックス、ヒューズボックス、ジャンクションボックス等と称される場合もある。

本実施形態に係る電気接続箱１１は、筐体１３と、筐体１３における側壁３１の外面に突設された係止突板１５と、蓋体１７と、蓋体１７の垂下壁５３に形成されたフック１９と、蓋体１７と筐体１３との間に設けられたロック部２１と、蓋体１７から垂下されて側壁３１に設けられた保護壁２３と、保護壁２３の垂下方向に沿う両側の側縁に形成された一対の係止片２５ａ，２５ｂと、側壁３１に設けられた一対のスリット２７ａ，２７ｂとを主要な構成として有する。

筐体１３は、周囲が側壁３１（フレームとも称される）により包囲された箱形状で形成され、下部にアンダーカバー２９が装着される構成である。筐体１３は、全周囲の側壁３１の上端により包囲される多角形状の開口部３３（図２及び図３参照）を有する。側壁３１の上端は、蓋体１７に装着されたパッキン３５（図３参照）が当接するパッキン当接端面３７となる。筐体１３及びアンダーカバー２９は、絶縁性樹脂により形成される。

筐体１３は、複数の電子部品（図示略）を収容する。筐体１３に収容される電子部品とは、例えば、リレー、ヒューズ、或いはヒュージブルリンク等のことである。電子部品は、筐体１３の内方に配置されたリレー本体やヒューズ本体等の電子部品本体（図示略）と、その電子部品本体に対して電気的に接続された電気接続部としての複数の端子（図示略）と、を備える。これら電子部品の端子には、電線（図示略）が電気的に接続されている。本明細書においては、これら電子部品、端子及び電線等は電装品３９（図１０）と総称する。

電子部品の端子に一方の端部が接続された電線は、他方の端部が電源（二次電池）や電子機器に対して接続される。この電線は、筐体１３に形成される筒状の電線挿通部４１から筐体１３の外部へ導出される。筐体１３から引き出された複数本の電線は、粘着テープやコルゲートチューブ等の外装材で一纏めに束ねられる。

筐体１３は、側壁３１から垂直に張り出す複数（本実施形態では２つ）の固定ブラケット４３を有する。固定ブラケット４３にはボルト挿通穴４５が穿設される。電気接続箱１１は、このボルト挿通穴４５に挿通されたボルトが、ボディパネルに締結され、例えばエンジンルームの所定の位置に固定される。

図２は、図１に示した電気接続箱１１の平面図である。
ここで、筐体１３の開口部３３及び蓋体１７は、平面視においてほぼ相似形となる。本実施形態において、この多角形は、矩形状の１つの角部を四角形で切り欠いて凹所とし、これにより新たに形成された角部を面取りして斜辺とした７角形で形成される。この多角形は、７つの辺のうち１つは斜辺となり、他は隣接辺に直角に接続されている。また、この多角形は、７つのうち１つの角部が入隅となり、他の角部は出隅となる。なお、この多角形は一例であり、本実施形態に係る電気接続箱１１の形状はこれに限定されない。

図３は、蓋体１７の回動基端部４７を表す一部分を切り欠いた要部斜視図である。
係止突板１５は、開口部３３の一辺４９（図２参照）に沿う側壁３１の外面に突設される。本実施形態において、係止突板１５は、一辺４９に沿う方向に離間して２つが配置される。係止突板１５は、一辺４９に沿う方向が長い矩形状で形成される。係止突板１５は、突出先端に向かって下り傾斜となる先端傾斜面５１が上面に形成されている。この先端傾斜面５１は、蓋体１７を上下嵌合して筐体１３に取り付ける際の案内面となる。係止突板１５は、先端傾斜面５１と反対側の下面が、側壁３１に垂直で平坦な係止面（図示略）となる。係止突板１５は、この係止面に、蓋体１７のフック１９が引っ掛けられる（係止される）。

蓋体１７は、側壁３１の外側に被せられる垂下壁５３を有する。垂下壁５３は、蓋体１７の全周囲に形成される。蓋体１７は、開口部３３の一辺４９に沿う垂下壁５３に、係止突板１５と係合する枠状のフック１９が形成される。フック１９は、四角枠形状の内穴５５に、係止突板１５を挿入して引っ掛けられる。内穴５５の上方には、垂下壁５３の下端を削って、垂下壁５３と係止突板１５との干渉を回避するための干渉回避凹部（図示略）が形成される。係止突板１５にフック１９が引っ掛けられることにより筐体１３に係合した蓋体１７は、開口部３３の一辺４９から上方へ離間する方向、及び係止突板１５の突出方向と反対方向の移動が規制される。

蓋体１７は、回転嵌合される際、係止突板１５に係合したフック１９を回転中心に回動される。回動された蓋体１７は、開口部３３を覆って筐体１３に回転嵌合される。蓋体１７は、開口部３３の一辺４９に沿う蓋体１７の一辺１８が回動基端部４７となり、一辺１８と反対側の他辺１６が回動先端部５７となる。蓋体１７は、回転嵌合による組付け作業時に、回動先端部５７が作業者により筐体１３に接近する方向へ押下される。

蓋体１７は、回転嵌合と上下嵌合のいずれの場合においても、係止突板１５及びフック１９と、蓋体１７と筐体１３との間に設けられた複数のロック部２１とにより筐体１３に固定される。

図２に示すように、一対のロック部２１は、蓋体１７の回動先端部５７を挟む二箇所で蓋体１７と筐体１３との間に設けられる。ロック部２１は、筐体１３に設けられる筐体側ロック５９と、蓋体１７に設けられる蓋体側ロック６１とからなる。

筐体側ロック５９は、側壁３１との間にロック間隙を有したロック壁５９ａが設けられる。ロック壁５９ａには、ロック間隙に突出するロック爪（図示略）が形成される。
蓋体側ロック６１は、ロック間隙に挿入されるロック板（図示略）を有する。ロック板には、ロック爪が係止するロック孔（図示略）が形成される。

従って、それぞれのロック部２１は、蓋体１７が押下されると、蓋体側ロック６１のロック板が、筐体側ロック５９のロック間隙に挿入される。更に蓋体１７が押下されると、ロック板のロック孔が、ロック壁５９ａのロック爪に係止され、蓋体側ロック６１の筐体側ロック５９からの離間が規制される。これにより、蓋体１７は、一対のフック１９と、一対のロック部２１とにより筐体１３に固定される。

図４は、ケーブル接続部６３の斜視図である。
ケーブル接続部６３は、筐体１３の側壁３１に設けられる。ケーブル接続部６３には、電源ケーブル（図示略）が接続される入力端子部６５が設けられる。入力端子部６５の下方には、ハーネス導出空間６７が形成される。入力端子部６５は、筐体１３にインサート成形等により設けられるバスバーを介して、筐体１３に収容される電装品３９に電気的に接続される。入力端子部６５には、電源ケーブルの端末に取り付けられた端子がボルト（図示略）により締結されて導通接続される。ケーブル接続部６３は、蓋体１７に形成されて側壁３１と平行に垂下する保護壁２３により上部の入力端子部６５と側部のハーネス導出空間６７とが覆われる。保護壁２３により覆われたケーブル接続部６３は、保護壁２３の下方から電源ケーブルを導出する。

図５は、保護壁２３を裏側から見た蓋体１７の要部斜視図である。
一対の係止片２５ａ，２５ｂは、保護壁２３の垂下方向に沿う両側の側縁６９に形成される。一対の係止片２５ａ，２５ｂは、それぞれが保護壁２３と平行となって同一方向を向いている。

一対の係止片２５ａ，２５ｂのうち少なくとも一方の係止片２５ｂには、筒部７１が形成される。筒部７１は、一方の係止片２５ｂに沿って延在し、この一方の係止片２５ｂの一部を延在方向の筒側壁７３として共有する。保護壁２３の内側には、保護壁２３の垂下方向に沿う補強リブ７５が、保護壁２３の幅方向に離間して複数形成される。これら筒部７１及び補強リブ７５は、側壁３１から離間する方向の保護壁２３の変形を抑制する。

図６は、保護壁２３を下側から見た蓋体１７の要部下面図である。
一対の係止片２５ａ，２５ｂは、双方が蓋体１７の回転中心に向かう方向（図６の左方向）に向かって突出する。図６の左側の係止片２５ａは、保護壁２３の側縁６９からクランク状に曲げられて突出する。図６の右側の係止片２５ｂは、保護壁２３の側縁６９から１８０°方向転換されて左側の係止片２５ａと同一方向を向くように形成されている。なお、図６の右側の係止片２５ｂは、図６の左側の係止片２５ａよりも側壁３１に近い位置に形成される。

図４に示すように、一対のスリット２７ａ，２７ｂには、一対の係止片２５ａ，２５ｂを受け入れる保護壁受入口７７が、同一方向を向いてそれぞれ形成される。本実施形態では、一対の係止片２５ａ，２５ｂが回転中心に向かって突出するので、一対の保護壁受入口７７は回転中心と反対側に開口する。それぞれのスリット２７ａ，２７ｂは、側壁３１から垂直に突出するスリット底板７９の上に、Ｌ字壁８１が起立して形成される。スリット底板７９にＬ字壁８１が起立することにより、スリット２７ａ，２７ｂは、上端開口８３と側端開口８５とを有している（図８参照）。

これらスリット２７ａ，２７ｂは、保護壁２３の下端近傍に配置される。スリット底板７９は、保護壁２３の下端近傍に配置されることにより、ロック部２１の係合が開始されたときに、係止片２５ａ，２５ｂを受け入れるように働く。

図７は、図１に示した電気接続箱１１のケーブル接続部６３近傍の平断面図である。
筐体１３の側壁３１には、ケーブル接続部６３を構成するナットホルダ８７が組み付けられる。ナットホルダ８７の上端には、入力端子部６５が設けられている。保護壁２３は、一対の係止片２５ａ，２５ｂのそれぞれが、側壁３１に形成された一対のスリット２７ａ，２７ｂに係合することにより、側壁３１から離間する方向の移動が規制されて、ケーブル接続部６３を覆う。

図８は、スリット２７ｂの要部拡大斜視図である。
一対のスリット２７ａ，２７ｂの保護壁受入口７７には、保護壁誘い込み突起８９がそれぞれ設けられる。保護壁誘い込み突起８９は、拡幅テーパ部９１と、下りテーパ部９３と、面取りテーパ部９５とを有する。

拡幅テーパ部９１は、保護壁２３が進入する保護壁誘い込み突起８９の正面に設けられ、スリット２７ａ，２７ｂの手前側に向かってスリット幅を徐々に広げてそれぞれ形成される。
下りテーパ部９３は、保護壁誘い込み突起８９の上面に設けられ、スリット２７ａ，２７ｂの上端開口８３に向かって下り傾斜してそれぞれ形成される。
面取りテーパ部９５は、拡幅テーパ部９１と下りテーパ部９３と保護壁誘い込み突起８９の突起外面９７との交わる角部を面取りして形成されている。

次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係る電気接続箱１１では、筐体１３の開口部３３に、蓋体１７が上下嵌合及び回転嵌合可能に設けられる。上下嵌合では、蓋体１７が筐体１３の上方からほぼ垂直に平行移動されて、開口部３３を覆って組み付けられる。回転嵌合では、蓋体１７に設けられたフック１９が、筐体１３の一辺４９に沿う側壁３１に設けられた係止突板１５に係合されることにより、フック１９を回転中心として蓋体１７が回動される。回動された蓋体１７は、開口部３３を覆って筐体１３に組み付けられる。筐体１３に組み付けられた蓋体１７は、蓋体１７と筐体１３との間に設けられたロック部２１により嵌合状態にロックされる。

側壁３１の外面には、ケーブル接続部６３が設けられる。蓋体１７には、側壁３１と平行となってこのケーブル接続部６３を外側から覆う保護壁２３が垂下されて設けられる（垂設される）。保護壁２３は、垂下方向に沿う両側の側縁６９に、保護壁２３と平行な係止片２５ａ，２５ｂがそれぞれ形成される。従って、保護壁２３には、一対の係止片２５ａ，２５ｂが設けられる。一対の係止片２５ａ，２５ｂは、それぞれが同一方向を向いている。

ケーブル接続部６３が設けられた側壁３１には、一対の係止片２５ａ，２５ｂを受け入れる保護壁受入口７７を同一方向に向けた一対のスリット２７ａ，２７ｂが形成される。スリット２７ａ，２７ｂの保護壁受入口７７は、上端と、一対の係止片２５ａ，２５ｂのそれぞれに向かう側端とが開口する。

図９は、図１に示した電気接続箱１１の上下嵌合過程を表す側面図である。
本実施形態に係る電気接続箱１１は、蓋体１７が上下嵌合されると、保護壁２３の両側における側縁６９の下端が、保護壁受入口７７の上端開口８３からスリット２７ａ，２７ｂに接近する。保護壁２３の両側の側縁６９に設けられたそれぞれの係止片２５ａ，２５ｂが、側壁３１のスリット２７ａ，２７ｂに挿入されることにより、保護壁下端の両側が側壁３１に係止され、側壁３１からの離間（浮き上がり）が規制されて、ケーブル接続部６３を確実に覆うことができる。

図１０は、図１に示した電気接続箱１１の回転嵌合過程を表す側面図である。
一方、本実施形態に係る電気接続箱１１は、蓋体１７が回転嵌合される場合がある。保護壁２３は、例えば一方の側縁６９の係止片２５ａが回転中心を向く場合、他方の側縁６９の係止片２５ｂは１８０°方向転換されて一方の側縁６９の係止片２５ａと同一方向を向くように形成されている（。つまり、両側の側縁６９に形成されるそれぞれの係止片２５ａ，２５ｂが保護壁２３と平行となって同一方向に向く。

ケーブル接続部６３が設けられた側壁３１には、一対の係止片２５ａ，２５ｂを受け入れる一対のスリット２７ａ，２７ｂが形成される。一対のスリット２７ａ，２７ｂは、係止片２５ａ，２５ｂを受け入れる保護壁受入口７７がそれぞれ同一方向を向く。つまり、回転嵌合時には、同一方向を向いた一対の係止片２５ａ，２５ｂが、同一方向に向かって開口する一対の保護壁受入口７７のそれぞれに受け入れられるように構成されている。これらスリット２７ａ，２７ｂは、保護壁２３の垂下方向の下端に対応して配置される。また、一対のスリット２７ａ，２７ｂは、蓋体１７が回動され、ロック部２１の係合が開始されたときに、係止片２５ａ，２５ｂを受け入れる上下方向の位置に配置されている。

保護壁２３は、例えば蓋体１７の回転中心に直交する蓋体１７の一辺４９から、ケーブル接続部６３が設けられた側壁３１に沿って垂下される場合、蓋体１７が回転嵌合されると、回転中心に直交する仮想面と平行に回転移動する。ここで、一対の係止片２５ａ，２５ｂは、上記のように共に回転方向に向いている。この一対の係止片２５ａ，２５ｂを受け入れる一対のスリット２７ａ，２７ｂは、仮想面に沿う方向で離間して配置され、保護壁２３の回転方向と反対方向に保護壁受入口７７が開口している。

従って、ケーブル接続部６３を挟む両側で側壁３１に配置された一対のスリット２７ａ，２７ｂは、保護壁２３の円弧状の軌跡と干渉せずに、仮想面に沿って回転移動される一対の係止片２５ａ，２５ｂを保護壁受入口７７の側端開口８５から受け入れることができる。蓋体１７は、保護壁２３の両側に設けられたそれぞれの係止片２５ａ，２５ｂが、側壁３１のスリット２７ａ，２７ｂに挿入されることにより、保護壁２３の垂下方向の下端が側壁３１に係止され、側壁３１からの離間（浮き上がり）が規制されて、ケーブル接続部６３を確実に覆うことができる。

そして、本実施形態の電気接続箱１１では、スリット２７ａ，２７ｂの保護壁受入口７７に設けられる保護壁誘い込み突起８９が、スリット２７ａ，２７ｂを挟んで側壁３１の反対側に設けられる。保護壁誘い込み突起８９には、拡幅テーパ部９１と、下りテーパ部９３と、面取りテーパ部９５とが形成される。

拡幅テーパ部９１は、保護壁２３が進入する保護壁誘い込み突起８９の正面に設けられて、スリット２７ａ，２７ｂの手前側に向かってスリット幅を徐々に広げる。即ち、拡幅テーパ部９１は、スリット２７ａ，２７ｂに向かって徐々に狭くなるテーパ面に係止片２５ａ，２５ｂを摺接させて、スリット２７ａ，２７ｂへ導く。拡幅テーパ部９１は、蓋体１７が回転嵌合される際の保護壁２３の係止片２５ａ，２５ｂをスリット２７ａ，２７ｂへ円滑に案内することができる。

下りテーパ部９３は、保護壁誘い込み突起８９の上面に設けられる。下りテーパ部９３は、側壁３１と保護壁誘い込み突起８９との間に開口するスリット２７ａ，２７ｂの上端開口８３に向かって下り傾斜する。下りテーパ部９３は、蓋体１７が上下嵌合される際の保護壁２３の係止片２５ａ，２５ｂをスリット２７ａ，２７ｂへ円滑に案内する。

面取りテーパ部９５は、拡幅テーパ部９１と、下りテーパ部９３と、保護壁誘い込み突起８９の突起外面９７との交わる角部を面取りして形成される。蓋体１７が嵌合される際、保護壁の両側における側縁の下端が、保護壁受入口の上端開口からスリットに接近する。この際、保護壁は、垂下方向の下端がスリットに対して側壁から離れる方向に傾く場合がある。面取りテーパ部は、このように蓋体が傾いて嵌合される際の保護壁の係止片をスリットへ円滑に案内することができる。

また、本実施形態の電気接続箱１１では、一対の係止片２５ａ，２５ｂのうち少なくとも一方の係止片２５ｂに形成された筒部７１は、係止片２５ｂを筒側壁７３として利用し、係止片２５ｂと一体に形成されている。保護壁２３は、側縁６９に沿って筒部７１が設けられることにより、高い平面度で形状を維持することが可能となる。これにより、電気接続箱１１は、保護壁２３の係止片２５ａ，２５ｂをスリット２７ａ，２７ｂへ安定して挿入できるとともに、スリット２７ａ，２７ｂに係止された保護壁２３のスリット２７ａ，２７ｂからの容易な離脱が抑制される。

従って、本実施形態に係る電気接続箱１１によれば、蓋体１７が筐体１３に上下嵌合及び回転嵌合可能な電気接続箱１１において筐体１３の側壁３１に設けられたケーブル接続部６３の被水を防止できる。

本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。

ここで、上述した本発明に係る電気接続箱の実施形態の特徴をそれぞれ以下［１］〜［３］に簡潔に纏めて列記する。
［１］ 開口部（３３）を側壁（３１）の上端に有する筐体（１３）と、
前記開口部（３３）の一辺（４９）に沿う前記側壁（３１）の外面に突設された係止突板（１５）と、
前記開口部（３３）を覆って前記筐体（１３）に嵌合される蓋体（１７）と、
前記蓋体（１７）から垂下されて前記係止突板（１５）に係合することにより前記蓋体（１７）を前記筐体（１３）に回転嵌合させるフック（１９）と、
前記蓋体（１７）と前記筐体（１３）との間に設けられ、前記蓋体（１７）を前記側壁（３１）に固定するロック部（２１）と、
前記蓋体（１７）から垂下され、前記側壁（３１）に設けられたケーブル接続部（６３）を覆う保護壁（２３）と、
前記保護壁（２３）の垂下方向に沿う両側の側縁（６９）に形成され、それぞれが前記保護壁（２３）と平行となって同一方向に向く一対の係止片（２５ａ，２５ｂ）と、
前記一対の係止片（２５ａ，２５ｂ）を受け入れる保護壁受入口（７７）が同一方向を向き、前記ロック部（２１）の係合が開始されたときに前記係止片（２５ａ，２５ｂ）を受け入れる一対のスリット（２７ａ，２７ｂ）と、
を備えることを特徴とする電気接続箱（１１）。
［２］ 前記一対のスリット（２７ａ，２７ｂ）の保護壁受入口（７７）には、保護壁誘い込み突起（８９）が設けられ、
前記保護壁誘い込み突起（８９）が、
前記保護壁（２３）の進入する前記保護壁誘い込み突起（８９）の正面に設けられて前記スリット（２７ａ，２７ｂ）の手前側に向かってスリット幅を徐々に広げる拡幅テーパ部（９１）と、
前記保護壁誘い込み突起（８９）の上面に設けられ前記スリット（２７ａ，２７ｂ）に向かって下り傾斜する下りテーパ部（９３）と、
前記拡幅テーパ部（９１）と前記下りテーパ部（９３）と前記保護壁誘い込み突起（８９）の突起外面との交わる角部を面取りした面取りテーパ部（９５）と、を有することを特徴とする上記［１］に記載の電気接続箱（１１）。
［３］ 前記一対の係止片（２５ａ，２５ｂ）のうち少なくとも一方の係止片（２５ｂ）が、この一方の係止片（２５ｂ）に沿って延在しこの一方の係止片（２５ｂ）の一部を延在方向の筒側壁（７３）として共有する筒部（７１）を有することを特徴とする上記［１］または［２］に記載の電気接続箱（１１）。

１１…電気接続箱
１３…筐体
１５…係止突板
１７…蓋体
１９…フック
２１…ロック部
２３…保護壁
２５ａ，２５ｂ…係止片
２７ａ，２７ｂ…スリット
３１…側壁
３３…開口部
４９…一辺
６３…ケーブル接続部
６９…側縁
７１…筒部
７３…筒側壁
７７…保護壁受入口
８９…保護壁誘い込み突起
９１…拡幅テーパ部
９３…下りテーパ部
９５…面取りテーパ部
９７…突起外面

Claims (3)

1. 開口部を側壁の上端に有する筐体と、
   前記開口部の一辺に沿う前記側壁の外面に突設された係止突板と、
   前記開口部を覆って前記筐体に嵌合される蓋体と、
   前記蓋体から垂下されて前記係止突板に係合することにより前記蓋体を前記筐体に回転嵌合させるフックと、
   前記蓋体と前記筐体との間に設けられ、前記蓋体を前記側壁に固定するロック部と、
   前記蓋体から垂下され、前記側壁に設けられたケーブル接続部を覆う保護壁と、
   前記保護壁の垂下方向に沿う両側の側縁に形成され、それぞれが前記保護壁と平行となって同一方向に向く一対の係止片と、
   前記一対の係止片を受け入れる保護壁受入口が同一方向を向き、前記ロック部の係合が開始されたときに前記係止片を受け入れる一対のスリットと、
   を備えることを特徴とする電気接続箱。
2. 前記一対のスリットの保護壁受入口には、保護壁誘い込み突起が設けられ、
   前記保護壁誘い込み突起が、
   前記保護壁の進入する前記保護壁誘い込み突起の正面に設けられて前記スリットの手前側に向かってスリット幅を徐々に広げる拡幅テーパ部と、
   前記保護壁誘い込み突起の上面に設けられ前記スリットに向かって下り傾斜する下りテーパ部と、
   前記拡幅テーパ部と前記下りテーパ部と前記保護壁誘い込み突起の突起外面との交わる角部を面取りした面取りテーパ部と、を有することを特徴とする請求項１に記載の電気接続箱。
3. 前記一対の係止片のうち少なくとも一方の係止片が、この一方の係止片に沿って延在しこの一方の係止片の一部を延在方向の筒側壁として共有する筒部を有することを特徴とする請求項１または請求項２に記載の電気接続箱。

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