JP2021076620A - 炭素質膜を含むペリクル及び炭素質膜を含むペリクルの製造方法 - Google Patents

炭素質膜を含むペリクル及び炭素質膜を含むペリクルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高いEUV透過率を有する炭素質膜を含むペリクルを提供する。【解決手段】炭素質膜の厚さが、5nm以上40nm以下であり、炭素質膜の表面粗さSaが0.1nm以上、300nm以下であること、または、炭素質膜の厚さが、5nm以上40nm以下であり、炭素質膜のラマンスペクトルにおける、DバンドとGバンドとの強度比(Dバンド強度/Gバンド強度)が.5超、1.6以下であること、炭素質膜の厚さが、5nm以上40nm以下であり、炭素質膜の膜面方向の電気伝導度が10S/cm以上、1000S/cm以下であること、または、炭素質膜の厚さが、5nm以上40nm以下であり、炭素質膜の炭素元素比率が90%以上であり、炭素質膜の密度が1.60g/cm3〜2.24g/cm3である。【選択図】なし

Description

本発明は、少なくとも極端紫外線(以下、EUV:Extreme Ultravioletとも記載する)の透過率が高い、炭素質膜を含むペリクル及び炭素質膜を含むペリクルの製造方法に関する。
近年、より微細な半導体加工において、極端紫外線リソグラフィーの技術が開発されている。極端紫外線によるフォトリソグラフィー装置には、フォトマスクに貼り付ける防塵用の保護膜として、ペリクルが使用されており、このペリクルは、極端紫外線を吸収したり散乱させたりする細かい異物の混入や付着を防止する部材として有用である。
このペリクルは、極端紫外線の透過性のみならず、極端紫外線由来の熱の拡散、強度、表面平滑性等も必要とされる。
ペリクルとして、膜厚が1nm未満のグラフェン(特許文献1)や240nmのグラファイト膜、90〜100nmのダイヤモンド様カーボン膜、120nmのアモルファス炭素膜(特許文献2)が公知である。
グラフェンは、単一のグラフェン層同士を積み重ねることやエピタキシャル成長により積層され、一方、グラファイト膜、ダイヤモンド様カーボン膜、アモルファス炭素膜は、プラズマイオン注入・成膜法(PBIID法)、FCVA(Filtered Cathodic Vacuum Arc)法、真空蒸着法、熱分解法、CVD法等により調製されている。
特表2013−534727号公報 国際公開第2014/188710号
しかしながら、例えば、ペリクルとして簡便に炭素質膜が得られれば、コスト面や工程面で有利となる。
更に、特許文献2に示される様に、グラファイト膜、ダイヤモンド様カーボン膜、アモルファス炭素膜は、90〜240nmと膜厚が厚いことから、EUV透過率が21〜49%程度と低く、密度が低い等によりペリクルの強度も不十分であるという課題があった。他方、膜の表面粗さが大きいと膜均一性が不十分となってEUVの透過性に影響を及ぼすという問題も生じる。
そこで、本発明は、高いEUV透過率を有する炭素質膜を含むペリクルの提供を課題として掲げた。他方、本発明は、高いEUV透過率を有し、透過率の均一性にも優れた炭素質膜を含むペリクルを提供することを目的とする。
本発明は以下のペリクルに関するものである。
[1] 炭素質膜の厚さが、5nm以上40nm以下であり、炭素質膜の表面粗さSaが0.1nm以上、300nm以下であることを特徴とする、炭素質膜を含むペリクル。
[2] 炭素質膜を含むペリクルであって、炭素質膜の厚さが、5nm以上40nm以下であり、炭素質膜のラマンスペクトルにおける、DバンドとGバンドとの強度比(Dバンド強度/Gバンド強度)が0.5超、1.6以下であることを特徴とするペリクル。
[3] 炭素質膜を含むペリクルであって、炭素質膜の厚さが、5nm以上40nm以下であり、炭素質膜の膜面方向の電気伝導度が10S/cm以上、1000S/cm以下であることを特徴とするペリクル。
[4] 炭素質膜を含むペリクルであって、炭素質膜の厚さが、5nm以上40nm以下であり、炭素質膜の炭素元素比率が90%以上であり、炭素質膜の密度が1.60g/cm3〜2.24g/cm3であることを特徴とするペリクル。
[5] 炭素質膜が、芳香族高分子膜を焼成した炭素質膜である前記[1]〜[4]のいずれかに記載のペリクル。
[6] 金属箔上に形成された芳香族高分子膜を該金属箔と一体で焼成する工程を含む事を特徴とする、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の炭素質膜を含むペリクルの製造方法。
[7] 前記芳香族高分子膜を焼成した後に、前記金属箔をエッチング除去して炭素質膜を剥離する工程を含む事を特徴とする、前記[6]に記載の製造方法。
[8] 金属箔上に芳香族高分子膜を形成し、該金属箔をエッチング除去した後、該芳香族高分子膜を焼成する工程を含むことを特徴とする、前記[1]〜[5]のいずれかに記載の炭素質膜を含むペリクルの製造方法。
[9] 前記炭素質膜がプラズマエッチングによって薄層化したものである前記[6]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
本発明の炭素質膜を含むペリクルは、高いEUV透過率を有する、又は高いEUV透過率を有し、透過率の均一性に優れる。
図1は、1800℃〜2800℃で高分子膜を焼成した場合、反射X線における(006)回折線のスペクトルを示す図である。
本発明において、EUVは、波長が5nm〜30nmである光であり、より好ましくは波長が5nm〜13.5nmの光である。この様なEUVの透過率と均一な透過特性を実現するための均一な厚さと表面粗さを実現するために、本発明では炭素質膜を用いる。
本発明の炭素質膜は、基本的にグラフェン構造やグラファイト構造を持たない。この様な膜とする事によって極めて優れた膜の均一性を確保できるというメリットを享受できる。ペリクルを形成する炭素質膜にはすぐれた膜の均一性が求められるが、炭素質膜がグラファイト化する場合には、膜面方向に大きく伸び、膜厚方向に縮む。したがって、炭素質膜のグラファイト化を2400℃以上で進めると膜に大きな皺が発生し、膜の均一性が損なわれる。グラファイト化し易い炭素質膜の場合でも2200℃程度でグラファイト化が起こる事はほとんどない。したがって、好ましい本発明の炭素質膜の焼成温度は2400℃未満であり、さらに好ましい焼成温度は2200℃以下であり、最も好ましい焼成温度は2000℃以下である。
一方、炭素化の温度が800℃以下の場合には、炭素質膜中に窒素、酸素、水素などの炭素以外のヘテロ元素が存在し、EUV照射によって炭素質膜の温度は600℃程度まで上昇する。ペリクルを形成する炭素質膜はこの様な温度に対する耐久性を必要とし、さらにはヘテロ元素によるガス発生を抑制する必要がある。そのために本発明の炭素質膜の炭素化温度は800℃超である事が好ましい。炭素化温度は900℃以上である事はより好ましく、1000℃以上である事は最も好ましい。
本発明の炭素質膜は、一般に炭素質膜をグラファイト化するため2400℃、又は2600℃以上の超高温、その様な温度処理を行う特殊な炉や設備を必要としないというメリット、ペリクルを形成する炭素質膜の作製プロセスが極めて容易になるというメリットを享受できる。グラファイト化に必要な2400℃、又は2600℃以上の温度に耐えられる基板は耐熱性の観点から非常に限られるのに対して、800℃超の耐熱性を持つ基板は比較的多く存在するので、例えばシリコン基板(融点:1412℃)等の使用が可能となり、この様な基板上でペリクルを形成する炭素質膜を作製する事により、高い均一性や優れた表面粗さを有する膜の実現が可能となる。
<炭素質膜の膜厚>
本発明のペリクルを形成する炭素質膜の膜厚は、EUV透過率、膜強度の観点から、5nm以上40nm以下であり、5nm以上30nm以下であることが好ましく、5nm以上20nm以下であることがより好ましく、5nm以上18nm以下であることが特に好ましい。前記膜厚が5nm以上であると、膜強度を高くできる。また、前記膜厚が40nm以下であると、EUV透過率を良好なものとすることができる。
<炭素質膜の膜厚測定>
炭素質膜の膜厚は、例えば(Veeco社製:Dektak150)等の段差計によって評価できる。基板に貼り付けた炭素質膜(例えば1cm×1cmの大きさ)と基板との段差を、段差計によって測定し、その値またはその値の平均を炭素質膜の膜厚としてもよい。
<炭素質膜の表面粗さ>
本発明のペリクルを形成する炭素質膜の表面粗さSaは、0.1nm以上、300nm以下である。上記表面粗さSaは0.1nm以上、200nm以下がより好ましく、0.2nm以上、120nm以下がさらに好ましく、0.2nm以上、80nm以下であることがさらにより好ましく、0.2nm以上、40nm以下であることがさらにより一層好ましく、0.5nm以上、20nm以下が特に好ましい。
なお本発明における表面粗さSaは、ISO 25178に基づいて求められる算術平均高さを意味する。炭素質膜の膜厚が同じであっても、表面粗さが大きいと、EUV透過率は低下する。またEUV透過率の均一性も低くなるため、表面粗さは小さいほうが好ましい。
表面粗さSaは、レーザー顕微鏡を用いて測定することが好ましい。表面粗さSaの測定位置は特に制限されないが、中心部と端部を含む複数箇所を測定し、その平均を、表面粗さSaとすることが望ましい。
本発明の炭素質膜の製造には、2400℃以上のグラファイト化工程を用いる必要が無いので、グラファイト化に伴うシワ発生の心配がない、したがって、表面粗さに優れる炭素質膜を容易に製造する事が出来る。
<EUV透過均一性>
炭素質膜の表面粗さSaが0.1nm以上、300nm以下である場合、膜内でのEUV透過率は均一性に優れる。EUV透過率の均一性は、膜上を走査して求められたEUV透過率の標準偏差の3倍(3σ)で評価することができ、その値は例えば1.5%以下であり、好ましくは1.3%以下であり、より好ましくは1.2%以下であり、下限は特に限定されないが、例えば0.3%程度である。
<EUV透過率>
本発明のペリクルを形成する炭素質膜の波長13.5nmの光(EUV)透過率は、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましく、95%以上が特に好ましい。EUV透過率は高いほど好ましいが、本発明のペリクルを形成する炭素質膜が達成できる値の上限は、通常99%程度である。
この様なEUV透過率(T)は、EUVとグラフェン膜の膜厚の関係は、単層グラフェンの13.5nmの透過率(0.998)と単層グラフェンの膜厚(0.3354nm)の関係から推定する。
膜厚(nm)=Log0.998(T[%]/100))×0.3354
これに対して、炭素質膜の場合には、EUVの透過率は実質的にEUVが透過する光路に存在する炭素の数で規定され、その様な炭素の数は炭素質膜の密度で見積もる事が出来る。グラファイトの密度は2.24g/cm3であり、炭素質膜の密度を2.0g/cm3と仮定すると、上記式から計算された透過率と膜厚の関係に2.24/2.0を掛ければ炭素質膜と透過率の関係が得られる。
また上記計算から、EUVの光路に存在すると推定されるペリクルを形成する炭素質膜中の炭素元素の数は、15〜120が好ましく、15〜80がより好ましく、15〜60が特に好ましい。前記数が15以上であると膜強度を大きくできる。また、前記数が120以下であると、一定以上のEUV透過率が得られる。
本発明の他の態様は、(a)炭素質膜のラマンスペクトルにおけるDバンドとGバンドとの強度比(Dバンド強度/Gバンド強度)、(b)炭素質膜の膜面方向の電気伝導度、又は(c)炭素質膜の炭素元素比率及び密度のいずれかが、所定の範囲であり、炭素質膜の膜厚が5nm以上、40nm以下である炭素質膜を含むペリクルに関する。これら各発明は、上述した表面粗さを要件とすることが好ましい。これら各発明は、高いEUV透過率を有し、好ましくは透過率の均一性にも優れる。
<炭素質膜のラマンスペクトル>
本発明のペリクルを形成する炭素質膜は、レーザーラマン測定で膜が炭素質であるかグラファイト質であるかを評価できる。レーザーラマン分光の場合、1575〜1600cm-1付近にグラファイト構造に起因するGバンドが現れ、1350〜1360cm-1付近にアモルファスカーボン構造に起因するDバンドが現れる。
本発明の炭素質膜のラマンスペクトルにおける、DバンドとGバンドとの強度比(Dバンド強度/Gバンド強度)は0.5超、1.6以下である。当該比は、0.7以上、1.5以下である事はより好ましく、0.8以上、1.4以下である事がさらに好ましく、0.9以上、1.3以下である事が特に好ましい。耐久性の点から言うと炭素質膜がグラファイト構造を持つ場合には、D/Gバンド強度比は0.5以下となる。例えば、典型的なPolycrystalline graphiteの場合には0.35程度である。しかしながら、この様なグラファイト膜の場合には、グラファイト化の過程で膜が伸びる事によるシワ発生という大きな課題が存在する。このようなシワの発生はペリクルを形成する炭素質膜の均一性を損ない、EUVの均一な透過を妨げる原因となる。
EUVの強度で変わるが、EUV照射時のペリクルを形成する炭素質膜はおよそ600℃まで上昇すると考えられている。したがって、800℃超2000℃以下の温度範囲で作製される本発明の炭素質膜は、EUV照射による温度上昇に対して十分な耐久性を有する。
典型的なアモルファス炭素は蒸着やスパッタリングなどの方法で作製されるが、例えば、典型的なアモルファス炭素であるGlassy carbonにおけるラマンスペクトルのD/Gバンド強度比は1.8〜2.0程度である。従って、本発明の炭素質膜はアモルファス炭素膜とも異なるものである。アモルファス炭素膜は被膜強度が弱く、耐熱性も十分ではない。
本発明の炭素質膜は、上記ラマンスペクトルから類推される様に、一般的に縮合多環構造と呼ばれる構造をもつ炭素質膜である。この縮合多環構造の大きさはグラフェンより遥かに小さくグラフェン構造とは異なるものである。
<炭素質膜の電気伝導度と炭素比率>
グラファイト膜は電気伝導度の異方性を持ち、良質のグラファイト膜では膜面方向の電気伝導度は16000〜24000S/cmに達する。これに対して本発明の炭素質膜は膜の膜面方向の電気伝導度は10S/cm〜1000S/cmの範囲であり、好ましくは20S/cm〜900S/cmであり、より好ましくは50S/cm〜800S/cmであり、さらに好ましくは80S/cm〜750S/cmである。
炭素質膜の内部に窒素、酸素、水素などの元素が10%超含まれると電気伝導度の値は非常に小さく(通常0.1S/cm以下)なる。本発明の炭素質膜の炭素元素比率は90%以上である。当該比率は、95%以上である事はより好ましく、98%以上である事はさらに好ましく、99%以上である事は最も好ましい。当該比率の上限は、100%である。
炭素元素比率は、例えば走査型電子顕微鏡(SEM)[(株)日立ハイテクノロジーサービス製SU4600]と、大口径SDD検出器((株)堀場製作所製EDX−XMax)を用いて測定してもよい。炭素元素比率は、例えば加速電圧20kVにて炭素質膜の分析を行い、付属ソフトウェアで解析後に算出された炭素原子数濃度(%)により求めることができる。
<炭素質膜のX線特性>
本発明の炭素質膜は、一態様においてX線反射により評価される。炭素質膜のX線測定は、CuKα線を用いた反射X線測定における(006)回折線のスペクトルによって確認する事ができる。測定は、例えばJIS K 0131 1996に従ったX線回折装置を用いて行えばよい。(006)回折線はグラファイト構造が発達した時に出現し、その構造が未発達である場合には出現しない。1800℃以上2800℃以下で処理した試料の(006)ラインのスペクトルを図1に示す。(006)回折線は処理温度が2000℃の場合には85°付近に比較的ブロードなピークとして現われるが、2200℃では86°付近にシフトし2600℃以上では鋭い2本のピークとして現われる。2本のピークに分離することはX線のCuKα1線とKα2線の分離を意味し、これは2600℃以上で結晶性に優れたグラファイト構造が形成された事を意味する。従って、(006)回折線を測定すれば炭素質膜かグラファイト膜であるかどうかが判断できる。1800℃未満での処理温度の場合には(006)ラインに相当する回折線は出現しない。
従って、本発明の炭素質膜のX線反射測定における(006)回折線のピークが現れる場合は84°以上86°以下であることが好ましく、85.8°以下であることがより好ましく、85.6°以下であることが更に好ましく、85.4°以下であることが特に好ましい。当該ピークが86°超であると、膜はグラファイト層構造が十分に発達したものである事を示す。上記範囲の角度を有する炭素質膜は、1800℃超2100℃以下の温度で焼成されたものであることが好ましい。
<炭素質膜の面積>
本発明のペリクルを形成する炭素質膜の面積は、例えば20cm2以上とすることもでき、好ましくは30cm2以上であり、より好ましくは40cm2以上であり、本発明における炭素質膜によれば、このような大面積であっても十分な強度を確保でき、取扱性が良好である。炭素質膜の面積は、フォトマスクより大きい12cm×15cm以上が好ましく、20cm×20cm以上がより好ましく、25cm×40cm以上が特に好ましい。炭素質膜の面積の上限は特に限定されないが、例えば50cm×50cmである。
<炭素質膜の密度>
本発明のペリクルを形成する炭素質膜の密度は、膜強度の観点から、1.60g/cm3〜2.24g/cm3であり、1.70g/cm3〜2.22g/cm3がより好ましく、1.80g/cm3〜2.20g/cm3が特に好ましい。密度が大きいと、炭素質膜の強度が高いという指標になる。密度が1.60g/cm3未満である場合には、十分な膜強度が得られない。また、本発明の炭素質膜とは基本的にグラフェン構造やグラファイト構造を持たない膜の事であるが、膜強度を向上させる目的で、炭素質膜にカーボンナノチューブ(CNT)などのグラファイト構造を有する繊維状添加物を加える事は本発明の範疇に帰属する。
<炭素質膜の引張強度>
本発明のペリクルを形成する炭素質膜の引張強度は、10MPa〜200MPaが好ましく、20MPa〜200MPaがより好ましく、50MPa〜200MPaが特に好ましい。前記引張強度が、10MPa以上であると、破損することなく枠への張設などの取り扱いをすることが可能となる。
引張り強度は、例えば、JIS K 7127、又はASTM D882の記載の方法により、求めることが可能である。
<炭素質膜の製造方法>
炭素質膜を含むペリクルの具体的な製造方法について、以下に記載する。本発明の炭素質膜の製造方法としては特に限定されない。しかし、表面が平滑で均一な厚さを持つ炭素質膜の製造には、高分子膜を原料として炭素質膜を作製する事が好ましく、芳香族高分子膜を焼成した炭素質膜を作製する事がより好ましい。例えば、平滑なシリコン基板などの表面に、キャスト法などで形成した高分子膜を、真空中、あるいは不活性ガス中、800℃超2400℃未満の範囲で焼成・炭素化することで、表面が平滑な炭素質膜が得られる。また、芳香族ポリイミドなどの高分子原料膜に必要に応じて張力や圧力をかけながら炭素化熱処理して炭素質膜を得ることでも表面が平滑な、すなわち表面粗さSaが0.1nm以上、300nm以下に調整された炭素質膜が得られる。
この様な目的に適した高分子としては、塗布、キャスト、スピンコート、蒸着等の方法で膜が形成される事、800℃超の温度で炭素化した場合に、ガス化などで散逸する事無く炭素質膜が形成される事が必要である。そのため、高分子原料は芳香族高分子である事が好ましく、芳香族高分子である事で高い炭素収率が得られる。その様な例として、芳香族ポリイミド、ポリアミド、ポリキノキサリン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリオキサジアゾール、ポリベンズイミダゾール、フェノール樹脂等を例示する事が出来る。また、高分子以外にピッチ等の材料を用いる事もできる。
本発明の実施例では、芳香族ポリイミドを取り上げ、ピロメリット酸二無水物と、4,4−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、p−フェニレンジアミン(PDA)とを組み合わせて作製される芳香族ポリイミドについて記載する。無論、発明はこの様なポリイミドに限定される訳ではない。
高分子原料が芳香族ポリイミドである場合、製造方法としては、前駆体であるポリアミド酸を加熱でイミド転化する熱キュア法、ポリアミド酸に無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤や、ピコリン、キノリン、イソキノリン、ピリジン等の第3級アミン類をイミド化促進剤として用い、イミド転化するケミカルキュア法があるが、そのいずれを用いてもよい。得られる膜の線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折率が大きくなりやすく、膜の焼成中に張力をかけたとしても破損することなく、また、品質の良い炭素質膜を得ることができるという点からケミカルキュア法が好ましい。またケミカルキュア法は、炭素質膜の熱伝導度の向上の面でも優れている。
前記ポリアミド酸は、通常、酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種を有機溶媒中に溶解させ、得られたポリアミド酸有機溶媒溶液を、制御された温度条件下で、上記酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで攪拌することによって製造される。これらのポリアミド酸溶液は通常1.0質量%以上、かつ35質量%以下、好ましくは1.5質量%以上、かつ30質量%以下の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に適当な分子量と溶液粘度を得ることが出来る。前記原料溶液中の酸二無水物とジアミンは実質的に等モル量にすることが好ましく、ジアミンに対する酸二無水物のモル比(酸二無水物/ジアミン)は、例えば、1.5/1以下、かつ1/1.5以上、好ましくは1.2/1以下、かつ1/1.2以上、より好ましくは1.1/1以下、かつ1/1.1以上である。
前記ポリイミドフィルムは、上記ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶剤溶液を支持体上に流延し、乾燥・イミド化させることにより製造される。具体的にケミカルキュアによる膜の製造法は以下の通りである。まず上記ポリアミド酸溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒量のイミド化促進剤を加え支持板やPET等の有機膜、ドラム又はエンドレスベルト等の支持体上に流延又は塗布して膜状とし、有機溶媒を蒸発させることにより自己支持性を有する膜を得る。次いで、これを更に加熱して乾燥させつつイミド化させポリイミド膜を得る。加熱の際の温度は、150℃から550℃の範囲の温度が好ましい。高分子原料膜の厚さは、例えば5〜200nmであることが好ましい。支持体は、金属箔(例えば銅箔)等の金属基板、シリコン基板、ガラス基板等であればよく、エッチングの観点から、銅箔等の金属基板であることが好ましい。
本発明の態様には、金属箔上に形成された芳香族高分子膜を該金属箔と一体で焼成する工程を含む事を特徴とする、炭素質膜を含むペリクルの製造方法が包含される。
支持体として金属箔等の金属基板を使用する場合、芳香族高分子の炭素化処理(焼成)の前または後に、金属基板をエッチングしてもよく、表面粗さの観点から、前記芳香族高分子膜を焼成した後に、前記金属箔をエッチング除去して炭素質膜を剥離することが好ましい。
本発明の別の態様には、金属箔上に芳香族高分子膜を形成し、該金属箔をエッチング除去した後、該芳香族高分子膜を焼成する工程を含むことを特徴とする、炭素質膜を含むペリクルの製造方法も包含される。
芳香族高分子の炭素化処理(焼成)の前に金属基板をエッチングする場合、得られた芳香族高分子膜は、グラファイトシート等の耐熱シートに挟んで炭素化してもよい。
炭素化熱処理は、窒素、アルゴンあるいはアルゴンと窒素の混合ガスなどの不活性ガス雰囲気下、900〜2000℃程度で15〜30分行えばよい。炭素化処理温度までの昇温速度は特に限定されないが、例えば5℃/分以上、15℃/分以下である。炭素化熱処理の後は、自然冷却などにより室温まで冷却すればよい。
得られた炭素質膜は、表面粗さの観点から、グラファイトシート等の耐熱シートに挟んで、再度炭素化処理してもよい。
更に、炭素質膜の表面粗さ向上、薄層化を目的として、炭素化処理中に、芳香族高分子膜を膜中央から膜外部へと張力をかけてもよく、得られた炭素質膜に対して表面をプラズマエッチング処理してもよい。プラズマエッチング処理して薄層化する場合には、均一な薄層化を行う事が重要である。エッチング条件を選択すれば、好ましい速度で均一な薄層化を進行させる事が可能である。
ここでプラズマエッチングとは、プラズマ中に存在するイオンやラジカルなどの活性種のうちいずれかひとつ以上を用いて膜を薄層化する手法を指す。プラズマエッチングは物理プロセス、化学プロセス、またはその両方で進行する。電位によって加速されたイオンを、膜表面に叩き付け、スパッタにより薄膜化する物理プロセスは、エッチング速度の面で好ましい。物理プロセスを積極的に用いるエッチングは、反応性イオンエッチング(RIE; ReactiveIon Etching)とも呼ばれる。一方、プラズマ中のイオンやラジカルを、膜と化学的に反応させ、薄膜化する化学プロセスは、表面を均一に処理できる点で好ましい。物理プロセスと化学プロセスのうち、いずれのプロセスが優先的に進行するかは、プラズマの発生手法や、用いるガス種、プラズマ発生に用いる電力量によって異なる。
プラズマの生成に用いる電源の周波数によって放電方式を分類すると、高周波放電(RF)とマイクロ波放電があり、さらにプラズマ発生の方式にはマイクロ波ECRプラズマ方式、容量結合型プラズマ方式(CCP)、誘導結合型プラズマ方式(ICP)等がある。本発明にとってその方式は制限されない。ECR方式のACプラズマ装置、RFプラズマ装置、ICPプラズマ装置を好ましく用いる事が出来る。
本発明には、酸素プラズマ、空気プラズマ、水素プラズマ、アルゴンプラズマを特に好ましく用いる事が出来、中でも空気プラズマ、酸素プラズマによるエッチングがエッチング速度、均一薄層化の点で好ましい。エッチング速度は、用いる機器や加える電力、によって変化し、さらには微量の水分の存在などの影響も大きい。
一方で、フッ素系の活性ガスを用いたプラズマエッチングはエッチング速度が非常に速く、その反応条件を選択する事で均一な薄層化を実現する事は難しい。例えば、CFを用いた場合、5400nm/分の薄層化が可能であるが、エッチング面の粗度は大きくなった。従って、この様なエッチング手法によって5nm〜40nmの範囲の厚さを精密に制御する事は難しい。
プラズマエッチング速度と表面粗さの関係について酸素プラズマ、または空気プラズマの場合、表面粗さは高速でのエッチングを行なうと増加する傾向にある。本発明において好ましいエッチング速度は、0.2nm/分〜20nm/分であり、0.5nm/分〜10nm/分がより好ましく、1nm/分〜5nm/分が特に好ましい。
エッチング速度が20nm/分超であれば、表面粗さはほぼそのままとなり、表面粗さを低減し難い。一方、エッチング速度が、上記範囲であれば、表面粗さは減少する傾向にある。
エッチングプロセスの途中において、エッチング速度を変える事、例えば、初期のエッチング速度を速くし、希望する厚さ付近になってからエッチング速度を遅くするなどの方法が好ましく用いられる。本発明においては、40nm以上の厚さを有する炭素質膜をプラズマエッチングの手法で5nm以上、40nm未満の厚さとしてもよい。エッチング速度やエッチング時間を制御する事により、均一な薄層化が実現でき、その厚さを正確に制御する事が可能となる。当該手法は、40nm未満である炭素質膜を作製するために有用であるが、以下に述べるペリクル枠を取り付けた状態で薄層化する事はさらに有用となる。
<炭素質膜と別の膜の積層体からなるペリクル>
さらに、本発明のペリクルは、炭素質膜と別の膜を積層した積層体からなってもよい。積層体とすることにより、熱耐性や水素ラジカル耐性を付与することができる。
別の膜は、特に制限されないが、例えば、EUVに対して安定な材料という観点から、SiOx(x≦2)、Sixy(x/yは0.7〜1.5)、SiO、SiC、N、Y23、YN、Mo、Ru、Rb、Sr、Y、Zr、Nb、またはRhからなる膜が挙げられる。
<ペリクル複合体>
<ペリクル枠>
本発明のペリクルは、炭素質膜とペリクル枠を含む複合体からなるペリクルであってもよい。ペリクルをペリクル枠へ張設する方法は特に限定されず、例えば膜接着剤層を用いる方法であってもよいし、上下から機械的に挟み込み張設する方法であってもよい。
<ペリクル枠の形状>
ペリクル枠の形状は、フォトマスクを覆うのに充分なペリクルの面積が確保出来ていれば問わない。円形や楕円形であってもよいし、四角形などの多角形、又はその他の形でもよい。多角形である場合は、角が丸みを帯びていてもよい。また、EUV露光装置内との気圧を一定とするための通気孔を有してもよい。
<ペリクル枠の素材>
ペリクル枠の素材は、ペリクルを張設可能な枠であれば制限されず、例えばシリコン、アルミニウム、ステンレスなどの金属単体又は合金、黒鉛、セラミックスなどが挙げられる。
前記膜接着剤は、例えばアクリル樹脂接着剤、エポキシ樹脂接着剤、ポリイミド樹脂接着剤、シリコーン樹脂接着剤などがある。EUV露光時の真空度を保持する観点から、膜接着剤は、アウトガスが少ないものが好ましい。アウトガスの評価方法として、例えば昇温脱離ガス分析装置を用いることができる。EUV照射によりペリクルとペリクル枠は加熱されるため、膜接着剤は、耐熱性の高いものが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、前記、後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
下記実施例で得られた炭素質膜は、以下の方法によって測定した。
<膜厚測定方法>
膜の膜厚は、段差計(Veeco社製:Dektak150)で測定した。1cm×1cmの大きさに切り出した炭素質膜を、平滑なガラス基板に貼り付け、4辺の炭素質膜とガラス基板の段差を測定し、その平均を膜厚とした。
<ラマン測定>
ラマン強度は、レーザーラマン顕微鏡で測定した。測定位置は特に制限されないが、中心部1箇所と端部4箇所を含む複数箇所を測定し、それぞれのGバンド強度(I(G))と、Dバンド強度(I(D))の平均値を用いた。
<X線測定>
測定はJIS K 0131 1996に従ったX線回折装置を用いて行った。使用した線源はCuKαである。各試料の反射スペクトルの測定により、炭素質膜のX線反射の(006)回折線出現の有無、出現した場合の回折線のピーク位置を算出した。
<表面粗さ(Sa)>
本発明において、炭素質膜の表面粗さ(Sa)は、レーザー顕微鏡で測定し、ISO 25178に基づいて算出した。レーザー顕微鏡の拡大倍率:50倍、カットオフ値(λc):80μmとした。表面粗さ(Sa)の測定位置は特に制限されないが、中心部1箇所と端部4箇所を含む複数箇所を測定し、その平均を、表面粗さ(Sa)とした。
<密度>
炭素質膜の寸法、膜厚を測定することによって体積(cm3)を算出するとともに、別途、炭素質膜の質量(g)を測定し、密度(g/cm3)=質量(g)/体積(cm3)の式から、密度を算出した。
<電気伝導度>
炭素質膜の電気伝導度の測定はファン・デル・ポー法によって行った。この方法は薄膜状の試料の電気伝導度を測定するのに最も適した方法である。この測定法の詳細は(第四版)実験化学講座9 電気・磁気(社団法人日本化学会編、丸善株式会社発行(平成3年6月5日発行)(P170))に記載されている。この手法の特徴は、任意の形状の薄膜試料端部の任意の4点に電極をとり測定を行うことが出来ることであり、試料の厚さが均一であれば正確な測定が行える点である。本発明においては30mm×30mm試料を用い、それぞれの4つの角(稜)に銀ペースト電極を取り付けて行った。測定は(株)東洋テクニカ製、比抵抗/DC&ACホール測定システム、ResiTest 8300を用いて行った。
<炭素比率>
作製した炭素質膜の炭素比率は、(株)日立ハイテクノロジーサービス製走査型電子顕微鏡(SEM)SU4600と、(株)堀場製作所製大口径SDD検出器(EDX−XMax)を用いて測定した。加速電圧20kVにて炭素質膜の分析を行い、付属ソフトウェアで解析後に算出された炭素原子数濃度(%)により決定した。
以下、製造例1−1〜1−5において、炭素質膜の原料となるポリイミド膜(A−1)〜(A−5)を作製した。
(製造例1−1:ポリイミド膜(A−1)の作製)
ピロメリット酸二無水物、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、p−フェニレンジアミンをモル比で2:1:1の割合で混合したポリアミド酸の4.0質量%のDMF(ジメチルホルムアミド)溶液を合成し、スピンコーターを用いて銅箔基板(厚さ30μm)上に塗布した。この金属箔とポリアミド酸溶液の積層体を125℃、250℃、450℃で各60秒間加熱し、直径8cmの円形、膜厚が80nmのポリイミド膜(A−1)を作製した。
(製造例1−2:ポリイミド膜(A−2)の作製)
ポリアミド酸の濃度を3.0質量%にした以外は、製造例1−1と同様にして、直径8cmの円形、膜厚が40nmのポリイミド膜(A−2)を作製した。
(製造例1−3:ポリイミド膜(A−3)の作製)
ポリアミド酸の濃度を2.4質量%にした以外は、製造例1−1と同様にして、直径8cmの円形、膜厚が18nmのポリイミド膜(A−3)を作製した。
(製造例1−4:ポリイミド膜(A−4)の作製)
ポリアミド酸の濃度を2.0質量%にした以外は、製造例1−1と同様にして、直径8cmの円形、膜厚が12nmのポリイミド膜(A−4)を作製した。
(製造例1−5:ポリイミド膜(A−5)の作製)
ポリアミド酸の濃度を2.0質量%にした以外は、製造例1−1と同様にして、直径8cmの円形、膜厚が8nmのポリイミド膜(A−5)を作製した。
次に、製造例2−1〜2−8において、前記ポリイミド膜(A−1)〜(A−5)のいずれかを用いて炭素質膜を作製した。炭素化の温度は1000℃〜2000℃である。炭素化温度が1200℃未満の場合には銅箔と共に炭素化処理し(実施例4〜6)、1200℃以上の場合には、銅箔をエッチング除去の後に炭素化した(実施例1〜3)。但し、実施例7〜8では炭素化温度が1200℃以上であったが、炭素化した後にエッチング処理した。
(製造例2−1:炭素質膜(B−1)の作製)
銅箔のエッチング除去により、製造例1−1で得られた銅箔上に形成したポリイミド膜(A−1)を剥離し、グラファイトシートで挟み込み、電気炉を用いて、窒素ガス雰囲気中、5℃/分の速度で2000℃まで昇温し、2000℃で5分間保ったのち自然冷却させ、炭素質膜(B−1)を得た。
炭素質膜(B−1)の膜厚は38nm、密度は2.08g/cm、ラマン測定によるD/G比は1.18、(006)回折線ピーク位置は85.2°、炭素比率は98%以上、膜面方向の電気伝導度は620S/cm、表面は目視で光沢を有しシワがなく、言い換えれば、鏡面であり、表面粗さ(Sa)は200nmであった。理論的なEUVの透過率は81%であると計算された。また、炭素質膜の断面TEMで測定によって断面の構造にはグラファイト構造に特有な層状構造は見られなかった。結果を表1に示す。
(製造例2−2:炭素質膜(B−2)の作製)
製造例2−1において、製造例1−1で得られたポリイミド膜(A−1)に換えて、製造例1−2で得られたポリイミド膜(A−2)を用い、炭素化温度を1600℃(保持時間10分間)とした以外は同様として、炭素質膜(B−2)を得た。
炭素質膜(B−2)の膜厚は28nm、密度は1.99g/cm、ラマン測定によるD/G比は1.18、膜面方向の電気伝導度は420S/cm、炭素比率は95%以上、表面は鏡面であり、表面粗さ(Sa)は110nmであった。(006)回折線ピークは観測されなかった。また、理論的なEUVの透過率は86%であると計算された。結果を表1に示す。
(製造例2−3:炭素質膜(B−3)の作製)
製造例2−1において、製造例1−1で得られたポリイミド膜(A−1)に換えて、製造例1−3で得られたポリイミド膜(A−3)を用い、炭素化温度を1300℃(保持時間10分間)とした以外は同様として、炭素質膜(B−3)を得た。
炭素質膜(B−3)の膜厚は14nm、密度は1.95g/cm、ラマン測定によるD/G比は1.02、炭素比率は95%以上、膜面方向の電気伝導度は220S/cm、表面は鏡面であり、表面粗さ(Sa)は70nmであった。(006)回折線ピークは観測されなかった。理論的なEUVの透過率は93%であると計算された。結果を表1に示す。
(製造例2−4:炭素質膜(B−4)の作製)
製造例2−1において、製造例1−1で得られたポリイミド膜(A−1)に換えて、製造例1−4で得られたポリイミド膜(A−4)を用い、炭素化温度を1000℃(保持時間10分間)とした以外は同様として、炭素質膜(B−4)を得た。ただし、炭素化は銅箔上に形成されたポリイミド膜を銅箔から剥離する事無く一体で炭素化を行った。炭素化処理後に銅箔をエッチング除去した。
炭素質膜(B−4)の膜厚は9nm、密度は1.70g/cm、ラマン測定によるD/G比は1.01、炭素比率は95%以上、膜面方向の電気伝導度は110S/cm、表面は鏡面であり、表面粗さ(Sa)は20nmであった。(006)回折線ピークは観測されなかった。理論的なEUVの透過率は96%であると計算された。結果を表1に示す。
(製造例2−5:炭素質膜(B−5)の作製)
製造例2−1において、製造例1−1で得られたポリイミド膜(A−1)に換えて、製造例1−5で得られたポリイミド膜(A−5)を用い、炭素化温度を1000℃(保持時間10分間)とした以外は同様として、炭素質膜(B−5)を得た。ただし、炭素化は銅箔上に形成されたポリイミド膜を銅箔から剥離する事無く一体で炭素化を行った。炭素化処理後に銅箔をエッチング除去した。
炭素質膜(B−5)の膜厚は5nm、密度は1.67g/cm、ラマン測定によるD/G比は1.00、炭素比率は95%以上、膜面方向の電気伝導度は100S/cm、表面は鏡面であり、表面粗さ(Sa)は2nmであった。(006)回折線ピークは観測されなかった。理論的なEUVの透過率は98%であると計算された。結果を表1に示す。
(製造例2−6:炭素質膜(B−6)の作製)
製造例2−1において、製造例1−1で得られたポリイミド膜(A−1)に換えて、製造例1−2で得られたポリイミド膜(A−2)を用い、炭素化温度を1000℃(保持時間10分間)とした以外は同様として、炭素質膜(B−6)を得た。ただし、製造例2−2とは異なり、炭素化は銅箔上に形成されたポリイミド膜を銅箔から剥離する事無く一体で炭素化を行った。炭素化処理後に銅箔をエッチング除去した。
炭素質膜(B−6)の膜厚は30nm、密度は1.89g/cm、炭素比率は、95%以上であり、理論的なEUVの透過率は86%、ラマン測定によるD/G比は1.16、膜面方向の電気伝導度は110S/cm、表面は鏡面であり、表面粗さ(Sa)は10nmであった。(006)回折線ピークは観測されなかった。結果を表1に示す。銅箔と一体化した炭素化を行なう事により、表面粗さ特性が著しく改善される事が分かった。
(製造例2−7:炭素質膜(B−7)の作製)
製造例2−1において、製造例1−1で得られたポリイミド膜(A−1)に換えて、製造例1−2で得られたポリイミド膜(A−2)を用い、炭素化温度を1000℃(保持時間10分間)とした以外は同様として、炭素質膜を得た。ただし、炭素化は銅箔上に形成されたポリイミド膜を銅箔から剥離する事無く一体で炭素化を行った。炭素化処理後に銅箔をエッチング除去した。1000℃での炭素化後、さらに炭素質膜をグラファイトシートで挟み込み、電気炉を用いて、窒素ガス雰囲気中、5℃/分の速度で2000℃まで昇温し、2000℃で5分間保ったのち自然冷却させ、炭素質膜(B−7)を得た。
炭素質膜(B−7)の膜厚は25nm、密度は2.09g/cm、理論的なEUVの透過率は87%、ラマン測定によるD/G比は1.18、(006)回折線ピーク位置は85.1°、炭素比率は99%以上、膜面方向の電気伝導度は740S/cm、表面は鏡面であり、表面粗さ(Sa)は36nmであった。結果を表1に示す。銅箔と一体化した炭素化を行ない、さらに銅箔をエッチング除去後、さらに高温での炭素化を行なう事により、表面粗さが著しく改善された炭素質膜を得る事が出来た。
(製造例2−8:炭素質膜(B−8)の作製)
製造例2−1において、製造例1−1で得られたポリイミド膜(A−1)に換えて、製造例1−2で得られたポリイミド膜(A−2)を用い、炭素化温度を1000℃(保持時間10分間)とした以外は同様として、炭素質膜を得た。ただし、炭素化は銅箔上に形成されたポリイミド膜を銅箔から剥離する事無く一体で炭素化を行った。炭素化処理後に銅箔をエッチング除去した。1000℃での炭素化後、炭素質膜をグラファイトシートで挟み込み、電気炉を用いて、窒素ガス雰囲気中、5℃/分の速度で2000℃まで昇温し、2000℃で5分間保ったのち自然冷却させ、炭素質膜を得た。得られた炭素質膜をエッチング速度7nm/分のプラズマエッチングにより薄層化した。用いたプラズマは空気プラズマである。プラズマエッチングにより膜厚10nmの炭素質膜(B−8)を得た。
炭素質膜(B−8)の密度は2.08g/cm、理論的なEUVの透過率は95%、ラマン測定によるD/G比は1.18、(006)回折線ピーク位置は85.1°、炭素比率は99%以上、膜面方向の電気伝導度は750S/cm、表面は鏡面であり、表面粗さ(Sa)は30nmであった。結果を表1に示す。銅箔と一体化した炭素化を行ない、さらに銅箔をエッチング除去後、さらに高温での炭素化を行ない、プラズマエッチング処理を行なう事により、表面粗さが著しく改善された、炭素質膜を得る事が出来た。
Figure 2021076620
本発明のペリクルは、EUV露光装置に利用することができる。

Claims (9)

  1. 炭素質膜の厚さが、5nm以上40nm以下であり、炭素質膜の表面粗さSaが0.1nm以上、300nm以下であることを特徴とする、炭素質膜を含むペリクル。
  2. 炭素質膜を含むペリクルであって、
    炭素質膜の厚さが、5nm以上40nm以下であり、
    炭素質膜のラマンスペクトルにおける、DバンドとGバンドとの強度比(Dバンド強度/Gバンド強度)が0.5超、1.6以下であることを特徴とするペリクル。
  3. 炭素質膜を含むペリクルであって、
    炭素質膜の厚さが、5nm以上40nm以下であり、
    炭素質膜の膜面方向の電気伝導度が10S/cm以上、1000S/cm以下であることを特徴とするペリクル。
  4. 炭素質膜を含むペリクルであって、
    炭素質膜の厚さが、5nm以上40nm以下であり、
    炭素質膜の炭素元素比率が90%以上であり、炭素質膜の密度が1.60g/cm3〜2.24g/cm3であることを特徴とするペリクル。
  5. 炭素質膜が、芳香族高分子膜を焼成した炭素質膜である請求項1〜4のいずれか1項に記載のペリクル。
  6. 金属箔上に形成された芳香族高分子膜を該金属箔と一体で焼成する工程を含む事を特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭素質膜を含むペリクルの製造方法。
  7. 前記芳香族高分子膜を焼成した後に、前記金属箔をエッチング除去して炭素質膜を剥離する工程を含む事を特徴とする、請求項6に記載の製造方法。
  8. 金属箔上に芳香族高分子膜を形成し、該金属箔をエッチング除去した後、該芳香族高分子膜を焼成する工程を含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の炭素質膜を含むペリクルの製造方法。
  9. 前記炭素質膜がプラズマエッチングによって薄層化したものである請求項6〜8のいずれか1項に記載の製造方法。
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