JP2021070663A - コーティング組成物、被覆固形製剤、被覆固形製剤の製造方法、コーティング方法 - Google Patents

コーティング組成物、被覆固形製剤、被覆固形製剤の製造方法、コーティング方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の課題は、固形製剤を被覆するためのコーティング組成物において、優れた被覆性能を有するコーティング組成物を提供することである。【解決手段】上記課題を解決するために、シェラック、ヒドロキシプロピルセルロースを含有することを特徴とする、固形製剤を被覆するためのコーティング組成物を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、シェラック、ヒドロキシプロピルセルロースを含有することを特徴とする固形製剤を被覆するためのコーティング組成物に関するものである。また、当該コーティング組成物を用いた固形製剤のコーティング方法に関するものである。当該コーティング組成物で被覆されている被覆固形製剤及びその製造方法に関するものである。
医薬活性成分、栄養補給活性成分、食物成分などの投与方法、摂取方法としては、錠剤、カプセル剤、ペレット剤、顆粒剤などの経口投与が一般的な手段となっている。これらの経口固形製剤は、望ましくない臭い、味、色などのマスキング、防湿性、光安定性、嚥下性、腸溶性などの特長を得るために1つ以上のコーティングが施されている。
コーティング組成物としては、セルロースポリマーなどのポリマーコーティング成分が、コーティング量、物理的抵抗性などの利点から汎用されている。また、コーティング方法としては、コーティング組成物の製剤への噴霧が一般的である。
しかしながら、マスキング、安定性、経済性などの製剤コーティング特性を改善するための従来のコーティング組成物には、製造業者、消費者の要望を十分に満たすものではないという問題が残されている。そこで、効果的、効率的、経済的な新規の経口固形製剤のためのコーティング組成物が所望されている。
経口固形製剤のためのコーティング組成物としては、例えば、特許文献1にはシェラック、デンプングリコール酸ナトリウム、添加剤などを含有するコーティング組成物、特許文献2にはセルロースポリマー、可塑剤、甘味剤、粉末香味組成物などを含有する錠剤コーティング組成物が開示されている。また、特許文献3には、コーティングポリマーなどを含有する溶液を複数層噴霧コーティングする医薬製剤の形成方法が開示されている。
特表2013−532679号公報 特表2011−502132号公報 特表2014−513714号公報
これまで、様々な組成からなる固形製剤のためのコーティング組成物が開発されてきたが、十分な被覆性能を有するものは得られていない。そのため、被覆性能に優れたコーティング組成物が望まれている。
本発明の課題は、固形製剤を被覆するためのコーティング組成物において、優れた被覆性能を有するコーティング組成物を提供することである。
また、本発明の課題は、当該コーティング組成物により被覆された被覆固形製剤及びその製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、シェラック、ヒドロキシプロピルセルロースを含有することによって、被覆性能に優れたコーティング組成物を作製することができるという知見に至り、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[10]を提供する。
[1]シェラック、ヒドロキシプロピルセルロースを含有することを特徴とする、固形製剤を被覆するためのコーティング組成物。
このコーティング組成物によれば、被覆性能に優れたコーティング組成物を提供することができる。また、このコーティング組成物によれば、被覆性能が優れているため、固形製剤に対するコーティング組成物を低減することができる。
[2]シェラックの含有量に対するヒドロキシプロピルセルロースの含有量の比が、0.5以上4.0以下であることを特徴とする、[1]に記載のコーティング組成物。
このコーティング組成物によれば、より被覆性能に優れたコーティング組成物を提供することができる。
[3]固形製剤の表面に、[1]又は[2]に記載のコーティング組成物で被覆されていることを特徴とする、被覆固形製剤。
この被覆固形製剤によれば、被覆性能に優れた被膜を有する被覆固形製剤を提供することができる。
[4]シェラックの含有量が、固形製剤の重量に対して0.2質量%以上0.4質量%以下であることを特徴とする、[3]に記載の被覆固形製剤。
この被覆固形製剤によれば、より被膜性能に優れた被膜を有する被覆固形製剤を提供することができる。
[5]固形製剤が錠剤であることを特徴とする、[3]又は[4]に記載の被覆固形製剤。
この被覆固形製剤によれば、被膜性能に優れた被膜を備える錠剤を提供することができる。また、錠剤に対して、徐放性、バリア性、腸溶性などの機能を付与することができる。
[6]経口で投与又は摂取することを特徴とする、[3]〜[5]のいずれか一項に記載の被覆固形製剤。
この被覆固形製剤によれば、有効成分の徐放性を調整することが可能となり、有効成分の体内利用率を調節することができる。また、腸溶性製剤を提供することもできる。
[7][1]又は[2]に記載のコーティング組成物で固形製剤を被覆することを特徴とする、被覆固形製剤の製造方法。
この被覆固形製剤の製造方法によれば、被覆性能に優れた被膜を有する被覆固形製剤の製造方法を提供することができる。
[8]前記コーティング組成物をエタノール又はエタノールと水の混合溶媒に溶解して、噴霧することにより固形製剤を被覆することを特徴とする、[7]に記載の被覆固形製剤の製造方法。
この被覆固形製剤の製造方法によれば、緻密な被膜で被覆された被覆固形製剤を得ることができる。
[9][1]又は[2]に記載のコーティング組成物で固形製剤を被覆することを特徴とする、固形製剤のコーティング方法。
この固形製剤のコーティング方法によれば、被覆性能に優れたコーティング方法を提供することができる。
本発明によれば、固形製剤を被覆するためのコーティング組成物において、優れた被覆性能を有するコーティング組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、当該コーティング組成物により被覆された被覆固形製剤及びその製造方法を提供することができる。
錠剤の表面を拡大観察した画像(120倍)について示す図である。(A)シェラック及びヒドロキシプロピルセルロースを含むコーティング組成物で被覆処理した錠剤の表面を示す図である。(B)コーティング未処理の錠剤の表面を示す図である。(C)シェラックを含むコーティング組成物で被覆処理した錠剤の表面を示す図である。(D)ヒドロキシプロピルセルロースを含むコーティング組成物で被覆処理した錠剤の表面を示す図である。 錠剤の表面を拡大観察した画像(1000倍)について示す図である。(A)シェラック及びヒドロキシプロピルセルロースを含むコーティング組成物で被覆処理した錠剤の表面を示す図である。(B)コーティング未処理の錠剤の表面を示す図である。(C)シェラックを含むコーティング組成物で被覆処理した錠剤の表面を示す図である。(D)ヒドロキシプロピルセルロースを含むコーティング組成物で被覆処理した錠剤の表面を示す図である。 試験例1の錠剤について、パドル法により溶出試験を行った結果を示した図である。 試験例2の錠剤について、パドル法により溶出試験を行った結果を示した図である。 試験例3の錠剤について、パドル法により溶出試験を行った結果を示した図である。
以下、本発明のコーティング組成物、このコーティング組成物を用いる固形製剤のコーティング方法、このコーティング組成物により被覆された被覆固形製剤、固形製剤のコーティング方法、コーティングされた錠剤及びその製造方法について説明する。
[コーティング組成物]
本発明のコーティング組成物は、固形製剤を被覆するためのコーティング組成物であって、シェラック及びヒドロキシプロピルセルロースを含有することを特徴とするものである。
まず、本発明で用いるコーティング組成物に含有する成分について、詳細に説明する。
(シェラック)
シェラックは、樹木、果樹などに寄生するラックカイガラムシ(Laccifer lacca)及びその近縁の数種のカイガラムシが分泌する分子量約1kDaの天然樹脂状オリゴマーの精製物である。シェラックは、主にシェロリン酸、アロイリット酸などの樹脂成分、及び少量の脂肪酸、色素成分などから構成され、ラックカイガラムシの種、寄生する植物に応じて組成が変動する。
また、シェラックは、薄膜形成性、光沢、水分やガスに対する低透過性などの特性から、経口固形製剤などのコーティングに用いられている。
本発明で用いるシェラックは、特に限定されるものではなく、例えば、塩の形態でもよい。シェラック塩の具体例としては、例えば、カリウム塩、アンモニウム塩、アルギニンやリシンなどの塩基性アミノ酸塩などが挙げられる。
また、これらのシェラック、シェラック塩は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
コーティング組成物におけるシェラックの含有量は、特に限定されるものではなく、例えば1質量%以上99質量%以下である。下限値としては、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上である。一方、上限値としては、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下であり、更に好ましくは70質量%以下である。
コーティング組成物におけるシェラックの含有量を上記範囲とすることにより、被覆性能に優れたコーティング組成物を提供するという本発明の効果がより発揮される。
(ヒドロキシプロピルセルロース)
ヒドロキシプロピルセルロース(以下、「HPC」とも記載する。)は、セルロースの水酸基の一部がエーテル化してヒドロキシプロピル基が結合した非イオン性高分子である。
本発明で用いるヒドロキシプロピルセルロースのヒドロキシプロピル基の結合数、分子量は、特に限定されるものではない。
また、ヒドロキシプロピルセルロースは、同一のものを単独で配合してもよいし、ヒドロキシルプロピル基の結合数、分子量の異なるものを二種以上組み合わせて配合してもよい。
ヒドロキシプロピルセルロースの粘度は、特に限定されるものではなく、例えば20℃における2質量%水溶液において2mPa・s以上6000mPa・s以下である。下限値としては、例えば、3mPa・s以上、6mPa・s以上、150mPa・s以上、1000mPa・s以上、4000mPa・s以上などが挙げられる。一方、上限値としては、例えば、4000mPa・s以下、400mPa・s以下、10mPa・s以下、6mPa・s以下、3mPa・s以下などが挙げられる。
なお、ヒドロキシプロピルセルロースの粘度は、第十七改正日本薬局方に記載の毛細管粘度計法により測定できる。
ヒドロキシプロピルセルロースの粘度が2mPa・s以上では、セルロースの重合度が高いことから被膜の強度を向上するという効果がある。一方、ヒドロキシプロピルセルロースの粘度が6000mPa・s以下では、コーティング組成物の粘度を低下することができるため、塗布性能に優れるという効果がある。
コーティング組成物におけるヒドロキシプロピルセルロースの含有量は、例えば1質量%以上99質量%以下である。下限値としては、好ましくは5質量%以上であり、より好ましくは20質量%以上であり、更に好ましくは30質量%以上である。一方、上限値としては、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは80質量%以下である。
コーティング組成物におけるヒドロキシプロピルセルロースの含有量を上記範囲とすることにより、被覆性能に優れたコーティング組成物を提供するという本発明の効果がより発揮される。
コーティング組成物におけるシェラックの含有量に対するヒドロキシプロピルセルロースの含有量の比(ヒドロキシプロピルセルロース/シェラック)は、特に限定されるものではなく、例えば、0.1以上10以下である。下限値としては、好ましくは0.5以上である。一方、上限値としては、好ましくは8.0以下であり、より好ましくは4.0以下である。
コーティング組成物におけるシェラックとヒドロキシプロピルセルロースの含有量の比を上記範囲とすることにより、被覆性能に優れたコーティング組成物を提供するという本発明の効果がより発揮される。
(その他の成分)
本発明のコーティング組成物は、シェラック、ヒドロキシプロピルセルロース以外に、必要に応じて他の成分を含有してもよい。添加する成分の具体例としては、例えば、ゼイン、可塑剤、香味物質、着色剤などが挙げられる。
ゼインは、トウモロコシタンパク質の一種で、アルコールにより抽出されるものである。ゼインを添加することにより、被膜の強度を高めることができる。また、水分に対するバリア性や、有効成分の徐放性、腸溶性などの機能を向上することができる。
可塑剤は、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、グリセロール、ポリオール、クエン酸トリエチル、アセチルモノグリセリド、ブチルフタリルブチルグリコレート、酒石酸ジブチル、プロピレングリコール、モノステアリン酸グリセロール、トリプロピオイン、ジアセチン、クエン酸、多価アルコール、中鎖脂肪酸油、菜種油などの植物油などが挙げられる。また、ポリエチレングリコールの分子量としては、例えば、4000以上20000以下である。ポリエチレングリコールの具体例としては、例えば、PEG6000、PEG8000などが挙げられる。これらの可塑剤は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
可塑剤を添加することにより、コーティング組成物の柔軟性を調節し、塗布性能を向上することができる。
香味物質は、例えば、スペアミント油、ペパーミント油、シナモン油、果実エッセンス、ベンズアルデヒド、ネラール、デカナール、トリルアルデヒド、2−ドデナール、アルデヒドC−8、アルデヒドC−9、アルデヒドC−12、2,6−ジメチルオクタナールなどが挙げられる。また、これらの香味物質は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
香味物質を添加することにより、コーティング組成物で被覆された被覆固形製剤を飲みやすくするなどの効果を奏する。
着色剤は、例えば、コチニール、カルミン、クルクミン、リボフラビン、アンナット、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、タルク、焼成シリカ、炭酸マグネシウム、食用青色1号、食用青色2号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号などの食用合成着色料などが挙げられる。また、これらの着色剤は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
着色剤を添加することにより、コーティング組成物で被覆された被覆固形製剤を着色し、被覆固形製剤の嗜好性や識別性を高めることができる。
また、本発明のコーティング組成物を塗布するための形態は、特に限定されるものではなく、例えば、粉末、溶液、懸濁液でもよい。溶液の形態とする場合には、エタノールと水の混合溶媒に溶解したエタノール水溶液であることが好ましい。
なお、上記のコーティング組成物中の各成分の含有量についての記載は、固形分としての含有量を示している。
[コーティング方法]
本発明のコーティング方法は、本発明のコーティング組成物で固形製剤を被覆することを特徴とするものである。この固形製剤のコーティング方法によれば、被覆性能に優れたコーティング方法を提供することができる。
本発明のコーティング方法の具体的手段は、特に限定されないが、例えば、以下の工程を含む。
工程(I):コーティング組成物を溶解又は分散した塗布液を準備する工程。
工程(II):塗布液を固形製剤に塗布する工程。
工程(III):固形製剤を乾燥する工程。
工程(I)は、本発明のコーティング組成物を溶解又は分散した塗布液を準備する工程である。塗布液は、コーティング組成物が溶解した溶液であることが好ましい。溶液とすることにより、緻密な被膜を形成することができる。
コーティング組成物を溶解又は分散するための液体としては、特に制限されないが、エタノールなどのアルコールや、水や、ヘキサン、酢酸エチル、イソプロピルアルコールなどの有機溶媒などが挙げられる。コーティング組成物を溶解しやすいという観点から、エタノール、又は、水とエタノールを混合したエタノール水溶液が好ましい。
溶媒としてのエタノール水溶液におけるエタノールの含有量は、特に制限されないが、例えば60〜99体積%であり、下限値としては、好ましくは70体積%であり、より好ましくは80体積%である。
塗布液におけるコーティング組成物の含有量は、特に限定されるものではなく、例えば0.1質量%以上90質量%以下である。下限値としては、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは3質量%以上であり、更に好ましくは5質量%であり、特に好ましくは10質量%以上である。一方、上限値としては、好ましくは70質量%以下であり、より好ましくは50質量%であり、更に好ましくは40質量%以下であり、特に好ましくは30質量%以下である。
塗布液におけるコーティング組成物の含有量をこの範囲とすることにより、固形製剤の表面に薄く均一な被膜を形成することができる。
工程(II)は、塗布液を固形製剤に塗布する工程である。塗布する手段としては、特に制限されないが、例えば、噴霧器などを用いて塗布液を固形製剤の表面に噴霧することにより塗布する手段、塗布液を固形製剤の表面にかけ流すことにより塗布する手段、塗布液に固形製剤を浸漬することにより塗布する手段、刷毛などの塗布具を用いて塗布液を固形製剤の表面に塗布する手段などが挙げられる。
薄膜で緻密な被膜を形成することができることから、塗布液を固形製剤の表面に噴霧することにより塗布する手段が好ましい。
工程(III)は、塗布液を塗布した固形製剤を乾燥する工程である。乾燥する手段としては、特に制限されないが、例えば、加熱により乾燥する手段や、除湿した空気により乾燥する手段、自然乾燥により乾燥する手段などが挙げられる。
乾燥時間を短縮化できるという観点から、加熱により乾燥する手段や、除湿した空気により乾燥する手段が好ましい。特に好ましくは、除湿及び加熱した空気により乾燥する手段である。
本発明のコーティング方法は、特に限定されるものではなく、例えば、パンコーティング法、流動コーティング法、転動コーティング法などの従来公知のコーティング手段を用いることができる。これらのコーティング方法で用いるパンコーティング装置、ドラムタイプコーティング装置などに付帯する噴霧装置は、エアースプレー型であってもよいし、エアレススプレー型などでもよい。
[被覆固形製剤]
本発明の被覆固形製剤は、固形製剤の表面に、本発明のコーティング組成物で被覆されていることを特徴とする。すなわち、本発明の被覆固形製剤は、固形製剤と、その表面に本発明のコーティング組成物の被膜を備えるものである。この被覆固形製剤によれば、被覆性能に優れた被膜を有する被覆固形製剤を提供することができる。
固形製剤の重量に対するコーティング組成物の含有量は、特に限定されるものではなく、固形製剤重量100質量%に対するコーティング組成物の重量として、好ましくは0.02質量%以上30質量%以下である。下限値としては、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.2質量%以上である。一方、上限値としては、より好ましくは10質量%以下であり、更に好ましくは5質量%以下であり、特に好ましくは2質量%以下である。
固形製剤の重量に対するコーティング組成物の含有量を上記範囲となるように調製することで、より被膜性能に優れた被膜を有する被覆固形製剤を提供することができる。
固形製剤の重量に対するシェラックの含有量は、特に限定されるものではなく、固形製剤重量100質量%に対するシェラックの重量として、好ましくは0.01質量%以上15質量%以下である。下限値としては、より好ましくは0.1質量%以上であり、更に好ましくは0.2質量%以上である。一方、上限値としては、好ましくは5質量%以下であり、より好ましくは2.5質量%以下であり、更に好ましくは1質量%以下であり、特に好ましくは0.4質量%以下である。
固形製剤の重量に対するシェラックの含有量を上記範囲となるように調製することで、より被膜性能に優れた被膜を有する被覆固形製剤を提供することができる。
また、本発明の被覆固形製剤は、経口で投与又は摂取することが好ましい。本発明の被覆固形製剤によれば、有効成分の徐放性を調整することが可能となり、有効成分の体内利用率を調節することができる。また、腸溶性製剤を提供することもできる。
(固形製剤)
固形製剤は、本発明のコーティング組成物で被覆されるものであれば、どのような物品でもよく、大きさや形状は限定されない。例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、丸剤、トローチ剤、カプセル剤などが挙げられる。被膜を形成しやすいという観点から、錠剤であることが好ましい。
錠剤の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、円形錠、楕円形錠、花形錠などが挙げられる。また、錠剤は、必要に応じて2分割、4分割するための1本から2本の割線を設けることができる。
錠剤の大きさは、特に限定されるものではなく、好ましくは直径が3mm以上25mm以下である。下限値としては、より好ましくは4mm以上であり、更に好ましくは5mm以上であり、特に好ましくは6mm以上である。一方、上限値としては、より好ましくは20mm以下であり、更に好ましくは15mm以下であり、特に好ましくは10mm以下である。
錠剤の厚さは、特に限定されるものではなく、好ましくは1.0mm以上10mm以下である。下限値としては、より好ましくは1.5mm以上であり、更に好ましくは2.0mm以上であり、特に好ましくは2.5mm以上である。一方、上限値としては、より好ましくは8mm以下であり、更に好ましくは6mm以下である。
錠剤の大きさ、厚さを上記範囲とすることにより、服用のしやすい製剤とすることができる。
固形製剤には、必要に応じて、有効成分や、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑択剤、安定剤、保存剤、流動化剤、着色剤などの添加剤を配合してもよい。
有効成分は、特に限定されるものではなく、例えば、医薬品、医薬部外品、OTC医薬品、漢方薬、生薬、化粧品、健康食品、サプリメント、動物用医薬品などに用いられる医薬成分、機能性成分などである。
医薬成分、機能性成分の具体例としては、例えば、脂質調整剤、抗糖尿病剤、食欲抑制剤、降圧剤、血管拡張剤、βアドレナリン受容体遮断薬、強心イオンチャンネル剤、不整脈治療剤、抗凝血剤、止血剤、抗炎症剤、鎮痛剤、抗アレルギー剤、免疫抑制剤、コルチコステロイド、ステロイド、抗腫瘍剤、交感神経刺激剤、副交感神経刺激剤、抗ムスカリン様作動剤、ドーパミン作動剤、止痢剤、制吐剤、鎮静剤、収斂剤、精神安定剤、抗鬱剤、抗癲癇剤、抗不安剤、催眠剤、覚醒剤、気管支拡張剤、鎮咳剤、利尿薬、筋肉弛緩剤、ビスホスホネート、抗生物質、抗ウイルス剤、診断用剤、画像診断用剤、放射線薬剤、ラピジン、ノビレチン、スルフォラファン、アンペロプシン、クルクミン類、レスベラトロール類、ゲラニオール、オサジン、イソリキリチゲニン、ヒドロキシチロソール、25−ヒドロキシコレカルシフェロール、コエンザイムQ−10、S−アデノシルメチオニン、アントシアニン、アスコルビン酸2−グルコシド、プロテオグリカン、N−アセチルグルコサミン、コラーゲン、ビルベリーエキス、ニンジン末、ゴカヒ、カンゾウ、シャクヤク、ケイヒ、ウイキョウ、シュクシャ、ビフィズス菌、乳酸菌、ビタミンAやビタミンB、ビタミンCなどのビタミン、カルシウムやマグネシウム、鉄などのミネラル、ポリデキストロースなどの食物繊維、脂肪酸、ポリフェノール、タンパク質、アミノ酸、オリゴ糖、レシチン、カロテノイド、クロロフィルなどが挙げられる。また、これらの医薬成分、機能性成分は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
賦形剤は、特に限定されるものではなく、例えば、微結晶セルロース、乳糖、白糖、マンニトール、グルコース、デンプン、リン酸カルシウム、硫酸カルシウムなどが挙げられる。また、これらの賦形剤は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。賦形剤を添加することにより、有効成分のかさを調節することができる。
結合剤は、特に限定されるものではなく、例えば、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、グルコース、白糖、乳糖、麦芽糖、デキストリン、ソルビトール、マンニトール、マクロゴール、パラフィン、アラビアゴム、ゼラチン、寒天、デンプン、プルランなどが挙げられる。また、これらの結合剤は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。結合剤を添加することにより、粉末成分に結合力を与え、安定な固形製剤を製造することができる。
崩壊剤は、特に限定されるものではなく、例えば、トウモロコシデンプン、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、クロスポリビニルピロリドン、アルギン酸塩などが挙げられる。また、これらの崩壊剤は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。崩壊剤を添加することにより、固形製剤の崩壊を促進し、吸収性を向上させることができる。
滑沢剤は、特に限定されるものではなく、例えば、タルク、コロイダルシリカ、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、炭酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、パルミチン酸、ステアリルフマル酸ナトリウム、ワックス類、硬化植物油、脂肪、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。また、これらの滑沢剤は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。滑沢剤を添加することにより、錠剤の製造時に、スティッキングなどの打錠障害の発生を抑制することができる。
安定剤は、特に限定されるものではなく、例えば、亜硫酸水素ナトリウム、アスコルビン酸、エデト酸ナトリウム、トコフェロールなどが挙げられる。また、これらの安定剤は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。安定剤は、有効成分の化学的、物理的分解を抑制するために添加する成分である。
保存剤は、特に限定されるものではなく、例えば、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル類、メチルパラベン、プロピルパラベンなどが挙げられる。また、これらの保存剤は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。保存剤は、微生物の増殖を防ぐために添加する成分である。
流動化剤は、特に限定されるものではなく、例えば、含水二酸化ケイ素、軽質無水ケイ酸、酸化チタンなどが挙げられる。また、これらの流動化剤は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。流動化剤は、製剤の流動性を調節するために添加する成分である。
着色剤は、特に限定されるものではなく、例えば、コチニール、カルミン、クルクミン、リボフラビン、アンナット、酸化チタン、黄色三二酸化鉄、三二酸化鉄、タルク、焼成シリカ、炭酸マグネシウム、食用青色1号、食用青色2号、食用黄色4号、食用黄色5号、食用緑色3号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、食用赤色104号、食用赤色105号、食用赤色106号などの食用合成着色料などが挙げられる。また、これらの着色剤は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。着色剤は、製剤の嗜好性、識別性を高めるために添加する成分である。
その他の添加剤としては、溶解補助剤、界面活性剤、乳化剤、抗酸化剤、光沢化剤、発泡剤、防湿剤、防腐剤、甘味剤、矯味剤、清涼化剤、着香剤、香料、芳香剤、崩壊補助剤などが挙げられる。また、これらの添加剤は、単独で配合してもよいし、二種以上を組み合わせて配合してもよい。
(被膜)
被膜は、固形製剤の表面に、本発明のコーティング組成物が塗布されることにより形成された膜部分である。
被覆固形製剤における被膜の膜厚は、特に限定されるものではなく、好ましくは1μm以上1000μm以下である。下限値としては、より好ましくは3μm以上であり、更に好ましくは5μm以上であり、特に好ましくは10μm以上である。一方、上限値としては、より好ましくは500μm以下であり、更に好ましくは200μm以下であり、特に好ましくは100μm以下である。
被膜の膜厚を上記範囲とすることにより、苦みのマスキング、遮光性など目的とするコーティング特性を効果的に付与することができる。
なお、コーティング層の膜厚の測定は、走査型電子顕微鏡を用いた製剤の破断面における画像に基づいて行うことができる。
また、本発明の被覆固形製剤は、被膜の下層又は上層に、別の被膜を形成してもよい。別の被膜としては、例えば、糖衣、ゼラチン被膜、腸溶性被膜などが挙げられる。
[被覆固形製剤の製造方法]
本発明の被覆固形製剤の製造方法は、本発明のコーティング組成物で固形製剤を被覆することを特徴とする。
なお、被覆固形製剤の製造方法は、本発明のコーティング方法と同様の工程を備えるが、この工程については、上記のコーティング方法の説明と重複するためここでは説明を省略する。
以下、本発明の実施例について述べるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において様々な変形が可能である。
(経口固形製剤の製造)
経口固形製剤として、以下のとおりビルベリーを13質量%含有する錠剤を製造した。
ビルベリーエキス(ビルベリーカンソウエキスET、Indena S.p.A.社製)39g、結晶セルロースなどの賦形剤261gを10分間混合し、打錠用粉末とした。
素錠は、前記打錠用粉末を、ロータリー式打錠機(AP−15、畑鐵工所社製)を用いて打錠することで、直径約8mm、厚さ約5mm、重さ300mgとして得た。
塗布液は、試験例1〜4に記載の比率でシェラック、ヒドロキシプロピルセルロースをエタノールに溶解混合して調製した。
フィルムコーティング錠剤は、パンコーティング装置(DRIACOATER DRC−200、パウレック社製)に前記素錠を200g投入して、給気温度40℃、パン回転数12rpmの条件下で、排気温度30℃となるように前記塗布液を噴霧し、コーティングすることにより製造した。
(走査型電子顕微鏡を用いた観察試験)
観察試験は、錠剤の表面形態を走査型電子顕微鏡(Scanning electron microscope S−3400N、日立ハイテクノロジー社製)で観察することにより行った。図1、図2は、それぞれ錠剤の表面を120倍、1000倍で拡大観察した画像を示している。
(官能試験)
官能試験は、5人の訓練されたパネラーが錠剤を経口摂取することにより感じるビルベリー成分による酸味の強度を以下の基準で点数化することにより行った。
5:全く酸味を感じなかった。
4:ほとんど酸味を感じなかった。
3:あまり酸味を感じなかった。
2:少し酸味を感じた。
1:酸味を感じた。
マスキング力の評価は、官能試験の平均点が4.0以上であれば「◎」、3.0以上4.0未満であれば「○」、2.0以上3.0未満であれば「△」、2.0未満であれば「×」とした。
(溶出試験)
溶出試験は、錠剤を100mLの水に投入して、37℃、100rpmの条件下で、撹拌子を用いて撹拌することにより行った。測定試料は、試験開始0分後、3分後、5分後、7分後、10分後、15分後、20分後、30分後、40分後、50分後、60分後に溶出試験液から200μLを採取した。
測定試料に含まれる錠剤から溶出したアントシアニンの溶出濃度は、吸光光度計(Microplate reader VERSA max、Molecular Devices社製)を用いて、530nmの吸光度から算出した。
<試験例1>
シェラック及びヒドロキシプロピルセルロースを配合したコーティング組成物の作用効果を確認するために、以下の特徴を有する錠剤について、走査型電子顕微鏡を用いた観察試験、官能試験、溶出試験を行った。
[実施例1]
シェラックとヒドロキシプロピルセルロースの配合比率が1:1のコーティング組成物によって、錠剤に対してシェラック0.25質量%、ヒドロキシプロピルセルロース0.25質量%の含有量で単層コーティングした錠剤を用いた。
[比較例1]
コーティング未処理の錠剤を用いた。
[比較例2]
シェラックを単独で配合したコーティング組成物によって、錠剤に対してシェラック0.25質量%の含有量で単層コーティングした錠剤を用いた。
[比較例3]
ヒドロキシプロピルセルロースを単独で配合したコーティング組成物によって、錠剤に対してヒドロキシプロピルセルロース0.25質量%の含有量で単層コーティングした錠剤を用いた。
[比較例4]
シェラックを単独で配合したコーティング組成物によって、錠剤に対してシェラック0.25質量%の含有量でコーティングした第1のコーティング層、及びヒドロキシプロピルセルロースを単独で配合したコーティング組成物によって、錠剤に対してヒドロキシプロピルセルロース0.25質量%の含有量でコーティングした第2のコーティング層で2層コーティングした錠剤を用いた。
[比較例5]
ヒドロキシプロピルセルロースを単独で配合したコーティング組成物によって、錠剤に対してヒドロキシプロピルセルロース0.25質量%の含有量でコーティングした第1のコーティング層、及びシェラックを単独で配合したコーティング組成物によって、錠剤に対してシェラック0.25質量%の含有量でコーティングした第2のコーティング層で2層コーティングした錠剤を用いた。
図1は、実施例1、比較例1〜3の錠剤表面について120倍の拡大観察した画像を示したものである。図2は同様に錠剤表面について1000倍の拡大観察した画像を示したものである。実施例1のシェラック及びヒドロキシプロピルセルロースを含有するコーティング組成物(A)でコーティングした錠剤は、比較例2のシェラックを単独で含有するコーティング組成物(C)、比較例3のヒドロキシプロピルセルロースを単独で含有するコーティング組成物(D)でコーティングした錠剤よりも、錠剤表面全体が効果的にコーティングされ、滑らかであることがわかった。なお、比較例1のコーティングされていない錠剤(B)では、錠剤表面に大小の凹凸が多数確認された。
次に、各実施例及び各比較例について、官能評価の結果を表1に示す。
Figure 2021070663
なお、表中の「SHL」はシェラック、「HPC」はヒドロキビプロピルセルロースを示す。以下同様である。
官能試験の結果である表1において、実施例1、比較例1〜3を比較すると、シェラック及びヒドロキシプロピルセルロースを併用することにより、効果的なマスキング作用が顕著に発揮されることがわかった。
また、実施例1、比較例4、5を比較すると、シェラック及びヒドロキシプロピルセルロースを混合した単層でのコーティングは、シェラック又はヒドロキシプロピルセルロースを単独で含有するコーティング組成物での2層コーティングよりも、高いマスキング作用を発揮することがわかった。このことは、製造工程の効率化に資することから経済的にも有利である。
溶出試験の結果である図3において、実施例1、比較例1、4、5を比較すると、シェラック及びヒドロキシプロピルセルロースを混合して単層でコーティングすることにより、水への溶出を顕著に抑制できることがわかった。
なお、図中の黒色丸が実施例1、白色丸が比較例1、白色四角が比較例4、灰色四角が比較例5を表す。
試験例1では、シェラック及びヒドロキシプロピルセルロースを配合したコーティング組成物(実施例1)は、シェラック又はヒドロキシプロピルセルロースを単独で配合したコーティング組成物よりも顕著なコーティング力を発揮することが明らかとなった。
<試験例2>
コーティング組成物のコーティング作用における含有量の影響を確認するために、以下の特徴を有する錠剤について、官能試験、溶出試験を行った。
[錠剤1]
シェラックとヒドロキシプロピルセルロースの配合比率が1:1のコーティング組成物によって、錠剤に対してシェラック0.2質量%、ヒドロキシプロピルセルロース0.2質量%の含有量で単層コーティングした錠剤を用いた。
[錠剤2]
シェラックとヒドロキシプロピルセルロースの配合比率が1:1のコーティング組成物によって、錠剤に対してシェラック0.25質量%、ヒドロキシプロピルセルロース0.25質量%の含有量で単層コーティングした錠剤を用いた。
[錠剤3]
シェラックとヒドロキシプロピルセルロースの配合比率が1:1のコーティング組成物によって、錠剤に対してシェラック0.3質量%、ヒドロキシプロピルセルロース0.3質量%の含有量で単層コーティングした錠剤を用いた。
次に、各錠剤について、官能評価の結果を表2に示す。
Figure 2021070663
官能試験の結果である表2において、錠剤1〜3を比較すると、シェラック及びヒドロキシプロピルセルロースの含有量を錠剤に対して各々0.2質量%以上とすることにより、マスキング効果が十分に発揮されることがわかった。
溶出試験の結果である図4において、錠剤1〜3を比較すると、シェラック及びヒドロキシプロピルセルロースの含有量を錠剤に対して各々0.2質量%以上とすることにより、水への溶出を顕著に抑制できることがわかった。
なお、図中の白色四角が錠剤1、灰色四角が錠剤2、黒色四角が錠剤3、白色丸がコーティング未処理の錠剤を表す。
試験例2では、コーティング組成物に配合したシェラック及びヒドロキシプロピルセルロースを錠剤に対して各々0.2質量%以上含有させることにより、顕著なコーティング力を発揮することが明らかとなった。
<試験例3>
コーティング組成物のコーティング作用におけるシェラック、ヒドロキシプロピルセルロースの配合比の影響を確認するために、以下の特徴を有する錠剤について、官能試験、溶出試験を行った。
[錠剤1]
シェラックとヒドロキシプロピルセルロースの配合比率が2:1のコーティング組成物によって、錠剤に対してシェラック0.25質量%、ヒドロキシプロピルセルロース0.125質量%の含有量で単層コーティングした錠剤を用いた。
[錠剤2]
シェラックとヒドロキシプロピルセルロースの配合比率が1:1のコーティング組成物によって、錠剤に対してシェラック0.25質量%、ヒドロキシプロピルセルロース0.25質量%の含有量で単層コーティングした錠剤を用いた。
[錠剤3]
シェラックとヒドロキシプロピルセルロースの配合比率が1:2のコーティング組成物によって、錠剤に対してシェラック0.25質量%、ヒドロキシプロピルセルロース0.5質量%の含有量で単層コーティングした錠剤を用いた。
[錠剤4]
シェラックとヒドロキシプロピルセルロースの配合比率が1:4のコーティング組成物によって、錠剤に対してシェラック0.25質量%、ヒドロキシプロピルセルロース1.0質量%の含有量で単層コーティングした錠剤を用いた。
次に、錠剤について、官能評価の結果を表3に示す。
Figure 2021070663
官能試験の結果である表3において、錠剤1〜4を比較すると、シェラックの配合量に対して、0.5〜4倍量のヒドロキシプロピルセルロースを配合することにより、マスキング効果が十分に発揮されることがわかった。特に、シェラックとヒドロキシプロピルセルロースの配合比を等量とすることで顕著なマスキング効果を得られることが示された。
溶出試験の結果である図5において、錠剤1〜4を比較すると、シェラックの配合量に対して、0.5〜4倍量のヒドロキシプロピルセルロースを配合することにより、水への溶出を十分に抑制できることがわかった。特に、シェラックとヒドロキシプロピルセルロースの配合比を等量とすることで顕著な溶出抑制効果を得られることが示された。
なお、図中の黒色丸が錠剤1、白色四角が錠剤2、灰色四角が錠剤3、黒色四角が錠剤4、白色丸がコーティング未処理の錠剤を表す。
試験例3では、コーティング組成物に配合するシェラック及びヒドロキシプロピルセルロースの配合量を等量とすることにより、顕著なコーティング力を発揮することが明らかとなった。
以上のことから、本発明のコーティング組成物は、シェラック及びヒドロキシプロピルセルロースを配合したコーティング組成物を用いて単層コーティングとし、シェラックを錠剤に対して0.2質量%以上とすることで、効果的、効率的、経済的にコーティング力を発揮することが示された。また、コーティング効果は、シェラックとヒドロキシプロピルセルロースを2:1〜1:4で配合することにより顕著に高まることが明らかとなった。
本発明によって、錠剤、散剤、カプセル剤など広範な剤形を有する固形製剤を効果的にコーティングすることができる。これにより、被覆性能に優れた被膜を有する被覆固形製剤の製造方法を提供することができる。

Claims (9)

  1. シェラック、ヒドロキシプロピルセルロースを含有することを特徴とする、固形製剤を被覆するためのコーティング組成物。
  2. シェラックの含有量に対するヒドロキシプロピルセルロースの含有量の比が、0.5以上4.0以下であることを特徴とする、請求項1に記載のコーティング組成物。
  3. 固形製剤の表面に、請求項1又は2に記載のコーティング組成物で被覆されていることを特徴とする、被覆固形製剤。
  4. シェラックの含有量が、固形製剤の重量に対して0.2質量%以上0.4質量%以下であることを特徴とする、請求項3に記載の被覆固形製剤。
  5. 固形製剤が錠剤であることを特徴とする、請求項3又は4に記載の被覆固形製剤。
  6. 経口で投与又は摂取することを特徴とする、請求項3〜5のいずれか一項に記載の被覆固形製剤。
  7. 請求項1又は2に記載のコーティング組成物で固形製剤を被覆することを特徴とする、被覆固形製剤の製造方法。
  8. 前記コーティング組成物をエタノール又はエタノールと水の混合溶媒に溶解して、噴霧することにより固形製剤を被覆することを特徴とする、請求項7に記載の被覆固形製剤の製造方法。
  9. 請求項1又は2に記載のコーティング組成物で固形製剤を被覆することを特徴とする、固形製剤のコーティング方法。


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