JP2021069409A - 角膜内皮撮像装置および画像の順位設定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】異なる撮像期間に撮像された複数の撮像画像の各々から、同じ位置が撮像された画像を選択できる可能性を向上させる技術の提供。【解決手段】スリット光束を被検眼に対して斜めから照射する照明光源を含む照明光学系と、被検眼の角膜からの反射光束を受光して角膜像を撮像する撮像素子を含む撮像光学系と、照明光学系および撮像光学系を一体として被検眼に対する距離を変更する距離変更部と、被検眼に対する距離が異なる複数の位置において撮像素子に撮像された複数の撮像画像の各々に対して、座標情報を対応付ける座標対応部と、撮像期間の間に撮像された複数の撮像画像について、座標情報に基づいて、撮像光学系が角膜内皮に合焦する状態における撮像位置と撮像画像が撮像された撮像位置との距離を少なくとも1つの序列基準として、優先順位を設定する順位設定部と、を備える、角膜内皮撮像装置を構成する。【選択図】図3
Description
本発明は、角膜内皮撮像装置および画像の順位設定方法に関する。
従来から、眼疾患の有無判断や眼の術後経過の診断などに際して、角膜、特に角膜内皮の細胞状態を観察することが行われている。
このような角膜内皮の細胞状態を観察するに際して、非接触で被検眼における角膜内皮を撮像する角膜内皮撮像装置が知られている。例えば、特許文献1には、照明光学系によりスリット状の照明光を被検眼の角膜に斜めから照射して、角膜からの反射光を撮像光学系で受光して角膜内皮を撮像する角膜内皮撮像装置が開示されている。
疾患による角膜内皮の経時変化の観察や手術前後における角膜内皮の比較は、角膜内皮において着目した部位がぶれなく撮像された画像を用いて行われることが望ましい。しかし、従来の角膜内皮撮像装置においては、異なる撮像期間に撮像された複数の撮像画像の各々から、同じ位置が撮像された画像を選択することについて、十分に考慮されていなかった。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、異なる撮像期間に撮像された複数の撮像画像の各々から、同じ位置が撮像された画像を選択できる可能性を向上させる技術の提供を目的とする。
本発明は、前記課題にかんがみてなされたもので、異なる撮像期間に撮像された複数の撮像画像の各々から、同じ位置が撮像された画像を選択できる可能性を向上させる技術の提供を目的とする。
上記の目的を達成するため、角膜内皮撮像装置は、スリット光束を被検眼に対して斜めから照射する照明光源を含む照明光学系と、スリット光束による被検眼の角膜からの反射光束を受光して角膜像を撮像する撮像素子を含む撮像光学系と、照明光学系および撮像光学系を一体として被検眼に対する距離を変更する距離変更部と、被検眼に対する距離が異なる複数の位置において撮像素子に撮像された複数の撮像画像の各々に対して、撮像位置を示す座標情報を対応付ける座標対応部と、予め設定された撮像期間の間に撮像された複数の撮像画像の各々について、座標情報に基づいて、撮像光学系が角膜内皮に合焦する状態における撮像位置と撮像画像が撮像された撮像位置との距離を少なくとも1つの序列基準として、優先順位を設定する順位設定部と、を備える。
また、上記の目的を達成するため、画像の順位設定方法は、スリット光束を被検眼に対して斜めから照射する照明光源を含む照明光学系と、スリット光束による被検眼の角膜からの反射光束を受光して角膜像を撮像する撮像素子を含む撮像光学系と、照明光学系および撮像光学系を一体として被検眼に対する距離を変更する距離変更部と、を備える角膜内皮撮像装置を用いた画像の順位設定方法であって、被検眼に対する距離が異なる複数の位置において撮像素子に撮像された複数の撮像画像の各々に対して、撮像位置を示す座標情報を対応付ける座標対応付工程と、予め設定された期間の間に撮像された複数の撮像画像の各々について、期間において撮像光学系が角膜内皮に合焦する状態における撮像位置と撮像画像が撮像された撮像位置との距離を少なくとも1つの序列基準として、優先順位を設定する順位設定工程と、を備える。
すなわち、上述の角膜内皮撮像装置および画像の順位設定方法においては、異なる撮像期間において複数の撮像画像が撮像されている場合、異なる撮像期間において撮像された複数の撮像画像の各々には、優先順位が設定されている。したがって、それら複数の撮像画像の各々から優先順位が最も高い撮像画像が選択される場合、選択された各々の撮像画像は、角膜内皮に対する合焦の度合いが高い撮像画像であって、かつ、似通った座標情報が対応付けられた撮像画像が選択される可能性が高い。すなわち、異なる撮像期間に撮像された複数の撮像画像の各々から、同じ位置が撮像された画像を選択できる可能性を向上させることができる。また、角膜内皮に対する合焦の度合いが高い画像を選択する可能性を高めることもできる。
また、上記の目的を達成するため、角膜内皮撮像装置は、スリット光束を被検眼に対して斜めから照射する照明光源を含む照明光学系と、スリット光束による被検眼の角膜からの反射光束を受光して角膜像を撮像する撮像素子を含む撮像光学系と、照明光学系および撮像光学系を一体として被検眼に対する距離を変更する距離変更部と、被検眼に対する距離が異なる複数の位置において撮像素子に撮像された複数の撮像画像の各々に対して、撮像位置を示す座標情報を対応付ける座標対応部と、第1の撮像期間に撮像された複数の撮像画像である第1撮像画像と第2の撮像期間に撮像された複数の撮像画像である第2撮像画像との各々から、少なくとも座標情報を類似の判定基準として、類似の撮像画像を抽出する類似抽出部と、を備える。
すなわち、上述の角膜内皮撮像装置においては、異なる撮像期間において撮像された複数の撮像画像の各々から、似通った座標情報が対応付けられた撮像画像を、類似の撮像画像として、抽出することができる。
また、上記の目的を達成するため、角膜内皮撮像装置は、スリット光束を被検眼に対して斜めから照射する照明光源を含む照明光学系と、スリット光束による被検眼の角膜からの反射光束を受光して角膜像を撮像する撮像素子を含む撮像光学系と、照明光学系および撮像光学系を一体として被検眼に対する距離を変更する距離変更部と、被検眼に対する距離が異なる複数の位置において撮像素子に撮像された複数の撮像画像の各々に対して、撮像位置を示す座標情報を対応付ける座標対応部と、を備え、撮像光学系は、予め設定された撮像期間の間に撮像された複数の撮像画像のうち対象となる1枚の撮像画像に対応付けられた座標情報が示す撮像位置において角膜像を撮像する。
すなわち、上述の角膜内皮撮像装置においては、対象となる1枚の撮像画像に対応付けられた座標情報に示された撮像位置において、撮像素子による撮像が実行させることができる。このため、対象となる1枚の撮像画像に写った角膜像と同じ撮像位置で撮像された撮像画像を撮像できる可能性を高めることができる。
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)第1実施形態の角膜内皮撮像装置の構成:
(2)第2実施形態の角膜内皮撮像装置の構成:
(3)第3実施形態の角膜内皮撮像装置の構成:
(4)他の実施形態:
(1)第1実施形態の角膜内皮撮像装置の構成:
(2)第2実施形態の角膜内皮撮像装置の構成:
(3)第3実施形態の角膜内皮撮像装置の構成:
(4)他の実施形態:
(1)第1実施形態の角膜内皮撮像装置の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる角膜内皮撮像装置100が備える装置光学系10の構成を示す説明図である。角膜内皮撮像装置100については、図2および図3にて説明する。装置光学系10は、観察光学系12と、撮像照明光学系14と、位置検出光学系16と、位置検出照明光学系18と、撮像光学系20と、を備える。装置光学系10において、観察光学系12から紙面下部の側に撮像照明光学系14および位置検出光学系16が設けられ、観察光学系12から紙面上部の側に位置検出照明光学系18および撮像光学系20が配置されている。撮像照明光学系14(位置検出光学系16)の光軸と、位置検出照明光学系18(撮像光学系20)の光軸とは、観察光学系12の光軸と同一平面に配置されている。なお、本実施形態においては、照明光学系には、撮像照明光学系14および位置検出照明光学系18が含まれる。
図1は、本発明の一実施形態にかかる角膜内皮撮像装置100が備える装置光学系10の構成を示す説明図である。角膜内皮撮像装置100については、図2および図3にて説明する。装置光学系10は、観察光学系12と、撮像照明光学系14と、位置検出光学系16と、位置検出照明光学系18と、撮像光学系20と、を備える。装置光学系10において、観察光学系12から紙面下部の側に撮像照明光学系14および位置検出光学系16が設けられ、観察光学系12から紙面上部の側に位置検出照明光学系18および撮像光学系20が配置されている。撮像照明光学系14(位置検出光学系16)の光軸と、位置検出照明光学系18(撮像光学系20)の光軸とは、観察光学系12の光軸と同一平面に配置されている。なお、本実施形態においては、照明光学系には、撮像照明光学系14および位置検出照明光学系18が含まれる。
観察光学系12は、光軸O1上において被検眼Eに近い位置から、ハーフミラー22、対物レンズ24、ハーフミラー26、コールドミラー27、CCD28、の順に設けられている。また、被検眼Eに対面する所定の位置には、2つの観察用光源30が配設されている。観察用光源30は、赤外光束を発する赤外LEDである。コールドミラー27は、赤外光を透過させる一方で可視光を反射する。観察用光源30から発せられて被検眼Eの前眼部で反射された反射光束は、対物レンズ24およびコールドミラー27を通して、CCD28上で結像される。
撮像照明光学系14は、被検眼Eに近い位置から、投影レンズ32、コールドミラー34、スリット36、集光レンズ38、撮像用光源40、の順に設けられている。撮像用光源40は、可視光束を発するLEDである。コールドミラー34は、赤外光を透過させる一方で可視光を反射する。撮像用光源40から発せられた光束は、集光レンズ38およびスリット36を通すことによってスリット光束とされる。このスリット光束は、コールドミラー34により反射されるとともに投影レンズ32を通って、角膜Cに対して斜め方向から照射される。
位置検出光学系16は、その光軸の一部が撮像照明光学系14の光軸と一致する。位置検出光学系16は、被検眼Eに近い位置から、投影レンズ32、コールドミラー34、ラインセンサ44、の順に設けられている。後述する観察用光源54から照射されて角膜Cで反射された光束は、投影レンズ32およびコールドミラー34を通って、ラインセンサ44上に結像される。
一方、位置検出照明光学系18は、被検眼Eに近い位置から、対物レンズ46、コールドミラー48、集光レンズ52、位置検出用光源としての観察用光源54、の順に設けられている。観察用光源54は、赤外LEDなどの赤外光源が好ましい。観察用光源54から発せられた赤外光束は、角膜Cに対して斜めから照射される。観察用光源54は、必ずしも赤外光源とされる必要は無く、ハロゲンランプや可視光LEDなどの可視光源を用いても良い。可視光源を用いる場合には、その照度は撮像用光源40の照度よりも小さくされることが好ましい。可視光源の照度を撮像用光源40の照度よりも小さくすることによって、アライメント等、観察用光源54から光束を照射する際の被検者の負担が軽減される。観察用光源54は、ハロゲンランプや可視光LEDなどの可視光源と赤外フィルタを組み合わせることによって構成されても良い。
撮像光学系20は、その光軸の一部が位置検出照明光学系18の光軸と一致する。撮像光学系20は、被検眼Eに近い位置から、対物レンズ46、コールドミラー48、スリット56、変倍レンズ58、合焦レンズ60、コールドミラー27、CCD28の順に設けられている。撮像用光源40から照射されて角膜Cで反射された光束は、対物レンズ46を通るとともにコールドミラー48で反射された後に、スリット56によって平行光束とされる。この平行光束は、変倍レンズ58および合焦レンズ60を通るとともに、コールドミラー27で反射されて、撮像素子であるCCD28上に結像される。
また、観察光学系12上に設けられるハーフミラー22は、固視標光学系64、アライメント光学系66の一部を構成している。
固視標光学系64は、被検眼Eに近い位置から、ハーフミラー22、投影レンズ68、ハーフミラー70、ピンホール板72、固視標光源74、の順に設けられている。固視標光源74は、LEDなどの可視光を発する光源である。固視標光源74から発せられた光束は、ピンホール板72およびハーフミラー70を透過した後、投影レンズ68によって平行光束とされる。この平行光束は、ハーフミラー22に反射されることによって被検眼Eに照射される。
アライメント光学系66は、被検眼Eに近い位置から順にハーフミラー22、投影レンズ68、ハーフミラー70、絞り76、ピンホール板78、集光レンズ80、アライメント光源82が設けられて構成されている。アライメント光源82からは赤外光が発せられるようになっており、かかる赤外光は集光レンズ80により集光されてピンホール板78を通過し、絞り76に導かれる。そして、絞り76を通過した光はハーフミラー70に反射されて、投影レンズ68によって平行光束とされた後に、ハーフミラー22によって反射されて被検眼Eに照射される。
また、観察光学系12上に設けられたハーフミラー26は、アライメント検出光学系84の一部を構成している。
アライメント検出光学系84は、被検眼Eに近い位置から、ハーフミラー26、位置検出可能なアライメント検出センサ88、の順に設けられている。アライメント光源82から照射されて角膜Cで反射された光束が、ハーフミラー26で反射されることによって、アライメント検出センサ88に導かれる。
図2は、角膜内皮撮像装置100の構成を示す説明図である。角膜内皮撮像装置100は、非接触で被検眼における角膜内皮を撮像するための装置である。角膜内皮撮像装置100は、ベース102と、本体部104と、ケース106と、操作スティック108と、表示画面110と、を備える。ベース102は、電源装置を内蔵する。本体部104は、ベース102の上に設けられている。本体部104は、後述する各制御回路を収容する。ケース106の内側には、図1において説明した装置光学系10が収容されている。ケース106は、本体部104の上において、前後方向および上下左右方向に駆動可能に構成されている。操作スティック108は、ベース102に設けられている。操作スティック108は、ケース106を駆動可能に構成されている。表示画面110は、本体部104に設けられている。表示画面110は、液晶モニタなどからなる画像表示手段である。
図3は、図1にて説明した装置光学系10に接続される制御回路等を説明するための説明図である。図3に示すように、角膜内皮撮像装置100には、ケース106を駆動させることによって、被検眼Eに対して装置光学系10を接近させる方向、離隔させる方向もしくは上下左右方向に移動させる駆動手段が設けられている。なお、駆動手段によって装置光学系10が移動させられる際には、装置光学系10を構成する各々の光学系(装置光学系10、観察光学系12、撮像照明光学系14、位置検出光学系16、位置検出照明光学系18、撮像光学系20)は一体として移動させられる。駆動手段は、ラック・ピニオン機構によって構成されており、本実施形態においては、図3の紙面における上下方向であるX方向にケース106を駆動させるX軸駆動機構112、図3における紙面と垂直の方向であるY方向にケース106を駆動させるY軸駆動機構114、図3における左右方向であるZ方向にケース106を駆動させるZ軸駆動機構116を含む。換言すれば、X軸駆動機構112は、被検眼Eに対してケース106を上下方向に駆動させ、Y軸駆動機構114は、被検眼Eに対してケース106を左右方向に駆動させ、Z軸駆動機構116は、被検眼Eに対してケース106を前後方向に駆動させる。ここでいう前方向は、被検眼Eに接近する方向であり、後方向は、被検眼Eから隔離する方向である。Z軸駆動機構116は、距離変更部と呼ぶこともできる。前述の操作スティック108が倒される方向に応じて、駆動手段がケース106を駆動させることによって、ケース106の位置は操作される。
角膜内皮撮像装置100には、装置光学系10による角膜像の撮像の作動制御を行う撮像制御手段としての撮像制御回路117が設けられている。撮像制御回路117は、駆動手段であるX軸駆動機構112、Y軸駆動機構114、Z軸駆動機構116に接続されて、駆動手段を駆動させる駆動信号を出力可能に構成されている。また、角膜内皮撮像装置100に設けられるXYアライメント検出回路118は、アライメント検出センサ88、撮像制御回路117および画像選別回路122に接続されている。また、角膜内皮撮像装置100に設けられるZアライメント検出回路120は、ラインセンサ44、撮像制御回路117および画像選別回路122に接続されている。アライメント検出センサ88およびラインセンサ44の検出情報は、撮像制御回路117に入力される。なお、図示は省略するが、撮像制御回路117は、各照明光源30、40、54、74、82にも接続されており、これら照明光源の発光を制御する。
さらに、角膜内皮撮像装置100には、CCD28が撮像した画像を選別する画像選別回路122が設けられている。また、角膜内皮撮像装置100には、画像選別回路122によって選別された画像を記憶する記憶手段としての記憶装置124が設けられている。さらに、角膜内皮撮像装置100には、検者による操作指示を入力するためのユーザI/F部127と、各種の情報を表示するための表示部129が設けられている。ユーザI/F部127の態様は限定されず、操作指示を入力することができればよく、例えば、各種のボタンやキーボード、マウス、タッチパネル等によって構成可能である。表示部129は、画像や文字等を表示可能なディスプレイであれば良く、タッチパネルディスプレイ等であってもよい。
次に、このような構造を備える角膜内皮撮像装置100において、撮像制御回路117が実行する角膜内皮の撮像手順のフローを図4に示し、以降、順に説明する。なお、以降で説明する撮像手順を実行している間、本実施形態の撮像光学系20による焦点距離は予め設定された一定の距離で固定される。
先ず、S1において、被検眼Eに対する装置光学系10のXY方向の位置合わせ(XYアライメント)が行われる。XYアライメントを行う際には、固視標光源74から照射された固視標光が被検眼Eに照射される。そして、固視標光を被検者に固視させることによって、被検眼Eの光軸方向を、観察光学系12の光軸O1の方向と一致させる。このような状態において、観察用光源30から照射されて被検眼Eの前眼部で反射された光束がCCD28上に導かれる。CCD28上に導かれた光束は、図5に示すように、表示画面110上に、被検眼Eの前眼部として表示される。
さらに、表示画面110上には、スーパーインポーズ信号などによって生成された、矩形枠形状のアライメントパターン125が、被検眼Eに重ねて表示される。そして、アライメント光源82から被検眼Eに向けて照射された光束が、被検眼Eの前眼部で反射されるとともにCCD28上に導かれることによって、表示画面110に、点状のアライメント光126として表示される。角膜内皮撮像装置100の操作者は、操作スティック108を操作してケース106を駆動させることによって、アライメント光126がアライメントパターン125の枠内に入るように、被検眼Eに対する装置光学系10の位置を移動させる。
また、アライメント光源82から照射されて、被検眼Eの前眼部で反射された光束の一部は、ハーフミラー26で反射されて、アライメント検出センサ88に導かれるようになっている。なお、アライメント光源82からは被検者に認識されない赤外光束が照射されることによって、被検者の負担が軽減されている。アライメント検出センサ88は、アライメント光126がアライメントパターン125の枠内に入っている場合、アライメント光126のX方向(被検眼Eに対する上下方向)位置とY方向(被検眼Eに対する左右方向)位置を検出可能に構成されている。アライメント検出センサ88に検出されたX方向位置とY方向位置は、XYアライメント検出回路118を介して撮像制御回路117に入力される。撮像制御回路117は、入力されたX方向位置の情報に基づいて観察光学系12の光軸O1が被検眼Eの光軸に近づくようにX軸駆動機構112を駆動させる駆動信号を出力するとともに、入力されたY方向位置の情報に基づいて観察光学系12の光軸O1が被検眼Eの光軸に近づくようにY軸駆動機構114を駆動させる駆動信号を出力する。これらの処理により、被検眼Eに対する装置光学系10のXY方向の位置合わせ(XYアライメント)が行われる。なお、後述するように、XYアライメントは、撮像中も適宜のタイミングで実施される。また、本実施形態においては、アライメント光源82と観察用光源30を短時間で交互に点滅させるとともに、アライメント光源82の点灯タイミングに合わせてアライメント検出センサ88による検出が行われるように構成されている。このような構成を採用することにより、観察用光源30の赤外光束がXYアライメントに対して影響を与えることの無いように配慮されている。なお、アライメント光源82と観察用光源30による交互の点滅は、CCD28における受光信号への変換速度よりも高速に行われることから、CCD28の受光信号が出力される表示画面110には、アライメント光源82および観察用光源30が点滅して表示されることはなく、あたかもアライメント光源82および観察用光源30が連続して点灯しているように表示される。
次に、S2において、撮像制御回路117は、Z軸駆動機構116を駆動させることによって、被検眼Eに接近する方向に装置光学系10を移動させる。装置光学系10が移動されている間、観察用光源54から照射されて被検眼Eの角膜Cで反射された光束を、ラインセンサ44が受光する。本実施形態においては、観察用光源54から照射される光束が赤外光束であることから、被検者の負担が軽減されている。
観察用光源54から照射される赤外光束は、角膜Cを構成する角膜上皮や角膜実質、角膜内皮などの各層によって、異なる反射光量で反射される。図6に概略的に示すように、観察用光源54からの赤外光束Lrの一部は、空気と角膜Cとの境界面となる角膜上皮eによって反射される。また、角膜上皮eを透過した赤外光束Lrは、角膜実質sや角膜内皮enによって反射される。角膜上皮eで反射された反射光束e'の光量が最も多く、角膜内皮enで反射された反射光束en'の光量は反射光束e'の光量より小さく、角膜実質sで反射された反射光束s'の光量は、反射光束e'の光量および反射光束en'より小さい。前房aは房水で満たされていることから、赤外光束Lrは、前房aにほとんど反射されない。
角膜Cを構成する各層に反射された反射光束の各々は、ラインセンサ44によって検出される。図7に示された光量分布は、角膜Cを構成する各層に反射されてラインセンサ44が検出する反射光束の光量分布を示している。図7において、光量の最も多い第1ピーク128は、角膜上皮eからの反射光束を示す。次に光量の多い第2ピーク130は、角膜内皮enからの反射光束を示す。撮像手順を実行している間、撮像光学系20による焦点距離は予め設定された一定の距離で固定されている。従って、駆動手段によって装置光学系10がZ方向に移動すると、撮像光学系20が合焦する角膜CのZ方向における位置は変動する。本実施形態において、撮像光学系20によって合焦している被写体からの反射光はラインセンサ44上の既定の位置で検出される。そして、当該既定の位置は予め特定されている。また、図7に示すように、光量の2つのピークに基づいて、ラインセンサ44の既定の位置で検出された反射光が角膜上皮e、角膜内皮enのいずれからの光であるのか特定することができる。そこで、撮像制御回路117は、ラインセンサ44の既定の位置で検出された反射光の光量に基づいて、撮像光学系20が合焦している部位が、角膜CのZ方向におけるどの部位であるのかを特定することができる。
撮像制御回路117は、駆動信号によりZ軸駆動機構116を駆動させて、ラインセンサ44による検出に基づいて特定される撮像光学系20が角膜上皮eに合焦している位置から、人眼の生理学的な角膜厚みのばらつきを考慮して設定された設定距離D1だけ、装置光学系10を角膜Cに接近する方向に移動させる。設定距離は、撮像光学系20による合焦位置が角膜内皮からZ方向において前方向の側に移動するように設定される。ここで、合焦位置は、撮像光学系20によって撮像される被写体が合焦するZ方向の位置である。すなわち、撮像光学系20から見た場合、合焦する被写体までの距離は変動しないが、ケース106をZ方向に移動させることによって撮像光学系20がZ方向に移動すると、ケース106の前方に配置された被検眼E内で被写体が合焦するZ方向の位置は変動し得る。
なお、本実施形態では、設定距離は1250μmである。設定距離D1は、例えば、1000?1500μmの範囲内で適宜に設定されてもよい。設定距離D1だけ装置光学系10が角膜Cに接近する方向(前方向)に移動させられることによって、撮像光学系20による合焦位置は、角膜内皮enよりもZ方向において奥側(前方向の側)に移動させられる。撮像光学系20による合焦位置が角膜上皮eに合焦している位置から設定距離D1だけ移動された位置を反転位置と呼ぶ。
次に、装置光学系10が反転位置に移動させられたのち、S3において、撮像制御回路117は、Z軸駆動機構116を駆動させることによって、被検眼Eから隔離される方向(後方向)に装置光学系10を移動させる。反転位置からの移動が開始されて後述する撮像が終了するまでの間における装置光学系10の移動速度は、変化させることができるように構成されている。図8には、装置光学系10の隔離移動における移動速度の変化を示す。
装置光学系10の隔離移動は、反転位置(図8中、P1)から開始される。隔離移動における移動速度は、例えば、500μm?3000μm/sec、より好適には2000μm/sec前後の速度で行われる。S3による移動が開始されてから、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する位置から設定距離D2(図7参照)だけ角膜Cの側に近い位置(図8中、P2)に到達した時点から、S4として、観察用光源30が消灯されるとともに、撮像用光源40の発光が開始される。S4が開始される位置は、光量分布が第2ピーク130よりもやや小さい所定の閾値となる位置(角膜C寄りの位置)を基準として、基準とした当該位置から設定距離D2(図7参照)だけ角膜Cの側に近い位置であってもよい。設定距離D2として採用される距離の値は、ラインセンサ44の検出精度や被検眼Eの位置ずれ等を考慮した上で確実に角膜内皮を撮像できるよう大きな値であることが好ましいが、設定距離D2の値が大きくなると撮像用光源40の発光時間が長くなって、被検者の負担を増加させることになる。このため、設定距離D2の値には、200?500μmの範囲内の値が好適に採用される。また、撮像用光源40は、S4から後述するS8までの間、所定の短い間隔で点滅発光させられている。撮像用光源40が消灯されたタイミングにおいて、前述したS1におけるXYアライメントが行われる。
装置光学系10を比較的速い速度VFで被検眼Eから隔離する方向に移動させつつ、CCD28によって角膜内皮enより前房aの側に30μmだけ離れた位置からの反射光束が検出された位置(図8中、P3)に到達した時点から、S5として、装置光学系10の減速が開始される。S5における反射光束の検出は、例えば、図9に示された撮像画像132が用いられる。図9において紙面左側端から紙面右側端の手前までには、前房相当部134が撮像されており、紙面右側端には、角膜内皮相当部136が撮像されている。そして、図9に示されたような撮像画像132に対して、図10に示すように、1本以上(本実施形態においては、5本)の適当な水平線l1?l5を引き、水平線l1?l5上の画素の輝度値から、設定値以上の輝度値を有する画素に基づいて、角膜内皮enより前房aの側に30μmだけ離れた位置からの反射光束を検出したと判定する。本実施形態においては、撮像画像132における各画素の輝度値を255階調(輝度値1が最も暗く、輝度値255が最も明るい)の範囲に規定して検出するとともに、角膜内皮enによる反射光束のムラを考慮するために、撮像画像132上の5本の水平線l1?l5上の各画素の輝度値を検出する。そして、水平線l1?l5上の各画素において輝度値が25?255になる画素数をカウントする。なお、輝度値25?255は、目視で明らかな反射光を認識できる程度の光量である。そして、水平線l1?l5においてカウントされた画素における輝度値の平均値が、角膜内皮enから前房aの側に30μmだけ離れた位置における部分から反射される反射光束の光量と一致する場合、その撮像画像132が撮像された位置が減速開始点(図8中、P3)とされる。減速開始点の位置を求めるための基準となる角膜内皮enの位置は、光量分布における第2ピーク130の位置に基づいて特定されている。反射光束の光量と比較される画素の数値には、水平線l1?l5においてカウントされた画素において最大の輝度値が用いられてもよい。
そして、S5における減速作動が開始されると共に、S6において、CCD28によって角膜内皮en付近の連続的撮像が開始される。連続的撮像は、予め設定された時間間隔(例えば、1/30秒)ごとにCCD28によって撮像された撮像画像を画像選別回路122に入力することによって行われる。したがって、被検眼Eに対する距離が異なる複数の位置において撮像された複数の撮像画像が画像選別回路122に入力される。入力された複数の撮像画像は、画像選別回路122によって後述する画像選別が行われたのち、記憶装置124に送られる。記憶装置124は、画像選別回路122から送られる撮像画像を記憶する。
次に、S5において減速移動が開始されて、後述する遅緩速度VSに達した時点(図8中、P4)から、装置光学系10は、遅緩速度VSを維持しながら隔離移動させられる。そして、遅緩速度VSに移行した時点から、更に予め設定された設定距離範囲(図8中、P4?P6)に亘って、S6における連続的撮像および画像選別が行われる。なお、かかるP4?P6の範囲内には、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する位置(図8中、P5)も含まれることとなる。
図11には、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する位置の付近で撮像された撮像画像139を示す。図11において、紙面左側端には、前房相当部134が撮像されており、紙面中央寄りには、角膜内皮相当部136が撮像されており、紙面右側端には、角膜実質相当部138が撮像されている。図11に示された撮像画像139には、図9に示された撮像画像132と比べて、角膜内皮が広い範囲で撮像されている。
S5における減速が完了する遅緩速度VSは、低速で移動しつつ連続的撮像を行う距離範囲(図8中、P4?P6)とCCD28による画像の取り込み時間や撮像枚数等を考慮して適宜に決定される。例えば、低速で移動して連続的撮像を行う範囲としては、被検眼Eの微動などを考慮して、200μm以上の範囲が好適に採用され得る。そして、CCD28の画像取り込み時間が1枚あたり1/30秒で、連続的撮像の範囲が200μmとすると、10枚撮像する場合には600μm/sec、20枚撮像する場合には300μm/sec、30枚撮像する場合には200μm/sec、40枚撮像する場合には150μm/sec、50枚撮像する場合には120μm/secに設定される。従って、連続的撮像によって確実に角膜内皮を撮像するためには、100?300μm/secの速度が好適に採用される。このように、本実施形態では、CCD28による画像取り込み時間を一定として、装置光学系10の移動速度を変化させることによって、連続的撮像による撮像枚数が調節されている。他の実施形態では、装置光学系10の移動速度を一定にして、S5における角膜内皮からの反射光の検出に基づいて、CCD28による画像取り込み時間の間隔を変化させることによって、撮像枚数を調節しても良いし、装置光学系10の移動速度とCCD28による画像取り込み時間との両方を制御しても良い。
そして、遅緩速度VSによる移動および連続的撮像の開始位置(図8中、P4)から、設定距離範囲(例えば、本実施形態においては200μm)だけ隔離移動した時点(図8中、P6)で、S7において、加速が開始されて、装置光学系10は、減速が開始される前の比較的速い速度VFにまで加速させられる。なお、かかる加速開始位置の決定基準としては、移動距離のみならず、例えば、前述のS5における角膜内皮enによる反射光束の検出手順と同様の方法に従って、角膜内皮enによる反射光束が検出されなくなった時点から加速を開始させたり、連続的撮像の開始から予め設定された設定時間を経過した段階で加速を開始させたりしても良いし、それらを適宜に組み合わせて用いても良い。
装置光学系10が加速されて、減速が開始される前の比較的速い速度VFに達すると(図8中、P7)、S8において、被検眼EのZ方向における微動などを考慮して、例えば100μm程度の距離だけ装置光学系10が隔離移動された後に、隔離移動を停止するとともに、撮像用光源40を消灯して、撮像を終了する(図8中、P8)。
次に、S6において、連続的撮像によって撮像された複数の撮像画像が画像選別回路122に入力されたのちに行われる画像選別について説明する。画像選別回路122は、画像を選別するための機能として、座標対応部122aと、順位設定部122bと、を備える(図3に図示)。連続的撮像においては、CCD28によって撮像画像が撮像されるごとに、当該撮像画像についてアライメント検出センサ88およびラインセンサ44が検出した検出情報が、XYアライメント検出回路118およびZアライメント検出回路120を介して、画像選別回路122に入力される。当該撮像画像についてアライメント検出センサ88およびラインセンサ44が検出した検出情報は、当該撮像画像が撮像された際の撮像位置(すなわち、ケース106の位置)を示す座標情報である。座標情報は、X方向位置と、Y方向位置と、Z方向位置と、で規定される情報であって、本明細書の説明では、(X,Y,Z)=(Xn、Yn,Zn)と表現する(Xn、Yn,Znは、それぞれ任意の値を示す)。観察光学系12の光軸O1が被検眼Eの光軸と一致する場合の撮像位置を、(X,Y,Z)=(0,0,Zn)とする。そして、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する位置を、(X,Y,Z)=(0,0,0)とする。Z方向位置において0に相当する位置は、ラインセンサ44による第2ピーク130の検出に基づいて特定される。
座標対応部122aは、被検眼Eに対する距離が異なる複数の位置においてCCD28に撮像された複数の撮像画像の各々に対して、撮像位置を示す座標情報を対応付ける。図4に示す撮像手順によって複数の撮像画像が取得されると、座標対応部122aは、複数の撮像画像の各々が撮像された際の撮像位置を、複数の撮像画像の各々に対応付ける。座標情報が対応付けられた撮像画像は、画像選別回路122の図示しないRAMに記録される。撮像される撮像画像の枚数は限定されないが、ここでは、50枚の撮像画像が得られた状態を想定する。50枚の撮像画像には、図9のように角膜内皮enがほとんど撮像されていない画像や、図11のように撮像領域の中央で角膜内皮enが撮像された画像が含まれる。
順位設定部122bは、予め設定された撮像期間の間に撮像された複数の撮像画像の各々について、撮像光学系が角膜内皮に合焦する状態における撮像位置と撮像画像が撮像された撮像位置との距離を少なくとも1つの序列基準として、優先順位を設定する。本実施形態においては、図4に示す撮像手順を1回行う期間が撮像期間であり、当該1回の撮像手順で撮像された複数の撮像画像について各々の撮像位置に基づいて優先順位が設定される。また、本実施形態において画像選別回路122は、優先順位が設定された撮像画像の中から、優先順位が上位の既定の個数の撮像画像を表示部129に表示させる機能を有している。
具体的には、順位設定部122bは、座標対応部122aの機能によってRAMに記録された複数の撮像画像について、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する状態における撮像位置と、複数の撮像画像の各々の撮像位置と、の距離を特定する。本実施形態において、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する位置は(X,Y,Z)=(0,0,0)である。従って、撮像画像の座標情報が(X,Y,Z)=(Xa,Ya,Za)である場合、各座標に対応づけられた座標情報に基づいて撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する状態における撮像位置と複数の撮像画像の各々の撮像位置との距離Lを以下の式で算出可能である。
L=(Xa2+Ya2+Za2)1/2
L=(Xa2+Ya2+Za2)1/2
なお、RAMに記録された複数の撮像画像のそれぞれについて距離Lが得られると、順位設定部122bは、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する状態における撮像位置との距離Lが短い順に、優先順位が高いとみなし、優先順位が上位の既定数の画像を保存する。ここでは、既定数が16枚である例を説明する。この場合、順位設定部122bは、RAMに記録された複数の撮像画像から、距離Lが小さい順に16枚の撮像画像を抽出し、座標情報が対応づけられた状態で記憶装置124に記憶させる。本実施形態では、座標情報が対応づけられた撮像画像は、角膜内皮撮像装置100に設けられた記憶装置124に記憶されているが、記憶装置124の代わりに、ネットワークを介して角膜内皮撮像装置100に接続されるデータベース上に記憶されてもよい。なお、この際、順位設定部122bは、撮像画像に対して撮像された日時も対応づけて記憶装置124に対して記憶させる。既定数は、任意に設定されてもよく、例えば、1枚であってもよい。
本実施形態において、複数の撮像画像が記憶装置124に記憶されると、画像選別回路122は、記憶された16枚の撮像画像を読み出し、表示部129を制御してこれらの撮像画像を優先順位に従って表示する。表示の態様は種々の態様であってよく、例えば、16枚の中の8枚を優先順位に従って、優先順位を示す数値を併記するなどして表示部129上に一覧表示させる。さらに、順位設定部122bは、ユーザI/F部127に対する操作指示に応じて、一覧表示された8枚の撮像画像の表示を消去し、残りの8枚(優先順位が9位〜16位の撮像画像)を同様にして優先順位に従って一覧表示させる。
図12は、以上のような一覧表示の例を示す図である。図12においては、図の右上に被検眼Eを観察光学系12で撮像した画像Ieが表示され、当該画像の左側および下側に角膜内皮enの撮像画像I1〜I8が一覧表示されている。本実施形態においては、撮像画像I1〜I8の優先順位を示す数値が撮像画像の左上の端に示されている。すなわち、撮像画像I1〜I8の優先順位は1〜8の順である。図12に示す画面上に表示された「次のページ」ボタンがタッチされると、撮像画像I1〜I8の表示が消去され、代わりに優先順位が9位〜16位の撮像画像が表示される。
なお、図12に示す例において、左端に表示された撮像画像I0は、一覧表示された8枚の撮像画像から選択された画像の拡大画像である。すなわち、撮像画像I1〜I8のいずれかがタッチされると、画像選別回路122は、タッチされた撮像画像を記憶装置124から取得し、表示部129を制御して拡大画像を表示させる。以上の構成により、検者は一覧表示された撮像画像の中から所望の画像を選択し、拡大表示させ、診断等に利用することができる。また、一覧表示は、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する状態における撮像位置と、複数の撮像画像の各々の撮像位置と、の距離Lが短い順に抽出されている。従って、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する状態で撮像された画像を容易かつ早期に選択することが可能である。
本実施形態では、検者が異なる撮像期間における角膜内皮の状態を比較したい場合、画像選別回路122は、ユーザI/F部127に対する検者の操作を受け付けることにより、比較する撮像期間の指定を受け付ける。画像選別回路122は、記憶装置124を参照し、指定された撮像期間の各々において撮像された撮像画像の中から優先順位が最も高い撮像画像をそれぞれ抽出する。
図13は、異なる撮像期間の各々において撮像された撮像画像の中から優先順位が最も高い撮像画像に撮像された撮像画像が並べて表示部129に表示された例を示している。図13に示す例においては、表示された各撮像画像に基づいて解析が行われる。すなわち、画像選別回路122が、表示された各撮像画像に対して予め決められた画像処理を行うことで、角膜内皮enの細胞を検出する。そして、制御部は、予め決められた検査値(例えば、細胞密度(図13においてCD(Cell Density)と表記)等を算出し、表示部129に表示する。
以上の構成により、異なる撮像期間に撮像された撮像画像の中で、角膜内皮enに合焦する状態における撮像位置と最も近い撮像位置で撮像された撮像画像同士を対比することができる。従って、例えば、手術前後における角膜内皮の比較をするために、手術前に撮像手順が実行された際の撮像期間と、手術後に撮像手順が実行された際の撮像期間とを指定することによって、容易に手術前後の角膜内皮の状態を比較することができる。換言すれば、異なる撮像期間において撮像された撮像画像同士で角膜内皮enの状態を容易に比較することが可能である。
以上説明した構成において、異なる撮像期間において撮像された複数の撮像画像のそれぞれには、優先順位が設定されている。したがって、それら複数の撮像画像の各々から優先順位が最も高い撮像画像が選択される場合、選択された各々の撮像画像は、角膜内皮enに対する合焦の度合いが高い撮像画像であって、かつ、似通った座標情報が対応付けられた撮像画像が選択される可能性が高い。このため、異なる撮像期間に撮像された複数の撮像画像の各々から、同じ位置である角膜内皮enが撮像された画像を選択できる可能性を向上させることができる。また、角膜内皮enに対する合焦の度合いが高い画像を選択する可能性を高めることもできる。
(2)第2実施形態の角膜内皮撮像装置の構成:
図14は、第2実施形態の角膜内皮撮像装置100aの構成を説明するための説明図である。角膜内皮撮像装置100aは、画像選別回路122が類似抽出部122cを備えており、順位設定部122bにおける処理が異なる点を除き、第1実施形態の角膜内皮撮像装置100の構成と同じである。
図14は、第2実施形態の角膜内皮撮像装置100aの構成を説明するための説明図である。角膜内皮撮像装置100aは、画像選別回路122が類似抽出部122cを備えており、順位設定部122bにおける処理が異なる点を除き、第1実施形態の角膜内皮撮像装置100の構成と同じである。
第2実施形態においても第1実施形態と同様に、1回の撮像期間の間に画像選別回路122に入力される50枚の撮像画像に対して座標情報が対応付けられたのち、優先順位が上位16位までの撮像画像が記憶装置124に送られて記憶される例を説明する。本実施形態においては、図4に示す撮像手順による撮像が2回以上実施された場合が想定されている。ここでは、2回の撮像期間のうち、先に撮像が行われた撮像期間を第1の撮像期間、後に撮像が行われた撮像期間を第2の撮像期間と呼ぶ。各撮像期間で複数の撮像画像が取得されると、座標対応部122aは、複数の撮像画像の各々が撮像された際の撮像位置を、複数の撮像画像の各々に対応付け、RAMに記録する。
順位設定部122bは、撮像光学系が角膜内皮に合焦する状態における撮像位置と撮像画像が撮像された撮像位置との距離が短い順に既定数(ここでは16枚)の撮像画像を抽出し、座標情報を対応づけて記憶装置124に記憶させる。第1実施形態で説明したように、既定数は、任意に設定されてもよく、例えば、1枚であってもよい。ただし、第2実施形態においては、初回の撮像期間には当該順位設定部122bによる撮像画像の抽出が行われるが、第2回目以降の撮像期間においては、順位設定部122bによる撮像画像の抽出ではなく、類似抽出部122cによる類似の撮像画像の抽出が行われる。
類似抽出部122cは、第1の撮像期間に撮像された撮像画像である第1撮像画像と第2の撮像期間に撮像された複数の撮像画像である第2撮像画像との各々から、座標情報を類似の判定基準として、類似の撮像画像を抽出する。本実施形態では、類似の判定基準となる座標情報は、第1撮像画像に含まれる1枚の撮像画像に対応付けられた座標情報CIである。なお、本実施形態においては、初回の撮像期間が第1の撮像期間であり、初回より後の撮像期間が第2の撮像期間である。
類似抽出部122cは、ユーザI/F部127を介して検者が入力する操作指示に基づいて、第1撮像画像に含まれる1枚の撮像画像の選択を受け付ける。撮像画像の選択は、種々の画面によって行われてよい。例えば、第1の撮像期間に撮像され、順位設定部122bによって記憶装置124に記憶された第1撮像画像に基づいて、類似抽出部122cが図12のような画面を表示させる構成が挙げられる。検者が選択する撮像画像の例としては、角膜内皮enに合焦した状態で撮像された撮像画像、角膜内皮enが写っている面積が大きい撮像画像、手術前後での状態変化を観察したい部位に合焦した状態で手術前に撮像された撮像画像もしくは手術後に撮像された撮像画像、などが挙げられる。検者が撮像画像を選択すると、類似抽出部122cは、記憶装置124を参照し、選択された撮像画像に対応づけられた座標情報CIを取得する。
一方、第2の撮像期間における複数の撮像画像の撮像は、第1の撮像期間より後の任意のタイミングで実行される。複数の撮像画像が取得されると、座標対応部122aは、複数の撮像画像の各々が撮像された際の撮像位置を、複数の撮像画像の各々に対応付け、RAMに記録する。
類似抽出部122cは、このようにしてRAMに記録された、例えば50枚の撮像画像から、対応づけられた座標情報が上述の座標情報CIに近い撮像画像を抽出する。すなわち、図4に示す処理では、撮像光学系が角膜内皮enに合焦する状態における撮像位置が(X,Y,Z)=(0,0,0)とされる。従って、異なる撮像期間に撮像された撮像画像であっても、座標情報が近いほど撮像画像が類似しているとみなすことができる。
そこで、類似抽出部122cは、RAMに記録された撮像画像に対応づけられた座標情報を参照し、当該座標情報と上述の座標情報CIとに基づいて、両座標の距離Lmを取得する。
具体的には、類似抽出部122cは、座標情報が対応付けられた状態で記憶装置124に記憶された複数の撮像画像について、類似の判定基準となる座標情報CIで示される撮像位置と、第2撮像画像の各々の撮像位置と、の距離を特定する。類似の判定基準となる座標情報CIを(X,Y,Z)=(X1、Y1,Z1)と表現するとともに、第2撮像画像に含まれる撮像画像に対応付けられた座標情報を(X,Y,Z)=(X2、Y2,Z2)と表現する場合、判定基準となる撮像画像との距離Lmは、以下の式で算出可能である。
Lm={(X1−X2)2+(Y1−Y2)2+(Y1−Y2)2}1/2
Lm={(X1−X2)2+(Y1−Y2)2+(Y1−Y2)2}1/2
類似抽出部122cは、第2の撮像期間において撮像した第2撮像画像のそれぞれについて距離Lmを取得し、当該距離Lmが小さい順に、取得基準を満たす第2撮像画像を抽出する。取得基準は、類似した撮像画像を取得するために予め設定された基準であれば良く、例えば、取得されるべき撮像画像の枚数(1枚以上であればよい)や、距離Lmの最大値等が挙げられる。このようにして第2撮像画像から撮像画像が抽出されると、類似抽出部122cは、抽出した撮像画像に座標情報を対応づけて記憶装置124に記憶させる。
本実施形態においては、記憶装置124に記憶された第2撮像画像から、解析対象の撮像画像を選択するための処理が行われる。すなわち、画像選別回路122は、記憶装置124に記憶された第2撮像画像を読み出し、表示部129を制御してこれらの撮像画像を優先順位に従って表示する。優先順位としては、例えば、距離Lmが小さい順に優先度が高いとみなされる順位が挙げられる。この処理の結果、例えば、第2撮像画像が図12に示したように一覧表示される。上述したように、第2実施形態では、第1撮像画像に含まれる1枚の撮像画像に対して複数の類似の撮像画像を第2撮像画像の中から抽出したのち、1枚の撮像画像に対応付けられた座標情報が示す撮像位置までの距離Lmが短い順に、複数の類似の撮像画像に順位付けをする。このような形態によれば、異なる撮像期間において撮像された撮像画像の各々から、検者が選択した撮像画像に類似した複数の撮像画像を抽出することができるとともに、それら複数の撮像画像の各々に設定された順位を確認することによって、それら複数の撮像画像のうち判定基準となった1枚の撮像画像の撮像位置までの距離が最も近い撮像画像を特定することができる。
画像選別回路122は、ユーザI/F部127に対する操作指示に応じて、検者による選択を受け付ける。選択が受け付けられると、選択された撮像画像は解析対象の第2撮像画像となる。そして、画像選別回路122は、解析対象の第2撮像画像と、座標情報CIが対応付けられた撮像画像とに対して解析を行い、表示部129に解析結果を表示させる。当該表示としては、例えば、図13のような例が挙げられる。
以上の構成により、異なる撮像期間において撮像された撮像画像同士で角膜内皮enの状態を容易に比較することが可能になる。また、本実施形態によれば、座標情報CIが対応づけられた撮像画像に類似する第2撮像画像が表示部129に表示され、検者によって選択される。従って、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する状態で撮像された撮像画像が、被検眼の固視微動等によってずれたことでブレがある画像であったとしても、検者は、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する状態と近い位置で撮像されたと検者自身が判断した撮像画像を代わりに選択することができる。そして、代わりに選択された撮像画像に基づいて、座標情報CIが対応づけられた撮像画像と対比する解析を行うことができる。従って、容易に手術前後の角膜内皮を比較することができる。
以上説明した構成によれば、抽出の判定基準となる撮像画像は、ユーザI/F部127を介して、検者によって任意に選択される。そして、異なる撮像期間において撮像された撮像画像の各々から、検者が選択した撮像画像に類似した撮像画像を抽出することができる。このため、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦している位置との距離に関わらず、検者が観察したい位置で撮像された撮像画像を検者に提供することができる。
第2実施形態において説明した角膜内皮撮像装置は、スリット光束を被検眼に対して斜めから照射する照明光源を含む照明光学系と、前記スリット光束による前記被検眼の角膜からの反射光束を受光して角膜像を撮像する撮像素子を含む撮像光学系と、前記照明光学系および前記撮像光学系を一体として前記被検眼に対する距離を変更する距離変更部と、前記被検眼に対する距離が異なる複数の位置において前記撮像素子に撮像された複数の撮像画像の各々に対して、撮像位置を示す座標情報を対応付ける座標対応部と、第1の撮像期間に撮像された撮像画像である第1撮像画像と第2の撮像期間に撮像された複数の撮像画像である第2撮像画像との各々から、少なくとも前記座標情報を類似の判定基準として、類似の撮像画像を抽出する類似抽出部と、を備える。
また、第2実施形態においては、前記判定基準となる前記座標情報は、前記第1撮像画像に含まれる1枚の撮像画像に対応付けられた前記座標情報である。
また、第2実施形態においては、前記類似抽出部は、前記第1撮像画像に含まれる1枚の撮像画像に対して複数の前記類似の撮像画像を前記第2撮像画像の中から抽出したのち、前記1枚の撮像画像に対応付けられた前記座標情報が示す前記撮像位置までの距離が短い順に、複数の前記類似の撮像画像に順位付けをする。
(3)第3実施形態の角膜内皮撮像装置の構成:
第3実施形態の角膜内皮撮像装置100bは、図3と同様の構成で実現可能である。ただし、順位設定部122bの処理は第1実施形態と異なる。第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、1回の撮像期間の間に画像選別回路122に入力される50枚の撮像画像に対して座標情報が対応付けられたのち、優先順位が上位16位までの撮像画像が記憶装置124に送られて記憶される例を説明する。本実施形態においても、図4に示す撮像手順による撮像が2回以上実施された場合が想定されている。ここでは、2回の撮像期間のうち、先に撮像が行われた撮像期間を第1の撮像期間、後に撮像が行われた撮像期間を第2の撮像期間と呼ぶ。各撮像期間で複数の撮像画像が取得されると、座標対応部122aは、複数の撮像画像の各々が撮像された際の撮像位置を、複数の撮像画像の各々に対応付け、RAMに記録する。
第3実施形態の角膜内皮撮像装置100bは、図3と同様の構成で実現可能である。ただし、順位設定部122bの処理は第1実施形態と異なる。第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、1回の撮像期間の間に画像選別回路122に入力される50枚の撮像画像に対して座標情報が対応付けられたのち、優先順位が上位16位までの撮像画像が記憶装置124に送られて記憶される例を説明する。本実施形態においても、図4に示す撮像手順による撮像が2回以上実施された場合が想定されている。ここでは、2回の撮像期間のうち、先に撮像が行われた撮像期間を第1の撮像期間、後に撮像が行われた撮像期間を第2の撮像期間と呼ぶ。各撮像期間で複数の撮像画像が取得されると、座標対応部122aは、複数の撮像画像の各々が撮像された際の撮像位置を、複数の撮像画像の各々に対応付け、RAMに記録する。
第1の撮像期間において順位設定部122bが実行する処理は第2実施形態と同様である。従って、第1の撮像期間が終了すると、既定数(ここでは16枚)の撮像画像に座標情報が対応づけられて記憶装置124に記憶される。第1実施形態で説明したように、既定数は、任意に設定されてもよく、例えば、1枚であってもよい。また、第2の撮像期間において撮像画像を撮像するための撮像位置は、第1の撮像期間の間に撮像された複数の撮像画像から選択された撮像画像の座標情報に基づいて決定される。
具体的には、順位設定部122bは、ユーザI/F部127を介して検者が入力する操作指示に基づいて、第1の撮像期間に撮像された撮像画像である第1撮像画像に含まれる1枚の撮像画像の選択を受け付ける。撮像画像の選択は、種々の画面によって行われてよい。例えば、図12のような画面によって選択を受け付けることが可能である。選択基準も第2実施形態と同様の基準等であってよい。検者が撮像画像を選択すると、類似抽出部122cは、記憶装置124を参照し、選択された撮像画像に対応づけられた座標情報CIを取得する。
座標情報CIが取得されると、順位設定部122bは、座標情報CIを中心にして、Z方向に既定ステップ毎に変化させた複数の撮像位置を撮像制御回路117に対して指示する。この場合、撮像制御回路117は図4と同様の処理によって撮像画像を取得するが、ここでは、ステップS5における減速後に撮像画像を撮像すればよく、座標情報CIを中心にして既定数の撮像位置で撮像が行われる。既定数は予め決められていればよく、既定数が例えば16枚の場合、座標情報CIと同一の撮像位置と、座標情報CIに対して−Z方向に既定間隔ずつ移動した7カ所の撮像位置、+Z方向に既定間隔ずつ移動した8カ所の撮像位置で撮像が行われる。
既定数の撮像画像が取得されると、順位設定部122bは、撮像した撮像画像に座標情報を対応づけて記憶装置124に記憶させる。このようにして記憶装置124に記憶された撮像画像を第2撮像画像と呼ぶ。本実施形態においても、記憶装置124に記憶された第2撮像画像から、解析対象の撮像画像を選択するための処理が行われる。すなわち、画像選別回路122は、記憶装置124に記憶された第2撮像画像を読み出し、表示部129を制御してこれらの撮像画像を優先順位に従って表示する。優先順位としては、例えば、第2撮像画像に対応づけられた座標情報が第1撮像画像から選択された撮像画像の座標情報CIに近い順に優先度が高いとみなされる順位が挙げられる。この処理の結果、例えば、第2撮像画像が図12に示したように一覧表示される。
画像選別回路122は、ユーザI/F部127に対する操作指示に応じて、検者による選択を受け付ける。選択が受け付けられると、選択された撮像画像は解析対象の第2撮像画像となる。そして、画像選別回路122は、解析対象の第2撮像画像と、座標情報CIが対応付けられた撮像画像とに対して解析を行い、表示部129に解析結果を表示させる。当該表示としては、例えば、図13のような例が挙げられる。
以上説明した構成によれば、撮像素子に撮像させる位置の基準となる座標情報が対応付けられた撮像画像は、ユーザI/F部127を介して、検者によって任意に選択される。そして、選択された撮像画像に対応付けられた座標情報に示された撮像位置において、撮像素子による撮像が実行させることができる。このため、検者が再び観察したいと考えている位置で撮像された撮像画像を、検者に提供することができる。
第3実施形態において説明した角膜内皮撮像装置は、スリット光束を被検眼に対して斜めから照射する照明光源を含む照明光学系と、前記スリット光束による前記被検眼の角膜からの反射光束を受光して角膜像を撮像する撮像素子を含む撮像光学系と、前記照明光学系および前記撮像光学系を一体として前記被検眼に対する距離を変更する距離変更部と、前記被検眼に対する距離が異なる複数の位置において前記撮像素子に撮像された複数の撮像画像の各々に対して、撮像位置を示す座標情報を対応付ける座標対応部と、を備え、前記撮像光学系は、予め設定された撮像期間の間に撮像された撮像画像のうち対象となる1枚の撮像画像に対応付けられた前記座標情報が示す前記撮像位置において角膜像を撮像する。
(4)他の実施形態:
第1実施形態では、画像選別回路122において、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する位置と撮像位置との距離を序列基準として、複数の撮像画像は、優先順位を設定されていたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、画像選別回路122において、複数の撮像画像は、以下のように選別されてもよい。すなわち、まず初めに、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する位置との距離について、複数の撮像画像のうちX方向およびY方向における位置が一定の距離の範囲内の位置で撮像された撮像画像を抽出する。そして、抽出された撮像画像に対して、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する位置との距離についてZ方向位置が近い順に順位付けを行うことによって、優先順位が設定されてもよい。例えば、撮像画像の座標情報が(X,Y,Z)=(Xa,Ya,Za)である場合には、X方向位置およびY方向位置を基準とした撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する位置との距離Lxyは、Lxy=(Xa2+Ya2)1/2と表される。そして、複数の撮像画像の中から、距離Lxyが一定の距離の範囲内にある撮像画像を抽出する。また、Z方向位置を基準とした撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する位置との距離Lzは、Lz=Zaと表される。抽出された撮像画像に対して、距離Lzが小さい順に順位付けを行うことによって、優先順位が設定されるということである。
第1実施形態では、画像選別回路122において、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する位置と撮像位置との距離を序列基準として、複数の撮像画像は、優先順位を設定されていたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、画像選別回路122において、複数の撮像画像は、以下のように選別されてもよい。すなわち、まず初めに、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する位置との距離について、複数の撮像画像のうちX方向およびY方向における位置が一定の距離の範囲内の位置で撮像された撮像画像を抽出する。そして、抽出された撮像画像に対して、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する位置との距離についてZ方向位置が近い順に順位付けを行うことによって、優先順位が設定されてもよい。例えば、撮像画像の座標情報が(X,Y,Z)=(Xa,Ya,Za)である場合には、X方向位置およびY方向位置を基準とした撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する位置との距離Lxyは、Lxy=(Xa2+Ya2)1/2と表される。そして、複数の撮像画像の中から、距離Lxyが一定の距離の範囲内にある撮像画像を抽出する。また、Z方向位置を基準とした撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する位置との距離Lzは、Lz=Zaと表される。抽出された撮像画像に対して、距離Lzが小さい順に順位付けを行うことによって、優先順位が設定されるということである。
第2実施形態において、類似抽出部122cは、座標情報を類似の判定基準として、類似の撮像画像を抽出していたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、類似の判定基準には、座標情報に加えて、撮像画像間における画像の類似度が用いられてもよい。ここでいう画像の類似度は、対象となる1枚の撮像画像の特徴との類似性のことであり、類似性を表す尺度として、いわゆるテンプレートマッチングに用いられるSAD (Sum of Absolute Difference)、SSD (Sum of Squared Difference)、NCC (Normalized Cross-Correlation)、ZNCC (Zero-mean Normalized Cross-Correlation)を用いてもよい。上述した尺度に用いることのできる値について、対象となる1枚の撮像画像が示す値と近いほど、その画像の類似度は高いと判定することができる。このように、座標情報および画像の類似度を類似の判定基準に用いることによって、類似の撮像画像を抽出する精度を向上させることができる。
また、第1実施形態では、複数の撮像画像における序列基準として、座標情報が用いられていたが、本発明の実施形態はこれに限られない。例えば、序列基準には、座標情報に加えて、撮像画像を構成する各画素の輝度値である輝度情報が用いられてもよい。図15には、輝度情報の一例として、CCD28によって撮像された画像における1本の水平線上の画素の輝度情報が示されている。また、水平線上の画素には、図16に示すように、撮像画像中の左側から何番目の画素であるかを示す位置番号(X1,X2,X3・・・Xn・・・)が付されているとする。以下、図15に示された輝度情報から序列基準に用いることができる3つの要素について説明する。なお、以下で説明する3つの要素は、特許第4914176号の明細書段落0074から0088の間においても説明されている。
1つ目の要素として、画像の序列が行われる際には、輝度情報に基づいて、予め設定された閾値La(図15に図示)以上の輝度値を有する画素が撮像画像上に存在するかを1つの基準としてもよい。閾値には、角膜内皮enを撮像した画素の輝度値より低いとともに角膜実質sを撮像した画素の輝度値より高い値が設定される。当該閾値以上の輝度値を有する画素が存在する撮像画像は、当該画素が存在しない撮像画像と比べて、画像の序列は高くなる。このような基準を用いることによって、角膜内皮enが撮像されている可能性が高い撮像画像を選別することができる。
2つ目の要素として、画像の序列が行われる際には、前述の閾値以上の輝度値を有する画素が存在する領域と存在しない領域との境界が撮像画像上のどの位置にあるかを1つの基準としてもよい。具体的には、以下の通りである。すなわち、図15においては、当該境界は、画素位置Xa、Xbにあたる。画素位置Xa、Xbは、輝度値が閾値Laとなる位置のことである。画素位置Xaは、角膜内皮enと前房aとの境界であり、画素位置Xbは、角膜内皮enと角膜実質sとの境界であるとみなされる。そして、画素位置Xa、Xbがそれぞれ予め設定された画像上の領域Rl、Rrの範囲内に位置しているかどうかを画像選別の基準として用いてもよいということである。領域Rlは画像上の左側に位置するとともに領域Rrは画像上の右側に位置する領域である。画素位置Xa、Xbが存在する場合、その撮像画像の序列は高くなり、画素位置Xa、Xbが領域Rl、Rrの範囲内に位置する場合、その撮像画像の序列はさらに高くなる。このような基準を用いることによって、角膜内皮enが領域Rl、Rrの範囲内(撮像画像の中央寄り)に撮像されている可能性が高い撮像画像を選別することができる。
3つ目の要素として、画像の序列が行われる際には、輝度情報に基づいて、隣り合う画素の輝度値差の総和の平均値を1つの基準としてもよい。当該平均値は、以下のように求められる。すなわち、図15で示された輝度情報を複数の水平線について取得し、当該水平線の各々に対して、Σ|Xn−Xn−1|を適用して、水平方向で隣り合う画素の輝度値差の絶対値の総和を求めたのち、当該水平線の各々における総和の平均を算出することによって求められる。求められた平均値の数値が大きいほど、その撮像画像には、角膜内皮が広い範囲で撮像された画像である。したがって、当該平均値が高い撮像画像ほど選別されるべき対象であるとみなされる。換言すれば、平均値が高いほどその撮像画像の序列は高くなる。このような基準を用いることによって、角膜内皮enが広い範囲で撮像されている可能性が高い撮像画像を選別することができる。
上述した3つの要素を含む輝度情報は、画像の序列が行われる際には、以下のように用いることができる。すなわち、撮像光学系20が角膜内皮enに合焦する位置との距離Lが一定の距離の範囲内の位置で撮像された撮像画像を抽出したのち、抽出された撮像画像に対して、輝度情報に基づく優先順位を設定してもよい。また、優先順位を設定する際に、当該位置との距離Lと、輝度情報と、をそれぞれ参照してもよい。このとき、当該位置との距離Lが小さいほどスコアが高くなるよう対応付けられたスコアLSと、輝度情報に示された3つの要素が、角膜内皮enが撮像されている可能性が高いほど、角膜内皮enが撮像画像の中央寄りに撮像されている可能性が高いほど、角膜内皮enが広い範囲で写っている可能性が高いほど、スコアが高くなるよう対応付けられたスコアBSと、を足した合計スコアを、優先順位を設定する際に参照してもよい。また、合計スコアは、(スコアLS×α)+(スコアBS×β)と表現して、係数αおよびβの値を変動させることによって、スコアLSとスコアBSとの合計スコアに対する寄与の度合いを調整してもよい。このような輝度情報は、第2実施形態における類似の判定基準であった座標情報に加えて、判定基準として用いられてもよい。すなわち、判定基準には、第1撮像画像と第2撮像画像との各々における輝度情報が含まれてもよい。
さらに、本発明のように、座標情報に基づいて画像の順位を設定する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
10…装置光学系、12…観察光学系、14…撮像照明光学系、16…位置検出光学系、18…位置検出照明光学系、20…撮像光学系、44…ラインセンサ、88…アライメント検出センサ、100…角膜内皮撮像装置、112…X軸駆動機構、114…Y軸駆動機構、116…Z軸駆動機構、117…撮像制御回路、118…XYアライメント検出回路、120…Zアライメント検出回路、122…画像選別回路、122a…座標対応部、122b…順位設定部、124…記憶装置、124a…類似抽出部
Claims (3)
- スリット光束を被検眼に対して斜めから照射する照明光源を含む照明光学系と、
前記スリット光束による前記被検眼の角膜からの反射光束を受光して角膜像を撮像する撮像素子を含む撮像光学系と、
前記照明光学系および前記撮像光学系を一体として前記被検眼に対する距離を変更する距離変更部と、
前記被検眼に対する距離が異なる複数の位置において前記撮像素子に撮像された複数の撮像画像の各々に対して、撮像位置を示す座標情報を対応付ける座標対応部と、
予め設定された撮像期間の間に撮像された複数の撮像画像の各々について、前記座標情報に基づいて、前記撮像光学系が角膜内皮に合焦する状態における前記撮像位置と撮像画像が撮像された前記撮像位置との距離を少なくとも1つの序列基準として、優先順位を設定する順位設定部と、
を備える、角膜内皮撮像装置。 - 前記序列基準には、前記距離に加えて、撮像画像における輝度情報が含まれ、
前記優先順位は、前記距離と前記輝度情報とを前記序列基準として設定される、
請求項1に記載の角膜内皮撮像装置。 - スリット光束を被検眼に対して斜めから照射する照明光源を含む照明光学系と、前記スリット光束による前記被検眼の角膜からの反射光束を受光して角膜像を撮像する撮像素子を含む撮像光学系と、前記照明光学系および前記撮像光学系を一体として前記被検眼に対する距離を変更する距離変更部と、を備える角膜内皮撮像装置を用いた画像の順位設定方法であって、
前記被検眼に対する距離が異なる複数の位置において前記撮像素子に撮像された複数の撮像画像の各々に対して、撮像位置を示す座標情報を対応付ける座標対応付工程と、
予め設定された期間の間に撮像された複数の撮像画像の各々について、前記期間において前記撮像光学系が角膜内皮に合焦する状態における前記撮像位置と撮像画像が撮像された前記撮像位置との距離を少なくとも1つの序列基準として、優先順位を設定する順位設定工程と、
を備える、画像の順位設定方法。
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