JP2021055660A - 燃料改質エンジン - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料改質気筒に吸入した予混合気の当量比を少ない燃料供給量で高めることができる燃料改質エンジンを提供することである。【解決手段】燃料改質エンジン1は、供給された燃料を改質する燃料改質気筒2と、燃料改質気筒2で生成された改質燃料が供給され当該改質燃料の燃焼によって機関出力を得る出力気筒3と、を備え、燃料改質気筒2の吸気通路79は、出力気筒3の排気通路61にのみ接続されている。【選択図】図1
Description
本開示は、燃料改質気筒を有する燃料改質エンジンに関する。
特許文献1に示すように、燃料改質気筒と出力気筒とを備えた燃料改質エンジンが知られている。この種の燃料改質エンジンは、燃料改質気筒において燃料を改質する。改質後の燃料(以下、改質燃料という)を出力気筒において燃焼させることによって機関出力を得る。
具体的には、燃料改質気筒にガソリン、灯油、軽油又は重油等の燃料を供給し、この燃料改質気筒内において当量比の高い混合気を断熱圧縮する。これにより、高温高圧の環境下で燃料が改質され、水素、一酸化炭素、メタン等のアンチノック性の高い改質燃料(高オクタン価燃料)が生成される。この改質燃料を空気と共に出力気筒に供給し、この出力気筒内において希薄混合気の燃焼(均一希薄燃焼)が行われることにより機関出力が得られる。
この種の燃料改質エンジンによれば、出力気筒内において均一希薄燃焼が行われるため、NOx排出量の低減およびスート排出量の低減を図ることができる。また、アンチノック性の高い燃料の燃焼が行われるため、ノッキングが抑制されると共にディーゼルマイクロパイロット着火(出力気筒内に微量の燃料を供給することによる改質燃料の着火)により最適な時期での燃焼が実現できることから、熱効率の向上を図ることもできる。
燃料改質気筒において燃料を改質する場合、燃料改質気筒に吸入した予混合気の当量比を高めることで改質効率を高めることができるが、当量比を高めるためには大量の燃料を供給する必要があり、供給した燃料による混合気の比熱比の低下や気化潜熱などによって燃料改質気筒の圧縮上死点におけるガス温度が低下し、改質反応が十分進まなくなる場合がある。
本開示の目的は、燃料改質気筒に吸入した予混合気の当量比を少ない燃料供給量で高めることができる燃料改質エンジンを提供することである。
本開示の燃料改質エンジンは、供給された燃料を改質する燃料改質気筒と、
前記燃料改質気筒で生成された改質燃料が供給され当該改質燃料の燃焼によって機関出力を得る出力気筒と、を備え、
前記燃料改質気筒の吸気通路は、前記出力気筒の排気通路にのみ接続されている。
前記燃料改質気筒で生成された改質燃料が供給され当該改質燃料の燃焼によって機関出力を得る出力気筒と、を備え、
前記燃料改質気筒の吸気通路は、前記出力気筒の排気通路にのみ接続されている。
かかる構成によれば、燃料改質気筒に吸入した予混合気の当量比を少ない燃料供給量で高めることができる。
以下に、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。
<燃料改質エンジン1のシステム構成>
図1は、本実施形態の燃料改質エンジン1のシステム構成を示す図である。図1に示すように、燃料改質エンジン1は、燃料改質気筒2および出力気筒3を有する。燃料改質エンジン1は、燃料改質気筒2や出力気筒3に対し、ガスの供給(導入)またはガスの排出(導出)を行うための配管系として、吸気系4、改質燃料供給系5、排気系6、および、EGR系7を有する。
図1は、本実施形態の燃料改質エンジン1のシステム構成を示す図である。図1に示すように、燃料改質エンジン1は、燃料改質気筒2および出力気筒3を有する。燃料改質エンジン1は、燃料改質気筒2や出力気筒3に対し、ガスの供給(導入)またはガスの排出(導出)を行うための配管系として、吸気系4、改質燃料供給系5、排気系6、および、EGR系7を有する。
[燃料改質気筒および出力気筒]
燃料改質気筒2および出力気筒3は、レシプロ型である。具体的には、各気筒2、3は、シリンダブロック(非図示)に形成されたシリンダボア21、31内にピストン22、32が往復動自在に収容されて構成されている。燃料改質気筒2では、シリンダボア21、ピストン22及びシリンダヘッド(非図示)によって燃料改質室23が形成されている。出力気筒3では、シリンダボア31、ピストン32及びシリンダヘッド(非図示)によって燃焼室33が形成されている。
燃料改質気筒2および出力気筒3は、レシプロ型である。具体的には、各気筒2、3は、シリンダブロック(非図示)に形成されたシリンダボア21、31内にピストン22、32が往復動自在に収容されて構成されている。燃料改質気筒2では、シリンダボア21、ピストン22及びシリンダヘッド(非図示)によって燃料改質室23が形成されている。出力気筒3では、シリンダボア31、ピストン32及びシリンダヘッド(非図示)によって燃焼室33が形成されている。
本実施形態に係る燃料改質エンジン1は、シリンダブロックに4つの気筒が備えられ、そのうちの1つの気筒が燃料改質気筒2として構成されており、他の3つの気筒が出力気筒3として構成されている。そして、燃料改質気筒2で生成された改質燃料が各出力気筒3それぞれに供給される構成となっている。各気筒2、3の数はこれに限定されるものではない。例えば、シリンダブロックに6つの気筒が備えられ、そのうちの2つの気筒が燃料改質気筒2として構成されており、他の4つの気筒が出力気筒3として構成されていてもよい。
各気筒2、3のピストン22、32はそれぞれコネクティングロッド24、34を介してクランクシャフト11に連結されている。これにより、ピストン22、32の往復運動とクランクシャフト11の回転運動との間で運動が変換されるようになっている。クランクシャフト11は、クラッチ機構(非図示)を介して出力軸に連結可能となっている。燃料改質気筒2のピストン22と出力気筒3のピストン32とはコネクティングロッド24、34およびクランクシャフト11を介して互いに連結されている。このため、これら気筒2、3間での動力伝達や、これら気筒2、3から出力された動力の出力軸への伝達等が可能となっている。
燃料改質気筒2には、燃料改質室23に改質前の燃料として例えばガソリン、灯油、軽油又は重油等の燃料を供給するインジェクタ25が備えられている。この燃料改質室23では、インジェクタ25から燃料が供給されることにより、当量比の高い混合気が断熱圧縮される。これにより、高温高圧の環境下で燃料が改質し、水素、一酸化炭素、メタン等のアンチノック性の高い改質燃料が生成される。
出力気筒3には、燃焼室33に例えば軽油等の燃料を供給するインジェクタ35が備えられている。この燃焼室33では、燃料改質気筒2で生成された改質燃料が空気と共に供給され、この燃焼室33で希薄混合気の希薄予混合燃焼が行われる。これにより、ピストン32の往復動に伴ってクランクシャフト11が回転し、機関出力が得られる。
(吸気系)
吸気系4は、出力気筒3の燃焼室33に空気(新気)を導入するものである。
吸気系4は、出力気筒3の燃焼室33に空気(新気)を導入するものである。
吸気系4は、吸気通路41を備えている。吸気通路41には、ターボチャージャ12のコンプレッサホイール12aが備えられている。また、吸気通路41には吸気冷却器44(インタクーラ)が備えられている。吸気通路41は出力気筒3の吸気ポートに連通している。吸気ポートと出力気筒3の燃焼室33との間には吸気バルブ36が開閉可能に配設されている。
(改質燃料供給系)
改質燃料供給系5は、燃料改質気筒2で生成された改質燃料(以下、改質ガスという場合もある)を出力気筒3の燃焼室33に向けて供給するものである。
改質燃料供給系5は、燃料改質気筒2で生成された改質燃料(以下、改質ガスという場合もある)を出力気筒3の燃焼室33に向けて供給するものである。
改質燃料供給系5は改質燃料供給通路51を備えている。改質燃料供給通路51には改質燃料冷却器52が備えられている。改質燃料供給通路51の上流端は燃料改質気筒2の排気ポートに連通している。排気ポートと燃料改質気筒2の燃料改質室23との間には排気バルブ27が開閉可能に配設されている。また、改質燃料供給通路51の下流端は吸気通路41に連通している。このため、燃料改質気筒2で生成された改質燃料は、吸気通路41を流れる空気と混合されて出力気筒3の燃焼室33に供給されることになる。
(排気系)
排気系6は、出力気筒3で発生した排気ガスを排出するものである。排気系6は排気通路61を備えている。排気通路61には、ターボチャージャ12のタービンホイール12b(排気タービンに相当)が備えられている。排気通路61は出力気筒3の排気ポートに連通している。排気ポートと出力気筒3の燃焼室33との間には排気バルブ37が開閉可能に配設されている。
排気系6は、出力気筒3で発生した排気ガスを排出するものである。排気系6は排気通路61を備えている。排気通路61には、ターボチャージャ12のタービンホイール12b(排気タービンに相当)が備えられている。排気通路61は出力気筒3の排気ポートに連通している。排気ポートと出力気筒3の燃焼室33との間には排気バルブ37が開閉可能に配設されている。
(EGR系)
EGR系7は、排気通路61を流れる排気ガスの一部を燃料改質気筒2の燃料改質室23に向けて供給するものである。
EGR系7は、排気通路61を流れる排気ガスの一部を燃料改質気筒2の燃料改質室23に向けて供給するものである。
EGR系7は、EGR通路71を備えている。EGR通路71は、上流端が排気通路61のタービンホイール12bより上流側で排気通路61に接続されている。EGR通路71には高温の排気ガスが流れるため、配管の変形を考慮して、配管中にフレキ管71aを挿入することが好ましい。
EGR通路71は、下流端が燃料改質気筒2の吸気通路79に連通している。吸気通路79は、燃料改質気筒2の吸気ポートに連通され、吸気ポートと燃料改質気筒2の燃料改質室23との間には吸気バルブ26が開閉可能に配設されている。
EGR通路71にはEGRガス冷却器72が備えられている。また、EGR通路71におけるEGRガス冷却器72よりも下流側にはEGRガス量調整弁73(第1の流量制御弁に相当)が備えられている。また、EGR系7には、EGRガス冷却器72をバイパスしてEGRガスを流すためのクーラバイパス通路74が設けられている。また、EGR通路71におけるEGRガス冷却器72よりも上流側にはバイパス量調整弁75が備えられている。
なお、前述した各系に備えられている冷却器44、52、72は、ガスを冷却するための冷熱源として、エンジン冷却水または海水等が使用される。また、これら冷却器44、52、72は空冷式のものであってもよい。
<燃料改質エンジン1の動作>
次に、上記燃料改質エンジン1の動作について説明する。
次に、上記燃料改質エンジン1の動作について説明する。
吸気通路41に導入される空気は、ターボチャージャ12のコンプレッサホイール12aによって加圧される。吸気通路41に導入された空気は、出力気筒3の燃焼室33に供給される。
燃料改質気筒2の燃料改質室23には、EGR通路71を流れるEGRガスが導入される。この際、燃料改質室23に導入されるEGRガス量はEGRガス量調整弁73によって調整される。また、燃料改質室23に導入されるEGRガスの温度はバイパス量調整弁75の開度に応じてEGRガス冷却器72をバイパスするEGRガス量によって調整される。この際、EGRガスの流量、温度は、燃料改質室23での当量比が高くなり且つ燃料改質室23のガス温度が燃料の改質を良好に行うことができる温度を確保できるように調整される。具体的には、EGRガス量調整弁73およびバイパス量調整弁75の開度は、インジェクタ25から燃料改質室23に燃料が供給された際における燃料改質室23での当量比を例えば2.5以上(好ましくは4.0以上)に設定し、且つ燃料改質室23のガス温度が改質反応可能温度の下限値以上の値となるように、予め実験やシミュレーションに基づいて作成された開度設定マップに従って設定される。
このようにして燃料改質気筒2の燃料改質室23に、EGRガスが導入された状態で、インジェクタ25から燃料改質室23に燃料が供給される。インジェクタ25からの燃料供給量は、基本的には機関要求出力に応じて設定される。具体的には、インジェクタ25に供給されている燃料圧力に応じ、目標とする燃料供給量が得られるように、インジェクタ25の開弁期間が設定される。また、インジェクタ25の開弁タイミングは、燃料改質気筒2の吸気行程が終了するまでの間に目標とする燃料供給量の噴射が完了するように設定されることが望ましいが、ピストン22が圧縮上死点付近に到達する前に混合気が均一に混合可能である場合には、圧縮行程途中まで燃料噴射期間が継続されてもよい。これにより、ピストン22が圧縮上死点に達するまでに、燃料改質室23において均質な混合気(当量比の高い混合気)が生成されることになる。
ピストン22が圧縮上死点に向かって移動する間に、燃料改質室23の圧力および温度が上昇し、燃料改質室23では、当量比の高い混合気(例えば4.0以上の当量比の混合気)が断熱圧縮される。これにより、高温高圧の環境下で、燃料の脱水素反応、部分酸化反応、水蒸気改質反応、熱解離反応が行われて、燃料が改質され、水素、一酸化炭素、メタン等のアンチノック性の高い改質燃料が生成される。
燃料改質室23から排出された改質燃料は、改質燃料供給通路51を流れる際に改質燃料冷却器52において冷却される。冷却により、吸気通路41や燃焼室33での改質燃料の過早着火が抑制される。冷却された改質燃料は、吸気通路41を流れる空気と混合され、出力気筒3の燃焼室33に供給される。
このようにして、出力気筒3の燃焼室33には、空気、改質燃料がそれぞれ導入され、燃焼室33内の当量比が0.1〜0.8程度に調整される。
出力気筒3では、圧縮行程において、希薄混合ガスの断熱圧縮が行われ、ピストン32が圧縮上死点に達した時点で、インジェクタ35から微量の燃料噴射が行われる。これにより、燃焼室33内の混合気が着火し、希薄予混合燃焼が行われる。なお、インジェクタ35からの燃料噴射を行わなくても燃焼室33の混合気が自着火(予混合圧縮自着火)する場合には、インジェクタ35からの燃料噴射は必ずしも必要ない。
燃焼によって、ピストン32が往復動し、クランクシャフト11が回転することで機関出力が得られる。機関出力は出力軸に伝達される。また、機関出力の一部は、燃料改質気筒2におけるピストン22の往復動の駆動源として使用される。
上記燃料改質エンジン1によれば、出力気筒3内において希薄混合気の燃焼(均一希薄燃焼)が行われるため、NOx排出量の低減およびスート排出量の低減を図ることができる。これにより、排気ガスを浄化するための後処理装置を不要またはその容量を大幅に小型化することが可能である。また、アンチノック性の高い燃料の燃焼が行われるため、ノッキングが抑制されると共にディーゼルマイクロパイロット着火により最適な時期での燃焼が実現できることから、熱効率の向上を図ることもできる。
<燃料改質気筒における改質反応について>
本実施形態に係る燃料改質気筒2の燃料改質室23には、出力気筒3からの排気ガス(EGRガス)のみが導入される。これに対し、従来は出力気筒3からの排気ガスと空気(新気)とを混ぜて燃料改質気筒2に導入していた。
本実施形態に係る燃料改質気筒2の燃料改質室23には、出力気筒3からの排気ガス(EGRガス)のみが導入される。これに対し、従来は出力気筒3からの排気ガスと空気(新気)とを混ぜて燃料改質気筒2に導入していた。
図2は、燃料改質室23における混合気の当量比(横軸)と、燃料改質室23に導入される混合気の圧縮前の初期温度(縦軸)と、改質反応不能域と、改質効率の分布との関係を示す図である。図2に示すように燃料改質気筒2に供給した燃料が改質ガスのエネルギに変換される割合(改質効率)は当量比が高いほど高くすることができる。しかし、当量比が高い条件では、吸気温度に相当する初期温度が低いと、燃料改質気筒2においてピストン22が圧縮上死点に達した時点での燃料改質室23内のガス温度(以下、圧縮端ガス温度という)が低下するため、改質反応が起こらない不具合があった。
図3は、燃料改質室23における混合気の当量比(横軸)と、燃料改質室23に導入される混合気の圧縮前の初期温度(縦軸)と、改質反応不能域と、燃料改質気筒2においてピストン22が圧縮上死点に達した時点での燃料改質室23内のガス温度(圧縮端ガス温度)の分布との関係を示す図である。図3に示すように改質反応が発生するのは圧縮端ガス温度が一定値以上のときである。そのため、当量比が高い条件では、極力高い温度のガスを燃料改質気筒2へ供給する必要がある。
本実施形態の燃料改質エンジン1によれば、出力気筒3からの高温の排気ガスをそのまま燃料改質気筒2に導入できるため、確実に圧縮端ガス温度を高めることができる。
また、出力気筒3は空気過剰率1.5〜2.5程度の条件で運転するため、排気ガス中に酸素が数%残留している。そのため、この排気ガスを燃料改質気筒2に直接導入することで少ない燃料供給量で高い当量比を実現することができ、大量の燃料を噴射することによる燃料改質気筒2内の混合気の比熱比低下や気化潜熱によって圧縮端ガス温度が低下するのを防いで、効率的に圧縮端ガス温度を高めることができる。
以上のように、本実施形態の燃料改質エンジン1は、供給された燃料を改質する燃料改質気筒2と、
燃料改質気筒2で生成された改質燃料が供給され当該改質燃料の燃焼によって機関出力を得る出力気筒3と、を備え、
燃料改質気筒2の吸気通路79は、出力気筒3の排気通路61にのみ接続されている。
燃料改質気筒2で生成された改質燃料が供給され当該改質燃料の燃焼によって機関出力を得る出力気筒3と、を備え、
燃料改質気筒2の吸気通路79は、出力気筒3の排気通路61にのみ接続されている。
この構成によれば、燃料改質気筒2に吸入した予混合気の当量比を少ない燃料供給量で高めることができる。
また、本実施形態の燃料改質エンジン1において、燃料改質気筒2の吸気通路79は、出力気筒3の排気通路61に設けられたタービンホイール12bよりも上流側で排気通路61に接続されていることが好ましい。
これは、タービンホイール12bを出たガスは圧力と温度が低下しており、改質に必要な酸素量と温度を維持できないためである。タービンホイール12bよりも上流側の排ガスを導入することにより、燃料改質気筒2の体積効率を高めることができ、出力気筒3の出力が高い条件においても必要な量の改質ガスを供給することができる。
また、本実施形態の燃料改質エンジン1において、出力気筒3の排気通路61の排気ガス中の酸素濃度を検出または推定する手段を備え、
検出または推定された排気ガス中の酸素濃度に基づいて、燃料改質気筒2内の当量比が2.0から10.0の値となるように燃料改質気筒2への燃料供給量を調整するようにしてもよい。
検出または推定された排気ガス中の酸素濃度に基づいて、燃料改質気筒2内の当量比が2.0から10.0の値となるように燃料改質気筒2への燃料供給量を調整するようにしてもよい。
排気ガス中の酸素濃度を取得する方法としては、配管中に設けたO2センサで検出する方法でもよく、出力気筒3と燃料改質気筒2の運転条件をもとに演算する方法でもよい。
排気ガス中の酸素濃度は、出力気筒3に導入された改質ガス、出力気筒3に供給した燃料、および出力気筒3に導入された空気量をそれぞれ算出し、それらが完全に燃焼するとの仮定で燃焼反応後の各成分の量を算出することで求めることができる。例えば、図4の構成において、予め改質ガスの組成と流量が判明している場合、出力気筒3の吸排気の圧力及び温度と、EGR弁80の開度とから新気量、EGRガス量を演算することができる。なお、出力気筒3の吸排気の圧力及び温度は、出力気筒3の吸排気通路に設けた圧力センサ81,82及び温度センサ83,84によって検出される。
次に、燃料供給量mfuelは、以下の式(1)および式(2)によって求めることができる。
ここで、φrfmは燃料改質気筒2の目標当量比、αfuelは炭酸水素燃料CaHbOcの理論混合比、mgas_inは燃料改質気筒2に吸入される排気ガス量、MWgasは出力気筒3の排気ガスのモル質量、MWfuelは燃料のモル質量、φO2_gasは排気ガス中のO2モル分率である。
また、本実施形態の燃料改質エンジン1は、出力気筒3の排気通路61から燃料改質気筒2の吸気通路79に導入される排気ガス量を検出する手段と、
前記排気ガス量を調整するEGRガス量調整弁73と、を備え、
出力気筒3の運転条件に応じて燃料改質気筒2内の当量比が2.0から10.0の値となるようにEGRガス量調整弁73を制御するようにしてもよい。
前記排気ガス量を調整するEGRガス量調整弁73と、を備え、
出力気筒3の運転条件に応じて燃料改質気筒2内の当量比が2.0から10.0の値となるようにEGRガス量調整弁73を制御するようにしてもよい。
改質ガスの組成は、燃料改質気筒2内の当量比とガス温度によって制御することができる。ただし、改質ガス量は、出力気筒3の出力に応じてマスバランスが成立するように調整する必要がある。
例えば、出力気筒3の出力が低いときには大量の改質ガスを生成しても消費しきれなくなるため、EGRガス量調整弁73の開度を小さくして燃料改質気筒2へ導入するEGRガス量を低減することで少量の燃料供給であっても高い当量比で改質反応を起こすことができる。一方、出力気筒3の出力が高いときは、EGRガス量調整弁73の開度を大きくして燃料改質気筒2へ導入するEGRガス量を増大することで大量の改質ガスを生成することができる。
具体的には、式(3)で目標当量比φrfm=2.0〜10.0の条件における目標排気ガス量mgasを算出し、この目標排気ガス量mgasに基づいてEGRガス量調整弁73の開度を調整する。
排気ガス量を検出する手段としては、配管内に取り付けたベンチュリタイプの流量計により検出してもよく、出力気筒3の出口ガス圧力や温度をもとに推定してもよい。
また、本実施形態の燃料改質エンジン1は、出力気筒3の排気通路61と燃料改質気筒2の吸気通路79との間に設けられたEGRガス冷却器72と、
EGRガス冷却器72をバイパスするクーラバイパス通路74と、
EGRガス冷却器72に流入するEGRガス量を調整するバイパス量調整弁75と、を備え、
燃料改質気筒2においてピストン22が圧縮上死点に達した時点での燃料改質気筒2内のガス温度(圧縮端ガス温度)が所定の値となるように、バイパス量調整弁75を制御するようにしてもよい。
EGRガス冷却器72をバイパスするクーラバイパス通路74と、
EGRガス冷却器72に流入するEGRガス量を調整するバイパス量調整弁75と、を備え、
燃料改質気筒2においてピストン22が圧縮上死点に達した時点での燃料改質気筒2内のガス温度(圧縮端ガス温度)が所定の値となるように、バイパス量調整弁75を制御するようにしてもよい。
改質ガスの組成は、圧縮端ガス温度に強く依存する。圧縮端ガス温度が低い場合には熱分解反応が不十分となり、高級炭化水素が改質ガス中に残留する。また、圧縮端ガス温度が一定値を下回る場合には改質反応が発生せず、供給した燃料がそのまま排出されるなどの不具合が起こる。
一方、圧縮端ガス温度が高すぎる場合には、改質ガス中に大量のSootを生成し、また、シリンダボア21が高温になるため、ピストン22の焼き付きやヘッドの亀裂など信頼性低下のリスクが増加する。
そのため、排気ガスの温度を調整するためのEGRガス冷却器72を出力気筒3の排気通路61と燃料改質気筒2の吸気通路79との間に設け、バイパス量調整弁75によってEGRガス冷却器72に流入するEGRガス量を制御することで、燃料改質気筒2の圧縮端ガス温度が所定の値となるように燃料改質気筒2の入口ガス温度を制御する。
具体的には、出力気筒3の出力が低い運転条件では燃料改質気筒2に流入するEGRガス温度が高いほうが望ましいため、バイパス量調整弁75を閉じ、全量をバイパスさせる。一方、出力気筒3の出力が高い運転条件では、EGRガス温度が高くなりすぎるため、バイパス量調整弁75を解放し、燃料改質気筒2の入口ガス温度を調整する。
ガス温度の目安は、当量比が3.0以上の条件では改質気筒入口ガス温度が少なくとも400Kを上回る必要があり、特に目標当量比が高い条件では当量比が低い条件に比べ改質気筒入口ガス温度を高めることが望ましい。
以上、本開示の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
1 燃料改質エンジン
2 燃料改質気筒
3 出力気筒
12 ターボチャージャ
12b タービンホイール
61 排気通路
71 EGR通路
79 吸気通路
2 燃料改質気筒
3 出力気筒
12 ターボチャージャ
12b タービンホイール
61 排気通路
71 EGR通路
79 吸気通路
Claims (5)
- 供給された燃料を改質する燃料改質気筒と、
前記燃料改質気筒で生成された改質燃料が供給され当該改質燃料の燃焼によって機関出力を得る出力気筒と、を備え、
前記燃料改質気筒の吸気通路は、前記出力気筒の排気通路にのみ接続されている、燃料改質エンジン。 - 前記燃料改質気筒の吸気通路は、前記出力気筒の排気通路に設けられた排気タービンよりも上流側で前記排気通路に接続されている、請求項1に記載の燃料改質エンジン。
- 前記出力気筒の排気通路の排気ガス中の酸素濃度を検出または推定する手段を備え、
検出または推定された排気ガス中の酸素濃度に基づいて、前記燃料改質気筒内の当量比が2.0から10.0の値となるように前記燃料改質気筒への燃料供給量を調整する、請求項1または2に記載の燃料改質エンジン。 - 前記出力気筒の排気通路から前記燃料改質気筒の吸気通路に導入される排気ガス量を検出する手段と、
前記排気ガス量を調整する第1の流量制御弁と、を備え、
前記出力気筒の運転条件に応じて前記燃料改質気筒内の当量比が2.0から10.0の値となるように前記第1の流量制御弁を制御する、請求項1〜3の何れか1項に記載の燃料改質エンジン。 - 前記出力気筒の排気通路と前記燃料改質気筒の吸気通路との間に設けられた熱交換器と、
前記熱交換器をバイパスする配管と、
前記熱交換器に流入する排気ガス量を調整する第2の流量制御弁と、を備え、
前記燃料改質気筒においてピストンが圧縮上死点に達した時点での前記燃料改質気筒内のガス温度が所定の値となるように、前記第2の流量制御弁を制御する、請求項1〜4の何れか1項に記載の燃料改質エンジン。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2019182314A JP2021055660A (ja) | 2019-10-02 | 2019-10-02 | 燃料改質エンジン |
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