JP2021055049A - 樹脂組成物、それを用いた素子の製造方法 - Google Patents

樹脂組成物、それを用いた素子の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021055049A
JP2021055049A JP2020140659A JP2020140659A JP2021055049A JP 2021055049 A JP2021055049 A JP 2021055049A JP 2020140659 A JP2020140659 A JP 2020140659A JP 2020140659 A JP2020140659 A JP 2020140659A JP 2021055049 A JP2021055049 A JP 2021055049A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
polymer
resin composition
film
method described
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2020140659A
Other languages
English (en)
Inventor
潤史 脇田
Junji Wakita
潤史 脇田
尚代 岡本
Hisayo Okamoto
尚代 岡本
和生 磯貝
Kazuo Isogai
和生 磯貝
村瀬 清一郎
Seiichiro Murase
清一郎 村瀬
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Publication of JP2021055049A publication Critical patent/JP2021055049A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Silicon Polymers (AREA)
  • Formation Of Insulating Films (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)

Abstract

【課題】高誘電率で、かつリーク電流を低減した絶縁層を形成することができる樹脂組成物を提供すること。【解決手段】少なくとも、(a)ポリマーA:表面にヒロドキシ基を有する無機粒子にポリマーが結合したポリマー、(b)ポリマーB:無機粒子と結合しておらず、かつ前記ポリマーAに含まれる無機粒子表面のヒドロキシ基と水素結合を形成可能な官能基を有するポリマー、および(c)溶剤を含有する樹脂組成物。【選択図】 なし

Description

本発明は、樹脂組成物、それを用いた素子の製造方法に関する。
近年、電子ペーパー、フレキシブルセンサー、RFID(Radio Frequency IDentification)タグなどの電子デバイスを、塗布法を用いて製造する技術が検討されている。塗布法を用いると真空プロセスや高温プロセスを回避できるため、電子デバイスを低コストで製造することができる。
電子デバイスには電界効果型トランジスタ(FET)やキャパシタなどの素子が含まれている。これらの素子には上部電極と下部電極を絶縁する絶縁膜が必要である。
FETにおける絶縁膜は、半導体層、ソース電極、及びドレイン電極とゲート電極を隔てるゲート絶縁膜である。ゲート絶縁膜の電気特性、表面平滑性、膜厚は、リーク電流値やFETのON/OFF電流値などのFET特性に大きな影響を与える。
キャパシタにおける絶縁膜は、上部電極と下部電極を隔て、かつ上部下部電極間に引加された電界によって生じる電荷を蓄積する誘電膜である。誘電膜の電気特性、表面平滑性、膜厚は、リーク電流値、蓄積電荷量などのキャパシタ特性に大きな影響を与える。
絶縁膜用の材料として、有機ポリマーなど有機溶媒に可溶な有機材料が精力的に検討されている。これらは、スリットコートなどの塗布法による低コストの薄膜形成が可能であり、かつ低温プロセスでポリエチレンテレフタレートなどのフィルム基材上に薄膜形成ができる。特に、絶縁膜の誘電率を高くするため、無機化合物を絶縁膜中に添加する検討が盛んに為されている。
有機ポリマーに無機化合物を添加した絶縁膜としては、無機粒子と化学的に結合したポリシロキサンを含有するゲート絶縁膜(例えば、特許文献1参照)、ポリマーおよび無機酸化物粒子を含有するゲート絶縁膜(例えば、特許文献2参照)、が知られている。
国際公開第2019/065561号 特開2013−115162号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、下部電極近傍での絶縁膜の膜厚ムラが大きくなり、素子のリーク電流が高くなる問題があることが明らかになった。また、特許文献1では、キャパシタについての言及はなく、上記問題は、下部電極面積が大きなキャパシタにおいて、特に顕著であることが見出された。
さらに、本発明者は特許文献2の技術を検討したところ、絶縁膜の膜厚ムラは小さいが、一部の凝集した無機粒子による導電パスの形成により、キャパシタのリーク電流が大きくなる問題が明らかになった。
本発明は上記課題に着目し、高誘電率で、かつリーク電流を低減した絶縁層を形成することができる樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、特許文献1の技術における電極近傍の膜厚ムラの原因が、無機粒子と化学的に結合したポリマーの流動性が低いことにあるものと推測して検討を行い、本発明に至った。
すなわち本発明は、少なくとも、(a)ポリマーA:表面にヒロドキシ基を有する無機粒子にポリマーが結合したポリマー、(b)ポリマーB:無機粒子と結合しておらず、かつ前記ポリマーAに含まれる無機粒子表面のヒドロキシ基と水素結合を形成可能な官能基を有するポリマー、および(c)溶剤を含有する樹脂組成物である。
本発明の素子によれば、電極近傍、および電極上での膜厚均一性の高い絶縁膜を形成可能な樹脂組成物が得られ、その結果として、絶縁膜の高誘電率と低リーク電流を両立した素子を得ることが可能である。
本発明の樹脂組成物を用いて得られる電界効果型トランジスタの一例を示す模式断面図 本発明の樹脂組成物を用いて得られる電界効果型トランジスタの一例を示す模式断面図 本発明の樹脂組成物を用いて得られる電界効果型トランジスタの一例を示す模式断面図 本発明の樹脂組成物を用いて得られる電界効果型トランジスタの一例を示す模式断面図 本発明の樹脂組成物を用いて得られる電界効果型トランジスタの一例を示す模式断面図 本発明の樹脂組成物を用いて得られる電界効果型トランジスタの一例を示す模式断面図 本発明の樹脂組成物を用いて得られるキャパシタの一例を示す模式断面図 本発明の樹脂組成物を用いて得られるキャパシタの一例を示す模式断面図 本発明の樹脂組成物を用いて得られるキャパシタの一例を示す模式断面図 本発明の樹脂組成物を用いて得られるキャパシタの一例を示す模式断面図 本発明の樹脂組成物を用いて得られる回路の一例を示す模式断面図 本発明の樹脂組成物を用いて得られる回路の一例を示す模式断面図 本発明の樹脂組成物を用いて得られる回路の一例を示す模式断面図 本発明の樹脂組成物を用いて得られる電界効果型トランジスタを用いた無線通信装置の一例を示すブロック図 本発明の樹脂組成物を用いて得られるキャパシタの一例を示す模式断面図 本発明の樹脂組成物を用いて得られる電界効果型トランジスタの一例を示す模式断面図 本発明の樹脂組成物を用いて得られる回路の一例を示す模式断面図
以下、本発明に係る樹脂組成物、それを用いた素子の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
<樹脂組成物>
本発明の樹脂組成物は、少なくとも、(a)ポリマーA:表面にヒロドキシ基を有する無機粒子にポリマーが結合したポリマー、(b)ポリマーB:無機粒子と結合しておらず、かつ前記ポリマーAに含まれる無機粒子表面のヒドロキシ基と水素結合を形成可能な官能基を有するポリマー、および(c)溶剤を含有する樹脂組成物である。
(ポリマーA:表面にヒロドキシ基を有する無機粒子が結合したポリマー)
「無機粒子が結合したポリマー」における「結合」とは、共有結合、イオン結合、配位結合、金属結合、水素結合、π−π相互作用による結合、イオン−双極子相互作用による結合、双極子−双極子相互作用による結合、双極子−誘起双極子相互作用による結合、疎水性相互作用による結合、電荷移動錯体形成による結合、金属−配位子錯体形成による結合、ロンドンの分散力による結合、およびファンデルワールス力による結合から選ばれた結合である。
無機粒子は、その表面にヒドロキシ基など、ポリマーと反応可能な官能基を有しており、そこを基点として無機粒子とポリマーとが反応し、ポリマー中に無機粒子が組み込まれる。無機粒子がポリマーに結合された状態では、無機粒子とポリマーとを混合した場合と比較して、溶液状態での無機粒子の凝集が抑制される。さらに、無機粒子がポリマーに結合された状態では、無機粒子のアルカリ可溶性が向上するため、本発明の樹脂組成物から得られる硬化膜(以下、特に断りのない限り、単に「硬化膜」というときは本発明の樹脂組成物から得られる硬化膜を指す)をアルカリ現像する場合に、残渣発生によるパターン加工性の低下を抑制することができる。「結合」は、共有結合であることが、凝集抑制、パターン加工性の観点から好ましい。
無機粒子とポリマーとの結合の有無は、13C−NMR、29Si−NMRおよびIRなどの分析手段を組み合わせて確認することができる。例えば、13C−NMRまたは29Si−NMRを用いて、無機粒子のスペクトル、ポリマーのスペクトルおよび無機粒子が結合したポリマーのスペクトルを比較する。無機粒子が結合したポリマー中の、無機粒子に結合しているCまたはSi原子由来のピークは、ポリマーのスペクトルには存在しない化学シフトを有するピークとなるため、無機粒子とポリマーとの結合の有無を確認することができる。
同様に、IRでも無機粒子が結合したポリマー中のCまたはSi原子由来のピークは、ポリマーのスペクトルとは異なる波数を有するピークとなるため、無機粒子とポリマーとの結合の有無を確認することができる。
(無機粒子)
無機粒子としては、無機物質からなる粒子であれば特に制限はない。無機粒子は熱硬化時の収縮率が小さいため、収縮応力の発生を抑制することができる。そのため、本発明の樹脂組成物から得られる硬化膜の耐クラック性が向上し、リーク電流を低減することができる。
無機粒子としては、金属化合物または半金属化合物からなる粒子が好ましく、ポリマーとの反応性の観点から、特に無機酸化物粒子が好ましい。
金属または半金属としては、例えば、ケイ素、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、ランタン、セリウム、スズ、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、イットリウム、ニオブ、タンタルおよびアルミニウムからなる群から選ばれる元素が挙げられる。金属化合物または半金属化合物としては、例えば、上記金属もしくは半金属のハロゲン化物、酸化物、窒化物、水酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩またはメタケイ酸塩が挙げられる。
無機粒子の形状に特に制限はないが、硬化膜の表面を平滑に保つためには、低アスペクト比の形状が好ましく、球状であることがより好ましい。
溶液状態での無機粒子の凝集抑制、および硬化膜の耐クラック性向上によるリーク電流低減の観点から、無機粒子の数平均粒子径は、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、15nm以上がさらに好ましく、20nm以上が特に好ましい。一方、数平均粒子径は、100nm以下が好ましく、70nm以下がより好ましく、60nm以下がさらに好ましく、50nm以下が特に好ましい。数平均粒子径が上記範囲内であると、硬化膜のパターン加工性を向上させることができる。
ここで、無機粒子の数平均粒子径は、走査型電子顕微鏡(SEM)または透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、以下のように測定することで求めることができる。拡大倍率を50,000〜200,000倍として、硬化膜の断面を観測する。無機粒子が真球の場合、真球の直径を測定し、その粒子の粒子径とする。無機粒子が真球でない場合、最も長い径(以下、「長軸径」)および長軸径と直交する方向において最も長い径(以下、「短軸径」)を測定し、長軸径と短軸径を平均した、二軸平均径をその粒子の粒子径とする。この粒子径測定を無作為に選んだ20個以上の粒子について行い、その算術平均を数平均粒子径とする。
本発明に用いられる無機粒子としては、国際公開第2019/065561号に記載されているもの等、公知のものが挙げられる。中でも、硬化膜の高誘電化の観点から、酸化スズ−酸化チタン複合粒子、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子、酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化ハフニウム粒子、酸化イットリウム粒子、酸化ニオブ粒子、酸化タンタル粒子、酸化スズ粒子、酸化スズ−酸化ジルコニウム複合粒子、酸化ケイ素−酸化ジルコニウム複合粒子、酸化アルミニウム粒子、チタン酸バリウム粒子、チタン酸ストロンチウム粒子およびチタン酸バリウム−チタン酸ストロンチウム複合粒子、チタン酸ジルコン酸鉛粒子、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛粒子、ニオブ酸ストロンチウムビスマス粒子、ニオブ酸チタン酸ストロンチウムビスマス粒子、タンタル酸ビスマスストロンチウム粒子から選ばれた無機粒子がより好ましく、入手性の観点からは、酸化スズ−酸化チタン複合粒子、酸化ケイ素−酸化チタン複合粒子、酸化チタン粒子等の酸化チタン含有粒子が特に好ましい。硬化膜の誘電率を向上させることで、本発明の樹脂組成物を用いて得られる素子の素子特性が向上する。例えば、FETの場合、あるゲート電圧値でのFET駆動時(オン時)において、回路上へ流れる電流が上昇する。
(ポリマー)
ポリマーAにおいて、ポリマーは、溶媒に可溶性のものが好ましい。ポリマーの骨格は直鎖状、環状、分岐状の何れも用いられる。また側鎖に架橋性の官能基や、極性を有する官能基や、ポリマーの種々の特性を制御する官能基が導入されていることが好ましい。これらの特性を制御したポリマーを用いることによって、FET素子の作製工程において、例えば、塗布性、表面の平坦性、耐溶剤性、透明性、他インクの良好な濡れ性などが得られる。さらにはFET素子形成後の耐久性や安定性などに優れた、良好なFET素子を得ることができる。
本発明に用いられるポリマーとしては、FETが正常に機能する程度の絶縁性を示すものであれば特に制限はなく、例えば、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリビニルアルコール、ポリビニルフェノール、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフタルアミド、ポリエーテルニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリルアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスチレン、ポリエステル、芳香族ポリエーテル、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、オレフィン樹脂、脂環式オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等を用いることができる。また、これらのポリマーに他のポリマーを共重合もしくは混合したものを用いることもできる。これらの内、FETのオン電流の向上およびリーク電流の低減の観点から、ポリシロキサンが好ましく用いられる。
ポリシロキサンは、一般式(1)で表される構造単位を有することが好ましい。
Figure 2021055049
なお、一般式(1)で表される構造単位を有するポリシロキサンは、一般式(8)で表される構造単位を有するポリシロキサンとして表すこともできる。
Figure 2021055049
一般式(1)および(8)において、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基またはアルケニル基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはシリル基を表す。mは0または1を表す。Aは、カルボキシル基、スルホ基、チオール基、フェノール性水酸基またはそれらの誘導体を少なくとも二つ含む有機基を表す。ただし、前記誘導体が、前記カルボキシル基、スルホ基、チオール基およびフェノール性水酸基のうちの二つによる環状縮合構造である場合は、Aは当該環状縮合構造を少なくとも一つ有する有機基を表す。
アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などの飽和脂肪族炭化水素基を示し、置換基を有していても有していなくてもよい。置換基としては、特に制限はなく、例えば、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができる。これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。また、アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、1以上20以下が好ましく、より好ましくは1以上8以下である。
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基などの飽和脂環式炭化水素基を示し、置換基を有していても有していなくてもよい。置換基としては、特に制限はなく、例えば、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができる。これらの置換基はさらに置換基を有していてもよい。これら置換基に関する説明は、以下の記載にも共通する。シクロアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、3以上20以下の範囲が好ましい。
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、アミド環などの炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環から導かれる基を示し、置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は、特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
アリール基とは、例えば、フェニル基、ナフチル基、ビフェニル基、アントラセニル基、フェナントリル基、ターフェニル基、ピレニル基などの芳香族炭化水素基を示し、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は、特に限定されないが、6〜40の範囲が好ましい。
ヘテロアリール基とは、例えば、フラニル基、チオフェニル基、ベンゾフラニル基、ジベンゾフラニル基、ピリジル基、キノリニル基など、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する芳香族基を示し、置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の炭素数は、特に限定されないが、2〜30の範囲が好ましい。
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基などの二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、2以上20以下の範囲が好ましい。
また上記で置換基として挙げたアルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基など、エーテル結合の一方を脂肪族炭化水素基で置換した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、1以上20以下の範囲が好ましい。
における有機基とは、先に挙げたアルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基またはアルケニル基を表す。これらの内、低ヒステリシスの観点から、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基およびアルケニル基が好ましく、アルキル基およびアリール基がより好ましく、アルキル基がさらに好ましい。
一般式(1)または(8)で表される構造単位を有するポリシロキサンが、Aとしてカルボキシル基、スルホ基、チオール基、フェノール性水酸基またはそれらの誘導体を少なくとも二つ含む有機基を含有することで、硬化膜上に、ペンタセンやポリチオフェン誘導体等の有機半導体やCNTなどの半導体を含む溶液が平滑に塗布でき、均一な半導体層を形成することが可能になる。これは、硬化膜に存在するこれら極性官能基が、半導体溶液の濡れ性を制御し、はじきのない塗布を可能にできるためと推測される。
また、上記誘導体が、上記カルボキシル基、スルホ基、チオール基およびフェノール性水酸基のうちの二つによる環状縮合構造である場合は、Aとして当該環状縮合構造を少なくとも一つ有する有機基を含有することで、同様の効果が得られる。
また、一般式(1)または(8)で表される構造単位を有するポリシロキサンが、Aを有することで、得られた硬化膜の耐クラック性が増大し、素子のリーク電流の低減が成される。
さらに、一般式(1)または(8)で表される構造単位を有するポリシロキサンが、Aを有することで、硬化膜のリソグラフィー時に、アルカリ現像液に対する優れた溶解性を示す。これにより、パターンを設計寸法通り精度良く加工することが可能になることから、解像度が良好になる。解像度は、30μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、5μm以下がさらに好ましい。
カルボキシル基、スルホ基、チオール基またはフェノール性水酸基の各誘導体のうち、非環状の縮合構造としては、炭化水素基またはシリル基とのカルボン酸エステル、スルホン酸エステル、チオエステル、チオエーテルおよびフェニルエーテル等が挙げられる。加えてカルボン酸無水物およびカルボン酸無水物とアミン化合物との反応により生じるアミド化合物またはイミド化合物等が挙げられる。
ここで、シリル基とは、Si原子を結合点とする官能基であれば特に制限はされず、水素基、有機基およびさらにシリル基を有してよく、酸素原子を介してもよい。ポリシロキサンもまた可能である。
カルボキシル基、スルホ基、チオール基およびフェノール性水酸基のうちの二つによる環状縮合構造としては、環状酸無水物構造、環状エステル構造、環状チオエステル構造、環状エーテル構造および環状チオエーテル構造等が挙げられる。
縮合は、自分子内の縮合および他分子間の縮合の双方を含む。他分子間の縮合の場合、ポリシロキサン同士および他の構成材料由来とのもの双方を含む。
一般式(1)および(8)におけるAとしては、半導体溶液の塗布性向上、および硬化膜の耐クラック性向上による素子のリーク電流低減の観点から、カルボキシル基またはその誘導体を少なくとも二つ、もしくは環状の酸無水物基を少なくとも一つ有する有機基が好ましい。Aとしては、一般式(2)または(3)で表される基がさらに好ましい。
Figure 2021055049
一般式(2)において、Xは、単結合、炭素数1〜10のアルキレン基または炭素数6〜15のアリーレン基を表す。RおよびRは、それぞれ独立して、水素原子、有機基またはシリル基を表す。一般式(3)において、Xは、単結合、炭素数1〜10のアルキレン基または炭素数6〜15のアリーレン基を表す。
ポリシロキサンにおいて、全シラン構造単位に占める前記一般式(1)または(8)で表される構造単位の含有比率は、半導体溶液の塗布性向上、および硬化膜の耐クラック性向上による素子のリーク電流低減、および硬化膜のリソグラフィー時における解像度向上の観点から、0.5mol%以上が好ましく、1.0mol%以上がより好ましく、1.5mol%以上がさらに好ましい。また、吸湿によるリーク電流の増加を防ぐ観点から、25mol%以下が好ましく、20mol%以下がより好ましく、15mol%以下がさらに好ましい。
ポリシロキサンにおける、全シラン構造単位に占める前記一般式(1)または(8)で表される構造単位の含有比率は、13C−NMRにより求めることができる。カルボキシル基およびその誘導体では、カルボニルの炭素原子が化学シフト170−180ppm付近に、スルホ基およびその誘導体では、S原子と結合する炭素原子が化学シフト30−40ppm付近に、チオール基およびその誘導体では、S原子と結合する炭素原子が化学シフト10−20ppm付近に、フェノール性水酸基およびその誘導体では、フェノール性水酸基由来のO原子と結合する芳香環内の炭素原子が化学シフト140−170ppm付近に、それぞれ特徴的に出現する。これらおよび他の構造単位における炭素原子とのピーク面積比から、構造単位の含有比率が求められる。
一般式(1)および(8)で表される構造単位としては、以下のシラン化合物由来の構造単位が例示される。
カルボキシル基またはそれらの誘導体を持つものとして、ジメトキシメチルシリルメチルコハク酸、ジエトキシメチルシリルメチルコハク酸、ジメトキシフェニルシリルメチルコハク酸、ジエトキシフェニルシリルメチルコハク酸、トリメトキシシリルメチルコハク酸、トリエトキシシリルメチルコハク酸、2−ジメトキシメチルシリルエチルコハク酸、2−ジエトキシメチルシリルエチルコハク酸、2−ジメトキシフェニルシリルエチルコハク酸、2−ジエトキシフェニルシリルエチルコハク酸、2−トリメトキシシリルエチルコハク酸、2−トリエトキシシリルエチルコハク酸、3−ジメトキシメチルシリルプロピルコハク酸、3−ジエトキシメチルシリルプロピルコハク酸、3−ジメトキシフェニルシリルプロピルコハク酸、3−ジエトキシフェニルシリルプロピルコハク酸、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸、4−ジメトキシメチルシリルブチルコハク酸、4−ジエトキシメチルシリルブチルコハク酸、4−ジメトキシフェニルシリルブチルコハク酸、4−ジエトキシフェニルシリルブチルコハク酸、4−トリメトキシシリルブチルコハク酸、4−トリエトキシシリルブチルコハク酸、5−ジメトキシメチルシリルペンチルコハク酸、5−ジエトキシメチルシリルペンチルコハク酸、5−ジメトキシフェニルシリルペンチルコハク酸、5−ジエトキシフェニルシリルペンチルコハク酸、5−トリメトキシシリルペンチルコハク酸、5−トリエトキシシリルペンチルコハク酸、6−ジメトキシメチルシリルヘキシルコハク酸、6−ジエトキシメチルシリルヘキシルコハク酸、6−ジメトキシフェニルシリルヘキシルコハク酸、6−ジエトキシフェニルシリルヘキシルコハク酸、6−トリメトキシシリルヘキシルコハク酸、6−トリエメトキシシリルヘキシルコハク酸、これらコハク酸構造を有する化合物の無水物、およびこれらコハク酸がグルタル酸となった化合物由来の構造単位が挙げられる。
スルホ基またはそれらの誘導体を持つものとして、5−ジメトキシメチルシリルペンタン−1,2−ジスルホン酸、5−ジエトキシメチルシリルペンタン−1,2−ジスルホン酸、5−ジメトキシフェニルシリルペンタン−1,2−ジスルホン酸、5−ジエトキシフェニルシリルペンタン−1,2−ジスルホン酸、5−トリメトキシシリルペンタン−1,2−ジスルホン酸、5−トリエトキシシリルペンタン−1,2−ジスルホン酸およびこれらのメチルエステル、エチルエステル、n−プロピルエステル、イソプロピルエステル、n−ブチルエステル、sec−ブチルエステル加えてt−ブチルエステル由来の構造単位が挙げられる。
チオール基またはそれらの誘導体を持つものとして、3−(3−ジメトキシメチルシリルプロピロキシ)プロパン−1,2−ジチオール、3−(3−ジエトキシメチルシリルプロピロキシ)プロパン−1,2−ジチオール、3−(3−ジメトキシフェニルシリルプロピロキシ)プロパン−1,2−ジチオール、3−(3−ジエトキシフェニルシリルプロピロキシ)プロパン−1,2−ジチオール、3−(3−トリメトキシシリルプロピロキシ)プロパン−1,2−ジチオール、3−(3−トリエトキシシリルプロピロキシ)プロパン−1,2−ジチオールおよびこれらのメチルチオエーテル、エチルチオエーテル、n−プロピルチオエーテル、イソプロピルチオエーテル、n−ブチルチオエーテル、sec−ブチルチオエーテル加えてt−ブチルチオエーテル由来の構造単位が挙げられる。
フェノール性水酸基またはそれらの誘導体を持つものとして、3−ジメトキシメチルシリルプロピル基、3−ジエトキシメチルシリルプロピル基、3−ジメトキシフェニルシリルプロピル基、3−ジエトキシフェニルシリルプロピル基、3−トリメトキシシリルプロピル基または3−トリエトキシシリルプロピル基を有するカテコール、レソルシノール、ヒドロキノンまたはフロログルシノール、およびこれらのメチルエーテル、エチルエーテル、n−プロピルエーテル、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、sec−ブチルエーテル加えてt−ブチルエーテル由来の構造単位が挙げられる。
カルボキシル基、スルホ基、チオール基、フェノール性水酸基またはそれらの誘導体の内、異なる種類の基をそれぞれ一つずつ含むものとして、1−カルボキシル−2−スルホ−5−トリメトキシシリルペンタン、1−カルボキシル−2−メルカプト−5−トリメトキシシリルペンタン、1−スルホ−2−メルカプト−5−トリメトキシシリルペンタン、1−カルボキシル−2−ヒドロキシ−4−トリメトキシシリルベンゼン、1−スルホ−2−ヒドロキシ−4−トリメトキシシリルベンゼン、1−メルカプト−2−ヒドロキシ−4−トリメトキシシリルベンゼンおよびこれら置換基の位置が異なる位置異性体、加えてこれらのメチル(チオ)エステル、エチル(チオ)エステル、n−プロピル(チオ)エステル、イソプロピル(チオ)エステル、n−ブチル(チオ)エステル、sec−ブチル(チオ)エステル、t−ブチル(チオ)エステル、メチル(チオ)エーテル、エチル(チオ)エーテル、n−プロピル(チオ)エーテル、イソプロピル(チオ)エーテル、n−ブチル(チオ)エーテル、sec−ブチル(チオ)エーテル、t−ブチル(チオ)エーテル、環状(チオ)エステルおよび環状(チオ)エーテル由来の構造単位が挙げられる
中でも、半導体溶液の塗布性向上、および硬化膜の耐クラック性向上による素子のリーク電流低減の観点から、カルボキシル基またはその誘導体を少なくとも二つ、もしくは環状の酸無水物基を少なくとも一つ有するシラン化合物由来の構造単位が好ましく、コハク酸、コハク酸無水物構造またはそれらの誘導体を有するシラン化合物由来の構造単位がより好ましく、コハク酸またはコハク酸無水物構造をするシラン化合物由来の構造単位がさらに好ましい。具体的には、3−ジメトキシメチルシリルプロピルコハク酸、3−ジエトキシメチルシリルプロピルコハク酸、3−ジメトキシフェニルシリルプロピルコハク酸、3−ジエトキシフェニルシリルプロピルコハク酸、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸およびこれらの無水物由来の構造単位がさらに好ましく、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸、3−トリエトキシシリルプロピルコハク酸およびこれらの無水物由来の構造単位が特に好ましい。
硬化膜中のポリシロキサンは、さらに、高い絶縁性と耐クラック性を両立させる観点から、一般式(1)および(8)以外の構造単位を1種以上含むことが好ましい。ここで、本発明でいう絶縁性とは、電気の通しにくさの指標であり、体積抵抗率が10Ω・cm以上であることを指す。
一般式(1)および(8)以外の構造単位としては、国際公開第2019/065561号に記載されているもの等、公知のものが挙げられる。
(ポリマーAの製造方法)
ポリマーAは、例えば次の方法で得ることができる。ここでは、ポリシロキサンの場合を例にする。溶媒中に全シラン化合物および無機粒子を投入した後、撹拌し、ここに酸触媒および水を1〜180分かけて添加した後、15〜80℃で1〜180分加水分解反応させる。加水分解反応時の温度は、15〜55℃がより好ましい。得られた反応液を、さらに50℃以上、溶媒の沸点以下で1〜100時間加熱し、縮合反応を行うことにより、無機粒子が結合したポリシロキサンを得ることができる。このように、無機粒子の存在下で、シラン化合物を加水分解し、脱水縮合させる方法が挙げられる。
加水分解反応における各種条件は、反応スケール、反応容器の大きさ、形状などを考慮して、例えば、酸濃度、反応温度、反応時間などを設定することによって、目的とする用途に適した物性を得ることができる。
シラン化合物の加水分解反応に利用される酸触媒としては、蟻酸、蓚酸、塩酸、硫酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、リン酸、ポリリン酸、多価カルボン酸あるいはその無水物、イオン交換樹脂などの酸触媒が挙げられる。酸触媒の含有量は、ポリシロキサンの原料である全シラン化合物100質量部に対して0.05質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましい。また、酸触媒の含有量は、10質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。酸触媒の含有量が、0.05質量部以上であれば加水分解反応が十分進行し、また、10質量部以下であれば、急激な反応を抑制することができる。
ポリシロキサンは保存安定性の観点から、上記酸触媒を含有しないことが好ましいため、加水分解反応後に触媒を除去しても構わない。触媒を除去する方法としては、操作の簡便さおよび除去性の観点から、水洗浄又はイオン交換樹脂による処理が好ましい。ここで水洗浄とは、ポリシロキサンの溶液を適当な疎水性溶剤で希釈した後、水で数回洗浄し、得られた有機層をエバポレーターなどで濃縮する方法をいう。またイオン交換樹脂による処理とは、得られたポリシロキサンの溶液をイオン交換樹脂に接触させる方法をいう。
加水分解反応に用いられる溶媒としては、有機溶媒が好ましく、エタノール、プロパノール、ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールなどのアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチルエーテルなどのエーテル類;メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどのケトン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;エチルアセテート、エチルセロソルブアセテート、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノールアセテートなどのアセテート類;トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサンなどの芳香族あるいは脂肪族炭化水素のほか、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシドなどを挙げることができる。溶媒の量は、ポリシロキサンの原料である全シラン化合物100質量部に対して、50質量部以上500質量部以下の範囲が好ましい。50質量部以上であれば、急激な反応を抑制でき、500質量部以下であれば、加水分解を十分進行させることができる。
また、加水分解に用いられる水としては、イオン交換水が好ましい。水の量は、任意に選択可能であるが、シラン化合物中のアルコキシ基と当量モルの水に加えて、酸無水物基やエポキシ基などの加水分解する構造を有するシラン化合物を用いる場合は、加水分解する官能基と当量モル以上の水をさらに添加するのがよい。ポリシロキサンの重合度を上げるために、再加熱もしくは塩基触媒の添加を行うことも可能である。
ポリシロキサンが一般式(1)または(8)で表される構造単位を含むことは、元素分析、核磁気共鳴分析、赤外分光分析等の各種有機分析手法を単独または複数組み合わせることにより判定することができる。
(ポリマーB:無機粒子と結合しておらず、かつポリマーAに含まれる無機粒子表面のヒドロキシ基と水素結合を形成可能な官能基を有するポリマー)
樹脂組成物に含まれるポリマーがポリマーAのみの場合、下部電極の周囲、及び下部電極上に形成された樹脂組成物の硬化膜の膜厚ムラ大きくなる。このため、FETの場合、ゲート絶縁膜の膜厚ムラが大きくなり、膜厚が薄い箇所ではゲートリークにより素子が動作せず、膜厚が厚い箇所では、オン電流が低くなるなど、素子特性の低下が見られる。さらに、膜厚ムラにより、複数のFETを備えた基板において、基板内での素子特性のバラツキが大きくなる。一方、キャパシタの場合、下部電極の面積が大きく、電極上での樹脂組成物の硬化膜の膜厚ムラが大きくなると、膜厚が薄い箇所でリークしていまい、素子形成の歩留まりが著しく低くなる。さらに、膜厚ムラにより、基板内での容量値などの素子特性のバラツキが大きくなる。
上記膜厚ムラは、ポリマーAのワニス塗布時や乾燥時の液流動性が低く、下部電極近傍でのレベリング性が悪いことに起因すると推定される。この原因としては、ポリマーAが無機粒子を含んでいるためと推測される。そこで、ポリマーAのワニスの液流動性を向上させるために、ポリマーBを含ませたところ、上記の膜厚ムラが改善されることが見出された。
ポリマーBとしては、ポリマーAに含まれる無機粒子表面のヒドロキシ基と水素結合可能な官能基を有するものであれば特に制限はなく、ポリシロキサン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリベンズイミダゾール、ポリビニルアルコール、ポリヒドロキシスチレン、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリフタルアミド、ポリエーテルニトリル、ポリメチルメタクリレート、ポリメタクリルアミド、芳香族ポリエーテル、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂等、種々のポリマーを用いることができる。また、これらのポリマーに他のポリマーを共重合もしくは混合したものを用いることもできる。
ポリマーAに含まれる無機粒子表面のヒドロキシ基と水素結合可能な官能基を有していないポリマーを用いた場合は、ワニス中でのポリマーAの分散性が低下し、無機粒子が析出してしまい、均一な膜を得ることができない。
ポリマーBとしては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、メルカプト基、水酸基、エポキシ基及びそれらの誘導体からなる群より少なくとも1種類の官能基を有するポリマーが好ましい。特に、一般式(4)で表される構造単位を有するポリシロキサン、フェノール性水酸基を持つ樹脂、一般式(5)で表されるカルボン酸残基を有するポリエステル、ならびに、ポリマレイン酸及びその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましい。
Figure 2021055049
なお、一般式(4)で表される構造単位を有するポリシロキサンは、一般式(9)で表される構造単位を有するポリシロキサンとして表すこともできる。
Figure 2021055049
一般式(4)および(9)において、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基またはアルケニル基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはシリル基を表す。nは0または1を表す。Aは、カルボキシル基、スルホ基、チオール基、フェノール性水酸基、エポキシ基またはそれらの誘導体を少なくとも一つ含む有機基を表す。ただし、前記誘導体が、前記カルボキシル基、スルホ基、チオール基およびフェノール性水酸基のうち、いずれか二つによる環状縮合構造である場合は、Aは当該環状縮合構造を少なくとも一つ有する有機基を表す。
一般式(4)および(9)で表される構造単位の内、カルボキシル基を含むシラン化合物由来の構造単位としては、前述の一般式(1)および(8)と同じものを用いることができる。
一般式(4)および(9)で表される構造単位で、スルホ基またはそれらの誘導体を持つもの、チオール基またはそれらの誘導体を持つもの、フェノール性水酸基またはそれらの誘導体を持つもの、及びカルボキシル基、スルホ基、チオール基、フェノール性水酸基またはそれらの誘導体の内、異なる種類の基をそれぞれ一つずつ含むものとしては、前述の一般式(1)および(8)と同じものを用いることができる。
一般式(4)および(9)で表される構造単位の内、エポキシ基を含むシラン化合物由来の構造単位としては、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルフェニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルシクロヘキシルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルフェニルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルシクロヘキシルジメトキシシランなどのシラン化合物由来の構造単位が挙げられる。
フェノール性水酸基を持つ樹脂としては、ポリヒロドキシスチレンやフェノール樹脂が挙げられる。なお、フェノール樹脂としては、一分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般であり、その分子量、分子構造を特に限定するものではないが、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂等のノボラック型樹脂;トリフェノールメタン型フェノール樹脂等の多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型樹脂が挙げられる。
Figure 2021055049
一般式(5)において、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、または一般式(6)で表される有機基を表す。
Figure 2021055049
一般式(6)において、Rは、水酸基、アルコキシ基、又は一般式(7)で表される官能基を表す。
Figure 2021055049
一般式(7)において、Rは、アルキレン基、またはオキシアルキレン基で表される官能基を表す。ただし、アルキレン基、オキシアルキレン基の中に少なくとも1つのエステル結合、アミド結合、またはウレタン結合が含まれていてもよい。R10は、水素原子、またはメチル基を表す。
一般式(7)のように不飽和結合を有することで、それら同士および/または後述のラジカル重合性化合物に含まれるアクリル基および/またはメタクリル基との付加反応が可能となり、その結果、ポリマー間に架橋構造が形成されることで、絶縁膜が緻密化し、耐クラック性や耐溶剤性などが向上する。
一般式(5)で表されるカルボン酸残基を有するポリエステル材料としては、例えば、WR−301((株)ADEKA製)、V−259ME(商品名)(新日鉄住金化学(株)製)、ファインディックM−8842、ファインディックM−8843、ファインディックM−8860、ファインディックM−8961(DIC(株)製)などが挙げられる。これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
一般式(5)で表されるカルボン酸残基を有するポリエステル材料は、テ卜ラカルボン酸二無水物の酸無水物基とジオール化合物の水酸基のエステル化反応で合成することができる。
テ卜ラカルボン酸二無水物としては、特に限定されないが、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパンニ無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、及びそれらの誘導体などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
ジオール化合物としては、特に限定されないが、例えば、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、水素化ビスフェノールA等が挙げられる。さらに市販品としては、クラレポリオ一ルC−1015N((株)クラレ製) ) 、クラレポリオ一ルC−1065N((株)クラレ製 )、DURANOL−T5651(旭化成ケミカルズ(株)製 )などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
一般式(7)の構造は、一般式(5)のカルボキシル基に対して、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物を反応させることで導入することができる。ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート化合物としては特に制限はないが、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシエチル-フタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
ポリマレイン酸及びその誘導体としては、ポリマレイン酸、イソブチレン・無水マレイン酸共重合物、スチレン・無水マレイン酸共重合物、メチルビニルエーテル・無水マレイン酸共重合物、α−メチルスチレン・無水マレイン酸共重合物、ロジン変性マレイン酸樹脂、及びそれらのカルボキシル基の一部、又は全てがエステル化されたもの、マルキード、トラフィックス、アラスター(以上、商品名、荒川化学工業(株)製)、X−288、X−220、US−1243、X−200、X−205(以上、商品名、星光PMC(株)製)などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
ポリマーBの含有量としては特に制限はないが、電極上及び周囲での硬化膜の膜厚ムラ改善の観点からは、ポリマーAとポリマーBの合計100重量部に対して5重量部以上が好ましく、8重量部以上がより好ましい。一方、後述するフォトリソグラフィ加工時のアルカリ現像液に対する溶解性の制御、及びポリマーAに含まれる無機粒子に由来する高誘電性の維持の観点からは、60重量部以下が好ましく、30重量部以下がより好ましく、20重量部以下がさらに好ましい。
これらの範囲にあることで、硬化膜の高誘電率を維持しつつフォトリソグラフィ時に露光部と未露光部のコントラストをとることができる。「露光部と未露光部のコントラストをとることができる」とは、例えば、ポジ型感光性材料の場合、露光部では残膜が無く、未露光部は現像液への溶解性が抑制され、所望膜厚の硬化膜が残膜することを意味する。
また、ポリマーAとポリマーBの合計100重量部に対して占める無機粒子の含有量としては特に制限はないが、硬化膜の高誘電率化の観点から、15重量部以上が好ましく、30重量部以上が特に好ましい。一方、溶液状態でのポリマーAの分散性の観点からは、80重量部以下が好ましい。
樹脂組成物中にポリマーAとポリマーBが含まれていることは、FT−IR、H−NMR、13C−NMR、29Si―NMR、熱分解GC−MS、LC−MSなどの分析手法を組み合わせることで分析することができる。
(溶剤)
本発明の樹脂組成物に用いられる溶媒としては、特に制限は無いが、例えば、アセトール、3−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、4−ヒドロキシ−3−メチル−2−ブタノン、5−ヒドロキシ−2−ペンタノン、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(ジアセトンアルコール)、乳酸エチル(沸点:151℃)乳酸ブチル(沸点:186℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノn−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メチル−3−メトキシ−1−ブタノール)等のアルコール類、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3−メトキシ−1−ブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシ−1−ブチルアセテート、アセト酢酸エチル等のエステル類、メチルイソブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセチルアセトン等のケトン類、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジn−ブチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、炭酸プロピレン、N−メチルピロリドン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン等が挙げられるが、これらを2種以上含有してもよい。これらの中でも、無機粒子の分散性の観点から、アルコール類を含むことが好ましい。
(感光性有機成分)
後述するように、本発明の樹脂組成物を用いて素子を形成する場合、硬化膜にフォトリソ加工によるパターン加工を施すことが好ましく、本発明の樹脂組成物は感光性有機成分を含んでいることが好ましい。感光性有機成分としては、エチレン性不飽和二重結合基を有するラジカル重合性化合物、UV光の照射によって結合開裂および/または反応してラジカルを発生する光重合開始剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、光により酸を発生する光酸発生剤などが挙げられる。
FET素子のヒステリシス低減の観点からは、ゲート絶縁膜中での電荷トラップの原因となるラジカルが発生しない光酸発生剤が好ましい。ゲート絶縁膜中での電荷トラップを低減することで、低ヒステリシスの実現が可能である。
光酸発生剤としては、特に限定されないが、オニウム塩化合物、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物などを例として挙げることができる。ジアゾケトン化合物の具体的な例としては、1,3−ジケト−2−ジアゾ化合物、ジアゾベンゾキノン化合物、ジアゾナフトキノン化合物などが挙げられる。中でもジアゾナフトキノン化合物が、パターン加工精度や得られる硬化膜の耐クラック性の観点から好ましい。好ましいジアゾケトン化合物は1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸と2,2,3,4,4’−ペンタヒドロキシベンゾフェノンとのエステル、1,2−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸と1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタンとのエステルなどを挙げることができる。
(その他の成分)
本発明の樹脂組成物は、無機粒子が結合したポリマーに加えて、さらに、ポリマーが結合していない無機粒子をさらに含有してもよい。ポリマーが結合していない無機粒子の好ましい材質や形状としては、上述のポリマーが結合された無機粒子と同様である。
また、本発明における樹脂組成物は、必要に応じて、粘度調整剤、界面活性剤、安定化剤などを含有することができる。また、残留溶媒を含有していても構わない。
特に、樹脂組成物の塗布性の向上の観点からは界面活性材を含むことが好ましい。界面活性剤の種類に特に制限はなく、例えば、“メガファック(登録商標)”F142D、同F172、同F173、同F183、同F445、同F470、同F475、同F477(以上、大日本インキ化学工業(株)製)、NBX−15、FTX−218、DFX−18((株)ネオス製)などのフッ素系界面活性剤、BYK−333、BYK−301、BYK−331、BYK−345、BYK−307(ビックケミー・ジャパン(株)製)などのシリコーン系界面活性剤、ポリアルキレンオキシド系界面活性剤、ポリ(メタ)アクリレート系界面活性剤などを用いることができる。これらを2種以上用いてもよい。これらの中でも、フッ素系界面活性剤が特に好ましい。
<素子>
本発明の樹脂組成物を用いて形成される素子としては、例えば、電界効果型トランジスタ(FET)やキャパシタが挙げられる。
FETとしては、ゲート電極と、ゲート絶縁膜と、ソース電極と、ドレイン電極と、ソース電極及びドレイン電極に接する半導体層とを有する素子であり、本発明の樹脂組成物を塗布および乾燥させることでゲート絶縁膜が得られる。
キャパシタとしては、下部電極と、上部電極と、下部電極と上部電極の間の誘電膜とを有する素子であり、本発明の樹脂組成物を塗布および乾燥させることで誘電膜が得られる。
このような素子の製造方法の例としては、例えば以下の例が挙げられる。
(製造例1)
以下の(工程1)〜(工程3)を含む、素子の製造方法。
(工程1)基板上に下部電極となる導電性パターンを形成する工程
(工程2)請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物を、前記導電性パターンが形成された基板上に塗布および乾燥し、コーティング膜を得る工程、
(工程3)前記コーティング膜上に上部電極となる導電性パターンを形成する工程。
(製造例2)
以下の(工程1’)〜(工程3’)を含む、素子の製造方法。
(工程1’)基板上に下部電極となる導電性パターンを形成する工程
(工程2’)請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物を、前記導電性パターンが形成された基板上に塗布および乾燥し、コーティング膜を得た後、該コーティング膜にフォトマスクを介して活性化学線を照射し、現像して、前記導電性パターン上に開口部を有する誘電体パターンを形成する工程
(工程3’)前記誘電体パターン上に上部電極となる導電性パターンを形成する工程。
以下、図面を用いて本発明の樹脂組成物を用いて得られる素子の具体例をより詳細に説明する。ただし、本発明の樹脂組成物を用いて得られる素子は以下のものに限定されるわけではない。
[FET]
図1は、FETを示す模式断面図である。この構造では、絶縁基材100と、ゲート電極11と、ゲート絶縁膜12と、ソース電極13と、ドレイン電極15と、ソース電極及びドレイン電極に接する半導体層14とを有する。半導体層とゲート電極とは、ゲート絶縁膜によって電気的に隔てられている。
図2〜6は、上記FETの変形例を示す模式断面図である。図2に示す変形例1では、ゲート電極11とソース電極13・ドレイン電極15との重なりがなく、半導体層14の幅とゲート電極の幅が一致する。図3に示す変形例2では、ゲート電極11とソース電極13・ドレイン電極15との重なりがある。図4に示す変形例3では、ゲート電極11とソース電極13・ドレイン電極15との重なりがなく、半導体層14の幅がゲート電極の幅よりも大きい。図5に示す変形例4では、ゲート電極11とソース電極13とが重なる。
図1〜図5はボトムゲート構造の例であるが、図6に示す変形例5は、トップゲート構造であり、ゲート電極11とドレイン電極15とが重なる例である。
(ゲート絶縁膜)
ゲート絶縁膜は、比誘電率が4以上であることが好ましく、7以上であることがより好ましく、8.5以上であることがさらに好ましく、10以上であることが特に好ましい。比誘電率が上記の範囲であることにより、FETのオン電流を大きくすることができる。また、比誘電率は20以下であることが好ましく、15以下であることがより好ましく、13.5以下であることがさらに好ましく、12以下であることが特に好ましい。比誘電率が上記の範囲であることにより、ゲート絶縁膜による過剰な誘電損失を防ぐことができ、特に100MHz以上の高周波帯域の電波により駆動するFETでは、正確な動作を行うことができる。ゲート絶縁膜の比誘電率εは、下記の(a)式を用いて算出することができる。
ε=C・D/(S・ε) (a)
ただしC(F)はゲート絶縁膜の静電容量、D(m)はゲート絶縁膜の厚さ、S(m)はゲート絶縁膜を挟む電極の面積、εは真空の誘電率(8.85×10−12F/m)である。
ゲート絶縁膜に占める無機粒子の含有量は、体積分率で10vol%以上が好ましく、15vol%以上がより好ましく、20vol%以上が特に好ましい。また、同様に含有量は、60vol%以下が好ましく、50vol%以下がより好ましく、40vol%以下が特に好ましい。
ゲート絶縁膜の厚さは10nm以上が好ましく、25nm以上がより好ましく、50nm以上が特に好ましい。また、ゲート絶縁膜の厚さは、1000nm以下が好ましく、750nm以下がより好ましく、500nm以下が特に好ましい。 ゲート絶縁膜は、単層、もしくは複数層から構成される。複数層の場合には、前述の好ましいゲート絶縁膜を複数積層してもよいし、該好ましいゲート絶縁膜と公知のゲート絶縁膜を積層してもよい。
また、ゲート絶縁膜と後述の半導体層の間に配向性層を設けることもできる。配向性層の材料としては、シラン化合物、チタン化合物、有機酸、ヘテロ有機酸など、公知の材料を用いることができ、特に有機シラン化合物が好ましい。
(第2絶縁膜)
本発明のFETは、後述の半導体層に対してゲート絶縁膜と反対側に第2絶縁膜を有してもよい。ここで、半導体層に対してゲート絶縁膜と反対側とは、例えば、半導体層の上側にゲート絶縁膜を有する場合は半導体層の下側を指す。これにより、しきい値電圧やヒステリシスを低減することができ、高性能なFETが得られる。好ましく用いられる第2絶縁層およびその製造方法としては、国際公開第2019/065561号に記載されているもの等、公知のものが挙げられる。
(半導体層)
本発明における半導体層は、半導体性を有するものであれば特に制限はなく、シリコン半導体や酸化物半導体等の無機半導体、ペンタセンやポリチオフェン誘導体等の有機半導体、カーボンナノチューブ(CNT)やグラフェン等のカーボン半導体を用いることができる。これらの中でも、CNTは、キャリア移動度が高く、低コストで簡便な塗布プロセスが適用できる点で優れている。
CNTとしては、1枚の炭素膜(グラフェン・シート)が円筒状に巻かれた単層CNT、2枚のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた2層CNT、複数のグラフェン・シートが同心円状に巻かれた多層CNTのいずれを用いてもよく、これらを2種以上用いてもよい。半導体の特性を示すという観点から単層CNTを用いることが好ましい。単層CNTが半導体型単層CNTを90質量%以上含むことがより好ましい。さらに好ましくは単層CNTが半導体型単層CNTを95質量%以上含むことである。
半導体型単層CNTの含有比率は、可視−近赤外吸収スペクトルの吸収面積比により算出できる。CNTは、アーク放電法、化学気相成長法(CVD法)、レーザー・アブレーション法等の方法により得ることができる。
さらに、CNT表面の少なくとも一部に共役系重合体が付着した、CNT複合体は、溶液中での分散安定性に優れ、低ヒステリシスが得られるため、特に好ましい。共役系重合体がCNTの表面の少なくとも一部に付着した状態とは、CNT表面の一部、あるいは全部を共役系重合体が被覆した状態を意味する。共役系重合体がCNTを被覆できるのはそれぞれの共役系構造に由来するπ電子雲が重なることによって相互作用が生じるためと推測される。CNTが共役系重合体で被覆されているか否かは、被覆されたCNTの反射色が被覆されていないCNTの色から共役系重合体の色に近づくことで判別できる。定量的には元素分析やX線光電子分光法などによって付着物の存在とCNTに対する付着物の質量比を同定することができる。また、CNTに付着させる共役系重合体は、分子量、分子量分布や構造に関わらず用いることができる。
共役系重合体をCNTに付着させる方法は、(I)溶融した共役系重合体中にCNTを添加して混合する方法、(II)共役系重合体を溶媒中に溶解させ、この中にCNTを添加して混合する方法、(III)CNTを溶媒中で予め超音波等で予備分散しておいた所に共役系重合体を添加し混合する方法、(IV)溶媒中に共役系重合体とCNTを入れ、この混合系に超音波を照射して混合する方法等が挙げられる。複数の方法を組み合わせてもよい。
CNTの長さは、ソース電極とドレイン電極間の距離(チャネル長)よりも短いことが好ましい。CNTの平均長さは、チャネル長によるが、好ましくは2μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。一般に市販されているCNTは長さに分布があり、チャネル長よりも長いCNTが含まれることがあるため、CNTをチャネル長よりも短くする工程を加えることが好ましい。例えば、硝酸、硫酸などによる酸処理、超音波処理、または凍結粉砕法などにより短繊維状にカットする方法が有効である。またフィルターによる分離を併用することは、純度を向上させる点でさらに好ましい。
また、CNTの直径は特に限定されないが、1nm以上100nm以下が好ましく、より好ましくは50nm以下である。
CNTを溶媒中に均一分散させ、分散液をフィルターによってろ過する工程を設けることが好ましい。フィルター孔径よりも小さいCNTを濾液から得ることで、チャネル長よりも短いCNTを効率よく得られる。この場合、フィルターとしてはメンブレンフィルターが好ましく用いられる。ろ過に用いるフィルターの孔径は、チャネル長よりも小さければよく、0.5〜10μmが好ましい。
上記のCNTを被覆する共役系重合体としては、ポリチオフェン系重合体、ポリピロール系重合体、ポリアニリン系重合体、ポリアセチレン系重合体、ポリ−p−フェニレン系重合体、ポリ−p−フェニレンビニレン系重合体、チオフェンユニットとヘテロアリールユニットを繰り返し単位中に有するチオフェン−ヘテロアリーレン系重合体などが挙げられ、これらを2種以上用いてもよい。上記重合体は、単一のモノマーユニットが並んだもの、異なるモノマーユニットをブロック共重合したもの、ランダム共重合したもの、また、グラフト重合したものなどを用いることができる。
また、半導体層は、CNT複合体と有機半導体を混合して用いてもよい。有機半導体中にCNT複合体を均一に分散させることにより、有機半導体そのものの特性を維持しつつ、低ヒステリシスを実現することが可能となる。好ましく用いられる有機半導体としては、国際公開第2019/065561号に記載されているもの等、公知のものが挙げられる。
CNT複合体と有機半導体を含む半導体層中のCNT複合体の含有量は、有機半導体100質量部に対して0.01質量部以上3質量部以下が好ましく、1質量部以下がより好ましい。
半導体層は、他のカーボン材料を含んでもよい。ここで用いられる他のカーボン材料としては、グラフェン、フラーレンなどが挙げられる。
半導体層は、さらに絶縁性材料を含んでもよい。ここで用いられる絶縁性材料としては、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレートなどのポリマー材料が挙げられるが、特にこれらに限定されない。
半導体層は単層でも複数層でもよい。半導体層の膜厚は1nm以上200nm以下が好ましく、100nm以下がさらに好ましい。この範囲の膜厚にすることにより、均一な薄膜形成が容易になり、FET特性のバラツキを低減することができる。膜厚は、原子間力顕微鏡やエリプソメトリ法などにより測定できる。
(基板)
基板に用いる材料としては、少なくとも電極(ゲート電極、またはソース・ドレイン電極)が配置される面が絶縁性であればいかなる材質のものでもよい。例えば、シリコンウェハー、ガラス、サファイア、アルミナ焼結体等の無機材料;ポリイミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルクロライド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフッ化ビニリデン、ポリシロキサン、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリパラキシレン等の有機材料などが好適に用いられる。
また、例えばシリコンウェハー上にPVP膜を形成したものや、ポリエチレンテレフタレート上に下部電極の密着改良剤としてアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリシロキサンを形成したものなど、複数の材料が積層されたものであってもよい。
これらの中でも、素子の柔軟性、製造コストの観点から、基板の材料としてはポリエチレンテレフタレート(PET)が好ましく、特に基板表面の平滑性の観点から、シリカ粒子などのフィラーが未添加のPETフィルムの表面にシリカナノ粒子を含むコート層が形成されたフィルムが好ましい。
通常のPETフィルムでは、フィルム中にシリカ粒子が含まれているため基板の表面平滑性が低く、このフィルムで素子を作製すると、凸部分でゲート絶縁膜のリークが起こりやすい。一方、シリカ粒子などのフィラーが未添加のPETフィルムの表面にシリカナノ粒子を含むコート層が形成されたフィルムでは、表面平滑性が高い。このため、このフィルムで作製した素子では、ゲート絶縁膜でのリークが起きにくい。
(電極)
ゲート電極、ソース電極およびドレイン電極に用いる材料としては、例えば、酸化錫、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)などの導電性金属酸化物;白金、金、銀、銅、鉄、錫、亜鉛、アルミニウム、インジウム、クロム、リチウム、ナトリウム、カリウム、セシウム、カルシウム、マグネシウム、パラジウム、モリブデン、アモルファスシリコンやポリシリコンなどの金属やこれらの合金;ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質;ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン;ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸の錯体;ヨウ素などのドーピングなどで導電率を向上させた導電性ポリマーなど;炭素材料などの導電体が挙げられる。これらの材料は、単独で用いてもよいし、複数の材料を積層または混合して用いてもよい。
導電体としては金属粒子を用いることが好ましい。金属粒子を用いることで、素子の折り曲げ耐性向上という効果を有する。この原因としては、導電膜表面に凹凸が形成され、その凹凸にゲート絶縁膜が入り込むことで生じるアンカー効果によって、導電膜とゲート絶縁膜との密着性が向上するためと考えられる。
金属粒子としては、具体的には、金、銀、銅、白金、鉛、錫、ニッケル、アルミニウム、タングステン、モリブデン、酸化ルテニウム、クロム、チタン、カーボン若しくはインジウムの少なくとも1種を含む金属粒子が好ましい。これらの金属粒子を単独、合金、あるいは混合粒子として用いることができる。これらの中でも導電性の観点から金、銀、銅または白金の粒子が好ましい。中でも、コスト、安定性の観点から銀の粒子であることがより好ましい。また、導電膜の電気抵抗率低減の観点から、カーボンブラックを含むことがさらに好ましい。
ゲート電極、及びソース電極/ドレイン電極のうち少なくとも一方の電極が有機成分を含むことが好ましい。有機成分を含むことで電極とゲート絶縁膜の密着性が向上する。また、有機成分が感光性有機成分を含むことで、レジストを用いずフォトリソグラフィによる電極のパターン加工ができ、より生産性を向上させることが可能になる。これらの効果をより高める観点から、ゲート電極、及びソース電極/ドレイン電極のいずれもが有機成分を含むことが好ましい。
有機成分としては、特に制限はないが、モノマー、オリゴマーもしくはポリマーなどが挙げられる。オリゴマーもしくはポリマーとしては特に限定されず、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド前駆体、ポリイミドなどを用いることができるが、屈曲時の耐クラック性の観点からアクリル樹脂が好ましい。これは、アクリル樹脂のガラス転移温度は100℃以下であり、導電膜の熱硬化時に軟化し、導電体粒子間の結着が強まるためと推定される。
また、感光性有機成分は、分子内に重合性不飽和基を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーおよび/またはこれらの付加反応体を含むものである。
分子内に重合性不飽和基を有するモノマーとしては、活性な炭素−炭素不飽和二重結合を有する化合物を用いることができる。官能基として、ビニル基、アリル基、アクリレート基、メタクリレート基およびアクリルアミド基から選ばれた基を有する単官能化合物および多官能化合物が応用できる。これらを1種または2種以上使用することができる。
上記モノマーは、電極材料の全質量部に対し、1質量%〜15質量%の範囲で含まれることが好ましく、より好ましくは、2質量%〜10質量%の範囲内である。 分子内に重合性不飽和基を有するオリゴマーもしくはポリマーは、オリゴマーもしくはポリマーに対して、重合性不飽和基を側鎖または分子末端に付加させることによって得ることができる。
好ましい重合性不飽和基は、エチレン性不飽和基を有するものである。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などが挙げられる。
このような側鎖をオリゴマーもしくはポリマーに付加させる方法としては、国際公開第2019/065561号に記載されている方法など、公知の方法が挙げられる。
電極材料は光硬化するために、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、光硬化に使用される光源によって選択され、光ラジカル重合開始剤や光カチオン重合開始剤等が使用できる。
光重合開始剤は、電極材料の全質量部に対し、0.05質量%〜10質量%の範囲内で含まれることが好ましく、より好ましくは、0.1質量%〜10質量%である。光重合開始剤の量が少なすぎると光硬化不足となり、光重合開始剤の量が多すぎる場合には相溶性が不良になる恐れがある。
光重合開始剤と共に増感剤を使用することで感度を向上させ、反応に有効な波長範囲を拡大することができる。電極材料が増感剤を含む場合、その含有量は感光性有機成分に対して0.05質量%〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.1質量%〜10質量%である。増感剤の量が少なすぎれば光硬化を向上させる効果が発揮されず、増感剤の量が多すぎれば、相溶性が不良になる恐れがある。
導電膜中の導電体の量は、導電膜の70〜95wt%の範囲内であることが好ましく、下限としては80wt%以上が、上限としては90wt%以下が、それぞれより好ましい。この範囲にあることで、導電膜の比抵抗値、および断線確率を低くすることができる。
電極の形成方法としては、抵抗加熱蒸着、電子線ビーム、スパッタリング、メッキ、CVD、イオンプレーティングコーティング、インクジェット、印刷などの公知技術を用いた方法や、前記有機成分および導電体を含むペーストをスピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコーター法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法などの公知の技術で絶縁基板上に塗布し、オーブン、ホットプレート、赤外線などを用いて乾燥を行い形成する方法などが挙げられる。導通を取ることができれば特に制限されない。
電極をペーストの塗布により形成する場合、ペースト形成のために、有機溶剤を含有しても構わない。有機溶剤を用いることで、ペーストの粘度調整を行うことができ、塗布膜の表面平滑性を向上できる。
電極の幅、厚み、間隔は任意である。電極幅は5μm〜1mm、厚みは0.01μm〜100μm、電極の間隔は1μm〜500μmが好ましいが、これらに限られない。
電極をパターン状に形成する方法としては、上記方法で作製した電極薄膜を公知のフォトリソグラフィ法などで所望の形状にパターン形成してもよいし、あるいは電極、配線および接続部物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターン形成してもよい。また、インクジェットや印刷法を用いて直接パターンを形成してもよい。
電極パターンは、それぞれ別々に加工して形成してもよいし、それらのうちの少なくとも2つを一括して加工して形成してもよい。加工工程の低減、およびパターンの接続の観点からは、電極パターンを一括して加工することが好ましい。
(FETの製造方法)
以下に、図1の構成で示されるFETの製造方法を説明する。なお、製造方法は下記に限定されるものではない。
(工程1)基板上に下部電極となる導電性パターンを形成する工程
まず、基板100上にゲート電極11となる導電性パターンを形成する。形成方法は、例えば金属蒸着やスピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコート法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などの公知の方法が挙げられる。なお、導電性パターンを形成するにあたっては、マスクなどを用いて直接パターン形成してもよいし、形成したゲート電極上にレジストを塗布し、レジスト膜を所望のパターンに露光および現像した後、エッチングすることによりゲート電極をパターニングすることも可能である。さらに、感光性有機成分を有する導電性ペーストを用いる場合、レジストを用いなくても、フォトリソグラフィによりゲート電極をパターニングすることが可能である。
(工程2)本発明の樹脂組成物を、前記導電性パターンが形成された基板上に塗布および乾燥し、コーティング膜を得る工程
次に上記導電性パターンが形成された基板上にゲート絶縁膜12を形成する。ゲート絶縁膜12の形成方法としては、本発明の樹脂組成物を、基板上に塗布し、乾燥してコーティング膜を得た後、該コーティング膜を加熱して硬化させることにより、ゲート絶縁膜12を形成することができる。
本発明の樹脂組成物を塗布する方法としては、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコート法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などの公知の塗布方法が挙げられる。
コーティング膜を得る際の、乾燥温度は50〜150℃が好ましく、60〜140℃がより好ましく、70℃〜130℃がさらに好ましく、80℃〜120℃が特に好ましい。乾燥温度がこの範囲であることにより、コーティング膜からの溶媒の除去、および、後述のパターニング時に所望の形状に加工することがより容易になる観点から好ましい。乾燥時間は0.5〜5分が好ましく、1〜3分がより好ましい。乾燥時間がこの範囲であることにより、コーティング膜からの溶媒の除去、および、後述のパターニング時に所望の形状に加工することがより容易になる観点から好ましい。
さらに、コーティング膜を硬化させてゲート絶縁膜を得るための、コーティング膜の熱処理の温度は、100〜300℃の範囲が好ましく、120〜250℃がより好ましい。熱処理温度がこの範囲であることにより、十分に硬化したゲート絶縁膜が得られる。
さらに、プラスチック基板上にFETを形成する場合は、120〜200℃が好ましく、特に120〜150℃が好ましい。温度がこの範囲にあることで、熱処理時のプラスチック基板の収縮を抑制することができる。
コーティング膜の熱処理の時間は、0.5〜60分が好ましく、5〜30分がより好ましい。熱処理時間がこの範囲であることにより、十分に硬化したゲート絶縁膜が得られる。
(工程3)前記コーティング膜上に上部電極となる導電性パターンを形成する工程
次に、ゲート絶縁膜上にソース電極13およびドレイン電極15となる導電性パターンを形成する。ソース電極13およびドレイン電極15を形成する方法としては、ゲート電極11と同様、例えば金属蒸着、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコート法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などの公知の方法が挙げられる。なお、導電性パターンを形成するにあたっては、マスクなどを用いて直接パターン形成してもよいし、形成した電極上にレジストを塗布し、レジスト膜を所望のパターンに露光および現像した後、エッチングすることによりソース電極およびドレイン電極をパターニングすることも可能である。さらに、感光性有機成分を有する導電性ペーストを用いる場合、レジストを用いず導電性ペーストのみから、フォトリソグラフィによりゲート電極をパターニングすることもまた可能である。
上記(工程1)〜(工程3)は、(工程1’)〜(工程3’)に置き換えることが可能である。
(工程2’)においては、コーティング膜を得るまでは(工程2)と同様の操作をおこなった後、コーティング膜にパターニングを施すことができる。FETを組み合わせた回路を形成する際は、絶縁層下部に存在する導電性パターンから導通を取るために、導電性パターン上に開口部(コンタクトホール)を有するパターンを形成する必要がある場合がある。
感光性有機成分を含有する組成物を用いたコーティング膜のパターン形成方法について説明する。コーティング膜の上方から所望のパターンを有するマスクを通して化学線を照射(露光)する。露光に用いられる化学線としては、紫外線、可視光線、電子線、X線などがあるが、水銀灯のi線(365nm)、h線(405nm)、g線(436nm)を利用することが好ましい。次に、露光したコーティング膜を現像する。現像液としては、水酸化テトラメチルアンモニウム等、国際公開第2019/065561号に記載されているもの等、公知のものが挙げられる。
またゲート絶縁膜上にレジストを塗布し、レジスト膜を所望のパターンに露光および現像した後、フッ酸等のエッチング液で処理することによりゲート絶縁膜をパターニングすることも可能である。この方法であれば、ゲート絶縁膜が感光性有機成分を含有しない組成物からなる場合であってもパターニングが可能である。しかし、工程数が増加するため、感光性有機成分を有する絶縁層材料を用いてゲート絶縁膜をパターニングする方が、生産性に優れる観点から好ましい。さらに、得られるゲート絶縁膜の耐クラック性向上の観点から、
(工程3)または(工程3’)の後、ソース電極およびドレイン電極を形成したゲート絶縁膜上に半導体層14を形成することにより、FETが得られる。半導体層14の形成方法としては、抵抗加熱蒸着、電子線、スパッタリング、CVDなど乾式の方法を用いることも可能であるが、製造コストや大面積への適合の観点から塗布法を用いることが好ましい。塗布法としては、スピンコート法、ブレードコート法、スリットダイコート法、スクリーン印刷法、バーコート法、鋳型法、印刷転写法、浸漬引き上げ法、インクジェット法などの公知の塗布方法が挙げられる。塗膜厚み制御や配向制御など、得ようとする塗膜特性に応じて塗布方法を選択できる。これらの方法を用いて、半導体層と、ソース電極13およびドレイン電極15となる導電性パターンとが、お互いに接するように半導体層を形成する。なお、半導体層を形成した後に、ソース電極およびドレイン電極を形成してもよい。
特に、CNTを含有する半導体層を形成する場合は、CNTを含む溶液を、ゲート絶縁膜上に塗布することが好ましい。この場合、塗布する方法に特に制限は無いが、インクジェット法を用いることが、溶液の使用量を削減し、生産性を高めることができる点で優れている。CNTを含む溶液は、超音波ホモジナイザーなど公知の分散装置を用いた撹拌処理によって、CNTを溶媒中で撹拌することにより作製することができる。
半導体層を塗布にて形成する場合、形成した塗膜に対して、大気下、減圧下または不活性ガス(窒素やアルゴン)雰囲気下で乾燥処理を行う。乾燥温度は50〜150℃が好ましい。
ゲート絶縁膜12と半導体層14の間に配向性層を、上記ゲート絶縁膜材料のコーティング膜を形成する方法と同様の方法にて形成する工程を追加してもよい。また、半導体層14に対してゲート絶縁膜12と反対側に第2絶縁層を、前記半導体層14と同様の方法にて形成する工程を追加してもよい。
[キャパシタ]
図7は、キャパシタを示す模式断面図である。この構造では、絶縁基材200と、一対の導電膜である下部電極21、誘電膜22、及び上部電極23とを有する。下部電極21と上部電極23は電気的に接続されておらず、下部電極21と上部電極23の間に誘電膜22が形成されている。誘電膜22は、本発明の樹脂組成物と塗布、乾燥、硬化することで得られる。
図8〜10は、上記のキャパシタの変形例を示す模式断面図である。図8に示す変形例1では、絶縁基材200上の下部電極21を覆うように誘電膜22が形成され、さらに誘電膜22を覆うように上部電極23が形成されている。図9に示す変形例2では、絶縁基材200上に下部電極21、上部電極23が存在し、それらの間に誘電膜22が形成されている。図10に示す変形例3では、絶縁基材200上の上部電極21の一部を覆うように誘電膜22が存在し、さらに誘電膜22の一部を覆うように上部電極23が形成されている。
絶縁基材、誘電膜、上部電極および下部電極の材料及び製造方法については、上記のFETにおける絶縁基材、ゲート絶縁膜およびゲート電極におけるものと同様の事項が当てはまる。
<回路>
上記のFETとキャパシタを組み合わせることで、回路を構成することができる。回路としては特に制限はなく、整流回路、変調回路、メモリ回路、電源回路、基準電圧・電流回路、データ・コンバータ回路、オペアンプ等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を組み合わせもよい。
図11は、FET301とキャパシタ素子302とを備える整流回路の一例である。図11の構造では、絶縁基材300上に、下部電極32、上部電極37、および絶縁膜(誘電膜)33からなるキャパシタ302と、ゲート電極31、絶縁膜33(ゲート絶縁膜)、ソース電極35、ドレイン電極36および半導体層34からなるFET301と、配線38と、ビア39とが設けられている。図11ではキャパシタ302の誘電膜とFET301のゲート絶縁膜が共通化されており、同一の材料を使用している。図11では、ドレイン電極36と上部電極37が配線38を介して電気的に接続されている構造を例示しているが、ドレイン電極36と下部電極32が配線38とビア39を介して電気的に接続されていてもよい。また、図11ではボトムゲート構造のFETを示したが、トップゲート構造のFETでも構わない。さらに、図11ではキャパシタ302の誘電膜とFET301のゲート絶縁膜が共通の回路を示したが、図12、13に示すように、それぞれ異なる材料による絶縁膜33A、絶縁膜33Bを用いてもよい。
なお、絶縁基材、誘電膜、ゲート電極、上部電極、下部電極については、第1及び第2の実施形態に用いられるのと同様の材料、及び製造方法を用いることができる。また、ビア、配線については、下部電極および上部電極と同様の材料、及び製造方法を用いることができる。
(素子の適用可能性)
本発明の樹脂組成物を用いて製造された素子は、各種電子機器のIC、RFIDタグなどの無線通信装置、ディスプレイ用TFTアレイ、センサ、開封検知システムなどに適用可能である。
<無線通信装置>
本発明の樹脂組成物を用いて製造された回路は、無線通信装置に適用することができる。この無線通信装置は、例えば、商品タグ、万引防止タグ、各種チケットやスマートカードなどの、非接触型タグであるRFID(Radio Frequency IDentification)タグのような、リーダ/ライタに搭載されたアンテナから送信される搬送波を受信することで電気通信を行う装置である。具体的な動作は、例えばリーダ/ライタに搭載されたアンテナから送信された無線信号を、RFIDタグのアンテナが受信し、整流回路により直流電流に変換されRFIDタグが起電する。次に、起電されたRFIDタグは、無線信号からコマンドを受信し、コマンドに応じた動作を行う。その後、コマンドに応じた結果の回答をRFIDタグのアンテナからリーダ/ライタのアンテナへ無線信号として送信する。なお、コマンドに応じた動作は復調回路、制御回路、変調回路等によって実行される。
本発明の無線通信装置は、上述のFETと、アンテナと、を少なくとも有するものである。より具体的な構成としては、例えば図14に示すように、アンテナ40で受信した外部からの変調波信号の整流を行い、各部に電源を供給する電源生成部45、上記変調波信号を復調して制御回路へ送る復調回路41、制御回路から送られたデータを変調してアンテナに送り出す変調回路43、復調回路41で復調されたデータの記憶回路44への書込みおよび記憶回路44からデータを読み出して変調回路43への送信を行う制御回路42で構成され、各回路部が電気的に接続された無線通信装置が挙げられる。前記電源生成部、復調回路、制御回路、変調回路、記憶回路の少なくともいずれか1つ以上は上述の素子を含み、さらにコンデンサ、抵抗素子、ダイオード等を含んでいても良い。なお前記記憶回路は、さらに、製造時に情報が書き込まれる読み取り専用の記憶部や、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)、FeRAM(Ferroelectric Randam Access Memory)等の不揮発性の書換え可能な記憶部を有していてもよい。なお、前記電源生成部はコンデンサおよびダイオードから構成される。
アンテナ、コンデンサ、抵抗素子、ダイオードおよび不揮発性の書き換え可能な記憶部は一般的に使用されるものであればよく、用いられる材料および形状は特に限定はされない。またそれぞれを電気的に接続する材料も、一般的に使用されうる導電材料であればいかなるものでもよい。接続方法も電気的に導通を取ることができれば、いかなる方法でもよく、接続部の幅および厚みは任意である。
<商品タグ>
上記の無線通信装置を用いた商品タグについて説明する。この商品タグは、例えば基体と、この基体によって被覆された上記無線通信装置を有している。
基体は、例えば、平板状に形成された紙などの非金属材料によって形成されている。例えば、基体は2枚の平板状の紙を貼り合わせた構造をしており、この2枚の紙の間に上記無線通信装置が配置されている。上記無線記憶装置の記憶回路に、例えば商品を個体識別する個体識別情報が予め格納されている。
この商品タグとリーダ/ライタとの間で、無線通信を行う。リーダ/ライタとは、無線により商品タグに対するデータの読み取りおよび書き込みを行う装置であり、商品の流通過程や決済時に、商品タグとデータのやり取りを行うものである。リーダ/ライタは公知のものが利用でき、例えば、携帯型のものや、レジに設置される固定型のものがある。
具体的には、商品タグは個体識別情報の送信を要求する所定のリーダ/ライタからのコマンドに応じ、記憶している個体識別情報を無線により返信する識別情報返信機能を備えている。これにより、例えば商品の精算レジにおいて、非接触で多数の商品を同時に識別することが可能となり、バーコードでの識別と比較すると決済処理の容易化や迅速化を図ることができる。
例えば、商品の会計の際には、リーダ/ライタが商品タグから読み取った商品情報をPOS(Point of sale system、販売時点情報管理)端末に送信すると、POS端末においてその商品情報によって特定される商品の販売登録がなされるといったことが可能となる。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに具体的に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(1)絶縁層の膜厚測定
光干渉式分光膜厚測定機(OPTM−A2大塚電子(株)製)を用いて、下部電極上の絶縁層の膜厚、及び下部電極周囲の絶縁基材上の絶縁層の膜厚を測定した。
下部電極上、及び下部電極周囲のそれぞれについて、5箇所で膜厚の測定を行い、最大値と最小値の差を膜厚ムラとし、以下の基準で評価を行った。
A+(格段に良好):膜厚ムラが±15nm未満。
A(非常に良好):膜厚ムラが±25nm未満。
B(良好):膜厚ムラが±25nm以上±50nm未満。
C(可):膜厚ムラが±50nm以上±100nm未満。
D(不可):膜厚ムラが±100nm以上。
(2)絶縁層の比誘電率の測定
表1に示す絶縁体溶液をアルミ基板上にスピンコート塗布(800rpm×10秒)し、110℃で2分間熱処理後、乾燥オーブンを用いて150℃30分加熱処理することによって、膜厚400nmの硬化膜を形成した。次に、硬化膜上に、直径5mmの円形のアルミ電極を蒸着形成した。この膜を、精密インピーダンスアナライザー(Agilent製、4294A型)を使用し、25℃、1MHzで静電容量を測定した。以上の条件と測定値を元に、(a)式に従い硬化膜の比誘電率εを求めた。
(3)キャパシタの作製
図15に示すキャパシタを作製した。膜厚50μmのPETフィルム(商品名「U48」、東レ(株)製)500上に、抵抗加熱法により、銅を膜厚100nmになるように真空蒸着し、その上にフォトレジスト(商品名「LC140−10cP」、ローム・アンド・ハース(株)製)をスピンコート塗布(1000rpm×20秒)し、100℃で10分加熱乾燥した。作製したフォトレジスト膜をパラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製PLA−501F)を用いて、マスクを介してパターン露光した後、自動現像装置(滝沢産業(株)製AD−2000)を用いて2.38質量%TMAH水溶液であるELM−D(商品名、三菱ガス化学(株)製)で60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間洗浄した。その後、Cu−03(商品名、関東化学(株)製)で2分間エッチング処理した後、水で30秒間洗浄した。JELK−101(商品名、関東化学(株)製)に2分間浸漬してレジストを剥離し、水で30秒間洗浄後、120℃で20分間加熱乾燥することで下部電極51を形成した。次に本発明の樹脂組成物を下部電極51が形成されたPETフィルム上にスピンコート塗布(800rpm×10秒)し、110℃で2分間熱処理後、乾燥オーブンを用いて150℃30分加熱処理することによって、膜厚400nmの誘電膜52を形成した。次に、調製例2の導電ペーストをバーコーターで塗布し、乾燥オーブンで100℃、10分間プリベークを行った。その後、露光装置“PEM−8M”を用いて露光した後、0.5%NaCO溶液で30秒間浸漬現像し、超純水でリンス後、乾燥オーブンで140℃、30分間キュアを行い、上部電極53を形成した。
(4)FETの作製
図16に示すFETを作製した。膜厚50μmのPETフィルム(商品名「U48」、東レ(株)製)600上に、抵抗加熱法により、銅を膜厚100nmになるように真空蒸着し、その上にフォトレジスト(商品名「LC140−10cP」、ローム・アンド・ハース(株)製)をスピンコート塗布(1000rpm×20秒)し、100℃で10分加熱乾燥した。作製したフォトレジスト膜をパラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製PLA−501F)を用いて、マスクを介してパターン露光した後、自動現像装置(滝沢産業(株)製AD−2000)を用いて2.38質量%TMAH水溶液であるELM−D(商品名、三菱ガス化学(株)製)で60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間洗浄した。その後、Cu−03(商品名、関東化学(株)製)で2分間エッチング処理した後、水で30秒間洗浄した。JELK−101(商品名、関東化学(株)製)に2分間浸漬してレジストを剥離し、水で30秒間洗浄後、120℃で20分間加熱乾燥することでゲート電極61を形成した。次に本発明の樹脂組成物をゲート電極61が形成されたPETフィルム上にスピンコート塗布(800rpm×10秒)し、110℃で2分間熱処理後、乾燥オーブンを用いて150℃30分加熱処理することによって、膜厚400nmのゲート絶縁膜62を形成した。次に、調製例1の半導体溶液を、ゲート絶縁膜62上にインクジェット塗布し、大気下150℃で30分間熱処理することによって半導体層63を形成した。次に、調製例2の導電ペーストをバーコーターで塗布し、乾燥オーブンで100℃、10分間プリベークを行った。その後、露光装置“PEM−8M”を用いて露光した後、0.5%NaCO溶液で30秒間浸漬現像し、超純水でリンス後、乾燥オーブンで140℃、30分間キュアを行い、ソース電極64、ドレイン電極65を形成した。
(5)整流回路の作製
図17に示すFET701とキャパシタ702からなる整流回路を作製した。膜厚50μmのPETフィルム(商品名「U48」、東レ(株)製)700上に、抵抗加熱法により、銅を膜厚100nmになるように真空蒸着し、その上にフォトレジスト(商品名「LC140−10cP」、ローム・アンド・ハース(株)製)をスピンコート塗布(1000rpm×20秒)し、100℃で10分加熱乾燥した。作製したフォトレジスト膜をパラレルライトマスクアライナー(キヤノン(株)製PLA−501F)を用いて、マスクを介してパターン露光した後、自動現像装置(滝沢産業(株)製AD−2000)を用いて2.38質量%TMAH水溶液であるELM−D(商品名、三菱ガス化学(株)製)で60秒間シャワー現像し、次いで水で30秒間洗浄した。その後、Cu−03(商品名、関東化学(株)製)で2分間エッチング処理した後、水で30秒間洗浄した。JELK−101(商品名、関東化学(株)製)に2分間浸漬してレジストを剥離し、水で30秒間洗浄後、120℃で20分間加熱乾燥することでFET素子のゲート電極71とキャパシタ素子の下部電極72を形成した。次に本発明の樹脂組成物をゲート電極71と下部電極72が形成されたPETフィルム上にスピンコート塗布(800rpm×10秒)し、110℃で2分間熱処理した。その後、露光装置“PEM−8M”を用いて露光した後、TMAH溶液で30秒間浸漬現像し、超純水でリンスし、ビア79を形成する箇所に抜きパターンを形成した。その後、乾燥オーブンを用いて150℃30分加熱処理することによって、膜厚400nmのFET素子のゲート絶縁膜とキャパシタ素子の誘電膜を兼ねる絶縁膜73を形成した。次に、調製例1の半導体溶液を、絶縁膜73上にインクジェット塗布し、大気下150℃で30分間熱処理することによって半導体層74を形成した。次に、調製例2の導電ペーストをバーコーターで塗布し、乾燥オーブンで100℃、10分間プリベークを行った。その後、露光装置“PEM−8M”を用いて露光した後、0.5%NaCO溶液で30秒間浸漬現像し、超純水でリンス後、乾燥オーブンで140℃、30分間キュアを行い、FET素子のソース電極75とドレイン電極76、キャパシタ素子の上部電極77、配線78、ビア79を形成した。
(6)キャパシタの短絡率の評価
作製したキャパシタ100個について、印加電圧(Ve)を変えたときの電極間電流(Ie)を測定した。測定には半導体特性評価システム4200−SCS型(ケースレーインスツルメンツ(株)製)を用い、大気中(気温20℃、湿度35%)で測定した。電極面積1mmの素子について、Ve=10VにおけるIeが10−8A以上の素子を短絡素子として、以下の基準で評価を行った。
A(非常に良好):短絡が見られた素子数が100個中1個以下。
B(良好):短絡が見られた素子数が100個中2個以上5個未満。
C(可):短絡が見られた素子数が100個中5個以上10個未満。
D(不可):短絡が見られた素子数が100個中10個以上。
(7)FETリーク率の評価
作製したFET100個について、ゲート電圧(Vg)を変えたときのソース・ドレイン間電流(Id)−ソース・ドレイン間電圧(Vsd)特性を測定した。測定には半導体特性評価システム4200−SCS型(ケースレーインスツルメンツ(株)製)を用い、大気中(気温20℃、湿度35%)で測定した。Vg=−20Vにおけるドレイン電流値からオン電流を求めた。さらに、Vg=20Vでの、ゲート・ソース間電流(Vgs)が10−8A以上の素子をリーク素子として、以下の基準で評価を行った。
A(非常に良好):リークが見られた素子数が100個中1個以下。
B(良好):リークが見られた素子数が100個中2個以上5個未満。
C(可):リークが見られた素子数が100個中5個以上10個未満。
D(不可):リークが見られた素子数が100個中10個以上。
(8)整流回路の歩留まり評価
作製した整流回路100個において、ソース電極74に交流電流を入力した際、ドレイン電極75に出力された直流電流を測定し、整流回路の歩留まりを、以下の基準で評価を行った。
A(非常に良好):駆動しない回路数が100個中1個以下。
B(良好):駆動しない回路数が100個中2個以上5個未満。
C(可):駆動しない回路数が100個中5個以上10個未満。
D(不可):駆動しない回路数が100個中10個以上。
合成例1:無機粒子が結合したポリシロキサン(PS−01)の合成
三口フラスコにメチルトリメトキシシラン(MeSi)を10.90g(0.08mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(SucSi)を5.25g(0.02mol)、1−ナフチルトリメトキシシラン(NapSi)を24.84g(0.10mol)、20.6質量%の酸化チタン−酸化ケイ素複合粒子メタノール分散液である“オプトレイク(登録商標)”TR−550(日揮触媒化成(株)製)を133.68g(オルガノシランが完全縮合した場合の質量(27.54g)100質量部に対して、粒子含有量100質量部)、ジアセトンアルコール(DAA、沸点168℃)を102.28g仕込み、室温で撹拌しながら水11.16gにリン酸0.205g(仕込みモノマーに対して0.50質量%)を溶かしたリン酸水溶液を10分間かけて添加した。その後、フラスコを40℃のオイルバスに浸けて60分間撹拌した後、オイルバスを30分間かけて115℃まで昇温した。昇温開始1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱撹拌した(内温は100〜110℃)。加熱撹拌して得られた樹脂溶液を氷浴にて冷却した後、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂を、それぞれ樹脂溶液に対して2重量%加えて12時間撹拌した。撹拌後、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂をろ過して除去し、無機粒子が結合したポリシロキサン(PS−01)の溶液を得た。なお、昇温および加熱撹拌中、窒素を0.05l(リットル)/分で流した。反応中に副生成物であるメタノール、水が合計121.19g留出した。得られた、無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液PS−01の固形分濃度は33質量%であった。
合成例2:ポリシロキサンの合成(PS−02)
メチルトリメトキシシラン(MeSi)を10.90g(0.08mol)、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物(SucSi)を5.25g(0.02mol)、1−ナフチルトリメトキシシラン(NapSi)を24.84g(0.10mol)をプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点170℃)64.26gに溶解し、これに、水11.16g、リン酸0.205gを撹拌しながら加えた。得られた溶液をバス温105℃で2時間加熱し、内温を70℃まで上げて、主として副生するメタノールからなる成分を留出せしめた。次いでバス温130℃で2.0時間加熱し、内温を110℃まで上げて、主として水とプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる成分を留出せしめた。加熱撹拌して得られた樹脂溶液を氷浴にて冷却した後、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂を、それぞれ樹脂溶液に対して2重量%加えて12時間撹拌した。撹拌後、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂をろ過して除去し、固形分濃度36.0wt%のポリシロキサン溶液を得た。
合成例3:ポリシロキサンの合成(PS−03)
メチルトリメトキシシラン61.29g(0.09モル)、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン12.31g(0.01モル)、およびフェニルトリメトキシシラン99.15g(0.10モル)をプロピレングリコールモノブチルエーテル(沸点170℃)48.84gに溶解し、これに、水10.98g、リン酸0.173gを撹拌しながら加えた。得られた溶液をバス温105℃で2時間加熱し、内温を90℃まで上げて、主として副生するメタノールからなる成分を留出せしめた。次いでバス温130℃で2.0時間加熱し、内温を118℃まで上げて、主として水とプロピレングリコールモノブチルエーテルからなる成分を留出せしめた。加熱撹拌して得られた樹脂溶液を氷浴にて冷却した後、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂を、それぞれ樹脂溶液に対して2重量%加えて12時間撹拌した。撹拌後、陰イオン交換樹脂および陽イオン交換樹脂をろ過して除去し、固形分濃度36.0wt%のポリシロキサン溶液を得た。
合成例4:ナフトキノンジアジド化合物(QD−01)の合成
乾燥窒素気流下、Ph−cc−AP−MF(商品名、本州化学工業(株)製)15.32g(0.05mol)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド37.62g(0.14mol)を1,4−ジオキサン450gに溶解させ、室温にした。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン15.58g(0.154mol)を系内が35℃以上にならないように滴下した。滴下後30℃で2時間撹拌した。トリエチルアミン塩を濾過し、濾液を水に投入した。その後、析出した沈殿を濾過で集めた。この沈殿を真空乾燥機で乾燥させ、下記構造のキノンジアジド化合物(QD−01)を得た。
合成例5;化合物P1(重合性成分:重合性不飽和基を有するポリマー)
共重合比率(重量基準):エチルアクリレート(以下、「EA」)/メタクリル酸2−エチルヘキシル(以下、「2−EHMA」)/スチレン(以下、「St」)/グリシジルメタクリレート(以下、「GMA」)/アクリル酸(以下、「AA」)=20/40/20/5/15。
窒素雰囲気の反応容器中に、150gのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下、「DMEA」)を仕込み、オイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、20gのEA、40gの2−EHMA、20gのSt、15gのAA、0.8gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリル及び10gのDMEAからなる混合物を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに6時間重合反応を行った。その後、1gのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加して、重合反応を停止した。引き続き、5gのGMA、1gのトリエチルベンジルアンモニウムクロライド及び10gのDMEAからなる混合物を、0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで、化合物P1を得た。
合成例6;化合物P2(重合性成分:重合性不飽和基を有するポリマー)
共重合比率(重量基準):2官能エポキシアクリレートモノマー(エポキシエステル3002A;共栄社化学(株)製)/2官能エポキシアクリレートモノマー(エポキシエステル70PA;共栄社化学(株)製)/GMA/St/AA=20/40/5/20/15。
窒素雰囲気の反応容器中に、150gのDMEAを仕込み、オイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、20gのエポキシエステル3002A、40gのエポキシエステル70PA、20gのSt、15gのAA、0.8gの2,2’−アゾビスイソブチロニトリル及び10gのDMEAからなる混合物を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに6時間重合反応を行った。その後、1gのハイドロキノンモノメチルエーテルを添加して、重合反応を停止した。引き続き、5gのGMA、1gのトリエチルベンジルアンモニウムクロライド及び10gのDMEAからなる混合物を、0.5時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに2時間付加反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで、化合物P2を得た。
合成例7;化合物P2のウレタン変性化合物である化合物P3(重合性成分:重合性不飽和基を有するポリマー)
窒素雰囲気の反応容器中に、100gのジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(以下、「DMEA」)を仕込み、オイルバスを用いて80℃まで昇温した。これに、感光性成分P2を10g、3.5gのn−ヘキシルイソシアネート及び10gのDMEAからなる混合物を、1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに3時間反応を行った。得られた反応溶液をメタノールで精製することで未反応不純物を除去し、さらに24時間真空乾燥することで、ウレタン結合を有する化合物P3を得た。
調製例1:半導体溶液の調製
ポリ(3−ヘキシルチオフェン)(P3HT)(アルドリッチ(株)製)2.0mgのクロロホルム10ml溶液にCNT(CNI社製、単層CNT、純度95%)を1.0mg加え、氷冷しながら超音波ホモジナイザー(東京理化器械(株)製VCX−500)を用いて出力20%で4時間超音波撹拌し、CNT分散液A(溶媒に対するCNT複合体濃度0.96g/l)を得た。
次に、半導体層を形成するための半導体溶液の作製を行った。上記CNT分散液Aをメンブレンフィルター(孔径10μm、直径25mm、ミリポア社製オムニポアメンブレン)を用いてろ過を行い、長さ10μm以上のCNT複合体を除去した。得られた濾液にo−ジクロロベンゼン(和光純薬工業(株)製)5mlを加えた後、ロータリーエバポレーターを用いて、低沸点溶媒であるクロロホルムを留去し、溶媒をo−ジクロロベンゼンで置換し、CNT分散液Bを得た。CNT分散液B1mlにo−ジクロロベンゼン3mLを加え、半導体溶液(溶媒に対するCNT複合体濃度0.03g/l)とした。
調製例2:導電ペーストの調製
100mlクリーンボトルに化合物P1を1.6g、化合物P3を0.4g、光重合開始剤OXE−01(BASFジャパン株式会社製)0.4g、酸発生剤SI−110(三新化学工業株式会社製)を0.06g、ジアセトンアルコール(三協化学株式会社製)38gを入れ、自転−公転真空ミキサー“あわとり練太郎”(登録商標)(ARE−310;(株)シンキー製)で混合し、感光性樹脂溶液40.86g(固形分4.0重量%)を得た。得られた感光性樹脂溶液20.0gと体積平均粒子径0.5μmのAg粒子5.0gを混ぜ合わせ、3本ローラー“EXAKT M−50”(商品名、EXAKT社製)を用いて混練し、25gの導電ペーストを得た。
実施例1
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01、ポリマーA)16.36g、アラスター700(荒川化学工業(株)製、ポリマーB、スチレン・マレイン酸ハーフエステル共重合体)0.60g(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が90:10)、キノンジアジド化合物(QD−01)0.54g、BYK−333(ポリシロキサン系界面活性剤、ビックケミー・ジャパン(株)製)を300ppm、DAA33.04gを黄色灯下で混合、撹拌して均一溶液とした後、0.20μmのフィルターで濾過して絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。
また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。また、(4)に記載の方法でFETを作製し、(1)に記載の方法でゲート絶縁膜の膜厚評価を行い、(7)に記載の方法でFET特性の評価を行った。
また、(5)に記載の方法で整流回路を作製し、(1)に記載の方法で絶縁膜の膜厚評価を行い、(8)に記載の方法で整流回路の歩留まり評価を行った。結果を表1〜4に示す。
実施例2
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を13.64gに、アラスター700を1.50gに、DAAを34.86gに、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が75:25)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例3
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を9.09gに、アラスター700を3.00gに、DAAを37.91gに、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が50:50)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例4
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を17.27gに、アラスター700を0.30gに、DAAを32.42gに、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が95:5)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例5
アラスター700の代わりにWR−301(ADEKA(株)製、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液、44.5重量%、一般式(5)で表されるカルボン酸残基を有するポリエステル、ポリマーB)1.35gを用い、DAAを32.29gに変更した以外は実施例1と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が90:10)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。また、(4)に記載の方法でFETを作製し、(1)に記載の方法でゲート絶縁膜の膜厚評価を行い、(7)に記載の方法でFET特性の評価を行った。また、(5)に記載の方法で整流回路を作製し、(1)に記載の方法で絶縁膜の膜厚評価を行い、(8)に記載の方法で整流回路の歩留まり評価を行った。結果を表1〜4に示す。
実施例6
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を13.64gに、WR−301を3.37gに、DAAを32.99gに、それぞれ変更した以外は実施例5と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が75:25)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例7
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を9.09gに、WR−301を6.74gに、DAAを34.17gに、それぞれ変更した以外は実施例5と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が50:50)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例8
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を17.27gに、WR−301を0.67gに、DAAを32.05gに、それぞれ変更した以外は実施例5と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が95:5)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例9
アラスター700の代わりに合成例2で合成したポリシロキサン溶液(PS−02、ポリマーB)1.67gを用い、無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を18.00gに、DAAを30.33gに、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が90:10)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。また、(4)に記載の方法でFETを作製し、(1)に記載の方法でゲート絶縁膜の膜厚評価を行い、(7)に記載の方法でFET特性の評価を行った。また、(5)に記載の方法で整流回路を作製し、(1)に記載の方法で絶縁膜の膜厚評価を行い、(8)に記載の方法で整流回路の歩留まり評価を行った。結果を表1〜4に示す。
実施例10
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を13.64gに、ポリシロキサン溶液(PS−02)を4.17gに、DAAを32.20gに、それぞれ変更した以外は実施例9と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が75:25)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例11
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を9.09gに、ポリシロキサン溶液(PS−02)を8.33gに、DAAを32.58gに、それぞれ変更した以外は実施例9と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が50:50)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例12
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を17.27gに、ポリシロキサン溶液(PS−02)を0.83gに、DAAを31.89gに、それぞれ変更した以外は実施例9と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が95:5)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例13
アラスター700の代わりに合成例3で合成したポリシロキサン溶液(PS−03、ポリマーB)1.67gを用い、無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を18.00gに、DAAを30.33gに、それぞれ変更した以外は実施例1と同様にして実施例9と同様の方法で、絶縁体溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が90:10)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。また、(4)に記載の方法でFETを作製し、(1)に記載の方法でゲート絶縁膜の膜厚評価を行い、(7)に記載の方法でFET特性の評価を行った。また、(5)に記載の方法で整流回路を作製し、(1)に記載の方法で絶縁膜の膜厚評価を行い、(8)に記載の方法で整流回路の歩留まり評価を行った。結果を表1〜4に示す。
実施例14
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を13.64gに、ポリシロキサン溶液(PS−03)を4.17gに、DAAを32.20gに、それぞれ変更した以外は実施例13と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が75:25)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例15
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を9.09gに、ポリシロキサン溶液(PS−03)を8.33gに、DAAを32.58gに、それぞれ変更した以外は実施例9と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が50:50)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例16
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)を17.27gに、ポリシロキサン溶液(PS−03)を0.83gに、DAAを31.89gに、それぞれ変更した以外は実施例9と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が95:5)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例17
界面活性剤のBYK333 300ppmをDFX−18 150ppmに変更した以外は実施例2と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が75:25)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例18
界面活性剤のBYK333 300ppmをDFX−18 150ppmに変更した以外は実施例6と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が75:25)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。結果を表1、2に示す。
実施例19
界面活性剤のBYK333 300ppmをDFX−18 150ppmに変更した以外は実施例10と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が75:25)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。また、(4)に記載の方法でFETを作製し、(1)に記載の方法でゲート絶縁膜の膜厚評価を行い、(7)に記載の方法でFET特性の評価を行った。また、(5)に記載の方法で整流回路を作製し、(1)に記載の方法で絶縁膜の膜厚評価を行い、(8)に記載の方法で整流回路の歩留まり評価を行った。結果を表1〜4に示す。
実施例20
界面活性剤のBYK333 300ppmをDFX−18 150ppmに変更した以外は実施例14と同様にして絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た(ポリマーAとポリマーBとの混合重量比率が75:25)。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。結果を表1、2に示す。
比較例1
無機粒子が結合したポリシロキサンの溶液(PS−01)18.18g、キノンジアジド化合物(QD−01)0.54g、BYK−333(ポリシロキサン系界面活性剤、ビックケミー・ジャパン(株)製)を300ppm、DAA31.82gを黄色灯下で混合、撹拌して均一溶液とした後、0.20μmのフィルターで濾過して絶縁材料溶液(固形分濃度12質量%)を得た。
得られた絶縁体溶液を用いて、(2)に記載の方法で絶縁体の比誘電率を測定した。また、(3)に記載の方法でキャパシタを作製し、(1)に記載の方法で誘電膜の膜厚評価を行い、(6)に記載の方法で短絡率の評価を行った。また、(4)に記載の方法でFETを作製し、(1)に記載の方法でゲート絶縁膜の膜厚評価を行い、(7)に記載の方法でFET特性の評価を行った。また、(5)に記載の方法で整流回路を作製し、(1)に記載の方法で絶縁膜の膜厚評価を行い、(8)に記載の方法で整流回路の歩留まり評価を行った。結果を表1〜4に示す。
比較例2:絶縁体溶液の調製
アラスター700の代わりにポリスチレン(SigmaAldrich製)を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で、絶縁体溶液を調製したが、酸化チタン粒子が析出してしまい、均一な溶液を得ることができなかった。
Figure 2021055049
Figure 2021055049
Figure 2021055049
Figure 2021055049
11、31、61、71 ゲート電極
12、62 ゲート絶縁膜
13、35、64、75 ソース電極
14、34、63、74 半導体層
15、36、65、76 ドレイン電極
38、78 配線
39、79 ビア
100、200、300、400、500、600、700 絶縁基材
301、701 FET素子
302、702 キャパシタ素子
21、32、51、72 下部電極
22、52 誘電膜
23、37、53、77 上部電極
33、33A、33B、73 絶縁膜
40 アンテナ
41 復調回路
42 制御回路
43 変調回路
44 記憶回路
45 電源生成部

Claims (13)

  1. 少なくとも、
    (a)ポリマーA:表面にヒロドキシ基を有する無機粒子にポリマーが結合したポリマー、
    (b)ポリマーB:無機粒子と結合しておらず、かつ前記ポリマーAに含まれる無機粒子表面のヒドロキシ基と水素結合を形成可能な官能基を有するポリマー、および
    (c)溶剤
    を含有する樹脂組成物。
  2. 前記ポリマーAに含まれるポリマーがポリシロキサンを含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
  3. 前記ポリマーAに含まれるポリマーが、少なくとも、一般式(1)で表される構造単位を有する、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
    Figure 2021055049
    (一般式(1)において、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基またはアルケニル基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはシリル基を表す。mは0または1を表す。Aは、カルボキシル基、スルホ基、チオール基、フェノール性水酸基またはそれらの誘導体を少なくとも二つ含む有機基を表す。ただし、前記誘導体が、前記カルボキシル基、スルホ基、チオール基およびフェノール性水酸基のうちの二つによる環状縮合構造である場合は、Aは当該環状縮合構造を少なくとも一つ有する有機基を表す。)
  4. 前記ポリマーAに含まれる無機粒子が、無機酸化物粒子である、請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 前記ポリマーBが、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、メルカプト基、水酸基、エポキシ基及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1種類の官能基を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂組成物。
  6. 前記ポリマーBが、一般式(4)で表される構造単位を有するポリシロキサン、フェノール性水酸基を持つ樹脂、一般式(5)で表されるカルボン酸残基を有するポリエステル、ならびに、ポリマレイン酸およびその誘導体からなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1〜5のいずれかに記載の樹脂組成物。
    Figure 2021055049
    (一般式(4)において、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基またはアルケニル基を表す。Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはシリル基を表す。nは0または1を表す。Aは、カルボキシル基、スルホ基、チオール基、フェノール性水酸基、エポキシ基またはそれらの誘導体を少なくとも一つ含む有機基を表す。ただし、前記誘導体が、前記カルボキシル基、スルホ基、チオール基およびフェノール性水酸基のうち、いずれか二つによる環状縮合構造である場合は、Aは当該環状縮合構造を少なくとも一つ有する有機基を表す。)
    Figure 2021055049
    (一般式(5)において、Rは、水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、または一般式(6)で表される有機基を表す。)
    Figure 2021055049
    (一般式(6)において、Rは、水酸基、アルコキシ基、又は一般式(7)で表される官能基を表す。)
    Figure 2021055049
    (一般式(7)において、Rは、アルキレン基、またはオキシアルキレン基で表される官能基を表す。R10は、水素原子、またはメチル基を表す。)
  7. (b)ポリマーBの含有量が、(a)ポリマーAと(b)ポリマーBの合計100重量部に対して8重量部以上60重量部以下である、請求項1〜6のいずれかに記載の樹脂組成物。
  8. 前記樹脂組成物中に、フッ素系界面活性剤をさらに含む、請求項1〜7のいずれかに記載の樹脂組成物。
  9. 以下の(工程1)〜(工程3)を含む、素子の製造方法。
    (工程1)基板上に下部電極となる導電性パターンを形成する工程
    (工程2)請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物を、前記導電性パターンが形成された基板上に塗布および乾燥し、コーティング膜を得る工程
    (工程3)前記コーティング膜上に上部電極となる導電性パターンを形成する工程
  10. 以下の(工程1’)〜(工程3’)を含む、素子の製造方法。
    (工程1’)基板上に下部電極となる導電性パターンを形成する工程
    (工程2’)請求項1〜8のいずれかに記載の樹脂組成物と感光性有機成分とを含む感光性樹脂組成物を、前記導電性パターンが形成された基板上に塗布および乾燥し、コーティング膜を得た後、該コーティング膜にフォトマスクを介して活性化学線を照射し、現像して、前記導電性パターン上に開口部を有する誘電体パターンを形成する工程
    (工程3’)前記誘電体パターン上に上部電極となる導電性パターンを形成する工程。
  11. 前記素子がキャパシタである、請求項9または10に記載の素子の製造方法。
  12. 前記素子が電界効果型トランジスタである、請求項9または10に記載の素子の製造方法。
  13. カーボンナノチューブを含む半導体溶液を前記コーティング膜上に、塗布および乾燥し、半導体膜を得る工程を含む、請求項12に記載の素子の製造方法。
JP2020140659A 2019-09-27 2020-08-24 樹脂組成物、それを用いた素子の製造方法 Pending JP2021055049A (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019176909 2019-09-27
JP2019176909 2019-09-27

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021055049A true JP2021055049A (ja) 2021-04-08

Family

ID=75271555

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020140659A Pending JP2021055049A (ja) 2019-09-27 2020-08-24 樹脂組成物、それを用いた素子の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021055049A (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2023037592A (ja) * 2021-09-03 2023-03-15 エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド 薄膜トランジスタ、その製造方法およびそれを含む表示装置

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2023037592A (ja) * 2021-09-03 2023-03-15 エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド 薄膜トランジスタ、その製造方法およびそれを含む表示装置
JP7465922B2 (ja) 2021-09-03 2024-04-11 エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド 薄膜トランジスタ、その製造方法およびそれを含む表示装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102566164B1 (ko) 전계 효과형 트랜지스터, 그의 제조 방법, 그것을 사용한 무선 통신 장치 및 상품 태그
TWI698035B (zh) 場效型電晶體、其製造方法以及使用上述的無線通訊裝置和商品標籤
TWI692036B (zh) 場效型電晶體的製造方法及無線通信裝置的製造方法
JPWO2017130836A1 (ja) n型半導体素子と相補型半導体装置およびその製造方法ならびにそれを用いた無線通信装置
JP2021055049A (ja) 樹脂組成物、それを用いた素子の製造方法
JP2021117994A (ja) 無線通信デバイス、およびその製造方法
JP2021136444A (ja) 素子およびその製造方法
KR102682010B1 (ko) 콘덴서 및 그의 제조 방법 및 그것을 사용한 무선 통신 장치
JP6809645B1 (ja) 電界効果型トランジスタ、その製造方法およびそれを用いた無線通信装置
JP2022027623A (ja) 素子およびその製造方法、無線通信装置および薄膜トランジスタアレイ
JP2021153181A (ja) 素子およびその製造方法、無線通信装置および商品タグ
JP2023004911A (ja) 素子およびその製造方法ならびに電子デバイスおよび無線通信装置
JP2024077614A (ja) 配線基板およびその製造方法、半導体装置および無線通信装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230703

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240312

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240319

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20240513