JP2021054134A - ハイブリッド車のエンジン制御方法及びエンジン制御装置 - Google Patents

ハイブリッド車のエンジン制御方法及びエンジン制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ハイブリッド車への適用を前提としていないエンジンコントローラをハイブリッド車に搭載した際、適切な目標駆動力を得るエンジン制御により運転者に違和感を与えるのを防止すること。【解決手段】エンジン1とモータジェネレータ3を備えるFFハイブリッド車において、運転者のアクセル操作量と車速とに基づいて、駆動軸7に出力すべき駆動力である目標駆動力Fdを設定する。目標駆動力Fdに基づいて、エンジン1が出力する第1目標エンジントルクTe1(t)とモータジェネレータ3が出力する目標モータトルクTm(t)を設定する。第1目標エンジントルクTe1(t)をアクセル開度電圧VAPOに変換するアクセル開度変換処理により、エンジンコントロールモジュール12に送信するアクセル開度電圧VAPOを演算する。エンジンコントロールモジュール12は、送信されたアクセル開度電圧VAPOにより演算された最終スロートルク指令値Te2(t)に基づきエンジン1を制御する。【選択図】図1

Description

本発明は、ハイブリッド車のエンジン制御方法及びエンジン制御装置に関する。
従来、エンジンと、第1モータと、エンジンの出力軸と第1モータの回転軸と車軸に連結された駆動軸との3軸に3つの回転要素が接続された遊星歯車機構と、駆動軸に動力を入出力可能な第2モータと、第1モータおよび第2モータと電力のやりとりが可能なバッテリと、運転者のアクセル操作量と車速とに基づいて駆動軸に出力すべき要求駆動力と車両に要求される車両要求パワーとを設定し、車両要求パワーに基づいてエンジンから出力すべきエンジン要求パワーを設定し、エンジン要求パワーに基づく運転ポイントでエンジンが運転されると共に要求駆動力を用いて走行するようエンジンと第1モータと第2モータとを制御する制御装置と、を備える。このハイブリッド自動車であって、制御装置は、エンジン要求パワーが車両要求パワーに対して抑制されたとき、抑制されたエンジン要求パワーが、燃費が最適となる運転ポイントに対してアクセル操作量が大きいほど大きなシフト量をもって高回転側にシフトした運転ポイントで出力されるように制御する、ハイブリッド自動車が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2019−43282号公報
しかし、従来技術のエンジンコントローラが、ハイブリッド車に適用されることを前提としていなく、アクセル開度信号と車速信号に基づいてエンジンを制御するコントローラを用いるものとする。この場合、車両要求パワーに基づいて設定されるエンジン要求パワーそのものをエンジンコントローラが受け付けてくれないため、ハイブリッド車の駆動軸に出力すべき駆動力を適切に制御することができない、という課題があった。
本発明は、上記課題に着目してなされたもので、ハイブリッド車への適用を前提としていないエンジンコントローラをハイブリッド車に搭載した際、適切な目標駆動力を得るエンジン制御により運転者に違和感を与えるのを防止することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明は、第1駆動源としてのエンジンと、第2駆動源としてのモータと、エンジンコントローラと、を備える。このハイブリッド車において、運転者のアクセル操作量と車速とに基づいて、駆動軸に出力すべき駆動力である目標駆動力を設定する。目標駆動力に基づいて、エンジンが出力する第1目標エンジントルクとモータが出力する目標モータトルクを設定する。第1目標エンジントルクをアクセル開度信号に変換するアクセル開度変換処理により、エンジンコントローラに送信するアクセル開度信号を演算する。エンジンコントローラは、送信されたアクセル開度信号により演算された第2目標エンジントルクに基づきエンジンを制御する。
上記解決手段を採用したため、ハイブリッド車への適用を前提としていないエンジンコントローラをハイブリッド車に搭載した際、適切な目標駆動力を得るエンジン制御により運転者に違和感を与えるのを防止することができる。
実施例1のエンジン制御方法及びエンジン制御装置が適用されたFFハイブリッド車の駆動系と制御系を示す全体システム図である。 アダプターに有する第1目標エンジントルクからアクセル開度電圧までの逆演算処理構成を示す逆演算処理ブロック図である。 エンジンコントロールモジュールに有するアクセル開度電圧から最終スロートルク指令値までの演算処理構成を示す演算処理ブロック図である。 ハイブリッドコントロールモジュール、アダプター及びエンジンコントロールモジュールで実行されるエンジン制御処理の流れを示すフローチャートである。 背景技術のエンジン車でのエンジン制御方式及びベルト式無段変速機のバリエータ制御方式を示す概要図である。 背景技術の制御方式をそのままハイブリッド車に適用した場合の課題を示す概要図である。 実施例1における発進時の各特性を示すタイムチャートである。 実施例1における中間加速時の各特性を示すタイムチャートである。
以下、本発明のハイブリッド車のエンジン制御方法及びエンジン制御装置を実施するための形態を、図面に示す実施例1に基づいて説明する。
実施例1におけるエンジン制御方法及びエンジン制御装置は、変速機構としてバリエータを備えた1モータ・2クラッチ形式と呼ばれるFFハイブリッド車に適用したものである。以下、実施例1の構成を、「全体システム構成」、「アダプター構成」、「エンジンコントロールモジュール構成」、「エンジン制御処理構成」に分けて説明する。
[全体システム構成(図1)]
FFハイブリッド車の駆動系は、図1に示すように、エンジン1と、第1クラッチ2と、モータジェネレータ3(モータ)と、第2クラッチ4と、バリエータ5と、終減速機構6と、駆動軸7と、駆動輪8と、を備えている。つまり、1モータ(モータジェネレータ3)・2クラッチ(第1クラッチ2、第2クラッチ4)による形式のハイブリッド駆動系構成としている。また、バリエータ5を駆動系に有するが、エンジン車において搭載されるトルクコンバータの無いハイブリッド駆動系構成としている。
FFハイブリッド車は、駆動モードとして、第1クラッチ2と第2クラッチ4を共に締結する「ハイブリッド車モード(HEVモード)」と、第1クラッチ2を解放し第2クラッチ4を締結する「電気自動車モード(EVモード)」とを有する。そして、「EVモード」から「HEVモード」へのモード遷移において、モータジェネレータ3をスタータモータとしてエンジン1を始動する際、第2クラッチ4をスリップ締結し、エンジン始動ショックを抑制するようにしている。
エンジン1は、FFハイブリッド車にとっての第1走行駆動源である。「HEVモード」が選択されている場合、目標駆動力から目標モータトルクを差し引いた目標エンジントルクを分担する制御が行われる。なお、「EVモード」が選択されている場合、エンジン1は停止される。
第1クラッチ2は、エンジン1とモータジェネレータ3との間に介装された多板摩擦クラッチである。第1クラッチ2は、「HEVモード」が選択されている場合に締結され、「EVモード」が選択されている場合に解放される。
モータジェネレータ3は、FFハイブリッド車にとっての第2走行駆動源となる三相交流の回転電機であり、モータ機能とジェネレータ機能を発揮する。「HEVモード」が選択されている場合、目標駆動力を目標エンジントルクと目標モータトルク(正トルク:駆動トルク、負トルク:発電トルク)とで分担する制御が行われる。一方、「EVモード」が選択されている場合には、目標駆動力の全てをモータジェネレータ3で分担する制御が行われる。
第2クラッチ4は、モータジェネレータ3とバリエータ5との間に介装された多板摩擦クラッチである。この第2クラッチ4は、バリエータ5への入力回転方向を前進走行時の正転方向と後退走行時の逆転方向で切り替える前後進切替機構に有する。よって、前進走行時には前後進切替機構に有する前進クラッチを第2クラッチ4とし、後退走行時には前後進切替機構に有する後退ブレーキを第2クラッチ4とする。
バリエータ5は、ベルト接触径の変化により変速比(バリエータ入力回転とバリエータ出力回転の比)を無段階に変化させる機能を備える無段変速機構である。このバリエータ5は、プライマリプーリ51と、セカンダリプーリ52と、プライマリプーリ51のV字形状をなすシーブ面と、セカンダリプーリ52のV字形状をなすシーブ面とに掛け渡されているベルト53と、を有する。
終減速機構6は、セカンダリプーリ52のセカンダリ出力回転を減速する減速ギヤ機構と共に差動機能を与えるデファレンシャルギヤ機構を有する。アクセル踏み込み操作によるドライブ走行時には、バリエータ5から出力される駆動力を、左右の駆動軸7及び左右の駆動輪8に伝達する。一方、アクセル足離し操作によるコースト走行時には、左右の駆動輪8が路面から受けた回転駆動力を、左右の駆動軸7及びバリエータ5を経由して駆動源へ伝達する。
FFハイブリッド車の制御系は、図1に示すように、ハイブリッドコントロールモジュール10(ハイブリッドコントローラ)と、アダプター11と、エンジンコントロールモジュール12(エンジンコントローラ)と、モータコントローラ13と、CVTコントロールユニット14と、を備えている。なお、ハイブリッドコントロールモジュール10を略称「HCM」といい、エンジンコントロールモジュール12を略称「ECM」といい、モータコントローラ13を略称「MC」といい、CVTコントロールユニット14を略称「CVT-CU」という。また、これらの電子制御手段は、例えば、互いの情報を交換可能なCAN通信線により接続されている。
ハイブリッドコントロールモジュール10は、目標駆動力をベースとし、ハイブリッド駆動系に有する各ユニット(エンジン1、モータジェネレータ3、バリエータ5)の目標値を決めて統合制御する。このハイブリッドコントロールモジュール10は、目標駆動力設定部10aと、トルク・回転配分演算部10b(トルク配分演算部)とを有する。
目標駆動力設定部10aは、運転者のアクセル操作量を検出するアクセル開度センサ20からのアクセル開度情報と、車速を検出する車速センサ21からの車速情報とを入力する。そして、アクセル開度APOと車速VSPをパラメータとする目標駆動力特性を用い、駆動軸7に出力すべき駆動力である目標駆動力Fdを設定する。
トルク・回転配分演算部10bは、目標駆動力設定部10aからの目標駆動力Fdを入力する。そして、回転とトルクの関係をあらわす二次元座標上での目標駆動力線(目標パワー線)を基準とし、これにバッテリ充電容量(SOC)毎に充放電量を考慮した最適配分線(=最良燃費動作線、α線)を引く。この目標駆動力線と最適配分線とが交差する位置のトルク(エンジントルク)と回転数(プライマリ回転数)を定義する。定義されたエンジントルクをエンジン1が出力する第1目標エンジントルクTe1(t)に設定する。目標駆動力Fdから第1目標エンジントルクTe1(t)を差し引いたトルクをモータジェネレータ3が出力する目標モータトルクTm(t)に設定する。定義されたプライマリ回転数をバリエータ5の変速比で実現する目標プライマリ回転数Npri(t)に設定する。
アダプター11は、ハイブリッドコントロールモジュール10のトルク・回転配分演算部10bから送信される第1目標エンジントルクTe1(t)を入力する。そして、第1目標エンジントルクTe1(t)をアクセル開度電圧VAPO(アクセル開度信号)に変換するアクセル開度変換処理により、エンジンコントロールモジュール12に送信するアクセル開度電圧VAPOを演算する。
ここで、アクセル開度変換処理では、第1目標エンジントルクTe1(t)に対してエンジンコントロールモジュール12で実行される各種演算処理の逆演算処理を実行し(図2を参照)、アクセル開度電圧VAPOを演算する。エンジンコントロールモジュール12で実行される各種演算処理(図3を参照)には、発進時におけるアクセル開度電圧VAPOの変化をリニア特性に補正する開度特性演算処理を含む。
よって、逆演算処理により得られるアクセル開度電圧VAPOは、ドライバー操作アクセル開度信号であるアクセル開度センサ20からのアクセル開度電圧VAPO(SEN)よりも低い値に見積もられることになる。このため、発進時であると判断した場合、発進判断から所定時間を経過するまでの間、第1目標エンジントルクTe1(t)に対して各種演算処理の逆演算処理を実行して演算されるアクセル開度電圧VAPOを増大補正した値VAPO(h)をエンジンコントロールモジュール12に送信する。又、中間加速時を含み発進時以外であると判断した場合、第1目標エンジントルクTe1(t)に対して各種演算処理の逆演算処理を実行して演算されるアクセル開度電圧VAPOをエンジンコントロールモジュール12に送信する。
エンジンコントロールモジュール12は、アダプター11から送信されたアクセル開度電圧VAPOを入力する。そして、入力されたアクセル開度電圧VAPOに基づいて各種演算処理を実行し(図3を参照)、最終スロートルク指令値Te2(t)(第2目標エンジントルク)を演算する。演算された最終スロートルク指令値Te2(t)の出力によりエンジン1をトルク制御する。
モータコントローラ13は、ハイブリッドコントロールモジュール10のトルク・回転配分演算部10bから送信される目標モータトルクTm(t)を入力する。そして、モータトルク/回転数特性に基づいて目標モータトルクTm(t)を得るトルク制御指令をインバータ15へ出力する。ここで、インバータ15は、バッテリ16とモータジェネレータ3と間に設けられ、モータ力行時にバッテリ電流を三相交流に変換し、モータ回生時に三相交流をバッテリ電流に変換する。
CVTコントロールユニット14は、ハイブリッドコントロールモジュール10のトルク・回転配分演算部10bから送信される目標プライマリ回転数Npri(t)を入力する。そして、目標プライマリ回転数Npri(t)が得られる目標変速比を、そのときの車速に基づいて演算する。さらに、演算された目標変速比を得るプライマリプーリ圧とセカンダリプーリ圧の関係になる油圧制御指令を図外のバリエータ油圧ユニットへ出力する。
[アダプター構成(図2)]
アダプター11は、図2に示すように、ハイブリッドコントロールモジュール10からの第1目標エンジントルクTe1(t)に対してエンジンコントロールモジュール12で実行される各種演算処理の逆演算処理を実行する。
アダプター11には、フィルタ部11aと、アクセル開度換算部11bと、正規化開口面積変換部11cと、アクセル開口面積変換部11dと、開度特性補正部11eと、開度率/開度変換部11fと、開度制限部11gと、開度/電圧変換部11hと、を有する。
フィルタ部11aは、第1目標エンジントルクTe1(t)をインバースフィルタやアンチジャークフィルタを通すことで、エンジントルク指令値とする。アクセル開度換算部11bは、エンジントルク指令値に基づくスロットル開度をアクセル開度に換算する。正規化開口面積変換部11cは、換算したアクセル開度を正規化開口面積に変換する。アクセル開口面積変換部11dは、正規化開口面積をアクセル開口面積に変換する。
開度特性補正部11eは、アクセル開口面積を入力し、発進時開度特性補正を含み様々な対策を施すためにアクセル開度特性を補正する。開度率/開度変換部11fは、アクセル開度率をアクセル開度へ変換数する。開度制限部11gは、変換されたアクセル開度をフェール・ブレーキオーバーライド等の対策として制限する。開度/電圧変換部11hは、制限したアクセル開度をアクセル開度電圧VAPOに変換する。
[エンジンコントロールモジュール構成(図3)]
エンジンコントロールモジュール12は、図3に示すように、アダプター11から送信されたアクセル開度電圧VAPOに基づいて各種演算処理を実行する。
エンジンコントロールモジュール12には、電圧/開度変換部12aと、開度制限部12bと、開度/開度率変換部12cと、開度特性補正部12dと、アクセル開口面積変換部12eと、正規化開口面積変換部12fと、スロットル開度換算部12gと、フィルタ部12hと、を有する。
電圧/開度変換部12aは、アクセル開度電圧VAPOをアクセル開度へ変換する。開度制限部12bは、変換したアクセル開度をフェール・ブレーキオーバーライド等の対策として制限する。開度/開度率変換部12cは、制限したアクセル開度をアクセル開度率に変換する。開度特性補正部12dは、アクセル開度率を入力し、発進時開度特性補正を含む様々な対策を施すためにアクセル開度特性を補正する。なお、発進時開度特性補正以外の対策としては、ドライブモード、ドライブモードファクタ、開度特性変化規制、リバース時特性、等がある。
アクセル開口面積変換部12eは、特性補正後のアクセル開度をアクセル開口面積に変換する。正規化開口面積変換部12fは、変換したアクセル開口面積を正規化開口面積に変換する。スロットル開度換算部12gは、正規化開口面積によるアクセル開度をスロットル開度に換算し、エンジントルク指令値にする。フィルタ部12hは、エンジントルク指令値をインバースフィルタやアンチジャークフィルタを通すことで最終スロートルク指令値Te2(t)とする。
[エンジン制御処理構成(図4)]
図4は、ハイブリッドコントロールモジュール10、アダプター11及びエンジンコントロールモジュール12で実行されるエンジン制御処理の流れを示す。以下、図4の各ステップについて説明する。
ステップS1では、スタートに続き、ハイブリッドコントロールモジュール10において、アクセル開度センサ20からのアクセル開度APOと、車速センサ21からの車速VSPを読み込み、ステップS2へ進む。
ステップS2では、S1でのアクセル開度APOと車速VSPの読み込みに続き、ハイブリッドコントロールモジュール10において、アクセル開度APOと車速VSPに基づいて目標駆動力Fdを設定し、ステップS3へ進む。
ステップS3では、S2での目標駆動力Fdの設定に続き、ハイブリッドコントロールモジュール10において、第1目標エンジントルクTe1(t)と目標モータトルクTm(t)と目標プライマリ回転数Npri(t)を設定し、ステップS4へ進む。なお、目標モータトルクTm(t)はモータコントローラ13に出力され、目標プライマリ回転数Npri(t)はCVTコントロールユニット14へ出力される。
ステップS4では、S3での第1目標エンジントルクTe1(t)の設定に続き、アダプター11において、ハイブリッドコントロールモジュール10から第1目標エンジントルクTe1(t)を入力し、ステップS5へ進む。
ステップS5では、S4での第1目標エンジントルクTe1(t)の入力に続き、アダプター11において、第1目標エンジントルクTe1(t)の逆演算処理によりアクセル開度電圧VAPOを演算し、ステップS6へ進む。
ステップS6では、S5でのアクセル開度電圧VAPOの演算に続き、アダプター11において、発進判断から所定時間を経過するまでの時間内であるか否かを判断する。YES(発進判断から所定時間経過内)の場合はステップS7へ進み、NO(発進判断から所定時間経過外)の場合はステップS8へ進む。
ここで、「発進判断」は、例えば、走行レンジ位置を選択してのブレーキ停車状態からブレーキ足離し操作に続いてアクセル踏み込み操作が行われたことで判断する。また、「所定時間」は、アクセル踏み込み操作による発進判断からエンジントルクが不足していると運転者が感じる時間(例えば、数秒程度)に設定する。
ステップS7では、S6での発進判断から所定時間経過内であるとの判断に続き、アダプター11において、アクセル開度電圧VAPOを増大補正したアクセル開度電圧補正値VAPO(h)をエンジンコントロールモジュール12に送信し、ステップS9へ進む。
ここで、アクセル開度電圧VAPOの増大補正量は、実験等により得られた電圧不足結果に基づいて、不足分を賄う固定値や時間経過で変化する不足分相当の可変値により与えるものとする。
ステップS8では、S6での発進判断から所定時間経過外であるとの判断に続き、アダプター11において、S5にて演算したアクセル開度電圧VAPOをエンジンコントロールモジュール12に送信し、ステップS9へ進む。
ステップS9では、S7又はS8でのアクセル開度電圧情報の送信に続き、エンジンコントロールモジュール12において、アクセル開度電圧補正値VAPO(h)又はアクセル開度電圧VAPOを入力し、ステップS10へ進む。
ステップS10では、S9でのVAPO(h)又はVAPOの入力に続き、エンジンコントロールモジュール12において、アクセル開度電圧補正値VAPO(h)又はアクセル開度電圧VAPOに基づく各種演算処理を経過して最終スロートルク指令値Te2(t)を演算し、ステップS11へ進む。
ステップS11では、S10での最終スロートルク指令値Te2(t)の演算に続き、エンジンコントロールモジュール12において、最終スロートルク指令値Te2(t)をトルク制御指令としてエンジン1へ出力し、リターンへ進む。
次に、「背景技術の課題及び課題解決方策」を説明する。そして、実施例1における「エンジン制御作用」を説明する。
[背景技術の課題及び課題解決方策(図5、図6)]
まず、図5に示すエンジン車でのエンジン制御方式及びベルト式無段変速機のバリエータ制御方式を説明する。エンジン制御方式は、エンジンコントロールモジュール(ECM)において、アクセル開度情報を入力し、エンジン回転数毎に目標エンジントルクを決定する。そして、各種アクチュエータ(スロットル開度、燃料噴射量、点火時期、EGR、VTC)をコントロールして目標エンジントルクを実現している。
一方、ベルト式無段変速機のバリエータによる変速制御は、CVTコントロールユニット(CVT-CU)において、アクセル開度情報と車速情報を入力し、アクセル開度毎に目標プライマリ回転数(目標変速比)を決定する。そして、プーリ油圧をコントロールして目標変速比を実現している。
即ち、エンジン車では、アクセル開度をベースとして、各ユニット(エンジン、バリエータ)の目標値を決めてコントロールしている。よって、駆動軸に出力される駆動力は、エンジンの出力トルクとバリエータの変速比の出来なりで決まり、エンジンのアクセル開度特性とバリエータの変速マップで駆動力の適合を行う。
次に、ハイブリッド車の背景技術として、図6に示すように、エンジン車と同じようにアクセル開度をベースとするという考え方でハイブリッド車の各ユニット(エンジン、モータ、バリエータ)をコントロールすることを想定する。この場合、アクセル開度情報に基づいてエンジンの出力トルクとバリエータの変速比とを決めても、これだけではモータの出力が決まらない。このため、モータ動作点がバッテリ充電容量(SOC)毎に充放電量を考慮した最適配分線(=最良燃費動作線、α線)に乗らないことになる。よって、モータ動作点を最適配分線であるα線に乗せるためには、エンジン/モータ/バリエータを統括してコントロールする思想が必要になる。
これに対し、エンジン/モータ/バリエータを統括してコントロールするため、駆動軸に出力すべき目標駆動力をベースに、各ユニット(エンジン、モータ、バリエータ)の目標値を決めてコントロールすることを想定する。この場合、エンジン車で用いられるエンジンコントロールモジュール(ECM)を適用しようとしても、入力情報がアクセル開度であるため、目標駆動力に基づいて設定される目標エンジントルクそのものをエンジンコントロールモジュールが受け付けてくれない。このため、ハイブリッド車の駆動軸に出力すべき駆動力を適切に制御することができず、エンジンコントロールモジュールとして、エンジントルク情報を入力情報として受け付ける新たなハイブリッド車専用モジュールへ交換する必要がある、という課題があった。
上記課題に対し本発明者は、目標駆動力をベースに、各ユニット(エンジン、モータ)の目標値を決めてコントロールできる対策が必要であるとの観点から方策を検討した。そして、方策検討によって、エンジン制御の入力情報を、エンジン車とハイブリッド車で共有するシステムを構築することで、ハイブリッド車への適用を前提としていないエンジンコントローラを用いることができる、という点に着目した。
上記着目点に基づいて、本開示は、第1駆動源としてのエンジン1と、第2駆動源としてのモータジェネレータ3と、エンジンコントロールモジュール12と、を備える。このハイブリッド車において、運転者のアクセル操作量と車速とに基づいて、駆動軸7に出力すべき駆動力である目標駆動力Fdを設定する。目標駆動力Fdに基づいて、エンジン1が出力する第1目標エンジントルクTe1(t)とモータジェネレータ3が出力する目標モータトルクTm(t)を設定する。第1目標エンジントルクTe1(t)をアクセル開度電圧VAPOに変換するアクセル開度変換処理により、エンジンコントロールモジュール12に送信するアクセル開度電圧VAPOを演算する。エンジンコントロールモジュール12は、送信されたアクセル開度電圧VAPOにより演算された最終スロートルク指令値Te2(t)に基づきエンジン1を制御する、という解決手段を採用した。
即ち、目標駆動力Fdをベースに、各ユニット(エンジン1、モータジェネレータ3)の目標値(第1目標エンジントルクTe1(t)、目標モータトルクTm(t))を決めてコントロールできる対策となる。このため、適切な目標駆動力Fdを得るエンジン制御により運転者に違和感を与えるのが防止されることになる。加えて、モータ制御では、モータ動作点を最適配分線であるα線に乗せることも可能となる。
そして、第1目標エンジントルクTe1(t)をアクセル開度電圧VAPOに変換するアクセル開度変換処理により、エンジンコントロールモジュール12に送信するアクセル開度電圧VAPOが演算される。よって、エンジン制御の入力情報がアクセル開度情報となり、エンジン車とハイブリッド車でエンジン制御の入力情報を共有するシステムが構築される。このため、ハイブリッド車への適用を前提としていないエンジン車のエンジンコントロールモジュール12を、そのままハイブリッド車に用いることができることになる。
この結果、ハイブリッド車への適用を前提としていないエンジンコントロールモジュール12をハイブリッド車に搭載した際、適切な目標駆動力Fdを得るエンジン制御により運転者に違和感を与えるのを防止することができる。加えて、エンジントルク情報を入力情報として受け付ける新たなハイブリッド車専用モジュールへ交換する必要が無くなり、エンジン車のエンジンコントロールモジュール12をハイブリッド車へ流用することで、コストメリットも大きくなる。
ここで、アクセル開度変換処理では、第1目標エンジントルクTe1(t)に対してエンジンコントロールモジュール12で実行される各種演算処理の逆演算処理を実行し、アクセル開度信号であるアクセル開度電圧VAPOを演算するようにしている。
即ち、第1目標エンジントルクTe1(t)をアクセル開度電圧VAPOに変換するアクセル開度変換処理は、エンジンコントロールモジュール12で実行されるアクセル開度電圧VAPOを最終スロートルク指令値Te2(t)へ変換する各種演算処理の逆演算となる。このため、目標駆動力Fdに基づいて決められた第1目標エンジントルクTe1(t)と、エンジンコントロールモジュール12が演算した最終スロートルク指令値Te2(t)の一致性を容易に高めることができることになる。
[エンジン制御作用(図4、図7、図8)]
まず、「HEVモード」が選択されるとエンジン制御処理が開始され、図4のフローチャートにおいて、ハイブリッドコントロールモジュール10での処理によりS1→S2→S3へと進む。S1では、アクセル開度センサ20からのアクセル開度APOと、車速センサ21からの車速VSPが読み込まれる。S2では、アクセル開度APOと車速VSPに基づいて目標駆動力Fdが設定される。S3では、第1目標エンジントルクTe1(t)と目標モータトルクTm(t)と目標プライマリ回転数Npri(t)が設定される。
S3に続いてアダプター11での処理によるS4→S5→S6へと進む。S4では、S3での第1目標エンジントルクTe1(t)の設定に続き、ハイブリッドコントロールモジュール10からの送信により第1目標エンジントルクTe1(t)が入力される。S5では、第1目標エンジントルクTe1(t)の逆演算処理によりアクセル開度電圧VAPOが演算される。S6では、発進判断から所定時間を経過するまでの時間内であるか否かが判断される。S6で発進判断から所定時間経過内であると判断された場合は、S6からS7へ進み、S7では、アクセル開度電圧VAPOを増大補正したアクセル開度電圧補正値VAPO(h)がエンジンコントロールモジュール12に送信される。一方、S6で発進判断から所定時間経過外と判断された場合は、S6からS8へ進み、S8では、S5にて演算したアクセル開度電圧VAPOがエンジンコントロールモジュール12に送信される。
S7又はS8に続いてエンジンコントロールモジュール12での処理によるS9→S10→S11→リターンへと進む。S9では、アダプター11からの送信によりアクセル開度電圧補正値VAPO(h)又はアクセル開度電圧VAPOが入力される。S10では、アクセル開度電圧補正値VAPO(h)又はアクセル開度電圧VAPOに基づく各種演算処理を経過して最終スロートルク指令値Te2(t)が演算される。S11では、最終スロートルク指令値Te2(t)をトルク制御指令としてエンジン1へ出力される。
ここで、エンジンコントロールモジュール12で実行される各種演算処理には、図3の開度特性補正部12dに示すように、発進時におけるアクセル開度電圧VAPOの変化をリニア特性に補正する開度特性演算処理(発進時開度特性補正)が含まれる。このため、逆演算処理により得られるアクセル開度電圧VAPOは、ドライバー操作アクセル開度信号であるアクセル開度センサ20からのアクセル開度電圧VAPO(SEN)よりも低い値に見積もられることになる。この点は、図7のドライバーアクセル開度電圧(=アクセル開度電圧VAPO(SEN))とECM送信アクセル開度電圧(アクセル開度電圧VAPO)との対比からも明らかであり、発進時のアクセル開度特性を線形特性に補正することを原因とする。
そして、図7のHCM要求ENGトルクとECM内目標エンジントルクと実ENGトルクを対比した場合、時刻t1から時刻t2までの発進直後区間において、HCM要求ENGトルクに対してECM内目標エンジントルク及び実ENGトルクが低くなり、発進トルクが不足していることが実験により判明した。
よって、発進時であると判断した場合、発進判断から所定時間を経過するまでの間、第1目標エンジントルクTe1(t)に対して各種演算処理の逆演算処理を実行して演算されるアクセル開度電圧VAPOを増大補正したアクセル開度電圧補正値VAPO(h)をエンジンコントロールモジュール12に送信するようにした。このため、発進シーンにおいて、逆演算処理により低く見積もられるアクセル開度電圧VAPOを原因として発進トルクが不足することが防止され、運転者が要求する発進加速性を実現することができることになる。
また、中間加速シーンにおいても、発進時と同様に、逆演算処理により得られるアクセル開度電圧VAPOは、ドライバー操作アクセル開度信号であるアクセル開度センサ20からのアクセル開度電圧VAPO(SEN)よりも低い値に見積もられることになる。この点は、図8のドライバーアクセル開度電圧(=アクセル開度電圧VAPO(SEN))とECM送信アクセル開度電圧(アクセル開度電圧VAPO)との対比からも明らかである。
しかし、中間加速時、図8に示すように、HCM要求ENGトルクとECM内目標エンジントルクと実ENGトルクを対比した場合、互いのトルク一致性が高く、中間加速トルクが不足していないことが実験により判明した。
よって、中間加速時を含み発進時以外であると判断した場合、第1目標エンジントルクTe1(t)に対して各種演算処理の逆演算処理を実行して演算されるアクセル開度電圧VAPOをエンジンコントロールモジュール12に送信するようにした。このため、中間加速時を含む発進時以外の走行シーンにおいて、逆演算処理により演算されるアクセル開度電圧VAPOを補正することなく、運転者が要求する中間加速性や定速走行性を実現することができることになる。
以上説明したように、実施例1のFFハイブリッド車のエンジン制御方法及びエンジン制御装置にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
(1) 第1走行駆動源としてのエンジン1と、第2走行駆動源としてのモータ(モータジェネレータ3)と、エンジンコントローラ(エンジンコントロールモジュール12)と、を備えるハイブリッド車(FFハイブリッド車)において、
運転者のアクセル操作量と車速とに基づいて、駆動軸7に出力すべき駆動力である目標駆動力Fdを設定し、
目標駆動力Fdに基づいて、エンジン1が出力する第1目標エンジントルクTe1(t)とモータ(モータジェネレータ3)が出力する目標モータトルクTm(t)を設定し、
第1目標エンジントルクTe1(t)をアクセル開度信号(アクセル開度電圧VAPO)に変換するアクセル開度変換処理により、エンジンコントローラ(エンジンコントロールモジュール12)に送信するアクセル開度信号(アクセル開度電圧VAPO)を演算し、
エンジンコントローラ(エンジンコントロールモジュール12)は、送信されたアクセル開度信号(アクセル開度電圧VAPO)により演算された第2目標エンジントルク(最終スロートルク指令値Te2(t))に基づきエンジン1を制御する。
このため、ハイブリッド車への適用を前提としていないエンジンコントローラ(エンジンコントロールモジュール12)をハイブリッド車に搭載した際、適切な目標駆動力Fdを得るエンジン制御により運転者に違和感を与えるのを防止するエンジン制御方法を提供することができる。
(2) アクセル開度変換処理では、第1目標エンジントルクTe1(t)に対してエンジンコントローラ(エンジンコントロールモジュール12)で実行される各種演算処理の逆演算処理を実行し、アクセル開度信号(アクセル開度電圧VAPO)を演算する。
このため、目標駆動力Fdに基づいて決められた第1目標エンジントルクTe1(t)と、エンジンコントローラ(エンジンコントロールモジュール12)が演算した第2目標エンジントルク(最終スロートルク指令値Te2(t))の一致性を容易に高めることができる。
(3) エンジンコントローラ(エンジンコントロールモジュール12)で実行される各種演算処理には、発進時におけるアクセル開度信号(アクセル開度電圧VAPO)の変化をリニア特性に補正する開度特性演算処理を含み、
発進時であると判断した場合、発進判断から所定時間を経過するまでの間、第1目標エンジントルクTe1(t)に対して各種演算処理の逆演算処理を実行して演算されるアクセル開度信号(アクセル開度電圧VAPO)を増大補正した値(アクセル開度電圧補正値VAPO(h))をエンジンコントローラ(エンジンコントロールモジュール12)に送信する。
このため、発進シーンにおいて、逆演算処理により低く見積もられるアクセル開度信号(アクセル開度電圧VAPO)を原因として発進トルクが不足することが防止され、運転者が要求する発進加速性を実現することができる。
(4) 中間加速時を含み発進時以外であると判断した場合、第1目標エンジントルクTe1(t)に対して各種演算処理の逆演算処理を実行して演算されるアクセル開度信号(アクセル開度電圧VAPO)をエンジンコントローラ(エンジンコントロールモジュール12)に送信する。
このため、中間加速時を含む発進時以外の走行シーンにおいて、逆演算処理により演算されるアクセル開度信号(アクセル開度電圧VAPO)を補正することなく、運転者が要求する中間加速性や定速走行性を実現することができる。
(5) 第1走行駆動源としてのエンジン1と、第2走行駆動源としてのモータ(モータジェネレータ3)と、ハイブリッドコントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール10)と、エンジンコントローラ(エンジンコントロールモジュール12)と、モータコントローラ13と、を備えるハイブリッド車(FFハイブリッド車)において、
ハイブリッドコントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール10)は、運転者のアクセル操作量と車速とに基づいて、駆動軸7に出力すべき駆動力である目標駆動力Fdを設定する目標駆動力設定部10aと、目標駆動力Fdに基づいて、エンジン1が出力する第1目標エンジントルクTe1(t)とモータ(モータジェネレータ3)が出力する目標モータトルクTm(t)を設定するトルク配分演算部(トルク・回転配分演算部10b)と、を有し、
ハイブリッドコントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール10)からの第1目標エンジントルクTe1(t)をアクセル開度信号(アクセル開度電圧VAPO)に変換するアクセル開度変換処理により、エンジンコントローラ(エンジンコントロールモジュール12)に送信するアクセル開度信号(アクセル開度電圧VAPO)を演算するアダプター11を設け、
モータコントローラ13は、ハイブリッドコントローラ(ハイブリッドコントロールモジュール10)からされた目標モータトルクTm(t)に基づきモータ(モータジェネレータ3)を制御し、
エンジンコントローラ(エンジンコントロールモジュール12)は、アダプター11から送信されたアクセル開度信号(アクセル開度電圧VAPO)により演算された第2目標エンジントルク(最終スロートルク指令値Te2(t))に基づきエンジン1を制御する。
このため、ハイブリッド車への適用を前提としていないエンジンコントローラ(エンジンコントロールモジュール12)をハイブリッド車に搭載した際、適切な目標駆動力Fdを得るエンジン制御により運転者に違和感を与えるのを防止するエンジン制御装置を提供することができる。
以上、本発明のハイブリッド車のエンジン制御装置を実施例1に基づき説明してきた。しかし、具体的な構成については、この実施例1に限られるものではなく、特許請求の範囲の各請求項に係る発明の要旨を逸脱しない限り、設計の変更や追加等は許容される。
実施例1では、アダプター11として、第1目標エンジントルクTe1(t)に対してエンジンコントロールモジュール12で実行される各種演算処理の逆演算処理を実行し、アクセル開度電圧VAPOを演算する例を示した。しかし、アダプターとしては、エンジン回転数とエンジントルクの関係をアクセル開度毎に設定したエンジン特性を用い、第1目標エンジントルクとエンジン回転数からアクセル開度信号を演算するような例としても良い。
実施例1では、アダプター11をハイブリッドコントロールモジュール10とエンジンコントロールモジュール12の間に独立に設ける例を示した。しかし、アダプターは、ハイブリッドコントロールモジュールの最後段に内蔵して設ける例としても良いし、エンジンコントロールモジュールの前段に内蔵して設ける例としても良い。
実施例1では、本発明のエンジン制御装置を、変速機構としてバリエータを備えた1モータ・2クラッチ形式と呼ばれるFFハイブリッド車に適用する例を示した。しかし、本発明のエンジン制御装置は、変速機構の有無は問わないし、変速機構もバリエータ以外の複数の変速段を有する有段変速機構や副変速機付き無段変速機構であっても良い。また、適用されるハイブリッド車の形式としても、1モータ・2クラッチ形式のFFハイブリッド車に限らず、FRハイブリッド車であっても良い。さらに、エンジン車の駆動系にモータを付加したモータアシスト形式のハイブリッド車、プラネタリギヤ機構を用いる動力分割形式のハイブリッド車、等のように他の形式によるハイブリッド車に対しても適用できる。加えて、実施例1では、「EVモード」から「HEVモード」へのモード遷移において、モータジェネレータ3をスタータモータとしてエンジン1を始動する際、第2クラッチ4をスリップ締結し、エンジン始動ショックを抑制するようにしているが、スタータジェネレータを加えて、スタータジェネレータでエンジンを始動してから第1クラッチ2を締結するようにしても良い。
1 エンジン
2 第1クラッチ
3 モータジェネレータ(モータ)
4 第2クラッチ
5 バリエータ
6 終減速機構
7 駆動軸
8 駆動輪
10 ハイブリッドコントロールモジュール(ハイブリッドコントローラ)
10a 目標駆動力設定部
10b トルク・回転配分演算部(トルク配分演算部)
11 アダプター
12 エンジンコントロールモジュール(エンジンコントローラ)
13 モータコントローラ
14 CVTコントロールユニット
20 アクセル開度センサ
21 車速センサ

Claims (5)

  1. 第1走行駆動源としてのエンジンと、第2走行駆動源としてのモータと、エンジンコントローラと、を備えるハイブリッド車において、
    運転者のアクセル操作量と車速とに基づいて、駆動軸に出力すべき駆動力である目標駆動力を設定し、
    前記目標駆動力に基づいて、前記エンジンが出力する第1目標エンジントルクと前記モータが出力する目標モータトルクを設定し、
    前記第1目標エンジントルクをアクセル開度信号に変換するアクセル開度変換処理により、前記エンジンコントローラに送信するアクセル開度信号を演算し、
    前記エンジンコントローラは、送信された前記アクセル開度信号により演算された第2目標エンジントルクに基づき前記エンジンを制御する
    ことを特徴とするハイブリッド車のエンジン制御方法。
  2. 請求項1に記載されたハイブリッド車のエンジン制御方法において、
    前記アクセル開度変換処理では、前記第1目標エンジントルクに対して前記エンジンコントローラで実行される各種演算処理の逆演算処理を実行し、前記アクセル開度信号を演算する
    ことを特徴とするハイブリッド車のエンジン制御方法。
  3. 請求項2に記載されたハイブリッド車のエンジン制御装置において、
    前記エンジンコントローラで実行される各種演算処理には、発進時におけるアクセル開度信号の変化をリニア特性に補正する開度特性演算処理を含み、
    発進時であると判断した場合、発進判断から所定時間を経過するまでの間、前記第1目標エンジントルクに対して前記各種演算処理の逆演算処理を実行して演算されるアクセル開度信号を増大補正した値を前記エンジンコントローラに送信する
    ことを特徴とするハイブリッド車のエンジン制御方法。
  4. 請求項3に記載されたハイブリッド車のエンジン制御装置において、
    中間加速時を含み発進時以外であると判断した場合、前記第1目標エンジントルクに対して前記各種演算処理の逆演算処理を実行して演算されるアクセル開度信号を前記エンジンコントローラに送信する
    ことを特徴とするハイブリッド車のエンジン制御方法。
  5. 第1走行駆動源としてのエンジンと、第2走行駆動源としてのモータと、ハイブリッドコントローラと、エンジンコントローラと、モータコントローラと、を備えるハイブリッド車において、
    前記ハイブリッドコントローラは、運転者のアクセル操作量と車速とに基づいて、駆動軸に出力すべき駆動力である目標駆動力を設定する目標駆動力設定部と、前記目標駆動力に基づいて、前記エンジンが出力する第1目標エンジントルクと前記モータが出力する目標モータトルクを設定するトルク配分演算部と、を有し、
    前記ハイブリッドコントローラからの前記第1目標エンジントルクをアクセル開度信号に変換するアクセル開度変換処理により、前記エンジンコントローラに送信するアクセル開度信号を演算するアダプターを設け、
    前記モータコントローラは、前記ハイブリッドコントローラから送信された前記目標モータトルクに基づき前記モータを制御し、
    前記エンジンコントローラは、前記アダプターから送信された前記アクセル開度信号により演算された第2目標エンジントルクに基づき前記エンジンを制御する
    ことを特徴とするハイブリッド車のエンジン制御装置。
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