JP2021050371A - 線材の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】線材に孔食を生じさせることなく、Nb酸化膜を除去することが可能な線材の処理方法を提供する。【解決手段】実施形態によると、線材表面を規定し、かつ中空部を有し、CuNi系合金を含むマトリクスと、マトリクスの中空部に挿入され、Nbを含む複数のフィラメントとを含む線材の処理方法が提供される。実施形態の処理方法は、マトリクスの少なくとも一部を除去することにより、複数のフィラメントの少なくとも一部を線材表面に露出させることと、線材表面に露出したフィラメントを、シュウ酸水溶液もしくは水酸化ナトリウム水溶液により洗浄することを含む。【選択図】 図2

Description

本発明の実施形態は、線材の処理方法に関する。
超電導線は、例えば、超電導マグネット等のコイルのように大電流を流すことが要求されるものに使用される。超電導線は、異なる長さまたは径のものを複数組み合わせ、これらをはんだ等で接合して使用されることがある。超電導線の接続方法として、例えば、多数本の合金系超電導線材が安定化材に埋め込まれた超電導線の接続部の安定化材を除去した後、安定化材が除去された接続部の露出した合金系超電導線材をフッ酸で洗浄することにより、その表面の酸化膜を除去し、次いではんだによる接続を行うことが知られている。なお、安定化材の除去から接続までの一連の工程は、還元性ガスと不活性ガスとの混合雰囲気で実施されている。
しかしながら、フッ酸による洗浄は、酸化膜の除去に有効であるものの、合金系超電導線材に孔食が生じるという問題点がある。合金系超電導線材に孔食が生じると、合金系超電導線材の強度が低下する。
特開平6−196241号公報 特開2006−174546号公報
本発明は上記事情に鑑みてなされ、線材に孔食を生じさせることなく、Nb酸化膜を除去することが可能な線材の処理方法を提供することを目的とする。
実施形態によると、線材表面を規定し、かつ中空部を有し、CuNi系合金を含むマトリクスと、マトリクスの中空部に挿入され、Nbを含む複数のフィラメントとを含む線材の処理方法が提供される。実施形態の処理方法は、マトリクスの少なくとも一部を除去することにより、複数のフィラメントの少なくとも一部を線材表面に露出させることと、線材表面に露出したフィラメントを、シュウ酸水溶液もしくは水酸化ナトリウム水溶液により洗浄することを含む。
実施形態に係る方法で処理が施される線材の一例を概略的に示す側面図。 実施形態に係る方法で用いる処理装置の一例を示す概略図。 洗浄液中の線材の接続部の状態の一例を示す模式図。 線材の接続部のフィラメントをはんだ層で被覆後の状態の一例を示す模式図。 実施例1,2及び比較例1の方法で処理された線材について、処理時間とNbメタル/Nbの比率の関係を示すグラフ。 実施例3〜6及び比較例1の方法で処理された線材について、処理時間とNbメタル/Nbの比率の関係を示すグラフ。 実施例10〜13の方法で処理された線材について、大気中放置時間とはんだ被覆率とNbメタル/Nbの比率との関係を示すグラフ。
実施形態によれば、線材表面を規定し、かつ中空部を有し、CuNi系合金を含むマトリクスと、マトリクスの中空部に挿入され、Nbを含む複数のフィラメントとを含む線材の処理方法が提供される。
線材の一例を図1に示す。図1は、フィラメントの一部がマトリクスで覆われておらず、線材表面に露出した状態の一例における、線材の長手方向に平行な側面の概略を示す。図1に示す線材1000は、円筒状のマトリクス1001と、マトリクス1001内に充填された複数本のフィラメント1002とを含む。複数本のフィラメント1002は、例えば、二つの束が撚り合わされて一つの束にされている。複数本のフィラメント1002は、束ねられておらず、ばらけた状態であっても良い。なお、線材のマトリクスが有する中空部は、一つに限らず、複数存在していても良い。中空部に挿入されるフィラメントの本数も複数本であれば特に限定されず、例えば、数十〜数千本にすることができる。フィラメントの線径も特に限定されず、数100μm以下にすることができる。また、線材の線径は、数mm程度にすることができる。線材は、強度及び絶縁性の確保のため、マトリクスを覆う被覆部材を備えていても良い。被覆部材は、例えばポリフッ化ビニル(PVF)などの絶縁性材料で形成され得る。
Nbを含むフィラメントとして、例えば、Nb含有合金のフィラメントが挙げられる。Nb含有合金の一例に、NbTi系超電導材料が含まれる。CuNi系合金を含むマトリクスの中空部にNbを含む複数のフィラメントを挿入することで、フィラメントの外部との接触を防止し、フィラメントの酸化を防止することができる。一方、CuNi系合金を含むマトリクスは、抵抗が高いため、超電導性能を阻害する恐れがある。そのため、CuNi系合金を含むマトリクスを含む線材を接続する場合に、マトリクスを除去して線材表面にフィラメントを露出させ、フィラメント同士またはフィラメントと他の線材とを接続することが好ましい。ここで、CuNi系合金は、Cu及びNiを含む合金である。
マトリクスの除去は、例えば、硝酸水溶液によりマトリクスを溶解させて除去する等が挙げられる。除去後、水洗と乾燥を施しても良い。
マトリクスを除去すると、フィラメントが線材表面に露出することとなるため、フィラメント中のNbの酸化が進み、フィラメント表面にNb酸化膜が生成する。その結果、フィラメントとはんだとの濡れ性が低下し、フィラメント表面をはんだで均一に被覆することが困難になる。それにより、接続強度が不足する。
本発明者らは、マトリクスの除去により線材表面に露出したフィラメントをシュウ酸水溶液もしくは水酸化ナトリウム水溶液により洗浄すると、フィラメントに孔食を生じさせることなく、Nb酸化膜が除去できることを見出した。これにより、洗浄処理によるフィラメントの強度低下を防止できると共に、フィラメントのはんだに対する濡れ性の改善を期待できる。
シュウ酸は、水和物、無水物のいずれの形態であっても良い。シュウ酸の水溶液において、シュウ酸の二価のイオンが、Nb酸化膜とキレート構造を形成し、Nb酸化膜が水溶液中に溶け出してフィラメントからNb酸化膜が除去されると推測される。Nb酸化膜がNbである場合のキレート構造の一例を化1に示す。
Figure 2021050371
フィラメント表面の洗浄にフッ酸またはフッ硝酸を使用して孔食が生じるメカニズムは、明らかではないものの、マトリクス除去処理の際に除去しきれずに残ったCuNi成分や、フィラメントを構成するNb以外の金属元素のうちNbよりも卑な金属(例えばTi)が、ガルバニック腐食によって洗浄液等に溶解したことが関係していると推測される。シュウ酸水溶液は、残留したCuNi成分と、Nb以外の金属元素のイオン化を抑制できるため、孔食が防止されると推測される。
一方、水酸化ナトリウム水溶液については、水酸化ナトリウム水溶液による処理で孔食を生じさせることなくNb酸化膜が除去されるメカニズムが明らかでないものの、処理後のフィラメント表面にニオブ酸ナトリウムが存在することを確認している。
シュウ酸水溶液の濃度は、10重量%以下が好ましい。これにより、フィラメントの性能に影響を及ぼすことなく、Nb酸化膜の除去が可能となる。さらに好ましい範囲は、5重量%以下である。
シュウ酸水溶液の温度は、室温以上、具体的には50℃以上が好ましい。これにより、Nb酸化膜の除去を促進することができる。また、温度の上限は、80℃が好ましい。水の蒸発による濃度変化が抑えられるからである。
水酸化ナトリウム水溶液の濃度は、10重量%以下が好ましい。これにより、フィラメントの性能に影響を及ぼすことなく、Nb酸化膜の除去が可能となる。さらに好ましい範囲は、5重量%以下である。
水酸化ナトリウム水溶液の温度は、室温以上、具体的には50℃以上が好ましい。これにより、Nb酸化膜の除去を促進することができる。また、温度の上限は、80℃が好ましい。水の蒸発による濃度変化が抑えられるからである。
シュウ酸水溶液または水酸化ナトリウム水溶液による処理は、不活性ガス雰囲気で行うことが望ましい。フィラメントの酸化抑制に有効であるからである。不活性ガスの例に、アルゴンガス、窒素ガス等が含まれる。また、雰囲気中に還元性ガスを含み得る。
シュウ酸水溶液または水酸化ナトリウム水溶液による処理が施されたフィラメントを水洗処理した後、必要に応じて乾燥を施すことが望ましい。水洗処理により、フィラメント表面の異物が除去されるため、線材の接続強度の向上が期待できる。また、乾燥により、はんだによる接続での安全性を高めることができる。
フィラメントは、複数本が撚り合わせられたまたは編み合わせられた束の状態になってマトリクスの中空部に挿入されている場合がある。線材からマトリクスを除去すると、フィラメントの束がほぐれる。そのため、シュウ酸水溶液または水酸化ナトリウム水溶液による処理が施されたフィラメントについて、撚り合わせるもしくは編み合わせることによりフィラメントの束を作製しても良い。なお、この工程の前に、必要に応じて水洗処理及び/または乾燥処理を施しても良い。
フィラメント間あるいは線材とフィラメント間の接続は、加温・加圧による固相接合、はんだ接合のいずれであっても、あるいは両者を併用しても良い。
シュウ酸水溶液または水酸化ナトリウム水溶液による処理後、はんだによる被覆工程を開始するまでの待機時間は短い方が望ましく、処理から被覆工程までを連続操作で行うことが望ましい。例えば、処理工程と被覆工程とを同じ不活性ガス雰囲気で連続的に行うことが挙げられる。これにより、フィラメントの再度の酸化を防止することが可能となる。
また、各工程の雰囲気は、不活性ガス雰囲気が好ましい。フィラメントの酸化抑制に有効であるからである。また、雰囲気中に還元性ガスを含み得る。
シュウ酸水溶液または水酸化ナトリウム水溶液による処理が施されたフィラメントと、線材あるいはフィラメントとの接続は、例えば、以下の方法で行うことができる。
第一の方法
上記処理が施されたフィラメントを撚り合わせるもしくは編み合わせた後、はんだで被覆する。次いで、線材あるいはフィラメントとの接続を行う。
第二の方法
上記処理が施されたフィラメントをはんだで被覆しつつ、撚り合わせるもしくは編み合わせる。次いで、線材あるいはフィラメントとの接続を行う。
第三の方法
上記処理が施されたフィラメントをはんだで被覆する。これを、別のフィラメントまたは線材と一緒に撚り合わせるもしくは編み合わせることで接続する。
以下、実施形態の方法を、図2〜図4を参照して説明する。図2は、処理装置の一例の概略を示している。処理装置100は、処理室1と、処理室1の前方に配置された前室2と、処理室1に不活性ガスを供給するための不活性ガス供給源3と、水供給部4と、洗浄液供給部5と、供給手段7とを備える。処理室1と前室2を隔てる壁に複数の貫通穴8が設けられている。処理室1と前室2は、複数の貫通穴8を通して互いに連通している。処理室1内に、第1の洗浄槽としてのWet処理槽9と、第2の洗浄槽としてのリンス槽10と、はんだ槽11と、酸素濃度計12とが配置されている。リンス槽10とはんだ槽11との間に位置する処理場13は、線材を乾燥させるための空間である。
供給手段7は、例えばポンプである。供給手段7は、水供給部4及び洗浄液供給部5それぞれと配管14により接続されている。また、供給手段7は、配管15により処理室1と接続されている。供給手段7は、処理室1に供給する物質の種類に応じて水供給部4及び洗浄液供給部5との接続を変更できるようになっている。
前室2には、前室2と処理室1が連なる方向と交差する手前側の壁(処理装置100の正面の壁)に複数の開口部16が設けられている。複数の開口部16は、作業者の手を前室2に挿入するための貫通穴である。また、複数の貫通穴8のうちの少なくとも1部は、作業者の手を処理室1に挿入するための貫通穴となる。前室2において、複数の開口部16が設けられている壁と交差する二つの壁のうち、処理の前段側に位置する壁に線材を挿入するための挿入口17が設けられている。また、処理の後段側に位置する壁に排気口18が設けられている。線材を処理装置に導入する穴である挿入口17が、作業者と対面しない壁に設けられているので、処理装置から外部に排出されるガスを作業者が吸い込むことはない。また、排気口18が作業者と対面しない壁に設けられているので、作業者の酸欠が防止される。
以上説明した処理装置100を用いる方法の詳細を説明する。
線材200の接続部となる部分(この場合、線材の先端部付近)のマトリクスを除去し、フィラメントを線材表面に露出させる。
不活性ガス供給源3から処理室1内に不活性ガスを供給し、処理室1及び前室2それぞれを陽圧にする。不活性ガスの供給量は、処理室1及び前室2の陽圧を維持できるように調整される。洗浄液供給部5から洗浄液としてシュウ酸水溶液または水酸化ナトリウム水溶液をWet処理槽9内に供給手段7を用いて供給する。洗浄液の温度は、所定の温度に維持されるようになっている。線材200の先端部を挿入口17から前室2に導入し、貫通穴8を通して処理室1のWet処理槽9に供給して洗浄液中に浸漬する。図3は、Wet処理槽9内の洗浄液中の線材200の接続部の状態を模式的に示している。マトリクスが除去された接続部201においては、フィラメント202の束がほぐれた状態になっている。接続部201の先端付近を冶具19で一つに束ねている。冶具19は、例えば、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロアルキルビニルエーテルコポリマー(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ステンレス鋼(SUS)のうちどれか1種以上の材質で構成されることが望ましい。
洗浄液への浸漬処理により、線材200の接続部201のフィラメント表面のNb酸化膜を除去する。次いで、線材200の接続部201をリンス槽10に移動させる。リンス槽10には、水供給部4から水が供給手段7によって供給されている。水の温度は、所定の温度に維持されるようになっている。リンス槽10内の水中に線材200の接続部201を浸漬することにより、水洗処理を施す。
次いで、線材200の接続部201を処理場13に移動させる。処理場13の雰囲気の温度は、処理室1内の雰囲気温度と同じである。処理室1内の雰囲気温度は、所定の温度に維持されるようになっている。処理場13に線材200の接続部201を配置することで、接続部201を乾燥させる。
引き続き、線材200の接続部201をはんだ槽11に供給して、接続部201のフィラメント202をはんだ液に浸漬してはんだ層で被覆する。図4は、接続部201のフィラメント202をはんだ層で被覆後の状態を示している。図4に示すように、はんだ層で被覆したフィラメント202を撚り合わせることにより一つに束ねても良い。
はんだ層で被覆したフィラメント202は、別のフィラメントもしくは線材と接合される。
以上説明した処理装置を用いた実施例を以下に説明する。
実施例では、以下の線材を使用した。
線材Aは、NbTi合金の超電導線材で、マトリクス材がCuNi合金で、線径0.90mmであった。フィラメント1本当たりの径が20μmで、フィラメント本数は800本であった。また、フィラメント体積に対するマトリクス体積の比は1.3であった。
(実施例1〜2及び比較例1)
線材Aの先端部から5cmまでを接続部とした。処理液として70重量%の硝酸水溶液を用意した。室温に保たれた硝酸水溶液に接続部を浸漬することにより、接続部のマトリクスを除去した。除去されたか否かは、目視により確認した。
処理装置100の処理室1及び前室2内の雰囲気を、室温の窒素ガス雰囲気に設定した。洗浄液として、5重量%のシュウ酸水溶液を用意した。洗浄液をWet処理槽9内に供給し、洗浄液の温度を室温に保った。接続部を洗浄液に浸漬することにより洗浄を行った。処理時間は、30分、60分に設定した。未処理の接続部を比較例1とした。
各接続部に対し、リンス槽10での水洗を2分行った後、処理場13にて乾燥させた。
各接続部について、X線光電子分光(XPS)分析によりフィラメント表面におけるNbに対するNbメタルの比率(Nbメタル/Nb)を測定し、その結果を図5に示す。Nbに対するNbメタルの比率は、Nbメタルに由来するピーク、Nbに由来するピークそれぞれのピーク面積を算出して比較することにより求めた。また、XPS分析は、窒素ガスのドライ雰囲気から真空引きまで約5分で実施し、10−8Paまで10分程度要する条件で実施した。図5では、処理時間30分、60分を、それぞれ実施例1,2として表示した。
(実施例3〜6)
接続部の洗浄処理の条件を以下に説明する内容に変更すること以外は、実施例1と同様にして線材の処理を実施した。
Wet処理槽9内の洗浄液の温度を80℃に保った。接続部を洗浄液に浸漬することにより洗浄を行った。処理時間は、10分、20分、40分、60分に設定した。
XPS分析によりフィラメント表面におけるNbメタル/Nbの比率を測定し、その結果を図6に示す。図6では、処理時間10分、20分、40分、60分を、それぞれ実施例3〜6として表示した。
図5及び図6の結果から明らかな通り、シュウ酸水溶液による洗浄処理を実施した実施例1〜6の方法は、洗浄処理を実施しなかった比較例1に比してNbメタル/Nbの比率が高いことがわかる。また、実施例1,2と実施例3〜6との比較により、洗浄液の温度が室温よりも高い方が、Nb酸化膜の除去に有効であることがわかる。さらに、実施例1〜6の線材の接続部のフィラメントの断面を顕微鏡観察したところ、孔食は見られなかった。
(比較例2)
洗浄処理の条件を以下に説明する内容に変更すること以外は、実施例1と同様にして線材の処理を実施した。
洗浄液として、1重量%のフッ酸を用意した。Wet処理槽9内の洗浄液の温度を室温に保った。接続部を洗浄液に浸漬することにより洗浄を行った。処理時間は、20分に設定した。
洗浄、水洗及び乾燥後の比較例2の線材の接続部のフィラメントの断面を顕微鏡観察したところ、孔食が見られた。
(実施例7〜9及び比較例3)
接続部の洗浄処理の条件を以下に説明する内容に変更すること以外は、実施例1と同様にして線材の処理を実施した。
洗浄液として、5重量%の水酸化ナトリウム水溶液を用意した。Wet処理槽9内の洗浄液の温度を室温または80℃に保った。接続部を洗浄液に浸漬することにより洗浄を行った。処理時間は、室温で10分または60分、80℃で30分に設定した。処理を行わない接続部を比較例3とした。
XPS分析によりフィラメント表面におけるNbメタル/Nbの比率を測定し、その結果を下記表1に示す。
Figure 2021050371
表1の結果から明らかな通り、水酸化ナトリウム水溶液による洗浄処理を実施した実施例7〜9の方法は、洗浄処理を実施しなかった比較例3に比してNbメタル/Nbの比率が高いことがわかる。また、実施例7〜9の線材の接続部のフィラメントの断面を顕微鏡観察したところ、孔食は見られなかった。
実施例7〜9の方法で処理した接続部のフィラメント表面の組成をXPSのワイドスキャンスペクトル及びNa1sナロースキャンスペクトルで測定したところ、フィラメント表面にNaNbO(ニオブ酸ナトリウム)が存在することを確認した。
(実施例10〜13)
Nbメタル/Nbの比率と、はんだ被覆率との関係を確認するため、以下の実験を行った。
シュウ酸水溶液による洗浄条件を下記表2に示す通りに変更する以外は、実施例1と同様にして接続部の洗浄、水洗及び乾燥を行った。
Figure 2021050371
接続部の洗浄、水洗及び乾燥がなされた実施例10〜13の線材の接続部を大気中に15分、30分、45分、60分放置後、XPS分析によりフィラメント表面におけるNbメタル/Nbの比率を測定し、その結果を図7に示す。
次いで、実施例10〜13の線材の接続部を、温度が200℃に保たれたはんだ液に浸漬し、接続部のフィラメントをはんだ層で被覆した。フィラメントの断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、フィラメントの外周長さL1(μm)と、フィラメントの外周のうちのはんだ層が付着している弧の部分の長さL2(μm)を測定し、(L2/L1)*100により算出された値をはんだ被覆率(%)とした。その結果を図7に併記する。
図7の結果に示す通り、Nbメタル/Nbの比率が高い方が、高いはんだ被覆率を得られやすいことがわかる。
以上説明した少なくとも一つの実施形態または実施例の方法によれば、線材表面に露出したフィラメントを、シュウ酸水溶液もしくは水酸化ナトリウム水溶液により洗浄することを含むため、線材に孔食を生じさせることなく、Nb酸化膜を除去することが可能となる。また、前記の方法によると、簡便かつ安定的に低抵抗接続が実現できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1…処理室、2…前室、3…不活性ガス供給源、4…水供給部、5…洗浄液供給部、7…供給手段、8…貫通穴、9…Wet処理槽、10…リンス槽、11…はんだ槽、12…酸素濃度計、13…処理場、14,15…配管、16…開口部、17…挿入口、18…排気口、19…冶具、100…処理装置、200…線材、201…接続部、202…フィラメント、1000…線材、1001…マトリクス、1002…フィラメント。

Claims (6)

  1. 線材表面を規定し、かつ中空部を有し、CuNi系合金を含むマトリクスと、前記マトリクスの前記中空部に挿入され、Nbを含む複数のフィラメントとを含む線材の処理方法であって、
    前記マトリクスの少なくとも一部を除去することにより、前記複数のフィラメントの少なくとも一部を前記線材表面に露出させることと、
    前記線材表面に露出したフィラメントを、シュウ酸水溶液もしくは水酸化ナトリウム水溶液により洗浄すること
    を含む、線材の処理方法。
  2. 前記複数のフィラメントがNbTi系超電導材料からなる、請求項1に記載の線材の処理方法。
  3. 前記洗浄後、前記線材表面に露出したフィラメントを水洗することと、
    前記線材表面に露出したフィラメントを乾燥させることと、
    前記線材表面に露出したフィラメントを、撚り合わせるもしくは編み合わせることと
    をさらに含む、請求項1または2に記載の線材の処理方法。
  4. 前記撚り合わせもしくは編み合わせたフィラメントを、はんだで被覆することをさらに含む、請求項3に記載の線材の処理方法。
  5. 前記洗浄後、前記線材表面に露出したフィラメントを水洗することと、
    前記線材表面に露出したフィラメントを乾燥させることと、
    前記線材表面に露出したフィラメントを、はんだで被覆することを
    さらに含む、請求項1または2に記載の線材の処理方法。
  6. 前記フィラメントを撚り合わせるもしくは編み合わせること
    をさらに含む、請求項5に記載の線材の処理方法。
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