(実施形態1)
(1)概要
以下、実施形態1に係る負荷制御装置1の概要について、図1を参照して説明する。
本実施形態に係る負荷制御装置1は、図1に示すように、電源11と負荷12との間に挿入されるスイッチ部2を備える装置である。本開示でいう「挿入」とは、電気的に接続される二者間への挿入を意味し、スイッチ部2は、電源11と負荷12とで構成される回路において電源11と負荷12との間に電気的に接続されることになる。言い換えれば、負荷12は、電源11に対し、スイッチ部2を介して電気的に接続される。
スイッチ部2は、例えば、トランジスタ又は双方向サイリスタ等の半導体スイッチにて実現される。本実施形態では、負荷制御装置1は、スイッチ部2を電子的に制御することにより、電源11と負荷12との間の導通/非導通を電子的に切り替える、いわゆる電子スイッチである。負荷制御装置1は、一対の端子101,102(図2参照)を備えており、スイッチ部2は、一対の端子101,102間に電気的に接続されている。言い換えれば、負荷制御装置1の内部において、端子101と端子102とは、スイッチ部2を介して電気的に接続されている。一方の端子101(第1端子)が電源11に接続され、他方の端子102(第2端子)が負荷12に接続されることで、電源11と負荷12との間にスイッチ部2が挿入される。
このような構成によれば、負荷制御装置1は、電源11から負荷12への通電状態(電力の供給状態)を、スイッチ部2にて制御することできる。基本的には、スイッチ部2の動作状態が導通状態にあれば、端子101と端子102との間がスイッチ部2を介して導通し、スイッチ部2の動作状態が遮断状態にあれば、端子101と端子102との間が非導通となる。つまり、スイッチ部2が導通状態にあれば、負荷制御装置1を介して電源11から負荷12への電力の供給が行われ、スイッチ部2が遮断状態にあれば、負荷制御装置1にて電源11から負荷12への電力の供給が遮断される。
ところで、本実施形態に係る負荷制御装置1は、内部回路3と、電力生成回路4と、を更に備えている。内部回路3は、スイッチ部2を制御する制御部31等を含んでいる。電力生成回路4は、内部回路3の動作用の電力を生成する。
電力生成回路4は、スイッチ部2の両端に印加される電圧から内部回路3の動作用の電力を生成する。電力生成回路4は、第1電源回路41と、第2電源回路42と、を有しており、第1電源回路41及び第2電源回路42のいずれかから内部回路3に動作用の電力を供給する。言い換えれば、電力生成回路4に含まれる第1電源回路41及び第2電源回路42の各々は、電源11より一対の端子101,102間に印加される電圧を入力として、内部回路3の動作用の電力を生成する。このように、負荷制御装置1は、電源11と負荷12との間にスイッチ部2を挿入するための一対の端子101,102から、内部回路3の動作用の電力をも確保することができる。
すなわち、負荷制御装置1は、一対の端子101,102に接続される2本の電線にて、内部回路3の動作用の電力をも確保できる、いわゆる2線式の負荷制御装置である。このような2線式の負荷制御装置1においては、内部回路3の動作用の電力を供給するための電源端子を、一対の端子101,102とは別に設ける必要がなく、負荷制御装置1を設置する際の配線作業も簡単になる。
ここにおいて、本実施形態に係る負荷制御装置1は、スイッチ部2と、第1電源回路41と、第2電源回路42と、内部回路3と、プリチャージ回路43と、を備えている。スイッチ部2は、電源11と負荷12との間に挿入される。第1電源回路41は、スイッチ部2の両端に印加される電圧から電力を生成する。第2電源回路42は、スイッチ部2の両端に印加される電圧から電力を生成する。内部回路3は、第1電源回路41又は第2電源回路42から電力が供給される。プリチャージ回路43は、第1電源回路41及び第2電源回路42の一方の回路からの電力にて、他方の回路に含まれる容量素子C3を充電する。
すなわち、本実施形態に係る負荷制御装置1は、スイッチ部2、第1電源回路41、第2電源回路42及び内部回路3に加えて、プリチャージ回路43を更に備えている。プリチャージ回路43によれば、第1電源回路41及び第2電源回路42の一方から他方の容量素子C3へ電力を融通することで、例えば、他方の回路から内部回路3への電力の供給開始時に容量素子C3の充電に掛かる時間を短縮できる。したがって、負荷制御装置1によれば、少なくとも内部回路3への電力の供給元を、第1電源回路41及び第2電源回路42の一方から他方へ切り替えるに際して、その切り替えをスムーズに実現しやすくなる。結果的に、第1電源回路41及び第2電源回路42の切り替えに際して、電源11から負荷12へ供給される電力が変動することを抑制しやすくなり、負荷12への電力供給が安定しやすい、という利点がある。
(2)詳細
(2.1)前提
本実施形態では、負荷制御装置1は、建物の取付対象物に固定される。本開示でいう「取付対象物」は、負荷制御装置1が固定される物体であって、例えば、建物の壁、天井若しくは床等の造営物、又は机、棚、若しくはカウンタ台等の什器(建具を含む)等を含む。負荷制御装置1が設置される建物は、例えば、戸建住宅若しくは集合住宅等の住宅施設、又は事務所、店舗、学校、工場、病院若しくは介護施設等の非住宅施設である。
本実施形態では一例として、負荷制御装置1は、住宅の壁からなる取付対象物に取り付けられる、埋込型の配線器具であると仮定する。また、電源11は、例えば、単相100〔V〕、60〔Hz〕の商用の交流電源(系統電源)であると仮定する。さらに、負荷12は、例えば、LED(Light Emitting Diode)からなる光源と、光源を点灯させる点灯回路と、を備える照明装置(照明器具)であると仮定する。この負荷12では、電源11からの電力供給時に光源が点灯する。
また、負荷制御装置1は、電線を接続するための端子101,102を備えており、例えば、壁(取付対象物)内に引き回された電線が端子101,102に接続されることで、電線を介して電源11及び負荷12に電気的に接続される。電線は、電源11(系統電源等)に対しては、直接的に接続されてもよいし、分電盤等を介して間接的に接続されてもよい。
また、本開示でいう端子101,102等の「端子」は、電線等を接続するための部品でなくてもよく、例えば、電子部品のリード、又は回路基板に含まれる導体の一部等であってもよい。
また、本開示において、2値の比較において、「以上」としているところは、2値が等しい場合、及び2値の一方が他方を超えている場合との両方を含む。ただし、これに限らず、ここでいう「以上」は、2値の一方が他方を超えている場合のみを含む「より大きい」と同義であってもよい。つまり、2値が等しい場合を含むか否かは、基準値等の設定次第で任意に変更できるので、「以上」か「より大きい」かに技術上の差異はない。同様に、「未満」においても「以下」と同義であってもよい。
(2.2)負荷制御装置の全体構成
以下に、本実施形態に係る負荷制御装置1の全体構成について、図1〜図3を参照して説明する。
負荷制御装置1は、図1に示すように、スイッチ部2と、電力生成回路4と、内部回路3と、を備えている。電力生成回路4は、第1電源回路41、第2電源回路42及びプリチャージ回路43を含んでいる。すなわち、負荷制御装置1は、スイッチ部2、内部回路3、第1電源回路41、第2電源回路42及びプリチャージ回路43を備えている。また、本実施形態では、負荷制御装置1は、図2に示すように、一対の端子101,102、ゼロクロス(図中「ZC」と表記)検出部51,52、電圧検出部53,54、充電検出部55及びレベルシフト回路56を、更に備えている。これらの負荷制御装置1の構成部品(スイッチ部2及び端子101,102等)は、1つの筐体に収納されている。
一対の端子101,102の各々は、電線が電気的かつ機械的に接続される部品である。一対の端子101,102の各々は、一例として、端子孔から電線を差し込むことによって電線が接続される、電線差込式のいわゆる速結端子である。
スイッチ部2は、電源11と負荷12との間に挿入され、電源11と負荷12との間の導通/遮断を切り替える。本実施形態では一例として、スイッチ部2は、一対の端子101,102間において、電気的に直列に接続された2つのMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor)21,22を有している。これら2つのMOSFET21,22の各々は、エンハンスメント形のnチャネルMOSFETである。2つのMOSFET21,22は、ソース端子同士が互いに接続される、つまり、いわゆる逆直列に接続されることにより、双方向の電流について、導通/遮断を切り替える。
各MOSFET21,22のゲート端子は、レベルシフト回路56に電気的に接続されている。レベルシフト回路56は、後述する制御部31からの制御信号Si10(図3参照)が入力されることにより、各MOSFET21,22を駆動する。
また、上述したように、スイッチ部2は、その動作状態として、遮断状態と導通状態とを含んでいる。このうちの導通状態とは、スイッチ部2が連続的に導通している状態だけではなく、スイッチ部2が間欠的に導通している状態を含む。つまり、本開示において、スイッチ部2の遮断状態とは、電源11から負荷12への電力の供給が遮断される状態であり、スイッチ部2の導通状態とは、電源11から負荷12への電力の供給が行われる状態である。
ここでは、スイッチ部2が非導通の状態で、スイッチ部2には電源11から交流電圧が印加されることと仮定する。つまり、スイッチ部2が非導通であれば、スイッチ部2の両端間に印加される電圧(以下、「スイッチ間電圧」ともいう)は、電源11からの交流電圧と略等しくなる。また、以下では、端子101が高電位となるスイッチ間電圧の極性を「正極性」、端子102が高電位となるスイッチ間電圧の極性を「負極性」という。
ゼロクロス検出部51,52は、スイッチ間電圧の大きさを検出することで、スイッチ間電圧のゼロクロス点を検出するように構成されている。ゼロクロス検出部51は、端子101に電気的に接続されている。
ゼロクロス検出部51は、端子101−グランド(基準電位点)間電圧の絶対値と基準値(例えば、10〔V〕)とを比較することにより、スイッチ間電圧が負極性から正極性に切り替わる際のゼロクロス点を検出する。つまり、ゼロクロス検出部51は、正極性のスイッチ間電圧が基準値未満の状態から基準値以上の状態に移行したことを検出すると、ゼロクロス点と判断する。ゼロクロス検出部52は、端子102に電気的に接続されている。ゼロクロス検出部52は、端子102−グランド(基準電位点)間電圧の絶対値と基準値(例えば、10〔V〕)とを比較することにより、スイッチ間電圧が正極性から負極性に切り替わる際のゼロクロス点を検出する。つまり、ゼロクロス検出部52は、負極性のスイッチ間電圧が基準値未満の状態から基準値以上の状態に移行したことを検出すると、ゼロクロス点と判断する。
したがって、ゼロクロス検出部51,52で検出されるゼロクロス点の検出タイミングは、厳密な意味でのゼロクロス点(0〔V〕)から少し時間が遅れることになる。
電力生成回路4は、上述したように、第1電源回路41、第2電源回路42及びプリチャージ回路43を含んでいる。また、本実施形態では、電力生成回路4は、図2及び図3に示すように、第1電源回路41、第2電源回路42及びプリチャージ回路43に加えて、一次側ダイオードD1,D2、二次側ダイオードD3,D4及びDC/DCコンバータ44を更に有している。図中、DC/DCコンバータ44を単に「DC/DC」と表記している。
電力生成回路4は、スイッチ部2の両端に印加される電圧から内部回路3の動作用の電力を生成する。すなわち、電力生成回路4は、スイッチ間電圧を入力として、内部回路3に動作用の電力を供給する。本実施形態では、電力生成回路4は、その出力端から出力電圧Voutを出力する。出力電圧Voutが内部回路3に印加されることで、電力生成回路4から内部回路3に電力が供給されることになる。
ここで、第1電源回路41の入力端は、一対の端子101,102に対してそれぞれ一次側ダイオードD1,D2を介して電気的に接続されている。第2電源回路42も同様に、その入力端が一対の端子101,102に対してそれぞれ一次側ダイオードD1,D2を介して電気的に接続されている。そして、第1電源回路41の出力端は、二次側ダイオードD3を介してDC/DCコンバータ44に電気的に接続されている。第2電源回路42の出力端は、二次側ダイオードD4を介してDC/DCコンバータ44に電気的に接続されている。DC/DCコンバータ44は、第1電源回路41又は第2電源回路42から入力される直流電圧を、所定の大きさの直流電圧からなる出力電圧Voutに変換する。これにより、電力生成回路4は、第1電源回路41及び第2電源回路42の2つの回路のいずれかから、内部回路3に電力を供給することになる。
ところで、本実施形態では、スイッチ部2の動作状態に応じて内部回路3の電力の供給元が切り替わる。すなわち、スイッチ部2の動作状態は、上述したように、電源11から負荷12への電力の供給を遮断する遮断状態と、電源11から負荷12への電力の供給を行う導通状態と、を含んでいる。ここにおいて、遮断状態では、第1電源回路41から内部回路3に電力が供給され、導通状態では、第2電源回路42から内部回路3に電力が供給される。そして、プリチャージ回路43は、第1電源回路41からの電力にて第2電源回路42に含まれる容量素子C3を充電する。言い換えれば、第1電源回路41は、遮断状態において内部回路3に電力を供給するための、遮断時用の電源回路である。第2電源回路42は、導通状態において内部回路3に電力を供給するための、導通時用の電源回路である。
このように、本実施形態では、スイッチ部2の動作状態が遮断状態にあるか導通状態にあるかで、内部回路3の電力の供給元が、第1電源回路41と第2電源回路42とで切り替わる。要するに、電力生成回路4は、第1電源回路41及び第2電源回路42の2つの電源回路を含んでおり、これら2つの電源回路が、スイッチ部2の遮断状態と導通状態とで使い分けられる。
そして、遮断時用の第1電源回路41と、導通時用の第2電源回路42とでは、要求される特性に差がある。つまり、遮断時用の第1電源回路41においては、スイッチ部2が遮断状態であるので、電力生成回路4を通して一対の端子101,102間を流れるリーク電流を低減するべく、相対的に高インピーダンスとなることが要求される。一方、導通時用の第2電源回路42においては、スイッチ部2が導通状態であるので、電力生成回路4にて効率的に電力を生成するべく、相対的に低インピーダンスとなることが要求される。そこで、第1電源回路41は、出力段の容量素子C2を比較的高電圧で充電し、第2電源回路42は、出力段の容量素子C3を比較的低電圧で充電する。そのため、第1電源回路41の容量素子C2の両端電圧Vc2と、第2電源回路42の容量素子C3の両端電圧Vc3とは同一ではなく、両端電圧Vc2の方が両端電圧Vc3よりも高くなる。
そして、DC/DCコンバータ44は、第1電源回路41の容量素子C2の両端電圧Vc2、又は第2電源回路42の容量素子C3の両端電圧Vc3を、所定の大きさの直流電圧からなる出力電圧Voutに変換する。これにより、電力生成回路4から内部回路3には、所定の大きさの出力電圧Voutが安定的に印加されることになる。
本実施形態では、プリチャージ回路43は、第1電源回路41からの電力にて第2電源回路42に含まれる容量素子C3を充電する。すなわち、スイッチ部2が遮断状態にあるときに、プリチャージ回路43は、遮断時用の第1電源回路41からの電力にて、導通時用の第2電源回路42の容量素子C3を充電する。これにより、少なくとも遮断状態から導通状態への移行時において、遮断時用の第1電源回路41から、導通時用の第2電源回路42への切り替えがスムーズになる。言い換えれば、第1電源回路41から第2電源回路42への切り替えに際しても、内部回路3に対してはシームレスに電力が供給されることになる。
電力生成回路4について詳しくは「(2.3)電力生成回路の構成」の欄で説明するので、ここでは電力生成回路4の大まかな構成についてのみ説明する。図2及び図3に示すように、本実施形態では、第1電源回路41は、ドロッパ電源回路410、第1電流制限回路411、急速充電経路412、容量素子C0及び容量素子C2を有している。第2電源回路42は、低インピーダンス回路420、第2電流制限回路421、定電流維持回路422、ダイオードD5〜D7、容量素子C1及び容量素子C3を有している。
電圧検出部53は、第1電源回路41の容量素子C2の両端電圧Vc2を検出する。つまり、容量素子C2が充電されるに伴って、電圧検出部53にて検出される電圧(両端電圧Vc2)が大きくなる。電圧検出部54は、第2電源回路42の容量素子C3の両端電圧Vc3を検出する。つまり、容量素子C3が充電されるに伴って、電圧検出部54にて検出される電圧(両端電圧Vc3)が大きくなる。
充電検出部55は、第2電源回路42の容量素子C1の充電状態を検出する。具体的には、充電検出部55は、低インピーダンス回路420の出力端に接続されたツェナダイオードZD1及び抵抗R1の直列回路に、電気的に接続されている。充電検出部55は、ツェナダイオードZD1と抵抗R1との接続点に接続されており、容量素子C1の両端電圧Vc1が閾値以上となることをもって、充電検出部55は容量素子C1の充電完了を検出する。
内部回路3は、図1に示すように、制御部31と、無線通信部32と、タッチパネル33と、を有している。制御部31、無線通信部32及びタッチパネル33を含む内部回路3の動作用の電力は、電力生成回路4にて生成される。言い換えれば、内部回路3に含まれる制御部31、無線通信部32及びタッチパネル33の各々は、電力生成回路4から電力の供給を受けて動作する。
制御部31は、例えば、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを主構成として備えている。マイクロコントローラは、1以上のメモリに記録されているプログラムを1以上のプロセッサで実行することにより、制御部31としての機能を実現する。プログラムは、予めメモリに記録されていてもよいし、メモリカードのような非一時的記録媒体に記録されて提供されたり、電気通信回線を通して提供されたりしてもよい。言い換えれば、上記プログラムは、1以上のプロセッサを、制御部31として機能させるためのプログラムである。
制御部31は、少なくともスイッチ部2をオン/オフ制御する。さらに、制御部31は、位相制御(逆位相制御を含む)又はPWM(Pulse Width Modulation)制御によって、単位時間当たりに電源11から負荷12へ供給される電力量を調節するように、スイッチ部2を制御(以下、「負荷制御」ともいう)してもよい。また、制御部31は、電力生成回路4の各部位についても制御する。
具体的には、制御部31は、図3に示すように、ゼロクロス検出部51,52から、それぞれ検出結果を表す検出信号Si1,Si2を取得する。同様に、制御部31は、電圧検出部53,54から、それぞれ検出結果を表す検出信号Si5,Si6を取得し、充電検出部55から、検出結果を表す検出信号Si8を取得する。また、制御部31は、図3に示すように、スイッチ部2を制御するための制御信号Si10をレベルシフト回路56に出力する。制御部31は、ドロッパ電源回路410及び急速充電経路412に対しては、それぞれを制御するための制御信号Si3,Si4を出力する。さらに、制御部31は、低インピーダンス回路420及び定電流維持回路422に対しては、それぞれを制御するための制御信号Si9,Si7を出力する。
このように、制御部31は、検出信号Si1,Si2,Si5,Si6,Si8を適宜取得し、制御信号Si3,Si4,Si7,Si9,Si10を出力することで、スイッチ部2及び電力生成回路4を制御する。
無線通信部32は、他の通信装置との間で、直接的に、又は中継器等を介して間接的に、電波を媒体とする無線通信を行う。無線通信部32と通信装置との間の通信は、例えば、920MHz帯の特定小電力無線局(免許を要しない無線局)、Wi-Fi(登録商標)、又はBluetooth(登録商標)等の通信規格に準拠した無線通信である。他の通信装置の一例としては、人感センサ等のセンサ端末、又は人の操作を受け付けるリモートコントローラ等がある。無線通信部32が、これらの通信装置と双方向に通信することで、制御部31は、通信装置からの無線信号に基づいてスイッチ部2を制御することが可能になる。
タッチパネル33は、タッチパネルディスプレイであって、表示機能及びタッチセンサ機能を有している。この種のタッチパネル33は、ユーザインタフェースとして機能し、例えば、負荷制御装置1の動作状況等の情報を表示することで人に提示したり、人のタッチ操作を受けて信号を出力したりすることが可能である。このようなタッチパネル33があることで、制御部31は、タッチパネル33に対する人の操作に基づいてスイッチ部2を制御することが可能になる。
(2.3)電力生成回路の構成
次に、負荷制御装置1における電力生成回路4のより詳細な構成について、図1〜図3を参照して説明する。
電力生成回路4は、上述したように、第1電源回路41、第2電源回路42、プリチャージ回路43、一次側ダイオードD1,D2、二次側ダイオードD3,D4及びDC/DCコンバータ44を有している。図1(後述の図8及び図9も同様)では、電力生成回路4に含まれるDC/DCコンバータ44の図示を省略している。
上述したように、第1電源回路41の入力端及び第2電源回路42の入力端の各々は、一対の端子101,102に対してそれぞれ一次側ダイオードD1,D2を介して電気的に接続されている。そして、第1電源回路41の出力端及び第2電源回路42の出力端は、それぞれ二次側ダイオードD3,D4を介して、DC/DCコンバータ44に電気的に接続されている。そのため、スイッチ部2の両端に印加される電圧は、一次側ダイオードD1,D2にて整流されて第1電源回路41又は第2電源回路42に入力され、第1電源回路41又は第2電源回路42の出力は、DC/DCコンバータ44に入力されることになる。
第1電源回路41は、図2及び図3に示すように、ドロッパ電源回路410、第1電流制限回路411、急速充電経路412、一次側の容量素子C0(コンデンサ)及び二次側の容量素子C2(コンデンサ)を有している。
ドロッパ電源回路410は、スイッチ部2の両端に印加される電圧の整流後の電圧を降圧する。容量素子C0は、ドロッパ電源回路410の出力端に接続されており、ドロッパ電源回路410の出力にて充電される。一次側の容量素子C0は、二次側の容量素子C2に比較して高電圧で充電され、かつ小容量のコンデンサである。つまり、容量素子C0の両端電圧Vc0は容量素子C2の両端電圧Vc2よりも高くなる。
このように、第1電源回路41は、その出力段にコンデンサ(容量素子C2)を有する。この出力段のコンデンサ(容量素子C2)は、内部回路3における消費電力の変動を吸収するバッファとして機能する。容量素子C2の両端電圧Vc2は、第1電源回路41の出力として、二次側ダイオードD3を介してDC/DCコンバータ44に印加される。
第1電流制限回路411は、一次側の容量素子C0と二次側の容量素子C2との間に挿入されている。第1電流制限回路411は、容量素子C2に流れる電流、つまり容量素子C2の充電電流を流すための充電経路を形成する。第1電流制限回路411は、定電流回路であって、第1電流制限回路411、つまり容量素子C2の充電経路に流れる電流の大きさを第1電流値(例えば、0.5mA)以下に制限する。
急速充電経路412は、一次側の容量素子C0と二次側の容量素子C2との間に挿入されている。つまり、一次側の容量素子C0と二次側の容量素子C2との間において、第1電流制限回路411と急速充電経路412とが電気的に並列に接続されている。急速充電経路412は、容量素子C2に流れる電流、つまり容量素子C2の充電電流を流すための充電経路を形成する。急速充電経路412は、第1電流制限回路411に比べて低インピーダンスの充電経路を構成する。
急速充電経路412は、制御部31からの制御信号Si4により導通/非導通が制御される。そして、第1電源回路41から内部回路3への電力の供給開始時には、制御部31は、制御信号Si4により急速充電経路412を導通させる。ここでいう第1電源回路41から内部回路3への電力の「供給開始時」は、負荷制御装置1の起動時、及びスイッチ部2の導通状態から遮断状態への切り替え時の両方を含む。
要するに、本実施形態では、第1電源回路41は、第1容量素子C2と、第1容量素子C2を充電するための第1充電経路と、第1容量素子C2を充電するための経路であって第1充電経路よりも低インピーダンスである第2充電経路と、を有している。第1容量素子C2は、プリチャージ回路43にて充電される容量素子C3(第2容量素子C3)とは別の容量素子である。第1電源回路41は、第1電源回路41から内部回路3への電力の供給開始時には、第2充電経路にて第1容量素子C2を充電する。すなわち、第1電流制限回路411は「第1充電経路」に相当し、急速充電経路412は「第2充電経路」に相当する。このように、第1電源回路41は、容量素子C2の充電経路として、2つの充電経路を有し、内部回路3への電力の供給開始時には、急速充電経路412(第2充電経路)にて容量素子C2を急速に充電する。
第2電源回路42は、図2及び図3に示すように、低インピーダンス回路420、第2電流制限回路421、定電流維持回路422、ダイオードD5〜D7、一次側の容量素子C1(コンデンサ)及び二次側の容量素子C3(コンデンサ)を有している。
低インピーダンス回路420は、一次側ダイオードD1,D2の出力端(カソード)と一次側の容量素子C1との間に挿入されている。低インピーダンス回路420は、容量素子C1に流れる電流、つまり容量素子C1の充電電流を流すための充電経路を形成する。低インピーダンス回路420は、第1電流制限回路411に比べて低インピーダンスの充電経路を構成する。
容量素子C1は、低インピーダンス回路420の出力端にダイオードD5を介して接続されており、低インピーダンス回路420の出力にて充電される。一次側の容量素子C1は、二次側の容量素子C3に比較して高電圧で充電され、かつ小容量のコンデンサである。つまり、容量素子C1の両端電圧Vc1は容量素子C3の両端電圧Vc3よりも高くなる。また、第2電源回路42においては、第1電源回路41に比較して、出力段のコンデンサを低電圧で充電する。そのため、第2電源回路42における二次側の容量素子C3は、第1電源回路41における二次側の容量素子C2に比べて、耐電圧が低く、かつ大容量である。
このように、第2電源回路42は、その出力段にコンデンサ(容量素子C3)を有する。この出力段のコンデンサ(容量素子C3)は、内部回路3における消費電力の変動を吸収するバッファとして機能する。容量素子C3の両端電圧Vc3は、第2電源回路42の出力として、二次側ダイオードD4を介してDC/DCコンバータ44に印加される。
第2電流制限回路421は、一次側の容量素子C1と二次側の容量素子C3との間に挿入されている。第2電流制限回路421は、容量素子C3に流れる電流、つまり容量素子C3の充電電流を流すための充電経路を形成する。第2電流制限回路421は、定電流回路であって、第2電流制限回路421、つまり容量素子C3の充電経路に流れる電流の大きさを第2電流値(例えば、3mA)以下に制限する。
定電流維持回路422は、二次側の容量素子C3の満充電時における電流経路を形成する。具体的には、定電流維持回路422は、ツェナダイオードZD2及びMOSFET423の直列回路を含んでいる。定電流維持回路422は、容量素子C3と二次側ダイオードD4との接続点に電気的に接続されている。定電流維持回路422は、制御部31からの制御信号Si7により導通/非導通が制御される。そして、容量素子C3の満充電時には、制御部31は、制御信号Si7により定電流維持回路422を導通させる。
また、ダイオードD6,D7は、プリチャージ回路43の出力端に電気的に接続されている。ダイオードD6は、プリチャージ回路43と一次側の容量素子C1との間に挿入されている。
プリチャージ回路43は、その入力端が、第1電源回路41における一次側の容量素子C0と第1電流制限回路411(又は急速充電経路412)との接続点に電気的に接続されている。つまり、プリチャージ回路43は、第1電源回路41の一次側の容量素子C0と、第2電源回路42との間に挿入されている。ここで、プリチャージ回路43は、急速充電経路412に比べて低インピーダンスの充電経路を構成する。
これにより、プリチャージ回路43は、第1電源回路41からの電力にて、ダイオードD6を介して一次側の容量素子C1を充電することができる。ダイオードD7は、プリチャージ回路43と二次側の容量素子C3との間に挿入されている。これにより、プリチャージ回路43は、第1電源回路41からの電力にて、ダイオードD7を介して二次側の容量素子C3を充電することができる。
以上説明したように、本実施形態では、第1電源回路41及び第2電源回路42は、それぞれの出力段にコンデンサ(容量素子C2及び容量素子C3)を有している。プリチャージ回路43にて充電される容量素子C3は、第1電源回路41及び第2電源回路42のいずれかの(出力段の)コンデンサである。本実施形態では、上述したように、プリチャージ回路43は、第1電源回路41からの電力にて第2電源回路42に含まれる容量素子C3を充電する。すなわち、プリチャージ回路43にて充電される容量素子C3は、第2電源回路42の出力段のコンデンサ(容量素子C3)である。
(2.4)負荷制御装置の動作
次に、本実施形態に係る負荷制御装置1の動作について、図4〜図7Bを参照して説明する。図4は、容量素子C0,C1,C2,C3の充電時である充電モードにおける負荷制御装置1の動作を示す。図5は、スイッチ部2が遮断状態である遮断モードにおける負荷制御装置1の動作を示し、図6は、スイッチ部2が導通状態である導通モードにおける負荷制御装置1の動作を示す。図4〜図6では、それぞれのモードにおける主な電流I1〜I3を示し、これらの電流I1〜I3に関連のない部位については薄く表記している。
まず、負荷制御装置1は、起動直後、つまり電源供給が開始した直後においては、図4に示す充電モードで動作する。起動直後には、第1電源回路41の容量素子C0,C2及び第2電源回路42の容量素子C1,C3は、いずれも未充電状態にある。このとき、負荷制御装置1は、スイッチ部2が遮断状態にあって、かつ制御部31からの制御信号Si4により、急速充電経路412が導通した状態にある。そのため、図4の充電モードでは、第1電源回路41においては、スイッチ部2の両端に印加される電圧により、電流I1にて、ドロッパ電源回路410を介して容量素子C0,C2が充電される。特に、容量素子C2については、急速充電経路412を介して、つまり第1電流制限回路411による電流制限を受けることなく、電流I1にて、急速に充電される。
さらに、図4の充電モードでは、第2電源回路42においては、スイッチ部2の両端に印加される電圧により、電流I1にて、プリチャージ回路43を介して容量素子C1,C3が充電される。すなわち、プリチャージ回路43は、急速充電経路412に比べて更に低インピーダンスであるので、第1電源回路41からの電力はプリチャージ回路43を介して第2電源回路42に融通される。そのため、充電モードにおいては、プリチャージ回路43は、第1電源回路41からの電力にて、第2電源回路42の容量素子C1,C3を充電することになる。その結果、図4に示す充電モードにおいては、第1電源回路41及び第2電源回路42の両方の容量素子C0〜C3が、電流I1にて一斉に充電される。
そして、第1電源回路41の二次側の容量素子C2が充電され、容量素子C2の両端電圧Vc2が閾値以上になると、電圧検出部53からの検出信号Si5を受けて、負荷制御装置1の動作モードが遮断モードに切り替わる。すなわち、負荷制御装置1は、図4に示す充電モードから、図5に示す遮断モードに移行する。このとき、負荷制御装置1は、スイッチ部2が遮断状態にあって、かつ制御部31からの制御信号Si4により、急速充電経路412が非導通となる。そのため、負荷12としての照明装置は消灯する。
図5の遮断モードでは、スイッチ部2の両端に印加される電圧により、電流I2にて、第1電源回路41を通してDC/DCコンバータ44に電力が供給される。このとき、第1電源回路41には、第1電流制限回路411を介して、第1電流値(例えば、0.5mA)以下に制限された電流I2が流れる。これにより、図5に示す遮断モードにおいては、電力生成回路4を高インピーダンスにすることで、電力生成回路4を通して一対の端子101,102間を流れるリーク電流を低減することができる。したがって、遮断モードにおいて、例えば、負荷12としての照明装置が、誤点灯することを防止しやすくなる。
一方、スイッチ部2が遮断状態から導通状態に移行すると、負荷制御装置1の動作モードが導通モードに切り替わる。すなわち、負荷制御装置1は、図5に示す遮断モードから、図6に示す導通モードに移行する。このとき、負荷制御装置1は、スイッチ部2が導通状態にある。そのため、負荷12としての照明装置は点灯する。
図6の導通モードでは、スイッチ部2の両端に印加される電圧により、電流I3にて、第2電源回路42を通してDC/DCコンバータ44に電力が供給される。このとき、第2電源回路42には、第2電流制限回路421を介して、第2電流値(例えば、3mA)以下に制限された電流I3が流れる。さらに、容量素子C3が満充電であれば、制御部31は、制御信号Si7により定電流維持回路422を導通させる。これにより、図6に示す導通モードにおいては、電力生成回路4に流れる電流を制限しつつ、電力生成回路4のインピーダンスの安定化を図ることができる。したがって、導通モードにおいて、例えば、負荷12としての照明装置の点灯状態が安定しやすくなる。
また、スイッチ部2が導通状態から遮断状態に移行する場合には、負荷制御装置1の動作モードは、充電モードに切り替わる。すなわち、負荷制御装置1は、図6に示す導通モードから、図4に示す充電モードに移行する。以降、負荷制御装置1は、上述した図4〜図6の動作、つまり充電モード、遮断モード、導通モードの動作をサイクリックに繰り返す。
以上説明したように、本実施形態に係る負荷制御装置1では、第1電源回路41から内部回路3への電力の供給開始時には、プリチャージ回路43が容量素子C3を充電する。ここでいう第1電源回路41から内部回路3への電力の「供給開始時」は、負荷制御装置1の起動時、及びスイッチ部2の導通状態から遮断状態への切り替え時の両方を含む。つまり、初期起動時、及びスイッチ部2の導通状態から遮断状態への切り替え時に際しては、いずれも負荷制御装置1は、充電モードで動作する。そして、充電モードでは、プリチャージ回路43は、第1電源回路41からの電力にて、第2電源回路42の容量素子C1,C3を充電することになる。
その結果、遮断モードから導通モードへの切り替えに際しては、第2電源回路42の容量素子C1,C3が充電された状態にあるので、内部回路3の電力の供給元が第1電源回路41から第2電源回路42にスムーズに切り替わりやすくなる。すなわち、充電モードでは、プリチャージ回路43により、第1電源回路41からの電力にて、第2電源回路42の容量素子C1,C3が充電されているので、遮断モードから導通モードへの切り替えに際して、改めて容量素子C1,C3を充電する必要がない。したがって、第1電源回路41から第2電源回路42への切り替えに際し、内部回路3に対してはシームレスに電力が供給されることになる。その結果、電力生成回路4から内部回路3に印加される電圧の変動等が抑えられ、制御部31等の動作が安定する。
ところで、内部回路3は、消費電力が変動する回路である。(プリチャージ回路43にて充電される)容量素子C3は、第1電源回路41及び第2電源回路42の入力への消費電力の変動の影響を緩和する。つまり、本実施形態では、内部回路3は、無線通信部32及びタッチパネル33のように、消費電力が変動する回路を含んでいる。一方、プリチャージ回路43にて充電される容量素子C3は、バッファとしてのコンデンサであって、内部回路3の消費電力の変動を吸収することで、第1電源回路41及び第2電源回路42の入力への消費電力の変動の影響を緩和する。
一例として、図7A及び図7Bに、容量素子C2,C3による、消費電力の変動を吸収する様子を示す。図7Aは、横軸を時間軸として、第1電源回路41の出力段のコンデンサ(容量素子C2)の両端電圧Vc2を示す。図7Bは、横軸を時間軸として、第2電源回路42の出力段のコンデンサ(容量素子C3)の両端電圧Vc3を示す。図7Aにおける電圧値V1は、容量素子C2の満充電時の両端電圧Vc2であって、図7Bにおける電圧値V2は、容量素子C3の満充電時の両端電圧Vc3である(V1>V2)。
図7A及び図7Bにおいて、期間T1は、内部回路3の無線通信部32が電波を受信する期間を示し、期間T2は、無線通信部32が電波を送信する期間を示し、期間T3は、無線通信部32が電波を継続受信する期間を示す。つまり、内部回路3の無線通信部32は、受信又は送信の動作をすることで、その消費電力が増大する。このとき、容量素子C2,C3に蓄積された電気エネルギが消費されることで、容量素子C2,C3の両端電圧Vc2,Vc3が低下する。このように、内部回路3の消費電力が変動した場合には、容量素子C2,C3にて、その変動が吸収されるので、第1電源回路41及び第2電源回路42の一次側には、消費電力の変動の影響は生じにくい。
言い換えれば、負荷制御装置1は、バッファ用のコンデンサ(容量素子C2,C3)を備えることで、内部回路3に流れる電流の不足分をコンデンサ(容量素子C2,C3)の放電電流で補うことができる。そのため、負荷制御装置1は、電力生成回路4を流れる電流については、第1電流制限回路411又は第2電流制限回路421で制限しながらも、内部回路3に必要な電力を供給することが可能である。
特に、本実施形態のように、内部回路3の消費電力が比較的大きく、かつ内部回路3の消費電力の変動も比較的大きい場合には、上述したようなプリチャージ回路43の意義が大きくなる。
すなわち、無線通信部32及びタッチパネル33のように、消費電力が比較的大きい回路を内部回路3が含む場合、電力生成回路4のバッファとしてのコンデンサ(容量素子C2,C3)としては、比較的大容量のコンデンサが用いられる。さらに、遮断状態においては、第1電源回路41を高インピーダンスとするため、容量素子C2の耐電圧は比較的高電圧となる。一方、導通状態においては、低電圧で容量素子C3を充電するため、容量素子C3の容量は特に大きくなる。そうすると、第1電源回路41の二次側の容量素子C2と第2電源回路42の二次側の容量素子C3とを兼用する場合、耐電圧が比較的高電圧で、かつ比較的大容量であるような、大きなコンデンサが必要となる。
また、容量素子C2の容量が大きくなると、容量素子C2の充電に時間がかかるため、導通状態から遮断状態への切り替えに際して、電力生成回路4を通して一対の端子101,102間にリーク電流が流れやすくなる。その結果、例えば、負荷12としての照明装置がちらつきやすくなる。
本実施形態では、スイッチ部2の遮断状態と導通状態とで、第1電源回路41と第2電源回路42とを使い分けることで、容量素子C2,C3を比較的小さくすることができる。しかも、プリチャージ回路43にて、第1電源回路41から第2電源回路42の容量素子C1,C3に電力を融通することで、第1電源回路41から第2電源回路42への切り替えをスムーズにしている。これにより、電力生成回路4として第1電源回路41及び第2電源回路42の2つの電源回路を用いながらも、内部回路3に対してはシームレスに電力が供給され、電力生成回路4から内部回路3に印加される電圧の変動等が抑えられる。
(3)変形例
実施形態1は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。実施形態1は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。例えば、図2に示した具体的な回路は、本開示の負荷制御装置1の一例に過ぎず、設計等に応じて種々の変更が可能である。本開示において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。また、実施形態1に係る負荷制御装置1の制御部31と同等の機能は、制御方法、(コンピュータ)プログラム、又はプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
(3.1)第1変形例
実施形態1の第1変形例に係る負荷制御装置1Aは、図8に示すように、第1電源回路41及び第2電源回路42間において、プリチャージ回路43が双方向にプリチャージ用の電流を流す点で、実施形態1に係る負荷制御装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
すなわち、本変形例においては、第1電源回路41は、(プリチャージ回路43にて充電される)容量素子C3である第2容量素子C3とは別の第1容量素子C2を有する。プリチャージ回路43は、第1電源回路41からの電力にて第2容量素子C3を充電し、かつ第2電源回路42からの電力にて第1容量素子C2を充電する。
実施形態1では、プリチャージ回路43は、第1電源回路41から第2電源回路42の容量素子C3に対して一方的に電力を融通するが、本変形例では、第2電源回路42から第1電源回路41の容量素子C2に対しても電力を融通可能である。第2電源回路42は、第1電源回路41に比べて相対的に低電圧の回路であるので、第2電源回路42から第1電源回路41の容量素子C2に電力を融通する場合には、プリチャージ回路43は、昇圧回路を含むことで実現される。つまり、プリチャージ回路43は、例えば、第2電源回路42の一次側の容量素子C1の両端電圧Vc1を、昇圧して第1電源回路41の容量素子C2に印加することで、容量素子C2を充電することが可能である。
(3.2)その他の変形例
本開示における負荷制御装置1は、制御部31等にコンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における負荷制御装置1としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。ここでいうIC又はLSI等の集積回路は、集積の度合いによって呼び方が異なっており、システムLSI、VLSI(Very Large Scale Integration)、又はULSI(Ultra Large Scale Integration)と呼ばれる集積回路を含む。さらに、LSIの製造後にプログラムされる、FPGA(Field-Programmable GateArray)、又はLSI内部の接合関係の再構成若しくはLSI内部の回路区画の再構成が可能な論理デバイスについても、プロセッサとして採用することができる。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。ここでいうコンピュータシステムは、1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを有するマイクロコントローラを含む。したがって、マイクロコントローラについても、半導体集積回路又は大規模集積回路を含む1ないし複数の電子回路で構成される。
また、負荷制御装置1の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていることは負荷制御装置1に必須の構成ではなく、負荷制御装置1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。例えば、タッチパネル33は、制御部31とは別の筐体に設けられていてもよい。また、制御部31等の少なくとも一部の機能は、例えば、サーバ又はクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
また、プリチャージ回路43は、実施形態1では、第1電源回路41から第2電源回路42の容量素子C3に対して一方的に電力を融通するが、第2電源回路42から第1電源回路41の容量素子C2に対して一方的に電力を融通してもよい。すなわち、プリチャージ回路43は、第1電源回路41及び第2電源回路42の一方の回路からの電力にて、他方の回路に含まれる容量素子を充電すればよく、第2電源回路42からの電力にて、第1電源回路41に含まれる容量素子C2を充電してもよい。
また、例えば、ドロッパ電源回路410の代わりにスイッチング電源回路が用いられる等、回路設計に関して適宜の変更が可能である。
また、実施形態1では、電源11は、単相100〔V〕、60〔Hz〕の商用電源であるが、単相100〔V〕、50〔Hz〕の商用電源であってもよい。また、電源11の電圧値は、100〔V〕に限らない。
また、実施形態1では、負荷制御装置1は片切スイッチであるが、他の構成であってもよい。例えば、負荷制御装置1は、3本の配線を接続可能な、いわゆる三路スイッチであってもよい。また、負荷制御装置1は、4本の配線を接続可能な、いわゆる四路スイッチであってもよい。負荷制御装置1が三路スイッチを構成する場合、2つの負荷制御装置1を組み合わせることにより、負荷12への通電状態を、例えば、建物における階段の上階部分と下階部分との2箇所で切り替えることが可能である。
実施形態1では、ゼロクロス検出部51は、端子101−グランド間電圧が基準値以上になることをもって、スイッチ間電圧が負極性から正極性へ切り替わる際のゼロクロスを検出する構成であるが、逆であってもよい。つまり、ゼロクロス検出部51は、端子101−グランド間電圧が基準値未満になることをもって、スイッチ間電圧が正極性から負極性へ切り替わる際のゼロクロスを検出する構成であってもよい。同様に、ゼロクロス検出部52は、端子102−グランド間電圧が基準値以上になることをもって、スイッチ間電圧が正極性から負極性へ切り替わる際のゼロクロスを検出する構成であるが、逆であってもよい。つまり、ゼロクロス検出部52は、端子102−グランド間電圧が基準値未満になることをもって、スイッチ間電圧が負極性から正極性へ切り替わる際のゼロクロスを検出する構成であってもよい。
また、負荷12は、LEDからなる光源を備える照明装置に限らず、LED以外の光源を備える照明装置であってもよい。さらに、負荷12は、照明装置に限らず、例えば、換気扇、表示装置、電動シャッタ、空調機器又は防犯機器等の機器(装置、システム及び設備を含む)であってもよい。また、負荷12は、1台の機器に限らず、電気的に直列又は並列に接続された複数台の機器であってもよい。
また、負荷制御装置1は、子機を接続するための操作端子を更に備えていてもよい。子機は、例えば、押釦スイッチ等の接点部を備えており、接点部のオン/オフが負荷制御装置1にて検知される。この場合、負荷制御装置1は、子機の動作(接点部のオン/オフ)に応じて、スイッチ部2の動作状態を切り替えるようにスイッチ部2を制御する。すなわち、子機において、例えば、押釦スイッチが押されて接点部がオンする度に、スイッチ部2の遮断状態と、導通状態とが切り替わるように、負荷制御装置1が動作する。要するに、負荷制御装置1では、スイッチ部2の制御は、無線通信部32及びタッチパネル33の出力に応じて行われるのみならず、子機の動作に応じて行われてもよい。したがって、負荷制御装置1と子機とが、例えば、建物における階段の上階部分と下階部分との2箇所に分かれて設置されることにより、負荷12への通電状態を、2箇所で切り替えることが可能である。
また、内部回路3は、無線通信部32及びタッチパネル33に加えて又は代えて、センサ回路又はタイマ回路等を備えていてもよい。センサ回路は、一例として、人が存在するか否かを検知する人感センサ及び/又は明るさセンサ等を備える。負荷制御装置1は、これらのセンサ回路又はタイマ回路等の出力に基づいてスイッチ部2の制御を行うことが可能である。
また、上記実施形態では、スイッチ部2は、2つのMOSFET21,22を有しているが、MOSFETに限らず、その他の半導体スイッチであってもよい。例えば、スイッチ部2は、3端子の双方向サイリスタ(トライアック)にて実現されてもよいし、GaN(窒化ガリウム)等のワイドバンドギャップの半導体材料を用いたダブルゲート(デュアルゲート)構造の半導体素子を用いて実現されてもよい。
(実施形態2)
本実施形態に係る負荷制御装置1Bは、図9に示すように、第1電源回路41及び第2電源回路42の二次側の容量素子に代えて、1つのコンデンサC4を備える点で実施形態1に係る負荷制御装置1と相違する。以下、実施形態1と同様の構成については、共通の符号を付して適宜説明を省略する。
本実施形態では、第1電源回路41及び第2電源回路42の二次側の容量素子C2,C3(図2参照)の代わりに、1つのコンデンサC4が設けられている。プリチャージ回路43は、第2電源回路42の一次側の容量素子C1を充電する。すなわち、本実施形態では、第1電源回路41と第2電源回路42とで、一次側の容量素子C0,C1(図2参照)のみを個別に設け、これら一次側の容量素子C0,C1間で、プリチャージ回路43が電力を融通してもよい。
この場合においても、プリチャージ回路43は、第1電源回路41及び第2電源回路42の一方の回路からの電力にて、他方の回路に含まれる容量素子を充電すればよい。つまり、プリチャージ回路43は、第1電源回路41からの電力にて、第2電源回路42に含まれる容量素子C1を充電するのみならず、第2電源回路42からの電力にて、第1電源回路41に含まれる容量素子C0を充電してもよい。
また、第1電源回路41及び第2電源回路42間において、プリチャージ回路43が双方向にプリチャージ用の電流を流してもよい。
実施形態2で説明した構成(変形例を含む)は、実施形態1で説明した種々の構成(変形例を含む)と適宜組み合わせて採用可能である。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る負荷制御装置(1,1A,1B)は、スイッチ部(2)と、第1電源回路(41)と、第2電源回路(42)と、内部回路(3)と、プリチャージ回路(43)と、を備える。スイッチ部(2)は、電源(11)と負荷(12)との間に挿入される。第1電源回路(41)は、スイッチ部(2)の両端に印加される電圧から電力を生成する。第2電源回路(42)は、スイッチ部(2)の両端に印加される電圧から電力を生成する。内部回路(3)は、第1電源回路(41)又は第2電源回路(42)から電力が供給される。プリチャージ回路(43)は、第1電源回路(41)及び第2電源回路(42)の一方の回路からの電力にて、他方の回路に含まれる容量素子(C0〜C3)を充電する。
この態様によれば、プリチャージ回路(43)が、第1電源回路(41)及び第2電源回路(42)の一方から他方へ電力を融通することで、内部回路(3)への電力の供給開始時に容量素子(C0〜C3)の充電に掛かる時間を短縮できる。したがって、少なくとも内部回路(3)への電力の供給元を、第1電源回路(41)及び第2電源回路(42)の一方から他方へ切り替えるに際して、その切り替えをスムーズに実現しやすくなる。結果的に、第1電源回路(41)及び第2電源回路(42)の切り替えに際して、電源(11)から負荷(12)へ供給される電力が変動することを抑制しやすくなり、負荷(12)への電力供給が安定しやすい、という利点がある。
第2の態様に係る負荷制御装置(1,1A,1B)では、第1の態様において、スイッチ部(2)の動作状態は、電源(11)から負荷(12)への電力の供給を遮断する遮断状態と、電源(11)から負荷(12)への電力の供給を行う導通状態と、を含む。遮断状態では、第1電源回路(41)から内部回路(3)に電力が供給される。導通状態では、第2電源回路(42)から内部回路(3)に電力が供給される。プリチャージ回路(43)は、第1電源回路(41)からの電力にて第2電源回路(42)に含まれる容量素子(C1,C3)を充電する。
この態様によれば、遮断状態から導通状態への切り替えに際して、導通状態で使用される第2電源回路(42)の容量素子(C1,C3)を予め充電でき、スムーズに第1電源回路(41)から第2電源回路(42)への切り替えをスムーズに実現しやすい。
第3の態様に係る負荷制御装置(1,1A,1B)は、第2の態様において、第1電源回路(41)から内部回路(3)への電力の供給開始時には、プリチャージ回路(43)が容量素子(C1,C3)を充電する。
この態様によれば、遮断状態から導通状態への切り替えに際して、導通状態で使用される第2電源回路(42)の容量素子(C1,C3)を予め充電でき、スムーズに第1電源回路(41)から第2電源回路(42)への切り替えをスムーズに実現しやすい。
第4の態様に係る負荷制御装置(1,1A,1B)では、第2又は3の態様において、第1電源回路(41)は、容量素子(C3)である第2容量素子(C3)とは別の第1容量素子(C2)と、第1充電経路と、第2充電経路と、を有する。第1充電経路は、第1容量素子(C2)を充電するための経路である。第2充電経路は、第1容量素子(C2)を充電するための経路であって第1充電経路よりも低インピーダンスである。第1電源回路(41)から内部回路(3)への電力の供給開始時には、第2充電経路にて第1容量素子(C2)を充電する。
この態様によれば、第1電源回路(41)から内部回路(3)への電力の供給開始に際しては、第2充電経路にて第1容量素子(C2)を急速に充電することができ、第1電源回路(41)の出力を早期に安定させることができる。
第5の態様に係る負荷制御装置(1,1A,1B)では、第2〜4のいずれかの態様において、第1電源回路(41)は、容量素子である第2容量素子(C3)とは別の第1容量素子(C2)を有する。プリチャージ回路(43)は、第1電源回路(41)からの電力にて第2容量素子(C3)を充電し、かつ第2電源回路(42)からの電力にて第1容量素子(C2)を充電する。
この態様によれば、プリチャージ回路(43)は、第1電源回路(41)と第2電源回路(42)との間で、双方向に電力を融通できる。
第6の態様に係る負荷制御装置(1,1A,1B)では、第1〜5のいずれかの態様において、第1電源回路(41)及び第2電源回路(42)は、それぞれの出力段にコンデンサ(C2,C3)を有する。容量素子(C2,C3)は、第1電源回路(41)及び第2電源回路(42)のいずれかのコンデンサ(C2,C3)である。
この態様によれば、第1電源回路(41)及び第2電源回路(42)は、それぞれの出力段に個別にコンデンサ(C2,C3)を有するので、これらコンデンサ(C2,C3)の大型化を回避しやすい。
第7の態様に係る負荷制御装置(1,1A,1B)では、第1〜6のいずれかの態様において、内部回路(3)は、消費電力が変動する回路である。容量素子(C0〜C3)は、第1電源回路(41)及び第2電源回路(42)の入力への消費電力の変動の影響を緩和する。
この態様によれば、内部回路(3)の消費電力の変動が、電源(11)から負荷(12)へ供給される電力の変動につながりにくく、負荷(12)への電力供給が安定しやすい、という利点がある。
第2〜7の態様に係る構成については、負荷制御装置(1,1A,1B)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。