JP2021040095A - エッチング液 - Google Patents
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Abstract
【課題】一態様において、エッチング液の循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制できるエッチング液を提供する。【解決手段】本開示は、一態様において、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を有する基板からシリコン窒化膜を除去する工程用のエッチング液であって、高温安定化剤(成分A)と、リン酸(成分B)と、水とを含有し又は配合してなり、成分Aは、成分A1及び成分A2から選ばれる少なくとも1種であり、成分A1は、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基で置換された複素芳香環骨格を含む、オキシド化合物又はその塩であり、成分A2は、ヒドロキシ基及びケト基を有する不飽和環状化合物である、エッチング液に関する。【選択図】なし
Description
本開示は、シリコン窒化膜用のエッチング液、これを用いたエッチング方法及び半導体基板の製造方法に関する。
半導体装置の製造過程において、シリコン窒化膜(以下、「SiN膜」ともいう)とシリコン酸化膜(以下、「SiO2膜」ともいう)とを有する基板から、前記SiN膜を選択的にエッチングして除去する工程が行われている。従来、SiN膜のエッチング方法としては、150度以上の高温下でリン酸を使用してエッチングする方法が知られている。
例えば、特許文献1には、リン酸、水及び炭素数2以上6以下のアルコールを含む窒化ケイ素用エッチング液が提案されている。
特許文献2には、リン酸と、リン酸の第1酸解離指数pKaよりも小さい酸解離指数を有する酸と、ケイ酸化合物と、水とを含み、リン酸の質量M1と酸の質量M2との比M1/M2は0.82以上725以下であるエッチング液が提案されている。
特許文献3には、3〜20重量%のフッ酸と、5〜40重量%の硝酸と、10〜60重量%の酢酸と、2〜20重量%の促進剤と、残部の水と、を含み、前記促進剤はアンモニウム系化合物及びスルホン酸系化合物から選択されるいずれか一つまたは二つ以上である、半導体基板用のエッチング液が提案されている。
特許文献4には、水とリン酸を有するリン酸水溶液と、該リン酸水溶液に可溶な有機化合物の塩と、を含有するエッチング液が提案されている。
特許文献2には、リン酸と、リン酸の第1酸解離指数pKaよりも小さい酸解離指数を有する酸と、ケイ酸化合物と、水とを含み、リン酸の質量M1と酸の質量M2との比M1/M2は0.82以上725以下であるエッチング液が提案されている。
特許文献3には、3〜20重量%のフッ酸と、5〜40重量%の硝酸と、10〜60重量%の酢酸と、2〜20重量%の促進剤と、残部の水と、を含み、前記促進剤はアンモニウム系化合物及びスルホン酸系化合物から選択されるいずれか一つまたは二つ以上である、半導体基板用のエッチング液が提案されている。
特許文献4には、水とリン酸を有するリン酸水溶液と、該リン酸水溶液に可溶な有機化合物の塩と、を含有するエッチング液が提案されている。
150℃以上の高温下でリン酸を使用する従来のエッチング方法では、エッチング液中にケイ酸由来の析出物が発生しやすく、エッチング液の循環使用において析出物がフィルタを閉塞することがある。
そこで、本開示は、一態様において、エッチング液の循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制できるエッチング液、これを用いたエッチング方法及び半導体基板の製造方法を提供する。
本開示は、一態様において、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を有する基板からシリコン窒化膜を除去する工程用のエッチング液であって、高温安定化剤(成分A)と、リン酸(成分B)と、水とを含有し又は配合してなり、成分Aは、成分A1及び成分A2から選ばれる少なくとも1種であり、成分A1は、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基で置換された複素芳香環骨格を含む、オキシド化合物又はその塩であり、成分A2は、ヒドロキシ基及びケト基を有する不飽和環状化合物である、エッチング液に関する。
本開示は、その他の態様において、本開示のエッチング液を用いて、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を有する基板からシリコン窒化膜を除去する工程を含む、エッチング方法に関する。
本開示は、その他の態様において、本開示のエッチング液を用いて、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を有する基板からシリコン窒化膜を除去する工程を含む、半導体基板の製造方法に関する。
本開示によれば、一態様において、エッチング液の循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制できるエッチング液を提供できる。
本開示は、特定の高温安定化剤をエッチング液に配合することで、エッチング工程中に生成されるケイ酸由来の析出物の凝集を抑制でき、110℃以上の高温下でエッチング液を循環使用する際にフィルタの閉塞を抑制できるという知見に基づく。
本開示は、一又は複数の実施形態において、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を有する基板からシリコン窒化膜を除去する工程用のエッチング液であって、高温安定化剤(成分A)と、リン酸(成分B)と、水とを含有し又は配合してなり、成分Aは、成分A1及び成分A2から選ばれる少なくとも1種であり、成分A1は、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基で置換された複素芳香環骨格を含む、オキシド化合物又はその塩であり、成分A2は、ヒドロキシ基及びケト基を有する不飽和環状化合物である、エッチング液(以下、「本開示のエッチング液」ともいう)に関する。本開示のエッチング液によれば、一又は複数の実施形態において、エッチング液の循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制できる。
本開示の効果発現のメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のように推察される。
本開示では、一又は複数の実施形態において、エッチング液に配合された特定の高温安定化剤が、エッチング工程中に生成されるケイ酸由来の析出物(例えば、シリカ)の表面に水素結合することで、該ケイ酸由来の析出物の凝集が抑制され、エッチング液の循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制できると考えられる。
但し、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
本開示では、一又は複数の実施形態において、エッチング液に配合された特定の高温安定化剤が、エッチング工程中に生成されるケイ酸由来の析出物(例えば、シリカ)の表面に水素結合することで、該ケイ酸由来の析出物の凝集が抑制され、エッチング液の循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制できると考えられる。
但し、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
本開示において、「高温安定化剤と、リン酸と、水とを配合してなる」とは、高温安定化剤、リン酸、及び水だけでなく、必要に応じて任意成分を配合できることを意味する。
また、本開示において、エッチング液における各成分の配合量は、エッチング液中の各成分の含有量として読み替えることができる。
また、本開示において、エッチング液における各成分の配合量は、エッチング液中の各成分の含有量として読み替えることができる。
[高温安定化剤(成分A)]
本開示のエッチング液は、一又は複数の実施形態において、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、高温安定化剤(以下、「成分A」ともいう)が配合されている。成分Aは、一又は複数の実施形態において、後述する成分A1及び成分A2から選ばれる少なくとも1種である。成分Aは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示のエッチング液は、一又は複数の実施形態において、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、高温安定化剤(以下、「成分A」ともいう)が配合されている。成分Aは、一又は複数の実施形態において、後述する成分A1及び成分A2から選ばれる少なくとも1種である。成分Aは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
(成分A1)
成分A1は、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基で置換された複素芳香環骨格を含む、オキシド化合物又はその塩である。成分A1は、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基で置換された含窒素複素芳香環骨格を含む、N−オキシド化合物又はその塩であることが好ましい。上記の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機アミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
本開示において、N−オキシド化合物とは、一又は複数の実施形態において、N−オキシド基(N→O基)を有する化合物を示す。N−オキシド化合物は、N→O基(「N+−O-」と表すこともある)を1又は2以上有することができ、入手容易性の点からは、N→O基の数は1つが好ましい。
本開示において、含窒素複素芳香環骨格に含まれる少なくとも1つの窒素原子がN−オキシドを形成する。含窒素複素芳香環としては、一又は複数の実施形態において、単環又は2環の縮合環が挙げられる。含窒素複素芳香環骨格の炭素原子数としては、一又は複数の実施形態において、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、3以上7以下が好ましい。含窒素複素芳香環の窒素原子数としては、一又は複数の実施形態において、1〜3個が挙げられ、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、1又は2個が好ましく、1個がより好ましい。含窒素複素芳香環骨格としては、一又は複数の実施形態において、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、ピリジンN−オキシド骨格等が挙げられる。本開示において、ピリジンN−オキシド骨格とは、ピリジン環に含まれる窒素原子がN−オキシドを形成している構成を示す。成分A1に含まれる複素芳香環骨格は、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、含窒素複素芳香環に含まれる1つの窒素原子がN−オキシド基を形成し、含窒素複素芳香環を構成する少なくとも1つの炭素原子がヒドロキシ基を有することが好ましい。
成分A1としては、一又は複数の実施形態において、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、ピリジン環の少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基で置換されたピリジン環を有するN−オキシド化合物が好ましい。成分A1の具体例としては、2−ヒドロキシピリジンN−オキシド、3−ヒドロキシピリジンN−オキシド等が挙げられる。
成分A1は、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基で置換された複素芳香環骨格を含む、オキシド化合物又はその塩である。成分A1は、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基で置換された含窒素複素芳香環骨格を含む、N−オキシド化合物又はその塩であることが好ましい。上記の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機アミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
本開示において、N−オキシド化合物とは、一又は複数の実施形態において、N−オキシド基(N→O基)を有する化合物を示す。N−オキシド化合物は、N→O基(「N+−O-」と表すこともある)を1又は2以上有することができ、入手容易性の点からは、N→O基の数は1つが好ましい。
本開示において、含窒素複素芳香環骨格に含まれる少なくとも1つの窒素原子がN−オキシドを形成する。含窒素複素芳香環としては、一又は複数の実施形態において、単環又は2環の縮合環が挙げられる。含窒素複素芳香環骨格の炭素原子数としては、一又は複数の実施形態において、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、3以上7以下が好ましい。含窒素複素芳香環の窒素原子数としては、一又は複数の実施形態において、1〜3個が挙げられ、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、1又は2個が好ましく、1個がより好ましい。含窒素複素芳香環骨格としては、一又は複数の実施形態において、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、ピリジンN−オキシド骨格等が挙げられる。本開示において、ピリジンN−オキシド骨格とは、ピリジン環に含まれる窒素原子がN−オキシドを形成している構成を示す。成分A1に含まれる複素芳香環骨格は、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、含窒素複素芳香環に含まれる1つの窒素原子がN−オキシド基を形成し、含窒素複素芳香環を構成する少なくとも1つの炭素原子がヒドロキシ基を有することが好ましい。
成分A1としては、一又は複数の実施形態において、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、ピリジン環の少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基で置換されたピリジン環を有するN−オキシド化合物が好ましい。成分A1の具体例としては、2−ヒドロキシピリジンN−オキシド、3−ヒドロキシピリジンN−オキシド等が挙げられる。
(成分A2)
成分A2は、ヒドロキシ基及びケト基を有する不飽和環状化合物である。
本開示において、ヒドロキシ基及びケト基を有する不飽和環状化合物とは、環を構成する少なくとも1つの炭素原子がケト基を有し、かつ、その他の炭素原子がヒドロキシ基を有する化合物を示す。
本開示において、不飽和環状化合物に含まれる不飽和環としては、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、不飽和炭素環、不飽和複素環等が好ましい。同様の観点から、不飽和炭素環の炭素数は4以上8以下が好ましく、不飽和複素環の炭素数は3以上7以下が好ましい。
成分A2としては、一又は複数の実施形態において、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、ヒドロキシ基及びケト基を有する不飽和炭素環を含む化合物、及び、ヒドロキシ基及びケト基を有する不飽和複素環を含む化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。成分A2の具体例としては、トロポロン、マルトール等が挙げられる。
成分A2は、ヒドロキシ基及びケト基を有する不飽和環状化合物である。
本開示において、ヒドロキシ基及びケト基を有する不飽和環状化合物とは、環を構成する少なくとも1つの炭素原子がケト基を有し、かつ、その他の炭素原子がヒドロキシ基を有する化合物を示す。
本開示において、不飽和環状化合物に含まれる不飽和環としては、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、不飽和炭素環、不飽和複素環等が好ましい。同様の観点から、不飽和炭素環の炭素数は4以上8以下が好ましく、不飽和複素環の炭素数は3以上7以下が好ましい。
成分A2としては、一又は複数の実施形態において、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、ヒドロキシ基及びケト基を有する不飽和炭素環を含む化合物、及び、ヒドロキシ基及びケト基を有する不飽和複素環を含む化合物から選ばれる少なくとも1種が好ましい。成分A2の具体例としては、トロポロン、マルトール等が挙げられる。
成分A1及び成分A2は、一又は複数の実施形態において、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、前記ヒドロキシ基を、オキシド基又はケト基のメタ位又はオルト位に有することが好ましい。
本開示のエッチング液における成分Aの配合量は、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.003質量%以上がより好ましく、0.005質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。より具体的には、成分Aの配合量は、0.001質量%以上1質量%以下が好ましく、0.003質量%以上0.5質量%以下がより好ましく、0.005質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい。成分Aが2種以上の組合せである場合、成分Aの配合量はそれらの合計配合量である。
[リン酸(成分B)]
本開示のエッチング液は、一又は複数の実施形態において、リン酸(以下、「成分B」ともいう)が配合されている。本開示のエッチング液における成分Bの配合量は、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング速度の比(以下、「SiN/SiO2選択速度比」ともいう)の向上の観点から、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましい。より具体的には、本開示のエッチング液中における成分Bの配合量は、50質量%以上95質量%以下が好ましく、70質量%以上90質量%以下がより好ましく、80質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
本開示のエッチング液は、一又は複数の実施形態において、リン酸(以下、「成分B」ともいう)が配合されている。本開示のエッチング液における成分Bの配合量は、シリコン酸化膜に対するシリコン窒化膜のエッチング速度の比(以下、「SiN/SiO2選択速度比」ともいう)の向上の観点から、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましい。より具体的には、本開示のエッチング液中における成分Bの配合量は、50質量%以上95質量%以下が好ましく、70質量%以上90質量%以下がより好ましく、80質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
[水]
本開示のエッチング液は、一又は複数の実施形態において、水が配合されている。本開示のエッチング液に含まれる水としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が挙げられる。
本開示のエッチング液は、一又は複数の実施形態において、水が配合されている。本開示のエッチング液に含まれる水としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等が挙げられる。
[珪素化合物を含む溶液]
本開示のエッチング液は、一態様において、SiN/SiO2選択速度比の向上、及び循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、珪素化合物を含む溶液をさらに含有する又は配合してなるものとすることができる。珪素化合物としては、珪素を含む無機珪素化合物、又は、珪素を含む有機珪素化合物が挙げられる。無機珪素化合物としては、例えば、シリカ、無機シラン化合物等が挙げられる。有機珪素化合物としては、例えば、有機シラン化合物等が挙げられる。SiN/SiO2選択速度比の向上、及び循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、珪素化合物を含む溶液は、シリカ及びアルカリを含む溶液が好ましい。したがって、本開示のエッチング液は、一又は複数の実施形態において、シリカ及びアルカリを含む溶液(以下、「成分C」ともいう)をさらに配合してなるものであってもよい。成分Cを配合したエッチング液を用いることで、シリコン酸化膜の溶解が抑制され、SiN/SiO2選択速度比が向上すると考えられる。
本開示のエッチング液は、一態様において、SiN/SiO2選択速度比の向上、及び循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、珪素化合物を含む溶液をさらに含有する又は配合してなるものとすることができる。珪素化合物としては、珪素を含む無機珪素化合物、又は、珪素を含む有機珪素化合物が挙げられる。無機珪素化合物としては、例えば、シリカ、無機シラン化合物等が挙げられる。有機珪素化合物としては、例えば、有機シラン化合物等が挙げられる。SiN/SiO2選択速度比の向上、及び循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、珪素化合物を含む溶液は、シリカ及びアルカリを含む溶液が好ましい。したがって、本開示のエッチング液は、一又は複数の実施形態において、シリカ及びアルカリを含む溶液(以下、「成分C」ともいう)をさらに配合してなるものであってもよい。成分Cを配合したエッチング液を用いることで、シリコン酸化膜の溶解が抑制され、SiN/SiO2選択速度比が向上すると考えられる。
成分Cは、SiN/SiO2選択速度比の向上の観点から、シリカの少なくとも一部をアルカリで溶解したシリカ溶解液(以下、「本開示のシリカ溶解液」ともいう)であることが好ましい。本開示のシリカ溶解液は、一又は複数の実施形態において、シリカが各種粒径測定機や外観で検出限界以下まで溶解しているシリカ溶解液である。なお、後述するように、シリカ溶解液は、未溶解のシリカを含んでいてもよい。本開示のシリカ溶解液は、例えば、シリカとアルカリとを混合し、シリカを溶解させることにより得られる。シリカの溶解方法としては、例えば、加温処理、加圧処理、又は機械的粉砕処理等が挙げられ、これらを組み合わせて用いてもよい。加温条件としては、例えば、60〜100℃と設定することができる。加圧条件としては、例えば、0〜3MPaと設定することができる。機械的粉砕は、例えば、ボールミル等を用いて行うことができる。また、シリカをアルカリに溶解させる際に、超音波振動が付与されていてもよい。アルカリと混合される前のシリカの状態は、特に限定されなくてもよく、例えば、粉末状、ゾル状、又はゲル状が挙げられる。
<シリカ>
本開示のシリカ溶解液の調製に用いられるシリカ(溶解前のシリカ)としては、例えば、結晶性シリカ、非晶質シリカ、フュームドシリカ、湿式シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられ、SiN/SiO2選択速度比の向上の観点から、フュームドシリカ及びコロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカとしては、例えば、珪酸アルカリ水溶液を原料とした粒子成長による方法(以下、「水ガラス法」ともいう)、及び、アルコキシシランの加水分解物の縮合による方法(以下、「ゾルゲル法」ともいう)により得たものが挙げられる。水ガラス法及びゾルゲル法により得られるシリカ粒子は、従来から公知の方法によって製造できる。シリカは、1種又は2種以上を併用して用いることができる。
本開示のシリカ溶解液の調製に用いられるシリカ(溶解前のシリカ)としては、例えば、結晶性シリカ、非晶質シリカ、フュームドシリカ、湿式シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられ、SiN/SiO2選択速度比の向上の観点から、フュームドシリカ及びコロイダルシリカが好ましい。コロイダルシリカとしては、例えば、珪酸アルカリ水溶液を原料とした粒子成長による方法(以下、「水ガラス法」ともいう)、及び、アルコキシシランの加水分解物の縮合による方法(以下、「ゾルゲル法」ともいう)により得たものが挙げられる。水ガラス法及びゾルゲル法により得られるシリカ粒子は、従来から公知の方法によって製造できる。シリカは、1種又は2種以上を併用して用いることができる。
<アルカリ>
本開示のシリカ溶解液の調製に用いられるアルカリとしては、一又は複数の実施形態において、有機アルカリ又は無機アルカリが挙げられる。有機アルカリとしては、シリカを溶解できるものであればよく、例えば、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。第四級アンモニウム塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、及びトリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド(ETMAH)から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、SiN/SiO2選択速度比の向上の観点から、TMAHが好ましい。無機アルカリとしては、シリカを溶解できるものであればよく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
一又は複数の実施形態において、本開示のシリカ溶解液の調製に用いられるアルカリとしては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド(ETMAH)、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本開示のシリカ溶解液の調製に用いられるアルカリとしては、一又は複数の実施形態において、有機アルカリ又は無機アルカリが挙げられる。有機アルカリとしては、シリカを溶解できるものであればよく、例えば、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド等の第四級アンモニウム塩が挙げられる。第四級アンモニウム塩の具体例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(TEAH)、及びトリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド(ETMAH)から選ばれる少なくとも1種が挙げられ、SiN/SiO2選択速度比の向上の観点から、TMAHが好ましい。無機アルカリとしては、シリカを溶解できるものであればよく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
一又は複数の実施形態において、本開示のシリカ溶解液の調製に用いられるアルカリとしては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド(ETMAH)、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムから選ばれる少なくとも1種が挙げられる。
本開示のシリカ溶解液には、一又は複数の実施形態において、アルカリに溶解しなかったシリカが含まれていてもよい。すなわち、本開示のエッチング液は、一又は複数の実施形態において、溶解していないシリカを含んでいてもよい。溶解していないシリカは、エッチング液の循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、微小シリカであることが好ましい。微小シリカの平均粒子径としては、例えば、0.1nm以上1000nm以下が挙げられる。本開示において、シリカの平均粒子径は、動的光散乱法において検出角173°で測定される散乱強度分布に基づく平均粒径である。具体的には実施例に記載の方法により測定できる。
本開示のエッチング液に成分Cが配合されている場合、SiN/SiO2選択速度比の向上の観点から、本開示のエッチング液における溶解したシリカの含有量が0.0005質量%以上1質量%以下となるよう配合されることが好ましい。本開示のエッチング液における溶解したシリカの含有量(以下、「シリカ溶解量」ともいう)は、SiN/SiO2選択速度比の向上の観点から、0.0005質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。より具体的には、本開示のエッチング液におけるシリカ溶解量は、0.0005質量%以上1質量%以下が好ましく、0.001質量%以上0.5質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい。
本開示のエッチング液におけるシリカの含有量(溶解したシリカ及び未溶解のシリカの合計含有量)は、SiN/SiO2選択速度比の向上の観点から、0.0005質量%以上が好ましく、0.001質量%以上がより好ましく、0.01質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましい。より具体的には、本開示のエッチング液におけるシリカの含有量は、0.0005質量%以上1質量%以下が好ましく、0.001質量%以上0.5質量%以下がより好ましく、0.01質量%以上0.1質量%以下が更に好ましい。
[その他の成分]
本開示のエッチング液は、本開示の効果が損なわれない範囲で、その他の成分をさらに配合してなるものであってもよい。その他の成分としては、成分B以外の酸、ポリマー(例えば、リン酸系ポリマー)、キレート剤、界面活性剤、可溶化剤、防腐剤、防錆剤、殺菌剤、抗菌剤、酸化防止剤等が挙げられる。
本開示のエッチング液は、本開示の効果が損なわれない範囲で、その他の成分をさらに配合してなるものであってもよい。その他の成分としては、成分B以外の酸、ポリマー(例えば、リン酸系ポリマー)、キレート剤、界面活性剤、可溶化剤、防腐剤、防錆剤、殺菌剤、抗菌剤、酸化防止剤等が挙げられる。
[エッチング液の製造方法]
本開示のエッチング液は、一又は複数の実施形態において、成分A、成分B、水、並びに、所望により上述した任意成分(成分C、その他の成分)を公知の方法で配合することにより得られる。したがって、本開示は、その他の態様において、少なくとも成分A、成分B及び水を配合する工程を含む、エッチング液の製造方法(以下、「本開示のエッチング液製造方法」ともいう)に関する。本開示において「少なくとも成分A、成分B及び水を配合する」とは、一又は複数の実施形態において、成分A、成分B、水、並びに必要に応じて上述した任意成分(成分C、その他の成分)を同時に又は順に混合することを含む。混合する順序は、特に限定されなくてもよい。前記配合は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の混合器を用いて行うことができる。
本開示のエッチング液は、一又は複数の実施形態において、成分A、成分B、水、並びに、所望により上述した任意成分(成分C、その他の成分)を公知の方法で配合することにより得られる。したがって、本開示は、その他の態様において、少なくとも成分A、成分B及び水を配合する工程を含む、エッチング液の製造方法(以下、「本開示のエッチング液製造方法」ともいう)に関する。本開示において「少なくとも成分A、成分B及び水を配合する」とは、一又は複数の実施形態において、成分A、成分B、水、並びに必要に応じて上述した任意成分(成分C、その他の成分)を同時に又は順に混合することを含む。混合する順序は、特に限定されなくてもよい。前記配合は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の混合器を用いて行うことができる。
本開示のエッチング液製造方法の配合工程において、成分Cを配合する場合、SiN/SiO2選択速度比の向上の観点から、成分Cは、本開示のエッチング液における溶解したシリカの含有量が上述した範囲内となるように配合されることが好ましい。
本開示のエッチング液のpHは、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、0.3以上が更に好ましく、そして、2以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1以下が更に好ましい。より具体的には、pHは、0.1以上2以下が好ましく、0.2以上1.5以下がより好ましく、0.3以上1以下が更に好ましい。本開示において、エッチング液のpHは、25℃における値であって、pHメータを用いて測定でき、具体的には、実施例に記載の方法で測定できる。
本開示のエッチング液の孔径0.2μmのフィルタ通液量は、循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制する観点から、10g/3分以上が好ましく、15g/3分以上がより好ましく、20g/3分以上が更に好ましい。本開示において、孔径0.2μmのフィルタ通液量は、実施例に記載の方法に算出できる。
本開示のエッチング液は、その安定性が損なわれない範囲で濃縮された状態で保存および供給されてもよい。この場合、製造・輸送コストを低くできる点で好ましい。そしてこの濃縮液は、必要に応じて水やリン酸水溶液等を用いて適宜希釈してエッチング工程で使用することができる。希釈割合としては、例えば、5〜100倍が挙げられる。
[キット]
本開示は、その他の態様において、本開示のエッチング液を製造するためのキット(以下、「本開示のキット」ともいう)に関する。本開示のキットの一実施形態としては、例えば、成分Aを含む溶液(第1液)と、成分Bを含む溶液(第2液)とを相互に混合されない状態で含み、これらが使用時に混合されるキット(2液型エッチング液)が挙げられる。該キットは、成分C(第3液)をさらに含むもの(3液型エッチング液)であってもよいし、第1液又は第2液のいずれかに成分Cが配合されていてもよい。第1液と第2液とが混合された後、必要に応じて水又はリン酸水溶液を用いて希釈されてもよい。第1液又は第2液には、エッチング液の調製に使用する水の全量又は一部が含まれていてもよい。第2液に含まれるリン酸は、エッチング液の調製に使用するリン酸の全量でもよいし、一部でもよい。第1液及び第2液にはそれぞれ必要に応じて、上述した任意成分(成分C、その他の成分)が含まれていてもよい。本開示のキットによれば、一又は複数の実施形態において、エッチング液の循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制可能なエッチング液が得られうる。
本開示は、その他の態様において、本開示のエッチング液を製造するためのキット(以下、「本開示のキット」ともいう)に関する。本開示のキットの一実施形態としては、例えば、成分Aを含む溶液(第1液)と、成分Bを含む溶液(第2液)とを相互に混合されない状態で含み、これらが使用時に混合されるキット(2液型エッチング液)が挙げられる。該キットは、成分C(第3液)をさらに含むもの(3液型エッチング液)であってもよいし、第1液又は第2液のいずれかに成分Cが配合されていてもよい。第1液と第2液とが混合された後、必要に応じて水又はリン酸水溶液を用いて希釈されてもよい。第1液又は第2液には、エッチング液の調製に使用する水の全量又は一部が含まれていてもよい。第2液に含まれるリン酸は、エッチング液の調製に使用するリン酸の全量でもよいし、一部でもよい。第1液及び第2液にはそれぞれ必要に応じて、上述した任意成分(成分C、その他の成分)が含まれていてもよい。本開示のキットによれば、一又は複数の実施形態において、エッチング液の循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制可能なエッチング液が得られうる。
[被処理基板]
本開示のエッチング液を用いてエッチング処理される被処理基板は、一又は複数の実施形態において、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を有する基板である。基板としては、例えば、半導体、フラットパネルディスプレイに使用される基板等が挙げられる。シリコン窒化膜としては、例えば、低圧化学気相成長法(LPCVD法)、プラズマ化学気相成長法(PECVD法)、原子層堆積法(ALD法)等により形成された窒化膜が挙げられる。シリコン酸化膜としては、例えば、熱酸化法、LPCVD法、PECVD法、ALD法等により形成された酸化膜が挙げられる。
本開示のエッチング液を用いてエッチング処理される被処理基板は、一又は複数の実施形態において、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を有する基板である。基板としては、例えば、半導体、フラットパネルディスプレイに使用される基板等が挙げられる。シリコン窒化膜としては、例えば、低圧化学気相成長法(LPCVD法)、プラズマ化学気相成長法(PECVD法)、原子層堆積法(ALD法)等により形成された窒化膜が挙げられる。シリコン酸化膜としては、例えば、熱酸化法、LPCVD法、PECVD法、ALD法等により形成された酸化膜が挙げられる。
[半導体基板の製造方法]
本開示は、一態様において、本開示のエッチング液を用いて、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を有する基板からシリコン窒化膜を除去する工程(以下、「本開示のエッチング工程」ともいう)を含む、半導体基板の製造方法(以下、「本開示の半導体基板製造方法」ともいう)に関する。本開示の半導体基板製造方法によれば、一又は複数の実施形態において、エッチング液の循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制可能であるため、品質が向上した半導体基板を効率よく製造できるという効果が奏されうる。
本開示は、一態様において、本開示のエッチング液を用いて、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を有する基板からシリコン窒化膜を除去する工程(以下、「本開示のエッチング工程」ともいう)を含む、半導体基板の製造方法(以下、「本開示の半導体基板製造方法」ともいう)に関する。本開示の半導体基板製造方法によれば、一又は複数の実施形態において、エッチング液の循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制可能であるため、品質が向上した半導体基板を効率よく製造できるという効果が奏されうる。
本開示のエッチング工程において、エッチング処理方法としては、例えば、浸漬式エッチング、枚葉式エッチング等が挙げられる。
本開示のエッチング工程において、エッチング液のエッチング温度は、SiN/SiO2選択速度比の向上の観点から、110℃以上が好ましく、120℃以上が好ましく、140℃以上がより好ましく、150℃以上が更に好ましく、そして、250℃以下が好ましく、230℃以下がより好ましく、200℃以下が更に好ましく、180℃以下が更に好ましい。より具体的には、一又は複数の実施形態において、エッチング液のエッチング温度は、120℃以上250℃以下が好ましく、140℃以上230℃以下がより好ましく、150℃以上200℃以下が更に好ましい。その他の一又は複数の実施形態において、エッチング液のエッチング温度は、110℃以上180℃以下が好ましい。
本開示のエッチング工程において、エッチング時間は、例えば、30分以上270分以下に設定できる。
本開示のエッチング工程において、シリコン窒化膜のエッチング速度は、生産性向上の観点から、40Å/分以上が好ましく、50Å/分以上がより好ましく、60Å/分以上が更に好ましい。
本開示のエッチング工程において、シリコン酸化膜のエッチング速度は、生産性向上の観点から、1Å/分以下が好ましく、0.5Å/分以下がより好ましく、0.3Å/分以下が更に好ましい。
本開示のエッチング工程において、SiN/SiO2選択速度比は、生産性向上の観点から、150以上が好ましく、200以上がより好ましく、300以上が更に好ましい。
[エッチング方法]
本開示は、その他の態様において、本開示のエッチング液を用いて、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を有する基板からシリコン窒化膜を除去する工程(エッチング工程)を含む、エッチング方法(以下、「本開示のエッチング方法」ともいう)に関する。本開示のエッチング方法を使用することにより、一又は複数の実施形態において、エッチング液の循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制可能であるため、品質が向上した半導体基板の生産性を向上できるという効果が奏されうる。具体的なエッチングの方法及び条件は、上述した本開示の半導体基板の製造方法と同じようにすることができる。
本開示は、その他の態様において、本開示のエッチング液を用いて、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を有する基板からシリコン窒化膜を除去する工程(エッチング工程)を含む、エッチング方法(以下、「本開示のエッチング方法」ともいう)に関する。本開示のエッチング方法を使用することにより、一又は複数の実施形態において、エッチング液の循環使用におけるフィルタの閉塞を抑制可能であるため、品質が向上した半導体基板の生産性を向上できるという効果が奏されうる。具体的なエッチングの方法及び条件は、上述した本開示の半導体基板の製造方法と同じようにすることができる。
1.エッチング液の調製
(実施例1〜11)
シリカ水溶液(シリカ:表1に示すC1、C2)とアルカリ水溶液(アルカリ:表1に示すアルカリ)と水を混合し、60℃で24時間加熱することにより、シリカ溶解液を得た。そして、シリカ溶解液とリン酸水溶液と高温安定化剤(表1に示す成分A)とを配合して実施例1〜11のエッチング液(pH0.45)を得た。
(実施例12〜13)
珪酸化合物を含む溶液(珪酸化合物:表1に示すC3、C4)と、リン酸水溶液と、高温安定化剤(表1に示す成分A)とを配合して実施例12〜13のエッチング液(pH0.45)を得た。
(参考例1)
シリカ水溶液(シリカ:表1に示すC1)とアルカリ水溶液(アルカリ:TMAH)と水を混合し、60℃で24時間加熱することにより、シリカ溶解液を得た。そして、シリカ溶解液とリン酸水溶液とを配合して参考例1のエッチング液(pH0.45)を得た。
(参考例2〜6)
シリカ水溶液(シリカ:表1に示すC1)とアルカリ水溶液(アルカリ:TMAH)と水を混合し、60℃で24時間加熱することにより、シリカ溶解液を得た。そして、シリカ溶解液とリン酸水溶液と添加剤(表1に示す非成分A)とを配合して参考例2〜6のエッチング液(pH0.45)を得た。
(参考例7〜8)
珪酸化合物を含む溶液(珪酸化合物:表1に示すC3、C4)と、リン酸水溶液とを配合して参考例7〜8のエッチング液(pH0.45)を得た。
調製した実施例1〜13、参考例1〜8のエッチング液における各成分の配合量(質量%、有効分)及びシリカ溶解量(質量%)を表1に示した。
(実施例1〜11)
シリカ水溶液(シリカ:表1に示すC1、C2)とアルカリ水溶液(アルカリ:表1に示すアルカリ)と水を混合し、60℃で24時間加熱することにより、シリカ溶解液を得た。そして、シリカ溶解液とリン酸水溶液と高温安定化剤(表1に示す成分A)とを配合して実施例1〜11のエッチング液(pH0.45)を得た。
(実施例12〜13)
珪酸化合物を含む溶液(珪酸化合物:表1に示すC3、C4)と、リン酸水溶液と、高温安定化剤(表1に示す成分A)とを配合して実施例12〜13のエッチング液(pH0.45)を得た。
(参考例1)
シリカ水溶液(シリカ:表1に示すC1)とアルカリ水溶液(アルカリ:TMAH)と水を混合し、60℃で24時間加熱することにより、シリカ溶解液を得た。そして、シリカ溶解液とリン酸水溶液とを配合して参考例1のエッチング液(pH0.45)を得た。
(参考例2〜6)
シリカ水溶液(シリカ:表1に示すC1)とアルカリ水溶液(アルカリ:TMAH)と水を混合し、60℃で24時間加熱することにより、シリカ溶解液を得た。そして、シリカ溶解液とリン酸水溶液と添加剤(表1に示す非成分A)とを配合して参考例2〜6のエッチング液(pH0.45)を得た。
(参考例7〜8)
珪酸化合物を含む溶液(珪酸化合物:表1に示すC3、C4)と、リン酸水溶液とを配合して参考例7〜8のエッチング液(pH0.45)を得た。
調製した実施例1〜13、参考例1〜8のエッチング液における各成分の配合量(質量%、有効分)及びシリカ溶解量(質量%)を表1に示した。
エッチング液の調製には、下記成分を用いた。
(成分A)
トロポロン[富士フィルム和光純薬(株)社製]
マルトール[富士フィルム和光純薬(株)社製]
2−ヒドロキシピリジンN−オキシド[富士フィルム和光純薬(株)社製]
(非成分A)
カテコール[富士フィルム和光純薬(株)社製]
アセトイン[富士フィルム和光純薬(株)社製]
1−ブタノール[富士フィルム和光純薬(株)社製]
シクロペンタノール[富士フィルム和光純薬(株)社製]
(成分B)
リン酸水溶液[リン酸濃度85%、燐化学工業社製]
(珪素化合物)
C1:フュームドシリカ[平均粒径5nm、トクヤマ社製の「QS30」]
C2:ゾルゲル法コロイダルシリカ[平均粒径6nm、扶桑化学社製の「PL−06」]
C3:メチルシリケートオリゴマー[三菱ケミカル(株)社製]
C4:3−[[3−アミノプロピル(ジメチル)シリル]オキシ−ジメチルシリル]]プロパン−1−アミン[富士フィルム和光純薬(株)社製]
(アルカリ)
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド[多摩化学工業(株)社製]
ETMAH:トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド[四日市合成(株)社製]
NaOH:水酸化ナトリウム[富士フィルム和光純薬(株)社製]
KOH:水酸化カリウム[富士フィルム和光純薬(株)社製]
(成分A)
トロポロン[富士フィルム和光純薬(株)社製]
マルトール[富士フィルム和光純薬(株)社製]
2−ヒドロキシピリジンN−オキシド[富士フィルム和光純薬(株)社製]
(非成分A)
カテコール[富士フィルム和光純薬(株)社製]
アセトイン[富士フィルム和光純薬(株)社製]
1−ブタノール[富士フィルム和光純薬(株)社製]
シクロペンタノール[富士フィルム和光純薬(株)社製]
(成分B)
リン酸水溶液[リン酸濃度85%、燐化学工業社製]
(珪素化合物)
C1:フュームドシリカ[平均粒径5nm、トクヤマ社製の「QS30」]
C2:ゾルゲル法コロイダルシリカ[平均粒径6nm、扶桑化学社製の「PL−06」]
C3:メチルシリケートオリゴマー[三菱ケミカル(株)社製]
C4:3−[[3−アミノプロピル(ジメチル)シリル]オキシ−ジメチルシリル]]プロパン−1−アミン[富士フィルム和光純薬(株)社製]
(アルカリ)
TMAH:テトラメチルアンモニウムヒドロキシド[多摩化学工業(株)社製]
ETMAH:トリメチルエチルアンモニウムヒドロキシド[四日市合成(株)社製]
NaOH:水酸化ナトリウム[富士フィルム和光純薬(株)社製]
KOH:水酸化カリウム[富士フィルム和光純薬(株)社製]
2.各パラメータの測定方法
(1)エッチング液のpH
エッチング液の25℃におけるpH値は、pHメータ(東亜ディーケーケー社製)を用いて測定した値であり、pHメータの電極をエッチング液へ浸漬して1分後の数値である。
(1)エッチング液のpH
エッチング液の25℃におけるpH値は、pHメータ(東亜ディーケーケー社製)を用いて測定した値であり、pHメータの電極をエッチング液へ浸漬して1分後の数値である。
(2)シリカの平均粒径
シリカをイオン交換水で希釈し、シリカ粒子を1質量%含有する分散液を作製した。そして、該分散液を下記測定装置内に投入し、シリカ粒子の体積粒度分布を得た。得られた体積粒度分布の累積体積頻度が50%となる粒径(Z-average値)を二次粒子径とした。
測定機器 :マルバーン ゼータサイザー ナノ「Nano S」
測定条件 :サンプル量 1.5mL
:レーザー He−Ne、3.0mW、633nm
:散乱光検出角 173°
シリカをイオン交換水で希釈し、シリカ粒子を1質量%含有する分散液を作製した。そして、該分散液を下記測定装置内に投入し、シリカ粒子の体積粒度分布を得た。得られた体積粒度分布の累積体積頻度が50%となる粒径(Z-average値)を二次粒子径とした。
測定機器 :マルバーン ゼータサイザー ナノ「Nano S」
測定条件 :サンプル量 1.5mL
:レーザー He−Ne、3.0mW、633nm
:散乱光検出角 173°
3.エッチング液の評価
[エッチング速度及び選択速度比]
各組成に調製したエッチング液(実施例1〜13、参考例1〜8)に、予めシリコン窒化膜(SiN膜)の厚みを測定した1cm×1cmのシリコン窒化膜ウエハを浸漬させ、160℃〜170℃で90分間エッチングさせた。その後、冷却、水洗浄した後に再度、シリコン窒化膜の厚みを測定し、その差分をエッチング量とした。膜厚の測定には、光干渉式膜厚測定装置(SCREEN社、「ランダムエース VM−100」)を用いた。
また、シリコン酸化膜(SiO2膜)としては1.5cm×1cmのLP−TEOSを使用し、シリコン窒化膜と同条件で実施し、シリコン酸化膜のエッチング量を求めた。
そして、下記式により、シリコン窒化膜のエッチング速度、シリコン酸化膜のエッチング速度、選択速度比を算出した。算出結果を表1に示した。
シリコン窒化膜(SiN膜)のエッチング速度(Å/min)=シリコン窒化膜エッチング量(Å)/90(min)
シリコン酸化膜(SiO2膜)のエッチング速度(Å/min)=シリコン酸化膜エッチング量(Å)/90(min)
選択速度比=シリコン窒化膜エッチング速度/シリコン酸化膜エッチング速度
[エッチング速度及び選択速度比]
各組成に調製したエッチング液(実施例1〜13、参考例1〜8)に、予めシリコン窒化膜(SiN膜)の厚みを測定した1cm×1cmのシリコン窒化膜ウエハを浸漬させ、160℃〜170℃で90分間エッチングさせた。その後、冷却、水洗浄した後に再度、シリコン窒化膜の厚みを測定し、その差分をエッチング量とした。膜厚の測定には、光干渉式膜厚測定装置(SCREEN社、「ランダムエース VM−100」)を用いた。
また、シリコン酸化膜(SiO2膜)としては1.5cm×1cmのLP−TEOSを使用し、シリコン窒化膜と同条件で実施し、シリコン酸化膜のエッチング量を求めた。
そして、下記式により、シリコン窒化膜のエッチング速度、シリコン酸化膜のエッチング速度、選択速度比を算出した。算出結果を表1に示した。
シリコン窒化膜(SiN膜)のエッチング速度(Å/min)=シリコン窒化膜エッチング量(Å)/90(min)
シリコン酸化膜(SiO2膜)のエッチング速度(Å/min)=シリコン酸化膜エッチング量(Å)/90(min)
選択速度比=シリコン窒化膜エッチング速度/シリコン酸化膜エッチング速度
[循環安定性]
実施例1〜13、参考例1〜8のエッチング液の循環安定性の評価を行った。
まず、各組成に調製したエッチング剤を160〜170℃で120分間加熱し、その後室温まで冷却させる。そして、孔径0.2μmのフィルタ[ADVANTEC社製、「DISMIC」、シリンジフィルタ、材質:親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)]を用いて、0.25MPaの圧力下における3分間の通液量を測定した。測定結果を表1に示した。
実施例1〜13、参考例1〜8のエッチング液の循環安定性の評価を行った。
まず、各組成に調製したエッチング剤を160〜170℃で120分間加熱し、その後室温まで冷却させる。そして、孔径0.2μmのフィルタ[ADVANTEC社製、「DISMIC」、シリンジフィルタ、材質:親水性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)]を用いて、0.25MPaの圧力下における3分間の通液量を測定した。測定結果を表1に示した。
表1に示されるように、実施例1〜13はいずれも、SiN/SiO2選択速度比が良好であった。そして、実施例1〜13は、特定の高温安定化剤が配合されていない参考例1〜8に比べて、孔径0.2μmのフィルタ通液量が多かったことから、エッチング液の循環使用における循環フィルタの閉塞を抑制できると考えられる。
本開示のエッチング液は、高密度化又は高集積化用の半導体基板の製造方法において有用である。
Claims (11)
- シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を有する基板からシリコン窒化膜を除去する工程用のエッチング液であって、
高温安定化剤(成分A)と、リン酸(成分B)と、水とを含有し又は配合してなり、
成分Aは、成分A1及び成分A2から選ばれる少なくとも1種であり、
成分A1は、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基で置換された複素芳香環骨格を含む、オキシド化合物又はその塩であり、
成分A2は、ヒドロキシ基及びケト基を有する不飽和環状化合物である、エッチング液。 - 成分A1は、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基で置換された含窒素複素芳香環骨格を含む、オキシド化合物又はその塩である、請求項1に記載のエッチング液。
- 成分A1及び成分A2は、ヒドロキシ基を、オキシド基又はケト基のメタ位又はオルト位に有する、請求項1又は2に記載のエッチング液。
- 珪素化合物を含む溶液をさらに含有する又は配合してなる、請求項1から3のいずれかに記載のエッチング液。
- 前記溶液は、シリカ及びアルカリを含む溶液(成分C)である、請求項4に記載のエッチング液。
- 成分Cは、シリカの少なくとも一部をアルカリで溶解したシリカ溶解液である、請求項5に記載のエッチング液。
- 25℃におけるpHが2以下である、請求項1から6のいずれかに記載のエッチング液。
- エッチング温度が110℃以上180℃以下である、請求項1から7のいずれかに記載のエッチング液。
- エッチング液のフィルタ通液量が10g/3分以上である、請求項1から8のいずれかに記載のエッチング液。
- 請求項1から9のいずれかに記載のエッチング液を用いて、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を有する基板からシリコン窒化膜を除去する工程を含む、エッチング方法。
- 請求項1から9のいずれかに記載のエッチング液を用いて、シリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を有する基板からシリコン窒化膜を除去する工程を含む、半導体基板の製造方法。
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