JP2021038345A - インクセットおよびインクジェット方法 - Google Patents

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景多▲郎▼ 中野
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Abstract

【課題】クリアインクの塗膜において、光沢性が向上すると共に臭気の発生を抑えたインクセットおよびインクジェット方法を提供すること。【解決手段】インクセットは、重合性化合物を含む放射線硬化型インクジェットインクのインクセットであって、カラーインクとクリアインクと、を含み、クリアインクに含まれる重合性化合物は、水酸基を有するモノマーAと、Van−der−Waals半径で定義される体積が0.26立方nm以上、かつ長辺に対する高さ方向の面積が0.25平方nm以上であるモノマーBと、を含み、モノマーAおよびモノマーBの合計の含有量が、クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、80質量%以上である。【選択図】なし

Description

本発明は、インクセットおよびインクジェット方法に関する。
従来、放射線硬化型のインクジェットインクである、カラーインクとクリアインクとを含むインクセットが知られていた。このようなインクセットには、紫外線などの放射線によって硬化する重合性化合物が用いられている。例えば、特許文献1には、重合性化合物として、フェノキシエチルアクリレート(PEA)やイソボルニルアクリレート(IBXA)を用いたクリアインクを含むインクセットが開示されている。
特開2013−67770号公報
しかしながら、特許文献1のインクセットでは、クリアインクが形成する塗膜において、光沢性を向上させることが難しいという課題があった。詳しくは、カラーインクの塗膜上に、PEAなどを含むクリアインクの塗膜を形成すると、光沢性が低下することがあった。光沢性が低下すると、該インクセットをサイネージなどの印刷物に用いる場合に、十分な外観品質が得られないおそれがあった。
また、クリアインクが形成する塗膜において、臭気が強くなりやすいという課題もあった。詳しくは、IBXAなどの比較的に嵩高い分子構造を持つ重合性化合物を用いると、上述した光沢性の低下が起き難い一方で、形成された塗膜から強い臭気が発生する場合があった。すなわち、クリアインクにおいて、塗膜の光沢性が向上すると共に塗膜からの臭気の発生を抑えたインクセットが求められていた。
インクセットは、重合性化合物を含む放射線硬化型インクジェットインクのインクセットであって、インクセットは、カラーインクとクリアインクと、を含み、クリアインクに含まれる重合性化合物は、水酸基を有するモノマーAと、Van−der−Waals半径で定義される体積が0.26立方nm以上、かつ長辺に対する高さ方向の面積が0.25平方nm以上であるモノマーBと、を含み、モノマーAおよびモノマーBの合計の含有量が、クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、80質量%以上である。
上記のインクセットは、クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、モノマーAの含有量が5質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
上記のインクセットは、クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、モノマーBの含有量が70質量%以上であることが好ましい。
上記のインクセットにおいて、クリアインクに含まれる重合性化合物は、単官能モノマーを含み、クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、単官能モノマーの含有量が85質量%以上であることが好ましい。
上記のインクセットにおいて、クリアインクに含まれる重合性化合物は、多官能モノマーを含み、クリアインクの総量に対して、多官能モノマーの含有量が0.01質量%以上15.00質量%以下であることが好ましい。
上記インクセットは、クリアインクに含まれる重合性化合物の各含有量の質量比を重みとする、重合性化合物における各ホモポリマーのガラス転移温度の加重平均が、48℃以上であることが好ましい。
上記インクセットにおいて、カラーインクに含まれる重合性化合物は、単官能モノマーを含み、カラーインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、単官能モノマーの含有量が85質量%以上であることが好ましい。
インクジェット方法は、上記のインクセットを用いるインクジェット方法であって、カラーインクをインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体に付着させる第1吐出工程と、記録媒体に付着されたカラーインクに対して、放射線を照射する第1硬化工程と、クリアインクをインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体における、放射線が照射されたカラーインクを含む領域に付着させる第2吐出工程と、記録媒体に付着されたクリアインクに対して、放射線を照射する第2硬化工程と、を含む。
上記のインクジェット方法は、第2吐出工程と第2硬化工程との間に、クリアインクが付着された記録媒体を静置するレベリング工程を含むことが好ましい。
実施形態に係るインクジェットプリンターの構成を示す概略斜視図。
実施形態
1.インクセット
本実施形態に係るインクセットは、重合性化合物を含む放射線硬化型インクジェットインクである、カラーインクとクリアインクとを含む。該インクセットは、色材が異なるカラーインクを複数種類含んでいてもよい。本実施形態のインクジェット方法は、該インクセットを用いて、インクジェット法によって、記録媒体上に画像、色彩、文字、模様などを形成する用途に供される。インクセットが異なる色調を呈する複数のカラーインクを含むことにより、形成する画像などにおいて所望の色調が得られやすくなる。なお、本実施形態のインクセットの用途は、上記に限定されず、例えば、3D造形用などであってもよい。
ここで、放射線硬化型のインクジェットインクとは、放射線を照射されることにより硬化するインクジェットインクである。放射線としては、紫外線、電子線、赤外線、可視光線、エックス線などが挙げられる。これらの中でも、放射線源が入手しやすく汎用されている点、放射線のピーク波長に対して、硬化に適した材料が入手しやすく汎用されている点から、放射線として紫外線を用いることが好ましい。
1.1.クリアインク
本実施形態に係るクリアインクは、光重合開始剤と、重合性化合物として、後述するモノマーAおよびモノマーBと、を含む。クリアインクには、モノマーAおよびモノマーBに該当しないその他の重合性化合物が含まれていてもよい。クリアインクは、記録媒体に着色するために用いられるものではなく、カラーインクから形成される塗膜の保護や、印刷物の光沢度の調整などに用いられるものである。したがって、クリアインクは、含まれる色材の含有量がクリアインクの総量に対して、0.2質量%以下であることが好ましく、色材を含まないことがより好ましい。以下、本実施形態のクリアインクに含まれる成分について説明する。以降の説明において、クリアインクから形成される塗膜をクリアインクの塗膜ともいい、カラーインクから形成される塗膜をカラーインクの塗膜ともいう。
従来のクリアインクの塗膜を、PEA(フェノキシエチルアクリレート)などを含むカラーインクの塗膜上に形成すると、該塗膜の光沢性が確保できない場合があった。そこで、発明者らが検討を行ったところ、嵩高い分子構造を有するモノマーBをクリアインクに用いることで、クリアインクの塗膜の光沢性が向上することを見出した。ここで、嵩高い分子構造を有するモノマーBとは、Van−der−Waals半径で定義される体積が0.26立方nm以上、かつ長辺に対する高さ方向の面積が0.25平方nm以上である重合性化合物を指す。
また、比較的に嵩高い分子構造を有する重合性化合物を用いると、従来のクリアインクの塗膜において、臭気が強くなる場合があった。そこで、発明者らがさらに検討を行ったところ、水酸基を有するモノマーAを併用することで、クリアインクの塗膜から発生する臭気が抑えられることを見出した。
本実施形態のクリアインクは、モノマーAおよびモノマーBの合計の含有量が、該クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、80質量%以上であり、好ましくは82質量%以上であり、より好ましくは84質量%以上である。これによれば、PEAのようなモノマーAおよびモノマーB以外の重合性化合物をクリアインクに含有させる場合に、これらモノマーAおよびモノマーB以外の重合性化合物の含有量が必然的に少なくなり、塗膜の光沢性が向上する。クリアインクに含まれるモノマーAおよびモノマーBの合計の含有量の上限は、特に限定されないが、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは97質量%以下であり、さらにより好ましくは95質量%以下である。これによれば、クリアインクの硬化性を向上させることができる。
ここで、クリアインクに用いる重合性化合物の中には、モノマーAおよびモノマーBの双方に該当する重合性化合物が含まれていてもよい。この場合、モノマーAおよびモノマーBの合計の含有量の計算では、モノマーAおよびモノマーBの双方に該当するモノマーについて、モノマーAおよびモノマーBのそれぞれで重複して計上しないこととする。すなわち、モノマーAおよびモノマーBの合計の含有量とは、モノマーBに該当しないモノマーAと、モノマーAに該当しないモノマーBと、モノマーAおよびモノマーBの双方に該当するモノマーと、の合計の含有量をいう。モノマーAおよびモノマーBの詳細は後述する。以下、本実施形態のクリアインクに含まれる成分について説明する。
1.1.1.重合性化合物
重合性化合物には、重合性官能基を1つ有する単官能モノマーと、重合性官能基を複数有する多官能モノマーと、重合性官能基を1つ以上有するオリゴマーと、が含まれる。これらの重合性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
本実施形態の重合性化合物が有する重合性官能基としては、放射線によって重合反応が可能であれば特に限定されず、公知の重合性官能基が採用可能である。特に、重合性官能基としては、重合反応性の観点から、好ましくは炭素間に不飽和二重結合を有する重合性官能基であり、より好ましくはメタクリロイル基であり、さらにより好ましくはアクリロイル基である。
なお、本明細書において、(メタ)アクリロイルは、アクリロイルおよびそれに対応するメタクリロイルのうち少なくともいずれかを意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよびそれに対応するメタクリレートのうち少なくともいずれかを意味し、(メタ)アクリルは、アクリルおよびそれに対応するメタクリルのうち少なくともいずれかを意味する。
クリアインクに含まれる重合性化合物の各含有量の質量比を重みとする、重合性化合物における各ホモポリマーのガラス転移温度の加重平均は、48℃以上である。上記ガラス転移温度の加重平均は、70℃以上であることが好ましく、85℃以上であることがより好ましい。上記ガラス転移温度の加重平均が48℃以上であることによって、約25℃程度の室温環境下におけるクリアインクの塗膜の耐擦過性を向上させることができる。上記ガラス転移温度の加重平均の上限は、特に限定されないが、好ましくは140℃以下であり、より好ましくは120℃以下であり、さらにより好ましくは110℃以下である。
上記ガラス転移温度の加重平均の計算方法について述べる。上記ガラス転移温度の加重平均の値をTgAll(℃)とし、重合性化合物の各ホモポリマーのガラス転移温度をTgN(℃)とし、各ホモポリマーに対応する重合性化合物の含有量の質量比、換言すれば、重合性化合物の総量に対する各重合性化合物の含有割合をXN(質量%)とする。Nは、クリアインクに含まれる重合性化合物の種類に応じて、1から順に数値が当てはまる。具体的には、3種類の重合性化合物を用いた場合には、Tg1、Tg2、Tg3が設定される。
ガラス転移温度の加重平均TgAllは、各々の重合性化合物に対応するホモポリマーのガラス転移温度TgNと、各重合性化合物の含有割合XNとの積の総和となる。したがって、下記数式(1)が成り立つ。
TgAll=ΣTgN×XN ・・・(1)
上記ガラス転移温度の加重平均TgAllは、クリアインクに用いる、各重合性化合物のガラス転移温度および各重合性化合物の質量比によって調整することが可能である。なお、重合性化合物の各ホモポリマーのガラス転移温度は、対応する重合性化合物の安全データシート(SDS)やカタログ情報などから入手することが可能である。
1.1.1.1.モノマーA
モノマーAは、分子構造中に水酸基を有している。モノマーAが分子構造中に有する水酸基の数は、1つまたは2つ以上である。クリアインクの粘度を増加させ難いという観点から、上記水酸基の数は、1つであることが好ましい。
モノマーAの具体例としては、特に限定されないが、例えば、1つの水酸基を有する単官能モノマーとして、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。また、モノマーAとして、2−ヒドロキシ−3フェノキシプロピルアクリレートなどの市販品を用いてもよい。なお、2−ヒドロキシ−3フェノキシプロピルアクリレートは、モノマーAおよびモノマーBの双方に該当するモノマーである。
クリアインクに含まれるモノマーAの含有量は、クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して5質量%以上15質量%以下であり、好ましくは7質量%以上13質量%以下であり、より好ましくは10質量%以上12質量%以下である。これによれば、クリアインクの塗膜から発生する臭気がさらに抑えられると共に、クリアインクの過度な粘度増加が抑えられる。なお、クリアインクに含まれるモノマーAの含有量には、モノマーAおよびモノマーBの双方に該当するモノマーの含有量も含めることとする。
1.1.1.2.モノマーB
モノマーBは、以下に述べる分子構造の嵩高さの特徴を有している。モノマーBのVan−der−Waals半径で定義される体積は、0.26立方nm以上であり、好ましくは0.27立方nm以上であり、より好ましくは0.28立方nm以上である。また、モノマーBのVan−der−Waals半径で定義される体積の上限は、特に限定されないが、好ましくは0.60立方nm以下であり、より好ましくは0.55立方nm以下であり、さらにより好ましくは0.50立方nm以下である。
モノマーBのVan−der−Waals半径で定義される長辺に対する高さ方向の面積は、0.25平方nm以上であり、好ましくは0.27平方nm以上であり、より好ましくは0.29平方nm以上である。また、モノマーBのVan−der−Waals半径で定義される長辺に対する高さ方向の面積の上限は、特に限定されないが、好ましくは0.50平方nm以下であり、より好ましくは0.45平方nm以下であり、さらにより好ましくは0.40平方nm以下である。モノマーBの分子構造が、上述した嵩高さの特徴を有することによって、クリアインクの塗膜の光沢性を向上させることができる。
ここで、Van−der−Waals半径で定義される、体積および長辺に対する高さ方向の面積は、分子の構造異性体のうち最もエネルギーが低い分子構造における、体積および長辺に対する高さ方向の面積として求める。分子のVan−der−Waals半径で定義される立体形状の特定や、それに基づく体積および長辺に対する高さ方向の面積の算出には、例えば、熱力学物性推算ソフトウェアなどの公知のソフトウェアが採用可能である。
Van−der−Waals半径で定義される体積とは、化学式から近似された真空中に浮いた状態の分子について、該分子を構成する各原子のVan−der−Waals半径によって形成される該分子の立体形状、すなわちキャビティーの体積をいう。また、Van−der−Waals半径で定義される長辺とは、上記立体形状における最も長い辺である。該長辺は、分子が最も安定になる構造をモデル化して、炭素、酸素、窒素などの末端骨格原子のうち最も遠い末端骨格原子同士の距離を計算によって求めたものである。さらに、上記長辺に対する高さ方向の面積とは、上記体積を上記長辺で割った値であり、上記長辺に直交する平面における面積の指標である。
モノマーBは、単官能モノマーであってもよく、多官能モノマーであってもよい。また、モノマーBは、上述したように、モノマーAに該当する要件である、分子構造中に水酸基を有する特徴を具備していてもよい。
モノマーBとしては、特に限定されないが、例えば、ジシクロペンテニルアクリレート(DCPA)、イソボルニルアクリレート(IBXA)、イソボルニルメタクリレート、3,3,5−トリメチルシクロへキシルアクリレート(TMCHA)、tertブチルシクロヘキサノールアクリレート(TBCHA)、イソノニルアクリレート(INAA)、ラウリルアクリレート(LA)など単官能モノマー、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)のような多官能モノマー、および2−ヒドロキシ−3フェノキシプロピルアクリレートのようなモノマーAおよびモノマーBの特徴を備えたものなどが挙げられる。
クリアインクに含まれるモノマーBの含有量は、クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、70質量%以上であり、好ましくは73質量%以上であり、より好ましくは78質量%以上である。これによれば、クリアインクの塗膜の光沢性を、さらに向上させることができる。上記モノマーBの含有量の上限は、特に限定されないが、クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、好ましくは90質量%以下であり、より好ましくは87質量%以下であり、さらにより好ましくは85質量%以下である。これによれば、クリアインクの硬化性を向上させつつ、硬化したクリアインクの塗膜の臭気を抑えることができる。
1.1.1.3.単官能モノマー
クリアインクに含まれる重合性化合物は、単官能モノマーを含む。単官能モノマーには、モノマーAやモノマーBに該当するものと、これらに該当しないその他の単官能モノマーが含まれる。
単官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えば窒素含有単官能モノマー、架橋縮合環構造を有する単官能(メタ)アクリレート、芳香族基含有単官能モノマー、飽和脂肪族基含有単官能モノマーが挙げられる。また、必要に応じて、上記の単官能モノマーに代替して、あるいは追加して、それ以外の単官能モノマーを用いてもよい。なお、単官能モノマーが有する重合性官能基としては、特に限定されないが、公知の重合性官能基、特に炭素間の不飽和二重結合を有する重合性官能基が適用可能である。
クリアインクに含まれる単官能モノマーの含有量は、クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して85質量%以上であり、好ましくは90質量%以上であり、より好ましくは95質量%以上である。これによれば、クリアインクの塗膜が柔軟になり延伸性を向上させることができる。上記単官能モノマーの含有量の上限は、特に限定されないが、クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは98質量%以下であり、さらにより好ましくは97質量%以下である。これによれば、クリアインクの硬化性や塗膜の耐擦過性を向上させることができる。
また、クリアインクに含まれる単官能モノマーの含有量は、クリアインクの総量に対して、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは75質量%以上であり、さらにより好ましくは80質量%以上である。これによれば、塗膜の延伸性がより向上する。また、上記単官能モノマーの含有量の上限は、クリアインクの総量に対して、好ましくは95質量%以下であり、より好ましくは92質量%以下であり、さらにより好ましくは90質量%以下である。これによれば、クリアインクの硬化性や塗膜の耐擦過性がより向上する。
以下、単官能モノマーの具体例を示すが、本実施形態における単官能モノマーは下記に限定されるものではない。
1.1.1.3.1.窒素含有単官能モノマー
窒素含有単官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えばN−ビニルカプロラクタム、N−ビニルフォルムアミド、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルアセトアミドおよびN−ビニルピロリドンなどの窒素含有単官能ビニルモノマー、アクリロイルモルフォリンなどの窒素含有単官能アクリレートモノマー、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロライド4級塩などの(メタ)アクリルアミドなどの窒素含有単官能アクリルアミドモノマーが挙げられる。
これらの中でも、窒素含有単官能ビニルモノマーまたは窒素含有単官能アクリレートモノマーの何れかが好ましく、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、またはアクリロイルモルフォリンなどの含窒素複素環構造を有するモノマーがより好ましく、アクリロイルモルフォリンを含むことがさらにより好ましい。
このような窒素含有単官能モノマーを用いることにより、クリアインクの塗膜の耐擦過性が向上する。さらに、アクリロイルモルフォリンなどの含窒素複素環構造を有する窒素含有単官能アクリレートモノマーは、クリアインクの塗膜において、延伸性および記録媒体やカラーインクの塗膜への密着性を向上させる。なお、以降の説明において、記録媒体や他のインクの塗膜への密着性を、単に密着性ということもある。
クリアインクに含まれる窒素含有単官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは2質量%以上15質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上13質量%以下であり、さらにより好ましくは4質量%以上12質量%以下である。これによれば、クリアインクの塗膜において、耐擦過性および密着性が向上する。
クリアインクに含まれる窒素含有単官能モノマーの含有量は、クリアインクの総量に対して、好ましくは2質量%以上15質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上12質量%以下であり、さらにより好ましくは4質量%以上11質量%以下である。これによれば、クリアインクの塗膜において、耐擦過性および密着性が向上する。
1.1.1.3.2.架橋縮合環構造を有する単官能(メタ)アクリレート
架橋縮合環構造を有する単官能(メタ)アクリレートにおける架橋縮合環構造とは、2つ以上の環状構造が1対1で辺を共有し、かつ、同じ環状構造または異なる環状構造の、互いに隣接しない2つ以上の原子を連結した構造をいう。架橋縮合環構造を有する単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートジシクロペンタニル(メタ)アクリレートが挙げられる。また、その他の架橋縮合環構造としては、下記一般式(a)、(b)の構造が挙げられる。
Figure 2021038345
Figure 2021038345
これらの中でも、モノマーBに該当するジシクロペンテニルアクリレート(DCPA)を含むことがより好ましい。このような架橋縮合環構造を有する単官能(メタ)アクリレートを用いることにより、クリアインクの塗膜において、耐擦過性、延伸性、および密着性がより向上する。さらには、クリアインクの塗膜の光沢性がさらに向上する。
クリアインクに含まれる架橋縮合環構造を有する単官能(メタ)アクリレートの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは10質量%以上65質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上63質量%以下であり、さらにより好ましくは20質量%以上60質量%以下である。これによれば、クリアインクの塗膜の耐擦過性および密着性が向上する。
クリアインクに含まれる架橋縮合環構造を有する単官能(メタ)アクリレートの含有量は、クリアインクの総量に対して、好ましくは10質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは15質量%以上57質量%以下であり、さらにより好ましくは20質量%以上55質量%以下である。これによれば、クリアインクの塗膜の耐擦過性および密着性が向上する。
1.1.1.3.3.芳香族基含有単官能モノマー
芳香族基含有単官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、アルコキシ化2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、アルコキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、p−クミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、および2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートが挙げられる。
これらの中でも、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートがより好ましく、フェノキシエチルアクリレート(PEA)がさらにより好ましい。このような芳香族基含有単官能モノマーを用いることにより、光重合開始剤の溶解性がより向上すると共に、クリアインクの硬化性が向上する。特に、後述する光重合開始剤として、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤やチオキサントン系光重合開始剤を用いる場合に好適である。
クリアインクに含まれる芳香族基含有単官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは2質量%以上15質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上13質量%以下であり、さらにより好ましくは4質量%以上12質量%以下である。これによれば、クリアインクの塗膜の密着性や耐擦過性が向上する。
クリアインクに含まれる芳香族基含有単官能モノマーの含有量は、クリアインクの総量に対して、好ましくは2質量%以上15質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上12質量%以下であり、さらにより好ましくは4質量%以上11質量%以下である。これによれば、クリアインクの塗膜の密着性や耐擦過性が向上する。
1.1.1.3.4.飽和脂肪族基含有単官能モノマー
飽和脂肪族基含有単官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えばイソボルニル(メタ)アクリレート、tertブチルシクロヘキサノールアクリレート(TBCHA)、2−(メタ)アクリル酸−1,4−ジオキサスピロ[4,5]デシ−2−イルメチルなどの脂環属基含有(メタ)アクリレート;イソアミル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの直鎖または分岐鎖を有する脂肪属基含有(メタ)アクリレート、ラクトン変性可とう性(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、本明細書において、飽和脂肪族基含有単官能モノマーは、架橋縮合環構造を有する化合物ではないものとする。
これらの中でも、モノマーBに該当するイソボルニル(メタ)アクリレート、tertブチルシクロヘキサノールアクリレート(TBCHA)が好ましい。このような飽和脂肪族基含有単官能モノマーを用いることにより、クリアインクの硬化性および塗膜の耐擦過性が向上すると共に、クリアインクの塗膜の光沢性が向上する。
クリアインクに含まれる飽和脂肪族基含有単官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは15質量%以上85質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上80質量%以下であり、さらにより好ましくは25質量%以上75質量%以下である。これによれば、クリアインクの硬化性および塗膜の耐擦過性が向上する。
クリアインクに含まれる飽和脂肪族基含有単官能モノマーの含有量は、クリアインクの総量に対して、好ましくは15質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは17質量%以上75質量%以下であり、さらにより好ましくは20質量%以上70質量%以下である。これによれば、リアインクの硬化性および塗膜の耐擦過性が向上する。
1.1.1.3.5.その他の単官能モノマー
上記以外のその他の単官能モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、およびマレイン酸などの不飽和カルボン酸、該不飽和カルボン酸の塩、不飽和カルボン酸のエステル、ウレタン、アミドおよび無水物、アクリロニトリル、スチレン、種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタンが挙げられる。
1.1.1.4.多官能モノマー
クリアインクに含まれる重合性化合物は、多官能モノマーを含んでいてもよい。多官能モノマーとしては、例えば、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。また、多官能モノマーとして、ジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)などのモノマーBに該当するものを用いてもよい。
クリアインクに含まれる多官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは0.01質量%以上20.00質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以上15.00質量%以下であり、さらにより好ましくは1.00質量%以上15.00質量%以下である。上記多官能モノマーの含有量が0.01質量%以上であることにより、クリアインクの硬化性および塗膜の耐擦過性が向上する。また、上記多官能モノマーの含有量が20.00質量%以下であることにより、クリアインクの塗膜の延伸性および密着性が向上する。
クリアインクに含まれる多官能モノマーの含有量は、クリアインクの総量に対して、好ましくは0.01質量%以上15.00質量%以下であり、より好ましくは0.50質量%以上15.00質量%以下であり、さらにより好ましくは1.00質量%以上15.00質量%以下である。上記多官能モノマーの含有量が0.01質量%以上であることにより、硬化性および塗膜の耐擦過性が向上する。また、上記多官能モノマーの含有量が15.00質量%以下であることにより、塗膜の延伸性および密着性がより向上する傾向にある。
以下、多官能モノマーの具体例を示すが、本実施形態における多官能モノマーは下記に限定されるものではない。
1.1.1.4.1.ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば下記一般式(c)で表される化合物が挙げられる。このようなビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートを含むことにより、クリアインクの粘度が低下して、吐出安定性が向上する。また、クリアインクの硬化性が向上すると共に、硬化性の向上に伴って記録媒体への記録速度を高速化することが可能となる。
CH2=CR1−COOR2−O−CH=CH−R3 ・・・(c)
(式中、R1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素数2から20の2価の有機残基であり、R3は水素原子または炭素数1から11の1価の有機残基である。)
上記一般式(c)において、R2で表される炭素数2から20の2価の有機残基としては、炭素数2から20の直鎖状、分枝状または環状の、置換されていてもよいアルキレン基、構造中にエーテル結合および/またはエステル結合による酸素原子を有する、置換されていてもよい炭素数2から20のアルキレン基、炭素数6から11の、置換されていてもよい2価の芳香族基が挙げられる。
これらの中でも、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基、およびブチレン基などの炭素数2から6のアルキレン基、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、およびオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2から9のアルキレン基が好ましい。さらに、クリアインクの低粘度化、およびクリアインクの硬化性向上の観点から、R2が、オキシエチレン基、オキシn−プロピレン基、オキシイソプロピレン基、およびオキシブチレン基などの構造中にエーテル結合による酸素原子を有する炭素数2から9のアルキレン基である、グリコールエーテル鎖を有するものがより好ましい。
一般式(c)において、R3で表される炭素数1から11の1価の有機残基としては、炭素数1から10の直鎖状、分枝状または環状の、置換されていてもよいアルキル基、炭素数6から11の、置換されていてもよい芳香族基が好適である。これらの中でも、メチル基またはエチル基である炭素数1から2のアルキル基、フェニル基およびベンジル基などの炭素数6から8の芳香族基が好適に用いられる。
上記の各有機残基が置換されていてもよい基である場合、その置換基は、炭素原子を含む基および炭素原子を含まない基に分けられる。まず、上記置換基が炭素原子を含む基である場合、当該炭素原子は有機残基の炭素数にカウントされる。炭素原子を含む基としては、下記に限定されないが、例えばカルボキシル基、アルコキシ基が挙げられる。炭素原子を含まない基としては、下記に限定されないが、例えば水酸基、ハロ基が挙げられる。
一般式(c)の化合物の具体例としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸2−メチル−3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1,1−ジメチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸m−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸o−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(イソプロペノキシエトキシエトキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、および(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコールモノビニルエーテルが挙げられる。これらの具体例のうち、クリアインクの硬化性、粘度のバランスがとりやすい点から、アクリル酸2−(2−ビニロキシエトキシ)エチルが特に好ましい。
クリアインクに含まれるビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上8質量%以下であり、さらにより好ましくは2質量%以上6質量%以下である。これによれば、クリアインクが低粘度化されて、インクジェットヘッドからのクリアインクの吐出安定性が向上する。
クリアインクに含まれるビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートの含有量は、クリアインクの総量に対して、好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上8質量%以下であり、さらにより好ましくは2質量%以上6質量%以下である。これによれば、クリアインクが低粘度化されて、インクジェットヘッドからの吐出安定性が向上する。
1.1.1.4.2.多官能(メタ)アクリレート
多官能(メタ)アクリレートとしては、特に限定されないが、例えば、上述したジプロピレングリコールジアクリレート(DPGDA)、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジメタアクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール−トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのEO(エチレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのPO(プロピレンオキサイド)付加物ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、及びポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの2官能(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリンプロポキシトリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、およびカプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどの3官能以上の多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。
クリアインクに含まれる多官能(メタ)アクリレートの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上17質量%以下であり、さらにより好ましくは2質量%以上15質量%以下である。上記多官能(メタ)アクリレートの含有量が1質量%以上であることにより、クリアインクの塗膜の耐擦過性が向上する。上記多官能(メタ)アクリレートの含有量が20質量%以下であることにより、クリアインクの塗膜の延伸性および密着性が向上する。
クリアインクに含まれる多官能(メタ)アクリレートの含有量は、クリアインクの総量に対して、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上17質量%以下であり、さらにより好ましくは2質量%以上15質量%以下である。クリアインクの総量に対する多官能(メタ)アクリレートの含有量が1質量%以上であることにより、クリアインクの塗膜の耐擦過性が向上する。クリアインクの総量に対する多官能(メタ)アクリレートの含有量が20質量%以下であることにより、クリアインクの塗膜の延伸性および密着性が向上する。
1.1.2.光重合開始剤
光重合開始剤は、放射線の照射によって活性種を生じ、該活性種によって重合性化合物の重合反応を進行させる機能を有している。光重合開始剤から生じる活性種は、具体的には、ラジカル、酸、および塩基などである。光重合開始剤としては、上記機能を有していれば特に限定されないが、例えば、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、アルキルフェノン系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤などの公知の光重合開始剤が挙げられる。これらの中でも、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤が好ましい。このような光重合開始剤を用いることにより、クリアインクの硬化性、特にUV−LED(紫外線発光ダイオード)の光による硬化プロセスにおける硬化性が向上する。光重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドなどが挙げられる。
このようなアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤の市販品としては、例えば、BASF社の、IRGACURE(登録商標) 819(ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド)、IRGACURE 1800(ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイドと、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトンとの質量比25:75の混合物)、IRGACURE TPO(2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド)などが挙げられる。
クリアインクに含まれる光重合開始剤の含有量は、クリアインクの総量に対して、好ましくは3質量%以上12質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上10質量%以下であり、さらにより好ましくは7質量%以上9質量%以下である。これによれば、クリアインクの硬化性が向上すると共に、光重合開始剤の溶解性が確保される。
1.1.3.その他の添加剤
クリアインクは、必要に応じて、重合禁止剤、スリップ剤、光増感剤などのその他の添加剤をさらに含んでもよい。
1.1.3.1.重合禁止剤
重合禁止剤は、保管時などにおける重合性化合物の意図しない重合反応の進行を抑え、クリアインクの保存安定性を向上させる機能を有している。重合禁止剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
重合禁止剤としては、特に限定されないが、例えば4−メトキシフェノール(MEHQ)、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−N−オキシル、ヒドロキノン、クレゾール、t−ブチルカテコール、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシトルエン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、および4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、ヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
クリアインクに含まれる重合禁止剤の含有量は、クリアインクの総量に対して、好ましくは0.05質量%以上1.00質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上0.50質量%以下である。
1.1.3.2.スリップ剤
スリップ剤は、クリアインクの塗膜において、耐擦過性を向上させる機能を有している。スリップ剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
スリップ剤としては、シリコーン系界面活性剤が好ましく、ポリエステル変性シリコーンまたはポリエーテル変性シリコーンであることがより好ましい。これらのスリップ剤としては、市販品が採用可能であり、例えば、BYK Additives&Instruments社の、BYK(登録商標)−347、−348、BYK−UV3500、−3510、−3530などのポリエステル変性シリコーン、BYK−3570などのポリエーテル変性シリコーンが挙げられる。
クリアインクに含まれるスリップ剤の含有量は、クリアインクの総量に対して、好ましくは0.01質量%以上2.00質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上1.00質量%以下である。
1.1.3.3.光増感剤
光増感剤は、放射線を吸収して励起状態となり、光重合開始剤からの活性種の発生を促進する機能を有している。光増感剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
光増感剤としては、脂肪族アミン、芳香族基を含むアミン、ピペリジン、エポキシ樹脂とアミンの反応生成物、およびトリエタノールアミントリアクリレートなどのアミン化合物、アリルチオ尿素、o−トリルチオ尿素などの尿素化合物、ナトリウムジエチルジチオフォスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩などのイオウ化合物、N,N−ジエチル−p−アミノベンゾニトリルなどのニトリル系化合物、トリ−n−ブチルフォスフィン、ナトリウムジエチルジチオフォスファイドなどのリン化合物、ミヒラーケトン、N−ニトリソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドとジアミンの縮合物などの窒素化合物、四塩化炭素、ヘキサクロロエタンなどの塩素化合物などが挙げられる。
クリアインクに光増感剤を用いる場合の含有量は、クリアインクの総量に対して、好ましくは0.5質量%以上3.0質量%以下である。
1.2.カラーインク
本実施形態に係るカラーインクは、重合性化合物、光重合開始剤、および色材を含む。カラーインクは、記録媒体への着色、または記録媒体上への画像などの形成に用いられる。以下、本実施形態のカラーインクに含まれる成分について説明する。
1.2.1.重合性化合物
重合性化合物には、重合性官能基を1つ有する単官能モノマーと、重合性官能基を複数有する多官能モノマーと、重合性官能基を1つ以上有するオリゴマーと、が含まれる。これらの各重合性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
カラーインクに含まれる重合性化合物の各含有量の質量比を重みとする、重合性化合物における各ホモポリマーのガラス転移温度の加重平均は、48℃以上である。上記ガラス転移温度の加重平均は、70℃以上であることが好ましく、85℃以上であることがより好ましい。上記ガラス転移温度の加重平均が48℃以上であることによって、室温環境下における塗膜の耐擦過性を向上させることができる。上記ガラス転移温度の加重平均の上限は、特に限定されないが、好ましくは140℃以下であり、より好ましくは120℃以下であり、さらにより好ましくは110℃以下である。
上記ガラス転移温度の加重平均の計算方法は、クリアインクで述べたものと同様である。なお、上記ガラス転移温度の加重平均は、カラーインクに用いる、重合性化合物のガラス転移温度および重合性化合物の質量比によって調整することができる。
1.2.1.1.単官能モノマー
カラーインクに含まれる重合性化合物は、単官能モノマーを含む。単官能モノマーとしては、特に限定されないが、例えば窒素含有単官能モノマー、架橋縮合環構造を有する単官能(メタ)アクリレート、芳香族基含有単官能モノマー、飽和脂肪族基含有単官能モノマーが挙げられる。また、必要に応じて、上記の単官能モノマーに代替して、あるいは追加して、それ以外の単官能モノマーを用いてもよい。なお、単官能モノマーが有する重合性官能基としては、特に限定されないが、公知の重合性官能基、特に炭素間の不飽和二重結合を有する重合性官能基が適用可能である。
カラーインクに含まれる単官能モノマーの含有量は、カラーインクに含まれる重合性化合物の総量に対して85質量%以上であり、好ましくは90質量%以上である。これによれば、カラーインクの塗膜が柔軟になり延伸性を向上させることができる。また、カラーインクに含まれる単官能モノマーの含有量が85質量%以上である場合に、従来のクリアインクでは光沢性が低下しやすいため、本発明が特に有効である。
上記単官能モノマーの含有量の上限は、特に限定されないが、カラーインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、好ましくは99質量%以下であり、より好ましくは98質量%以下であり、さらにより好ましくは97質量%以下である。これによれば、カラーインクの塗膜の耐擦過性を向上させることができる。
カラーインクに含まれる単官能モノマーの含有量は、カラーインクの総量に対して、好ましくは65質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらよりに好ましくは75質量%以上である。これによれば、カラーインクの塗膜の延伸性が向上する。また、上記単官能モノマーの含有量の上限は、カラーインクの総量に対して、好ましくは97質量%以下であり、より好ましくは95質量%以下であり、さらにより好ましくは90質量%以下である。これによれば、カラーインクの硬化性が向上する。
カラーインクに含まれる、窒素含有単官能モノマー、架橋縮合環構造を有する単官能(メタ)アクリレート、芳香族基含有単官能モノマー、飽和脂肪族基含有単官能モノマー、およびそれ以外の単官能モノマーとしては、クリアインクと同様のものが採用可能である。なお、カラーインクに含まれる単官能モノマーには、上述したモノマーAまたはモノマーBに該当するものが含まれていてもよい。
カラーインクに含まれる窒素含有単官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは3質量%以上17質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上15質量%以下であり、さらにより好ましくは8質量%以上12質量%以下である。これによれば、カラーインクの塗膜の耐擦過性および密着性が向上する。
カラーインクに含まれる窒素含有単官能モノマーの含有量は、カラーインクの総量に対して、好ましくは3質量%以上17質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上15質量%以下であり、さらにより好ましくは8質量%以上12質量%以下である。これによれば、カラーインクの塗膜の耐擦過性および密着性が向上する。
カラーインクに含まれる架橋縮合環構造を有する単官能(メタ)アクリレートの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは20質量%以上55質量%以下であり、より好ましくは25質量%以上50質量%以下であり、さらにより好ましくは30質量%以上45質量%以下である。これによれば、カラーインクの塗膜の密着性および耐擦過性が向上する。
カラーインクに含まれる架橋縮合環構造を有する単官能(メタ)アクリレートの含有量は、カラーインクの総量に対して、好ましくは15質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上45質量%以下であり、さらにより好ましくは25質量%以上40質量%以下である。これによれば、カラーインクの塗膜の密着性および耐擦過性が向上する。
カラーインクに含まれる芳香族基含有単官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは2質量%以上12質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上10質量%以下であり、さらにより好ましくは4質量%以上7質量%以下である。これによれば、カラーインクの塗膜の密着性や耐擦過性がより向上する傾向にある。
カラーインクに含まれる芳香族基含有単官能モノマーの含有量は、カラーインクの総量に対して、好ましくは2質量%以上12質量%以下であり、より好ましくは3質量%以上10質量%以下であり、さらにより好ましくは4質量%以上7質量%である。これによれば、カラーインクの塗膜の密着性や耐擦過性が向上する。
カラーインクに含まれる飽和脂肪族基含有単官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは15質量%以上45質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上40質量%以下であり、さらにより好ましくは25質量%以上35質量%以下である。これによれば、カラーインクの硬化性が向上する。
カラーインクに含まれる飽和脂肪族基含有単官能モノマーの含有量は、カラーインクの総量に対して、好ましくは15質量%以上40質量%以下であり、より好ましくは20質量%以上35質量%以下であり、さらにより好ましくは25質量%以上30質量%以下である。これによれば、カラーインクの硬化性が向上する。
1.2.1.2.多官能モノマー
カラーインクに含まれる重合性化合物は、多官能モノマーを含むことが好ましい。多官能モノマーとしては、例えば、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート、多官能(メタ)アクリレートが挙げられる。なお、多官能モノマーは、上記に限定されるものではない。多官能モノマーとしては、クリアインクと同様なものが採用可能である。なお、カラーインクに含まれる多官能モノマーには、上述したモノマーAまたはモノマーBに該当するものが含まれていてもよい。
カラーインクに含まれる多官能モノマーの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは0.01質量%以上20.00質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以上15.00質量%以下であり、さらにより好ましくは1.00質量%以上15.00質量%以下である。上記多官能モノマーの含有量が0.01質量%以上であることにより、カラーインクの塗膜の耐擦過性が向上する。また、上記多官能モノマーの含有量が20.00質量%以下であることにより、塗膜の延伸性および密着性がより向上する傾向にある。
カラーインクに含まれる多官能モノマーの含有量は、カラーインクの総量に対して、好ましくは0.01質量%以上15.00質量%以下であり、より好ましくは0.50質量%以上15.00質量%以下であり、さらにより好ましくは1.00質量%以上15.00質量%以下である。上記多官能モノマーの含有量が0.01質量%以上であることにより、カラーインクの塗膜の耐擦過性が向上する。また、上記多官能モノマーの含有量が15.00質量%以下であることにより、カラーインクの塗膜の延伸性および密着性が向上する。
カラーインクに含まれるビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは2質量%以上8質量%以下であり、さらにより好ましくは2質量%以上6質量%以下である。これによれば、カラーインクが低粘度化されて、インクジェットヘッドからのカラーインクの吐出安定性が向上する。
カラーインクに含まれるビニルエーテル基含有(メタ)アクリレートの含有量は、カラーインクの総量に対して、好ましくは1質量%以上10質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上8質量%以下であり、さらにより好ましくは2質量%以上6質量%以下である。これによれば、カラーインクが低粘度化されて、インクジェットヘッドからのカラーインクの吐出安定性が向上する。
カラーインクに含まれる多官能(メタ)アクリレートの含有量は、重合性化合物の総量に対して、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上17質量%以下であり、さらにより好ましくは2質量%以上15質量%以下である。上記多官能(メタ)アクリレートの含有量が1質量%以上であることにより、カラーインクの塗膜の耐擦過性が向上する。また、上記多官能(メタ)アクリレートの含有量が20質量%以下であることにより、カラーインクの塗膜の延伸性および密着性が向上する。
カラーインクに含まれる多官能(メタ)アクリレートの含有量は、カラーインクの総量に対して、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上17質量%以下であり、さらにより好ましくは2質量%以上15質量%以下である。上記多官能(メタ)アクリレートの含有量が1質量%以上であることにより、カラーインクの塗膜の耐擦過性が向上する。また、上記多官能(メタ)アクリレートの含有量が20質量%以下であることにより、カラーインクの塗膜の延伸性および密着性が向上する。
1.2.2.光重合開始剤
カラーインクに含まれる光重合開始剤としては、クリアインクと同様のものが採用可能である。カラーインクに含まれる光重合開始剤の含有量は、カラーインクの総量に対して、好ましくは3質量%以上12質量%以下であり、より好ましくは5質量%以上10質量%以下であり、さらにより好ましくは7質量%以上9質量%以下である。これによれば、カラーインクの硬化性が向上すると共に、光重合開始剤の溶解性が確保される。
1.2.3.色材
色材は、カラーインクが形成する塗膜を着色する機能を有している。カラーインクの塗膜が着色されることにより、記録媒体の着色や、記録媒体上へのカラー画像などの形成が可能となる。カラーインクに含まれる色材としては、顔料および染料が挙げられる。
1.2.3.1.顔料
色材として顔料を用いることにより、カラーインクの塗膜における色材の耐光性を向上させることができる。顔料としては、無機顔料および有機顔料のいずれも採用可能である。顔料は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
顔料としては、公知の有機顔料、無機顔料のいずれも採用可能である。有機顔料としては、例えば、アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などのアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、イソインドリン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料などの多環式顔料、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキなどの染料レーキ顔料、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。無機顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化クロムなどの金属酸化物顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。また、パール顔料やメタリック顔料などの光輝顔料を用いてもよい。
黒色顔料としては、C.I.(Colour Index Generic Name)ピグメントブラック1,7,11が挙げられる。この中でも、C.I.ピグメントブラック7であるカーボンブラックを用いることが好ましい。
カーボンブラックの具体例としては、三菱化学社の、No.2300、No.900、MCF88、No.33、No.40、No.45、No.52、MA7、MA8、MA100、No.2200Bなど、コロンビアカーボン社の、Raven(登録商標)5750,5250,5000,3500,1255,700など、CABOT社の、Rega1(登録商標)400R,330R,660R、Mogul(登録商標)L、Monarch(登録商標)700,800,880,900,1000,1100,1300,1400など、Degussa社の、Color Black FW1,FW2,FW2V,FW18,FW200,S150,S160,S170、Printex(登録商標)35,U,V,140U、SpecialBlack 6,5,4A,4が挙げられる。
白色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントホワイト 6,18,21が挙げられる。
イエロー色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントイエロー 1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,16,17,24,34,35,37,53,55,65,73,74,75,81,83,93,94,95,97,98,99,108,109,110,113,114,117,120,124,128,129,133,138,139,147,151,153,154,155,167,172,180が挙げられる。
マゼンタ色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド 1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,40,41,42,48(Ca),48(Mn),57(Ca),57:1,88,112,114,122,123,144,146,149,150,166,168,170,171,175,176,177,178,179,184,185,187,202,209,219,224,245、またはC.I.ピグメントバイオレット 19,23,32,33,36,38,43,50が挙げられる。
シアン色顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー 1,2,3,15,15:1,15:2,15:3,15:34,15:4,16,18,22,25,60,65,66、C.I.バットブルー 4,60が挙げられる。
上記以外の色用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントグリーン 7,10、C.I.ピグメントブラウン 3,5,25,26、C.I.ピグメントオレンジ 1,2,5,7,13,14,15,16,24,34,36,38,40,43,63が挙げられる。
上記の顔料は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。顔料を用いる場合には、後述する分散剤を併用してもよい。また、顔料の平均粒子径は、300nm以下が好ましく、50nm以上200nm以下であることがより好ましい。顔料の平均粒子径が上記の範囲内にあると、放射線硬化型インクジェットインクのカラーインクとして、吐出安定性や分散安定性などが向上すると共に、記録媒体上に形成される画像の画質を優れたものとすることができる。なお、ここでいう平均粒子径とは、動的光散乱法により測定された体積基準粒度分布(50%)を指している。
カラーインクに含まれる顔料の含有量は、カラーインクの総量に対して、0.2質量%超20質量%以下であり、好ましくは1質量%以上20質量%以下であり、より好ましくは1質量%以上15質量%以下であり、さらにより好ましくは1質量%以上10質量%以下である。
1.2.3.2.染料
色材として染料を用いてもよい。染料としては、特に限定されないが、酸性染料、直接染料、反応性染料、および塩基性染料が使用可能である。染料は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
染料としては、特に制限されないが、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクトブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
カラーインクに染料を用いる場合の染料の含有量は、カラーインクの総量に対して、0.2質量%超20.0質量%以下であり、好ましくは1.0質量%以上20.0質量%以下であり、より好ましくは1.0質量%以上15.0質量%以下であり、さらにより好ましくは1.0質量%以上10.0質量%以下である。
1.2.4.その他の添加剤
クリアインクは、必要に応じて、分散剤、重合禁止剤、スリップ剤、光増感剤などのその他の添加剤をさらに含んでもよい。
1.2.4.1.分散剤
分散剤は、カラーインク中おける、顔料などの色材に分散性を付与する機能を有している。分散剤を用いることによって、顔料などがカラーインク中に安定的に分散され、保管時の耐沈降性やインクジェットヘッドからの吐出安定性などが向上する。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用される、公知の分散剤が挙げられる。該分散剤の具体例としては、ポリオキシアルキレンポリアルキレンポリアミン、ビニル系ポリマーおよびコポリマー、アクリル系ポリマーおよびコポリマー、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、アミノ系ポリマー、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマー、含フッ素ポリマー、およびエポキシ樹脂のうち1種類以上を主成分とするものが挙げられる。分散剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
高分子分散剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、味の素ファインテクノ社のアジスパー(登録商標)シリーズ、Lubrizol社のSolsperse36000などのソルスパース(登録商標)シリーズ、BYK Additives&Instruments社のディスパービックシリーズ、楠本化成社のディスパロン(登録商標)シリーズなどが挙げられる。
1.2.4.2.重合禁止剤
重合禁止剤は、クリアインクと同様なものが採用可能である。重合禁止剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。カラーインクに含まれる重合禁止剤の含有量は、カラーインクの総量に対して、好ましくは0.05質量%以上1.00質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上0.50質量%以下である。
1.2.4.3.スリップ剤
スリップ剤は、クリアインクと同様なものが採用可能である。スリップ剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。カラーインクに含まれるスリップ剤の含有量は、カラーインクの総量に対して、好ましくは0.01質量%以上2.00質量%以下であり、より好ましくは0.05質量%以上1.00質量%以下である。
1.2.4.4.光増感剤
光増感剤は、クリアインクと同様なものが採用可能である。光増感剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。カラーインクに光増感剤を用いる場合の含有量は、カラーインクの総量に対して、好ましくは0.01質量%以上5.00質量%以下である。
1.3.クリアインクおよびカラーインクの調整方法
クリアインクおよびカラーインクの調整では、上述した各成分を混合し、各成分が均一に混合されるよう十分に撹拌を実施する。本実施形態では、調整過程において、光重合開始剤と重合性化合物の少なくとも一部とを混合した混合物に対して、超音波処理および加温処理の少なくとも何れかを施すこととする。これにより、調製されたカラーインクおよびクリアインクにおいて、溶存酸素が低減されて、吐出安定性や保存安定性を向上させることができる。ここで、以降の説明において、カラーインクおよびクリアインクを総称して、単にインクということもある。
上記混合物は、少なくとも光重合開始剤と重合性化合物の一部とを含むものであればよく、それ以外の成分をさらに含むものでもよく、インクの全ての成分を含むものでもよい。
1.4.インクの物性
インクの20℃における粘度は、22mPa・s(ミリパスカル秒)以上28mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは22mPa・s以上26mPa・s以下であり、さらにより好ましくは22mPa・s以上24mPa・s以下である。これによれば、インクジェットヘッドからインクが適量吐出され、インク液滴の飛行曲がりや飛散を抑えることができる。なお、インクの粘度の測定は、Pysica社の粘弾性試験機MCR−300を用いて、20℃の環境下で、Shear Rateを10から1000に上げていき、Shear Rateが200の時の粘度を読み取ることにより測定することが可能である。
インクの20℃における表面張力は、好ましくは20mN/m以上40mN/m以下である。これによれば、撥液処理されたインクジェットヘッドのノズル面に対して、インクが濡れ難くなる。そのため、インクジェットヘッドからインクが正常かつ適量吐出されて、インク液滴の飛行曲がりや飛散を抑えることができる。なお、インクの表面張力の測定は、協和界面科学社の自動表面張力計CBVP−Zを用いて、20℃の環境下で白金プレートをインクで濡らしたときの表面張力を確認することにより測定することが可能である。
2.1.インクジェット記録装置
次に、後述する本実施形態のインクジェット方法に用いるインクジェット記録装置について、シリアルタイプのインクジェットプリンターを例示する。図1は、実施形態に係るインクジェットプリンターの構成を示す概略斜視図である。なお、図1では、各部材を認識可能な程度の大きさとするため、各部材の尺度を実際とは異ならせしめている。
本実施形態のインクジェットプリンター1は、いわゆるシリアルタイプのプリンターと呼ばれるものである。シリアルプリンターとは、所定の方向に移動するキャリッジにインクジェットヘッドが搭載されており、キャリッジの移動に伴ってインクジェットヘッドが移動しながら印刷を行うプリンターをいう。以降、インクジェットプリンター1を、単にプリンター1ともいう。
図1に示すように、プリンター1は、インクジェットヘッド3、キャリッジ4、主走査機構5、プラテンローラー6、光源11、プリンター1全体の動作を制御する、図示しない制御部などを有している。キャリッジ4は、インクジェットヘッド3および光源11を搭載すると共に、インクジェットヘッド3に供給されるインクが収容された、容器としてのインクカートリッジ7a,7b,7c,7d,7eを着脱可能である。
主走査機構5は、キャリッジ4に接続されたタイミングベルト8、タイミングベルト8を駆動するモーター9、ガイド軸10を有している。ガイド軸10は、キャリッジ4の支持部材として、キャリッジ4の走査方向である主走査方向に架設されている。キャリッジ4は、タイミングベルト8を介してモーター9によって駆動され、ガイド軸10に沿って往復移動が可能である。これにより、主走査機構5は、キャリッジ4を主走査方向に往復移動させる。
プラテンローラー6は、インクが付着される記録媒体2を、主走査方向と直交する副走査方向に搬送する。そのため、記録媒体2は、記録媒体2の長さ方向と略一致する副走査方向に搬送される。キャリッジ4は、記録媒体2の幅方向と略一致する主走査方向に往復移動が可能である。そのため、インクジェットヘッド3および光源11は、記録媒体2に対して、主走査方向および副走査方向へ相対的に走査が可能となっている。
インクカートリッジ7a,7b,7c,7d,7eは、独立した5つのインクカートリッジである。インクカートリッジ7a,7b,7c,7d,7eには、上述したカラーインクおよびクリアインクが収容される。例えば、インクカートリッジ7a,7b,7c,7d,7eに、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローなどの色を呈するカラーインクと、クリアインクと、を個別に収容してインクセットとして用いることが可能である。図1では、インクカートリッジの数を5個としているが、これに限定されるものではない。インクカートリッジ7a,7b,7c,7d,7eの底部には、収容されたインクをインクジェットヘッド3へ供給するための、図示しない供給口が設けられている。
インクカートリッジ7aからインクカートリッジ7eの部材には、インク成分の蒸発や変質、インク成分による該部材の変質などが起こり難い形成材料を用いる。本実施形態では、インクの容器としてインクカートリッジを例示したが、これに限定されず、インクの容器としては、インクカートリッジの他に、インクパック、インクボトルなどを用いてもよい。
キャリッジ4の、記録媒体2と対向する側には、インクジェットヘッド3と光源11とが配置されている。インクジェットヘッド3は、記録媒体2と対向する面に、図示しないノズル面を有している。ノズル面には、フッ素化合物およびシリコーン化合物を含む高分子膜、またはニッケルおよびフッ素化合物を含む共析メッキ膜などを、撥液膜として形成してもよい。また、図示を省略するが、ノズル面には、複数の吐出ノズルから成るノズル列が、各インクに対応して個別に配置されている。各インクは、それぞれインクカートリッジ7a,7b,7c,7d,7eからインクジェットヘッド3に供給され、インクジェットヘッド3内の図示しないアクチュエーターによって、吐出ノズルから液滴として吐出される。吐出されたインクの液滴は、記録媒体2に着弾して付着される。
なお、本実施形態では、プリンター1として、カラーインクおよびクリアインクを吐出するインクジェットヘッド3を1つ備えた形態を例示したが、これに限定されない。プリンター1は、カラーインクを吐出するインクジェットヘッドと、クリアインクを吐出するインクジェットヘッドと、を個別に備えていてもよい。
インクジェットヘッド3では、駆動手段であるアクチュエーターとして圧電素子を用いているが、これに限定されない。駆動手段には、例えば、アクチュエーターとしての振動板を静電吸着により変位させる電気機械変換素子や、加熱によって生じる気泡によってインクを液滴として吐出させる電気熱変換素子を用いてもよい。
光源11は、インクジェットヘッド3と主走査方向に並んで配置されている。光源11は、放射線照射装置であり、例えば、UV−LED(紫外線発光ダイオード)などの図示しない発光素子を備えている。光源11から照射される放射線は、紫外線に限定されず、赤外線、電子線、可視光線、エックス線などであってもよい。ここで、光源11には、LED(発光ダイオード)やLD(半導体レーザー)などの発光素子に代えてランプなどを用いてもよいが、小型化やコスト低減などの観点から発光素子を用いることが好ましい。
記録媒体2に付着されたインクの液滴に対して、光源11から放射線が照射されることにより、インク中の重合性化合物の光重合反応が進行して、インクの液滴が硬化してインクの塗膜が形成される。これにより、記録媒体2の着色、記録媒体2上への画像、色彩、文字、模様などの形成、クリアインクの塗膜の形成が成される。
ここで、光源11は、インクジェットヘッド3に対して、主走査方向に並んで配置されることに限定されない、光源11は、インクジェットヘッド3に対して、記録媒体2が搬送される方向と逆の副走査方向にオフセットされていてもよい。なお、光源11は、キャリッジ4に配置されることに限定されず、キャリッジ4と別体であってもよい。
本実施形態では、インクジェット記録装置としてオンキャリッジタイプのプリンター1を例示したが、これに限定されない。インクジェット記録装置は、例えば、インクの容器がキャリッジに搭載されない、ラージフォーマットプリンターのようなオフキャリッジタイプであってもよい。また、本実施形態に用いられるインクジェット記録装置は、シリアルプリンターに限定されるものではなく、インクジェットヘッドが記録媒体2の幅と同等以上に広く形成され、インクジェットヘッドが移動せずに印刷を行うラインヘッドプリンターであってもよい。
2.2.記録媒体
記録媒体2は、インクと記録媒体とから作製される印刷物の用途などに応じて、適宜選択される。記録媒体2の形成材料としては、特に限定されないが、例えばポリ塩化ビニル(塩ビ)、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネート、二酢酸セルロース、三酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース、酪酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、硝酸セルロース、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタールなどのプラスチック類、およびこれらの表面が加工処理されているもの、ガラス、紙、金属、木材などが挙げられる。
記録媒体2の形態は、特に限定されるものではなく、例えばフィルム、シート、ボード、布などが挙げられる。本実施形態のインクセットは、延伸性および耐擦過性などが向上することから、印刷物をサイネージ用途で後加工する際に、切り出しや折り曲げなどでインクの塗膜に割れや剥がれが生じ難くなっている。これに加えて、クリアインクの塗膜の光沢性が向上することから、本実施形態のインクセットは、サイネージ用途に好適に用いることができる。
3.インクジェット方法
本実施形態に係るインクジェット方法は、上記インクセットを用い、カラーインクをインクジェットヘッド3から吐出して、記録媒体2に付着させる第1吐出工程と、記録媒体2に付着されたカラーインクに対して、放射線を照射する第1硬化工程と、クリアインクをインクジェットヘッド3から吐出して、記録媒体2における、放射線が照射されたカラーインクを含む領域に付着させる第2吐出工程と、クリアインクが付着された記録媒体2を静置するレベリング工程と、記録媒体2に付着されたクリアインクに対して、放射線を照射する第2硬化工程と、を含む。以下、本実施形態のインクジェット方法に含まれる各工程について、図1を参照して説明する。
3.1.第1吐出工程
第1吐出工程では、カラーインクをインクジェットヘッド3から吐出して記録媒体2に付着させる。詳しくは、圧電素子を駆動させて、インクジェットヘッド3の圧力発生室内に充填されたカラーインクを吐出ノズルから吐出させる。このような吐出方法をインクジェット法ともいう。このとき、記録媒体2の所定位置に対して、キャリッジ4の主走査方向への往復移動を複数回繰り返すマルチパスとしてもよい。すなわち、記録媒体2の副走査方向への搬送を一定期間停止してマルチパスでカラーインクの吐出を行い、その後に記録媒体2を短距離搬送してから再びマルチパスを実施する。
記録媒体2に対して、インクジェットヘッド3を相対的に移動させながらカラーインクを付着させることによって、記録媒体2上に、所望の画像などのベースとなる、カラーインクの液層が形成される。
3.2.第1硬化工程
第1硬化工程では、記録媒体2に付着されたカラーインクの液層に対し、光源11から放射線を照射して記録媒体2上のカラーインクを硬化させ、カラーインクの塗膜を形成する。詳しくは、記録媒体2の所定位置に対して、キャリッジ4を主走査方向に移動させながら、光源11から放射線を記録媒体2に向けて照射する。キャリッジ4の主走査方向への移動は、1回であってもよく、反復させてもよい。また、記録媒体2に対する上記放射線の照射領域は、カラーインクが付着された領域が含まれていればよい。放射線の照射によって、記録媒体2上のカラーインクの液層が硬化して、カラーインクの塗膜と成る。なお、記録媒体2上の特定の位置に対して、第1吐出工程および第1硬化工程を反復してもよく、反復しなくてもよい。
3.3.第2吐出工程
第2吐出工程では、クリアインクをインクジェットヘッド3から吐出して記録媒体2に付着させる。このとき、クリアインクが付着される領域は、記録媒体2上のカラーインクの塗膜が形成された領域を含めばよい。すなわち、クリアインクは、カラーインクの塗膜が形成されていない領域には付着されなくてもよく、あるいは、カラーインクの塗膜が形成されていない領域を含む、記録媒体2上の略全面にベタ状に付着されてもよい。なお、第1吐出工程におけるカラーインクと同様にして、第2吐出工程をマルチパスとしてもよく、マルチパスを行わないシングルパスとしてもよい。これにより、少なくともカラーインクの塗膜上に、クリアインクの液層が形成される。
3.4.レベリング工程
インクジェット方法は、第2吐出工程と後述する第2硬化工程との間に、クリアインクが付着した記録媒体2を所定時間静置させるレベリング工程を含んでいる。レベリング工程を設けることにより、カラーインクの塗膜上でクリアインクの液層が平坦化される。したがって、クリアインクの液層が平坦化された後に、後述する第2硬化工程にて該液層からクリアインクの塗膜が形成される。これにより、クリアインクの塗膜の平滑さが増して、クリアインクの塗膜の光沢性がさらに向上する。
ここでいう静置とは、第2吐出工程にてクリアインクが付着された記録媒体2に対して、第2硬化工程の放射線の照射を行わないことをいう。そのため、レベリング工程において、記録媒体2の副走査方向への搬送などは行われてもよい。
レベリング工程における静置時間は、好ましくは1秒以上120秒以下であり、より好ましくは2秒以上100秒以下であり、さらにより好ましくは4秒以上80秒以下である。これによれば、カラーインクの塗膜上でクリアインクの液層が十分に平坦化されるため、クリアインクの塗膜の光沢性がさらに向上する。
なお、本実施形態のインクジェット方法は、レベリング工程を含む構成としたが、これに限定されない。レベリング工程は、クリアインクの塗膜の光沢性が確保される場合には、省略することが可能である。上記光沢性をより向上させるという観点では、レベリング工程を設けることが好ましい。
3.5.第2硬化工程
第2硬化工程では、記録媒体2に付着されたクリアインクの液層に対し、光源11から放射線を照射してクリアインクを硬化させ、クリアインクの塗膜を形成する。詳しくは、カラーインクの塗膜上を含む、記録媒体2上の所定位置に対して、キャリッジ4を主走査方向に移動させながら、光源11から放射線を記録媒体2に向けて照射する。キャリッジ4の主走査方向への移動は、1回であってもよく、反復させてもよい。また、記録媒体2に対する上記放射線の照射領域は、クリアインクが付着された領域が含まれていればよい。放射線の照射によって、記録媒体2上のクリアインクの液層が硬化して、クリアインクの塗膜と成る。なお、記録媒体2上の特定の位置に対して、第2吐出工程から第2硬化工程までを反復してもよく、反復しなくてもよい。
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
クリアインクにおいて、塗膜の光沢性が向上すると共に塗膜からの臭気の発生を抑えることができる。詳しくは、モノマーBは、嵩高い分子構造を有している。モノマーBを用いることにより、クリアインクから形成される塗膜の光沢性を向上させることができる。モノマーAは、分子構造中に水酸基を有していることから、嵩高い分子構造を持つ重合性化合物と比べて塗膜の臭気が発生し難い。そのため、モノマーBに対してモノマーAを併用することで、塗膜から発生する臭気を抑えることができる。また、モノマーAは、塗膜の光沢性に対する影響が小さく、塗膜の光沢性を低下させない。
さらに、モノマーAおよびモノマーBの合計の含有量が、80質量%以上であるため、PEAのようなモノマーAおよびモノマーB以外の重合性化合物を含有させる場合に、これらモノマーAおよびモノマーB以外の重合性化合物の含有量が必然的に少なくなる。以上によって、クリアインクにおいて、塗膜の光沢性が向上すると共に塗膜からの臭気の発生を抑えたインクセットを提供することができる。
クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、モノマーAの含有量が5質量%以上であることから、塗膜から発生する臭気をさらに抑えることができる。また、モノマーAの含有量が15質量%以下であることから、クリアインクにおける過度な粘度増加を抑えることができる。クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、モノマーBの含有量が70質量%以上であることから、クリアインクの塗膜の光沢性をさらに向上させることができる。
クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、単官能モノマーの含有量が85質量%以上であることから、クリアインクの塗膜の延伸性が向上する。そのため、サイネージ用途などで柔軟なシート上に該塗膜を形成しても、割れや剥がれが生じ難くなる。すなわち、サイネージ用途に好適なインクセットとすることができる。
クリアインクの総量に対して、多官能モノマーの含有量が0.01質量%以上15.00質量%以下であることから、多官能モノマーによって塗膜中に架橋構造が形成されて、多官能モノマーを用いない場合と比べて、塗膜の硬化性および耐擦過性を向上させることができる。また、多官能モノマーの含有量が15.00質量%以下であることから、塗膜の延伸性を確保することができる。
クリアインクに含まれる重合性化合物の各含有量の質量比を重みとする、重合性化合物における各ホモポリマーのガラス転移温度の加重平均が、48℃以上であることから、クリアインクの塗膜の耐擦過性を向上させることができる。
カラーインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、単官能モノマーの含有量が85質量%以上であることから、カラーインクに対して、上記のクリアインクを好適に用いることができる。詳しくは、従来、カラーインクの塗膜上にクリアインクの塗膜を形成する場合に、クリアインク中に単官能モノマーが多く含まれると、クリアインクの塗膜の光沢性が低下しやすかった。これに対して、本発明のクリアインクであれば、クリアインクの塗膜の光沢性を向上させることができる。
インクジェット方法により、カラーインクの塗膜上にクリアインクの塗膜が形成される。そのため、クリアインクの塗膜は、カラーインクの塗膜を保護すると共に、光沢性を向上させる。これにより、カラーインクの耐擦過性および光沢性が向上した印刷物を作製することができる。
レベリング工程において、記録媒体2に付着されたクリアインクの液層がより平坦化される。そのため、光沢性がさらに向上した印刷物を作製することができる。
4.実施例および比較例
以下、実施例および比較例を示して、本発明の効果をより具体的に説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
4.1.クリアインクおよびカラーインクの調製
表1および表2には、各クリアインクおよび各カラーインクの組成、用いる重合性化合物に関する種別、化合物名、モノマーAおよびモノマーBの該非、各重合性化合物のホモポリマーのガラス転移温度(Tg)、Van−der−Waals半径で定義されるパラメーター、および重合性化合物の種別に関する含有量を示している。なお、表1および表2の組成の欄において、数値の単位は質量%であり、数値の記載がない、−表記の欄は含有しないことを意味する。また、表1および表2の各成分の名称には略称を用いている。該略称については後述する。
表1および表2に示した、クリアインク1からクリアインク16の組成にしたがって、ステンレススチール製の混合物用タンクに、重合性化合物、光重合開始剤、重合禁止剤、およびスリップ剤を計り入れた。次いで、メカニカルスターラーを用いて、約20℃の環境下で1時間撹拌し、光重合開始剤などの固形分を重合性化合物に完全に溶解させた。その後、ポアサイズが5μmのメンブレンフィルターにてろ過を実施して、クリアインク1からクリアインク16までを調製した。
表2に示した、カラーインク1およびカラーインク2の組成にしたがって、色材である顔料、分散剤、および重合性化合物の一部を秤量して、ビーズミル分散用のタンクに入れた。次いで、該タンクに直径1mmのセラミック製ビーズを入れてビーズミルにて分散させて、顔料が重合性化合物中に分散された顔料分散液を作製した。
上記顔料分散液とは別に、ステンレススチール製の混合物用タンクに、上記顔料分散液に配合した成分以外の、残りの重合性化合物、光重合開始剤、重合禁止剤、およびスリップ剤を計り入れた。次いで、メカニカルスターラーを用いて撹拌し、光重合性化合物などの固形分を重合性化合物に完全に溶解させた。次いで、上記顔料分散液を計り入れて、約20℃の環境下でさらに1時間撹拌した。その後、ポアサイズが5μmのメンブレンフィルターにてろ過を実施して、カラーインク1およびカラーインク2をそれぞれ調製した。
Figure 2021038345
Figure 2021038345
表1および表2において用いた略称の詳細は、以下の通りである。
単官能モノマー
・4HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート。大阪有機化学工業社
・DA−141:2−ヒドロキシ−3フェノキシプロピルアクリレート。ナガセケムテックス社
・HPA:ヒドロキシプロピルアクリレート。大阪有機化学工業社
・IBXA:イソボルニルアクリレート。大阪有機化学工業社
・DCPA:ジシクロペンテニルアクリレート。日立化成社
・TBCHA:tertブチルシクロヘキサノールアクリレート。商品名SR217、サートマー社
・PEA:フェノキシエチルアクリレート。商品名ビスコート#192、大阪有機化学工業社
・ACMO:アクロイルモルフォリン。KJケミカルズ社
なお、上記単官能モノマーのうち、モノマーAに該当するものは4HBAおよびHPAであり、モノマーBに該当するものはIBXA、DCPAおよびTBCHAであり、モノマーAおよびモノマーBの双方に該当するものはDA−141である。
多官能モノマー
・DPGDA:ジプロピレングリコールジアクリレート。サートマー社
DPGDAはモノマーBに該当する。
光重合開始剤
・IRGACURE 819:商品名。ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフォンオキサイド。BASF社
・IRGACURE TPO:商品名。2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフォンオキサイド。BASF社
重合禁止剤
・MEHQ:4−メトキシフェノール。関東化学社
スリップ剤
・BYK−UV3500:アクロイル基を有するポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン。BYK Additives&Instruments社
顔料
・PB 15:3:C.I.ピグメントブルー15:3
分散剤
・Solsperse36000:商品名。高分子分散剤。Lubrizol社
また、表1および表2において、Van−der−Waals半径で定義されるパラメーターのうち、体積の数値は、MOLSIS社のソフトウェア COSMOthermを用いて算出された、分子が真空中に浮いた状態における、該分子を構成する各原子のVan−der−Waals半径によって形成される該分子のキャビティーの体積である。上記パラメーターのうち、長辺の長さの数値は、上記体積の算出に用いられた、上記キャビティーの最も長い辺である。上記パラメーターのうち、高さ方向の面積とは、上記体積を上記長辺の長さで除した数値である。
4.2.インクセット
表3では、実施例1から実施例14、および比較例1から比較例5のインクセットの内容と、各インクセットの評価結果を示している。なお、以降、実施例1から実施例14を総称して、単に実施例ということもあり、比較例1から比較例5を総称して、単に比較例ということもある。
ここで、比較例1のインクセットは、クリアインク5を用いている。クリアインク5は、重合性化合物の総量に対するモノマーAの含有量が、0質量%であり、5質量%未満となっている。
比較例2および比較例4のインクセットは、クリアインク12を用いている。クリアインク12は、重合性化合物の総量に対するモノマーAおよびモノマーBの合計の含有量が、74質量%であり、80質量%未満となっている。
比較例3および比較例5のインクセットは、クリアインク13を用いている。クリアインク13は、重合性化合物の総量に対するモノマーAおよびモノマーBの合計の含有量が、79質量%であり、80質量%未満となっている。
Figure 2021038345
4.3.評価
実施例および比較例の各インクセットについて、以下に述べる評価を行い、その評価結果を表3に示した。
4.3.1.クリアインクの粘度
上述したインクの20℃における粘度の測定方法により、クリアインクの20℃の粘度を測定し、次の評価基準にしたがって評価した。
評価基準
AA:22mPa・s以上24mPa・s以下である。
A :24mPa・s超26mPa・s以下である。
B :26mPa・s超28mPa・s以下である。
C :28mPa・s超である。
4.3.2.クリアインクの塗膜の臭気
バーコーターを用いて、各インクセットに対応するクリアインクを記録媒体上に厚さが10μmとなるように塗布した。記録媒体には、塩ビフィルムとして、MACtac社の商品名 JT5829を用いた。次いで、UV−LEDを用い、400mJ/cm2のエネルギーで放射線を照射してクリアインクの塗膜を形成した。クリアインクの塗膜から発生する臭気について約25℃の環境下で官能評価を行い、次の評価基準にしたがって評価した。
評価基準
A:無臭である、やっと感知できる臭いである、および何の臭いか分かる弱い臭いである、のうちのいずれか。
B:容易に感知できる臭いである。
C:強い、あるいは強烈な臭いである。
4.3.3.クリアインクの塗膜の光沢性
バーコーターを用いて、カラーインクを記録媒体上に厚さが10μmとなるように塗布した。記録媒体には、ポリカーボネートとして、三菱ガス化学社のユーピロン(登録商標)NF2000を用いた。次いで、UV−LEDを用い、400mJ/cm2のエネルギーで放射線を照射してカラーインクの塗膜を形成した。その後、カラーインクの塗膜上に、バーコーターにてクリアインクを厚さが10μmとなるように塗布した。ここで、クリアインクを塗布した後、レベリング工程として1分間静置した。次いで、上記UV−LEDを用い、400mJ/cm2のエネルギーで放射線を照射してクリアインクの塗膜を形成した。このクリアインクの塗膜を蛍光灯下にて目視した際の、該蛍光灯の反射が確認可能な目とクリアインクの塗膜との距離を測定した。上記距離について、次の評価基準にしたがって光沢性を評価した。
評価基準
A:距離が50cm以上であっても蛍光灯の反射が確認できる。
B:30cm以上50cm未満の距離で蛍光灯の反射が確認できる。
C:10cm以上30cm未満の距離で蛍光灯の反射が確認できる。
D:10cm未満の距離で蛍光灯の反射が確認できる、または反射が確認できない。
4.3.4.クリアインクの塗膜の延伸性
バーコーターを用いて、各インクセットに対応するクリアインクを記録媒体上に厚さが10μmとなるように塗布した。記録媒体には、塩ビフィルムとして、MACtac社の商品名 JT5829を用いた。次いで、アイグラフィックス社のメタルハライドランプを用い、400mJ/cm2のエネルギーで放射線を照射してクリアインクの塗膜を形成した。
次に、クリアインクの塗膜から上記塩ビフィルムの剥離紙を剥がし、クリアインクの塗膜を塩ビフィルムと共に幅1cmで長さが8cmの短冊状に切り出して試験片を作製した。該試験片について、ORIENTEC社の引張試験機TENSILON(登録商標)を用いて、約25℃の環境下で延伸性の指標である伸び率を測定した。伸び率には、毎分5mmの速度で試験片を延伸させて、クリアインクの塗膜にクラックが発生した時点の値を採用した。具体的には、上記試験片をセットした引張試験機のチャック間距離について、次の式から伸び率を計算した。伸び率={(クラック発生時のチャック間距離−延伸前の初期のチャック間距離)/延伸前の初期のチャック間距離}×100。次の評価基準にしたがって、延伸性を評価した。
評価基準
A:伸び率が300%以上である。
B:伸び率が200%以上300%未満である。
C:伸び率が200%未満である。
4.3.5.クリアインクおよびカラーインクの塗膜の耐擦過性
バーコーターを用いて、カラーインクを記録媒体上に厚さが10μmとなるように塗布した。記録媒体には、塩ビフィルムとして、MACtac社の商品名 JT5829を用いた。次に、アイグラフィックス社のメタルハライドランプを用い、400mJ/cm2のエネルギーで放射線を照射してカラーインクの塗膜を形成した。その後、カラーインクの塗膜上に、バーコーターにてクリアインクを厚さが10μmとなるように塗布した。次いで、上記メタルハライドランプを用い、400mJ/cm2のエネルギーで放射線を照射してクリアインクの塗膜を形成した。
上記カラーインクおよびクリアインクの塗膜について、耐擦過性の指標として、JIS R3255のマイクロスクラッチ試験を行った。具体的には、ナノテック社の超薄膜スクラッチ試験機CSR−5000を用い、触針にかける荷重を変えて上記塗膜を引っ掻き、触針が塗膜を貫通して記録媒体である塩ビフィルムまで達した際の上記荷重を測定した。ここで、触針が塩ビフィルムに達した際の、触針にかけられた荷重を耐荷重ともいう。測定条件は、触針スタイラス径が15μm、振幅が100μm、引っ掻き速度が毎秒10μmとした。測定された耐荷重について、次の評価基準にしたがって耐擦過性を評価した。なお、耐荷重が大きいほど耐擦過性が優れている。
評価基準
A:耐荷重が25mN/cm2以上である。
B:耐荷重が20mN/cm2以上25mN/cm2未満である。
C:耐荷重が20mN/cm2未満である。
4.4.評価結果のまとめ
表3に示したように、実施例4および実施例7以外の実施例では、クリアインクの塗膜における臭気および光沢性が、共に優に相当するA評価となった。また、実施例4は、塗膜の臭気が可に相当するB評価、塗膜の光沢性がA評価となった。実施例7は、塗膜の臭気がA評価、塗膜の光沢性が可に相当するB評価となった。これにより、実施例のインクセットは、クリアインクの塗膜の光沢性が向上すると共に、該塗膜からの臭気の発生が抑えられることが示された。
また、クリアインクの粘度は、実施例3および実施例10以外の実施例で、優に相当するA評価以上となった。クリアインクの塗膜の延伸性は、実施例9および実施例10以外の実施例で、優に相当するA評価となった。クリアインクおよびカラーインクの塗膜の耐擦過性は、実施例13以外の実施例で可に相当するB評価以上となり、特に実施例5、実施例6以外の実施例で優に相当するA評価となった。これにより、実施例のインクセットでは、クリアインクの粘度、および塗膜の延伸性および耐擦過性も向上しやすいことが示された。
一方、比較例2から比較例5では、クリアインクの塗膜における光沢性が不可に相当するC評価以下となった。また、比較例1では、クリアインクの塗膜の臭気が不可に相当するC評価となった。すなわち、比較例のインクセットでは、クリアインクの塗膜における臭気および光沢性の双方が共には向上し難いことが分かった。特に、カラーインク1を用いた比較例2および比較例3は、カラーインク2を用いた比較例4および比較例5と比べて光沢性が劣っている。これに対して、実施例のインクセットでは、カラーインク1を用いたインクセットにおいてもB評価以上となっている。すなわち、カラーインク1に対して実施例のクリアインクは好適であることが示された。
以下に、実施形態から導き出される内容を記載する。
インクセットは、重合性化合物を含む放射線硬化型インクジェットインクのインクセットであって、インクセットは、カラーインクとクリアインクと、を含み、クリアインクに含まれる重合性化合物は、水酸基を有するモノマーAと、Van−der−Waals半径で定義される体積が0.26立方nm以上、かつ長辺に対する高さ方向の面積が0.25平方nm以上であるモノマーBと、を含み、モノマーAおよびモノマーBの合計の含有量が、クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、80質量%以上である。
この構成によれば、クリアインクにおいて、塗膜の光沢性が向上すると共に塗膜からの臭気の発生を抑えることができる。詳しくは、モノマーBは、嵩高い分子構造を有している。モノマーBを用いることにより、クリアインクから形成される塗膜の光沢性を向上させることができる。モノマーAは、分子構造中に水酸基を有していることから、嵩高い分子構造を持つ重合性化合物と比べて塗膜の臭気が発生し難い。そのため、モノマーBに対してモノマーAを併用することで、塗膜から発生する臭気を抑えることができる。また、モノマーAは、塗膜の光沢性に対する影響が小さく、塗膜の光沢性を低下させない。
さらに、モノマーAおよびモノマーBの合計の含有量が、80質量%以上であるため、PEAのようなモノマーAおよびモノマーB以外の重合性化合物を含有させる場合に、これらモノマーAおよびモノマーB以外の重合性化合物の含有量が必然的に少なくなる。以上によって、クリアインクにおいて、塗膜の光沢性が向上すると共に塗膜からの臭気の発生を抑えたインクセットを提供することができる。
上記のインクセットは、クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、モノマーAの含有量が5質量%以上15質量%以下であることが好ましい。
この構成によれば、モノマーAの含有量が5質量%以上であることから、塗膜から発生する臭気をさらに抑えることができる。また、モノマーAの含有量が15質量%以下であることから、クリアインクにおける過度な粘度増加を抑えることができる。
上記のインクセットは、クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、モノマーBの含有量が70質量%以上であることが好ましい。
この構成によれば、クリアインクから形成される塗膜の光沢性を、さらに向上させることができる。
上記のインクセットにおいて、クリアインクに含まれる重合性化合物は、単官能モノマーを含み、クリアインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、単官能モノマーの含有量が85質量%以上であることが好ましい。
この構成によれば、クリアインクから形成される塗膜の延伸性が向上する。そのため、サイネージ用途などで柔軟なシート上に該塗膜を形成しても、割れや剥がれが生じ難くなる。すなわち、サイネージ用途に好適なインクセットとすることができる。
上記のインクセットにおいて、クリアインクに含まれる重合性化合物は、多官能モノマーを含み、クリアインクの総量に対して、多官能モノマーの含有量が0.01質量%以上15.00質量%以下であることが好ましい。
この構成によれば、多官能モノマーによって塗膜中に架橋構造が形成される。そのため、多官能モノマーを用いない場合と比べて、塗膜の硬化性および耐擦過性を向上させることができる。また、多官能モノマーの含有量が15.00質量%以下であることから、塗膜の延伸性を確保することができる。
上記インクセットは、クリアインクに含まれる重合性化合物の各含有量の質量比を重みとする、重合性化合物における各ホモポリマーのガラス転移温度の加重平均が、48℃以上であることが好ましい。
この構成によれば、クリアインクから形成される塗膜の耐擦過性を向上させることができる。
上記インクセットにおいて、カラーインクに含まれる重合性化合物は、単官能モノマーを含み、カラーインクに含まれる重合性化合物の総量に対して、単官能モノマーの含有量が85質量%以上であることが好ましい。
この構成によれば、カラーインクに対して、上記のクリアインクを好適に用いることができる。詳しくは、従来、カラーインクの塗膜上にクリアインクの塗膜を形成する場合に、カラーインク中に単官能モノマーが多く含まれると、クリアインクの塗膜の光沢性が低下しやすかった。これに対して、本発明のクリアインクであれば、クリアインクの塗膜の光沢性を向上させることができる。
インクジェット方法は、上記のインクセットを用いるインクジェット方法であって、カラーインクをインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体に付着させる第1吐出工程と、記録媒体に付着されたカラーインクに対して、放射線を照射する第1硬化工程と、クリアインクをインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体における、放射線が照射されたカラーインクを含む領域に付着させる第2吐出工程と、記録媒体に付着されたクリアインクに対して、放射線を照射する第2硬化工程と、を含む。
この構成によれば、カラーインクの塗膜上にクリアインクの塗膜が形成される。そのため、クリアインクの塗膜は、カラーインクの塗膜を保護すると共に、光沢性を向上させる。これにより、カラーインクの耐擦過性および光沢性が向上した印刷物を作製することができる。
上記のインクジェット方法は、第2吐出工程と第2硬化工程との間に、クリアインクが付着された記録媒体を静置するレベリング工程を含むことが好ましい。
この構成によれば、記録媒体に付着されたクリアインクの液層が、レベリング工程においてさらに平坦化される。そのため、光沢性がさらに向上した印刷物を作製することができる。
1…インクジェットプリンター、2…記録媒体、3…インクジェットヘッド。

Claims (9)

  1. 重合性化合物を含む放射線硬化型インクジェットインクのインクセットであって、
    前記インクセットは、カラーインクとクリアインクと、を含み、
    前記クリアインクに含まれる前記重合性化合物は、水酸基を有するモノマーAと、Van−der−Waals半径で定義される体積が0.26立方nm以上、かつ長辺に対する高さ方向の面積が0.25平方nm以上であるモノマーBと、を含み、
    前記モノマーAおよび前記モノマーBの合計の含有量が、前記クリアインクに含まれる前記重合性化合物の総量に対して、80質量%以上であるインクセット。
  2. 前記クリアインクに含まれる前記重合性化合物の総量に対して、前記モノマーAの含有量が5質量%以上15質量%以下である、請求項1に記載のインクセット。
  3. 前記クリアインクに含まれる前記重合性化合物の総量に対して、前記モノマーBの含有量が70質量%以上である、請求項1または請求項2に記載のインクセット。
  4. 前記クリアインクに含まれる前記重合性化合物は、単官能モノマーを含み、
    前記クリアインクに含まれる前記重合性化合物の総量に対して、前記単官能モノマーの含有量が85質量%以上である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のインクセット。
  5. 前記クリアインクに含まれる前記重合性化合物は、多官能モノマーを含み、
    前記クリアインクの総量に対して、前記多官能モノマーの含有量が0.01質量%以上15.00質量%以下である、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のインクセット。
  6. 前記クリアインクに含まれる前記重合性化合物の各含有量の質量比を重みとする、前記重合性化合物における各ホモポリマーのガラス転移温度の加重平均が、48℃以上である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のインクセット。
  7. 前記カラーインクに含まれる前記重合性化合物は、単官能モノマーを含み、
    前記カラーインクに含まれる前記重合性化合物の総量に対して、前記単官能モノマーの含有量が85質量%以上である、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のインクセット。
  8. 請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のインクセットを用いるインクジェット方法であって、
    前記カラーインクをインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体に付着させる第1吐出工程と、
    前記記録媒体に付着された前記カラーインクに対して、放射線を照射する第1硬化工程と、
    前記クリアインクをインクジェットヘッドから吐出して、前記記録媒体における、前記放射線が照射された前記カラーインクを含む領域に付着させる第2吐出工程と、
    前記記録媒体に付着された前記クリアインクに対して、放射線を照射する第2硬化工程と、を含むインクジェット方法。
  9. 前記第2吐出工程と前記第2硬化工程との間に、前記クリアインクが付着された前記記録媒体を静置するレベリング工程を含む、請求項8に記載のインクジェット方法。
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