JP2021037888A - 車両用空気調和装置 - Google Patents

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Yuma Yamazaki
雄満 山崎
徹也 石関
Tetsuya Ishizeki
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Abstract

【課題】室外熱交換器の除霜時の圧縮機制御を適切に行うことで、車両の航続可能距離の短縮を抑制しながら、快適性も向上させることができる車両用空気調和装置を提供する。【解決手段】コントローラにより、圧縮機2から吐出された冷媒を放熱器4にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、室外熱交換器7にて吸熱させて車室内を暖房する暖房モードを有する。コントローラは、圧縮機2から吐出された高温冷媒を室外熱交換器7に流して除霜する除霜モードを有すると共に、車両の状態に応じて、除霜モードにおける圧縮機2の制御上の上限回転数を決定する。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の車室内を空調するヒートポンプ方式の車両用空気調和装置に関するものである。
近年の環境問題の顕在化から、ハイブリッド自動車や電気自動車が普及するに至っている。そして、このような車両に適用することができる空気調和装置として、車両に搭載されたバッテリから給電されて冷媒を圧縮する電動式の圧縮機と、車室内の空気流通路に設けられて冷媒を放熱させる放熱器(室内熱交換器)と、車室外に設けられて冷媒を吸熱させる室外熱交換器等から構成される冷媒回路を備え、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器において放熱させ、この放熱器において放熱した冷媒を室外熱交換器において吸熱させることで車室内を暖房するヒートポンプ方式の車両用空気調和装置が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2012−46589号公報
ここで、車室内を暖房する場合には室外熱交換器にて冷媒が外気中から吸熱する。即ち、室外熱交換器が蒸発器となるため、室外熱交換器には外気中の水分が霜となって付着し、成長するようになる。室外熱交換器に霜が生じるとそれが断熱材となって外気と冷媒との熱交換を阻害するため、係る場合には室外熱交換器に圧縮機から吐出された高温冷媒を流して除霜することになる(特許文献1)。
ここで、電気自動車の場合には室外熱交換器の除霜はバッテリの充電中のみに実施されるものであった。また、その場合の圧縮機の上限回転数も或る固定された値であった。一方、室外熱交換器の着霜量が多く、車室内の空調に支障が生じる場合には、室外熱交換器の除霜を車両の走行中(停車を含む。以下、同じ)や駐車中(バッテリの充電時以外)にも実施する必要が出てくる。
その場合、従来の如く除霜時の圧縮機の上限回転数が固定値であると、車両の状態によっては必要以上にバッテリの電力を消費してしまい、航続可能距離を短くしてしまうと云う問題がある。また、車中において仮眠中である場合や、夜間に住宅密集地を運転する場合等、静音性が重視される状況においては、室外熱交換器の除霜時に圧縮機が発生する騒音が問題となる場合もあった。
本発明は、係る従来の技術的課題を解決するために成されたものであり、室外熱交換器の除霜時の圧縮機制御を適切に行うことで、車両の航続可能距離の短縮を抑制しながら、快適性も向上させることができる車両用空気調和装置を提供することを目的とする。
本発明の車両用空気調和装置は、車両に搭載されたバッテリから給電されて冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒を放熱させて車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、車室外に設けられた室外熱交換器と、制御装置を備え、この制御装置により、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、室外熱交換器にて吸熱させて車室内を暖房するものであって、制御装置は、圧縮機から吐出された高温冷媒を室外熱交換器に流して除霜すると共に、車両の状態に応じて、除霜時における圧縮機の制御上の上限回転数を決定することを特徴とする。
請求項2の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において車両の状態は、停車状態を含む車両の走行状態、車両の駐車状態、バッテリの充電状態のうちの二つ、又は、全てであることを特徴とする。
請求項3の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御装置は、車両の状態に応じて除霜時における圧縮機の制御上の上限回転数を決定するための判断条件を変更することを特徴とする。
請求項4の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において圧縮機の制御上の上限回転数を決定するための判断条件は、バッテリを充電する際の充電方式、バッテリの充電残量、次回走行開始するまでの時間、除霜中における室外熱交換器の温度上昇の状況、省電力での運転が設定されているか否か、静音運転が設定されているか否か、のうちから選択されることを特徴とする。
請求項5の発明の車両用空気調和装置は、上記発明において制御装置は、バッテリの充電状態において室外熱交換器の除霜を行う際、急速充電方式である場合には、普通充電方式の場合に比して圧縮機の制御上の上限回転数を上げる方向で変更することを特徴とする。
請求項6の発明の車両用空気調和装置は、請求項4又は請求項5の発明において制御装置は、車両の走行状態、及び/又は、車両の駐車状態において室外熱交換器の除霜を行う際、バッテリの充電残量が所定値未満である場合には、所定値以上である場合に比して除霜時における圧縮機の制御上の上限回転数を下げる方向で変更することを特徴とする。
請求項7の発明の車両用空気調和装置は、請求項4乃至請求項6の発明において制御装置は、車両の駐車状態、及び/又は、バッテリの充電状態において室外熱交換器の除霜を行う際、次回走行開始するまでに室外熱交換器の除霜が終了するように圧縮機の制御上の上限回転数を変更することを特徴とする。
請求項8の発明の車両用空気調和装置は、請求項4乃至請求項7の発明において制御装置は、室外熱交換器の除霜中に圧縮機の消費電力量が所定値以上となった時点で、室外熱交換器の温度と所定の除霜終了温度との差が所定値より大きい場合、所定値以下である場合に比して圧縮機の制御上の上限回転数を下げる方向で変更することを特徴とする。
請求項9の発明の車両用空気調和装置は、請求項4乃至請求項7の発明において制御装置は、室外熱交換器の除霜中に圧縮機の消費電力量が所定値以上となった時点で、室外熱交換器の温度上昇率が所定値未満である場合、所定値以上である場合に比して圧縮機の制御上の上限回転数を下げる方向で変更することを特徴とする。
請求項10の発明の車両用空気調和装置は、請求項4乃至請求項9の発明において制御装置は、省電力での運転が設定されている場合、当該省電力での運転が設定されていない場合に比して、除霜時における圧縮機の制御上の上限回転数を下げる方向で変更することを特徴とする。
請求項11の発明の車両用空気調和装置は、請求項4乃至請求項10の発明において制御装置は、静音運転が設定されている場合、当該静音運転が設定されていない場合に比して、除霜時における圧縮機の制御上の上限回転数を下げる方向で変更することを特徴とする。
請求項12の発明の車両用空気調和装置は、請求項2乃至請求項11の発明において室外熱交換器への走行風の流入を阻止するためのグリルシャッタを備え、制御装置は、車両の走行状態において室外熱交換器の除霜を行う際、グリルシャッタを閉じることを特徴とする。
請求項13の発明の車両用空気調和装置は、請求項1又は請求項2の発明において制御装置は、車両の状態に応じて除霜時における圧縮機の制御上の上限回転数を変更することを特徴とする。
請求項14の発明の車両用空気調和装置は、上記各発明において制御装置は、所定の入力操作により、室外熱交換器の除霜実施の可否を選択可能とされていることを特徴とする。
ここで、図15はこの種の車両用空気調和装置の室外熱交換器の除霜時の圧縮機の回転数と消費電力量の関係を示している。横軸は時間、縦軸は圧縮機の回転数と消費電力量である。圧縮機の制御上の上限回転数を所定の高い値(A:例えば5000rpm)として室外熱交換器の除霜を行った場合、除霜は短い時間で終了するが、上限回転数を低い値(B:例えば3500rpm)とした場合には、当然に除霜に要する時間は長くなる。
一方、除霜時の圧縮機の上限回転数を高い値(A)とした場合と、低い値(B)とした場合の圧縮機の消費電力量を比較すると、図15の下側にハッチング(ハッチング部分の面積が消費電力量)で示すように、上限回転数が高い値(A)の場合の方が、低い値(B)の場合よりも消費電力量が大きくなることが分かっている。
即ち、圧縮機の上限回転数を高くすると、室外熱交換器の除霜は早く終了するが、その分圧縮機の消費電力量が大きくなり、バッテリの電力を多く消費して車両の航続可能距離を縮めてしまうことになる。逆に、上限回転数を低くすれば、圧縮機の消費電力量は減少するものの、除霜に時間を要するようになる。
そこで、本発明では車両に搭載されたバッテリから給電されて冷媒を圧縮する圧縮機と、冷媒を放熱させて車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、車室外に設けられた室外熱交換器と、制御装置を備え、この制御装置により、圧縮機から吐出された冷媒を放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、室外熱交換器にて吸熱させて車室内を暖房する車両用空気調和装置において、制御装置が、圧縮機から吐出された高温冷媒を室外熱交換器に流して除霜すると共に、車両の状態に応じて、除霜時における圧縮機の制御上の上限回転数を決定するようにした。
これにより、例えば、請求項2の発明の如き、停車状態を含む車両の走行状態、車両の駐車状態、バッテリの充電状態のうちの二つ、又は、全てに応じて圧縮機の上限回転数を決定することで、車両の状態にあった除霜時の圧縮機制御を行い、室外熱交換器の除霜に必要以上の電力を消費してしまう不都合を未然に回避することが可能となるので、車両の航続可能距離を延ばしながら、快適な車室内空調を実現することができるようになる。
この場合、例えば請求項3の発明の如く制御装置は、車両の状態に応じて除霜時における圧縮機の制御上の上限回転数を決定するための判断条件を変更するとよい。そして、この圧縮機の制御上の上限回転数を決定するための判断条件は、例えば、請求項4の発明の如き、バッテリを充電する際の充電方式、バッテリの充電残量、次回走行開始するまでの時間、除霜中における室外熱交換器の温度上昇の状況、省電力での運転が設定されているか否か、静音運転が設定されているか否か、のうちから選択するとよい。
具体的には、例えば請求項5の発明の如く制御装置が、バッテリの充電状態において室外熱交換器の除霜を行う際、急速充電方式である場合には、普通充電方式の場合に比して圧縮機の制御上の上限回転数を上げる方向で変更することで、急速充電方式でバッテリを充電する際に室外熱交換器の除霜を行う場合には、当該室外熱交換器の除霜を早期に終了させ、急速充電によるメリットを最大限に生かすことができるようになる。
また、例えば請求項6の発明の如く制御装置が、車両の走行状態、及び/又は、車両の駐車状態において室外熱交換器の除霜を行う際、バッテリの充電残量が所定値未満である場合には、所定値以上である場合に比して除霜時における圧縮機の制御上の上限回転数を下げる方向で変更することで、バッテリの充電残量が少ない場合には、室外熱交換器の除霜に伴う電力消費を抑え、或いは、無くして(上限回転数を零とした場合)、車両が走行できなくなる不都合を回避することができるようになる。
また、例えば請求項7の発明の如く制御装置が、車両の駐車状態、及び/又は、バッテリの充電状態において室外熱交換器の除霜を行う際、次回走行開始するまでに室外熱交換器の除霜が終了するように圧縮機の制御上の上限回転数を変更することで、次回走行開始するまでの時間が分かっている場合には、走行開始するまでに室外熱交換器の除霜を終えておくことができるようになる。
ここで、室外熱交換器が着氷状態である場合には、除霜に或る程度の電力量を投入しても室外熱交換器の温度上昇は鈍化する。このような場合に室外熱交換器を完全に除霜するには、多大な電力量が必要となり、バッテリの充電残量が著しく低下してしまうことになるので、バッテリを充電していないときには、却って除霜を行わないほうが、効率的なエネルギー使用となる場合もある。
そこで、例えば請求項8の発明の如く制御装置が、室外熱交換器の除霜中に圧縮機の消費電力量が所定値以上となった時点で、室外熱交換器の温度と所定の除霜終了温度との差が所定値より大きい場合、所定値以下である場合に比して圧縮機の制御上の上限回転数を下げる方向で変更することで、室外熱交換器が着氷状態等である場合に、室外熱交換器の除霜に伴う電力消費を抑え、或いは、無くして(上限回転数を零とした場合)、無用なバッテリの電力消費を回避することができるようになる。
同様に、例えば請求項9の発明の如く制御装置が、室外熱交換器の除霜中に圧縮機の消費電力量が所定値以上となった時点で、室外熱交換器の温度上昇率が所定値未満である場合、所定値以上である場合に比して圧縮機の制御上の上限回転数を下げる方向で変更することでも、室外熱交換器が着氷状態等である場合に、室外熱交換器の除霜に伴う電力消費を抑え、或いは、無くして(上限回転数を零とした場合)、無用なバッテリの電力消費を回避することができるようになる。
また、請求項10の発明の如く制御装置が、省電力での運転が設定されている場合、当該省電力での運転が設定されていない場合に比して、除霜時における圧縮機の制御上の上限回転数を下げる方向で変更するようにすれば、車両の省電力での運転に効果的に寄与することができるようになる。
また、請求項11の発明の如く制御装置が、静音運転が設定されている場合、当該静音運転が設定されていない場合に比して、除霜時における圧縮機の制御上の上限回転数を下げる方向で変更するようにすれば、例えば車中での仮眠中や住宅密集地を走行する際等に、圧縮機から生じる騒音レベルを低くして、静音性を確保することができるようになる。
また、請求項12の発明の如く制御装置が、車両の走行状態において室外熱交換器の除霜を行う際、室外熱交換器への走行風の流入を阻止するためのグリルシャッタを閉じるようにすれば、除霜時の室外熱交換器の温度上昇が走行風で阻害される不都合を解消して、除霜をより早期に終了させることができるようになる。
また、請求項13の発明によれば、請求項1又は請求項2の発明において制御装置が、車両の状態に応じて除霜時における圧縮機の制御上の上限回転数を変更するようにしたので、これにより、同様に例えば、請求項2の発明の如き、停車状態を含む車両の走行状態、車両の駐車状態、バッテリの充電状態のうちの二つ、又は、全てに応じて圧縮機の上限回転数を変更することで、車両の状態にあった除霜時の圧縮機制御を行い、室外熱交換器の除霜に必要以上の電力を消費してしまう不都合を未然に回避することが可能となるので、車両の航続可能距離を延ばしながら、快適な車室内空調を実現することができるようになる。
更に、請求項14の発明の如く制御装置を、所定の入力操作により、室外熱交換器の除霜実施の可否を選択可能とすることで、使用者の都合に合わせて室外熱交換器の除霜を行うか否かが選択できるようになり、利便性が向上する。
本発明を適用した一実施形態の車両用空気調和装置の構成図である(暖房モード)。 図1の車両用空気調和装置のコントローラの電気回路のブロック図である。 図2のコントローラが実行する除湿暖房モードを説明する構成図である。 図2のコントローラが実行する除湿冷房モードを説明する構成図である。 図2のコントローラが実行する冷房モードを説明する構成図である。 図2のコントローラによる室外熱交換器の着霜検知の一例を説明する図である。 図2のコントローラが実行する除霜モードを説明する構成図である。 図7の除霜モードにおけるP−h線図である。 図2のコントローラによる除霜モードでの圧縮機制御に関する制御ブロック図である。 車両に搭載されたバッテリの充電状態において図7の除霜モードを実行するときの図2のコントローラの圧縮機の上限回転数決定に関するフローチャートである。 車両の駐車状態において図7の除霜モードを実行するときの図2のコントローラの圧縮機の上限回転数決定に関するフローチャートである。 車両の走行状態において図7の除霜モードを実行するときの図2のコントローラの圧縮機の上限回転数決定に関するフローチャートである。 図7の除霜モードを開始した後の室外熱交換器の温度上昇率に基づく図2のコントローラの圧縮機の上限回転数決定に関するフローチャートである。 図7の除霜モードを実行するときに省電力での運転や静音運転が設定されている場合の図2のコントローラの圧縮機の上限回転数決定に関するフローチャートである。 室外熱交換器の除霜時の圧縮機の上限回転数と消費電力量の関係を説明する図である。
以下、本発明の実施の形態について、図面に基づき詳細に説明する。
図1は本発明の一実施例の車両用空気調和装置1の構成図を示している。本発明を適用する実施例の車両は、エンジン(内燃機関)を有さない電気自動車(EV)であって、車両に搭載されたバッテリの電力で走行用の電動モータを駆動して走行するものであり(何れも図示せず)、本発明の車両用空気調和装置1も、バッテリの電力で駆動されるものとする。即ち、実施例の車両用空気調和装置1は、エンジン廃熱による暖房ができない電気自動車において、冷媒回路を用いたヒートポンプ運転により暖房、除湿暖房、除湿冷房、冷房等の各運転モードを選択的に実行するものである。
尚、車両として電気自動車に限らず、エンジンと走行用の電動モータを供用する所謂ハイブリッド自動車にも本発明は有効であり、更には、エンジンで走行する通常の自動車にも適用可能であることは云うまでもない。
実施例の車両用空気調和装置1は、電気自動車の車室内の空調(暖房、冷房、除湿、及び、換気)を行うものであり、バッテリから給電されて冷媒を圧縮する電動式の圧縮機(電動コンプレッサ)2と、車室内空気が通気循環されるHVACユニット10の空気流通路3内に設けられて圧縮機2から吐出された高温高圧の冷媒を車室内に放熱させる放熱器4と、暖房時に冷媒を減圧膨張させる電動弁から成る室外膨張弁6と、冷房時には放熱器(冷媒を放熱)として機能し、暖房時には蒸発器(冷媒を吸熱)として機能すべく冷媒と外気との間で熱交換を行わせる室外熱交換器7と、冷媒を減圧膨張させる電動弁から成る室内膨張弁8と、空気流通路3内に設けられて冷房時及び除湿時に車室内外から冷媒に吸熱させる吸熱器9と、吸熱器9における蒸発能力を調整する蒸発能力制御弁11と、アキュムレータ12等が冷媒配管13により順次接続され、冷媒回路Rが構成されている。
尚、室外熱交換器7には、外気と冷媒とを熱交換させるための室外送風機15が設けられている。また、図中30はグリルシャッタであり、このグリルシャッタ30が閉じられると、走行風が室外熱交換器7に流入することが阻止される構成とされている。
また、室外熱交換器7は冷媒下流側にレシーバドライヤ部14と過冷却部16を順次有し、室外熱交換器7から出た冷媒配管13Aは冷房時に開放される電磁弁(開閉弁)17を介してレシーバドライヤ部14に接続され、過冷却部16の出口に接続された冷媒配管13Bは、逆止弁18を介して室内膨張弁8に接続されている。尚、レシーバドライヤ部14及び過冷却部16は構造的に室外熱交換器7の一部を構成しており、逆止弁18は室内膨張弁8側が順方向とされている。
また、過冷却部16と逆止弁18間の冷媒配管13Bは、吸熱器9の出口側に位置する冷媒配管13と熱交換関係に設けられ、両者で内部熱交換器19を構成している。これにより、冷媒配管13Bを経て室内膨張弁8に流入する冷媒は、吸熱器9を出た低温の冷媒により冷却(過冷却)される構成とされている。また、この内部熱交換器19より下流側の冷媒配管13Cには蒸発能力制御弁11が設けられている。
また、室外熱交換器7から出た冷媒配管13Aは分岐しており、この分岐した冷媒配管13Dは、暖房時に開放される電磁弁(開閉弁)21を介して蒸発能力制御弁11の下流側における冷媒配管13Cに連通接続されている。更に、圧縮機2の吐出側に位置する冷媒配管13Gが放熱器4の入口側に接続され、放熱器4の出口側の冷媒配管13Eにはストレーナ40が接続されている。このストレーナ40の下流側の冷媒配管13Eは、室外膨張弁6が接続された冷媒配管13Iの手前で分岐しており、この分岐した冷媒配管13Fは除湿時に開放される電磁弁(開閉弁)22を介して逆止弁18と室内膨張弁8の間の冷媒配管13Bに連通接続されている。
また、冷媒配管13Eと室外熱交換器7の間に位置して室外膨張弁6が接続された冷媒配管13Iには、室外膨張弁6と並列となるかたちでバイパス配管13Jが接続されており、このバイパス配管13Jには、冷房モードにおいて開放され、室外膨張弁6をバイパスして冷媒を流すための電磁弁(開閉弁)20が介設されている。
また、吸熱器9の空気上流側における空気流通路3には、外気吸込口と内気吸込口の各吸込口が形成されており(図1では吸込口25で代表して示す)、この吸込口25には空気流通路3内に導入する空気を車室内の空気である内気(内気循環モード)と、車室外の空気である外気(外気導入モード)とに切り換える吸込切換ダンパ26が設けられている。更に、この吸込切換ダンパ26の空気下流側には、導入した内気や外気を空気流通路3に送給するための室内送風機(ブロワファン)27が設けられている。
また、放熱器4の空気下流側における空気流通路3内には補助ヒータ23が設けられ、この補助ヒータ23の空気下流側における空気流通路3内には、内気や外気の放熱器4への流通度合いを調整するエアミックスダンパ28が設けられている。更に、放熱器4や補助ヒータ23の空気下流側における空気流通路3には、フット(乗員の足下に向けて吹き出す)、ベント(乗員の上半身に向けて吹き出す)、デフ(フロントガラスの内面に吹き出す)の各吹出口(図1では代表して吹出口29で示す)が形成されており、この吹出口29には上記各吹出口からの空気の吹き出しを切換制御する吹出口切換ダンパ31が設けられている。
次に、図2において32はマイクロコンピュータから構成された制御装置としてのコントローラ(ECU)であり、このコントローラ32の入力には車両の外気温度を検出する外気温度センサ33と、外気湿度を検出する外気湿度センサ34と、吸込口25から空気流通路3に吸い込まれる空気の温度を検出するHVAC吸込温度センサ36と、車室内の空気(内気)の温度を検出する内気温度センサ37と、車室内の空気の湿度を検出する内気湿度センサ38と、車室内の二酸化炭素濃度を検出する室内CO2濃度センサ39と、吹出口29から車室内に吹き出される空気の温度を検出する吹出温度センサ41と、圧縮機2の吐出冷媒圧力を検出する吐出圧力センサ42と、圧縮機2の吐出冷媒温度を検出する吐出温度センサ43と、圧縮機2の吸込冷媒圧力を検出する吸込圧力センサ44と、放熱器4の温度(放熱器4から出た直後の冷媒の温度、又は、放熱器4自体の温度、又は、放熱器4にて加熱された直後の空気の温度)を検出する放熱器温度センサ46と、放熱器4の冷媒圧力(放熱器4内、又は、放熱器4を出た直後の冷媒の圧力)を検出する放熱器圧力センサ47と、吸熱器9の温度(吸熱器9から出た直後の冷媒の温度、又は、吸熱器9自体、又は、吸熱器9にて冷却された直後の空気の温度)を検出する吸熱器温度センサ48と、吸熱器9の冷媒圧力(吸熱器9内、又は、吸熱器9を出た直後の冷媒の圧力)を検出する吸熱器圧力センサ49と、車室内への日射量を検出するための例えばフォトセンサ式の日射センサ51と、車両の移動速度(車速)を検出するための車速センサ52と、設定温度や運転モードの切り換えを設定するための空調操作部53と、室外熱交換器7の温度(室外熱交換器7から出た直後の冷媒の温度、又は、室外熱交換器7自体の温度:室外熱交換器温度TXO)を検出する室外熱交換器温度センサ54と、室外熱交換器7の冷媒圧力(室外熱交換器7内、又は、室外熱交換器7から出た直後の冷媒の圧力)を検出する室外熱交換器圧力センサ56の各出力が接続されている。
一方、コントローラ32の出力には、前記圧縮機2と、室外送風機15と、室内送風機(ブロワファン)27と、吸込切換ダンパ26と、エアミックスダンパ28と、吹出口切換ダンパ31と、室外膨張弁6、室内膨張弁8と、各電磁弁22、17、21、20と、蒸発能力制御弁11と、補助ヒータ23と、グリルシャッタ30が接続されている。そして、コントローラ32は各センサの出力と空調操作部53にて入力された設定に基づいてこれらを制御する。
以上の構成で、次に実施例の車両用空気調和装置1の動作を説明する。コントローラ32は実施例では暖房モードと、除湿暖房モードと、除湿冷房モードと、冷房モードの各空調運転モードと、除霜モードを切り換えて実行する。先ず、各空調運転モードについて説明する。尚、コントローラ32は通常グリルシャッタ30を開いておくものとする。
(1)暖房モード
コントローラ32により(オート)、或いは、空調操作部53へのマニュアル操作により暖房モードが選択されると、コントローラ32は電磁弁21を開放し、電磁弁17、電磁弁22及び電磁弁20を閉じる。そして、圧縮機2、及び、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は室内送風機27から吹き出された空気が放熱器4及び補助ヒータ23に通風される状態とする。これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は図1に矢印で示す如く放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化する。
放熱器4内で液化した冷媒は放熱器4を出た後、冷媒配管13E、ストレーナ40を経て室外膨張弁6に至る。室外膨張弁6に流入した冷媒はそこで減圧された後、室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒は蒸発し、走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気中から熱を汲み上げる(ヒートポンプ)。そして、室外熱交換器7を出た低温の冷媒は冷媒配管13D及び電磁弁21を経て冷媒配管13Cからアキュムレータ12に入り、そこで気液分離された後、ガス冷媒が圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。放熱器4にて加熱された空気は吹出口29から吹き出されるので、これにより車室内の暖房が行われることになる。
コントローラ32は、実施例では放熱器圧力センサ47(又は吐出圧力センサ42)が検出する放熱器4の冷媒圧力PCI(冷媒回路Rの高圧圧力)と目標放熱器圧力PCOに基づいて圧縮機2の回転数を制御すると共に、放熱器4の通過風量と後述する目標吹出温度に基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御し、放熱器4の出口における冷媒の過冷却度を制御する。尚、目標放熱器圧力PCOは、放熱器4の風下側の空気温度の目標値(推定値)である目標ヒータ温度TCOから算出される。また、室外膨張弁6の弁開度は、それらの代わりに或いはそれらに加えて放熱器4の温度や外気温度に基づいて制御してもよい。
(2)除湿暖房モード
次に、除湿暖房モードでは、コントローラ32は上記暖房モードの状態において電磁弁22を開放する。これにより、図3に矢印で示す如く放熱器4を経て冷媒配管13Eを流れる凝縮冷媒の一部が分流され、電磁弁22を経て冷媒配管13F及び冷媒配管13Bを経て室内膨張弁8に至るようになる。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は冷媒配管13Cに入る。冷媒配管13Cに入った冷媒は内部熱交換器19、蒸発能力制御弁11を経た後、冷媒配管13Dからの冷媒と合流した後、アキュムレータ12を経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱されるので、これにより車室内の除湿暖房が行われることになる。
コントローラ32は実施例では放熱器圧力センサ47が検出する放熱器圧力センサ47(又は吐出圧力センサ42)が検出する放熱器4の冷媒圧力PCI(冷媒回路Rの高圧圧力)と目標放熱器圧力PCOに基づいて圧縮機2の回転数を制御すると共に、吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器9の温度(吸熱器温度Te)と吸熱器9の温度の目標値である目標吸熱器温度TEOに基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御する。
(3)除湿冷房モード
次に、除湿冷房モードでは、コントローラ32は電磁弁17を開放し、電磁弁21、電磁弁22、及び、電磁弁20を閉じる。そして、圧縮機2、及び、各送風機15、27を運転し、エアミックスダンパ28は室内送風機27から吹き出された空気が放熱器4及び補助ヒータ23に通風される状態とする。これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は、図4に矢印で示す如く放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化していく。
放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て室外膨張弁6に至り、開き気味で制御される室外膨張弁6を経て室外熱交換器7に流入する。室外熱交換器7に流入した冷媒はそこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入る。冷媒配管13Bに入った冷媒は内部熱交換器19,逆止弁18を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却され、且つ、除湿される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は冷媒配管13Cに入る。冷媒配管13Cに入った冷媒は内部熱交換器19、蒸発能力制御弁11を経てアキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて冷却され、除湿された空気は放熱器4を通過する過程で再加熱(暖房時よりも放熱能力は低い)されるので、これにより車室内の除湿冷房が行われることになる。
コントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器温度Teに基づいて圧縮機2の回転数を制御すると共に、前述した冷媒回路Rの高圧圧力に基づいて室外膨張弁6の弁開度を制御し、放熱器4の冷媒圧力(放熱器圧力PCI)を制御する。
(4)冷房モード
次に、冷房モードでは、コントローラ32は上記除湿冷房モードの状態において電磁弁20を開く(この場合、室外膨張弁6は全開(弁開度を制御上限)を含む何れの弁開度でもよい)。これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は図5に矢印で示す如く放熱器4に流入する。放熱器4には空気流通路3内の空気が通風されるので、空気流通路3内の空気は放熱器4内の高温冷媒により加熱され(冷房時のリヒートのみ)、一方、放熱器4内の冷媒は空気に熱を奪われて冷却され、凝縮液化し始める。この放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13Eを経て電磁弁20及び室外膨張弁6に至る。
このとき電磁弁20は開放されているので冷媒は室外膨張弁6を迂回してバイパス配管13Jを通過し、そのまま室外熱交換器7に流入し、そこで走行により、或いは、室外送風機15にて通風される外気により空冷され、凝縮液化する。室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから電磁弁17を経てレシーバドライヤ部14、過冷却部16と順次流入する。ここで冷媒は過冷却される。
室外熱交換器7の過冷却部16を出た冷媒は冷媒配管13Bに入る。冷媒配管13Bに入った冷媒は内部熱交換器19,逆止弁18を経て室内膨張弁8に至る。室内膨張弁8にて冷媒は減圧された後、吸熱器9に流入して蒸発する。このときの吸熱作用で室内送風機27から吹き出された空気中の水分が吸熱器9に凝結して付着するので、空気は冷却される。
吸熱器9で蒸発した冷媒は冷媒配管13Cに入る。冷媒配管13Cに入った冷媒は内部熱交換器19、蒸発能力制御弁11を経てアキュムレータ12に至り、そこを経て圧縮機2に吸い込まれる循環を繰り返す。吸熱器9にて冷却され、除湿された空気は吹出口29から車室内に吹き出されるので、これにより車室内の冷房が行われることになる。この冷房モードにおいては、コントローラ32は吸熱器温度センサ48が検出する吸熱器温度Teに基づいて圧縮機2の回転数を制御する。
(6)空調運転モードの切換制御
コントローラ32は起動時には外気温度センサ33が検出する外気温度Tamと目標吹出温度TAOに基づいて運転モードを選択する。目標吹出温度TAOは、吹出口29から車室内に吹き出される空気温度の目標値であり、下記式(I)からコントローラ32が算出する。
TAO=(Tset−Tin)×K+Tbal(f(Tset、SUN、Tam))
・・(I)
ここで、Tsetは空調操作部53で設定された車室内の設定温度、Tinは内気温度センサ37が検出する車室内空気の温度、Kは係数、Tbalは設定温度Tsetや、日射センサ51が検出する日射量SUN、外気温度センサ33が検出する外気温度Tamから算出されるバランス値である。そして、一般的に、この目標吹出温度TAOは外気温度Tamが低い程高く、外気温度Tamが上昇するに伴って低下する。また、コントローラ32は、この目標吹出温度TAOから前記目標ヒータ温度TCOを算出する。そして、コントローラ32は、起動後は外気温度Tamや目標吹出温度TAO等の環境や設定条件の変化に応じて前記各運転モードを選択し、切り換えていく。
(7)室外熱交換器7の着霜検知
ここで、上記暖房モードや除湿暖房モードでは室外熱交換器7で冷媒が蒸発するため、霜が成長する。室外熱交換器7に霜が成長すると外気との熱交換が阻害されるため、以下に説明する方法で室外熱交換器7の着霜状態を検知し、それに基づいて後述する室外熱交換器7の除霜モード(図7)を実行する。
次に、室外熱交換器7の着霜状態の検知例について説明する。実施例の場合、コントローラ32は室外熱交換器温度センサ54から得られる室外熱交換器7の室外熱交換器温度TXO(例えば、室外熱交換器7の出口の冷媒蒸発温度)と、外気が低湿環境で室外熱交換器7に着霜していない無着霜時における当該室外熱交換器7の室外熱交換器温度TXObase(同じく室外熱交換器7の出口の冷媒蒸発温度)に基づき、室外熱交換器7の着霜状態を検知する。この場合のコントローラ32は、無着霜時における室外熱交換器温度TXObaseを、次式(II)を用いて決定する。
TXObase=f(Tam、NC、BLV、VSP)
=k1×Tam+k2×NC+k3×BLV+k4×VSP・・(II)
ここで、式(II)のパラメータであるTamは外気温度センサ33から得られる外気温度、NCは圧縮機2の回転数、BLVは室内送風機27のブロワ電圧、VSPは車速センサ52から得られる車速であり、k1〜k4は係数で、予め実験により求めておく。
上記外気温度Tamは室外熱交換器7の吸込空気温度を示す指標であり、外気温度Tam(室外熱交換器7の吸込空気温度)が低くなる程、TXObaseは低くなる傾向となる。従って、係数k1は正の値となる。尚、室外熱交換器7の吸込空気温度を示す指標としては外気温度Tamに限られない。
また、上記圧縮機2の回転数NCは冷媒回路R内の冷媒流量を示す指標であり、回転数NCが高い程(冷媒流量が多い程)、TXObaseは低くなる傾向となる。従って、係数k2は負の値となる。
また、上記ブロワ電圧BLVは放熱器4の通過風量を示す指標であり、ブロワ電圧BLVが高い程(放熱器4の通過風量が大きい程)、TXObaseは低くなる傾向となる。従って、係数k3は負の値となる。尚、放熱器4の通過風量を示す指標としてはこれに限らず、室内送風機27のブロワ風量やエアミックスダンパ28の開度SWでもよい。
また、上記車速VSPは室外熱交換器7の通過風速を示す指標であり、車速VSPが低い程(室外熱交換器7の通過風速が低い程)、TXObaseは低くなる傾向となる。従って、係数k4は正の値となる。尚、室外熱交換器7の通過風速を示す指標としてはこれに限らず、室外送風機15の電圧でもよい。
尚、実施例では式(II)のパラメータとして外気温度Tam、圧縮機2の回転数NC、室内送風機27のブロワ電圧BLV、及び、車速VSPを用いているが、これらに車両用室外熱交換器1の負荷をパラメータとして加えてもよい。この負荷を示す指標としては、目標吹出温度TAO、圧縮機2の回転数NC、室内送風機27のブロワ風量、放熱器4の入口空気温度、放熱器4の放熱器温度TCIが考えられ、負荷が大きい程、TXObaseは低くなる傾向となる。更に、車両の経年劣化(運転年数や運転回数)をパラメータに加えてもよい。また、式(II)のパラメータとしては、上記全てに限らず、それらのうちの何れか一つ、若しくは、それらの組み合わせでもよい。
次に、コントローラ32は式(II)に現在の各パラメータの値を代入することで得られる無着霜時における室外熱交換器温度TXObaseと現在の室外熱交換器温度TXOとの差ΔTXO(ΔTXO=TXObase−TXO)を算出し、室外熱交換器温度TXOが無着霜時における室外熱交換器温度TXObaseより低下して、その差ΔTXOが所定の着霜検知閾値以上となった状態が所定時間以上継続した場合、室外熱交換器7に着霜が生じているものと判定する。
図6の実線は室外熱交換器温度TXOの変化を示し、破線は無着霜時における室外熱交換器温度TXObaseの変化を示している。運転開始当初は室外熱交換器温度TXOは高く、無着霜時における室外熱交換器温度TXObaseを上回っている。暖房モードの進行に伴って車室内の温度は暖められ、車両用空気調和装置1の負荷は低下してくるので、前述した冷媒流量や放熱器4の通過風量も低下し、式(II)で算出されるTXObase(図6の破線)は上昇してくる。
一方、室外熱交換器7に着霜が生じると外気との熱交換性能が悪化してくるので、室外熱交換器温度TXO(実線)は低下していき、やがてTXObaseを下回る。そして室外熱交換器温度TXOの低下が更に進行して、その差ΔTXO(TXObase−TXO)が着霜検知閾値以上となり、その状態が所定時間以上継続した場合、コントローラ32は室外熱交換器7に霜が発生し、除霜が必要であると判定して除霜要求を出す。
尚、実施例では室外熱交換器温度TXOを採り上げて着霜状態の検知を行ったが、それに限らず、室外熱交換器圧力センサ56から得られる室外熱交換器7の現在の冷媒蒸発圧力PXO(室外熱交換器圧力)と、外気が低湿環境で室外熱交換器7に着霜していない無着霜時における当該室外熱交換器圧力PXObaseとに基づき、室外熱交換器7の着霜状態を検知するようにしてもよい。
また、室外熱交換器7の着霜状態を検知する手段としては上記に限らず、外気温度センサ33と外気湿度センサ34が検出する露点温度と室外熱交換器7の冷媒蒸発温度(室外熱交換器温度TXO)に基づいてコントローラ32が室外熱交換器7の着霜状態を検知(推定)するようにしてもよい。
(8)除霜モード
次に、図7を参照しながら室外熱交換器7の除霜モードについて説明する。上述した如く室外熱交換器7の着霜が検知され、除霜要求を出した場合、コントローラ32は所定の条件下、室外熱交換器7の除霜モードを実行する。この除霜モードでは、コントローラ32は電磁弁21を開放し、電磁弁17、電磁弁20、及び、電磁弁22を閉じる。また、室外膨張弁6は全開とする。そして、圧縮機2を運転し、室外送風機15及び室内送風機27は停止し、エアミックスダンパ28は放熱器4及び補助ヒータ23に空気が通風されない状態とする。
これにより、圧縮機2から吐出された高温高圧のガス冷媒は図7に矢印で示す如く放熱器4に流入するが、放熱器4には空気流通路3内の空気は通風されないので、ここは通過するのみとなり、放熱器4を出た冷媒は冷媒配管13E、ストレーナ40を経て室外膨張弁6に至る。このとき室外膨張弁6は全開とされているので、冷媒は室外膨張弁6、冷媒配管13Iを通過し、そのまま室外熱交換器7に流入して放熱し、凝縮液化する。このときの放熱で室外熱交換器7に付着した霜を融解する。
室外熱交換器7を出た冷媒は冷媒配管13Aから冷媒配管13Dに入り、電磁弁21を経て蒸発能力制御弁11の下流側の冷媒配管13Cに流入する。そして、アキュムレータ12を経て圧縮機2に吸い込まれる。即ち、この除霜モードでは吸熱器9には冷媒は流れず、放熱器4から出た冷媒を全て室外熱交換器7の除霜に用いるようにする。図8はこの除霜モードにおけるP−h線図を示しており、この場合は同図に示すような三角形のかたちとなる。
(9)除霜モードでの圧縮機2の制御
次に、図9は上記除霜モード用の圧縮機2の目標回転数(圧縮機目標回転数)TGNChを決定するコントローラ32の制御ブロック図を示している。コントローラ32のF/F操作量演算部82は外気温度センサ33から得られる外気温度Tamと、室内送風機27のブロワ電圧BLV(停止)と、前述したエアミックスダンパ28のエアミックスダンパ開度SW(放熱器4に通風しない)と、目標ヒータ温度TCOと、目標放熱器圧力PCOに基づいて圧縮機目標回転数のF/F操作量TGNChffを演算する。
前記目標放熱器圧力PCOは上記目標ヒータ温度TCOに基づいて目標値演算部82が演算する。更に、F/B操作量演算部83はこの目標放熱器圧力PCOと放熱器圧力PCIに基づいて圧縮機目標回転数のF/B操作量TGNChfbを演算する。そして、F/F操作量演算部82が演算したF/F操作量TGNChffとF/B操作量演算部83が演算したTGNChfbは加算器84で加算され、リミット設定部86で制御上の上限回転数ECNpdLimHiと下限回転数ECNpdLimLoのリミットが付けられた後、圧縮機目標回転数TGNChとして決定される。除霜モードにおいては、コントローラ32はこの圧縮機目標回転数TGNChに基づいて圧縮機2の回転数を制御する。
(10)除霜モードでの圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiの決定
次に、図10〜図14のフローチャートを参照しながら、上記除霜モード(図7)におけるコントローラ32による圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiの決定制御について説明する。コントローラ32は、車両の状態に応じて、除霜モード(除霜時)における圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを決定する。
更に実施例の場合、車両の走行状態(停車状態を含む)、車両の駐車状態、前記バッテリの充電状態(何れも車両の状態)に応じて上限回転数ECNpdLimHiを決定するための判断条件を変更する。この判断条件としては、実施例ではバッテリを充電する際の充電方式、バッテリの充電残量、次回走行開始するまでの時間、除霜中における室外熱交換器温度TXOの上昇状況、省電力での運転が設定されているか否か、静音運転が設定されているか否か、を採用している。以下、各車両の状態に応じてコントローラ32が実行する圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiの決定制御について、具体的に説明する。
(10−1)バッテリの充電状態において除霜モードを実行する場合の圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiの決定
先ず、図10を参照しながら、バッテリの充電状態であるときに除霜モードを実行する際の圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiの決定について説明する。車両のバッテリを充電している充電状態では、バッテリの充電残量(枯渇)を危惧する必要は無い。また、専用の施設等に設置された急速充電器にバッテリを接続して充電する急速充電方式の場合には、家庭等に設置された普通充電器による普通充電方式の場合に比してバッテリの充電は早期に達成される。
そこで、コントローラ32は図10のフローチャートのステップS1で充電方式が急速充電方式か否か判断する。このバッテリの充電方式に関する情報は車両側からコントローラ32に供給される。現在の充電方式が急速充電方式である場合には、ステップS1からステップS2に進み、次回走行開始までの時間が所定時間t1以上あるか否か判断する。この次回走行開始するまでの時間は空調操作部53で使用者により設定されるものとする。
次回走行開始するまでの時間が使用者により設定されていて、所定時間t1以上ある場合、コントローラ32はステップS2からステップS3に進み、圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを所定値X1として除霜モードを実行する。一方、次回走行開始するまでの時間が所定時間t1未満の場合か次回走行開始するまでの時間が設定されていない場合、コントローラ32はステップS2からステップS4に進んで圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを所定値X2として除霜モードを実行する。
この場合、所定値X1と所定値X2の大小関係はX1<X2である。また、所定値X1は次回走行開始するまで、即ち、所定時間t1で室外熱交換器7の除霜が終了する上限回転数であり、予め実験により求めておく。また、所定値X2は最も早く除霜を終了させるのに十分な上限回転数であり、通常は圧縮機2を運転可能な最大値となる。
一方、現在の充電方式が普通充電方式である場合、コントローラ32はステップS1からステップS5に進み、今度は次回走行開始までの時間が所定時間t2以上あるか否か判断する。この次回走行開始するまでの時間は同様に空調操作部53で使用者により設定されるものであるが、普通充電方式であるので、翌日まで走行開始しない等、所定時間t1より長い時間(t1<t2)となる。
次回走行開始するまでの時間が使用者により設定されていて、所定時間t2以上ある場合、コントローラ32はステップS5からステップS6に進み、圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを所定値Y1として除霜モードを実行する。一方、次回走行開始するまでの時間が所定時間t2未満の場合か次回走行開始するまでの時間が設定されていない場合、コントローラ32はステップS5からステップS7に進んで圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを所定値Y2として除霜モードを実行する。
この場合、所定値Y1と所定値Y2の大小関係はY1<Y2である。また、所定値Y1は次回走行開始するまで、即ち、所定時間t2で室外熱交換器7の除霜が終了する上限回転数であり、予め実験により求めておく。また、所定値Y2は比較的早く除霜を終了させるための上限回転数であるが、普通充電方式であるので、所定値Y2<所定値X1の関係となる。
このように、コントローラ32がバッテリの充電状態において室外熱交換器7の除霜を行う際、急速充電方式である場合には、普通充電方式の場合に比して圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを上げる方向で変更することで、急速充電方式でバッテリを充電する際に室外熱交換器7の除霜を行う場合には、当該室外熱交換器7の除霜を早期に終了させ、急速充電によるメリットを最大限に生かすことができるようになる。
また、実施例のようにバッテリの充電状態において室外熱交換器7の除霜を行う際、次回走行開始するまでに室外熱交換器7の除霜が終了するように圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを変更することになるので、次回走行開始するまでの時間が分かっている場合には、走行開始するまでに室外熱交換器7の除霜を終えておくことができるようになる。
(10−2)車両の駐車状態において除霜モードを実行する場合の圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiの決定
次に、図11を参照しながら、車両が駐車状態であるときに除霜モードを実行する際の圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiの決定について説明する。尚、車両の駐車状態とは、走行用モータでの電力消費は無いが、バッテリは充電器に接続されていない状態とする。従って、圧縮機2を駆動することにより、その分バッテリの充電残量は少なくなっていくことになる。
そこで、コントローラ32は図11のフローチャートのステップS8でバッテリの充電残量が所定値C1以上であるか否か判断する。このバッテリの充電残量に関する情報も車両側からコントローラ32に供給される。現在のバッテリの充電残量が所定値C1以上ある場合には、ステップS8からステップS9に進み、次回走行開始までの時間が所定時間t3以上あるか否か判断する。この次回走行開始するまでの時間も空調操作部53で使用者により設定されるものとする。
次回走行開始するまでの時間が使用者により設定されていて、所定時間t3以上ある場合、コントローラ32はステップS9からステップS10に進み、圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを所定値X3として除霜モードを実行する。一方、次回走行開始するまでの時間が所定時間t3未満の場合か次回走行開始するまでの時間が設定されていない場合、コントローラ32はステップS9からステップS11に進んで圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを所定値X4として除霜モードを実行する。
この場合、所定値X3と所定値X4の大小関係はX3<X4である。また、所定値X3は次回走行開始するまで、即ち、所定時間t3で室外熱交換器7の除霜が終了する上限回転数であり、予め実験により求めておく。また、所定値X4はバッテリに充電していない状態で、比較的早期に除霜を終了させることができる上限回転数である。更に、これら所定値X3、X4は充電状態での所定値X1、X2、又は、所定値Y1、Y2とそれぞれ同一でも良いが、それらよりもそれぞれ低い値にするとよい(X3<X1、且つ、X4<X2、或いは、X3<Y1、且つ、X4<Y2)。それにより、除霜に要する時間は充電状態よりも延びるものの、圧縮機2によるバッテリの電力消費を抑制することができる。
一方、バッテリの充電残量が所定値C1未満である場合、コントローラ32はステップS8からステップS12に進み、圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを所定値Y3として除霜モードを実行する。この所定値Y3は所定値X3より低い値であって(Y3<X3)、除霜を行ってもバッテリの電力が枯渇しない上限回転数であり、予め実験により求めておくものであるが、車両用空気調和装置によっては零とする場合も考えられる。所定値Y3が零ということは、圧縮機2は停止されるので、除霜モードを実行しないことを意味する。
このように、コントローラ32が車両の駐車状態において室外熱交換器7の除霜を行う際、バッテリの充電残量が所定値C1未満である場合には、所定値C1以上である場合に比して除霜時における圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを下げる方向で変更することで、バッテリの充電残量が少ない場合には、室外熱交換器7の除霜に伴う電力消費を抑え、或いは、無くして(上限回転数ECNpdLimHiを零とした場合)、車両が走行できなくなる不都合を回避することができるようになる。
また、この場合の実施例でも次回走行開始するまでに室外熱交換器7の除霜が終了するように圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを変更するようにしているので、次回走行開始するまでの時間が分かっている場合には、走行開始するまでに室外熱交換器7の除霜を終えておくことができるようになる。
(10−3)車両の走行状態において除霜モードを実行する場合の圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiの決定
次に、図12を参照しながら、車両が走行状態(停車状態を含む)であるときに除霜モードを実行する際の圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiの決定について説明する。車両が走行状態である場合、走行用モータも電力を消費していると共に、バッテリも充電器に接続されていない。従って、圧縮機2を駆動することは、走行用モータに加えてバッテリの電力を消費することになる。
そこで、コントローラ32は図12のフローチャートのステップS13でバッテリの充電残量が所定値C2以上であるか否か判断する。この所定値C2は例えば前述した駐車状態での所定値C1より多い値である。このバッテリの充電残量に関する情報も車両側からコントローラ32に供給される。現在のバッテリの充電残量が所定値C2以上ある場合には、ステップS13からステップS14に進み、先ず、グリルシャッタ30を閉じる。これにより、室外熱交換器7には走行風は流入しなくなり、除霜時の室外熱交換器7の温度上昇が走行風で阻害される不都合を解消することができるようになるので、除霜をより早期に終了させることができるようになる。
次に、ステップS15に進んで圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを所定値X5として除霜モードを実行する。また、この所定値X5は駐車状態での所定値X4や所定値X3よりも低い値とするとよい。それにより、走行状態では駐車状態よりも除霜に要する時間は延びるものの、圧縮機2の駆動によるバッテリの電力消費をできるだけ抑制することができるようになる。
一方、バッテリの充電残量が所定値C2未満である場合、コントローラ32はステップS13からステップS16に進み、圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを所定値X6として除霜モードを実行する。この所定値X6は所定値X5より低い値であって(X6<X5)、除霜を行ってもバッテリの電力が枯渇しない上限回転数であり、予め実験により求めておくものであるが、装置によっては零である場合もある。所定値X6が零ということは、圧縮機2は停止されるので、除霜モードを実行しないことを意味する。
このように、コントローラ32が車両の走行状態において室外熱交換器7の除霜を行う際、バッテリの充電残量が所定値C2未満である場合には、所定値C2以上である場合に比して除霜時における圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを下げる方向で変更することで、バッテリの充電残量が少ない場合には、室外熱交換器7の除霜に伴う電力消費を抑え、或いは、無くして(上限回転数ECNpdLimHiを零とした場合)、車両が走行できなくなる不都合を回避することができるようになる。
(10−4)除霜モードを開始した後の室外熱交換器7の温度上昇の状況に基づく圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiの決定(その1)
ここで、室外熱交換器7が着氷状態である場合には、除霜に或る程度の電力量を投入しても室外熱交換器7の温度上昇は鈍化する。このような場合に室外熱交換器7を完全に除霜するには、多大な電力量が必要となり、バッテリの充電状態である場合を除き、バッテリの充電残量が枯渇してしまう危険性があるので、却って除霜を行わないほうが、効率的なエネルギー使用となる場合もある。
そこで、コントローラ32は、例えば車両の駐車状態や走行状態において、室外熱交換器7の除霜モードを開始した後(室外熱交換器7の除霜中)、圧縮機2の消費電力量が所定値W1以上となった時点で、室外熱交換器温度TXOと所定の除霜終了温度DEFendとの差が所定値ΔT1より大きい場合、所定値ΔT1以下である場合に比して圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを下げる方向で変更する。この変更した上限回転数ECNpdLimHiは零も含まれる。
これにより、室外熱交換器7が着氷状態等である場合に、室外熱交換器7の除霜に伴う電力消費を抑え、或いは、無くして(上限回転数ECNpdLimHiを零とした場合)、無用なバッテリの電力消費を回避することができるようになる。
(10−5)除霜モードを開始した後の室外熱交換器7の温度上昇の状況に基づく圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiの決定(その2)
次に、図13のフローチャートを参照しながら、除霜モードを開始した後の室外熱交換器7の温度上昇の状況に基づく圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiの決定制御の他の例を説明する。この場合、同様に車両の駐車状態や走行状態において室外熱交換器7の除霜を開始した後(室外熱交換器7の除霜中)、コントローラ32は図13のフローチャートのステップS17で圧縮機2の消費電力量が所定値W1以上となったか否か判断する。そして、消費電力量が所定値W1以上となった時点でステップS18に進み、例えば除霜モードを開始してから現時点までの室外熱交換器温度TXOの上昇率が所定値dTXO1以上か否か判断する。
ステップS18で室外熱交換器温度TXOの上昇率が所定値dTXO1以上である場合、コントローラ32はステップS19に進んで圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiを所定値X7とし、除霜モードを実行する。この所定値X7は例えば前述した所定値X3(駐車状態)や所定値X5(走行状態)と同様の値である。一方、ステップS18で室外熱交換器温度TXOの上昇率が所定値dTXO1未満である場合、コントローラ32はステップS18からステップS20に進んで圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiを所定値X8とし、除霜モードを実行する。この所定値X8は所定値X7より低い値であり(X8<X7)、零も含まれる。
この例によっても、室外熱交換器7が着氷状態等である場合に、室外熱交換器7の除霜に伴う電力消費を抑え、或いは、無くして(上限回転数ECNpdLimHiを零とした場合)、無用なバッテリの電力消費を回避することができるようになる。
(10−6)除霜モードを実行するときに省電力での運転や静音運転が設定されている場合の圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiの決定
ここで、空調操作部53で使用者により省電力での運転や静音運転が設定されている場合について、図14を参照しながら説明する。前述した如く、コントローラ32は除霜モードにおいて、車両の状態に応じた圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiの決定を行うものであるが、空調操作部53で省電力での運転(所謂エコモード)や静音運転(所謂静音モード)が設定されている場合(車両側で設定される場合も含む)には、それらを全うするように更に上限回転数ECNpdLimHiを変更する。
即ち、コントローラ32は図14のステップS21で、省電力での運転が設定(ON)されているか否か判断し、設定(ON)されている場合には、ステップS22に進んで圧縮機2の圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiを所定値X9とし、除霜モードを実行する。この所定値X9は前述した所定値X1(充電状態)や所定値X3(駐車状態)、所定値X5(走行状態)よりも低い値とする。
一方、ステップS21で省電力での運転が設定されていない場合、コントローラ32はステップS23に進み、今度は静音運転が設定(ON)されているか否か判断する。ステップS23で静音運転が設定(ON)されている場合には、コントローラ32はステップS24に進み、圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiを所定値Y4として除霜モードを実行する。また、ステップS23で静音運転が設定されていない場合には、ステップS25に進み、圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiを所定値Zとして除霜モードを実行する。この所定値Zと所定値Y4、所定値X9の関係は、X9<Y4<Zであり、所定値Zは例えば前述した車両の各状態における所定値X1(充電状態)や所定値X3(駐車状態)、所定値X5(走行状態)と同様の値である。即ち、省電力での運転及び静音運転が設定されていない場合には、上限回転数ECNpdLimHiを変更しない。
このように、省電力での運転が設定されている場合、コントローラ32が省電力での運転が設定されていない場合に比して、除霜時における圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを下げる方向で変更するようにすれば、車両の省電力での運転に効果的に寄与することができるようになる。
また、コントローラ32が、静音運転が設定されている場合、当該静音運転が設定されていない場合に比して、除霜時における圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを下げる方向で変更するようにすれば、例えば車中での仮眠中や住宅密集地を走行する際等に、圧縮機2から生じる騒音レベルを低くして、静音性を確保することができるようになる。
(11)除霜モードの実施可否のマニュアル設定
また、実施例の車両用空気調和装置1は、コントローラ32に接続された空調操作部53への所定の入力操作により、前述した如き室外熱交換器7の除霜モードを実施するか否か、マニュアルで選択することができるように構成されている。これにより、例えば室外熱交換器7の除霜よりも車室内の空調を優先した場合等、使用者の都合に合わせて室外熱交換器7の除霜を行うか否かが選択できるようになるので、利便性が向上する。
以上詳述した如く本発明では、コントローラ32が圧縮機2から吐出された高温冷媒を室外熱交換器7に流して除霜すると共に、車両の状態に応じて、除霜時における圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを決定するようにしたので、実施例の如く停車状態を含む車両の走行状態、車両の駐車状態、バッテリの充電状態等の車両の状態に応じて圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiを決定することで、車両の状態にあった除霜時の圧縮機制御を行い、室外熱交換器7の除霜に必要以上の電力を消費してしまう不都合を未然に回避することが可能となる。これにより、車両の航続可能距離を延ばしながら、快適な車室内空調を実現することができるようになる。
ここで、上述した実施例では車両の状態に応じて上限回転数ECNpdLimHiを決定するための判断条件を変更するようにしたが、請求項1の発明ではそれに限らず、例えば車両の走行状態では除霜モードでの圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを最も低い値A1(例えば、3500rpm等)とし、バッテリの充電状態では最も高い値A3(例えば、5000rpm等)とし、車両の駐車状態ではそれらの中間の値A2(例えば、4000rpm等)とするようにしてもよい。
前述した如く、車両の駐車状態ではバッテリを充電していないために充電残量を考慮する必要があり、車両の走行状態ではバッテリの電力消費が多いためにバッテリの枯渇を危惧する必要がある。また、バッテリの充電状態ではバッテリの枯渇を危惧する必要は無いので、上記の如く車両の状態に応じて圧縮機2の制御上の上限回転数ECNpdLimHiを変更することにより、車両の航続可能距離を延ばしながら、快適な車室内空調を実現することが可能となる。
尚、実施例では車両の走行状態、駐車状態、バッテリの充電状態に応じて除霜モードでの圧縮機2の上限回転数ECNpdLimHiを決定するようにしたが、請求項1乃至請求項4の発明では何れか二つの組み合わせでもよい。
また、実施例では暖房モード、除湿暖房モード、除湿冷房モード、冷房モードの各運転モードを切り換えて実行する車両用空気調和装置1について本発明を適用したが、それに限らず、暖房モードのみ行うものにも本発明は有効である。
更に、上記実施例で説明した冷媒回路Rの構成や各数値はそれに限定されるものでは無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能であることは云うまでもない。
1 車両用空気調和装置
2 圧縮機
3 空気流通路
4 放熱器
6 室外膨張弁
7 室外熱交換器
8 室内膨張弁
9 吸熱器
17、20、21、22 電磁弁
30 グリルシャッタ
32 コントローラ(制御装置)
53 空調操作部
R 冷媒回路

Claims (14)

  1. 車両に搭載されたバッテリから給電されて冷媒を圧縮する圧縮機と、
    冷媒を放熱させて車室内に供給する空気を加熱するための放熱器と、
    車室外に設けられた室外熱交換器と、
    制御装置を備え、
    該制御装置により、前記圧縮機から吐出された冷媒を前記放熱器にて放熱させ、放熱した当該冷媒を減圧した後、前記室外熱交換器にて吸熱させて前記車室内を暖房する車両用空気調和装置において、
    前記制御装置は、前記圧縮機から吐出された高温冷媒を前記室外熱交換器に流して除霜すると共に、
    車両の状態に応じて、前記除霜時における前記圧縮機の制御上の上限回転数を決定することを特徴とする車両用空気調和装置。
  2. 前記車両の状態は、停車状態を含む前記車両の走行状態、前記車両の駐車状態、前記バッテリの充電状態のうちの二つ、又は、全てであることを特徴とする請求項1に記載の車両用空気調和装置。
  3. 前記制御装置は、前記車両の状態に応じて前記除霜時における前記圧縮機の制御上の上限回転数を決定するための判断条件を変更することを特徴とする請求項2に記載の車両用空気調和装置。
  4. 前記圧縮機の制御上の上限回転数を決定するための判断条件は、前記バッテリを充電する際の充電方式、前記バッテリの充電残量、次回走行開始するまでの時間、除霜中における前記室外熱交換器の温度上昇の状況、省電力での運転が設定されているか否か、静音運転が設定されているか否か、のうちから選択されることを特徴とする請求項3に記載の車両用空気調和装置。
  5. 前記制御装置は、前記バッテリの充電状態において前記室外熱交換器の除霜を行う際、急速充電方式である場合には、普通充電方式の場合に比して前記圧縮機の制御上の上限回転数を上げる方向で変更することを特徴とする請求項4に記載の車両用空気調和装置。
  6. 前記制御装置は、前記車両の走行状態、及び/又は、前記車両の駐車状態において前記室外熱交換器の除霜を行う際、前記バッテリの充電残量が所定値未満である場合には、所定値以上である場合に比して前記除霜時における前記圧縮機の制御上の上限回転数を下げる方向で変更することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の車両用空気調和装置。
  7. 前記制御装置は、前記車両の駐車状態、及び/又は、前記バッテリの充電状態において前記室外熱交換器の除霜を行う際、次回走行開始するまでに前記室外熱交換器の除霜が終了するように前記圧縮機の制御上の上限回転数を変更することを特徴とする請求項4乃至請求項6のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
  8. 前記制御装置は、前記室外熱交換器の除霜中に前記圧縮機の消費電力量が所定値以上となった時点で、前記室外熱交換器の温度と所定の除霜終了温度との差が所定値より大きい場合、所定値以下である場合に比して前記圧縮機の制御上の上限回転数を下げる方向で変更することを特徴とする請求項4乃至請求項7のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
  9. 前記制御装置は、前記室外熱交換器の除霜中に前記圧縮機の消費電力量が所定値以上となった時点で、前記室外熱交換器の温度上昇率が所定値未満である場合、所定値以上である場合に比して前記圧縮機の制御上の上限回転数を下げる方向で変更することを特徴とする請求項4乃至請求項7のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
  10. 前記制御装置は、前記省電力での運転が設定されている場合、当該省電力での運転が設定されていない場合に比して、前記除霜時における前記圧縮機の制御上の上限回転数を下げる方向で変更することを特徴とする請求項4乃至請求項9のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
  11. 前記制御装置は、前記静音運転が設定されている場合、当該静音運転が設定されていない場合に比して、前記除霜時における前記圧縮機の制御上の上限回転数を下げる方向で変更することを特徴とする請求項4乃至請求項10のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
  12. 前記室外熱交換器への走行風の流入を阻止するためのグリルシャッタを備え、
    前記制御装置は、前記車両の走行状態において前記室外熱交換器の除霜を行う際、前記グリルシャッタを閉じることを特徴とする請求項2乃至請求項11のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
  13. 前記制御装置は、前記車両の状態に応じて前記除霜時における前記圧縮機の制御上の上限回転数を変更することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用空気調和装置。
  14. 前記制御装置は、所定の入力操作により、前記室外熱交換器の除霜実施の可否を選択可能とされていることを特徴とする請求項1乃至請求項13のうちの何れかに記載の車両用空気調和装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023223444A1 (ja) * 2022-05-18 2023-11-23 三菱電機株式会社 冷凍サイクル状態予測装置、冷凍サイクル制御装置、及び冷凍サイクル装置

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