JP2021034378A - 少なくとも１つのインピーダンス制御機構を有するコンタクト端子 - Google Patents

Abstract

【課題】シグナルインテグリティに関して伝送性能を向上させた、高周波データ伝送用シールドコンタクト端子を提供する。【解決手段】端子シールド（４）とコンタクトキャリア（６）と少なくとも１つのコンタクト要素（８）とを備えるコンタクト端子に、少なくとも１つのインピーダンス制御機構（２４）を設ける。端子シールド（４）は、少なくとも１つのコンタクト要素（８）のインピーダンスに影響を与える機能的に必須の不連続部（２２）を有するので、少なくとも１つのインピーダンス制御機構（２４）を使用して、少なくとも１つのコンタクト要素（８）のインピーダンスを局所的に調節することにより、不連続部（２２）の影響を補償する。したがって、コンタクト端子のインピーダンスを対応する信号受信機のインピーダンスに整合させて、信号反射を防止し、シグナルインテグリティを維持することができる。【選択図】図１

Description

本発明は、コンタクト端子に関し、より詳細には、高周波データ伝送用シールドコンタクト端子に関する。

データ伝送の分野において、コネクタ、ケーブル、レセプタクルなどの伝送線部品は、通常、伝送性能を維持するためにシールド手段によって囲まれている。シールド手段により、主に、機械的衝撃および電磁効果などの望ましくない外的影響から保護する。

高周波データ伝送が必要な適用において、シールド手段自体の設計が、それに囲まれた部品に影響を与えて、信号品質および伝送性能のそれぞれを低下させることがある。シールド手段は、その機能により必須の設計機構を、特に伝送線部品間の移行点（transition points）に有する傾向がある。しかしながら、シールド手段は、そのような悪影響を有することがある。したがって、移行点におけるシールド手段の設計融通性に関して制限要因がある。

本発明の目的は、シールド手段の必須の設計機構の前記悪影響を少なくとも部分的に補償して、より大きい設計自由度を可能にし、高周波データ伝送用シールド伝送線部品間の移行点をシグナルインテグリティ（signal integrity）に関して向上させる方法を提供することである。

この課題は、端子シールドとコンタクトキャリアと高周波データ伝送の電気信号を伝えるための少なくとも１つのコンタクト要素とを備えるコンタクト端子に、少なくとも１つのインピーダンス制御機構を設けることによって解決される。コンタクトキャリアは、少なくとも１つのコンタクト要素を端子シールド内で固定位置に保持し、端子シールドは、少なくとも１つのコンタクト要素のインピーダンスに影響を与える設計の不連続部を有する。より詳細には、この課題は、コンタクトキャリアおよび／または少なくとも１つのコンタクト要素に少なくとも１つのインピーダンス制御機構を設けて、少なくとも１つのコンタクト要素のインピーダンスを、データ伝送の周波数に従って予め定められた所望の値に調節することにより、不連続部の影響を補償することによって解決される。

一般に、インピーダンスは、交流電流の流れに対する抵抗を測定する電気導体の特性である。インピーダンスは、電気導体自体の材料および寸法などのいくつかの要因、導体（誘電体）を囲む媒体、および電気導体近くの他の導電性部品、特にそれぞれの表面間の相対距離による影響を受ける。

信号源から伝送線を介して信号受信機（負荷）へ電気信号を伝送する間に、負荷のインピーダンスと伝送線のインピーダンスとが整合しない場合（インピーダンス不整合）、信号反射が起こり得る。信号反射はシグナルインテグリティを損なうため、望ましくない現象である。そのようなインピーダンス不整合およびその後の信号反射の原因は、伝送線の部品の非線形変化（non-linear change）および／または不連続（discontinuity）であり得る。

したがって、伝送線のインピーダンスを負荷のインピーダンスに整合させることが好ましい。言い換えると、伝送線のインピーダンスを予め定められた所望の値に調節することが好ましい。そのような予め定められた所望の値は、負荷のインピーダンスであってよい。

上記の解決策は、インピーダンス不整合の少なくとも１つの原因を補償することにより、信号反射を低減させるため、好ましい。したがって、伝送信号のシグナルインテグリティが実質的に向上する。

上記の解決策は、以下の任意選択の特徴の１つまたは複数を追加することによってさらに改良することができる。これにより、以下の任意選択の特徴の各々がそれ自体有利であり、他の任意選択の特徴と独立して組み合わせることができる。

第１の実施形態によれば、少なくとも１つのインピーダンス制御機構を、端子シールドの不連続部と位置合わせすることができる。より詳細には、インピーダンス制御機構は、不連続部の影響が及ぶ領域の近くにあり、かつ／またはこの領域に局所的に限定され、これにより、インピーダンス制御機構の効果を集中させ最大限にすることができる。

加えてまたはあるいは、コンタクトキャリアおよび少なくとも１つのコンタクト要素は各々、少なくとも１つのインピーダンス制御機構を有することができる。本実施形態は、インピーダンス制御機構が、少なくとも１つのコンタクト要素のインピーダンスに対する不連続部の影響を共に補償することができるという点で好ましい。

本発明の別の実施形態において、すべてのインピーダンス制御機構を不連続部と位置合わせして、インピーダンス制御機構の効果を共に集中させ最大限にすることができる。

本発明の別の実施形態において、端子シールドは金属端子シールドであってよい。特に、金属端子シールドは、金属シートをコンタクトキャリアの周りで周方向に曲げることによって形成することができるため、簡単で確実な構造となる。

加えてまたはあるいは、端子シールドは、コンタクトキャリアおよび少なくとも１つのコンタクト要素を全長に沿って囲む金属端子シールドであってよい。これにより、コンタクトキャリアおよび少なくとも１つのコンタクト要素を電磁効果から保護し、シグナルインテグリティをさらに向上させる。

加えてまたはあるいは、端子シールドは少なくとも１つの前端部を含むことができ、その前端部で、端子シールドは相手側コネクタを挿入方向に沿って受け入れるように開いている。

本発明の一実施形態において、端子シールドの不連続部は、端子シールドの外周に形成されたロック要素を含んでいても、ロック要素であってもよく、少なくとも１つのインピーダンス制御機構を前記ロック要素と位置合わせすることができる。特に、ロック要素は、適切なレセプタクルと相互作用して、端子シールドをレセプタクル内に固定するように構成することができる。これにより、ロック要素に由来する対応する部品との適合性がより広くなることによって、本発明の適用範囲が広がる。

本発明の一実施形態において、ロック要素は、少なくとも部分的に端子シールドの外周に沿って延びるロック溝であってよい。特に、ロック溝は、コンタクトキャリアに向かって半径方向内方へ延び、例えば適切なレセプタクルの相補ロック要素の座部（seat）となることができる。ロック溝は、曲げまたはプレスによって容易に製造可能な実施形態である。これにより、製造が容易になる。

さらに別の実施形態において、少なくとも１つのインピーダンス制御機構は、少なくとも１つのコンタクト要素の調節された断面（adjusted cross-section）を含んでいても、調節された断面であってもよい。特に、少なくとも１つのコンタクト要素は、挿入方向に沿って端子シールドを通って長手方向に延び、端子シールドの不連続部のすぐ近くに調節された断面を有するインピーダンス制御部を含むことができる。断面の調節は、少なくとも２つのインピーダンス影響要因、すなわち、電気導体の断面積と電気導体および隣接する導体の表面間の距離とを同時に調節可能なインピーダンス制御機構である。

予め定められた所望の値に到達するため、かつ端子シールドの不連続部の影響を補償するために少なくとも１つのコンタクト要素のインピーダンスを上昇させる必要がある適用において、インピーダンス制御機構は、断面が減少した部分を含んでも、断面が減少した部分であってもよい。これは、例えば、端子シールドの不連続部によって、端子シールドの残りの部分と比べて内径が小さくなる領域に当てはまる。そのような場合、断面の減少は、少なくとも１つのコンタクト要素の幅を一面または二面で減少させることによって実現することができる。平坦な材料によって形成されたコンタクト要素の場合、幅は材料厚さに垂直かつ挿入方向に垂直な寸法であってよい。
これにより、断面積の減少によって、かつ隣接する導体の表面までの距離の増加によって、インピーダンスが上昇する。この断面積の減少は、例えばＵ字形凹部を形成することによって、段階的にすることができる。

上記の幅の減少を不連続部の全長に沿って行うことができると好ましい。同様に、予め定められた所望の値に到達するため、かつ端子シールドの不連続部の影響を補償するためにインピーダンスを低下させる必要がある適用において、断面積を増加させることができる。これは、例えば、端子シールドの不連続部によって、端子シールドの残りの部分と比べて内径が大きくなる領域に当てはまる。そのような場合、少なくとも１つのコンタクト要素は、断面が増加した部分を含むことができる。この断面の増加は、幅（平坦な材料から形成されたコンタクト要素の場合、幅は材料厚さに垂直かつ挿入方向に垂直な寸法であってよい）を一面または二面で増加させることによって生じ得る。これにより、断面積の増加によって、かつ隣接する導体の表面までの距離の減少によって、インピーダンスが低下する。

少なくとも１つのコンタクト要素は、少なくとも１つの端部にコンタクト部をさらに含むことができる。特に、コンタクト部を、挿入方向に沿って端子シールドに挿入された相手側コネクタの信号コンタクトと電気接触して係合するように構成することができる。十分な電気接触を確保するために、係合中にコンタクト部を信号コンタクトによって機械的に偏向させることができると好ましい。

加えてまたはあるいは、少なくとも１つのコンタクト要素は、コンタクト部とは反対側の少なくとも１つの他端部に結合部（bonding portion）を含むことができる。結合部は、コンタクト要素をケーブルの電気導体に接続するように構成することができる。結合部をケーブルの電気導体に接続、例えば、溶接またははんだ付けすることができると好ましい。

コンタクト部および／または結合部により、コンタクト端子を少なくとも相手側コネクタおよび／またはケーブルと組み合わせて使用することができるため、コンタクト端子の適用範囲が広がる。

前記幅の減少または増加を、コンタクト部と結合部との間、すなわち、少なくとも１つのコンタクト要素の中間部分に位置させることができる。

さらに別の実施形態において、少なくとも１つのコンタクト要素は、インピーダンス制御部の横断面より大きい横断面を有する移行部（transition portion）を含むことができる。特に、移行部は、インピーダンス制御部に隣接して位置決めされ、傾斜移行部によりインピーダンス制御部に接続される。本実施形態は、少なくとも１つのコンタクト要素内で生じる機械的応力を、移行部によって容易に分散させることができるため、コンタクト要素を機械的に偏向させる適用の場合に特に有利である。

加えてまたはあるいは、少なくとも１つのコンタクト要素は、横方向に突出する少なくとも１つの保持タブを有する保持部を含むことができる。以下でさらに説明するように、保持タブにより、少なくとも１つのコンタクト要素の望ましくないずれを防止することができるため、コンタクトキャリアによる少なくとも１つのコンタクト要素の固定が容易になり得る。

少なくとも１つのコンタクト要素は、導電性シート材料、例えば金属シートから打ち抜かれたタブ状またはピン状のばねビームであってよい。

別の実施形態によれば、コンタクト端子は、互いに離間し電気的に分離（絶縁）されている対のコンタクト要素を備えることができる。対のコンタクト要素の各々を、高周波データ伝送用の差動対の信号のうちの１つの信号を伝送するように構成することができると好ましい。本実施形態により、差動対の信号の伝送によって、電磁ノイズを受けにくいデータ伝送が可能になる。

場合により、対のコンタクト要素の各々は、少なくとも１つのインピーダンス制御機構を有して、対のコンタクト要素のインピーダンスに対する不連続部の影響を共に補償することができる。

対のコンタクト要素の各々は、同一のインピーダンス制御機構を有することができる。より詳細には、対のコンタクト要素を、対称に、および／または鏡像反転して形成することができる。

さらに別の実施形態によれば、コンタクトキャリアは、少なくとも１つのコンタクト要素を少なくとも部分的に囲む絶縁体、好ましくは空気より高い比誘電率を有する絶縁体から形成される。特に、絶縁体は、インピーダンス制御部で、および場合によりインピーダンス制御部の周囲で少なくとも１つのコンタクト要素を囲む。少なくとも１つのコンタクト要素を絶縁体で囲むことにより、電気的短絡の危険を防ぐ。これにより、コンタクト端子の機能が確保される。

加えて、少なくとも１つのインピーダンス制御機構は、コンタクトキャリアの調節された材料厚さ(adjusted material thickness)を含んでいても、または調節された材料厚さであってもよい。特に、コンタクトキャリアの材料厚さを、端子シールドの不連続部のすぐ近くで調節することができる。材料厚さの調節は、さらに別のインピーダンス影響要因、すなわち誘電体の比誘電率を容易に調節可能にするインピーダンス制御機構である。

予め定められた所望の値に到達するため、かつ端子シールドの不連続部の影響を補償するために少なくとも１つのコンタクト要素のインピーダンスを上昇させる必要がある適用においては、材料厚さを薄くすべきである。これは、例えば、端子シールドの不連続部によって、端子シールドの残りの部分と比べて内径が小さくなる領域に当てはまる。そのような領域では、薄い材料厚さによって空気で満たされた空間が生じる。空気は絶縁体より低い比誘電率を有するため、結果として得られる低い平均比誘電率により、インピーダンスが上昇する。

同様に、予め定められた所望の値に到達するため、かつ端子シールドの不連続部の影響を補償するために低いインピーダンスを必要とする適用においては、材料厚さを増加させるべきである。より詳細には、より高い平均比誘電率を得るために、空気で満たされた空間を絶縁体によって占める必要がある。

別の実施形態において、少なくとも１つのインピーダンス制御機構は、少なくとも１つの間隙を含んでいても、または少なくとも１つの間隙であってもよく、この間隙は、少なくとも１つのコンタクト要素をコンタクトキャリアとの直接の接触から少なくとも部分的に分離する。より詳細には、間隙を、空気、またはコンタクトキャリアの絶縁体より低い比誘電率を有する他の誘電体で満たすことができる。本実施形態は、インピーダンスを上昇させる必要があり、前述した材料厚さの調節と同じ原理に従ってインピーダンスが機能する適用に使用される。

さらに別の実施形態において、少なくとも１つのインピーダンス制御機構は、コンタクトキャリアおよび／または少なくとも１つのコンタクト要素の側面凹部（lateral recess）を含んでいても、または側面凹部であってもよい。側面凹部は、製造が容易で、最大２つのインピーダンス影響要因、すなわち、誘電体の比誘電率または電気導体の断面積と電気導体および隣接する導体の表面間の距離とを同時に調節することができるインピーダンス制御機構である。

別の実施形態によれば、コンタクトキャリアは、互いに接続されてコンタクトキャリアを形成する少なくとも２つの部分を含むことができる。特に、コンタクトキャリアは上側部品と下側部品とを含むことができ、下側部品は、少なくとも１つのコンタクト要素を埋め込むための、少なくとも１つのコンタクト要素に相補的に形成された少なくとも１つの保持溝を含む。さらに、少なくとも１つの保持溝の少なくとも第１の部分は、少なくとも１つのコンタクト要素に形状嵌合するように構成された幅を有する。形状嵌合により、少なくとも１つのコンタクト要素の、挿入方向に垂直な方向への望ましくないずれを防止する。少なくとも１つの保持溝の少なくとも第２の部分は、少なくとも１つのコンタクト要素より大きい幅を有する。第２の部分において、前記空気で満たされた空間がインピーダンス制御機構として形成される。

このようにして、少なくとも１つのコンタクト要素を少なくとも１つの保持溝内で受け入れ、下側部品と、下側部品に接続された上側部品との間に挟むことができる。本実施形態により、コンタクトキャリアを、自動化されたピックアンドプレース組立プロセスによって予め組み立てることができる。したがって、本実施形態は製造プロセスの簡易化に寄与する。

コンタクトキャリアの２つの部品を、レーザ溶接により接続することができる。これにより、追加の機械的接続手段が不要になるため、２つの部品を非常に小さい寸法に設計することができる。したがって、コンタクト端子の小型化が可能になるため、コンタクト端子の保管のためのスペースが削減され、輸送費が節約される。２つの部品のさらなるまたは代替の取付手段は、超音波溶接、ラッチ、および／または接着を含むことができる。

場合により、少なくとも１つの保持溝の第１の部分は、少なくとも１つのコンタクト要素の移行部と形状嵌合するように構成された幅を有することができ、少なくとも１つの保持溝の第２の部分は、コンタクト要素のインピーダンス制御部より大きい幅を有することができる。特に、少なくとも１つのコンタクト要素のインピーダンス制御部の幅と下側部品の少なくとも１つの保持溝の第２の部分の幅との組合せを、少なくとも１つのコンタクト要素のインピーダンスが予め定められた所望の値に達するように構成することができる。コンタクトキャリアの２部品の実施形態は、組立て前にそれぞれの幅を互いに独立して設定することができるため、この構成に特に有利である。

コンタクトキャリアの２つの部品のうちの少なくとも一方は、隣接する部品のタブまたはノブと相互接続するためのソケットまたはスロットをさらに含むことができる。これにより、コンタクト端子を少なくとも１つの他方の部品、例えば結合部の保護カバーに機械的に締結することができるため、コンタクト端子の適用範囲が広がる。

さらに別の実施形態において、少なくとも２つの部品のうちの少なくとも一方は、少なくとも１つのコンタクト要素の少なくとも１つの保持タブに当接する少なくとも１つの支持点（support point）を含むことができる。一方の部品、例えば上側部品は、挿入方向に垂直に突出する少なくとも１つの段状突起（step-like protrusion）を含むことができると好ましい。突起は下側部品に向かってさらに突出することができ、下側部品は、上側部品に向かって挿入方向に垂直に突出する少なくとも１つの段状突起を含むことができる。
さらに、段状突起は、少なくとも１つのコンタクト要素の少なくとも１つの保持タブを共に収容するように対にして構成され、これにより、少なくとも３つの支持点を提供することができる。３つの支持点の各々により、少なくとも１つのコンタクト要素の、１つの空間方向への望ましくないずれを防止することができるため、コンタクトキャリアによる少なくとも１つのコンタクト要素の固定に寄与する。

加えてまたはあるいは、コンタクトキャリアは、コンタクトキャリアから横方向に突出し、かつ端子シールドのロック要素に当接する肩部をさらに含むことができる。特に、上側部品は、挿入方向に垂直に突出する肩部を、上側部品の少なくとも一面に含むことができ、かつ／または、下側部品は、挿入方向に垂直に突出する肩部を、下側部品の少なくとも一面に含むことができる。上側部品の肩部および／または下側部品の肩部は、端子シールドのロック要素の背面に内側から当接する。本実施形態は、端子シールド内においてコンタクトキャリアの位置を確保するための方法を提供することにより、コンタクトキャリアの望ましくないずれを防止する。

２部品の実施形態の代わりに、コンタクトキャリアを、例えば追加の製造プロセスによって、少なくとも１つのコンタクト要素の周りの１つの部品として形成してもよいことが当業者には理解されよう。この場合、コンタクトキャリアは、移行部と少なくとも１つのコンタクト要素のインピーダンス制御部とを少なくとも部分的に囲むための少なくとも１つのキャビティを含むことができる。少なくとも１つのキャビティの内面が移行部に当接することにより、当接による少なくとも１つのコンタクト要素の横方向の動き、および摩擦による長手方向の動きを防止することが好ましい。さらに、少なくとも１つのキャビティの内面をインピーダンス制御部から離間させることにより、前記の空気で満たされた空間をインピーダンス制御機構として形成することができる。

別の好ましい実施形態によれば、コンタクト端子は、高周波データ伝送用ケーブルアセンブリの一部であってよく、シールドケーブルをさらに含む。シールドケーブルは少なくとも１つの電気導体を含み、少なくとも１つの電気導体は、端子シールド内でコンタクト端子の少なくとも１つのコンタクト要素に接続される。接続は、結合接続、溶接接続、はんだ接続、および／または圧着接続であることが好ましい。

本実施形態によって、より長い距離にわたってデータ伝送を行うことができるため、本発明の機能が向上する。

場合により、ケーブルアセンブリは、データ伝送の周波数に従って予め定められた所望の値に達する略一定のインピーダンスを全長に沿って有することができる。特に、インピーダンスは、予め定められた所望の値から±５％の範囲内で変化し得る。この範囲内の偏差は、予め定められた所望の値であるとみなされる。このようにして、ケーブルアセンブリ全体についてシグナルインテグリティを確保することができる。したがって、全体的な伝送性能が向上する。

以下で、図面を参照しながら本発明の例示的な実施形態について説明する。図示し記載する実施形態は、説明のためのものにすぎない。実施形態に示す特徴の組合せを、前述した説明に従って変更することができる。例えば、実施形態には示さないが前述した特徴を、その特徴に関連する技術的効果が特定の適用に有利である場合には、追加することができる。逆に、実施形態の一部として示される特徴を、その特徴に関連する技術的効果が特定の適用に必要ない場合には、前述したように省略することができる。

図中、機能および／または構造に関して互いに対応する要素は、同一の参照数字で示す。

本開示の１つの可能な実施形態によるコンタクト端子の概略分解図である。 図１に示した実施形態によるコンタクトキャリアおよび対のコンタクト要素の概略斜視図である。 図２に示した実施形態によるコンタクトキャリアの上側部品の概略斜視図である。 図２に示した実施形態によるコンタクトキャリアの下側部品および対のコンタクト要素の概略斜視図である。 本開示の別の可能な実施形態によるコンタクトキャリアおよび対のコンタクト要素の概略分解図である。 本開示のさらに別の可能な実施形態によるコンタクトキャリアおよび対のコンタクト要素の概略斜視図である。 本開示の別の可能な実施形態によるコンタクト端子の概略断面図である。 図７に示した実施形態によるコンタクト端子の別の概略断面図であり、相手側コネクタと嵌合した状態を示す図である。 図７に示した実施形態によるコンタクト端子を有するケーブルアセンブリの概略斜視図である。

最初に、図１〜図８に示す例示的な実施形態を参照して、本発明によるコンタクト端子１の構造を説明する。図９は、本発明によるケーブルアセンブリ２の構造を説明するために用いられる。

図１は、本開示の１つの可能な実施形態によるコンタクト端子１の分解図である。コンタクト端子１は、端子シールド４と、コンタクトキャリア６と、高周波データ伝送の電気信号を伝えるための対のコンタクト要素８とを備える。図２からわかるように、コンタクトキャリア６は、対のコンタクト要素８を端子シールド４内で固定位置に保持する。より詳細には、端子シールド４は、コンタクトキャリア６および対のコンタクト要素８を全長に沿って囲むことができる。

図示した実施形態において、端子シールド４は、曲げた金属シート１０であり、挿入方向Ｉに沿って延びる貫通開口部１４の周りで周方向Ｃに配置された少なくとも４つのシールド壁１２を含むことが好ましい。端子シールド４は、少なくとも１つの前端部１６に開口部１８を含むことができ、図８に示すように、端子シールド４は、挿入方向Ｉに沿って挿入された相手側コネクタ２０を開口部１８で受け入れることができる。あるいは、端子シールド４は、編組材料から形成された金属シールドであってもよい。

端子シールド４は、対のコンタクト要素８のインピーダンスに影響を与える設計の不連続部２２をさらに有することができる。この不連続部２２の影響を補償するために、複数のインピーダンス制御機構２４をコンタクトキャリア６および／または対のコンタクト要素８に実装することができる。コンタクトキャリア６および対のコンタクト要素８の各々は、少なくとも１つのインピーダンス制御機構２４を有することができ、すべてのインピーダンス制御機構２４を、端子シールド４の不連続部２２と位置合わせするか、または少なくとも不連続部２２のすぐ近くに位置決めすることができると好ましい。これは、図１、図４、および図５に示され、以下でさらに詳細に説明する。

図１、図２、図７、図８、および図９の実施形態に示すように、不連続部２２は、ロック要素２６であってよく、好ましくは、端子シールドにより一体に形成され、端子シールド４の外周３０に沿って、かつコンタクトキャリア６に向かって半径方向内方へ延びるロック溝２８であってよい。特に、端子シールド４は、ロック溝２８において、外側横断面および内側横断面が減少していてよい。ロック溝２８と端子シールド４の残りの部分との横断面の差は、端子シールド４によってカバーされる。ロック溝２８は、例えば、適切なレセプタクル（図示せず）の相補ロック要素（図示せず）のための座部となることができる。

対のコンタクト要素８は、挿入方向Ｉに平坦に延びる対の導電性ばねビーム３２であってよい。対のばねビーム３２を、互いに鏡像反転して形成し、互いに離間して位置決めすることができる。ばねビーム３２の各々は、一端部のコンタクト部３４と、他端部の結合部３６と、コンタクト部３４と結合部３６との間のインピーダンス制御部３８とを含む。各ばねビーム３２は、コンタクト部３４とインピーダンス制御部３８との間の移行部４０と、インピーダンス制御部３８と結合部３６との間の保持部４２とをさらに含むことができる。

図８に示すように、コンタクト部３４は湾曲した先端４４を有することができ、この先端４４は、相手側コネクタ２０の信号コンタクト４８と電気接触して係合するように構成されているコンタクト領域４６を有する。前記係合中に、コンタクト部３４の湾曲した先端４４を、信号コンタクト４８によって挿入方向Ｉに垂直な方向へ機械的に偏向させることができる。

移行部４０をコンタクト部３４に隣接して位置決めすることができ、移行部４０は、移行部４０の幅を挿入方向Ｉで移行部４０の最大幅まで徐々に広げる第１の傾斜移行部を含むことができる。第２の傾斜移行部は、移行部４０の幅を挿入方向Ｉでインピーダンス制御部３８に向かって徐々に狭くする。

インピーダンス制御部３８を移行部４０に隣接して位置決めすることができ、インピーダンス制御部３８は、端子シールド４のロック溝２８に沿って延びることができる。図１および図４に示す実施形態において、インピーダンス制御部３８は、移行部４０の最大幅より小さい幅を有することができる。このインピーダンス制御部３８の幅の調節は、インピーダンス制御機構２４の１つとなる。

図示した実施形態の端子シールド４の不連続部２２によって端子シールド４の内径が小さくなるため、ばねビーム３２のインピーダンスを調節するために、ばねビーム３２の断面積をインピーダンス制御部３８において減少させる必要がある（インピーダンス制御機構の原理は、本発明の上記の説明において既に示したため、ここでは省略する）。

保持部４２をインピーダンス制御部３８に隣接して位置決めすることができ、保持部４２は、挿入方向Ｉに垂直な方向で横方向に突出する保持タブ５０を含むことができる。保持タブ５０は、対応するばねビーム３２の材料によって一体に形成される板状部分であってよい。

結合部３６を保持部４２に隣接して位置決めすることができ、結合部３６は、ばねビーム３２の連続部として挿入方向Ｉに突出する結合タブ５２を含むことができる。結合タブ５２は、対応するばねビーム３２の材料によって一体に形成される板状部分であってよい。図８に示すように、結合タブ５２は、インピーダンス制御部３８と等しい幅を有し、ケーブル５６の電気導体５４に結合するように構成されることが好ましい。

コンタクトキャリア６は、対のコンタクト要素８を少なくとも部分的に囲む絶縁体から形成される。対のコンタクト要素８の両方が、同一のコンタクトキャリア６によって囲まれることが好ましい。特に、コンタクトキャリア６は、インピーダンス制御部３８で、およびインピーダンス制御部３８の周囲で対のコンタクト要素８を囲む。

図１〜図６に示すように、コンタクトキャリア６は、互いに接続されてコンタクトキャリア６を形成する少なくとも２つの部品５８を含むことができる。２つの部品５８のうちの一方が不透明で、無色の顔料を含むことが好ましい。２つの部品５８のうちの他方が着色顔料、好ましくは黒および／または暗色顔料を含み、２つの部品５８をレーザ溶接によって接続することができるようになっている。

コンタクトキャリア６は上側部品６０と下側部品６２とを含むことができ、下側部品６２は対の保持溝６４を含むことができる。対の保持溝６４は、挿入方向Ｉに互いに平行に延びる。特に、対の保持溝６４は内壁６６によって分離される。さらに、各保持溝６４の少なくとも第１の部分６８は、対のコンタクト要素８のうちの一方の移行部に形状嵌合するように構成された幅を有する。したがって、対のコンタクト要素８を、対の保持溝６４内に受け入れ、下側部品６２と下側部品６２に接続される上側部品６０との間に挟むことができる。

図１および図４に示す実施形態において、各保持溝６４の少なくとも第２の部分７０は、対のコンタクト要素８のうちの一方のインピーダンス制御部より大きい幅を有する。これにより、対の保持溝６４の内面７４と対のコンタクト要素８の各々の側面７６との間に空気で満たされた複数の間隙７２が形成される。これらの空気で満たされた間隙７２は、さらなるインピーダンス制御機構２４となる。

図３および図４に見られるように、コンタクトキャリア６の２つの部品５８のうちの少なくとも一方、好ましくは両方が、ばねビーム３２の保持タブ５０に当接する少なくとも１つの支持点７８を含むことができる。上側部品６０は、下側部品６２に向かって挿入方向Ｉに垂直に突出する少なくとも１つの段状突起８０を含むことができ、下側部品６２は、上側部品６０に向かって挿入方向Ｉに垂直に突出する少なくとも１つの段状突起８２を含むことができると好ましい。特に、段状突起８０、８２は、少なくとも１つのコンタクト要素の少なくとも１つの保持タブ５０を共に収容するように対にして構成され、これにより、少なくとも３つの支持点７８ａ、７８ｂ、７８ｃを提供することができる。

図５および図６に示す実施形態において、ばねビーム３２および／またはコンタクトキャリア６は各々側面凹部８４を含み、これらの側面凹部８４は不連続部２２と位置合わせされる。これらの側面凹部８４はインピーダンス制御機構２４となり、これは、前述したインピーダンス制御機構２４に加えて、またはその代わりとして実施することができる。側面凹部８４は、挿入方向Ｉに垂直な方向でばねビーム３２および／またはコンタクトキャリア６の材料を貫通する略台形の切欠きである。コンタクトキャリア６の切欠きは、ばねビーム３２のインピーダンス制御部３８を少なくとも部分的に露出させることができる。切欠きは立方形または円形であってもよいことが当業者には理解されよう。

場合により、コンタクトキャリア６の２つの部品５８のうちの少なくとも一方、好ましくは両方は、隣接する部品（図示せず）のノブ（図示せず）、例えば結合部３６の保護カバー（図示せず）と相互接続するためのスロット８６を含むことができる。図５および図６に示すように、スロット８６は、コンタクトキャリア６の側面の略立方形の切欠きであってよい。

図１、図７、および図８に示すように、コンタクトキャリア６は、コンタクトキャリア６から横方向に突出し、かつ端子シールド４のロック要素２６に当接する肩部８８を含むことができる。肩部８８は、コンタクトキャリア６の外周に沿って延びるカラー９０であってよい。特に、上側部品６０は、上側部品６０の三面にカラー９０の一部分を含むことができ、下側部品６２は、下側部品６２の三面にカラー９０の残りの部分を含むことができる。

図９は、コンタクト端子１と、好ましくは圧着接続によりコンタクト端子１に接続されたシールドケーブル９２とを備える、高周波データ伝送用ケーブルアセンブリ２を示す。このために、コンタクト端子１の端子シールド４は、前端部１６の反対側に圧着部９４を含む。圧着部９４は、端子シールド４の一体部分として形成され、シールドケーブル９２と同軸に延びる。さらに、圧着部９４はシールドケーブル９２に周方向Ｃに巻き付けられる。

図７および図８に見られるように、シールドケーブル９２は対の電気導体５４を含み、電気導体５４の各々が、コンタクト端子１の対のばねビーム３２の１つの結合タブ５２に接続される。接続は、溶接接続であることが好ましい。

１ コンタクト端子
２ ケーブルアセンブリ
４ 端子シールド
６ コンタクトキャリア
８ コンタクト要素
１０ 曲げた金属シート
１２ シールド壁
１４ 貫通開口部
１６ 前端部
１８ 開口部
２０ 相手側コネクタ
２２ 不連続部
２４ インピーダンス制御機構
２６ ロック要素
２８ ロック溝
３０ 周囲
３２ ばねビーム
３４ コンタクト部
３６ 結合部
３８ インピーダンス制御部
４０ 移行部
４２ 保持部
４４ 湾曲した先端
４６ コンタクト領域
４８ 信号コンタクト
５０ 保持タブ
５２ 結合タブ
５４ 電気導体
５６ ケーブル
５８ ２つの部品
６０ 上側部品
６２ 下側部品
６４ 保持溝
６６ 内壁
６８ 第１の部分
７０ 第２の部分
７２ 空気で満たされた間隙
７４ 内面
７６ 側面
７８ 支持点（ａ、ｂ、ｃ）
８０ 段状突起
８２ 段状突起
８４ 側面凹部
８６ スロット
８８ 肩部
９０ カラー
９２ シールドケーブル
９４ 圧着部
９６ 断面が減少した部分
９８ 断面が増加した部分

Claims (15)

1. 端子シールド（４）と、
   コンタクトキャリア（６）と、
   高周波データ伝送の電気信号を伝えるための少なくとも１つのコンタクト要素（８）とを備えるコンタクト端子（１）であって、
   前記コンタクトキャリア（６）は、前記少なくとも１つのコンタクト要素（８）を前記端子シールド（４）内で固定位置に保持し、
   前記端子シールド（４）は、前記少なくとも１つのコンタクト要素（８）のインピーダンスに影響を与える不連続部（２２）を含み、
   前記コンタクトキャリア（６）および前記少なくとも１つのコンタクト要素（８）のうちの少なくとも一方は、前記少なくとも１つのコンタクト要素（８）の前記インピーダンスを前記高周波データ伝送の周波数に従って予め定められた所望の値に調節するように構成されている、少なくとも１つのインピーダンス制御機構（２４）を有する、
   コンタクト端子（１）。
2. 前記コンタクトキャリア（６）および前記少なくとも１つのコンタクト要素（８）は各々、少なくとも１つのインピーダンス制御機構（２４）を有する、
   請求項１に記載のコンタクト端子（１）。
3. 前記端子シールド（４）の前記不連続部（２２）は、前記端子シールド（４）の外周（３０）に形成されたロック要素（２６）を含み、
   前記少なくとも１つのインピーダンス制御機構（２４）は前記ロック要素（２６）と位置合わせされる、
   請求項１または２に記載のコンタクト端子（１）。
4. 前記ロック要素（２６）は、少なくとも部分的に前記端子シールド（４）の前記外周（３０）に沿って延びるロック溝（２８）である、
   請求項３に記載のコンタクト端子（１）。
5. 前記少なくとも１つのインピーダンス制御機構（２４）は、インピーダンス制御部（３８）における前記少なくとも１つのコンタクト要素（８）の調節された断面を含む、
   請求項１から４のいずれか一項に記載のコンタクト端子（１）。
6. 前記少なくとも１つのコンタクト要素（８）は、前記インピーダンス制御部（３８）の断面より大きい断面を有する移行部（４０）を含む、
   請求項５に記載のコンタクト端子（１）。
7. 前記少なくとも１つのコンタクト要素（８）は、横方向に突出する少なくとも１つの保持タブ（５０）を有する保持部（４２）を含む、
   請求項１から６のいずれか一項に記載のコンタクト端子（１）。
8. 前記コンタクト端子（１）は、互いに離間して位置決めされ電気的に分離されている対のコンタクト要素（８）を備え、
   各コンタクト要素（８）は、高周波データ伝送用の差動対の信号のうちの１つの信号を伝送するように構成されている、
   請求項１から７のいずれか一項に記載のコンタクト端子（１）。
9. 前記コンタクトキャリア（６）は、前記少なくとも１つのコンタクト要素（８）を少なくとも部分的に囲む絶縁体から形成され、
   前記少なくとも１つのインピーダンス制御機構（２４）は、前記コンタクトキャリア（６）の調節された材料厚さを含む、
   請求項１から８のいずれか一項に記載のコンタクト端子（１）。
10. 前記少なくとも１つのインピーダンス制御機構（２４）は少なくとも１つの間隙（７２）を含み、前記間隙（７２）は、前記少なくとも１つのコンタクト要素（８）を前記コンタクトキャリア（６）との直接の接触から少なくとも部分的に分離する、
    請求項１から９のいずれか一項に記載のコンタクト端子（１）。
11. 前記少なくとも１つのインピーダンス制御機構（２４）は、前記コンタクトキャリア（６）および／または前記少なくとも１つのコンタクト要素（８）の側面凹部（８４）を含む、
    請求項１から１０のいずれか一項に記載のコンタクト端子（１）。
12. 前記端子シールド（４）は、断面が減少した部分（９６）を含み、
    前記少なくとも１つのコンタクト要素（８）は断面減少部を含む、
    請求項１から１１のいずれか一項に記載のコンタクト端子（１）。
13. 前記端子シールド（４）は、断面が増加した部分（９８）を含み、
    前記少なくとも１つのコンタクト要素（８）は断面増加部を含む、
    請求項１から１２のいずれか一項に記載のコンタクト端子（１）。
14. 前記断面減少部は前記部分（９６）に重なり、および／または、前記断面増加部は、挿入方向（Ｉ）に垂直な方向で前記部分（９８）に重なる、
    請求項１２または１３に記載のコンタクト端子（１）。
15. 前記端子シールド（４）と前記コンタクトキャリア（６）とは形状嵌合接続で係合し、
    前記端子シールド（４）の前記不連続部（２２）は前記形状嵌合接続の一部である、
    請求項１から１４のいずれか一項に記載のコンタクト端子（１）。

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