JP2021032092A - バルブタイミング調整装置 - Google Patents

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JP2021032092A JP2019150298A JP2019150298A JP2021032092A JP 2021032092 A JP2021032092 A JP 2021032092A JP 2019150298 A JP2019150298 A JP 2019150298A JP 2019150298 A JP2019150298 A JP 2019150298A JP 2021032092 A JP2021032092 A JP 2021032092A
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Tetsuro Michitani
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【課題】ベーンロータの位相振れの振れ幅の増大を抑制しつつ、バルブタイミング調整装置の構造の複雑化を抑制する。【解決手段】バルブタイミング調整装置100は、駆動回転体10とベーンロータ20とロック部60とスプール弁40とを備え、遅角室26と作動油供給源250を連通可能な遅角流路Pa1と、進角室27と作動油供給源を連通可能な進角流路Pa2とのうちの一方の流路は、ピン油圧室99から作動油を排出する第1ストローク区間101のうち遅角室と進角室との両方に作動油を供給する第2ストローク区間102でスプール弁が動作する状態において、流路断面積が作動油供給源から油圧室28までの間で最小である最小部52を有し、スプール弁が第2ストローク区間で動作する状態において、遅角流路と進角流路とのうちの他方の流路の流路断面積は、最小部の流路断面積よりも大きい。【選択図】図8

Description

本開示は、バルブタイミング調整装置に関する。
従来から、内燃機関の吸気バルブや排気バルブのバルブタイミングを調整可能な、油圧式のバルブタイミング調整装置が知られている。バルブタイミング調整装置には、ハウジング等の駆動回転体に対するベーンロータの相対回転を中間位相においてロックするため、ロックピンを油圧で作動させるロック部が設けられていることがある。特許文献1に記載のバルブタイミング調整装置では、ロック部の油圧室から作動油を排出してロックピンを凹部に嵌合させることによりロック状態へと移行させる際に、遅角室と進角室とに少量の作動油を供給している。これにより、遅角室と進角室との両方が作動油で満たされた状態となる。
特許第5802754号公報
ロック状態へと移行させる際には、作動油供給源を介して遅角室と進角室とが互いに連通する。かかる連通により、駆動回転体に対するベーンロータの位相振れが発生し、かかる位相振れの振れ幅が増大すると、ロックピンが凹部に嵌合できなくなるおそれがある。特許文献1に記載のバルブタイミング調整装置では、ロック状態に移行する際に遅角室と進角室とに供給される作動油の量が少ないため、駆動回転体に対するベーンロータの位相振れの振れ幅の増大を抑制できると考えられる。しかしながら、特許文献1に記載のバルブタイミング調整装置では、スプール弁の構造が複雑化しており、バルブタイミング調整装置の構造が複雑化している。このため、ロック状態へと移行させる際におけるベーンロータの位相振れの振れ幅の増大を抑制しつつ、バルブタイミング調整装置の構造の複雑化を抑制できる技術が望まれる。
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
本開示の一形態によれば、バルブタイミング調整装置(100)が提供される。このバルブタイミング調整装置は、駆動軸(210)から動力が伝達されて駆動される従動軸(220)の回転位相を前記駆動軸に対して調整することにより、前記従動軸によって開閉されるバルブのバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置であって、内部空間が形成され、前記駆動軸と連動して回転する駆動回転体(10)と、前記内部空間に収容されて前記従動軸に連結され、前記内部空間を遅角室(26)と進角室(27)との油圧室(28)に区画するベーン(22)を有し、前記遅角室と前記進角室とにそれぞれ供給される作動油の圧力を受けて前記駆動回転体に対して相対回転可能に設けられたベーンロータ(20)と、ロックピン(70)を有し、前記ロックピンに対して油圧を供給するためのピン油圧室(99)が形成され、前記ピン油圧室から前記作動油が排出されることにより前記駆動回転体に対する前記ベーンロータの相対回転を最遅角位相と最進角位相との間の中間位相においてロックし、前記ピン油圧室へと前記作動油が供給されることによりロックを解除するロック部(60)と、スプール(43)を有し、前記スプールが軸方向(AD)にストロークすることにより前記作動油の流動を制御するスプール弁(40)であって、前記スプールのストローク範囲に、前記ピン油圧室から前記作動油を排出する第1ストローク区間(101)と、前記第1ストローク区間のうち前記遅角室と前記進角室との両方に前記作動油を供給する第2ストローク区間(102)とを有するスプール弁と、前記遅角室と作動油供給源(250)を連通可能な遅角流路(Pa1)と、前記進角室と前記作動油供給源を連通可能な進角流路(Pa2)と、前記ピン油圧室と前記作動油供給源を連通可能なロック流路(Pa3)と、を備え、前記遅角流路と前記進角流路とのうちの一方の流路は、前記スプール弁が前記第2ストローク区間で動作する状態において、流路断面積が前記作動油供給源から前記油圧室までの間で最小である最小部(52)を有し、前記スプール弁が前記第2ストローク区間で動作する状態において、前記遅角流路と前記進角流路とのうちの他方の流路の流路断面積は、前記最小部の流路断面積よりも大きい。
この形態のバルブタイミング調整装置によれば、スプールのストローク範囲に、ピン油圧室から作動油を排出するとともに遅角室と進角室との両方に作動油を供給してロック状態とする第2ストローク区間を有する。また、スプール弁が第2ストローク区間で動作する状態において、遅角流路と進角流路とのうちの一方の流路は、流路断面積が作動油供給源から油圧室までの間で最小である最小部を有し、スプール弁が第2ストローク区間で動作する状態における他方の流路の流路断面積は、最小部の流路断面積よりも大きい。このため、ロック状態へと移行させる際に、遅角流路と進角流路とのうちの一方の流路における圧力損失を増大させた状態で遅角室と進角室との両方に作動油を供給できる。したがって、作動油供給源を介して互いに連通する遅角室と進角室との間における作動油の流動を抑制できるので、駆動回転体に対するベーンロータの位相振れの振れ幅の増大を抑制できる。また、最小部によって一方の流路の流路断面積を縮小して位相振れの振れ幅の増大を抑制するので、スプール弁の構造の複雑化を抑制でき、バルブタイミング調整装置の構造の複雑化を抑制できる。したがって、ロック状態へと移行させる際におけるベーンロータの位相振れの振れ幅の増大を抑制しつつ、バルブタイミング調整装置の構造の複雑化を抑制できる。
本開示は、種々の形態で実現することも可能である。例えば、バルブタイミング調整装置を備える内燃機関、バルブタイミング調整装置の製造方法等の形態で実現することができる。
バルブタイミング調整装置の概略構成を示す断面図である。 図1のII−II線に沿った断面を示す断面図である。 スプール弁の概略構成を示す断面図である。 ロック状態における油圧回路図である。 進角状態における油圧回路図である。 保持状態における油圧回路図である。 遅角状態における油圧回路図である。 ストローク位置に応じた流路断面積の大きさを説明するための説明図である。 図8の0点におけるスプール弁の流路を示す説明図である。 図8のa点におけるスプール弁の流路を示す説明図である。 図8のb点におけるスプール弁の流路を示す説明図である。 図8のc点におけるスプール弁の流路を示す説明図である。 図8のd点におけるスプール弁の流路を示す説明図である。 図8のe点におけるスプール弁の流路を示す説明図である。 図8のf点におけるスプール弁の流路を示す説明図である。 図8のg点におけるスプール弁の流路を示す説明図である。 図8のh点におけるスプール弁の流路を示す説明図である。
A.実施形態:
図1および図2に示すバルブタイミング調整装置100は、図示しない車両が備える内燃機関300において、駆動軸としてのクランク軸210から動力が伝達される従動軸としてのカム軸220により開閉駆動されるバルブのバルブタイミングを調整する。バルブタイミング調整装置100は、カム軸220の回転軸AXに沿った方向(以下、「軸方向AD」とも呼ぶ)において、カム軸220の端部に締結固定されている。バルブタイミング調整装置100の回転軸AXは、カム軸220の回転軸AXと一致している。本実施形態のバルブタイミング調整装置100は、図示しないバルブとしての吸気弁と排気弁とのうち、吸気弁のバルブタイミングを調整する。以下の説明では、軸方向ADにおいてバルブタイミング調整装置100に対してカム軸220が設けられている側および方向を「リア側」とも呼び、軸方向ADにおけるリア側とは反対側および方向を「フロント側」とも呼ぶ。また、回転軸AXと直交する方向を、「径方向」とも呼ぶ。なお、図2では、後述するスプール弁40の図示を省略している。
カム軸220の端部には、軸穴部222と、供給穴部226とが形成されている。軸穴部222は、軸方向ADに形成されており、後述するスプール弁40の一部が挿入されている。軸穴部222の内周面の一部には、雌ねじ部224が形成されている。供給穴部226は、径方向に形成され、カム軸220の外周面と軸穴部222を連通させている。供給穴部226には、作動油供給源250から作動油が供給される。作動油供給源250は、オイルポンプ251とオイルパン252とを有する。オイルポンプ251は、オイルパン252に貯留されている作動油を汲み上げる。オイルポンプ251は、内燃機関300の駆動中において常時駆動されている。
バルブタイミング調整装置100は、駆動回転体10と、ベーンロータ20と、ブッシング部材30と、ロック部60と、スプール弁40と、を備える。
駆動回転体10は、スプロケット11と、ハウジング12とを有する。駆動回転体10には、スプロケット11とハウジング12とにより囲まれた内部空間が形成されている。
スプロケット11は、カム軸220の端部に嵌合され、回転可能に支持されている。スプロケット11には、ロック部60の一部として機能する凹部90が形成されている。凹部90についての詳細な説明は、後述する。スプロケット11には、クランク軸210のスプロケット211とともに、環状のタイミングチェーン212が掛け渡されている。スプロケット11は、複数のボルト19によってハウジング12と固定されている。このため、駆動回転体10は、クランク軸210と連動して回転する。
ハウジング12は、有底筒状であって底部に貫通孔13が形成された概略形状を有する。ハウジング12は、リア側に形成された開口端14がスプロケット11のフロント側の面により塞がれている。図2に示すように、ハウジング12は、周方向BDに互いに並んで形成されて径方向内側に向かってそれぞれ突出する3つの隔壁部15を有する。周方向BDにおいて互いに隣り合う各隔壁部15の間には、後述するベーンロータ20の各ベーン22がそれぞれ配置されている。
図1および図2に示すベーンロータ20は、駆動回転体10の内部空間に収容され、カム軸220の端部に連結されている。ベーンロータ20は、スプール弁40から供給される作動油の油圧を受けて、駆動回転体10に対して遅角方向または進角方向へ相対回転可能に構成されている。ベーンロータ20は、ロータ21と、3つのベーン22とを有する。
ロータ21は、円筒状の外観形状を有する。ロータ21の中央部には、軸方向ADに貫通する貫通孔23が形成されている。貫通孔23には、スプール弁40が配置されている。図2において破線で示すように、ロータ21には、3つの遅角油路24と3つの進角油路25とが、それぞれ径方向に貫通して形成されている。各遅角油路24と各進角油路25とは、軸方向ADにおいて互いに並んで形成されている。各遅角油路24は、後述するスプール弁40の遅角ポートP1と遅角室26を連通させている。各進角油路25は、後述するスプール弁40の進角ポートP2と進角室27を連通させている。貫通孔23において、各遅角油路24と各進角油路25との間は、後述するスプール弁40のアウタースリーブ41によってシールされている。
3つのベーン22は、ロータ21から径方向外側に向かってそれぞれ突出し、周方向BDに互いに並んで形成されている。各ベーン22は、周方向BDにおいて隣り合う各隔壁部15間にそれぞれ配置され、駆動回転体10の内部空間を複数の油圧室28に区画する。具体的には、隣り合う隔壁部15間の周方向BDに沿った3つの空間を、それぞれ油圧室28としての遅角室26と進角室27とに区画する。遅角室26には、ロータ21に形成されている遅角油路24を介して作動油が供給され、また、作動油が排出される。同様に、進角室27には、ロータ21に形成されている進角油路25を介して作動油が供給され、また、作動油が排出される。ベーンロータ20は、遅角室26および進角室27に供給される作動油の油圧に応じて、駆動回転体10に対して相対回転する。
3つのベーン22のうちの1つは、他の2つのベーン22よりも大きく構成されている。かかる大きなベーン22には、図1に示すように、軸方向ADに沿ってピン収容部61が形成されている。ピン収容部61は、ロック部60の一部を構成している。ピン収容部61についての詳細な説明は、後述する。また、ベーンロータ20には、かかる大きなベーン22とロータ21とに亘って、ロック油路29が形成されている。ロック油路29は、後述するピン油圧室99と連通可能に構成されている。
本実施形態において、駆動回転体10は、鉄により形成されており、ベーンロータ20は、アルミニウムにより形成されている。なお、駆動回転体10とベーンロータ20とは、これらの材料に限らず、他の任意の材料により形成されていてもよい。
ブッシング部材30は、軸方向ADに沿った貫通孔が形成された円環状の外観形状を有する。ブッシング部材30は、軸方向ADにおいて、ベーンロータ20のフロント側の端面と、後述するスプール弁40の突出部414とに挟まれて配置されている。本実施形態において、ブッシング部材30は、鉄により形成されており、スプール弁40によってベーンロータ20がカム軸220に固定される際におけるベーンロータ20の変形を抑制する。
ロック部60は、駆動回転体10に対するベーンロータ20の相対回転を、最遅角位相と最進角位相との間の中間位相(以下の説明では、「ロック位相」とも呼ぶ)においてロックする。これにより、例えば、内燃機関300の始動時等、油圧が不十分な状態において、ハウジング12の隔壁部15とベーンロータ20のベーン22とが周方向BDに衝突することが抑制される。ロック部60は、ピン収容部61と、ロックピン70と、バネ80と、凹部90と、ピン油圧室99とを備える。
ピン収容部61は、上述のように、ベーンロータ20に形成された大きなベーン22のリア側の面において、リア側に開口するように軸方向ADに沿って円柱状に窪んで形成されている。ピン収容部61は、スプロケット11に形成された凹部90と対向可能に形成されている。より具体的には、ピン収容部61は、ロック位相において凹部90と対向する周方向BDの位置に形成されている。ピン収容部61には、円筒状に形成されたスリーブピンガイド62が圧入されている。スリーブピンガイド62は、ロックピン70の往復動をガイドする。なお、スリーブピンガイド62は、省略されていてもよい。ピン収容部61のフロント側の端面である底部には、呼吸路63が連なって形成されている。呼吸路63は、バルブタイミング調整装置100の外部と連通している。
ロックピン70は、略円筒状の外観形状を有し、ピン収容部61と凹部90とに亘って軸方向ADに沿って往復動可能に収容されている。ロック解除状態では、ロックピン70の全体がピン収容部61に収容され、ロック状態では、ロックピン70の先端部が凹部90に嵌合する。本実施形態のロックピン70は、互いに同軸上に配置されたインナーピンとアウターピンとを有する二重構造のピンとして構成されている。
バネ80は、圧縮コイルバネにより構成されて、ロックピン70を凹部90に向かって付勢している。
凹部90は、スプロケット11のフロント側の面において、フロント側に開口するように軸方向ADに沿って窪んで形成され、ピン収容部61と対向可能に形成されている。凹部90には、凹部供給部94が連なって形成されている。凹部供給部94は、ベーンロータ20に形成されたロック油路29と連通可能に構成されており、スプール弁40から供給される作動油を、ロック油路29を介して凹部90へと導く。
ピン油圧室99は、ロック解除のためにロックピン70に油圧を供給する機能を有する。ピン油圧室99は、凹部90とピン収容部61の一部とによって構成されている。より具体的には、ピン収容部61のうちリア側の端部は、ピン収容部61にロックピン70の全部が収容されている状態において、ピン油圧室99の一部を構成する。ピン油圧室99は、ロックピン70に対して作動油の油圧を供給するための空間として機能する。ピン油圧室99に作動油が供給されるとロックが解除され、ピン油圧室99から作動油が排出されるとロック位相でロックされる。
スプール弁40は、バルブタイミング調整装置100の回転軸AXに配置されている。スプール弁40は、フロント側に配置された図示しないソレノイドの駆動力により、図2に示す作動油の遅角室26、進角室27または図1に示すピン油圧室99への供給と、遅角室26、進角室27またはピン油圧室99からの排出とを制御する。また、スプール弁40は、ベーンロータ20をカム軸220に締結する固定部材としての機能を有する。
図1に示すように、作動油は、オイルポンプ251によりオイルパン252から汲み上げられ、カム軸220に設けられた供給穴部226を介してスプール弁40へと供給される。遅角室26、進角室27またはピン油圧室99から排出される作動油は、スプール弁40を介してオイルパン252へと排出される。
スプール弁40のうち軸方向ADに沿ってリア側の一部は、カム軸220に設けられた軸穴部222に収容されている。スプール弁40のうち軸方向ADの中央部分は、ベーンロータ20の貫通孔23に収容されている。
図3に示すように、スプール弁40は、スリーブ49と、スプール43とを備える。スリーブ49は、スプール43を軸方向ADに摺動自在に支持する機能と、ベーンロータ20に作動油を供給し、また、ベーンロータ20から作動油を排出するためのポートを提供する機能とを有する。スリーブ49は、アウタースリーブ41と、インナースリーブ42とを有する。
アウタースリーブ41は、略円筒状の外観形状を有し、スプール弁40をカム軸220に固定させる機能と、インナースリーブ42およびスプール43とを収容する機能と、作動油供給油路48を形成する機能とを有する。アウタースリーブ41のリア側の端部の外周面には、雄ねじ部410が形成されている。雄ねじ部410は、図1に示すカム軸220の軸穴部222に形成されている雌ねじ部224と螺合する。これにより、スプール弁40は、カム軸220に締結固定される。かかる締結固定により、軸方向ADの軸力が加えられるので、吸気弁を押すことによるカム軸220の偏心力によってスプール弁40とカム軸220とがずれることを抑制でき、作動油が漏れることを抑制できる。図3に示すように、アウタースリーブ41のフロント側の端部には、工具係合部413が形成されている。工具係合部413は、六角ソケット等の工具と係合可能な外観形状を有し、スプール弁40をカム軸220に締結する際に利用される。
アウタースリーブ41において、工具係合部413に対してリア側に隣接する位置には、突出部414が形成されている。突出部414は、フランジ状に径方向外側に突出している。図1に示すように、スプール弁40がカム軸220に締結固定される際に、突出部414は、ブッシング部材30のフロント側端面に押し付けられる。また、突出部414によりブッシング部材30がリア側へと押し付けられることにより、ブッシング部材30を介してスプール弁40とベーンロータ20とが互いに固定される。ここで、スプール弁40は、カム軸に固定されているので、突出部414によりブッシング部材30がリア側へと押し付けられることにより、カム軸220とベーンロータ20とは、ブッシング部材30およびスプール弁40を介して互いに固定されることとなる。図3に示すように、アウタースリーブ41には、軸孔415と、作動油供給孔416とが形成されている。軸孔415は、軸方向ADに沿って貫通して形成されており、インナースリーブ42が挿入されている。軸孔415とインナースリーブ42の外周面とにより囲まれる空間は、作動油供給油路48として機能する。作動油供給孔416は、アウタースリーブ41のリア側の端部において厚さ方向に貫通して形成されている。図1に示すように、作動油供給孔416は、軸穴部222から供給される作動油を、作動油供給油路48へと供給する。
図3に示すインナースリーブ42は、略円筒状の外観形状を有し、アウタースリーブ41に形成された軸孔415に収容されている。インナースリーブ42には、軸方向ADに沿った内孔421が形成されている。内孔421には、スプール43が挿入されている。図3において破線で示すように、インナースリーブ42には、第1供給孔422と、第2供給孔423とが、それぞれ厚さ方向に貫通して軸方向ADに並んで形成されている。第1供給孔422は、第2供給孔423よりも軸方向ADにおいてリア側に形成されており、作動油供給油路48と後述する遅角ポートP1または進角ポートP2とを連通する。第2供給孔423は、作動油供給油路48と後述するロックポートP3とを連通する。第1供給孔422の径方向内側と第2供給孔423の径方向内側とには、それぞれ逆止弁47が配置されている。各逆止弁47は、それぞれ帯状の薄板が環状に巻かれて形成されることにより、径方向に弾性変形し、作動油の逆流を抑制する。
スリーブ49には、遅角ポートP1と、進角ポートP2と、ロックポートP3とが、リア側からフロント側に向かって順番に軸方向ADに互いに並んで形成されている。これらの3つのポートP1〜P3は、いずれもアウタースリーブ41とインナースリーブ42とを径方向に貫く貫通孔として形成されている。遅角ポートP1は、ベーンロータ20内に形成された図2に示す遅角油路24と連通可能に構成されている。また、図3に示す進角ポートP2は、図2に示すベーンロータ20内に形成された進角油路25と連通可能に構成されている。図3に示すロックポートP3は、図1に示すベーンロータ20内に形成されたロック油路29と連通可能に構成されている。
図3に示すスプール43は、略円筒状の外観形状を有し、インナースリーブ42の内孔421において軸方向ADに摺動可能に収容されている。スプール43のリア側にはバネ45が配置されている。バネ45は、圧縮コイルバネにより構成され、フロント側の端部がスプール43に当接し、リア側の端部がスリーブ49に当接している。バネ45は、スプール43をフロント側へと付勢している。スプール43のフロント側の端部には、図示しない押圧ピンが当接可能に配置されており、かかる押圧ピンがソレノイドの駆動力によってリア側に移動すると、バネ45の付勢力に打ち勝ってスプール43がリア側へとストロークする。なお、図1および図3では、押圧ピンがスプール43をリア側に押していない状態を示している。
スプール43には、軸方向ADに沿った貫通孔431が形成されている。貫通孔431は、ドレン油路432の一部を構成している。ドレン油路432は、遅角室26と進角室27とピン油圧室99とから排出される作動油の油路として機能する。また、スプール43には、第1ドレン流入部433と、第2ドレン流入部434とが、それぞれ厚さ方向に貫通して軸方向ADに並んで形成されている。第1ドレン流入部433は、第2ドレン流入部434よりも軸方向ADにおいてリア側に形成されており、遅角ポートP1とドレン油路432を連通し、遅角室26から排出される作動油をドレン油路432へと導く。第2ドレン流入部434は、進角ポートP2とドレン油路432を連通して進角室27から排出される作動油をドレン油路432へと導き、また、ロックポートP3とドレン油路432を連通してピン油圧室99から排出される作動油をドレン油路432へと導く。また、スプール43のフロント側の端部には、ドレン油路432とスプール弁40の外部を連通させるドレン流出部435が形成されている。ドレン流出部435は、ドレン油路432の作動油をスプール弁40の外部へと排出する。図1に示すように、ドレン流出部435から排出された作動油は、オイルパン252へと回収される。
図3に示すように、スプール43の外周面には、4つのシール部S1〜S4がリア側からフロント側に向かって順番に軸方向ADに互いに並んで形成されている。4つのシール部S1〜S4は、それぞれ全周に亘って径方向外側に突出した形状を有する。4つのシール部S1〜S4は、インナースリーブ42の内孔421の一部をそれぞれシールし、意図しない作動油の流動を抑制する。
スプール43に形成された4つのシール部S1〜S4と、インナースリーブ42の内孔421とは、バルブ仕切部50を構成している。バルブ仕切部50は、複数のポートP1〜P3に対する供給孔422、423とドレン流入部433、434との連通状態をそれぞれ切り替える。より具体的には、遅角ポートP1と第1供給孔422の連通状態と、遅角ポートP1と第1ドレン流入部433の連通状態と、進角ポートP2と第1供給孔422の連通状態と、進角ポートP2と第2ドレン流入部434の連通状態と、ロックポートP3と第2供給孔423の連通状態と、ロックポートP3と第2ドレン流入部434の連通状態とを切り替える。本実施形態において、「複数のポートP1〜P3の連通状態」には、各ポートP1〜P3の開閉状態と、各ポートP1〜P3に連通する流路における流路断面積の大きさの状態とが含まれている。
図4〜図7を参照して、バルブタイミング調整装置100の油圧回路について説明する。図4〜図7では、それぞれ、ロック状態、進角状態、保持状態および遅角状態における油圧回路を模式的に示している。これらの状態は、ソレノイドに通電される電力に応じたスプール43のストローク位置に対応して実現されている。図4〜図7では、作動油の供給を太い実線の矢印で示し、作動油の排出を太い破線の矢印で示している。また、作動油の供給のうち供給量が限定される絞り供給を、太い一点鎖線の矢印で示している。
図4に示すロック状態における油圧回路は、図1および図3に示す状態のように、ソレノイドに通電が行われず押圧ピンがスプール43をリア側に押していない状態において実現される。ロック状態では、駆動回転体10に対するベーンロータ20の相対回転がロック位相においてロックされる。ロック状態では、ロックポートP3が第2ドレン流入部434と連通することにより、ピン油圧室99から作動油が排出される。この状態において、ロックポートP3は、作動油供給油路48と連通していない。
また、ロック状態では、遅角ポートP1が作動油供給油路48と連通することにより、遅角室26へと作動油が供給される。換言すると、作動油供給源250と遅角室26が連通する。本実施形態では、作動油供給源250と遅角室26が連通した状態における作動油供給源250から遅角室26までの流路を、遅角流路Pa1とも呼ぶ。
また、ロック状態では、進角ポートP2が作動油供給油路48と連通することにより、進角室27へと作動油が供給される。換言すると、作動油供給源250と進角室27が連通する。本実施形態では、作動油供給源250と進角室27が連通した状態における作動油供給源250から進角室27までの流路を、進角流路Pa2とも呼ぶ。
本実施形態では、バルブ仕切部50によって、第1供給孔422から遅角ポートP1までの間の流路断面積が縮小されることにより、最小部52が形成されている。本実施形態において、最小部52とは、遅角流路Pa1の全長のうち流路断面積が最小である部分を意味している。ロック状態において、オイルポンプ251から吐出された作動油は、最小部52を通過する。このため、遅角室26へと供給される作動油の供給量は、限定される。以下の説明では、供給量が限定される作動油の供給を、「絞り供給」とも呼ぶ。本実施形態において、最小部52の流路断面積は、所定値以下の大きさとなるように予め設定されている。例えば、遅角流路Pa1の全長のうち最小部52以外の部分における流路断面積に対して約2〜3割程度の大きさとなるように設定されている。
図5に示す進角状態における油圧回路は、図4に示すロック状態よりもスプール43がリア側に移動することにより実現される。進角状態では、進角ポートP2が作動油供給油路48と連通することにより進角室27へと作動油が供給され、遅角ポートP1が第1ドレン流入部433と連通することにより、遅角室26から作動油が排出される。進角状態では、ベーンロータ20が駆動回転体10に対して進角方向へ相対回転し、クランク軸210に対するカム軸220の相対回転位相が進角側へと変化する。
図5に示す進角状態と、図6に示す保持状態と、図7に示す遅角状態とでは、いずれもロックポートP3が第2ドレン流入部434と連通していないことにより、ピン油圧室99から作動油が排出されず、ロックが解除されている。なお、図5〜7では、ロックポートP3が作動油供給油路48と連通することによりピン油圧室99へと作動油が供給されているものとして図示しているが、ひとたびピン油圧室99への作動油の供給が実行された後にロックポートP3が作動油供給油路48と連通せずにピン油圧室99が封止されていてもよい。ロック解除状態では、駆動回転体10に対するベーンロータ20の相対回転が許容され、クランク軸210に対するカム軸220の相対回転位相が変更可能となっている。本実施形態では、作動油供給源250とピン油圧室99が連通した状態における作動油供給源250からピン油圧室99までの流路を、ロック流路Pa3とも呼ぶ。
図6に示す保持状態における油圧回路は、図5に示す進角状態よりもスプール43がリア側に移動することにより実現される。保持状態では、遅角ポートP1が第1ドレン流入部433と連通しないことにより遅角室26から作動油が排出されず、また、進角ポートP2が第2ドレン流入部434と連通しないことにより、進角室27から作動油が排出されない。なお、図6では、遅角ポートP1と進角ポートP2とがそれぞれ封止されて作動油供給油路48と連通しないものとして図示しているが、遅角ポートP1と進角ポートP2との少なくとも一方が作動油供給油路48と連通し、遅角室26と進角室27との少なくとも一方に作動油が供給されてもよい。保持状態では、ベーンロータ20の駆動回転体10に対する相対回転が抑制され、クランク軸210に対するカム軸220の相対回転位相が保持される。
図7に示す遅角状態における油圧回路は、図6に示す保持状態よりもスプール43がリア側に移動することにより実現される。遅角状態では、遅角ポートP1が作動油供給油路48と連通することにより遅角室26へと作動油が供給され、進角ポートP2が第2ドレン流入部434と連通することにより、進角室27から作動油が排出される。遅角状態では、ベーンロータ20が駆動回転体10に対して遅角方向へ相対回転し、クランク軸210に対するカム軸220の相対回転位相が遅角側へと変化する。
図8〜図17を参照して、スプール43のストローク位置に応じた流路断面積の大きさを説明する。図8において、縦軸は、流路断面積の大きさを示し、横軸は、スプール弁40のストローク位置を示している。横軸に示す0点は、ソレノイドに通電が行われずバネ45の付勢力によってスプール43がストローク範囲の端部に位置する状態を示し、a〜h点は、ソレノイドに通電が行われてバネ45の付勢力に打ち勝ってスプール43がリア側へとストロークした状態をそれぞれ示している。なお、h点は、スプール43が最大限ストロークした状態を示している。図9〜図17は、それぞれ図8に示す0点およびa〜h点のストローク位置におけるスプール弁40の流路を示している。図9〜図17では、作動油の供給を実線の矢印で示し、作動油の排出を白抜きの矢印で示している。また、作動油の絞り供給を、一点鎖線の矢印で示している。
図8に示すように、スプール43が軸方向ADにストロークすることにより、バルブタイミング調整装置100における作動油の流動が制御される。スプール弁40のストローク範囲には、第1ストローク区間101と、第2ストローク区間102と、第3ストローク区間103と、第4ストローク区間104とが含まれている。
第1ストローク区間101は、0点からb点までのストローク区間に相当する。第1ストローク区間101では、図9および図10に示すように、ロックポートP3が第2ドレン流入部434と連通してピン油圧室99から作動油が排出されるとともに、シール部S4を含むバルブ仕切部50によってロックポートP3と第2供給孔423との連通が断たれてロック流路Pa3が塞がれている。
図8に示す第2ストローク区間102は、第1ストローク区間101のうち、0点からa点までのストローク区間に相当する。バルブタイミング調整装置100は、a点から0点へとスプール43がストロークすることにより、ロック状態へと移行する。第2ストローク区間102では、図9に示すように、進角室27と遅角室26との両方に作動油が供給される。この状態において、第1供給孔422は、遅角ポートP1と進角ポートP2との両方に連通している。この結果、遅角室26と進角室27とは、第1供給孔422および作動油供給源250を介して互いに連通する。かかる連通によって、駆動回転体10の内部においてベーンロータ20の位相振れが発生する。
ここで、第1供給孔422から遅角ポートP1までの流路には、シール部S2を含むバルブ仕切部50によって最小部52が形成されている。このため、作動油は、遅角室26へと絞り供給される。換言すると、遅角流路Pa1は、スプール弁40が第2ストローク区間102で動作する状態において、流路断面積が作動油供給源250から遅角室26までの間で最小である最小部52を有する。他方、第1供給孔422から進角ポートP2までの流路には、最小部52が形成されていない。したがって、進角室27へと供給される作動油の流量は、遅角室26へと供給される作動油の流量よりも多い。換言すると、スプール弁40が第2ストローク区間102で動作する状態において、進角流路Pa2の流路断面積は、最小部52の流路断面積よりも大きい。このように、ロック状態へと移行する際に作動油を遅角室26へと絞り供給するので、遅角流路Pa1における圧力損失を増大させることができ、第1供給孔422および作動油供給源250を介して互いに連通する遅角室26と進角室27との間における作動油の流動を抑制できる。したがって、遅角室26と進角室27とが作動油供給源250を介して連通することに起因する駆動回転体10に対するベーンロータ20の位相振れの振れ幅の増大を抑制できる。
図8に示す第3ストローク区間103は、b点からh点までのストローク区間に相当する。第3ストローク区間103では、図12〜図17に示すように、ロックポートP3が第2供給孔423と連通してピン油圧室99に作動油が供給される。
図8に示す第4ストローク区間104は、第3ストローク区間103のうち、c点からh点までのストローク区間に相当する。第4ストローク区間104では、クランク軸210に対するカム軸220の回転位相が調整される。バルブタイミング調整装置100は、第4ストローク区間104のうち、c点からd点までのストローク区間において進角状態となり、d点からg点までのストローク区間において保持状態となり、g点からh点までのストローク区間において遅角状態となる。
進角流路Pa2の流路断面積は、図12に示すc点のストローク位置から図15に示すf点のストローク位置に変化するに従って、シール部S3を含むバルブ仕切部50によって次第に縮小し、ゼロとなる。遅角流路Pa1の流路断面積は、図14に示すe点のストローク位置から図17に示すh点のストローク位置に変化するに従って、シール部S2を含むバルブ仕切部50により、ゼロの状態から次第に拡大する。
本実施形態において、進角流路Pa2の流路断面積は、スプール弁40が第4ストローク区間104で動作する状態よりも、スプール弁40が第2ストローク区間102で動作する状態の方が大きい。このため、ロック状態に移行する際に、進角室27には、十分な量の作動油が供給されることとなる。
以上説明した本実施形態のバルブタイミング調整装置100によれば、スプール43のストローク範囲に、ピン油圧室99から作動油を排出するとともに遅角室26と進角室27との両方に作動油を供給してロック状態とする第2ストローク区間102を有する。また、スプール弁40が第2ストローク区間102で動作する状態において、遅角流路Pa1は、流路断面積が作動油供給源250から遅角室26までの間で最小である最小部52を有し、スプール弁40が第2ストローク区間102で動作する状態における進角流路Pa2の流路断面積は、最小部52の流路断面積よりも大きい。このため、ロック状態へと移行させる際に、遅角流路Pa1における圧力損失を増大させた状態で遅角室26と進角室27との両方に作動油を供給できる。したがって、第1供給孔422および作動油供給源250を介して互いに連通する遅角室26と進角室27との間における作動油の流動を抑制できるので、駆動回転体10に対するベーンロータ20の位相振れの振れ幅の増大を抑制できる。このため、位相振れの振れ幅の増大に起因してロックピン70が凹部90に嵌合できなくなることを抑制できるので、ロック不良の発生を抑制できる。また、最小部52によって遅角流路Pa1の流路断面積を縮小して位相振れの振れ幅の増大を抑制するので、スプール弁40の構造の複雑化を抑制でき、バルブタイミング調整装置100装置の構造の複雑化を抑制できる。したがって、ロック状態へと移行させる際におけるベーンロータ20の位相振れの振れ幅の増大を抑制しつつ、バルブタイミング調整装置100装置の構造の複雑化を抑制できる。
また、ロック状態へと移行させる際に遅角室26と進角室27との両方に作動油を供給するので、ロック状態へと移行させる際に遅角室26と進角室27とのうちのいずれか一方の作動油が不足する構成と比較して、駆動回転体10の内部におけるベーンロータ20の不要な相対回転を抑制できる。また、ベーンロータ20を中間位相へと自動で動かすためのデフォルト回路等を有さないので、バルブタイミング調整装置100の構造の複雑化をより抑制できる。
また、最小部52は、スリーブ49とスプール43とにより形成されたバルブ仕切部50によって、遅角流路Pa1の流路断面積が縮小されて形成されている。このため、最小部52を形成するための構造が複雑化することを抑制でき、スプール43のストローク位置に応じて遅角流路Pa1の流路断面積を容易に調整できる。また、流路断面積を縮小する必要がない状態において流路断面積が縮小されてしまうことを抑制できる。
また、最小部52は、図9に示す0点のストローク位置のように、バネ45の付勢力によってスプール43がストローク範囲の端部に位置する状態において形成されている。このため、ソレノイドへの通電が無い状態で最小部52を形成でき、流路断面積の大きさの制御が複雑化することを抑制できる。
また、第2ストローク区間102における遅角流路Pa1に最小部52が形成されており、第2ストローク区間102における進角流路Pa2に最小部52が形成されていない。このため、ソレノイドへの通電がゼロにされてスプール43がデフォルト位置に戻る際に、進角室27の圧力を遅角室26の圧力よりも高めておくことができる。ここで、カム軸220には、吸気弁の機構に起因して正負のカムトルクが加えられている。かかるカムトルクは、カム軸220の摩擦抵抗に起因して遅角方向へのトルクの方が大きい傾向にある。このようなカムトルクによって、ベーンロータ20は、駆動回転体10に対して遅角方向に相対回転しやすい。本実施形態のバルブタイミング調整装置100によれば、ロック状態に移行する際に進角室27の圧力を遅角室26の圧力よりも高めておくことができるので、ロックピン70がピン収容部61に収容された状態のベーンロータ20が、凹部90が形成された駆動回転体10に対して遅角方向へと過度に相対回転してロックピン70が凹部90よりも遅角方向に動いてしまうことを抑制できる。したがって、カムトルクに起因してロックピン70が凹部90に嵌合できなくなることを抑制でき、ロック不良の発生を抑制できる。このため、内燃機関300が高温となって作動油の流動性が高められた状態においても、ロック不良の発生を抑制できる。なお、カム軸220の平均トルクが遅角方向に偏っているので、進角室27の圧力を遅角室26の圧力よりも高めておくことによりロックピン70が凹部90よりも進角方向に動いた場合であっても、カムトルクによってロックピン70を凹部90に嵌合させることができる。
また、進角流路Pa2の流路断面積は、スプール弁40が第4ストローク区間104で動作する状態よりも、スプール弁40が第2ストローク区間102で動作する状態の方が大きい。このため、ロック状態に移行する際に、進角室27へと十分な量の作動油を供給できる。このため、ロック状態に移行する際に、駆動回転体10に対してベーンロータ20が遅角方向へと過度に相対回転することをより抑制でき、ロック不良の発生をより抑制できる。
また、ロック流路Pa3が、遅角流路Pa1および進角流路Pa2とは独立して設けられているので、ピン油圧室99への作動油の供給およびピン油圧室99からの作動油の排出を、油圧室28への作動油の供給および油圧室28からの作動油の排出とは独立して制御でき、作動油の流動制御が複雑化することを抑制できる。
B.他の実施形態:
B−1.他の実施形態1:
上記実施形態において、最小部52は、スリーブ49とスプール43とにより形成されたバルブ仕切部50によって遅角流路Pa1の流路断面積が縮小されて形成されていたが、バルブ仕切部50以外の構成によって最小部52が形成されてもよい。例えば、スプール弁40が第2ストローク区間102で動作する状態において、スプール弁40の外部に設けられた絞り部によって遅角流路Pa1の流路断面積が縮小されてもよい。かかる絞り部は、例えば、オイルポンプ251と作動油供給孔416との間に設けられていてもよい。また、上記実施形態において、最小部52は、バネ45の付勢力によってスプール43がストローク範囲の端部に位置する状態において形成されていたが、最小部52は、スプール43がストローク範囲の端部に位置しない状態において形成されていてもよい。このような構成によっても、上記実施形態と同様な効果を奏する。
B−2.他の実施形態2:
上記実施形態において、進角流路Pa2の流路断面積は、スプール弁40が第4ストローク区間104で動作する状態よりも、スプール弁40が第2ストローク区間102で動作する状態の方が大きかったが、本開示はこれに限定されるものではない。例えば、進角流路Pa2の流路断面積は、スプール弁40が第4ストローク区間104で動作する状態と第2ストローク区間102で動作する状態とにおいて同程度であってもよく、スプール弁40が第4ストローク区間104で動作する状態よりも、スプール弁40が第2ストローク区間102で動作する状態の方が小さくてもよい。かかる構成によっても、スプール弁40が第2ストローク区間102で動作する状態において進角流路Pa2の流路断面積が最小部52の流路断面積よりも大きいことにより、上記実施形態と同様な効果を奏する。
B−3.他の実施形態3:
上記実施形態では、遅角流路Pa1が最小部52を有し、スプール弁40が第2ストローク区間102で動作する状態における進角流路Pa2の流路断面積が最小部52の流路断面積よりも大きかったが、進角流路Pa2が最小部52を有し、スプール弁40が第2ストローク区間102で動作する状態における遅角流路Pa1の流路断面積が最小部52の流路断面積よりも大きくてもよい。かかる構成によっても、ロック状態へと移行させる際におけるベーンロータ20の位相振れの振れ幅の増大を抑制しつつ、バルブタイミング調整装置100の構造の複雑化を抑制できる。
B−4.他の実施形態4:
上記実施形態におけるバルブタイミング調整装置100の構成は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、ロック部60は、駆動回転体10にピン収容部61が形成されてベーンロータ20に凹部90が形成されていてもよく、二重構造のロックピン70に代えて互いに異なる位置に配置された複数のピンにより構成されていてもよく、軸方向ADに代えて径方向に往復動可能なロックピン70により構成されていてもよい。また、例えば、駆動回転体10に対してベーンロータ20を進角方向に付勢するアシストスプリングをさらに備えていてもよい。また、例えば、スプール弁40は、駆動回転体10やベーンロータ20の外部に配置されていてもよく、ソレノイドに限らず電動モータやエアシリンダー等の任意のアクチュエータにより駆動されてもよい。また、例えば、バルブタイミング調整装置100は、カム軸220が開閉駆動する吸気弁のバルブタイミングを調整することに代えて、排気弁のバルブタイミングを調整するように構成されていてもよい。このような構成によっても、上記各実施形態と同様な効果を奏する。
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した形態中の技術的特徴に対応する各実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
10…駆動回転体、20…ベーンロータ、22…ベーン、26…遅角室、27…進角室、28…油圧室、40…スプール弁、43…スプール、48…作動油供給油路、52…最小部、60…ロック部、70…ロックピン、99…ピン油圧室、100…バルブタイミング調整装置、101…第1ストローク区間、102…第2ストローク区間、210…クランク軸(駆動軸)、220…カム軸(従動軸)、250…作動油供給源、AD…軸方向、Pa1…遅角流路、Pa2…進角流路、Pa3…ロック流路

Claims (5)

  1. 駆動軸(210)から動力が伝達されて駆動される従動軸(220)の回転位相を前記駆動軸に対して調整することにより、前記従動軸によって開閉されるバルブのバルブタイミングを調整するバルブタイミング調整装置(100)であって、
    内部空間が形成され、前記駆動軸と連動して回転する駆動回転体(10)と、
    前記内部空間に収容されて前記従動軸に連結され、前記内部空間を遅角室(26)と進角室(27)との油圧室(28)に区画するベーン(22)を有し、前記遅角室と前記進角室とにそれぞれ供給される作動油の圧力を受けて前記駆動回転体に対して相対回転可能に設けられたベーンロータ(20)と、
    ロックピン(70)を有し、前記ロックピンに対して油圧を供給するためのピン油圧室(99)が形成され、前記ピン油圧室から前記作動油が排出されることにより前記駆動回転体に対する前記ベーンロータの相対回転を最遅角位相と最進角位相との間の中間位相においてロックし、前記ピン油圧室へと前記作動油が供給されることによりロックを解除するロック部(60)と、
    スプール(43)を有し、前記スプールが軸方向(AD)にストロークすることにより前記作動油の流動を制御するスプール弁(40)であって、前記スプールのストローク範囲に、前記ピン油圧室から前記作動油を排出する第1ストローク区間(101)と、前記第1ストローク区間のうち前記遅角室と前記進角室との両方に前記作動油を供給する第2ストローク区間(102)とを有するスプール弁と、
    前記遅角室と作動油供給源(250)を連通可能な遅角流路(Pa1)と、
    前記進角室と前記作動油供給源を連通可能な進角流路(Pa2)と、
    前記ピン油圧室と前記作動油供給源を連通可能なロック流路(Pa3)と、
    を備え、
    前記遅角流路と前記進角流路とのうちの一方の流路は、前記スプール弁が前記第2ストローク区間で動作する状態において、流路断面積が前記作動油供給源から前記油圧室までの間で最小である最小部(52)を有し、
    前記スプール弁が前記第2ストローク区間で動作する状態において、前記遅角流路と前記進角流路とのうちの他方の流路の流路断面積は、前記最小部の流路断面積よりも大きい、
    バルブタイミング調整装置。
  2. 請求項1に記載のバルブタイミング調整装置において、
    前記スプール弁は、
    前記軸方向に沿った内孔(421)と、前記軸方向に直交する径方向に貫通する複数のポート(P1〜P3)とが形成されたスリーブ(49)と、
    アクチュエータにより駆動されて前記内孔を前記軸方向に摺動する前記スプールと、
    前記スプールを付勢するバネ(45)と、
    を有し、
    前記最小部は、前記複数のポートの連通状態を切り替えるために前記スリーブと前記スプールとにより形成されたバルブ仕切部(50)によって、前記一方の流路の流路断面積が縮小されて形成される、
    バルブタイミング調整装置。
  3. 請求項2に記載のバルブタイミング調整装置において、
    前記最小部は、前記バネの付勢力によって前記スプールが前記ストローク範囲の端部に位置する状態において形成される、
    バルブタイミング調整装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置において、
    前記一方の流路は、前記遅角流路である、
    バルブタイミング調整装置。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のバルブタイミング調整装置において、
    前記スプール弁は、前記ストローク範囲に、前記ピン油圧室に前記作動油を供給する第3ストローク区間(103)と、前記第3ストローク区間のうち前記回転位相を調整する第4ストローク区間(104)とをさらに有し、
    前記スプール弁が前記第2ストローク区間で動作する状態における前記他方の流路の流路断面積は、前記スプール弁が前記第4ストローク区間で動作する状態における前記他方の流路の流路断面積よりも大きい、
    バルブタイミング調整装置。
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