JP2021030501A - ストレッチ包装用フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】包装機適性、弾性回復性、粘着性、カット性、折り込み性などが良好で、包装時に破れの発生しにくい、透明で優れた外観を有するストレッチ包装用フィルムを提供する。【解決手段】両表面層と中間層の少なくとも3層を有するストレッチ包装用フィルムであって、前記両表面層はポリエチレン系樹脂(A)を主成分として含み、前記中間層は、重量平均分子量(Mw)が300,000以上で、エチレン単位含有量が8質量%以上であるポリプロピレン系樹脂(B)と、エチレン単位含有量が8質量%未満であるポリプロピレン系樹脂(C)との樹脂組成物(Z)を主成分として含む、ストレッチ包装用フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、ストレッチ包装用フィルムに関する。詳しくは、食品包装用に好適に用いられるストレッチ包装用フィルム、特に塩素やポリ塩化ビニル用可塑剤を含まないストレッチ包装用フィルムに関する。
従来、青果物、精肉、魚貝類、惣菜などを軽量トレイに載せてオーバーラップして使用されるフィルム、いわゆるプリパッケージ用のストレッチ包装用フィルムとして、主にポリ塩化ビニル系フィルムが使用されてきた。ポリ塩化ビニル系フィルムは、包装効率がよく、包装仕上りが綺麗である等の包装適性が好ましいという理由の他、包装後のフィルムを指で押して変形を加えた際に元に戻る弾性回復性に優れており、また、底折り込み安定性も良好であり、しかも輸送陳列中にフィルム剥がれが発生し難い等、商品価値が低下しないという販売者、消費者の双方に認められた品質の優位性を有するものである。しかし、近年、ポリ塩化ビニル系フィルムについては、焼却時に発生する塩化水素ガスや、多量に含有される可塑剤の溶出などが問題視されてきている。
このため、ポリ塩化ビニル系フィルムに代わる材料が種々検討されており、特にポリオレフィン系樹脂を用いたストレッチ包装用フィルムが各種提案されている。中でも、ストレッチフィルムとして良好な表面特性や、透明性、適度な耐熱性、材料設計の自由度、経済性などの理由から、表裏層にエチレン−酢酸ビニル共重合体を主成分として用い、中間層に各種ポリプロピレン系樹脂を主成分として用いてなる2種3層構成のストレッチ包装用フィルムの検討が活発に行われている。
例えば、ポリプロピレン系樹脂を含む特定の3成分を主成分とする混合樹脂層を有し、動的粘弾性測定による貯蔵弾性率や損失正接が特定の範囲にあることを特徴とする食品包装用ストレッチフィルムが提案されている(特許文献1)。
また、2種のポリプロピレン系樹脂を主成分とする混合樹脂層において、示差走査熱量計における結晶化曲線形状、結晶化ピーク温度、結晶化熱量等が各ポリプロピレン系樹脂で規定される共に、2種のポリプロピレン系樹脂の関係性が規定されたストレッチ包装用フィルムが提案されている(特許文献2、3)。
特開平9−165491号公報 特開2011−68844号公報 特開2012−162074号公報
上述のような中間層に各種ポリプロピレン系樹脂を主成分として用いてなる2種3層構成のストレッチ包装用フィルムは、各種包装機適性(カット性、包装シワ、底折り込み安定性、ちぎれ性)等が良好なフィルムであるが、特許文献2、3に規定されている結晶化曲線形状、結晶化ピーク温度、結晶化熱量等を有する2種のポリプロピレン系樹脂を選択しても、場合によっては、製膜したフィルムが着色したり、フィルム包装時にフィルムが破れたりするといった不具合が見られることがあった。
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、中間層にポリプロピレン系樹脂を主成分として用いてなる2種3層構成のストレッチ包装用フィルムであって、包装機適性(カット性、包装シワ、底折り込み安定性、ちぎれ性)などが良好で、包装時に破れの発生しにくい、透明で優れた外観を有するストレッチ包装用フィルムを提供することを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、中間層に用いるポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量及びエチレン単位含有量の組み合せが、フィルムの着色や、包装時のフィルムの破れ等の不具合を改良する重要な要因であることを究明し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 両表面層と中間層の少なくとも3層を有するストレッチ包装用フィルムであって、前記両表面層はポリエチレン系樹脂(A)を主成分として含み、前記中間層は、重量平均分子量(Mw)が300,000以上で、エチレン単位含有量が8質量%以上であるポリプロピレン系樹脂(B)と、エチレン単位含有量が8質量%未満であるポリプロピレン系樹脂(C)との樹脂組成物(Z)を主成分として含む、ストレッチ包装用フィルム。
[2] 前記ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)より算出される分子量分布(Mw/Mn)が4.5以上である、[1]に記載のストレッチ包装用フィルム。
[3] 前記ポリプロピレン系樹脂(C)の重量平均分子量(Mw)が300,000以上である、[1]または[2]に記載のストレッチ包装用フィルム。
[4] 前記樹脂組成物(Z)の前記ポリプロピレン系樹脂(B)と前記ポリプロピレン系樹脂(C)との合計質量を100質量%とした場合の質量比率が、(B)/(C)=15〜60質量%/85〜40質量%である、[1]〜[3]のいずれかに記載のストレッチ包装用フィルム。
[5] 前記中間層が、さらに下記樹脂(D)を含み、前記樹脂組成物(Z)と該樹脂(D)との合計を100質量%とした場合、樹脂(D)の含有量が1〜40質量%である、[1]〜[4]のいずれかに記載のストレッチ包装用フィルム。
樹脂(D):石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導体の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂
[6] 前記中間層が、さらに下記樹脂(E)を含み、前記樹脂組成物(Z)と樹脂(E)との合計を100質量%とした場合、樹脂(E)の含有量が1〜40質量%である、[1]〜[5]のいずれかに記載のストレッチ包装用フィルム。
樹脂(E):ビニル系芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体、またはそれらの水素添加誘導体の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂
本発明のストレッチ包装用フィルムは、包装機適性、弾性回復性、粘着性、カット性、折り込み性などが良好で、包装時に破れの発生しにくい、透明で優れた外観を有するストレッチ包装用フィルムである。本発明のストレッチ包装用フィルムは、自動包装機を使用した場合の各種包装機適性(カット性、包装シワ、底折り込み安定性、ちぎれ性)等が良好で、かつ、食品などの被包装体を綺麗に展示、陳列するにあたり、透明で優れた外観を有する非塩素系ストレッチ包装用フィルムとして好適に利用することができる。
以下、本発明の実施形態の一例としての本発明のストレッチ包装用フィルムについて説明する。ただし、本発明の範囲は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「主成分」とは、構成する組成物において最も多い質量比率を占める成分をさし、その割合は50質量%以上が好ましく、55質量%以上がより好ましく、60質量%以上がさらに好ましい。また、「X〜Y」(X、Yは任意の数字)と記載した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものである。
また、「モノマー成分」とは樹脂の製造原料であるモノマーに由来して樹脂中に取り込まれた繰り返し単位をさし、「構造単位」或いは「単位」とも言う。
また、「エチレン単位」は樹脂の製造原料のエチレンに由来して樹脂中に取り込まれた繰り返し単位をさす。「酢酸ビニル単位」、「プロピレン単位」についても同様である。
本発明のストレッチ包装用フィルム(以下、「本発明のフィルム」ともいう。)は、両表面層と中間層の少なくとも3層、即ち、一方の表面層/中間層/他方の表面層の少なくとも3層を有する積層フィルムであって、前記両表面層はポリエチレン系樹脂(A)を主成分として含み、前記中間層は、重量平均分子量(Mw)が300,000以上で、エチレン単位含有量が8質量%以上であるポリプロピレン系樹脂(B)と、エチレン単位含有量が8質量%未満であるポリプロピレン系樹脂(C)との樹脂組成物(Z)を主成分として含むことを特徴とする。
なお、本発明において「中間層」とは、両表層に挟まれた層のうち何れか1層を意味する。従って本発明のフィルムが3層である場合は上記の通りであるが、4層以上である場合の「中間層」とは、後述するM層を意味する。また、5層以上である場合は、「中間層」を2層以上有していてもよい。
本発明において「ストレッチ包装用フィルム」とは、伸び性と自己粘着性を有する包装用フィルムを広く包含する意味である。典型的には、青果物、精肉、魚貝類、惣菜などを軽量トレイに載せてオーバーラップするプリパッケージ用の包装用フィルム、荷物運搬時に荷物を固定するためにオーバーラップする包装用フィルム等を挙げることができる。
また、一般的に「シート」とは、JISにおける定義上、薄く、一般にその厚さが長さと幅のわりには小さく平らな製品をいい、一般的に「フィルム」とは、長さおよび幅に比べて厚さが極めて小さく、最大厚さが任意に限定されている薄い平らな製品で、通常、ロールの形で供給されるものをいう(日本工業規格JIS K6900)。例えば、厚さに関して言えば、狭義では100μm以上のものをシートと称し、100μm未満のものをフィルムと称すことがある。しかし、シートとフィルムの境界は定かでなく、本発明においては、文言上両者を区別する必要がないので、「フィルム」と称する場合でも「シート」を含むものとし、「シート」と称する場合でも「フィルム」を含むものとする。
[フィルムの両表面層]
本発明のフィルムの両表面層は、ポリエチレン系樹脂(A)を主成分として含む必要がある。フィルムの両表面層にポリエチレン系樹脂(A)を主成分として含むことで、特に低温でのヒートシール性(底シール性)や、自己粘着性、インフレーションした際の成形性などを高めることができる。
<ポリエチレン系樹脂(A)>
本発明において、ポリエチレン系樹脂(A)は、エチレンを主たるモノマー成分とした樹脂である。主たるモノマー成分とは、樹脂中で50質量%以上100質量%以下を占めるモノマー成分のことをいう。よって、ポリエチレン系樹脂(A)は、エチレン単独重合体でもよく、エチレンを主たるモノマー成分とし、かつ、他のモノマー成分を含有する共重合体であってもよい。共重合体の例を挙げると、エチレン・プロピレン共重合体、エチレン・(1−ブテン)共重合体、エチレン・(1−ペンテン)共重合体、エチレン・(1−ヘキセン)共重合体、エチレン・(4−メチル−1−ペンテン)共重合体、エチレン・(1−ヘプテン)共重合体、エチレン・(1−オクテン)共重合体などのエチレン・(α−オレフィン)共重合体や、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸グリシジル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・エチレングリコール共重合体、エチレン・無水マレイン酸共重合体、エチレン・スチレン共重合体、エチレン・ジエン共重合体、エチレン・環状オレフィン共重合体などが挙げられる。ここで「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」と「メタクリル酸」の一方又は双方を表す。
また、ポリエチレン系樹脂(A)は、エチレンを主たるモノマー成分とした樹脂に金属イオンを含有したアイオノマーであってもよい。さらには、エチレン・プロピレン・(1−ブテン)共重合体など、上述のエチレン以外のモノマー成分を2種以上含有する多元共重合体であってもよい。
この中でも、エチレン単独重合体や、エチレン・(α−オレフィン)共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体が好ましく、エチレン・酢酸ビニル共重合体が特に好ましい。
ポリエチレン系樹脂(A)が、エチレン・酢酸ビニル共重合体である場合、酢酸ビニル単位含有量が5〜25質量%であることが好ましい。酢酸ビニル単位含有量が5質量%以上であれば、得られるフィルムが柔らかく、柔軟性や弾性回復性を維持することができるばかりか、表面粘着性を付与することができるため好ましく、25質量%以下であれば、表面粘着性が強過ぎることがなく巻き出し性や外観を良好に維持することができるため好ましい。
ポリエチレン系樹脂(A)は線状であってもよく、分岐状であってもよい。ポリエチレン系樹脂(A)の製造方法は特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒や、メタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた重合方法等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂(A)は、融点が70〜130℃であることが好ましく、80〜120℃であることがより好ましい。ポリエチレン系樹脂(A)の融点が70〜130℃であれば、フィルムの引張強度や寸法安定性を向上できるため好ましい。
ここで、融点は示差走査熱量計(DSC)を用いて、樹脂約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温したときに測定されたサーモグラムから求めた結晶融解ピーク温度(Tm)(℃)である。また、後述する樹脂の融点についても同様に測定したときの値である。
ポリエチレン系樹脂(A)は、メルトフローレート(MFR)が、0.1〜20g/10分であることが好ましく、0.5〜10g/10分であることがより好ましい。MFRが0.1g/10分以上であれば、フィルムの押出加工性を十分に保持することができるため好ましい。また、MFRが20g/10分以下であればフィルムの製膜安定性を維持することができ、厚みムラや力学強度のバラツキ等が生じることを抑えることができるため好ましい。
ここで、MFRはJIS K7210に準拠して測定される値であり、その測定条件は190℃、2.16kg荷重である。
本発明において、両表面層に含まれるポリエチレン系樹脂(A)は、エチレンを主たるモノマー成分とした樹脂であればよく、1種類であってもよく、また、共重合モノマー成分やその組成、物性等の異なるものの2種類以上であってもよい。
<その他の樹脂>
本発明のフィルムの両表面層は、ポリエチレン系樹脂(A)を主成分とするものであればよく、ポリエチレン系樹脂(A)以外のその他の樹脂を含んでいてもよい。
この場合、両表面層に含まれていてもよいその他の樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、後述の樹脂(D)、後述の樹脂(E)等の1種又は2種以上が挙げられるが、ポリエチレン系樹脂(A)を含むことによる前述の効果を十分に得る上で、本発明のフィルムの両表面層がポリエチレン系樹脂(A)以外の樹脂を含む場合、その含有量はポリエチレン系樹脂(A)とその他の樹脂との合計100質量%中に30質量%以下、特に0〜15質量%であることが好ましい。
[フィルムの中間層]
本発明のフィルムの中間層は、重量平均分子量(Mw)が300,000以上で、エチレン単位含有量が8質量%以上であるポリプロピレン系樹脂(B)と、エチレン単位含有量が8質量%未満であるポリプロピレン系樹脂(C)との樹脂組成物(Z)を主成分として含む必要がある。中間層は樹脂組成物(Z)を主成分として含有し、更に後述の樹脂(D)及び/又は樹脂(E)を含むことが好ましい。
なお、ポリプロピレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(C)のエチレン単位含有量、プロピレン単位含有量は後述の実施例の項に記載の方法で測定される。
<ポリプロピレン系樹脂(B)>
本発明において、ポリプロピレン系樹脂(B)は、プロピレンを主たるモノマー成分とし、かつ、エチレン単位含有量が8質量%以上である樹脂である。主たるモノマー成分とは、樹脂中で50質量%以上92質量%以下を占めるモノマー成分のことをいう。
したがって、ポリプロピレン系樹脂(B)は、プロピレン成分とエチレン成分とを必須のモノマー成分として有し、ポリプロピレン系樹脂(B)中における、プロピレン単位含有量は50質量%以上92質量%以下であり、エチレン単位含有量は8質量%以上50質量%以下となる。
ポリプロピレン系樹脂(B)のエチレン単位含有量は、8質量%以上であって、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましい。ポリプロピレン系樹脂(B)のエチレン単位含有量が8質量%以上であることにより、フィルムの柔軟性が向上し、包装したときのシワ抑制といった弾性回復性を付与し、底折り込み安定性などの粘着性を付与することができる。一方、フィルムの剛性維持の観点からエチレン単位含有量は50質量%以下であって、40質量%以下、特に30質量%以下であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(B)は、上述のプロピレン単位含有量、エチレン単位含有量を満たしていれば、プロピレン、エチレン以外のモノマー成分を有していてもよい。プロピレン、エチレン以外のモノマー成分の例としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテンなどのα−オレフィンや、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸グリシジル、ビニルアルコール、エチレングリコール、無水マレイン酸、スチレン、ジエン、環状オレフィンなどが挙げられる。また、上述のモノマー成分を2種以上含有する多元共重合体であってもよい。ポリプロピレン系樹脂(B)が、プロピレン及びエチレン以外のモノマー成分を有する場合、当該モノマー成分としては1−ブテンが好ましい。また、これらの樹脂の2種以上を併用してもよい。
ポリプロピレン系樹脂(B)のプロピレン単位含有量は、フィルムの剛性維持の観点から特に60〜90質量%であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(B)は、上述のプロピレン単位含有量、エチレン単位含有量を満たしていれば、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよく、また、グラフト共重合体であってもよい。
ポリプロピレン系樹脂(B)は、重量平均分子量(Mw)が300,000以上であることが、本発明において、最も重要である。ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)が300,000以上であることにより、フィルムが黄色味掛かるような着色を抑えることができる。また、包装機での包装時において、フィルムが破れてしまう不具合を抑制することができる。さらには、フィルムに適度な滑り性を付与することができる。
一方、ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)が300,000未満である場合、着色しやすく、フィルムの滑り性が悪いため、包装機適性が求められるストレッチ包装用フィルムとして好ましくない。特に、ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)が300,000未満である場合、包装機での包装において、フィルムが破れやすい傾向が確認された。
即ち、本発明者らの検討により、ポリプロピレン系樹脂(B)においては、示差走査熱量計(DSC)による測定値から算出される結晶化ピーク温度(Tc)や結晶融解ピーク温度(Tm)、また、これらのピーク面積から算出される結晶化熱量(ΔHc)、結晶融解熱量(ΔHm)等の熱的性質(数値)が同程度であっても、ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)が300,000以上である場合は良好な包装機適性を示し、重量平均分子量(Mw)が300,000未満である場合はフィルムの破れ等の不具合が見られることが明らかとなり、ポリプロピレン系樹脂(B)については、結晶化曲線形状、結晶化ピーク温度、結晶化熱量等の熱的性質よりも、重量平均分子量(Mw)を特定の範囲にすることが包装機適性を向上させる重要な指標であることが確認された。
なお、エチレン単位含有量が8質量%以上であるポリプロピレン系樹脂(B)を2種以上併用する場合、そのうち1つの樹脂の重量平均分子量(Mw)が300,000未満であったとしても、併用した樹脂全体のポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)が300,000以上である場合は、本発明におけるポリプロピレン系樹脂(B)に該当する。後述する分子量分布(Mw/Mn)についても同様である。
ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)は300,000以上であればよいが、包装機適性の向上の観点から、好ましくは330,000以上であり、より好ましくは360,000以上である。ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)の上限については特に制限はないが、押出成形性の観点から1,500,000以下、特に1,000,000以下であることが好ましい。
また、ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)より算出される分子量分布(Mw/Mn)は4.5以上であることが好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が4.5以上であることにより、フィルムの成形加工性が向上するとともに、フィルムの破れ抑制や、フィルムへの適度な滑り性付与ができるため好ましい。ポリプロピレン系樹脂(B)の分子量分布(Mw/Mn)は、5.0以上がより好ましく、5.5以上がさらに好ましい。一方、この分子量分布(Mw/Mn)が大きすぎる場合、極めて分子量が低い成分や、極めて分子量が高い成分が含まれる場合がある。そのため、極めて分子量が低い成分がブリードする懸念や、極めて分子量が高い成分が成形時に未溶融物となる懸念があることから、分子量分布(Mw/Mn)は20以下、特に15以下であることが好ましい。
なお、ポリプロピレン系樹脂(B)及び後述のポリプロピレン系樹脂(C)の重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によるポリスチレン換算の値であり、詳細には、後述の実施例の項に記載の方法で測定された値である。
ポリプロピレン系樹脂(B)は、後述の実施例の項に記載されるDSC測定において、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温した際に観察される、結晶化ピーク温度(Tc)が70℃以上であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(B)の結晶化ピーク温度(Tc)が70℃以上であれば、後述するポリプロピレン系樹脂(C)との相溶性が高まり、ストレッチ包装時に白化が生じにくいため好ましい。ポリプロピレン系樹脂(B)の結晶化ピーク温度(Tc)は80℃以上がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂(B)の結晶化ピーク温度(Tc)の上限に関しては特に限定はないが、150℃以下が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(B)は、DSC測定において、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温した際に観察される、結晶化ピーク面積から算出される結晶化熱量(ΔHc)が35J/g以下であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(B)の結晶化熱量(ΔHc)が35J/g以下であれば、フィルムの柔軟性や包装機適性を確保しやすいため好ましい。ポリプロピレン系樹脂(B)の結晶化熱量(ΔHc)は30J/g以下であることがより好ましく、25J/g以下であることがさらに好ましい。ポリプロピレン系樹脂(B)の結晶化熱量(ΔHc)の下限に関しては特に限定はないが、ブロッキング防止の観点から、1J/g以上が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(B)の融点は、前述したように、示差走査熱量計(DSC)を用いて、樹脂約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温(再昇温)したときに測定されたサーモグラムから求めた結晶融解ピーク温度(Tm)(℃)である。
ポリプロピレン系樹脂(B)の結晶融解ピーク温度(Tm)は110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂(B)の結晶融解ピーク温度(Tm)が110℃以上であれば、フィルムに適度な剛性と耐熱性を付与できるため好ましい。ポリプロピレン系樹脂(B)の結晶融解ピーク温度(Tm)の上限に関しては特に限定はないが、160℃以下が好ましい。
また、ポリプロピレン系樹脂(B)は、DSC測定において、上述のように再昇温した際に観察される、結晶融解ピーク面積から算出される結晶融解熱量(ΔHm)が35J/g以下であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(B)の結晶融解熱量(ΔHm)が35J/g以下であれば、フィルムの柔軟性や包装機適性を確保しやすいため好ましい。ポリプロピレン系樹脂(B)の結晶融解熱量(ΔHm)は30J/g以下であることがより好ましく、25J/g以下であることがさらに好ましい。ポリプロピレン系樹脂(B)の結晶融解熱量(ΔHm)の下限に関しては特に限定はないが、ブロッキング防止の観点から、1J/g以上が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(B)の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法、リアクタータイプの重合方法などが挙げられる。
本発明において、ポリプロピレン系樹脂(B)は、1種類のみを用いてもよく、エチレン単位含有量やモノマー成分組成、物性等の異なるものを2種類以上用いてもよい。2種以上のポリプロピレン系樹脂(B)を用いる場合、その合計がポリプロピレン系樹脂(B)の質量となり、後述する樹脂組成物(Z)における質量比率が算出される。
<ポリプロピレン系樹脂(C)>
本発明において、ポリプロピレン系樹脂(C)はプロピレンを主たるモノマー成分とし、かつ、エチレン単位含有量が8質量%未満である樹脂である。主たるモノマー成分とは、樹脂中で50質量%以上100質量%以下を占めるモノマー成分のことをいう。
したがって、ポリプロピレン系樹脂(C)は、プロピレン単独重合体でもよく、プロピレンを主たるモノマー成分とし、かつ、他のモノマーを含有する共重合体であってもよい。ただし、エチレン成分を含有する場合、エチレン単位含有量が8質量%未満となることが重要となる。
ポリプロピレン系樹脂(C)のエチレン単位含有量は、8質量%未満であって、6質量%以下が好ましく、4質量%以下がさらに好ましい。ポリプロピレン系樹脂(C)のエチレン単位含有量が8質量%未満であることにより、フィルムに適度な剛性と耐熱性を付与することができ、包装したときのフィルムのカット性やトレイへの折り込み性を向上させることができる。
ポリプロピレン系樹脂(C)は、上述のプロピレン単位含有量、エチレン単位含有量を満たしていれば、プロピレン、エチレン以外のモノマー成分を有していてもよい。プロピレン、エチレン以外のモノマー成分の例としては、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘプテン、1−オクテンなどのα−オレフィンや、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸グリシジル、ビニルアルコール、エチレングリコール、無水マレイン酸、スチレン、ジエン、環状オレフィンなどが挙げられる。また、上述のモノマー成分を2種以上含有する多元共重合体であってもよい。ポリプロピレン系樹脂(C)が、プロピレン及びエチレン以外のモノマー成分を有する場合、当該モノマー成分としては1−ブテンが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(C)のプロピレン単位含有量は、フィルムの剛性維持の観点から92〜100質量%であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(C)は、上述のプロピレン単位含有量、エチレン単位含有量を満たしていれば、ブロック共重合体であってもよく、ランダム共重合体であってもよく、また、グラフト共重合体であってもよい。
ポリプロピレン系樹脂(C)は、重量平均分子量(Mw)が300,000以上であることが、包装時におけるフィルムの破れ抑制や、適度な滑り性の付与の観点から好ましい。このような観点から、ポリプロピレン系樹脂(C)の重量平均分子量(Mw)は330,000以上であることがより好ましく、特に好ましくは360,000以上である。ポリプロピレン系樹脂(C)の重量平均分子量(Mw)の上限については特に制限はないが、押出成形性の観点から1,500,000以下、特に1,000,000以下であることが好ましい。
また、ポリプロピレン系樹脂(C)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)より算出される分子量分布(Mw/Mn)は4.5以上であることが好ましい。分子量分布(Mw/Mn)が4.5以上であることにより、フィルムの成形加工性が向上するとともに、フィルムの破れ抑制や、フィルムへの適度な滑り性付与ができるため好ましい。ポリプロピレン系樹脂(C)の分子量分布(Mw/Mn)は5.0以上がより好ましく、5.5以上がさらに好ましい。一方、この分子量分布(Mw/Mn)が大きすぎる場合、極めて分子量が低い成分や、極めて分子量が高い成分が含まれる場合がある。そのため、極めて分子量が低い成分がブリードする懸念や、極めて分子量が高い成分が成形時に未溶融物となる懸念があることあることから、分子量分布(Mw/Mn)は20以下、特に15以下であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(C)は、後述の実施例の項に記載されるDSC測定において、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温した際に観察される、結晶化ピーク温度(Tc)が70℃以上であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(C)の結晶化ピーク温度(Tc)が70℃以上であれば、前述のポリプロピレン系樹脂(B)との相溶性が高まり、ストレッチ包装時に白化が生じにくいため好ましい。ポリプロピレン系樹脂(C)の結晶化ピーク温度(Tc)は80℃以上がより好ましく、90℃以上がさらに好ましい。ポリプロピレン系樹脂(C)の結晶化ピーク温度(Tc)の上限に関しては特に限定はないが、150℃以下が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(C)は、DSC測定において、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温した際に観察される、結晶化ピーク面積から算出される結晶化熱量(ΔHc)が35J/g以上であることが好ましい。ポリプロピレン系樹脂(C)の結晶化熱量(ΔHc)が35J/g以上であれば、フィルムに適度な剛性と耐熱性を付与することができ、包装したときのフィルムのカット性やトレイへの折り込み性が向上させることができるため好ましい。ポリプロピレン系樹脂(C)の結晶化熱量(ΔHc)は40J/g以上がより好ましく、45J/g以上がさらに好ましい。ポリプロピレン系樹脂(C)の結晶化熱量(ΔHc)の上限に関しては特に限定はないが、ストレッチ時のフィルム白化抑制の観点から100J/g以下が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(C)の融点は、前述したように、示差走査熱量計(DSC)を用いて、樹脂約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで昇温(再昇温)したときに測定されたサーモグラムから求めた結晶融解ピーク温度(Tm)(℃)である。
ポリプロピレン系樹脂(C)の結晶融解ピーク温度(Tm)は110℃以上が好ましく、120℃以上がより好ましい。ポリプロピレン系樹脂(C)の結晶融解ピーク温度(Tm)が110℃以上であれば、フィルムに適度な剛性と耐熱性を付与できるため好ましい。ポリプロピレン系樹脂(C)の結晶融解ピーク温度(Tm)の上限に関しては特に限定はないが、160℃以下が好ましい。
また、ポリプロピレン系樹脂(C)は、DSC測定において、上述のように再昇温した際に観察される、結晶融解ピーク面積から算出される結晶融解熱量(ΔHm)が35J/g以上であることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(C)の結晶融解熱量(ΔHm)が35J/g以上であれば、フィルムに適度な剛性と耐熱性を付与することができ、包装したときのフィルムのカット性やトレイへの折り込み性が向上させることができるため好ましい。ポリプロピレン系樹脂(C)の結晶融解熱量(ΔHm)は40J/g以上であることがより好ましく、45J/g以上であることがさらに好ましい。ポリプロピレン系樹脂(C)の結晶融解熱量(ΔHm)の上限に関しては特に限定はないが、ストレッチ時のフィルム白化抑制の観点から、100J/g以下が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂(C)の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知のオレフィン重合用触媒を用いた公知の重合方法、例えばチーグラー・ナッタ型触媒に代表されるマルチサイト触媒やメタロセン系触媒に代表されるシングルサイト触媒を用いた、スラリー重合法、溶液重合法、塊状重合法、気相重合法などが挙げられる。
本発明において、ポリプロピレン系樹脂(C)は、1種類のみを用いてもよく、モノマー成分組成、物性等の異なるものを2種類以上用いてもよい。2種以上のポリプロピレン系樹脂(C)を用いる場合、その合計がポリプロピレン系樹脂(C)の質量となり、後述する樹脂組成物(Z)における質量比率が算出される。
<樹脂組成物(Z)>
本発明のフィルムの中間層は、ポリプロピレン系樹脂(B)とポリプロピレン系樹脂(C)との樹脂組成物(Z)を主成分として構成される。
樹脂組成物(Z)は、ポリプロピレン系樹脂(B)とポリプロピレン系樹脂(C)との混合ポリプロピレン系樹脂において、ポリプロピレン系樹脂(B)とポリプロピレン系樹脂(C)との合計質量を100質量%とした場合の質量比率が、ポリプロピレン系樹脂(B)/ポリプロピレン系樹脂(C)(本発明においては、この比を「(B)/(C)」と記載する。)=15〜60質量%/85〜40質量%であることが好ましい。
樹脂組成物(Z)の混合ポリプロピレン系樹脂100質量%中のポリプロピレン系樹脂(B)の割合が15〜60質量%であることによって、ストレッチ包装用フィルムに要求されるフィルムの柔軟性や、包装したときのシワ抑制といった弾性回復性を付与すると共に、底折り込み安定性などの粘着性を付与することができる。また、樹脂組成物(Z)の混合ポリプロピレン系樹脂100質量%中のポリプロピレン系樹脂(C)の割合が85〜40質量%であることによって、ストレッチ包装用フィルムに要求されるフィルムの適度な剛性と耐熱性を付与することができ、包装したときのフィルムのカット性やトレイへの折り込み性を向上させることができる。
ポリプロピレン系樹脂(B)とポリプロピレン系樹脂(C)の質量比率は、(B)/(C)=18〜57質量%/82〜43質量%であることが好ましく、(B)/(C)=21〜54質量%/79〜46質量%であることがさらに好ましい。
<樹脂(D)・樹脂(E)>
(樹脂(D))
本発明のフィルムの中間層には、樹脂組成物(Z)の他に、下記樹脂(D)を含むことが好ましい。
樹脂(D):石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導体の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂
ここで、石油樹脂としては、シクロペンタジエンまたはその2量体から得られた脂環式石油樹脂、C9成分から得られた芳香族石油樹脂、脂環式と芳香族石油樹脂の共重合系石油樹脂、またはそれらの水素添加誘導体などを挙げることができる。
テルペン樹脂としては、β−ピネンから得られたテルペン樹脂、テルペン−フェノール樹脂、またはそれらの水素添加誘導体などを挙げることができる。
クマロン−インデン樹脂としては、タールの160〜180℃留分を精製し、炭素数8のクマロンおよび炭素数9のインデンを主要なモノマーとして重合した熱可塑性合成樹脂、またはそれらの水素添加誘導体などを挙げることができる。
ロジン系樹脂としては、ガムロジン、ウッドロジン等のロジン樹脂、グリセリンやペンタエリスリトール等で変性したエステル化ロジン樹脂、またはそれらの水素添加誘導体などを挙げることができる。
上記のような樹脂(D)としては、色調や熱安定性、相溶性といった面から水素添加誘導体を用いることが好ましい。また、樹脂(D)は、主に分子量により種々の軟化温度を有するが、軟化温度は100〜150℃が好ましく、110〜140℃がより好ましい。
樹脂(D)としては、具体的には、三井化学(株)の商品名「ハイレッツ」、「ペトロジン」、荒川化学工業(株)の商品名「アルコン」、ヤスハラケミカル(株)の商品名「クリアロン」、出光石油化学(株)の商品名「アイマーブ」、イーストマンケミカル(株)の商品名「エスコレッツ」等の市販品を用いることができる。
これらの樹脂(D)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
中間層に樹脂(D)を含む場合、樹脂(D)の含有量は、樹脂組成物(Z)と樹脂(D)との合計を100質量%とした場合、樹脂(D)の含有量が1〜40質量%であることが好ましい。
樹脂(D)の含有量が1質量%以上であれば、フィルムの腰やカット性、底折り込み安定性を付与させることができる。樹脂(D)の含有量は、好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。また、樹脂(D)の含有量が40質量%以下であればガラス転移温度の上昇に伴ってストレッチフィルムに必要な低温適性が損なわれにくく、また、低分子物のブリードによるフィルムのブロッキングも引き起こしにくい。樹脂(D)の含有量は、好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
前述のポリプロピレン系樹脂(B)及びポリプロピレン系樹脂(C)の好適含有量比から、ポリプロピレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(C)、及び樹脂(D)の合計質量を100質量%とした場合、ポリプロピレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(C)、樹脂(D)の質量比率は、(B)/(C)/(D)=10〜50質量%/75〜30質量%/1〜40質量%であることが好ましい。
(樹脂(E))
本発明のフィルムの中間層には、樹脂組成物(Z)の他に、下記樹脂(E)を含むことが好ましい。
樹脂(E):ビニル系芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体、またはそれらの水素添加誘導体の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂
ビニル系芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体において、ビニル系芳香族化合物としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン同族体も用いることができる。また、共役ジエンとして、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられ、これらは1種のみを単独で、または2種以上を混合して使用することができる。また、第3成分として、ビニル系芳香族化合物及び共役ジエン以外の成分を少量含んでいてもよい。ただし、この共役ジエン部分のビニル結合を主とした二重結合が残った場合の熱安定性や耐候性は極めて悪いので、これを改良するため、二重結合の80%以上、さらには95%以上に水素を添加したものを用いることが好ましい。
また、このような共重合体に含まれるビニル系芳香族化合物成分と共役ジエン成分の割合は重量比で3〜40質量%/97〜60質量%であることが好ましい。ここで共重合組成中のビニル系芳香族化合物成分が3質量%以上であることにより、ストレッチ包装用フィルムとしたときに剛性が低下しすぎることなく好ましく、一方、40質量%以下であることにより、剛性が高すぎることなく、フィルムに柔軟性を付与したり、引張弾性率を低減させたりするなどの効果が十分となる。
樹脂(E)は、メルトフローレート(MFR)が、0.1〜20g/10分であることが好ましく、0.2〜10g/10分であることがより好ましい。MFRが0.1g/10分以上であれば、フィルムの押出加工性を十分に保持できるため好ましい。また、MFRが20g/10分以下であればフィルムの製膜安定性を維持することができ、厚みムラや力学強度のバラツキ等が生じることを抑えることができるため好ましい。
ここで、MFRはJIS K7210に準拠して測定される値であり、その測定条件は190℃、2.16kg荷重である。
樹脂(E)としては、具体的には、スチレン−ブタジエンブロック共重合体エラストマーとしては、旭化成社製の商品名「タフプレン」、スチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加誘導体としては、旭化成社製の「タフテック」、スチレン−イソプレンブロック共重合体の水素添加誘導体としては、クラレ社製の商品名「セプトン」、スチレン−ビニルイソプレンブロック共重合体エラストマーとしては、クラレ社製の商品名「ハイブラー」などの市販品を用いることができる。
これらの樹脂(E)は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
中間層に樹脂(E)を含む場合、樹脂(E)の含有量は、樹脂組成物(Z)と樹脂(E)のとの合計を100質量%とした場合、1〜40質量%であることが好ましい。
樹脂(E)の含有量が1質量%以上であれば、フィルムの腰やカット性、底折り込み安定性を付与させることができる。樹脂(E)の含有量は、好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。また、樹脂(E)の含有量が40質量%以下であればガラス転移温度の上昇に伴ってストレッチフィルムに必要な低温適性が損なわれにくく、また、低分子物のブリードによるフィルムのブロッキングも引き起こしにくい。樹脂(E)の含有量は、好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
前述のポリプロピレン系樹脂(B)及びポリプロピレン系樹脂(C)の好適含有量比から、ポリプロピレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(C)、及び樹脂(E)の合計質量を100質量%とした場合、ポリプロピレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(C)、樹脂(E)の質量比率は、(B)/(C)/(E)=10〜50質量%/75〜30質量%/1〜40質量%であることが好ましい。
(樹脂(D)と樹脂(E))
本発明のフィルムの中間層には、上記の樹脂(D)と樹脂(E)の一方のみを含むものであってもよく、両方を含むものであってもよいが、フィルムの腰やカット性、底折り込み安定性を付与できる観点から、樹脂(D)と樹脂(E)の両方を含むことが好ましい。
この場合、樹脂組成物(Z)と樹脂(D)と樹脂(E)の合計を100質量%とした場合、樹脂組成物(Z)を55〜98質量%、樹脂(D)と樹脂(E)とを合計で2〜45質量%含むことが好ましい。
また、ポリプロピレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(C)、樹脂(D)、樹脂(E)の合計質量を100質量%とした場合、ポリプロピレン系樹脂(B)、ポリプロピレン系樹脂(C)、樹脂(D)、樹脂(E)の質量比率は、(B)/(C)/(D)/(E)=5〜40質量%/65〜25質量%/1〜30質量%/1〜30質量%であることが好ましい。
<その他の樹脂>
本発明のフィルムの中間層には、樹脂組成物(Z)、樹脂(D)、樹脂(E)の他に、これらの樹脂以外の樹脂を含んでいてもよく、その他の樹脂としては前述のポリエチレン系樹脂(A)が挙げられる。
本発明のフィルムの中間層にポリエチレン系樹脂(A)が含まれる場合、両表面層を構成するポリエチレン系樹脂(A)と同じポリエチレン系樹脂であっても、異なるポリエチレン系樹脂であってもよいが、好ましくは同じポリエチレン系樹脂である。中間層に含まれるポリエチレン系樹脂(A)と両表面層を構成するエチレン系樹脂(A)とが同じポリエチレン系樹脂であれば、中間層と両表面層との密着性を高めることができ、フィルム全体での力学特性を高めることができる他、例えば製膜したフィルムの両端をカットしてトリミングした際に発生するトリミングロスを、中間層の構成原料として添加するようにして調製できることから、材料の無駄を無くし、材料コストの軽減を図ることができる。
本発明のフィルムの中間層にポリエチレン系樹脂(A)が含まれる場合、ポリエチレン系樹脂(A)の含有量は通常1〜40質量%である。ポリエチレン系樹脂(A)の含有量が1質量%以上であればストレッチフィルムに必要な低温適性が充分である。ポリエチレン系樹脂(A)の含有量は、好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上である。また、ポリエチレン系樹脂(A)の含有量が40質量%以下であれば底折り込み安定性や耐熱性が充分である。ポリエチレン系樹脂(A)の含有量は好ましくは35質量%以下、更に好ましくは30質量%以下である。
[添加剤]
本発明のフィルムの両表面層および/または中間層には、防曇性、帯電防止性、滑り性、粘着性などの性能を付与するために次のような各種添加剤を適宜配合することができる。
ここで、各種添加剤としては、例えば、炭素数が通常1〜12、好ましくは1〜6の脂肪酸アルコールと、炭素数が通常0〜22、好ましくは12〜18の脂肪酸との化合物である脂肪族アルコール系脂肪酸エステルが挙げられる。具体的には、モノグリセリンオレート、ポリグリセリンオレート、グリセリントリリシノレート、グリセリンアセチルリシノレート、ポリグリセリンステアレート、グリセリンラウレート、ポリグリセリンラウレート、メチルアセチルリシノレート、エチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、プロピレングリコールオレート、プロピレングリコールラウレート、ペンタエリスリトールオレート、ポリエチレングリコールオレート、ポリプロピレングリコールオレート、ソルビタンオレート、ソルビタンラウレート、ポリエチレングリコールソルビタンオレート、ポリエチレングリコールソルビタンラウレート等;ポリアルキルエーテルポリオール(具体的には、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等);パラフィン系オイル等を挙げることができる。これらは2種以上を併用することもできる。
これらの添加剤の配合量は、両表面層、中間層それぞれを構成する樹脂組成物100質量部に対し、通常0.1〜12質量部、好ましくは1〜8質量部である。
[フィルム積層構成]
本発明のフィルムは、両表面層にポリエチレン系樹脂(A)を主成分として含有し、中間層にポリプロピレン系樹脂(B)とポリプロピレン系樹脂(C)とからなる樹脂組成物(Z)を主成分として含有する、少なくとも3層から構成される積層フィルムであればよく、本発明の趣旨を超えない範囲で、力学特性や層間接着性の改良などを目的として、必要に応じて、接着剤層、ガスバリア層等の他の層(以下、P層と略することがある)を適宜導入してもよい。ここで、表面層(以下、S層と略することがある)は、両表面を形成する層であるが、表面層を形成する層と同様の組成からなる層を、内部にさらに有してもかまわない。また、中間層(以下、M層と略することがある)は、両表面層の間に少なくとも1層有していればよく、2層以上有してもかまわない。
本発明のフィルムの積層構成としては、例えば(S層)/(M層)/(S層)からなる3層構成、(S層)/(P層)/(M層)/(S層)からなる4層構成、(S層)/(P層)/(M層)/(P層)/(S層)、(S層)/(M層)/(P層)/(M層)/(S層)等からなる5層構成を代表的に挙げることができる。この場合、各層の樹脂組成や厚み比に関しては同一であっても異なっていてもよい。
本発明のフィルムにおいて、表面層の厚みの割合は、フィルムの総厚みを100%とした場合、10〜65%であることが好ましい。表面層の厚み割合が上述の範囲内であれば、安定した製膜安定性が得られ、ストレッチフィルムに好適な表面粘着性を付与することができる。なお、ここで表面層の厚み割合は積層フィルムの両表面の表面層の合計の厚み割合をさす。
さらに、安定した製膜加工性、表面粘着性、ストレッチ包装用フィルムとしての諸物性および経済性を考慮する場合には、表面層の厚み割合は、フィルムの総厚みを100%とした場合、20〜60%とするのがより好ましい。
本発明のフィルムの厚さ(総厚み)は、通常のストレッチ包装用フィルムとして用いられる範囲、すなわち、通常8〜30μm程度、好ましくは9〜20μm程度である。
[フィルムの製造方法]
本発明のフィルムは無延伸フィルムであっても、延伸フィルムであってもよい。後述する通り、本発明のフィルムをインフレーション成形で製造する場合は、通常、延伸フィルムとなる。本発明のフィルムは、例えば、押出機から材料を溶融押出し、インフレーション成形またはTダイ成形によりフィルム状に成形することにより製造することができる。
積層フィルムとする場合は、複数の押出機を用いて多層ダイにより共押出するのが好ましい。実用的には、環状ダイから材料樹脂を溶融押出してインフレーション成形するのが好ましく、その際のブローアップ比(チューブ径/ダイ径)は、通常3以上、好ましくは4〜7である。その際の冷却方法としては、チューブの外面から冷却する方法、チューブの外、内面の両面から冷却する方法のどちらでもよい。
さらに、得られたフィルムを樹脂の結晶化温度以下に加熱し、ニップロール間の速度差を利用してフィルムの縦方向に1.2〜5倍程度に延伸、またはフィルムの縦横方向に1.2〜5倍程度に二軸延伸してもよい。これにより、カット性の改良や熱収縮性の付与などを行うことができる。
[フィルムの物性]
本発明のフィルムの貯蔵弾性率は、JIS K7244に記載の動的粘弾性測定法により、振動周波数10Hz、ひずみ0.1%において測定した20℃における貯蔵弾性率(E’)として100MPa〜1GPaの範囲にあることが好ましい。フィルムを軟質フィルムとして用いる場合、室温付近における弾性率の値が指標となる。20℃における貯蔵弾性率(E’)が100MPa以上であれば、室温でフィルム同士が密着して作業性が悪くなる等の不具合が起こりにくい。一方、20℃における貯蔵弾性率(E’)が1GPa以下であれば、フィルムが硬すぎることがなく適度に伸びるため、軟質フィルム用途において有利である。
本発明のフィルムの柔軟性は、JIS Z1702に準じ、温度20℃、引張速度200mm/分で引張試験を行って測定されるフィルム幅方向の100%伸び引張応力として、通常40〜140kgf/cm、好ましくは50〜130kgf/cmである。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら制限を受けるものではない。
なお、以下において、フィルムおよびその材料についての種々の測定値および評価は次のようにして行った。ここで、フィルムの押出機からの流れ方向を縦方向、その直角方向を横方向又は幅方向と呼ぶ。
本実施例において、ポリプロピレン系樹脂(B)を選択するにあたっては、市販のポリプロピレン系樹脂のうちエチレン単位含有量及び重量平均分子量(MFRと相関あり)が異なると思われるものを選び、以下の測定を行うことで候補の樹脂を選択した。
〔プロピレン系樹脂の物性測定〕
(1)重量平均分子量、分子量分布
実施例及び比較例に用いたポリプロピレン系樹脂は、Malvern Instruments社の高温GPCシステム(ViscotekトリプルディテクターHT−GPCモデルSGシステム)にて、使用溶媒:オルトジクロロベンゼン、測定温度:140℃、検出器RI(リファレンスフロー方式)、ポリスチレン換算分子量にて、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)および、分子量分布(Mw/Mn)を算出した。これらの値を表1に纏めた。
(2)エチレン単位含有量
実施例及び比較例に用いたポリプロピレン系樹脂は、核磁気共鳴装置を用いて、13C−MMRスペクトル測定を行い、プロピレン単位由来のメチル炭素のスペクトル強度とエチレン単位由来のメチル炭素スペクトルの強度比から、プロピレン単位とエチレン単位の質量比率を算出した。これらの値を表1に纏めた。
(3)DSC測定
実施例及び比較例に用いたポリプロピレン系樹脂は、パーキンエルマー社製DSC−7を用いて、JIS K7121、JIS K7122に準じて、樹脂約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度、加熱速度10℃/分で200℃まで再昇温した。
このとき、降温過程にて得られた結晶化ピーク温度(Tc)、及び、該結晶化ピーク面積より結晶化熱量(ΔHc)を算出した。また、再昇温過程にて得られた結晶融解ピーク温度(Tm)、及び、該結晶融解ピークより結晶融解熱量(ΔHm)を算出した。これらの値を表1に纏めた。
Figure 2021030501
[フィルムの評価]
(4)柔軟性
JIS Z1702に準じて、温度20℃、引張速度200mm/分で引張試験を行い、実施例及び比較例で得られたフィルムの幅方向の100%伸び引張応力(kgf/cm)を測定し、得られたフィルムの柔軟性について下記の基準で評価した。ここで、「◎」又は「○」がフィルムの柔軟性が良好と評価した。
◎:引張応力値(kgf/cm)が50以上80未満
○:引張応力値(kgf/cm)が40以上50未満、または80以上90未満
△:引張応力値(kgf/cm)が20以上40未満、または90以上140未満
×:引張応力値(kgf/cm)が20未満、または140以上
(5)貯蔵弾性率
JIS K7244に記載の動的粘弾性測定法により、振動周波数10Hz、ひずみ0.1%において、実施例及び比較例で得られたフィルムの幅方向の20℃における貯蔵弾性率(E’)を測定した。
(6)包装機適性
実施例及び比較例で得られたフィルム(幅350mm)を用い、自動計量包装機((株)イシダ製「WM−AI」)により発泡ポリスチレントレイ(長さ300mm、幅134mm、高さ22mm)を包装し、下記表2に示す基準で、カット性、包装シワ、底折り込み安定性、ちぎれ性、破れについて評価し、包装機適性とした。
Figure 2021030501
(7)フィルムロールの着色
実施例及び比較例で得られたフィルムを、紙管に巻き付け、フィルムロールを採取した。その際、フィルムロール、及び、フィルムロールの端面などで着色が認められたものに関しては「×」(着色あり)とし、特に着色が認められなかったものに関しては、「○」(着色なし)とした。
[プロピレン系樹脂以外の使用材料]
以下の実施例及び比較例において、プロピレン系樹脂以外の使用材料としては、以下のものを用いた。
<ポリエチレン系樹脂(A)>
ポリエチレン系樹脂(A−1):エチレン・酢酸ビニル共重合体(酢酸ビニル単位含有量:15質量%、融点:90℃、MFR(JIS K7210、温度190℃、荷重2.16kgf):2.0g/10分)
<樹脂(D)>
水素添加石油樹脂(D−1):(荒川化学工業社製「アルコンP125」、軟化温度:125℃)
<樹脂(E)>
スチレン系エラストマー(E−1):スチレンと共役ジエンとのブロック共重合体の水素添加誘導体(MFR(JIS K7210、温度190℃、荷重2.16kgf)0.5g/10分、スチレン単位含有量12質量%)
<添加剤>
防曇剤:ジグリセリンオレート
[実施例1]
両表面層の成形材料としてポリエチレン系樹脂(A−1)97質量%と、防曇剤(ジグリセリンオレート)3質量%とを溶融混練した。
中間層の樹脂組成物(Z)としてポリプロピレン系樹脂(B−1)とポリプロピレン系樹脂(C−1)と水素添加石油樹脂(D−1)とスチレン系エラストマー(E−1)を用い、(B−1)20質量%、(C−1)40質量%、(D−1)25質量%、(E−1)15質量%で溶融混練した。
これらの溶融混練樹脂を環状三層ダイ190℃、ブローアップ比5.0で共押出インフレーション成形して、総厚み10μm(2μm/6μm/2μm)の3層フィルムを得た。得られたフィルムについて、前述の(4)〜(7)の評価を行った。結果を表3に示す。
[実施例2]
表3に示すように、実施例1で用いたポリプロピレン系樹脂(B−1)を32.5質量%に、ポリプロピレン系樹脂(C−1)を32.5質量%に、スチレン系エラストマー(E−1)を10質量%に変更した以外は実施例1と同様の手法により、総厚み10μm(2μm/6μm/2μm)の3層フィルムを得た。得られたフィルムについて、前述の(4)〜(7)の評価を行った。結果を表3に示す。
[実施例3]
表3に示すように、実施例1で用いたポリプロピレン系樹脂(B−1)をポリプロピレン系樹脂(B−2)に変更し、ポリプロピレン系樹脂(B−2)を16質量%、ポリプロピレン系樹脂(C−1)を48質量%、水素添加石油樹脂(D−1)を20質量%、スチレン系エラストマー(E−1)を16質量%に変更した以外は実施例1と同様の手法により、総厚み10μm(2μm/6μm/2μm)の3層フィルムを得た。得られたフィルムについて、前述の(4)〜(7)の評価を行った。結果を表3に示す。
[比較例1]
ポリプロピレン系樹脂(B−1)の代りに、ポリプロピレン系樹脂(b−1)を用いた以外は実施例1と同様の手法により、10μm(2μm/6μm/2μm)の3層フィルムを得た。得られたフィルムについて、前述の(4)〜(7)の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2021030501
表3の結果より、実施例1〜3は、包装機適性、柔軟性、外観(フィルムロールの着色)のいずれにおいても良好な結果を得ることができることが確認できる。
これに対して、比較例1は、用いたポリプロピレン系樹脂(b−1)の重量平均分子量(Mw)が本発明の規定する範囲を外れるため、得られたフィルムは、包装時に破れが生じやすく、ストレッチ包装用フィルムとして満足いくものではなかった。また、フィルムの滑り性も悪く、ハンドリングの悪さが感じられた。さらには、製膜してフィルムロール状にした際、フィルムロールが他の実施例と比較し、黄色味掛かったような着色が見られ、外観も不十分であった。
ここで、実施例1で用いたポリプロピレン系樹脂(B−1)と、比較例1で用いたポリプロピレン系樹脂(b−1)を比較すると、表1より、(B−1)と(b−1)は、いずれも同程度のエチレン単位含有量で、結晶化ピーク温度(Tc)、結晶化熱量(ΔHc)等の熱的性質の値においても同程度であることが分かる。しかしながら、実施例1で得られたフィルムと比較例1で得られたフィルムの包装機適性には、大きな差異が生じた。
この結果から、本発明が規定するポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)が、包装機適性を向上する重要な因子であることが分かる。
以上、現時点において、最も実践的であり、かつ、好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨、或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うフィルムもまた本発明の技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
本発明のフィルムは、自動包装機を使用した場合の各種包装機適性(カット性、包装シワ、底折り込み安定性、ちぎれ性)等が良好で、食品などの被包装体を綺麗に展示、陳列するにあたり、透明で優れた外観を有する非塩素系ストレッチ包装用フィルムとして好適に利用することができる。

Claims (6)

  1. 両表面層と中間層の少なくとも3層を有するストレッチ包装用フィルムであって、前記両表面層はポリエチレン系樹脂(A)を主成分として含み、前記中間層は、重量平均分子量(Mw)が300,000以上で、エチレン単位含有量が8質量%以上であるポリプロピレン系樹脂(B)と、エチレン単位含有量が8質量%未満であるポリプロピレン系樹脂(C)との樹脂組成物(Z)を主成分として含む、ストレッチ包装用フィルム。
  2. 前記ポリプロピレン系樹脂(B)の重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)より算出される分子量分布(Mw/Mn)が4.5以上である、請求項1に記載のストレッチ包装用フィルム。
  3. 前記ポリプロピレン系樹脂(C)の重量平均分子量(Mw)が300,000以上である、請求項1または請求項2に記載のストレッチ包装用フィルム。
  4. 前記樹脂組成物(Z)の前記ポリプロピレン系樹脂(B)と前記ポリプロピレン系樹脂(C)との合計質量を100質量%とした場合の質量比率が、(B)/(C)=15〜60質量%/85〜40質量%である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のストレッチ包装用フィルム。
  5. 前記中間層が、さらに下記樹脂(D)を含み、前記樹脂組成物(Z)と該樹脂(D)との合計を100質量%とした場合、樹脂(D)の含有量が1〜40質量%である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のストレッチ包装用フィルム。
    樹脂(D):石油樹脂、テルペン樹脂、クマロン−インデン樹脂、ロジン系樹脂、またはそれらの水素添加誘導体の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂
  6. 前記中間層が、さらに下記樹脂(E)を含み、前記樹脂組成物(Z)と樹脂(E)との合計を100質量%とした場合、樹脂(E)の含有量が1〜40質量%である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のストレッチ包装用フィルム。
    樹脂(E):ビニル系芳香族化合物と共役ジエンとの共重合体、またはそれらの水素添加誘導体の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂
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