JP2021019513A - 標的粒子の解析方法 - Google Patents

標的粒子の解析方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2021019513A
JP2021019513A JP2019136690A JP2019136690A JP2021019513A JP 2021019513 A JP2021019513 A JP 2021019513A JP 2019136690 A JP2019136690 A JP 2019136690A JP 2019136690 A JP2019136690 A JP 2019136690A JP 2021019513 A JP2021019513 A JP 2021019513A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
target
target particles
cells
holding
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019136690A
Other languages
English (en)
Inventor
惇 野口
Atsushi Noguchi
惇 野口
瑠依 畑下
Rui Hatashita
瑠依 畑下
篤史 森本
Atsushi Morimoto
篤史 森本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Priority to JP2019136690A priority Critical patent/JP2021019513A/ja
Publication of JP2021019513A publication Critical patent/JP2021019513A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】 特別の熟練を要することなく、試料中に含まれる標的細胞を簡便、迅速かつ高効率に回収し、当該回収した標的細胞の情報を正確に取得する方法を提供すること。【解決手段】 標的粒子を含む試料を保持部に導入し、当該標的粒子を前記保持部に保持させた後、前記保持部に保持された標的粒子を、試料中に含まれる夾雑粒子と同時に回収し、回収した夾雑粒子の存在下で前記標的粒子の性状を解析することで、前記課題を解決する。【選択図】 なし

Description

本発明は、試料中に含まれる標的粒子の解析方法に関する。特に本発明は、試料中に含まれる標的粒子を保持部に保持させた後、保持された前記粒子を回収し、解析する方法に関する。
近年、血液などの体液および、臓器などの組織を構成する細胞を対象とした基礎研究、ならびに前記細胞を解析することで臨床診断、治療へ応用する研究が進められている。例えば、がん患者より採取した血液から腫瘍細胞(Circulating Tumor Cell、以下CTC)を対象に当該細胞について形態学的分析、組織型分析や遺伝子解析を行ない、前記解析により得られた知見に基づき、治療方針の決定や治療中における病態変化を判断する研究が進められている。特にCTCに代表されるような血液中に含まれる希少細胞の解析は、夾雑となる血液細胞が含まれている中で、前記希少細胞の情報や機能を個々に明らかにできる技術が求められている。
標的細胞を個々に解析するための当該細胞の回収手段として、FACS(Fluorescence−Activated Cell Sorting)、光ピンセット、誘電泳動、マイクロマニピュレーションを用いた方法などが知られている(特許文献1から2、非特許文献1から3)。しかしながらFACSは、標的細胞の確実な選別が困難であり、またソーティング/単離操作により細胞が損傷するため、解析結果に影響を及ぼす可能性がある。光ピンセット、誘電泳動、マイクロマニピュレーションを利用した回収では、細胞を平板基板やマイクロサイズのウェルに捕捉し、当該捕捉した細胞について形状、光学的情報の解析が行なえる。また前記捕捉した標的細胞を回収することで、遺伝子解析などの性状解析が行なえる。しかしながらこれらの方法においても、例えばマイクロピペットなどの回収手段を操作する、精密な位置制御機構が必要であったり、回収操作が煩雑で技術的な熟練が必要であったり、回収に時間を要するなどといった課題が依然として存在している。
特開2009−002696号公報 特表2012−507733号公報
Fu,AY.et al.,Nature Biotechnology,17,1109−1111(1999) Hellmich,W.et al.,Electrophoresis,26,3689−3696(2005) Voldman,J.,Annual Review of Biomedical Engineering,8,425−454(2006)
本発明の課題は、特別の熟練を要することなく、試料中に含まれる標的細胞を簡便、迅速かつ高効率に回収し、当該回収した標的細胞の情報を正確に取得する方法を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は以下[1]から[7]に記載の態様を包含する:
[1](1)標的粒子を含む試料を保持部に導入し、当該標的粒子を前記保持部に保持させる工程と、(2)保持された標的粒子を回収手段で回収する工程と、(3)回収した標的粒子の性状を解析する工程と、を含む試料中に含まれる標的粒子の解析方法において、(2)の工程が前記標的粒子と前記保持部に保持された試料中に含まれる夾雑粒子とを同時に回収する工程であって、(3)の工程が回収した夾雑粒子の存在下での標的粒子の性状解析を含む工程である、前記解析方法。
[2](2)の工程が、標的粒子の純度が20%から80%となるように回収する工程である、前記[1]に記載の方法。
[3]保持部が、試料中に含まれる標的粒子および夾雑粒子を保持可能な凹部である、前記[1]または[2]に記載の方法。
[4](1)の工程が、標的粒子を含む試料を当該試料中に含まれる標的粒子および夾雑粒子を保持可能な凹部を複数設けた粒子保持装置に導入し、前記保持装置に設けた凹部のうち少なくとも5%の凹部に複数の粒子を保持させる工程であり、(2)の工程が前記複数の粒子を保持した凹部のうち、標的粒子および夾雑粒子をそれぞれ一つ以上保持した凹部から回収手段で回収する工程である、前記[3]に記載の方法。
[5](3)の工程が夾雑粒子存在下での標的粒子の性状解析結果から夾雑粒子単独での性状解析結果を差し引く工程である、前記[1]から[4]に記載の方法。
[6]標的粒子が生体材料からなる粒子である、前記[1]から[5]に記載の方法。
[7](3)の工程における性状解析が、生体材料からなる粒子が有する核酸の塩基配列解析である、前記[6]に記載の方法。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明において粒子とは、溶液中に単独または凝集状態で分散する不溶性物質のことをいう。具体例としては、ビーズ、粉砕用ボール、クロマトグラフィー用分離剤、吸着剤といった工業材料からなる粒子や、細胞、ウイルス、オルガネラ、小胞といった生体材料からなる粒子があげられる。特に本発明は、前記生体材料からなる粒子の解析に好ましい方法である。
標的粒子が前述した生体材料からなる粒子である場合の、本発明における標的粒子を含む試料の一例としては、全血、希釈血液、血清、血漿、髄液、臍帯血、成分採血液、尿、唾液、***、糞便、痰、羊水、腹水、腹腔洗浄液などの生体試料や、肝臓、肺、脾臓、腎臓、皮膚、腫瘍、リンパ節などの組織の一片を懸濁させた組織懸濁液や、前記生体試料または前記組織懸濁液より分離して得られる前記生体試料または前記組織由来の細胞を含む画分や、あらかじめ単離した細胞の培養液、があげられる。このうち生体試料または組織由来の細胞を含む画分の一例として、生体試料や組織懸濁液を密度勾配形成用媒体の上に重層後、密度勾配遠心して得られる画分があげられる。
標的粒子を含む試料が血液試料である場合の、標的粒子の一例としては、血液循環腫瘍細胞(CTC)などの腫瘍細胞、循環血液内皮細胞(CEC)、循環血管内皮細胞(CEP)、循環胎児細胞(CFC)、抗原特異的T細胞、各種幹細胞があげられる。一方、夾雑粒子は前述した標的粒子以外の粒子であり、具体的には、血液試料中に含まれる細胞である白血球、赤血球、血小板および小胞、ならびにこれら細胞または前述した標的粒子由来のデブリがあげられる。なお本明細書における血液試料は、全血、血清、血漿、臍帯血、成分採血液といった血液検体に限らず、当該血液検体を生理食塩水などで希釈した試料や、当該血液検体より分離して得られる、前記血液検体由来の細胞を含む画分も、血液試料に含まれる。
本発明における保持部は、試料中に含まれる標的粒子および夾雑粒子を保持可能な形状であればよく、単に平面であってもよいし、凹凸があってもよい。前記保持部を凹凸とする場合の形状(平面図における形状)は、標的粒子および夾雑粒子を保持できれば特に限定はなく、円形であってもよく、楕円形であってもよく、正方形、ひし形、平行四辺形、六角形、八角形といった多角形であってもよい。また、凹多角形や、凸多角形も前記多角形に含まれる。
保持部が標的粒子および夾雑粒子を保持可能な凹部である場合、当該凹部の大きさは、回収対象である標的粒子および夾雑粒子の大きさや形状に応じ適宜選択すればよいが、前記凹部の大きさを、前記標的粒子および前記夾雑粒子がそれぞれ少なくとも一つ以上保持可能な大きさとすると、標的粒子を含む粒子集団が容易に回収できる点で好ましい。例えば標的粒子がCTC(直径:10から25μm程度)であり、夾雑粒子が白血球(直径:5から20μm程度)である場合は、前記凹部を直径30μmから100μmの大きさとすると好ましい。深さは、保持された細胞が観察できる程度が好ましく、例えば5〜100μmが好ましく、5〜30μmがより好ましい。
本発明において、標的粒子を含む試料を保持部へ導入する方法には特に限定はなく、単に保持部に標的粒子を含む試料を導入するだけでもよいし、試料を導入した後に遠心力を利用して保持部へ強制的に粒子を保持させてもよい。中でも試料を導入した後に、誘電泳動力を利用して保持部へ粒子を保持させる方法は、効率的に粒子を保持できる点で好ましい。
本発明において、標的粒子を含む試料を、複数の凹部(保持部)を設けた粒子保持装置に導入する場合、当該凹部に保持される粒子の数には特に制限はない。すなわち、試料を導入した後の粒子保持装置に設けた凹部の中に、粒子が一つも保持されてない凹部が含まれていてもよく、粒子を複数保持した凹部が含まれていてもよい。ただし、粒子の検出や回収を効率的および/または迅速的に行なう観点からは、粒子の密度が高い方が、すなわち粒子を保持する凹部の数や複数粒子を保持する凹部の数が多い方が好ましい。特に粒子保持装置に設けた凹部の総数の5%以上に複数粒子が保持されているとよく、40%以上に保持されていると好ましく、60%以上に保持されていると特に好ましい。
保持部に保持された標的粒子および夾雑粒子は、光ピンセット、誘電泳動力を発生させる手段、マイクロマニピュレーションなどの回収手段を用いて回収すればよい。前記回収は、標的細胞と夾雑細胞とを同時に回収する方法である限り、特に限定はない。一例として、マイクロマニピュレーターを用いる場合には、マイクロマニピュレーターを固定して粒子を回収してもよいし、マイクロマニピュレーターを移動させながら連続的に回収してもよい。また、保持部が標的粒子および夾雑粒子を保持可能な凹部である場合、標的粒子および夾雑粒子をそれぞれ一つ以上保持した単一の凹部から回収してもよく、標的粒子のみを保持した一つ以上の凹部および夾雑粒子のみを保持した一つ以上の凹部から連続的に回収してもよく、これら回収を組み合わせてもよい。ただし、操作の簡便性の観点からは、単一の凹部から回収する方が好ましく、また、操作の簡便性と性状解析の精度を両立する観点から、回収した粒子に含まれる標的粒子の割合(標的粒子の純度)が20%から80%となるよう、回収するのが好ましい。
本発明における、標的粒子の性状解析方法には特に限定はなく、一例としてMALDI−TOF/MS(マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計)などを用いた質量分析法、マイクロアレイなどを用いたハイブリダイゼーション法があげられる。標的粒子が細胞などの生体材料からなる粒子である場合、標的粒子の性状解析方法としては、次世代シーケンサーなどを用いた塩基配列解析や、質量分析装置を用いたプロテオーム解析・メタボロミクス解析が例示できる。なお本発明では、標的粒子とともに夾雑粒子も回収するため、当該標的粒子の性状を解析する際、解析方法によっては、同時に回収した夾雑粒子の性状解析結果と重なった結果を得る可能性がある。したがって、前記夾雑粒子の性状解析結果を差し引ける解析方法とすると、標的粒子の性状を明確に解析できる点で好ましい。
本発明は、標的粒子を含む試料を保持部に導入し当該標的粒子を前記保持部に保持させる工程と保持された標的粒子を回収手段で回収する工程と回収した標的粒子の性状を解析する工程と、を含む試料中に含まれる標的粒子の解析方法において、前記回収工程が前記標的粒子と前記保持部に保持された試料中に含まれる夾雑粒子とを同時に回収する工程であり、前記性状解析工程が回収した夾雑粒子の存在下での標的粒子の性状解析を含む工程であることを特徴としている。本発明により、性状解析対象の標的粒子を回収する際、従来のような煩雑で時間のかかる一粒子単位での標的粒子の回収が不要となるため、回収のための特別の熟練を要することなく、標的粒子の性状を解析できる。
本発明で利用可能な、保持部を複数設けた粒子保持装置の一態様を示す分解図である。 図1に示した装置の正面図である。 回収手段による、図1および図2に示した装置で保持した粒子の回収を示す図である。 実施例4の結果を示す図である。
以下、図面を用いて本発明をさらに詳細に説明する。
本発明で利用可能な、保持部を複数設けた粒子保持装置を図1に示す。また図1に示した装置の正面図を図2に示す。
図1および図2に示す粒子保持装置100は、貫通孔11aを有した平板状の遮光部材11と、貫通孔12aを有した平板状の絶縁体12と、導入口21、排出口22および貫通部23を有した平板状のスペーサー20とからなる粒子導入保持手段と、前記粒子導入保持手段を上下方向に密着して挟むよう設けた電極基板31・32と、電極基板31・32同士を接続する導線40と、電極基板31・32に信号を印加する信号発生器50と、を備えている。遮光部材11が有する貫通孔11aと絶縁体12が有する貫通孔12aとは互いに同一の寸法および形状であり、かつそれぞれの貫通孔の位置が一致するよう遮光部材11および絶縁体12を設けている。貫通孔11a、貫通孔12aおよび遮光部材11の下部に密着して設けた電極基板31により保持部60が構成され、導入口21から標的粒子を含む試料を導入すると、貫通部23を通じて保持部60へ粒子が導入される。電極基板32はスペーサー20上部に密着して設けており、導入口21から導入した標的粒子を含む試料の飛散や蒸発を防止している。なお保持部60に保持した粒子の回収を容易にするため、電極基板32はスペーサー20から取り外し可能な構造となっている。
次に、図1および図2に示した粒子保持装置100を用いた、本発明の解析方法の一例を説明する。
(1)標的粒子保持工程
導入口21から標的粒子70を含む試料を粒子保持装置100に導入し、標的粒子70および前記試料に含まれる夾雑粒子80を、保持部60へ保持させる。なお図1および図2に示す粒子保持装置100では、標的粒子70および夾雑粒子80を保持部60へ保持させる際、誘電泳動力300を利用して導入できる。具体的には、信号発生器50から電極基板31・32へ交流電圧を印加することで誘電泳動力300を発生させ、保持部60に標的粒子70および夾雑粒子80を保持させる。標的粒子が生体材料からなる粒子である細胞の場合、信号発生器50から電極基板31・32へ印加する交流電圧は、保持部60に保持された標的粒子(細胞)70の充放電が周期的に繰り返される波形を有した交流電圧とすると好ましく、周波数を100kHzから3MHzまでの間とし、電界強度を1×10から5×10V/mまでの間とすると特に好ましい(WO2011/149032号および特開2012−013549号公報参照)。
誘電泳動力300を利用して粒子を保持部60へ保持させる場合、粒子保持装置100に導入する、標的粒子70を含む試料は、誘電泳動力300で粒子を移動可能な分散媒に標的粒子70を分散させた試料とする必要がある。前記分散媒の例として、マンニトール、キシリトール、グルコース、スクロース等の糖類を含んだ水溶液や、当該水溶液に塩化カルシウムや塩化マグネシウム等の電解質、および/またはBSA(ウシ血清アルブミン)等のタンパク質をさらに含んだ水溶液があげられる。特に、標的粒子が細胞などの生体材料からなる粒子の場合、等張液となる濃度に調製した糖溶液を用いると、当該粒子へのダメージが少なくなる点で好ましい。
試料中に含まれる標的粒子の濃度に特に制限はないが、粒子保持装置100に設けた保持部60のうち、少なくとも一部の保持部60に、標的粒子70および夾雑粒子80をそれぞれ一つ以上保持される濃度とすると、効率的に粒子を検出および回収できる点で好ましい。図1および図2に示す粒子保持装置100の場合、粒子保持装置100に導入する粒子数を、粒子保持装置100に設けた保持部60の数の50%以上とするとよく、保持部60の数の2倍以上とすると好ましく、保持部60の数の3倍以上とするとより好ましい。例えば、標的粒子を血液試料1mL中に数個から数十個程度しか存在しない希少細胞(CTCなど)とする場合、粒子保持装置100に設けた保持部60の数の50%以上の粒子を導入することで、標的粒子である希少細胞および夾雑粒子である白血球をそれぞれ一つ以上保持した凹部を存在せしめることができる。
保持部60へ保持された標的粒子70や夾雑粒子80の再流出を防止するため、当該粒子を接着可能な試薬を用いて保持部60に固定させてもよい。粒子が細胞である場合の接着試薬の一例として、ポリ−L−リジン、コラーゲン、BAM(細胞膜修飾剤、油化産業社製)があげられる。なお保持部60への粒子固定は、予め保持部60を前記接着試薬で被覆してから標的粒子を含む試料を導入し、保持部60への当該粒子の保持とともに保持部60に固定させてもよく、保持部60へ粒子を保持させてから前記接着試薬を導入し、保持された粒子を保持部60に固定させてもよい。
(2)保持された粒子の回収工程
保持部60に保持された標的粒子70および夾雑粒子80を、回収手段400を用いて同時に回収する(図3)。図3では、粒子保持装置100に設けた電極基板32を取り外したのち、回収手段であるマイクロマニピュレーター400を利用して保持部60に保持された粒子を吸引後、あらかじめ用意した回収チューブなどに吐出して前記粒子を回収する。
なお粒子回収にあたり、保持部60に保持された標的粒子70および/または夾雑粒子80を、これら粒子が有する特徴に基づき識別してもよい。例えば、
明視野像、蛍光画像、化学発光画像といった標的粒子の光学的特徴に基づき識別する場合は、光学検出器や光学顕微鏡などの光学測定器を用いて検出すればよく、
標的粒子の弾性や粘性といった特徴に基づき識別する場合は、超音波顕微鏡などの超音波測定器を用いて検出すればよく、
放射性同位元素を標識した標的粒子など標的粒子の放射化学的特徴に基づき識別する場合は、シンチレーション検出器などの放射線検出器を用いて検出すればよく、
標的粒子の熱応答性や熱物性に基づき識別する場合は、当該熱応答性や熱物性を検出可能な装置を用いて検出すればよい。
また前記標的粒子および/または前記夾雑粒子の識別を行なう際に、これら粒子が有する特徴に基づいて粒子を標識する操作を行なってから検出しても良い。一例として、粒子が生体材料からなる粒子の場合には、抗原−抗体、レセプター−ホルモン、レセプター−リガンド、レクチン−糖鎖(炭水化物)、FcレセプターまたはマウスIgG−Protein A、アビジン−ビオチン、ストレプトアビジン−ビオチンおよびウイルス−レセプターなどの相互作用を利用して標的粒子および/または夾雑粒子を識別できる。具体例として、標的粒子が細胞の場合には、当該細胞をDAPI(4’,6−DiAmidino−2−PhenylIndole)などの核酸標識試薬や、PE(フィコエリスリン)などの蛍光物質を結合した抗体を用いて標識し、蛍光顕微鏡200を用いて検出すればよい(図2)。
本発明では、保持部60に保持された標的粒子70と夾雑粒子80とを同時に回収することで、特別な熟練や煩雑な操作を必要とせずに、簡便かつ迅速に標的粒子を回収できる。本工程は、標的細胞70と夾雑細胞80を同時に回収できる方法であれば、特に限定はない。一例として、
(I)図3に示すように、マイクロマニピュレーター400を用いて一つの保持部に保持された一つ以上の標的粒子70および一つ以上の夾雑粒子80を同時に回収してもよいし、
(II)複数の保持部60に保持された標的粒子70および夾雑粒子80を、マイクロマニピュレーター400を移動させながら連続的に回収してもよい。
なお操作の簡便性の観点からは、前記(I)の回収方法が好ましい。また後述する標的粒子の性状解析の観点から、本工程で回収する標的粒子70と夾雑粒子80との比率は、回収する総粒子数に対する標的粒子70の割合(標的粒子70の純度)が20%から80%となるように回収すると好ましい。
(3)標的粒子の性状解析工程
保持部60から回収した標的粒子70の性状解析を、同時に回収した夾雑粒子80の存在下で行なう。なお前記解析結果を、夾雑粒子80単独での性状解析結果で差し引くと、標的粒子70の性状を明確に解析できるため、好ましい。
標的粒子を含む試料が血中循環腫瘍細胞(CTC)を含む血液試料である場合の好ましい解析方法の一例を以下に説明する。
(i)保持部60から回収したCTC(標的粒子)および白血球(夾雑粒子)を含む試料に対して、全ゲノム増幅やライブラリー調製を行ない、次世代シーケンサーを用いて遺伝子変異を検出する。
(ii)別途(i)と同様な方法で、白血球単独の遺伝子変異を検出する。
(iii)(i)で検出した遺伝子変異から(ii)で検出した遺伝子変異を差し引くことで、CTC単独の遺伝子変異を検出する。
以下、本発明を実施例に基づき、さらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 白血球とがん細胞株との遺伝子変異の比較
以下に示す方法で、健常者白血球の集団およびがん細胞株の集団から、それぞれ遺伝子変異を検出した。
(1)インフォームドコンセントを得て取得した健常者血液0.5mLに、塩化アンモニウムを主成分とする赤血球破砕液を7.5mL添加し、室温で5分間静置することで赤血球を破砕した。その後、900×gで5分間遠心分離して上清を除去後、細胞ペレットをPBS(リン酸緩衝生理食塩水)に再懸濁することで洗浄した。
(2)(1)で取得した細胞懸濁液を、900×gで5分間遠心分離し、上清を除去した。残った細胞ペレットを、1%(w/v)ホルムアルデヒドを含むPBS(以下、「細胞固定試薬」とも表記)1mLに懸濁し、10分間静置することで細胞を固定した。その後、600×gで5分間遠心分離して上清を除去後、細胞ペレットをPBSに再懸濁することで洗浄した。
(3)24穴マイクロプレートで培養した肺がん細胞株(H1975株)をトリプシンで剥離し、マイクロチューブに回収した。600×gで5分間遠心分離して上清を除去後、細胞ペレットをPBSに再懸濁することで洗浄した。
(4)(2)で取得した白血球懸濁液、および(3)で取得したがん細胞株懸濁液から、NucleoSpin Tissue(タカラバイオ社製)を用いて、それぞれゲノムDNAを抽出した。
(5)(4)で取得した各ゲノムDNAに対して、Ion AmpliSeq Cancer Hotspot Panel v2(以下、CHPv2)およびIon AmpliSeq Library Kit Plus(いずれもThermo Fisher Scientific社製)を用いたライブラリー調製を行ない、Ion S5(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて遺伝子変異解析を実施した。
表1に、健常者白血球の集団およびがん細胞株の集団からそれぞれ検出した、Frequency 10%以上の変異を示す。4番染色体(chr4)55,141,055位(PDGFRA遺伝子)のA/G変異や、5番染色体(chr5)112,175,770位(APC遺伝子)のG/A変異などは、白血球とがん細胞株の両者から共通して検出された。一方、4番染色体(chr4)55,152,040位(PDGFRA遺伝子)のC/T変異や、7番染色体(chr7)55,249,063位(EGFR遺伝子)のG/A変異などは、がん細胞株からのみ検出されており、当該がん細胞株(H1975株)に特有の遺伝子変異であることが分かる。
実施例2 異種細胞混合試料からの遺伝子解析(その1)
以下に示す方法で、健常者白血球とがん細胞株との混合試料から、がん細胞株の遺伝子変異を検出した。
(1)インフォームドコンセントを得て取得した健常者血液3mLを、塩化アンモニウムを主成分とする赤血球破砕液で90mLまでメスアップし、室温で5分間静置することで赤血球を破砕した。その後、900×gで5分間遠心分離して上清を除去後、細胞ペレットをPEG−BSA(BSAとして0.1%(w/v))および280mMキシリトールを含む溶液(以下、「PEG−BSAキシリトール溶液」とも表記)で懸濁することで洗浄した。当該洗浄操作を3回繰り返した。
(2)24穴マイクロプレートで培養した肺がん細胞株(H1975株)をトリプシンで剥離し、マイクロチューブに回収した。600×gで5分間遠心分離を行なって上清を除去し、細胞ペレットを細胞培養培地1mLに再懸濁することで洗浄した。
(3)(2)で取得したがん細胞株懸濁液を600×gで5分間遠心分離して上清を除去後、細胞ペレットを塩化アンモニウムを主成分とする赤血球破砕液1mLで懸濁し、室温で5分間静置することで赤血球を破砕した。その後、900×gで5分間遠心分離して上清を除去後、細胞ペレットをPEG−BSAキシリトール溶液で懸濁することで洗浄した。当該洗浄操作を3回繰り返した。
(4)(1)で取得した白血球懸濁液、および(3)で取得したがん細胞株懸濁液を、それぞれ図1および図2に示す粒子保持装置100に導入した。信号発生器50から電極基板31・32に交流電圧(1MHz、20Vp−p)を10分間印加することで、誘電泳動力300により前記装置が有する保持部60に白血球またはがん細胞株を保持させ、白血球を保持した保持装置、およびがん細胞を保持した保持装置を調製した。本実施例で用いた粒子保持装置100は、直径30μmの貫通孔12aを複数有した絶縁体12と直径30μmの貫通孔11aを複数有した遮光性のクロム膜(遮光部材11)と電極基板31とを上から絶縁体12−遮光部材11−電極基板31の順に密着して設け、さらに絶縁体12の上面に試料の導入口21、排出口22および貫通部23を有する厚さ1mmのスペーサー20を、スペーサー20の上面に電極基板32を、それぞれ密着して設けてなる装置である。なお貫通孔11a/12aおよび電極基板31により、直径30μm、深さ40μmからなる標的粒子70および夾雑粒子80を保持可能な保持部60が約30万個形成されている。
(5)導入口21から、0.01%(w/v)ポリ−L−リジンを含む280mMキシリトール水溶液を、前記交流電圧を印加しながら導入し、3分間静置後、前記交流電圧の印加を停止し、排出口22から前記水溶液を吸引除去した。
(6)導入口21から細胞固定試薬を導入し、10分間静置することで細胞を固定した。その後、排出口22から細胞固定試薬を吸引除去し、導入口21からPBS−T(Phosphate buffered saline with Tween20)を導入することで、残留した細胞固定試薬を洗浄した。
(7)導入口21から95%(w/v)エタノールを含む水溶液(以下、膜透過試薬)を導入し、10分間静置することで細胞の膜透過処理を行なった。その後、排出口22から細胞固定試薬を吸引除去し、導入口21からPBS−Tを導入することで、残留した膜透過試薬を洗浄した。
(8)導入口21からDAPI(4’,6−DiAmidino−2−PhenylIndole)(同仁化学研究所社製)を混合した細胞染色試薬850μLを導入し、20分静置することで細胞を標識した。その後、排出口22から細胞染色試薬を吸引除去し、導入口21からPBS−Tを導入することで、残留した細胞染色試薬を洗浄した。
(9)蛍光顕微鏡200(Olympus社製IX71)を用いて、保持部60に保持されたDAPI陽性細胞(白血球またはがん細胞株)を検出後、図3に示すように、吸引手段であるマイクロマニピュレーター400を用いて、上面の電極基板32を取り外した粒子保持装置100の保持部60に保持された白血球またはがん細胞株を吸引した。吸引した白血球またはがん細胞株を、がん細胞数:白血球数の比が1:1または1:2となるよう0.2mLマイクロチューブヘ吐出して混合することで、異種細胞混合試料を調製した。
(10)Ampli1 WGAキット(シリコン バイオシステムズ社製)を用いて、混合試料中の細胞の全ゲノム増幅を実施した。その後、取得した全ゲノム増幅産物に対して、CHPv2およびIon AmpliSeq Library Kit Plus(いずれもThermo Fisher Scientific社製)によるライブラリー調製を行ない、Ion S5(Thermo Fisher Scientific社製)を用いて遺伝子変異を解析した。
(11)(10)で検出された混合試料の遺伝子変異から、実施例1で健常者白血球集団からの遺伝子変異解析により検出した遺伝子変異(すなわち表1中、「変異の有無(白血球)」欄に丸がついている変異)を差し引くことで、がん細胞株(H1975株)特有の変異を検出した。
表2に、実施例1で見出したがん細胞株(H1975株)特有の遺伝子変異(Frequency 10%以上)の検出結果を示す。なお本実施例では、異種細胞混合試料の調製をそれぞれ6回実施しており、各調製ごとの結果をaからf欄で示している。がん細胞株と白血球とを1:1で回収した試料(がん細胞の純度50%)では、6回調製したうちの3回で、実施例1で見出したがん細胞株(H1975株)特有の遺伝子変異を検出できた。また、がん細胞株と白血球とを1:2で回収した試料(がん細胞の純度33%)であっても、6回調製したうちの1回で、実施例1で見出したがん細胞株(H1975株)特有の遺伝子変異を検出できた。
以上の結果から、試料中に含まれる標的粒子(がん細胞)を解析する際、当該標的粒子を前記試料中に含まれる夾雑粒子(白血球)と混合した状態で回収しても、当該混合状態での性状解析結果から、夾雑粒子(白血球)単独での性状解析結果を差し引くことで、標的粒子(がん細胞)を解析できることがわかる。
実施例3 異種細胞混合試料からの遺伝子解析(その2)
実施例2より、標的粒子と夾雑粒子との混合試料の性状解析結果から、標的粒子を解析できることがわかったことから、標的粒子の純度が実施例2より低い試料であっても、標的粒子を解析できるか、検証した。
(1)インフォームドコンセントを得て取得した健常者血液0.5mLに、塩化アンモニウムを主成分とする赤血球破砕液を7.5mL添加し、室温で5分間静置することで赤血球を破砕した。その後、900×gで5分間遠心分離して上清を除去し、細胞ペレットをPBSに再懸濁することで洗浄した。
(2)24穴マイクロプレートで培養した肺がん細胞株(H1975株)をトリプシンで剥離し、マイクロチューブに回収した。600×gで5分間遠心分離して上清を除去し、細胞ペレットを細胞培養用培地1mLに再懸濁することで洗浄した。
(3)(1)で取得した白血球懸濁液および(2)で取得したがん細胞株懸濁液を、それぞれ900×gで5分間遠心分離し、上清を除去した。残った各細胞ペレットを、細胞固定試薬1mLに懸濁し、5分間静置することで細胞を固定した。その後、600×gで5分間遠心分離して上清を除去し、細胞ペレットをPBSに懸濁することで洗浄した。
(4)(3)の各細胞懸濁液を600×gで5分間遠心分離した後、上清を除去し、膜透過試薬1mLに懸濁して、5分間静置することで細胞の膜透過処理を行なった。その後、600×gで5分間、室温で遠心分離して上清を除去し、細胞ペレットをPBSに懸濁することで洗浄した。
(5)(4)の各細胞懸濁液を600×gで5分間遠心分離した後、上清を除去し、DAPIを混合した細胞染色液1mLに懸濁して、20分静置することで細胞を標識した。その後、600×gで5分間、室温で遠心分離して上清を除去し、細胞ペレットをPBSに懸濁することで洗浄した。
(6)(5)の各細胞懸濁液を600×gで5分間遠心分離した後、上清を除去し、300mMマンニトール溶液へ懸濁した。得られた白血球懸濁液およびがん細胞株懸濁液の一部を回収して、蛍光顕微鏡を用いたセルカウントに基づき細胞数を算出した。当該算出結果に基づき、がん細胞数:白血球数が1:1または1:5となるよう、各懸濁液中の白血球とがん細胞株とを混合することで、異種細胞混合試料を調製した。
(7)実施例2の(10)および(11)に記載の方法に従い、(6)の異種細胞混合試料から標的細胞(がん細胞株(H1975株))特有の変異を検出した。
表3に、実施例1で見出したがん細胞株(H1975株)特有の遺伝子変異(Frequency 10%以上)の検出結果を示す。なお本実施例では、異種細胞混合試料の調製を2回実施しており、各調製ごとの結果をaおよびb欄で示している。がん細胞数:白血球数が1:1となるよう混合した試料(がん細胞株の純度50%)では、2回調製したうちの1回で、実施例1で見出したがん細胞株(H1975株)特有の遺伝子変異を検出できた。一方、がん細胞数:白血球数が1:5となるよう混合した試料(がん細胞株の純度17%)では、実施例1で見出したがん細胞株(H1975株)特有の遺伝子変異は検出できなかった。
以上の結果から、標的粒子(がん細胞)の解析を夾雑粒子(白血球)と混合した状態で行なう場合、前記混合試料中の標的粒子の純度が20%未満であると、標的粒子の解析が困難となるおそれがあることがわかる。
実施例4 粒子導入数と保持部への粒子保持数との関係
粒子を含む試料を図1および図2に示す粒子保持装置100に導入する際の、導入する前記粒子数と保持部60への前記粒子の保持数との関係を確認した。
(1)インフォームドコンセントを得て取得した健常者血液3mLを、塩化アンモニウムを主成分とする赤血球破砕液で90mLまでメスアップし、室温で5分間静置することで赤血球を破砕した。その後、900×gで5分間遠心分離して上清を除去し、細胞ペレットをPEG−BSA洗浄液30mLで再懸濁した。
(2)再懸濁液を600×gで5分間遠心分離して上清を除去し、細胞ペレットをPEG−BSAキシリトール溶液30mLで再懸濁することで洗浄した。当該洗浄操作を3回繰り返した。
(3)(2)で取得した細胞懸濁液を、導入細胞数が10万個から200万個となるよう、それぞれ調製し、当該調製した細胞懸濁液を、図1および図2に示す粒子保持装置100に導入した。導入後、信号発生器50から電極基板31・32に交流電圧(1MHz、20Vp−p)を10分間印加することで、誘電泳動力300により前記装置が有する保持部60に細胞を保持させた。本実施例で用いた粒子保持装置100は、実施例2(4)に記載の装置と同じである。
(4)実施例2の(5)から(8)に記載の方法に従い、細胞の固定、膜透過および標識を行なった。
(5)蛍光顕微鏡200(Olympus社製IX71)を用いて、各保持部60に保持された細胞を全て検出し、各保持部60に保持されている細胞の数を計測した。
図4に、粒子保持装置100に導入した細胞数と、各保持部60に保持された細胞数との関係を示す。粒子保持装置100に20万個以上の細胞(すなわち、保持部60の数(30万個)の50%以上)を導入すれば、保持部60の5%以上に複数の細胞を保持できることが分かる。また、粒子保持装置100に68万個以上の細胞(すなわち、保持部60の数の2倍以上)を導入すると保持部60の40%以上に、100万個以上の細胞(すなわち、保持部60の数の3倍以上)を導入すると保持部60の60%以上に、それぞれ複数の細胞を保持できることが分かる。
粒子保持装置100に20万個以上の細胞(すなわち、保持部60の数(30万個)の50%以上)を導入する場合、一つ以上の細胞を保持する凹部の割合は約50%であることから、細胞が保持されている凹部のうち、その10%以上に複数の細胞が保持されていることが分かる。例えば、血液試料中に含まれるCTCを標的粒子とする場合、CTCの数は一般的に1mLあたり数個から数十個の範囲となるため、細胞が保持されている凹部のうち、その10%以上に複数の細胞が保持されていれば、標的粒子であるCTCと夾雑粒子である白血球をそれぞれ一つ以上保持した凹部が存在し得る。
実施例5 標的細胞の検出率
以下に示す方法で、健常者白血球(夾雑細胞)とがん細胞株(標的細胞)との混合試料からの標的細胞検出を試みた。
(1)インフォームドコンセントを得て取得した健常者血液3mLに、肺がん細胞株(PC9株)約200個を添加してスパイク検体を調製した。前記スパイク検体を、塩化アンモニウムを主成分とする赤血球破砕液で90mLまでメスアップし、室温で5分間静置することで赤血球を破砕した。その後、900×gで5分間遠心分離して上清を除去し、細胞ペレットをPEG−BSA洗浄液30mLで再懸濁した。
(2)再懸濁液を600×gで5分間遠心分離した後、上清を除去し、細胞ペレットをPEG−BSAキシリトール溶液30mLで再懸濁することで洗浄した。当該洗浄操作を3回繰り返した。
(3)(2)で取得した細胞懸濁液を、導入細胞数が2万5千個または100万個となるよう、それぞれ調製し、当該調製した細胞懸濁液を、実施例4(3)に記載の方法に従い、保持部60へ保持させた。
(4)実施例2の(5)から(7)に示した方法に従い、細胞の固定および膜透過を行なった。
(5)導入口21から、抗サイトケラチンマウス抗体(Miltenyi Biotec社製)を混合した細胞標識試薬850μLを導入し、30分静置することでがん細胞を標識した。その後、排出口22から細胞標識試薬を吸引除去し、導入口21からPBS−Tを導入することで、残留した細胞標識試薬を洗浄した。
(6)導入口21から、Alexa Fluor 488標識抗マウスIgG1抗体(Thermo Fisher Science社製)、PE(フィコエリスリン)標識抗CD45抗体(Beckman−Coulter製)およびDAPI(同仁化学研究所社製)を混合した細胞染色試薬850μLを導入し、20分静置することで細胞を染色した。その後、排出口22から細胞染色試薬を吸引除去し、導入口21からPBS−Tを導入することで、残留した細胞染色試薬を洗浄した。
(7)蛍光顕微鏡200(Olympus社製IX71)を用いて、保持部60に保持された標的粒子70および夾雑粒子80全てを検出し、以下の基準で、保持部60に保持されている標的粒子および夾雑粒子の数を計測した。
標的粒子(がん細胞株):DAPIで染色され(細胞核を有し)、Alexa Fluor 488で染色され(サイトケラチンを発現し)、かつPEでは染色されない(CD45を発現しない)細胞
夾雑粒子(白血球):DAPIで染色され(細胞核を有し)、PEで染色され(CD45を発現する)、かつAlexa Fluor 488では染色されない(サイトケラチンを発現しない)細胞
表4に、粒子保持装置100に導入した細胞数と、標的粒子(がん細胞株)の検出率の関係を示す。ここで検出率とは、(1)で健常者血液に添加したがん細胞株の数((3)の懸濁液調製時の希釈を加味した数)に対する、(7)で検出されたがん細胞数の割合を表す。粒子保持装置への導入細胞数に関わらず、希少な標的細胞を高い検出率で検出できることが分かる。
100:粒子保持装置
11:遮光部材
12:絶縁体
11a・12a:貫通孔
20:スペーサー
21:導入口
22:排出口
23:貫通部
31・32:電極基板
40:導線
50:信号発生器
60:保持部
70:標的粒子
80:夾雑粒子
200:蛍光顕微鏡
300:誘電泳動力
400:吸引手段(マイクロマニピュレーター)

Claims (7)

  1. (1)標的粒子を含む試料を保持部に導入し、当該標的粒子を前記保持部に保持させる工程と、
    (2)保持された標的粒子を回収手段で回収する工程と、
    (3)回収した標的粒子の性状を解析する工程と、
    を含む試料中に含まれる標的粒子の解析方法において、
    (2)の工程が、前記標的粒子と前記保持部に保持された試料中に含まれる夾雑粒子とを同時に回収する工程であって、
    (3)の工程が、回収した夾雑粒子の存在下での標的粒子の性状解析を含む工程である、
    前記解析方法。
  2. (2)の工程が、標的粒子の純度が20%から80%となるように回収する工程である、請求項1に記載の方法。
  3. 保持部が、試料中に含まれる標的粒子および夾雑粒子を保持可能な凹部である、請求項1または2に記載の方法。
  4. (1)の工程が、標的粒子を含む試料を、当該試料中に含まれる標的粒子および夾雑粒子を保持可能な凹部を複数設けた粒子保持装置に導入し、前記保持装置に設けた凹部のうち少なくとも5%の凹部に複数の粒子を保持させる工程であり、
    (2)の工程が前記複数の粒子を保持した凹部のうち、標的粒子および夾雑粒子をそれぞれ一つ以上保持した凹部から回収手段で回収する工程である、請求項3に記載の方法。
  5. (3)の工程が、夾雑粒子存在下での標的粒子の性状解析結果から、夾雑粒子単独での性状解析結果を差し引く工程である、請求項1から4に記載の方法。
  6. 標的粒子が生体材料からなる粒子である、請求項1から5に記載の方法。
  7. (3)の工程における性状解析が、生体材料からなる粒子が有する核酸の塩基配列解析である、請求項6に記載の方法。
JP2019136690A 2019-07-25 2019-07-25 標的粒子の解析方法 Pending JP2021019513A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019136690A JP2021019513A (ja) 2019-07-25 2019-07-25 標的粒子の解析方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019136690A JP2021019513A (ja) 2019-07-25 2019-07-25 標的粒子の解析方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2021019513A true JP2021019513A (ja) 2021-02-18

Family

ID=74572912

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019136690A Pending JP2021019513A (ja) 2019-07-25 2019-07-25 標的粒子の解析方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2021019513A (ja)

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013138658A (ja) * 2012-01-05 2013-07-18 Hitachi Chemical Co Ltd 細胞捕捉デバイス
JP2018028457A (ja) * 2016-08-16 2018-02-22 東ソー株式会社 目的粒子の回収方法および回収装置
JP2018059935A (ja) * 2016-10-06 2018-04-12 アークレイ株式会社 稀少細胞を回収する方法
JP2019060869A (ja) * 2017-09-26 2019-04-18 東ソー株式会社 がんの転移形成能に関与する因子および前記因子を用いたがん患者の予後予測方法

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013138658A (ja) * 2012-01-05 2013-07-18 Hitachi Chemical Co Ltd 細胞捕捉デバイス
JP2018028457A (ja) * 2016-08-16 2018-02-22 東ソー株式会社 目的粒子の回収方法および回収装置
JP2018059935A (ja) * 2016-10-06 2018-04-12 アークレイ株式会社 稀少細胞を回収する方法
JP2019060869A (ja) * 2017-09-26 2019-04-18 東ソー株式会社 がんの転移形成能に関与する因子および前記因子を用いたがん患者の予後予測方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Magnusson et al. Clinical-scale cell-surface-marker independent acoustic microfluidic enrichment of tumor cells from blood
US8372657B2 (en) Microfluidic system for detecting a biological entity in a sample
US20130130265A1 (en) Methods and devices for obtaining and analyzing cells
US20180231555A1 (en) Systems and methods for isolating target particles and their use in diagnostic, prognostic, and therapeutic methods
JP2004530877A (ja) 粒子の同定、キャラクタリゼーションおよび/または選別のために光学的力を使用する方法および装置
US8900843B2 (en) Kit and method for the capture of tumor cells
Thomas et al. Image‐based sorting and negative dielectrophoresis for high purity cell and particle separation
TWI616534B (zh) 利用非接觸式與自動辨識的血液循環腫瘤細胞純化分離之方法及裝置
Radfar et al. Single-cell analysis of circulating tumour cells: enabling technologies and clinical applications
JP6617516B2 (ja) 血液試料中に含まれる目的細胞の検出方法
Suzuki et al. Mechanical low-pass filtering of cells for detection of circulating tumor cells in whole blood
JP6686768B2 (ja) 細胞の分離回収方法
Genshaft et al. Clinical implementation of single-cell RNA sequencing using liver fine needle aspirate tissue sampling and centralized processing captures compartment specific immuno-diversity
JP6686361B2 (ja) 細胞回収のための標本作製方法
JP6822006B2 (ja) 目的粒子の回収方法および回収装置
JP6572547B2 (ja) 微小粒子回収装置
Lee et al. Divide and conquer: A perspective on biochips for single-cell and rare-molecule analysis by next-generation sequencing
JP6421589B2 (ja) 微小粒子捕捉装置
JP2021019513A (ja) 標的粒子の解析方法
JP2018059935A (ja) 稀少細胞を回収する方法
JP7413692B2 (ja) 細胞を含む試料の前処理方法
JP2018157812A (ja) 試料中に含まれる細胞の検出方法
JP7443762B2 (ja) 試料中に含まれる細胞の保持方法
US20220349007A1 (en) Method of Culturing and Analyzing at Least One Cell in a Microchamber Configured to Allow for Optical Inspection of the at Least One Cell, a Device for Use in the Method, a System and a Computer Program for Performing One or More of the Steps of the Method
JP2016106622A (ja) 細胞の分離回収方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220623

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230425

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230426

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20231017