JP2021018021A - 貯湯式給湯装置 - Google Patents
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Abstract
Description
《構成》
基本構成を示した図1を用いて、本実施の形態1の構成について説明する。
図1は、実施の形態1に係る貯湯式給湯装置の構成を示す図である。
この貯湯式給湯装置は、時間帯別契約電力の電力単価が安価な深夜時間帯と、デマンドレスポンス(以下、DRという)が実施される昼間時間帯と、に湯水を沸き上げて貯湯し、この貯湯した湯水を給湯に用いるものである。以下、深夜時間帯に行う沸き上げを、夜間沸き上げといい、昼間時間帯に行う沸き上げを昼間沸き上げという。深夜時間帯とは例えば、23:00〜7:00である。昼間時間帯とは、例えば7:00〜23:00である。
浴槽ユニット600は、浴槽601と、浴槽循環ポンプ62とを備えている。
浴槽601は、リモコン操作により例えば40℃前後のお湯を貯めることができる。浴槽601は、浴槽戻り配管60及び浴槽往き配管61を介して水―水熱交換器12と接続されている。また、浴槽601は排水栓601aを有している。時間が経過し、浴室内に風呂熱が放熱され、湯温が低下した場合は、タンク10の上部の高温湯と浴槽601の湯水とを水―水熱交換器12で熱交換することにより追焚が可能である。
浴槽循環ポンプ62は浴槽戻り配管60上に設けられており、追焚時に、浴槽水を浴槽戻り配管60及び浴槽往き配管61を介して水−水熱交換器12と浴槽601間で循環させるものである。
ヒートポンプユニット200は、例えば約9℃の低温水を電熱ヒータなしで約90℃の高温まで沸き上げることが可能なものである。ヒートポンプユニット200は、回転数可変の圧縮機21と、冷媒−水熱交換器22と、膨張弁23と、室外熱交換器24と、室外熱交換器ファン25とを備えている。これらの各機器の駆動は、制御装置400により制御される。ヒートポンプユニット200内を循環する冷媒には、R32、フルオロカーボン又は二酸化炭素等を用いることができる。
圧縮機21は回転周波数を変化させることで冷媒流量を調整し、加熱能力を制御するものである。圧縮機21は、吸入側は室外熱交換器24、吐出側は冷媒―水熱交換器12に接続している。目標加熱能力は、沸き上げ制御毎に最適な値を制御装置400が算出する。
室外熱交換器24は、室外熱交換器ファン25から送られる空気と冷媒を熱交換させ、空気の熱により気液状態の冷媒を蒸発させる空冷式の熱交換器である。室外熱交換器24の冷媒入口側は膨張弁23に接続され、冷媒出口側は圧縮機21に接続されている。
冷媒−水熱交換器22はタンク10内の湯水を加熱するもので、ヒートポンプ入水配管70及びヒートポンプ出湯配管71によりタンク10と接続されている。この冷媒−水熱交換器22には、圧縮機21、室外熱交換器24及び膨張弁23により構成されるヒートポンプ回路が接続されている。冷媒−水熱交換器22には、ヒートポンプ回路の冷媒と、タンク10から供給された湯水とが、互いに逆方向に流れる対向流となって流れる。冷媒−水熱交換器22は、ヒートポンプ回路の冷媒と、タンク10から供給された湯水とを熱交換し、目的温度(例えば、65〜90℃)まで湯水を加熱する。
室外熱交換器ファン25は、室外熱交換器24の前面に配置され、室外熱交換器24に空気を送り込み、空気と冷媒との熱交換を促進させる。ファンの回転数は制御装置400が決定する。
貯湯ユニット100は、貯湯タンク10と、タンク側ポンプ11と、水−水熱交換器12と、台所又は洗面所等に設けられた給湯端13と、貯湯ユニット100内に水道水を供給する給水端14と、複数の弁とを備えている。
貯湯タンク10(以下、タンク10という)は、沸き上げられた湯を貯湯するものである。タンク10の上部には、給湯配管72に連通する送湯配管73が接続されている。タンク10の最下部には、ヒートポンプ入水配管70とタンク給水配管77とが接続されている。また、タンク10は、沸き上げ回路と、給湯回路と、湯張り回路と、追焚回路と、に接続されている。各回路の構成は後述する。
タンク側ポンプ11は、ヒートポンプ入水配管70上に設けられている。タンク側ポンプ11は、タンク10内の湯水を、ヒートポンプ入水配管70及びヒートポンプ出湯配管71を介して冷媒−水熱交換器22とタンク10間で循環させ、沸き上げを行うものである。また、タンク側ポンプ11は、タンク10内の湯水を、温水導入配管75及び第一温水導出配管76aを介して水−水熱交換器12とタンク10間で循環させ、追焚を行うものである。
水−水熱交換器12は、浴槽601の湯水を加熱するもので、管型又は板型等の熱交換器で構成される。管型の熱交換器には、例えばスパイラル式熱交換器がある。板型の熱交換器には、例えばプレート式熱交換器がある。水−水熱交換器12は、温水導入配管75によりタンク上部と接続され、第一温水導出配管76aにより三方弁83を介してタンク最下部と接続されている。この水−水熱交換器12には、浴槽循環ポンプ62により浴槽601の湯水が循環する浴槽循環回路が接続されており、浴槽601の湯水が通過する。水−水熱交換器12は、浴槽循環回路を循環する浴槽601の湯水と、温水導入配管75から導かれたタンク10内の高温水とを熱交換し、浴槽601の湯水を加熱して、浴槽601の湯水の保温あるいは追焚を行う。
風呂給湯混合弁80は、給湯配管72から分岐されて浴槽往き配管61に連通している湯張り配管78上に設けられている。風呂給湯混合弁80は、弁の開度を変更することで給湯配管72からの高温水と給水端14からの水道水との混合比を調整し、湯張り温度を制御するものである。
湯張り開閉弁81は、湯張り配管78上に設けられ、開閉により、浴槽601への湯張りの開始と停止とを切り替えるものである。
一般給湯混合弁82は、給湯配管72から分岐されて給湯端13に連通している一般給湯配管79上に設けられている。一般給湯混合弁82は、弁の開度を変更することで給湯配管72からの高温水と給水端14からの水道水との混合比を調整し、出湯温度を制御するものである。
三方弁83は、入口となるaポート及びbポートと、出口となるcポートとを有する流路切替手段である。三方弁83は、a−c、b−cの2つの経路の間で流路切替可能に構成されている。
貯湯式給湯装置には、各種センサが備えられている。以下、各センサについて説明する。
貯湯温度センサ1a〜1dは、タンク10の上下方向に間隔をおいて配置されている。貯湯温度センサ1a〜1dの検出温度によって、タンク10内の上下方向の温度分布が分かり、タンク10内にどれだけの熱量が残っているかを把握できる。貯湯温度センサ1a〜1cによる温度情報は制御装置400に送られ、タンク10内の蓄熱量が目標量に到達するまで沸き上げを続けるよう、制御装置400がヒートポンプユニット200と貯湯ユニット100に指示を出す。
入水温度センサ2は、ヒートポンプ入水配管70又は冷媒−水熱交換器22入口に取り付けられ、冷媒−水熱交換器22で加熱する前の水温をサーミスタセンサ等により検出するものである。出湯温度センサ3はヒートポンプ出湯配管71又は冷媒−水熱交換器22出口に取り付けられ、冷媒−水熱交換器22で加熱後の湯温をサーミスタセンサ等によって検出するものである。入水温度センサ2及び出湯温度センサ3による温度情報は制御装置400に送られ、加熱後の湯温が目標出湯温度に到達するよう、また、湯水の流量を調整するよう貯湯ユニット100に制御装置400が指示を出す。
浴槽温度センサ4は浴槽戻り配管60を介して水−水熱交換器12に流入する浴槽水の温度を検出するものである。浴槽温度センサ4による温度情報は制御装置400に送られ、浴槽水がユーザー設定温度より低温となった場合、追焚動作を開始するよう、制御装置400が貯湯ユニット100と浴槽ユニット600へ指示を出す。浴槽往き温度センサ5は水−水熱交換器12を流出し、浴槽往き配管61を介して浴槽601へ流れる浴槽水の温度を検出するものである。浴槽往き配管61による温度情報は制御装置400に送られ、追焚時に加熱後の浴槽水がユーザー設定温度に到達するよう、制御装置400が貯湯ユニット100と浴槽ユニット600へ指示を出す。
通信装置500は、受信部50と、送信部51とを備えている。受信部50は、電力会社からDR実施要求を受信する。また、受信部50は、DR実施要求に対する応答である後述の運転情報を制御装置400から受信する。送信部51は、受信部50で受信したDR実施要求におけるDR実施情報を制御装置400に送信する。また、送信部51は、受信部50で受信した運転情報を電力会社に送信する。
制御装置400は、貯湯式給湯装置に設けられた各部を制御する。制御装置400は、情報取得部40と、演算処理部41と、機器制御部42と、通信部43と、タイマ44と、記憶部45とを有している。制御装置400は、マイクロコンピュータ等の演算装置上でソフトウェアを実行することにより各種機能を実現する。もしくは制御装置400は、各種機能を実現する回路デバイス等のハードウェア等で構成されてもよい。
リモコン300は、制御装置400との間で信号の送受信を行うものである。リモコン300には、ユーザーが給湯温度を設定できる機能と、浴槽601へ出湯する湯の温度と量を設定できる機能と、浴槽水の追焚温度を設定できる機能等とが設けられている。また、リモコン300は、液晶パネル等の表示部を備えており、表示部に現在の設定情報等を表示できるようになっている。
次に、本実施の形態で形成する回路について説明する。
ヒートポンプ回路は、ヒートポンプユニット200内に備えられており、圧縮機21と、冷媒−水熱交換器22と、膨張弁23と、室外熱交換器24とを備え、冷媒が循環する回路である。
沸き上げ回路は、三方弁83をa−c方向に開くと共に、四方弁85をb−d方向に開き、更に四方弁86をa−d方向に開くことで形成される。沸き上げ回路は、タンク10の最下部から、ヒートポンプ入水配管70を経由して冷媒―水熱交換器22へ連通し、ヒートポンプ出湯配管71と第二湯水配管93と第四湯水配管95と送湯配管73とを経由してタンク上部へと繋がる回路である。
給湯回路は、タンク上部から送湯配管73及び給湯配管72を経由して一般給湯混合弁82に連通する回路と、給水端14から第一給水配管74a、a−c方向に開かれた三方弁84及び第二給水配管74bを経由して一般給湯混合弁82に連通する回路と、一般給湯混合弁82から一般給湯配管79を経由して給湯端13に連通する回路とを有する。
湯張り回路は、タンク上部から送湯配管73及び給湯配管72を経由して風呂給湯混合弁80に連通する回路を有する。また、湯張り回路は、給水端14からタンク給水配管77を経由してタンク下部に接続される回路と、給水端14から第一給水配管74a、a−c方向に開かれた三方弁84及び第二給水配管74bを経由して風呂給湯混合弁80に連通する回路とを有する。湯張り回路は更に、風呂給湯混合弁80から湯張り配管78、湯張り開閉弁81及び浴槽往き配管61を経由して浴槽601へと繋がる回路を有する。
追焚回路は、三方弁83をa−b方向に開くことで形成される。追焚回路は、タンク上部から温水導入配管75を経由して水−水熱交換器12へと連通し、第一温水導出配管76aを経由してタンク最下部に繋がる回路である。
浴槽循環回路は、水−水熱交換器12と、浴槽循環ポンプ62と、浴槽601とを有し、浴槽戻り配管60及び浴槽往き配管61により接続されている回路である。浴槽循環回路には、浴槽循環ポンプ62により浴槽水が循環する。
貯湯式給湯装置の基本的な運転動作を図1を参照して説明する。
沸き上げ動作は、制御装置400から沸き上げ装置Aへの運転開始の指示により開始される。沸き上げ動作では、ヒートポンプユニット200及びタンク側ポンプ11が駆動される。ヒートポンプユニット200においては、圧縮機21が起動してヒートポンプ回路内に冷媒が循環する。圧縮機21で圧縮されてから吐出された冷媒は、冷媒−水熱交換器22内に流入し、タンク10から送られてきた湯水と熱交換して冷却される。冷却された冷媒は、膨張弁23で減圧された後、室外熱交換器24に流入する。室外熱交換器24に流入した冷媒は、室外熱交換器ファン25からの空気と熱交換して加熱された後、圧縮機21に戻る。
給湯動作は、給湯端13での湯の使用操作に応じて開始される。給湯動作では、給湯回路において、タンク10に貯められた湯水が、給湯端13での湯の使用に応じてタンク上部又はタンク中間部から導出され、一般給湯混合弁82に送られる。一般給湯混合弁82には、給水端14から第一給水配管74aを経由して低温の水道水が導かれており、タンク10からの湯と混合されて設定温度とされ、給湯端13から蛇口等の負荷側へと供給される。タンク上部から導出された湯の減少分に合せて、タンク内には、給水端14から供給された低温水が第一給水配管74aを介してタンク最下部から自動的に供給される。このようにタンク内にタンク最下部から水道水が供給されることで、タンク10内では温度境界層が上方へ移動する。
湯張り動作は、リモコン300の操作により開始される。このとき、湯張り開閉弁81は開となる。湯張り動作では、湯張り回路において、タンク上部から導出された高温湯が風呂給湯混合弁80に送られる。風呂給湯混合弁80には、給水端14から第一給水配管74aを経由して低温の水道水が導かれており、タンク10からの高温湯と混合されて適温に調整され、湯張り開閉弁81を通って浴槽601に供給され、湯張りが行われる。湯張りは、浴槽601の水位が設定値となったときに停止される。浴槽601の水位は、水位浴槽循環回路内に設置された水位センサ(図示せず)で検出される。水位センサは、水位センサに搭載された圧力センサで圧力変化を計測して水位を検出する。
追焚動作は、ユーザーの操作により強制的に或いは自動的に開始される。追焚動作が開始されると、タンク側ポンプ11及び浴槽循環ポンプ62の運転が開始される。
図3は、実施の形態1に係る貯湯式給湯装置のヒートポンプ回路のモリエル線図である。図3において横軸はエンタルピH[kJ/kg]である。縦軸は圧力P[MPa]である。
圧縮機21により圧縮された冷媒の圧力とエンタルピーは、冷媒−水熱交換器22に流入し、冷媒−水熱交換器22内でx1→x2へ変化する。冷媒−水熱交換器22内において冷媒は、タンク10から送られてきた水と熱交換し、最大で冷媒−水熱交換器22への入水温度(例えば9℃)近くまで冷却され、エンタルピーはh1からh2へ変化する。冷媒−水熱交換器22内において水は、冷媒−水熱交換器22への冷媒の入口温度近くまで加熱される。膨張弁23に流入した冷媒の圧力とエンタルピーは、膨張弁23内でx2→x3へ変化する。膨張弁23内では冷媒が減圧され、気液状態へと変化する。
本実施の形態の主な動作について説明する。
この例では、23:00から翌日の23:00までの一日の熱量消費スケジュールの予測結果を示している。負荷側で7:00から給湯負荷が発生し始め、19:00に湯張りが行われる予測となっている。図4において、Qt1は、湯張り前と湯張り時まで、つまり7:00〜19:00までに負荷側で消費されると予想される熱量である。Qt2は、湯張り後、つまり19:00〜23:00までに消費されると予測される熱量である。
上げDRとは、電力需要を増やすため、消費電力量を目標調整量まで増やすように電力会社から貯湯式給湯装置へ指示する要求である。
下げDRとは、電力需要を減らすため、消費電力量を減らすように電力会社から貯湯式給湯装置へ指示する要求である。電力会社は、下げDRのDR実施要求を貯湯式給湯装置に送信した後、電力の使用状況から消費電力量の低減が必要無くなった場合、下げDR終了を貯湯式給湯装置に送信する。
図5は、実施の形態1に係る貯湯式給湯装置の夜間の動作の流れを示すフローチャートである。図6は、図5の運転時間予測処理の流れを示すフローチャートである。ここでは概要について説明し、詳細については後述する。
貯湯式給湯装置の制御装置400は、夜間の定時である23:00に、翌日の運転に必要な各種時刻を予測する運転時間予測処理を行い(ステップS1)、その後、夜間沸き上げ制御(ステップS2〜ステップS5)を行う。以下、運転時間予測処理及び夜間沸き上げ制御について順に説明する。
制御装置400は、図6に示すように、負荷履歴に基づいて夜間目標蓄熱量Qt1及び昼間目標蓄熱量Qt2を設定する(ステップA1)。夜間目標蓄熱量Qt1と昼間目標蓄熱量Qt2との設定は、以下のようにして行えばよい。すなわち、負荷履歴に基づいて翌日に必要な蓄熱量を算出し、これを目標蓄熱量Qtとする。そして、23:00から湯張り時までの昼間の負荷実績と、湯張り後から23:00のまでの夜間の負荷実績とに基づいて比率を決定し、その比率と目標蓄熱量Qtとに基づいて夜間目標蓄熱量Qt1と昼間目標蓄熱量Qt2とを設定する。
なお、Φ0は、例えば夜間沸き上げ時の加熱能力に設定される。
制御装置400は、DR実施要求を受信した場合(ステップS11でYES)、DR実施要求に応じた制御パターンを選択し、選択した制御パターンに従ってDR当日の昼間沸き上げ動作を行う(ステップS12〜ステップS14)。具体的には、DR実施要求が上げDRの場合、第1昼間沸き上げ制御を選択し(ステップS13)、DR実施要求が下げDRの場合、第2昼間沸き上げ制御を選択する(ステップS14)。一方、DR実施要求を受信しないまま予め設定された時刻、具体的には、図6のステップA3で算出された低能力沸き上げ開始時刻、となった場合には(ステップS11でNO、ステップS15でYES)、第3昼間沸き上げ制御を選択する(ステップS16)。なお、DR実施要求を受信せず且つ低能力沸き上げ開始時刻でもない場合には(ステップS11でNO、ステップS15でNO)、何ら処理を行わず図7のフローチャートの処理を終了する。
第1昼間沸き上げ制御は、DR実施要求が上げDRの場合に選択される制御である。上げDRは、上述したように、電力需要を増やすために消費電力量を目標調整量まで増やす要求である。このため、第1昼間沸き上げ制御では、その要求に応えるべく、消費電力量が目標調整量となるようにして沸き上げ動作を制御する。
第2昼間沸き上げ制御は、DR実施要求が下げDRの場合に選択される制御である。下げDRは、上述したように電力需要を減らすことを目的に発せられる要求である。このため、第2昼間沸き上げ制御では、下げDRが指示されてから下げDR終了を受信するまでの間は、沸き上げ動作を停止して電力需要の低減の要求に応え、下げDR終了を受信した後に沸き上げ動作を開始する制御を行う。
第3昼間沸き上げ制御は、低能力沸き上げ開始時刻までにDR実施要求が無かった場合に選択される制御である。電力会社からDR実施要求が送信されなかったということは、電力の需給バランスが釣り合っていると考えられる。このため、第3昼間沸き上げ制御では、電力の需給バランスを崩さないように、需要量の増分を最大に抑える制御として、夜間沸き上げ動作時よりも消費電力量が少ない低能力運転で沸き上げ動作を行う。
図8は、図7の第1昼間沸き上げ制御が選択される上げDR実施時の沸き上げスケジュールを示す図である。図9は、図7の第1昼間沸き上げ制御を示すフローチャートである。図10は、図9の第1昼間沸き上げ制御実施時の積算蓄熱量の変化を示す図である。図10において横軸は時刻、縦軸は積算蓄熱量[kJ]である。図11は、図7の第1昼間沸き上げ制御実施時の瞬時消費電力の変化を示す図である。図11において横軸は時刻、縦軸は瞬時消費電力[kW]である。なお、図8〜図11には、11:00にDR実施要求を受信した場合の例を示している。また、この例では、図10及び図11に示すように、電力会社で行われる上げDRの実施期間が11:00〜16:00である。
Φ1=(Two−Twi)×Cp×V
Two[℃]:出湯温度センサ3の検出温度
Twi[℃]:入水温度センサ2の検出温度
Cp[kJ/kg℃]:水の比熱
V[kg/s]:タンク側ポンプ11の回転数から求められる水の流量
図12は、図7の第2昼間沸き上げ制御が選択される下げDR実施時の沸き上げスケジュールを示す図である。図13は、図7の第2昼間沸き上げ制御を示すフローチャートである。図14は、図13の第2昼間沸き上げ制御実施時の積算蓄熱量の変化を示す図である。図14において横軸は時刻、縦軸は積算蓄熱量[kJ]である。図15は、図7の第2昼間沸き上げ制御実施時の消費電力の変化を示す図である。図15において横軸は時刻、縦軸は瞬時消費電力[kW]である。なお、図12〜図15には、11:00にDR実施要求を受信した場合の例を示している。また、この例では、図14及び図15に示すように、電力会社で行われる下げDRの実施期間が11:00〜18:00である。
t2[s]:湯切れ発生予想時刻−現時刻
図16は、図7の第3昼間沸き上げ制御が選択されるDR実施なし時の沸き上げスケジュールを示す図である。図17は、図7の第3昼間沸き上げ制御を示すフローチャートである。図18は、図17の第3昼間沸き上げ制御実施時の積算蓄熱量の変化を示す図である。図18において横軸は時刻、縦軸は積算蓄熱量[kJ]である。図19は、図7の第3昼間沸き上げ制御実施時の消費電力の変化を示す図である。図19において横軸は時刻、縦軸は瞬時消費電力[kW]である。
図20は、実施の形態1に係る貯湯式給湯装置のリモコンの表示例を示す図である。
第1昼間沸き上げ制御及び第2昼間沸き上げ制御を実施中、制御装置400は、リモコン300の表示部301に、DR実施要求に応じた制御中である旨の「DR対応モード表示」を行い、DR対応モード中であることが使用者に分かるようにする。この例では、「DR対応モード表示」として「DR対応モード中」というメッセージを表示する例を示しているが、この表示例に限られたものではない。「DR対応モード表示」の表示期間は、DR実施要求が上げDRであれば、DR実施要求を受信して沸き上げ動作を開始してから終了するまでである。また、「DR対応モード表示」の表示期間は、DR実施要求が下げDRであれば、DR実施要求を受信してから沸き上げ動作を終了するまでである。
以上説明したように、本実施の形態1の貯湯式給湯装置は、湯水を貯湯するタンク10と、水を加熱してタンク10に湯を貯湯する沸き上げ動作を行う沸き上げ装置Aと、沸き上げ動作を開始してからタンク10に蓄熱される積算蓄熱量が目標蓄熱量に達するように沸き上げ装置Aを制御する制御装置400とを備える。制御装置400は、電力会社から送信される消費電力量の調整に関するDR実施要求を受信すると、受信当日の沸き上げ動作をDR実施要求に応じて制御する。
図21は、実施の形態2に係る貯湯式給湯装置の制御装置及び外部通信端末の構成の一例を示す機能ブロック図である。以下、実施の形態2が実施の形態1と異なる点を中心に説明する。
上記実施の形態1では、貯湯式給湯装置が通信装置500を備えており、制御装置400は通信装置500を介して電力会社との間でDR実施情報と運転情報との送受信を行っていた。これに対し、実施の形態2では、貯湯式給湯装置は通信装置500を備えておらず、貯湯式給湯装置との間で情報の送受信可能に接続された外部通信端末700の通信装置800を用いて電力会社との通信を行う構成とした。なお、外部通信端末700は、例えば、HEMSコントローラ、スマートフォン及びPCの何れかである。
Claims (15)
- 湯水を貯湯するタンクと、
水を加熱して前記タンクに湯を貯湯する沸き上げ動作を行う沸き上げ装置と、
前記沸き上げ動作を開始してから前記タンクに蓄熱される積算蓄熱量が目標蓄熱量に達するように前記沸き上げ装置を制御する制御装置とを備え、
前記制御装置は、電力会社から送信される消費電力量の調整に関するDR実施要求を受信すると、受信当日の前記沸き上げ動作を前記DR実施要求に応じて制御する貯湯式給湯装置。 - 前記制御装置は、負荷履歴に基づいて、予め定めた夜間の時間に行う夜間沸き上げ動作における夜間目標蓄熱量と、前記夜間以降の昼間に行う昼間沸き上げ動作における昼間目標蓄熱量とを設定し、
前記夜間沸き上げ動作を開始してからの夜間積算蓄熱量が前記夜間目標蓄熱量に達するように前記夜間沸き上げ動作を制御し、
前記DR実施要求に応えつつ、前記昼間沸き上げ動作を開始してからの昼間積算蓄熱量が前記昼間目標蓄熱量に達するように前記昼間沸き上げ動作を制御する請求項1記載の貯湯式給湯装置。 - 前記制御装置は、前記夜間目標蓄熱量と、予め設定された夜間用の加熱能力と、負荷側で熱量の消費が始まると予測した時刻と、に基づく夜間沸き上げ開始時刻に、前記夜間沸き上げ動作を開始させる請求項2記載の貯湯式給湯装置。
- 前記制御装置は、前記昼間目標蓄熱量と、予め設定した仮定の加熱能力とに基づいて前記昼間沸き上げ動作の運転時間を予測し、予測した前記運転時間を前記電力会社に送信する請求項2又は請求項3記載の貯湯式給湯装置。
- 前記制御装置は、前記DR実施要求が、前記貯湯式給湯装置における消費電力量の目標である目標調整量を指示する上げDRであると、前記消費電力量が前記目標調整量となるように前記昼間沸き上げ動作を制御する請求項2〜請求項4の何れか一項に記載の貯湯式給湯装置。
- 前記制御装置は、前記上げDRを実施中に前記昼間積算蓄熱量が前記昼間目標蓄熱量に達した場合は前記昼間沸き上げ動作を終了する請求項2に従属する請求項5記載の貯湯式給湯装置。
- 前記制御装置は、前記上げDRの前記DR実施要求に対する応答として、現在の加熱能力で前記昼間目標蓄熱量を前記タンクに蓄熱するために要する時間である運転時間を前記電力会社に送信する請求項6記載の貯湯式給湯装置。
- 前記制御装置は、前記DR実施要求が、前記貯湯式給湯装置における消費電力量の低下を指示する下げDRであると、前記電力会社から下げDR終了を受信するまで前記昼間沸き上げ動作を停止させ、前記下げDR終了を受信後、前記昼間沸き上げ動作を開始させる請求項2〜請求項7の何れか一項に記載の貯湯式給湯装置。
- 前記制御装置は、前記下げDR終了受信後の前記昼間沸き上げ動作では、前記昼間積算蓄熱量が、前記タンクの湯切れが生じると予測される湯切れ発生予想時刻までに前記昼間目標蓄熱量に達するように加熱能力を調整する請求項2に従属する請求項8記載の貯湯式給湯装置。
- 前記制御装置は、前記下げDRの前記DR実施要求に対する応答として、運転停止宣言を前記電力会社に送信する請求項8又は請求項9記載の貯湯式給湯装置。
- 前記制御装置は、予め設定した時刻までに前記DR実施要求を受信しない場合、前記夜間沸き上げ動作時よりも消費電力量が少なくなる低能力運転で前記昼間目標蓄熱量が前記タンクに蓄熱されるように前記昼間沸き上げ動作を制御する請求項2〜請求項10の何れか一項に記載の貯湯式給湯装置。
- 前記制御装置は、前記DR実施要求に応じた制御中、前記貯湯式給湯装置を操作するリモコンの表示部に、前記DR実施要求に対応中である旨を表示させる請求項1〜請求項11の何れか一項に記載の貯湯式給湯装置。
- 前記電力会社と通信を行い、前記制御装置に前記DR実施要求を送信する通信装置を備えた請求項1〜請求項12の何れか一項に記載の貯湯式給湯装置。
- 前記制御装置は、外部通信端末に備えられた通信装置を介して、前記電力会社から前記DR実施要求を受信する請求項1〜請求項13の何れか一項に記載の貯湯式給湯装置。
- 前記外部通信端末は、HEMSコントローラ、スマートフォン及びPCの何れかである請求項14記載の貯湯式給湯装置。
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