JP2021005081A - 眼鏡レンズおよびその設計方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】眼鏡レンズの周辺領域であっても近視または遠視の進行を抑制する効果を損なわせない眼鏡レンズを提供する。【解決手段】物体側の面から入射した光線を眼球側の面から出射させて装用者の網膜上の所定の位置Aに収束させる第1領域と、位置Aよりも物体側寄りの位置または奥行きの位置に光線を収束させるデフォーカス機能を有する複数の第2領域と、を備える眼鏡レンズ1であって、レンズ中心から半径4.5mm〜25mmの範囲である眼鏡レンズの周辺領域内における第2領域のうち少なくとも一部は、レンズ中心から離れるにつれて生じるデフォーカス効果の変化を抑制する形状を有する。【選択図】図4

Description

本発明は、眼鏡レンズおよびその設計方法に関し、特に近視進行抑制レンズおよびその設計方法に関する。
特許文献1(米国出願公開第2017/131567号)には、近視等の屈折異常の進行を抑制する効果(以降、近視進行抑制効果とも称する。)を発揮する眼鏡レンズが記載されている。この眼鏡レンズのことを近視進行抑制レンズとも称する。具体的には、眼鏡レンズの物体側の面である凸面に対し、例えば、直径1mm程度の球形状の微小凸部を形成している。
眼鏡レンズでは、通常、物体側の面から入射した平行光線を眼球側の面から出射させて装用者の網膜上(本明細書においては所定の位置A)に焦点を結ぶ。つまり、特許文献1に記載の眼鏡レンズにおける処方度数に対応した形状の部分では、該平行光線を網膜上にて焦点を結ばせる。この位置Aのことを焦点位置Aと称する。
その一方、特許文献1に記載の眼鏡レンズにおける微小凸部を通過した光は、眼鏡レンズに入射した光線を所定の位置Aよりも光軸方向にて物体側寄りの複数の位置Bにて焦点を結ぶ。この位置Bのことを焦点位置Bと称する。微小凸部により与えられるデフォーカスパワーにより、近視の進行が抑制される。
本明細書において、物体側寄りとは、光軸方向において視認すべき物体が存在する前方方向のことを指し、眼球側寄りとは、物体側寄りの逆方向であって、光軸方向において後
方すなわち眼鏡レンズから眼球に向かう奥行き方向のことを指す。
米国出願公開第2017/131567号
眼鏡レンズの光学中心(または幾何中心)(以降、まとめてレンズ中心とも称する。)から離れた部分では非点収差とパワーエラーとが発生する。非点収差とパワーエラーとがあるということは、処方度数に対して屈折力誤差が生じることを意味する。この屈折力誤差は、(透過度数−処方度数)で表される。そのため、本明細書においては、特記無い限り、屈折力誤差は透過屈折力誤差のことを指す。また、非点収差とパワーエラーとがあるということは、この屈折力誤差の基となる経線方向(メリジオナル(meridional)方向)の屈折力誤差と円周方向(サジタル(sagittal)方向)の屈折力誤差とが生じることを意味する。経線方向の屈折力誤差と円周方向の屈折力誤差の差を非点収差という。
特許文献1に記載の眼鏡レンズでは、背景技術の欄に記載の通り、近視の進行を抑制すべく微小凸部を設け、網膜上の位置Aよりも物体側寄りの複数の位置Bにて光線の焦点を結ばせる(後述の図5参照)。
ところが、レンズ中心から離れた部分だと、微小凸部により与えられるデフォーカスパワーにおいて屈折力誤差と非点収差とが生じ得る。
微小凸部により与えられるデフォーカスパワーにおいて屈折力誤差が生じる場合、本来なら網膜上の位置Aよりも物体側寄りの複数の位置Bにて光線の焦点を結ばせるべきところ、位置Bよりも眼球側寄り(奥行き方向、網膜寄り)または物体側よりに焦点位置が移動する可能性がある。当初の設計とは異なる位置に光線の焦点を結ばせることになり、想定外の状況であるため好ましくはない。
微小凸部により与えられるデフォーカスパワーにおいて非点収差が生じる場合、経線方向の屈折力と円周方向の屈折力との間の差が生じる。つまり、本来なら網膜上の位置Aよりも物体側寄りの位置Bにて光線の焦点を結ばせるべきところ、位置Bを挟んで経線方向の屈折力に応じた光線の焦点位置Bmと、円周方向の屈折力に応じた光線の焦点位置Bsとの間に光線が集まるが、一点に集まらないことになる。この現象により、当初の設計の位置Bに光線の焦点が結ばれなくなる。そのうえ、位置Bmおよび位置Bsのうちいずれかが網膜寄り(眼球側寄り)となる可能性がある。その場合、近視進行抑制効果を損なわせる可能性がある。
デフォーカスパワーの屈折力誤差が生じる場合の課題およびデフォーカスパワーの非点収差が生じる場合の課題の少なくともいずれかを「レンズ中心から離れるにつれて生じるデフォーカス効果の変化」と称する。デフォーカス効果の変化は、近視進行抑制効果の確実性の低下につながる。
なお、特許文献1では微小凸部により近視進行抑制効果を発揮することが記載されている。その一方、微小凸部を微小凹部とすることにより、特許文献1に記載の近視進行メカニズムおよびその抑制メカニズムとは逆のメカニズムにより、遠視進行抑制効果が発揮されることが期待される。この微小凹部を設ける場合においても、上記レンズ中心から離れた部分における不具合が生じ得、せっかく微小凹部によって発現させた遠視進行抑制効果を損なうおそれがある。
本発明の一実施例は、眼鏡レンズの周辺領域であっても近視または遠視の進行を抑制する効果を損なわせないことを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意検討を行った。その際、デフォーカス効果の変化の原理について調査した。
図1は、形状に由来するデフォーカスパワーと、実際のデフォーカスパワーとで相違する様子を示す図である。形状に由来するデフォーカスパワーとは、微小凸部又は微小凹部の面の曲率とレンズ材料の屈折率から計算される表面屈折力(言い換えると、曲面の法線方向から光が入射するときの表面屈折力)である。実際のデフォーカスパワーとは、実際に眼鏡を装着したときのように微小凸部又は微小凹部に角度をもって入射した光束に与えられるデフォーカスパワーであり、出射波面に基づき計算されるものである。
図1のP点の微小凸部(本実施形態でいうところの凸状領域である第2領域)がもたらすデフォーカスパワーをD(ρ)とすると、D(ρ)は以下の式で表される。ρは、物体側の面(凸面、外面)における光軸からの距離を示す。K(ρ)は、距離ρにおける微小凸部の表面屈折力を示す。Kは、微小凸部以外の領域(本実施形態でいうところのベースとなる部分である第1領域)における表面屈折力(ベースカーブ)を示す。
(ρ)を、経線(Meridional:M)方向と円周(Sagittal:S)方向に分けると、以下の式に記載のとおりである。
その一方、実際のデフォーカスパワーをP(ρ)とすると、P(ρ)は以下の式で
表される。
D(ρ)は、Q点における波面の値であり、光線追跡により算出される屈折力である。P(ρ)は、ベースレンズのQ点における波面の値であり、光線追跡により算出される屈折力である。
D(ρ)を、経線(Meridional:M)方向と円周(Sagittal:S)方向に分けると、以下の式に記載のとおりである。
眼鏡レンズの中央領域、すなわちρが小さい領域では、D(ρ)とPf(ρ)はほぼ等しい。ところが、ρが大きい場合すなわち周辺領域だと、実際のデフォーカスパワーP(ρ)とD(ρ)との差が大きくなることが本発明者の調べにより明らかとなった。つまり、形状に由来するデフォーカスパワーであるところのD(ρ)から、実際のデフォーカスパワーP(ρ)が離れた値を示すことが、本発明者の調べにより明らかとなった。
この知見に基づき、本発明では、レンズ中心から半径4.5mm以上且つ25mm以下(装用者の眼球の回旋角10度以上且つ45度以下相当)となる眼鏡レンズの周辺領域内における微小凸部または微小凹部(本明細書でいうところの第2領域)の形状を、レンズ中心から半径4.5mm未満の範囲である中心領域における微小凸部または微小凹部(第2領域)の形状から変化させ、実際のデフォーカスパワーが所望の値になるように設定する、という知見を本発明者らは得た。そしてこの形状を変化させた第2領域により、周辺領域内におけるデフォーカス効果の変化を抑制する、という構成を本発明者らは想到した。
本発明は、上記の知見を基に案出されたものである。
本発明の第1の態様は、
物体側の面から入射した光線を眼球側の面から出射させて装用者の網膜上の所定の位置Aに収束させる第1領域と、
位置Aよりも物体側寄りの位置Bまたは奥行きの位置Cに光線を収束させるデフォーカス機能を有する複数の第2領域と、
を備える眼鏡レンズであって、
レンズ中心から半径4.5mm〜25mmの範囲である眼鏡レンズの周辺領域内における第2領域のうち少なくとも一部は、レンズ中心から離れるにつれて生じるデフォーカス効果の変化を抑制する形状を有する、眼鏡レンズである。
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の態様であって、
第2領域は凸状領域であり、
眼鏡レンズの周辺領域内における第2領域のうち少なくとも一部における屈折力は、レンズ中心から半径4.5mm未満の範囲である眼鏡レンズの中心領域内における第2領域の屈折力とは異なる。
本発明の第3の態様は、第2の態様に記載の態様であって、
眼鏡レンズの周辺領域内における第2領域の屈折力を、レンズ中心から離れるにつれて減少させる。
本発明の第4の態様は、第1の態様に記載の態様であって、
第2領域は凸状領域であり、
眼鏡レンズの周辺領域内における第2領域のうち少なくとも一部においては、周辺領域にて生じるデフォーカスパワーの非点収差を打ち消すトーリック形状を有する。
本発明の第5の態様は、
物体側の面から入射した光線を眼球側の面から出射させて装用者の網膜上の所定の位置Aに収束させる第1領域と、
位置Aよりも物体側寄りの位置Bまたは奥行きの位置Cに光線を収束させるデフォーカス機能を有する複数の第2領域と、
を備える眼鏡レンズの設計方法であって、
レンズ中心から半径4.5mm〜25mmの範囲である(装用者の眼球の回旋角10度以上且つ45度以下に相当)となる眼鏡レンズの周辺領域内における第2領域のうち少なくとも一部を、レンズ中心から離れるにつれて生じるデフォーカス効果の変化を抑制する形状となるよう設計する、眼鏡レンズの設計方法である。
本発明の一実施例によれば、眼鏡レンズの周辺領域であっても近視または遠視の進行を抑制する効果を損なわせないことが可能となる。
図1は、形状に由来するデフォーカスパワーと、実際のデフォーカスパワーとで相違する様子を示す図である。 図2は、本発明の一態様における眼鏡レンズの形状を示す正面図である。 図3は、図2に示す眼鏡レンズの構成例を示す断面図である。 図4は、図2に示す眼鏡レンズを透過する光の経路を示す概略断面図(その1)である。 図5は、図2に示す眼鏡レンズを透過する光の経路を示す概略断面図(その2)である。 図6Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例1のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図6Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例1の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。 図6Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例1の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図6Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例1の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図6Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例1の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図6Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例1の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図7Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例2のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図7Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例2の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。 図7Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例2の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図7Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例2の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図7Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例2の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図7Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例2の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図8Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例3のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図8Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例3の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。 図8Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例3の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図8Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例3の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図8Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例3の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図8Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例3の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図9Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例4のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図9Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例4の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。 図9Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例4の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図9Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例4の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図9Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例4の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図9Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例4の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図10Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例5のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図10Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例5の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。 図10Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例5の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図10Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例5の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図10Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例5の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図10Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例5の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図11Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例6のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図11Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例6の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。 図11Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例6の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図11Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例6の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図11Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例6の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図11Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例6の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図12Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例7のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図12Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例7の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。 図12Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例7の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図12Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例7の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図12Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例7の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図12Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例7の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図13Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例8のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図13Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例8の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。 図13Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例8の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図13Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例8の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図13Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例8の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図13Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例8の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図14Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例9のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図14Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例9の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。 図14Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例9の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図14Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例9の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図14Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例9の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図14Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例9の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図15Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例10のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図15Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例10の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。 図15Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例10の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図15Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例10の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。 図15Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例10の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。 図15Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例10の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
以下、本発明の一態様について述べる。以下における説明は例示であって、本発明は例示された態様に限定されるものではない。
[本発明の一態様に係る眼鏡レンズ]
本発明の一態様に係る眼鏡レンズは、特許文献1に記載の眼鏡レンズと同様、近視進行抑制レンズである。具体的な構成は以下の通りである。
「物体側の面から入射した光線を眼球側の面から出射させて装用者の網膜上の所定の位置Aに収束させる第1領域と、
位置Aよりも物体側寄りの位置Bに光線を収束させるデフォーカス機能を有する複数の第2領域と、
を備える眼鏡レンズであって、
レンズ中心から半径4.5mm〜25mmの範囲(装用者の眼球の回旋角10度以上45度以下相当)である眼鏡レンズの周辺領域内における第2領域のうち少なくとも一部は、レンズ中心から離れるにつれて生じるデフォーカス効果の変化を抑制する形状を有する、眼鏡レンズ。」
第1領域は、特許文献1における第1の屈折領域に該当する。上記具体的な構成における「物体側の面から入射した光線」は無限遠方からの光線とする。第2領域は、特許文献1における第2の屈折領域に該当する。つまり、本態様においては、第2領域は凸状領域である。
本発明の一態様においては、レンズ中心から半径4.5mm〜25mmの範囲(装用者の眼球の回旋角10度以上45度以下相当)である眼鏡レンズの周辺領域(以降、単に周辺領域ともいう。)内にてデフォーカス効果の変化が生じたとしても、同じく周辺領域内の第2領域がその変化を抑制する形状を有している。
その結果、本発明の一態様ならば、眼鏡レンズの周辺領域であっても近視または遠視の進行を抑制する効果を損なわせずに済む。
[本発明の一態様に係る眼鏡レンズの詳細]
以下、本発明の一態様の更なる具体例、好適例および変形例について説明する。
周辺領域内におけるデフォーカス効果の変化の原因は、本発明の課題の欄にて述べたように、微小凸部により与えられるデフォーカスパワーにおける屈折力誤差と非点収差にある。
周辺領域では、レンズに光線が斜めに入射するので、レンズの表面形状で算出される度数と異なる実際の度数が形成される。つまり平均度数誤差と非点収差が生じるのである。微小凸部のあるレンズでも然りである。
(デフォーカスパワーの屈折力誤差への対応)
デフォーカスパワーの屈折力誤差への対応策としては、周辺領域内の第2領域すなわち凸状領域の屈折力を変更することが挙げられる。屈折力の変更の具体例としては、凸面の曲率を変更していわゆる形状屈折力を変更することが挙げられるし、凸面の上に別素材の層(例えばハードコート膜)を形成することにより該凸状領域の箇所の屈折力を変更することも挙げられる。以降、形状屈折力を変更する例を基に説明する。
例えば、第1領域および第2領域を有する眼鏡レンズがマイナス単焦点レンズである場合(後述の図2〜図5)、仮にベースレンズが非球面レンズで、度数誤差や非点収差が補正されたとしても、第2領域の同一微小凸部によって与えられた実際のデフォーカスパワーは、中心部と周辺部で異なる場合がある。
第2領域によって与えられるデフォーカスパワーが中心部と周辺部で異なるということは、最初に想定した位置Bから焦点位置が移動することを意味する。この状況は、近視進行抑制効果が一定にならず、変化することを意味する。
そこで、周辺領域内の凸状領域の凸面の屈折力(例:曲率)を、レンズ中心から半径4.5mm未満の範囲である中心領域内の凸状領域の凸面の屈折力より変化させ、実際のデフォーカスパワーを一定にすることが可能となる。
なお、眼鏡レンズの周辺領域内における第2領域である凸状領域の屈折力を、レンズ中心から離れるにつれて減少させてもよい。実際のデフォーカスパワーは、レンズ中心から離れれば離れるほど絶対値が大きくなる傾向がある。そのため、この傾向に合わせ、凸状領域の屈折力(例:曲率)を、レンズ中心から離れれば離れるほど減少させてもよい。
なお、曲率をどの程度変化させるかについては、ベースとなる物体側の面および眼球側の面の周辺領域に対するシミュレーション結果に基づいて決定すればよい。
(デフォーカスパワーの非点収差への対応)
デフォーカスパワーの非点収差への対応策としては、周辺領域内の第2領域すなわち凸状領域の凸面をトーリック形状とし、周辺領域にて生じるデフォーカスパワーの非点収差を打ち消すことが挙げられる。
なお、トーリック形状をどのように設定するかについては、ベースとなる物体側の面および眼球側の面の周辺領域に対するシミュレーション結果に基づいて決定すればよい。
なお、周辺領域内の第2領域のうち少なくとも一部において、上記各対応策に応じた形状を設定すればよい。ここでいう少なくとも一部とは、複数の第2領域(凸状領域)のうちの所定の個数の第2領域(凸状領域)のことをいう。少なくとも一部においてそのような形状が設定されていれば、従来の近視進行抑制レンズよりも近視進行抑制効果が損なわれるおそれは無くなる。
その一方、周辺領域内の第2領域の全体一律に対し、上記各対応策に応じた形状を設定してもよい。
また、周辺領域に対するシミュレーション結果は、有限距離にて光線追跡を行うことにより得られる値であるのが好ましい。
近視抑制効果を発現させる対象者が、近業作業時間の多い視環境である場合、多くの場合、既に近視の兆候が出ていることが多い。そのため、本発明の一態様に係る眼鏡レンズは中間距離(1m〜40cm)ないし近方距離(40cm〜10cm)の物体距離に対応する単焦点レンズである。つまり、本発明の一態様に係る眼鏡レンズの第1領域はこの単焦点レンズとしての機能を発揮する。もちろん無限遠に対応する単焦点レンズであっても本発明の技術的思想は適用可能であるが、本発明の一態様としては中近距離に対応する単焦点レンズを例示する。
本発明の一態様に係る眼鏡レンズは、中近距離に対応する単焦点レンズである場合が多い。そのため、凸状領域の凸面の曲率を設定する際も、屈折力誤差の場合はその基となる経線方向の屈折力誤差および円周方向の屈折力誤差が、有限距離にて光線追跡を行うことにより得られる値であれば、最終的にはより実情に即した眼鏡レンズが得られる。非点収差への対応の場合についても同様である。この有限距離とは、上記の中間距離ないし近方距離、好適には単焦点レンズとして設定された物体距離を指す。
なお、本発明の一態様では眼鏡レンズの周辺領域をレンズ中心からの距離で表したが、眼球の回旋角(別の言い方だと視角)で表しても構わない。その場合、レンズ中心から半径4.5mm〜25mmの範囲は、凡そ、回旋角10度以上45度以下に相当する。回旋角については例えば特許2131365号明細書等に記載されているため説明は省略する。
以下、本発明の一態様における眼鏡レンズの更なる具体的構成について述べる。
(眼鏡レンズの全体構成)
図2は、本発明の一態様における眼鏡レンズの形状を示す正面図である。
図2に示すように、眼鏡レンズ1は、レンズ中心の近傍に規則的に配列された複数の凸状領域6を有する。この凸状領域6が第2領域である。凸状領域6以外のベースとなる部分が第1領域である。凸状領域6の具体的構成については、詳細を後述する。
図3は、図2に示す眼鏡レンズの構成例を示す断面図である。
図3に示すように、眼鏡レンズ1は、物体側の面3と眼球側の面4とを有する。「物体側の面」は、眼鏡レンズ1を備えた眼鏡が装用者に装用された際に物体側に位置する表面である。「眼球側の面」は、その反対、すなわち眼鏡レンズ1を備えた眼鏡が装用者に装用された際に眼球側に位置する表面である。本発明の一態様において、物体側の面3は凸面であり、眼球側の面4は凹面である。つまり、本発明の一態様における眼鏡レンズ1は、メニスカスレンズである。
また、眼鏡レンズ1は、レンズ基材2と、レンズ基材2の凸面側および凹面側のそれぞれに形成されたハードコート膜8と、各ハードコート膜8のそれぞれの表面に形成された反射防止膜(AR膜)10と、を備えて構成されている。なお、眼鏡レンズ1は、ハードコート膜8および反射防止膜10に加えて、さらに他の膜が形成されてもよい。
(レンズ基材)
レンズ基材2は、例えば、チオウレタン、アリル、アクリル、エピチオ等の熱硬化性樹脂材料によって形成されている。なお、レンズ基材2を構成する樹脂材料としては、所望の屈折度が得られる他の樹脂材料を選択してもよい。また、樹脂材料ではなく、無機ガラス製のレンズ基材としてもよい。
本発明の一態様においては、レンズ基材2の物体側の面3(凸面)には、当該面から物体側に向けて突出するように、複数の凸状領域6aが形成されている。各凸状領域6aは、レンズ基材2の物体側の面3とは異なる曲率の曲面によって構成されている。
このような凸状領域6aが形成されていることで、レンズ基材2の物体側の面3には、平面視したときに、レンズ上等間隔に、略円形状の凸状領域6aが島状に配置されることになる。別の言い方をすると、略円形状の凸状領域6aが、互いに隣接することなく離間した状態、すなわち各凸状領域6aの間にベースとなる第1領域が存在する状態で配置されることになる。
なお、レンズ基材2の眼球側の面4(凹面)に複数の凸状領域6aを形成しても構わない。また、両面すなわち凸面および凹面に複数の凸状領域6aを形成しても構わない。説明の便宜上、以降、物体側の面3(凸面)に複数の凸状領域6aを形成する場合を例示する。
(ハードコート膜)
ハードコート膜8は、例えば、熱可塑性樹脂またはUV硬化性樹脂を用いて形成されている。ハードコート膜8は、ハードコート液にレンズ基材2を浸漬させる方法や、スピンコート等を使用することにより、形成することができる。このようなハードコート膜8の被覆によって、眼鏡レンズ1の耐久性向上が図れるようになる。
(反射防止膜)
反射防止膜10は、例えば、ZrO、MgF、Al等の反射防止剤を真空蒸着により成膜することにより、形成されている。このような反射防止膜10の被覆によって、眼鏡レンズ1を透した像の視認性向上が図れるようになる。
(物体側の面形状)
上述したように、レンズ基材2の物体側の面3には、複数の凸状領域6aが形成されている。したがって、その面3をハードコート膜8および反射防止膜10によって被覆すると、レンズ基材2における凸状領域6aに倣って、ハードコート膜8および反射防止膜10によっても複数の凸状領域6bが形成されることになる。つまり、眼鏡レンズ1の物体側の面3(凸面)には、当該面3から物体側に向けて突出するように、凸状領域6aおよび凸状領域6bによって構成される凸状領域6が配置されることになる。
凸状領域6は、レンズ基材2の凸状領域6aに倣ったものなので、当該凸状領域6aと同様に、レンズ中心の周囲に周方向および径方向に等間隔で、すなわちレンズ中心の近傍に規則的に配列された状態で、島状に配置される。
本発明の別態様として、レンズ基材2に凸状領域6aを設けるのではなく、ハードコート膜8および反射防止膜10の少なくともいずれかにより凸状領域6を形成しても構わない。
なお、特許文献1の図21や本願図2に記載のように、レンズ中心の光軸が通過する箇所に凸状領域6を設けてもよいし、特許文献1の図2に記載のように、光軸が通過する箇所には凸状領域6を設けない領域を確保してもよい。
各々の凸状領域6は、例えば、以下のように構成される。凸状領域6の直径は、0.8〜2.0mm程度が好適である。凸状領域6の突出高さ(突出量)は、0.1〜10μm程度、好ましくは0.7〜0.9μm程度が好適である。中心領域における凸状領域6の曲率半径は、50〜250mm、好ましくは86mm程度の球面状が好適である。このような構成により、凸状領域6の屈折力は、凸状領域6が形成されていない領域の屈折力よりも、2.00〜5.00ディオプター程度大きくなるように設定される。
なお、周辺領域における凸状領域6の曲率は、中心領域における凸状領域6の曲率よりも変化させればよいが、その具体的な数値は、物体側の面のベース形状および眼球側の面の周辺領域の形状に合わせて適宜設定すればよい。
(光学特性)
以上のような構成の眼鏡レンズ1では、物体側の面3に凸状領域6を有することで、以下のような光学特性が実現され、その結果として眼鏡装用者の近視等の屈折異常の進行を抑制することができる。
図4は、図2に示す眼鏡レンズを透過する光の経路を示す概略断面図(その1)である。
図4に示すように、眼鏡レンズ1の物体側の面3における凸状領域6が形成されていない領域すなわちベースとなる第1領域に入射した光は、眼球側の面4から出射した後、眼球20の網膜20a上に焦点を結ぶ。つまり、眼鏡レンズ1を透過する光線は、原則的には、眼鏡装用者の網膜20a上に焦点を結ぶ。換言すると、眼鏡レンズ1のベースとなる第1領域は、所定の位置Aである網膜20a上に焦点を結ぶように、眼鏡装用者の処方に応じて曲率が設定されている。
図5は、図2に示す眼鏡レンズを透過する光の経路を示す概略断面図(その2)である。
その一方で、図5に示すように、眼鏡レンズ1において、凸状領域6に入射した光は、眼球側の面4から出射した後、眼球20の網膜20aよりも物体側寄りの位置Bで焦点を結ぶ。つまり、凸状領域6は、眼球側の面4から出射する光を、焦点位置Aよりも物体側寄りの位置Bに収束させる。この焦点位置Bは、複数の凸状領域6の各々に応じて、位置B、B、B、・・・B(Nは凸状領域6の総数)として存在する。
このように、眼鏡レンズ1は、原則として物体側の面3から入射した光線を眼球側の面4から出射させて所定の位置Aに収束させる。その一方で、眼鏡レンズ1は、凸状領域6が配置された部分においては、所定の位置Aよりも物体側寄りの位置B(B、B、B、・・・B)に光線を収束させる。つまり、眼鏡レンズ1は、眼鏡装用者の処方を実現するための光線収束機能とは別の、物体側寄りの位置Bへの光線収束機能を有する。このような光学特性を有することで、眼鏡レンズ1は近視進行抑制効果を発揮する。
[本発明の一態様に係る眼鏡レンズの設計方法]
本発明の技術的思想は眼鏡レンズの設計方法にも適用可能である。その構成は以下のとおりである。
「物体側の面から入射した光線を眼球側の面から出射させて装用者の網膜上の所定の位置Aに収束させる第1領域と、
位置Aよりも物体側寄りの位置Bに光線を収束させるデフォーカス機能を有する複数の第2領域と、
を備える眼鏡レンズの設計方法であって、
レンズ中心から半径4.5mm〜25mmの範囲(装用者の眼球の回旋角10度〜45度相当)である眼鏡レンズの周辺領域内における第2領域のうち少なくとも一部を、レンズ中心から離れるにつれて生じるデフォーカス効果の変化を抑制する形状となるよう設計する、眼鏡レンズの設計方法。」
本発明の一態様に係る眼鏡レンズの設計方法に適用可能な好適例は、先に述べた眼鏡レンズと同様であるため説明を省略する。
[眼鏡レンズの製造方法]
本発明の技術的思想は、上記眼鏡レンズの設計方法を採用した眼鏡レンズの製造方法にも適用可能である。眼鏡レンズ1の製造方法の具体例について説明する。
眼鏡レンズ1の製造にあたっては、まず、レンズ基材2を、注型重合等の公知の成形法により成形する。例えば、複数の凹部が備わった成形面を有する成形型を用い、注型重合による成形を行うことにより、少なくとも一方の表面に凸状領域6を有するレンズ基材2が得られる。
そして、レンズ基材2を得たら、次いで、そのレンズ基材2の表面に、ハードコート膜8を成膜する。ハードコート膜8は、ハードコート液にレンズ基材2を浸漬させる方法や、スピンコート等を使用することにより、形成することができる。
ハードコート膜8を成膜したら、さらに、そのハードコート膜8の表面に、反射防止膜10を成膜する。ハードコート膜8は、反射防止剤を真空蒸着により成膜することにより、形成することができる。
このような手順の製造方法により、物体側に向けて突出する複数の凸状領域6を物体側の面3に有する眼鏡レンズ1が得られる。
[遠視進行抑制効果を発揮する場合]
これまで述べてきた眼鏡レンズおよびその設計方法において、凸状領域を凹状領域と読み替え、物体側寄りの位置Bを奥行きの位置Cと読み替えることにより、遠視進行抑制効果が発揮される。
その遠視進行抑制効果を発揮する一態様は以下のとおりである。
「物体側の面から入射した光線を眼球側の面から出射させて装用者の網膜上の所定の位置Aに収束させる第1領域と、
位置Aよりも奥行きの位置Cに光線を収束させるデフォーカス機能を有する複数の第2領域と、
を備える眼鏡レンズであって、
レンズ中心から半径4.5mm〜25mmの範囲(装用者の眼球の回旋角10度〜45度相当)である眼鏡レンズの周辺領域内における第2領域のうち少なくとも一部は、レンズ中心から離れるにつれて生じるデフォーカス効果の変化を抑制する形状を有する、眼鏡レンズ。」
遠視進行抑制効果を発揮する一態様の場合、好適例は以下の通りである。
「第2領域は凹状領域であり、
眼鏡レンズの周辺領域内における第2領域のうち少なくとも一部における屈折力は、レンズ中心から半径4.5mm未満の範囲である眼鏡レンズの中心領域内における第2領域の屈折力とは異なる。」
「第2領域は凹状領域であり、
眼鏡レンズの周辺領域内における第2領域のうち少なくとも一部においては、周辺領域にて生じるデフォーカスパワーの非点収差を打ち消すトーリック形状を有する。」
なお、凹状領域とは、その名の通り凹みにより形成される領域である。特許文献1に記載の微小凸部の凸形状を反対にへこませた形状であってよい。その他の形状および配置等については、上記(レンズ基材)(物体側の面形状)(光学特性)の欄にて凸を凹と読み替えた内容とする。
次に実施例を示し、本発明について具体的に説明する。もちろん本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1、比較例1>
以下の眼鏡レンズを設計した。なお、各実施例の眼鏡レンズはいずれもベースとなる領域である第1領域および凸状領域である第2領域を有している。構成の概要は図2に示したとおりである。
S:−1.00D
C: 0.00D
ベースカーブ:1.0D
n=1.589
物体側の面である外面は球面に設定。
眼球側の面である内面は非球面に設定。
物体距離は無限遠に設定。
外面曲率半径:r1=589.00mm
内面曲率半径:r2=294.407mm
中心肉厚:1.0mm
眼球回旋中心位置:内面頂点から24mm
凸状領域形状:球面
実際のデフォーカスパワー目標:レンズ上どこでも、経線方向のデフォーカスパワーと円周方向のデフォーカスパワーとの平均が3.50D
なお、内面非球面の式は以下の通りである。
ρは、以下の通りである。
実施例1だと、内面非球面の式の各符号の値は以下の通りとなる。
C=1/r2=0.00339665487762633276740237691002
K= 1.0
A4=−2.3251516E−7
A5=−4.1016978E−9
A6= 5.4002311E−10
A7=−1.4792439E−11
A8= 1.4112335E−13
例えば、A4=−2.3251516E−7は、−2.3251516×10−7を示す。
各実施例間の相違については以下の表にまとめて記載した。
以降、図中でのMは経線方向であることを示し、Sは円周方向であることを示し、AveはMにおける値とSにおける値の平均値であることを示す。
図6Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例1のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図6Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例1の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。
図6Bに示すように、実施例1では、経線方向の屈折力誤差がほぼゼロになるように第1領域(ベース部分)を設計している。それに加え、実施例1では、レンズ中心からの距離に応じ、第2領域(凸状領域)を以下のように設計した。
図6Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例1の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図6Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例1の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図6Cに示すように、実施例1では、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、経線方向にしても円周方向にしても第2領域(凸状領域)の表面屈折力を減少させている。具体的に言うと、経線方向にしても円周方向にしても凸状領域の球面形状の曲率を減少させている。その結果、図6Dに示すように、実際の平均デフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dからほとんど変化させずに済むことがわかった。
なお、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定にした場合(比較例1)について簡単に説明する。
図6Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例1の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図6Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例1の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図6Eに示すように、比較例1では、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定に設定している。具体的に言うと、凸状領域の球面形状の曲率を一定に設定している。その結果、図6Fに示すように、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、実際の平均デフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dから増加することがわかった。すなわち、比較例1においては、デフォーカス効果の変化が生じることがわかった。
<実施例2、比較例2>
実施例1の設計から変更したパラメータは以下のとおりである。以下のパラメータ以外のパラメータは実施例1と同じである。
凸状領域形状:トーリック
実際のデフォーカスパワー目標:レンズ上どこでも、経線方向のデフォーカスパワーと円周方向のデフォーカスパワーが“いずれも”3.50D
内面非球面の式の各符号の値において実施例1と異なるものは以下の通りである。
A4=−2.8930926E−07
A5=−2.3465168E−09
A6= 4.6742775E−10
A7=−1.2295559E−11
A8= 1.1000012E−13
図7Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例2のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図7Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例2の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。
図7Bに示すように、実施例2では、非点収差(すなわち経線方向の屈折力誤差と円周方向の屈折力誤差との差)がほぼゼロになるように第1領域(ベース部分)を設計している。それに加え、実施例2では、レンズ中心からの距離に応じ、第2領域(凸状領域)を以下のように設計した。
図7Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例2の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図7Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例2の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図7Cに示すように、実施例2では、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、経線方向にしても円周方向にしても第2領域(凸状領域)の屈折力を減少させている(経線方向の屈折力をより大きく減少)。具体的に言うと、凸状領域の球面形状の曲率を減少させている。その結果、図7Dに示すように、経線方向にしても円周方向にしても実際のデフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dからほとんど変化させずに済むことがわかった。
なお、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定にした場合(比較例2)について簡単に説明する。
図7Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例2の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図7Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例2の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図7Eに示すように、比較例2では、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定に設定している。具体的に言うと、凸状領域の球面形状の曲率を一定に設定している。その結果、図7Fに示すように、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、経線方向にしても円周方向にしても実際のデフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dから増加することがわかった。すなわち、比較例2においては、デフォーカス効果の変化が生じることがわかった。
<実施例3、比較例3>
実施例1の設計から変更したパラメータは以下のとおりである。以下のパラメータ以外のパラメータは実施例1と同じである。
ベースカーブ:3.0D
眼球側の面である内面は球面に設定。
外面曲率半径:r1=196.333mm
内面曲率半径:r2=147.041mm
図8Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例3のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図8Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例3の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。
図8A、図8Bに示すように、実施例3では、第1領域(ベース部分)を球面形状に設計している。それに加え、実施例3では、レンズ中心からの距離に応じ、第2領域(凸状領域)を以下のように設計した。
図8Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例3の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図8Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例3の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図8Cに示すように、実施例3では、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、経線方向にしても円周方向にしても第2領域(凸状領域)の屈折力を減少させている。具体的に言うと、凸状領域の球面形状の曲率を減少させている。その結果、図8Dに示すように、実際の平均デフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dからほとんど変化させずに済むことがわかった。
なお、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定にした場合(比較例3)について簡単に説明する。
図8Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例3の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図8Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例3の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図8Eに示すように、比較例3では、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定に設定している。具体的に言うと、凸状領域の球面形状の曲率を一定に設定している。その結果、図8Fに示すように、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、実際の平均デフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dから増加することがわかった。すなわち、比較例3においては、デフォーカス効果の変化が生じることがわかった。
<実施例4、比較例4>
実施例1の設計から変更したパラメータは以下のとおりである。以下のパラメータ以外のパラメータは実施例1と同じである。
ベースカーブ:3.0D
物体距離は400mmに設定。
外面曲率半径:r1=196.333mm
内面曲率半径:r2=147.041mm
凸状領域形状:トーリック
実際のデフォーカスパワー目標:レンズ上どこでも、経線方向のデフォーカスパワーと円周方向のデフォーカスパワーが“いずれも”3.50D
内面非球面の式の各符号の値において実施例1と異なるものは以下の通りである。
C=1/r2=0.00680080586284488964346349745331
A4=−1.4060042E−07
A5= 1.695817E−09
A6= 6.2492899E−11
A7=−1.4892971E−12
A8= 8.663421E−15
図9Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例4のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図9Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例4の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。
図9Bに示すように、実施例4では、経線方向の屈折力誤差がほぼゼロになるように第1領域(ベース部分)を設計している。それに加え、実施例4では、レンズ中心からの距離に応じ、第2領域(凸状領域)を以下のように設計した。
図9Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例4の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図9Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例4の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図9Cに示すように、実施例4では、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、経線方向にしても円周方向にしても第2領域(凸状領域)の屈折力を減少させている(経線方向の屈折力をより大きく減少)。具体的に言うと、経線方向にしても円周方向にしても凸状領域の球面形状の曲率を減少させている。その結果、図9Dに示すように、経線方向にしても円周方向にしても実際のデフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dからほとんど変化させずに済むことがわかった。
なお、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定にした場合(比較例4)について簡単に説明する。
図9Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例4の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図9Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例4の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図9Eに示すように、比較例4では、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定に設定している。具体的に言うと、凸状領域の球面形状の曲率を一定に設定している。その結果、図9Fに示すように、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、経線方向にしても円周方向にしても実際のデフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dから増加することがわかった。すなわち、比較例4においては、デフォーカス効果の変化が生じることがわかった。
<実施例5、比較例5>
実施例1の設計から変更したパラメータは以下のとおりである。以下のパラメータ以外のパラメータは実施例1と同じである。
ベースカーブ:3.0D
物体距離は400mmに設定。
外面曲率半径:r1=196.333mm
内面曲率半径:r2=147.041mm
内面非球面の式の各符号の値において実施例1と異なるものは以下の通りである。
C=1/r2=0.00680080586284488964346349745331
A4=−1.8553325E−07
A5= 2.7748042E−09
A6= 3.6830526E−11
A7=−9.9544957E−13
A8= 4.3136845E−15
図10Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例5のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図10Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例5の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。
図10Bに示すように、実施例5では、非点収差(すなわち経線方向の屈折力誤差と円周方向の屈折力誤差との差)がほぼゼロになるように第1領域(ベース部分)を設計している。それに加え、実施例5では、レンズ中心からの距離に応じ、第2領域(凸状領域)を以下のように設計した。
図10Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例5の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図10Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例5の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図10Cに示すように、実施例5では、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、経線方向にしても円周方向にしても第2領域(凸状領域)の屈折力を減少させている。具体的に言うと、凸状領域の球面形状の曲率を減少させている。その結果、図10Dに示すように、実際の平均デフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dからほとんど変化させずに済むことがわかった。
なお、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定にした場合(比較例5)について簡単に説明する。
図10Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例5の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図10Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例5の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図10Eに示すように、比較例5では、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定に設定している。具体的に言うと、凸状領域の球面形状の曲率を一定に設定している。その結果、図10Fに示すように、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、実際の平均デフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dから増加することがわかった。すなわち、比較例5においては、デフォーカス効果の変化が生じることがわかった。
<実施例6、比較例6>
実施例1の設計から変更したパラメータは以下のとおりである。以下のパラメータ以外のパラメータは実施例1と同じである。
S:−4.00D
物体距離は400mmに設定。
内面曲率半径:r2=117.785mm
内面非球面の式の各符号の値において実施例1と異なるものは以下の通りである。
C=1/r2=0.0084900334854361799660441426146
A4=−5.1590858E−07
A5= 4.7732903E−09
A6= 1.4614985E−10
A7=−1.3000922E−12
A8=−1.2863666E−14
図11Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例6のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図11Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例6の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。
図11Bに示すように、実施例6では、経線方向の屈折力誤差がほぼゼロになるように第1領域(ベース部分)を設計している。それに加え、実施例6では、レンズ中心からの距離に応じ、第2領域(凸状領域)を以下のように設計した。
図11Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例6の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図11Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例6の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図11Cに示すように、実施例6では、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、経線方向にしても円周方向にしても第2領域(凸状領域)の屈折力を減少させている。具体的に言うと、経線方向にしても円周方向にしても凸状領域の球面形状の曲率を減少させている。その結果、図11Dに示すように、実際の平均デフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dからほとんど変化させずに済むことがわかった。
なお、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定にした場合(比較例6)について簡単に説明する。
図11Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例6の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図11Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例6の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図11Eに示すように、比較例6では、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定に設定している。具体的に言うと、凸状領域の球面形状の曲率を一定に設定している。その結果、図11Fに示すように、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、実際の平均デフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dから増加することがわかった。すなわち、比較例6においては、デフォーカス効果の変化が生じることがわかった。
<実施例7、比較例7>
実施例1の設計から変更したパラメータは以下のとおりである。以下のパラメータ以外のパラメータは実施例1と同じである。
S:−4.00D
物体距離は400mmに設定。
内面曲率半径:r2=117.785mm
凸状領域形状:トーリック
実際のデフォーカスパワー目標:レンズ上どこでも、経線方向のデフォーカスパワーと円周方向のデフォーカスパワーが“いずれも”3.50D
内面非球面の式の各符号の値において実施例1と異なるものは以下の通りである。
C=1/r2=0.0084900334854361799660441426146
A4=−6.6468643E−07
A5= 7.3438153E−09
A6= 9.717384E−11
A7=−5.2561303E−14
A8=−3.1103924E−14
図12Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例7のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図12Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例7の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。
図12Bに示すように、実施例7では、非点収差(すなわち経線方向の屈折力誤差と円周方向の屈折力誤差との差)がほぼゼロになるように第1領域(ベース部分)を設計している。それに加え、実施例7では、レンズ中心からの距離に応じ、第2領域(凸状領域)を以下のように設計した。
図12Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例7の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図12Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例7の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図12Cに示すように、実施例7では、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、経線方向にしても円周方向にしても第2領域(凸状領域)の屈折力を減少させている(経線方向の屈折力をより大きく減少)。具体的に言うと、凸状領域の球面形状の曲率を減少させている。その結果、図12Dに示すように、経線方向にしても円周方向にしても実際のデフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dからほとんど変化させずに済むことがわかった。
なお、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定にした場合(比較例7)について簡単に説明する。
図12Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例7の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図12Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例7の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図12Eに示すように、比較例7では、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定に設定している。具体的に言うと、凸状領域の球面形状の曲率を一定に設定している。その結果、図12Fに示すように、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、経線方向にしても円周方向にしても実際のデフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dから増加することがわかった。すなわち、比較例7においては、デフォーカス効果の変化が生じることがわかった。
<実施例8、比較例8>
実施例1の設計から変更したパラメータは以下のとおりである。以下のパラメータ以外のパラメータは実施例1と同じである。
S:−4.00D
ベースカーブ:3.0D
物体距離は400mmに設定。
眼球側の面である内面は球面に設定。
外面曲率半径:r1=196.333mm
内面曲率半径:r2=84.075mm
図13Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例8のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図13Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例8の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。
図13A、図13Bに示すように、実施例8では、第1領域(ベース部分)を球面形状に設計している。それに加え、実施例8では、レンズ中心からの距離に応じ、第2領域(凸状領域)を以下のように設計した。
図13Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例8の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図13Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例8の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図13Cに示すように、実施例8では、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、経線方向にしても円周方向にしても第2領域(凸状領域)の屈折力を減少させている。具体的に言うと、凸状領域の球面形状の曲率を減少させている。その結果、図13Dに示すように、実際の平均デフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dからほとんど変化させずに済むことがわかった。
なお、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定にした場合(比較例8)について簡単に説明する。
図13Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例8の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図13Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例8の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図13Eに示すように、比較例8では、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定に設定している。具体的に言うと、凸状領域の球面形状の曲率を一定に設定している。その結果、図13Fに示すように、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、実際の平均デフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dから増加することがわかった。すなわち、比較例8においては、デフォーカス効果の変化が生じることがわかった。
<実施例9、比較例9>
実施例1の設計から変更したパラメータは以下のとおりである。以下のパラメータ以外のパラメータは実施例1と同じである。
S:−4.00D
ベースカーブ:3.0D
外面曲率半径:r1=196.333mm
内面曲率半径:r2=84.075mm
凸状領域形状:トーリック
実際のデフォーカスパワー目標:レンズ上どこでも、経線方向のデフォーカスパワーと円周方向のデフォーカスパワーが“いずれも”3.50D
内面非球面の式の各符号の値において実施例1と異なるものは以下の通りである。
C=1/r2=0.01189418447065473684210526315789
A4=−3.8714886E−07
A5=−3.4591069E−09
A6= 5.8607762E−10
A7=−1.4532515E−11
A8= 1.4579488E−13
図14Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例9のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図14Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例9の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。
図14Bに示すように、実施例9では、経線方向の屈折力誤差がほぼゼロになるように第1領域(ベース部分)を設計している。それに加え、実施例9では、レンズ中心からの距離に応じ、第2領域(凸状領域)を以下のように設計した。
図14Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例9の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図14Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例9の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図14Cに示すように、実施例9では、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、経線方向にしても円周方向にしても第2領域(凸状領域)の屈折力を減少させている(経線方向の屈折力をより大きく減少)。具体的に言うと、経線方向にしても円周方向にしても凸状領域の球面形状の曲率を減少させている。その結果、図14Dに示すように、経線方向にしても円周方向にしても実際のデフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dからほとんど変化させずに済むことがわかった。
なお、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定にした場合(比較例9)について簡単に説明する。
図14Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例9の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図14Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例9の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図14Eに示すように、比較例9では、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定に設定している。具体的に言うと、凸状領域の球面形状の曲率を一定に設定している。その結果、図14Fに示すように、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、経線方向にしても円周方向にしても実際のデフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dから増加することがわかった。すなわち、比較例9においては、デフォーカス効果の変化が生じることがわかった。
<実施例10、比較例10>
実施例1の設計から変更したパラメータは以下のとおりである。以下のパラメータ以外のパラメータは実施例1と同じである。
S:−4.00D
ベースカーブ:3.0D
外面曲率半径:r1=196.333mm
内面曲率半径:r2=84.075mm
内面非球面の式の各符号の値において実施例1と異なるものは以下の通りである。
C=1/r2=0.01189418447065473684210526315789
A4=−5.4377405E−07
A5=−5.2688778E−09
A6= 7.3505486E−10
A7=−1.7409673E−11
A8= 1.5438782E−13
図15Aは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例10のレンズ内面(非球面)の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図15Bは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例10の眼鏡レンズの第1領域(ベース部分)の経線方向の透過屈折力誤差および円周方向の透過屈折力誤差(縦軸)との関係を示すプロットである。
図15Bに示すように、実施例10では、非点収差(すなわち経線方向の屈折力誤差と円周方向の屈折力誤差との差)がほぼゼロになるように第1領域(ベース部分)を設計している。それに加え、実施例10では、レンズ中心からの距離に応じ、第2領域(凸状領域)を以下のように設計した。
図15Cは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例10の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図15Dは、レンズ中心からの距離(横軸)と、実施例10の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図15Cに示すように、実施例10では、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、経線方向にしても円周方向にしても第2領域(凸状領域)の屈折力を減少させている。具体的に言うと、凸状領域の球面形状の曲率を減少させている。その結果、図15Dに示すように、実際の平均デフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dからほとんど変化させずに済むことがわかった。
なお、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定にした場合(比較例10)について簡単に説明する。
図15Eは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例10の眼鏡レンズの外面第2領域(凸状領域)の経線方向の表面屈折力および円周方向の表面屈折力(縦軸)との関係を示すプロットである。
図15Fは、レンズ中心からの距離(横軸)と、比較例10の眼鏡レンズの第2領域(凸状領域)の経線方向の実際のデフォーカスパワー、円周方向の実際のデフォーカスパワーおよびそれらの平均デフォーカスパワー(縦軸)との関係を示すプロットである。
図15Eに示すように、比較例10では、レンズ中心からの距離にかかわらず第2領域(凸状領域)の屈折力を一定に設定している。具体的に言うと、凸状領域の球面形状の曲率を一定に設定している。その結果、図15Fに示すように、レンズ中心からの距離が大きくなるすなわち周辺になればなるほど、実際の平均デフォーカスパワーは、実際のデフォーカスパワー目標値である3.50Dから増加することがわかった。すなわち、比較例10においては、デフォーカス効果の変化が生じることがわかった。
[総括]
以下、本開示の「眼鏡レンズおよびその設計方法」について総括する。
本開示の一実施例は以下の通りである。
「物体側の面から入射した光線を眼球側の面から出射させて装用者の網膜上の所定の位置Aに収束させる第1領域と、
位置Aよりも物体側寄りの位置Bまたは奥行きの位置Cに光線を収束させるデフォーカス機能を有する複数の第2領域と、
を備える眼鏡レンズであって、
レンズ中心から半径4.5mm〜25mmの範囲である眼鏡レンズの周辺領域内における第2領域のうち少なくとも一部は、レンズ中心から離れるにつれて生じるデフォーカス効果の変化を抑制する形状を有する、眼鏡レンズ。」
1…眼鏡レンズ、2…レンズ基材、3…物体側の面、4…眼球側の面、6,6a,6b,61〜72…凸状領域、8…ハードコート膜、10…反射防止膜、20…眼球、20a…網膜

Claims (5)

  1. 物体側の面から入射した光線を眼球側の面から出射させて装用者の網膜上の所定の位置Aに収束させる第1領域と、
    前記位置Aよりも物体側寄りの位置Bまたは奥行きの位置Cに光線を収束させるデフォーカス機能を有する複数の第2領域と、
    を備える眼鏡レンズであって、
    レンズ中心から半径4.5mm〜25mmの範囲である前記眼鏡レンズの周辺領域内における前記第2領域のうち少なくとも一部は、レンズ中心から離れるにつれて生じるデフォーカス効果の変化を抑制する形状を有する、眼鏡レンズ。
  2. 前記第2領域は凸状領域であり、
    前記眼鏡レンズの周辺領域内における前記第2領域のうち少なくとも一部における屈折力は、レンズ中心から半径4.5mm未満の範囲である前記眼鏡レンズの中心領域内における前記第2領域の屈折力とは異なる、請求項1に記載の眼鏡レンズ。
  3. 前記眼鏡レンズの周辺領域内における前記第2領域の屈折力を、レンズ中心から離れるにつれて減少させた、請求項2に記載の眼鏡レンズ。
  4. 前記第2領域は凸状領域であり、
    前記眼鏡レンズの前記周辺領域内における前記第2領域のうち少なくとも一部においては、前記周辺領域にて生じるデフォーカスパワーの非点収差を打ち消すトーリック形状を有する、請求項1に記載の眼鏡レンズ。
  5. 物体側の面から入射した光線を眼球側の面から出射させて装用者の網膜上の所定の位置Aに収束させる第1領域と、
    前記位置Aよりも物体側寄りの位置Bまたは奥行きの位置Cに光線を収束させるデフォーカス機能を有する複数の第2領域と、
    を備える眼鏡レンズの設計方法であって、
    レンズ中心から半径4.5mm〜25mmの範囲である前記眼鏡レンズの周辺領域内における前記第2領域のうち少なくとも一部を、レンズ中心から離れるにつれて生じるデフォーカス効果の変化を抑制する形状となるよう設計する、眼鏡レンズの設計方法。
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