JP2021004419A - 化粧用ナノファイバー積層体、及び、その製造方法 - Google Patents

化粧用ナノファイバー積層体、及び、その製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】肌を覆う化粧用シートのパックで、使用後には肌からの水分を吸収して自然に消えて、使用後に剥ぎ取る必要のない化粧用パック用ナノファイバー積層体、及び、その製造方法を提供する。【解決手段】長分子配列を有する水溶性高分子材料を水に溶解し加圧して紡糸ノズルから紡糸し、該紡糸ノズルの中心吐出口を囲むように、該中心吐出口と同軸にリング状の高速吹出口を設け、該高速吹出口からの気流によって紡糸ノズルからの前記水溶性高分子材料を延伸するようにしたナノファイバー積層体であって、ナノファイバーの厚みが2から10μm(好ましくは3から4μm)のナノファイバーの裏表の両面を離型紙で挟んだ状態で維持した化粧用ナノファイバー積層体、及びその製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、化粧用ナノファイバー積層体、及び、その製造方法であって、特に、美容においてパック材等の肌等を覆うシートで、素材をポリビニルアルコール(PVA)や、ポリエチレンオキサイド(PEO)等の長分子配列を有する水溶性高分子材料のナノファイバーの積層体の化粧用ナノファイバー積層体、及び、その製造方法に関する。
近時、一般的に直径が1ミクロン(=1,000nm)以下の太さの繊維で定義されるナノファイバーが開発され、ナノファイバーの製造法としては、ESD(Electro−Spray Deposition)法、或いは、エレクトロ・スピニング法と呼ばれる技法が最も注目され、その技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、エレクトロ・スピニング法は高圧の電圧が必要となることから、特に、ポリビニルアルコール(PVA)や、ポリエチレンオキサイド(PEO)等の水溶性高分子材料を使用することは危険であり、取り扱いが厄介であった。
また、高電圧電極を使用しない従来の合成繊維であるマイクロオーダーの製造法として、非特許文献1には、前掲のエレクトロ・スピニング法の他に、現在、海島複合紡糸法、低粘度の溶解ポリマーを吹き飛ばすメルトブロー紡糸法、ポリマー溶液を急激に膨脹させてポリマーを吹き飛ばしながら固化・繊維化させるフラッシュ紡糸法が開発されていることが開示されている。この溶解だけの極細繊維の製造方法として、上記の非特許文献1には、溶液に溶かして紡糸する方法としてポリマーブレンド紡糸法があり、これは2種のポリマーをブレンドしておき、これを繊維化した後に、海ポリマーを溶出する極細紡糸法であり、μmオーダーの太さが限界とされている。
そこで、本発明者らは、特許文献2に示すように高分子を溶剤に溶かして低粘度にし、さらに極細径のノズルから噴射空気とともに吹き出して延伸し、ナノファイバーを製造することに成功した。これを利用して、呼吸器系に沈着して健康に影響を及ぼす大気中に浮遊する微小粒子状物質PM2.5を捕捉する薄膜防臭遮蔽部材を製造している。
また、バイオセルロース膜である化粧品は、特許文献4に開示されるように公知であるが、使用後に顔等に貼り付いた化粧シートを取り去る煩わしさがあった。ナノファイバーシートの化粧用シートも特許文献5に開示されるように公知であるが、水溶性高分子材料をエレクトロ・スピンニング法で製造するとなると、導電性の水等の扱いが厄介で、高圧電源を扱うので非常に危険であり、また、使用後に化粧シートを取り去る煩わしさがあった。更に、ナノファイバーシートと美容液との美容キットが特許文献6に開示されているが、ナノファイバー積層体と美容液とが別体であって使用が面倒であり、また、化粧ナノファイバーの素材が水溶性高分子とは限らず、実際には電解紡糸法で製造するとしていることから水溶性高分子とは考えづらく、使用後の肌からの除去に煩わしさがあった。
特開2011−127234号公報 特開2014−144579号公報 特開2014−114521号公報 特開2014−111639呉公報 特許第6137857号公報 特許第6248293号公報
SEN'I GAKKAISHI(繊維と工業)Vol.63,No.12(2007)423〜425P[溶解紡糸型ナノファイバーの開発]越智隆志
上述したように、これらの特許文献1、5、6、は、従来のエレクトロ・スピニング法によってナノファイバーを製造したもので、高圧の電圧が必要で、危険であり、特に、本発明のように水溶性高分子材料をナノファイバー積層体にするには、取り扱いが厄介であり、製造コストが嵩むという問題点がある。何よりも、使用後でも化粧シートが肌に接着して、肌から取り除くのが面倒であるといった問題点があった。
本発明の課題は、このような問題点に鑑みてなされたもので、肌を覆う化粧シートで、使用後には肌からの水分を吸収して自然に消えて、必要であれば軽く洗顔するだけで、使用後に剥ぎ取る必要のない化粧用パック用ナノファイバー積層体、及び、その製造方法を提供しようとするものである。
上記課題を解決するために、本発明の化粧用ナノファイバー積層体は、長分子配列を有する水溶性高分子であるポリビニルアルコール(PVA)、又は、ポリエチレンオキサイド(PEO)を使用し、これら水溶性高分子材料を水に溶解し加圧して紡糸ノズルから紡糸し、該紡糸ノズルの中心吐き出し口を囲むように、該中心吐出口と同軸にリング状の高速吹出口を設け、該高速吹出口からの気流によって紡糸ノズルからの前記水溶性高分子材料を延伸するとともに水分を気化して乾燥状態にしたナノファイバー積層体であって、ナノファイバーの厚みが2から10μmであり、好ましくは3から4μmのナノファイバー積層体の裏表の両面を離型紙で挟んだ状態で維持した化粧用ナノファイバー積層体である。
更に、水溶性高分子材料には予め美容素材が混入するが、これらの美容素材としては、グリセリン、コラーゲン、プラセンタ、ヒアルロン酸、セラミド、ビタミンC誘導体、フラーレン、グリチルリチン酸、アロエベラエキス、EGF、エタノール、メチルパラベン、ローズマリーエキス、トコフェロール、単体あるいは適宜組み合わせた美容液でもよく、また、美容剤あるいは栄養剤として、プロテオグリカン原液・水溶液プロテオグリカン、BG、プロパンジオール、フェノキシエタノールでもよい。
本発明の化粧用ナノファイバー積層体の製造方法は、高分子素材のモノフィラメントを粗い目のエンドレスの巡回する捕集基材とし、該捕集基材に向けて、長分子配列を有する水溶性高分子材料として、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)等を使用し、該水溶性高分子材料を水に溶解して加圧して紡糸ノズルから紡糸し、該紡糸ノズルの中心吐出口を囲むように、該中心吐出口と同軸にリング状の高速吹出口を設け、該高速吹出口からの気流によって紡糸ノズルからの前記水溶性高分子材料を延伸するとともに、水分を気化して乾燥状態にしたナノファイバー状の繊維を前記捕集基材で積層捕集し、該捕集基材に貼り付いた水溶性高分子繊維を剥がすとともに、離型紙を前記ナノファイバー積層体の裏表を両面から挟んで巻き取る化粧用ナノファバー積層体の製造方法である。
また、前記長分子配列を有する水溶性高分子材料を水に溶解し、更に、美容素材を混入する化粧用ナノファイバー積層体の製造方法である。
また、前記水溶性高分子材料を延伸する空間環境は、温度が30℃から40℃で湿度を40%以下にする化粧用ナノファイバー積層体の製造方法であり、前記水溶性高分子材料を延伸する空間環境には、紡糸する水溶性高分子材料を乾燥状態にするために、赤外線加熱器を用い、高分子自体を内側から加熱して水分が少ない乾燥した化粧用ナノファイバー積層体の製造方法である。
更に、前記ナノファイバー積層体を挟む離型紙は、弛みのない状態で巻き取る化粧用ナノファバー積層体の製造方法である。
本発明の化粧用ナノファイバー積層体によれば、出来たナノファイバー積層体の両面の離型紙を剥がして、肌に貼っても直ぐに水溶性高分子繊維が肌の水分と反応して目立たなくなり、肌の潤いが残り、ナノファイバー積層体が使用後には自然に消えて、必要であれば軽く洗顔するだけで、剥ぎ取る必要のない。
また、ナノファイバー積層体自体に、美容素材を含有しているから、後から美容液等を肌に塗る必要がない。これらの美容素材としては、グリセリン、コラーゲン、プラセンタ、ヒアルロン酸、セラミド、ビタミンC誘導体、フラーレン、グリチルリチン酸、アロエベラエキス、EGF、エタノール、メチルパラベン、ローズマリーエキス、トコフェロール、単体あるいは適宜組み合わせた美容液でもよく、また、美容剤あるいは栄養剤として、プロテオグリカン原液・水溶液プロテオグリカン、BG、プロパンジオール、フェノキシエタノールでもよい。
また、本発明の化粧用ナノファイバー積層体の製造方法によれば、ポリビニルアルコール(PVA)や、ポリエチレンオキサイド(PEO) ポリエチレングリコール(PEG)等の長分子配列を有する水溶性高分子材料のナノファイバー積層体を安全に製造でき、且つ、離型紙で表裏両面を挟むことにより、薄い化粧用ナノファイバー積層体を確実に製造できる。
更に、長分子配列を有する水溶性高分子材料を水に溶解し、更に、予め美容素材が混入してあるので、完成した製品である化粧用ナノファイバー積層体にも美容素材が混入されている。
化粧用パック用ナノファイバー積層体の製造装置の全体を示す説明図、 図1におけるナノファイバー生成部の概略の説明図、 図2のノズル及びその先端部分の噴射空気吹出ノズルの拡大図、 図4(a)は、図2の高分子供給管の側面図、図4(b)はその断面図、 図5(a)は、ハンド移動ロボット(把持移送部)の平面図、図5(b)は、その側面図、 実施例1のナノファイバー積層体(PVA)N3の200倍の電子顕微鏡の写真、 実施例1のナノファイバー積層体(PVA)N3の10000倍の電子顕微鏡の写真、 実施例2のナノファイバー積層体(PEO)N3の200倍の電子顕微鏡の写真、 実施例2のナノファイバー積層体(PEO)N3の10000倍の電子顕微鏡の写真である。
(実施例1)
本発明の実施例1の全体構成は、概略、図1に示すようなもので、先ず、図面左からナノファイバーを生成するナノファイバー生成工程Aで、このナノファイバー生成工程Aは材料液供給部1、紡糸部2、吹付部3から構成され、材料液供給部1にはナノファイバー材料液N1が貯蔵され、紡糸部2、吹付部3でナノファイバー繊維N2が生成され、次に、吹き付けられたナノファイバー繊維N2を受け取りナノファイバー積層体N3として積層する捕集積層形成工程Bが設けられ、この捕集積層形成工程Bは捕集部4からなり、次に、捕集されたナノファイバー積層体N3を捕集部4の捕集帯41から剥がす積層体離脱工程Cで、この積層体離脱工程Cは積層体離脱部5の送風装置51の吹き出しノズル511からの噴射空気によって捕集帯41からナノファイバー積層体N3を離脱する。
次に、剥がされたナノファイバー積層体N3を移送するナノファイバー移送工程Dで製品として引き取るが、ナノファイバー移送工程Dは、離型紙供給部6、離型紙添付部7、把持移送部(ハンド移動ロボット)8で構成される。
このナノファイバー移送工程Dは、製造されるナノファイバー積層体N3は非常に薄く弱いので、粘着力が弱く無理なく剥がすことが可能な離型紙でナノファイバー積層体N3の表裏両面を離型紙で挟んで補強する。更に、このように補強されたナノファイバー積層体N4を移送する手段として、ナノファイバー積層体N3の両側端を挟んで間欠的に移送する把持移送部(ハンド移動ロボット)8を用い、最後に、離型紙で挟まれた製品ナノファイバー積層体N4を巻き取る製品巻取工程Eが配備され、この製品巻取工程Eは間欠的に巻き取られる製品巻取部9でナノファイバー積層体N4の製造が完成する。
本発明の特徴の1つは、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)等の水溶性高分子材料であるナノファイバー積層体を製造することであるが、その為に、水を含むため電圧が高い電源を使用することは極力避けること、ナノファイバーを形成するため純水で十分溶解して延伸可能にすること、紡糸の生成工程で水分を除去しほぼ乾燥すること、生成された薄いナノファイバー積層体が切れないように移送し、製品として巻き取ることが必要である。
[ナノファイバー生成工程A]
以下に、前記各工程を順次具体的に説明する。
先ず、ナノファイバー生成工程Aは、材料液供給部1、紡糸部2、吹付部3から構成される。以下、この順に詳細を説明する。
[材料液供給部1]
図1で、左側には材料液供給部1と紡糸部2であるが、これの拡大図が図2であるが、図示されるように、複数の紡糸のノズル部22が設けられ、実施例1では、材料液タンク11にはポリビニルアルコール(PVA)紡糸液N1を投入する。ここで実施例1に使用したポリビニルアルコール(PVA)紡糸液N1の組成は次のとおりである。

実施例1:ポリビニルアルコール(PVA)紡糸液N1の組成
ポリビニルアルコール(PVA固形ペレット)・・10重量%
プリテオブリカン(保湿剤:美容液成分)・・・・1重量%
純水 ・・・・・・・・・89重量%
合計 ・・・・・・・・100重量%
本実施例1では、PVAを延伸するために先ず水で溶解する。この際、前記のように水89重量%に対してPVAのペレット10重量%を混合して溶解液を作るが、この数値よりも水が多すぎるとナノファイバーを形成せず、PVAの濃度が高すぎても太い繊維した形成しなかったり、ノズル部が詰まったりする不都合が生じる。
また、実施例1では、美容液あるいは保湿剤として、プリテオブリカン1重量%を混入したが、美容液としてこの以外のグリセリン、コラーゲン、プラセンタ、ヒアルロン酸、セラミド、ビタミンC誘導体、フラーレン、グリチルリチン酸、アロエベラエキス、EGF、エタノール、メチルパラベン、ローズマリーエキス、トコフェロール、単体あるいは適宜組み合わせた美容液でもよく、また、美容剤あるいは栄養剤として、プロテオグリカン原液・水溶液プロテオグリカン、BG、プロパンジオール、フェノキシエタノールでもよい。
本発明は実施例1では基材樹脂としてVA樹脂、後述する実施例2としてはPEG樹脂、同等の水溶性樹脂としてのPEO樹脂と、上記の栄養添加剤(多種類)(保湿剤)のみ合成になるため肌に不要な界面活性剤、防腐剤などの添加剤等が除けることも利点である。
このような材料液は、材料液タンク11から送給ポンプ12から移送管13の順で紡糸部2に供給される。
この移送管13には、温水保温部14からの温水は、各移送管13に設けられた温水分配器141が供給され、この温水分配器141はノズル部22のナノファイバー材料液N1を40℃から60℃に維持するような構成で、各ノズル部22も所定の温度を維持するようにしている。この配置は図2に示すように、温水出口144から配管145で直列に繋ぎ温水戻り口146に戻るように循環している。
この分配器141で各移送管13中のナノファイバー材料液N1を40℃から60℃程度に温めるのは、ポリビニルアルコール(PVA)を延伸するには常温の40℃から60℃が適温であるからである。
このように、本実施例1では、温水保温部14は温水器142で各分配器141に必要な温水を40℃から60℃程度にして貯留し、ポンプ143によって各分配器141に送給し循環するようにしたので、各紡糸部2へ送給するナノファイバー材料液N1も所定の40℃から60℃程度に温められる。なお、温度維持に温水を用いたのは、ヒータ等とは異なり、温度管理が比較的容易に空間環境が乾燥状態にならないからである。
[紡糸部2,吹付部3]
次に、移送管13からナノファイバー材料液N1が送り込まれる紡糸部2と吹付部3について説明するが、この紡糸部2は図2から図4に示すようなもので、紡糸部2は、PVAを水に溶解してナノファイバー吹付部21のノズル部22から外部に吹き出し延伸するものである。図2の部分拡大図に示すように、先ず、材料液供給部1の移送管13はノズル部22の高分子供給部24の高分子供給管241に連結し、図4に示すように、高分子供給管241の中心に設けられた貫通孔234は、ノズル部22のノズル本体221に連通し、その先端からナノファイバー繊維N2を噴射する。このノズル部22はセラミックで、特にルビーのノズル本体221はその中心に先端の吐出口2212に続く中心軸孔2211が設けられている。
また、本実施例1で、上下方向に6段のノズル部22群がもうけられ、水平方向にも6列のノズル部22群が設けられ、計36個のノズル部22が配置されている。各段の水平方向の6個のノズル部22は15cm間隔で水平棒等に固定され、このノズル部22と材料液供給部1とは一体で水平に幅方向15cm程度左右に移動するように稼働する。したがって、出来上がるナノファイバー繊維N2は90cmの幅で左右に振り分けられてナノファイバー積層体N3として形成される。
上下方向に設けられる各段ノズル22群において、上下に近接するノズル部22の位置は、ナノファイバー積層体N2での継ぎ目が重ならないように、ずらして配置して、ナノファイバー積層体Nの厚さが均一になるようにしている。
また、ノズル部22から積層体捕集部4の捕集帯41までの距離は165cm程度とし、水溶性高分子材料であるポリビニルアルコール(PVA)の延伸が十分行われ、水分の気化が十分に行われる距離にしてノズル部22から積層体捕集部4に向けて飛散するようにしている。
また、吐出口2212の内径は0.1mmから0.2mmとし、本実施例では0.15mmとしているが、0.2mm以上だと延伸してもナノオーダーの細さが得にくく、細い方が良いが0.1mm以下だと詰まって紡糸速度が遅くなってしまう。
[高速風吹出部26]
高速風吹出部26の高速風吹き出しノズル部261は、図3に示すように、ノズル本体221は、中心軸孔2211の周りには、中心軸孔2211を包むように同軸状にリング状の高速風吹出通路262が形成され、高速風吹出通路262の先端には所定の吹出角度を有したリング状の高速風吹出口263が設けられ、この高速風吹出口263は前記吹出口263より僅かにX=5mm程度(5〜7mm)突出して、整流が生じるようにするのと、含まれる水分の気化が促進されるように、従来よりも高速風吹出口263の口径も幾分広い。
また、ナノファイバー吹付部21の中間部には、高速風吹出通路262の他端に連通する空気供給部28が設けられ、この空気供給部28には、常温の20℃、或いは多少暖かい20〜40℃程度の空気(気流)がエアポンプ281により供給され、吐出口2212から紡糸されるポリビニルアルコール(PVA)のナノファイバー繊維を高速風吹出口263の高速気流で包むようにして下流に引っ張るように延伸する。この所定の吹出角度を有する高速風吹出口263が延伸気流手段を構成している。
また、延伸気流手段のノズル部22は主にノズル本体221とノズル支持体222とからなり、図3における吐出口2212の近傍の拡大図に示すように、ノズル本体221には長手方向に溶解高分子であるPVAが噴出する中心軸孔2211が設けられるが、この中心軸孔2211の下流側の先端部には吐出口2212が設けられる。本発明のノズル部22におけるノズル本体221の材質はセラミック又はルビーが最適で、本実施例ではルビーである。
この吐出口2212であるノズル内径は0.13mmから0.18mmとしたが、0.18mm以上だとナノ単位の繊維状のナノファイバーが生成しづらく、0.13mm以上だとノズル内径に溶解した高分子が詰まってしまうので、本実施例では0.15mm程度とした。また、従来はノズル内径を0.15mmとしたが、材質を金属のステンレスとしたため、すぐに太いファイバーに変質してしまうことが判明した。これは繰り返し加重や圧力の為にステンレスのノズル内径が拡がってしまうことに起因することが判った。このため、耐熱性や対摩耗性に優れ高温下でも変形しないルビー(セラミック)を使用すると、長時間連続稼働させても、高品質の高分子ナノファイバー積層体N3を生成することができた。
しかし、セラミックやルビーは加工が難しく、ネジ等を設けた金属のノズル支持体222にノズル吐出口2212をネジ等で固着することが困難であった。そのため、図8に示すように、ノズル本体221の上流の末端に外側に突出した肉厚の鍔部2213を設け、対応するノズル支持体222の内孔2221の下流の末端に内側に突出する係止部2222を設けて、ノズル本体221をノズル支持体222の内孔2221の上流の開口2223から挿入して、鍔部2213を係止部2222に密着嵌合させて固着する。このような構造なので、下流側に高い圧力で溶解高分子が挿入されてもノズル本体221がノズル支持体222から離脱することがない。この場合、内孔2221の内径はノズル本体221の外径および鍔部2213の外径よりも大きく、ノズル支持体222の先端係止部2222の内径はノズル本体221の外径よりも小さく、鍔部2213の外径よりも小さくする必要がある。
中心軸孔2211の外周部231及び吐出口2212側の外周部2224と高速風吹出通路262の内周壁との間には通路隙間を維持するスペーサー部が適所に設けられて間隔を維持して高速風吹出通路262を形成している。
なお、高分子導入管23は、図4に示すようなもので、高速風吹出通路262は、空気導入部枠体272と高分子導入管23との外周部231の隙間に噴射空気導入溝232が形成され、この溝を通じて高速風が通過する。
この延伸気流手段を更に説明すると、高速気流でポリビニルアルコール(PVA)繊維を更に延伸するのでリング状の高速風吹出口263の吹出角度(中心軸孔2211の軸を中心としての左右の合算角度)が重要であるが、実験の結果、角度30°〜60°程度、すなわち、高速風吹出口263の高速気流の吹出方向は、前記中心軸の吐出口2212の中心軸線に対して15°〜30°の角度の範囲が好ましく、角度30°(中心軸と角度15°)以下だとポリビニルアルコール(PVA)との接触力が小さく延伸作用が小さく、角度60°(中心軸と角度30°)以上だと接触しての負圧が生じないのでやはり延伸作用が少なく、本実施例1では角度38°(中心軸と角度19°)とすることで延伸作用が効率的に作用した。
このように、高速風吹出口263からの気流が適正に紡糸したポリビニルアルコール(PVA)繊維に当たらないと、μオーダーの極細繊維で終わってしまいナノファイバーにはならない。
また、ポリビニルアルコール(PVA)繊維を効率よくナノ単位に延伸するのは、水により溶解して低粘度にすることが重要であるが、延伸気流手段は、吐出口2212から紡糸後も高速噴射空気で延伸させる必要があり、更に重要なのは、延伸するとともにポリビニルアルコール(PVA)繊維内に含まれる水を気化して水分を飛ばして除去する必要があり、そのために、高速風吹出口263は紡糸ノズル部22の吐出口2212より僅かにX1=5mm(5〜7mm)程度突出させ、吐出口2212から紡糸されるポリビニルアルコール(PVA)繊維の水の気化を促進するように構成している。
この高速風吹出口263と吐出口2212との流れ方向での所定距離X1は、5から7mm程度の突出にすると、ポリビニルアルコール(PVA)繊維の高速風による延伸作用が適度に作用し、ポリビニルアルコール(PVA)繊維の延伸と水分の速やかな除去を両立させることが出来ることが実験によって判明した。
[吹付部3]
そして、ノズル部2からナノファイバー材料液N1が噴射され、積層体捕集部4の捕集帯41まで空間環境を飛行する。
この際に、ノズル部22からナノファイバーの積層捕集部4の捕集帯41までの空間距離は165cm程度としたが、水溶性高分子であるポリビニルアルコール(PVA)の延伸が十分行われ、溶剤の水分が飛散し気化が促進する距離であると考えられるが、ノズル部2の噴射力だけでは、ナノファイバー繊維N2は、積層体捕集部4までは到達しないが、次の捕集積層形成工程Bで強力な吸引機構を設けて、下流側への強力な気流を生じされてナノファイバー繊維N2を積層捕集部まで到達するようにしている。
また、ポリビニルアルコール(PVA)繊維内に含まれる水分の気化を促進させるために、ノズル部2から捕集積層形成工程Bまでの生成されるナノファイバーが飛行する間の空間に、例えば、空間の両側に赤外線加熱装置31を設けて照射し、ポリビニルアルコール(PVA)の分子を励起し、環境の温度を上げるのではなく、分子自体の温度を上げるようにしてポリビニルアルコール(PVA)N1の材料液内の水分を気化を促進している。
[ナノファイバーの捕集積層形成工程B]
次に、ナノファイバー生成工程Aで生成されたナノファイバーを、その下流でナノファイバーを積層する[ナノファイバーの捕集積層形成工程B]の積層体捕集部4を図1で参照して説明する。
ナノファイバー積層体Nの積層捕集部4は、図1に示すように、エンドレスで移動する網状で捕集帯41であり、材質は非電導体の合成樹脂で形状はネット或いは網であり、大量に空気が通過できることができるものであればよい。本実施例1では合成樹脂として直径0.4〜0.6mmのポリプロピレン(PP)のモノフィラメントの網で、密度15〜20本/inchを使用したので、貫通する空気の空気抵抗は十分に少ない。捕集帯41は仮にナノファイバー積層体N3を保持するだけで、直ぐに離脱しなければならないので、予め、離型材としてフッ素系樹脂かシリコン系樹脂で正面処理を施しておく。
この捕集帯41は、製品巻取部9と同期して間欠的に駆動される駆動ローラ42によって図1で反時計回りに移動し、従動支持ローラ43a〜cによって所定位置で支持され所定の箇所を通過する。
なお、駆動ローラ42が間欠的に駆動されるのは、この間欠時間の長さを調節し、仕上がるナノファイバー積層体N3の厚さを調節するが、この間欠時間や移動速度は、後述する製品巻取部9の速度と結果的に同期させなければならない。
図1において、ナノファイバー生成工程Aのノズル部22に対向した位置に、従動支持ローラ43b,43cによってほぼ垂直平面の捕集面44を形成しており、この捕集面44でナノファイバー積層体N3を連続的に捕集し、後述する積層体離脱工程Cに移動してナノファイバー積層体N3を捕集帯41から離脱して駆動ローラ42によって上方に方向転換し、更に従動支持ローラ43aによって方向転換し、従動支持ローラ43eに案内され循環する。
また、駆動ローラ42と従動支持ローラ43との間には、捕集帯41に残ったゴミをブラシロータ等で除去するゴミ除去装置45と、その下流にナノファイバー積層体N3の離脱が容易になるようにフッ素系樹脂やシリコン系樹脂を付与する離型材付与装置47が設けられている。
捕集面44の裏側には、吸引室461と上下方向に複数(本実施例1では上段・中段・下段の3個)の吸引ダクト462a,b,cとこれらに連なる空気の吸引機構46が設けられ、該吸引ダクト462a,b,cにはそれぞれ風量を調整する風量調整シャッター463a,b,cが付随して設けられ、ナノファイバー生成工程Aで生成されたナノファイバー繊維N2及びナノファイバー積層体N3を捕集帯41に吸い寄せている。
捕集帯41を平面に保つためにその裏面に合成樹脂等の平面保持部材441が間隔を隔てて設けられている。なお、捕集面44の表側には、効率よくナノファイバー繊維N2を捕集面44に誘導するために捕集面44に収束するようにラッパ状の案内部材442が設けられている。
吸引ダクト462a,b,cにはそれぞれ風量を調整する風量調整シャッター463a,b,cが付随して設けられているが、捕集面44でのナノファイバー積層体Nの吸い付き量は、吸引ダクト462a,b,cの開口面積が同じであると、捕集帯41の移動の上流(上方側)ほどナノファイバーの積層量は少なくなり風速は速くなるので、捕集帯41の平面で全面で風速をほぼ均一にするために、開口面積を調整するためであり、開口面積は上段の吸引ダクト462aでは風量調整シャッター463aにより小さく、下段の吸引ダクト462cでは風量調整シャッター463cにより大きく、中段の吸引ダクト462bでは吸引ダクト462bによりその中間の開口面積になるように調整されている。
こうして、捕集帯41上に垂直で連続的に形成したナノファイバー積層体N3は、捕集帯41の下方への移動に伴って、移動し右方向に水平に移動し積層体離脱部5でナノファイバー積層体N3を離脱して、駆動ローラ42からゴミ除去装置45に案内させる。
このゴミ除去装置45は、時計方向に回転するゴミ剥ぎ取りブラシ451によって、捕集帯41に残ったナノファイバーを除去し、綺麗な状態の捕集帯51を再び捕集面44に送り出す。なお、必要に応じて、離型材付与装置47を設けて、ナノファイバーが離脱しやすいようにしても良い。
[ナノファイバー積層体N3離脱工程]
このように、捕集帯41に積層したナノファイバー積層体N3は、捕集帯41の従動支持ローラ43cと駆動ローラ42との間のほぼ中央部で、ナノファイバー積層体N3が積層された反対側から送風装置51のノズル511からの空気の噴射によって離脱させる。
このノズルは、ナノファイバー積層体N3の全幅に亘って設けるか、左右にトラバースするようにしてもよく、要は捕集帯41から無理なく離型紙できるような機構であればよい。
[ナノファイバー積層体N4の移送工程D]
ナノファイバー移送工程Dは、離型紙供給部6、離型紙添付部7、把持移送部8、製品巻取部9から構成されるが、離型紙供給部から説明する。
[離型紙供給部、離型紙添付部]
ナノファイバー積層体移送工程Dの直前ナノファイバーN3は非常に薄く弱いので、捕集帯41がないと自立はおろか切断する恐れがあるので、捕集帯41に代わる補強材として、粘着力の弱く無理なくはがすことが可能な離型紙でナノファイバー積層体N3の表裏両面を離型紙で挟んで補強する。図1において、離型紙供給部6は、下側離型紙H1繰出部61と上側離型紙H2繰出部62から構成される。
(下側離型紙添付)
ナノファイバー積層体N3の裏側である下側の下側離型紙H1を巻いてある繰出しロール61aは、駆動モータ61aがパウダークラッチ612を介して巻取方向に弱いトルクを与えているが、後述する把持移送部8の引っ張り力よりは弱くしており、把持移送部8の力に負けてパウダークラッチ612が滑り、結果的には間欠的に離型紙H1を繰り出している。
下側離型紙H1は、案内ローラ614bから案内ローラ614cに案内され、離脱部5の案内ローラ615a、案内ローラ615bによって、水平状態に維持して、送風されて離脱(離型紙)されたナノファイバー積層体N3の裏側を離型紙H1で受ける構成で、離型紙添付部7の下側離型紙添付部71(下側)を形成している。
また、案内ローラ614bの下流に下側離型紙H1の幅方向の両端位置を検知するエッジセンサー616が設けられ、このエッジセンサー616の出力により、離型紙繰出ロール61aや駆動モータ611からなる繰出しユニットが離型紙繰出ロール61aの軸方向に移動して下側離型紙H1の蛇行を防止している。
(上側離型紙添付)
次に、下側離型紙を添付したナノファイバー積層体N3に、上側離型紙H2を送り出してナノファイバー積層体N3に添付する工程を説明するが、製品に下側離型紙だけででも十分に強度があり、移送にトラブルがなく、巻取がスムースであれば、上側離型紙H2の添付は必ずしも必要ではない。
図1において、上側離型紙H2の繰出機構は下側離型紙H1繰出部とほぼ同じ構成であるが、ナノファイバー積層体N3の表側の上側離型紙H2を巻いてある離型紙繰出ロール62aは、駆動モータ621がパウダークラッチ622を介して巻取方向に弱いトルクを与えているが、後述する把持移送部8の引っ張り力よりは弱くしており、把持移送部8の力に負けてパウダークラッチ622が滑り、結果的には間欠的に離型紙H1を繰り出している。
ただし、離脱したナノファイバー積層体N3は下側離型紙H1上に載置されているので、上側離型紙は離脱したナノファイバー積層体N3の表側に置くだけである。このようにして、離型紙添付部7の上側離型紙添付部72を形成している。
なお、案内ローラ624aの下流に上側離型紙H2の幅方向の両端位置を検知するエッジセンサー616が設けられ、このエッジセンサー616の出力により、離型紙繰出ロール62aや駆動モータ621からなる繰出しユニットでは離型紙繰出ロール62が軸方向に移動して上側離型紙H2の蛇行を防止している。
(ナノファイバー積層体N4のハンド移動ロボット8)
下側離型紙H1、上側離型紙H2が弱い粘着力で、ナノファイバー積層体N3に添付しているが、この離型紙添付の移送は、通常の巻き取り方法では、均一に巻き取れない。そこで、図5のような、間欠移送のハンド移動ロボット(把持移送部)8を使用する。以下、ハンド移動ロボット8を説明する。
図5において、ハンド移動ロボット8は、案内ローラ81aと案内ローラ81bとの間に配置され、手送りのような移動方法で、離型紙添付のナノファイバー積層体N4の側面端を挟持して上流から下流に移送する移動ハンド部82aと下流に固定ハンド部83aから構成され、この一対のハンド部は、同じ構成がナノファイバー積層体N4の向かい合う側面端にも移動ハンド部82bと下流に固定ハンド部83bとして設けられ、これらは同期作動している。
移動ハンド部82a、82bには上下に閉じたり開いたりする1対のハンド821が設けられ、これらハンド821は制御部822a,b及び上流から下流に往復動するスライド移動部823a,bが組み込まれている。また、固定ハンド部83a、83bも同様にハンド831および制御部832a,bが設けられている。
次に、このハンド移動ロボット8の動作を説明する。動作順は以下のとおりである。
1.固定ハンド部83(83a,b)の一対のハンド821が閉じた状態で後述する製品巻取部9で引っ張る(テンションを常時かけておく)
2.制御部822(822a,b)からの送り開始指令(ファイバー捕集OK)で、移動ハンド部82のハンド821を閉じる。
3.固定ハンド部83のハンド831を開く。
4.捕集帯41の駆動ローラ42の動作と同期して設定された距離をハンド821でナノファイバー積層体N4を挟んで移動し、所定距離を走行した後に停止。
5.手順4.で移動バンド部82が停止すると同時に、固定ハンド83のハンド821を閉る。
6.移動ハンド部82のハンド821を開く。
7.移動ハンド部82を元の位置に戻す。
8.制御部822からの送り開始指令を待つ。
9・手順2から繰り返す。
以上のように、把持移送部8の作動は、ナノファイバー積層体N3の積層体捕集部4の捕集帯41の移動と同期しており、捕集帯41の作動はナノファイバー積層体N3の厚みに関し、捕集帯41が停止している場合は、移動ハンド部82のハンド821を停止し、捕集部41が移動するとその移動分と同じ距離だけ、移動ハンド部82のハンド821も移動する。したがって、ナノファイバー積層体N3は無張力状態で切断せずに移動する。
[製品巻取工程E]
最後に、ハンド移動ロボット8での移動ハンド部82のハンド21のナノファイバー積層体N4の移動による移動分を、製品巻取工程Eの製品巻取部9で巻き取る。
図1に示すように、間欠送り出し製品の離型紙を表裏に貼ったナノファイバー積層体N4は、製品巻取部9で巻き取られるが、製品巻き取りロール91の回転軸92は、パウダークラッチ93を介して、巻き取り駆動モータ94によって巻き取られる。この製品巻取部9は、巻取り径検出超音波センサー95を設け、巻取り径の変化により巻取張力が変化するので、この張力を一定にするようにモータの回転速度を制御するとともに、駆動源の巻き取り駆動モータ94と回転軸92の間にパウダークラッチ93を設けたので、過剰な負荷がかかると滑りを生じて、製品ナノファイバー積層体N4を一定の張力で巻き取ることができる。
[全体の駆動系の作動]
以上説明した構成であるが、駆動系の全体を説明する。
本発明では、ナノファイバー積層体N3自体には張力を加えられないが、離型紙は常にテンションを加えた状態する必要がある。
したがって、ナノファイバー積層体N3の全ての箇所での移動速度は、捕集帯41の速度に合わせなければならず、このため、離型紙を添付した後はハンド移動ロボット8でのハンド821の移動が基礎となり、これに製品巻き取り部9も張力を一定に保ちながら追従する。
また、離型紙H1,H2のテンションの一定に保たなければならないので、下部離型紙繰出部61と上部離型紙繰出部62との駆動モータ611、621に巻き取り方向に駆動し離型紙繰り出しロール61a,bとの間にパウダークラッチ612a,bを設けて、離型紙H1,H2に弱い張力を付与している。
また、化粧用ナノファイバー積層体N4の製品巻取部9の巻き取り速度はハンド821の移動が追従するようにしている。
ここで、実施例1で製造したナノファイバー積層体N4から一部離型紙を取り除いた化粧用ナノファイバー積層体の200倍の電子顕微鏡の写真を図6として、同じく、実施例1のナノファイバー積層体N3の10000倍の電子顕微鏡の写真を図7に示す。このように、数ナノオーダーのナノファイバー積層体が出来上がっていることが判る。
本発明の製品巻取部に巻き取られ製品の表裏に離型紙が貼られたナノファイバー積層体N4を使用する場合を説明する。
本発明の化粧用ナノファイバー積層体N4には、例えば、保湿パック等に使用する場合は、予め、離型紙が貼ったまま顔等の使用する形に切り取る。切り取ったパック形状で肌に当てる側の離型紙を剥がし、そのまま、顔や手足等の肌に貼り付け、その後表側の離型紙を剥がせばよい。通常、肌には水分があるのでそのまま貼り付くが、肌が乾燥している場合は洗顔等で多少の水分を与えてから貼り付ければよい。理想的には湯上がりにその貼り付ければよい。場合によっては、両面の離型紙を剥がしてから肌に貼ってもよい。
本発明のナノファイバー積層体N4は、肌に貼っても直ぐに水溶性高分子繊維が肌の水分と反応して目立たなくなり、肌の潤いが残り、ナノファイバー積層体が使用後には自然に消えて、必要であれば軽く洗顔するだけで、剥ぎ取る必要がない。
(実施例2)
次に、実施例1の水溶性高分子のポリビニルアルコール(PVA)に代えて、同じ水溶性高分子の長分子配列を有するポリエチレンオキサイド(PEO)を使用した実施例2を説明する。
実施例2:ポリエチレンオキサイド(PEO)紡糸液N1の組成
ポリエチレンオキサイド(PEO) ・・ 8重量%
コラーゲン(美容液成分) ・・・・1重量%
純水 ・・・・・・・・・91重量%
合計 ・・・・・・・・100重量%
本実施例2に使用する装置は、及び方法は、実施例1と同じであるので、詳細は省略するが、出来上がったナノファイバー積層体N4も、美容液成分としてコラーゲンを混入した以外は、実施例1とほぼ同じであり、ナノファイバー積層体を安全に製造でき、且つ、離型紙で表裏両面を挟むことにより、薄いナノファイバー積層体を確実に製造できる。
ここで、実施例2のナノファイバー積層体N3の200倍の電子顕微鏡の写真を図8に示すが、顕微鏡で実施例1と比べると多少太めで繊維自体も多少粘着性があり接着しているのが判る。また、ポリエチレンオキサイド(PEO)は分子量がポリビニルアルコール(PVA)より長いので、肌に吸収されることはないが、肌に使用しても透明で目立たない。
本発明の各実施例の化粧用ナノファイバー積層体によれば、出来たナノファイバー積層体の両面の離型紙を剥がしてパックとして肌に貼っても、基材樹脂が水溶性高分子材料として、ポリビニルアルコール(PVA)、又は、ポリエチレンオキサイド(PEO)等を使用しているので、化粧用パック、例えば、化粧用フェイスマスクとして用いても、直ぐに水溶性高分子繊維が肌の水分と反応して目立たなくなり、肌の潤いが残り、ナノファイバー積層体が使用後には自然に消えて、必要であれば軽く洗顔するだけで、剥ぎ取る必要がない。
水溶性高分子材料をとして、ポリビニルアルコール(PVA)、又は、ポリエチレンオキサイド(PEO)使用したが、これらと同等の性質をもつ、これ以外の例えば、ポリエチレングリコール(PEG)樹脂等の水溶性高分子材料を使用してもよい。
なお、本発明の化粧用ナノファイバー積層体N3,N4は、薄いシート状になるが基材樹脂がポリビニルアルコール(PVA)樹脂、ポリエチレンオキサイド(PEO)樹脂、ポリエチレングリコール(PEG樹脂)と美容素材の栄養添加剤(多種類)のみの合成になるため、肌に不要な界面活性剤、防腐剤などの添加剤等が除けるという利点もある。
また、ナノファイバー積層体自体に、プリテオブリカン、グリセリン、コラーゲン、プラセンタ、ヒアルロン酸、セラミド、ビタミンC誘導体、フラーレン、グリチルリチン酸、アロエベラエキス、EGF、エタノール、メチルパラベン、ローズマリーエキス、トコフェロール、単体あるいは適宜組み合わせた美容液でもよく、また、美容剤あるいは栄養剤として、プロテオグリカン原液・水溶液プロテオグリカン、プロパンジオール、フェノキシエタノールから選択される美容素材を単体あるいは組み合わせて含有させてもよく、従来のように後から、或いは別途に美容液等を肌に塗る必要がない。
また、本発明の化粧用ナノファイバー積層体N3、N4の製造方法によれば、ポリビニルアルコール(PVA)や、ポリエチレンオキサイド(PEO)等の長分子配列を有する水溶性高分子材料のナノファイバー積層体を安全に製造でき、且つ、離型紙で表裏両面を挟むことにより、薄いナノファイバー積層体を確実に製造できる。
更に、長分子配列を有する水溶性高分子材料を水に溶解し、更に、プリテオブリカン、グリセリン、コラーゲン、プラセンタ、ヒアルロン酸、セラミド、ビタミンC誘導体、フラーレン、グリチルリチン酸、アロエベラエキス、EGF、エタノール、メチルパラベン、ローズマリーエキス、トコフェロール、単体あるいは適宜組み合わせた美容液でもよく、また、美容剤あるいは栄養剤として、プロテオグリカン原液・水溶液プロテオグリカン、BG、プロパンジオール、フェノキシエタノール等の美容素材を混入するだけで、化粧用ナノファイバー積層体に予め美容素材を含有させることができる。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論であり、例えば、水溶性高分子材料として、ポリエチレングリコール(PEG樹脂)を使用してもよい。
A・・ナノファイバー生成工程、B・・捕集積層形成工程、C・・積層体離脱工程、
D・・ナノファイバー移送工程、E・・製品巻取工程、
H1・・下側離型紙、H2・・上側離型紙、
N1・・ナノファイバー材料液、N2・・ナノファイバー繊維、
N3・・ナノファイバー積層体、N4・・離型紙添付のナノファイバー積層体
1・・材料液供給部、11・・材料液タンク、12・・送給ポンプ、13・・移送管、
14・・温水保温部、141・・温水分配器、142・・温水器、143・・ポンプ、
144・・温水出口、145・・配管、146・・繋ぎ温水戻り口、
2・・紡糸部、21・・ナノファイバー吹付部、
22・・ノズル部、221・・ノズル本体、2211・・中心軸孔、
2212・・吐出口、2213・・鍔部、
222・・ノズル支持体、2221・・内孔、2222・・先端係止部、
2223・・開口、2224・・外周部、
23・・高分子導入管、送給口、231・・外周部、232・・噴射空気導入溝、
234・・貫通孔、24・・高分子供給部、241・・高分子供給管、
26・・高速風吹出部、261・・高速風吹き出しノズル部、
262・・高速風吹出通路、263・・高速風吹出口、
27・・噴射空気路形成キャップ、272・・空気導入部枠体、
28・・空気供給部、281・・エアポンプ、
3・・吹付部、31・・赤外線加熱装置、
4・・積層体捕集部、41・・捕集帯、42・・駆動ローラ、
43a,b,c・・従動支持ローラ、44・・捕集面、
45・・ゴミ除去装置、
46・・吸引機構、461・・吸引室、462a,b,c・・吸引ダクト、
463a,b,c・・風量調整シャッター、
47・・離型材付与装置、
5・・積層体離脱部、51・・送風装置、511・・ノズル、
6・・離型紙供給部、61・・下部離型紙繰出部、61a・・離型紙繰出ロール、
611・・駆動モータ、612・・パウダークラッチ、
614a,b,c・・案内ローラ、
615a,b,c・・離脱ナノファイバー受案内ローラ、
616・・エッジセンサー、
62・・上部離型紙繰出部、62a・・離型紙繰出ロール、
621・・駆動モータ、622・・パウダークラッチ、
624a,b,c・・案内ローラ、626・・エッジセンサー、
7・・離型紙添付部、71・・下部離型紙添付部、72・・上部離型紙添付部、
8・・ハンド移動ロボット(把持移送部)、81,81a,81b・・案内ローラ、
82,82a,82b・・移動ハンド部、821・・ハンド、
822,822a,822b・・制御部、
823,383a,823b・・スライド移動部、
83,83a,83b・・固定ハンド部、831・・ハンド、
832a,b・・制御部、
9・・製品巻取部、91・・製品巻き取りロール、92・・回転軸、
93・・パウダークラッチ、94・・巻き取り駆動モータ、
95・・巻取り径検出超音波センサー。

Claims (10)

  1. 長分子配列を有する水溶性高分子材料を水に溶解し加圧して紡糸ノズルから紡糸し、該紡糸ノズルの中心吐出口を囲むように、該中心吐出口と同軸にリング状の高速吹出口を設け、該高速吹出口からの気流によって紡糸ノズルからの前記水溶性高分子材料を延伸するとともに水分を気化するようにしたナノファイバー積層体であって、
    ナノファイバーの厚みが2から10μmのナノファイバー積層体の裏表の両面を離型紙で挟んだ状態で維持したことを特徴とする化粧用ナノファイバー積層体。
  2. 前記離型紙に挟まれた厚さは、ナノファイバーの厚みは3から4μmであることを特徴とする請求項1に記載の化粧用ナノファイバー積層体。
  3. 前記水溶性高分子材料をとして、ポリビニルアルコール(PVA)、又は、ポリエチレンオキサイド(PEO)を使用したことを特徴する請求項1に記載の化粧用ナノファイバー積層体。
  4. 前記ナノファイバー積層体自体には美容素材が含有されていることを特徴とする請求項1に記載の化粧用ナノファイバー積層体。
  5. 高分子素材のモノフィラメントを粗い目のエンドレスの巡回する捕集基材とし、該捕集基材に向けて、長分子配列を有する水溶性高分子材料を水に溶解して加圧して紡糸ノズルから紡糸し、該紡糸ノズルの中心吐出口を囲むように、該中心吐出口と同軸にリング状の高速吹出口を設け、該高速吹出口からの気流によって紡糸ノズルからの前記水溶性高分子材料を延伸するとともに水分を気化するようにしてナノファイバー状の繊維を前記捕集基材で積層捕集し、
    該捕集基材に貼り付いた水溶性高分子繊維を剥がすとともに、離型紙をナノファイバー積層体の裏表を両面から挟んで巻き取ることを特徴とする化粧用ナノファイバー積層体の製造方法。
  6. 前記水溶性高分子材料として、ポリビニルアルコール(PVA)、又は、ポリエチレンオキサイド(PEO)を使用したことを特徴する請求項5に記載の化粧用ナノファイバー積層体の製造方法。
  7. 前記長分子配列を有する水溶性高分子材料を水に溶解し、更に、美容素材を混入することを特徴する請求項5に記載の化粧用ナノファイバー積層体の製造方法。
  8. 前記水溶性高分子材料を延伸する空間環境は、温度が30℃から40℃で湿度を40%以下にすることを特徴とする請求項5に記載の化粧用ナノファイバー積層体の製造方法。
  9. 前記水溶性高分子材料を延伸する空間環境には、紡糸する水溶性高分子材料の水分の気化を促進するするために赤外線加熱器を用いることを特徴とする請求項5に記載の化粧用ナノファイバー積層体の製造方法。
  10. 前記ナノファイバー積層体を挟む離型紙は、弛みのない状態で巻き取ることを特徴とする請求項5に記載の化粧用ナノファイバー積層体の製造方法。
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