JP2020521780A - 癌関連免疫抑制阻害剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、癌関連免疫抑制の処置における免疫抑制阻害剤としての使用の為の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物に関する。本発明はさらに、この糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物を少なくとも含む医薬組成物に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、癌疾患の間に生じうる免疫抑制状態の処置に関する。
癌の免疫回避は、有効な抗癌治療戦略を設計する際の主要な障害である。癌が破壊性の免疫機構をどのようにすり抜けるかの仕組みの理解にはかなりの進展が見られたが、腫瘍が回避するのを阻止する手段は追いついていない。
患者の長期生存は、癌処置における成功の「最良基準(gold standard)」と考えられているが、患者の視点からすれば、無病生存が究極の目標である。長期生存及び無病生存は、有効な抗腫瘍応答を引き起こす患者個体の免疫系の増強に概ね依存するという考え方が益々強くなっている。自己免疫症状を誘発するポイントまでさえの、治療に対する強い免疫応答の証拠は、癌患者における長期生存の好ましい指標であり得る(Burkholder等,2014年,Biochimica et Biophysica Acta,Vol.1845:182-201)。
様々な薬剤がその抗腫瘍効果についてスクリーニングされ且つその選択された薬剤は癌患者の処置用として承認されているが、化学療法、放射線療法、及び手術が標準的な癌治療戦略の主流として存続している(Vinay等,2015年,Seminars in cancer biology,Vol.35:5185-5198)。これらの療法の欠点は、一過性の免疫抑制を引き起こす為のその能力であり、それは感染症のリスクを増加させ、且つ癌の更なる発症を阻止する為の免疫系の能力をまた低下させるおそれのあることである。
適応された全体的な癌処置戦略を特定することは、免疫増強療法(immune-boosting therapies)が標準的な抗癌療法を増強しうる程度を決定することを包含する。全てではないにしても、ほとんどの全体的な癌処置戦略は、使用される抗腫瘍処置の種類に関係なく、抗腫瘍免疫を高める関連手段を含むべきであることが、当技術分野において強く示唆されている。
免疫療法は、化学療法又は放射線療法とは異なる機構を通じて作用し、そして毒性スペクトルが完全に異なる非交差耐性処置を表すので、免疫療法は癌を処置する可能性を秘めている。T細胞及びB細胞のいずれも、それぞれの各受容体の遺伝的組み換えを通じて、多種多様な潜在的腫瘍抗原を認識する能力を有することができ、そしてより重要なことには、T細胞及びB細胞のいずれも、正常細胞と形質転換された細胞との間のわずかな抗原的差異を区別することができ、毒性を最低限に抑えながら特異性を提供する。
癌に対する免疫応答の重要性は、数十年にわたり知られてきていた。しかしながら、免疫腫瘍学における最近の進歩は、免疫系と癌との相互作用の理解を大幅に改善させた。免疫編集は、免疫系が腫瘍の進行を変化させることができるプロセスを云う。免疫編集は、腫瘍の量及び質の両方を調節する。癌を免疫編集するプロセスは、3つの異なる段階:すなわち除去、平衡、及び逃避段階、のそれぞれを有する。逃避段階は、腫瘍レベルにおいて、又は腫瘍微環境のレベルにおいて生じうる。微小環境レベルにおいては、調節性T細胞(Treg:regulatory T cells)及び骨髄由来のサプレッサー細胞(MDSC:myeloid derived suppressor cells)の導入、又は免疫浸潤におけるプログラム死1(PD−1:programmed death-1)/プログラム死リガンド1(PD−L1:programmed death-ligand 1)の発現が、免疫抑制的な腫瘍微環境をもたらしうる。
腫瘍に関連付けられたマクロファージ(TAM:Tumor-associated macrophages)、腫瘍関連の線維芽細胞、Treg、及びサプレッサー細胞により産生される可溶性因子のいずれも、癌誘発性の免疫抑制に寄与する。TAMは、免疫抑制、血管新生、及び直接的な腫瘍増殖因子の分泌を含む、複数の腫瘍促進プロセスを駆動しうる。
従って、免疫系は、癌を制御及び根絶する際に重要な役割を果たす。それにもかかわらず、悪性腫瘍の状況では、有効な抗腫瘍免疫を阻止する免疫抑制の多重機構が存在しうる。
幾つかのネガティブな免疫調節因子(チェックポイント)に対して向けられた抗体療法は、今日かなりの成功を示しており、様々な悪性腫瘍を有する患者の為の処置の主要な要素になる可能性がある。
T細胞増殖及びIL−2産生の両方を阻害することを示されているそのような分子の第1は、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質4(CTLA−4:cytotoxic T-lymphocyte associated protein 4)であった。この発見によって、癌細胞に対して向けられた休眠T細胞を活性化させることを狙いとして、この阻害経路をブロックすることに努力が向けられるようになった。CTLA−4に対して向けられた最初の抗体であるイピリムマブは、臨床トライアルに迅速に導入され、転移性メラノーマの処置用として2011年に米国食品医薬品局(FDA)により承認された。イピリムマブで成功した後、他の免疫チェックポイントが、標的候補として、阻害について試験された。1つのそのような相互作用は、プログラム細胞死1(PD−1)T細胞受容体と多くの癌細胞上に見出されるそのリガンドであるプログラム死リガンド1(PD−L1)との相互作用であった。
しかしながら、そのような抗体は、限られた種類の腫瘍(主にメラノーマ、肺癌、腎癌)において有効であり、また、感受性の腫瘍においても、患者のかなりの部分が耐性を維持している。
ほとんどの状況において、癌療法の奏功を実現する為に、(i)免疫抑制因子/機構を除去することと、(ii)腫瘍殺傷活性を増強することとを模索するデュアルアプローチに従わなければならないことが抗癌治療戦略に関係する現在得られている知識から導かれる。
従って、癌を処置する為の更なる治療戦略を提供する必要性が当技術分野にある。有望な新規抗癌処置戦略を定義する為に、癌患者に生じうる免疫抑制を低減させる又はブロックする為の新規手段の必要性が特にある。
本発明は、癌関連免疫抑制(cancer-associated immunosuppression)の処置における免疫抑制阻害剤としての使用の為の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物(glyco-engineered Fc fragment-bearing compound)に関する。
特に、本発明は、癌関連免疫抑制の処置におけるT細胞免疫抑制阻害剤としての使用の為の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物に関する。
本発明は、癌関連免疫抑制の処置におけるCD8T細胞免疫抑制阻害剤としての使用の為の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物を包含する。
幾つかの実施態様において、上記の糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、ハイポフコシル化(hypofucosylated)Fcフラグメント担持化合物である。
幾つかの実施態様において、上記の糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、配列番号(SEQ ID NO.)70の2つのアミノ酸鎖を含む。
幾つかの実施態様において、上記の糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、糖鎖改変抗体、特にハイポフコシル化抗体、である。
幾つかの実施態様において、上記糖鎖改変抗体は、腫瘍関連抗原(tumor associated antigen)に対して向けられたものである。
幾つかの実施態様において、上記腫瘍関連抗原は、HER2、HER3、HER4、及びAMHRIIからなる群から選択される。
幾つかの実施態様において、上記抗体は、本明細書において開示されているところの、3C23K、9F7F11、H4B121、及びHE4B33と呼ばれる抗体、並びにその変異体からなる群から選択される。
幾つかの実施態様において、上記癌処置は、個体に、更なる抗癌剤を投与することを含む。
幾つかの実施態様において、上記癌処置は、上記個体に、抑制性免疫チェックポイント阻害剤、例えばPD−1、PD−L1、PD−L2、BTLA、CTLA−4、A2AR、B7−H3(CD276)、B7−H4(VTCN1)、IDO、KIR、LAG3、TIM−3、VISTA、CD137、OX40、OX40L、及びB7S1の阻害剤、を投与することを含む。
幾つかの実施態様において、上記阻害剤は、上記抑制性免疫チェックポイントに対して向けられた抗体、又はその抗原結合性フラグメントからなる。
本発明はまた、(i)糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物、及び(ii)抑制性免疫チェックポイント阻害剤を含む医薬組成物に関する。
図1は、糖鎖改変された3C23K mAb(GM102)がマクロファージ誘発性T細胞阻害を低減させることを示す図である。図1A:COV434−AMHRII腫瘍細胞を標的とするMDM2マクロファージと共培養されたPBT増殖の尺度を示す。無関係のmAb R565(アイソタイプ対照)、抗AMHRII FcKO、又は抗AMHRII 3C23Kのいずれかを用いてオプソニン化されたCOV434−AMHRII細胞株により、共培養前に4日間、抗CD3/CD28 事前に活性化された末梢血液T細胞(peripheral blood T cells)(「PBT」とも呼ばれる)と共に追加の4日間、MDM2は誘発処理された。データは、事前に活性化されたCD8+T細胞の***指標値(Division Index)(すなわち、初期集団内の細胞が経験した細胞***の平均数)±標準偏差を表す(データは、3回の独立した実験の代表値である。p値<0.05)。横座標、左から右:(i)n.a.T細胞 対照、(ii)a.T細胞 対照、(iii)アイソタイプ 対照、(iv)FcKO、及び(v)3C23K。 図1は、糖鎖改変された3C23K mAb(GM102)がマクロファージ誘発性T細胞阻害を低減させることを示す図である。図1B:mAb処置されたポリスチレンビーズを標的とするMDM2マクロファージと共培養されたPBT増殖の尺度を示す。対照としてコーティングされないポリスチレンビーズ、又は抗AMHRII FcKO若しくは抗AMHRII3C23Kでコーティングされたポリスチレンビーズを用いて、共培養前の24時間、事前に活性化されたセルトレースバイオレット(cell trace violet)が負荷されたPBTと共に追加の4日間、MDM2が誘発処理された。データは、事前に活性化されたCD8+T細胞の***指標値(すなわち、初期集団内の細胞が経験した細胞***の平均数)±標準偏差を表す(データは、3回の独立した実験の代表値である。p値**<0.01)。n.a.は、非活性化T細胞、a.は活性化T細胞を云う。横座標、左から右:(i)n.a.T細胞 対照、(ii)a.T細胞 対照、(iii)未処置ビーズ、(iv)FcKO、及び(v)3C23K。 図2は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体は、ヒトTリンパ球の増殖に影響を及ぼさないことを示す図である。CellTrace Violetが負荷されたT細胞が、10μg/mlの抗AMHRII3C23K mAbの存在下又は非存在下において、CD3/CD28がコーティングされたビーズにより活性化された。3日後、CellTrace Violetの希釈物がフローサイトメトリーによって評価され、生データとして(図2A)表された。 図2は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体は、ヒトTリンパ球の増殖に影響を及ぼさないことを示す図である。CellTrace Violetが負荷されたT細胞が、10μg/mlの抗AMHRII3C23K mAbの存在下又は非存在下において、CD3/CD28がコーティングされたビーズにより活性化された。3日後、CellTrace Violetの希釈物がフローサイトメトリーによって評価され、1、2、3、又は4回***したT細胞の%として(図2B)表された。図2Bにおいて、縦座標は、各ピークにおけるパーセンテージ(%)を表す;下から上:(i)***0回、(ii)***1回、(iii)***2回、(iv)***3回、及び(v)***4回。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3Aは、M2表現型のマクロファージに関連付けられたマーカー、例えばSepp1(mRNA−図3A−1)、の発現減少を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3Aは、M2表現型のマクロファージに関連付けられたマーカー、例えばStab1(mRNA−図3A−2)、の発現減少を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3Aは、M2表現型のマクロファージに関連付けられたマーカー、例えばFOLFR2(m−RNA−図3A−3)、の発現減少を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3Aは、M2表現型のマクロファージに関連付けられたマーカー、例えばCD163(タンパク質−図3A−4)、の発現減少を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3B−1(mRNA発現)は、CD16の発現増加を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3B−2(タンパク質発現)は、CD16の発現増加を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3C−1(mRNA発現)は、CD64の発現増加を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3C−2(mRNA発現)は、CD64の発現増加を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3C−3(タンパク質発現)は、CD64の発現増加を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3Dは、M1マクロファージによって通常発現される炎症促進因子、例えばTNFα(図3D−1)、の増加を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3Dは、M1マクロファージによって通常発現される炎症促進因子、例えばIL1β(図3D−2)、の増加を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3Eは、免疫抑制性の因子TGFβをコードする遺伝子のmRNAレベルの減少を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3Fは、免疫抑制性の因子IDO1をコードする遺伝子のmRNAレベルの減少を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3G−1(mRNA発現)は、免疫抑制性の因子IL10の減少を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3G−2(タンパク質発現)は、免疫抑制性の因子IL10の減少を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3H(mRNA発現)は、血管新生促進因子PDGFαの減少を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3I(mRNA発現)は、血管新生促進因子VEGFβの減少を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3J(mRNA発現)は、血管新生促進因子HGFの減少を例証する。左のボックスは、抗体無しにウェル中で増殖されたM2型マクロファージを例示する。中央のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。右のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図3は、Fcを担持する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化を示す図である。図3Kは、M2マクロファージの表面でのPDL2発現を示す。白色のボックスは、FcKO抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。黒色のボックスは、ハイポフコシル化R18H2抗体有りのウェル中で培養されたM2型マクロファージを例示する。 図4は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体が免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化を引き起こすことを示す図である。図4A:抗AMHRII抗体と共に、37℃で4時間インキュベートされたSKOV3−AMHRII細胞上で、TAM様マクロファージによって生成されたADCCを示す。左から右:3C23K−FcKO、3C23K CHO、及び3C23K YB20(3C23K YB2/0を意味する)。三回テストされた、ドナー3例に由来する、マクロファージのデータが提示されている。 図4は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体が免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化を引き起こすことを示す図である。図4B:抗AMHRII抗体と共に4日間インキュベートされたTAM様マクロファージによるSKOV3−AMHRII癌細胞の細胞溶解を示す。左から右:3C23K−FcKO、3C23K CHO、及び3C23K YB20(3C23K YB2/0を意味する)。三回テストされた、ドナー3例に由来する、マクロファージのデータが提示されている。 図4は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体が免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化を引き起こすことを示す図である。図4C:TAM様マクロファージとSKOV3−AMHRII癌細胞及び抗AMHRII抗体とを4日間共インキュベーションした後、CD8メモリー(CD8+CD25+)マクロファージのパーセンテージ(%)を示す。左から右:3C23K−FcKO、3C23K CHO、及び3C23K YB20(3C23K YB2/0を意味する)。三回テストされた、ドナー3例に由来する、マクロファージのデータが提示されている。 図4は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体が免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化を引き起こすことを示す図である。図4D:TAM様マクロファージとSKOV3−AMHRII癌細胞及び抗AMHRII抗体とを4日間共インキュベーションした後、Th1(CD4+CD183+)マクロファージのパーセンテージ(%)を示す。左から右:3C23K−FcKO、3C23K CHO、及び3C23K YB20(3C23K YB2/0を意味する)。三回テストされた、ドナー3例に由来する、マクロファージのデータが提示されている。 図4は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体が免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化を引き起こすことを示す図である。図4E:TAM様マクロファージとSKOV3−AMHRII癌細胞及び抗AMHRII抗体とを4日間共インキュベーションした後、Th2(CD4+CD183−)マクロファージのパーセンテージ(%)を示す。左から右:3C23K−FcKO、3C23K CHO、及び3C23K YB20(3C23K YB2/0を意味する)。三回テストされた、ドナー3例に由来する、マクロファージのデータが提示されている。 図4は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体が免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化を引き起こすことを示す図である。図4F:TAM様マクロファージとSKOV3−AMHRII癌細胞及び抗AMHRII抗体とを4日間共インキュベーションした後、培養培地中でのCXCL9の検出を示す。左から右:3C23K−FcKO、3C23K CHO、及び3C23K YB20(3C23K YB2/0を意味する)。三回テストされた、ドナー3例に由来する、マクロファージのデータが提示されている。 図4は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体が免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化を引き起こすことを示す図である。図4G:TAM様マクロファージとSKOV3−AMHRII癌細胞及び抗AMHRII抗体とを4日間共インキュベーションした後、培養培地中でのCXCL10の検出を示す。左から右:3C23K−FcKO、3C23K CHO、及び3C23K YB20(3C23K YB2/0を意味する)。三回テストされた、ドナー3例に由来する、マクロファージのデータが提示されている。 図4は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体が免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化を引き起こすことを示す図である。図4H:TAM様マクロファージとSKOV3−AMHRII癌細胞及び抗AMHRII抗体とを4日間共インキュベーションした後、培養培地中でのCCL2の検出を示す。各ドナーについてベースラインが異なることから、ドナー3例のデータ(三連)は個別処理された。左から右の各ドナー:3C23K−FcKO、3C23K CHO、及び3C23K YB20(3C23K YB2/0を意味する)。 図4は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体が免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化を引き起こすことを示す図である。図4I:TAM様マクロファージとSKOV3−AMHRII癌細胞及び抗AMHRII抗体とを4日間共インキュベーションした後、培養培地中でのIL1βの検出を示す。左から右:3C23K−FcKO、3C23K CHO、及び3C23K YB20(3C23K YB2/0を意味する)。三回テストされた、ドナー3例に由来する、マクロファージのデータが提示されている。 図4は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体が免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化を引き起こすことを示す図である。図4J:TAM様マクロファージとSKOV3−AMHRII癌細胞及び抗AMHRII抗体とを4日間共インキュベーションした後、培養培地中でのIL6の検出を示す。左から右:3C23K−FcKO、3C23K CHO、及び3C23K YB20。三回テストされた、ドナー3例に由来する、マクロファージのデータが提示されている。 図4は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体が免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化を引き起こすことを示す図である。図4K:TAM様マクロファージとSKOV3−AMHRII癌細胞及び抗AMHRII抗体とを4日間共インキュベーションした後、培養培地中でのCCL5の検出を示す。左から右:3C23K−FcKO、3C23K CHO、及び3C23K YB20(3C23K YB2/0を意味する)。三回テストされた、ドナー3例に由来する、マクロファージのデータが提示されている。 図4は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体が免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化を引き起こすことを示す図である。図4L:未分化マクロファージとSKOV3−AMHRII癌細胞及び抗AMHRII抗体とを4日間共インキュベーションした後、培養培地中でのIL12の検出を示す。左から右:3C23K−FcKO、3C23K CHO、及び3C23K YB20(3C23K YB2/0を意味する)。三回テストされた、ドナー3例に由来する、マクロファージのデータが提示されている。 図4は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体が免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化を引き起こすことを示す図である。図4M:未分化マクロファージとSKOV3−AMHRII癌細胞及び抗AMHRII抗体とを4日間共インキュベーションした後、培養培地中でのIL6の検出を示す。左から右:3C23K−FcKO、3C23K CHO、及び3C23K YB20(3C23K YB2/0を意味する)。三回テストされた、ドナー3例に由来する、マクロファージのデータが提示されている。 図4は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体が免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化を引き起こすことを示す図である。図4N:未分化マクロファージとSKOV3−AMHRII癌細胞及び抗AMHRII抗体とを4日間共インキュベーションした後、培養培地中でのIL1βの検出を示す。左から右:3C23K−FcKO、3C23K CHO、及び3C23K YB20(3C23K YB2/0を意味する)。三回テストされた、ドナー3例に由来する、マクロファージのデータが提示されている。 図4は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体が免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化を引き起こすことを示す図である。図4O:未分化マクロファージとSKOV3−AMHRII癌細胞及び抗AMHRII抗体とを4日間共インキュベーションした後、培養培地中でのIL23の検出を示す。左から右:3C23K−FcKO、3C23K CHO、及び3C23K YB20(3C23K YB2/0を意味する)。三回テストされた、ドナー3例に由来する、マクロファージのデータが提示されている。 図4は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体が免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化を引き起こすことを示す図である。図4P:未分化マクロファージとSKOV3−AMHRII癌細胞及び抗AMHRII抗体とを4日間共インキュベーションした後、培養培地中でのCXCL9の検出を示す。左から右:3C23K−FcKO、3C23K CHO、及び3C23K YB20(3C23K YB2/0を意味する)。三回テストされた、ドナー3例に由来する、マクロファージのデータが提示されている。 図4は、糖鎖改変された3C23K(GM102)抗体が免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化を引き起こすことを示す図である。図4Q:未分化マクロファージとSKOV3−AMHRII癌細胞及び抗AMHRII抗体とを4日間共インキュベーションした後、培養培地中でのCXCL10の検出を示す。左から右:3C23K−FcKO、3C23K CHO、及び3C23K YB20(3C23K YB2/0を意味する)。三回テストされた、ドナー3例に由来する、マクロファージのデータが提示されている。 図5は、糖鎖改変抗体が投与された癌患者の腫瘍組織中に存在するマクロファージの活性化を示す図である。図5A(cd16):3C23K抗体が投与された癌患者の腫瘍組織において実施された、細胞マーカーの免疫蛍光アッセイの結果を示す。図5A:処置前(ベースライン)及び処置中の患者04−01及び患者01−01におけるCD16陽性腫瘍組織のパーセンテージ(%)を示す。黒色のボックスは患者04−01を例示し、灰色のボックスは患者01−01を例示する。 図5は、糖鎖改変抗体が投与された癌患者の腫瘍組織中に存在するマクロファージの活性化を示す図である。図5B(グランザイム):3C23K抗体が投与された癌患者の腫瘍組織において実施された、細胞マーカーの免疫蛍光アッセイの結果を示す。図5B:処置前(ベースライン)及び処置中の患者01−01における細胞のパーセンテージ(%)を示す。黒色のボックスは細胞CD8+GZB+/mmのパーセンテージ(%)を例示する;灰色のボックスは、細胞CD16+GZB+/mmのパーセンテージ(%)を例示する;及び白色のボックスはNKp46+GZB+/mmのパーセンテージ(%)を表す。 図6は、糖鎖改変抗体が投与された癌患者におけるNK細胞、単球、及びICOS+T細胞の活性化を示す図である。図6A:GM102(3C23K)により処置された患者の血液サンプル中に存在するCD4+ICOS+細胞のフローサイトメトリーによる定量化(平均フロー強度)を示す。GM102(3C23K)の注射前(C1J0)及び注射期間中(C1J0+4H)のサイクル1、次にサイクル2及びサイクル3の前(それぞれC2J1及びC3J1)に、サンプルが採取された。 図6は、糖鎖改変抗体が投与された癌患者におけるNK細胞、単球、及びICOS+T細胞の活性化を示す図である。図6B:Gustave Roussyにおいて、GM102 3C23Kにより処置された患者の血液サンプル中に存在するCD8+ICOS+細胞のフローサイトメトリーによる定量化(平均フロー強度)を示す。GM102(3C23K)の注射前(C1J0)及び注射期間中(C1J0+4H)のサイクル1、次にサイクル2及びサイクル3の前(それぞれC2J1及びC3J1)に、サンプルが採取された。 図7は、処置後及び処置期間中の患者におけるCD14+細胞内に存在する典型的な、中間的な、及び非典型的な単球サブセットのパーセンテージ(%)を示す図である。
癌細胞及び免疫系細胞、例えばT細胞及びマクロファージ、を含む癌組織のイン・ビトロ(in vitro)モデルを使用して、本発明者等は、T細胞活性化の阻害が、M2腫瘍に関連付けられたマクロファージ(TAM:tumor-associated macrophages)により思いがけず誘発されうることを見出した。
更に、本発明者等は、そのようなT細胞活性化のTAM誘発性阻害が、糖鎖改変抗体をこのイン・ビトロ(in vitro)癌組織モデルに添加することによって低減又はブロックされうることを示した。糖鎖改変抗体、特にハイポフコシル化された抗体は、Fc受容体、特にマクロファージ膜に存在するFc受容体、とりわけFcγRIIIa(当技術分野において「CD16a」とも呼ばれる)、と高い親和性を有して結合することが当技術分野において知られている。
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、本発明者等は、マクロファージ膜に存在するFc受容への、糖鎖改変抗体の結合が、可溶性因子の放出、例えばサイトカインの放出、を誘発し、腫瘍組織環境内に存在するT細胞に対して阻害ブロッキング効果、又は腫瘍組織環境内に存在するT細胞の活性化を惹起すると考える。従って、本発明者等は、糖鎖改変抗体が、T細胞阻害をブロックすること又はT細胞を活性化させることによって、癌に作用された特定の個体に生ずる、癌細胞に対する免疫応答の阻害を低減させる又はブロックすることができると考える。
本発明者等は、腫瘍細胞それ自体が、糖鎖改変抗体の存在下で得られる免疫活性化効果において、必ずしも必要でないことを本明細書中に更に示した。
なお更に、本発明者等は、TAM様マクロファージのFcγ受容体と高い親和性を有して結合することが示されている上記糖鎖改変抗体が、免疫抑制的なサイトカイン、例えばIL−10、の同時低下と共に、同抗体は免疫抑制的M2表現型のTAM様マクロファージを非免疫抑制的M1表現型に向かうように誘発することを示した。本発明者等はまた、本明細書に記載されている糖鎖改変抗体の存在下で、上記TAM様マクロファージが、腫瘤促進遺伝子、例えばVEGFアルファ、VEGFベータ、PDGFベータ、及び肝細胞増殖因子、の発現に有意な変化なしに、炎症促進サイトカイン、例えばIL−1ベータ、をより多く発現させることを示した。
本明細書に記載されている糖鎖改変抗体の投与は、癌患者のCD8+T細胞のレベルの増加を誘発することがまた本明細書において示された。いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、本発明者等は、糖鎖改変抗体が、マクロファージを誘発してT細胞活性化サイトカインを放出するようにするので、免疫抑制状態を経験している癌患者に生ずるT細胞阻害の除去を可能にし、従ってCD8+T細胞の活性化を引き起こすと考える。
なお更に、本明細書に記載されている糖鎖改変抗体は、Th1表現型のCD4+T細胞の増加、及びTh2表現型のCD4+T細胞の減少を誘発することが、本明細書において示されている。Th1 T細胞とTh2 T細胞との間のバランスのそのような変化は、腫瘍細胞に対する免疫応答の増加を助成するものと期待される。
本発明者等はまた、本明細書に記載されている糖鎖改変抗体が、サイトカイン、例えばIL1ベータ、IL6、IL10、IL12、及びIL23、の発現を調節することも示した。
本明細書に記載されている糖鎖改変抗体は、ナイーブマクロファージ(naive macrophages)を誘発して、その免疫抑制的サイトカイン、例えばIL−10、の産生を低下させることが本明細書においてまた示されている。
本発明者等は、本明細書に記載されている糖鎖改変抗体の癌患者への投与が、腫瘍組織内のCD16+(FcガンマRIII+)細胞の数の増加を誘発することを更に示した。従って、本明細書に記載されている糖鎖改変抗体の癌患者への投与は、腫瘍組織内の抗腫瘍活性化マクロファージの増加を引き起こす。本明細書に記載されている糖鎖改変抗体の癌患者への投与は、腫瘍組織内のグランザイムB産生活性化マクロファージのレベルを増加させ、その免疫抑制的状態の阻害は、腫瘍細胞の細胞溶解に寄与するはずであることが更に示された。なお更に、本明細書に記載されている糖鎖改変抗体の癌患者への投与は、腫瘍組織内のNK細胞の数も増加させ、免疫抑制のその阻害は、腫瘍細胞の殺傷にも同様に寄与するはずである。
本発明者等はまた、本明細書に記載されている糖鎖改変抗体の癌患者への投与が、(i)NK細胞によるCD16(FcガンマRIII)の発現を増加させ、(ii)単球上でのCD69の発現を増加させ、及び(iii)T細胞上でのICOS(誘導可能なT細胞補助刺激分子)の発現を増加させること、それらは、癌患者により経験された免疫抑制状態の阻害を実現する他のパラメーターであることを示した。
総じて、本発明者等の知見は、糖鎖改変抗体が、T細胞抗腫瘍活性のマクロファージ誘発性の抑制を低減させる又はブロックすることができることを示す。
本発明者等の結果は、それらを糖鎖改変抗体の投与に基づく処置ツールとみなすことを可能にし、上記処置ツールは、癌に作用された個体に生じうる免疫抑制状態を低減させる又はブロックすることを目的とする。
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、本発明者等は、糖鎖改変抗体により誘発された免疫刺激効果が、上記抗体が関連する抗原結合領域を有する又は有さないを問わず、細胞膜に存在するFc受容体に対して有する、特にマクロファージ膜に存在するFc受容体に対して有する、上記糖鎖改変抗体の高い親和性に起因すると考える。
本明細書の実施例に示されるように、免疫抑制状態を低減させること又はブロックすることは、腫瘍抗原発現細胞が存在しないモデルにおいてさえも得られ、それは、上記糖鎖改変抗体の腫瘍抗原との結合、及び食作用そのものにより誘発された腫瘍細胞量の低下は、その免疫活性化効果を誘発する為に要求されえないこと、特にマクロファージ誘発性のT細胞阻害を低減させる又はブロックする為に特に要求されえないこと、を意味しうる。言い換えれば、本発明者等は、上記糖鎖改変抗体によるT細胞阻害のブロッキングは、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物としてのこれらの抗体の挙動に関連すると考える。
本発明は、個体の癌処置における免疫抑制阻害剤としての使用の為の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物に関する。
本発明は、癌に作用された個体における免疫抑制状態を予防又は処置の使用の為の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物に関係する。
本発明は、癌の処置の為の医薬を調製する為の、免疫抑制阻害剤としての、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物の使用に関する。
本発明は、癌に作用された個体における免疫抑制状態の予防又は処置の為の医薬を調製する為の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物の使用に関する。
本発明は、癌を処置する方法であって、それを必要とする個体に、免疫抑制阻害剤としての、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物を投与する工程を含む上記方法に関係する。
本発明は、癌に作用された個体における免疫抑制状態を予防又は処置する為の方法であって、それを必要とする個体に、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物を投与する工程を含む上記方法に関わる。
本発明は、癌に作用された個体に生ずるマクロファージ誘発性T細胞阻害により引き起こされた免疫抑制状態を低減させる又はブロックする為の医薬品を調製する為の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物の使用に関する。
本発明は、癌に作用された個体に生ずるマクロファージ誘発性T細胞阻害により引き起こされた免疫抑制状態を低減させる又はブロックする為の医薬を調製する為の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物の使用に関係する。
本発明はまた、癌に作用された個体に生ずるマクロファージ誘発性T細胞阻害によって引き起こされた免疫抑制状態を低減させる又はブロックする為の方法であって、それを必要とする個体に、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物を投与する工程を含む上記方法に関わる。
先行する実施態様から、本発明により関係づけられる癌の個体は、免疫抑制にまた作用された個体であることが導かれる。
幾つかの実施態様において、本発明により関係づけられる癌の個体は、抗癌処置により引き起こされた免疫抑制にまたやはり作用された個体である。
定義
本発明に従うと、表現「を含む(comprising)」、例えば「の工程を含む(comprising the steps of)」はまた、「からなる(consisting of)」、例えば「の工程からなる(consisting of the steps of)」、として理解される。
本明細書で使用される場合、語「癌関連免疫抑制」、「癌に関連する免疫抑制」、「免疫抑制状態」は、癌に作用された個体と関連する場合、CD8T細胞が、活性化されるべきその能力を有し、その能力が低下している又はブロックされている、すなわち活性化されるべきその能力を有し、その能力の一部又は全部が阻害されている、ところの状況を包含する生理学的状態を意味する。
実例として、本発明に従うと、免疫抑制状態を経験する癌に作用された個体は、上記個体から予め集められたサンプルに含まれる末梢血液CD8T細胞を増殖させる能力を測定する工程を含むイン・ビトロ(in vitro)試験方法であって、上記末梢血液T細胞が、その増殖能力を測定する前に事前活性化の工程に付されているところの上記方法により決定されうる。
従って、幾つかの実施態様において、上記テストされた個体のCD8+T細胞を増殖させる為の能力が免疫抑制状態の欠如を示す基準CD8+T細胞増殖能力値よりも低い場合に、免疫抑制状態が上記テスト対象の個体において検出されうる。幾つかの実施態様において、上記参照CD8+T細胞増殖能力値は、免疫抑制されていない健康な個体に見出される平均CD8+T細胞増殖能力値でありうる。幾つかの他の実施態様において、上記基準値は、(i)免疫抑制状態を示す閾値よりも低い(または使用される指標単位に応じて高い)CD8+T細胞増殖能力値と、(ii)免疫抑制状態の欠如を示す閾値よりも高い(または使用される指標単位に応じて低い)CD8+T細胞増殖能力値との間の区別を可能にする閾値でありうる。
幾つかの実施態様において、CD8T細胞増殖能力値は、本明細書の実施例に示されるように、CD8+T細胞の***指標値である。
本明細書で使用される場合、語「を処置する(treat)」、「を処置すること(treating)」、「処置(treatment)」等は、障害及び/又はそれに関連付けられた症状を低下させる又は改善することを云う。除外されないものの、障害又は状態を処置することは、障害、それに関連付けられた状態又は症状が完全に取り除かれることを必要としないと認識されるだろう。
本明細書で使用される場合、語「を予防する(prevent)」、「を予防すること(preventing)」、「予防(prevention)」、「予防的処置(prophylactic treatment)」等は、障害又は状態を有さないが、それを発症するリスクを有する又はそれを発症しやすい対象において、障害又は状態を発症する確率を低下させることを云う。
本明細書で使用される場合、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、高い親和性を有する上記Fcフラグメントの、Fc受容体、特にマクロファージ膜に存在するFc受容体(それは、腫瘍関連マクロファージのメンブレンに存在するFc受容体を含む)、との結合を可能にする変更されたグリコシル化を有する抗体のFcフラグメントを含む任意の化合物を包含する。
幾つかの実施態様において、Fc含有タンパク質は、1以上のポリペプチドを含む。
本明細書で使用される場合、「Fcフラグメント担持タンパク質」は、少なくとも1つの他の異種タンパク質ユニット又はポリペプチドに融合されたFcフラグメントを含むタンパク質を云う。
糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、(i)糖鎖改変されたFcフラグメントそれ自体、(ii)非タンパク質部分に共有結合されている、糖鎖改変されたFcフラグメントを含むハイブリッド化合物、及び(iii)タンパク質部分に結合されている、糖鎖改変されたFcフラグメントを含むタンパク質化合物を包含する。
糖鎖改変されたFcフラグメントを有するタンパク質化合物はタンパク質を包含し、ここで、上記の糖鎖改変されたFcフラグメントは、抗体の抗原結合ドメインに共有結合されており、例えば抗体の可変領域に共有結合されている。
糖鎖改変されたFcフラグメントを有するタンパク質化合物はタンパク質を包含し、ここで、上記の糖鎖改変されたFcフラグメントは、1以上の他のFcフラグメントに直接的又は間接的に共有結合されており、例えば1以上の他の、糖鎖改変されたFcフラグメントに共有結合されている。そのような糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物の実例は、例えばThiruppathi等(2014年,J Autoimmun,Vol.52:64-73)により、Jain等(2012,Arthritis Research and Therapy,Vol. 14:R192)により、又はZhou等(2017年,Blood advances,Vol.1(n°6):DOI 10.1182/biooadvances.2016001917)により記載されている「Fc多量体」として、当技術分野において知られている化合物を包含する。
幾つかの好ましい実施態様において、本発明に従う、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、糖鎖改変抗体を包含する。
幾つかの好ましい実施態様において、糖鎖改変抗体は、腫瘍関連抗原向けられた抗体を包含する。
本明細書で使用される場合、語「抗体」は、関心のある抗原に対して有意で既知の特異的免疫反応活性、特に関心のある腫瘍関連抗原に対して免疫反応活性を有するアセンブリ(例えば、天然の抗体分子、抗体フラグメント、又はその変異体)を云う。抗体及び免疫グロブリンは軽鎖及び重鎖を含み、それらの間に鎖間共有結合を有する場合と有さない場合とがある。
免疫グロブリンの軽鎖は、カッパ又はラムダ(κ、λ)として分類される。各重鎖クラスはカッパ又はラムダ軽鎖のいずれかと結合されうる。一般的に、軽鎖及び重鎖は相互に共有結合されており、且つ免疫グロブリンがハイブリドーマ、B細胞、又は遺伝子工学的に操作された宿主細胞によって生成される場合、2本の重鎖の「テール」(tail)部分は、共有結合性ジスルフィド結合又は非共有結合性結合によって互いに結合されている。
軽鎖及び重鎖の両方は、構造的及び機能的相同性の領域に分けられる。語「領域」は、免疫グロブリン又は抗体鎖の一部又は部分を云い、定常領域又は可変領域、並びに上記領域のより別個の一部(discrete parts)又は部分(portions)を含む。例えば、軽鎖可変領域は、本明細書で定義される「フレームワーク領域」(framework regions)または「FR」に散在する「相補性決定領域」(complementarily determining regions)または「CDR」を含む。
免疫グロブリンの重鎖又は軽鎖の領域は、「定常領域」(constant region)の場合は、様々なクラスメンバーの領域内で配列変動の相対的欠如に、又は「可変領域」(variable regions)の場合は、様々なクラスメンバーの領域内で有意な変動に基づき、「定常」(C)領域又は「可変」(V)領域として定義されうる。
慣用では、可変定常領域ドメインの番号付けは、免疫グロブリン又は抗体の抗原結合部位又はアミノ末端から遠ざかるほど増加する。免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖それぞれのN末端は可変領域であり、且つC末端は定常領域である;CH3及びCLドメインは、重鎖及び軽鎖のカルボキシ末端をそれぞれ含む。従って、軽鎖免疫グロブリンのドメインはVL−CLの方向で配置されており、一方、重鎖のドメインは、VH−CH1−ヒンジ−CH2−CH3の方向で配置されている。
CH1、ヒンジ、CH2、CH3、及びCLドメイン内のアミノ酸位置を含む、重鎖定常領域内のアミノ酸位置は、Kabatインデックス番号付けシステムに従って番号付けされうる(Kabat等,“Sequences of Proteins of Immunological Interest”,U.S.Dept.Health and Human Services.,5th edition,1991年を参照)。代替的には、抗体アミノ酸位置は、EUインデックス番号付けシステムに従って番号付けされうる(Kabat等,同書、を参照)。
本明細書で使用される場合、語「Fc領域」は、パパイン切断部位のすぐ上流のヒンジ領域内(すなわち、重鎖定常領域の最初の残基を114とすれば、IgG内の残基216)で始まり、且つ抗体のC末端で終わる重鎖定常領域の部分として定義される。従って、完全なFc領域は、少なくともヒンジドメイン、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含む。
本明細書で使用される場合、語「Fcフラグメント」とは、単量体の形態又は多量体の形態に関わらず、抗体の消化に起因する又は他の手段によって生成される非抗原結合性フラグメントの配列を含み且つヒンジ領域を含むことができる分子を云う。Fcフラグメントのオリジナルの免疫グロブリン供給源はヒト起源であることができ、且つ任意の免疫グロブリン、例えばIgG1又はIgG2、であることができる。Fcフラグメントは、共有性の会合(すなわち、ジスルフィド結合)及び非共有性の会合により二量体の形態又は多量体の形態に結合されることができる単量体ポリペプチドからなる。Fcフラグメントの単量体サブユニットの間の分子間ジスルフィド結合の数は、クラス(例えば、IgG、IgA、及びIgE)又はサブクラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgA1、及びIgGA2)に応じて1〜4個の範囲である。Fcフラグメントの1つの例は、IgGのパパイン消化に起因するジスルフィド結合した二量体である。本明細書で使用される場合、語「Fcフラグメント」は、単量体、二量体、及び多量体の形態であるのが一般的である。
本明細書で使用される場合、語「Fcフラグメント担持タンパク質」(Fc fragment-bearing protein)又は「Fcフラグメント含有タンパク質」(Fc fragment-containing protein)は、Fcドメイン又はそのFc受容体結合フラグメント(N−グリカンを含む)を含むタンパク質を云う。特定の実施態様において、N−グリカンは、免疫グロブリン定常(Fc)領域のCH2ドメイン中に(例えば、EU位置297に)存在するN結合型二分岐(biantennary)グリカンである。「N−グリカン」は、N−アセチルグルコサミン残基を介して、タンパク質中のアスパラギン残基又はアルギニン残基のアミド窒素に連結している。これらの「N結合型グリコシル化部位」は例えば、アミノ酸配列:アスパラギン−X−セリン/トレオニンを含有するペプチド一次構造において生じ、ここで、Xは、プロリン及びアスパラギン酸を除く任意のアミノ酸残基である。そのようなN−グリカンは、例えば参照によってその全体を本明細書中に取り込まれる、Drickamer K, Taylor ME (2006年). Introduction to Glycobiology, 2nd ed.に十分に記載されている。
1つの実施態様において、「N−グリカン」は、免疫グロブリン定常(Fc)領域のCH2ドメイン中に存在するAsn−297N結合型二分岐グリカンを云う。これらのオリゴ糖は、末端マンノース、N−アセチル−グルコサミン、ガラクトース、又はシアル酸を含みうる。
本明細書で使用される場合、語「糖鎖改変」(glycoengineering)は、結合タンパク質組成物のグリコフォームプロファイルを変化させる当該技術分野において認識されている任意の方法を云う。そのような方法は、異種のグリコシルトランスフェラーゼ又はグリコシダーゼを発現するように遺伝子工学によって操作された、遺伝子工学操作宿主細胞(例えば、CHO細胞)内での結合タンパク質組成物の発現を含む。他の実施態様において、糖鎖改変法は、特定のグリコフォームプロファイルに偏る条件下で宿主細胞を培養することを含む。
本明細書で使用される場合、「糖鎖改変されたFcフラグメント」は、(i)ハイパーガラクトシル化(hyper-galactosylated)Fcフラグメント、(ii)アマンノシル化(amannosylated)Fcフラグメントを包含するハイポマンノシル化(hypo mannosylated)Fcフラグメント、及び(iii)アフコシル化(afucosylated)Fcフラグメントを包含するハイポフコシル化(hypo fucosylated)Fcフラグメントを包含する。本明細書で使用される場合、糖鎖改変されたフラグメントは、下記の変化したグリコシル化:(i)ハイパーガラクトシル化、(ii)ハイポマンノシル化、及び(iii)ハイポフコシル化のうちの1以上からなる群内から選択される、変化したグリコシル化を有するFcフラグメントを包含する。従って、本発明に従い使用される、糖鎖改変されたFcフラグメントは、ハイパーガラクトシル化、ハイポマンノシル化、及びハイポフコシル化Fcフラグメントの例を包含する。
当業者は、非改変型Fcフラグメントよりも高い親和性を伴いながらFc受容体に結合することが公知である、ハイパーガラクトシル化Fcフラグメント、ハイポマンノシル化Fcフラグメント、及びハイポフコシル化Fcフラグメントを取得する為の周知技術を参照しうる。
本明細書で使用される場合、語「ハイパーガラクトシル化された集団」は、同じアミノ酸配列を有するFcドメイン含有結合タンパク質の参照集団と比較して、N−グリカンのガラクトース含有量が増加しているFcドメイン含有結合タンパク質の集団を云う。ハイパーガラクトシル化された集団は、Fcドメイン含有結合タンパク質の参照集団と比較して、G1及びG2グリコフォームの数が増加している集団として表現されることができる。
本明細書で使用される場合、語「ハイポマンノシル化された集団」は、同じアミノ酸配列を有するFcドメイン含有結合タンパク質の参照集団と比較して、N−グリカンのマンノース含有量が減少しているFcドメイン含有結合タンパク質の集団を云う。ハイポマンノシル化された集団は、Fcドメイン含有結合タンパク質の参照集団と比較して、オリゴマンノースグリコフォーム(例えば、M3−M9グリコフォーム)の数が減少している集団として表現されることができる。幾つかの実施態様において、マンノース含有量は、Man3、Man4、Man5、Man6、Man7、Man8、及びMan9からなる群から選択されるオリゴマンノースグリコフォームのうちの1以上の含有量を測定することによって決定される。他の実施態様において、オリゴマンノース含有量は、少なくともMan5、Man6、及びMan7を測定することによって決定される。或る実施態様において、オリゴマンノース含有量は、M3〜M9の全てのグリコフォームを測定することによって決定される。本明細書で使用される場合、語「G0グリコフォーム」、「G1グリコフォーム」、及び「G2グリコフォーム」は、0個、1個、又は2個の末端ガラクトース残基をそれぞれ有するN−グリカングリコフォームを云う。これらの語は、フコシル化されている、又は二分化N−アセチルグルコサミン残基を含むG0、G1、及びG2グリコフォームを含む。或る実施態様において、G1及びG2グリコフォームは、末端ガラクトース残基の一方又は両方と結合してG1S1、G2S1、及びG2S2グリコフォームを形成するシアル酸残基を更に含む。本明細書で使用される場合、語「G1S1グリコフォーム」、「G2S1グリコフォーム」、及び「G2S2グリコフォーム」は、G1グリコフォーム内の唯一の末端ガラクトース残基、G2グリコフォーム内の末端ガラクトース残基の一方、又はG2グリコフォーム内の末端ガラクトース残基の両方と結合したシアル酸残基をそれぞれ有するN−グリカングリコフォームを云う。これらの語は、フコシル化されている、又は二分化N−アセチルグルコサミン残基を含むG1S1、G2S1、及びG2S2グリコフォームを含む。特定の実施態様において、G1S1、G2S1、及びG2S2グリコフォームのシアル酸残基は、結合分子の抗炎症活性を高める為に、各グリコフォームの末端ガラクトース残基とアルファー−2,6−シアル酸結合によって結合されている(例えば、Anthony等,PNAS 105: 19571-19578,2008年を参照)。
下記の「ハイポフコシル化」又は「アフコシル化」の定義は、抗体からなる、糖鎖改変されたFcを有する化合物の特定の実施態様に適用されるように、関心のある、糖鎖改変されたFcを有する化合物の一般性に関連する。
「ハイポフコシル化」抗体調製物は、N結合型オリゴ糖鎖の50%未満が、CH2ドメインに連結しているα1,6−フコースを含有する抗体調製物を云う。典型的に、N結合型オリゴ糖鎖の約40%未満、約30%未満、約20%未満、約10%未満、又は5%未満、又は1%未満が、「ハイポフコシル化」抗体調製物内のCH2ドメインに連結したα1,6−フコースを含有する。本明細書で使用される場合、N結合型オリゴ糖鎖の50%未満がCH2ドメインに連結しているα1,6−フコースを含有する抗体調製物は、N結合型オリゴ糖鎖の49%、48%、47%、46%、45%、44%、43%、42%、41%、40%、39%、38%、37%、36%、35%、34%、33%、32%、31%、30%、29%、28%、27%、26%、25%、24%、23%、22%、21%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%未満、又は1%未満が、CH2ドメインに連結されたα1,6−フコースを含有するところの調製物を包含する。
従って、語「アフコシル化」及び「非フコシル化」は、本明細書において、交換可能に使用され、IgG重鎖のCH2ドメインに連結した炭水化物においてα1,6−フコースを欠く抗体を云う。Umana等,Nat. Biotechnol 17:176-180,1999年は、10倍のADCCを引き起こす二分されたGlcNacを記載する。Umanaは、そのような二分された分子はより少ないフコシル化を引き起こすことを指摘する。Davies等,Biotechnol. Bioeng. 74:288-294,2001年は、抗CD20抗体のADCCの増加を引き起こす、酵素β1−4−N−アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnTIII)が挿入された(二分されたGlcNac構造を引き起こす)CHO細胞を記載する。実例として、米国特許第6,602,684号明細書は、二分化GlcNac糖タンパク質を生成するように工学的に操作された細胞を記載する。
抗体調製物のフコシル化を低下させる為の方法の更なる例は、Shields等,J Biol Chem 277:26733-26740,2002年において提示されるが、同文献は、IgG1を生成する為のフコシル化が欠損しているCHO細胞(Lec13)を記載し、且つフコース欠損IgG1のヒトFcγRIIIAへの結合は最大50倍まで改善され、ADCCが高められたことを更に記載する。更に、Shinkawa等,J Biol Chem 278:3466-3473,2003年は、YB2/0及びCHO細胞内で産生されたIgGを比較する。YB2/0細胞は、フコシル化を減少させ、且つ二分化GlcNac含有量を増加させた。Niwa等,Clinc.Cancer Res.1-:6248-6255,2004年は、抗CD20抗体とYB2/0細胞(ハイポフコシル化)内で作成された抗体とを比較しており、後者において高められたADCCが観測された。アフコシル化抗体を生成する為の技術の例は、例えばKanda等,Glycobiology 17:104-118, 2006年において提供されている。米国特許第6,946,292号明細書(Kanda)は、アフコシル化抗体を生成する為のフコシルトランスフェラーゼノックアウト細胞を記載する。米国特許第7,214,775号明細書及びPCT出願である国際公開第00/61739号は、抗体の100%がアフコシル化されている抗体調製物を記載する。
グリコシル化を改変する為のなおも更なる技術がまた知られており、それらは、例えば米国特許出願第2007/248600号明細書;米国特許第2007/178551号明細書(「ヒト」グリコシル化構造を生成する為の工学的に操作された下等真核細胞(酵母菌)を利用するGlycoFi技法);米国特許第2008/060092号明細書(「ヒト」グリコシル化構造を生成する為の工学的に操作された植物を利用するBiolex技法)、及び米国特許第2006/253928号明細書(「ヒト」抗体を生成する為の植物のエンジニアリングについても記載されている)に記載されている。
フコースを低下させる為の追加の技術は、ProBioGen技法(von Horsten等.Glycobiology,(advance access publication Jul.23,2010年);Potelligent(商標)技法(Biowa,Inc.社,Princeton,N.J.);及びGlycoMAb(商標)グリコシル化エンジニアリング技法(GLYCART biotechnology AG社,Zurich,Switzerland)を含む。
抗体のN結合型オリゴ糖含有量は、当技術分野において知られている方法によって分析されることができる。下記は、そのような方法の例である:抗体は酵素N−グリコシダーゼF(Roche社;TaKaRa社)を用いた消化に付される。放出された炭水化物が、陽イオンモードを用いたマトリックス支援レーザー脱離/イオン化飛行時間型質量分析法(MALDI−TOF MS:matrix assisted laser desorption/ionization time-of-flight mass spectrometry)により分析される(Papac等,Glycobiol.8:445-454,1998年)。次に、単糖組成物が、改変された高性能陰イオン交換クロマトグラフィー(HPAEC)によって特徴付けられる(Shinkawa等,J.Biol.Chem.278:3466-3473,2003年)。
或る実施態様において、本発明の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、哺乳動物の培養宿主細胞株(例えば、CHO細胞株)内で産生される。或る実施態様において、宿主細胞株は、本発明のハイパーガラクトシル化及び/又はハイポマンノシル化結合タンパク質を産生する為に糖鎖改変によって操作されている。或る例示的な実施態様において、本発明の結合タンパク質は、糖鎖改変されたCHO細胞から得られる。1つの例示的な実施態様において、糖鎖改変されたCHO細胞は、異種のガラクトシルトランスフェラーゼ遺伝子(例えば、マウス ガラクトシルトランスフェラーゼ ベータ−1,4)を含む。別の例示的な実施態様において、糖鎖改変されたCHO細胞は、ベータ−ガラクトシダーゼ遺伝子の対立遺伝子のうちの一つのノックダウンを含む。
本明細書の開示に従うと、語「3C23K」は、抗AMHRIIヒト化モノクロナール抗体3C23Kを意味する。AMHRIIはまた、MSRIIと呼ばれうる。
本明細書の開示に従うと、語「GM102」は、3C23K抗体と同じアミノ酸配列を有する軽鎖及び重鎖を有する抗AMHRIIヒト化抗体であって、しかし糖鎖改変によって操作されている、より特にはハイポフコシル化されている、抗AMHRIIヒト化抗体を意味する。「GM102」はまた、本明細書において「R18H2」と呼ばれうる。
本明細書の開示に従うと、「YB2/0細胞」(EMABling(登録商標))又は「YB20」は、組み換えモノクロナールハイポフコシル化抗体を製造する為の細胞株を意味する。
本明細書の開示に従うと、3C23K−CHOは、正常なグリコシル化を有する3C23K抗体からなり、それはCHO細胞株によって産生された3C23K抗体を包含する。
本明細書の開示に従うと、3C23K−FcKOは、Fcフラグメントが欠損している3C23K抗体からなる。
糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物
語「糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物」、「糖鎖改変されたFcフラグメントを有する分子」、「糖鎖改変されたFcフラグメントを含有する化合物」、及び「糖鎖改変されたFcフラグメントを含有する分子」は、変化したグリコシル化を有する抗体のFcフラグメントを含み、変化していないグリコシル化を有する同一のFcフラグメントと比較して、Fc受容体に対してより高い親和性を上記Fcフラグメントに提供する化合物を意味する為に、本明細書において交換可能に使用されうる。
幾つかの好ましい実施態様において、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、糖鎖改変を経なかった同一のFcフラグメントよりも、FcγRIIIa(「CD16a」とまた呼ばれる)に対してより高い親和性を有する。
これは、周知のBiacore(登録商標)法を用いて測定されたときに、50nM未満のKdの一定値を有する、ヒトFcγRIIIa(CD16a)に対して高い親和性を有する、「3C23K」と呼ばれるハイポフコシル化Fcフラグメント担持化合物によって、本実施例において例示される。
幾つかの好ましい実施態様において、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、糖鎖改変されたFcフラグメントそのもの、従って抗原結合領域を含まない化合物、からなる。
幾つかの好ましい実施態様において、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、糖鎖改変されたFcフラグメントを有するタンパク質からなり、ここで、上記の糖鎖改変されたFcフラグメントは、(i)抗原結合領域を含むタンパク質、又は(ii)抗原結合領域を含まないタンパク質のいずれかである別のタンパク質部分に共有結合されている。
これらの好ましい実施態様の幾つかにおいて、上記の糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、糖鎖改変されたFcフラグメントを1つのみ含む。
従って、本発明は、(i)糖鎖改変されたFcフラグメントを含むポリペプチドモノマー単位、及び(ii)上記ポリペプチドモノマー単位と共有結合している別のポリペプチドを含む糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物の使用を包含する。上記別のポリペプチドは、抗体の抗原結合領域、例えば抗体のVH鎖及びVL鎖、でありうる。上記別のポリペプチドは、受容体タンパク質等のリガンド結合タンパク質部分、例えばVEGF受容体又はVEGF受容体のVEGF結合ドメイン等、又は例えばTNFアルファ受容体又はTNFアルファ受容体のTNF結合ドメイン等でありうる。
これらの好ましい実施態様の幾つかにおいて、上記他のタンパク質部分は、別のFcフラグメント、特に、糖鎖改変された別のFcフラグメント、を含みうる。幾つかの実施態様において、糖鎖改変された2つのFcフラグメントは、同じアミノ酸配列を有する。幾つかの他の実施態様において、糖鎖改変された2つのFcフラグメントは、異なるアミノ酸配列を有する。幾つかの実施態様において、2つのFcフラグメントは、同じアミノ酸配列を有するが、しかし異なる変化したグリコシル化パターンを有する。幾つかの他の実施態様において、2つのFcフラグメントは、同じアミノ酸配列を有し、且つ同一の変化したグリコシル化パターンを有する。
従って、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、1超のFcフラグメントを含むタンパク質化合物を包含し、但しその中に含まれるFcフラグメントの少なくとも1つは、糖鎖改変されている、例えばその中に含まれるFcフラグメントの少なくとも1つは、ハイポマンノシル化、ハイパーガラクトシル化、又はハイポフコシル化されている。
本明細書で別途にすでに記載されているように、2つ以上のFcフラグメントを含む、例えば2、3、4、5、又は6つのFcフラグメントを含む、Fcフラグメント担持化合物は、当技術分野において周知であり、且つ「Fc多量体」と呼ばれうる。そのようなFc多量体コンストラクトは、特にThiruppathi等(2014年,J Autoimmun,Vol.five2:64-73)により、Jain等(2012年,Arthritis Research and Therapy,Vol. 1four:R192)により、又はZhou等(2017年,Blood advances,Vol.1(n°6) :DOI 10.1182/biooadvances.2016001917)によって開示されている。
従って、本発明に従って使用されうる、糖鎖改変されたFcを有する化合物は、2以上のポリペプチドモノマー単位を含む多量体融合タンパク質を包含し、(i)ここで、各ポリペプチドモノマー単位がFcフラグメントを含み、且つ(ii)ここで、少なくとも1つのポリペプチドモノマー単位が、糖鎖改変されたFcフラグメントを含む、例えばハイポマンノシル化Fcフラグメント、ハイパーガラクトシル化Fcフラグメント、又はハイポフコシル化Fcフラグメントを含む。
そのようなFc多量体はまた、米国特許出願第2017/088063号明細書において開示されている。
Fc多量体化合物の幾つかの実施態様において、上記化合物はまた、抗原結合ドメイン、例えばZhang等(2016年,J Immunol,Vol.196:1165-1176)により開示されている、抗原結合ドメインをその中に含んでいた。
幾つかの他の好ましい実施態様において、本明細書の実施例において例示されるように、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は糖鎖改変抗体からなる。
幾つかの好ましい実施態様において、本明細書の実施例において例示されるように、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、ハイポフコシル化Fcフラグメント担持化合物、例えばハイポフコシル化抗体、からなる。
幾つかの他の実施態様において、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物、より正確にはハイポフコシル化Fcフラグメント担持化合物、は、アフコシル化Fcフラグメント担持化合物、例えばアフコシル化抗体、からなる。
他の実施態様において、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、ハイパーガラクトシル化Fcフラグメント担持化合物、例えばハイパーガラクトシル化抗体、からなる。
なお他の実施態様において、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、ハイポマンノシル化Fcフラグメント担持化合物、例えばハイポマンノシル化抗体、からなる。
本明細書においてすでに別途記載されているように、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物、例えば糖鎖改変抗体、により、癌疾患中に生ずる免疫抑制、例えばマクロファージ誘発性免疫抑制、を低減させる又はブロックすることは、腫瘍細胞の存在を必要とせず、従って上記抗体の標的腫瘍細胞への結合を必要としない。
これは、本発明者等が、免疫抑制、特にT細胞活性化阻害を低減すること又はブロックすることは、抗原結合領域を含まない、例えば腫瘍関連抗原結合領域を含まない、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物によって得られるべきであると考える理由を説明する。
しかしながら、免疫抑制を低減すること又はブロックすることは、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物として糖鎖改変抗体を使用したときに達成されることがまた、本明細書の実施例において例示されている。
更に、本発明者等は、本明細書で定義される、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物の有益な効果は、関連する腫瘍関連抗原に対して向けられた糖鎖改変抗体からなる、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物(処置されるべき癌個体の腫瘍組織中又は体液中に存在する腫瘍細胞によって発現される腫瘍関連抗原に対して向けられた糖鎖改変抗体を意味する)を使用するとき、更に高められうると考える。
従って、幾つかの好ましい実施態様において、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、処置されるべき癌個体の腫瘍細胞によって発現される腫瘍関連抗原に対して向けられた糖鎖改変抗体からなる。
幾つかの好ましい実施態様において、本明細書の実施例において例示されるように、上記の糖鎖改変抗体はハイポフコシル化抗体からなる。
いかなる特定の理論にも拘束されることを望まないが、本発明者等は、処置されるべき癌個体の腫瘍細胞によって発現される腫瘍関連抗原に対して向けられた糖鎖改変抗体を使用することは、(i)免疫抑制、例えばT細胞活性の阻害、特にCD8+T細胞活性の阻害、例えばマクロファージ誘発性免疫抑制、を低減すること又はブロックすることを可能にし、且つ(ii)例えばADCC又はADC活性によって、上記の糖鎖改変抗体が向けられている腫瘍関連抗原を発現する腫瘍細胞の破壊を可能にすると考える。
本明細書で使用される場合、語「腫瘍関連抗原」は、腫瘍細胞上又は腫瘍細胞内に位置する表面上に存在する又は提示されることができる抗原を云う。これらの抗原は、分子の膜貫通部分及び細胞質部分と組み合わされることが多い細胞外部分で、細胞表面上に提示されることができる。これらの抗原は、幾つかの実施態様において、腫瘍細胞によってのみ且つ正常細胞(すなわち非腫瘍細胞)によってでなく提示されることができる。腫瘍抗原は、腫瘍細胞上でもっぱら発現されることができる、又は非腫瘍細胞と比較して腫瘍特異的突然変異を表しうる。そのような実施態様において、個々の抗原は、腫瘍特異抗原又は腫瘍関連抗原(tumor-associated antigen)(また「TAA」とも呼ばれる)と呼ばれうる。腫瘍関連抗原とも呼ばれ得る幾つかの抗原が、腫瘍細胞及び非腫瘍細胞の両方によって提示される。これらの腫瘍関連抗原は、非腫瘍細胞と比較された場合に、腫瘍細胞上で過剰発現されることができる、又は非腫瘍組織と比較して、腫瘍組織の構造はそれほどコンパクトではないために、腫瘍細胞内での抗体結合に関与しやすい。幾つかの実施態様において、腫瘍関連表面抗原は、腫瘍の脈管構造に位置する。
腫瘍関連抗原のリストが、特にLiu等(2016年,European Journal of Cancer Care,doi:10/1111/ecc.12446)によって開示されており、当業者はそれを参照しうる。
T細胞により認識される腫瘍抗原のリストが、Renkvist等(2001年,Cancer immunology and immunotherapy,Vol.50(n°1) 3-15)によって開示されており、当業者はそれを参照しうる。
腫瘍関連表面抗原の実例は、CD10、CD19、CD20、CD22、CD33、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT−3(Fms-like tyrosine kinase3),CD135)、コンドロイチン硫酸プロテオグリカン4(CSPG4(chondroitin sulfate proteoglycan 4)、メラノーマ関連コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、上皮増殖因子受容体(EGFR:Epidermal growth factor receptor)、Her2neu、Her3、IGFR、CD133、IL3R、線維芽細胞活性化タンパク質(FAP:fibroblast activating protein)、CDCP1、デルリン1、テネイシン、frizzled1〜10、血管抗原VEGFR2(KDR/FLK1)、VEGFR3(FLT4、CD309)、PDGFR−a(CD140a)、PDGFR−β(CD140b)エンドグリン、CLEC14、Tem1−8、及びTie2である。更なる例は、A33、CAM PATH−1(CDw52)、癌胎児抗原(CEA:Carcinoembryonic antigen)、カルボアンヒドラーゼIX(MN/CA IX)、CD21、CD25、CD30、CD34、CD37、CD44v6、CD45、CD133、de2−7EGFR、EGFRvIII、EpCAM、Ep−CAM、葉酸結合タンパク質、G250、Fms様チロシンキナーゼ3(FLT−3,CD135)、c−Kit(CD117)、CSF1R(CD115)、HLA−DR、IGFR、IL−2受容体、IL3R、MCSP(メラノーマ関連細胞表面コンドロイチン硫酸プロテオグリカン)、Muc−1、前立腺特異的膜抗原(PSMA:Prostate-specific membrane antigen)、前立腺幹細胞抗原(PSCA:Prostate stem cell antigen)、前立腺特異抗原(PSA:Prostate specific antigen)、及びTAG−72を含みうる。腫瘍の細胞外マトリックス上で発現する抗原の例は、テネイシン及び線維芽細胞活性化タンパク質(FAP:fibroblast activating protein)である。
好ましい腫瘍関連抗原(TAA)は、CD45、IL−3Ra(CD123とも呼ばれる)、CD33、CD20、CD22、CD19、EpCAM(「上皮細胞接着分子」(Epithelial Cell Adhesion Molecule)とも呼ばれる)、HER2、TROP−2(「栄養芽細胞表面抗原2」(Trophoblast cell surface antigen2)とも呼ばれる)、GNMB(「糖タンパク質非転移性B」(Glyco-protein non-metastatic B)とも呼ばれる)、MMP9、EGFR、PD−L1(CD274)、CTLA4、GM3、メソテリン、葉酸受容体1、フィブロネクチンエキストラドメインB、エンドグリン、CD22、IL−1アルファ、HER3、cMet、ホスファチジルセリン、MUC5AC、NeuGcガングリオシド、CD2、CD38、EGFR、HGF/SF、PD1、GD2、ST4、及び葉酸受容体アルファからなる群から選択されうる。
本発明に従う最も好ましい腫瘍関連抗原は、HER2、HER3、HER4、及びAMHRIIを含む群から選択される抗原である。
本発明に従い使用されうる糖鎖改変抗体の好ましい実施態様は、本明細書において3C23K、9F7F11、H4B121、及びHE4B33と呼ばれる、糖鎖改変された抗体を含む群から選択される。
糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物の例示的実施態様
Fcフラグメント担持化合物の例示的実施態様は、本明細書に記載されている配列番号70の2本のアミノ酸鎖を含む、糖鎖改変されたFcフラグメントを含む化合物を包含する。
配列番号70のアミノ酸鎖は、CH1ドメイン、ヒンジ領域、CH2ドメイン、及びCH3ドメインを含む、ヒトIgG1抗体の重鎖定常領域からなる。
実施例に開示されているように、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物、特にハイポフコシル化Fcフラグメント担持化合物は、YB2/0細胞中で上記Fcフラグメントをコードする核酸配列を発現させる工程を含む方法によって取得されうる。そのような方法は、実施例に記載されているEMABling(登録商標)と呼ばれる周知の方法でありうる。
幾つかの実施態様において、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物、特にハイポフコシル化Fcフラグメント担持化合物、は、YB2/0細胞中で配列番号69の核酸配列を発現させる工程を含む方法によって取得されうる。
幾つかの実施態様において、上記の糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、糖鎖改変抗体、特にハイポフコシル化抗体、からなり;配列番号70の2本のアミノ酸鎖を含む、上記の糖鎖改変されたFcフラグメントを含む。
糖鎖改変されたFcフラグメントを含む糖鎖改変抗体の実施態様が、本明細書の下記に記載されている。
糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物としての抗体
従って、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物の実施態様は、抗体、特に腫瘍関連抗原に対して向けられた糖鎖改変抗体、からなる。
幾つかの実施態様において、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、糖鎖改変された多重特異性抗体、特に糖鎖改変された二重特異性抗体、を包含する。実例として、これらの糖鎖改変抗体は、本明細書に記載されている、糖鎖改変されたFcフラグメントと、例えば(i)腫瘍抗原発現細胞に対して向けられること且つ(ii)T細胞を活性化させることとを同時に行う観点から、(i)腫瘍抗原と結合する第1の抗原結合領域、及び(ii)T細胞抗原、例えばCD3、又は抑制性免疫チェックポイントタンパク質と結合する第2の抗原結合領域とを含む抗体を包含する。
そのような糖鎖改変抗体の実例は、腫瘍関連抗原、例えばAMHRII、HER2、HER3、及びHER4、に対して向けられる抗体を包含する。
そのような抗体は、それらの抗原結合領域、特にそれらの重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)、に関連付けて記載されうる。
抗AMHRII抗体の例示的実施態様
PCT出願番号であるPCT/FR2011/050745号(国際公開番号である国際公開第/2011/141653号)、及び米国特許第9,012,607号明細書(それらのそれぞれは、参照によって本明細書内に取り込まれる)は、マウス12G4抗体に由来する新規のヒト化抗体について開示する。このヒト化抗体は、本発明の目的に照らし、AMHRII結合性剤として使用されうる。PCT出願である国際公開第/2011/141653号で開示されている特別な実施態様において、抗体は、3C23及び3C23Kとして識別される抗体である。これらの抗体の核酸配列及びポリペプチド配列は、本明細書において、配列番号1〜16として提供される。本発明の幾つかの観点において、関心のある抗AMHRII抗体は、「配列番号〜を含む軽鎖及び配列番号〜を含む重鎖を含む」と呼ばれうる。従って、様々な実施態様において、特に好ましい抗体は下記を含む:
a)配列番号2を含む軽鎖及び配列番号4を含む重鎖(リーダーを有さない3C23 VL配列及びVH配列);
b)配列番号6を含む軽鎖及び配列番号8を含む重鎖(リーダーを有さない3C23K VL配列及びVH配列);
c)配列番号10を含む軽鎖及び配列番号12を含む重鎖(リーダーを有さない3C23 軽鎖及び重鎖);
d)配列番号14を含む軽鎖及び配列番号16を含む重鎖(リーダーを有さない3C23K 軽鎖及び重鎖)。
他の抗体(例えば、ヒト化抗体又はキメラ抗体)は、本明細書に記載されている重鎖配列及び軽鎖配列に基づくことができる。
下記の配列を含む(又はそれからなる)CDRを含む/含有する抗AMHRII抗体の例示的実施態様は、下記の通りである:
CDRL−1:RASX1X2VX3X4X5A(配列番号71)、ここで、X1及びX2は独立して、S又はPであり、X3はR又はW又はGであり、X4はT又はDであり、及びX5はI又はTであり;
CDRL−2は、PTSSLX6S(配列番号72)であり、ここで、X6はK又はEであり;並びに
CDRL−3は、LQWSSYPWT(配列番号73)であり;
CDRH−1は、KASGYX7FTX8X9HIH(配列番号74)であり、ここで、X7はS又はTであり、X8はS又はGであり、及びX9はY又はNであり、
CDRH−2は、WIYPX10DDSTKYSQKFQG(配列番号75)であり、ここで、X10はG又はEであり、並びに
CDRH−3は、GDRFAY(配列番号76)。
本出願の範囲内の抗体(例えば、キメラの又はヒト化)は、下記の表で開示される抗体を含む:3C23K抗体は、
VHアミノ酸配列について配列番号17
VLアミノ酸配列について配列番号34
によって定義される。
下記の表1は、本発明に従い使用されうる抗AMHRIIヒト化抗体をリスト化する。
抗HER3抗体の例示的実施態様
糖鎖改変された抗HER3抗体の例示的実施態様は、本明細書において9F7F11及びH4B121と呼ばれるものである。
9F7F11抗体は、(i)配列番号63の重鎖可変領域、及び(ii)配列番号64の軽鎖可変領域を含む。
H4B121抗体は、(i)配列番号65の重鎖可変領域、及び(ii)配列番号66の軽鎖可変領域を含む。
抗HER4抗体の例示的実施態様
抗HER4抗体の例示的実施態様は、本明細書においてHE4B33と呼ばれる抗体である。
HE4B33抗体は、(i)配列番号67の重鎖可変領域、及び(ii)配列番号68の軽鎖可変領域を含む。
明確化の為に、上記抗体の全ては、本明細書に記載されている、糖鎖改変されたFcフラグメントを含み、特に本明細書に記載されているハイポフコシル化Fcフラグメントを含む。
幾つかの好ましい実施態様において、これらの抗体は、配列番号70の、糖鎖改変された2本のアミノ酸鎖を有する、糖鎖改変されたFcフラグメント、特に配列番号70の2本のハイポフコシル化アミノ酸鎖を有するハイポフコシル化Fcフラグメント、を含む。
糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物と1以上の他の活性な薬剤との組み合わせ
本明細書で定義される、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、癌患者の免疫抑制状態を減少すること又はブロックすることを可能にするので、外科的処置、放射線療法処置、及び化学療法処置を含む、既知の抗癌処置の抗癌活性を強化するのに有用である。
更に、本明細書で定義される、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、癌患者の免疫抑制状態を減少すること又はブロックすることを可能にするので、免疫抑制をブロックすることを目的とする、又は免疫抑制された癌患者において免疫刺激若しくは免疫活性化を誘発することを目的とする他の化合物の有益な効果を高めるはずである活性な薬剤としておそらく作用すると考えられる。その上、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物はまた、免疫抑制阻害剤(チェックポイント阻害剤)又は免疫刺激性薬剤に対する癌細胞の耐性に作用するように寄与する可能性がある。
従って、更なる観点において、本明細書で定義される、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、別の抗癌処置と組み合わせて、特に抗癌剤からなる1以上の異なる化合物と組み合わせて、使用されうる。
更なる観点において、本発明は、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物、及び1以上の異なる抗癌剤と組み合わされる、個体の癌処置における免疫抑制阻害剤としてのその使用に関する。
本発明はさらに、癌を処置する為の医薬を調製する為の、1以上の異なる抗癌剤と組み合わされる、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物の使用に関する。
本発明はまた、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物を、1以上の異なる抗癌剤と組み合わせて、それを必要とする個体に投与する工程を含む、癌を処置する為の方法に関係する。
抗癌剤は、抗癌活性、例えば抗増殖活性薬剤、を有する化合物を包含し、ここで、これらの多くは当業者に周知である。抗癌剤はまた、本明細書において別途詳述されているように、抑制性免疫チェックポイントタンパク質の阻害剤を包含する。
「抗癌剤」は、その通常の意味に従って使用され、且つ抗新生物特性又は細胞の成長若しくは増殖を阻害する能力を有する組成物(例えば、化合物、薬物、アンタゴニスト、阻害剤、モジュレーター)を云う。幾つかの実施態様において、抗癌剤は、化学療法剤である。幾つかの実施態様において、抗癌剤は、癌を処置する為の方法において有用性を有する、本明細書において識別される薬剤である。幾つかの実施態様において、抗癌剤は、癌を処置する為の、FDA又は米国以外の国の類似した規制当局によって承認された薬剤である。
幾つかの実施態様において、上記癌薬剤は、抗体由来の化合物、例えば抗体それ自体又はその抗原結合性フラグメント若しくは抗原結合フォーマット、から構成されない。
抗体から構成されない抗癌剤の例として、MEK(例えば、MEK1、MEK2、又はMEK1及びMEK2)阻害剤(例えば、XL518、CI−1040、PD035901、セルメチニブ/AZD6244、GSK1120212/トラメチニブ、GDC−0973、ARRY−162、ARRY−300、AZD8330、PD0325901、U0126、PD98059、TAK−733、PD318088、AS703026、BAY869766)、アルキル化剤(例えば、シクロホスファミド、イホスファミド、クロラムブシル、ブスルファン、メルファラン、メクロレタミン(mechloroethamine)、ウラムスチン、チオテパ、ニトロソウレア、ナイトロジェンマスタード(例えば、メクロレタミン、シクロホスファミド、クロラムブシル、メルファラン(meiphalan))、エチレンイミン及びメチルメラミン(例えば、ヘキサメチルメラミン(hexamethlymelamine)、チオテパ)、スルホン酸アルキル(例えば、ブスルファン)、ニトロソウレア(例えば、カルムスチン、ロムスチン(lomusitne)、セムスチン、ストレプトゾシン)、トリアゼン(デカルバジン))、代謝抵抗物質(例えば、5−アザチオプリン、ロイコボリン、カペシタビン、フルダラビン、ゲムシタビン、ペメトレキセド、ラルチトレキセド、葉酸類似体(例えば、メトトレキサート)、又はピリミジン類似物(例えば、フルオロウラシル、フロクスウリジン(floxouridine)、シタラビン)、プリン類似物(例えば、メルカプトプリン、チオグアニン、ペントスタチン等)、植物アルカロイド(例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン、ビンデシン、ポドフィロトキシン、パクリタキセル、ドセタキセル等)、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、イリノテカン、トポテカン、アムサクリン、エトポシド(VP16)、リン酸エトポシド、テニポシド等)、抗腫瘍抗生物質(例えば、ドキソルビシン、アドリアマイシン、ダウノルビシン、エピルビシン、アクチノマイシン、ブレオマイシン、マイトマイシン、ミトキサントロン、プリカマイシン等)、白金に基づく化合物又は白金含有薬剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン(oxaloplatin)、カルボプラチン)、アントラセンジオン(例えば、ミトキサントロン)、置換ウレア(例えば、ヒドロキシウレア)、メチルヒドラジン誘導体(例えば、プロカルバジン)、副腎皮質抑制剤(例えば、ミトタン、アミノグルテチミド)、エピポドフィロトキシン(例えば、エトポシド)、抗生物質(例えば、ダウノルビシン、ドキソルビシン、ブレオマイシン)、酵素(例えば、L−アスパラギナーゼ)、マイトジェン活性化プロテインキナーゼシグナリングの阻害剤(例えば、U0126、PD98059、PD184352、PD0325901、ARRY−142886、SB239063、SP600125、BAY43−9006、ウォルトマンニン、又はLY294002、Syk阻害剤、mTOR阻害剤、ゴシポール(gossyphol)、ゲナセンス、ポリフェノールE、クロロフシン、オールトランスレチノイン酸(ATRA)、ブリオスタチン、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、5−アザ−2’−デオキシシチジン、オールトランスレチノイン酸、ドキソルビシン、ビンクリスチン、エトポシド、ゲムシタビン、イマチニブ(Gleevec(登録商標))、ゲルダナマイシン、17−N−アリルアミノ−17−デメトキシゲルダナマイシン(17−AAG)、フラボピリドール、LY294002、ボルテゾミブ、トラスツズマブ、BAY11−7082、PKC412、PD184352、20−エピ−1,25ジヒドロキシビタミンD3;5−エチニルウラシル;アビラテロン;アクラルビシン;アシルフルベン;アデシペノール;アドゼレシン;アルデスロイキン;ALL−TKアンタゴニスト;アルトレタミン;アンバムスチン;アミドックス;アミホスチン;アミノレブリン酸;アムルビシン;アムサクリン;アナグレリド;アナストロゾール;アンドログラホリド;血管新生阻害剤;アンタゴニストD;アンタゴニストG;アンタレリックス;抗背面化形態発生タンパク質(anti−dorsalizing morphogenetic protein)−1;抗アンドロゲン物質、前立腺癌;抗エストロゲン薬;アンチネオプラストン;アンチセンスオリゴヌクレオチド;アフィジコリングリシネート;アポトーシス遺伝子モジュレーター;アポトーシス制御因子;アプリン酸;ara−CDP−DL−PTBA;アルギニンデアミナーゼ;アスラクリン;アタメスタン;アトリムスチン;アキシナスタチン1;アキシナスタチン2;アキシナスタチン3;アザセトロン;アザトキシン;アザチロシン;バッカチンIII誘導体;バラノール;バチマスタット;BCR/ABLアンタゴニスト;ベンゾクロリン;ベンゾイルスタウロスポリン;βラクタム誘導体;β−アレチン;β−クラマイシンB;ベツリン酸;bFGF阻害剤;ビカルタミド;ビスアントレン;ビスアジリジニルスペルミン;ビスナフィド;ビストラテンA;ビセレシン;ブレフラート;ブロピリミン;ブドチタン;ブチオニンスルホキシミン;カルシポトリオール;カルホスチンC;カンプトテシン誘導体;カナリア痘IL−2;カペシタビン;カルボキサミドアミノトリアゾール;カルボキサミドアミノトリアゾール;CaRest M3;CARN700;軟骨由来阻害剤;カルゼルシン;カゼインキナーゼ阻害剤(ICOS);カスタノスペルミン;セクロピンB;セトロレリックス;クロリン;クロロキノキサリンスルホンアミド;シカプロスト;シス型ポルフィリン;クラドリビン;クロミフェン類似体;クロトリマゾール;コリスマイシンA;コリスマイシンB;コンブレタスタチンA4;コンブレタスタチン類似体;コナゲニン;クランベシジン816;クリスナトール;クリプトフィシン8;クリプトフィシンA誘導体;キュラシンA;シクロペンタアントラキノン;シクロプラタム;シペマイシン;シタラビンオクホスフェート;細胞溶解因子;シトスタチン;ダクリキシマブ;デシタビン;デヒドロジデムニンB;デスロレリン;デキサメタゾン;デキシホスファミド;デキスラゾキサン;デクスベラパミル;ジアジクオン;ジデムニンB;ジドックス;ジエチルノルスペルミン;ジヒドロ−5−アザシチジン;9−ジオキサマイシン;ジフェニルスピロムスチン;ドコサノール;ドラセトロン;ドキシフルリジン;ドロロキシフェン;ドロナビノール;デュオカルマイシンSA;エブセレン;エコムスチン;エデルホシン;エドレコロマブ;エフロルニチン;エレメン;エミテフル;エピルビシン;エプリステリド;エストラムスチン類似体;エストロゲンアゴニスト;エストロゲンアンタゴニスト;エタニダゾール;リン酸エトポシド;エキセメスタン;ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フィルグラスチム;フィナステリド;フラボピリドール;フレゼラスチン;フルアステロン;フルダラビン;塩酸フルオロダウノルニシン;ホルフェニメクス;ホルメスタン;ホストリエシン;ホテムスチン;ガドリニウムテキサフィリン;硝酸ガリウム;ガロシタビン;ガニレリックス;ゼラチナーゼ阻害剤;ゲムシタビン;グルタチオン阻害剤;ヘプスルファム;ヘレグリン;ヘキサメチレンビスアセトアミド;ヒペリシン;イバンドロン酸;イダルビシン;イドキシフェン;イドラマントン;イルモホシン;イロマスタット;イミダゾアクリドン;イミキモド;免疫刺激性ペプチド;インスリン様増殖因子−1受容体阻害剤;インターフェロンアゴニスト;インターフェロン;インターロイキン;イオベングアン;ヨードドキソルビシン;イポメアノール,4−;イロプラクト;イルソグラジン;イソベンガゾール;イソホモハリコンドリンB;イタセトロン;ジャスプラキノリド;カハラリドF;ラメラリン−Nトリアセテート;ランレオチド;レイナマイシン;レノグラスチム;硫酸レンチナン;レプトルスタチン;レトロゾール;白血病阻害因子;白血球アルファインターフェロン;ロイプロリド+エストロゲン+プロゲステロン;ロイプロレリン;レバミソール;リアロゾール;直鎖状ポリアミン類似体;親油性二糖類ペプチド;親油性白金化合物;リソクリンアミド7;ロバプラチン;ロンブリシン;ロメトレキソール;ロニダミン;ロソキサントロン;ロバスタチン;ロキソリビン;ルルトテカン;ルテチウムテキサフィリン;リソフィルリン;細胞溶解性ペプチド;マイタシン;マンノスタチンA;マリマスタット;マソプロコール;マスピン;マトリシン阻害剤;マトリックスメタロプロテイナーゼ阻害剤;メノガリル;メルバロン;メテレリン;メチオニナーゼ;メトクロプラミド;MIF阻害剤;ミフェプリストン;ミルテホシン;ミリモスチム;ミスマッチ二本鎖RNA;ミトグアゾン;ミトラクトール;マイトマイシン類似体;ミトナフィド;マイトトキシン線維芽細胞増殖因子−サポリン;ミトキサントロン;モファロテン;モルグラモスチム;ヒト絨毛ゴナドトロフィン;モノホスホリルリピドA+ミオバクテリウム細胞壁sk;モピダモール;多剤耐性遺伝子阻害剤;多発性腫瘍抑制因子1−に基づく療法;マスタード抗癌剤;ミカペロキシドB;マイコバクテリア細胞壁抽出物;ミリアポロン;N−アセチルジナリン;N−置換型ベンズアミド;ナファレリン;ナグレスチップ;ナロキソン+ペンタゾシン;ナパビン;ナフテルピン;ナルトグラスチム;ネダプラチン;ネモルビシン;ネリドロン酸;中性エンドペプチダーゼ;ニルタミド;ニサマイシン;一酸化窒素モジュレーター;ニトロキシド酸化防止剤;ニトルリン;O6−ベンジルグアニン;オクトレオチド;オキセノン;オリゴヌクレオチド;オナプリストン;オンダンセトロン;オンダンセトロン;オラシン;経口サイトカイン誘導物質;オルマプラチン;オサテロン;オキサリプラチン;オキサウノマイシン;パラウアミン;パルミトイルリゾキシン;パミドロン酸;パナキシトリオール;パノミフェン;パラバクチン;パゼリプチン;ペガスパルガーゼ;ペルデシン;ペントサンポリ硫酸ナトリウム;ペントスタチン;ペントロゾール;ペルフルブロン;ペルホスファミド;ペリリルアルコール;フェナジノマイシン;フェニル酢酸;ホスファターゼ阻害剤;ピシバニル;塩酸ピロカルピン;ピラルビシン;ピリトレキシム;プラセチンA;プラセチンB;プラスミノーゲンアクチベーターインヒビター;白金複合体;白金化合物;白金−トリアミン複合体;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニゾン;プロピルビス−アクリドン;プロスタグランジンJ2;プロテアソーム阻害剤;プロテインAに基づく免疫モジュレーター;プロテインキナーゼC阻害剤;プロテインキナーゼC阻害剤、ミクロアルガール;タンパク質チロシンホスファターゼ阻害剤;プリンヌクレオシドホスホリラーゼ阻害剤;プルプリン;ピラゾロアクリジン;ピリドキシ化ヘモグロビンポリオキシエチレン(polyoxyethylerie)コンジュゲート;rafアンタゴニスト;ラルチトレキセド;ラモセトロン;rasファルネシルタンパク質トランスフェラーゼ阻害剤;ras阻害剤;ras−GAP阻害剤;脱メチル化レテリプチン;レニウムRe186エチドロネート;リゾキシン;リボザイム;RIIレチナミド;ログレチミド;ロヒツキン;ロムルチド;ロキニメクス;ルビギノンB1;ルボキシル;サフィンゴール;サイントピン;SarCNU;サルコフィトールA;サルグラモスチム;Sdi1模倣体;セムスチン;セネッセンス由来の阻害剤1;センスオリゴヌクレオチド;シグナル伝達阻害剤;シグナル伝達モジュレーター;一本鎖抗原結合タンパク質;シゾフラン;ソブゾキサン;ナトリウムボロカプテート;酢酸フェニルナトリウム;ソルベロール;ソマトメジン結合タンパク質;ソネルミン;スパルホス酸;スピカマイシンD;スピロムスチン;スプレノペンチン;スポンジスタチン1;スクアラミン;幹細胞阻害剤;幹細胞***阻害剤;スチピアミド;ストロメリシン阻害剤;スルフィノシン;超活性型血管作用性小腸ペプチドアンタゴニスト;スラジスタ;スラミン;スワインソニン;合成グリコサミノグリカ
ン;タリムスチン;タモキシフェンメチオジド;タウロムスチン;タザロテン;テコガランナトリウム;テガフール;テルラピリリウム;テロメラーゼ阻害剤;テモポルフィン;テモゾロミド;テニポシド;テトラクロロデカオキシド;テトラゾミン;タリブラスチン;チオコラリン;トロンボポエチン;トロンボポエチン模倣体;チマルファシン;チモポエチン受容体アゴニスト;チモトリナン;甲状腺刺激ホルモン;錫エチルエチオプルプリン;チラパザミン;二塩化チタノセン;トプセンチン;トレミフェン;全能性幹細胞因子;翻訳阻害剤;トレチノイン;トリアセチルウリジン;トリシリビン;トリメトレキサート;トリプトレリン;トロピセトロン;ツロステリド;チロシンキナーゼ阻害剤;チルホスチン;UBC阻害剤;ウベニメクス;泌尿生殖洞由来の増殖阻害性因子;ウロキナーゼ受容体アンタゴニスト;バプレオチド;バリオリンB;ベクター系、赤血球遺伝子療法;ベラレソール;ベラミン;ベルジン;ベルテポルフィン;ビノレルビン;ビンキサルチン;ビタキシン;ボロゾール;ザノテロン;ゼニプラチン;ジラスコルブ;ジノスタチンスチマラマー、アドリアマイシン、ダクチノマイシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、シスプラチン、アシビシン;アクラルビシン;塩酸アコダゾール;アクロニン;アドゼレシン;アルデスロイキン;アルトレタミン;アンボマイシン;酢酸アメタントロン;アミノグルテチミド;アムサクリン;アナストロゾール;アントラマイシン;アスパラギナーゼ;アスペルリン;アザシチジン;アゼテパ;アゾトマイシン;バチマスタット;ベンゾデパ;ビカルタミド;塩酸ビスアントレン;ビスナフィドジメシラート;ビゼレシン;硫酸ブレオマイシン;ブレキナルナトリウム;ブロピリミン;ブスルファン;カクチノマイシン;カルステロン;カラセミド;カルベチマー;カルボプラチン;カルムスチン;塩酸カルビシン;カルゼルシン;セデフィンゴール;クロラムブシル;シロレマイシン;クラドリビン;メシル酸クリスナトール;シクロホスファミド;シタラビン;ダカルバジン;塩酸ダウノルビシン;デシタビン;デキソルマプラチン;デザグアニン;メシル酸デザグアニン;ジアジクオン;ドキソルビシン;塩酸ドキソルビシン;ドロロキシフェン;クエン酸ドロロキシフェン;プロピオン酸ドロモスタノロン;デュアゾマイシン;エダトレキサート;塩酸エフロルニチン;エルサミトルシン;エンロプラチン;エンプロメート;エピプロピジン;塩酸エピルビシン;エルブロゾール;塩酸エソルビシン;エストラムスチン;リン酸エストラムスチンナトリウム;エタニダゾール;エトポシド;リン酸エトポシド;エトプリン;塩酸ファドロゾール;ファザラビン;フェンレチニド;フロクスウリジン;リン酸フルダラビン;フルオロウラシル;フルオロシタビン;フォスキドン;ホストリエシンナトリウム;ゲムシタビン;塩酸ゲムシタビン;ヒドロキシウレア;塩酸イダルビシン;イホスファミド;イルモホシン(iimofosine);インターロイキンII(組み換えインターロイキンII、又はrIL.sub.2を含む)、インターフェロンα−2a;インターフェロンα−2b;インターフェロンα−n1;インターフェロンα−n3;インターフェロンβ−1a;インターフェロンγ−1b;イプロプラチン;塩酸イリノテカン;酢酸ランレオチド;レトロゾール;酢酸ロイプロリド;塩酸リアロゾール;ロメトレキソールナトリウム;ロムスチン;塩酸ロソキサントロン;マソプロコール;マイタンシン;塩酸メクロレタミン;酢酸メゲストロール;酢酸メレンゲストロール;メルファラン;メノガリル;メルカプトプリン;メトトレキサート;メトトレキサートナトリウム;メトプリン;メツレデパ;ミチンドミド;ミトカルシン;ミトクロミン;ミトギリン;ミトマルシン;マイトマイシン;ミトスペル;ミトタン;塩酸ミトキサントロン;マイコフェノール酸;ノコダゾール(nocodazoie);ノガラマイシン;オルマプラチン;オキシスラン;ペガスパルガーゼ;ペリオマイシン;ペンタムスチン;硫酸ペプロマイシン;ペルホスファミド;ピポブロマン;ピポスルファン;塩酸ピロキサントロン;プリカマイシン;プロメスタン;ポルフィマーナトリウム;ポルフィロマイシン;プレドニムスチン;塩酸プロカルバジン;ピューロマイシン;塩酸ピューロマイシン;ピラゾフリン;リボプリン;ログレチミド;サフィンゴール;塩酸サフィンゴール;セムスチン;シムトラゼン;スパルフォセートナトリウム;スパルソマイシン;塩酸スピロゲルマニウム;スピロムスチン;スピロプラチン;ストレプトニグリン;ストレプトゾシン;スロフェヌル;タリソマイシン;テコガランナトリウム;テガフール;塩酸テロキサントロン;テモポルフィン;テニポシド;テロキシロン;テストラクトン;チアミプリン;チオグアニン;チオテパ;チアゾフリン;チラパザミン;クエン酸トレミフェン;酢酸トレストロン;リン酸トリシリビン;トリメトレキサート;グルクロン酸トリメトレキサート;トリプトレリン;塩酸ツブロゾール;ウラシルマスタード;ウレデパ;バプレオチド;ベルテポルフィン;硫酸ビンブラスチン;硫酸ビンクリスチン;ビンデシン;硫酸ビンデシン;硫酸ビネピジン;硫酸ビングリシネート;硫酸ビンロイロシン;酒石酸ビノレルビン;硫酸ビンロシジン;硫酸ビンゾリジン;ボロゾール;ゼニプラチン;ジノスタチン;塩酸ゾルビシン、G2−M期内の細胞を阻止し、及び/又は微小管の形成又は安定性を調節する薬剤(例えば、Taxol(商標)(すなわち、パクリタキセル)、Taxotere(商標))、タキサン骨格を含む化合物、エルブロゾール(すなわち、R−55104)、ドラスタチン10(すなわち、DLS−10及びNSC−376128)、イセチオン酸ミボブリン(すなわち、CI−980として)、ビンクリスチン、NSC−639829、ディスコデルモリド(すなわち、NVP−XX−A−296として)、ABT−751(Abbott社、すなわち、E−7010)、アルトリルチン(例えば、アルトリルチンA及びアルトリルチンC)、スポンジスタチン(例えば、スポンジスタチン1、スポンジスタチン2、スポンジスタチン3、スポンジスタチン4、スポンジスタチン5、スポンジスタチン6、スポンジスタチン7、スポンジスタチン8、及びスポンジスタチン9)、塩酸セマドチン(すなわち、LU−103793及びNSC−D−669356)、エポチロン(例えば、エポチロンA、エポチロンB、エポチロンC(すなわち、デスオキシエポチロンA又はdEpoA)、エポチロンD(すなわち、KOS−862、dEpoB、及びデスオキシエポチロンB)、エポチロンE、エポチロンF、エポチロンB N−酸化物、エポチロンA N−酸化物、16−アザ−エポチロンB、21−アミノエポチロンB(すなわち、BMS−310705)、21−ヒドロキシエポチロンD(すなわち、デスオキシエポチロンF及びdEpoF)、26−フルオロエポチロン、オーリスタチンPE(すなわちNSC−654663)、ソブリドチン(すなわちTZT−1027)、LS−4559−P(Pharmacia社、すなわちLS−4577)、LS−4578(Pharmacia社、すなわちLS−477−P)、LS−4477(Pharmacia社)、LS−4559(Pharmacia社)、RPR−112378(Aventis社)、硫酸ビンクリスチン、DZ−3358(Daiichi社)、FR−182877(Fujisawa社、すなわちWS−9885B)、GS−164(Takeda社)、GS−198(Takeda社)、KAR−2(Hungarian Academy of Sciences)、BSF−223651(BASF社、すなわち、ILX−651及びLU−223651)、SAH−49960(Lilly/Novartis社)、SDZ−268970(Lilly/Novartis社)、AM−97(Armad/Kyowa Hakko社)、AM−132(Armad社)、AM−138(Armad/Kyowa Hakko社)、IDN−5005(Indena社)、クリプトフィシン52(すなわちLY−355703)、AC−7739(Ajinomoto社、すなわちAVE−8063A及びCS−39.HCl)、AC−7700(Ajinomoto社、すなわちAVE−8062、AVE−8062A、CS−39−L−Ser.HCl、及びRPR−258062A)、ビチレブアミド、チューブリシンA、カナデンソル、センタウレイジン(すなわちNSC−106969)、T−138067(Tularik社、すなわちT−67、TL−138067及びTI−138067)、COBRA−1(Parker Hughes Institute、すなわちDDE−261及びWHI−261)、H10(カンザス州立大学)、H16(カンザス州立大学)、オンコシジンA1(すなわちBTO−956及びDIME)、DDE−313(Parker Hughes Institute)、フィジアノリドB、ラウリマリド、SPA−2(Parker Hughes Institute)、SPA−1(Parker Hughes Institute、すなわちSPIKET−P)、3−IAABU(Cytoskeleton/Mt. Sinai School of Medicine、すなわちMF−569)、ナルコシン(NSC−5366としても知られている)、ナスカピン、D−24851(Asta Medica社)、A−105972(Abbott社)、ヘミアステルリン、3−BAABU(Cytoskeleton/Mt.Sinai School of Medicine、すなわちMF−191)、TMPN(アリゾナ州立大学)、バナドセンアセチルアセトネート、T−138026(Tularik社)、モンサトロール、イナノシン(lnanocine)(すなわち、NSC−698666)、3−IAABE(Cytoskeleton/Mt. Sinai School of Medicine)、A−204197(Abbott社)、T−607(Tuiarik社、すなわちT−900607)、RPR−115781(Aventis社)、エリュテロビン(例えばデスメチルエリュテロビン、デスアエチルエルュテロビン、イソエリュテロビンA、及びZ−エリュテロビン)、カリバエオシド、カリバエオリン、ハリコンドリンB、D−64131(Asta Medica社)、D−68144(Asta Medica社)、ジアゾナミドA、A−293620(Abbott社)、NPI−2350(Nereus社)、タッカロノリドA、TUB−245(Aventis社)、A−259754(Abbott社)、ジオゾスタチン、(−)−フェニルアヒスチン(すなわち、NSCL−96F037)、D−68838(Asta Medica社)、D−68836(Asta Medica社)、ミオセベリンB、D−43411(Zentaris社、すなわちD−81862)、A−289099(Abbott社)、A−318315(Abbott社)、HTI−286(すなわちSPA−110、トリフルオロ酢酸塩)(Wyeth社)、D−82317(Zentaris社)、D−82318(Zentaris社)、SC−12983(NCI)、リン酸レスベラスタチンナトリウム、BPR−OY−007(National Health Research Institutes)、及びSSR−250411(Sanofi社)、ステロイド(例えば、デキサメタゾン)、フィナステリド、アロマターゼ阻害剤、性腺刺激ホルモン放出ホルモンアゴニスト(GnRH)(例えばゴセレリン又はロイプロリド)、副腎皮質ステロイド(例えば、プレドニゾン)、プロゲスチン(例えば、カプロン酸ヒドロキシプロゲステロン、酢酸メゲストロール、酢酸メドロキシプロゲステロン)、エストロゲン(例えばジエチルスチルベストロール(diethlystilbestrol)、エチニルエストラジオール)、抗エストロゲン薬(例えばタモキシフェン)、アンドロゲン(例えばプロピオン酸
テストステロン、フルオキシメステロン)、抗アンドロゲン物質(例えばフルタミド)、免疫刺激薬(例えばカルメット・ゲラン桿菌(Bacillus Calmette-Guerin)(BCG)、レバミソール、インターロイキン−2、α−インターフェロン等)、トリプトリド、ホモハリントニン、ダクチノマイシン、ドキソルビシン、エピルビシン、トポテカン、イトラコナゾール、ビンデシン、セリバスタチン、ビンクリスチン、デオキシアデノシン、セルトラリン、ピタバスタチン、イリノテカン、クロファジミン、5−ノニルオキシトリプタミン、ベムラフェニブ、ダブラフェニブ、エルロチニブ、ゲフィチニブ、EGFR阻害剤、上皮増殖因子受容体(EGFR)−標的療法又は治療薬(例えば、ゲフィチニブ(Iressa(商標))、エルロチニブ(Tarceva(商標))、セツキシマブ(Erbitux(商標))、ラパチニブ(Tykerb(商標))、パニツムマブ(Vectibix(商標)))、バンデタニブ(Caprelsa(商標))、アファチニブ/BIBW2992、CI−1033/カネルチニブ、ネラチニブ/HKI−272、CP−724714、TAK−285、AST−1306、ARRY334543、ARRY−380、AG−1478、ダコミチニブ/PF299804、OSI−420/デスメチルエルロチニブ、AZD8931、AEE788、ペリチニブ/EKB−569、CUDC−101、WZ8040、WZ4002、WZ3146、AG−490、XL647、PD153035、BMS−599626)、ソラフェニブ、イマチニブ、スニチニブ、ダサチニブ、ホルモン療法等を含むが、但しこれらに限定されない。抗癌剤の投与経路、用量、及び治療レジメンの詳細は、例えば、「Cancer Clinical Pharmacology」 (2005年) ed. By Jan H. M. Schellens, Howard L. McLeod and David R. Newell, Oxford University Pressに記載されているように、当技術分野において知られている。
幾つかの他の実施態様において、上記更なる抗癌剤は、癌関連免疫抑制を阻害する為に使用される1以上のFc担持化合物とは異なる抗癌抗体からなる。抗癌抗体は、モノクロナール抗体(例えば、抗CD20、抗HER2、抗CD52、抗HLA−DR、及び抗VEGFモノクロナール抗体)、免疫毒素(例えば、抗CD33モノクロナール抗体−カリケアマイシンコンジュゲート、抗CD22モノクロナール抗体−シュードモナス属(Pseudomonas)エキソトキシンコンジュゲート等)、放射線免疫療法(例えば、111In、90Y、又は131Iにコンジュゲートした抗CD20モノクロナール抗体等)を包含する。幾つかの実施態様において、これらの抗癌抗体は、それ自体糖鎖改変され得、例えばハイポフコシル化されうる。
抗癌剤はまた、免疫系の抗癌活性を活性化又は再活性化させることが知られている薬剤を包含する。免疫系の抗癌活性を活性化又は再活性化させる薬剤は、抑制性免疫チェックポイントを阻害する薬剤であるのが好ましい薬剤を包含する。これらの薬剤は、本明細書において、「抑制性免疫チェックポイント阻害剤」又は「免疫チェックポイント阻害剤」と呼ばれうる。当技術分野において知られているように、免疫チェックポイント阻害剤は、抑制性免疫チェックポイントタンパク質の活性を阻害する薬剤からなる。
語「免疫チェックポイントタンパク質」は、当技術分野において知られている。この語の既知の意味の範囲内で、「免疫チェックポイントタンパク質」のレベルで免疫系が、免疫反応をバランスさせる為に、そのコンポーネントに対して阻害性シグナルを提供するということが当業者にとって明らかである。既知の免疫チェックポイントタンパク質は、CTLA−4、PDl及びそのリガンドのPD−Ll及びPD−L2、さらにLAG−3、BTLA、B7H3、B7H4、TIM3、KIRを含む。LAG3、BTLA、B7H3、B7H4、TIM3、及びKIRに関与する経路は、CTLA−4及びPD−1依存経路と同様の免疫チェックポイント経路を構成することが当技術分野において認識されている(例えば、Pardoll,2012年.Nature Rev Cancer 12:252-264;Mellman等,2011年.Nature 480:480-489を参照)。
本発明の範囲内で、免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は、免疫チェックポイントタンパク質の機能を阻害する任意の化合物である。阻害は、機能の低下及び完全なブロックを含む。特に、免疫チェックポイントタンパク質は、ヒト免疫チェックポイントタンパク質である。従って、免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は好ましくは、ヒト免疫チェックポイントタンパク質の阻害剤である。免疫チェックポイントタンパク質は、先行技術文献に記載されている(例えばPardoll,2012年.Nature Rev.cancer 12:252-264を参照)。免疫チェックポイントタンパク質という名称は、イン・ビトロ(in vitro)又はイン・ビボ(in vivo)で免疫チェックポイントタンパク質を阻害することによって、抗原受容体が引き金となって引き起こされるTリンパ球応答を刺激する実験的実証を含み、例えば免疫チェックポイントタンパク質の発現が欠損しているマウスは、抗原特異的Tリンパ球応答の強化又は自己免疫の兆候を示す(例えばWaterhouse等,1995年.Science 270:985-988;Nishimura等,1999年.Immunity 11:141-151で開示されている)。また、イン・ビトロ(in vitro)又はイン・ビボ(in vivo)での免疫チェックポイントタンパク質の計画的な刺激に起因して、抗原−受容体が引き金となって引き起こされるCD4又はCD8T細胞応答の阻害の実証も含みうる(例えば、Zhu等,2005年.Nature Immunol.6:1245-1252)。好ましい免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は、免疫チェックポイントタンパク質を特異的に認識する抗体である。CTLA−4、PD1、PDL−1、PD−L2、LAG−3、BTLA、B7H3、B7H4、TIM3、及びKIR阻害剤のうちの幾つかが知られており、そしてこれらの既知の免疫チェックポイントタンパク質阻害剤と同様に、代替的な免疫チェックポイント阻害剤が(近い)将来的に開発されうる。例えば、イピリムマブは、Yervoy(Bristol−Myers Squibb社)の名称で現在上市されている完全にヒトのCTLA−4ブロッキング抗体である。第2のCTLA−4阻害剤はトレメリムマブである(Ribas等,2013年,J.Clin.Oncol.31:616-22で参照されている)。PD−1阻害剤の例として、ヒトPD−1をブロックするヒト化抗体、例えばランブロリズマブ(例えば、国際公開第2008/156712号;Hamid等,N.Engl.J.Med.369:134-144 2013年において、hPD109A及びそのヒト化誘導体h409A11、h409A16、及びh409A17として開示されている)、又はピディリズマブ(Rosenblatt等,2011年.J Immunother.34:409-18で開示されている)、並びに完全にヒトの抗体、例えばニボルマブ(MDX−1106又はBMS−936558としてこれまで知られている、Topalian等,2012.N.Eng.J.Med.366:2443-2454、米国特許第8008449号明細書で開示されている)、を含むがこれらに限定されない。他のPD−1阻害剤はまた、B7−DC−Ig又はAMP−244(Mkrtichyan M等,J Immunol.189:2338-47 2012年で開示されている)として知られているPD−L2 Fc融合タンパク質、及び療法で使用する為に現在研究中及び/又は開発中の他のPD−1阻害剤を含むがこれらに限定されない、可溶性PD−1リガンドの提示を含みうる。更に、免疫チェックポイント阻害剤は、PD−L1をブロックするヒト化抗体又は完全ヒト抗体、例えばMEDI−4736(国際公開第2011066389号で開示されている)、MPDL328OA(米国特許第8217149号明細書で開示されている)、及びMIH1(eBioscience社経由でAffymetrix社より入手可能(16.5983.82))、並びに現在研究中の他のPD−L1阻害剤を含みうるがこれらに限定されない。本発明に従えば、免疫チェックポイント阻害剤は、好ましくはCTLA−4、PD−1、又はPD−L1阻害剤から選択され、例えば上記された既知のCTLA−4、PD−1、又はPD−L1阻害剤(イピリムマブ、トレメリムマブ、ランブロリズマブ、ニボルマブ、ピディリズマブ、AMP−244、MEDI−4736、MPDL328OA、MIH1)から選択される。これらの免疫チェックポイントタンパク質の既知の阻害剤はそのまま使用されうる、又は類似体、特にキメラ抗体、ヒト化抗体、若しくは抗体のヒトの形態、が使用されうる。
当業者が知っているように、代替的及び/又は等価的な名称が、上記された或る抗体について使用されうる。そのような代替的及び/又は等価的な名称は、本発明の文脈において交換可能である。例えば、ランブロリズマブはまた、代替的及び等価的な名称のMK−3475及びペンブロリズマブとして既知であることが知られている。
PD1阻害剤及びPD−L1阻害剤、例えば上記された既知のPD−1阻害剤又はPD−L1阻害剤、から免疫チェックポイント阻害剤を選択することがより好ましく、PD−1阻害剤、例えば上記された既知のPD1阻害剤、から選択されることが最も好ましい。好ましい実施態様において、PD1阻害剤は、ニボルマブ若しくはペンブロリズマブ、又はヒトPD1に対する別のアンタゴニスト抗体である。
本発明はまた、免疫応答を刺激することが当技術分野において知られている他の免疫チェックポイント阻害剤の選択を含む。これは、抗原特異的Tリンパ球を直接的又は間接的に刺激又は高める阻害剤を含む。これらの他の免疫チェックポイント阻害剤は、免疫チェックポイントタンパク質に対して向けられた薬剤、及びPD−L2、LAG3、BTLA、B7H4、及びTIM3に関わる経路を含むがこれらに限定されない。例えば、当技術分野において知られているヒトPD−L2阻害剤は、MIH18を含む(Pfistershammer等,2006年.Eur J Immunol.36:1104-13で開示されている)。別の例では、当技術分野において知られているLAG3阻害剤は、可溶性LAG3(IMP321、又は国際公開第2009044273号及びBrignon等,2009年.Clin.Cancer Res.15:6225-6231で開示されているLAG3−Ig)、並びにヒトLAG3をブロックするマウス又はヒト化抗体(例えば国際公開第2008132601号で開示され、それに由来するIMP701)、又はヒトLAG3をブロックする完全ヒト抗体(例えば、欧州特許第2320940号明細書で開示されている)を含む。別の例は、ヒトBTLAとそのリガンドとの相互作用をブロックする抗体を含むがこれらに限定されない、BTLA対するブロッキング剤の使用により提供される(例えば、国際公開第2011014438号で開示されている4C7)。なお別の例は、ヒトB7H4に対する抗体(国際公開第2013025779A1号、及び国際公開第2013067492号で開示されている)、又はB7H4の可溶性組み換え形態(例えば米国特許第20120177645号明細書で開示されているもの、又は抗ヒトB7H4クローンH74:eBiocience社#14−5948)を含むがこれらに限定されない、B7H4を中和する薬剤の使用により提供される。なおも別の例が、ヒトB7−H3を中和する抗体(例えば、BRCA84Dとして開示されているMGA271、及び米国特許第20120294796号明細書に記載の誘導体)を含むがこれらに限定されない、B7−H3を中和する薬剤により提供される。なお別の例は、ヒトTIM3に対して向けられた抗体(例えば、国際公開第2013/006490号で開示されているもの、抗ヒトTIM3、又はJones等,J Exp Med.2008年 Nov 24;205(12):2763-79により開示されているブロッキング抗体F38−2E2)を含むがこれらに限定されない、TIM3に対して向けられた薬剤により提供される。免疫チェックポイントタンパク質の既知の阻害剤は、その既知の形態で使用されうる、又は類似体、特に複数の抗体のキメラ形態、最も好ましくはヒト化形態、が使用されうる。
本発明はまた、本発明の様々な観点の範囲内で、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物と組み合わせる為の、CTLA−4、PD−1又はPDL1阻害剤から選択される1超の免疫チェックポイント阻害剤の選択を含む。例えば、イピリムマブ(抗CTLA4)とニボルマブ(抗PDl)との同時療法は、単剤療法で得られる活性とは異なると思われる臨床的活性を示した(Wolchok等,2013年,N.Eng.J .Med.,369:122-33)。チェックポイント阻害剤の有効性を改善することが明らかにされている薬剤の組み合わせ、例えば、イピリムマブ(Rizvi等,ASCO 2013年,and clinicaltrials.gov NCT01750580)と組み合わせた、若しくはニボルマブ(Sanborn等,ASCO 2013年、及びclinicaltrials.gov NCT01714739)と組み合わせたリリルマブ(米国特許第8119775号明細書、及びBenson等,Blood 120:4324-4333 (2012年)において開示されている抗KIR、BMS−986015又はIPH2102としても知られている)、抗PD−1(Woo等,2012年 Cancer Res.72:917-27)若しくは抗PD−Ll(Butler NS等,Nat Immunol.2011年 13:188-95)と組み合わされたLAG3に対して向けられた薬剤、抗CTLA−4と組み合わせたICOSに対して向けられた薬剤(Fu等,Cancer Res.2011年 71:5445-54)、又は抗CTLA−4と組み合わせた4−1BBに対して向けられた薬剤(Curran等,PLoS One.2011年 6(4) el 9499)がまた含まれる。
本発明に従うと、標的とされる好ましい抑制性免疫チェックポイントタンパク質は、PD−1、PD−L1、PD−L2、BTLA、CTLA−4、A2AR、B7−H3(CD276)、B7−H4(VTCN1)、IDO、KIR、LAG3、TIM−3、及びVISTAからなる群から選択されるものを包含する。
本明細書において開示されている、関心のある抑制性免疫チェックポイントタンパク質の好ましい阻害剤は、上記関心のある抑制性免疫チェックポイントタンパク質に対して向けられた抗体からなり、且つ上記関心のある抑制性免疫チェックポイントタンパク質の活性を阻害する。
従って、幾つかの好ましい実施態様において、本発明に従い使用されうる抑制性免疫チェックポイントタンパク質の阻害剤は、PD−1、PD−L1、PD−L2、BTLA、CTLA−4、A2AR、B7−H3(CD276)、B7−H4(VTCN1)、IDO、KIR、LAG3、TIM−3、及びVISTAのうちの1つに対して向けられた抗体からなる群から選択されるものを包含する。
本発明の範囲内の癌は、白血病、急性リンパ球性白血病、急性骨髄性白血病、骨髄芽球前骨髄球、骨髄単球性赤白血病、慢性白血病、慢性骨髄性(顆粒球性)白血病、慢性リンパ球性白血病、マントル細胞リンパ腫、原発性中枢神経系リンパ腫、バーキットリンパ腫及び辺縁帯B細胞リンパ腫、真性多血症リンパ腫、ホジキン病、非ホジキン病、多発性骨髄腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、重鎖疾患、固形腫瘍、肉腫、及び癌腫、線維肉腫、粘液肉腫、脂肪肉腫、軟骨肉腫、骨形成性肉腫、骨肉腫、脊索腫、血管肉腫、内皮肉腫(endotheliosarcoma)、リンパ肉腫、リンパ管内皮肉腫(lymphangioendotheliosarcoma)、滑膜腫、中皮腫、ユーイング腫瘍、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫、結腸肉腫、結腸直腸癌、膵癌、乳癌、卵巣癌、前立腺癌、扁平上皮癌、基底細胞癌、腺癌、汗腺癌、脂腺癌、乳頭状癌、乳頭状腺癌、嚢胞腺癌、髄様癌、気管支原性癌、腎細胞癌、ヘパトーマ、胆管癌、絨毛癌、精上皮腫、胎生期癌、ウィルムス腫瘍、子宮頸癌、子宮癌、精巣腫瘍、肺癌、小細胞肺癌、非小細胞肺癌、膀胱癌、上皮癌、神経膠腫、星状細胞腫、髄芽細胞腫、頭蓋咽頭腫、上衣腫、松果体腫、血管芽腫、聴神経腫瘍、希突起神経膠腫、髄膜腫、メラノーマ、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、鼻咽頭癌、食道癌、基底細胞癌、胆道癌、膀胱癌、骨癌、脳及び中枢神経系(CNS)の癌、子宮頸癌、絨毛癌、結腸直腸癌、結合組織の癌、消化器の癌、子宮内膜癌、食道癌、眼の癌、頭頸部癌、胃癌、上皮内新生物、腎癌、喉頭癌、肝癌、肺癌(小細胞、大細胞型)、メラノーマ、神経芽細胞腫;口腔癌(例えば、***、舌、口腔、及び咽頭)、卵巣癌、膵癌、網膜芽細胞腫、横紋筋肉腫、直腸癌;呼吸器系の癌、肉腫、皮膚癌、胃癌、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、及び尿路系の癌を含むが、これらに限定されない。
医薬組成物及び治療方法
本明細書において別途すでに記載されているように、本明細書で定義される、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、1以上の更なる抗癌療法との組み合わせ処置の過程、特に1以上の抑制性免疫チェックポイントタンパク質阻害剤との組み合わせ処置の過程、を含む、1以上の更なる抗癌剤との組み合わせ処置の過程において有利に使用されうる。
これらの実施態様に従えば、上記の糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物及び上記更なる1以上の抗癌剤は、「同時投与」される。
本明細書で使用される場合、語「同時投与」は、免疫応答を調節する為に、少なくとも2つの異なる物質を十分に接近した時期において投与することを云う。好ましくは、同時投与は、少なくとも2つの異なる物質の同時投与を云う。
従って、「同時投与」は、組み合わせの治療上の効果又は予防上の効果が、単独投与されるいずれかの成分の治療上の効果又は予防上の効果を上回ることができるように、2以上の成分が組み合わされて投与されることを云う。2つの成分は、同時期に又は順次に同時投与されうる。同時期に同時投与される成分は、1以上の医薬組成物内に提供されうる。2以上の成分の順次の同時投与は、各成分が処置部位に同時に存在することができるように、複数の成分が投与される場合を含む。代替的には、2つの成分の順次の同時投与は、少なくとも1つの成分が処置部位から除去されるが、しかし成分を投与したときの少なくとも1つの細胞効果(例えば、サイトカイン産生、特定の細胞集団の活性化等)が、1以上の追加の成分が処置部位に投与されるまで、該処置部位において存続する場合を含みうる。従って、同時投与される組み合わせは、或る状況において、互いに化学的混合物では決して存在しない成分を含むことができる。
幾つかの実施態様において、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する選択された化合物、及び1以上の更なる1以上の抗癌剤は、処置されるべき癌個体に同時に投与され、そして2つの活性な薬剤が、同一の医薬組成物に含まれうる、又は個別の医薬組成物に含まれうる。これらの2つの個別の医薬組成物は、使用前に共に混合され、次に処置されるべき癌個体に投与されうる。他の実施態様において、これらの2つの個別の医薬組成物は、短い時間間隔、例えば2〜5分内の時間間隔、で、処置されるべき癌個体に投与されうる。
本発明は更に、(i)糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物、及び(ii)1以上の異なる抗癌剤を含む医薬組成物に関する。
本発明は、(i)糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物、及び(ii)1以上の抑制性免疫チェックポイントタンパク質阻害剤を含む医薬組成物を包含する。
幾つかの好ましい実施態様において、上記の糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、腫瘍抗原に対して向けられた、糖鎖改変抗体である。
幾つかの実施態様において、腫瘍抗原は、HER2、HER3、HER4、及びAMHRIIからなる群から選択される。
幾つかの実施態様において、上記糖鎖改変抗体は、3C23K(又はその変異体)、9F7F11、H4B121、及びHE4B33と呼ばれる糖鎖改変抗体からなる群から選択され、それらは本明細書において別途詳細に開示されている。
幾つかの実施態様において、上記抑制性免疫チェックポイントタンパク質阻害剤は、PD−1、PD−L1、PD−L2、BTLA、CTLA−4、A2AR、B7−H3(CD276)、B7−H4(VTCN1)、IDO、KIR、LAG3、TIM−3、及びVISTAの阻害剤からなる群から選択される。
幾つかの実施態様において、上記阻害剤は、上記抑制性免疫チェックポイントタンパク質に対して向けられた抗体、又はその抗原結合性フラグメントからなる。
糖鎖改変されたFcを有する化合物、より一般的には、本明細書に開示のポリペプチド、を調製すること及びそれを対象に投与する方法は、当業者に周知であり、又は当業者によって容易に決定される。本明細書に開示のポリペプチドの投与経路は、経口的、非経口的、吸入式、又は局所的でありうる。本明細書で使用される場合、非経口という語は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、直腸、又は膣腔投与を含む。これらの投与形態は全て、本明細書に開示の範囲内にあるものと明確に企図されるが、投与形態は、注射用、特に静脈内又は動脈内注射用又は点滴用、の溶液である。通常、注射用の好適な医薬組成物は、バッファー(例えば、酢酸、リン酸、又はクエン酸バッファー)、界面活性剤(例えば、ポリソルベート)、任意的に安定剤(例えば、ヒトアルブミン)等を含みうる。但し、本明細書の教示と整合する他の方法において、糖鎖改変されたFcを有する化合物が、有害な細胞集団の部位に対して直接送達されることができ、それによって罹患した組織の治療剤への曝露を増加させる。
非経口投与の為の調製物は、無菌の水性溶液又は非水性溶液、懸濁物、及びエマルジョンを含む。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、植物油、例えばオリーブオイル、及び注射用の有機エステル、例えばエチルオレエート、である。水性担体は、水、アルコール性/水性の溶液、エマルジョン又は懸濁物を含み、例えば生理食塩水及び緩衝化された媒体を含む。本明細書に開示の組成物及び方法において、薬学的に許容される担体は、0.01〜0.1M又は0.05Mのリン酸バッファー、又は0.8%の生理食塩水を含むが、これらに限定されない。他の一般的な非経口ビヒクルは、リン酸ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース、及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル、又は不揮発性油を含む。静脈内ビヒクルは、液体及び栄養補充液、電解質補充液、例えばリンゲルデキストロースに基づく補充液等、を含む。防腐剤及び他の添加剤、例えば抗菌剤、酸化防止剤、キレート剤、及び不活性気体等、がまた存在しうる。より具体的には、注射用途に好適な医薬組成物は、無菌の注射液又は分散物を即時調製する為の、無菌の水溶液(水溶性の場合)又は分散物、及び無菌の粉末を含む。そのような場合には、該組成物は、無菌でなければならず、且つ容易に注射ができる程度まで液体であるべきである。該組成物は、製造及び保管の条件下で安定であるべきであり、且つ微生物、例えば細菌及び菌類、の汚染作用に対しても防御されるべきである。該担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及び液体のポリエチレングリコール等)、及びその好適な混合物を含有する溶媒又は分散媒体であることができる。適切な流動性が、例えばコーティング、例えばレシチン、の使用によって、分散物の場合は必要とされる粒径を維持することによって、及び界面活性剤の使用によって、維持されることができる。
いかなる場合においても、活性化合物(例えば、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物そのもの又はその他の活性な薬剤との組み合わせ)を、本明細書に列挙されている配合物の1つ又は組み合わせとともに、適切な溶媒中に必要とされる量で組み込むことにより、必要に応じてその後に濾過式滅菌処理により、無菌の注射液が調製されることができる。一般的に、分散物は、活性化合物を、基礎的分散媒体及び上記で列挙されたものに由来するその他の必要とされる配合物を含有する無菌のビヒクル中に組み込むことにより調製される。無菌の注射液を調製する為の無菌の粉末の場合、調製方法は、減圧乾燥及び凍結乾燥を一般的に含み、予め滅菌濾過されたその溶液から、有効成分に加え、任意の望ましい追加配合物を含む粉末をもたらす。注射用の調製物は、処理され、容器、例えばアンプル、バッグ、ボトル、シリンジ、又はバイアル、中に充填され、そして当技術分野において既知の方法に従って、滅菌条件下で密閉される。更に、該調製物は、キットの形態、例えば米国特許出願第09/259,337号明細書及び同第09/259,338号明細書(該文献のそれぞれは、参照によって本明細書内に取り込まれる)に記載されている形態、で包装及び販売されうる。
上記条件の処置を行う為の、本明細書に開示の上記組成物の有効用量は、多くの異なる要因、例えば投与手段、標的部位、患者の生理学的状態、患者がヒトであるか又は動物であるか、投与される他の薬物、及び処置が予防的であるか又は治療的であるかを含む該要因、に依存して変化する。通常、患者はヒトであるが、しかしヒト以外の哺乳動物、例えば遺伝子導入哺乳動物を含む該ヒト以外の哺乳動物、がまた処置されることができる。処置用量は、安全性及び有効性を最適化する為に、当業者に知られているルーチン法を使用して用量設定されうる。
本明細書に開示の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、複数の機会において投与されることができる。単回投与間の間隔は、1週間、1カ月、又は1年でありうる。間隔はまた、患者内の上記の糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物の血中レベルを測定することによって示されるように不規則である可能性がある。幾つかの方法において、投薬量は、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物の血漿濃度、特に糖鎖改変抗体の血漿濃度として、1〜1000μg/ml、及び幾つかの方法では25〜300μg/mlを実現するように調整される。代替的には、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物は、徐放性製剤として投与されることができ、係る場合、より低頻度の投与が必要とされる。糖鎖改変抗体の場合、投薬量及び頻度は、患者内の抗体半減期に依存して変化する。一般的に、ヒト化抗体が最長半減期を示し、次いでキメラ抗体及び非ヒト抗体が続く。
本明細書の開示に従う医薬組成物は、薬学的に許容される、無毒性、無菌の担体、例えば生理食塩水、無毒性バッファー、防腐剤等を一般的に含む。本出願の目的に照らせば、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物の薬学的に十分な量が維持されなければならない、すなわち、例えば癌患者に生ずる免疫抑制状態を減少させる又はブロックする為の利益を達成する為に十分な量を意味する。もちろん、本明細書に開示の医薬組成物は、薬学的に有効な量の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物を提供する為に、単回又は多数回投与で投与されうる。
実施例1:糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物の合成
A.材料及び方法
キメラ12G4、ヒト化12G4及び3C23Kのクローニング
本発明のキメラ12G4(ch12G4)に従う医薬組成物が、これまでの記載に従い(27)、構築され、そして発現された。簡単に説明すると、V及びVDNA配列が、プロモーター、Kozak配列、及びヒトκ/IgG1定常領域の配列を含む多シストロン性のCHK622−08ベクター中に連続してサブクローニンングされた。
ヒト化12G4(h12G4)のV及びVをコードするDNA配列が、Genscriptを使用して合成され、次に上記記載に従って消化及びライゲーションすることによって、CHK622−08にクローニンングされ、HK622−18ベクターが得られた。VE68K突然変異を導入する為にファージクローン3C23の狙いを定めた突然変異誘発を実施することにより、親和性成熟型の3C23K V及びVをコードするDNA配列が取得された。シグナルペプチドが、h12G4のヒト化可変領域をテンプレートとして使用するPCRアセンブリにより付加され、次に上記のようにHK622−18中にクローニンングされた。ヒト化且つ親和性成熟型の3C23K抗体を発現する結果として生じたベクターは、HK622−18MAO3C23Kと呼ばれた。
ch12G4、h12G4、及び3C23Kの生成及び精製
これまで記載されたように、異なる分子が安定的に発現された(Siberil等,2006年,Clin Immunol Orlando Fla,Vol.118:170-179)。CHO−S、HEK293、又はYB2/0細胞が、適切な線形化発現ベクターを用いて安定的にトランスフェクトされた。Ch12G4、h12G4、及び3C23K抗体がEMS(Invitrogen社)、5%の超低(Ultra-low)IgGウシ胎仔血清(FCS:fetal calf serum)(PAA社)、及び0.5g/lのG418を使用して、5〜7日間、YB2/0細胞中で産生された。3C23K−CHO−Sが、ProCHO4(Lonza社)、4mMのグルタミン、及び1g/lのG418を使用して、7日間、CHO−S細胞中で産生された。
MAbが、プロテインAセファロース(GE−Healthcare社)を使用する親和性クロマトグラフィーにより、培養上清から精製された。凝集物及びエンドトキシンのレベルが、Superdex HR/200(GE−Healthcare社)上のゲル濾過によって及びLALテストによって、それぞれ決定された。抗体の品質及び純度が、SDS−PAGE及びクーマシー染色によってモニタリングされた。加えて、各精製された抗体のグリコシル化パターン及びコアフコースパーセンテージ(%)が、高性能キャピラリー電気泳動レーザー誘起蛍光(HPCE−Lif:high performance capillary electrophoresis laser induced fluorescence)によって決定された(51)。
SPR分析
SPR分析が、HBS−EP(GE Healthcare社)で、25℃、Bia3000又はT200装置上で実施された。親和性測定について、MISRIIが、製造業者の指示(GE Healthcare社)に従い、EDC/NHS活性化を使用して、CM5センサーチップ上に共有結合により固定化された(1000RU)。種々の濃度(0.5〜128nM)の12G4又は3C23Kが、固定化された受容体上に180秒間注入された。泳動バッファー中で400秒間解離させた後、センサーチップは、Gly−HCl(pH1.7)を使用して再生された。K値が、親和性及びアビディティーを考慮しながら、ラングミュアの1:1フィッティングモデル(BiaEvaluation3.2、GE Healthcare社)を使用して計算された。抗体−FcγR測定が、4000〜5000RUレベルで共有結合により固定化された抗His(R&D Systems社)上で捕捉されたFcγR(Sigma社)において、単一サイクル滴定により100μl/分で実施された。γ受容体が20nMで60秒間注入され、そして5つの漸増する濃度の抗体が注入された(注入時間=60秒)。泳動バッファー中での600秒の解離工程後、センサー表面が5μlのグリシン−HCl(pH1.7)を使用して再生された。動力学的パラメーターが、T200評価ソフトウェア3.0(GE Healthcare社)上の不均質なリガンドモデル又は定常状態フィッティングモデルを使用して、センサーグラムから評価された。全てのセンサーグラムは、フィッティング評価の前に、対照参照表面(固定化されたタンパク質を一切含まない)及びバッファーブランク注入からの低シグナルを引き算することによって修正された。
抗体
マウス抗MISRII MAb 12G4が、Salhi等及びKersual等によって記載された(17,22)。抗イディオタイプ第VIII因子キメラIgG1 R565 EMABling(登録商標)MAb及び抗CEA MAb35A7(17)が無関係の抗体として使用された。
結果
キメラ化、ヒト化、及び親和性成熟
3C23Kヒト化抗体は、マウス12G4 MAbの可変領域にそもそも由来した(Sahli等,2004年,Biochem J,Vol.37:785-793)。ヒト化手順は、CDRグラフティング(MAb h12G4)、及びランダム突然変異誘発による親和性成熟、及びファージディスプレーを含み、最終分子3C23Kをもたらした。
第1の工程において、CDRグラフティングの為のヒトテンプレート候補が、IMGT/DomainGapAlign研究プログラム(28)内のVL及びVHドメインの配列を個別に入力すること、及びサーチをIMGT/遺伝子−DB(29)内のヒト配列に制限することによって識別された。最も近いヒトVH遺伝子であるIGHV1−301は、マウスカウンターパートと67.34%の同一性を示した。この同一性は、マウス12G4 CDR−IMGTをヒトFR−IMGTにグラフティング後、92.85%まで上昇した。最も近いヒトVL遺伝子、IGK1−901は、マウスカウンターパートと62.76%の同一性を示した。但し、IMGT/GeneFrequencyツール(28)はIGK1−901は非常に頻繁には発現されないことを示唆したので、IGKV1−501が好ましかった。IGKV1−501は、12G4のVLと58.51%の同一性を有し、グラフティング後、88.29%まで増加した。
結合特性をより良好に定義する為に、クローン3C23Kが、IgG1抗体として再フォーマットされ、YB2/0細胞内で産生され、そして表面プラズモン共鳴(SPR)により分析された。3C23K抗体は、マウス12G4(K=7.9×10−10M)よりも高い結合親和性(K=5.5×10−11M)を示した。この後者の値は、MAb12G4の最初の記載において公開された数値に非常に近かった(K=8.6×10−10M)(22)。結合親和性の増加はまた、COV434−MISRII細胞を使用するフローサイトメトリーによって確認された。
YB2/0、CHO、又はHEK293細胞における3C23K生成、グリコシル化分析、及びFcγ受容体への結合に対する効果
YB2/0細胞(EMABling(登録商標)バージョン;3C23K)(27)、CHO−S細胞(3C23K−CHO)、又はHEK293(3C23K−HEK293)細胞(機能的アッセイ用のコンパレータとして使用された)内で発現された3C23Kのオリゴ糖分析は、2つの明確に異なるグリコシル化パターンを示した。フコシル化、ガラクトシル化、及び二分化GlcNAcアイソフォームのパーセンテージ(%)は、3C23Kについてそれぞれ33.0%、57.2%、及び1.8%、並びに3C23K−CHOについてそれぞれ94.6%、54.4%、及び2.0%であった。これらグリコシル化の差異がFcγRsへの結合に対する効果が、SPRにより分析された。hFcγRIIIa及びhFcγRIIIbに対する結合親和性は、フコースが低下した後、明確に高まった(3C23K−HEK293について31〜164nM及び378nMと比較して、それぞれ、3C23Kについて1〜12nM及び86.0nM)が、しかし他のFcγR(hFcγRI、hFcγRIIa、hFcγRIIb)については当てはまらなかった(下記の実施例2の表2をまた参照)。
次に、NK細胞及びマクロファージ上で主に発現される低/中親和性Fc受容体CD16との抗体相互作用を増加させる為に、3C23KがEMABling(登録商標)技法を使用してYB2/0細胞内で発現された(Siberil等,2006年,Clin Immunol Orlando Fla,Vol.118:170-179)。この特徴は、他の一般的に使用される細胞株、例えばCHO細胞、と比較して、ラットミエローマYB2/0細胞内Fut8遺伝子発現が低いことに関連する(Siberil等,2006年,Clin Immunol Orlando Fla,Vol.118:170-179)。
予想された通りに、3C23K−YB2/0は、高フコース含有3C23KよりもCD16に対して高い結合親和性を示した。
実施例2:3C23K(GM102)抗体のグリカン分析
背景:
GM102は、クローン18H2を使用して、YB2/0細胞(ラットハイブリドーマYB2/3HL)内で産生されるヒト化モノクロナール抗体である。
炭水化物部分は、重鎖のASN295に位置する。
a)GM102についてのグリカン分析結果:表2
b)PB01参照標準の特徴付け
PNGase FによるN−脱グリコシル化、そして放出された炭水化物残基のタグ化後に、UPLC−HILIC−FDによって、これらの炭水化物残基の分析が、6つの主要な炭水化物部分の存在を明らかにした:
1.非フコシル化(G0) 51.1%
2.フコシル化(G0F) 12.8%
3.モノガラクトシル化非フコシル化(G1) 10.2%
4.モノガラクトシル化フコシル化(G1F) 4.3 %
5.アグリコシル化非フコシル化(G0B) 9.9%
6.二分化GlcNAcを有するフコシル化(G0FB) 3.4%
フコシル化された残基の合計は、23%であった。
実施例3:糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物のFc受容体に対する高親和性
A.材料及び方法
表面プラズモン共鳴(SPR:Surface Plasmon Resonance)分析
抗ヒスチジン抗体(R&D Systems社)が、製造業者の指示(GE Healthcare社)に従って、EDC/NHS活性化を使用して、CM5センサーチップ上で、10μl/分の流速、HBS−EP中、25℃でT200装置上に固定された。該抗体は、フローセルFc2上に、6900RUレベルにおいて共有結合的に固定化され、そして対照参照表面(フローセルFc1)が、同一の化学処置を使用して、しかし抗His抗体無しに調製された。
Fc1及びFc2における全ての動力学的測定は、100μl/分で、HBS−EP内、25℃、T200装置上、単一サイクル滴定によって行われた。各ヒトガンマ受容体(R&D Systems社)が、固定化された抗His抗体上で、60秒間、20nMで捕捉された。5つの漸増する濃度の抗体が注入された(注入時間=120秒)。ランニングバッファー中での600秒の解離工程後、センサー表面が5μlのグリシン−HCl(pH1.7)を使用して再生された。全てのセンサーグラムは、対照参照表面及びバッファーブランク注入に由来する低シグナルを引き算することにより修正された。動力学的パラメーターが、T200評価ソフトウェアから異種リガンドモデル又は2ステートモデルを使用して、センサーグラムから評価された。
B.結果
ハイポフコシル化抗AMHRII3C23K抗体のヒトFc受容体の親和性定数(Kd)の測定の結果が、下記の表4に示されている。
親和性定数は、KD(単位:nM)として表わされている。
KDは、異種リガンドフィッティングモデルを使用して計算された。
**フィッティングが異種リガンドモデルに当てはまらなかった場合には、KD値は、2ステート反応モデルを用いて決定された。
実施例4:フコース低下型抗体(reduced fucose antibody)は、癌における、腫瘍に関連付けられたマクロファージ誘発性免疫抑制をブロックする
A.材料及び方法
イン・ビトロ(in vitro)免疫学アッセイ
T細胞増殖アッセイが下記の通り行われた。要するに、CMFDA染色されたCOV434−AMHRIIが、10μg/mlの無関係のmAb R565、又は抗AMHRII FcKO、又は抗AMHRII 3C23K mAbと共に、4℃で1時間処置され、そして染色されていないMDM2と共に4日間インキュベートされた後、MDM2:T細胞として1:8の比で、CD3/CD28 Dynabeadによって、事前に活性化された、CellTrace Violet(Molecular Probes(登録商標)、Life technologies社(商標))染色されたT細胞が添加された。4日間の追加のインキュベーション期間の後、細胞が採取され、そしてフローサイトメトリー分析前に、抗CD8 PerCP、CD11b PE−Cy7、及びCD4 AF647(BD Pharmingen(登録商標))で染色された。抗体染色前に、Fixable Viability Dye eFluor(登録商標)506(eBioscience(登録商標))染色することによって、死細胞が除外された。T細胞増殖が、細胞***に対応するCellTrace Violet希釈物の指標により、CD8+(CD11b−)Tゲート化細胞上で分析された。初期集団内の細胞が経験した細胞***の平均数に等しい***指標値が、FlowJo(TreeStar、バージョン7.6.5)を用いて計算された。初期集団内の細胞が経験した細胞***の平均数に等しい***指標値が計算された。
B.結果
腫瘍内のマクロファージはT細胞の抗腫瘍活性を抑制する、ということが明らかに確立される。マクロファージの3C23K抗AMHRII抗体との関与が、それらのT細胞抑制機能が変化させるという仮説を本発明者等は立てた。この仮説を裏付ける為に、COV434−AMHRII標的細胞が、無関係のmAb R565、抗AMHRII FcKO、又は抗AMHRII 3C23K mAbのいずれかを用いて処置され、そしてMDMと共に4日間共培養された後、CD3/CD28で事前に活性化されたPBTが添加された。CD8T細胞増殖が、フローサイトメトリーにより分析された。予想された通り、対照mAb(無関係のアイソタイプ対照R565及びFcKO抗AMHRII mAbs)の存在下で、又は処置の未実施下で、MDMはT細胞増殖に強い障害をもたらした。とりわけ、MDMを介したT細胞免疫抑制は、共培養された腫瘍細胞が3C23K抗AMHRII mAbを用いて処置された場合に、CD8T細胞の***指標値が大きく増加することにより示されるように(図1A)、有意に低下した。
腫瘍細胞はT細胞抑制機能を直接発揮することが知られているので、腫瘍細胞数の減少は、この「免疫刺激」効果を部分的に説明することができる。3C23K抗AMHRII mAbがMDMに作用し、MDMをそれほど免疫抑制的でなくすることもできるかテストする為に、腫瘍細胞を用いない実験を設計した。Inert Sphero(登録商標)ポリスチレンビーズが、腫瘍標的細胞の代替として使用された。これらのビーズは、腫瘍細胞の条件と同一条件で、mAbを用いて処置された、つまり、MDMがmAb処置ビーズと共に最初に共培養された後、活性化したPBTと共培養された。この条件では、CD8T細胞増殖は、MDMが3C23KコーティングされたSphero(登録商標)ポリスチレンビーズと共培養された場合に、部分的に復元された(図1B)。対照として、本発明者等は、MDMの非存在下で観察されたT細胞増殖が、3C23Kによって影響を受けないことをチェックした(図2)。これらの実験は、3C23KがMDMのT細胞抑制能力を直接変化させることを強く示唆している。
総じて、これらの結果は、糖鎖改変されたヒト化モノクロナール抗AMHRII抗体である3C23Kは、抗原結合部位によって腫瘍細胞を効率的に標的とすること、及びFcドメインを認識することによって、腫瘍細胞に対してプロ腫瘍促進性マクロファージ(pro-tumormacrophages)を向けられることを示す。従って、mAb活性化マクロファージは、腫瘍細胞に対してADCC及びADCPをトリガーし、そしてT細胞に対するそれらの免疫抑制的挙動を低下させた。
結果の議論
ADCC/ADCPは、mAbでの処置に応じて、マクロファージによって誘発される唯一の機構ではないとかもしれない。腫瘍関連マクロファージは、T細胞の活性化を抑制することが記載されており(Biswas等,2010年,Nat. Immunol.,Vol.11 (n°10):889-896)、及びリンパ球とマクロファージとの間の接触を示す本発明者等のデータは、両方の細胞型間の直接的な相互干渉のアイディアを裏付ける。イン・ビトロ(in vitro)アッセイを使用することによって、3C23KによるFcRの関与が、マクロファージの免疫抑制的表現型を低下させることを本発明者等は見出した。そのような条件では、事前に活性化されたT細胞は、3C23Kが存在しない場合にはブロックされたその増殖能力を取り戻す。治療用mAbが、先天的免疫細胞だけでなく、適応性免疫細胞にも関与することができるという概念は、これまでの試験と整合する。マウス腫瘍モデルにおいて、抗腫瘍抗原Abを用いて処置すると、T細胞を含め、長期生存に必要とされた細胞性免疫応答を誘発することが実証された(Montalvao等,2013年,J Clin Invest,Vol.123:5098-5103;Gul等,2014年,J clin Invest,Vol.124:812-823)。しかしながら、抗腫瘍mAbで処置された癌患者を対象として適応性免疫応答を誘発することはまだ、広範囲にわたり研究されていない。
3C23Kがマクロファージの表現型を変化させてT細胞抑制を軽減する機構は、現時点では知られていない。しかしながら、種々の仮説が想定されることができる。抗体とマクロファージにより発現されたFc受容体との相互作用は、これらの細胞の機能を調節する幾つかのシグナルカスケードをトリガーすることが示されている(Biswas等,2010年,Nat.Immunol.,Vol.11 (n°10):889-896)。本発明者等の予備的なデータは、3C23Kを用いてFcRを介して活性化されたマクロファージは、T細胞に有益な効果を発揮することが記載されているIL−1ベータ及びIL−6を含む、幾つかの炎症性サイトカイン(pro-inflammatory cytokine)を生成することを示す(Grugan等,2012年,J Immunol.,Vol.189:5457-5466)。間接的な効果がまたありうる。特に、腫瘍細胞の死は、幾つかの危険関連分子パターン分子(DAMP)、例えば先天的免疫細胞及び適応性免疫細胞を次に活性化させるカルレティキュリン、の放出をもたらすことができる(Yatim等,2017年,Nat Rev Immunol,Vol.17(n°4) :262-275)。この免疫原性細胞死を媒介する際の樹状細胞の役割は、十分に記載されている。細胞死の期間中に放出されたカルレティキュリンは、T細胞に対して有益な効果を発揮しやすいIL−6及びTNF−αを産生するマクロファージを活性化させることを証拠はまた示唆している(Duo等,2014年,Int J Mol Sci,Vol.15(n°2):2916-2928)。
実施例5:Fcを有する糖鎖改変化合物によるTAM様マクロファージの活性化
A.材料及び方法
ヒト単球由来マクロファージの調製
末梢血単核球(PBMC:Peripheral blood mononuclear cells)は、健康な血液ドナーから得られた。
PBMCは、CD14+細胞のポジティブ磁気選択を使用して古典的に分離された。単球が、10%のウシ胎仔血清が補充されたRPMI中、37℃、5%のCOで培養され、次に50ng/mLのM−CSFを4日間添加することによって、M2型マクロファージに分化させた。変換されたM2型マクロファージの表現型は、CD14高(high)CD163高(high)IL10高(high)IL12低(low)である。
抗体によるマクロファージのイン・ビトロ(in vitro)活性化
抗体、すなわちR18H2と命名されたハイポフコシル化抗AMHRII、又はFcγ受容体との結合を一切含まないそのFcKOカウンターパート、の10μg/mLの溶液が、4℃で24時間インキュベートすることによって、24ウェルプレート上に吸着された。この実験条件は、抗体がその抗原を認識した状況を模倣した。コーティングされていない抗体は、PBS溶液を用いて洗浄することによって廃棄された。次に、M2型マクロファージ(細胞10個/mLの培養培地)が、抗体でコーティングされた(又は陰性対照の場合はされない)ウェル中、37℃で、1〜3日間インキュベートされた。
抗体による活性化後のマクロファージの分析
抗体と共にインキュベートされたマクロファージが、100ng/mLのLPSによって6又は24時間刺激された後、qRT−PCR又はフローサイトメトリーによってそれぞれ分析された。PDGFα、VEGFβ、HGF、TGFβ、IDO1、IL10、Sepp1、Stab1、FOLR2、CD64a、CD64b、及びCD16a遺伝子の転写が定量され、そしてRPS18、B2M、及びEF1a遺伝子を参照として使用することによって正規化された。
発現の変化は、培養培地からのサンプルを用いて、マクロファージによって発現された膜性タンパク質についてフローサイトメトリーにより、且つ可溶性因子、例えばIL10、IL1β、又はTNFα、について典型的なELISAアッセイによって、タンパク質レベルで確認された。
B.結果
マルチウェルプレート上に吸着された抗体は、マクロファージのFcγ受容体に結合するそれらの能力に依存して、M2型マクロファージを差動的に刺激した。全体として、M2型マクロファージが抗体を一切ないウェル中で培養された際、マーカーの有意な変化は認められなかった。FcKO抗体を用いた際、それらのタンパク質とマクロファージとの非特異的結合に対応する軽微な変化のみが観察された。対照的に、マクロファージがハイポフコシル化R18H2抗体と相互作用した場合に、図3Aに示されているように、3日間のインキュベーション後に減少したM2型マクロファージの特定の典型的なマーカー、例えばSepp1、Stab1、FOLFR2、及びCD163、の明白な減少が減少した。これらの変化は、マクロファージの型が、ハイポフコシル化抗体による刺激の下で変化する可能性があることを強く示唆する。これらの変化は、抗体に結合し且つCD16(図3B)及びCD64(図3C)のようにADCC及び食作用に関与するFcg受容体の増加が伴った。
興味深いことに、ハイポフコシル化R18H2抗体との共存3日後に、M2マクロファージの培養培地において検出されたサイトカイン及び可溶性ペプチドのプロファイルは、M1マクロファージによって通常発現される炎症促進因子、例えばTNFα、IL1β(図3D)、又はIL6(データ図示せず)、の明らかな増加を明らかにした。その上、TGFβ、IDO1、及びIL10のような免疫抑制因子の減少(図3E、図3F、図3G)、並びにPDGFα、VEGFβ、及びHGFのような血管新生促進因子の減少がまた観測された(図3H、図3I、図3J)。
その上、ハイポフコシル化R18H2抗体を用いて刺激した際のM2マクロファージの表面でのPDL2発現の減少(図3Kに示されているように)は、IL10の減少と共に、これらの表現型改変型マクロファージの免疫抑制活性を減少させる傾向を示唆する。
まとめると、これらの結果は、低フコース抗体のM2マクロファージへの結合は、M2とM1との間の中間的なマクロファージ表現型へのシフトをもたらし、且つ血管新生の阻害及び免疫系の刺激を介する非直接的な抗腫瘍効果を誘発する幾つかの因子の変化を引き起こすことを示した。
実施例6:3C23K抗体は免疫抑制をブロックし、それは免疫系の活性化をもたらす
A.材料及び方法
ヒト単球由来マクロファージ(MDM:Monocyte-Derived Macrophages)の調製
末梢血単核球(PBMC)は、健康な血液ドナーから得られた(Etablissement Francais de Sang社、EFS)。
ヒト単球が、製造業者のプロトコールにより推奨されるように、ネガティブセレクション単球分離キットII(Macs Miltenyi社)を使用してPBMCから分離された。単球は、L−グルタミン(Invitrogen社)及びペニシリン/ストレプトマイシン(PS、Invitrogen社)が補充されたマクロファージ−SFM(Gibco社)中、37℃及び5%のCOで培養された。
分離された単球は、未分化のまま保持され(NS、無刺激)、又はIFN−γ(Macs Miltenyi社、100UI/ml)+LPS(100ng/ml、Sigma社)、若しくはM−CSF(Macs Miltenyi社、200UI/ml)+IL−10(Macs Miltenyi社、50UI/ml)を用いてそれぞれ刺激することによって、3日間にわたって、抗腫瘍性のマクロファージ(M1様)又は腫瘤促進性のマクロファージ(TMA様)に分化させられた。
抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC:Antibody-Dependent Cell-Mediated Cytotoxicity)アッセイ
SKOV−R2+細胞が、10μg/mLの抗AMHRII抗体:GM102(3C23K−YB20とも命名される)、3C23K−CHO、又は3C23K−FcKOと共に4℃で前処理された。標的SKOV−R2+細胞が、BATDA(ビス−アセトキシメチル−2,2’:6’,2’’−テルピリジン−6,6’’−ジカルボキシレートとともに負荷され、L−グルタミン、PS、及び10%の熱失活されたFCSが補充されたDMEM(Gibco社)中で再懸濁され、そしてエフェクター細胞(ヒトマクロファージ)に1:1の比で、37℃で4時間添加された。
ADCCは、DELFIA EuTDAに基づく細胞毒性アッセイ(PerkinElmer社)を使用することによって測定された。標的細胞とエフェクター細胞との間で4時間インキュベートされた後、上清がEu3+溶液と共にインキュベートされ、そして蛍光が測定された(Envision、PerkinElmer社)。データは、最高(トリトンで処理された標的細胞)及び最低(エフェクター細胞単独)の細胞溶解に対して正規化され、そしてシグモイド用量反応モデルに適合された。
卵巣癌腫瘍細胞株(SKOV−R2+細胞)に対するマクロファージ+抗体の細胞毒性効果のフローサイトメトリーによる評価
SKOV−R2+細胞が、CellTraceTM Violet細胞増殖キット(Molecular Probes(商標)、Life technology社)で染色され、L−グルタミン、PS、及び10%の熱失活されたウシ胎仔血清(FCS、Sigma社)が補充されたダルベッコ変法イーグル培地(DMEM、Gibco社)中で再懸濁され、そして3つの抗AMHRII抗体のそれぞれが存在する中、1:1の比で、各型のヒトマクロファージに添加された。
SKOV−R2+細胞の数及び増殖を評価する為に、前処理された又は未処理のヒトマクロファージが、3、4、及び5日間、腫瘍細胞で攻撃された。SKOV−R2+細胞数が、蛍光標識された細胞を検出することにより計算され、且つそれら増殖は、CellTrace希釈によって評価された。
10000個の細胞の集団が、各データポイントについて分析された。CellTrace希釈が、Modfitソフトウェアを使用して分析された場合を除き、全ての分析が、Divaソフトウェアを用いたBD Fortessaフローサイトメーターにおいて行われた。
ヒトマクロファージ上の受容体発現の検出によるマクロファージ分化の評価
受容体発現(CD11b、CD163、CD36、CD206、CD14、CD16、CD32、CD64、CD80、CD282)が、(i)分化させた後、及び(ii)分化させたヒトマクロファージとSKOV−R2+腫瘍細胞(異なる抗AMHRII抗体を用いて処置された)との間で3日間共培養した後に、ヒトマクロファージの膜において、フローサイトメトリーによって評価された。
受容体が、Cd11b−FITC、CD163−PE、CD36−PE、CD206−APC、CD16−VioBright515、CD64−PerCP−Vio700、CD80−PE、CD32−PE−Vio770、CD282(TLR2)−APC、CD14−APC−Vio770(Miltenyi社)を使用して検出され、そして適切なアイソタイプ対照と比較された。
10000個の細胞の集団が、各データポイントについて分析された。死細胞(陽性細胞)は、Viability Fixable Dye(生死判別染色試薬)(Miltenyi社)を用いて標識した後、分析から除去された。分析は、CD14又はCd11b陽性細胞に絞られた。全ての分析は、Divaソフトウェアを用いたBD Fortessaフローサイトメーターにおいて行われた。
Th1/Th2 T−CD4の偏り(polarization)及びT−CD8活性化
ヒトT細胞が、製造業者のプロトコールにより推奨されるように、ネガティブセレクションPanT細胞分離キット(Macs Miltenyi社)を使用してPBMCから分離された。分離後、細胞はCellTraceTM Violet細胞増殖キット(Molecular Probes(商標)、Life technology社)で染色され、L−グルタミン、PS、及び10%の熱失活されたFCSが補充されたRPMI1640媒体(Gibco社)中で再懸濁され、そしてヒトマクロファージ+SKOV−R2+腫瘍細胞(上記の異なる抗AMHRII抗体で処置された)の共培養物中に、1:8の比で、4日間添加された。
Th1/Th2 T−CD4の偏りを評価する為に、T細胞が、CD183(CD183(CXCR3)−APC、Miltenyi社)で標識され、分析はCD4陽性細胞に絞られた(CD4−VioBright FITC、Miltenyi社)。
T−CD8活性化を評価する為に、T細胞がCD183(CD183(CXCR3)−APC、Miltenyi社)及びCD25(CD25−PE、Miltenyi社)で標識され、そして分析がCD8陽性細胞に絞られた(CD8−PE−Vio770、Miltenyi社)。
T−CD4及びT−CD8細胞の増殖が、CellTrace希釈によって評価され、そして分析はCD4陽性細胞又はCD8陽性細胞に絞られた。
10000個の細胞の集団が、各データポイントについて分析された。CellTrace希釈が、Modfitソフトウェアを使用して分析された場合を除き、全ての分析が、Divaソフトウェアを用いたBD Fortessaフローサイトメーターにおいて行われた。
サイトカイン及びケモカインの生成
サイトカイン(IL−1β、IL−2、IL−6、IL−10、IL−12、IL−23、TNF−α、及びTGF−β)、及びケモカイン(CCL2、CCL4、CCL5、CXCL9、及びCXCL10)の放出が、(i)分化したヒトマクロファージの上清、(ii)分化したヒトマクロファージ及びSKOV−R2+腫瘍細胞(異なる抗AMHRII抗体で処置された)との3日間の共培養後の上清、及び(iii)この共培養物+T細胞の追加の4日間後の上清において数値化された。
サイトカイン及びケモカイン放出の定量化は、製造業者の指示に従い(AlphaLisaキット、PerkinElmer社)、AlphaLisaイムノアッセイによって測定された。
B.結果
全ての実験が、3人の異なる独立した健常ドナーからのPBMCを用いて行われた。(M−CSF及びIL−10の添加による)未分化マクロファージ又はTAM様に分化したマクロファージの存在下で測定されたADCCは、不活性な対照として使用された3C23K−CHO又は3C23K−FcKOと比較して、3C23K−YB20低フコース抗体において明らかにより高いことがわかった。TAM様におけるデータが図4Aに提示されている。この細胞溶解活性は、TAM様マクロファージと4日間共インキュベーションした後の腫瘍細胞の減少を、少なくとも部分的に説明しうる。この減少はまた、図4Bに示されているように、3C23K−CHOよりも3C23K YB20において高かった。
T細胞が、TAM様マクロファージ及び腫瘍細胞の共培養物に添加された場合に、メモリーCD8+リンパ球のパーセンテージ(%)の増加が観察された(図4C)。Th1 CD4調節性T細胞の増加傾向はまた、Th2 CD4+T細胞の減少(図4E)と並行して、同一の実験条件下で見られた(図4D)。これら全ての調節は、長期的なT細胞媒介式の抗腫瘍活性の増加に基づく。これらの全ての変化は、3C23K−CHO及び3C23K−FcKOよりも3C23K−YB20において高かった。
興味深いことに、抗AMHRII3C23K−YB20抗体の存在下で、TAM様+腫瘍細胞の共培養を行い、その媒体において検出されたサイトカイン及びケモカインのプロファイルは、T細胞の導入に関与する2つの因子であるCXCL9(図4F)及びCXCL10(図4G)の明らかな増加、及びマクロファージ導入に関与するCCL2の明らかな増加を明らかにし、一方、CCL2の基底レベルは各ドナーにおいて異なった(図4H)。その上、T細胞がこの共培養物に添加された場合、2つの炎症促進性サイトカイン、IL6(図4I)及びIL1b(図4J)の増加、並びにT細胞浸潤に関連付けられた因子であるCCL5(図4K)の増加が3C23K−YB20で検出され、また3C23K−CHO及び3C23K−FcKOよりも高かった。
まとめると、これらの結果は、腫瘍細胞+TAM様マクロファージの共培養物への3C23K−YB20の添加、次にT細胞の添加、すなわち腫瘍内の病理学的状況を模倣する条件、は、直接的な腫瘍細胞溶解及び抗腫瘍T細胞応答の活性化をもたらすことを示した。これら全ての観察所見は、試験された他の抗AMHRII抗体よりも3C23K−YB20において高かった。
興味深いことに、3C23K−YB20の好ましい効果は、TMA様マクロファージを用いた条件に限定されない。腫瘍細胞及び抗体と共培養された非刺激の(NS:non-stimulated)マクロファージを用いた類似実験がまた、炎症促進因子、例えばIL12(図4L)、IL6(図4M)、及びIL1b(図4N)の増加を、腫瘤促進性及び血管新生促進性のサイトカインであるIL23の減少(図4O)と並行して示すことを可能にした。その上、TAM様マクロファージについて上記したように、T細胞導入に関与する2つの抗血管新生ケモカインであるCXCL9(図4P)及びCXCL10(図4Q)の増加がまた観測された。これら全ての変化は、他の抗体よりも3C23K−YB20低フコース抗体において有意であった。これらの結果は、3C23K−YB20が、未分化マクロファージを介して並びにTAM様マクロファージを介してT細胞抗腫瘍活性に影響を及ぼす可能性があることを強く示唆する。
実施例7:糖鎖改変抗体を投与された癌患者の腫瘍組織中に存在するマクロファージの活性化
A.材料及び方法
同じ組織切片における複数の標的を識別する為に、TSAに基づくマルチプレックス免疫蛍光検査法が、この試験で使用される。チラミドシグナル増幅法(TSA:Tyramide Signal Amplification)は、誘導体化されたチラミドを使用する、特許取得済の触媒式レポーター沈着(CARD:catalyzed reporter deposition)技術に基づく。少量の過酸化水素の存在下で、固定化HRPは、標識された基質(チラミド)を短命で極めて反応性の中間体に変換する。次に、活性化された基質分子は、隣接するタンパク質の電子の豊富な領域と非常に急速に反応し、そしてその領域と共有結合する。活性化されたチラミド分子のこの結合は、活性性HRP酵素が結合する部位のすぐ隣でのみ生ずる。標識されたチラミドの複数の沈着が非常に短時間の(一般的に3〜10分内)うちに生ずる。標識のその後の検出が、シグナルの効率的に大規模な増幅をもたらす。この技法の長所は、同じ種内で生成された複数の一次抗体が、同一の組織スライド上で検出可能である点である。TSA−蛍光色素が析出した場合に、各反応が停止される。これは、5つの標的に達するまで反復可能である。本発明者等の研究室では、Ventana Discovery ULTRA自動スライド染色装置が、該手順を自動化する為に利用可能である。この装置は、FFPE組織スライドの効率的で再現性のあるウォークアウェイ染色(walk-away staining)を可能にする。
マルチプレックスアプリケーションにおいて、下記の表5に開示されている下記の蛍光物質が使用される:
これらの蛍光物質、二次抗体システム、及び一次抗体は、アッセイ特異的試薬を表す。染色を行う為に使用される他の全ての付随的な試薬(前処理、洗浄、及び変性バッファー)は、汎用試薬とみなされる。アッセイの制限は、入手可能な且つ使用される画像化プラットフォームによって決定される。全てのスライド画像は、使用される蛍光物質(Rhodamin6G、RED610、DCC、FAM、Cy5)を分離する為の好適なフィルターを備えた、3DHistech社製P250 Panoramicスキャナーを使用して生成される。しかしながら、スペクトル特性のために、DAPI及びDCCシグナルは、これまでに分離されることができない。従って、核の対比染色は除かれる。
マルチプレックス免疫蛍光検査法の開発が、下記のマーカー/目的の為に必要とされる:
リンパ球の為の、サイトケラチン(CK)、CD3、CD4、CD8、FoxP3
マクロファージの為の、CK、CD14、HLADR、CD206、及び/又はCD163
樹状細胞、多形核細胞、ナチュラルキラー細胞の為の、CK、CD56、CD15、グランザイム、DCランプ
免疫細胞に対するエフェクター細胞の為の、CK、CD45、CD16、CD32、及びCD64。
これら4つのマルチプレックスアッセイは、下記のラベル付で検証された:
1.抗CD3クローン2GV6、抗CD4クローンSP35、抗CD8クローンC8/144B、抗FoxP3クローンD2W8E、及び抗CKクローンカクテルAE1/AE3
2.抗CD14クローンEPR3653、抗CD68クローンKP−1、抗CD163クローンMRQ−26、抗MHC−IIクローンEPR11226、及び抗CKクローンカクテルAE1/AE3
3.抗CD16クローンSP175、ポリクロナール抗グランザイムB、抗CD8クローンC8/144B、及び抗NKp46
4.抗CD15クローンMMA、抗CD64クローン3D3、ポリクロナール抗CD206、及び抗LAMP3クローン13A205。
B.結果
GM102の第I相試験の間、幾つかの細胞型の存在が、マルチプレックス蛍光染色法及びFFPEペア化及びベースライン卵巣癌生検分析法を使用して調査された。該マルチプレックス染色は、免疫浸潤物、及び単球/マクロファージ分化の評価、及び食細胞活性を対象とした。ベースラインサンプルが、GM102の7〜15日前に生検採取され、そして第2の生検が、処置の1.5カ月後に行われた。
2例のペアの生検のみが試験された為に、GM102処置の効果は、記述式で評価されたに過ぎず、観測された現象についての統計分析は行われなかった。最初のベースラインサンプルが、免疫浸潤物の存在の変化によって特徴付けられた。この試験の最も顕著な観察所見は、GM102の単球様CD16+細胞集団(ベースライン時にすでに豊富に存在した細胞型)に対する効果である(図5A)。GM102処置の下では、CD16+染色エリアは、試験された患者において顕著に増加したが、しかしながら、それはGM102処置した際に、CD16+細胞がCD16でチャージされたかのようなCD16+細胞密度の増加によって反映されなかった。この観察所見は、CD16+細胞(エフェクター細胞(主にマクロファージ))の活性化がGM102の抗腫瘍活性に関与したことを示唆する。
更に、GM102処置の下でグランザイム(Granzyme)B発現の増加が観察された(図5B)。グランザイムBは、特にNK細胞又は細胞傷害性T細胞内に蓄えられた顆粒セリンプロテアーゼファミリーの29kDaメンバーである。細胞傷害性Tリンパ球(CTL:Cytolytic T lymphocytes)及びナチュラルキラー(NK:natural killer)細胞は、特定の標的細胞を認識し、それと結合し、及びそれを溶解する能力を共有する。それらの細胞は、細胞内病原体による感染に起因する「非自己」抗原、通常ペプチド又はタンパク質、をその表面上に有する細胞を溶解することによって、その宿主を保護すると考えられている。グランザイムBは、細胞媒介式の免疫応答において、CTLによる標的細胞アポトーシスを迅速に誘発する為に重要である(Rousalova & Krepela,2010年,Int.J. Oncol.37:1361-1378;Vaskoboinik等,2015年,Nat.rev.Immunol.15:388-400)。細胞傷害性Tリンパ球(CTL)及びナチュラルキラー(NK)細胞は、腫瘍性のウィルス感染細胞の除去における主役である。しかしながら、これらの生検において、ナチュラルキラー細胞は、NKp46により可視化されるように、散発的に認められたに過ぎないCD8+リンパ球であった。この観察所見は、GM102の処置がCD8+Tリンパ球の細胞溶解活性を誘発した臨床サンプルにおいて確認された。
実施例8:糖鎖改変抗体を投与された癌患者内のNK細胞、単球、及びICOS+T細胞の活性化
A.材料及び方法
GM102の第I相試験において、4時点での5mLの血液のサンプリングが、漸増コホートの各患者について計画された。該時点は、1日目の初回GM102注入の前(C1J1−SOIと命名される)、及び初回GM102注入終了時(C1J1−EO1と命名される)、15日目の第2回GM102注入前(C1J15−SOI)、及び定常状態、すなわち57日目の第2回28日サイクルの終了時(C3J1−SOI)である。
科学的探索の目的の為に、幾つかの異なるマーカーが、本試験の各臨床現場でモニタリングされた。
Gustave Roussyでは、5人の患者が含まれた。LIO(Laboratoire d’Immunomonitoring en Oncologie)が、下記の表6に詳述されるように、合計15のサンプルを受領した。
SOI(Start Of Infusion):注入の開始;EOI(End Of Infusion):注入の終了
*サンプルは、2017年2月9日にEOIにおいて採取され、そして翌日、LIOにて受領された。
**サンプルは、2017年5月29日にEOIにおいて採取され、そして翌日、LIOにて受領された。
全ての受領サンプルが分析された。PBMCが全てのサンプルから分離され、そして液体窒素タンク中のGamamabs−GM102試験専用ボックス内に保管され、アクセスは承認された職員に限定された。使用された全ての材料が下記の表7、8、及び9に詳述されている:
PBMCが、下記の手順に従って分離された:
1. Aniosを用いて血液チューブを拭き取ることによって、該血液チューブを殺菌する。
2. 15mLのフィコールを事前充填された50mLチューブを取り出し、35mLの希釈された血液を、フィコール上に混合しないようにゆっくりと積層する−2層は明確に分離されていること。(それ以外の体積の場合、希釈血液:フィコールの比を約2/3に維持する)。
3. チューブを密閉し、400g、室温(RT)で20分間、遠心分離する、ブレーキはOFF。
4. 無菌の単回使用の10mLピペットを使用して単核球層(リング)を回復させ、新しい50mLチューブに移す(任意的に:上部相は、リングを回復させる前に廃棄されることができる)。
5. PBSを最大50mL添加し、そして800RPM、15℃で15分間、遠心分離する。
6. ピペットを使用して速やかに上清を取り出し、底部に至る前の3mLで停止する。
7. 衝撃を与えてペレットを再懸濁する。
8. 50mlのPBSを残りの細胞ペレット上に添加し、混合して完全に再懸濁する。
9. 300g、15℃で10分間遠心分離する。
10.チューブを外して、1又は2mLのPBSを添加して細胞をカウントする。
PBMCは、下記の手順に従って保管された:
1. 96ウェルプレート内に90μLのBlue Hayemを配置し、10μLの予め再懸濁されたペレットを添加して、PBMCのみをカウントする。
2. 96ウェルプレート内に90μLのBlue Trypanを配置し、10μLの予め再懸濁されたペレットを添加して、生存細胞のみをカウントする。
3. Malassezのスライド上で細胞をカウントし、5〜10百万個の生存細胞をハイクローン中で凍結する(1mL/クライオチューブ(cryotubes))。
4. クライオチューブを「Mr Freeze」ボックス内に配置し、それを少なくとも24時間、−80℃に置いた後、それをGamamabs−GM102のボックス内の窒素タンク中に移す。
血液免疫表現型の決定が、下記の表10〜表17に記載されている下記の手順及びマーカーを用いてフローサイトメトリーによって行われた。
B.結果
上記の各マーカーが、処置に沿って測定及び分析された。テストされた5人の患者において、循環細胞(Ncell、単球、好中球、好酸球、及びT細胞CD4+、CD8+、及びTreg)の主要な免疫集団について有意な変化は識別されなかった。
幾つかのマーカーが、単球及びNK細胞の活性化を示唆した。GM102の注入の間に減少した後、CD16発現の有意な増加が、C1J1−EOI〜C1J15でNK細胞で観察された(図:6A)。統計的に有意でない増加傾向がまた、単球上でのCD69発現で観測された(図:6B)。その免疫調節的な役割は不明なままであるが、CD69発現は、免疫細胞活性化後に増加することが知られている(Sancho等,2005年,Trends in Immunology,Vol.26(3):137-140)。これらの増加は、単球及びNK細胞の活性化の兆候として解釈されうる。
興味深いことに、主要且つ有意な変化は、C1J1−EOI〜C1J15において、T細胞上でのICOS発現が増加したことであった(図:6C)。ICOSは、T細胞の活性化に関与する受容体であり(Yao等,2013年,Nature Reviews,Vol.12:130-146;Mahoney等,2015年,Nature Reviews,Vol.14:561-584)、且つそれは、免疫学的チェックポイントの阻害剤である抗CTLA4抗体(イピリムマブ)の薬力学的マーカーとして知られている(Tang等,2013年,American association for cancer Research Journal,Vol.1(4):229-234)。それ故に、この増加は、GM102が免疫抑制を逆転させることができることを患者で確認する。
実施例9:循環性単球に対するGM102の効果
A.材料及び方法
GM102の第I相試験において、4時点での5mLの血液のサンプリングが、漸増コホートの各患者について計画された。該時点は、1日目の初回GM102注入の前(C1J1−SOIと命名される)、及び初回GM102注入終了時(C1J1−EO1と命名される)、15日目の第2回GM102注入前(C1J15−SOI)、及び定常状態、すなわち57日目の第2回28日サイクルの終了時(C3J1−SOI)である。
科学的探索を目的の為に、幾つかの異なるマーカーが、本試験の各臨床現場でモニタリングされた。
ヒトPBMCが、Lymphoprep(Abcys社)上で、密度勾配遠心分離法によって血液から分離された。リンパ球集団の浸潤及びその活性化について、PBMCが下記の抗体で標識された:CD45−VioGreen、CD3−VioBlue、CD4−APCVio770、CD8−PerCP、CD25−PE、CD56−APC、CD19−PEVio770、及びCD69−FITC(Myltenyi Biotec社)。
血中単球について、典型的、中間的、及び非典型的集団が、下記の抗体を用いて評価された:CD45−VioGreen、CD16−PE、及びCD14−PerCPVio700(Myltenyi Biotec社)。適切な蛍光色素適合アイソタイプ抗体が、非特異的なバックグラウンド染色を決定する為に使用された。全ての染色は、100μLのPBS−/−1%の熱失活されたウシ胎仔血清において行われた。10000個の細胞の集団が、各データポイントについて分析された。全ての分析が、Divaソフトウェアを用いたBD Fortessaフローサイトメーターにおいて行われた。
B.結果
3C23Kの第1回注入前のT細胞、NK細胞、及び単球のパーセンテージ(%)は患者間で異なることがわかり、患者間の様々な免疫能力を示す。処置の期間中及びその後に、T細胞及びNK細胞集団において顕著な変化は観察されなかった。対照的に、単球サブセットにおいて変化が観察された。
ヒト血中単球は不均質であり、CD14及びCD16発現に基づき慣用的に3つのサブセットに細分化される。《典型的単球》(CD14高(high)CD16−)は、健常ドナーの全単球の90〜95%を占める一方、《非典型的》(CD14低(low)CD16+)、及び《中間的》(CD14高(high)CD16+)集団が占める割合はそれよりも低い(5〜10%)。
卵巣腺癌の患者4人のうち3人において、該患者における「典型的単球」の割合が健康な患者と比較して、第1回注入前に大きく減少した(平均値=37.5%)。この現象は卵巣癌を有する患者において通常認められた。その結果、第1回注入前の中間的単球の割合は、健常ドナーと比較して、卵巣腺癌を有する患者において増加した(平均値=46.5%)。
興味深いことに、図7における患者04−06において例示されているように、3C23Kを用いた処置の間及びその後のパーセンテージ(%)尺度は、患者における中間的単球サブセットの割合の減少を伴う典型的単球サブセットの大幅な増加を明らかにした(平均値はそれぞれ54.6%及び30.5%)。単球サブセットのそのような変化はまた、Institut Bordetにおいて、同一のプロトコールに基づいて試験された4人の患者の血液サンプルにおいて観察された。これらの変化は、単球の表現型の改変の兆候である。免疫チェックポイント阻害剤に応じて、単球部分集団が変化し、リンパ球の活性化をもたらすこと(阻害性シグナルのブロックによる)(Krieg C.,Nowicka M.,Guglietta S.,Schindler S.,Hartmann F.J.,Weber L..M等,(2018年). High-dimensional single-cell analysis predicts response to anti-PD-1 immunotherapy.Nat Med.24,144-153)が最近記載された。本発明者等のデータは、3C23Kがまた、免疫チェックポイントに一切結合することなしに、単球サブセットの割合を改変することができ、従ってリンパ球を活性化させることができることを示す。

Claims (14)

  1. 癌関連免疫抑制の処置における免疫抑制阻害剤としての使用の為の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物。
  2. ハイポフコシル化Fcフラグメント担持化合物からなる、請求項1に記載の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物。
  3. 配列番号70の2つのアミノ酸鎖を有する、請求項1又は2に記載の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物。
  4. 糖鎖改変抗体である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物。
  5. 前記糖鎖改変抗体が、腫瘍抗原に対して向けられたものである、請求項4に記載の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物。
  6. 前記腫瘍抗原が、HER2、HER3、HER4、及びAMHRIIからなる群から選択される、請求項5に記載の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物。
  7. 前記糖鎖改変抗体が、
    (i)下記を含む、糖鎖改変された3C23K抗AMHRII抗体:
    a)配列番号2を含む軽鎖及び配列番号4を含む重鎖(リーダーを有さない3C23 VL配列及びVH配列);
    b)配列番号6を含む軽鎖及び配列番号8を含む重鎖(リーダーを有さない3C23K VL配列及びVH配列);
    c)配列番号10を含む軽鎖及び配列番号12を含む重鎖(リーダーを有さない3C23 軽鎖及び重鎖);
    d)配列番号14を含む軽鎖及び配列番号16を含む重鎖(リーダーを有さない3C23K 軽鎖及び重鎖)、
    (ii)i)配列番号63の重鎖可変領域と(ii)配列番号64の軽鎖可変領域とを含む抗HER3 9F7F11糖鎖改変抗体、
    (iii)(i)配列番号65の重鎖可変領域と(ii)配列番号66の軽鎖可変領域とを含む抗HER3 H4B121糖鎖改変抗体、並びに、
    (iv)(i)配列番号67の重鎖可変領域と(ii)配列番号68の軽鎖可変領域とを含む抗HER4 HE4B33糖鎖改変抗体、
    からなる群から選択される、請求項4〜6のいずれか1項に記載の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物。
  8. 前記癌処置が、個体に、抑制性免疫チェックポイントタンパク質阻害剤をさらに投与することを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物。
  9. 前記抑制性免疫チェックポイントタンパク質阻害剤が、PD−1、PD−L1、PD−L2、BTLA、CTLA−4、A2AR、B7−H3(CD276)、B7−H4(VTCN1)、IDO、KIR、LAG3、TIM−3及びVISTAの阻害剤からなる群から選択される、請求項8に記載の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物。
  10. 前記阻害剤が、前記抑制性免疫チェックポイントタンパク質に対して向けられた抗体、又はその抗原結合性フラグメントからなる、請求項9に記載の、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物。
  11. (i)請求項1〜10のいずれか1項に記載された、糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物、及び(ii)抑制性免疫チェックポイントタンパク質阻害剤を含む医薬組成物。
  12. 前記糖鎖改変されたFcフラグメントを有する化合物が、請求項6又は7に記載された、腫瘍抗原に対して向けられた、糖鎖改変抗体である、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 前記抑制性免疫チェックポイントタンパク質阻害剤が、PD−1、PD−L1、PD−L2、BTLA、CTLA−4、A2AR、B7−H3(CD276)、B7−H4(VTCN1)、IDO、KIR、LAG3、TIM−3及びVISTAの阻害剤からなる群から選択される、請求項11又は12に記載の医薬組成物。
  14. 前記抑制性免疫チェックポイントタンパク質阻害剤が、前記抑制性免疫チェックポイントタンパク質に対して向けられた抗体、又はその抗原結合性フラグメントからなる、請求項11〜13のいずれか1項に記載の医薬組成物。
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