JP2020510683A - 新規抗菌製剤 - Google Patents

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Abstract

本発明は、本明細書で定義される式IA、IB、およびICの新規抗菌化合物を提供する。任意選択的に、抗菌化合物は、細菌細胞膜上の1つ以上の構造物に結合することができる送達薬剤に結合することができる。本発明はまた、細菌感染の治療または予防におけるそのような化合物の使用、およびそれらの合成プロセスを提供する。【化1】【選択図】なし

Description

本発明は、抗菌活性を有する一連の新規化合物、および該化合物の作製方法に関する。該化合物は、天然のデプシペプチド抗菌薬テイクソバクチンの容易に入手可能な合成類似体として開発された。新規化合物は強力な抗菌活性を示し、細菌感染の治療および予防に役立ち得る。新規化合物は、細菌細胞の特定の成分に結合できる送達薬剤に共有結合することもでき、抗菌化合物を固定し、その有効性を高めるのに役立つ。
現在、抗菌薬の長期使用に起因する多剤耐性菌の世界的な蔓延に直面している。抗菌薬の過剰利用および不十分な処方慣行により、最適濃度未満の抗菌薬への曝露が可能になり、細菌の環境耐性メカニズムの進化を可能にした。
したがって、特に既存薬剤に対して耐性のある細菌において、望ましくない細菌増殖に対処するための新規化合物および戦略を継続して開発する必要性がある。
テイクソバクチンは、新しい作用機序を介して作用する、近年発見されたデプシペプチド抗生物質である(Ling L.L et al.,Nature,2015,517,455−459)。テイクソバクチンは、必須の細胞壁成分の前駆体に結合することにより、細菌の細胞壁合成を阻害する。そのため、細胞内タンパク質標的で作用する抗菌薬よりもかなり遅い速度で耐性を誘発する可能性が高い。
テイクソバクチンの異常な構造は、D−アミノ酸残基およびL−アロ−エンズラシジジン(enduracididine)残基を含む。商業規模でのテイクソバクチンの製造は、1つにはL−アロ−エンズラシジジン残基の存在が原因で困難かつ高価である。
テイクソバクチンのさまざまな類似体は、Wu C.,et al.,RSC Adv.,2017,7,1923−1926、Yang H.,et al.,ACSChem.Biol.2016,11,1823−1826、Abdel Monaim S.A.H.,ACS Omega2016,1,1262−1265、Parmar A.,et al.,Chem.Commun.2017,53,2016−2019、Parmar A.,et al.,Chem.Commun.2016,52,6060−6063、Jad Y.E.,et al.,Org.Lett.,2015,17(24),pp6182−6185、およびYang H.Chem.Commun.,2017,DOI:10.1039/C7CC00783C advanced online publicationなどの文献に記載されている。
本発明者らは、容易にアクセス可能であり強力な抗菌活性を示す、新規のさまざまなテイクソバクチンの類似体を発見し、それらの合成のための確固としたプロセスを開発した。
本明細書における明らかに以前に発行された文書の列挙または考察は、必ずしも、その文書の開示によって、先端技術の一部であるか、一般共通の知識であると認識されるべきではない。
本発明の第1の態様によれば、式IA、IB、もしくはICの化合物、
またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは包接化合物が提供され、式中、
は、H、C1−6アルキル、C1−6アシル、ベンジルまたはベンゾイルを表し、
AA、AA、およびAA〜AAは、それぞれ独立して、アミノ酸(タンパク質構成アミノ酸または非タンパク質構成アミノ酸を含む)を表し、
AAおよびAAは、それぞれ独立して、アミノ酸(タンパク質構成アミノ酸または非タンパク質構成アミノ酸を含む)、ジアミノプロパン酸、ジアミノブタン酸、またはオルニチンを表し、
は、水素またはC1−4アルキルを表し、
9a、R9b、およびR9Cは、アミノ酸側鎖(タンパク質構成アミノ酸またはタンパク質構成アミノ酸の側鎖を含む)、−CH−NH、−(CH−NH、または
−(CH−NHを表し、
10aは、式−L−L−L−Xのフラグメント、疎水性タンパク質構成アミノ酸側鎖、疎水性非タンパク質構成アミノ酸側鎖、極性非荷電アミノ酸側鎖、負荷電アミノ酸側鎖、水素を表すか、あるいはR10aは、隣接する窒素原子に連結してプロリン環を形成し、
11aは、アミノ酸側鎖(タンパク質構成アミノ酸または非タンパク質構成アミノ酸の側鎖を含む)を表し、
Zは−O−または−NH−であり、
は、直鎖または分岐鎖のC1−12アルキレンリンカーを表し、
は、−O−、−N(X)−、−[N(X−、−C(O)−、−OC(O)−、−C(O)O−、−NHC(O)−、−C(O)N(X)−、−OC(O)N(X)−、−NHC(O)O−、または−NHC(O)N(X)−からなる群から選択され、
は、水素または−L−Xを表し、
は、直接結合または直鎖もしくは分岐鎖のC1−12アルキレンリンカーを表し、
各Xは独立して、−C(O)−C1−12アルキル、−C(O)−NH、−C(S)−NH、式Qのフラグメント、および1つ以上のX置換基で任意選択的に置換されたC1−12アルキル基からなる群から選択され、
式Qのフラグメントは次式であり、
式中、Qは、CHまたはNのいずれかを表し、QはO、SまたはNHを表し、
各Xは独立して、−NH、−OH、−NHC(O)NH、−NHC(S)NH、−NHC(=NH)NH、または3〜12員のヘテロシクリル基を表すか、
あるいは−L−L−Xが一緒に式Qのフラグメントを表し、
10bは、アミノ酸側鎖、−C1−6アルキル−NH基、−C1−6アルキル−NH−C(=NH)−NH基、または式−L−L−L−X(式中、L、L、LおよびXは上で定義したとおりである)のフラグメントを表し、
11bは、−C(O)NHを表し、
は−CH−SHを表し、Rは−CH−NH、−(CH−NH、−(CH−NH、またはスレオニン、システイン、セリン、リジン、チロシン、アスパラギン酸、グルタミン酸からなるリストから選択されるアミノ酸の側鎖を表し、
およびRは連結して連結基を形成し、
連結基は−C1−6アルキレン−Q−C1−6アルキレン基であり、Qは−O−、−OC(O)−、−C(O)O−、−C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)−、−S−、−S−S−、および−C(O)−からなるリストから選択される官能基を表し、R’はHまたはC1−4アルキルを表し、
連結基のC1−6アルキレン基は直鎖アルキレン基であり、直鎖アルキレン基は同じでも異なっていてもよく、−OH、−SH、−SC1−4アルキル、−OC1−4アルキル、−NH、−C(O)OH、−C(O)−NH、−C(O)OC1−4アルキル、およびC1−4アルキル基からなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換され、後者の基(すなわち、C1−4アルキル基)が、−OH、−SH、−SC1−4アルキル、−NH、−C(O)OH、−C(O)−NH、−C(O)OC1−4アルキル、およびフェニルからなるリストから選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換され、
10cは、アミノ酸側鎖またはL−アロ−エンズラシジジン基を表し、
11cはアミノ酸側鎖を表し、
式ICの化合物の場合、AA〜AAのうちの少なくとも1つは、式−NH−CH(R)−C(O)−のアミノ酸で置換され、および/またはR9cおよびR11cのうちの少なくとも1つは、代替的にRを表し、Rは、上で定義した式−L−L−L−Xのフラグメントを表し、
任意選択的に、式IA、IB、またはICの化合物は、細菌細胞膜上の1つ以上の構造に共有結合できるか、または細菌細胞膜上の1つ以上の構造物に別の方法で結合できる親水性部分を含むかのいずれかである送達薬剤に共有結合している。
そのような化合物、塩、溶媒和物、および包接化合物は、本明細書で「本発明の化合物」と言及される。
「薬学的に許容される塩」とは、医薬品での使用に適した酸付加塩または塩基付加塩を意味する。そのような塩は、従来の手段によって、例えば、本発明の化合物の遊離酸または遊離塩基形態と、1当量以上の適切な酸または塩基とを、任意選択的に溶媒中、または塩が不溶である媒体中で反応させ、次いで、標準的な技法を使用して(例えば、真空下、凍結乾燥または濾過によって)、該溶媒または該媒体を除去することによって形成されてもよい。塩はまた、例えば適切なイオン交換樹脂を使用して、塩の形態の本発明の化合物の対イオンを別の対イオンと交換することによって、調製されてもよい。
薬学的に許容される付加塩の例には、塩酸、臭化水素酸、リン酸、メタリン酸、硝酸、および硫酸などの鉱酸由来、酒石酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸、安息香酸、グリコール酸、グルコン酸、コハク酸、およびアリールスルホン酸などの有機酸由来、ナトリウム、マグネシウム、もしくは好ましくは、カリウムおよびカルシウムなどの金属由来のものが含まれる。特に好ましい塩には、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸、および酒石酸由来のものが含まれる。
「溶媒和物」とは、関連化合物(例えば、式IA、IB、またはICの化合物)が1つ以上の溶媒分子と結合している固体形態を意味する。溶媒和物という用語には、薬学的に許容される溶媒の水和物および他の溶媒和物が含まれる。溶媒和物形成に好ましい溶媒はDMSOである。
「クラスレート」とは、関連化合物(例えば、式IA、IB、またはICの化合物)が格子構造内にゲスト分子(例えば、薬学的に許容される溶媒)を含む格子を形成する、固体形態を意味する。
「アミノ酸」および「残基」(例えば、D−フェニルアラニン「残基」)とは、ポリペプチド鎖に存在し、次式:
で表されるアミノ酸の脱水部分を意味し、式中、S.C.はアミノ酸側鎖を表す。誤解を避けるために、「アミノ酸」という用語には、特に明記しない限り、非タンパク質構成アミノ酸が含まれる。
「アミノ酸側鎖」または「アミノ酸の側鎖」とは、αアミノ酸のカルボキシル基およびアミノ基の位置αに結合した基を意味し、非タンパク質構成αアミノ酸および特にタンパク質構成アミノ酸を含む。当業者は、最も一般的な天然アミノ酸がその自明な名前で知られており、これらのアミノ酸に存在する側鎖基を知っていることを理解するだろう。
「タンパク質構成」アミノ酸は、生物の遺伝暗号で自然にコードされているか、自然に見られる22個のアミノ酸である。「非タンパク質構成」アミノ酸は、生物の遺伝暗号に自然にコードされていないか、発見されていないものである。一連の非タンパク質構成アミノ酸には、通常、アミン(−NH)およびカルボン酸(−COOH)官能基と、単一の追加炭素原子を介して連結したすべての有機化合物、ならびにその単一の追加炭素原子に結合した側鎖および水素を含むとみなされるが、セレノシステイン、ピロリジン、および翻訳中にタンパク質に組み込まれる20個の標準アミノ酸は除く。非タンパク質構成アミノ酸には、生合成の中間体であるアミノ酸、翻訳後にタンパク質で形成されるアミノ酸、および生理学的役割を有するアミノ酸(例えば、細菌細胞壁、神経伝達物質、および毒素の成分)が含まれる。疎水性の非タンパク質構成アミノ酸側鎖への言及は、アミノ酸骨格に結合することができる疎水性側鎖(特に、極性基の非存在下で主にアルキル基および/またはアリール基から形成されるもの)への言及である。極性非タンパク質構成アミノ酸側鎖への言及は、アミノ酸骨格に結合することができる極性側鎖(特にヒドロキシル基またはアミド官能基を含むもの(例えば、1つ以上の該基が、直鎖、分岐、環状、または部分環状C1−8アルキレン基))への言及である。
およびQなどのさまざまな構造的特徴は、分子の2つの別々の部分の間にブリッジを形成する連結基を表す。いずれの場合も、このような連結基には−OC(O)−が含まれる。Lの場合、そのような連結基の左側のハイフンはLへの結合点を表し、そのような連結基の右側のハイフンはLへの結合点を表す。Qの場合、そのような連結基の左側のハイフンは、Rの炭素原子に結合しているアルキレンリンカーへの結合点を表し、そのような連結基の右側のハイフンは、Rの炭素原子に結合しているアルキレンリンカーへの結合点を表す。
送達薬剤は、以下に定義するとおり、式II〜Xの送達薬剤フラグメントであってもよく、分子上の任意の位置で式IA、IB、またはICの化合物に共有結合されてもよい。したがって、誤解を避けるために、送達薬剤は、上に列挙した置換基のすべての定義に含まれてもよく、アミノ酸残基AA〜AAのいずれか1つなどの、分子の他の任意の領域に付加されてもよい。送達薬剤の最適な結合点は、当業者によって決定されてよい。
送達薬剤の好ましい結合点は、ペプチド配列のN末端である。したがって、一実施形態では、Rは送達薬剤でもあり得る。式IA(およびIAA)の化合物の場合、送達薬剤の他の好ましい結合点には、R9a、R10a、およびR11aで表される基が含まれる。式IBの化合物の場合、送達薬剤の他の好ましい結合点には、R9b、R10b、およびR11bで表される基が含まれる。式ICの化合物の場合、送達薬剤の他の好ましい結合点には、R9c、R10c、およびR11cで表される基が含まれる。
特に明記しない限り、本明細書で定義されるアルキル基およびアルコキシ基は直鎖であってもよく、または十分な数(すなわち、最低3個)の炭素原子がある場合、分岐鎖および/または環状であってもよい。さらに、十分な数(すなわち、最低4個)の炭素原子が存在する場合、そのようなアルキル基およびアルコキシル基は部分的に環状/非環状であってもよい。そのようなアルキル基およびアルコキシル基は飽和されていてもよく、または十分な数(すなわち、最低2個)の炭素原子が存在する場合、不飽和であってもよい。特に明記しない限り、アルキル基およびアルコキシ基は、1つ以上のハロ、特にフルオロ原子で置換されてもよい。
特に明記しない限り、本明細書で定義されるアルキレン基は直鎖であってもよく、または十分な数(すなわち、最低2個)の炭素原子がある場合、分岐鎖であってもよい。そのようなアルキレン基は飽和されていてもよく、または十分な数(すなわち、最低2個)の炭素原子が存在する場合、不飽和であってもよい。特に明記しない限り、アルキレン基は1つ以上のハロ原子で置換されていてもよい。
用語「アリール」は、本明細書で使用される場合、フェニル、ナフチルなどのC6−10アリール基を含む。置換される場合、アリール基は、好ましくは1〜3個の置換基で置換される。
本明細書で使用される「アシル」という用語は、残余分子の部分への結合点を形成する炭素に結合したカルボニル基を有するアルキル基を指す。
キラル中心の立体化学が本明細書で明示的に定義されていない場合(すなわち、くさび形/破線結合の使用により)、立体中心はR−配置またはS−配置、または両方の配置の混合で存在し得ることを理解するべきである。
当業者は、本明細書における本発明の特定の態様へのすべての言及が、本発明のその態様を構成するすべての実施形態および1つ以上の実施形態の組み合わせへの言及を含むことを認識するだろう。したがって、本発明の特定の態様のすべての実施形態を、本発明のその態様の1つ以上の他の実施形態と組み合わせて、本発明の教示から逸脱することなくさらなる実施形態を形成することができる。
本発明の一実施形態では、Zは−O−を表す。例えば、本発明の化合物は、式IAAの化合物であり得る:
本発明の一実施形態では、特に本発明の化合物が式IA(またはIAA)の化合物である場合、R10aは、式−L−L−L−Xのフラグメントを表す。
は、好ましくはC1−6、より好ましくはC1−4直鎖または分岐鎖のアルキレンリンカー(例えば、エチレンまたはn−ブチレン)を表す。
は、好ましくは、−O−、−NH−、−N(X)−、−[N(X−、−OC(O)−、−C(O)O−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、−OC(O)NH−、−NHC(O)O−、および−NHC(O)NH−からなる群から選択される。より好ましくは、Lは、−NH−、−N(X)−、特に−OC(O)−、−C(O)O−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、−OC(O)NH−、および−NHC(O)O−からなる群から選択される。
は、好ましくは直接結合または直鎖もしくは分岐鎖のC1−6アルキレンリンカーを表す。より好ましくは、Lは、直接結合または直鎖C1−6アルキレンリンカーを表す。
一実施形態では、各Xは独立して、−C(O)−C1−12アルキル、−C(O)−NH、−C(S)−NH、式Qのフラグメント、および1つ以上のX置換基で置換されたC1−12アルキル基からなる群から選択される。本発明の特に好ましい実施形態では、Xは、式Qのフラグメント、または1つ以上(例えば、2個)のX置換基で置換されたC1−12アルキル基のいずれかを表す。本発明のさらに好ましい実施形態では、Xは、式Qのフラグメント、または少なくとも2つのX置換基で置換されたC1−6(例えばC1−3)アルキル基のいずれかを表す。複数のX基が存在する化合物は、細菌を阻害または殺滅するのに特に効果的であることがわかっている。
が式Qのフラグメントを表し得る実施形態(特に、Xが式Qのフラグメント、または1つ以上(例えば2個)のX置換基で置換されたC1−12アルキル基のいずれかが存在するもの)では、Qは好ましくはNを表す。
一実施形態では、各Xは独立して、−NH、−OH、−NHC(O)NH、−NHC(S)NH、−NHC(=NH)NH、またはOおよびNから選択される1個または2個のヘテロ原子を含む3〜6員の芳香族、飽和した複素環もしくは部分的に飽和した複素環を表す。好ましくは、該ヘテロシクリル基は、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリジニル、テトラヒドロフラニル、ピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、ピロリル、フラニル、ピラゾリル、イミダゾリル、およびオキサゾリルから選択され、最も好ましいのはピリジンである。より好ましくは、各Xは独立して−NHまたは−OHを表す。
好ましい実施形態では、R10aは、少なくとも2つの末端グアニジニル、尿素、チオ尿素、アミノ基および/またはヒドロキシル基(例えば、少なくとも2つのX基)を含むペンダント基である。例えば、R10aは、−L−N(X、−L−[N(X(式中、Aは、適切な化学量論のハロゲン化物、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、酢酸塩などの好適なアニオンである)、または−L−L−L−C1−6アルキル(該C1−6アルキルは2つのX基で置換される)を表すことができる。特に好ましい実施形態では、R10aは、少なくとも3つの末端グアニジニル、尿素、チオ尿素、アミノ基および/またはヒドロキシル基(例えば、少なくとも3つのX基)を含むペンダント基である。別の好ましい実施形態では、R10aは、−C1−4アルキレン−N(Xまたは−C1−4アルキレン−L−C1−6アルキル(該C1−6アルキルは2つのX基で置換される(任意選択的に、Lは−NH−、−NHC(O)−、または−NHC(O)Oを表す))を表す。上述の実施形態では、Xは、好ましくは、1つ以上のX置換基で任意選択的に置換されたC1−4アルキル基を表す。また、そのような実施形態(Xが1つ以上のX置換基で任意選択的に置換されたC1−4アルキル基を表すものも含む)では、Xは、好ましくは4〜6員のヘテロシクリル基(ピリジン、ピペリジン、ピロール、またはピロリジンなど)を表し、より好ましくは、−NH、−OH、−NHC(O)NH、−NHC(S)NH、または−NHC(=NH)NHを表す。
さらに好ましい実施形態では、R10aは、環状チオ尿素、環状尿素、または環状グアニジンを含むペンダント基である。例えば、R10aは、X(または−L−L−X)が式Qのフラグメントを表す−L−L−L−Xを表す。このような実施形態では、Q1は、好ましくはNを表す。
10aで表される特に好ましい基には、以下に示すものが含まれる:
10aにより表され得る他の好ましい基は、−L−N(Xおよび
−L−[N(Xを含み、−N(Xは以下を表し:
式中、波線はLへの結合点を表す。
10aは、疎水性アミノ酸側鎖、疎水性非タンパク質構成アミノ酸側鎖、極性非荷電アミノ酸側鎖、負荷電アミノ酸側鎖、水素を表すか、あるいはC−R10aは、隣接する窒素原子に連結してプロリン環を形成し得る(すなわち、式IA(またはIBもしくはIC)の化合物中の−N(H)−C(R10A)−フラグメントが
を表すように修飾される)。R10aに関連して言及され得る適切なアミノ酸側鎖には、タンパク質構成アミノ酸疎水性側鎖(アラニン(すなわちメチル基)、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、およびトリプトファンのものなど)、非タンパク質構成アミノ酸疎水性側鎖(C2−12アルキル(例えば、エチル、n−プロピル、シクロプロピル、プロペニル、n−ブチル、tert−ブチル、シクロブチル、ブテニル、ペンチル、シクロペンチル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、またはオクチル)、C1−12アルキルチオメチル、フェニル、ナフチル、ビフェニル、トルイル、またはトルイルメチル)、極性非荷電側鎖(セリン、スレオニン、アスパラギン、およびグルタミンのものなど)、負荷電側鎖(アスパラギン酸およびグルタミン酸のものなど)、およびその他(システイン、セレノシステイン、グリシン、およびプロリンなど)が含まれる。R10a基が、水素、または好ましくは疎水性側鎖(タンパク質構成疎水性アミノ酸側鎖または非タンパク質構成疎水性アミノ酸側鎖いずれかを含む)である式IA、IB、およびICの化合物は、細菌を阻害または殺滅するのに驚くほど効果的であることがわかっている。したがって、好ましい実施形態では、R10aは疎水性側鎖である。最も好ましくは、R10aはL−配置の疎水性側鎖である。言及され得る特定の疎水性側鎖には、C1−6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、ヒドロキシフェニル、ベンジル、インドリルメチル、およびCHSCHCH−)が含まれる。
本発明の一実施形態では、Rは、H、C1−6アルキル、C1−6アシル、ベンジル、ベンゾイル、または送達薬剤(例えば、以下に定義される式II〜Xのフラグメント)を表す。好ましくは、Rは、式II〜Xの送達薬剤フラグメントを表さない。すなわち、Rは、H、C1−6アルキル、C1−6アシル、ベンジル、またはベンゾイルを表す。
別の実施形態では、Rは、以下に定義される式II〜Xの送達薬剤フラグメント、好ましくは、H、C1−4アルキル、C1−4アシル、ベンジルまたはベンゾイルを表す。
さらなる実施形態では、Rは、以下に定義される式II〜Xの送達薬剤フラグメント、最も好ましくは、H、メチル、もしくはアセチルを表す。
特定の実施形態では、AA、AA、およびAA〜AAは、それぞれ独立して、タンパク質構成アミノ酸を表し、AAおよびAAは、それぞれ独立して、タンパク質構成アミノ酸、ジアミノプロパン酸、ジアミノブタン酸、またはオルニチンを表す。
本発明の化合物は、テイクソバクチンの類似体として提案される。したがって、AA〜AAで表されるアミノ酸の配列がテイクソバクチンにおいて対応するアミノ酸配列に構造的に類似でしていることが好ましい。したがって、本発明の実施形態では:
AAは、L−またはD−フェニルアラニン残基を表してもよく、
AAは、L−またはD−イソロイシン残基を表してもよく、
AAは、L−またはD−セリン残基を表してもよく、
AAは、L−またはD−グルタミン残基を表してもよく、
AAは、L−、L−アロ−、D−またはD−アロ−イソロイシン残基を表してもよく、
AAは、L−またはD−イソロイシン残基を表してもよく、ならびに/あるいは
AAは、L−またはD−セリン残基を表してもよい。
驚くべきことに、AA、AA、およびAA(ならびにR9a、R9b、およびR9c)で表される位置で構造的ばらつきが大いに許容されることがわかった。したがって、好ましい実施形態では、AAはL−イソロイシン残基を表し、AAはD−アロ−イソロイシンまたはD−イソロイシン残基を表し、AAはL−イソロイシン残基を表し、AAはL−セリン残基を表すが、AA、AA、およびAAは、本明細書に記載のとおり変更されてもよい。
AA、AA、およびAAは、好ましくは、それぞれD−フェニルアラニン残基、L−セリン残基、およびD−グルタミン残基(すなわち、テイクソバクチンの構造に沿って)を表すが、これらの3つの位置で他のアミノ酸または類似の構造物が置換されてもよい。例えば、AAおよびAAはそれぞれ独立して、任意の疎水性アミノ酸(タンパク質構成アミノ酸(アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、もしくはトリプトファンなど)、または非タンパク質構成アミノ酸(ノルバリン、シクロヘキシルグリシン、シクロヘキシルアラニン、フェニルグリシン、ビフェニルグリシン、ビフェニルアラニン、ナフチルグリシン、もしくはナフチルアラニンなど)、任意の極性非荷電アミノ酸(タンパク質構成アミノ酸(セリン、スレオニン、アスパラギン、もしくはグルタミンなど)、または非タンパク質構成アミノ酸(ヒドロキシ基または直鎖、分岐鎖、環状、または部分環状のC1−8アルキレン基を介してアミノ酸に結合したアミド官能基を含む側鎖を持つもの)、任意の正荷電アミノ酸、ジアミノプロパン酸、ジアミノブタン酸、またはオルニチンを表す。AAは、AAおよびAAに関しては、上述の任意の疎水性アミノ酸を表してもよい。特定の実施形態では、AAおよびAAは、これらの位置のいずれかもしくは両方で、L−アルギニンまたは好ましくはL−アラニンを表してもよい。送達薬剤が本発明の化合物に共有結合している実施形態では、AA、AA、またはAA(あるいは以下に記載するR11a、R11b、またはR11c)でアミノ酸に結合していることも好ましい。
最も好ましい実施形態では:
AAは、D−フェニルアラニン残基を表し、
AAは、L−イソロイシン残基を表し、
AAは、L−セリン残基を表し、
AAは、D−グルタミン残基を表し、
AAは、D−アロ−イソロイシンまたはD−イソロイシン残基を表し、
AAは、L−イソロイシン残基を表し、および
AAは、L−セリン残基を表す。
一実施形態では、Rは、好ましくは、セリンまたはトレオニン残基の一部を形成するように、水素またはメチル基を表す。Rがメチルである場合、S−配置で(例えば、D−スレオニン残基の一部を形成するために)存在することが好ましいが、Rの基は、R−またはS−配置のいずれかで存在してよい。
一実施形態では、R9a、R9b、およびR9cは、タンパク質構成アミノ酸側鎖、−CH−NH、−(CH−NH、または−(CH−NHを表す。
別の実施形態では、R9a、R9b、およびR9cは、好ましくは、疎水性タンパク質構成アミノ酸側鎖または非タンパク質構成アミノ酸側鎖(アラニン(すなわち、メチル基)、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ノルバリン、シクロヘキシルグリシン、シクロヘキシルアラニン、フェニルグリシン、ビフェニルグリシン、ビフェニルアラニン、ナフチルグリシン、またはナフチルアラニンなど)、正荷電アミノ酸側鎖(ヒスチジン、リジン、またはアルギニンなどのもの)、極性非荷電タンパク質構成アミノ酸または非タンパク質構成アミノ酸の側鎖(セリン、スレオニン、アスパラギン、もしくはグルタミンなどのもの、または直鎖、分岐鎖、環状、もしくは部分環状のC1−8アルキレン基を介して、残余分子の部分に結合したヒドロキシ基もしくはアミド官能基など)、あるいは−CH−NH、−(CH−NH、または−(CH−NHを表す。最も好ましくは、R9a、R9b、およびR9cは疎水性アミノ酸側鎖を表す。R9a、R9b、およびR9cの基は、D−配置またはL配置のいずれかで存在し得るが、L−配置で存在することが好ましい。したがって、例えば、R9a、R9b、またはR9cがメチル基(すなわちアラニンの側鎖)を表す場合、R9a、R9b、またはR9cが結合しているキラル炭素は、好ましくはS−配置にある(したがって、テイクソバクチンのこの位置に存在するL−アラニンに対応している)。
一実施形態では、R11aはタンパク質構成アミノ酸側鎖を表す。
別の実施形態では、R11aまたはR11cは、疎水性タンパク質構成アミノ酸側鎖または非タンパク質構成アミノ酸側鎖(アラニン(すなわちメチル基)、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ノルバリン、シクロヘキシルグリシン、シクロヘキシルアラニン、フェニルグリシン、ビフェニルグリシン、ビフェニルアラニン、ナフチルグリシン、またはナフチルアラニンのものなど)を表す。R11aまたはR11cの基は、D−配置またはL−配置のいずれかで存在し得るが、L−配置で存在することが好ましい。したがって、例えば、R11aまたはR11cがブチル基(例えば、イソロイシンの側鎖)を表す場合、R11aまたはR11cが結合するキラル炭素は、好ましくはS−配置にある(したがって、テイクソバクチンのこの位置に存在するL−イソロイシンに対応している)。送達薬剤が本発明の化合物に共有結合している実施形態では、その送達薬剤が、R11aまたはR11c、あるいはR11b(または上述のAAもしくはAA)で表される−C(O)NH基のアミノ酸側鎖に結合していることも好ましい。
式IBの化合物は、テイクソバクチンに基づいているが、主に、高分子の環状部分の修飾、おそらくは開口を含む。式IBの化合物は、抗菌薬として特に効果的であることがわかっている。
化合物が式IBの化合物である本発明の実施形態では、R10bは、アルギニン、リジン、ヒスチジン、もしくはアロ−エンズラシジジンの側鎖、−C1−6アルキル−NH基、−C1−6アルキル−NH−C(=NH)−NH基、またはR10aに関して上述で定義した好ましい基のいずれかを表してもよい。本明細書におけるエンズラシジジンの側鎖への言及は、フラグメント2−イミノ−4−イミダゾリジニルメチルへの言及である。R10bの最も好ましい構造は、アルギニンの側鎖である(すなわち、−Cアルキル−NH−C(=NH)−NH基)。
したがって、化合物が式IBの化合物である本発明の実施形態では、R10bは、アルギニン、リジン、およびヒスチジンもしくはエンズラシジジンの側鎖、−C1−6アルキル−NH基、−C1−6アルキル−NH−C(=NH)−NH基、または式−L−L−L−Xのフラグメント(各Xは独立して、−C(O)−C1−12アルキル、−C(O)−NH、−C(S)−NH、式Qのフラグメント、および1つ以上のX置換基で置換されたC1−12アルキル基からなる群から選択される)を表してもよい。特に好ましい実施形態では、Xは、式Qのフラグメント、または1つ以上(例えば2個)のX置換基で置換されたC1−12アルキル基のいずれかを表す。本発明のさらに好ましい実施形態では、Xは、式Qのフラグメント、または少なくとも2つのX置換基で置換されたC1−6(例えばC1−3)アルキル基(任意選択的に、各Xは独立して−NH、−OH、−NHC(O)NH、−NHC(S)NH、−NHC(=NH)NHを表す)のいずれかを表す。
好ましい実施形態である、化合物が式IBの化合物である本発明のさらなる実施形態では、R10bは、リジンの側鎖、もしくは好ましくはアルギニンの側鎖、または少なくとも2つの末端グアニジニル、尿素、チオ尿素、アミノ基および/またはヒドロキシル基(例えば、少なくとも2つのX基)を含むペンダント基を表してもよい。例えば、R10bは、−L−N(Xまたは−L−L−L−C1−6アルキル(該C1−6アルキルは2つのX基で置換される)を表してもよい。別の好ましい実施形態では、R10bは、−C1−4アルキレン−N(Xまたは−C1−4アルキレン−L−C1−6アルキル(該C1−6アルキルは2つのX基で置換される(任意選択的に、Lは−NH−、−NHC(O)−、または−NHC(O)Oを表す))を表す。上述の実施形態では、Xは、好ましくは、1つ以上のX置換基で任意選択的に置換されたC1−4アルキル基を表す。また、そのような実施形態(Xが1つ以上のX置換基で任意選択的に置換されたC1−4アルキル基を表すものも含む)では、Xは、好ましくは4〜6員のヘテロシクリル基(ピリジン、ピペリジン、ピロール、またはピロリジンなど)を表し、より好ましくは、−NH、−OH、−NHC(O)NH、−NHC(S)NH、または−NHC(=NH)NHを表す。
およびRが連結していない実施形態では、Rは、好ましくは、トレオニン、システイン、セリン、またはリジンからなるリストから選択されるアミノ酸の側鎖、より好ましくはトレオニンまたはシステインの側鎖、および最も好ましくはシステインの側鎖を表してもよい。そのような実施形態では、RおよびRの両方は、−CH−SHを表す。
Qで表される好ましい基には、−OC(O)−、−C(O)O−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、または−S−S−が含まれる。
およびRが連結する実施形態では、好ましくは、連結基のアルキレン基は、直鎖C1−4アルキレン基であり、これは同じでも異なっていてもよく、−OH、−SH、−SC1−4アルキル、−OC1−4アルキル−NH、−COOH、−C(O)−NH、−COOC1−4アルキル、およびC1−4アルキル基からなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換され、後者の基(すなわち、C1−4アルキル基)は、−OH、−SH、−SC1−4アルキル、−NH、−COOH、−C(O)−NH、−COOC1−4アルキルおよびフェニルからなるリストから選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換される。
さらなる実施形態では、連結基のアルキレン基は、−OH、−SH、−SMe、−OMe、−OEt、−NH、−COOH、−C(O)−NH、−COOMe、COOEt、およびC1−4アルキル基からなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換され、後者の基(すなわちC1−4アルキル基)は、−OH、−SH、−SMe、−NH、−COOH、−C(O)−NH、および−COOMe、−COOEtからなるリストから選択される1個以上の置換基で任意選択的に置換される。
さらなる実施形態では、連結基(すなわち、RおよびRが連結する場合に形成される連結基)のアルキレン基は、C1−4アルキル基で任意選択的に置換される。
特定の実施形態では、連結基のアルキレン基はC1−4アルキレン基であり、1つ以上のメチル基で任意選択的に置換される。
さらなる実施形態では、連結基が−Q−CH−CHである、式IBの化合物が提供される。
特定の実施形態では、Qは−S−S−を表す。
さらなる実施形態では、RおよびRが連結する場合、連結基が、以下からなる群から選択される、本発明の化合物が提供される:
式中、各構造の下部の波線は、Rの炭素原子への結合点を示し、構造の上部の波線は、Rの炭素原子への結合点を示す。
さらなる実施形態では、RおよびRの結合によって形成される連結基を含む環状構造が14〜18員環、例えば14〜16員環、好ましくは14員環である、本発明の化合物が提供される。
「[数]員環」(例えば、16員環)とは、特定の数の環構成原子を含む環状構造、すなわち、該数が該環を形成する骨格原子の数を表す環を意味する。
化合物が式IBの化合物である本発明の実施形態では、
AAは、L−またはD−フェニルアラニン残基を表してもよく、
AAは、L−またはD−イソロイシン残基を表してもよく、
AAは、L−またはD−セリン残基を表してもよく、
AAは、L−またはD−グルタミン残基を表してもよく、
AAは、L−、L−アロ−、D−またはD−アロ−イソロイシン残基を表してもよく、
AAは、L−またはD−イソロイシン残基を表してもよく、ならびに/あるいは
AAは、L−またはD−セリン残基を表してもよい。
好ましい実施形態では、
AAは、D−フェニルアラニン残基を表し、
AAは、L−イソロイシン残基を表し、
AAは、L−セリン残基を表し、
AAは、D−グルタミン残基を表し、
AAは、D−アロ−イソロイシン残基を表し、
AAは、L−イソロイシン残基を表し、および
AAは、L−セリン残基を表す、式IBの化合物が提供される。
式IA、IB、およびICの化合物のさらに好ましい実施形態では、AAはL−イソロイシン残基を表し、AAはD−アロ−イソロイシンまたはD−イソロイシン残基を表し、AAはL−イソロイシン残基を表し、AAはL−セリン残基を表し、AAは疎水性アミノ酸を表し、AAおよびAAはそれぞれ独立して、疎水性アミノ酸、極性非荷電アミノ酸、正荷電アミノ酸、ジアミノプロパン酸、ジアミノブタン酸、またはオルニチンを表し(任意選択的に、AAはL−セリン残基を表し、および/またはAAはD−グルタミン残基を表す)、ならびに
(i)R10aは、各Xが独立して、−C(O)−C1−12アルキル、−C(O)−NH、−C(S)−NH、式Qのフラグメント、および1つ以上のX置換基で置換されたC1−12アルキル基からなる群から選択される、式−L−L−L−Xのフラグメントを表し、R10bは、アルギニン、リジン、ヒスチジン、またはアロ−エンズラシジジンの側鎖、−C1−6アルキル−NH基、−C1−6アルキル−NH−C(=NH)−NH基、または式R10aのフラグメントを表すか、
(ii)R10aは、各Xが、式Qのフラグメント、または1つ以上の(例えば2)X置換基で置換されたC1−6(例えばC1−3)アルキル基のいずれかを表す、式−L−L−L−Xのフラグメントを表し、任意選択的に、各Xは独立して、−NH、−OH、−NHC(O)NH、−NHC(S)NH、−NHC(=NH)NHを表し、R10bは、アルギニンまたはリジンの側鎖、−C1−3アルキル−NH基、−C2−4アルキル−NH−C(=NH)−NH基、または式R10aのフラグメントを表すか、あるいは
(iii)R10aは、以下に示す構造のいずれかを表す。
式中、mは1〜6を表し、R10bはアルギニンの側鎖または上に示す構造のいずれかを表す。
これらおよび他の実施形態では、Zが−O−を表すことが好ましく、R、R、R9a、R9b、およびR9cがそれぞれメチルを表し、R11aおよびR11cがイソロイシンの側鎖を表すことが最も好ましい。
式ICの好ましい化合物は以下のものである:
は、H、C1−6アルキル、C1−6アシル、ベンジルまたはベンゾイルを表し、
AA〜AAは、それぞれ独立して、アミノ酸または−NH−CH(R)−C(O)−基を表し、
は、水素またはC1−4アルキルを表し、
9cは、Rまたはアミノ酸側鎖を表し、
10cは、アミノ酸側鎖(例えば、アルギニンまたはリジンの側鎖)、あるいはL−アロ−エンズラシジジン基を表し、
11cは、Rまたはアミノ酸側鎖を表し、ならびに
は、上述で定義された式−L−L−L−Xのフラグメントを表す。
ただし、AA〜AAのうちの少なくとも1つは、R9cおよびR11cはRで表される基を含有することを条件とする。好ましくは、AA〜AAのうちの1つのみであり、R9CおよびR11Cは、Rで表される基を含む。
得られた化合物の抗菌効力を著しく低下させることなく、テイクソバクチンのAA基およびAA基で構造変化を行うことができることがわかった。したがって、必須のR置換基が位置し得る好ましい位置は、R9cおよびR11cであり、特にAAおよびAAである。
言及され得る具体的な式ICの化合物には、以下が挙げられる。
(i)Rは、式Qのフラグメントまたは少なくとも2つの末端グアニジニル、尿素、チオ尿素、アミノ基および/またはヒドロキシル基(例えば、少なくとも2つのX基)を含む、式−L−L−L−Xのフラグメントであるか、
(ii)Rは、Xが式Qのフラグメント、または少なくとも2つのX置換基で置換されたC1−6(例えば、C1−3)アルキル基のいずれかを表す式−L−L−L−Xのフラグメントであるか、または
(iii)Rは、Xが−NH、−OH、−NHC(O)NH、−NHC(S)NH、および−NHC(=NH)NHからなる群から選択される少なくとも2つの置換基で置換されたC1−6(例えば、C1−3)アルキル基を表す式−L−L−L−Xのフラグメントである。
上記の実施形態(i)〜(iii)において、特に好ましい化合物は以下のものである:
は、直鎖または分岐鎖のC1−4アルキレンリンカーを表し、
は、−O−、−N(X)−、−[N(X−、−C(O)−、−OC(O)−、−C(O)O−、−NHC(O)−、−C(O)N(X)−、−OC(O)N(X)−、−NHC(O)O−、または−NHC(O)N(X)−からなる群から選択され、
は、水素または−L−Xを表し、および
は、直接結合を表す。
式IA、IB、またはICの化合物は、送達薬剤に共有結合していないことが最も好ましい。しかしながら、代替実施形態によれば、本発明の化合物は、式IIのフラグメントである送達薬剤に共有結合しており、
式中、Dは、示されたX基が結合しているデンドリマーフラグメントを表し、Xは、−NH、ボロン酸、またはボロン酸誘導体を表し、nは2以上(例えば、2〜20)であり、式中、波線は、式IA、IB、またはICの化合物への付着点を示す。
「送達薬剤」とは、細菌細胞の一部(好ましくは細菌細胞壁の領域)への抗菌薬の結合を促進し、それにより抗菌剤を生体標的(例えば、細胞活性に重要な酵素など)の近くに固定できる任意の物質を意味する。
特に明記しない限り、「結合(binding)」、「結合(bound)」などの用語は、分子または化学構造間の相互作用を指し、それは、その分子または化学構造を互いに近接して保持する役割を果たす。本発明の文脈において、用語「結合」は、特に明記しない限り、永久双極子間の相互作用の結果として、またはより好ましくは関与する分子構造間の水素結合の結果として、生じる特定の結合を指す。
「1つ以上の構造に結合できる親水性部分」という語句には、油または他の疎水性溶媒(例えば、炭化水素)よりも、水または他の極性溶媒(例えば、アルコールなどのプロトン性溶媒)に溶けやすい分子フラグメントが含まれる。この語句は、具体的には、1つ以上の水素結合および/または静電相互作用(すなわちイオン結合)によって細菌細胞膜の1つ以上の構造に結合できる任意の構造を含む。
送達薬剤
言及され得る特定の送達薬剤は、該構造との1つ以上の共有結合の形成を介して、該構造との1つ以上の水素結合の形成を介して、または、送達薬剤の逆帯電した領域と細菌細胞膜との間の静電相互作用(すなわち、イオン結合の形態)を介して、細菌細胞膜上の1つ以上の構造に結合できるものを含む。特定の実施形態では、送達薬剤は、1つ以上のそのような共有結合、複数の水素結合および/または複数のそのような静電相互作用を介して細菌細胞膜に結合することができる。例えば、送達薬剤部分は、該構造と1、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上の別個の共有結合または水素結合を形成でき、それにより送達薬剤が細胞壁に固定される程度を大幅に高めることができる。そのような結合(特に水素結合結合)を少なくとも4個、少なくとも6個、または少なくとも8個形成できる送達薬剤が好ましい。
例えば、送達薬剤がボロン酸成分またはその薬学的に許容される塩を含む場合、送達薬剤と細菌細胞膜上の1つ以上の構造との間に共有結合が形成され得る。そのようなボロン酸またはボロン酸誘導体が存在する場合、送達薬剤のホウ素原子と細菌細胞表面の糖類内の1,2−および1,3−ジオール基との間に共有結合が生じ得る。
送達薬剤と細菌細胞膜上の1つ以上の構造との間の水素結合は、送達薬剤と細菌細胞表面の糖類、特に、細胞膜のリポ多糖またはリン脂質のリン酸基または硫酸基などの他の構造との相互作用によって形成され得る。水素結合に関与できる官能基は、当業者に周知である。これに関して言及され得る特定の官能基には、一級アミン、アミジン(グアニジンを含む)、およびアミド(尿素を含む)、ならびにそれらの薬学的に許容される塩が含まれる。言及されるべきさらなる特定の官能基には、一級アミン、アミジン、グアニジン、アミド、および尿素(ならびにそれらの薬学的に許容される塩)が含まれる。
送達薬剤が1つ以上の静電相互作用(任意選択的に1つ以上の水素結合相互作用と組み合わせた)によって細菌細胞壁に結合する実施形態では、送達薬剤は複数の正荷電領域を運んでもよい。そのような正荷電領域は、細胞膜のリン脂質とリポ多糖に存在する負荷電リン酸基と相互作用できる。送達薬剤分子が塩の形態で提供されるため、送達薬剤上の正荷電領域は存在してもよく、または生理学的条件下で送達薬剤は双性イオンとして存在してもよい。したがって、遊離塩基形態の送達薬剤と酸との反応により酸付加塩を形成した結果、正電荷は存在し得る。言及され得る特定の送達薬剤には、複数の(例えば、少なくとも4個、少なくとも6個、または少なくとも8個の荷電領域)そのような荷電領域を含むものが含まれる。
したがって、言及され得る特定の送達薬剤には、ボロン酸、ボロン酸誘導体、一級アミン、グアニジン、およびそれらの薬学的に許容される酸付加塩からなるリストから選択される1つ以上の官能基を含むものが含まれる。例えば、送達薬剤は、ボロン酸、ボロン酸誘導体、一級アミン、グアニジン、およびそれらの薬学的に許容される酸付加塩からなるリストから選択される1つ以上の官能基を含んでもよく、送達薬剤が式IIの化合物である場合、Xは、ボロン酸基、ボロン酸誘導体、一級アミン、グアニジン、またはそのような基の薬学的に許容される酸付加塩を表してもよい。
送達薬剤が1つ以上の一級アミン基を含む場合、送達薬剤は酸付加塩(したがって、1つ以上の−NH 基を含む)として提供されることが好ましい。これに関して言及され得る特定の送達薬剤には、抗菌薬に共有結合していない送達薬剤が含まれ、これはポリペプチドもしくはポリペプチド誘導体、またはその薬学的に許容される塩を含む。
本発明の他の実施形態では、送達薬剤は、特に官能基が静電相互作用または水素結合相互作用を介して細胞膜と相互作用することが意図される場合、複数の該官能基を含む。例えば、送達薬剤は、2、3、4、5、6、7、8、9またはそれ以上の該官能基を含んでもよい。多数のそのような官能基を含む送達薬剤は、細菌細胞壁の構造により強く結合することができ、それにより式IA、IB、またはICの化合物の抗菌特性を改善すると考えられている。
本発明の特定の実施形態では、官能基は独立して、ボロン酸、ボロン酸誘導体、一級アミン、アミジン、グアニジン、アミド、尿素、およびそれらの酸付加塩からなるリストから選択される。
特定の実施形態では、送達薬剤はデンドリマー様構造を含む。例えば、式IA、IB、またはICの化合物は、Dで示す位置にデンドリマーフラグメントを含む式IIの送達薬剤を含む。用語「デンドリマー」は、当技術分野で周知であり、分枝、樹状構造を含む構造物を指す。好ましくは、そのようなデンドリマー構造は、一般に非環式であり(例えば、6員を超える環状構造を含まない(すなわち、デンドリマーに存在し得る最大の環構造はフェニル基などの6員環である))、またはデンドリマー構造は完全に非環式であってよい。好ましい送達薬剤は、デンドリマーフラグメント(すなわち、複数の樹状分岐を含むフラグメント)を含む有機分子(またはその塩)であり、そのデンドリマーフラグメントの各分岐は関連する官能基に連結され得る。したがって、単一の送達薬剤は、上記に従って、共有結合、水素結合、および/または静電相互作用を介して細菌細胞膜に結合できる複数の官能基を含んでもよい。
言及され得る特定の送達薬剤には、デンドリマーフラグメントを含むものが含まれる。例えば、言及され得る送達薬剤には、式IIIのもの:
またはその薬学的に許容される塩が含まれ、Dは、上記のNH基が結合しているデンドリマーフラグメントを表し、n1は2以上(例えば2〜20)であり、波線は式IA、IB、またはICの化合物への付着点を示す。
言及され得る他の送達薬剤は、式IVおよびVのもの:
またはその薬学的に許容される塩を含み、DおよびDはそれぞれ、括弧内に示す基が結合するデンドリマーフラグメントを表し、YはO、NH、またはSを表し、各n1は2以上(例えば2〜20)であり、波線は式IA、IB、またはICの化合物への付着点を示す。
言及され得るさらなる送達薬剤には、式VI〜VIIIのものが含まれ:
〜Dのそれぞれは、括弧内に示す基が結合しているデンドリマーフラグメントを表し、Yは、O、NH、またはSを表し、各n1は、2以上(例えば2〜20)であり、m、p、q、およびrは、それぞれ独立して1〜8(例えば1〜6)を表し、Rは、C1−6アルキル基を表し、波線は式IA、IB、またはICの化合物への付着点を示す。
デンドリマーフラグメントD〜Dは、ポリグリセロールベースの構造であってもよく、またはデンドロンベースの構造であってもよい。D〜D(好ましくはD〜D)が表し得る特定のデンドリマーフラグメントは、次式A〜Eを含む:
式A〜Eのデンドリマーのそれぞれについて、示された構造の左側の単一の波線は、式IA、IB、またはICの化合物への付着点に対応する。残りの波線は、送達薬剤の複数のアミン、X、またはボロン酸含有部分(すなわち、式II〜VIIIの括弧で囲まれた部分)の結合点を示す。
式III〜Vのフラグメントでは、D〜Dが表し得る特定のデンドリマーフラグメントは、上記の式A〜Eのものを含み、デンドリマーフラグメントは、直接結合、好ましくは、追加のリンカー基により、送達薬剤の複数のアミン含有部分(すなわち、式III〜Vの括弧つき部分)に連結する。これに関して言及され得る追加のリンカー基には、エステル結合(すなわち、−C(O)−O−)、アミド結合(すなわち、−C(O)−NH−)、スルホンアミド結合(すなわち、−S(O)−NH−)、エーテル結合(すなわち−O−)、アミン結合(すなわち−N(R)−(式中、Rは水素またはC1−6アルキル基を表す)、C1−12(例えばC1−6)アルキレン結合、または複数のそのような結合の組み合わせが含まれる。複数のそのような追加のリンカー基を含む式III〜Vの化合物では、追加のリンカー基は同じでも異なっていてもよい。
特に好ましい送達薬剤には以下が含まれる:
(i)Dが式A〜E(特に式C)のいずれか1つのデンドリマーフラグメントを表す式VIのフラグメント、
(ii)Dが式A〜E(特に式AまたはB)のいずれか1つのデンドリマーフラグメントを表す式VIIのフラグメント、
(iii)Dが式A〜E(特に式DまたはE)のいずれか1つのデンドリマーフラグメントを表す式VIIIのフラグメント。
他のデンドリマー構造は当業者に既知であろう。例えば、当業者に既知のさまざまなデンドリマーには、J.Mater.Chem.B,2012,2,2153−2167に開示されているものが含まれる。その文書の開示は、そのようなデンドリマー化合物が低い毒性を有し得ることを示す。
言及され得る他の送達薬剤には、式IXa、IXb、およびXのものが含まれる:
式中、Lは、脂肪族リンカー(例えば、C1−6アルキル鎖)を表し、DおよびDは独立して、示したホウ素含有基が結合する直接結合またはデンドリマーフラグメントを表し、n2は1以上(2〜20)であり、任意選択的に、D7およびD8は、リンカー基を介して、式IXaおよびXの化合物のボロン酸部分、または式IXbの化合物のホウ酸部分に結合し、波線は、式IA、IB、またはICの化合物への付着点を示す。
式IXa、IXb、またはXの送達薬剤フラグメントを含む式IA、IB、またはICの化合物の実施形態では、DおよびDによって表されるデンドリマーフラグメントは、デンドリマーフラグメントD〜Dに関して上で定義されたポリグリセロールベースの構造またはデンドロンベースの構造であってよい。同様に、DおよびDが表し得る特定のデンドリマーフラグメントには、上で定義した式A〜Eのものが含まれる。
式IXa、IXb、またはXの送達薬剤フラグメントを含む式IA、IB、またはICの化合物では、送達薬剤に存在し得るリンカー基は、C1−10アルキル、−NH−、−O−、−C(O)−O−、および−C(O)−NH−を含むリストから選択される1つ以上の基を含み得る(アミドリンカーおよびエステルリンカーはそれぞれ、2つの可能な方向のいずれかで結合できる)。例えば、リンカー基は、−(CH−NH−(CH−C(O)−NH−基であってもよい。
言及され得る特定の送達薬剤には、デンドリマーフラグメントを含むものが含まれる。すなわち、言及され得る特定の送達薬剤は、式III、IXa、IXb、およびXのフラグメント、またはその薬学的に許容される塩を含む(例えば、式IV、V、IXa、IXb、およびXのフラグメント、またはその薬学的に許容される塩、あるいは最も好ましくは、式VI、VII、VIII、IXa、IXb、およびXのフラグメント、またはその薬学的に許容される塩)。
送達薬剤はまた、ポリペプチドもしくはポリペプチド誘導体、またはその薬学的に許容される塩を含んでもよい。送達薬剤が、ポリペプチドもしくはポリペプチド誘導体、またはその薬学的に許容される塩である場合、ポリペプチドは、アルギニンおよびリジンからなる群から選択される少なくとも2つの残基を含むことが好ましい(必須ではないが)。アミノ酸残基は、その天然に存在する立体化学配置(例えば、L−配置)、または代替の立体化学配置で提供されてもよい。アミノ酸残基は、その天然に存在する立体化学配置で提供されることが好ましい。
送達薬剤が、ポリペプチド、ポリペプチド誘導体、またはその薬学的に許容される塩(例えば、ポリペプチド、またはその薬学的に許容される塩)である実施形態では、ポリペプチドは、好ましくは、最大で20個(例えば15個以下)のアミノ酸残基を含む。言及され得る特定のポリペプチドには、非環式ポリペプチド(例えば、最大20個のアミノ酸残基を含む非環式ポリペプチド)が含まれる。例えば、特に関心のあるポリペプチドには、少なくとも4個、少なくとも6個、または少なくとも8個のアルギニンまたはリジン残基を含むものが含まれる。すべての場合において、送達薬剤に使用され得るポリペプチドを形成するアミノ酸は、D型またはL型のいずれかであり得る。
特に関心のある他のポリペプチドおよびポリペプチド誘導体には、最大で20個(例えば5〜15個)のアミノ酸残基の配列を含む化合物が含まれる。ポリペプチド誘導体には、ペプチド鎖の片端または両端に非ペプチド部分を含むポリペプチド化合物が含まれる。あるいはまたはさらに、ポリペプチド誘導体には、アミノ酸のうちの1つ以上が化学修飾された形態で任意選択的に提供されるポリペプチド化合物が含まれる。そのような修飾の例には、該アミノ酸の側鎖(例えば、リジンまたはアルギニンの側鎖)上の1つ以上の−NH基をアミドおよびその誘導体(例えば、アミド、尿素、チオアミド、またはチオ尿素)で置き換えることが含まれる。
さらなる実施形態では、ポリペプチド誘導体は、任意選択的に、ポリペプチド誘導体を式IA、IB、またはICの抗菌化合物に結合する適切なリンカーと共に、アルギニンおよびリジンからなる群から選択される1〜6個のアミノ酸からなり得る。より高い正電荷を含むポリペプチドおよびポリペプチド誘導体は、2つの薬剤を組み合わせて提供する場合、既存の抗菌薬の抗菌能力を増強することにおいて(すなわち、最小阻害濃度を下げる)有効性が高まることがわかっている。したがって、好ましい実施形態では、ポリペプチドまたはポリペプチド誘導体は、少なくとも3単位の正電荷を保有するポリペプチド含有化合物である。特に好ましい実施形態には、ポリペプチドまたはポリペプチド誘導体が、少なくとも5(例えば、少なくとも6)単位の正電荷を保有するポリペプチド含有化合物であるものが含まれる。
正電荷は、ポリペプチドに存在するリジンおよびアルギニンアミノ酸の数を数えることにより名目上決定され得る(そのような各アミノ酸は正電荷の1単位を提供する)。これに関して、正荷電した側鎖を有する他のアミノ酸も言及され得る。
言及され得るポリペプチド送達薬剤の例は、以下である:
さらなる実施形態では、Rが上で定義された式II〜Xの送達薬剤を表す、本発明の化合物が提供される。
さらなる実施形態では、本発明の化合物は、以下からなる群から選択される:
調製
本発明の化合物は、例えば以下に記載されるように、当業者に既知の技術に従って調製され得る。
したがって、本発明の第2の態様によれば、式IA、IB、またはICの化合物の調製のためのプロセスが提供され、それは以下を含む:
(i)R10bが−C1−6−アルキル−NHC(=NH)NH基(例えば、アルギニン側鎖)を表す式IBの化合物の場合、式XIの化合物の脱保護、
式中、酸(トリフルオロ酢酸、塩酸、またはp−トルエンスルホン酸など)の存在下で、例えば、当業者に既知の条件下で(適切な有機溶媒(例えば、ジオキサン、THF、MeCN、ジエチルエーテル、EtOAc、DCM、またはDMF)の存在下など)、AA〜AA、R〜R、R9bおよびR11bは上で定義したとおりであり(かつAA〜AAは任意選択的に保護される)、
特に好ましい実施形態では、式XIの化合物の脱保護は、トリフルオロ酢酸、トリイソプロピルシラン、および水の存在下で実施され、
任意選択的に、式XIの化合物の脱保護は、固体支持体上で、および/または固体支持体からのアミノ酸配列の切断と組み合わせて実施され、
(ii)1つ以上のヒドロキシル基がエーテル保護基(tert−ブチル、ベンジル、アリル、またはメトキシメチルエーテル、好ましくはtert−ブチルエーテルなど)で保護されている式IA、IB、またはICの化合物の脱保護、その脱保護は、酸(トリフルオロ酢酸、塩酸、またはp−トルエンスルホン酸など)の存在下で、例えば、当業者に既知の条件下で(適切な有機溶媒(例えば、ジオキサン、THF、MeCN、ジエチルエーテル、EtOAc、DCM、またはDMF)の存在下など)実施でき、
(iii)1つ以上の一級アミド基がトリチル系の基(例えば、ジメトキシトリチル基、モノメトキシトリチル基、または非置換トリチル基)で保護されている式IA、IB、またはICの化合物の脱保護、その脱保護は、酸(トリフルオロ酢酸、塩酸、p−トルエンスルホン酸など)の存在下で、例えば当業者に既知の条件下で(適切な有機溶媒(例えば、ジオキサン、THF、MeCN、ジエチルエーテル、EtOAc、DCM、またはDMF)の存在下など)実施でき、
特に好ましい実施形態では、ステップ(ii)および(iii)の脱保護は、トリフルオロ酢酸、トリイソプロピルシランおよび水の存在下で実施され、
任意選択的に、ステップ(ii)および(iii)の脱保護は、固体支持体上で、および/または固体支持体からのアミノ酸配列の切断と組み合わせて実施され、
(iv)RおよびRが連結し、Qが−S−S−を表す式IBの化合物の場合、式XIIの化合物の酸化、
式中、酸素、過酸化水素、または1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBDMH)などの適切な酸化剤を用いて、例えば、当業者に既知の条件下で(適切な有機溶媒(例えば、ジオキサン、THF、MeCN、ジエチルエーテル、EtOAc、DCM、DMF、水、DMSO、またはこれらの混合物)の存在下など)、AA〜AAは上で定義したとおりであり、任意選択的に保護され、R、R9b、R10bおよびR11bは上で定義したとおりであり、ZおよびZは、それぞれ独立して、リンカー基の一部を形成する直鎖C1−6アルキレン基に関して上で定義したとおり任意選択的に置換された、直鎖C1−6アルキレン基を表し、
任意選択的に、式XIIの化合物の酸化は固体支持体上で実施され、
(v)式IA、IB、またはICの化合物の場合、式XIIIA、XIIIB、またはXIIICの化合物の反応、
式中、AA〜AAは上で定義したとおりであり、任意選択的に保護され、Z、R、R、R、R9a、R9b、R9c、R10a、R10b、R10c、R11a、R11b、およびR11cは上で定義したとおりであり、以下のステップを含むプロセスにおいて、
a)式XIIIA、XIIIB、またはXIIICの化合物を式XIVの化合物と反応させるステップ、
式中、例えば、当業者に既知の条件下(例えば、室温〜50℃の温度での適切な有機溶媒(例えば、ジオキサン、THF、MeCN、ジエチルエーテル、EtOAc、DCM、またはDMF)、および適切な塩基(例えば、トリメチルアミン、トリイソプロピルエチルアミン、またはピリジン)の存在下など)で、適切なペプチドカップリング試薬(ウロニウムカップリング試薬(例:HATUおよびTBTU)、ベンゾトリアゾールカップリング試薬(例:HOBtまたはHOAt)、カルボジイミドカップリング試薬(例:EDCI、DIC、またはDCC)、または(イミノ)シアノアセテートカップリング試薬(例:エチル(ヒドロキシイミノ)シアノアセテート(オキシマ))またはその組み合わせ)を用いて、Rは上で定義されたとおりであり、RAA1は所望のAAアミノ酸の側鎖(任意選択的に保護された形態)であり、PGは任意の適切な保護基(Boc、CBz、または好ましくはFmocを含むカルバメート保護基など)であり、それに続き、
b)保護基PG(存在する場合)を除去する(必要に応じて、酸性または塩基性条件下で(例えば、ピペリジンの存在下で)実施できる)ステップ、
(vi)式IAまたはICの化合物の場合、式(XVA)または式(XVC)の化合物の反応、
式中、上記の条件下で、適切なペプチドカップリング試薬(ウロニウムカップリング試薬(例:HATUおよびTBTU)、ベンゾトリアゾールカップリング試薬(例:HOBtまたはHOAt)、カルボジイミドカップリング試薬(例:EDCI、DIC、またはDCC)、または(イミノ)シアノアセテートカップリング試薬(例:エチル(ヒドロキシイミノ)シアノアセテート(オキシマ))またはその組み合わせ)を用いて、AA〜AAは上で定義したとおりであり、任意選択的に保護され、Z、R、R、R9a、R9c、R10a、R10c、R11a、およびR11cは上で定義したとおりであり、
(vii)R11bが−C(O)NHを表す式IBの化合物の場合、式XVIの化合物からの固相樹脂の切断、
特に好ましい実施形態では、式XVIの化合物からの固相樹脂の除去は、トリフルオロ酢酸、トリイソプロピルシランおよび水の存在下で実施され、
(viii)R10aまたはR10bが適宜、Lが−NHC(O)−NHC(O)O−または−NHC(O)NH−を表す、−L−L−L−Xを表す式IAまたはIBの化合物の場合、式XVIIAまたはXVIIBの化合物の反応、

式中、当業者に既知の適切な条件下、例えば、ステップ(v)に関して上述した条件下、または適切な塩基(例えば、DIPEA、トリメチルアミン、トリイソプロピルエチルアミン、またはピリジン)の存在下で、Xが、直接結合、−O−または−NH−を表し、必要に応じて、LおよびXが、上で定義したとおりであり(またはXは保護された形態)、LGが、水素またはN−ヒドロキシスクシンイミド基などの適切な脱離基を表す。
ステップ(i)〜(viii)に記載されたプロセスは、以下「本発明のプロセス」と呼ばれる。
「固体支持体上で実行される」とは、固相樹脂(例えば、ポリステレンまたはポリエチレングリコール樹脂(例えば、ChemMatrix(登録商標)樹脂))に共有結合したペプチド配列を使用して関連プロセスが実行されることを意味する。固相樹脂への結合点は、ペプチド配列またはその前駆体のN末端、または好ましくはC末端にあってもよい。ペプチド配列は、通常、アミド結合またはエステル結合のいずれかを介して樹脂に結合し、カルボニル部分またはアミン部分のいずれかが、必要に応じてC末端またはN末端アミノ酸残基に由来する。
当業者は、本発明のプロセスで使用するための適切な固相樹脂、および所与のプロセスのためのペプチド配列への樹脂の最も適切な結合点を決定することができるであろう。適切な樹脂には、市販の樹脂である、リンクアミド樹脂および2−クロロトリチル樹脂が含まれ、これらは両方ともそれぞれアミドまたはエステル結合を介してペプチド配列のC末端に結合することができる。
Rinkアミド樹脂と2−クロロトリチル樹脂からのペプチド配列の切断は、酸性条件下で達成できる。Rinkアミド樹脂からの切断により、ペプチド配列のC末端に一級アミド基が生じ、2−クロロトリチル樹脂からの切断により、C末端でカルボン酸基が回復する。
およびRが連結し、R11bが−C(O)NHを表す式IBの化合物の場合、大環状部分は通常、2つのアミノ酸側鎖の連結によって形成され、それによって固相樹脂が環形成アミノ酸残基のうちの1つのC末端に結合し、したがって固相樹脂からの切断の前に大環状化を行うことができる。これらの化合物の合成にRinkアミド樹脂を使用すると、多くの一般的に使用される保護基の脱保護と同じ酸性条件下で切断を行うこともできる。まとめると、これらの要因により、強力な抗菌活性を示すテイクソバクチン類似体の高効率な合成が可能になる。大環状環上の一級アミド基(Rinkアミド樹脂の切断から生じる)の存在は、そのような基がテイクソバクチンに存在しない場合であっても、生物学的有効性の点で十分に許容されるようである。
本発明のプロセスのさらなる実施形態では、ステップ(I)、(II)、(III)のうちの2つ以上の任意の脱保護は同時に行ってもよく、これらの脱保護のうちのいずれか1つ以上はまた、ステップ(vii)の切断と同時に行ってもよい。例えば、式(XIX)の化合物の固体支持体からの全体的な脱保護および切断、
同時に除去できる保護基には、アルコールおよび酸性条件下で除去できる一級アミド保護基が含まれる(例えば、エーテル保護基(例えば、tert−ブチル)およびトリチルアミド保護基)。これらの基は、グアニジニル基を保護するための2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン(Pbf)基(特に式XIXで明示的に描かれる)と同時に除去することもでき、Rinkアミドまたは2−クロロトリチル樹脂からのペプチド配列、またはそれへの前駆体の切断と同時に除去することもできる。
合成プロセスに関して、「同時に実行」とは、関連する2つ以上の変換が一組の反応条件下で達成されることを意味する。
式IA、IB、またはICの化合物の合成に使用できる他の特定の変換ステップには以下が含まれる:
(a)例えば、上記のステップ(v)に記載されたカップリング試薬および条件のうちのいずれかの適切なペプチドカップリング試薬によって促進されてもよい、ペプチドカップリング、
(b)例えば、当業者に既知の条件下で(例えば、適切な有機溶媒(例えば、ジオキサン、THF、MeCN、ジエチルエーテル、EtOAc、DCMまたはDMF)の存在下で)、適切なカルボン酸活性化剤(例えば、DIC、DCC、ならびにEDCIおよび/またはDMAP)によって促進されてもよいエステル形成、
(c)以下を含む大環状分子形成:
1.エステル形成、例えば式XXの化合物の調製、
式中、R9b、R10b、ZおよびZは上で定義したとおりであり(R10bは任意選択的に保護されたアミノ酸側鎖である)、
11cは、Hまたは固相樹脂(例えば、Rinkアミドまたは2−クロロトリチル樹脂)を表し、
は、H、適切な保護基(BOC、CBz、または好ましくはFmocを含むカルバメート保護基など)、または上で定義したアミノ酸残基AA〜AAのうちの1つ以上からなる基(任意選択的に保護される)を表し、1つ以上のアミノ酸の基のN末端が適切な保護基(Boc、CBz、または好ましくはFmocを含むカルバメート保護基など)に結合しており、
式XXIの化合物を反応させることによって、
式中、R9b、R10b、R11c、X、ZおよびZは、式XXの化合物について先に定義されたとおりであり、
適切なカルボン酸活性化剤(例えば、DIC、DCC、およびEDCI、および/またはDMAPなどのカルボジイミド)の存在下、例えば、当業者に既知の条件下で(適切な有機溶媒(ジオキサン、THF、MeCN、ジエチルエーテル、EtOAc、DCM、またはDMF)の存在下など)、
2.アミド形成、例えば、式XXIIの化合物の調製、
式中、R9b、R10b、R11c、X、ZおよびZは、式XXの化合物に関して定義されたとおりであり、
式XXIIIの化合物を反応させることによって、
式中、例えば、上記のステップ(v)a)に記載の条件下で、R9b、R10b、R11c、X、ZおよびZは、式XXの化合物に関して定義されたとおりであり、
3.ジスルフィド形成、例えば、化合物XXIVの調製、
式中、R9b、R10b、R11c、X、ZおよびZは、式XXの化合物に関して定義されたとおりであり、
式XXVの化合物を酸化することにより、
式中、酸素、過酸化水素、または1,3−ジブロモ−5,5−ジメチルヒダントイン(DBDMH)などの適切な酸化剤)を用いて、例えば、当業者に既知の条件下で(適切な有機溶媒(例えば、ジオキサン、THF、MeCN、ジエチルエーテル、EtOAc、DCM、DMF、水、DMSO、またはそれらの混合物)の存在下など)、R9b、R10b、R11c、X、Z、およびZは、式XXの化合物について定義されたとおりであり、
(d)適切な保護基、例えば、カルバメート保護基(例えば、Boc、CBz、Fmoc、またはAlloc基)、エーテル保護基(例えば、tert−ブチルエーテル)、またはトリチルアミド保護基による、反応性官能基、例えばヒドロキシル基、一級または二級アミン、グアニジン、カルボン酸、および一級または二級アミドの保護、(適切な保護基およびそれらの組み込み方法の詳細は、P.G.M.Wuts and T.W.Greene Protective Groups in Organic Synthesis,4th edition,2006,Wiley,2006に記載されている)
(e)保護されたヒドロキシル基、一級または二級アミン、カルボン酸、グアニジン、および一級または二級アミドの脱保護、(保護基の除去(すなわち脱保護)に適した手順は、P.G.M.Wuts and T.W.Greene Protective Groups in Organic Synthesis,4th edition,2006,Wiley,2006に記載されている)
(f)例えば、適切な酸の存在下での固相樹脂(例えば、RinkアミドChemMatrix(登録商標)樹脂および2−クロロトリチル樹脂)からのペプチド化合物の切断、
(g)式II〜Xの送達薬剤フラグメントの調整、(Tschiche et al.J.Mater.Chem.B,2014,2,2153−2167およびWO2016/034894に記載の手順に従い調整され得る)
(h)式II〜Xの送達薬剤フラグメントの式IA、IB、またはICの化合物への組み込み。
本発明の化合物は、当業者に既知のものと一緒に、上に挙げたものと類似の方法により調製することができる。式IA、IB、またはICの化合物は、当業者に既知の条件を使用して、適宜、固相(固相ペプチド合成SPPSなど)または液相有機合成を含むプロセスを使用して調製することができる。
当業者は、式IA、IB、またはIC(等)の化合物を別の方法、場合によってはより便利な方法で得るために、前述の個々のプロセスステップは異なる順序で行われてもよく、および/または個々の反応は全体経路の異なる段階で行われてもよい(すなわち、特定の反応に関連して前述のものとは異なる中間体に置換基が加えられ、および/または化学変換が行われてもよい)ことを理解するであろう。これにより、保護基の必要性がなくなるか、必要になってもよい。
関与する化学の種類は、各ステップが溶液中で行われるか固相で行われるかにかかわらず、保護基の必要性および種類、ならびに合成を達成するための順序に影響するであろう。アミノ酸の適切な保護基についての最近の概説は、Isidro−Llobet et al.Chem.Rev.2009,109,2455−2504に提供されている。
有利なことに、合成プロセスの効率を最大化するために、合成経路の終盤(好ましくは最終ステップとしての)に向けて、保護基の除去および固相樹脂からの切断を実施する必要がある。
用途と薬学的調製物
本発明の化合物は、薬理活性を有するため有用である。したがって、それらは医薬品として示される。
したがって、本発明の第3の態様によれば、薬学的に許容されるアジュバント希釈剤または担体と組み合わせて本発明の化合物を含む薬学的組成物が提供される。この製剤を、以後「本発明の製剤」と呼ぶ。
本発明の第4の態様によれば、医学に使用するための本発明の化合物または本発明の製剤が提供される。
医学における本発明の化合物または製剤の使用には、医薬品としてのそれらの使用(ヒトおよび獣医学的な使用の両方)が含まれる。本発明の組成物は、他の産業分野でも有用であり得る。例えば、組成物は、植物保護製品(すなわち、農業)、化粧品(例えば、クリーム、歯磨き粉、ローション、および軟膏)、ならびに衛生および滅菌処置(例えば、科学研究所における)において有用であり得る。
これに関して、本発明の第5、第6、第7、および第8の態様は、それぞれ以下を提供する:
(a)対象における細菌感染の治療または予防に使用するための、上で定義した本発明の化合物または製剤、
(b)対象における細菌感染を治療または予防するための医薬品の製造における、上で定義した本発明の化合物または製剤の使用、
(c)細菌感染を治療または予防する方法であって、治療有効量の上で定義した本発明の化合物または製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む方法、
(d)細菌を殺滅するための本発明の化合物または製剤の使用(例えば、生体外使用)。
本明細書で使用される場合、用語「細菌」(および「細菌感染」などその派生語)は、以下のクラスおよび特定種の生物(または生物による感染)への参照を含む:
Staphylococci(Staph.aureus、Staph.epidermidis、Staph.saprophyticus、Staph.auricularis、Staph.capitis capitis、Staph.c.ureolyticus、Staph.caprae、Staph.cohnii cohnii、Staph.c.urealyticus、Staph.equorum、Staph.gallinarum、Staph.haemolyticus、Staph.hominis hominis、Staph.h.novobiosepticius、Staph.hyicus、Staph.intermedius、Staph.lugdunensis、Staph.pasteuri、Staph.saccharolyticus、Staph.schleiferi schleiferi、Staph.s.coagulans、Staph.sciuri、Staph.simulans、Staph.warneri、およびStaph.xylosus)ならびに
Streptococci(例えば、β溶血性、化膿性streptococci(Strept.agalactiae、Strept.canis、Strept.dysgalactiae dysgalactiae、Strept.dysgalactiae equisimilis、Strept.equi equi、Strept.equi zooepidemicus、Strept.iniae、Strept.porcinus、およびStrept.pyogenesなど)、
微好気性streptococci、化膿性streptococci(Strept.anginosus、Strept.constellatus constellatus、Strept.constellatus pharyngidis、およびStrept.intermediusなどのStreptococcus「milleri」)、
「mitis」(Strept.mitis、Strept.oralis、Strept.sanguinis、Strept.cristatus、Strept.gordonii、およびStrept.parasanguinisなどのα溶血性Streptococcus「viridans」、)、「salivarius」(Strept.salivariusおよびStrept.vestibularisなどの非溶血性)、ならびに「mutans」(Strept.criceti、Strept.mutans、Strept.ratti、およびStrept.sobrinusなどの歯面streptococci)グループの口腔streptococci、
Strept.acidominimus、Strept.bovis、Strept.faecalis、Strept.equinus、Strept.pneumoniae、およびStrept.suis、
あるいは、グループA、B、C、D、E、G、L、P、U、もしくはV Streptococcusと分類されるStreptococci)などのグラム陽性球菌、
Neisseria gonorrhoeae、Neisseria meningitidis、Neisseria cinerea、Neisseria elongata、Neisseria flavescens、Neisseria lactamica、Neisseria mucosa、Neisseria sicca、Neisseria subflava、およびNeisseria weaveriなどのグラム陰性球菌、
Bacillus anthracis、Bacillus subtilis、Bacillus thuringiensis、Bacillus stearothermophilus、およびBacillus cereusなどのBacillaceae、
Escherichia coli、
Enterobacter(例えば、Enterobacter aerogenes、Enterobacter agglomerans、およびEnterobacter cloacae)、
Citrobacter(Citrob.freundiiおよびCitrob.divernisなど)、
Hafnia(例えば、Hafnia alvei)、
Erwinia(例えば、Erwinia persicinus)、
Morganella morganii、
Salmonella(Salmonella entericaおよびSalmonella typhi)、
Shigella(例えば、Shigella dysenteriae、Shigella flexneri、Shigella boydii、およびShigella sonnei)、
Klebsiella(例えば、Klebs.pneumoniae、Klebs.oxytoca、Klebs.ornitholytica、Klebs.planticola、Klebs.ozaenae、Klebs.terrigena、Klebs.granulomatis(Calymmatobacterium granulomatis)、およびKlebs.rhinoscleromatis)
Proteus(例えば、Pr.mirabilis,Pr.rettgeri、およびPr.vulgaris)
Providencia(例えば、Providencia alcalifaciens、Providencia rettgeri、およびProvidencia stuartii)、
Serratia(例えば、Serratia marcescensおよびSerratia liquifaciens)、ならびに
Yersinia(例えば、Yersinia enterocolitica、Yersinia pestis、およびYersinia pseudotuberculosis)などのEnterobacteriaceae、
Enterococci(例えば、Enterococcus avium、Enterococcus casseliflavus、Enterococcus cecorum、Enterococcus dispar、Enterococcus durans、Enterococcus faecalis、Enterococcus faecium、Enterococcus flavescens、Enterococcus gallinarum、Enterococcus hirae、Enterococcus malodoratus、Enterococcus mundtii、Enterococcus pseudoavium、Enterococcus raffinosus、およびEnterococcus solitarius)、
Helicobacter(例えば、Helicobacter pylori、Helicobacter cinaedi、およびHelicobacter fennelliae)、
Acinetobacter(例えば、A.baumanii、A.calcoaceticus、A.haemolyticus、A.johnsonii、A.junii、A.lwoffi、およびA.radioresistens)、
Pseudomonas(例えば、Ps.aeruginosa、Ps.maltophilia(Stenotrophomonas maltophilia)、Ps.alcaligenes、Ps.chlororaphis、Ps.fluorescens、Ps.luteola、Ps.mendocina、Ps.monteilii、Ps.oryzihabitans、Ps.pertocinogena、Ps.pseudalcaligenes、Ps.putida、およびPs.stutzeri)、
Bacteriodes fragilis、
Peptococcus(例えば、Peptococcus niger)、
Peptostreptococcus、
Clostridium(例えば、C.perfringens、C.difficile、C.botulinum、C.tetani、C.absonum、C.argentinense、C.baratii、C.bifermentans、C.beijerinckii、C.butyricum、C.cadaveris、C.carnis、C.celatum、C.clostridioforme、C.cochlearium、C.cocleatum、C.fallax、C.ghonii、C.glycolicum、C.haemolyticum、C.hastiforme、C.histolyticum、C.indolis、C.innocuum、C.irregulare、C.leptum、C.limosum、C.malenominatum、C.novyi、C.oroticum、C.paraputrificum、C.piliforme、C.putrefasciens、C.ramosum、C.septicum、C.sordelii、C.sphenoides、C.sporogenes、C.subterminale、C.symbiosum、およびC.tertium)、
Mycoplasma(例えば、M.pneumoniae、M.hominis、M.genitalium、およびM.urealyticum)、
Mycobacteria(例えば、Mycobacterium tuberculosis、Mycobacterium avium、Mycobacterium fortuitum、Mycobacterium marinum、Mycobacterium kansasii、Mycobacterium chelonae、Mycobacterium abscessus、Mycobacterium leprae、Mycobacterium smegmitis、Mycobacterium africanum、Mycobacterium alvei、Mycobacterium asiaticum、Mycobacterium aurum、Mycobacterium bohemicum、Mycobacterium bovis、Mycobacterium branderi、Mycobacterium brumae、Mycobacterium celatum、Mycobacterium chubense、Mycobacterium confluentis、Mycobacterium conspicuum、Mycobacterium cookii、Mycobacterium flavescens、Mycobacterium gadium、Mycobacterium gastri、Mycobacterium genavense、Mycobacterium gordonae、Mycobacterium goodii、Mycobacterium haemophilum、Mycobacterium hassicum、Mycobacterium intracellulare、Mycobacterium interjectum、Mycobacterium heidelberense、Mycobacterium lentiflavum、Mycobacterium malmoense、Mycobacterium microgenicum、Mycobacterium microti、Mycobacterium mucogenicum、Mycobacterium neoaurum、Mycobacterium nonchromogenicum、Mycobacterium peregrinum、Mycobacterium phlei、Mycobacterium scrofulaceum、Mycobacterium shimoidei、Mycobacterium simiae、Mycobacterium szulgai、Mycobacterium terrae、Mycobacterium thermoresistabile、Mycobacterium triplex、Mycobacterium triviale、Mycobacterium tusciae、Mycobacterium ulcerans、Mycobacterium vaccae、Mycobacterium wolinskyi、およびMycobacterium xenopi)、
Haemophilus(例えば、Haemophilus influenzae、Haemophilus ducreyi、Haemophilus aegyptius、Haemophilus parainfluenzae、Haemophilus haemolyticus、およびHaemophilus parahaemolyticus)、
Actinobacillus(例えば、Actinobacillus actinomycetemcomitans、Actinobacillus equuli、Actinobacillus hominis、Actinobacillus lignieresii、Actinobacillus suis、およびActinobacillus ureae)、
Actinomyces(例えば、Actinomyces israelii)、
Brucella(例えば、Brucella abortus、Brucella canis、Brucella melintensis、およびBrucella suis)、
Campylobacter(例えば、Campylobacter jejuni、Campylobacter coli、Campylobacter lari、およびCampylobacter fetus)、
Listeria monocytogenes、
Vibrio(例えば、Vibrio choleraeおよびVibrio parahaemolyticus、Vibrio alginolyticus、Vibrio carchariae、Vibrio fluvialis、Vibrio furnissii、Vibrio hollisae、Vibrio metschnikovii、Vibrio mimicus、ならびにVibrio vulnificus)、
Erysipelothrix rhusopathiae、
Corynebacteriaceae(例えば、Corynebacterium diphtheriae、Corynebacterium jeikeum、およびCorynebacterium urealyticum)、
Borrelia(例えば、Borrelia recurrentis、Borrelia burgdorferi、Borrelia afzelii、Borrelia andersonii、Borrelia bissettii、Borrelia garinii、Borrelia japonica、Borrelia lusitaniae、Borrelia tanukii、Borrelia turdi、Borrelia valaisiana、Borrelia caucasica、Borrelia crocidurae、Borrelia duttoni、Borrelia graingeri、Borrelia hermsii、Borrelia hispanica、Borrelia latyschewii、Borrelia mazzottii、Borrelia parkeri、Borrelia persica、Borrelia turicatae、およびBorrelia venezuelensis)、ならびにTreponema(Treponema pallidum ssp.pallidum、Treponema pallidum ssp.endemicum、Treponema pallidum ssp.pertenue、およびTreponema carateum)などのSpirochaetaceae、
Pasteurella(例えば、Pasteurella aerogenes、Pasteurella bettyae、Pasteurella canis、Pasteurella dagmatis、Pasteurella gallinarum、Pasteurella haemolytica、Pasteurella multocida multocida、Pasteurella multocida gallicida、Pasteurella multocida septica、Pasteurella pneumotropica、およびPasteurella stomatis)、
Bordetella(例えば、Bordetella bronchiseptica、Bordetella hinzii、Bordetella holmseii、Bordetella parapertussis、Bordetella pertussis、およびBordetella trematum)、
Nocardia(例えば、Nocardia asteroidesおよびNocardia brasiliensis)などのNocardiaceae、
Rickettsia(例えば、RicksettsiiまたはCoxiella burnetii)、
Legionella(例えば、Legionalla anisa、Legionalla birminghamensis、Legionalla bozemanii、Legionalla cincinnatiensis、Legionalla dumoffii、Legionalla feeleii、Legionalla gormanii、Legionalla hackeliae、Legionalla israelensis、Legionalla jordanis、Legionalla lansingensis、Legionalla longbeachae、Legionalla maceachernii、Legionalla micdadei、Legionalla oakridgensis、Legionalla pneumophila、Legionalla sainthelensi、Legionalla tucsonensis、およびLegionalla wadsworthii)、
Moraxella catarrhalis、
Stenotrophomonas maltophilia、
Burkholderia cepacia、
Francisella tularensis、
Gardnerella(例えば、Gardneralla vaginalisおよびGardneralla mobiluncus)、
Streptobacillus moniliformis、
Capnocytophaga(例えば、Capnocytophaga canimorsus、Capnocytophaga cynodegmi、Capnocytophaga gingivalis、Capnocytophaga granulosa、Capnocytophaga haemolytica、Capnocytophaga ochracea、およびCapnocytophaga sputigena)などのFlavobacteriaceae、
Bartonella(Bartonella bacilliformis、Bartonella clarridgeiae、Bartonella elizabethae、Bartonella henselae、Bartonella quintana、およびBartonella vinsonii arupensis)、
Leptospira(例えば、Leptospira biflexa、Leptospira borgpetersenii、Leptospira inadai、Leptospira interrogans、Leptospira kirschneri、Leptospira noguchii、Leptospira santarosai、およびLeptospira weilii)、
Spirillium(例えば、Spirillum minus)、
Bacteroides(例えば、Bacteroides caccae、Bacteroides capillosus、Bacteroides coagulans、Bacteroides distasonis、Bacteroides eggerthii、Bacteroides forsythus、Bacteroides fragilis、Bacteroides merdae、Bacteroides ovatus、Bacteroides putredinis、Bacteroides pyogenes、Bacteroides splanchinicus、Bacteroides stercoris、Bacteroides tectus、Bacteroides thetaiotaomicron、Bacteroides uniformis、Bacteroides ureolyticus、およびBacteroides vulgatus)、
Prevotella(例えば、Prevotella bivia、Prevotella buccae、Prevotella corporis、Prevotella dentalis (Mitsuokella dentalis)、Prevotella denticola、Prevotella disiens、Prevotella enoeca、Prevotella heparinolytica、Prevotella intermedia、Prevotella loeschii、Prevotella melaninogenica、Prevotella nigrescens、Prevotella oralis、Prevotella oris、Prevotella oulora、Prevotella tannerae、Prevotella venoralis、およびPrevotella zoogleoformans)、
Porphyromonas(例えば、Porphyromonas asaccharolytica、Porphyromonas cangingivalis、Porphyromonas canoris、Porphyromonas cansulci、Porphyromonas catoniae、Porphyromonas circumdentaria、Porphyromonas crevioricanis、Porphyromonas endodontalis、Porphyromonas gingivalis、Porphyromonas gingivicanis、Porphyromonas levii、およびPorphyromonas macacae)、
Fusobacterium(例えば、F.gonadiaformans、F.mortiferum、F.naviforme、F.necrogenes、F.necrophorum necrophorum、F.necrophorum fundiliforme、F.nucleatum nucleatum、F.nucleatum fusiforme、F.nucleatum polymorphum、F.nucleatum vincentii、F.periodonticum、F.russii、F.ulcerans、およびF.varium)、
Chlamydia(例えば、Chlamydia trachomatis)、
Chlamydophila(例えば、Chlamydophila abortus(Chlamydia psittaci)、Chlamydophila pneumoniae(Chlamydia pneumoniae)、およびChlamydophila psittaci(Chlamydia psittaci))、
Leuconostoc(例えば、Leuconostoc citreum、Leuconostoc cremoris、Leuconostoc dextranicum、Leuconostoc lactis、Leuconostoc mesenteroides、およびLeuconostoc pseudomesenteroides)、
Gemella(例えば、Gemella bergeri、Gemella haemolysans、Gemella morbillorum、およびGemella sanguinis)、ならびに
Ureaplasma(例えば、Ureaplasma parvumおよびUreaplasma urealyticum)。
したがって、本発明の化合物を使用して、上述のいかなる細菌生物も殺滅することができる。
この点で言及され得る特定の細菌には、以下のものが含まれる:
Bacillus anthracis、Bacillus subtilis、Bacillus thuringiensis、Bacillus stearothermophilus、およびBacillus cereusなどのBacillaceae、
Staph.aureus(メチシリン感受性(すなわちMSSA)またはメチシリン耐性(すなわちMRSA)のいずれか)およびStaph.epidermidisなどのStaphylococci、
Acinetobacter(例えば、A.baumanii、A.calcoaceticus、A.haemolyticus、A.johnsonii、A.junii、A.lwoffi、およびA.radioresistens)、
Escherichia coli、Klebsiella(例えば、Klebs. pneumoniaeおよびKlebs. oxytoca)、およびProteus(例えば、Pr. mirabilis、Pr. rettgeri、およびPr. vulgaris)などのEnterobacteriaceae、あるいは
Pseudomonas(例えば、Ps.aeruginosa、Ps.maltophilia(Stenotrophomonas maltophilia)、Ps.alcaligenes、Ps.chlororaphis、Ps.fluorescens、Ps.luteola、Ps. mendocina、Ps. monteilii、Ps. oryzihabitans、Ps. pertocinogena、Ps. pseudalcaligenes、Ps. putida、およびPs. stutzeri)。
本発明の第5〜第8の態様に関連して言及され得る特定の細菌感染には、以下の感染が含まれる:
Bacillus anthracis、Bacillus subtilis、Bacillus thuringiensis、Bacillus stearothermophilus、およびBacillus cereusなどのバチルス感染、
Staph.aureus(メチシリン感受性(すなわちMSSA)またはメチシリン耐性(すなわちMRSA)のいずれか)およびStaph.epidermidisなどのブドウ球菌感染、
アシネトバクター感染(例えば、A.baumanii、A.calcoaceticus、A.haemolyticus、A.johnsonii、A.junii、A.lwoffi、およびA.radioresistens)、
Escherichia coli、Klebsiella(例えば、Klebs. pneumoniaeおよびKlebs. oxytoca)、およびProteus(例えば、Pr. mirabilis、Pr. rettgeri、およびPr. vulgaris)などの腸内細菌感染、あるいは
シュードモナス感染(例えば、Ps.aeruginosa、Ps.maltophilia(Stenotrophomonas maltophilia)、Ps.alcaligenes、Ps.chlororaphis、Ps.fluorescens、Ps.luteola、Ps. mendocina、Ps. monteilii、Ps. oryzihabitans、Ps. pertocinogena、Ps. pseudalcaligenes、Ps. putida、およびPs. stutzeri)。
本発明の化合物は、送達薬剤に共有結合した場合、グラム陰性細菌の増殖、生存、および複製を阻害することができるため特に有利であり、既存の抗菌薬ではほとんど効果的にできないものである。したがって、本明細書に開示されるすべての方法の特定の実施形態では、細菌はグラム陰性細菌である。
これに関して、本発明の化合物および製剤を使用して治療できる特定の病態には、結核(例えば、肺結核、非肺性結核(結核リンパ腺、尿生殖器結核、骨結核および関節結核、結核髄膜炎など)ならびに粟粒結核)、炭疽菌、膿瘍、尋常性ざ瘡、放線菌症、細菌性赤痢、細菌結膜炎、細菌性角膜炎、ボツリヌス菌中毒、ブルーリ潰瘍、骨感染および関節感染、気管支炎(急性または慢性)、ブルセラ症、火傷、猫ひっかき病、蜂窩織炎、軟性下疳、胆管炎、胆嚢炎、皮膚ジフテリア、嚢胞性線維症、膀胱炎、びまん性汎呼吸細気管支炎、ジフテリア、虫歯、上部気道の疾患、蓄膿症、心内膜炎、子宮内膜炎、腸チフス、腸炎、精巣上体炎、喉頭蓋炎、丹毒、類丹毒、紅色陰癬、眼感染症、せつ、ガードネレラ膣炎、胃腸感染症(胃腸炎)、性器感染症、歯肉炎、淋病、鼠径部肉芽腫、ハーヴァーヒル熱、感染性火傷、歯科手術後の感染症、口腔領域の感染症、人工器官関連の感染症、腹腔内膿瘍、レジオネラ症、ハンセン病、レプトスピラ症、リステリア症、肝膿瘍、ライム病、リンパ肉芽腫venerium、乳腺炎、乳様突起炎、神経系の髄膜炎および感染症、足菌腫、ノカルジア症(例えば、マズラ足)、非特異性尿道炎、眼炎(例えば、opthalmia neonatorum)、骨髄炎、耳炎(例えば、外耳炎および中耳炎)、精巣炎、膵臓炎、爪周囲炎、骨盤腹膜炎、腹膜炎、虫垂炎を伴う腹膜炎、咽頭炎、フレグモーネ、ピンタ、ペスト、胸水、肺炎、術後創傷感染、術後ガス壊疽、前立腺炎、偽膜性腸炎、オウム病、肺性気腫、腎盂腎炎、膿皮症(例えば、膿痂疹)、Q熱、鼠咬症、細網症、リッター病、サルモネラ症、耳管炎、腐敗性関節炎、敗血性感染、敗血症、副鼻腔炎、皮膚感染(例えば、皮膚肉芽腫)、梅毒、全身性感染、扁桃炎、トキシックショック症候群、トラコーマ、野兎病、腸チフス、発疹チフス(例えば、発疹チフス、発疹熱、***および斑点熱)、尿道炎、創傷感染、いちご腫、アスペルギルス症、カンジダ症(例えば、口咽頭カンジダ症、カンジダ膣炎または亀頭炎)、クリプトコックス症、黄癬、ヒストプラスマ症、間擦疹、ムコール菌症、白癬(例えば、体幹白癬、頭部白癬、陰股部白癬、足白癬、および爪白癬)、爪甲真菌症、癜風、白癬およびスポロトリクム症が含まれる。
この点に関して、言及され得るその他の病態には、MSSA、MRSA、Staph.epidermidis、Strept.agalactiae、Strept.pyogenes、Escherichia coli、Klebs.pneumoniae、Klebs.oxytoca、Pr.mirabilis、Pr.rettgeri、Pr.vulgaris、Haemophilis influenzae、Enterococcus faecalis、またはEnterococcus faeciumによる感染が挙げられる。
本発明の化合物および製剤は、通常、遊離塩基または非毒性の有機もしくは無機酸付加塩のいずれかとしての活性成分を含む医薬製剤の形態で、経口、皮下、静脈内、動脈内、経皮、鼻腔内、吸入、または他の非経口経路で投与される。障害および治療される患者、ならびに投与経路に応じて、化合物および製剤はさまざまな用量で投与され得る。
ヒトの治療的処置における本発明の化合物および製剤の適切な1日量は、約1〜約2000mg/mの範囲である。
本発明の化合物および製剤の最も効果的な投与様式および投与計画は、治療中の特定の病態、治療中の患者におけるその病態の範囲および局在、ならびに患者の健康状態および投与される化合物への反応を含む、いくつかの要因に依存する。したがって、本発明の化合物および製剤の投与量は、個々の患者に合うように調整する必要がある。個々の患者に適切な用量を決定する方法は、当業者に既知であろう。
さらに、本発明の組成物は、従来技術で既知の組成物よりも有効であり、毒性が低く、活性の範囲が広く、より強力であり、副作用が少なく、他の有用な薬理学的特性を有するという利点を有し得る。特に、本発明の組成物は、送達薬剤が(宿主生物の)細胞膜に及ぼし得る有害な影響の減少により、従来技術で既知の組成物よりも毒性が低いという利点を有し得る。
医学における本発明の特定の化合物および製剤の使用は、本発明者らの知る限り、新規である。本発明の特定の実施形態では、治療または予防方法の対象は哺乳動物、特にヒトである。
本発明を以下の実施例により説明する。
19の異なるグラム陽性病原体に対する化合物25〜34のMIC分布(図ではそれぞれ1〜10の数字で示される)を示す。テイクソバクチン類似体であるダプトマイシン(Dとして標識)を対照薬として使用した。テイクソバクチン類似体の全体的な正味荷電が増加したため、MIC分布の増加に注意しなくてはならない。括弧内の数字は、ペプチドの全体的な正味荷電を示す。 A549肺上皮細胞株およびヒト初代皮膚線維芽細胞(hDF)における化合物26の細胞毒性評価を示す。化合物26(24時間で62.5μg/ml)またはノコダゾール(10μg/ml、毒性対照)のいずれかで処理した細胞の代表的な画像を示す。 代表的な細隙灯蛍光画像は、(A)PBS(2つの目)または(B)0.3%化合物26(4つの目)の適用後の角膜の創傷閉鎖の経時変化を示す。画像は1、3、5、および10日目に撮影された。創傷角膜をフルオレセインで染色して上皮の欠損を観察し、細隙灯生体顕微鏡で画像化した。 S.aureus ATCC 29213株に感染したマウスの細隙灯検査を示す。マウスを(A)ビヒクル、(B)化合物26、または(C)モキシフロキサシンで処理した。 (a)ビヒクル単独、化合物26(図では「ペプチド2」と表示)、またはモキシフロキサシンで処理した、感染前後のマウスの角膜厚(CT)の変化を示し、(b)同じ材料で48時間処理した後の感染角膜の細菌バイオバーデンを示す。値は個々の角膜からのコロニー数を表し、バーは平均CFU/組織±平均の標準誤差を表す。
以下の非限定的な実施例を参照することにより、本発明をより詳細に説明する。
MIC試験
MIC試験のために、すべてのペプチドをDMSOに溶解した(L.L.Ling,et al.,Nature 2015,517,455−459の方法による)。細菌はミューラーヒントンブイヨン(オキソイド)で増殖した。すべてのインキュベーションは37℃で行われた。希釈はミューラーヒントンを使用して実施した。100μlのオートクレーブ処理したミューラーヒントンブイヨンを96ウェルプレートのウェル2〜12に添加した。200μlのペプチドをウェル1に512μg/mlの濃度で添加した。ウェル1の100μlのペプチドを取り、ウェル2にピペッティングした。次に、100μlを取る前に混合物をピペッティングにより混合し、ウェル3にピペッティングした。このプロセスをウェル11まで繰り返した。ペプチドをウェル11に添加したら、100μlを取り、ウェル12にペプチドが存在しないことを確認して廃棄した。次に、各ウェルに0.1のOD600nmに希釈した100μlの細菌を播種した。これを3回繰り返した。次いで、96ウェルプレートを24時間インキュベートした。MICは、目に見える成長がない最低濃度であるように決定した。結果を実施例に示す。
材料
Fmoc−D−Ile−OH、Fmoc−D−Thr(Trt)−OH、Fmoc−ε−Ahx−OH、およびoxyma pureは、Merck Milliporeから購入した。すべてのLアミノ酸、1−[ビス(ジメチルアミノ)メチレン]−1H−1,2,3−トリアゾロ[4,5−b]ピリジニウム3−オキシドヘキサフルオロホスフェイト(HATU)、Fmoc−D−Gln(Trt)−OH、Boc−D−Nmethylphenyl−OH、Fmoc−D−Thr−OH、Boc−Asp(OtBu)−OH、Fmoc−Glu(OAll)−OH、Fmoc−Lys(Alloc)−OH、Bis−Boc−pyrazolocarboxamidine、Diisoproplycarbodiimide、およびトリイソプロピルシランをFluorochemから購入した。
アミノ酸の保護基は、特に明記しない限り、GluのBu、ProのBoc、Tyr、Lys、Trp、ArgのPbf、およびGlnのTrtである。余分に乾燥し再蒸留された純度99.5%のジイソプロピルエチルアミンは、Sigma Aldrichから購入した。ジメチルホルムアミド(DMF)ペプチド合成グレードおよびトリフルオロ酢酸(TFA)は、Rathburn chemicalsから購入した。
石油エーテル、ジエチルエーテル、i−PrOH、MeOH(HPLCグレード)、およびアセトニトリル(HPLCグレード)はFisher Scientificから購入した。Milli−Qグレードの水は、ELGA Purelab Flexシステムのものを組織内で入手した。2−クロロトリチルクロリド樹脂(製造元ローディング用量:1.20mmol/g)は、Fluorochemから入手した。RinkアミドChemmatrix樹脂(製造元ローディング用量=0.49mmol/g)をBiotageから入手した。すべての化学物質は、さらに精製することなく使用された。
ペプチド合成の一般手順
ペプチド合成は、2−クロロトリチルクロリド樹脂(ローディング用量=1.20mmol/g)またはRinkアミドChemmatrix樹脂(ローディング用量=0.49mmol/g)に対して、標準Fmoc固相ペプチド合成(SPPS)プロトコールを用いて、完全自動化されたマイクロ波ペプチドシンセサイザーのBiotage Initiator+Alstraを使用して実施した。すべてのアミノ酸カップリングを70℃で5分間照射によって、カップリングカクテルとして5当量DIC/Oxymaと共に5当量アミノ酸のDMF溶液を用いて実施した。Fmoc脱保護は、20%ピペリジンDMF溶液を使用して実施した。
ペプチド切断は、TFA/TIS/HO=95:2.5:2.5(3mL/100mg樹脂)を使用して1時間実施した。0℃、7000rpmで切断および遠心分離に使用したTFAの約5倍量を添加することにより、冷EtO(−20℃)を使用してペプチドを沈殿させた。
すべてのペプチド/コンジュゲートは、以下の緩衝液システム(A:0.1%HCOOHのmilliQ水、B:流速1ml/minを用いたMeCN)を使用して、Phenomenex Gemini NX C18 110Å(150x4.6mm)カラムを備えたThermo Scientific Dionex Ultimate 3000 RP−HPLCで分析した。注入前にカラムを100%のAで5分間洗い流し、分析終了後、95%のBおよび5%のAで5分間洗い流した。
次の勾配(95%のAで2分間、5〜95%のBで15分以内、95%のBで5分間、95%のAで4分間)を使用してペプチドを分析した。
ペプチドおよびコンジュゲートは、Phenomenex Gemini NX C18 110Å(150x10mm)セミプレップカラムを使用して、流速5mL/minのThermo Scientific Dionex Ultimate 3000 RP−HPLCで、上記と同じ勾配を使用して精製した。
実施例1−化合物1、2、および3の合成
化合物1、2、および3の合成:a.Fmoc−AA(PG)−OH(AA=アミノ酸、PG=保護基)、DIC/Oxymaマイクロ波カップリング、それに続く20%ピペリジンDMF溶液。b.TFA:TIS:HO=95:2.5:2.5、1時間。c:空気中、DMSO:mQ=1:3(ペプチド濃度1mM)、12時間。
ステップaおよびb.市販のRinkアミドChemmatrix樹脂(製造元ローディング用量=0.49mmol/g)をDMF中で膨潤させ、自動化された標準SPPSによって、上述の一般手順を使用して化合物1を合成した。
ステップc.次に、粗化合物1をDMSO:mQ水=1:3に溶解し、1mMのペプチド濃度を維持し、空気中、室温で12時間攪拌し、化合物2(約60%)および3(約40%)を得た。化合物2および3は、上述のプロトコールを用いて、セミプレップRP−HPLCを使用して精製した。
実施例2−化合物4の合成
化合物4の合成:a.Fmoc−AA(PG)−OH(AA=アミノ酸、PG=保護基)、HATU/DIPEA、それに続く20%ピペリジンDMF溶液。b.[Pd(PPh(0.2当量)+24当量のPhSiHDCM溶液、2x1時間。c.24x30秒、TFA:TIS:DCM=2:5:93。d.2.5当量のDIC/12当量のDMAPのDMF溶液、一晩。e.Fmoc−AA(PG)−OH(AA=アミノ酸、PG=保護基)、DIC/Oxymaマイクロ波カップリング、それに続く20%ピペリジンDMF溶液。TFA:TIS:HO=95:2.5:2.5、1時間。
ステップa.市販のRinkアミドChemmatrix樹脂(製造元ローディング用量=0.49mmol/g)をDMF中で膨潤させ、自動化された標準SPPSによって、上述の一般的なプロトコールを使用して、残留物Fmoc−Glu(OAll)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Ala−OH、およびFmoc−D−Thr(Trt)−OHを連続してカップリングさせた。
ステップb.Gluのアリル保護基を、0.2当量[Pd(PPh)]および24当量PhSiH乾燥DCMを用いて、アルゴン下で1時間除去した。この手順を2回繰り返し、樹脂をDCMおよびDMFで徹底的に洗浄して、樹脂に付着したPdを除去した。
ステップc.樹脂をDCM中で膨潤させた。次に、2%TFA+5%TIS DCM溶液の24x30秒バーストを使用して、ThrのTrt保護基を除去した。
ステップd.エステル化を、2.5当量DIC+12当量DMAPのDMF溶液を使用して、樹脂を一晩振とうすることにより行った。
ステップe.上述のプロトコールを使用して、後続のアミノ酸をカップリングさせた。
ステップf.上述のプロトコールを使用して、切断、沈殿、およびHPLC精製を行った(HPLC精製後の総回収率10%)。
実施例3−化合物5の合成
化合物5の合成:a.Fmoc−AA(PG)−OH(AA=アミノ酸、PG=保護基)、HATU/DIPEA、それに続く20%ピペリジンDMF溶液。b.[Pd(PPh(0.4当量)+48当量PhSiHのDCM溶液、2×1時間。c.2当量HATU/8当量DIPEA、一晩。d.Fmoc−AA(PG)−OH(AA=アミノ酸、PG=保護基)、DIC/Oxymaマイクロ波カップリング、それに続く20%ピペリジンDMF溶液。e.TFA:TIS:HO=95:2.5:2.5、1時間。
ステップa.市販のRinkアミドChemmatrix樹脂(製造元ローディング用量=0.49mmol/g)をDMF中で膨潤させ、自動化された標準SPPSによって、上述の一般的なプロトコールを使用して、残留物Fmoc−Glu(OAll)−OH、Fmoc−Arg(Pbf)−OH、Fmoc−Ala−OH、およびFmoc−Lys(Alloc)−OHを連続してカップリングさせた。
ステップb.GluのAllyl保護基およびLysのAlloc保護基を、0.4当量[Pd(PPh)]および48当量PhSiHの乾燥DCM中を用いて、アルゴン下で1時間除去した。この手順を2回繰り返し、樹脂をDCMおよびDMFで徹底的に洗浄して、樹脂に付着したPdを除去した。
ステップc.アミド結合形成は、8当量DIPEAと2当量HATUのDMF溶液を使用して、樹脂を一晩振とうすることによって行った。
ステップd.上述の一般的なプロトコールを使用して、後続のアミノ酸をカップリングさせた。
ステップe.上述の一般的なプロトコールを使用して、切断、沈殿、およびHPLC精製を実施した(精製後の総回収率50%)。
参考実施例4:参考化合物6の合成
化合物6の合成:a.4当量Fmoc−Ala−OH/8当量DIPEAのDCM溶液、3時間。b.20%ピペリジンDMF溶液、それに続く3当量AllocHN−D−Thr−OH、3当量HATU/6当量DIPEA。c.10当量Fmoc−Ile−OH、10当量DIC、5mol%DMAPのDFM溶液、2時間、続けて10%AcO/DIPEAのDMF溶液でキャッピング。d.4当量Fmoc−Arg(Pbf)−OH、4当量HATU/8当量DIPEAのDMF溶液、1時間、それに続く20%ピペリジンDMF溶液。e.10当量Trt−Cl、15%EtNのDCM溶液、1時間。f.[Pd(PPh(0.2当量)+24当量PhSiHDCM溶液、2×1時間。g.Fmoc−AA(PG)−OH(AA=アミノ酸、PG=保護基)、HATU/DIPEA、それに続く20%ピペリジンDMF溶液。h.TFA:TIS:DCM=2:5:93、2時間。i.1当量HATU/10当量DIPEAのDMF溶液、1時間、HPLCでモニター。j.TFA:TIS:HO=95:2.5:2.5、1時間。
ステップa.市販の2−クロロトリチルクロリド樹脂(製造元ローディング用量=1.2mmol/g)を反応器内のDCM中で膨潤させた。この樹脂に、4当量Fmoc−Ala−OH/8当量DIPEAのDCM溶液を添加し、反応器を3時間振とうした。ピペリジン−ジベンゾフルベン付加物のUV吸収により決定されるローディング用量は、0.68mmol/gと計算された。
ステップb.上述の一般的な手順に従って、20%ピペリジンDMF溶液を使用してfmoc保護基を除去した。次に、AllocHN−D−Thr−OHを、3当量AA、3当量HATU、および6当量DIPEAのDMF溶液でカップリングさせ、室温で3時間振とうした。
ステップc.エステル化を、10当量Fmoc−Ile−OH、10当量DIC、および5mol%DMAPのDCM溶液を使用して行い、反応液を2時間振とうした。これに続いて、10%Ac2O/DIPEAのDMF溶液を使用して未反応アルコールをキャッピングし、30分間振とうした。
ステップd.Fmoc−Arg(Pbf)−OHを、4当量AA、4当量HATU、および8当量DIPEAのDMF溶液を使用してカップリングさせ、1時間振とうした後、20%ピペリジンDMF溶液を使用して、一般的なプロトコールに記載のとおり、Fmoc脱保護した。
ステップe.ArgのN末端を、10当量Trt−Clおよび15%EtNのDCM溶液を使用して保護し、1時間の振とうさせた。保護はニンヒドリン色彩試験によって検証した。
ステップf.D−ThrのAlloc保護基を、0.2当量[Pd(PPh)]および24当量PhSiH乾燥DCMを用いて、アルゴン下で1時間除去した。この手順を2回繰り返し、樹脂をDCMおよびDMFで徹底的に洗浄して、樹脂に付着したPdを除去した。
ステップg.すべてのアミノ酸を、4当量AA、4当量HATU、および8当量DIPEAを用いてカップリングした。上述の一般的なプロトコールを使用して、脱保護サイクルを実施した。カップリングおよび脱保護の各サイクルは、ニンヒドリン色彩試験によって確認した。
ステップh.TFA:TIS:DCM=2:5:93を使用して、2時間振とうして、アミノ酸側鎖の保護基を切断することなく、ペプチドを樹脂から切断した。
ステップi.溶媒を蒸発させ、1当量HATU、および10当量DIPEAを加えたDMF溶液にペプチドを再溶解し、反応物を1時間撹拌して環化を行った。すべての出発物質が消費されるまで、反応物をHPLCでモニターした。
ステップj.次いで、側鎖保護基を、TFA:TIS:HO=95:2.5:2.5を使用して1時間撹拌することにより切断した。冷EtO(−20℃)を使用してペプチドを沈殿させ、7000rpmで遠心分離して、粗白色固体を得た(総収率44%、純度70%)。HPLC精製により、化合物も白色固体として得られた(回収率50%、総収率10%)。
実施例5−化合物1〜5および参照化合物6の質量分析データ
化合物1〜5および参照化合物6のLC−MSデータは、ESMSDタイプVL質量検出器に接続したPhenomenex Kinetex C18100Åカラム(150x4.6mm、35℃で5μm)を備えた1.5ml/minの流速のAgilent 1100シリーズ機器で収集し、次の溶媒システム:(A):0.1%HCOOHのHO、および(B)MeCNで使用した。カラムを100%のAで2分間洗い流した後、6分間で0〜100%のBの勾配を使用し、続いて100%のBで2分間洗い流した。結果を表1に示す。
実施例6−Staphylococcus aureusに対する化合物1〜4および参照化合物6の活性
S.aureusに対するさまざまな化合物の最小阻害濃度を表2に示す。
実施例7−化合物7〜20の合成
10位のアミノ酸(L−アロ−エンズラシジジンアミノ酸)が別のアミノ酸で置換されているテイクソバクチン誘導体の一般的な合成は、実施例4に詳述されており、A.Parmar,et al.,Chem.Commun.2016,52,6060−6063に記載されている。
化合物7〜20(参照化合物13を含む)は、その方法に類似した方法により調製された。化合物7〜12は、テイクソバクチンの一連のアラニン誘導体を形成する。
化合物7〜20(参照化合物13を含む)の構造は、それぞれ次のとおりである:
実施例8−化合物7〜20の質量分析データ
LC−MSデータは、ESMSDタイプVL質量検出器に接続したPhenomenex Kinetex C18100Åカラム(150x4.6mm、35℃で5μm)を備えた流速1.5ml/minのAgilent 1100シリーズ機器で収集し、以下の溶媒システム:(A):0.1%HCOOHのHO、および(B)MeCNで使用した。カラムを100%のAで2分間洗い流した後、6分間で0〜100%のBの勾配を使用し、続いて100%のBで2分間洗い流した。結果を表3に示す。
実施例9−MRSAおよびMycobacterium smegmatisに対する化合物7〜20の活性
MRSAに対する各種化合物の最小阻害濃度を表4Aに示す。
14個の類似体の合成を介して、Arg10−テイクソバクチン類似体のアラニンスキャンを実施した。試験により、アラニン(化合物7、8、11、および12および参照化合物13)による、残基D−NMe−Phe、L−Ile、D−allo−Ile、L−Ile、およびL−Serの置換が、抗菌活性の大幅な減少をもたらしたことが明らかになった。しかし、L−AlaおよびD−Ala(化合物9および10)によるL−SERおよびD−Glnそれぞれの置換が、Arg10−テイクソバクチン類似体(参考化合物6)のものと同等のMIC値をもたらした。現在の理解に反して、Arg10残基をIleやLeuなどの非極性残基に置き換えると、MRSAに対するテイクソバクチンの生物学的活性と同一の非常に高い生物学的活性を与える類似体をもたらすことを本発明者らはさらに観察した。重要なことは、Leu10−テイクソバクチン(化合物19)およびIle10−テイクソバクチン(化合物18)の両方が、合成的に困難なエンズラシジジンではなく、市販の単純なビルディングブロックで構成されていることである。したがって、エンズラシジジン、アルギニン、またはリジンなどのカチオン性側鎖を有するアミノ酸の存在は、生物学的活性にとって必須ではないと思われる。NMR試験により、変異体S3A、Q4A、およびR10A(化合物9、10、および14)はN末端側では構造化されていないが、近接の環によりC末端側では高度に構造化されることが明らかになった。驚いたことに、Gly10−テイクソバクチン(化合物16)は、Arg10−テイクソバクチン(参照化合物6)と同一の活性を示し、残りの残基の配置がインタクトであれば、位置10でのキラル中心を完全に除去することを証明する。
化合物14、17、18、19、ならびに対照としてのArg10−テイクソバクチンおよびバンコマイシン/ダプトマイシンを、グラム陽性細菌の拡張パネル(表4B)に対して試験し、これらの分子の生物学的活性のより包括的な概要を提供した。
菌株情報:MRSA1:MRSA ATCC 700699、MRSA2:MRSA DR 42412(痰)、MRSA3:MRSA DM 21455(目)。MRSA2およびMRSA3は臨床分離株である。Staphylococcus aureus ATCC 29213、Enterococcus faecalis(VRE 1:VRE ATCC 700802、VRE 2:VRE ATCC 29212)。M.smegmatis ATCC 607。培地:ミューラーヒントンブイヨン
実施例10−化合物21(ジアミノ10−テイクソバクチン)の合成
ジアミノリンカーを、以下の手順を使用して、ジアミノ10−テイクソバクチン用に合成した。
ジアミノNHSリンカーの合成
1,3−ジアミノプロパン−2−オール(200mg、2.22mmol)を20mlのメタノールに溶解し、トリエチルアミン(20ml)を滴加した。次いで、Boc無水物(3当量)を加え、室温で20分間および50℃で1時間加熱した。TLC(9:1)DCM:メタノールによってこれをモニターした。完了後、NaHCOの飽和溶液(40ml)を加え、酢酸エチルで抽出した。溶媒を真空で蒸発させ、精製せずに次のステップで使用した。
ジ−tert−ブチル(2−ヒドロキシプロパン−1,3−ジイル)ジカルバメート(800mg、2.76mmol)を30mlのアセトニトリルに溶解した。N−スクシンイミジルカーボネート(DSC)(1.4g、5.52mmol)を加え、トリメチルアミン(1.1ml、8.28mmol)を滴下して加え、反応物を一晩撹拌した。反応の完了後、溶媒を蒸発させ、DCM:メタノール(9:1)を用いてシリカで精製し、ジ−tert−ブチル(2−((((2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ)カルボニル)オキシ)プロパン−1,3−ジイル)ジカルバメート、収率76%を得た。化合物を質量分析によって特徴付けた。
ジアミノ10−テイクソバクチンの合成
ジアミノテイクソバクチン化合物(化合物21)の合成スキーム
Lys10−テイクソバクチンは、A.Parmar,et al.,Chem.Commun.2016,52,6060−6063に記載のプロトコールを用いて合成された。Lys10−テイクソバクチン(5mg、0.0041mmol)を100μLのDMSOに溶解し、75μLのDipeaを添加した。ジ−tert−ブチル(2−((((2,5−ジオキソピロリジン−1−イル)オキシ)カルボニル)オキシ)プロパン−1,3−ジイル)ジカルバメート(2.65mg、0.00615mmol)をLys10−テイクソバクチン溶液50μlに溶解して加えた。これを10分間撹拌した後、酢酸100μlでクエンチし、HPLCでモニターした。次いで、これを逆相により精製し、凍結乾燥させて、BOC保護化合物を得た。
Boc−ジアミノ10−テイクソバクチンに原液のギ酸を加え、HPLCで1時間モニターした。次いで、水を加え、凍結乾燥させて、テイクソバクチンジアミノ化合物(化合物21)を得た。化合物は、質量分析により、精密質量1331.78、実測質量[M+H]1332.5と検出された。
実施例11−化合物22〜24の合成
環状チオ尿素の一般的合成
環状チオ尿素の合成および活性化の一般スキーム
3.80g(100mmol)のチオ尿素と7.5mlの37%ホルムアルデヒド水溶液(93.4mmol)の混合物に、100mmolのグリシン/ガンマアミノ酪酸/6−アミノヘキサン酸を激しく攪拌しながら加え、溶解するまでさらに20分攪拌を続けた。次に、反応物を室温で放置した。1日後、沈殿物を濾過し、2−プロパノール−水の混合物(1:1)から再結晶させた。収率:50〜75%
チオ尿素の活性化
1当量のチオ尿素誘導体(10mg)を溶解した500μLのDMFに、0.98当量HOSu(N−ヒドロキシスクシンイミド)、および0.98当量DCCを添加し、シクロヘキシル尿素の沈殿が完了するまで、2時間撹拌した。沈殿物を濾過して捨てた。
環状チオ尿素含有テイクソバクチン誘導体の一般合成
チオ尿素含有テイクソバクチンの合成の一般スキーム(化合物22から24)
Lys10−テイクソバクチンは、前述の手順を使用して合成された(Parmar,A.et al.Chem.Commun.52,6060−6063(2016))。Lys10−テイクソバクチン(3mg、0.0025mmol)を100μLのDMSOに溶解し、50μLのDIPEAを加えた。上記のように調製した60μLの活性化チオ尿素を溶液に加えた。これを15分間撹拌した後、溶液が透明になるまでアセトニトリルを滴加した。反応混合物をRP−HPLCで分析した後、RP−HPLC精製および凍結乾燥してチオ尿素含有テイクソバクチン誘導体(化合物22〜24)を得た。
実施例12−S.aureus、MRSA、およびMycobacterium smegmatisに対する化合物21〜24の活性
実施例13
10位のアミノ酸(L−アロ−エンズラシジジンアミノ酸)が別のアミノ酸で置換されているテイクソバクチン誘導体の一般的な合成は、実施例4に詳述されており、A.Parmar,et al.,Chem.Commun.2016,52,6060−6063に記載されている。
化合物25〜53は、10位のアミノ酸がロイシン、イソロイシン、シクロヘキシルグリシン、ノルバリン、フェニルアラニン、またはアラニンで置換され、3位、4位、および9位の0〜3個のアミノ酸がアルギニンで置換されるテイクソバクチンの変異体である。これらの化合物は、実施例4の方法と類似の方法により調製された。化合物26の詳細な方法を実施例14に提供する。
化合物25〜53の構造は、それぞれ次のとおりである。
実施例14:化合物26の合成
2−クロロトリチルクロリド樹脂から出発するD−Arg−Leu10−テイクソバクチン(化合物26)の合成:a.4当量Fmoc−Ala−OH/8当量DIPEAのDCM溶液、3時間。b.20%ピペリジンDMF溶液、それに続く3当量AllocHN−D−Thr−OH、3当量HATU/6当量DIPEA、1.5時間。c.10当量Fmoc−Ile−OH、10当量DIC、5mol%DMAPのDCM溶液、2時間、続けて10%AcO/DIPEAのDMF溶液、20%ピペリジンDMF溶液でキャッピング。d.4当量Fmoc−Leu−OH、4当量HATU/8当量DIPEAのDMF溶液、1時間、それに続く20%ピペリジンDMF溶液。e.10当量Trt−Cl、15%のEtNのDCM溶液、1時間。f.0.2当量[Pd(PPh+24当量PhSiH乾燥DCM、1×20分、1×45分。g.4当量Fmoc/Boc−AA(PG)−OH(AA=アミノ酸、PG=保護基)、4当量DIC/Oxyma(μwave、10分)、それに続く20%ピペリジンDMF溶液(3分、10分)。h.TFA:TIS:DCM=2:5:93、1時間。i.1当量HATU/10当量DIPEAのDMF溶液、30分。j.TFA:TIS:HO=95:2.5:2.5、1時間。
ステップa.市販の2−クロロトリチルクロリド樹脂(製造元ローディング用量=1.2mmol/g、170mg樹脂)を反応器内のDCMで膨潤させた。この樹脂に、4当量Fmoc−Ala−OH/8当量DIPEAのDCM溶液を添加し、反応器を3時間振とうした。ピペリジン−ジベンゾフルベン付加物のUV吸収により決定される負荷は、0.6mmol/gと計算された(170mg樹脂、0.102mmol)。1時間振とうすることにより、あらゆる未反応樹脂をMeOH:DIPEA:DCM=1:2:7でキャッピングした。
ステップb.Fmoc保護基を、20%ピペリジンDMF溶液を使用して3分間振とうすることによって脱保護した後、排出し、20%ピペリジンDMF溶液で10分間再度振とうした。次に、AllocHN−D−Thr−OHを3当量のAA、3当量のHATU、および6当量DIPEAのDMF溶液を付加して、室温で1.5時間振とうすることによって、樹脂にカップリングさせた。
ステップc.エステル化を、10当量Fmoc−Ile−OH、10当量DIC、および5mol%DMAPのDCM溶液を使用して行い、反応物を2時間振とうした。これに続いて、10%AcO/DIPEAのDMF溶液を使用して30分間振とうして未反応アルコールをキャッピングし、ステップ(b)で先述したプロトコールを使用してFmocを除去した。
ステップd.Fmoc−Leu−OHを、4当量のAA、4当量のHATUおよび8当量のDIPEAのDMF溶液を使用してカップリングさせ、1時間振とうした後、20%ピペリジンDMF溶液を使用して、先述のとおりFmocを脱保護した。
ステップe.LeuのN末端を、10当量Trt−Clおよび15%EtNのDCM溶液を使用して保護し、1時間振とうさせた。保護はニンヒドリン色彩試験によって検証した。
ステップf.D−ThrのAlloc保護基を、0.2当量の[Pd(PPh)]および24当量のPhSiH乾燥DCMを用いて、アルゴン下で20分間除去した。時間を45分に増やしてこの手順を再度繰り返し、樹脂をDCMおよびDMFで徹底的に洗浄して、樹脂に付着したPdを除去した。
ステップg.すべてのアミノ酸を、4当量アミノ酸、4当量のDIC/Oxymaを使用してカップリングさせ、マイクロ波ペプチドシンセサイザーを使用した。カップリング時間は10分だった。先述のように、脱保護サイクルを実行した。
ステップh.TFA:TIS:DCM=2:5:93を使用して1時間振とうして、アミノ酸側鎖の保護基を切断することなく、ペプチドを樹脂から切断した。
ステップi.溶媒を蒸発させ、1当量HATUおよび10当量DIPEAを添加したDMFにペプチドを再溶解し、反応物を30分間撹拌して環化を実施した。
ステップj.次いで、側鎖保護基を、TFA:TIS:HO=95:2.5:2.5を使用して1時間撹拌することにより切断した。冷EtO(−20℃)を使用してペプチドを沈殿させ、7000rpmで遠心分離して白色固体を得た。この固体をRP−HPLCでさらに精製した。
HPLC精製後の化合物25〜34の総収率は、通常13〜22%の範囲だった。テイクソバクチン類似体25〜34はすべて、ポジティブモードのHRMS(ESI)によって特徴付けられた(下表を参照)。化合物26はNMRによっても特徴付けられた。HPLC精製画分の均一性を質量分析により分析した。使用されたテイクソバクチン類似体のすべては、HPLCで示されるように>95%の純度まで精製された。
実施例15−MRSAに対する化合物25〜53の活性
MRSAに対する化合物25〜53の最小阻害濃度を表10に示す。
実施例16−インビトロ抗菌試験:
テイクソバクチン類似体化合物25〜34の抗菌力を、MRSA ATCC 33591に対して評価した。Leu10−テイクソバクチンおよび天然のテイクソバクチンは、活性のベンチマークとして含まれた。2つのカチオン電荷を持つ6つの類似体25〜27および32〜34は、天然のテイクソバクチン(2つのカチオン電荷)と同様の疎水性親水性バランスを有する。これらの類似体は、天然のテイクソバクチン(MIC 0.25μg/ml)と同等の効力(MIC 0.125〜0.25μg/ml)を示した。化合物28〜30はそれぞれ3つのカチオン電荷を保有する。興味深いことに、化合物28は、天然のテイクソバクチンと同等の抗菌活性(MIC 0.25μg/ml)を示した。しかしながら、化合物29および30は、天然のテイクソバクチンまたはLeu10−テイクソバクチンよりも4倍低い抗菌活性(MIC 1μg/ml)を示した。4つのカチオン電荷を有する化合物31も抗菌活性の低下を示した(MIC 1μg/ml)。
化合物25〜34は、抗生物質耐性および抗生物質感受性のグラム陽性病原体および比較抗生物質であるダプトマイシンのパネルに対してさらに評価した(図1)。MICの結果は、合成類似体がテストされたさまざまな菌株に対して強力であることを示すが、それらのMIC分布は大きく異なる。興味深いことに、ペプチドの全体的な正味電荷が増加すると、MIC値のより広い分布が観察された。
特に、StaphylococcusのMIC値は変化しなかったが、4つのカチオン電荷でEnterococcusの有意な増加が観察された(化合物31、MIC 2−8μg/ml)。テイクソバクチン類似体についても同様の傾向が報告されており、正電荷の増加によりStaphylococcus aureus ATCC 29213に対してMICが増加する。本明細書において、例えば、Lys−D−Lys−Lys10−テイクソバクチン(4つのカチオン電荷)は、Staphylococcus aureus ATCC 29213に対して8μg/mlのMICが報告されているが、同じ細菌株に対して、Arg−D−Arg−Arg−Leu10−テイクソバクチン(化合物31、4つのカチオン電荷)のMICは1μg/ml(8倍改善)だった。
上記のケースに3つのアルギニンを含めると、おそらくテイクソバクチンの両親媒性が乱れ、結果として活性が低下する。2つのカチオン電荷を持つ6つの類似体25〜27および32〜34は、Leu10−テイクソバクチンと同等の抗菌力を示した。重要なことに、これらの類似体の疎水性親水性バランスは、天然のテイクソバクチンと類似していた(2つのカチオン電荷)。3つのカチオン電荷を持つ類似体28〜30も、Leu10−テイクソバクチンに同等の抗菌力を示した。合成された類似体はすべて、広範な細菌パネルに対して優れた効力を示した。25〜30および32〜34の9つの類似体は、疎水性と親水性の最適なバランスを備えた高い抗菌力などの薬物様プロファイルを示す。S.aureus/MRSA菌株に対するテイクソバクチン類似体の最小殺菌濃度(MBC)(表11)がさらに決定された。化合物26は、MBC値が試験した菌株に対してMICの4倍を超えて増加しなかったため、非常に強力な殺菌特性を示した。化合物26はaeruginosa(グラム陰性菌)に対して不活性であることがわかった。狭いMIC分布値および殺菌特性を考慮して、化合物26に注目し、その生物学的特性をさらに調査した。
実施例17−耐性試験および細菌の時間依存性殺滅:化合物26
D−Arg−Leu10−テイクソバクチン(化合物26)を、S.aureus ATCC 29213およびMRSA ATCC 33591の一段階耐性について評価した。テイクソバクチン類似体26(5倍、10倍、20倍のMIC)に対して耐性であるS.aureus ATCC 29213またはMRSA ATCC 33591の変異体を得ることができなかった。化合物26に対する耐性の算出頻度は、10−10未満であり、テイクソバクチンに相当することがわかった。26に対する予備試験における耐性の欠如は、耐性菌に対する薬物様分子の開発において有望である。S.aureus ATCC 29213に対するD−Arg−Leu10−テイクソバクチン26の時間−死滅速度試験を調査して、化学修飾が殺菌特性を保持するかどうかを確認した。細菌接種材料を0.5μg/mlまたは1μg/mlの化合物26に曝露すると、8時間で細菌生存率が2log10以上減少し、これは、テイクソバクチン類似体およびテイクソバクチンの前の報告と同等であった。
実施例18−インビトロ細胞毒性試験:
インビボ試験の前に、哺乳類細胞上で化合物26の細胞毒性を評価することが重要だった。ヒト肺上皮細胞株A549および初代皮膚線維芽細胞(hDF)における化合物26の細胞毒性を決定した。これらの細胞培養モデルの両方は、抗菌ペプチドの細胞毒性の評価のためにすでに確立されている。MTSアッセイは、さまざまな濃度のペプチドにさらされた両方の哺乳類細胞タイプが、平均MIC(0.27μg/ml)値よりも約900倍(250μg/ml)高い濃度であっても、有意な代謝活性(≧80%生存率、図2a、b)を保持することを示し、テイクソバクチン類似体の優れた細胞選択性を示す。ハイコンテント画像は、上皮細胞および線維芽細胞の両方を化合物26に曝露すると細胞骨格および核の破壊がないことを示し(図2c、d)、その非細胞毒性特性を確立した。化合物26に曝露された哺乳動物細胞の形態は、未処理細胞と同様に見えた。しかし、細胞を抗腫瘍薬(ノコダゾール、対照として使用)に曝露すると、接着細胞が実質的に失われ、その細胞毒性を確認した。
A549細胞(a)およびhDF(b)の両方を、化合物26の濃度を増加して(15.62μg/ml〜250μg/mlの範囲)24時間処理した。化合物26のストック溶液(500μg/ml)は、細胞培養培地に化合物26を直接溶解することにより新たに調製され、使用された。対照として、ジメチルスルホキシド(DMSO、0.1%v/v)またはノコダゾール(DMSOに5μg/ml溶解)で、細胞を処理した。処理期間の終わりに、細胞の代謝活性をMTSベースの細胞生存アッセイによって定量化した。データは、3回の独立した三重実験の平均値±SEMを表す。p>0.05。化合物26で24時間処理した後、A549細胞(c)およびhDF(d)を固定し、ローダミン−ファロイジン(赤)、alexa fluor488結合抗αチューブリン(緑)、およびHoechst 33342(青)で蛍光染色し、IN Cell Analyzer 2200自動顕微鏡を使用して画像化した。化合物26(62.5μg/ml、24時間)またはノコダゾール(10μg/ml、毒性対照)で処理した細胞の代表的な画像を図2c、dに示す。
例19−インビボ毒性試験:
ウサギの角膜損傷モデルにおける化合物26のインビボ毒性を調べた。0.3%(w/v)溶液50μlを円形に創面切除した角膜に局所的に(1日4回)塗布し、フルオレセイン染色により再上皮化をモニターした。ビヒクル単独が対照として扱われた。
図3は、対照創傷と化合物26で処理した創傷の両方の経時的なフルオレセイン染色の減少を示す。PBSで処理した創傷と化合物26で処理した創傷との間には、創傷閉鎖に有意な差はなかった。化合物26で処理した損傷角膜の再上皮化および創傷閉鎖にいかなる遅延もないことは、ペプチドの良好な生体適合性を示唆している。
実施例20−細菌性角膜炎モデルにおけるD−Arg−Leu10−テイクソバクチンのインビボ抗菌効力:
S.aureus角膜炎のマウス目モデルにおける化合物26のインビボ有効性を調べた。S.aureusは細菌性角膜炎の主要な病原因子の1つであり、この微生物によって生成される有毒な分泌物は角膜融解に関係しており、有意な罹患率と視力喪失をもたらす。メスの刃で角膜上皮を引っ掻いた後、マウスの瘢痕化した角膜にS.aureus ATCC 29213接種材料(15μlの6×10CFU/ml)を感染させた。感染後(p.i.)6時間で、感染角膜をビヒクル(PBS)、化合物26(0.3%w/vのPBS溶液)およびモキシフロキサシン(0.3%)で処理した。合計8回の投与を行い、細隙灯検査、前眼部光干渉断層法(AS−OCT)、および細菌バイオバーデンの微生物学的列挙により、感染の進行をモニターした。PBSで処理したマウスの角膜には、結膜浮腫、前房蓄膿様物質および角膜浸潤の顕著な存在によって示される重度の臨床症状が見られた(図4)。
化合物26またはモキシフロキサシンで処理した角膜が角膜欠損の兆候がなく透明のままであったのに対し、PBS処理した角膜における角膜混濁および粘液膿性分泌物の顕著な存在に注意しなければならない。特に、化合物26またはフルオロキノロン抗生物質で処理した感染角膜は、結膜浮腫および角膜浸潤の欠如によって示されるように、同様の臨床的所見を呈した。これらの結果は、化合物26がS.aureus感染の進行を停止し、活性がモキシフロキサシンに相当することを示す。
組織の重症度に対する治療の効果を決定するために、さまざまな群の角膜厚を決定した(図5a)。マウスのベースライン角膜厚(93.8±2.9μm)は、上皮除去とそれに続くS.aureus感染後(6時間pi)、穏やかに減少した(79.0±3.4μm)。感染角膜をビヒクル単独(PBS)で処理すると、24時間後(151.7±12.7μm)および48時間後(186.2±17.5μm)に角膜厚が実質的に増加し、感染後の角膜浮腫を呈した。化合物26で処理した感染角膜は、処理後(pt)24時間および48時間後に、それぞれ平均角膜厚が92.3±12.5μmおよび121.7±3.2μmであった。モキシフロキサシン処理した角膜の場合、平均角膜厚は、処理後24時間後では124.2±9.4μm、処理後48時間後では140.3±10.3μmだった。これらの結果は、PBS治療群またはモキシフロキサシン治療群と比較した場合、化合物26処置がS.aureus感染後の角膜浮腫の有意な減少をもたらすことを示唆した。
図5a:化合物26で処理した角膜のCT値は、処理後48時間後にベースライン値に近づき、PBS/モキシフロキサシン処理した角膜の場合には存在しなかったことに注意しなければならない。化合物26で処理した感染角膜では、3回投与後の初期の未治療角膜と比較して、角膜浮腫の有意な減少(p、0.01 双方向ANOVA)が観察され、8回投与後にさらに減少(p、0.001)したことに注意しなければならない。結果は、標準的な抗生物質治療と比較した場合、化合物26での処理後の重症度(感染による)は著しい低下を示した。
8回の投与後に採取された角膜組織の細菌の列挙により、化合物26のインビボ効力を確認した(図5b)。PBS処理したすべての感染した角膜は、4.7×10〜1.3×10CFU/組織の有意な存在の細菌を含んでいた。PBS処理した角膜の平均log10CFU/組織±標準誤差は、6.51±0.27だった。化合物26で処理した6つの角膜のうち5つは、検出可能な細菌コロニーを有していた。化合物26で処理した角膜の平均log10CFU/組織は3.97±0.19であった。モキシフロキサシンで処理した4つの感染角膜は、3.7±0.24の平均log10CFU/組織を有する検出可能な細菌コロニーを含んでいた。これらの結果により、化合物26が細菌バイオバーデンの減少において確立された抗生物質と同様の抗菌効果を有し、したがって局所適用のための安全な治療薬としての可能性を示したことが確認された。
実施例21−Leu10−テイクソバクチン−3−(S3K−K5R)コンジュゲート(化合物54)
化合物54(上記のLeu10−テイクソバクチン−3−(S3K−K5R)コンジュゲート)は、化合物26を調製する方法と類似の方法により調製した(実施例14を参照)。計算質量:2038.3507、実測質量:2039.33
実施例22−MRSA、E.coli、およびA.baumanniiに対する化合物54の活性
MRSA、E.coli、およびA.baumanniiに対する化合物54の最小阻害濃度を表12に示す。

Claims (32)

  1. 式IA、IBもしくはICの化合物、
    またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは包接化合物であって、式中、
    が、H、C1−6アルキル、C1−6アシル、ベンジルまたはベンゾイルを表し、
    AA、AA、およびAA〜AAが、それぞれ独立して、タンパク質構成または非タンパク質構成アミノ酸を表し、
    AAおよびAAが、それぞれ独立して、タンパク質構成もしくは非タンパク質構成アミノ酸、ジアミノプロパン酸、ジアミノブタン酸、またはオルニチンを表し、
    が、水素またはC1−4アルキルを表し、
    9a、R9b、およびR9cが、タンパク質構成または非タンパク質構成アミノ酸側鎖、−CH−NH、−(CH−NHまたは−(CH−NHを表し、
    10aが、式−L−L−L−Xのフラグメント、疎水性タンパク質構成アミノ酸側鎖、疎水性非タンパク質構成アミノ酸側鎖、極性非荷電アミノ酸側鎖、負荷電アミノ酸側鎖、水素を表すか、あるいはR10aが、隣接する窒素原子に連結してプロリン環を形成し、
    11aが、タンパク質構成または非タンパク質構成アミノ酸側鎖を表し、
    Zは−O−または−NH−であり、
    が、直鎖または分岐鎖のC1−12アルキレンリンカーを表し、
    が、−O−、−N(X)−、−[N(X−、−C(O)−、−OC(O)−、−C(O)O−、−NHC(O)−、−C(O)N(X)−、−OC(O)N(X)−、−NHC(O)O−、または−NHC(O)N(X)−からなる群から選択され、
    が、水素または−L−Xを表し、
    が、直接結合または直鎖もしくは分岐鎖のC1−12アルキレンリンカーを表し、
    各Xは独立して、−C(O)−C1−12アルキル、−C(O)−NH、−C(S)−NH、式Qのフラグメント、および1つ以上のX置換基で任意選択的に置換されたC1−12アルキル基からなる群から選択され、
    式Qのフラグメントは次式であり、
    式中、Qが、CHあるいはNのいずれかを表し、QはO、SまたはNHを表し、
    各Xは独立して、−NH、−OH、−NHC(O)NH、−NHC(S)NH、−NHC(=NH)NH、または3〜12員のヘテロシクリル基を表す、
    あるいは−L−L−Xが一緒に式Qのフラグメントを表し、
    10bが、アミノ酸側鎖、−C1−6アルキル−NH基、−C1−6アルキル−NH−C(=NH)−NH基、または式−L−L−L−X(式中、L、L、LおよびXは上で定義したとおりである)のフラグメントを表し、
    11bが、−C(O)NHを表し、
    は−CH−SHを表し、Rは−CH−NH、−(CH−NH、−(CH−NH2、またはスレオニン、システイン、セリン、リジン、チロシン、アスパラギン酸、およびグルタミン酸からなるリストから選択されるアミノ酸の側鎖を表すか、あるいは、
    およびRが連結して連結基を形成し、
    前記連結基は−C1−6アルキレン−Q−C1−6アルキレン基であり、Qは−O−、−OC(O)−、−C(O)O−、−C(O)N(R’)−、−N(R’)C(O)−、−S−、−S−S−、および−C(O)−からなるリストから選択される官能基を表し、R’はHまたはC1−4アルキルを表し、
    前記連結基の前記C1−6アルキレン基は直鎖アルキレン基であり、前記直鎖アルキレン基は同じでも異なっていてもよく、−OH、−SH、−SC1−4アルキル、−OC1−4アルキル、−NH、−C(O)OH、−C(O)−NH、−C(O)OC1−4アルキル、およびC1−4アルキル基からなる群から選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換され、後者の基(すなわち、前記C1−4アルキル基)が、−OH、−SH、−SC1−4アルキル、−NH、−C(O)OH、−C(O)−NH、−C(O)OC1−4アルキル、およびフェニルからなるリストから選択される1つ以上の置換基で任意選択的に置換され、
    10cが、アミノ酸側鎖またはL−アロ−エンズラシジジン(enduracididine)基を表し、
    11cはアミノ酸側鎖を表し、
    式ICの化合物の場合、AA〜AAのうちの少なくとも1つが、式−NH−CH(R)−C(O)−のアミノ酸で置換され、および/またはR9cおよびR11cのうちの少なくとも1つが、代替的にRを表し、Rが、上で定義した式−L−L−L−Xのフラグメントを表し、
    任意選択的に、前記式IA、IB、またはICの化合物が、細菌細胞膜上の1つ以上の構造物に共有結合できるか、あるいは細菌細胞膜上の1つ以上の構造に別の方法で結合できる親水性部分を含むかのいずれかである送達薬剤に共有結合している、化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは包接化合物。
  2. 10aが、式−L−L−L−Xのフラグメントを表す、請求項1に記載の化合物。
  3. 10aが、少なくとも2つの末端グアニジニル、尿素、チオ尿素、アミノ基および/またはヒドロキシル基(例えば、少なくとも2つのX基)を含むペンダント基である、請求項1または請求項2に記載の化合物。
  4. が、直接結合または直鎖のC1−6アルキレンリンカーを表す、請求項1〜3のいずれか一項に記載の化合物。
  5. が、式Qのフラグメントあるいは1つ以上のX置換基で置換されたC1−12アルキル基のいずれかを表す、請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
  6. 各Xが独立して、−NH、−OH、−NHC(O)NH、−NHC(S)NH、−NHC(=NH)NH、またはOおよびNから選択される1個もしくは2個のヘテロ原子を含む3〜6員の芳香族、飽和した複素環もしくは部分的に飽和した複素環を表す、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物。
  7. 10aが、Xまたは−L−L−Xが式Qのフラグメントを表す−L−L−L−Xを表し、好ましくはQがNを表す、請求項1〜6のいずれか一項に記載の化合物。
  8. 10aが、疎水性アミノ酸側鎖、疎水性非タンパク質構成アミノ酸側鎖、極性非荷電アミノ酸側鎖、負荷電アミノ酸側鎖、水素を表すか、またはC−R10aが、前記隣接する窒素原子に連結してプロリン環を形成する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物。
  9. が、H、C1−6アルキル、C1−6アシル、ベンジル、ベンゾイル、または送達薬剤を表し、前記送達薬剤が、細菌細胞膜上の1つ以上の構造物に共有結合できるかあるいはは細菌細胞膜上の1つ以上の構造物に別の方法で結合できる親水性部分を含むかのいずれかである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の化合物。
  10. AAがD−フェニルアラニン残基を表し、AAがL−イソロイシン残基を表し、AAがD−アロ−イソロイシンまたはD−イソロイシン残基を表し、AAがL−イソロイシン残基を表し、AAがL−セリン残基を表す、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物。
  11. が、水素またはメチル基を表す、請求項1〜10のいずれか一項に記載の化合物。
  12. 9a、R9b、およびR9cが、−CH−NH、−(CH−NH、−(CH−NH、ヒドロキシ基、アミド官能基(後者の2つの基は直鎖、分岐鎖、環状、または部分環状のC1−8アルキレン基を介して残余分子に結合する)、あるいはヒスチジン、リジン、アルギニン、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ノルバリン、シクロヘキシルグリシン、シクロヘキシルアラニン、フェニルグリシン、ビフェニルグリシン、ビフェニルアラニン、ナフチルグリシン、ナフチルアラニン、セリン、スレオニン、アスパラギン、またはグルタミンの側鎖を表す、請求項1〜11のいずれか一項に記載の化合物。
  13. 11aおよびR11cが、アラニン、バリン、イソロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、ノルバリン、シクロヘキシルグリシン、シクロヘキシルアラニン、フェニルグリシン、ビフェニルグリシン、ビフェニルアラニン、ナフチルグリシン、またはナフチルアラニンの側鎖を表す、請求項1〜12のいずれか一項に記載の化合物。
  14. 前記化合物が式IBのものである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物。
  15. 10bが、アルギニン、リジン、ヒスチジン、もしくはアロ−エンズラシジジンの側鎖、−C1−6アルキル−NH基、または−C1−6アルキル−NH−C(=NH)−NH基を表すか、あるいはR10bが、請求項3〜8のいずれか一項で定義したR10aを表し、好ましくは、R10bが、アルギニンの側鎖を表す、請求項14に記載の化合物。
  16. Qが、−OC(O)−、−C(O)O−、−NHC(O)−、−C(O)NH−、または−S−S−を表す、請求項14または請求項15のいずれか一項に記載の化合物。
  17. およびRが連結し、前記連結基を含む環状構造が14〜18員環である、請求項14〜16のいずれか一項に記載の化合物。
  18. およびRが連結する場合、前記連結基が、
    からなる群から選択される、請求項14〜17のいずれか一項に記載の化合物。
  19. 前記送達薬剤が、式IIのフラグメントであり、
    式中、Dが、示したX基が結合するデンドリマーフラグメントを表し、Xが、−NH、ボロン酸、またはボロン酸誘導体を表し、nは2以上(例えば、2〜20)であり、
    波線が、前記式IA、IB、またはICの化合物への付着点を示すか、
    あるいは、前記送達薬剤が、ポリペプチドもしくはポリペプチド誘導体、またはその薬学的に許容される塩であり、前記ポリペプチドもしくはポリペプチド誘導体が、アルギニンおよびリジンからなる群から選択される少なくとも2つの残基を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の化合物。
  20. 前記送達薬剤が、ボロン酸、ボロン酸誘導体、一級アミン、アミジン、グアニジン、アミド、尿素、およびそれらの酸付加塩からなるリストから独立して選択される1つ以上の官能基を含む、請求項1〜19のいずれか一項に記載の化合物。
  21. 前記送達薬剤が、式III〜VIIIのうちのいずれか1つのフラグメントであり、
    式中、D〜Dがそれぞれ、括弧内に示した基が結合するデンドリマーフラグメントを表し、Yが、O、NH、またはSを表し、各n1が2以上(例えば、2〜20)であり、m、p、qおよびrがそれぞれ独立して1〜8を表し、RがC1−6アルキル基を表すか、あるいは、
    前記送達薬剤が、式IXa、IXbまたはXのフラグメントであり、
    式中、各Lが脂肪族リンカー(例えば、C1−6アルキル鎖)を表し、DおよびDが、直接結合、または示したホウ素含有基が結合するデンドリマーフラグメントを独立して表し、n2が1以上であり、任意選択的に、DおよびDが、リンカー基を介して前記式IXa、IXb、およびXの化合物のボロン酸またはホウ酸部分に結合する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の化合物。
  22. 前記送達薬剤が、式III〜VIII、IXa、IXbまたはXのうちのいずれか1つのフラグメントであり、D〜Dが独立して、式A〜Eのうちのいずれか1つのデンドリマーフラグメントを表す、請求項11に記載の化合物。
  23. が、H、C1−6アルキル、C1−6アシル、ベンジル、もしくはベンゾイル、または請求項9〜12のいずれか一項に記載の式II〜Xの送達薬剤フラグメントを表す、請求項1〜22のいずれか一項に記載の化合物。
  24. が、H、メチル、アセチル、または式II〜Xの送達薬剤フラグメントを表す、請求項1〜23のいずれか一項に記載の化合物。
  25. からなる群から選択される化合物、ならびにその薬学的に許容される塩、溶媒和物、および包接化合物。
  26. 薬学的に許容されるアジュバント、希釈剤、または担体と組み合わせて、請求項1〜25のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬製剤。
  27. 医学で使用するための、請求項1〜25のいずれか一項に記載の化合物、または請求項26に記載の医薬製剤。
  28. 対象における細菌感染の治療または予防に使用するための、請求項1〜25のいずれか一項に記載の化合物、または請求項26に記載の医薬製剤。
  29. 対象における細菌感染を治療または予防するための薬剤の製造における、請求項1〜25のいずれか一項に記載の化合物、または請求項26に記載の医薬製剤の使用。
  30. 細菌感染を治療または予防する方法であって、治療有効量の請求項1〜25のいずれか一項に記載の化合物、または請求項26に記載の医薬製剤を、それを必要とする対象に投与することを含む、方法。
  31. 前記対象がヒトである、請求項28に記載の使用、請求項29に記載の使用、または請求項30に記載の方法のための化合物または医薬製剤。
  32. 請求項1に記載の式IA、IB、またはICの化合物を調製するためのプロセスであって、
    (i)R10bが、−C1−6−アルキル−NHC(=NH)NH基(例えば、アルギニン側鎖)を表す式IBの化合物の場合、式XI
    (式中、AA〜AAが請求項1で定義したとおりであり、任意選択的に保護され、R〜R、R9bおよびR11bが請求項1で定義したとおりであり、Rが請求項23で定義したとおりである。)の化合物の脱保護、
    (ii)酸の存在下で、1つ以上のヒドロキシル基がエーテル保護基で保護されている式IA、IB、またはICの化合物の脱保護、
    (iii)酸の存在下で、1つ以上の一級アミド基がトリチル基で保護される式IA、IB、またはICの化合物の脱保護、
    (iv)RおよびRが連結し、Qが−S−S−を表す式IBの化合物の場合、式XII
    (式中、AA〜AAが請求項1で定義したとおりであり、任意選択的に保護され、R9b、R10b、およびR11bが請求項1で定義したとおりであり、Rが請求項23で定義したとおりであり、ZおよびZがそれぞれ独立してリンカー基の一部を形成する直鎖C1−6アルキレン基に関して請求項1で定義した任意選択的に置換された直鎖C1−6アルキレン基を表す。)の化合物の酸化、
    (v)式IA、IB、またはICの化合物の場合、式XIIIA、XIIIB、またはXIIIC
    (式中、AA〜AAが請求項1で定義したとおりであり、任意選択的に保護され、Z、R、R、R、R9a、R9b、R9c、R10a、R10b、R10c、R11a、R11b、およびR11cは請求項1に定義したとおりである)の化合物の反応であって、
    a)式XIIIA、XIIIB、またはXIIICの化合物を式XIVの化合物と反応させるステップ
    (式中、Rが請求項23で定義したとおりであり、RAA1が所望のAAアミノ酸の側鎖(任意選択的に保護された形態)であり、PGが任意の適切な保護基、および適切なペプチドカップリング試薬を表す。)と、それに続き、
    b)保護基PG(存在する場合)を除去するステップと、を含むプロセスにおける、反応、
    (vi)式IAまたはICの化合物の場合、式XVAまたは式XVC
    (式中、AA〜AAが請求項1で定義したとおりであり、任意選択的に保護され、Z、R、R9a、R9c、R10a、R10c、R11a、およびR11cが請求項1で定義したとおりであり、Rが適切なペプチドカップリング剤を含み請求項23に定義したとおりである。)の化合物の反応、
    (vii)R11bが−C(O)NHを表す式IBの化合物の場合、酸の存在下での、式XVI
    (viii)R10aまたはR10bが適宜、Lが−NHC(O)−NHC(O)O−または−NHC(O)NH−を表す、−L−L−L−Xを表す式IAまたはIBの化合物の場合、式XVIIAまたはXVIIB
    (式中、Z、R、AA〜AA、R、R、R、R9a、R9b、R11a、R11b、およびLが、上で定義されたとおりである)の化合物の、式XVIII

    (式中、Xが、直接結合、−O−または−NH−を表し、必要に応じて、LおよびXが、上で定義したとおり(またはXは保護された形態)であり、LGが、水素またはN−ヒドロキシスクシンイミド基などの適切な脱離基を表す)の化合物との、当業者に既知の適切な条件下、例えば、ステップ(v)に関して上述した条件下、または適切な塩基(例えば、DIPEA、トリメチルアミン、トリイソプロピルエチルアミン、またはピリジン)の存在下での反応、を含む、プロセス。
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