本開示において提供される本発明の概念の種々の実施態様を、意図された機能を発揮するように構成された任意の数の方法及び装置によって実現し得ることが当業者には容易に明らかとなる。なお、本明細書中で参照される添付の図面は必ずしも原寸に比例しておらず、本開示の種々の態様を示すために誇張されることがあり、それに関して、図面は制限的なものとして解釈すべきではない。種々の例を記述する際に、遠位という用語は、患者の体内の治療領域に近接した、或いは最も近い、デバイス例に沿った位置を意味するために使用される。近位という用語は、デバイスの使用者又は操作者に近接した、或いは最も近い、デバイス例に沿った位置を意味するために使用される。
本開示の種々の態様は、種々の目的又は機能のために構成された非外傷性先端又はオリーブを含む医療デバイス送達デバイス、システム、及び方法を対象とする。いくつかの実施態様に基づく医療デバイス送達システムが図1に示されている。医療デバイス送達システム1000は細長エレメント1100と、細長エレメント1100に連結された非外傷性先端又はオリーブ1200とを含んでいる。
いくつかの例では、医療デバイス送達システム1000は、一つ又は二つ以上のロックワイヤ1300を更に含んでいる。ロックワイヤ1300はオリーブ1200に取り外し可能に連結されているか、又はオリーブ1200によってその他の形式で受容されていてよい。より詳細に下述するように、いくつかの例では、一つ又は二つ以上の医療デバイス1400をオリーブ1200に取り外し可能に連結し得るように、ロックワイヤはオリーブと一緒に動作する。いくつかのこのような例では、一つ又は二つ以上の拘束エレメント(又は連結エレメント)、例えば拘束ファイバ1500が、一つ又は二つ以上の医療デバイス1400から一つ又は二つ以上のロックワイヤ1300へ延びている。より詳細に下述するように、このような形態は、血管系内部の目標部位又は目標領域へ送達するか又はここに留置する際に、細長エレメント1100に沿った一つ又は二つ以上の医療デバイス1400の位置を維持するのを可能にする。以下の例では、拘束エレメントを拘束ファイバ1500と呼ぶが、このような言及は制限的なものと解釈すべきではない。例えば、拘束エレメントは、引張、圧縮、又は引張及び圧縮の状態にあるのに適した構造であってよい。同様に、当業者に明らかなように、拘束エレメントという用語に言及した場合、これは制限的なものと解釈すべきではなく、むしろシステムの一つ又は二つ以上の他のエレメントにロックワイヤを構造的に連結し得るいかなる連結装置をも含むものと理解されるべきである。
いくつかの例では、一つ又は二つ以上のロックワイヤ1300を付加的又は代替的に一つ又は二つ以上のステアリングラインに取り外し可能に連結することにより、医療デバイス送達システム1000の操縦(steering)を容易にすることもできる。いくつかの例では、医療デバイス送達システム1000は、ガイドワイヤ1600に被さるように前進させることにより、目標部位へ送達されるように動作することができる。
種々の実施態様において、細長エレメント1100はカテーテルシャフトに相当する。いくつかの例では、細長エレメント1100は、近位端及び遠位端を有する可撓性の細長いエレメントであり、一つ又は二つ以上の血管中を通って血管系内部の目標部位又は領域へ前進させることができる。細長エレメント1100は血管系を通って治療領域又は目標部位へ移動するのに適したいかなるデバイスであってもよい。いくつかの例では、細長エレメント1100はビークルとして働く。このビークルによって、医療デバイス、例えば腔内グラフトを治療領域へ前進させることができる。いくつかの例では、細長エレメント1100は、その長さの少なくとも一部を通して延びるルーメンを有する。いくつかの例では、ルーメンは医療デバイス送達システム1000がガイドワイヤ1600に被さった状態で送達できるようなコンジットとして働く。いくつかの例では、ルーメンは付加的又は代替的に作業ルーメンとしても働く。作業ルーメンは、一つ又は二つ以上の医療デバイス(例えば医療デバイス、ツール、ライト、及び/又は任意の他の適宜の治療デバイス)を治療領域へ送達する際に通る通路を提供する。
細長エレメント1100、又はその任意の部分は、シリコーン、ラテックス、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ポリシロキサン、ポリカーボネート、ナイロン、PTFE、ePTFE、又は他のフルオロポリマー、ポリアミド、ステンレス鋼、ニチノール、又は任意のその他の生体適合性材料、これらの組み合わせを含む任意の数の材料から成っていてよい。加えて、細長エレメント1100、又はその任意の部分は親水性であっても疎水性であってもよい。いくつかの例では、細長エレメント1100は、例えば円形、楕円形、三角形、正方形、多角形、均一形状、又は不均一形状を含む任意の断面形状を有することができる。
種々の実施態様では、医療デバイス送達システム1000は、細長エレメント1100に連結されたオリーブ1200を含む。いくつかの例では、オリーブは細長エレメント1100の遠位端1102に、又は遠位端に近接して連結されている。オリーブ1200は概ねテーパ状又は円錐台形の遠位部分を含むが、しかしながら、いくつかの例では遠位部分はテーパしていない。いくつかの例では、オリーブ1200は概ねテーパ状又は円錐台形の近位部分を含むが、しかしながら、いくつかの例では近位部分はテーパしていない。
図1A〜1Cを参照すると、オリーブ1200の例が示されている。オリーブ1200は、近位端1204、遠位端1206、及び近位端1204と遠位端1206との間に位置する中間部分1208を有する円筒形本体1202を含む。いくつかの例では、本体1202は一つ又は二つ以上のテーパ区分、例えば近位テーパ区分1210と遠位テーパ区分1212とを含む。図示するように、遠位テーパ区分1212は外周寸法がオリーブ1200の遠位端1206へ向かって長手方向に減少しているのに対して、近位テーパ区分1210は外周寸法がオリーブ1200の近位端1204へ向かって長手方向に減少している。当業者に明らかなように、遠位テーパ区分1212は、これが血管系を通って前進させられるのに伴って非外傷性先端1200をガイドするのを助け、そして医療デバイス送達システム1000が血管系を通って前進するのに伴って非外傷性先端1200が周囲組織と接触する場合に、周囲組織が損傷されるのを回避するのを助ける。近位テーパ区分1210はこれが医療デバイスを通して引き込まれるのに伴って医療デバイス送達システム1000の航行を助ける。
いくつかの例では、オリーブ1200はその長さの少なくとも一部を通って延びる内側ルーメン1214を含む。いくつかの例では、内側ルーメン1214はオリーブ1200の近位端1204から遠位端1206へ延びており、これによりルーメン1214は近位端1204及び遠位端1204の両方で露出されており、アクセスすることができる。いくつかの例では、ルーメン1214は、ガイドワイヤ、例えばガイドワイヤ1600(図1A)をこれに通すことができ、そして医療デバイス送達システム100をガイドワイヤに被さる状態で治療領域へ送達できるように寸法設定されている。いくつかの例では、ルーメン1214は付加的又は代替的に作業ルーメンとして働き、一つ又は二つ以上の医療デバイス又は治療薬を治療領域へ送達する際に通る通路を提供する。
いくつかの例では、内側ルーメン1214の長手方向軸線は、オリーブ1200の長手方向軸線に対して平行(又はほぼ平行)である(すなわち同軸的)。いくつかの例では、内側ルーメン1214の長手方向軸線は、オリーブ1200の長手方向軸線に対して平行(又はほぼ平行)であるが、しかしながら、オリーブ1200の長手方向軸線から横方向にオフセットされている。いくつかの例では、オリーブ1200のルーメン1214が細長エレメント1100のルーメンと同軸的であるように、オリーブ1200は細長エレメント1100に連結されている。
いくつかの実施態様では、オリーブ1200はその長さの少なくとも一部を通って延びる一つ又は二つ以上のロックワイヤルーメンを含む。例えば、図1A〜2Eに示されているように、オリーブ1200はその長さの少なくとも一部を通って延びるロックワイヤルーメン1216を含む。図示するように、ロックワイヤルーメン1216は近位テーパ区分1210内に形成され、遠位側へ突出する。しかしながら、種々の例において、ロックワイヤルーメン1216は近位端1204内に形成されていてよい。同様に、いくつかの例では、ロックワイヤルーメンは遠位テーパ部分1212又は遠位端1206内に形成されてよく、近位側へ突出することができる。いくつかの例では、ロックワイヤルーメン1216はオリーブ1200を通って全体的に延びている。いくつかの例では、ロックワイヤルーメンはオリーブ1200の長さの一部だけを通って延びている。
いくつかの例では、ロックワイヤルーメン1216の長手方向軸線は、オリーブ1200の内側ルーメン1214の長手方向軸線に対して平行(又はほぼ平行)であるが、しかしながら、内側ルーメン1214の長手方向軸線から横方向にオフセットされている。いくつかの例では、ロックワイヤルーメン1216の長手方向軸線は、内側ルーメン1214の長手方向軸線に対して非平行である(又は実質的には平行でない)。すなわち、いくつかの例では、ロックワイヤルーメン1216の長手方向軸線はオリーブの内側ルーメン1214の長手方向軸線に対して所定の角度を成している。
下述のように、いくつかの例では、ロックワイヤルーメン1216は、近位部分1218と遠位部分1220とを含んでいてよい。近位部分1218と遠位部分1220とは、オリーブ1200内に形成されたレリーフの結果としてのギャップによって分離されている。
ロックワイヤルーメン1216は、ロックワイヤを選択的に取り外すことができるように、ロックワイヤ1300を受容するよう形成されている。このような形態は、オリーブ1200に対するロックワイヤ1300の取り外し可能な連結を容易にする。すなわち、ロックワイヤ1300はオリーブ1200から選択的に分離することができる。いくつかの例では、ロックワイヤルーメンは、その長さが、受容されるロックワイヤ部分の長さを超えるように、オリーブ1200内に形成される。加えて、いくつかの例では、ロックワイヤルーメンの直径はロックワイヤの直径を超える。例えば、いくつかの例では、ロックワイヤルーメンはロックワイヤよりも、1000分の1インチ〜3000分の1インチだけ大きくてよい。しかしながらいくつかの例では、用途に応じて、ロックワイヤルーメンはロックワイヤよりも1000分の1インチ未満だけ大きくてよく、或いはロックワイヤよりも3000分の1インチ超だけ大きくてもよい。
一般に、ロックワイヤの直径は用途によって変化する。例えば、ステアリングラインと連携して利用されるロックワイヤは、拘束ファイバと連携して利用されるロックワイヤよりも直径が大きいことを必要とする場合がある。しかしながら、ロックワイヤの直径は、種々異なる用途に応じて異なる必要はない。例えば、下述のように、拘束ファイバ及びワイヤを共通のロックワイヤに同時に連結することができる。ロックワイヤの直径の例は5000分の1インチ〜15000分の1インチである。例えば、いくつかの例では、ロックワイヤは直径が約9000分の1インチであってよい。当業者には明らかなように、例えば、特定の用途に応じて、ロックワイヤの直径は5000分の1インチ未満であってよく、或いは15000分の1インチ超であってもよい。
いくつかの例では、ロックワイヤ1300は、一つ又は二つ以上のねじ山付き部分、摩擦ジョイント又は干渉ジョイント、溶接部、接着剤、又は他の適宜の保持又は連結インターフェイスによって、オリーブ1200に連結することができる。いくつかのこのような例では、ロックワイヤ1300はロックワイヤルーメン1216の第1部分に連結されてよいのに対して、ロックワイヤルーメン1216の第2部分からは連結されないままである。いくつかの例では、ロックワイヤの直径を超える(すなわちオーバーサイズの)直径を備えたロックワイヤルーメンを有することにより、ロックワイヤルーメンからロックワイヤを挿入し取り外すのに必要な力を最小限にすることができる。
いくつかの例では、ロックワイヤルーメンの直径は変化してよい。例えばロックワイヤルーメンの遠位部分はロックワイヤルーメンの近位部分よりも直径が小さくてよい(又はその逆)。いくつかのこのような例では、ロックワイヤルーメンは直径が漸減してよい(例えば連続的なテーパ)。他のこのような実施態様では、ロックワイヤルーメンは直径が段階的に減少してよい(例えば不連続なテーパであって、ロックワイヤルーメンの長さの第1部分が第1直径であるのに対して、ロックワイヤルーメンの長さの第2の異なる部分が第2の異なる直径である)。同様に、いくつかの例では、ロックワイヤは付加的又は代替的に、その長さに沿って直径が(徐々に又は段階的に)減少する(或いは増大する)。当業者には明らかなように、このような例は、ロックワイヤとロックワイヤルーメンとの連結を可能にし、ここではロックワイヤルーメン内部に挿入されたロックワイヤの一部だけがロックワイヤルーメンと接触する(例えば遠位端、又はロックワイヤルーメンの近位部分の近位端と接触する部分)。いくつかの例では、ロックワイヤは、その近位端で一つ又は二つ以上の制御機構に固定することができる。
さらに、ロックワイヤルーメン1216がオリーブ1200の一部だけを通って延びるものとして示されているが、いくつかの例では、一つ又は二つ以上のロックワイヤルーメンがオリーブ1200を通って全体的に延びていてよい。同様に、いくつかの例では、オリーブは複数のロックワイヤルーメンを含んでよく、したがって、これと連結される複数のロックワイヤとインターフェイスをとるか、又は他の形式でこれらのロックワイヤを有することができる。
いくつかの例では、一つ又は二つ以上のロックワイヤ露出特徴部(features)、例えばロックワイヤ露出特徴部1222がオリーブ1200内に形成されていてよい。いくつかの例では、ロックワイヤ露出特徴部1222はレリーフ、チャネル、トラフ、キャビティ、凹部、又は刻み目としてオリーブ1200の外面に形成されている。いくつかの例では、ロックワイヤ露出特徴部1222は、オリーブ200から材料を剥ぎ取るか、又はその他の形で除去することにより形成される。ロックワイヤ露出特徴部1222が中間部分1208内に形成されているものとして示されているが、しかしながら、オリーブを通って延びるロックワイヤ1300がロックワイヤ露出特徴部1222によって露出可能であるならば、ロックワイヤ露出特徴部1222は、オリーブ1200のいかなる部分に形成されていてもよい。一般に、より詳細に下述するように、ロックワイヤ露出特徴部1222は、オリーブ1200を通って延びてロックワイヤ露出特徴部1222によって露出されるロックワイヤ1300の部分への装着のための位置選定を容易にする。
当業者には明らかなように、本明細書中に例示され説明された例は、剥がれた部分(例えばロックワイヤ露出特徴部)を有するオリーブを含んでいるが、しかしながら、いくつかの例では、システムは、独立して形成された複数の剥ぎ部分(例えば複数の独立したロックワイヤ露出特徴部)を備えたオリーブを含んでよい。このように、いくつかの例では、ロックワイヤルーメンは3つ又は4つ以上の部分に区分化されてよい。このような例では、複数のロックワイヤ露出特徴部によって露出されたロックワイヤの部分はそれぞれ、本明細書中に例示され説明された他の例と一致する一つ又は二つ以上の拘束エレメント(又は連結エレメント)に連結可能である。同様に、システムは複数のオリーブを含んでよく、これらのオリーブのうちの一つ又は二つ以上が一つ又は二つ以上の剥ぎ部分を含んでもよい。
いくつかの実施態様では、ロックワイヤ露出特徴部1222は、これがロックワイヤルーメン1216を二分し、そしてその他の形でロックワイヤルーメン1216の一部を露出させるように、通常オリーブ1200に形成されている。ロックワイヤルーメン1216をこのように二分することは、ロックワイヤルーメン1216の近位部分1218と遠位部分1220とを形成するように働く。ロックワイヤ露出特徴部1222がロックワイヤルーメン1216を二分することは、ロックワイヤルーメン1216を等しい長さを有する近位部分1218と遠位部分1220とに分割する必要はないが、しかしながら、いくつかの例では等しい長さが望ましい。
加えて、ロックワイヤ露出特徴部1222は、ワイヤルーメン1216の近位部分1218と遠位部分1220とがギャップによって分離されるようにオリーブ1200内に形成されている。より詳細に下述するように、このようなギャップにより、一つ又は二つ以上の医療デバイス及び/又は一つ又は二つ以上の拘束ファイバを、ロックワイヤ露出特徴部1222によって露出されたロックワイヤ部分に連結することができる。ロックワイヤ部分は、ロックワイヤルーメンの近位側から遠位側へ(又はその逆)ギャップを横切って延びる。
図1Cに示されているように、ロックワイヤルーメン1216の近位部分1218と遠位部分1220とはギャップ1224によって分離されている。当業者に明らかなように、ロックワイヤ露出特徴部1222を形成するレリーフは、レリーフがロックワイヤルーメン1216の一部を露出し、オリーブ1200の構造完全性を断つことがなく、或いはこれを実質的に損なうことがないならば、いかなる形状又はサイズを有していてもよい。図1Cに示されているように、ロックワイヤ露出特徴部1222を形成するレリーフは三角形レリーフである。三角形レリーフは、レリーフがオリーブ1200の外面から半径方向内側へ進むのに伴って一つの点に収束する。図1A及び1Bに示されているように、三角形レリーフはロックワイヤ露出特徴部1222を形成するように、オリーブ1200の一部を周方向に周回している。当業者には明らかなように、種々異なる用途によって、レリーフが周回する種々異なる程度が必要とされる。
例えば、図1A〜1Cのロックワイヤ露出特徴部1222を形成するレリーフはオリーブ1200の周りをほぼ180度周回している。すなわち、図1A〜1Cに示されているように、ロックワイヤ露出特徴部1222はオリーブ1200の一部だけの周りに延びている。しかしながらいくつかの例では、ロックワイヤ露出特徴部1222はオリーブ1200全体の周りに延びていてよい。すなわち、いくつかの例では、図1A〜1Bのロックワイヤ露出特徴部1222を形成するレリーフは、180度を超えてオリーブ1200の周りを周回していてよいが、レリーフは180度〜360度の何らかの量だけ周回していてもよい。同様に、いくつかの他の例では、レリーフが周回する程度が、ロックワイヤルーメン1216内部で延びるロックワイヤにアクセスするのに充分なサイズ及び深さのボイドを作り出すことにより一つ又は二つ以上の医療デバイスを連結することができるならば、ロックワイヤ露出特徴部1222を形成するレリーフは、オリーブ1200の周りを180度未満だけ周回してもよい。
いくつかの他の例では、レリーフは或いは長手方向に延びる溝又はチャネルとして形成されていてもよい。すなわち、いくつかの例では、周回する代わりに(又はこれと組み合わせて)、レリーフは長手方向に突出している(例えば図2A〜2Bに示されたロックワイヤ露出特徴部2222を参照)。
ロックワイヤ露出特徴部を形成するレリーフが、ほぼ三角形のものとして添付の図面に示されているが、しかしながら、事実上あらゆる形状が考えられ、本開示の範囲に含まれる。従って、いくつかのレリーフ形状が、半径方向内側へ進むのに伴ってほぼ収束するジオメトリを含んでよいが、いくつかの例では、レリーフのジオメトリは収束しなくてもよく、その代わりにこれが半径方向内側へ進むのに伴って互いに離反してもよい。
別のロックワイヤ露出特徴部を形成するレリーフ形状のさらなる例が図2C〜2Eに示されている。図2Cは、ロックワイヤ露出特徴部2222を有するオリーブの例を、半径方向内側へ進むのに伴って収束することのないジオメトリを有する状態で示す断面図である。このような形態により、近位面及び遠位面が基底部2232で終わって、ロックワイヤルーメン2216の近位区分2218と遠位区分2220との間にギャップ2224が位置するようになる。図2Dは、ロックワイヤ露出特徴部2222を有するオリーブの例を、半径方向内側へ進むのに伴って湾曲する、又は非直線状であるジオメトリを有する状態で示す断面図である。このような形態により、ロックワイヤルーメン2216の近位区分2218と遠位区分2220との間にギャップ2224が位置するようになる。図2Eは、ロックワイヤ露出特徴部2222を有するオリーブの例を、半径方向内側へ進むのに伴って収束することのないジオメトリを有する状態で示す断面図である。このような形態により、近位面及び遠位面が基底部2232で終わって、ロックワイヤルーメン2216の近位区分2218と遠位区分2220との間にギャップ2224が位置するようになる。これらの形態は、オリーブ2200の構造完全性を断つことなく、或いはこれを実質的に損なうことなく、有意な幅を備えたギャップ2224を有するロックワイヤ露出特徴部を提供する。
加えて、図示されてはいないが、いくつかの例では、ガイドワイヤルーメン(ひいてはこれを通って延びる任意のガイドワイヤ)が露出されるように、オリーブ内にロックワイヤ露出特徴部が形成されてもよい。このような形態の場合、拘束エレメントは付加的又は代替的に、ガイドワイヤルーメンを通って延びるガイドワイヤ部分に連結されてよい。このガイドワイヤ部分は、ロックワイヤルーメン内部で延びてロックワイヤ露出特徴部によって露出されたロックワイヤ部分に連結されているものとして拘束エレメントが記されているのと同様の様式で、ロックワイヤ露出特徴部によって露出されている。
いくつかの例では、ロックワイヤ露出特徴部は、これが第1面又は近位面と、反対側の第2面又は遠位面とを含むように、オリーブ内に形成されている。いくつかの例では、近位面と遠位面とは収束して、最終的には互いに交差するのに対して、他の例では、近位面と遠位面とは、互いに交差することなく収束する。その代わりに近位面と遠位面とは、互いに交差する前に終わって別の面になる。いくつかの例では、近位面と遠位面とは離反し、そして終わって別の面になる。いくつかの例では、近位面と遠位面とは終わって共通の面になる。いくつかの他の例では、近位面と遠位面とは終わって異なる中間面になり、これらの中間面は互いに交差する。さらにいくつかの他の例では、近位面と遠位面とは、レリーフが半円形状を成すという点において全く同一のものである。いくつかの例では、近位面と遠位面との移行部は平滑であり、又はシームレスである。従って、いくつかの例は直線状である近位面及び/又は遠位面を含むのに対して、他の例では近位面及び/又は遠位面は非直線状である。
上述のように、種々の実施態様において、充分なサイズ及び深さのボイドがロックワイヤルーメン1216及びロックワイヤルーメン1216内部で延びるロックワイヤにアクセスするのを可能にするように、ロックワイヤ露出特徴部1222を形成するレリーフはオリーブ1200内に形成されている。このように、ロックワイヤ露出特徴部1222は、ロックワイヤルーメン1216よりも半径方向内側へ延びる(又はロックワイヤルーメン1216と少なくとも同じ距離だけ半径方向内側へ延びる)深さを有するように概ね形成されている。このような形態により、ロックワイヤルーメン1216はロックワイヤ露出特徴部1222によって露出されることになる。例えば、図1Cに示されているように、ロックワイヤルーメン1216がロックワイヤ露出特徴部1222の基底部1232よりも半径方向外側に位置決めされるように、レリーフはオリーブ1200内に形成されている。このような形態により、基底部1232とロックワイヤルーメン1216内部で延びる任意のロックワイヤとの間にギャップが位置することになる。従って、下述のように、一つ又は二つ以上の拘束ファイバを、近位面1228と遠位面1230との間に形成されたギャップを跨ぐロックワイヤ部分の周りに投げ縄状に取り付ける(lasso)か、又はこのロックワイヤ部分に他の形式分離することができる。
上述の例はオリーブ1200の一部の周りを周回するレリーフを含む。いくつかの例では、ロックワイヤ露出特徴部1222は、ロックワイヤルーメン1216及びロックワイヤルーメン1216内部で延びる任意のロックワイヤを露出させるのに充分な量だけ、オリーブ1200内へ穿孔を施すだけで形成されてよい。このような孔は伝統的に円形であり、均一であるが、しかしながら、このことは必要というわけではない。同様に、いくつかの例では、レリーフはオリーブ1200の長手方向の長さに沿って外面1226内に形成されてよい(図2A〜2B)。
図1Cを再び参照すると、ロックワイヤ露出特徴部1222は、ロックワイヤルーメン1216が近位区分1218と遠位区分1220とを含むように、ロックワイヤルーメン1216を二分する。一般に、ロックワイヤルーメン1216の近位区分1218は近位面1228と、近位端1204及び近位テーパ部分1210のうちの一方との間に延びている。ロックワイヤルーメン1216の遠位区分1220は遠位面1230と、遠位端1206及び遠位テーパ部分1212のうちの一方との間に延びている。しかしながら、上述のように、ロックワイヤルーメンはオリーブ1200の内部の何らかの地点で終わっていてよく、オリーブ1200全体を通して延びていなくてよい。
種々の例では、ロックワイヤ1300は長手方向に延びる構造である。この構造は、ロックワイヤ1300に一つ又は二つ以上の医療デバイスを連結できるようにオリーブ1200に係合するよう形成されている。いくつかの例では、ロックワイヤ1300はオリーブ1200に一つ又は二つ以上のステアリングラインを固定することができる。他の例では、ロックワイヤ1300は付加的又は代替的に、一つ又は二つ以上の医療デバイス及び/又は一つ又は二つ以上の拘束ファイバ(又はワイヤ)をオリーブ1200に固定することができる。
いくつかの例では、ロックワイヤ1300は患者の血管系内部の治療側から、患者身体の外側の近位位置へ延びる。いくつかの例では、ロックワイヤ1300は細長エレメント1100に隣接して延びている。いくつかの例では、ロックワイヤ1300は細長エレメント1100の内側ルーメン内を通って延びている。例えば、いくつかの例では、ロックワイヤ1300は細長エレメント1100のロックワイヤルーメンを通って延びている。すなわち、いくつかの例では、細長エレメント1100は一つ又は二つ以上の他のルーメン、例えば作業ルーメンに加えてロックワイヤルーメンを含む。いくつかの例では、ロックワイヤは細長エレメント1100の一つ又は二つ以上の作業ルーメンを通って延びている。
いくつかの例では、さらに下述するように、ロックワイヤ1300は一つ又は二つ以上の医療デバイス、拘束ファイバ(又はワイヤ)、及び/又はステアリングラインをオリーブ1200に開放可能に連結する。ロックワイヤ1300がこのような医療デバイス、拘束ファイバ(又はワイヤ)、及び/又はステアリングラインと相互作用することにより、これらの間に開放可能な連結を維持するいかなる様式も、本開示の範囲に含まれる。
種々の例では、ロックワイヤ1300は、金属、ポリマー、又は天然材料から形成することができ、従来の医療等級材料、例えばナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマー有機ケイ素ポリマー、金属、例えばステンレス鋼、コバルト−クロム合金、及びニチノールを含むことができる。さらに、ロックワイヤ1300は高強度ポリマーファイバ、例えば超高分子量ポリエチレンファイバ(例えば、Spectra(登録商標)、Dyneema Purity(登録商標)など)、又はアラミドファイバ(例えば、Technora(登録商標)など)から形成することもできる。医療デバイス、拘束ファイバ、及び/又はステアリングラインとの充分な係合を可能にし、これらをオリーブ1200に固定できるものであれば、いかなる材料も本開示の範囲に含まれる。
いくつかの例では、上述のように、医療デバイス送達システム1000は、治療領域又は部位に医療デバイスを送達し且つ/又は留置する間に、医療デバイス送達システム1000に沿った医療デバイスの位置を維持するように働く。医療デバイス送達システムに沿った医療デバイスの長手方向運動を最小化するか、又はこの長手方向運動に抗して医療デバイスを他の形式で拘束することは、治療領域又は部位に医療デバイスを正確且つ信頼性高く留置するのを容易にする。
図3A〜3Cを参照すると、医療デバイス送達システム3000が、細長エレメント3100と、オリーブ3200と、ロックワイヤ3300とを含むものとして示されている。いくつかの例では、医療デバイス送達システム3000は制御システム(図示せず)を更に含む。例えば、細長エレメント3100及び/又はロックワイヤ3300のうちの一つ又は二つ以上の近位端に制御システムを連結することができる。いくつかの例では、制御システムは、当業者には明らかなように、ロックワイヤ3300を前進又は後退させ、或いはオリーブ1200を変向させるように働くことができる。
図示するように、医療デバイス送達システム3000上には、医療デバイス3400及び留置シース3402が装着されている(図3A及び3Bは、留置シース3402の一部が取り除かれて医療デバイス3400の一部が描かれた状態で示されている)。拘束エレメント、例えば拘束ファイバ3500が、医療デバイス/シースの遠位端からロックワイヤ3300へ延びているものとして示されている。より詳細に下述するように、拘束ファイバ3500は医療デバイス3400及び/又は留置シース3402を医療デバイス送達システム3000に連結するように働き、これにより、目標部位又は領域に医療デバイス3400を送達し且つ/又は留置する間、医療デバイス送達システムに沿った長手方向運動に抗して医療デバイス3400及び/又は留置シース3402が拘束されるようになっている。
細長エレメント3100、オリーブ3200、及びロックワイヤ3300は、本明細書中で論じられる細長エレメント、オリーブ、及びロックワイヤと一致する。下記例では、拘束エレメントを拘束ファイバ3500と呼ぶが、このような言及は制限的なものと解釈すべきではない。例えば、拘束エレメントは、引張、圧縮、又は引張及び圧縮の状態にあるのに適した構造であってよい。
種々の例では、医療デバイス3400は、血管系に治療を施すように形成された任意の適宜の構造である。例えば、医療デバイスは、ステント、ステントグラフト、フィルタ、弁、分岐ステント、オクルーダ、薬物送達デバイス、例えば薬物溶出バルーン及び/又はステント、腫瘍治療手段、圧力流モニター、エネルギー伝達デバイス、スペーサ、光学デバイス、マーカー、シース、及び/又は任意の他の同様の腔内送達型デバイスを含む任意の適宜の医療デバイスであってよい。
医療デバイスは、形状記憶材料、例えばニチノールから成っていてよく、或いは、自己拡張可能な他の材料、又はその他の形式で(例えば、従来のバルーンカテーテル、又はばね機構によって)拡張可能な他の材料、例えば種々の金属(例えばステンレス鋼)、合金、及びポリマーから成っていてよい。
留置シースは一般に医療デバイスを覆い、医療デバイスを外周寸法へ向かって、又は当業者には明らかなような腔内送達に適した送達形態へ向かって束縛する。種々の例では、留置シースは、医療デバイスに巻き付き、腔内送達のための送達形態へ向かって医療デバイスを拘束する任意の適宜のシース又はスリーブである。留置シースは可撓性であるので、医療デバイスの形状と概ね一致し、治療部位へ留置しているときに医療デバイスを送達形態へ向かって束縛するのに充分に強い。種々の例では、留置シースを軸線方向に変位させ又は取り外すことにより、医療デバイスを露出させ、治療部位で医療デバイスの拡張を可能にすることができる。
種々の例では、留置シースは可撓性フィルムから形成することができ、そしてシースの互いにほぼ対向する側(又はシースの全周)に沿って画定された一連の穴、開口、通路、又はアイレットを含むことができる。種々の例では、シースは医療デバイスに巻き付け、医療デバイスを覆うことができ、そして解放ライン、ステッチ、又は拘束ファイバを穴へ手繰り込むことにより、医療デバイスを送達形態へ向かって圧縮及び/又は束縛することができる。留置中には、解放ライン、ステッチ、又は拘束ファイバは抜かれ、又は他の形式で穴から解放されることにより、留置シースを解放し、そして医療デバイスが拡張するのを可能にする。いくつかの例では、医療デバイスの留置後に、医療デバイスから留置シースを近位側へ引き出すことができる。
種々の例では、例えばフルオロポリマー、例えばePTFEを含む任意の適宜の材料から、留置シースを形成することができる。或いは、又はフルオロポリマーとの組み合わせにおいて、留置シースは、生体適合性材料、例えばポリマーから形成することができる。ポリマーは充填剤、例えば金属、炭素ファイバ、ダクロン、ガラスファイバ、又はセラミックを含むことができる。このようなポリマーはオレフィンポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル, 延伸されないポリテトラフルオロエチレン、フッ化エチレンプロピレンコポリマー、ポリビニルアセテート、ポリスチレン、ポリ(エチレンテレフタレート)、ナフタレンジカルボキシレート誘導体、例えばポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリトリメチレンナフタレート、及びトリメチレンジオールナフタレート、ポリウレタン、ポリ尿素、シリコーンゴム、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアルデヒド、天然ゴム、ポリエステルコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、ポリエーテル、例えば完全又は部分ハロゲン化ポリエーテル、これらのコポリマー、及び組み合わせを含むことができる。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)ポリエステルを含むポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリビニル、ポリメチルアセテート、ポリアミド、ナフタレンジカルボキシレン誘導体、及び天然絹を留置シース内に含むことができる。
図3Aに示されているように、医療デバイス3400は留置シース3402によって覆われ又は拘束されて、医療デバイス3400及び留置シース3402が医療デバイス送達システム3000上に装着されるようになっている。いくつかの例では、医療デバイス3400及び/又は留置シース3402は一つ又は二つ以上の機構を含む。機構は、医療デバイス送達システム3000に医療デバイス3400及び/又は留置シース3402を連結するための取り付け点又はビークルとして役立つことができる。上述のように、これらの取り付け点又はビークルは、留置シース内へ組み込まれた穴又はステッチであってよい。例えば、図3Aに示されているように、留置シース3402はステッチ部分3404、例えばチェーンステッチを含む。図示するように拘束ファイバ3500の近位端3502は留置シース3402内へ連結されるか、又はその他の形式で組み込まれる。いくつかの例では、拘束ファイバ3500はステッチ部分3404の一部を形成する。いくつかの例では、拘束ファイバ3500は、ステッチ部分3404のステッチのうちの一つ又は二つ以上に連結されるか、又はその他の形式で手繰り通される。例えば拘束ファイバ3500は最上部又は最も遠位側のステッチを通して、次いでロックワイヤ3300へと経路をとることができ、これにより拘束ファイバ3500がロックワイヤ3300から分離されるまで、拘束ファイバ3500はチェーンステッチの早すぎる緩み(ひいては医療デバイス3400の早すぎる展開)を防止するように働く。いくつかの例では、拘束ファイバ3500がロックワイヤ3300から分離された後、拘束ファイバ3500をチェーンステッチから取り外すことができ、これによりチェーンステッチは緩むことができ、医療デバイス3400を展開させることができる。こうして、このような例では、拘束ファイバ3500は二重の目的、すなわち、医療デバイス送達システム3000に沿った医療デバイス3400の位置を維持する(デバイス位置固定)という目的と、ステッチをロックするという目的とを果たすが、しかしながら、一方の態様又は他方の態様を有する例も考えられる。
デバイス位置固定は、医療デバイスが圧潰され細長エレメント上に搭載される(圧搾)のに伴って、そして目標領域におけるその留置の間、医療デバイスの一貫した位置及び長さを提供する。加えて、デバイス位置固定は、医療デバイス送達システムが血管系内を前進するときに曲げられ且つ/又は操作されるのに伴って、細長エレメント及び/又はオリーブに対する医療デバイスの一貫した位置を提供する。
いくつかの例では、拘束ファイバ3500は付加的又は代替的に、留置シース内に形成された穴の一つ又は二つ以上、例えばステッチ部分3404のステッチによって形成された穴の一つ又は二つ以上に連結される。しかしながら、拘束ファイバ3500は、ステッチ部分3404と関連していない留置シース3402内に形成された一つ又は二つ以上の穴に連結されてもよい。同様に、拘束ファイバ3500は付加的又は代替的に医療デバイス内へ組み込まれてもよい。
いくつかの例では、拘束ファイバ3500の遠位端3504は、ロックワイヤ3300とインターフェイスをとるように形成されている。いくつかのこのような例では、拘束ファイバはノブ、アイレット、穴、又は任意の他の適宜の取り付け機構3506をその遠位端3504に含む。取り付け機構3506は、ロックワイヤ3300が取り付け機構3506を通るか、又は取り付け機構3506にその他の形式で係合することにより、拘束ファイバ3500をロックワイヤ3300に開放可能に連結するように形成されている。
いくつかの例では、さらに下述するように、ロックワイヤ3300はロックワイヤルーメン(上述されているが、図3A〜3Cには示されていない)内へ、そしてロックワイヤ露出特徴部3222によって形成されたギャップを横切るように前進させられるように形成されている。図3Aに示された例の場合、ロックワイヤ3300をオリーブ3200よりも近位側にあるその位置から前進させて、ロックワイヤ3300がロックワイヤルーメンの近位部分を通り、ロックワイヤ露出特徴部3222によって形成されたギャップを横切り、拘束ファイバ3500の取り付け機構3506を通って、ロックワイヤルーメンの遠位部分内へ前進させられるようにすることによって、拘束ファイバ3500をロックワイヤ3300と連結することができる。
図3Aに示されているように、拘束ファイバ3500は、留置シース3402及び/又は医療デバイス3400と、オリーブ3200のロックワイヤ露出特徴部3222との間に延びるように形成され、これにより、拘束ファイバ3500はロックワイヤ露出特徴部3222によって露出されたオリーブ3200を通って延びるロックワイヤ3300の部分とインターフェイスをとることができるようになっている。図3Aは、細長エレメント3100上に装着された医療デバイス3400及び留置シース3402を、ロックワイヤ3300がロックワイヤルーメン(上述されているが、図3A〜3Cには示されていない)内へ挿入される前の状態で示している。
種々の例では、ロックワイヤ3300に拘束ファイバ3500を連結することは、3222によって形成されたギャップ内部に拘束ファイバ3500の取り付け機構3506を位置決めして、ロックワイヤ3300がギャップを横断するのに伴ってロックワイヤ3300が拘束ファイバ3500の取り付け機構3506を通るようにすることを含む。具体的には、いくつかの例では、(例えばロックワイヤを近位側から遠位側へ挿入し、オリーブ3200内へ前進させているときに)ロックワイヤ3300がロックワイヤルーメンの近位部分からロックワイヤルーメンの遠位部分へ、遠位側へ前進させられるのに伴って、ロックワイヤ3300はロックワイヤルーメンの近位部分を出て、ロックワイヤルーメンの遠位部分からロックワイヤルーメンの近位部分を分離するギャップを横断する。拘束ファイバ3500の取り付け機構3506は、ロックワイヤ3300によるギャップのこのような横断中、そしてロックワイヤ3300がロックワイヤルーメンの遠位部分に入る前に、ロックワイヤ3300の遠位端が取り付け機構3506を通るように位置している。ロックワイヤ3300が取り付け機構3506を通って延びる状態で、拘束ファイバ3500はロックワイヤ3300に連結されるか、又は他の形式でロックワイヤ3300によって束縛される。さらに詳細に下述するように、拘束ファイバ3500のロックワイヤ3300からの分離は、一般に、拘束ファイバ3500のロックワイヤ3300への連結手順とは逆の手順である。
いくつかの例では、ロックワイヤはこれがオリーブから分離された後、オリーブに再び連結することができる。すなわち、いくつかの例では、ロックワイヤはロックワイヤルーメン内へ再挿入可能である。いくつかの例では、拘束ファイバは再挿入されたロックワイヤに再取り付け可能である。しかしながら、いくつかの他の例では、ロックワイヤはこれがオリーブから分離された後、オリーブに再び連結することができない。同様に、いくつかの例では、ロックワイヤから拘束ファイバを分離した後、拘束ファイバはロックワイヤに再連結することができない。
図3A〜3Cは、ロックワイヤ3300が近位側から遠位側へ向かう方向でオリーブ3200内へ挿入されることを示すが、しかしながら他の例では、遠位側から近位側へ向かう方向でロックワイヤ3300をオリーブ3200内へ挿入することを含んでよい。ロックワイヤ3300を遠位側から近位側へ挿入してオリーブ3200内へ前進させている間、ロックワイヤ3300がロックワイヤルーメンの遠位部分を出た後、そしてロックワイヤ3300がロックワイヤルーメンの近位部分へ入る前に、ロックワイヤ3300の遠位端は取り付け機構3506を通る。このような例では、拘束ファイバ3500のロックワイヤ3300からの分離は、一般に逆の手順である。
図3Bは、ロックワイヤ3300と拘束ファイバ3500との間のインターフェイスを、ロックワイヤ3300が拘束ファイバ3500の取り付け機構3506を通った後でロックワイヤルーメンの近位部分及び遠位部分の両方に受容された状態で示している。図3Bに示されているように拘束ファイバ3500がロックワイヤ3300に連結された状態で、留置シース3402及び医療デバイス3400は、医療デバイス3400が送達され留置されているときに、細長エレメント3100に対して軸線方向に(そして具体的には近位方向へ)移転することに抗して拘束される。
いくつかの例では、医療デバイス3400及び/又は留置シース3402が細長エレメント3100に沿って近位側へ移転する傾向がある場合には、拘束ファイバ3500は、医療デバイス3400及び/又は留置シース3402に引張力を加えるように働くことができる。一般に、このような引張力は近位方向の移転を相殺するように働くことができる。
いくつかの例では、拘束ファイバ3500の遠位端3504がロックワイヤ露出特徴部3222によって露出されたロックワイヤ部分と連結されるか、又は他の形式でこのロックワイヤ部分によって保持されている状態では、拘束ファイバ3500の遠位端3504は、ロックワイヤ3300に沿った軸線方向の移転に抗して拘束され、そしてオリーブ3200から離反する半径方向の移転に抗しても拘束される。具体的には、いくつかの例では、拘束ファイバ3500の取り付け機構3506は、ロックワイヤ3300に沿った軸線方向の移転がロックワイヤルーメンの近位部分の遠位端とロックワイヤルーメンの遠位部分の近位端との間(すなわちロックワイヤ露出特徴部3222の近位面3228と遠位面3230との間)における移動に制限されるように拘束される。すなわち、拘束ファイバ3500の取り付け機構3506は、ロックワイヤ露出特徴部3222によって露出されたロックワイヤ3300の部分に沿った移転に制限される。加えて、拘束ファイバ3500の取り付け機構3506を通るロックワイヤ3300の延びは、ヒッチ(hitch)を形成する。ヒッチは、拘束ファイバ3500がロックワイヤ3300から半径方向に引き出されるのを防止する。
拘束ファイバ3500の遠位端3504がオリーブ3200に連結され、拘束ファイバ3500の近位端3502が留置シース3402に連結されている状態で、拘束ファイバ3500は、上述のように、医療デバイス3400及び留置シース3402が装着されている細長エレメント3100に沿った長手方向の移転に抗して、留置シースを拘束するように働く。当業者には明らかなように、拘束ファイバ3500はこの図示の例では医療デバイス3400に直接には連結されていないが、留置シース3402と医療デバイス3400との摩擦が、医療デバイス3400と留置シース3402との相対位置を維持するように働く。
いくつかの例では、ロックワイヤ3300からの拘束ファイバ3500の分離は、ロックワイヤルーメンの少なくとも一部からロックワイヤ3300を引き出すことを伴う。このことは上述のように、ロックワイヤ3300をロックワイヤルーメン内へ挿入するプロセスと逆のプロセスを伴う。図3Cは、オリーブ3200のロックワイヤルーメンと拘束ファイバ3500の取り付け特徴部3506とから近位側へ引き出されたロックワイヤ3300を示している。ロックワイヤ3300はロックワイヤルーメンから全体的に引き出されているものとして図3Cに示されているが、しかしながらいくつかの例では、ロックワイヤ3300は拘束ファイバ3500の分離を容易にするためにロックワイヤルーメンから全体的に引き出される必要はない。その代わりに、いくつかの例では、ロックワイヤ3300は、ロックワイヤ3300の遠位端が拘束ファイバ3500の取り付け機構3506からなくなる程度まで引き出されればよい。
一般に、ロックワイヤ3300が近位側から遠位側へ向かうようにオリーブのロックワイヤルーメン内へ挿入される場合、ロックワイヤ3300はロックワイヤルーメンの遠位部分と拘束ファイバ3500の取り付け特徴部3506とから引き出されればよい。こうして、いくつかの例では、ロックワイヤがロックワイヤルーメンの近位部分内に(又は近位部分を通って)挿入されたままである状態で、拘束ファイバ3500はロックワイヤ3300から分離されてよい。同様に、ロックワイヤ3300が遠位側から近位側へ向かうようにオリーブ3200のロックワイヤルーメン内へ挿入される場合、ロックワイヤルーメンの近位部分と取り付け機構3506とからロックワイヤ3300を遠位側へ引き出すことにより、拘束ファイバ3500をロックワイヤ3300から分離することができる。
図3Cに示されているように、拘束ファイバ3500がロックワイヤ3300から分離された状態では、医療デバイス3400及び留置シース3042は、拘束ファイバ3500によって細長エレメント3100に沿った軸線方向の移転に抗してもはや拘束されない。従って、図3Cに示されているように、拘束ファイバ3500がロックワイヤ3300から分離された状態では、留置シース3402は医療デバイス3400から、医療デバイス3400を展開できるように取り外すことができる。いくつかの例では、上述のように、医療デバイスは展開されるのに伴って拡張される。
上述の例のうちのいくつかは拘束ファイバの近位端を留置シース及び医療デバイスの一方又は両方に連結することを含み、一方、いくつかの例では、拘束ファイバの近位端は医療デバイス留置システムのオリーブに連結される。図4A及び4Bを参照すると、医療デバイス送達システム4000が細長エレメント4100と、オリーブ4200と、ロックワイヤ4300とを含むものとして示されている。図示するように、医療デバイス送達システム4000上には医療デバイス4400及び留置シース4402が装着されており、これらは医療デバイス送達システム4000に、拘束エレメント、例えば拘束ファイバ4500によって開放可能に連結されている(図4A及び4Bは、留置シース4402の一部が取り除かれて医療デバイス4400の一部が描かれた状態で示されている)。より詳細に下述するように、拘束ファイバ4500は医療デバイス4400及び/又は留置シース4402を医療デバイス送達システム4000に連結するように働き、これにより、目標部位又は領域に医療デバイス4400を送達し且つ/又は留置する間、医療デバイス送達システム4000に沿った長手方向運動に抗して医療デバイス4400及び/又は留置シース4402が拘束されるようになっている。
細長エレメント4100、オリーブ4200、及びロックワイヤ4300は、本明細書中で論じられる種々の細長エレメント、オリーブ、及びロックワイヤと一致する。下記例では、拘束エレメントを拘束ファイバ4500と呼ぶが、このような言及は制限的なものと解釈すべきではない。例えば、拘束エレメントは、引張、圧縮、又は引張及び圧縮の状態にあるのに適した構造であってよい。
図4Aに示されているように、医療デバイス4400は留置シース4402によって覆われ又は拘束されて、医療デバイス4400及び留置シース4402が医療デバイス送達システム4000上に装着されるようになっている。いくつかの例では、医療デバイス4400及び/又は留置シース4402は一つ又は二つ以上の機構を含む。機構は、医療デバイス送達システム4000に医療デバイス4400及び/又は留置シース4402を連結するための取り付け点又はビークルとして役立つことができる。上述のように、これらの取り付け点又はビークルは、留置シース内へ組み込まれた穴又はステッチであってよい。
図4A及び4Bに示された例では、留置シース4402は少なくとも一つの拘束ファイバアパーチャ、例えば拘束ファイバアパーチャ4406を含む。いくつかの例では、拘束ファイバアパーチャ4406は、より詳細に下述するように、留置シース4402を医療デバイス送達システム4000に連結する形で、拘束ファイバ4500が拘束ファイバアパーチャ4406を通過するように形成されている。
図4A及び4Bに示されているように、拘束ファイバ3500と同様に、拘束ファイバ4500も、ロックワイヤ4300とインターフェイスをとるように形成されている。具体的には、図示するように、拘束ファイバは取り付け機構4506(例えばノブ、アイレット、穴、又は任意の他の適宜の取り付け機構)をその遠位端4504に含む。取り付け機構3506と同様に、取り付け機構4506も、ロックワイヤ4300が取り付け機構4506を通ることにより拘束ファイバ4500をロックワイヤ4300に連結できるように形成されている。しかしながら、拘束ファイバ3500の近位端3502とは異なり、拘束ファイバ4500の近位端4502はオリーブ4200に連結されている。
従って、図4Aに示されているように、拘束ファイバ4500はオリーブ4200から留置シース4402及び/又は取り付け機構4506を通って延びるように形成されており、これにより拘束ファイバ4500の遠位端4504及び/又は取り付け機構4506は、オリーブ4200のロックワイヤルーメン内へ挿入されてロックワイヤ露出特徴部4222によって露出されたロックワイヤ4300の部分に連結されるように働くことができる。種々の例では、拘束ファイバ4500の遠位端4504及び/又は取り付け機構4506は、拘束ファイバ3500の遠位端3504及び/又は取り付け機構3506がロックワイヤ3300とインターフェイスをとる様式に関連して上述したものと同様の様式でロックワイヤ4300とインターフェイスをとる。拘束ファイバ4500の近位端4502は上述のようにオリーブ4200に連結される。種々の例では、拘束ファイバ4500の近位端4502は、上述のようにオリーブ4200に縛るか、接着するか、溶着するか、ねじ留めするか、又は一つ又は二つ以上のファスナを介して取り付けることができる。
図4Aは、細長エレメント4100上に装着された医療デバイス4400及び留置シース4402を、ロックワイヤ4300が拘束ファイバ4500の取り付け機構4506を通ってロックワイヤルーメン(上述されているが、図4A及び4Bには示されていない)の遠位部分内へ延びている状態で示している。従って、図示するように、拘束ファイバ4500はロックワイヤ4300に開放可能に連結される。一般に、拘束ファイバ4500の近位端4052がオリーブに連結され、そして拘束ファイバ4500の遠位端4504がロックワイヤ4300に連結されている状態で、拘束ファイバ4500の中間部分4508が医療デバイス4400及び/又は留置シース4402に係合する。図4Aに示されているように、拘束ファイバ4500の中間部分は、留置シース4402の拘束ファイバアパーチャ4406を通っている。いくつかの例では、中間部分4508は留置シース4402の拘束ファイバアパーチャ4406の周りでループを形成するか、或いは拘束ファイバアパーチャ4406を通してループを形成してよい。いくつかの例では、拘束ファイバ4500の中間部分は付加的又は代替的に、医療デバイス4400の拘束ファイバアパーチャ又は何らかの他の係合特徴部を同様に通る(又はその周りで、そしてそれを通してループを形成する)。
こうして、図4Aに示された形態によって、留置シース4402及び/又は医療デバイス4400は、留置シース4402及び/又は医療デバイス4400が装着されている細長エレメント4100に対して軸線方向(そして具体的には近位側へ)に移転することに抗して拘束されるようになる。例えば、拘束ファイバ3500に関連して同様に上述したように、いくつかの例では、医療デバイス3400及び/又は留置シース3402が細長エレメント3100に沿って近位側へ移転する傾向を相殺するために、拘束ファイバ4500は、医療デバイス3400及び/又は留置シース3402に引張力を加えるように働くことができる。
いくつかの例では、拘束ファイバ4500は、拘束ファイバ3500がロックワイヤ3300から分離されるのと同様の様式で、ロックワイヤ4300から分離することができる。図4Bは、ロックワイヤ4300を、オリーブ4200のロックワイヤルーメンから近位側へ引き出されている状態を示しており、これにより、ロックワイヤ4300は拘束ファイバ4500の取り付け特徴部4506から引き出される。拘束ファイバ4500がロックワイヤ4300から分離された状態では、医療デバイス4400及び留置シース4402は、拘束ファイバ4500によって細長エレメント4100に沿った軸線方向の移転に抗してもはや拘束されない。従って、図4Bに示されているように、拘束ファイバ4500がロックワイヤ4300から分離された状態では、留置シース4402は医療デバイス4400から、医療デバイス4400を展開できるように取り外すことができる。
図5A及び5Bを参照すると、医療デバイス送達システム5000が細長エレメント5100と、オリーブ5200と、ロックワイヤ5300と、拘束エレメント又はステアリングエレメント、例えばステアリングファイバ5500と、送達カテーテル5600とを含むものとして示されている。細長エレメント5100、オリーブ5200、及びロックワイヤ5300は、本明細書中で論じられる種々の細長エレメント、オリーブ、及びロックワイヤと一致する。下記例では拘束エレメントを拘束ファイバ5500と呼ぶが、このような言及は制限的なものと解釈すべきではない。例えば、拘束エレメントは、引張、圧縮、又は引張及び圧縮の状態にあるのに適した構造であってよい。こうして、いくつかの例では、拘束エレメントは、引張及び/又は圧縮の状態にあるのに適した拘束ワイヤであってよい。同様に、いくつかの例では、ロックワイヤは引張及び圧縮の状態にあってよいファイバ及び/又はワイヤであってよいのに対して、いくつかの他の例では、ロックワイヤは引張状態にのみあってよい。
一般に、ステアリングファイバ5500は、血管系内部の細長エレメント5100の選択的な曲げを可能にする。このような形態において、当業者には明らかなように、ステアリングファイバ5500に引張力を加えることにより、細長エレメント5100を曲げることができる。細長エレメント5100を曲げることは、とりわけ、患者の血管系内の湾曲に対する医療デバイス送達システム5000の一致を容易にするのを助ける。このことは、血管系の湾曲領域を通って医療デバイス送達システム5000が前進するのを容易にする。従って、このような形態は、目標領域又は部位への医療デバイス送達システム5000の送達中に有用であり得る。
いくつかの例では、ステアリングファイバ5500は送達カテーテル5600を通り、オリーブ5200に開放可能に連結されている。いくつかの例では、ステアリングファイバ5500は取り付け機構5506を含む。取り付け機構5506は本明細書中に記載され示された拘束ファイバ3500の取り付け機構3506と類似している。このように、上述の例と一致して、ステアリングファイバ5500は、オリーブ5200のロックワイヤルーメン(上述されているが、図5A及び5Bには示されていない)内部に挿入された、ロックワイヤ露出特徴部5222によって露出されたロックワイヤ5300の部分とインターフェイスをとるように形成されている。
いくつかの例では、ステアリングファイバ5500は、上述の拘束ファイバと同様の材料及び構造を有する。いくつかの例では、ステアリングファイバ5500は、金属、ポリマー、又は天然材料を含むことができ、従来の医療等級材料、例えばナイロン、ポリアクリルアミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリホルムアルデヒド、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリトリフルオロクロロエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、エラストマー有機ケイ素ポリマー、金属、例えばステンレス鋼、コバルト−クロム合金、及びニチノールを含むことができる。さらに、ステアリングファイバ5500は高強度ポリマーファイバ、例えば超高分子量ポリエチレンファイバ(例えば、Spectra(登録商標)、Dyneema Purity(登録商標)など)、又はアラミドファイバ(例えば、Technora(登録商標)など)から形成することもできる。しかしながら、細長エレメントを曲げ且つ/又は操縦し、或いは他の形式でオリーブ5200を変向させるいかなる材料も、本開示の範囲に含まれる。
図5Bは医療デバイス送達システム5000を変向形態で示す図である(図5Aは医療デバイス送達システム5000を非変向形態で示す図である)。このように、拘束ファイバをステアリングファイバとして形成することにより、医療デバイス送達システム5000は、変向状態と非変向状態との間、又は変向形態と非変向形態との間(又は操縦状態と非操縦状態との間、又は操縦形態と非操縦形態との間)で移行可能である。
本明細書中に示され記載された種々の他の例と同様に、ステアリングファイバ5500はオリーブ5200に取り外し可能に連結されている。このような形態は、多用途の医療デバイス送達システム5000及び互換性をもたらす。例えば、図5A及び5Bに示された例は、本明細書中に示され記載された他の例と組み合わせ可能であってよい。例えば、医療デバイス送達システムは、ロックワイヤ露出特徴部によって露出されたロックワイヤルーメン内部に挿入されたロックワイヤ部分に連結された複数の拘束ファイバを含んでよい。いくつかのこのような例では、第1の拘束ファイバは、細長エレメントに沿った医療デバイス及び/又は留置シースの位置を維持するように働いてよいのに対して、第2拘束ファイバはステアリングファイバとして働き、ステアリングファイバは、血管系内部の治療領域への医療デバイス送達システムの送達を容易にする。
さらに、このような形態は、複数の拘束ファイバのうちの一つ又は二つ以上をロックワイヤから選択的に分離することを可能にする。いくつかの例では、ステアリングファイバは、拘束ファイバをロックワイヤから分離することなく、ロックワイヤから分離することができてよい。例えば、いくつかの例では、ロックワイヤは、ステアリングファイバの分離を可能にするのに充分な程度ではあるが、しかし拘束ファイバの分離を可能にするには不充分な程度に、ロックワイヤルーメンを通して引き出すことができる。いくつかの例では、ロックワイヤは、ステアリングファイバ及び拘束ファイバの双方の分離を可能にするのに充分な程度に、ロックワイヤルーメンを通して引き出すことができるが、しかしステアリングファイバだけがロックワイヤから分離され、その後、ロックワイヤは、ロックワイヤに連結されたままの拘束ファイバの分離を禁止するロックワイヤルーメン内部の位置まで再前進させられる。これらの例及びその他の例は同様に、下記医療デバイス送達システムと組み合わせることができる。
図6A及び6Bを参照すると、医療デバイス送達システム6000が細長エレメント6100と、オリーブ6200と、ロックワイヤ6300と、拘束エレメント、例えば拘束ファイバ6500とを含むものとして示されている。細長エレメント6100、オリーブ6200、ロックワイヤ6300、及び拘束ファイバ6500は、本明細書中で論じられる種々の細長エレメント、オリーブ、ロックワイヤ、及び拘束ファイバと一致する。下記例では、拘束エレメントを拘束ファイバ6500と呼ぶが、このような言及は制限的なものと解釈すべきではない。例えば、拘束エレメントは、引張、圧縮、又は引張及び圧縮の状態にあるのに適した構造であってよい。
図示するように、拘束ファイバ6500は、遠位部分6504及び/又は取り付け機構6506が、ロックワイヤルーメン(上述されているが、図6A及び6Bには示されていない)内部に挿入されてロックワイヤ露出特徴部6222によって露出されたロックワイヤ6300の部分と連結されるように形成されている。拘束ファイバ6500の遠位端6504はロックワイヤ6500の中間部分6508から延びている。中間部分6508は医療デバイス6400と連結されている。より詳細に下述するように、拘束ファイバ6500の中間部分6508は医療デバイス6400と連結され、これにより、拘束ファイバ6500は医療デバイス6400の一部の断面を選択的に低減するように働くことができる。拘束ファイバ6500の中間部分6508は、例えば身体外部にある拘束ファイバ6500の近位端(図6A及び6Bには示されていない)から延びている。
図6A及び6Bに示されているように、拘束ファイバ6500は医療デバイス6400に連結されている。具体的には、拘束ファイバ6500は、医療デバイス6400の周辺又は周囲の周りに編まれ(laced)ている。概して、拘束ファイバ6500は医療デバイスの周辺の周りに編まれており、これにより、拘束ファイバ6500は断面(例えば直径)を選択的に低減するように、或いは、拘束ファイバ6500が医療デバイス6400に連結されている場所内、及び場所の周りで、又は場所に近接して(例えば、医療デバイス6400の内側ルーメンの内周で)、医療デバイス6400の一部を半径方向に圧潰するように働くことができる。いくつかの例では、拘束ファイバ6500は医療デバイス6400の内周に編まれている。いくつかの例では、拘束ファイバ6500は付加的又は代替的に医療デバイス6400の外周の周りに編まれている。いくつかの例では、より詳細に後述するように、拘束ファイバ6500は一体的な拘束ルーメン内部又は他の周方向に延びるルーメン内部で延びている。いくつかの例では、拘束ファイバ6500は医療デバイス6400の周辺全体を周る経路をとり又は編まれる。他の例では、拘束ファイバ6500は医療デバイス6400の全周よりも少ない部分を通した経路をとり又は編まれている。
いくつかの例では、拘束ファイバ6500の遠位端6504及び/又は取り付け機構6506をロックワイヤ6300に連結することにより、医療デバイス送達システム6000から拘束ファイバ6500を取り外すことなく、拘束ファイバ6500に引張力を加えることができる。具体的には、拘束ファイバ6500の遠位端6504がオリーブ6200のところでロックワイヤ6300に連結されるので、遠位端6504は、拘束ファイバ6500の近位端に引張力が加えられるのに伴って、軸線方向の移転(上記参照)に抗して拘束される。このように、医療デバイス6400の周りに編まれた拘束ファイバ6500の中間部分6508は、中間部分6508が周りに編まれている医療デバイス6400の部分の断面を低減するように収縮する。
具体的には、いくつかの例では、拘束ファイバ6500に(拘束ファイバの近位端又は遠位端から)引張力が加えられるのに伴って、医療デバイス6400の周辺を周る経路をとる拘束ファイバ6500の長さが短くなり、これにより拘束ファイバ6500がそれを周る経路をとる医療デバイス6400の周辺部分が減少する。いくつかの例では、医療デバイス6400の断面の低減は、医療デバイス6400の周辺を周る経路をとる拘束ファイバ6500の部分の長さの減少に対して比例する。このように、医療デバイス6400の周辺を周る経路をとる拘束ファイバ6500の部分の長さが減少するのに伴って、その領域における医療デバイス6400の断面積も減少する。
医療デバイスの断面を選択的に低減するのを可能にする機構を提供することにより、使用者は医療デバイスの早すぎる固着を回避することができる。いくつかの例では、このような融通性は、初期留置後に医療デバイスが再位置決めを必要とする場合に、血管の損傷を回避するように働く。
拘束ファイバ6500がロックワイヤ6300に取り外し可能に連結されているので、医療デバイス6400が適正に配向され留置された後、拘束ファイバ6500はロックワイヤ6300から分離することができる(本明細書中に論じられた例と一致する)。いくつかの例では、医療デバイス6400を適正に整合させた後、拘束ファイバ6500に加えられた引張力が解除され、これにより医療デバイス6400は、これが配置された血管系部分内部で自然の形態を成す。いくつかの例では、拘束ファイバ6500に対する引張力の解除後、ロックワイヤ6300はオリーブ6200のロックワイヤルーメンから引き出され、これにより拘束ファイバ6500をロックワイヤから分離することができる(上記参照)。
図6Bは拘束ファイバ6500がロックワイヤ6300から分離されている形態を示している。図示するように、ロックワイヤ6300はオリーブ6200のロックワイヤルーメンから近位側へ引き出されており、拘束ファイバ6500の遠位端6504はロックワイヤ6300から解放されている。いくつかの例では、拘束ファイバ6500が自由な状態(すなわちロックワイヤ6300に連結されていない状態)で、拘束ファイバ6500を医療デバイス送達システム6000から引き出すことができる。いくつかの例では、拘束ファイバ6500を医療デバイス6400から引き出し、分離することができる。いくつかのこのような例では、拘束ファイバ6500の近位端に引張力が加えられるのに伴って、自由な遠位端6504がオリーブ6200から引き離され、医療デバイス6400を通って身体の外に出される。いくつかの他の例では、拘束ファイバ6500の一部だけが身体から取り外される。例えば、いくつかの例では、拘束ファイバ6500は生分解するように形成され、ひいては医療デバイス6400が留置され医療デバイス送達システム6000の他の構成部分が取り除かれた後に体内に残ってよい。
図7を参照すると、医療デバイス送達システム7000は、医療デバイス送達システム7000が細長エレメント7100と、オリーブ7200と、ロックワイヤ7300と、拘束エレメント、例えば拘束ファイバ7500とを含むものとして示されている。細長エレメント7100、オリーブ7200、ロックワイヤ7300、及び拘束ファイバ7500は、本明細書中で論じられる種々の細長エレメント、オリーブ、ロックワイヤ、及び拘束ファイバと一致する。下記例では、拘束エレメントを拘束ファイバ7500と呼ぶが、このような言及は制限的なものと解釈すべきではない。例えば、拘束エレメントは、引張、圧縮、又は引張及び圧縮の状態にあるのに適した構造であってよい。
図示するように、拘束ファイバ7500は、遠位部分7504及び/又は取り付け機構7506が、ロックワイヤルーメン(上述されているが、図7には示されていない)内部に挿入されてロックワイヤ露出特徴部7222によって露出されたロックワイヤ7300の部分と連結されるように形成されている。拘束ファイバ7500の遠位端7504はロックワイヤ7500の中間部分7508から延びている。中間部分7508は医療デバイス7400と連結されている。いくつかの例では、上述のように、拘束ファイバ7500の中間部分7508は医療デバイス7400と連結され、これにより、拘束ファイバ7500は医療デバイス7400の一部の断面を選択的に低減するように働くことができる。いくつかの例では、拘束ファイバ7500の中間部分7508は、拘束ファイバ7500の近位端(図7には示されていない)から延びている。
上述のように、種々の例では、拘束ファイバ7500に引張力が加えられるのに伴って、医療デバイス7400の周辺を周る経路をとる拘束ファイバ7500の長さが短くなり、これにより拘束ファイバ7500がそれを周る経路をとる医療デバイス7400の周辺部分が低減される。当業者には明らかなように、このような引張力を引き起こすために医療デバイス7400に加えられる力は拘束ファイバ7500に沿って誘導される。このように、種々の例では、細長エレメント7100に対する医療デバイス7400の長手方向位置を維持しながら、医療デバイス7400に与えられる力が医療デバイス7400の一部の断面を効率的且つ効果的に低減するように働くべく、拘束ファイバ7500の経路をとることが有益である。
図7に示されているように、いくつかの例では、拘束ファイバ7500は少なくとも一つの整合機構7700を通した経路をとる。いくつかの例では、整合機構7700は、一つ又は二つ以上のアパーチャ又はルーメンを含む。このようなアパーチャ又はルーメンを通して、拘束ファイバ7500の経路をとる。他の例では、整合機構7700は付加的又は代替的に、一つ又は二つ以上のチャネル(すなわち開いたチャネル)又は溝を含む。このようなチャネル又は溝を通して、拘束ファイバ7500の経路をとる。一つ又は二つ以上の整合機構7700を通して拘束ファイバ7500の経路をとることにより、拘束ファイバ7500によって医療デバイス7400に与えられる力が長手方向又はほぼ長手方向にではなく、半径方向又は準半径方向に誘導されるように、拘束ファイバ7500の経路をとることができる。力を半径方向又は準半径方向に誘導することは、送達し留置する際に、医療デバイス7400の長手方向の移転に影響を及ぼす力の成分を低減するという効果を有する。
図7に示されているように、整合機構7700は、拘束ファイバ7500の近位端と、医療デバイス7400に連結されるか又は医療デバイス7400を周る経路をとった拘束ファイバ7500の中間部分との間の拘束ファイバ7500の長さに沿って位置している。このように、いくつかの例では、拘束ファイバ7500の第1中間部分が整合機構7700を通した経路をとり、そして拘束ファイバ7500の第2中間部分が整合機構7400を通した経路をとるように、拘束ファイバ7500の経路をとる。いくつかの例では、拘束ファイバ7500の第1中間部分は、拘束ファイバ7500の第2中間部分の近位側にある(例えば図7参照)。しかしながら、より詳細に下述するように、拘束ファイバ7500の遠位端7504と、医療デバイス7400に連結された拘束ファイバ7500の中間部分との間の拘束ファイバ7500の長さに沿って、整合機構が付加的又は代替的に位置していてもよい。
種々の例では、拘束ファイバ7500に引張力が加えられるのに伴って、整合機構7700と医療デバイス7400との間に延びる拘束ファイバ7500の部分は、医療デバイス7400に力を与える。この力は拘束ファイバ7500の長さに沿って整合機構7700へ向かって誘導される。このように、いくつかの例では、拘束ファイバ7500に引張力を加えることにより、医療デバイス7400は少なくとも半径方向に整合機構7700へ向かって引っ張られる。いくつかの例では、この力は、拘束ファイバが周りに編まれ(laced)又は周りに経路をとった(routed)医療デバイス部分の断面を低減するのをさらに容易にし、また、医療デバイス送達システムの長手方向軸線を中心とした医療デバイスの望まれない回転を修正するように働くことができる。いくつかの例では、このような力は、送達及び/又は留置中の医療デバイス送達システムの長手方向長さに沿った医療デバイスの位置を維持するように働くこともできる。
いくつかの例では、整合機構7700と医療デバイスとの間に延びる拘束ファイバ7500の部分が、医療デバイス7400の内面に対して垂直(又はほぼ垂直)に延びるように、整合機構7700は位置決めされる。いくつかの例では、整合機構7700と医療デバイスとの間に延びる拘束ファイバ7500の部分が、医療デバイス送達システム7000の長手方向軸線に対して垂直(又はほぼ垂直)に延びるように、整合機構7700は位置決めされる。
いくつかの例では、整合機構7700と医療デバイス7400との間に延びる拘束ファイバ7500の部分が、医療デバイス送達システム7000の長手方向軸線に対して垂直(又はほぼ垂直)な状態からオフセットされた何らかの角度を成して延びるように、整合機構7700は位置決めされる。いくつかの例では、拘束ファイバ7500は、医療デバイス送達システムの長手方向軸線に対して45度〜90度(又は90度〜135度)の角度を成して整合機構7700から延びている。しかしながら、開示の思想又は範囲を逸脱することなく、45度未満、又は135度超の角度を選択することができる。
図7に示されているように、整合機構7700は細長エレメント7100に連結されている。他の例では、整合機構7700は医療デバイス送達システム7000のオリーブ7200又は何らかの他の構成部分に連結されてよい。図示するように、整合機構は医療デバイス送達システムのオリーブ又は何らかの他の構成部分に連結されてよい。拘束ファイバ7500の一部が近位端(図7には示されていない)から整合機構7700へ延びるように、拘束ファイバ7500の経路をとる。拘束ファイバ7500は、整合機構7700を通って医療デバイス7400へと経路をとる、これにより拘束ファイバ7500の一部が整合機構7700と医療デバイス7400との間に延びる。図示するように、ロックワイヤルーメン内に挿入されてロックワイヤ露出特徴部7222によって露出されたロックワイヤ7300の部分に拘束ファイバ7500が連結される位置まで延びる前に、拘束ファイバ7500は、医療デバイス7400内に設けられたアパーチャ7406を通して、医療デバイス7400の周辺を周る経路をとる。
図7に示されているように、拘束ファイバ7500は医療デバイス7400の周辺を周る経路をとり、これにより、医療デバイス7400の周辺を周って延びた後、拘束ファイバはこれがロックワイヤ7300に連結される場所まで延びる前に、アパーチャ7406を通って戻る。いくつかの例では、ロックワイヤ7300へ延びる拘束ファイバ7500の部分は、整合機構7700から延びる拘束ファイバ7500の部分とオーバーラップするか、又はその部分の周りで他の形式でルーピングする。例えば図7Bに示されているように、医療デバイス7400からロックワイヤ7300へ延びる拘束ファイバ7500の部分7512は、整合機構7700から医療デバイス7400へ延びる拘束ファイバ7500の部分7510の下側及びその周りを通過する。いくつかのこのような例では、拘束ファイバ7500はそれ自体の周りでルーピングされ、これにより拘束ファイバ7500に引張力が加えられるのに伴って、ロックワイヤ7300に延びる拘束ファイバ7500の部分は、整合機構7700から延びる拘束ファイバ7500の部分を干渉するか、又はその他の形式でこの部分と絡まる。いくつかの例では、拘束ファイバ7500をそれ自体とルーピングすること又は絡ませることは、医療デバイスのアパーチャ7406を通る拘束ファイバの部分がアパーチャ7406の縁部又は周辺、又は医療デバイス7400の別の部分に固着しこれを裂断するのを回避するように働く。
図7Aを参照すると、上述のように、遠位端7504及び/又は取り付け機構7506は、オリーブ7200のロックワイヤルーメン内へ挿入されてロックワイヤ露出特徴部7222によって露出されたロックワイヤ7300の部分に開放可能に連結される。上述のように、拘束ファイバ7500の遠位端7504及び/又は取り付け機構7506を連結することによって、拘束ファイバ7500に引張力を加えることができる。具体的には、拘束ファイバ7500の遠位端7504はオリーブ7200のところでロックワイヤに連結され、したがって拘束ファイバ7500の近位端に引張力が加えられるのに伴って、軸線方向の移転に抗して拘束されるので、医療デバイス7400の周りに編まれた拘束ファイバ7500の中間部分7508は、中間部分7508が周りに編まれた医療デバイス7400の部分の断面を収縮又は低減するように働くことができる。
同様に、医療デバイス送達システム6000に関して上述したように、拘束ファイバ7500がロックワイヤ7300に取り外し可能に連結されているので、医療デバイス7400が適正に配向され留置された後、拘束ファイバ7500はロックワイヤ7300から分離することができる。具体的には、拘束ファイバ7500をロックワイヤ7300から分離できるように、ロックワイヤ7300をオリーブ7200のロックワイヤルーメンから引き出すことができる。その後、ロックワイヤ7300及び拘束ファイバ7500を身体から取り外してよいが、しかし(上述のように)取り外しが必要でない場合もある。
上述の例が、拘束ファイバ7500の近位端と医療デバイス7400との間に位置する整合機構を含む医療デバイス送達システムを含むが、しかしながら、拘束ファイバ7500は拘束ファイバ7500の遠位端と医療デバイス7400との間に位置していてもよい。このような例では、医療デバイス7400の周辺を周る経路をとった後、ロックワイヤ7300へ延びる前に、拘束ファイバ7500は整合機構7700を通した経路をとる。
また、上記例は、単一の整合機構を含む医療デバイス送達システムを含むが、いくつかの例では、複数の整合機構が組み込まれてもよい。図8を参照すると、医療デバイス送達システム8000が細長エレメント8100と、オリーブ8200と、ロックワイヤ8300と、拘束エレメント、例えば拘束ファイバ8500とを含むものとして示されている。細長エレメント8100、オリーブ8200、ロックワイヤ8300、及び拘束ファイバ8500は、本明細書中で論じられる種々の細長エレメント、オリーブ、ロックワイヤ、及び拘束ファイバと一致する。下記例では拘束エレメントを拘束ファイバ8500と呼ぶが、このような言及は制限的なものと解釈すべきではない。例えば、拘束エレメントは、引張、圧縮、又は引張及び圧縮の状態にあるのに適した構造であってよい。
加えて、医療デバイス送達システム8000は第1整合機構8700と第2整合機構8702とを含む。整合機構8700は、上述の整合機構7700と類似している。整合機構8702も、拘束ファイバ8500が医療デバイス8400の周辺を周る経路をとった後に整合機構8702を通した経路をとることを除けば、整合機構7700と類似している。このように、整合機構8702は、遠位端8504と、医療デバイス8400を周る経路をとる拘束ファイバ8500の部分との間で、細長エレメント8100に沿って位置している。
図8に示されているように、拘束ファイバ8500は、拘束ファイバ8500の一部が近位端(図8には示されていない)から第1整合機構8700へ延びるように経路をとっている。拘束ファイバ8500は第1整合機構8700を通して医療デバイス8400へと経路をとり、これにより拘束ファイバ8500の一部が第1整合機構8700と医療デバイス8400との間に延びる。図示するように、拘束ファイバ8500は、医療デバイス8400内に設けられたアパーチャ8406を通して、医療デバイス8400の周辺を周る経路をとる。その後、拘束ファイバ8500は第2整合機構8702へと経路をとる。第2整合機構8702を通した経路をとった後、拘束ファイバ8500は、ロックワイヤルーメン内に挿入されてロックワイヤ露出特徴部8222によって露出されたロックワイヤ8300の部分に拘束ファイバ8500が連結される位置まで延びる。
図7に示された拘束ファイバ7500と同様に、拘束ファイバ8500は医療デバイス8400の周辺を周る経路をとり、これにより、医療デバイス8400の周辺を周って延びた後、拘束ファイバはこれがロックワイヤ8300に連結される場所まで延びる前に、アパーチャ8406を通って戻る。図示するように、第2整合機構8702へ延びる拘束ファイバ8500の部分は、整合機構8700から延びる拘束ファイバ8500の部分とオーバーラップするか、又はその部分の周りで他の形式でルーピングする。
いくつかの例では、第1整合機構8700及び第2整合機構8702は細長エレメント8100に連結されている。いくつかのこのような例では、第1整合機構8700及び第2整合機構8702は細長エレメント8100の長さに沿って位置決めされ、これにより、拘束ファイバ8500に引張力が加えられるのに伴って、第1整合機構8700と第2整合機構8702との間に延びる拘束ファイバの部分によって医療デバイス8400に与えられた長手方向力が互いに打ち消し合う。
具体的には、拘束ファイバ8500に引張力が加えられるのに伴って、第1整合機構8700と医療デバイス8400との間に延びる拘束ファイバ8500の部分(すなわち拘束ファイバ部分8510)によって医療デバイス8400に、第1の力が与えられる。第1の力は拘束ファイバ部分8510に沿って誘導される。同様に、拘束ファイバ8500に引張力が加えられるのに伴って、第2整合機構8702と医療デバイス8400との間に延びる拘束ファイバ8500の部分(すなわち拘束ファイバ部分8512)によって医療デバイス8400に、第2の力が与えられる。第2の力は拘束ファイバ部分8512に沿って誘導される。上述のように、いくつかの例では、整合機構8700及び8702は、第1の力と第2の力とが互いに打ち消し合うように位置決めされている。このような形態により、医療デバイス送達システム8000に沿った医療デバイス8400の位置を維持しながら、拘束ファイバ8500がその周りに経路をとる医療デバイス8400の部分の断面を低減することができる。
いくつかの他の例では、拘束ファイバ8500に引張力が加えられるのに伴って、医療デバイス8400と第1整合機構8700及び第2整合機構8702との間に延びる拘束ファイバ部分によって医療デバイス8400に与えられる長手方向力が等しくないように、第1整合機構8700及び第2整合機構8702は、細長エレメント8100の長さに沿って位置決めされている。いくつかのこのような例では、拘束ファイバ8500がその周りに経路をとる医療デバイス8400の部分から第1整合機構8700が第1の長手方向距離を置くように、第1整合機構8700は細長エレメント8100に沿って位置しているのに対して、拘束ファイバ8500がその周りに経路をとる医療デバイス8400の部分から第2整合機構8702が第2の異なる長手方向距離を置くように、第2整合機構8702は細長エレメント8100に沿って位置している。
これらの例において、拘束ファイバ部分8510及び8512によって医療デバイス8400に加えられる分力は互いに打ち消すことはしない。その代わりに、当業者には明らかなように、より大きく長手方向にオフセットされた整合機構へ延びる拘束ファイバ部分が、より大きい力成分と連携することになる。しかしながら、このような例においても、医療デバイス8400が第1整合機構8700及び第2整合機構8702に対してオフセットされるその距離を制限して、合成長手方向成分力を、医療デバイス送達システム8000の長手方向軸線に沿って医療デバイス8400の変位をもたらすには不充分なものにすることができる。
従って、当業者には明らかなように、このような第1整合機構及び第2整合機構を組み込む形態は、医療デバイス送達システムの長手方向軸線に沿う医療デバイスの著しい歪みを招くことなく、(例えば血管系内部の最終的な位置決め又は再位置決めのために)医療デバイスの断面積の選択的な低減を可能にする医療デバイス送達システムを提供することができる。
上述の例のうちのあるものは、留置シースに連結される拘束ファイバを含むのに対して、いくつかの他の例では、拘束ファイバは付加的又は代替的に医療デバイスに連結される。すなわち、いくつかの例では、拘束ファイバは医療デバイスをロックワイヤに直接に連結する。いくつかのこのような例では、医療デバイスは、尖端、ノブ、アイレット、穴、又は拘束ファイバに取り付けるのに適した任意の他の機構を含んでよい。一般に、拘束ファイバの近位端は取り付けに適した上記機構(医療デバイスの例えば尖端、ノブ、アイレット、穴など)のうちの一つに連結されるのに対して、拘束ファイバの遠位端は、本明細書中で論じたように、オリーブのロックワイヤ露出特徴部によって露出されたロックワイヤ部分に連結される。同様に上述したように、この例における拘束ファイバ3500は留置シースに直接連結されていないが、しかしながら、留置シースと医療デバイスとの摩擦が、医療デバイスと留置シースとの相対位置を維持するように働く。このように、拘束ファイバが細長エレメントに沿った長手方向の移転に抗して医療デバイスを拘束するように働く場合には、拘束ファイバは同様に、細長エレメントに沿った長手方向の移転に抗して留置シースをも拘束するように働く。
上述のように、いくつかの例では、拘束ファイバは留置シース及び医療デバイスの両方に直接に連結されている。いくつかのこのような例では、拘束ファイバの遠位端は留置シース及び医療デバイスの両方に連結されている。いくつかの例では、拘束ファイバは留置シースの取り付け特徴部(例えばステッチ、穴など)を通した経路をとり、医療デバイスに連結される。いくつかの例では、拘束ファイバは医療デバイスの取り付け特徴部(例えばステッチ、尖端、穴など)を通した経路をとり、留置シースに連結される。
加えて、上述のように、いくつかの例では、拘束ファイバは一体型拘束ルーメン内部に延びている。一体型拘束ルーメン例の断面図が図9に示されている。図示するように、いくつかの例では、医療デバイス9400がグラフト部分9408とステント部分9410とを含んでいてよい。ステント部分9410は、グラフト部分9408の外面9412に配置されていてよい。グラフト部分9408はまた内面9414を含んでいる。内面は医療デバイス9400の内側ルーメンを形成している。拘束エレメントコンジット9416(例えば一体型拘束ルーメン)は、医療デバイス9400の周囲の、グラフト部分9408の外面9412に、ステント部分9410がグラフト部分9408の外面9412と拘束エレメントコンジット9416との間に配置された状態で配置されていてよい。拘束エレメントコンジット9416は、医療デバイス9400の周囲の何らかの地点に切れ目又はギャップを含んでよい。拘束エレメントコンジット9416に設けられた切れ目又はギャップは、拘束ファイバ(又はライン又はワイヤ)が拘束エレメントコンジット9416を通して配置されるのを可能にする。
拘束エレメントコンジット9416はグラフト部分9418によって形成されていてよい。グラフト部分9418はグラフト部分9408の外面9412に取り付けられている。加えて、拘束エレメントコンジット9416は第1境界と第2位境界とを含んでよい。図9に示されているように、拘束エレメントコンジット9416の第1境界はグラフト部分9408の外面9412であり、そして第2境界はグラフト部分9418によって形成されている。結果として、拘束エレメントコンジット9416は、拘束ファイバ(又はライン又はワイヤ)(図示せず)がそれを通して配置される通路を提供することができる。拘束ファイバ(又はライン又はワイヤ)は、これに加えられる引張力に応答して、医療デバイス9400を軸線方向及び/又は半径方向に拘束することができる。
図10Aは、医療デバイス10400及び拘束エレメントコンジット10416を示す断面図である。医療デバイス10400はグラフト部分10408とステント部分10410とを含んでよい。ステント部分10410はグラフト部分10408の外面に配置されていてよい。拘束エレメントコンジット10416は、第1グラフト部分10418によって形成されていてよい。第1グラフト部分10418はグラフト部分10408の外面に取り付けられている。第1グラフト部分10418はグラフト部分10408の外面に結合されていてよい。図10Aに示されているように、グラフト部分10408の外面と第1グラフト部分10418との間にはワイヤ(又はその代わりにファイバ)10422が配置されていてよい。ワイヤ10422はグラフト部分10408の外面に第1グラフト部分10418を結合するときに障害物を提供して、第1グラフト部分10418の端部がグラフト部分10408の外面に結合されるようになっている。
第1グラフト部分10418がグラフト部分10408の外面に結合された後、ワイヤ10422を取り外すことができる。図10Bは、図10Aに示された医療デバイス10400及び拘束エレメントコンジット10416を示す断面図であって、結合の障害物をワイヤ10422が提供することにより、第1グラフト部分10418の端部がグラフト部分10408の外面に結合された結果を示す図である。図10Bに示されているように、ワイヤ10422は拘束エレメントコンジット10416の通路を後にしている。この拘束用ラインコンジットを通して拘束ファイバ10500を配置することができる。結果として、拘束エレメントコンジット10416は、第1境界と第2境界とを含んでよい。図10Bに示されているように、拘束エレメントコンジット10416の第1境界はグラフト部分10408の外面であり、そして第2境界は第1グラフト部分10418によって形成されている。
ある特定の場面では、第1グラフト部分10418の範囲内で、ステント10410に第2グラフト部分10424が被せられていてよい。第2グラフト部分10424は、第1グラフト部分10418がグラフト部分10408の外面に結合される(例えばFEP接着剤)のと同様に、グラフト部分の外面に結合されていてよい。図10Cは、本開示の種々の態様に基づく、図10A〜Bに示された医療デバイス10400、拘束ファイバコンジット10416、及び拘束ファイバ10500を、第2(付加的)グラフト部分10424とともに示す断面図である。結果として、第2グラフト部分10424は、拘束ファイバコンジット10416の第1境界を形成することができ、これとともに第1グラフト部分10418は第2境界を形成する。拘束ファイバコンジット10416は、医療デバイス10400の周囲の何らかの地点に切れ目又はギャップを含んでよい。拘束ファイバコンジット10416に設けられた切れ目又はギャップは、拘束ファイバ10500が拘束ファイバコンジット10416を通して配置されるのを可能にする。より具体的には、医療デバイス10400の周囲は25mm〜50mmであってよい。拘束ファイバコンジット10416内の切れ目又はギャップは.5mm〜3mmであってよい。拘束ファイバコンジット10416の残りの部分は医療デバイス10400の周囲で連続的である。
拘束ファイバ10500は、これに加えられる引張力に応答して医療デバイス10400を軸線方向且つ/又は半径方向に拘束することができる。加えて、医療デバイス10400は、拘束形態(例えば医療デバイス10400の送達のため)と展開形態(例えば目標治療領域における作業状態)との間で、拘束ファイバ10500を使用して拘束し拘束解除することができる。移植型デバイス10400は、位置が望ましくない場合に、拘束及び拘束解除を複数回にわたって行うことにより、治療個所に移植型デバイス10400を再位置決めするのを可能にする。
上述の例のそれぞれにおいて明示又は言及されていないが、当業者には明らかなように、本明細書中に記載された種々の医療デバイス送達システムは、送達カテーテルを通して送達することができる(例えば図5A及び5Bにおいて示され記載された送達カテーテル形態参照)。同様に、上述の例のそれぞれにおいて明示又は言及されてはいないが、当業者には明らかなように、種々の医療デバイス送達システムは、その近位端、例えば患者の身体又は血管の外側で連結された制御システムを含んでよい。
上記の示された例は、オリーブが連結された細長エレメントを含むが、しかしながら、いくつかの他の例では、細長エレメントはその代わりに鈍な、丸みを帯びた、又はテーパされた遠位先端を含んでもよい。すなわち、細長エレメントにオリーブを連結する代わりに、細長エレメントの遠位端それ自体が一体的に形成された鈍な、丸みを帯びた、又はテーパされた遠位先端を含む。いくつかの例では、細長エレメントの遠位先端は、種々の剛度又は軟度によって特徴付けることができる。剛度又は軟度はさらに細長エレメントの長さに沿って変化することができる。
同様に、オリーブ1200はほぼ円筒形であるものとして示され記載されているが、オリーブ1200は任意の適宜のサイズを有することができ、そして本開示の思想又は範囲を逸脱することなく、血管系を航行するのに適した任意の形状を有することができる。
本出願の発明の範囲を全般的に、そして一例としての種々の実施態様に関して上述した。当業者には明らかなように、発明の範囲を逸脱することなく、種々の実施態様の特徴の組み合わせを含めて、実施態様に種々の改変及び変更を加えることができる。発明の範囲はこのような改変及び変更を含むものとする。