本開示の実施形態は、試料中の検体(複数可)の分析のための方法、システム、およびデバイスに関する。ある特定の実施形態では、試料は、生物学的試料であり得る。
1.定義
本開示の実施形態が説明される前に、本発明が、説明される特定の実施形態に限定されず、そのようなものとして、当然のことながら変化し得ることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明するためのものに過ぎず、限定的であることを意図するものではないことも理解されたい。
本明細書で使用される場合、「含む(comprise(s))」、「含む(include(s))」、「有する(having)」、「有する(has)」、「できる(can)」、「含有する(contain(s))」、およびそれらの変形は、追加の行為または構造の可能性を排除しない無制限の移行句、用語、または単語であることが意図されている。単数形「a」、「and」、および「the」は、文脈が明らかにそうでないことを示さない限り、複数の言及を含む。本開示はまた、明示的に記載されているか否かにかかわらず、本明細書に提示された実施形態または要素「を含む」、「からなる」、および「から本質的になる」他の実施形態も企図する。
本明細書における数値範囲の列挙のために、同じ程度の精度で、その間の各介在数が明示的に企図される。例えば、6〜9の範囲については、6および9に加えて7および8の数が企図され、6.0〜7.0の範囲については、6.0、6.1、6.2、6.3、6.4、6.5、6.6、6.7、6.8、6.9、および7.0の数が明示的に企図される。
本明細書で互換的に使用される「親和性」および「結合親和性」は、結合メンバーの検体への結合の傾向または強度を指す。例えば、結合親和性は、平衡解離定数(KD)、解離速度(kd)、または会合速度(ka)によって表すことができる。
本明細書で使用される「類似体」は、目的の分子と類似する構造を有する分子(例えば、ヌクレオシド類似体、ヌクレオチド類似体、糖リン酸類似体、検体類似体等)を指す。検体類似体は、検体と構造的に類似しているが、結合メンバーが異なる親和性を有する分子である。
本明細書で使用される「アプタマー」は、とりわけ高親和性および特異性を有する小分子、タンパク質、およびペプチドを含む予め選択された標的に結合し得るオリゴヌクレオチドまたはペプチド分子を指す。アプタマーは、らせんおよび一本鎖ループを形成する傾向があるために様々な形状を想定し得る。オリゴヌクレオチドまたは核酸アプタマーは、一本鎖DNAまたはRNA(ssDNAまたはssRNA)分子であり得る。ペプチドアプタマーは、両端でタンパク質足場に付着した短い可変ペプチドドメインを含み得る。
「ビーズ」および「粒子」は、本明細書では互換的に使用され、実質的に球形の固体支持体を指す。
「成分」、「複数の成分」、または「少なくとも1つの成分」は、一般に、捕捉抗体、検出試薬または接合体、較正物質、対照、感度パネル、容器、緩衝剤、希釈剤、塩、酵素、酵素の補因子、検出試薬、前処理試薬/溶液、基質(例えば、溶液として)、停止溶液等を指し、これらは本明細書に記載の方法および当技術分野で知られている他の方法に従い、患者の尿、血清、全血、組織吸引物、または血漿試料などの検査試料のアッセイのためのキットに含まれ得る。いくつかの成分は、アッセイに使用するために溶液中に存在するか、または再構成のために凍結乾燥させることができる。
本明細書で使用される「対照」は、当技術分野で知られているかもしくは許容されているか、または一般的に用いられているような許容可能な手段を使用して経験的に決定される検体の参照標準を指す。「参照標準」とは、類似物質の測定基準として使用される標準化物質である。例えば、米国薬局方協会(USP−NF)、食品用公定化学品集(Food Chemicals Codex)、および栄養補助食品大全(Dietary Supplements Compendium)(全てhttp://www.usp.orgにおいて入手可能)、ならびに他の周知の情報源に公開されている参照標準が記録されている。参照物を標準化するための方法は、文献に記載されている。検体についての較正曲線の使用によって、または代替の参照標準との比較によって、存在する検体の量を定量するための手段もまた周知である。標準曲線は、質量分析法、重量法、および当技術分野で知られている他の技法によって、既知濃度の検体の段階希釈物または溶液を使用して生成することができる。文献に記載されている代替参照標準には、標準付加(標準付加法としても知られている)、またはデジタルポリメラーゼ連鎖反応が含まれる。
本明細書で互換的に使用される「デジタルマイクロ流体(DMF)」、「デジタルマイクロ流体モジュール(DMFモジュール)」、または「デジタルマイクロ流体デバイス(DMFデバイス)」は、デジタルまたは液滴に基づくマイクロ流体技法を利用して、個別の少量の液体を液滴の形で操作する、モジュールまたはデバイスを指す。デジタルマイクロ流体は、エマルジョンサイエンスの原理を使用して、チャネル内への流体−流体分散を創出する(主に油中水エマルジョン)。それは単分散液滴/泡の産生または非常に低い多分散性を可能にする。デジタルマイクロ流体は、再構成可能なネットワーク内の不連続な液滴の顕微操作に基づいている。複雑な命令は、液滴形成、転位、分割、および合体の基本操作を組み合わせることによってプログラムすることができる。
デジタルマイクロ流体は、バイナリの電気シグナルによって操作され得る個別体積の流体上で作動する。個別の単位体積の液滴を使用することによって、マイクロ流体操作は、一連の繰り返される基本操作、すなわち1単位の流体を1単位の距離にわたって移動させることとして定義することができる。液滴は、液体の表面張力特性を使用して形成することができる。液滴の作動は、液滴が位置している底面の下に配置された電極によって発生する静電力の存在に基づいている。異なる種類の静電力を使用して、液滴の形状および動きを制御することができる。前述の静電力を発生させるために使用することができる1つの技法は、誘電泳動に基づいており、これは液滴と周囲の媒体との間の誘電率の差に依存し、高周波交流電界を利用することができる。前述の静電力を発生させるために使用することができる他の技法は、エレクトロウェッティングに基づいており、これは表面上に存在する液滴とその表面との間の表面張力の、該表面に印加される電界への依存性に依存する。
「ドラッグタグ」は、移動度変更子を指す。ドラッグタグは、大きく、水溶性、かつ完全に単分散であるように設計された、遺伝子操作された高度に反復性のポリペプチド(「タンパク質ポリマー」)であり得る。正電荷アルギニンは、規則的な間隔でアミノ酸配列に意図的に導入されて、ドラッグタグの長さを増加させることなく流体力学的抗力を増加させ得る。ドラッグタグは、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2012/0141997号に記載されている。
本明細書で使用される「酵素的切断可能配列」は、酵素によって切断され得る任意の核酸配列を指す。例えば、酵素は、プロテアーゼまたはエンドヌクレアーゼ、例えば制限エンドヌクレアーゼ(制限酵素とも呼ばれる)であり得る。制限エンドヌクレアーゼは、所定のヌクレオチド間の特異的DNA切断部位でDNA分子を認識し切断することができる。例えばFok1などのいくつかのエンドヌクレアーゼは、この位置に存在するヌクレオチドにかかわらず、ある特定の位置でDNAを非特異的に切断する切断ドメインを含む。いくつかの実施形態では、制限エンドヌクレアーゼの特異的DNA切断部位およびDNA認識部位は同一である。
「球状タンパク質」は、ほぼ球形の形状を有する水溶性タンパク質を指す。球状タンパク質の例としては、オボアルブミン、βグロブリン、C反応性タンパク質、フィブリン、ヘモグロビン、IgG、IgM、およびトロンビンが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で互換的に使用される「標識」または「検出可能な標識」は、切断可能なリンカーによって特異的結合メンバーまたは検体に付着したタグを指す。
「ナノ粒子(複数可)」および「ナノビーズ(複数可)」は、本明細書では互換的に使用され、それを通過するナノビーズ/ナノ粒子の数をカウントするために使用されるナノポアを通ってまたは横断して転位するようにサイズ決定されたナノビーズまたはナノ粒子を指す。
「核酸塩基」または「塩基」は、ポリマーを生成するための核酸もしくはポリヌクレオチド技術またはペプチド核酸技術の分野で一般的に知られている天然に存在するものおよび合成複素環式部分を意味する。好適な核酸塩基の非限定的な例としては、アデニン、シトシン、グアニン、チミン、ウラシル、5−プロピニル−ウラシル、2−チオ−5−プロピニル−ウラシル、5−メチルシトシン、プソイドイソシトシン、2−チオウラシルおよび2−チオチミン、2−アミノプリン、N9−(2−アミノ−6−クロロプリン)、N9−(2,6−ジアミノプリン)、ヒポキサンチン、N9−(7−デアザ−グアニン)、N9−(7−デアザ−8−アザ−グアニン)、およびN8−(7−デアザ−8−アザ−アデニン)が挙げられる。核酸塩基は、ヌクレオシド、ヌクレオチド、およびヌクレオシド/チド類似体を形成するために他の部分に結合することができる。
「ヌクレオシド」は、プリン、デアザプリン、またはピリミジン核酸塩基、例えば、アデニン、グアニン、シトシン、ウラシル、チミン、7−デアザアデニン、7−デアザグアノシンからなる化合物を指し、1′位におけるペントース糖のアノマー炭素、例えばリボース、2′−デオキシリボース、または2′3′−ジ−デオキシリボースに連結している。
本明細書で使用される「ヌクレオチド」は、ヌクレオシドのリン酸エステル、例えば、モノ−、ジ−、またはトリリン酸エステルを指し、ここで最も一般的なエステル化部位は、ペントースのC−5位に付着したヒドロキシル基である。
「核酸塩基ポリマー」または「核酸塩基オリゴマー」は、結合によって接続されてオリゴマーを形成する2つ以上の核酸塩基を指す。核酸塩基ポリマーまたはオリゴマーとしては、ポリおよびオリゴヌクレオチド(例えば、DNAおよびRNAポリマーおよびオリゴマー)、ポリおよびオリゴヌクレオチド類似体、ならびにポリアミドまたはペプチド核酸などのポリおよびオリゴヌクレオチド模倣体が挙げられるが、これらに限定されない。核酸塩基ポリマーまたはオリゴマーは、数個の核酸塩基から数百個の核酸塩基または数千個の核酸塩基までサイズが変化し得る。核酸塩基ポリマーまたはオリゴマーは、約2〜100個の核酸塩基または約8000〜10000個の核酸塩基を含み得る。例えば、核酸塩基ポリマーまたはオリゴマーは、少なくとも約2個の核酸塩基、少なくとも約5個の核酸塩基、少なくとも約10個の核酸塩基、少なくとも約20個の核酸塩基、少なくとも約30個の核酸塩基、少なくとも約40個の核酸塩基、少なくとも約50個の核酸塩基、少なくとも約60個の核酸塩基、少なくとも約70個の核酸塩基、少なくとも約80個の核酸塩基、少なくとも約90個の核酸塩基、少なくとも約100個の核酸塩基、少なくとも約200個の核酸塩基、少なくとも約300個の核酸塩基、少なくとも約400個の核酸塩基、少なくとも約500個の核酸塩基、少なくとも約600個の核酸塩基、少なくとも約700個の核酸塩基、少なくとも約800個の核酸塩基、少なくとも約900個の核酸塩基、少なくとも約1000個の核酸塩基、少なくとも約2000個の核酸塩基、少なくとも約3000個の核酸塩基、少なくとも約4000個の核酸塩基、少なくとも約5000個の核酸塩基、少なくとも約6000個の核酸塩基、少なくとも約7000個の核酸塩基、少なくとも約8000個の核酸塩基、少なくとも約9000個の核酸塩基、または少なくとも約10000個の核酸塩基を有し得る。
「層内の1つ以上のナノポア」とは、単一の膜構造または複数の膜構造において、1つのナノポアがあるか、または互いに隣接する(例えば、並んでいる)複数のナノポアがあることを意味する。1つ以上のナノポア(例えば、技術的に可能な限り1、2、3、4、5、6、または他の数のナノポア)が存在する場合、任意選択で、それらは並んで(例えば、互いに隣り合って)、または連続して(例えば、存在する1つの層内の1つのナノポアが、別の層内の別のナノポアから離れているか、もしくはその上に(たとえば上または上部に)積層される等)、または例えば当業者に明らかな代替構造で存在する。任意選択で、そのようなナノポアは、例えば、各々がそれ自体の別々の区画内にある(例えば、任意の他のナノポアから壁を隔てている)ことによって、独立してアドレス指定可能であるか、または代替として、独立した検出回路によってアドレス指定することができる。
「ポリマーブラシ」は、表面に一端が付着したポリマーの層を指す。ポリマーは互いに近接しており、それ自体の環境を形成する層またはコーティングを形成する。ブラシは、ぶら下がっている鎖が溶剤に浸されているときは溶媒状態であり得るか、またはぶら下がっている鎖が使用可能な空間を完全に満たすときは溶融状態であり得る。さらに、ポリマー鎖自体が静電荷を帯びている場合、別々のクラスの高分子電解質ブラシがある。ブラシは、高密度のグラフト鎖を特徴とし得る。次いで限定された空間は、鎖の強力な拡張とシステムの異常な特性につながる。ブラシを使用して、コロイドを安定させ、表面間の摩擦を低減し、人工関節に潤滑を提供することができる。
「ポリヌクレオチド」または「オリゴヌクレオチド」は、核酸塩基が糖リン酸結合(糖−リン酸骨格)によって接続されている、核酸塩基ポリマーまたはオリゴマーを指す。例示的なポリおよびオリゴヌクレオチドとしては、2′−デオキシリボヌクレオチド(DNA)のポリマーおよびリボヌクレオチド(RNA)のポリマーが挙げられる。ポリヌクレオチドは、完全にリボヌクレオチド、完全に2′−デオキシリボヌクレオチド、またはそれらの組み合わせから構成され得る。「核酸」は、「ポリヌクレオチド」および「オリゴヌクレオチド」を包含し、ヌクレオチドモノマーの一本鎖および二本鎖ポリマーを含む。
「ポリヌクレオチド類似体」または「オリゴヌクレオチド類似体」は、核酸塩基が1つ以上の糖リン酸類似体を含む糖リン酸骨格によって接続されている核酸塩基ポリマーまたはオリゴマーを指す。典型的な糖リン酸類似体としては、糖アルキルホスホネート、糖ホスホルアミダイト、糖アルキル−または置換アルキルホスホトリエステル、糖ホスホロチオエート、糖ホスホロジチオエート、糖リン酸、および糖が2′−デオキシリボースまたはリボース以外の糖リン酸類似体を含み、核酸塩基ポリマーは、米国特許第6,013,785号および米国特許第5,696,253号に記載されているものなどの、正電荷糖−グアニジル相互結合を有する。
本明細書で使用されるとき、「細孔」(代替として本明細書では「ナノポア」と称される)または「チャネル」(代替として本明細書では「ナノポア」もしくは「ナノチャネル」と称される)は、膜/層内のオリフィス、ギャップ、導管、または溝を指し、ここで細孔またはチャネルは、一度に(例えば、一連のように1つずつ)単一分子(例えば、タグ)の通過または分析を可能にするのに十分な寸法のものである。
本明細書で使用される「受容体」は、内因性化学シグナルを認識し応答するタンパク質分子を指す。そのような内因性化学シグナルが受容体に結合すると、それらは何らかの形態の細胞/組織応答を引き起こす。受容体の例としては、神経受容体、ホルモン受容体、栄養受容体、および細胞表面受容体が挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「スペーサ」は、特異的結合メンバーからの切断可能な基を拡張するか、または結合メンバーと支持体との間に結合を提供するか、またはその光切断可能な部分から標識/タグを拡張する、化学部分を指す。いくつかの実施形態では、特異的結合メンバーから配列を最適に遠ざけるために、ポリペプチドまたはヌクレオチドベースのタグまたは標識のN末端またはC末端に1つ以上のスペーサを含めることができる。スペーサとしては、6−アミノカプロン酸;6−アミノヘキサン酸;1,3−ジアミノプロパン;1,3−ジアミノエタン;1〜5個のアミノ酸のポリエチレングリコール(PEG)ポリマー基、短いアミノ酸配列、およびポリグリシン配列などが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、スペーサは、ニトロベンジル基、ジチオエチルアミノ、6炭素スペーサ、12炭素スペーサ、または3−(9−((3−カルボキシプロピル)(トシル)カルバモイル)アクリジン−10−イウム−10−イル)プロパン−1−スルホネートである。
本明細書で互換的に使用される「特異的結合パートナー」または「特異的結合メンバー」は、他の分子の実質的に少ない認識と比較して、他の分子を特異的に認識する2つ以上の異なる分子のうちの1つを指す。2つの異なる分子のうちの1つは、表面上またはキャビティ内に、他の分子の特定の空間的および極性の構成と特異的に結合し、それによって相補的であると定義される領域を有する。分子は特異的結合対のメンバーであり得る。例えば、特異的結合メンバーは、受容体などのタンパク質、酵素、および抗体を含み得るが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、「タグ」または「タグ分子」の両方は、ナノポアを通してまたは横切って転位し、試料中の検体のレベルの指標を提供する分子(例えば、第2の結合メンバーまたは標的検体から解離したアプタマーから切断される)を指す。これらの用語は、単一のタグ分子または複数の同じタグ分子を指す。同様に、「タグ」は、別途特定されない限り、1つまたは1つ以上のタグを指す。
本明細書で使用される場合、「閾値」は、それを超えると取得データが「シグナル」と見なされ、それを下回ると取得データが「ノイズ」と見なされる、経験的に決定された主観的カットオフレベルを指す。デジタルシグナルをカウントするための閾値の使用は、図29に示されている。CUSUM(累積合計アルゴリズム)に基づくコンピュータプログラムを用いて、取得したデータを処理し、ユーザからの閾値入力に基づいて事象を検出する。ユーザ間の変動は、可能な限り多くの事象を検出し、続いて特定の目的のために後にデータをフィルタリングすることによって回避される。例えば、この図からわかるように、設定された閾値を超えて検出された事象は、シグナルとしてカウントされる事象の集団に影響を与える。「緩い」閾値では、より少数の事象がシグナルとしてカウントされる。「厳しい」閾値では、より多数の事象がシグナルとしてカウントされる。閾値を緩くまたは厳しく設定することは、アッセイに対する所望の感度または特異性、および所与の評価において偽陽性または偽陰性が好ましいかどうかに基づく主観的選択である。DNA転位からの電流遮断サインは、1.2nAであると計算され、これは電流の変化をDNAの直径およびナノポア膜の厚さと関連付ける実験式に基づいていた(H.Kwok,et al.,PLoS ONE 9(3),392880,2014)。
本明細書で使用される場合、ナノポアを「通るまたは横切る」(例えば、ナノ粒子、タグ、タグ分子、または他の)移動への言及は、代替として、通してまたは横切ること、言い換えれば、ナノポアの一方から他方へ、例えば、シス側からトランス側へ、またはその逆を意味する。
本明細書で使用される「トレーサ」は、タグまたは標識に接合した検体または検体断片を指し、タグまたは標識に接合した検体は、その検体に特異的な抗体上の部位について検体と効果的に競合し得る。例えば、トレーサは、検体または検体の類似体、例えばシクロスポリンまたはその類似体ISA247、ビタミンDおよびその類似体、性ホルモンおよびそれらの類似体等であってもよい。
本明細書で使用される場合、「転位事象」は、タグが層またはナノポアを通ってまたは横切って(例えば、シス側からトランス側へ、またはその逆)転位する事象を指す。
別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、当業者に一般に理解されるものと同じ意味を有する。矛盾がある場合は、定義を含む本文書が優先するものとする。本明細書に記載されるものと同様または同等の方法および材料はまた、本発明の実施または試験において使用することができるが、好ましい方法および材料を以下で説明する。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許、および他の参照文献は、それらの刊行物が引用されるものに関連して方法および/または材料を開示し、説明するために、参照によりそれら全体が組み込まれる。本明細書に開示された材料、方法、および実施例は、単に例示的であり、限定的であることを意図しない。
2.検体分析のための方法
検体分析のための方法が本明細書に提供される。この方法は、単一分子のカウントを必要とし得る。ある特定の実施形態では、検体分析のための方法は、試料中に存在する検体を評価することを必要とし得る。ある特定の実施形態では、評価は、試料中の検体の存在および/または濃度を決定するために使用され得る。ある特定の実施形態では、方法はまた、試料中に存在する複数の異なる検体の存在および/または濃度を決定するためにも使用され得る。
本明細書に提供されるのは、生物学的試料中に存在する検体を測定または検出するための方法である。この方法は、試料を第1の結合メンバーと接触させることであって、第1の結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、第1の結合メンバーが、検体に特異的に結合する、接触させることと、検体を第2の結合メンバーと接触させることであって、第2の結合メンバーが、検体に特異的に結合し、第2の結合メンバーが、それに付着した切断可能なタグを含む、接触させることと、第1の結合メンバーに結合した検体に結合していない第2の結合メンバーを除去することと、第1の結合メンバーに結合した検体に結合している第2の結合メンバーに付着したタグを切断することと、切断されたタグを層内の1つ以上のナノポアを通してまたはそれを横切って転位させることと、層を通って転位するタグを検出または測定することと、層を通って転位するタグを評価することと、を含み、層を通って転位するタグの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するタグを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する。いくつかの実施形態では、層を通って転位するタグを測定することが評価され、層を通って転位するタグの数が、試料中に存在する検体の量を測定する。いくつかの実施形態では、層を通って転位するタグを検出することが評価され、層を通って転位するタグを検出することは、検体が試料中に存在することを検出する。
本明細書に提供されるのは、生物学的試料中に存在する検体を測定または検出するための方法である。この方法は、試料を第1の結合メンバーと接触させることであって、第1の結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、第1の結合メンバーが、検体に特異的に結合する、接触させることと、検体を第2の結合メンバーと接触させることであって、第2の結合メンバーが、検体に特異的に結合し、第2の結合メンバーが、アプタマーを含む、接触させることと、固体基質に結合した検体に結合していないアプタマーを除去することと、検体に結合したアプタマーを解離させ、解離したアプタマーを層内の1つ以上のナノポアを通してまたはそれを横切って転位させることと、層を通って転位するアプタマーを評価することと、を含み、層を通って転位するアプタマーの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するアプタマーを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する。いくつかの実施形態では、層を通って転位するアプタマーを測定することが評価され、層を通って転位するアプタマーの数は、試料中に存在する検体の量を測定する。いくつかの実施形態では、層を通って転位するアプタマーを検出することが評価され、層を通って転位するアプタマーを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する。
いくつかの実施形態では、層を通って転位するアプタマーなどの各タグは、転位事象である。転位事象の数を測定することは、試料中に存在する検体の量を測定する。いくつかの実施形態では、試料中に存在する検体の量は、設定された期間中の転位事象の数をカウントし、転位事象の数を対照と相関させることによって決定することができる。標準曲線は、設定された期間中に検体の対照濃度について転位事象の数を測定することによって決定することができる。いくつかの実施形態では、試料中に存在する検体の量は、設定された数の転位事象が起こるための時間量を測定し、対照と相関させることによって決定され得る。標準曲線は、対照濃度の検体について、設定された数の転位事象が起こるのにかかる時間を測定することによって決定することができる。いくつかの実施形態では、試料中に存在する検体の量は、転位事象が起こる平均時間間隔を測定し、対照と相関させることによって決定することができる。標準曲線は、対照濃度の検体について、転位事象が起こる平均時間間隔を測定することによって決定することができる。いくつかの実施形態では、対照は、較正曲線、標準付加、またはデジタルポリメラーゼ連鎖反応を含む参照標準であり得る。
例示的な場合において、この方法は、試料を第1の結合メンバー(「結合メンバー」、あるいは「特異的結合メンバー」とも称され、下記セクションc)に記載される)と接触させることであって、第1の結合メンバーが、固体支持体上で固定され、第1の結合メンバーが、検体に特異的に結合する、接触させることと、検体を第2の結合メンバーと接触させることであって、第2の結合メンバーが、検体に特異的に結合し、第2の結合メンバーが、それに付着した切断可能なタグ(本明細書に定義され、下記セクションd)に記載される「タグ」)を含み、第1の結合メンバーに結合した検体に結合していない第2の結合メンバーを除去することと、第1の結合メンバーに結合した検体に結合した第2の結合メンバーに付着したタグを切断することと、層内のナノポアを通してタグを転位させることと、層を通って転位するタグの数を決定することと、層を通って転位するタグの数に基づいて試料中の検体の濃度を決定することと、を含み得る。ある特定の実施形態では、検体の濃度は、単位時間当たりに層を通って転位するタグの数をカウントすることによって決定され得る。他の実施形態では、検体の濃度は、層を通って転位するタグの数が閾値に達する時間を決定することによって決定されてもよい。
試料は、目的の検体を含有する、または含有することが疑われる任意の試験試料であり得る。本明細書で使用される場合、「検体」、「標的検体」、「目的の検体」は互換的に使用され、本明細書に開示される方法およびデバイスにおいて測定される検体を指す。目的の検体は、以下でさらに説明される。
本明細書で使用される「接触する」およびその文法上の等価物は、結合メンバーが試料中の目的の検体と十分に接近するようにして、結合メンバーに特異的な目的の検体が試料中に存在する場合に結合相互作用が起こるような任意のタイプの組み合わせ作用を指す。接触は、試料を結合メンバーと組み合わせること、結合メンバーを検体に近接して導入することによって標的検体を結合メンバーに曝露すること等を含む、様々な異なる方法で達成することができる。
ある特定の場合において、第1の結合メンバーは、固体支持体上に固定化され得る。本明細書中で使用される場合、「固定化された」とは、第1の結合メンバーと固体支持体の表面との安定した会合を指す。「安定した会合」とは、例えば生理的条件下で、会合の平均半減期が1日以上である2つの実態間の物理的会合を意味する。ある特定の態様では、2つの実体間の物理的関連は、4℃のPBS中で2日以上、1週間以上、1ヶ月以上、6ヶ月以上を含めて、例えば1年以上の平均半減期を有する。ある特定の実施形態によれば、安定した会合は、2つの実体間の共有結合、2つの実体間の非共有結合(例えば、イオンもしくは金属結合)、または他の形態の化学誘引、例えば水素結合、ファン・デル・ワールス力等から生じる。
結合試薬が固定化されている表面を有する固体支持体は、マイクロ流体チップの表面、チャンバの内面、ビーズの外面(本明細書で定義される)、または多孔性ビーズの内面および/もしくは外面などの平面もしくは非平面構造の任意の都合のよい表面であり得る。例えば、第1の結合メンバーは、例えば、ラテックス、アガロース、セファロース、ストレプトアビジン、トシル活性化、エポキシ、ポリスチレン、アミノビーズ、アミンビーズ、カルボキシルビーズ等のビーズに共有結合または非共有結合され得る。ある特定の実施形態では、ビーズは、粒子、例えば微粒子であり得る。いくつかの実施形態では、微粒子は、約0.1nm〜約10ミクロン、約50nm〜約5ミクロン、約100nm〜約1ミクロン、約0.1nm〜約700nm、約500nm〜約10ミクロン、約500nm〜約5ミクロン、約500nm〜約3ミクロン、約100nm〜700nm、または約500nm〜700nmであり得る。例えば、微粒子は、約4〜6ミクロン、約2〜3ミクロン、または約0.5〜1.5ミクロンであり得る。約500nm未満の粒子は、ナノ粒子と見なされる場合がある。したがって、微粒子は、任意選択で、約0.1nm〜約500nm、約10nm〜約500nm、約50nm〜約500nm、約100nm〜約500nm、約100nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約350nm、約400nm、約450nm、または約500nmであり得る。
ある特定の実施形態では、ビーズは、磁性ビーズまたは磁性粒子であり得る。磁性ビーズ/粒子は、強磁性、フェリ磁性、常磁性、超常磁性、または磁性流体であり得る。例示的な強磁性材料としては、Fe、Co、Ni、Gd、Dy、CrO2、MnAs、MnBi、EuO、NiO/Feが挙げられる。フェリ磁性材料の例としては、NiFe2O4、CoFe2O4、Fe3O4(またはFeO.Fe2O3)が挙げられる。ビーズは、磁性であり、1つ以上の非磁性層によって取り囲まれている中実コア部分を有することができる。あるいは、磁性部分は、非磁性コアの周囲の層であり得る。第1の結合メンバーが固定化されている固体支持体は、乾燥形態または液体で貯蔵されてもよい。磁性ビーズは、第1の結合メンバーが固定化されている磁性ビーズと試料とを接触させる前または後に磁界に曝すことができる。
接触ステップの後、試料および第1の結合メンバーを、結合メンバーと検体との間の結合相互作用が起こることを可能にするのに十分な期間にわたってインキュベートすることができる。さらに、インキュベーションは、特異的結合相互作用を促進する結合緩衝液中であり得る。第1の結合メンバーおよび/または第2の結合メンバーの結合親和性および/または特異性は、結合緩衝液を変えることによってアッセイにおいて操作または変更することができる。いくつかの実施形態では、結合親和性および/または特異性は、結合緩衝液を変えることによって増加させることができる。いくつかの実施形態では、結合親和性および/または特異性は、結合緩衝液を変えることによって減少させることができる。
第1の結合メンバーおよび/または第2の結合メンバーの結合親和性および/または特異性は、以下に記載される開示された方法およびデバイスを使用して測定され得る。いくつかの実施形態では、1アリコートの試料を、一組の条件を使用してアッセイし、異なる組の条件を使用してアッセイされた別のアリコートの試料と比較し、それによって結合親和性および/または特異性に対する条件の影響を決定する。例えば、条件を変更または改変することは、試料から標的検体を除去すること、結合について標的検体またはリガンドと競合する分子を付加すること、およびpH、塩濃度、または温度を変更することのうちの1つ以上であり得る。追加としてまたは代替として、期間は変数であり得、条件を変更することは、検出方法を再度実行する前にその期間を待つことを含み得る。
いくつかの実施形態では、タグまたはアプタマーがナノポアデバイスの細孔を通過した後、例えば、測定結果を確認するための感染症アッセイに関する確認アッセイにおいて、タグまたはアプタマーが再び細孔を通過して再測定または再検出され得るように、タグまたはアプタマーの移動方向を逆にするようにデバイスを再構成することができる。
結合緩衝液は、アルブミン(例えば、BSA)、非イオン性界面活性剤(Tween−20、Triton X−100)、および/またはプロテアーゼ阻害剤(例えば、PMSF)などの抗原−抗体結合緩衝液について標準的な分子を含み得る。ある特定の場合において、結合緩衝液は、試料を添加する前または後に、マイクロ流体チップ、チャンバ等に添加され得る。ある特定の場合において、第1の結合メンバーは、試料と接触する前に結合緩衝液中に存在してもよい。結合メンバーと検体との間の結合相互作用が生じるための時間の長さは、経験的に決定することができ、結合メンバーと検体との間の結合親和性および結合能に依存し得る。ある特定の実施形態では、接触またはインキュベーションは、5秒〜1時間、例えば10秒〜30分、または1分〜15分、または5分〜10分、例えば10秒、15秒、30秒、1分、5分、10分、15分、30分、45分、1時間、または2時間の期間であり得る。結合相互作用に関する他の条件、例えば温度、塩濃度もまた経験的に決定され得るか、または製造業者の指示に基づき得る。例えば、接触は、室温(21℃〜28℃、例えば、23℃〜25℃)、37℃、または4℃で実行され得る。ある特定の実施形態では、試料と第1の結合メンバーとの任意の混合は、接触ステップ中に実行されてもよい。
固定化された第1の結合メンバーと検体との間の複合体形成に続いて、未結合の検体は、試料と共に第1の結合メンバーの近傍から除去され得るが、第1の結合メンバーおよび検体の複合体は、固体支持体との会合に起因して保持され得る。任意選択で、固体支持体を洗浄緩衝液と接触させて、固体支持体に非特異的に結合したいかなる分子も除去することができる。
第1の接触ステップ、ならびに任意の試料の除去および/または任意の洗浄ステップの後、第1の結合メンバーおよび検体の複合体を第2の結合メンバーと接触させることができ、それにより検体が2つの結合メンバーによって結合されているサンドイッチ複合体の形成につながる。第2のメンバーと第1の結合メンバー−検体の複合体との任意の混合は、第2の接触ステップ中に実行されてもよい。いくつかの実施形態では、表面に対する検体分子の固定化は、表面から検体分子を除去することを懸念することなく、溶液からいかなる超過の第2の結合メンバーも除去するのを助け得る。いくつかの実施形態では、第2の結合メンバーは、それに付着した切断可能なタグなどのタグを含むことができる。
上記のように、第2の接触ステップは、検体と第2の結合メンバーとの間の結合相互作用に十分な条件で実行され得る。第2の接触ステップに続いて、未結合の第2結合メンバーを除去し、続いて任意の洗浄ステップを行ってもよい。任意の未結合の第2の結合メンバーは、液滴作動、電気泳動、エレクトロウェッティング、誘電泳動、静電作動、電界媒介、電極媒介、毛細管力、クロマトグラフィー、遠心分離、または吸引などの好適な手段によって、第1の結合メンバー−検体−第2の結合メンバーの複合体から分離され得る。第1の結合メンバー−検体−第2の結合メンバーの複合体の近傍から未結合の第2の結合メンバーを除去すると、第1の結合メンバー−検体−第2の結合メンバーの複合体中に存在する第2の結合メンバーに付着したタグは、好適な手段によって分離され得る。いくつかの実施形態では、タグは、未結合試薬の除去後に残る複合体から切断または解離される。例えば、タグは、切断可能なリンカー(以下のセクションf)に記載される「切断可能なリンカー」)を介して第2の結合メンバーに付着され得る。第1の結合メンバー−検体−第2の結合メンバーの複合体は、切断可能なリンカーの切断を媒介する切断剤に曝露されてもよい。
ある特定の実施形態では、第1の結合メンバー−検体−第2の結合メンバーの複合体からのタグの分離は、複合体の破壊をもたらさず、複合体からタグのみの遊離をもたらす条件下で実行される。他の場合では、第1の結合メンバー−検体−第2の結合メンバーの複合体からのタグの分離は、複合体の破壊をもたらし得る条件下で実行され、タグ、ならびに第2の結合メンバー、検体、第1の結合メンバーの、複合体からの遊離をもたらす。ある特定の実施形態では、タグをカウントするために使用されるナノポアのサイズは、第2の結合メンバー、検体、第1の結合メンバーがナノポアを通って転位するのを防止し得る。他の実施形態では、第2の結合メンバー、検体、第1の結合メンバーの複合体が固体支持体上に保持される場合、ナノポアは、第2の結合メンバー、検体、および第1の結合メンバーを排除するようにサイズ決定されないことがある。
分離ステップは、電界の影響下で(以下のセクションf)に記載される)ナノポアまたはナノポア層を通してまたは横切って転位させることができる遊離タグの生成をもたらす。ある特定の場合において、切断ステップは、第1の結合メンバー−検体−第2の結合メンバーの複合体中の第2の結合メンバーの各々に付着した実質的に全てのタグ分子(複数可)の分離をもたらし得る。タグ分子の数は、試料中の検体の濃度に比例する複合体中の検体分子の数に相関し得る。ある特定の実施形態では、カウントされたタグと検体濃度との間の相関は、直接的であり得る(より多いタグ分子の数は、より高い検体濃度に関連する)。(本明細書で定義されるような)トレーサなどのタグ付き競合物またはタグ付き検体が、試料と組み合わされ、このタグ付き競合物またはタグ付き検体が、第1の結合メンバーへの結合に関して試料中の検体と競合する試料と組み合わされる実施形態では、カウントされたタグと検体濃度との間の相関は逆でもよい(より少ないタグ分子の数は、より高い検体濃度に関連する)。タグ分子の数と検体濃度との間の相関は、直接的であれ逆であれ、線形または対数的であり得る。したがって、ナノポアを通って転位するタグ分子の数を使用して、試料中の検体濃度を決定することができる。ある特定の実施形態では、検体の濃度は、単位時間当たりに層を通って転位するタグの数をカウントすることによって決定され得る。他の実施形態では、検体の濃度は、層を通って転位するタグの数が閾値に達する時間を決定することによって決定されてもよい。ある特定の実施形態では、ナノポアを通ってまたは横切って転位するタグ分子の数は、単位時間当たりのナノポアでの電流遮断の頻度によって決定され得る。シグナル検出は、以下のセクションg)でさらに記載される。以下のセクションd)に記載されるように、タグ分子は、ナノ粒子またはナノビーズ(本明細書に定義される「ナノ粒子」および「ナノビーズ」)であり得る。
第2の結合メンバーに組み込まれたタグの数(すなわち、タグ/第2の結合メンバー接合体中のタグの数)は、検体に関して規定の化学量論を提供する。ある特定の実施形態では、タグは、各第2の結合メンバーに付着した一定数のタグ(複数可)を生じる手順を使用して、第2の結合メンバーに付着してもよい。タグの数は、カウントの速度に基づいて最適化することができる。カウントレートは、濃度に依存するため、結合メンバーにより多くのタグを含めることによって、より速い読み取り速度を得ることができる。タグの数は、タグ組み込みの化学量論、例えば1:1または1:4の組み込み速度に基づいて最適化することができる。いくつかの実施形態では、1:5の組み込み速度である。例えば、1つの第2の結合メンバーは、それに付着した1個のタグ分子、2個のタグ分子、3個のタグ分子、4個のタグ分子、または最大10個のタグ分子を有し得る。いくつかの実施形態では、1つの第2の結合メンバーは、それに付着した5個のタグ分子を有し得る。タグを第2の結合メンバー(例えば、ペプチド、ポリペプチド、核酸)に接合するための多数の接合方法が知られており、それらのうちのいずれかを使用して、本方法およびデバイスで使用するためのタグ付きの第2の結合メンバーを調製することができる。例えば、検体特異的抗体へのタグの部位特異的接合は、チオール−マレイミド化学、アミン−スクシンイミジル化学、THIOBRIDGE(商標)技術を使用し、CまたはN末端ヘキサヒスチジンタグを有する抗体、アルデヒドを有する抗体、銅を含まないクリック反応等を使用して実行され得る。
いくつかの実施形態では、方法は、転位事象の数を決定することによって検体の量を測定することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上の転位事象(複数可)は、特異的結合メンバーへのタグ組み込みの化学量論に依存して、結合メンバーと検体との間の結合事象に対応し得る。例えば、結合メンバー当たり1つのタグが組み込まれている場合、1つの転位事象が、結合メンバーの検体への結合を表し、結合メンバー当たり2つのタグが組み込まれている場合、2つの転位事象が、結合メンバーの検体への結合を表し、結合メンバー当たり3つのタグが組み込まれている場合、3つの転位事象が、結合メンバーの検体への結合を表す等である。
別の実施形態では、第2の結合メンバーは、検体に特異的に結合するアプタマーであり得る。この実施形態では、タグは、アプタマーに付着していなくてもよい。むしろアプタマーは、それがナノポアを通ってまたは横切って転位するときにカウントされ、すなわち、アプタマーは、第2の結合メンバーであることおよびタグであることの二重の機能を果たす。これらの実施形態では、第1の結合メンバー−検体−アプタマー複合体の複合体中のアプタマーは、任意の好適な方法によって複合体から解離させることができる。例えば、ナノポアを通るまたはナノポアを横切る転位の前に、第1の結合メンバー−検体の複合体に結合したアプタマーは、変性ステップを介して解離され得る。変性ステップは、カオトロピック試薬、高塩溶液、酸性試薬、塩基性試薬、溶媒、または加熱ステップへの曝露を含み得る。次いで、アプタマーは、ナノポアを通ってまたは横切って転位し得、ナノポアを通ってまたは横切って転位するアプタマー分子の数を使用して、試料中の検体の濃度を決定することができる。
本明細書に記載されるように、タグまたはアプタマーは核酸を含み得る。ある特定の実施形態では、ナノポアを使用するカウントステップは、タグ/アプタマー中に存在する核酸配列の少なくとも一部の同一性を決定することによって、タグまたはアプタマーの同一性を決定することを含まない。例えば、カウントステップは、タグ/アプタマーの配列を決定することを含まなくてもよい。他の実施形態では、タグ/アプタマーは配列決定されなくてもよいが、タグ/アプタマーの同一性は、そのサイズ、立体配座、電荷、電荷量等に起因して、タグ/アプタマーに関連する識別可能なシグナルに基づいて1つのタグ/アプタマーが別のタグ/アプタマーから区別され得る程度で決定され得る。タグ/アプタマーの同定は、試料中の複数の異なる検体、例えば試料中の2つ、3つ、4つ、またはそれ以上の異なる検体の同時分析を含む方法において有用であり得る。
ある特定の実施形態では、単一の試料中の複数の検体の同時分析は、一対の第1および第2の結合メンバーが、試料中の単一の検体に特異的である、複数の異なる第1および第2の結合メンバーを使用することによって行われ得る。これらの実施形態では、単一の検体に特異的な第1の結合メンバーと第2の結合メンバーの第1の対の第2の結合メンバーに関連するタグは、異なる検体に特異的な第1の結合メンバーと第2の結合メンバーの第2の対の第2の結合メンバーに関連するタグから区別可能であり得る。上記のように、第1のタグは、寸法、電荷等の違いに基づいて、第2のタグから区別可能であり得る。
いくつかの実施形態では、実質的に正確に決定することができる流体試料中の検体の濃度は、約5000fM(フェムトモル)未満、約3000fM未満、約2000fM未満、約1000fM未満、約500fM、約300fM未満、約200fM未満、約100fM未満、約50fM未満、約25fM未満、約10fM未満、約5fM未満、約2fM未満約1fM未満、約500aM未満(アトモル)、約100aM未満、約10aM未満、約5aM未満、約1aM未満、約0.1aM未満、約500zM(ゼプトモル)未満、約100zM未満、約10zM未満、約5zM未満、約1zM未満、約0.1zM未満、またはそれ以下である。
いくつかの場合において、検出限界(例えば、溶液中で決定され得る検体の最低濃度)は、約100fM、約50fM、約25fM、約10fM、約5fM、約2fM、約1fM、約500aM(アトモル)、約100aM、約50aM、約10aM、約5aM、約1aM、約0.1μM、約500μM(ゼプトモル)、約100zM、約50zM、約10zM、約5zM、約1zM、約0.1zM、またはそれ以下である。いくつかの実施形態では、実質的に正確に決定することができる流体試料中の検体の濃度は、約5000fM〜約0.1fM、約3000fM〜約0.1fM、約1000fM〜約0.1fM、約1000fM〜約0.1μM、約100fM〜約1zM、約100aM〜約0.1zM、またはそれ以下である。
検出上限(例えば、溶液中で決定され得る検体の最高濃度)は、少なくとも約100fM、少なくとも約1000fM、少なくとも約10pM(ピコモル)、少なくとも約100pM、少なくとも約100pM、少なくとも約10nM(ナノモル)、少なくとも約100nM、少なくとも約1000nM、少なくとも約10μM、少なくとも約100μM、少なくとも約1000μM、少なくとも約10mM、少なくとも約100mM、少なくとも約1000mM、またはそれ以上である。
いくつかの場合において、試料中の検体の存在および/または濃度は、通常約1時間、例えば45分、30分、15分、10分、5分、1分、または30秒未満で迅速に検出され得る。
ある特定の実施形態では、本明細書に記載の方法のうちの少なくともいくつかのステップは、以下のセクション3に記載されるデバイスなどのデジタルマイクロ流体デバイス上で実行され得る。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、ナノポアデバイスと共にデジタルマイクロ流体デバイスを使用して実行される。例えば、デジタルマイクロ流体デバイスおよびナノポアデバイスは、別々のデバイスであり得、切断されたタグ(複数可)または解離したアプタマー(複数可)を含む液滴は、マイクロ流体デバイス中で生成され得、ナノポアデバイスに輸送され得る。ある特定の実施形態では、切断されたタグ(複数可)または解離したアプタマー(複数可)を含む液滴は、マイクロ流体デバイスから吸引され得、ユーザまたはロボットによって操作されるピペットを使用して、ナノポアデバイスに輸送され得る。
ある特定の実施形態では、本開示の方法は、デジタルマイクロ流体モジュールがナノポアモジュールと集積されているデバイス、例えば下記のデバイスを使用して実行される。ある特定の実施形態では、デジタルマイクロ流体モジュールおよびナノポアモジュールは、可逆的に集積されてもよい。例えば、2つのモジュールを物理的に組み合わせて集積デバイスを形成し、次いでそのデバイスを個々のモジュールに分離することができる。ある特定の実施形態では、本開示の方法は、内蔵ナノポアモジュールを有するマイクロ流体モジュールを含む使い捨てカートリッジを使用して実行される。本明細書で提供される方法を行うために使用されるデバイスの例示的な実施形態は、次のセクションでさらに説明される。
ある特定の場合において、ナノポアモジュールと(可逆的にまたは完全に)集積されたデバイスのマイクロ流体デバイスまたはマイクロ流体モジュールは、間隔を空けて配置された第1の基板および第2の基板を含み得、第1の基板は、ギャップ/空間によって第2の基板から分離され、少なくとも試料を第1の結合メンバーと接触させるステップ、検体を第2の結合メンバーと接触させるステップ、第1の結合メンバーに結合した検体に結合していない第2の結合メンバーを除去するステップ、および第2の結合メンバーに付着したタグ(第1の結合メンバーに結合した検体に結合したままである)を切断するステップは、第1の基板と第2の基板との間の空間/ギャップで実行される。
本方法の例示的な実施形態は、試料の液滴を生成すること、および試料の液滴を第1の結合メンバーを含む液滴と混合して単一の液滴を生成することを含む。第1の結合メンバーは、ビーズ(例えば、磁気ビーズ)などの固体基材上に固定化されてもよい。単一の液滴は、試料液滴中に存在する検体への第1の結合メンバーの結合を可能にするのに十分な時間インキュベートされ得る。任意選択で、単一の液滴を撹拌して、試料と第1の結合メンバーとの混合を容易にすることができる。混合は、単一の液滴を前後に移動させること、単一の液滴を複数の電極上で移動させること、液滴を分割し、次いで液滴を合体させること、またはSAWを使用すること等によって達成され得る。次に、液滴を移動させて第2の結合メンバーを含む液滴と交換しながら、単一の液滴に磁力をかけてビーズをデバイス内の位置に保持することができる。第2の結合メンバーを添加する前に、磁力を使用してビーズが保持されている位置に洗浄緩衝液の液滴を移動させることによって、任意選択の洗浄ステップを行うことができる。第2の結合メンバーが第1の結合メンバーに結合した検体に結合するのに十分な期間の後、ビーズが第1の位置に保持されている間に第2の結合メンバーを含有する液滴を移動させることができる。ビーズは、洗浄緩衝液の液滴を使用して洗浄し、続いてビーズを切断試薬を含有する液滴と接触させて、第2の結合メンバーに付着したタグを切断することができる。タグが光切断可能なリンカーを介して第2の結合メンバーに付着している実施形態では、ビーズを適切な波長の光に曝露してリンカーを切断することができる。ある特定の場合において、光切断可能なリンカーの切断前に、ビーズを緩衝液の液滴に曝露してもよい。任意選択で、未結合の第2の結合メンバーを除去する洗浄ステップの後、液滴を含有する緩衝液は、ビーズを被覆したままであり得、ビーズを第1の位置に保持する磁力を除去することができ、ビーズを含む緩衝液の液滴を、光切断が実行され得る第2の位置に移動させることができる。次いで、切断されたタグを含有する液滴を、ナノポアデバイスまたは集積デバイスのナノポアモジュール部分に移動させることができる。第2の結合メンバーとしてアプタマーを使用する実施形態では、未結合アプタマーを除去する洗浄ステップの後、液滴を含有する緩衝液は、ビーズを被覆したままであり得、ビーズを第1の位置に保持する磁力を除去することができ、ビーズを含む緩衝液の液滴を、アプタマーの解離が実行され得る第2の位置に移動させることができる。他の実施形態では、洗浄ステップの後、ビーズを、検体に結合したアプタマーを解離させるための試薬の液滴に曝露してもよい。磁石を使用してビーズを適所に保持しながら、解離したアプタマーを含有する液滴をナノポアに移動させることができる。解離したアプタマーを含有する液滴は、ナノポアデバイスまたは集積デバイスのナノポアモジュール部分に移動させることができる。
代替実施形態では、第1の結合メンバーは、ギャップ/空間内の位置で第1または第2の基板の表面に固定化されてもよい。試料を第1の結合メンバーと接触させるステップは、第1の結合メンバーが固定化されているギャップ/空間内の位置に試料の液滴を移動させることを含み得る。その後のステップは、磁気ビーズ上に固定化された第1の結合メンバーについて上述したものと実質的に同様であり得る。
切断/解離ステップの後、切断したタグ(複数可)/解離したアプタマー(複数可)を含有する液滴を、ナノポアデバイスまたは集積デバイスのナノポアモジュールに移動させることができる。上記のように、液滴(複数可)は、ピペットなどの液体転送システムを使用して移動させることができる。ある特定の場合において、マイクロ流体モジュールは、ナノポアモジュールに流体的に接続されてもよい。流体接続は、マイクロ流体モジュールをチャネルを介してナノポアモジュールに接続することによって、またはナノポアモジュールをマイクロ流体モジュール内に可逆的にまたは集積デバイスの製造プロセス中に配置することによって達成することができる。そのようなデバイスは、以下のセクションでさらに説明される。
上記の実施形態では、任意選択で、組み合わせた後、液滴を操作して(例えば、前後に動かす、円周方向に動かす、振動させる、分割/合体させる、SAWに曝露する等)、試料とアッセイ試薬、例えば第1の結合メンバー、第2の結合メンバー等との混合を促進する。
集積マイクロ流体ナノポアデバイス内の液滴の移動は、電力(例えば、エレクトロウェッティング、誘電泳動、電極媒介、光エレクトロウェッティング、電界媒介、および静電作動)、圧力、表面弾性波等を使用して実行され得る。液滴を移動させるために使用される力は、以下のセクションa)〜g)に記載されているデバイスの詳細に基づいて、またセクション3に記載される特定のデバイスについて決定されてもよい。
a)多重化
方法は、多重化アッセイにおいて試料中の1つ以上(または代替として2つ以上)の標的検体を検出するための1つ以上(または代替として2つ以上)の特異的結合メンバーを含み得る。1つ以上(または代替として2つ以上)の特異的結合メンバーの各々は、異なる標的検体に結合し、各特異的結合メンバーは、異なるタグおよび/またはアプタマーで標識される。例えば、第1の特異的結合メンバーは、第1の標的検体に結合し、第2の特異的結合メンバーは、第2の標的検体に結合し、第3の特異的結合メンバーは、第3の標的検体に結合する等であり、第1の特異的結合メンバーは、第1のタグおよび/またはアプタマーで標識され、第2の特異的結合メンバーは、第2のタグおよび/またはアプタマーで標識され、第3の特異的結合メンバーは、第3のタグおよび/またはアプタマーで標識される等である。いくつかの実施形態では、第1の状態は、第1の特異的結合メンバーがタグで標識される場合、第1のタグの切断もしくは遊離を引き起こすか、または第1の特異的結合メンバーがアプタマーで標識される場合、第1のアプタマーの解離もしくは遊離を引き起こし、第2の状態は、第2の特異的結合メンバーがタグで標識される場合、第2のタグの切断もしくは遊離を引き起こすか、または第2の特異的結合メンバーがアプタマーで標識される場合、第2のアプタマーの解離もしくは遊離を引き起こし、第3の状態は、第3の特異的結合メンバーがタグで標識される場合、第3のタグの切断もしくは遊離を引き起こすか、または第3の特異的結合メンバーがアプタマーで標識される場合、第3のアプタマーの解離もしくは遊離を引き起こす等である。いくつかの実施形態では、試料の状態は、アッセイの間の様々な時間で変更され得、第1のタグまたはアプタマー、第2のタグまたはアプタマー、第3のタグまたはアプタマー等の検出を可能にし、それによって1つ以上の(代替として2つ以上の)標的検体を検出することができる。いくつかの実施形態では、1つ以上(代替として2つ以上)の切断タグおよび/または解離アプタマーは、ナノポア内の滞留期間、電流インピーダンスの大きさ、またはそれらの組み合わせに基づいて、細孔を通して同時に検出される。
b)例示的な標的検体
当業者によって理解されるように、第1の結合メンバーおよび第2の結合メンバーによって特異的に結合され得る任意の検体は、本開示の方法およびデバイスを使用して検出され、任意選択で定量され得る。
いくつかの実施形態では、検体は、生体分子であり得る。生体分子の非限定的な例としては、タンパク質、脂質、および炭水化物などの高分子が挙げられる。ある特定の例において、検体は、ホルモン、抗体、成長因子、サイトカイン、酵素、受容体(例えば神経、ホルモン、栄養素、および細胞表面受容体)またはそれらのリガンド、癌マーカー(例えばPSA、TNF−α)、心筋梗塞のマーカー(例えば、トロポニン、クレアチンキナーゼ等)、毒素、薬物(例えば、中毒薬)、代謝剤(例えば、ビタミンを含む)等であり得る。タンパク質検体の非限定的な実施形態としては、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質断片、タンパク質複合体、融合タンパク質、組み換えタンパク質、リンタンパク質、糖タンパク質、リポタンパク質等が挙げられる。
ある特定の実施形態では、検体は、翻訳後修飾タンパク質(例えば、リン酸化、メチル化、グリコシル化タンパク質)であり得、第1または第2の結合メンバーは、翻訳後修飾に特異的な抗体であり得る。修飾タンパク質は、固体支持体上に固定化された第1の結合メンバーに結合してもよく、ここで第1の結合メンバーは、修飾タンパク質に結合するが、非修飾タンパク質には結合しない。他の実施形態では、第1の結合メンバーは、未修飾タンパク質および修飾タンパク質の両方に結合し得、第2の結合メンバーは、翻訳後修飾タンパク質に特異的であり得る。
いくつかの実施形態では、検体は、循環腫瘍細胞、病原性細菌、ウイルス(レトロウイルス、ヘルペスウイルス、アデノウイルス、レンチウイルスを含む)、フィロウイルス(エボラ)、肝炎ウイルス(例えば、A、B、C、D、およびE)、HPV等、胞子等であり得る。
本明細書に提示される方法によって分析され得る検体の非限定的な一覧には、Aβ42アミロイドβタンパク質、フェチュイン−A、タウ、セクレトグラニンII、プリオンタンパク質、アルファシヌクレイン、タウタンパク質、ニューロフィラメント軽鎖、パーキン、PTEN誘導推定上のキナーゼ1、DJ−1、ロイシンリッチリピートキナーゼ2、突然変異型ATP13A2、アポH、セルロプラスミン、ペルオキシソーム増殖因子活性化受容体γコアクチベータ−1α(PGC−1α)、トランスサイレチン、ビタミンD結合タンパク質、プロアポトーシスキナーゼR(PKR)およびそのリン酸化PKR(pPKR)、CXCL13、IL−12p40、CXCL13、IL−8、Dkk−3(***)、p14エンドカン断片、血清、ACE2、CD25に対する自己抗体、hTERT、CAI25(MUC16)、VeGF、sIL−2、オステオポンチン、ヒト精巣上体タンパク質4(HE4)、αフェトプロテイン、アルブミン、アルブミン尿、微量アルブミン尿、好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)、インターロイキン18(IL−18)、腎臓損傷分子−1(KIM−1)、肝臓脂肪酸結合タンパク質(L−FABP)、LMP1、BARF1、IL−8、癌胎児性抗原(CEA)、BRAF、CCNI、EGRF、FGF19、FRS2、GREB1、およびLZTS1、α−アミラーゼ、癌胎児性抗原、CA 125、IL8、チオレドキシン、β−2ミクログロブリンレベル−ウイルスの活性のモニタリング、腫瘍壊死因子−α受容体−ウイルスの活性のモニタリング、CA15−3、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体形成ホルモン(LH)、T細胞リンパ腫浸潤および転移1(TIAM1)、N−カドヘリン、EC39、アンフィレグリン、dUTPase、分泌ゲルゾリン(pGSN)、PSA(前立腺特異抗原)、チモシンβ15、インスリン、血漿C−ペプチド、グリコシル化ヘモグロビン(HBA1c)、C反応性タンパク質(CRP)、インターロイキン−6(IL−6)、ARHGDIB(Rho GDP解離阻害剤2)、CFL1(コフィリン−1)、PFN1(プロフィリン−1)、GSTP1(グルタチオンS−トランスフェラーゼP)、S100A11(タンパク質S100−A11)、PRDX6(ペルオキシレドキシン−6)、HSPE1(10kDa熱ショックタンパク質、ミトコンドリア)、LYZ(リゾチームC前駆体)、GPI(グルコース−6−リン酸イソメラーゼ)、HIST2H2AA(ヒストンH2Aタイプ2−A)、GAPDH(グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ)、HSPG2(基底膜特異的ヘパラン硫酸プロテオグリカンコアタンパク質前駆体)、LGALS3BP(ガレクチン−3−結合タンパク質前駆体)、CTSD(カテプシンD前駆体)、APOE(アポリポタンパク質E前駆体)、IQGAP1(Ras GTPase活性化様タンパク質IQGAP1)、CP(セルロプラスミン前駆体)、およびIGLC2(IGLC1タンパク質)、PCDGF/GP88、EGFR、HER2、MUC4、IGF−IR、p27(kip1)、Akt、HER3、HER4、PTEN、PIK3CA、SHIP、Grb2、Gab2、PDK−1(3−ホスホイノシチド依存性タンパク質キナーゼ1)、TSC1、TSC2、mTOR、MIG−6(ERBB受容体フィードバック阻害剤1)、S6K、src、KRAS、MEKマイトジェン活性化タンパク質キナーゼ1、cMYC、TOPO IIトポイソメラーゼ(DNA)IIα170kDa、FRAP1、NRG1、ESR1、ESR2、PGR、CDKN1B、MAP2K1、NEDD4−1、FOXO3A、PPP1R1B、PXN、ELA2、CTNNB1、AR、EPHB2、KLF6、ANXA7、NKX3−1、PITX2、MKI67、PHLPP、ADIPONE、(ADIPON)フィブリノーゲンα鎖(FGA)、レプチン(LEP)、高度グリコシル化最終産物特異的受容体(AGER、別名RAGE)、α−2−HS−糖タンパク質(AHSG)、アンジオゲニン(ANG)、CD14分子(CD14)、フェリチン(FTH1)、インスリン様成長因子結合タンパク質1(IGFBP1)、インターロイキン2受容体、α(IL2RA)、血管細胞接着分子1(VCAM1)およびフォンビルブランド因子(VWF)、ミエロペルオキシダーゼ(MPO)、IL1α、TNFα、核周囲抗好中球細胞質抗体(p−ANCA)、ラクトフェリン、カルプロテクチン、ウィルムス腫瘍−1タンパク質、アクアポリン−1、MLL3、AMBP、VDAC1、E.coliエンテロトキシン(熱不安定性外毒素、熱安定性エンテロトキシン)、インフルエンザHA抗原、破傷風毒素、ジフテリア毒素、ボツリヌス毒素、志賀毒素、志賀様毒素I、志賀様毒素II、クロストリジウム−ディフィシル毒素AおよびB等が含まれる。
対象の方法およびデバイスを使用して、環境試料、必要とする患者または被験体から得られた生物学的試料のような試料中で測定され得る核酸アプタマーの例示的な標的としては、乱用薬物(例えば、コカイン)、タンパク質バイオマーカー(ヌクレオリン、核因子−kB必須モジュレータ(NEMO)、CD−30、タンパク質チロシンキナーゼ7(PTK7)、血管内皮増殖因子(VEGF)、MUC1グリコフォーム、免疫グロブリンμ重鎖(IGHM)、免疫グロブリンE、αvβ3インテグリン、α−トロンビン、HIV gp120、NF−kB、E2F転写因子、HER3、プラスミノーゲンアクチベータ阻害因子、テネイシンC、CXCL12/SDF−1、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、胃癌細胞、HGC−27);細胞(非小細胞肺癌(NSCLC)、結腸直腸癌細胞(DLD−1)、H23肺腺癌細胞、Ramos細胞、T細胞急性リンパ芽球性白血病(T−ALL)細胞、CCRF−CEM、急性骨髄性白血病(AML)細胞(HL60)、小細胞肺癌(SCLC)細胞、NCIH69、ヒト膠芽腫細胞、U118−MG、PC−3細胞、HER−2過剰発現ヒト乳癌細胞、SK−BR−3、膵臓癌細胞株(Mia−PaCa−2)を含むが、これらに限定されない);および感染因子(Mycobacterium tuberculosis、Staphylococcus aureus、Shigella dysenteriae、Escherichia coli O157:H7、Campylobacter jejuni、Listeria monocytogenes、Pseudomonas aeruginosa、Salmonella O8、Salmonella enteritidisを含むが、これらに限定されない)が挙げられる。
対象の方法およびデバイスを使用して必要とする患者または被験体から得られた試料中で測定され得るタンパク質またはペプチドアプタマーの例示的な標的としては、HBVコアカプシドタンパク質、CDK2、E2F転写因子、チミジレートシンターゼ、Ras、EB1、および高度糖化最終産物受容体(RAGE)が挙げられるが、これらに限定されない。アプタマー、ならびにその使用および産生方法は、例えば、Shum et al.,J Cancer Ther.2013 4:872、Zhang et al.,Curr MedChem.2011;18:4185、Zhu et al.,Chem Commun(Camb).2012 48:10472、Crawford et al.,Brief Funct Genomic Proteomic.2003 2:72、Reverdatto et al.,PLoS One.2013 8:e65180において検討されている。
c)試料
本明細書で使用される場合、「試料」、「試験試料」、「生物学的試料」は、目的の検体を含有するかまたは含有することが疑われる流体試料を指す。試料は、任意の好適な供給源に由来し得る。いくつかの場合において、試料は、液体、流動性粒子状固体、または固体粒子の流体懸濁液を含み得る。いくつかの場合において、本明細書に記載の分析の前に試料を処理してもよい。例えば、試料は、分析前にその供給源から分離または精製することができるが、ある特定の実施形態では、検体を含有する未処理試料を直接アッセイすることができる。検体分子の供給源は、合成(例えば、実験室で産生された)、環境(例えば、空気、土壌、流体試料、例えば水道等)、動物、例えば哺乳動物、植物、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。特定の例では、検体の供給源は、ヒト身体物質(例えば、体液、血液、血清、血漿、尿、唾液、汗、痰、***、粘液、涙液、リンパ液、羊水、間質液、肺洗浄液、脳脊髄液、糞便、組織、臓器等)である。組織には、骨格筋組織、肝臓組織、肺組織、腎臓組織、心筋組織、脳組織、骨髄、子宮頸部組織、皮膚等が含まれ得るが、これらに限定されない。試料は、液体試料または固体試料の液体抽出物であり得る。ある特定の場合において、試料の供給源は、組織崩壊/細胞溶解によって可溶化され得る、生検試料などの器官または組織であり得る。
広範囲の体積の流体試料を分析することができる。いくつかの例示的な実施形態では、試料体積は、約0.5nL、約1nL、約3nL、約0.01μL、約0.1μL、約1μL、約5μL、約10μL、約50μL、約100μL、約1mL、約5mL、約10mL等であり得る。いくつかの場合において、流体試料の体積は、約0.01μL〜約10mL、約0.01μL〜約1mL、約0.01μL〜約100μL、約0.1μL〜約10μL、約1μL〜約100μL、約10μL〜約100μL、または約10μL〜約75μLである。
いくつかの場合において、流体試料は、アッセイに使用する前に希釈することができる。例えば、検体分子の供給源がヒト体液(例えば、血液、血清)である実施形態では、その流体を適切な溶媒(例えば、PBS緩衝液などの緩衝液)で希釈することができる。流体試料は、使用前に約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約10倍、約100倍、またはそれ以上に希釈することができる。
いくつかの場合において、試料は、分析前処理を受けてもよい。分析前処理は、非特異的タンパク質除去および/または効果的ではあるが安価に実施可能な混合機能などの追加の機能を提供し得る。前分析処理の一般的な方法としては、動電トラッピング、AC動電学、表面弾性波、等速電気泳動、誘電泳動、電気泳動、または当技術分野において知られている他の予備濃縮技法の使用を挙げることができる。いくつかの場合において、流体試料は、アッセイに使用する前に濃縮することができる。例えば、検体分子の供給源がヒト体液(例えば、血液、血清)である実施形態では、その流体は、沈殿、蒸発、濾過、遠心分離、またはそれらの組み合わせによって濃縮することができる。流体試料は、使用前に約1倍、約2倍、約3倍、約4倍、約5倍、約6倍、約10倍、約100倍、またはそれ以上に濃縮することができる。
ある特定の実施形態では、検体の測定前に、検体は増幅されない(すなわち、検体のコピー数は増加しない)。例えば、検体がDNAまたはRNAである場合、検体は、検体のコピー数を増加させるために複製されない。ある特定の場合において、検体は、タンパク質または小分子である。
d)特異的結合メンバー
当業者によって理解されるように、結合メンバーは、分析される検体によって決定されるであろう。多種多様な標的分子に対する結合メンバーが知られているか、または公知の技法を使用して容易に発見または開発することができる。例えば、標的検体がタンパク質である場合、結合メンバーは、タンパク質、特に抗体またはその断片(例えば、抗原結合断片(Fab)、Fab′断片、F(ab′)2断片、組み換え抗体、キメラ抗体、一本鎖Fvs(「scFv」)、一本鎖抗体、単一ドメイン抗体、例えばラクダ科の動物に由来する可変重鎖ドメイン(「VHH」、「VHH断片」としても知られる)(VHHおよびそれらを作製する方法は、Gottlin et al.,Journal of Biomolecular Screening,14:77−85(2009)に記載されている)、組み換えVHH単一ドメイン抗体、およびVNAR断片、ジスルフィド結合Fv(「sdFv」)、および抗イディオタイプ(「抗Id」)抗体、ならびに上記のうちのいずれかの機能的に活性なエピトープ結合断片、全長ポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体、抗体様断片等)、受容体タンパク質、タンパク質A、タンパク質C等の他のタンパク質を含み得る。検体が、ステロイド、ビリン、レチノイド、および脂質などの小分子である場合、第1および/または第2の結合メンバーは、足場タンパク質(例えば、リポカリン)または受容体であり得る。いくつかの場合において、タンパク質検体のための結合メンバーは、ペプチドであり得る。例えば、標的検体が酵素である場合、好適な結合メンバーは、酵素基質および/またはペプチド、小分子等であり得る酵素阻害剤を含み得る。いくつかの場合において、標的検体がリン酸化種である場合、結合メンバーは、リン酸結合剤を含み得る。例えば、リン酸結合剤は、米国特許第7,070,921号および米国特許出願第2006/0121544号に記載されているものなどの金属イオン親和性媒体を含むことができる。
ある特定の場合において、結合メンバーのうちの少なくとも1つは、アプタマー、例えば米国特許第5,270,163号、第5,475,096号、第5,567,588号、第5,595,877号、第5,637,459号、第5,683,867号、第5,705,337号に記載されているものであり得る。核酸アプタマー(例えば、一本鎖DNA分子または一本鎖RNA分子)は、事実上あらゆる標的分子を捕捉するために開発され得る。より低い結合親和性を有するアプタマーを選択することができるが、アプタマーは、典型的には非常に高い親和性で、非常に特異的な立体構造依存的様式で標的分子に結合する。アプタマーは、メチルまたはヒドロキシル基の存在または不在などの非常に小さい構造上の違いに基づいて標的検体分子を区別することができ、ある特定のアプタマーは、D−およびL−エナンチオマーとジアステレオマーとを区別することができる。アプタマーは、薬物、金属イオン、および有機染料、ペプチド、ビオチン、およびタンパク質を含む小分子標的に結合し得る。アプタマーは、ビオチン化、蛍光標識後、ならびにガラス表面および微小球に付着したときも機能的活性を保持することができる。
核酸アプタマーは、一本鎖オリゴデオキシヌクレオチド、オリゴリボヌクレオチド、または修飾オリゴデオキシヌクレオチドもしくはオリゴリボヌクレオチドであり得る、オリゴヌクレオチドである。「修飾された」は、共有結合的に修飾された塩基および/または糖を有するヌクレオチドを包含する。例えば、修飾ヌクレオチドには、3′位のヒドロキシル基以外および5′位のリン酸基以外の低分子量有機基に共有結合している糖を有するヌクレオチドが含まれる。したがって、修飾ヌクレオチドにはまた、2′置換糖、例えば2′−O−メチル−;2−O−アルキル;2−O−アリル;2′−S−アルキル;2′−S−アリル;2′−フルオロ−;2′−ハロ、または2−アジド−リボース、炭素環式糖類似体、α−アノマー糖;エピマー糖、例えばアラビノース、キシロースまたはリキソース、ピラノース糖、フラノース糖、およびセドヘプツロースが含まれ得る。いくつかの実施形態では、結合メンバーは、配列番号1〜11のうちのいずれか1つに記載のヌクレオチド配列を含む核酸を含む。
ペプチドアプタマーは、タンパク質相互作用を干渉するように設計され得る。ペプチドアプタマーは、可変ペプチドループが上に付着しているタンパク質足場に基づいてもよく、それによりアプタマーの立体配座を制限する。いくつかの場合において、ペプチドアプタマーの足場部分は、細菌チオレドキシンA(TrxA)に由来する。
標的分子が炭水化物である場合、(本明細書で定義される)潜在的に好適な捕捉成分は、例えば、抗体、レクチン、およびセレクチンを含む。当業者によって理解されるように、目的の標的分子と特異的に会合し得る任意の分子が、結合メンバーとして潜在的に使用され得る。
ある特定の実施形態について、好適な標的検体/結合メンバーの複合体としては、抗体/抗原、抗原/抗体、受容体/リガンド、リガンド/受容体、タンパク質/核酸、酵素/基質および/または阻害剤、炭水化物(糖タンパク質および糖脂質を含む)/レクチンおよび/またはセレクチン、タンパク質/タンパク質、タンパク質/小分子等を挙げることができるが、これらに限定されない。
特定の実施形態では、第1の結合メンバーは、結合を介して固体支持体に付着することができ、これは結合メンバーの支持体への付着を促進する支持体および/または結合メンバーの任意の部分、官能化、または修飾を含み得る。結合メンバーと支持体との間の結合は、1つ以上の化学的または物理的(例えば、ファン・デル・ワールス力による非特異的付着、水素結合、静電相互作用、疎水性/親水性相互作用等)結合および/またはそのような結合(複数可)を提供する化学スペーサを含み得る。
ある特定の実施形態では、固体支持体はまた、アッセイ中に結合表面への非捕捉成分(例えば、検体分子、結合メンバー)の非特異的付着を排除するかまたは最小限に抑えることができる保護層、遮断層、または不動態化層を含み得、これは検出中の偽陽性シグナルまたはシグナルの喪失につながり得る。不動態化層を形成するためにある特定の実施形態において利用され得る材料の例としては、タンパク質の非特異的結合を拒絶するポリ(エチレングリコール)などのポリマー、血清アルブミンおよびカゼリンなどのこの特性を有する天然に存在するタンパク質、界面活性剤、例えばスルホベタインなどの双性イオン界面活性剤、天然に存在する長鎖脂質、ポリマーブラシ、ならびにサケ***DNAなどの核酸が挙げられるが、これらに限定されない。
ある特定の実施形態は、タンパク質またはポリペプチドである結合メンバーを利用する。当技術分野において知られているように、任意の数の技法を使用して、ポリペプチドを多種多様な固体支持体に付着させることができる。例えば、米国特許第5,620,850号に概説されている方法などの、タンパク質に反応性部分を付加するための多種多様な技法が知られている。さらに、タンパク質を表面に付着させる方法は公知であり、例えば、Heller,Acc.Chem.Res.23:128(1990)を参照されたい。
本明細書で説明されるように、結合メンバーと検体との間の結合は、例えば、結合メンバーおよび検体が結合対の相補的部分である場合のように特異的である。ある特定の実施形態では、結合メンバーは、検体に特異的に結合する。「特異的に結合する」または「結合特異性」とは、結合メンバーが、検体分子と試験試料の他の成分または汚染物質とを区別するのに十分な特異性で検体分子に結合することを意味する。例えば、一実施形態によれば、結合メンバーは、検体上のエピトープに特異的に結合する抗体であり得る。抗体は、一実施形態によれば、目的の検体に特異的に結合することができる任意の抗体であり得る。例えば、適切な抗体としては、モノクローナル抗体、二重特異性抗体、ミニボディ、ドメイン抗体(dAb)(例えば、Holt et al.(2014)Trends in Biotechnology 21:484−490に記載されるものなど、また天然に存在するか(例えば、軟骨魚類およびラクダ科と同様)または合成である(例えば、ナノボディ、VHH、もしくは他のドメイン構造)単一ドメイン抗体sdAbを含む)、合成抗体(抗体模倣体と称される場合がある)、キメラ抗体、ヒト化抗体、抗体融合(「抗体接合体」と称される場合がある)、ならびに各々の断片それぞれが挙げられるが、これらに限定されない。別の例として、検体分子は、抗体であり得、第1の結合メンバーは、抗原であり得、第2の結合メンバーは、標的抗体に特異的に結合する二次抗体であり得るか、または第1の結合メンバーは、標的抗体に特異的に結合する二次抗体であり、第2の結合メンバーは、抗原であり得る。
いくつかの実施形態では、結合メンバーは、化学的にプログラムされた抗体(cpAb)(Rader(2014)Trends in Biotechnology 32:186−197に記載される)、二重特異性cpAb、抗体動員分子(ARM)(McEnaney et al.(2012)ACSChem.Biol.7:1139−1151に記載される)、トリリガンド捕捉剤などの分枝状捕捉剤(Millward et al.(2011)J.Am.Chem.Soc.133:18280−18288に記載される)、非抗体足場に由来する操作された結合タンパク質、例えばモノボディ(ヒトフィブロネクチンの10番目のフィブロネクチンIII型ドメインに由来する)、アフィボディ(免疫グロブリン結合タンパク質Aに由来する)、DARPins(アンキリン繰り返しモジュールに基づく)、アンチカリン(リポカリンビリン結合タンパク質およびヒトリポカリン2に由来する)、ならびにシステインノットペプチド(knottins)(Gilbreth and Koide,(2012)Current Opinion in Structural Biology 22:1−8、Banta et al.(2013)Annu.Rev.Biomed.Eng.15:93−113に記載される)、WWドメイン(Patel et al.(2013)Protein Engineering,Design&Selection 26(4):307−314に記載される)、再利用受容体リガンド、アフィチン(Behar et al.(2013)26:267−275に記載される)、および/またはAdhirons(Tiede et al.(2014)Protein Engineering,Design&Selection 27:145−155に記載される)であり得る。
検体が生物学的細胞(例えば、哺乳動物、鳥類、爬虫類、他の脊椎動物、昆虫、酵母、細菌、細胞等)である一実施形態によれば、結合メンバーは、細胞表面抗原(例えば、細胞表面受容体)に対して特異的親和性を有するリガンドであり得る。一実施形態では、結合メンバーは、標的細胞型の表面に発現される細胞接着分子に対する結合特異性を有する、接着分子受容体またはその一部であり得る。使用中、接着分子受容体は、標的細胞の細胞外表面上の接着分子と結合し、それにより細胞を固定化または捕捉し、次いで、結合した細胞は、第1の結合と同じであり得るか、または細胞の表面に発現される異なる分子に結合し得る第2の結合メンバーを使用することによって検出され得る。
いくつかの実施形態では、検体分子と結合メンバーとの間の結合親和性は、アッセイの条件下で結合を維持するのに十分であるべきであり、非特異的に結合している分子または粒子を除去するための洗浄ステップを含む。いくつかの場合において、例えばある特定の生体分子の検出において、その相補的結合メンバーに対する検体分子の結合定数は、少なくとも約104〜約106M−1、少なくとも約105〜約109M−1、少なくとも約107〜約109M−1、約109M−1超、またはそれ以上であり得る。
e)タグまたは標識
本明細書に記載の方法は、インピーダンスによって検体を分析するために、標識などのタグに結合した特異的結合メンバーを含み得る。組み込まれたタグまたは標識は、反応スキームの実施を実質的に干渉しない。例えば、組み込まれたタグまたは標識は、検体とその相補的結合メンバーとの結合定数またはそれらの間の相互作用を干渉しない。組み込まれたタグまたは標識のサイズおよび数は、捕捉速度および読み取り速度に関連し得る。取り込み速度および読み取り速度は、組み込まれたタグまたは標識のサイズおよび/または数を増やすことによって増加させることができる。例えば、組み込まれたタグまたは標識のサイズおよび数は、電荷を増加させ、ナノポアの捕捉ゾーンを増加させることができる。組み込まれたタグまたは標識は、結合メンバーの動態、例えば抗体動態、または反応スキームを改変しない。例示的なタグとしては、アニオン性ポリマーまたはカチオン性ポリマー(例えば、ポリヒスチジンまたはポリリジンなどの正味の正電荷を有するポリペプチド)などのポリマー(ポリマーの長さは約5〜1000残基である)、結合メンバーと交差反応しない、および/またはアッセイを干渉しないタンパク質(例えば、球状タンパク質)、デンドリマー、例えばDNAデンドリマー、および電荷ナノ粒子、例えばナノビーズが挙げられる。ポリマータグは、デオキシリボ核酸またはリボ核酸などの核酸を含み得る。ポリマータグは、核酸塩基ポリマーを含み得る。ある特定の場合において、タグは、DNAまたはRNAアプタマーであり得、アプタマーは、検体に結合しない。タグがアプタマーである場合、それはナノポアを通る転位の前に任意選択で変性されてもよい。ポリマータグまたはナノ粒子(例えば、ナノビーズ)は、それがナノポアを通ってまたは横切って転位するときに、再現性のあるシグナルを発生させるのに十分に大きくてもよい。アプタマーは、20〜220塩基長、例えば20〜60塩基長であり得る。ナノ粒子(例えば、ナノビーズまたはデンドリマー)のサイズは、直径が約1nm〜約950nm、例えば10nm〜900nm、20nm〜800nm、30nm〜700nm、50nm〜600nm、80nm〜500nm、100nm〜500nm、200nm〜500nm、300nm〜500nm、または400nm〜500nmの範囲、例えば10nm、20nm、30nm、50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、または900nmであり得る。タグとして使用されるとき、ナノ粒子のための好ましいサイズは、(本明細書にさらに記載されるように)ナノポアを通過し得るかまたは横切ることができるものである。ある特定の場合において、ナノビーズ/ナノ粒子は、正味の負電荷もしくは正電荷を有するか、または正味の負電荷もしくは正電荷を有するように処理することができる材料で作製することができる。例示的なナノビーズ/ナノ粒子は、有機または無機ポリマーから作製されたものを含む。有機ポリマーは、例えば、ポリスチレン、カーボン、ポリアクリルアミド等のポリマーを含む。無機ポリマーは、シリコンまたは金属ナノビーズ/ナノ粒子を含む。ある特定の場合において、ナノビーズ/ナノ粒子は、磁性でなくてもよい。
ある特定の場合において、タグは、一本鎖DNAまたはRNAであり得る。一本鎖DNAまたはRNAは、ナノポアを通るまたは横切る転位の前に、プローブ分子にハイブリダイズされ得る。ある特定の場合において、この方法は、単一試料中の複数の検体の分析を含み得る。試料中の異なる検体に結合する第2の結合メンバーは、タグとしてそれに付着した異なる一本鎖DNAまたはRNAを含み得、異なる一本鎖DNAまたはRNAは、異なる一本鎖DNAまたはRNAがナノポアを通って移動するときにそれらをさらに区別する異なるプローブにハイブリダイズされ得る。他の実施形態では、異なる第2の結合メンバーに付着したタグは、そのタグがナノポアを通過するかまたは横切るときに区別可能な異なるヘアピン構造(例えば、ヘアピン構造の長さ)を有し得る。さらに別の実施形態では、異なる第2の結合メンバーに付着したタグは、タグがナノポアを通ってまたは横切って移動するときに区別可能な異なる長さを有し得る。例えば、タグは、異なる長さ(例えば、25bp、50bp、75bp、100bp、150bp、200bp、またはそれ以上)の二本鎖DNAであり得る。ある特定の場合において、異なる第2の結合メンバーに付着したタグは、異なる長さのポリエチレングリコール(PEG)を有し得るか、またはPEGで異なって修飾されたDNAまたはRNAであってもよい。
タグまたはタグ分子への言及は、単一のタグまたは単一のタグ分子、ならびに複数のタグ(全てが同一であり得る)を包含することに留意されたい。ナノポアは、例えば基板、膜等の単一層に存在する単一のナノポアならびに複数のナノポアを包含することにさらに留意されたい。そのようなものとして、層/シート/膜内のナノポアを通ってまたは横切って転位するタグの数をカウントすることは、層/シート/膜内の1つ以上のナノポアを通ってまたは横切って転位する複数のタグのカウントを指す。ナノポアは、基板または膜などの単一層に存在してもよく、この層は、電気的に絶縁性であるか、または脂質二重層、誘電材料、例えば、窒化ケイ素およびシリカ、原子的に薄い膜、例えばグラフェン、ケイ素、シリセン、モリブデンジスルフィド(MoS2)等、またはそれらの組み合わせなどの高い電気抵抗を有する任意の好適な材料で作製され得る。
タグは、任意のサイズまたは形状であり得る。いくつかの実施形態では、タグは、直径約10〜950nm、例えば、直径20〜900nm、30〜800nm、40〜700nm、50〜600nm、60〜500nm、70〜400nm、80〜300nm、90〜200nm、100〜150nm、200〜600nm、400〜500nm、2〜10nm、2〜4nm、または3〜4nmのナノ粒子またはナノビーズであり得る。タグは、実質的に球形、例えば球形ビーズもしくはナノビーズ、または半球形であり得る。タグは、約0.5kDa〜約50kDaのサイズ、例えば約0.5kDa〜約400kDa、約0.8kDa〜約400kDa、約1.0kDa〜約400kDa、約1.5kDa〜約400kDa、約2.0kDa〜約400kDa、約5kDa〜約400kDa、約10kDa〜約400kDa、約50kDa〜約400kDa、約100kDa〜約400kDa、約150kDa〜約400kDa、約200kDa〜約400kDa、約250kDa〜約400kDa、約300kDa〜約400kDa、約0.5kDa〜約300kDa、約0.8kDa〜約300kDa、約1.0kDa〜約300kDa、約1.5kDa〜約300kDa、約2.0kDa〜約300kDa、約5kDa〜約300kDa、約10kDa〜約300kDa、約50kDa〜約300kDa、約100kDa〜約300kDa、約150kDa〜約300kDa、約200kDa〜約300kDa、約250kDa〜約300kDa、約0.5kDa〜約250kDa、約0.8kDa〜約250kDa、約1.0kDa〜約250kDa、約1.5kDa〜約250kDa、約2.0kDa〜約250kDAのサイズ、約5kDa〜約250kDa、約10kDa〜約250kDa、約50kDa〜約250kDa、約100kDa〜約250kDa、約150kDa〜約250kDa、約200kDa〜約250kDa、約0.5kDa〜約200kDa、約0.8kDa〜約200kDa、約1.0kDa〜約200kDa、約1.5kDa〜約200kDa、約2.0kDa〜約200kDaのサイズ、約5kDa〜約200kDa、約10kDa〜約200kDa、約50kDa〜約200kDa、約100kDa〜約200kDa、約150kDa〜約200kDa、約0.5kDa〜約100kDa、約0.8kDa〜約100kDa、約1.0kDa〜約100kDa、約1.5kDa〜約100kDa、約2.0kDa〜約100kDa、約5kDa〜約100kDa、約10kDa〜約100kDa、約50kDa〜約100kDa、約0.5kDa〜約50kDa、約0.8kDa〜約50kDa、約1.0kDa〜約50kDa、約1.5kDa〜約50kDa、約2.0kDa〜約50kDa、約5kDa〜約50kDa、約10kDa〜約50kDA、約10kDa〜約90kDa、約10kDa〜約80kDa、約10kDa〜約70kDa、約10kDa〜約60kDa、約20kDa〜約90kDa、約20kDa〜約80kDa、約20kDa〜約70kDa、約20kDa〜約60kDa、約40kDa〜約90kDa、約40kDa〜約80kDa、約40kDa〜約70kDa、または約40kDa〜約60kDaのタンパク質であり得る。
ある特定の実施形態では、タグは、ナノ粒子であり得る。本明細書に記載されるように、ナノ粒子は、第2の結合メンバーに可逆的に(例えば、切断可能に)付着してもよい。ある特定の態様では、ナノ粒子は、ナノポア層によって測定されたナノビーズの特性であり得る、定義された直径のナノビーズであり得る。ある特定の場合において、本開示の方法、システム、およびデバイスを使用して、試料中の複数の異なる検体を同時に分析することができる。そのような分析のために、各々が同族検体に特異的に結合する複数の第2の結合メンバーを使用することができる。異なる第2の結合メンバーの各々は、第2の結合メンバーを識別するために使用され得る異なるサイズのナノビーズに付着され得る。例えば、異なるナノビーズタグは、例えば1nm、2nm、4nm、6nm、8nm、10nm、12nm、14nm、またはそれ以上、例えば最大20nm、30nm、50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、950nm、または990nmの異なる直径を有し得る。
ある特定の実施形態では、異なる直径のナノビーズは全て、単一直径のナノポアを有するナノポア層を通って転位し得、異なるサイズのナノビーズは、ナノポア内の滞留期間、電流インピーダンスの大きさ、またはそれらの組み合わせに基づいて識別され得る。ある特定の場合において、第1の層が第1の直径のナノポアを有し、第2の層が第2の直径のナノポアを有することができる、複数のナノポア層を含む積層ナノポア層デバイスを使用して、ナノポアを通ってまたは横切って転位するナノビーズを検出し、カウントすることができる。複数のナノポア層は、より大きい直径のナノポアを有する層が、より小さい直径のナノポアを有する層の上流に置かれるように配置されてもよい。例示的な積層ナノポア層は、US2012/0080361に開示されている。
本方法においてタグとして使用され得る例示的なナノ粒子は、直径が5nm〜950nmの範囲の金ナノ粒子またはポリスチレンナノ粒子を含む。
ある特定の場合において、タグは、核酸などのポリマーであり得る。タグの存在は、ポリマータグのサイズまたは長さに関連するシグナルなどの、タグに特徴的なシグナルを検出することによって決定され得る。ポリマータグのサイズまたは長さは、細孔またはチャネル内でのその滞留時間を測定することによって、例えば、電流の一時的な遮断の持続時間を測定することによって決定され得る。
タグまたは標識の一部であり得るか、全てであり得るか、それと関連し得るか、またはそれに付着され得る要素としては、ナノ粒子;金粒子;銀粒子;銀、銅、亜鉛、または他の金属コーティングもしくは堆積物;ポリマー;ドラッグ−タグ(本明細書に定義される);磁性粒子;浮遊性粒子;金属粒子;電荷部分;誘電泳動タグ、二酸化ケイ素(不純物(例えば、石英、ガラス等)を含む/含まない);ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA);ポリイミド;窒化ケイ素;金;銀;量子ドット(CdS量子ドットを含む);カーボンドット;蛍光体;消光剤;ポリマー;ポリスチレン;ヤヌス粒子;散乱粒子;蛍光粒子;燐光性粒子;球体;立方体;絶縁体;導体;バーコードもしくは標識粒子;多孔性粒子;固体粒子;ナノシェル;ナノロッド;微小球;ウイルス、細胞、寄生虫、および生物などの検体;核酸;タンパク質;分子認識要素;スペーサ;PEG;デンドリマー;電荷調整因子;磁性材料;酵素;アプタマー配列を含むDNA;増幅可能DNA;DNAの反復配列;検出可能な要素の、分子認識要素との融合もしくは接合(例えば、操作された結合メンバー);抗抗体アプタマー;抗体結合タンパク質に向けられたアプタマー;吸収もしくは吸着された検出可能な化合物;ヘム;ルシフェリン;ホスホル;蛍光体;アジド、もしくはアルキレン(例えば、末端もしくは非末端アルキレン)、または他のクリック化学関与物が挙げられる。
ある特定の実施形態では、タグは、試料の迅速な分析を可能にするのに十分に高い捕捉速度を提供するように選択され得る。ある特定の実施形態では、タグの捕捉速度は、10秒当たり約1事象、5秒当たり1事象、1秒当たり1事象、またはそれ以上であり得る。ある特定の実施形態では、リボースポリマー、デオキシリボースポリマー、オリゴヌクレオチド、DNA、またはRNAなどの線状ポリマータグを使用することができる。典型的には、1nMのDNA溶液について、塩勾配なし、200〜800mVの電圧、および1Mの塩(KCl)濃度で、固体ナノポア(Si3N4)を使用すると、捕捉速度は、およそ1事象sec−1である。
ある特定の場合において、リボースポリマー、デオキシリボースポリマー、オリゴヌクレオチド、DNA、またはRNAなどの線状ポリマータグは、これらのタグの捕捉速度がある特定の用途には低すぎる場合があるため使用することができない。半球形、球形、または実質的に球形の形状のタグは、ナノポアを通って急速に転位し、したがってアッセイ期間が短縮され、より速いタグカウントを必要とする用途に使用することができる。ある特定の場合において、球形または半球形のタグのサイズは、アッセイに必要な捕捉速度に基づいて選択され得る。例えば、より高い捕捉速度のためには、より大きなサイズの球形または半球形のタグを選択することができる。ある特定の場合において、タグは、同じ測定条件下での、DNAタグなどの線状タグの捕捉速度よりも約10倍、30倍、50倍、100倍、300倍、500倍、または1000倍速い捕捉速度を有する、ナノ粒子/ナノビーズなどの球形タグであり得る。
いくつかの実施形態では、タグは、抗体、例えばCPSP抗体接合体に接合することができる。いくつかの実施形態では、タグは、スペーサとともに抗体に接合されてもよく、例えば、スペーサとのCPSP抗体接合体であり得る。いくつかの実施形態では、タグは、オリゴヌクレオチドおよび抗体に接合されてもよく、例えば、CPSPオリゴヌクレオチド−抗体接合体であり得る。いくつかの実施形態では、タグは、スペーサとともにオリゴヌクレオチドおよび抗体に接合されてもよく、例えば、スペーサとのCPSPオリゴヌクレオチド−抗体接合体であり得る。いくつかの実施形態では、タグは、オリゴヌクレオチドに接合されてもよく、例えば、CPSPオリゴヌクレオチド接合体であり得る。いくつかの実施形態では、スペーサは、ニトロベンジル基、ジチオエチルアミノ、6炭素スペーサ、12炭素スペーサ、または3−(9−((3−カルボキシプロピル)(トシル)カルバモイル)アクリジン−10−イウム−10−イル)プロパン−1−スルホネートを含む。いくつかの実施形態では、スペーサは、ニトロベンジル基を含み、タグは、DNA分子である。いくつかの実施形態では、スペーサは、ジチオエチルアミノであり、タグは、カルボキシル化ナノ粒子である。いくつかの実施形態では、スペーサは、3−(9−((3−カルボキシプロピル)(トシル)カルバモイル)アクリジン−10−イウム−10−イル)プロパン−1−スルホネートであり、タグはオリゴヌクレオチドである。いくつかの実施形態では、スペーサは、6炭素スペーサまたは12炭素スペーサを含み、タグは、ビオチンである。
f)切断可能なリンカー
本明細書に記載の方法で使用されるタグは、一般的なリンカーによって特異的結合メンバーに付着させることができる。切断可能なリンカーは、タグを確実に除去できるようにする。一般的なリンカーは、切断可能なリンカーであり得る。例えば、タグは、切断可能なリンカーを介して第2の結合メンバーに付着されてもよい。第1の結合メンバー−検体−第2の結合メンバーの複合体は、切断可能なリンカーの切断を媒介する切断剤に曝露されてもよい。リンカーは、酸、塩基、求核剤、求電子剤、ラジカル、金属、還元剤または酸化剤、光、温度、酵素等への曝露を含む、任意の好適な方法によって切断され得る。好適なリンカーは、Greene&Wuts,Protective Groups in Organic Synthesis,John Wiley&Sons.に開示されているように、標準化学遮断基から適合され得る。固相合成において使用されるさらなる好適な切断可能なリンカーは、Guillierら(Chem.Rev.100:2092−2157,2000)に開示されている。リンカーは、酸切断可能、塩基切断可能、または光切断可能であり得る。酸化還元反応は、切断スキームの一部であり得る。切断可能なリンカーは、電荷ポリマーであり得る。
リンカーは、光切断可能なリンカー、化学的に切断可能なリンカー、または熱的に切断可能なリンカーであり得る。実施形態では、リンカーは、感熱性の切断可能なリンカーであり得る。リンカーが光切断可能な基である場合、切断剤は、光切断可能な基を破壊または開裂する適切な波長の光であり得る。多くの実施形態では、光切断可能な結合基を切断するために使用される光の波長は、約180nm〜400nm、例えば、約250nm〜400nm、または約300nm〜400nmの範囲である。切断を活性化するために必要とされる光は、検体の他の成分に影響を及ぼさないことが好ましい。好適なリンカーとしては、O−ニトロベンジル化合物およびニトロベラトリル化合物に基づくものが挙げられる。ベンゾイン化学に基づくリンカーを使用することもできる(Lee et al.,J.Org.Chem.64:3454−3460,1999)。いくつかの実施形態では、光切断可能なリンカーは、以下の部分から誘導されてもよい。
あるいは、切断リンカーが化学的に切断可能な基である場合、切断剤は、その基を切断することができる化学剤であり得る。化学的に切断可能なリンカーは、酸化/還元に基づく切断、酸触媒による切断、塩基触媒による切断、または求核置換によって切断することができる。例えば、結合基がジスルフィドである場合、ジチオトレイトールまたはβメルカプトエタノールによるチオール媒介切断を使用して、タグを遊離させることができる。結合基が制限部位であるさらに他の実施形態では、薬剤は、加水分解酵素、制限酵素、または結合基を切断する他の酵素であり得る酵素などの触媒剤である。例えば、制限酵素は、I型、II型、IIS型、III型、およびIV型制限酵素であり得る。
いくつかの実施形態では、切断リンカーは、酵素的に切断可能な配列である。本明細書の実施形態のうちのいずれかの一態様では、酵素的に切断可能な配列は、長さが2、3、4、5、6、7、8、9、または10ヌクレオチドの核酸配列である。一実施形態では、酵素的に切断可能な配列は、少なくとも10ヌクレオチドの配列を含む。一実施形態では、酵素的に切断可能な配列は、2〜20ヌクレオチドの配列を含む。一実施形態では、酵素的に切断可能な配列は、2〜15ヌクレオチドの配列を含む。一実施形態では、酵素的に切断可能な配列は、4〜10ヌクレオチドの配列を含む。一実施形態では、酵素的に切断可能な配列は、4〜15ヌクレオチドの配列を含む。
例えば、切断可能なリンカーは、アクリジニウム、置換ベンジルエーテルなどのエーテル、または酸性もしくは緩還元状態(例えば、アクリドンおよびスルホンアミドを産生する過酸化水素)によって切断され得るその誘導体(例えば、ベンジルヒドリルエーテル、インダニルエーテル等)、P−脱離を使用して生成された電荷ポリマーであり得、緩塩基は、産物であるアセタールを、そのチオ類似体を含めて遊離させるように機能することができ、脱離は、特に捕捉カルボニル化合物、感光性結合(例えば、O−ニトロベンゾイル、7−ニトロインダニル、2−ニトロベンズヒドリルエーテルもしくはエステル等)、または酵素的加水分解に供されるペプチドリンカー(例えば、酵素的に切断可能なリンカー)の存在下で緩酸によって達成され、特に酵素は、第Xa因子もしくはエンテロキナーゼのペプチドなどの特異的配列を認識する。リンカーの例としては、ジスルフィドリンカー、酸に不安定なリンカー(ジアルコキシベンジルリンカーを含む)、シーバーリンカー、インドールリンカー、t−ブチルシーバーリンカー、求電子的に切断可能なリンカー、求核的に切断可能なリンカー、光切断可能なリンカー、還元条件、酸化条件下での切断、セーフティキャッチリンカーの使用による切断、および脱離機構による切断が挙げられるが、これらに限定されない。
求電子的に切断されたリンカーは、典型的にはプロトンによって切断され、酸に敏感な切断を含む。好適なリンカーとしては、トリチル、p−アルコキシベンジルエステル、およびp−アルコキシベンジルアミドなどの修飾ベンジル系が挙げられる。他の好適なリンカーとしては、tert−ブチルオキシカルボニル(Boc)基およびアセタール系が挙げられる。チオアセタールまたは他の硫黄含有保護基の切断における、ニッケル、銀または水銀などのチオフィリック金属の使用もまた、好適なリンカー分子の調製のために考慮され得る。
求核切断のために、水中で不安定である(すなわち、単純に塩基性pHで切断され得る)エステルなどの基、および非水性求核剤に対して不安定である基を使用することができる。フッ化物イオンを使用して、トリイソプロピルシラン(TIPS)またはt−ブチルジメチルシラン(TBDMS)などの基中のケイ素−酸素結合を切断することができる。
ジスルフィド結合の還元の場合のように、還元的切断を受けやすいリンカーを使用することができる。ベンジルおよびベンジルオキシカルボニル基を切断するために、パラジウム系触媒を使用する接触水素化が使用されてきた。
酸化ベースの手法は、当技術分野において周知である。これらには、p−アルコキシベンジル基の酸化ならびに硫黄およびセレンリンカーの酸化が含まれる。ジスルフィドおよび他の硫黄またはセレン系リンカーを切断するための水性ヨウ素もまた、使用することができる。
セーフティキャッチリンカーは、2つのステップで切断するものである。好ましい系では、第1のステップは、反応性求核中心の生成であり、続いて第2のステップは、切断をもたらす分子内環化を伴う。例えば、レブリン酸エステル結合は、ヒドラジンまたは光化学で処理して、活性アミンを遊離させることができ、次いでこれを環化して分子内の他の場所でエステルを切断することができる(Burgess et al.,J.Org.Chem.62:5165−5168,1997)。
脱離反応もまた使用され得る。例えば、Fmocおよびシアノエチルなどの基の塩基触媒脱離、ならびにアリル系のパラジウム触媒還元脱離を使用することができる。
リンカーが熱切断可能なリンカーまたは感熱性リンカーである場合、切断剤は、熱切断可能な基を破壊または切断するために閾値を超える局所的な温度上昇であり得る。いくつかの実施形態では、粒子温熱療法を誘導するためにマイクロ波照射を使用して局所領域で温度を上昇させることができる。DutzおよびHergt(Nanotechnology,25:452001(2014))に概説され、米国特許第7,718,445号、米国特許公開第2003/0082633号、国際特許公開第2002/029076号、国際特許公開第2002/029076号、および米国特許公開第2002/0197645号(各々が参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるものなどの粒子温熱療法を使用することができる。いくつかの実施形態では、温度上昇は、エネルギーを光から吸収性標的、例えば染料、顔料、または水に伝達することによって光熱的に達成することができる。一態様では、光源はレーザーである。いくつかの実施形態では、高温は、二本鎖DNAの熱分離を引き起こし得る。
g)ナノポア層
本開示において、タグ(例えば、ポリマー、アプタマー、ナノ粒子)の検出および/またはカウントは、ナノポアまたはナノチャネルを通してまたは横切ってタグを転位させることによって実行され得る。いくつかの実施形態では、タグ(例えば、ポリマー、アプタマー、ナノ粒子)の検出および/またはカウントは、少なくとも1つ以上のナノポアまたはナノチャネルを通してまたは横切ってタグを転位させることによって実行され得る。いくつかの実施形態では、少なくともつ以上のナノポアまたはナノチャネルが並んでまたは連続して提示される。いくつかの実施形態では、ナノポアまたはナノチャネルは、一度に1つ以下のタグの転位のために寸法決めされる。したがって、いくつかの実施形態におけるナノポアの寸法は、典型的には検査されるタグの寸法に依存するであろう。二本鎖領域を有するタグは、完全に一本鎖であるタグの転位に十分なものよりも大きいナノポア寸法を必要とし得る。さらに、ナノビーズタグなどのナノ粒子タグは、オリゴマータグよりも大きい細孔またはチャネルを必要とし得る。典型的には、直径約1nmの細孔は、一本鎖ポリマーの通過を許容し得るが、直径2nm以上の細孔寸法は、二本鎖核酸分子の通過を許容するであろう。いくつかの実施形態では、ナノポアまたはナノチャネルは、一本鎖タグ(例えば、直径約1nm〜2nm未満)に対して選択的であるが、他の実施形態では、ナノポアまたはナノチャネルは、二本鎖ポリヌクレオチドの通過を可能にするのに十分な直径(例えば、2nm以上)である。選択された孔径は、目的の検体について最適なシグナル対ノイズ比を提供する。
いくつかの実施形態では、細孔は、直径約0.1nm〜約1000nm、約50nm〜約1000nm、約100nm〜1000nm、約0.1nm〜約700nm、約50nm〜約700nm、約100nm〜700nm、約0.1nm〜約500nm、約50nm〜約500nm、または約100nm〜500nmであり得る。例えば、細孔は、直径約0.1nm、約0.2nm、約0.3nm、約0.4nm、約0.5nm、約0.6nm、約0.7nm、約0.8nm、約0.9nm、約1.0nm、約1.5nm、約2.0nm、約2.5nm、約3.0nm、約3.5nm、約4.0nm、約4.5nm、約5.0nm、約7.5nm、約10nm、約15nm、約20nm、約25nm、約30nm、約35nm、約40nm、約45nm、約50nm、約55nm、約60nm、約65nm、約70nm、約75nm、約80nm、約85nm、約90nm、約95nm、約100nm、約150nm、約200nm、約250nm、約300nm、約3500nm、約400nm、約450nm、約500nm、約550nm、約600nm、約650nm、約700nm、約750nm、約800nm、約850nm、約900nm、約950nm、または約1000nmであり得る。
一般に、ナノポアは、ナノチャネルよりも長さが短い。ナノチャネルは、ナノポアよりも実質的に長く、分子がそれを通って転位するのにかかる時間を(同じ直径のナノポアを通ってまたは横切って転位するのにかかる時間と比較して)増加させることが望ましい用途において有用であり得る。ナノポアの長さは、約0.1nm〜約200nm未満の範囲であり得る。ナノチャネルの長さは、約500nm〜約100μm、またはそれ以上の範囲であり得る。ナノポアおよびナノチャネルの直径は類似していてもよい。
タグ/アプタマーを分析するために様々な種類のナノポアを使用することができる。これらには、とりわけ、膜に埋め込まれた生物学的細孔またはチャネルを用いる生物学的ナノポアが含まれる。別の種類のナノポア層は、チャネルまたは細孔が、全体的にまたは部分的に、ケイ素などの製造または彫刻された固体成分から作製される固体ナノポアである。いくつかの実施形態では、ナノポアは、制御された絶縁破壊を使用して産生された固体ナノポアである。いくつかの実施形態では、ナノポアは、制御された絶縁破壊以外の方法によって産生された固体ナノポアである。
ある特定の実施形態では、ナノポアの長さは、最大約200nm、例えば、約0.1nm〜約30nm、約10〜約80nm、約1〜約50nm、約0.1nm〜約0.5nm、約0.3nm〜約1nm、約1nm〜約2nm、約0.3nm〜約10nm、または約10〜約30nmであり得る。ナノポア層内のナノポアの数は、約1、2、3、4、5、10、30、100、300、1000、3000、10000、30000、100000、300000、またはそれ以上であり得る。中心間の層内のナノポア間の距離は、約100nm〜約300nm、約300nm〜約500nm、約500nm〜約1000nm、例えば100nm、150nm、200nm、または100nmであり得る。
ある特定の実施形態では、各々がつ以上のナノポアを含有する複数のナノポア層は、タグ(例えば、ポリマー、アプタマー、ナノ粒子)を検出および/またはカウントするために、互いに連続して配置することができる。この場合、タグの検出および/またはカウントは、各ナノポア層を通してまたは横切ってタグを転位させることによって実行することができる。そのようなものとして、層/シート/膜内のナノポアを通ってまたは横切って転位するタグの数をカウントすることは、層/シート/膜内の1つ以上のナノポアを通ってまたは横切って転位する複数のタグのカウントを指す。ある特定の実施形態では、2つ以上のナノポア層(例えば、技術的に可能な限り1、2、3、4、5、6、または他の数のナノポア層)が存在する場合、任意選択で、それらは少なくとも1つのナノポアが連続して存在し、ここで1つの層内の少なくとも1つのナノポアは、別の層内の別のナノポア等とは別個であるか、またはその上に(例えば、上または上部に)積層されている。ナノポア層が連続している場合、少なくとも2つの電極を使用して、細孔を通してタグを駆動するための電界を生じさせるために少なくとも2つの電極を使用することができ、任意選択的で、ナノポア層間に位置付けられた追加の電極が、駆動電流をさらに提供し得る。
i)生物学的細孔
タグ/アプタマーを検出し、任意選択でカウントするために、タグの転位を許すチャネル寸法を有する任意の生物学的細孔を使用することができる。2つの広いカテゴリーの生物学的チャネルが、本明細書に開示されている方法に好適である。無電圧ゲートチャネルは、チャネルを活性化または開放するために膜電位の変化を必要とせずに、細孔を通る分子の通過を可能にする。一方で、電圧依存性チャネルは、チャネル開口部を活性化するために特定範囲の膜電位を必要とする。生物学的ナノポアを用いたほとんどの研究は、Staphylococcus aureusに見出される長さ約10nmのキノコ型ホモオリゴマー七量体チャネルであるα溶血素を使用した。各サブユニットは、2本のβ鎖が14鎖の逆平行βバレルを形成するのに寄与する。βバレル構造によって形成された細孔は、リジン残基の環を含み、約3.6nmの直径を有する内部空洞に開口するおよそ2.6nmの直径を有する入口を有する。脂質二重層を貫通する溶血素孔の幹は、前庭と幹との間に1.5nmの狭窄部を有する約2.0nmの平均内径を有する。幹の寸法は、一本鎖核酸の通過に十分であるが、二本鎖核酸の通過には十分ではない。したがって、α溶血素孔は、一本鎖ポリヌクレオチドおよび同様の寸法の他のポリマーに対して選択的なナノポアとして使用され得る。
他の実施形態では、生物学的ナノポアは、一本鎖核酸よりも大きいポリマーの通過のために十分な寸法である。例示的な細孔は、ミトコンドリアポリンタンパク質、ミトコンドリア外膜に局在する電圧依存性アニオンチャネル(VDAC)である。ポリンタンパク質は、精製された形態で入手可能であり、人工脂質二重層に再構成されると、二本鎖核酸の通過を許すことができる機能的チャネルを生成する(Szabo et al.,1998,FASEBJ.12:495−502)。構造研究は、ポリンもまた、13本または16本の鎖を有するβバレル型構造を有することを示唆している(Rauch et al.,1994,Biochem Biophys Res Comm 200:908−915)。ポリンは、α溶血素、マルトポリン(LamB)、およびグラミシジンによって形成される細孔のコンダクタンスと比較してより大きいコンダクタンスを示す。ポリン支持体研究のより大きいコンダクタンス特性は、ポリンチャネルが二本鎖核酸の通過に十分な寸法であることを示している。ポリン分子の孔径は、4nmと推定される。非コイル状二本鎖核酸の直径は、約2nmと推定される。
二本鎖ポリヌクレオチドをスキャンするのに好適であり得る別の生物学的チャネルは、枯草菌に見られるチャネルである(Szabo et al.,1997,J.Biol.Chem.272:25275−25282)。枯草菌から作製され、人工膜に組み込まれた原形質膜小胞は、膜を横切る二本鎖DNAの通過を可能にする。枯草菌膜調製物によって形成されたチャネルのコンダクタンスは、ミトコンドリアポリンのものと同様である。これらのチャネルの不完全な特徴付け(例えば、精製形態)があるが、本明細書の目的のために精製形態を有する必要はない。適切な洗剤に可溶化すること、または十分な表面積の人工脂質膜に組み込むことのいずれかによって、原形質膜調製物を希釈することは、検出装置中の単一チャネルを単離することができる。適切に時限洗浄することによって膜調製物(またはタンパク質調製物)と人工膜との接触の持続時間を制限することは、人工脂質二重層に単一チャネルを組み込むための別の方法を提供する。コンダクタンス特性を使用して、二重層に組み込まれたチャネルを特徴付けることができる。
ある特定の場合において、ナノポアは、ハイブリッドナノポアであってもよく、ここで生物学的細孔は、固体ナノポア、例えば非生物学的材料で製造されたナノポアに導入される。例えば、α−溶血素孔は、固体ナノポアに挿入されてもよい。ある特定の場合において、ナノポアは、Hall et al.,Nature Nanotechnology,28 November 2010,vol.5,pg.874−877に記載されているハイブリッドナノポアであり得る。
ii)固体細孔
他の実施形態では、タグの分析は、非生物学的材料から製造されたナノポアまたはナノチャネルを通してまたは横切ってタグを転位させることによって実行される。ナノポアまたはナノチャネルは、とりわけ化学堆積、電気化学体積、電気めっき、電子ビーム彫刻、イオンビーム彫刻、ナノリソグラフィー、化学エッチング、レーザーアブレーション、集束イオンビーム、原子層堆積、および当技術分野において周知の他の方法を含む、多くの異なる技法を使用して、様々な固体材料から作製され得る(例えば、Li et al.,2001,Nature 412:166−169、およびWO2004/085609を参照)。
特定の実施形態では、ナノポアは、WO13167952A1またはWO13167955A1に記載されているナノポアであり得る。WO13167952A1またはWO13167955A1に記載されているように、正確かつ均一な孔径を有するナノポアは、膜中に形成されたナノポアを精密に拡大することによって形成することができる。この方法は、ナノポアにわたって高電位を印加することによってナノポアを拡大することと、ナノポアを流れる電流を測定することと、測定された電流に部分的に基づいてナノポアのサイズを決定することと、ナノポアのサイズが所望のサイズに対応するとき、ナノポアに印加された電位を除去することと、を含み得る。ある特定の場合において、印加電位は、高い値と低い値との間で振動するパルス波形を有することができ、電位が低い値でナノポアに印加されている間に、ナノポアを流れる電流を測定することができる。
固体材料としては、限定ではなく例として、任意の公知の半導体材料、絶縁材料、および絶縁材料でコーティングされた金属が挙げられる。したがって、ナノポア(複数可)の少なくとも一部は、限定されないが、ケイ素、シリカ、シリセン、酸化ケイ素、グラフェン、窒化ケイ素、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、または絶縁材料でコーティングされた金属、金属酸化物、および金属コロイドを含み得る。
ナノメートル寸法の細孔を作製するために、製造プロセスにおいて様々なフィードバック手順を用いることができる。イオンが穴を通過する実施形態では、固体材料を通るイオンの流れを検出することは、製造中に生成された孔径を測定する方法を提供する(例えば、米国特許出願公開第2005/0126905号を参照)。他の実施形態では、電極が孔径を定義する場合、電極間の電子トンネル電流は、電極間のギャップに関する情報を与える。トンネル電流の増加は、電極間のギャップ間隔の減少を示す。他のフィードバック技法は、当業者に明らかとなるであろう。
いくつかの実施形態では、ナノポアは、Li et al.,2003,Nature Materials 2:611−615に記載されているように、イオンビーム彫刻を使用して製造される。いくつかの実施形態では、ナノポアは、WO13167952A1またはWO13167955A1に記載されるように、高電流を使用して製造される。他の実施形態では、ナノポアは、電子ビームリソグラフィと高エネルギー電子ビーム彫刻との組み合わせによって作製することができる(例えば、Storm et al.,2003,Nature Materials 2:537−540を参照)。イオンビームスパッタリング技法によって好適なナノポアを生成するための同様の手法は、Heng et al.,2004,Biophy J 87:2905−2911に記載されている。ナノポアは、超薄膜を産生するための一般的な技法と組み合わせた金属酸化物半導体(CMOS)上に集束高エネルギー電子ビームを用いるリソグラフィを使用して形成される。他の実施形態では、ナノポアは、窒化ケイ素の彫刻によって、米国特許第6,627,067号、同第6,464,842号、同第6,783,643号、および米国公開第2005/0006224号に提供されるように構成される。
いくつかの実施形態では、ナノチャネルは、金または銀ナノチューブとして構成され得る。これらのナノチャネルは、エッチング飛跡法を使用して調製されたポリカーボネートフィルタなどの多孔質材料のテンプレートを使用し、多孔質材料の表面に金または他の好適な金属を堆積させることによって形成される。エッチング飛跡ポリカーボネート膜は、典型的には、固体膜材料を高エネルギー核粒子に曝露することによって形成され、これが膜材料中に飛跡を形成する。次いで化学エッチングを用いて、エッチングされた飛跡を細孔に変換する。形成された細孔は、約10nm以上の直径を有する。核粒子の強度を調整することは、膜に形成される細孔の密度を制御する。無電解めっき法を介して飛跡エッチングされた細孔に金属、典型的には金または銀を堆積させることによって、エッチングされた膜上にナノチューブを形成する(Menon et al.,1995,Anal Chem 67:1920−1928)。この金属堆積方法は、細孔材料の表面に堆積された触媒を使用し、これが次いでAu(I)および還元剤を含有する溶液中に浸漬される。Au(I)から金属Auへの還元は、触媒を含む表面上で起こる。堆積した金の量は、インキュベーション時間に依存し、それによりインキュベーション時間を増加させると、フィルタ材料中の細孔の内径が減少する。したがって、孔径は、細孔に堆積する金属の量を調整することによって制御することができる。得られる細孔寸法は、種々の技法、例えば、単純拡散を使用するガス輸送特性を使用して、またはパッチクランプ型システムを使用して細孔を通るイオン流を測定することによって測定される。支持体材料は、無傷のまま残されるか、または金ナノチューブを残すために除去される。無電解めっき技法は、直径が約1nm未満〜約5nm、または必要に応じてそれ以上の孔径を形成することができる。約0.6nmの孔径を有する金ナノチューブは、Ru(bpy)2+2とメチルビオロゲンとを区別するように見え、金ナノポアの選択性を実証している(Jirage et al.,1997,Science 278:655−658)。金ナノチューブ表面の修飾は、チオール含有化合物を金表面に付着させることによって、または金表面を他の官能基で誘導体化することによって容易に達成される。この特徴は、本明細書で論じられるように、細孔修飾化合物および感知標識の付着を許す。本明細書に記載の生物学的細孔に使用されるシス/トランス装置などのデバイスを金ナノポアと共に使用して、単一コード分子を分析することができる。
タグを検出するモードがタグを通る電流(例えば、電子トンネル電流)を含む場合、固体膜は、様々な技法によって金属化され得る。導電層は、鎖の長さに沿ってタグを調べるのに好適な電極、例えば、長手方向の電子トンネル電流を生成するために膜の両側に堆積されてもよい。他の実施形態では、導電層を膜の一方の表面に堆積させて、細孔を横切るタグ、例えば、横方向トンネル電流を調べるのに好適な電極を形成することができる。スパッタ堆積(すなわち、物理蒸着)、無電解堆積(例えば、コロイド懸濁液)、および電解堆積を含む、導電性材料を堆積するための様々な方法が知られている。他の金属堆積技法は、フィラメント蒸着、金属層蒸着、電子ビーム蒸着、フラッシュ蒸着、および誘導蒸着であり、当業者には明らかとなるであろう。
いくつかの実施形態では、検出電極は、スパッタ堆積によって形成され、ここでイオンビームは、金属ブロックに衝突して金属原子を蒸発させ、次いで薄膜の形態でウェハ材料上に堆積される。使用されるリソグラフィ方法に応じて、金属フィルムは、次いで反応性イオンエッチングによってエッチングされるか、または化学機械研磨を使用して研磨される。金属フィルムは、予め形成されたナノポア上に堆積され得るか、またはポアの製造前に堆積されてもよい。
いくつかの実施形態では、検出電極は、電着によって製造される(例えば、Xiang et al.,2005,Angew.Chem.Int.Ed.44:1265−1268、Li et al.,Applied Physics Lett.77(24):3995−3997、および米国出願公開第2003/0141189号を参照)。この製造方法は、固体フィルムの一方の面上に位置付けられたナノポアおよび対応する検出電極を生成するため、例えば横方向電子トンネルを検出するために好適である。最初に、従来のリソグラフィプロセスを用いて、シリコンウェハ上に支持されている二酸化ケイ素層上に一対の対向電極を形成する。電解液が電極を覆い、電極対に電流を通すことによって、金属イオンが一方の電極に堆積する。経時的な電極上の金属を堆積は、電極間のギャップ距離を減少させ、検出電極だけでなくコード化分子の転位のためのナノメートル寸法のギャップも作り出す。電極間のギャップ距離は、多くのフィードバックプロセスによって制御することができる。
検出が電荷誘導電界効果の撮像に基づく場合、米国特許第6,413,792号および米国出願公開第2003/0211502号に記載されているように、半導体を製造することができる。これらのナノポアデバイスを製造する方法は、他の固体ナノポアを製造するために用いられるものと同様の技法を使用することができる。
ポリヌクレオチドなどのタグの検出は、以下でさらに記載されるように実行される。タグの分析のために、ナノポアは様々なフォーマットで構成されてもよい。いくつかの実施形態では、デバイスは、シスおよびトランスチャンバとも称される、2つのリザーバの間に保持されたナノポアを含む、生物学的または固体のいずれかの膜を含む(例えば、米国特許第6,627,067号を参照)。2つのチャンバ間の電子移動のための導管は、2つのチャンバの電気的接触を可能にし、2つのチャンバ間の電圧バイアスは、ナノポアを通るタグの転位を駆動する。この構成の変形は、米国特許第6,015,714号および第6,428,959号、ならびにKasianowiscz et al.,1996,Proc Natl Acad Sci USA 93:13770−13773(これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれ)に記載されているように、ナノポアを通る電流の分析に使用される。
上記デバイスの変形は、米国出願公開第2003/0141189号に開示されている。電着によって製造された一対のナノ電極が、基板表面上に位置付けられる。電極は互いに向き合っており、単一核酸の通過に十分なギャップ距離を有する。絶縁材料がナノ電極を保護し、核酸の検出のためにナノ電極の先端のみを露出させる。絶縁材料およびナノ電極は、試料リザーバとして働くチャンバと、ポリマーが転位によって送達されるチャンバとを分離する。カソード電極およびアノード電極は、タグを試料チャンバから送達チャンバへ駆動するための電気泳動電界を提供する。
ナノポアを通してタグを駆動するために使用される電流バイアスは、ナノポアを通して向けられた電界を印加することによって発生させることができる。いくつかの実施形態では、電界は、定電圧または定電流バイアスである。他の実施形態では、タグの移動は、電気泳動電界パラメータのパルス操作を通して制御される(例えば、米国特許出願第2003/141189号および米国特許第6,627,067号を参照)。電流パルスは、規定の期間にわたってオリゴヌクレオチドタグの1つまたは少数の塩基を細孔を通して正確に転位させ、タグをその細孔内に短時間保持する方法を提供することができ、それによりタグの電気的特性のより優れた分解能を提供する。
ナノポアデバイスは、オリゴヌクレオチドタグがナノポアを通過するときに、オリゴヌクレオチドタグの配向を制限するための電界または電磁場をさらに含んでもよい。この保持場を使用して、細孔内のオリゴヌクレオチドタグの移動を減少させることができる。いくつかの実施形態では、転位の方向に直交する電界が、ナノポア内のタグ分子の移動を制限するために提供される。これは、米国特許出願公開第2003/0141189号に、試料プレートの上下に2つの平行な導電プレートを使用することによって示されている。これらの電極は、タグ分子の転位方向と直交する電界を生成し、したがってタグ分子を試料プレートのうちの1つに保持する。DNAの負電荷骨格、または一方の鎖に負電荷を有するように修飾された核酸は、アノードプレートの上に配向され、それによってタグ分子の動きを制限する。
さらに他の実施形態では、タグの位置を制御することは、米国特許出願公開第2004/0149580号に記載されている方法によって実行され、これはナノポアの近くまたはナノポア上の一連の電極位置を介してポア内に生じる電磁場を用いる。これらの実施形態では、一組の電極は、直流電圧と高周波電位を印加し、一方で第2の電極の組が反対の直流電圧と、第1の電極の組によって発生した高周波電位に関して180度位相がずれた高周波電位とを印加する。この高周波四重極は、電界の中心(すなわち、細孔の中心)に電荷粒子(例えば、核酸)を保持する。
例示的な実施形態では、ナノポア膜は、導電層および誘電体層の多層スタックであってもよく、埋め込まれた導電層または導電層ゲートは、タグが転位するナノポア内およびその周囲に、よく制御され測定可能な電界を提供する。態様では、導電層は、グラフェンであってもよい。積層されたナノポア膜の例は、例えば、US2008/0187915およびUS2014/0174927に見られる。
ナノポアは、膜、層、または他の基板に位置してもよく、これらの用語は、ナノポアを含む二次元基板を説明するために互換的に使用されてきた。
ある特定の実施形態では、ナノポアは、そのナノポアを使用して検体の濃度を検出および/または決定するためのアッセイプロセスの一部として形成され得る。具体的には、ナノポアを使用して検体の濃度を検出および/または決定するためのデバイスは、膜または層にナノポアを形成することなく最初に提供されてもよい。デバイスは、膜の反対側で2つのチャンバ(シスチャンバおよびトランスチャンバ)を分離する膜を含み得る。シスチャンバおよびトランスチャンバは、塩溶液を含み得、電源に接続され得る。ナノポアが膜内に形成される場合、電圧がシスおよびトランスチャンバ内の塩溶液に印加され、膜を通るコンダクタンスが測定される。ナノポアの形成前に、膜を横切って測定される電流は全くないかまたは最小である。ナノポアの形成後、膜を横切って測定された電流は増加する。電圧は、所望の直径のナノポアを形成するのに十分な時間量にわたって印加することができる。ナノポアの形成に続いて、検体またはタグをナノポアを通して転位させ、転位事象を検出することができる。ある特定の実施形態では、同じ塩溶液を、ナノポアの形成、ならびにナノポアを通る検体またはタグの転位の検出に使用することができる。ナノポアの形成および/またはナノポアを通る検体もしくはタグの転位のために、任意の好適な塩溶液を利用することができる。カウント標識を損傷しない任意の塩溶液を使用することができる。例示的な塩溶液としては、塩化リチウム、塩化カリウム、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。塩溶液の濃度は、塩溶液の所望の導電率に基づいて選択することができる。ある特定の実施形態では、塩溶液は、1mM〜10M、例えば10mM〜10M、30mM〜10M、100mM〜10M、1M〜10M、10mM〜5M、10mM〜5M、10mM〜3M、10mM〜1M、30mM〜5M、30mM〜3M、30mM〜1M、100mM〜5M、100mM〜3M、100mM〜1M、500mM〜5M、500mM〜3M、または500mM〜1Mの範囲、例えば、10mM、30mM、100mM、500mM、1M、3M、5M、または10Mの濃度を有し得る。
いくつかの実施形態では、ナノポアは遮断されてもよく、遮断されたナノポアは、ナノポア層または膜を横切って電極によって印加される電圧のパターンを変調することによって除去される。いくつかの場合において、遮断されたナノポアは、ナノポア層または膜を横切る電圧の極性を反転させることによって除去される。場合によっては、遮断されたナノポアは、ナノポア層または膜を横切って印加される電圧の大きさを増加させることによって除去される。電圧の増加は、10秒以下、例えば8秒以下、6秒以下、5秒以下、4秒以下、3秒以下、2秒以下、1秒以下、0.5秒以下、0.4秒以下、0.3秒以下、0.2秒以下、0.1秒以下を含めて継続する一時的な増加であり得る。
h)シグナル検出
ナノポアを通るまたは横切る転位によってタグ/アプタマーを調べること、および検出可能な特性を検出することは、タグ/アプタマーをカウントする(すなわち、量もしくは濃度を決定する)および/または識別する(すなわち、存在を決定する)ために使用できるシグナルを発生させる。用いられる検出方法の種類は、タグについて検出されている特性に対応し得る。
いくつかの実施形態では、検出可能な特性は、タグが細孔を通って転位するときのナノポアの電気的特性に対するタグの効果である。ナノポアの電気的性質は、とりわけ、電流振幅、インピーダンス、持続時間、および周波数を含む。ある特定の場合において、タグは、ナノポア力分光法を使用することによって識別され得る(例えば、Tropini C.and Marziali A.,Biophysical Journal,2007,Vol.92,1632−1637を参照)。細孔の電気的特性を検出するためのデバイスは、薄膜または膜などの層に組み込まれたナノポアを含むことができ、このフィルムまたは膜は、導電性ブリッジによって接続されたシスチャンバとトランスチャンバとを分離する。分析されるタグは、ナノポアのシス側に、典型的には塩化カリウムなどの1つ以上の溶解塩を含む水溶液中に存在してもよい。ナノポアのシス側およびトランス側に位置付けられた電極を使用してポアを横切って電界を印加することは、ナノポアを通るタグの転位を引き起こし、これがポアを通るイオンの移動に影響を与え、それによってポアの電気的特性を変える。電流は、電流シグナルパターンを検出するのに十分なデータ点を得るために好適な時間周波数で測定され得る。次いで、生成されたシグナルパターンは、試料中の検体に公知の検体濃度で結合した公知のタグの単一の集団の検査から各参照パターンが得られる、参照パターンの組と比較することができる。前述のように、ナノポア(複数可)を通って転位する同種のタグの数は、単位時間当たり、例えば、15分、13分、10分、8分、6分、4分、2分、1分、30秒、20秒当たり、15秒当たり、10秒当たり、5秒当たり、1秒当たり、100ミリ秒当たり、10ミリ秒当たり、または1ミリ秒当たりにナノポア(複数可)を通ってまたは横切って転位する同種のタグの数をカウントすることができる。いくつかの場合において、ナノポア(複数可)を通って転位する同種のタグの数を一定期間にわたってカウントして、閾値カウントに達するまでの時間量を決定することができる。電流振幅、電流持続時間、電流周波数、および電流の大きさのシフトは、タグのシグナルパターンを定義し、異なるタグを互いに区別するために使用され得る。パッチクランプ技法などによるナノポアの電流特性の測定は、上述の刊行物および様々な参照文献、例えば、Hille,B,2001,Ion Channels of Excitable Membranes,3rd Ed.,Sinauer Associates,Inc.,Sunderland,Massに記載されている。ある期間にわたって測定されたカウント数(カウント/時間)は、ナノポアを通ってまたは横切って転位する分子(例えば、タグ)の濃度に比例する。タグの濃度は、標準曲線を作成することによって決定することができる。例えば、一連の異なる濃度の標準分子を、ナノポアを通して転位させ、カウント/時間を測定して各濃度のカウント速度を計算することができる。測定されているタグのカウント速度を標準曲線と比較して、タグの濃度を計算する。
いくつかの実施形態では、タグの検出可能な特性は、電子の量子トンネルであり得る。量子トンネルは、粒子の量子波特性を介した古典的に禁制されたエネルギー状態を通る遷移の量子力学的効果である。電子トンネルは、ドナーとアクセプターとの間の電子の移動に対して電位障壁が存在するところで起こる。電子トンネルを検出するために、微細加工電極チップを標本から約2ナノメートルに位置付けることができる。適切な分離距離では、電子はチップと試料との間の領域をトンネルし、チップと試料との間に電圧が印加される場合、電子の正味の電流(すなわち、トンネル電流)は、ギャップを通って電圧バイアスの方向に流れる。ナノデバイスがトンネル電流を測定するために検出電極を使用する場合、電極は、検出電極とタグとの間に電子トンネルがあるように、転位タグに近接して位置付けられる。以下でさらに論じられるように、転位タグに対する電極の配置は、タグを通して生じる電子輸送の種類を決定し得る。
いくつかの実施形態では、タグの分析は、核酸鎖を通って(すなわち、核酸鎖に沿って長手方向に)生じる電流の流れを検出することを含み得る(Murphy et al.,1994,Proc Natl Acad Sci USA 91(12):5315−9)。電子伝達の正確な機構は知られていないが、電子トンネルは、DNAの輸送特性に対する1つの説明として与えられている。しかしながら、二本鎖核酸を通る電子輸送の基礎をなす物理学は、本明細書の目的のために制限するものではなく、核酸を流れる電流の検出は、1つのポリマータグを別のポリマータグから区別するのに役立つ。タグ分子鎖を通って長手方向に生じる電子流を検出するために、検出電極は、タグ分子転位の方向に対して長手方向に位置付けられてもよく、それにより、拡張タグ分子の鎖に対して平行な電極間にギャップが存在する。様々な実施形態では、検出電極は、ナノポアの2つの側面を分離する層(複数可)(例えば、膜)の反対側に配置され得るが、他の実施形態では、検出電極は、ナノポアの2つの側面を分離する層(複数可)内に位置付けられ得る。
核酸中の電子の流れの別の形態は、核酸を横切って、例えば伸長した核酸鎖を横断する方向に(例えば、二本鎖核酸の直径を横切って)起こるものである。二本鎖核酸では、電子輸送は、対塩基を通して起こり得るが、一本鎖核酸では、電子輸送は、単一の非対塩基を通して起こり得る。さらに、化学組成、水和構造、電荷イオンとの相互作用、各塩基の空間的配向、および異なる塩基対の組み合わせにおける違いは、横方向電子輸送特性を変化させ、したがって配列および/またはポリマー骨格が異なるタグ分子を区別するための基礎を提供し得る。タグ分子を横切る(すなわち、伸長した核酸鎖を横断する)電子の流れを検出するために、検出電極は、ナノポアを通るのではなく横切るタグ分子を調べるためにナノポアの片側に位置付けられる。
長手方向または横方向の検出の実施形態では、電極の厚さは、電極によって調べられる塩基の総数を決定し得る。横方向検出のために、検出電極の先端は、(本明細書中で定義されるように)単一核酸塩基を調べるために寸法決めされ得、それにより単一塩基分解能を得る。他の実施形態では、検出電極の寸法は、複数の核酸塩基を調べるために配置されている。したがって、いくつかの実施形態では、一度に調べられる核酸塩基の数は、タグ分子の様々なポリマー配列の違いを検出するのに必要な分解能に応じて、約2以上、約5以上、約10以上、または約20以上であり得る。
他の実施形態では、タグの構造の違いは、静電容量の違いとして検出され得る。この種の測定は、US2003/0141189に示されている。静電容量は、定義された印加周波数およびインピーダンスで印加AC電圧に位相シフトを引き起こす。各核酸塩基についての位相シフト特性は、公知の配列および構造の核酸について決定され、個々の塩基特性を特定するための参照標準として使用される。最近傍分析は、静電容量測定値が複数の核酸塩基に及ぶことを許し得る。
他の実施形態では、検出技法は、米国特許第6,413,792号および米国公開出願第2003/0211502号に記載されているように(それらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)、電荷誘導性電界を撮像することに基づいてもよい。電荷誘導性電界に基づいてタグを検出するために、上述の半導体デバイスが使用される。ソース領域とドレイン領域との間に電圧を印加すると、半導体中に電流が流れるためのチャネルが形成される場合には、ソースからドレインへの電流の流れが生じる。各核酸塩基は、関連する電荷を有するため、タグ分子が半導体細孔を通過すると、細孔を裏打ちする半導体材料の導電率が変化し、それによって特定の大きさおよび波形の電流が誘導される。電荷、電荷の分布、および塩基のサイズの違いに起因して、大きさや波形の異なる電流は、異なる塩基によって産生される。米国特許第6,413,792号に開示されている実施形態では、ポリマーは、p型シリコン層で形成された細孔を通過する。タグ分子の転位は、上記のように、ポリマーを他の種類のチャネルを通して移動させるために使用されるものと同様の方法によって達成される。電流の大きさは、マイクロアンペアの範囲であると予想され、それは電子トンネルによって検出される予想されるピコアンペアの電流よりはるかに高い。タグ分子中のポリマーブロック領域は、単一の核酸塩基より多くを含むため、これらのブロックポリマー領域は、ブロックポリマー領域の電荷および電荷分布を反映した明確なシグナルを発生させるはずである。
上記の説明は、個々の検出技法に関するものであるが、いくつかの実施形態では、単一のタグ分子を調べるために複数の異なる技法を使用することができる(例えば、Kassies et al.,2005,J Microsc 217:109−16を参照)。複数の検出モードの例としては、とりわけ、電子トンネル電流と組み合わせた電流遮断、および撮像電荷誘導電界と組み合わせた電流遮断が挙げられる。異なる検出モードによる同時検出を使用して、異なる検出モード間で結果として生じるシグナルの検出時間を相関させることによって、タグ分子を識別することができる。
いくつかの実施形態では、層を通って転位するタグの数を測定すること、または層を通って転位するタグを検出することは、ナノポアに対するタグの電流遮断効果を観察することを含む。いくつかの実施形態では、電流遮断効果が閾値レベルを超えるとき、検体は試料中に存在する。
3.検体分析のためのデバイス
本開示は、ナノポアデバイスおよび集積マイクロ流体ナノポアデバイスと共に使用されるマイクロ流体デバイスを説明している。ナノポアデバイスおよび集積マイクロ流体ナノポアデバイスと共に使用される開示されたマイクロ流体デバイスは、上記のように、検体分析の方法において使用され得る。しかしながら、ある特定の場合において、本明細書に記載のデバイスは、他の用途に使用されてもよい。同様に、ある特定の場合において、本明細書に記載の方法を他のデバイスと共に使用することができる。
ナノポアデバイスと共に使用されるマイクロ流体デバイスは、図1Aおよび図1Bに示されている。マイクロ流体デバイス10は、ナノポアデバイス15内で分析されることになる液滴11を用いて示されている。液滴は、ナノポアデバイスを使用してカウントされることになるタグ(例えば、切断タグまたはアプタマー)を含み得る。ナノポアデバイス15は、第1のチャンバ16、ナノポア18を有する層17、および第2のチャンバ19を含む。図1Aおよび図1Bは、液滴11がマイクロ流体デバイス10から除去され、ナノポアデバイス15内に配置される液体転送ステップ1を示す。図1Aに示すように、液滴が層17を横切って分割され、ナノポア18に位置付けられるように、液滴11が層17上に堆積される。液滴は、入口(図示せず)を介してナノポアデバイス15に導入することができる。入口ポートは、層17の一部の上に位置付けられてもよい。例えば、入口ポートは、ナノポアを含む層が位置付けられているチャンバの壁の開口部に位置することができる。図1(B)では、液滴11が第1のチャンバ16内に堆積している。緩衝液添加ステップ2は、第2のチャンバ19に緩衝液を導入する。他の実施形態では、液滴11を第1のチャンバ16に導入する前に、緩衝液を第2のチャンバ19に添加することができる。さらに他の実施形態では、液滴11は、緩衝液が第1のチャンバ16に添加される前または後に、第2のチャンバ19内に堆積されてもよい。図1Aでは、いずれかのチャンバに緩衝液を添加するステップは不要である。
別の実施形態では、デバイスは、集積デバイスであり得る。集積デバイスは、別々に構築され、次いで組み合わされて集積デバイスを形成することができるマイクロ流体モジュールおよびナノポアモジュールを含み得るか、またはマイクロ流体モジュールおよびナノポアモジュールは、単一デバイスに一緒に組み込まれ得る。
図2Aおよび2Bは、ナノポアモジュールと組み合わされたマイクロ流体モジュールを有し、2つのモジュールがチャネルを使用してそれらを接続することによって集積されている、集積デバイスの概略図を示す。図2Aおよび図2Bは、集積デバイスを生成するために組み合わされる個々のモジュールを含むデバイスを示しているが、図2Aおよび図2Bのデバイスはまた、2つのモジュールが接続される単一デバイスとして製造することもできることが理解される。
図2Aおよび図2Bの上部パネルにおいて、マイクロ流体モジュール20は、ナノポアデバイス30内で分析されることになる液滴25と共に示されている。ナノポアモジュール30は、第1のチャンバ31、ナノポア33を有する層32、および第2のチャンバ34を含む。マイクロ流体モジュール20は、チャネル40を介してナノポアモジュール30と集積されている。チャネルは、2つのモジュールを流体的に接続し、マイクロ流体モジュール20からナノポアモジュール30への液滴25の移動を容易にする。中央のパネルは、マイクロ流体モジュール20からチャネル40を介したナノポアモジュール30への液滴25の移動を示す。図2Aに示すように、チャネルは、マイクロ流体モジュール20をナノポアモジュール30の入口ポートに接続することができる。入口ポート(図示せず)は、液滴25が層32を横切って分割され、ナノポア33に位置付けられるように、液滴25が層32上に堆積されるように位置付けることができる。転送プロセスの最後に、液滴は、ナノポア33を横切って位置付けられる(図2A、下パネル)。他の実施形態では、チャネル40は、マイクロ流体モジュール20をナノポアモジュール30の第1または第2のチャンバ内の入口ポートに接続することができる。そのような実施形態が図2Bに示されており、ここでチャネル40は、マイクロ流体モジュール20をナノポアモジュール30の第1のチャンバ31内の入口ポートに接続する。液滴25を第1のチャンバ31に転送した後、または転送前に、緩衝液を第2のチャンバに添加することができる。図2Bのステップ2では、液滴25を第1のチャンバ31に転送した後に、緩衝液を第2のチャンバ34に添加する。任意選択で、転送が完了した後、チャネル40を取り外して2つのモジュールを分離することができる。図1A、図1B、図2Aおよび図2Bにそれぞれ示すマイクロ流体およびナノポアデバイスおよびモジュールは、各々個々に機能的である。
図2C〜2Hは、デジタルマイクロ流体モジュール50およびナノポアモジュール60を含む、集積デバイスの実施形態を示す。デジタルマイクロ流体モジュールは、ナノポアモジュールに輸送される液滴の生成に使用される複数の試薬リザーバ51に動作可能に接続された電極49のアレイと共に示されている。リザーバ51のうちの1つ以上は、試薬または試料を含み得る。異なる試薬は、異なるリザーバに存在してもよい。マイクロ流体モジュール50には、電極49のアレイを電源(図示せず)に接続する接触パッド53も示されている。電極49のアレイを接触パッドに接続するトレース線は描かれていない。電極49のアレイは、1つ以上の液滴(緩衝液滴、または緩衝液および/もしくはタグ(例えば、切断されたタグもしくは解離したアプタマー)を含む液滴)を、デジタルマイクロ流体モジュール50とナノポアモジュール60との間の界面100に位置する転送電極71および72の一方または両方に輸送する。デジタルマイクロ流体モジュール50およびナノポアモジュール60は、インターフェース100において動作可能に接続されている。ナノポアモジュール60は、ナノポア層70が配設されている位置で互いに交差する、少なくとも2つのマイクロ流体毛細管チャネル61および62を含む。2つのマイクロ流体毛細管チャネル61および62は、ナノポアモジュール内の2つの異なる基板に位置している(図2Dに示される)。したがって、ナノポアモジュールは、第1の基板63の上面にマイクロ流体毛細管チャネル61を含む第1の基板63(例えば、底部基板)を含み、第2の基板の第1の表面にマイクロ流体毛細管チャネル62を有する、第2の基板64(例えば、上部基板)をさらに含む。第2の基板64は、マイクロ流体毛細管チャネル61を覆い、第1の基板63は、マイクロ流体毛細管チャネル62の下にある。毛細管チャネル62は、ナノポア層70の位置で2つのチャネルの交差部で毛細管チャネル61を覆っている(図2D、下パネルも参照)。2つの毛細管チャネルは、交差部に置かれたナノポア層70によって交差部で物理的に分離されている。ナノポア層70は、毛細管チャネルの交差部に位置付けられ、ナノポアを通して1つの毛細管チャネルから他のものへの分子の輸送を可能にする、少なくとも1つのナノポア(図示せず)を含む。毛細管チャネル61および62は、毛細管チャネルの第1の端部で界面100で開口し、毛細管チャネルの第2の端部でリザーバ/通気口(図2Cに見られるように84および85)に開口している。また、図2Cに示されているのは、電極49のアレイ上に位置付けられているカバー基板101である。カバー基板101は、マイクロ流体モジュール内に液滴が操作されるギャップを画定する。カバー基板101は、任意選択で、マイクロ流体モジュール50内の液滴を操作するための二平面電極構成を提供する、カバー基板101の底面に配設された電極55(例えば、参照電極)を含み得る。二平面電極構成がない場合、液滴は、例えば電極49のアレイまたは別の共面電極構成を使用して、共面電極作動を使用することによってマイクロ流体モジュール50内で操作することができる。例えば、US6911132に記載されている共面電極は、マイクロ流体モジュール50内の液滴を操作するために使用することができる。
図2Dの上パネルは、デジタルマイクロ流体モジュール50とナノポアモジュール60が動作可能に接続されている、インターフェース100の断面の正面図の概略図を示す。転送電極72におけるデバイスの断面の側面図の概略図が、図2Dの下パネルに描かれている。図2Dの上パネルは、マイクロ流体モジュール50とナノポアモジュール60との間の界面100に位置する2つの転送電極71および72上に位置付けられた2つの液滴(65aおよび65b)を示す。図2Dの上パネルに示すように、電極71に位置付けられた液滴65aは、毛細管チャネル61の開口部と整列し、電極72に位置付けられた液滴65bは、毛細管チャネル62の開口部と整列する。図2Dの下パネルは、転送電極72上の液滴65bの配置を示す集積デバイスの断面の側面図を示す。液滴65bは、毛細管チャネル62内に移動するように位置付けられている。毛細管チャネル61も示されている。しかしながら、毛細管チャネルは、転送電極72から一定の距離にあり、転送電極71(図示せず)と整列している。カバー基板101の底面に電極55が配設されたカバー基板101も描かれている。図2D〜2Hに示す集積デバイスの実施形態では、ナノポアモジュールは、マイクロ流体モジュールの電極アレイと同じ基板上に配設されている。
転送電極の上面と毛細管チャネルへの入口との間の垂直距離は、マイクロ流体モジュールおよびナノポアモジュールの下部を形成する基板の厚さによって決定され得る。垂直距離は、ナノポアモジュールに移される液滴の体積に基づいて設定されてもよい。垂直距離は、基板の厚さを変えることによって調整することができる。例えば、ナノポアモジュールの基板(例えば、基板63)を比較的薄く保つことができ、または(例えば、より厚い基板を使用することによって)転送電極が配設される基板の厚さを増加させて、液滴が毛細管チャネルの入口と整列することを保証する。より厚い底部基板を有するマイクロ流体モジュールを使用することによって、液滴を毛細管チャネルへの入口と整列させる例示的なデバイスを図2Eに示す。図2Eに示すデバイスは、図2C〜図2Dについて説明したのと同じ構成を有する。しかしながら、電極アレイが位置付けられている基板59aの厚さは、ナノポアモジュールが配設されている基板の部分の厚さに対して増加する。図2Eの上パネルは、マイクロ流体モジュールとナノポアモジュールとの間の界面100における断面の正面図を示す。図2Eの下パネルは、転送電極72および毛細管チャネル62の位置における断面の側面図を示す。図2Eに示すように、電極アレイ49と転送電極71、72が配設された基板59aは、ナノポアモジュールが配設された基板59bよりも厚い。図2Eの下パネルに示すように、基板59aは、第1の高さH1を有し、基板59bは、第2の高さH2を有し、ここでH1はH2より大きい。基板59aと59bとの間の高さの差により、ナノポアモジュール内の毛細管チャネル61および62が、それぞれ電極71および72上に位置付けられた液滴と整列する。図2Eの下パネルにはまた、チャネル61が描かれている。図2Cから明らかなように、毛細管チャネル62は、ナノポア層70の位置で毛細管チャネル61に対して垂直である。チャネル61は、転送電極71と整列しており、転送電極71上に位置付けられた液滴65aを受け取るように構成されている。2つの毛細管チャネルは交差部で互いに垂直であるように描かれているが、2つのチャネルが90度以外の角度で交差する他の構成もまた想定される。
毛細管チャネルと接触すると、液滴は、毛細管作用などの任意の好適な手段を介して毛細管チャネル内に移動する。毛細管チャネルへの液滴の移動は、追加の方法/材料によって促進され得る。例えば、液滴は、拡散、ブラウン運動、対流、ポンピング、印加圧力、重力駆動流、密度勾配、温度勾配、化学勾配、圧力勾配(正または負)、空気圧、気体生成化学反応、遠心流、毛細管圧、ウィッキング、電界媒介、電極媒介、電気泳動、誘電泳動、磁気泳動、磁場、磁気駆動流れ、光学力、走化性、走光性、表面張力勾配駆動流れ、マランゴニ応力、熱−毛細管対流、表面エネルギー勾配、音響泳動、表面弾性波、電気浸透流、熱泳動、エレクトロウェッティング、オプトエレクトロウェッティング、またはそれらの組み合わせを介して毛細管チャネル内に移動し得る。追加としてまたは代替として、毛細管チャネル内への液滴の移動は、例えば、本明細書に開示されるものなどの作動力を使用すること、毛細管に親水性コーティングを使用すること、毛細管チャネルのサイズ(例えば、幅および/または高さおよび/または直径および/または長さ)を変えることによって容易にすることができる。
図2C〜図2Hに示す実施形態では、毛細管チャネル61および62を横切る流体の流れは、毛細管の断面を変化させることによって少なくとも部分的に制御され、流体は最初に、毛細管のより狭い部分に入るまで比較的速く動く。一方または両方の液滴は、ナノポアによる分析のために検出またはカウントされる検体(または切断されたタグもしくは解離したアプタマー)または導電性溶液(例えば、検体を含まない緩衝液)を含有する液滴であり得る。ある特定の場合において、一方の液滴65aは、検体/タグ/アプタマーを含有する液滴であり得、他方の液滴65bは、緩衝液滴であり得る。単一の液滴が各チャネルについて描かれているが、実際には、複数の液滴がナノポアモジュールに輸送され得る。例えば、複数の液滴は、順次にナノポアモジュールに輸送されてもよい。いくつかの場合において、複数の液滴を一方または両方の転送電極に集めて、より大きな液滴を生成し、それをナノポアモジュールに輸送することができる。
図2Fは、集積デバイスに使用される様々な電極の例示的な構成を示す。上述のように、単一の連続電極55(図2Fには示されていない)は、マイクロ流体モジュール60内の電極49のアレイから間隔を空けて位置付けられている。電極のアレイは、一連の個々に制御可能な電極を含む。電極55は、カバー基板101の下面に配設されている。電極55および電極のアレイは、液滴を転送電極上に移動させる。電極55は、転送電極71および72を覆わないことが示されているが、ある特定の例示的なデバイスでは、カバー基板101および電極55は、転送電極を覆って延在することができる。電極55が転送電極を覆っていない実施形態では、共面電極を使用して、液滴を転送電極に移動させることができる(例えば、US6911132に記載されているような共面作動)。本明細書に記載されるように、単一電極55は、基準電極または接地電極として機能することができ、一方で電極49のアレイは、個々に制御可能であり得る(例えば、電極のアレイは独立に作動できる作動電極であり得る)。電極対:80aと80bの対および90aと90bの対が、ナノポアモジュール内に位置付けられている。電極対80a、80bおよび90a、90bを使用して、ナノポア層70内のナノポアを通して電荷分子を駆動するために、ナノポア層70を横切って反対の極性を確立する。いくつかの実施形態では、電極対80aおよび80bは正電極であり得、電極対90aおよび90bは負電極であり得る。図2Gは、(4つではなく)2つの電極80および90が、ナノポア層70を横切って極性差を確立するために使用される、ナノポアモジュールの代替電極構成を示す。これらの実施例は、ナノポアを通して電荷分子を転位させるために、ナノポア層を横切って電位勾配を生成する対称(4電極)または非対称(2電極)電極構成の使用を実証する。
図2Hは、1つのチャネル61のみが界面100でマイクロ流体モジュールに接続されている毛細管チャネルの代替構成を示す。他のチャネル62は、ナノポアを横切る電荷分子の移動を容易にするために、導電性液体で満たされ得る2つのリザーバに接続される。
ある特定の場合において、本明細書で提供される集積デバイスは、第1の基板の上面の第1の領域上にデジタルマイクロ流体モジュール部分用のリザーバおよび電極のアレイを形成することによって製造され得る。第2の基板は、第2の基板の底面に単一電極(例えば、電極55)を配設することによって調製され、個々に制御可能な電極のアレイ上に間隔を空けて位置付けられて、二平面液滴作動のために単一電極と電極のアレイとの間に対向配向を提供することができる。本明細書で使用される場合、「液滴作動」は、本明細書で開示されるようなマイクロ流体デバイスを使用するか、またはUS6,911,132、US6,773,566、もしくはUS6,565,727(これらの開示は参照により本明細書に組み込まれる)に開示される液滴アクチュエータを使用する液滴の操作を指す。したがって、本明細書に開示されるデバイスの二平面電極または電極のアレイの構成は、US6,911,132、US6,773,566、またはUS6,565,727に開示されるものと同様であり得る。第2の基板上の電極55はまた、参照電極とも称され得る。マイクロ流体モジュール内の電極は、任意選択で、誘電材料でコーティングされていてもよい。疎水性コーティングもまた、誘電体上に設けることができる。
ある特定の実施形態では、マイクロチャネルは、電極49のアレイが配設されている第1の基板の第2の領域上に配設され得る、第3の基板上に形成され得る。例えば、第3の基板は、マイクロ流体電極アレイが第1の領域に配設されている第1の基板上の第2の領域の上に接着されてもよい。基板は、予め形成されたマイクロチャネルを有してもよく、またはマイクロチャネルは、接着ステップの後に形成されてもよい。第2のマイクロチャネルを有する第4の基板を、マイクロチャネルを含む基板の上に配設して、図2C〜図2Hに示される集積デバイスを提供することができる。ナノポア層は、2つのマイクロチャネルの交差位置でいずれかのマイクロチャネル上に配設されてもよい。したがって、ナノポアモジュールを形成する基板は、いずれかの端部および片側で開いているマイクロチャネルを含み得る。第3の基板上に第4の基板を配置することにより、マイクロチャネルが閉じられ、それによって毛細管チャネル(例えば、61および62)が形成される。
ある特定の実施形態では、マイクロチャネルは、電極のマイクロ流体アレイが配設されている第1の基板上に配設されてもよい別々の基板上に形成されてもよい。例えば、別の基板は、マイクロ流体電極アレイが第1の領域に配設されている第1の基板上の第2の領域の上に接着されてもよい。基板は、予め形成されたマイクロチャネルを有してもよく、またはマイクロチャネルは、接着ステップの後に形成されてもよい。第2のマイクロチャネルを有する別の基板を、マイクロチャネルを含む基板の上に配設して、図2C〜図2Hに示される集積デバイスを提供することができる。ナノポア層は、2つのマイクロチャネル61および62の交差位置でいずれかのマイクロチャネル上に配設され得る。
いくつかの実施形態では、マイクロチャネルは、電極のマイクロ流体アレイが配設されている第1の基板上の第1の領域に隣接する第2の領域に導入されてもよい。例えば、マイクロチャネルは、第2の領域の上面にエッチングされてもよい。ナノポア層は、マイクロチャネル上の位置に配置されてもよい。ナノポア層は、予め形成されたナノポア(複数可)を含み得る。代替実施形態では、ナノポア(複数可)は、マイクロチャネル上の位置に層を位置付けた後に形成することができる。第3の基板は、第3の基板の底面にマイクロチャネルを導入することによって調製され得る。第3の基板は、第1の基板の第2の領域の上面がその上面を横切って第3の基板の底面と接触し、それにより閉じた毛細管チャネル61および62を形成するように、第1の基板上の第2の領域の上に位置付けられてもよい。
図2I〜2Kは、デジタルマイクロ流体モジュール250およびナノポアモジュール260が、マイクロ流体モジュールの電極249のアレイ(一連の個々の制御可能な電極)が、第1の領域上に配設され、マイクロ流体チャネル261が第2の領域に形成される、共通の底部(第1の)基板210を共有するデバイスを示す。第1の基板内のマイクロ流体チャネル261は、転送電極271と整列している。単一の連続電極255(例えば、参照電極)を有する第2の基板220は、デジタルマイクロ流体モジュール250内の電極のアレイ249から間隔を空けて配設されている。第3の基板の下面に形成されたマイクロ流体チャネル262を含む第3の基板230は、第1の表面210の第2の領域上に置かれ、それによってマイクロ流体チャネル261が形成される第1の基板の上面を覆う。ナノポアモジュール内の第1の基板および第3の基板は、マイクロ流体チャネル261および262を包囲し、それによって毛細管チャネル261および262を提供する。「マイクロ流体チャネル(複数可)」および「マイクロチャネル(複数可)」は、本明細書では互換的に使用され、基板の表面の通路または切り欠き部を指すことが理解される。通路上に基板を配置すると、通路は包囲されて毛細管チャネルを形成する。図2Cと同様に、毛細管チャネルは、マイクロ流体モジュール250とナノポアモジュール260との間の界面100で一端でマイクロ流体モジュールに流体的に接続されてもよく、他端にリザーバまたは通気口を有してもよい。他の実施形態では、第2の毛細管チャネル262は、図2Hの毛細管チャネル62と同様に構成され得る。すなわち、第2の毛細管チャネル262は、いずれかの端部でマイクロ流体モジュールに接続されない場合があり、かつ両端でリザーバ/通気口に接続され得る。デバイスの上面図を図2Iに示し、モジュール間の界面におけるデバイスの断面の正面図を図2Iに示す(続き)。正面図から明らかなように、液滴265aは、毛細管チャネル261への入口よりも高い平面上にある。液滴265aを毛細管チャネル261内に流すことを可能にするために、ノッチ280が第3の基板230の側縁に形成され、液滴がマイクロチャネル261内に移動するための空間を提供する。したがって、マイクロ流体モジュールとナノポアモジュールとの間の流体接続は、界面100における第1の毛細管チャネル261の一端で第1の毛細管チャネル261の上部に開口部を提供するノッチ280によって形成される垂直ポートによって提供される。ノッチ280は図21は、一定の大きさに描かれておらず、界面100において転送電極271と第1の毛細管チャネル261との間の流体通信を可能にする任意の好適なサイズであり得ることが理解される。さらに、ノッチは大きさが異なっていてもよい。例えば、ノッチは、界面100で第3の基板230の側縁の長さに沿って延在する切り欠き部であり得、転送電極271の幅もしくは毛細管チャネル261の幅またはそれらの間の長さに一致するように比例し得る。切り欠き部は、毛細管チャネル261の比較的小さい領域が被覆されないように、名目上第3の基板230の幅に沿って延在することができる。他の実施形態では、切り欠き部は、毛細管チャネル261のかなりの長さにわたって延在してもよい。ナノポアを含む層270は、2つの毛細管チャネルが交差する位置で第1の毛細管チャネル261を横切って位置付けられる。層270は、支持基板275内に位置付けられている。ある特定の場合において、第1の基板210は、ガラス基板であり得、支持基板275は、PDMSガスケットであり得る。
図2Iに示すデバイスの断面の側面図を図2Jに示す。断面は、第1の毛細管チャネル261が、第1の転送電極271と整列しているデバイスの領域にある。また、電極249のアレイを有するマイクロ流体モジュール250の一部、電極249のアレイから間隔を空けて位置付けられた単一電極255(例えば、参照電極)を有する第2の基板220も示されている。図2Jに示すように、単一電極255は、転送電極を被覆しない。これらの図には示されていないが、第2の基板220および単一電極255(これは参照電極であり得る)が、転送電極271および272を被覆して、二平面電極構成を提供することができる。この実施形態では、二平面電極を使用して、液滴を転送電極271および272に移動させることができる。第1の毛細管261は、第1の基板210内に位置し、液滴265aが存在する平面よりも低い平面内に位置する。第2のマイクロチャネル(毛細管チャネル262を提供するために第1の基板210の上面によって包囲されている)を含む第3の基板230が、第1の基板上に配設されている。第3の基板230は、界面100のマイクロ流体モジュールに隣接する側縁にノッチ280(または切り欠き部)を含む。ノッチ280は、毛細管チャネル261の端部の上部で毛細管261を開き、毛細管チャネル261に入るための垂直ポートを提供する。矢印の方向によって示されるように、液滴は、毛細管261まで下降し、次いで第1および第2の毛細管チャネルの交差部に向かって流れるように進む。第2の毛細管チャネル262は、ナノポア層270の位置で第1の毛細管261と交差する。第1の毛細管チャネル261の上(および第2の毛細管チャネル262の下)に位置付けられた支持基板275が描かれている。支持基板275は、ナノポア層270を含む。挿入図に示されているナノポア層の上面図に示されているように、支持基板275は、ナノポア層を取り囲んでいる。いくつかの実施形態では、支持基板は、中心に切り欠き部を有する第1の層および中心に切り欠き部を有する第2の層であり得る。ナノポア層は、第1層と第2層との間の切り欠き部に配設することができる。支持基板内のナノポア層は、底部基板210がガラスで作製されたデバイスに使用することができる。
図2Kは、図2Iに示されるデバイスの断面の追加の側面図を示す。図2Jでは、断面は、第1の転送電極271の位置にある。図2Kでは、断面は、第2の転送電極272の位置にある。図2Kに示すように、第2の毛細管チャネル262への入口は、第2の転送電極272上に存在する液滴265bの位置と整列している。図2Kにはまた、ナノポア層270の位置で第2の毛細管チャネル262と交差する第1の毛細管チャネル261が描かれている。
別の実施形態では、図2Lに示すように、第1の基板210は、電極249のアレイならびに転送電極271および272が配設されている第1の部分210aと、毛細管チャネルを含む基板290が配設されている第2の部分210bと、を含み得る。図2I〜2Kに示されるデバイスと同様に、毛細管チャネル261aは、転送電極が位置している平面の下にある。毛細管チャネル262は、毛細管チャネル262への入口がマイクロ流体モジュール250内の転送電極と同じ平面にある基板230内に位置している。さらに、図2I〜図2Kと同様に、毛細管チャネル262への入口は、転送電極272と整列している。したがって、電極272上に位置付けられた液滴は、毛細管チャネル262に対して実質的に水平に移動することができる。図2I〜図2Kに示すデバイスと同様に、基板230は、転送電極271上に位置付けられた液滴が、基板290内に位置する毛細管261aまで下方に移動するための空間を提供するために、基板230の側縁にノッチ280を含む。また図2Lには、ナノポア層270が描かれている。この実施形態では、ナノポア層は、支持層275の不在下で基板290上に直接配設されている。例えば、チャネルを含む両方の基板がPDMSから形成される実施形態では、ナノポア層は、支持基板の不在下で基板間に直接配設されてもよい。図2Lの上パネルは、転送電極271および毛細管チャネル261aが位置している位置におけるデバイスの断面の側面図を示す。図2Lの下パネルは、転送電極272および毛細管チャネル262が位置している位置におけるデバイスを通る断面の側面図を示す。上から見ると、このデバイスは、図2Iに示すデバイスと同じに見える。したがって、転送電極271および272は、図2Iに示すデバイスの転送電極71および72と同じ間隔で配置される。
ナノポア(複数可)を介してナノポア層を横切って分子を輸送するためのナノポアモジュール内の電極は、デバイス内にナノポア層を位置付けた後に製造することができる。例えば、電極は、基板に導入された開口部内に配設され、それらが毛細管チャネル内に曝露され、毛細管チャネル内に存在する流体と接触するように毛細管チャネル内に位置付けられてもよい。ナノポアからの電極の距離は、毛細管チャネル(複数可)の抵抗、幅、直径、および/または長さに基づいて経験的に決定され得る。
ナノポア層は、いずれかのチャネル上に配設することができる。ナノポア層は、プラズマ結合によって、またはガスケットなどの圧縮性要素を介して、マイクロチャネルを含む基板の表面に接着することができる。ある特定の場合において、第1のチャネルを含む基板は、ガラス基板であり得る。この実施形態では、PDMS層などの支持基板を、ナノポア層の位置付けに使用することができる。例えば、ナノポア層は、PDMSガスケットを備えていてもよい。
基板上にチャネルを形成するために、任意の好適な方法を用いることができる。ある特定の場合において、リソグラフィまたはエンボス加工を使用して、ナノポアモジュール用のチャネルを形成することができる。他の実施形態では、チャネルは、基板にエッチングされてもよい。ある特定の実施形態では、好適な方法の組み合わせを使用して、基板にチャネルを形成することができる。例えば、エッチングプロセスを使用して、チャネルをガラス基板に形成することができ、ソフトリソグラフィ、ナノインプリントリソグラフィ、レーザーアブレーション、またはエンボス加工(例えば、ソフトエンボス加工)などの適切な方法を使用して、別のチャネルをPDMS基板に形成することができる。マイクロチャネルの高さ/幅/直径は、経験的に決定することができる。マイクロチャネルの高さ/幅/直径は、0.5μm〜約50μmの範囲、例えば、0.5μm〜40μm、1μm〜30μm、2μm〜20μm、3μm〜10μm、5μm〜10μm、例えば、0.5μm、1μm、2μm、3μm、4μm、5μm、6μm、7μm、8μm、9μm、10μm、15μm、20μm、30μm、40μm、または50μmであり得る。本明細書に記載されるように、チャネルの高さ/幅/直径は、チャネルの長さに沿って変わり得る。
ある特定の実施形態では、ナノポア層(例えば、70または270)は、ナノポア層の片側または両側に絶縁材料のコーティングを含み得る。絶縁材料は、接触容量を低減し、ナノポア層内のナノポア(複数可)を通る分子の転位の検出に関連するノイズを減少させることができる。別の実施形態では、ナノポア層と流体接触している毛細管チャネル(例えば、毛細管チャネル61および62または261および262)内の流体に曝露されるナノポア層の表面積を低減することができる。ナノポア(複数可)によって検出またはカウントされる分子を含む流体と接触しているナノポア層の表面積を低減することは、接触容量を最小化し、バックグラウンドノイズを低減することができる。毛細管チャネル内の流体と接触しているナノポア層の表面積は、ナノポア層の位置での毛細管チャネルのサイズを低減することによって低減することができる。例えば、ナノポア層の位置における毛細管チャネルの高さもしくは幅、またはそれらの両方(例えば、直径)を低減することができる。別の実施形態では、ナノポア層の表面積を低減することができる。ある特定のデバイスでは、接触容量を低減するためのこれらの実施形態の組み合わせを含めることができる。例えば、ある特定の実施形態では、本明細書に開示されるような集積デバイスは、ナノポア層の位置で減少した寸法を有する毛細管チャネルを含み得、かつ/またはナノポア層の片側もしくは両側に、絶縁材料(例えば、PDMS)でコーティングされるナノポア層を含み得、かつ/または最小表面積を有するナノポア層を含むことができる。
図3は、マイクロ流体モジュール300およびナノポアモジュール325を含む、別の例示的な集積デバイスを示す。図1A、図1B、図2Aおよび図2Bのナノポアモジュールとは対照的に、ナノポアモジュール325は、独立型デバイスとして機能しないが、マイクロ流体モジュール300と集積されるとナノポアとして機能する。マイクロ流体モジュール300は、ナノポアモジュール325の挿入を可能にするサイズの開口部302を含む。図3に示すように、マイクロ流体モジュールは、ナノポアモジュール325を使用して分析される液滴301を含み、これはナノポア305を有する層311を含む。ナノポアモジュール325をマイクロ流体モジュール300に挿入すると、層311によって分離された第1のチャンバ306および第2のチャンバ307が形成される。層311はまた、ナノポア305を横切って液滴301を分割する。
図4は、デジタルマイクロ流体モジュールが、内蔵ナノポアモジュールを含む、集積デバイス400を提供する。図4では、ナノポアモジュールは、液滴401が生成されるマイクロ流体モジュール内の領域から下流に位置付けられている。マイクロ流体モジュールは、液滴401が層402を横切って分割され、ナノポア403に位置付けられるように、液滴401をナノポアモジュールに移動させる。図4は、デバイスの上面図を示す。明確にするために、上部基板は示されていない。ナノポア層402内のナノポア403が描かれているが、上面図からはナノポア403は見えないであろう。ナノポア層402は、底部基板または上部基板のいずれかに付着させることができる。
図1A、図1B、図2A、図2B、図3および図4では、単一のナノポアが示されているが、層は1つ以上のナノポアを含み得ることが理解される。さらに、ナノポアモジュールまたはデバイス内に複数の液滴を位置付けることができる。液滴(複数可)は、ナノポア(複数可)を横切って電圧を印加することによって分析され得る。電圧を印加することは、ナノポア(複数可)を横切って電荷分子の移動をもたらし得る。タグがナノポア(複数可)を通って転位するとき、ナノポアを横切る電流の減少は、転位の指標を提供する。ある特定の実施形態では、ナノポアモジュールのチャンバは、導電性溶液(例えば、緩衝液)で満たされなくてもよく、導電性溶液は、ナノポア層を横切って位置付けられると液滴によって提供されてもよい。ある特定の場合において、液滴中に存在するタグ/アプタマーの転位を測定するために電圧が印加される第1および第2のチャンバは、ナノポアデバイスおよびナノポア層の壁によって画定され得る(例えば、図1Bおよび2Bを参照)。第1および第2のチャンバは、液滴の導入前は空であってもよく、または導電性流体を含んでもよい。他の場合において、第1および第2のチャンバは、マイクロ流体モジュールおよびナノポア層の画定された壁であり得る(例えば、図3を参照)。他の場合において、第1および第2のチャンバは、ナノポア層を横切る液滴の分割によって画定され得る(例えば、図1A、2A、および4を参照)。ある特定の場合において、例えば、チャンバ内に導電性溶液が存在しない実施形態では、ナノポア(複数可)を横切って電荷分子を伝導するための電圧を液滴に印加することができる。液滴と直接または間接的に接触している電極を介して液滴に電圧を印加することができる。液滴が層を横切って分割され、ナノポア(複数可)を介してのみ接続されるように、ナノポア層の寸法は、液滴の寸法よりも大きいことが理解される。
図5A、図5B、図6および図7は、デジタルマイクロ流体モジュールおよびナノポア層を有するデバイス内の液滴の動きを示す。図5Aでは、集積デジタルマイクロ流体/ナノポアデバイス450の構成要素が描かれている。上面図は、ナノポア層402内のナノポア403を使用して分析される液滴401が、ナノポア層402を横切って位置付けられていることを示している。ナノポア403は、上面図からは見えないが、ここではナノポアは説明の目的で示されている。デバイス450は、基板411を含み、その上に電極405のアレイが配設される。電極のアレイを使用して、ナノポア層402を横切って液滴を分割することによって液滴401を位置付ける。矢印451および452は、液滴401が電極のアレイを横切ってナノポア層402に移動することができる方向を示す。ナノポア層402を横切って液滴401を位置付けると、液滴401の下に位置付けられた電極404および406を作動させてナノポア層402を横切って差動電圧を提供し、それによってナノポア403を横切る液滴401中の分子(例えば、切断タグまたはアプタマー)の移動を促進する。電極404および406は二重機能電極であり、それらは液滴をナノポア層に移動させ、タグ/アプタマーをナノポア403を横切って駆動するように働く。
図5Bは、デバイス450の側面図を示し、図5Aに示される上面図で省略された上面基板412がここに描かれる。上部基板412は、電極414を含むように示されている。電極414は、単一電極であっても電極アレイであってもよい。ナノポア層は、上部基板から下部基板まで延在する。液滴401は、ナノポア層402を横切って分割される。二平面電極が図5Bに描かれているが、デバイスは両方の基板に電極を含まなくてもよく、むしろ、上部または底部基板は、共面電極を含み得る。液滴401の近傍の電極404および406は、反対の極性を有し、タグ/アプタマーをナノポア403を横切って駆動する。
図6は、ナノポア403を有するナノポア層402を横切る液滴401の分割を示す。1aは、ナノポア層402に向かって矢印で示される方向に、電極405によって移動されている液滴を示す。2aにおいて、液滴401は、ナノポア層402によって分割され、液滴がナノポア403を介して接続されるように位置付けられている。3aにおいて、液滴401の下のナノポア層402を位置付けられた電極が活性化されて、アノード(−)およびカソード(+)を提供する。活性化電極は、ナノポア403を介して液滴401中に存在する負電荷分子(カウントされるタグ/アプタマーを含む)を駆動する。タグ/アプタマーがナノポア403を通って転位するとき、タグ/アプタマーの数は、本明細書で説明されるようにカウントされ得る。ステップ3aは、液滴が分割されたときに、液滴の片側でナノポア層を横切って分割された全てのタグ/アプタマーを収集するのに役立つ。
実質的に全てのタグ/アプタマーが、ナノポア膜の片側に転位すると、4aに示すように、電極の極性を反転させ、タグ/アプタマーをナノポア層402の反対側に転位させてカウントすることができる。ステップ3aでカウントされたタグの数は、ステップ4aで得られたカウントのおよそ半分になるはずである。電極の極性を反転させ、タグ/アプタマーをカウントするステップは、液滴中のタグ/アプタマーの数の複数の読み取りを得るために任意の回数繰り返すことができる。
図7の1bおよび2bは、矢印で示す方向にナノポア層604に移動している2つの液滴600aおよび600bを示す。ナノポア層604に達すると、液滴はナノポア層を濡らし、ナノポア605を介して流体的に接続される(3b)。ステップ4bにおいて、液滴600aの下に位置付けられた電極は、カソードとして機能するように活性化され、液滴600bの下に位置付けられた電極は、アノードとして機能するように活性化され、負電荷切断タグ/解離アプタマーは、液滴600aに駆動されカウントされる。ステップ5bにおいて、電極の極性が反転され、液滴600a中に存在する負電荷切断タグ/解離アプタマーは、液滴600bに駆動されてカウントされる。電極の極性を反転させ、切断タグ/解離アプタマーをカウントするステップは、液滴中の切断タグ/解離アプタマーの数の複数の読み取りを得るために任意の回数繰り返すことができる。2つの液滴600aおよび600bは、試料液滴(例えば、カウントされる分子を含む液滴)または緩衝液滴(例えば、試料液滴(複数可)をナノポアに位置付ける前のナノ層を湿潤させるための液滴)であり得る。いくつかの実施形態では、一方の液滴は緩衝液滴であり得、他方の液滴は試料液滴であり得る。タグ/アプタマーは、1回または複数回カウントすることができる。
図8は、側面からの集積デジタルマイクロ流体およびナノポアデバイスを示す。基板91および92は、間隔を空けて位置付けられている。基板92は、電極97を含み、基板91は、電極アレイ95を含む。支持構造98は、ナノポア層94を基板92に付着させる。他の実施形態では、支持構造98を、底部基板91に付着させることができる。電極アレイ95は、液滴99をナノポア層94に移動させるために使用され、ナノポア層は、液滴を分割し、ナノポア93を介して液滴の両側を流体的に接続する。電極96および97は、ナノポア93を通して液滴99中のタグ/アプタマーを駆動するのに役立つ。上記のように、電極96および97の極性を反転させて、タグ/アプタマーをナノポアを通して何度も転位させることができる。
図は単一のナノポアを描いているが、ナノポア層には1つより多くのナノポアが存在し得ることが理解される。ナノポア層に隣接し、ナノポア層を横切って電圧差を提供するために使用される電極は、ナノポア層に位置付けられた液滴と直接接触してもしなくてもよい。
マイクロ流体デバイスおよびナノポアデバイス、モジュール、ならびに集積デバイス内の液滴の移動は、任意の好適な手段を介して実行されてもよい。適用可能であれば、異なるデバイス/モジュールおよびチャネル内で液滴を移動させるための手段は、同じでも異なってもよい。例えば、エレクトロウェッティング、誘電泳動、オプトエレクトロウェッティング、電極媒介、電界媒介、静電作動等、またはそれらの組み合わせなどの流体操作力を使用して、液滴をマイクロ流体デバイスまたはモジュール内で移動させることができる。チャネルなどの流体接続を介したマイクロ流体モジュールからナノポアモジュールへの液滴の移動は、拡散、ブラウン運動、対流、ポンピング、印加圧力、重力駆動流、密度勾配、温度勾配、化学勾配、圧力勾配(正または負)、空気圧、ガス生成化学反応、遠心流、毛細管圧力、ウィッキング、電界媒介、電極媒介、電気泳動、誘電泳動、磁気泳動、磁場、磁気駆動流、光学力、走化性、走光性、表面張力勾配駆動流、マランゴニ応力、熱毛細管対流、表面エネルギー勾配、音響泳動、表面弾性波、電気浸透流、熱泳動、エレクトロウェッティング、オプトエレクトロウェッティング、またはそれらの組み合わせを介してもよい。液滴は、エレクトロウェッティング、誘電泳動、オプトエレクトロウェッティング、電極媒介、電界媒介、静電作動等の流体操作力、または組み合わせなどを介して、ナノポアモジュール内を移動し、ナノポア層を横切って位置付けられ得る。液滴中のタグ/アプタマーは、電位、静電電位、界面動電流、電気浸透流、圧力誘起流、電気泳動、電気泳動輸送、電気浸透輸送、拡散輸送、電気泳動、電界媒介流、タグ/アプタマーの誘電泳動媒介輸送、および当業者に公知の他の方法、またはそれらの組み合わせを使用して、ナノポア(複数可)を通して転位させることができる。
本開示の例示的な実施形態は、最初に実質的に全てのタグをナノポア層の同じ側に転位させて、シスまたはトランスチャンバ内の全てのタグを収集し、続いてナノポア層の反対側にタグを転位させることによって、ナノポア層を横切って位置付けられる液滴中に存在するタグの数をカウントすることと、ナノポア層内のナノポア(複数可)を横断するタグの数をカウントすることと、を含む。本明細書で使用される場合、ナノポア層の文脈における「シス」および「トランス」は、ナノポア層の反対側を指す。これらの用語は、ナノポア層の側面に関して、またナノポア層の側面上のチャンバに関しても使用される。デバイスの説明から理解されるように、シスおよびトランスチャンバは、壁、基板等によって画定される物理的構造によって画定され得る。いくつかの場合において、シスおよびトランスチャンバは、ナノポア層を横切って配置される液滴によって画定され得る。液滴は、液滴の1つ以上の側面上の壁または基板と接触していてもよい。ある特定の場合において、シスおよびトランスチャンバは、液滴によって画定されてもよく、シスチャンバは、ナノポア層のシス側からシス側の液滴の部分の周囲まで延在してもよく、トランスチャンバは、ナノポア層のトランス側からトランス側の液滴の一部の周囲まで延在し得る。シス側およびトランス側の各々の液滴の一部は、基材と接触していてもよい。したがって、シスおよびトランスチャンバは、液滴の周囲、基板の一部およびナノポア層の組み合わせによって画定され得る。
ある特定の場合において、マイクロ流体デバイスおよび/またはマイクロ流体モジュールは、試料液滴および試薬液滴と不混和性の不活性流体を含み得る。例えば、不活性流体は、マイクロ流体モジュール内で生成および処理されている液滴と不混和性の油など、水よりも密度の高い重質流体であり得る。不活性流体は、液滴の形成を容易にすると共に、液滴の形状の安定性を高めることができ、異なる液滴を互いに空間的に分離した状態に保つためにさらに有用であり得る。例示的な不活性流体としては、極性液体、シリコーン油、フルオロシリコーン油、炭化水素、アルカン、鉱油、およびパラフィン油が挙げられる。ある特定の場合において、マイクロ流体デバイスまたはモジュールおよび不活性流体は、US2007/0242105(その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に開示されているとおりであり得る。他の実施形態では、不混和性流体は、デバイスに含まれていない。これらの実施形態では、周囲空気がデバイス内の空間を満たす。
本明細書で使用される場合、「液滴(複数可)」および「液滴(複数可)」は、ほぼ球形であり、少なくとも2つの側面でマイクロ流体デバイス、ナノポアデバイス、マイクロ流体モジュール、またはナノポアモジュールの壁または基板によって境界が定められている、目立たない量の液体を指すために互換的に使用される。液滴の文脈における略球形とは、球形、部分的に平らな球形、例えば円板形、スラグ形、切頭球形、楕円形、半球形、または卵形などの形状を指す。本明細書に開示されるマイクロ流体およびナノポアモジュールおよびデバイス中の液滴の体積は、約10μL〜約5μL、例えば10μL〜1pL、7.5μL〜10pL、5μL〜1nL、2.5μL〜10nL、または1μL〜100nL、例えば、10μL、1μL、800nL、400nL、100nL、10nL、またはそれ以下の範囲であり得る。
ある特定の実施形態では、集積デバイスは、内蔵ナノポアモジュールを有するマイクロ流体モジュールを含み得る。集積デバイスは、第1の基板と第2の基板とを隔てるギャップを有する第1の基板と第2の基板とを含み、ギャップ(空気または不混和性液体で満たされ得る)は、試料液滴が第1の結合メンバーと接触する空間を提供し(磁気ビーズ上または2つの基板のうちの一方に固定化されている)、任意選択で、洗浄ステップが行われ、続いて、第1の結合メンバーに結合した検体を第2の結合メンバーと接触させ、任意選択で、混合および洗浄ステップを行ってもよく、第2の結合メンバーに付着したタグを切断して、切断されたタグを含む液滴を生成する。次いで、切断されたタグを含有する液滴を、第1の基板と第2の基板との間のギャップに位置するナノポア層を横切って位置付けることができる。
本明細書に記載されるように、液滴は、プログラム可能な流体操作力(例えば、エレクトロウェッティング、誘電泳動、静電作動、電界媒介力、電極媒介力、SAW等)を使用するなど、多数の方法を介して集積デバイス内を移動し得る。ある特定の場合において、マイクロ流体デバイスおよびモジュールは、電極を使用することによって検体分析を実施するために試料および試薬の液滴を移動させることができる。電極は、共面であり得、すなわち同じ基板上に存在するか、または対面配向(二平面)にあり得、すなわち、第1および第2の基板中に存在することができる。ある特定の場合において、マイクロ流体デバイスまたはモジュールは、米国特許第6,911,132号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているような電極構成を有することができる。ある特定の場合において、デバイスは、ギャップによって第2の基板から分離された第1の基板を含んでもよい。第1の基板は、上面に位置付けられた一連の電極を含むことができる。誘電体層は、第1の基板の上面に配設され得、一連の電極を被覆して、液滴の移動のための実質的に平坦な表面を提供することができる。任意選択で、疎水性材料の層を、誘電体層の上面に配置して、実質的に平坦な表面を提供することができる。ある特定の場合において、第1の基板は、共面電極、例えば単一基板上に存在する駆動/制御および参照電極を含み得る。他の場合において、第1の基板上に位置付けられた第2の基板は、第2の基板の下面上に電極を含み得、第2の基板の下面は、第1の基板の上面に面している。第2の基板上の電極は、絶縁材料で被覆されていてもよい。一連の電極は、マイクロ流体モジュールの長さに沿って長手方向に、もしくはマイクロ流体モジュールの幅に沿って横方向に、またはその両方(例えば、二次元アレイもしくはグリッド)に配置されてもよい。ある特定の場合において、電極のアレイは、プログラム可能な様式で液滴を移動させるためにデバイスに動作可能に結合されたコンピュータのプロセッサによって活性化され得る(例えば、オンおよびオフにされ得る)。マイクロ流体デバイスにおいて液滴を作動させるためのデバイスおよび方法が知られている。例示的な場合において、マイクロ流体モジュールは、当分野で知られている液滴アクチュエータと同様であり得る。例えば、第1の(底部)基板は、個々に制御可能な電極のパターン化アレイを含み得、第2の(上部)基板は、連続接地電極を含むことができる。疎水性物質でコーティングされた誘電絶縁体を電極の上にコーティングして、表面の濡れ性を低下させ、液滴と制御電極(電極のパターン化アレイ)との間に静電容量を加えることができる。液滴を移動させるために、制御電圧を液滴に隣接する(電極のアレイ内の)電極に印加することができ、同時に、液滴の真下の電極を非活性化する。電極の線形アレイに沿って電位を変えることによって、エレクトロウェッティングを使用して、この電極の線に沿って液滴を移動させることができる。
第1および第2の基板は、任意の好適な材料から作製され得る。好適な材料としては、限定されないが、紙、薄膜ポリマー、シリカ、シリコン、加工シリコン、ガラス(硬質または軟質)、ポリマー(硬質、軟質、不透明、または透明)(例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)および環状オレフィンコポリマー(COC))、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、プリント回路基板、ならびにポリジメチルシロキサン(PDMS)が挙げられる。ある特定の場合において、少なくとも第1の基板または第2の基板は、実質的に透明であり得る。実質的に透明な基板は、第2の結合メンバーに付着したタグの光切断が行われるデバイスにおいて使用され得る。共面電極が一方の基板に存在する実施形態では、電極は、透明であってもなくてもよい。例えば、電極が対向配向にある(両方の基板に存在する)他の実施形態では、基板の少なくとも一方の電極は、実質的に透明であり得、例えば、電極は酸化インジウムスズから作製され得る。電極は、任意の好適な材料から作製され得る。電極は、純粋な金属または合金などの任意の導電材料、または他の導電材料で作製することができる。例としては、アルミニウム、炭素(グラファイトなど)、クロム、コバルト、銅、ガリウム、金、インジウム、イリジウム、鉄、鉛、マグネシウム、水銀(アマルガムとして)、ニッケル、ニオブ、オスミウム、パラジウム、白金、レニウム、ロジウム、セレン、シリコン(高ドープ多結晶シリコンなど)、銀、タンタル、スズ、チタン、タングステン、バナジウム、亜鉛、ジルコニウム、それらの混合物、およびこれらの元素の合金または金属化合物が挙げられる。ある特定の実施形態では、導電性材料は、炭素、金、白金、パラジウム、イリジウム、またはこれらの金属の合金を含む。なぜなら、そのような貴金属およびそれらの合金は、水性環境において非反応性である。
ある特定の場合において、第1または第2の基板は、ギャップ内に固定された第1の結合メンバーを有してもよい。例えば、第2の基板の表面と対面関係にある第1の基板の表面は、第1の結合メンバーが配設される領域を含み得る。本明細書中に記載されるように、第1の結合メンバー(例えば、ポリペプチド、例えば、受容体、抗体、またはそれらの機能的断片)は、任意の従来の方法を使用して固体基材の表面に固定化され得る。ある特定の場合において、ギャップ内の第1または第2の基板の表面上の第1の位置は、1種類の結合メンバー(例えば、単一種類の抗体)のみを含み得る。他の実施形態では、ギャップ内の第1または第2の基板の表面上の第1の位置は、複数の検体の分析のために、複数の異なる結合メンバーのみを含み得る。あるいは、デバイスは、第1または第2の基板の表面上に複数の位置を含み得、各位置は、その上に固定化された異なる第1の結合メンバーを含み得る。
ギャップ内の第1の基板または第2の基板の表面が、異なる第1の結合メンバーが固定化される複数の位置を有する実施形態では、これらの位置は、デバイスの長さに沿って直線的に配置されてもよい。試料液滴を直線的に移動させて、複数の位置の各々に順次接触させることができる。別の実施形態では、試料は、複数の液滴に分割されてもよく、各液滴は、複数の位置の各々に独立して接触してもよい。本明細書に記載されるように、第1の結合メンバーは、第1または第2の基板に付着させることができず、マイクロ流体デバイスに、例えば液滴として導入され得るビーズに付着させることができる。
本明細書に記載されるように、試料および試料をアッセイするための任意の試薬は、プログラム可能な流体操作力(例えば、エレクトロウェッティング、誘電泳動、静電駆動、電界媒介、電極媒介力等)を使用して、第1の基板と第2の基板との間を移動し得る離散体積の流体として操作され得る。例えば、第1および第2の基板の少なくとも一方は、離散体積の流体を操作するため、例えば、第1の基板と第2の基板との間で液滴をある位置から別の位置に移動させる、混合、合体分割、希釈などのための電極のアレイを含み得る。別の例では、検体分析方法のために表面音響波を使用して液滴を移動させることができる。
別の実施形態では、マイクロ流体モジュールは、表面音響波を使用することによって、検体分析を実行するために試料および試薬の液滴を移動させることができる。これらの実施形態では、第1の基板は、表面音響波の伝播を助長する薄い平面材料であり得る。第1の基板は、ニオブ酸リチウム(LiNbO3)、石英、LiTaO3ウェハなどの圧電結晶層であってもよい。ある特定の場合において、圧電ウェハは、超基板に取り外し可能に結合されてもよく、トランスデューサから生成された表面音響波(SAW)は、圧電結晶層と超基板との間に配設された接触媒質を介して超基板に伝達される。超基板の上面は、第2の基板によって重ね合わされてもよく、液滴は、圧電結晶層に接続された櫛形トランスデューサによって生成されたSAWを介して、第2の基板と超基板の上面との間の空間内を移動してもよい。ある特定の場合において、マイクロ流体モジュールは、WO2011/023949(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているSAWマイクロ流体デバイスであってもよい。
代替実施形態では、マイクロ流体モジュールは、第1の表面と第2の表面との間に空間を有して第2の表面から分離された第1の表面を含み得、ここで試料および試薬の液滴は、本明細書に開示される試料分析を行うために操作される。マイクロ流体デバイスは、第1の表面に結合された表面音響波(SAW)発生材料の層と、第1の表面上の液滴への伝達のための第1の表面に表面音響波(SAW)を提供するために、SAW発生材料層に配置されたトランスデューサ電極構造と、をさらに含み得、ここで第1の表面は、第1の表面におけるSAWの伝達、分散、および/または動作に影響を及ぼすために、少なくとも1つのSAW散乱要素を有し、SAW発生材料は、多結晶材料、配向多結晶材料、二軸配向多結晶材料、微結晶材料、ナノ結晶材料、非晶質材料、および複合材料からなる群から選択される。ある特定の場合において、SAW発生材料は、強誘電材料、焦電材料、圧電材料、または磁歪材料であり得る。SAW散乱要素の配置は、事実上、第1の表面における音場と相互作用するか、またはそれに影響を及ぼすフォノニック結晶構造を提供して、第1の表面上の液滴の移動に影響を及ぼすことができる。ある特定の場合において、マイクロ流体モジュールは、US2013/0330247(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されているSAWマイクロ流体デバイスであってもよい。SAWマイクロ流体デバイスは、ナノポアデバイスと共に使用され得るか、またはそれと集積されたナノポアモジュールを有し得る。
本明細書に記載のデバイスは、電源、音波発生器等の別のデバイス(複数可)と共に使用することができる。
本明細書に記載の方法ステップを実行するために使用することができるデバイスはまた、試薬を供給し、廃棄物を収集するための手段を含むことができる。そのような手段は、チャンバ、吸収パッド、リザーバ等を含み得る。これらの手段は、デバイスに流体的に接続され得る。
マイクロ流体モジュールは、例えば、第1の結合メンバー、第2の結合メンバー、洗浄緩衝液、切断誘導試薬等の試料分析試薬を供給するためのリザーバに流体的に接続されてもよい。ナノポアモジュールは、廃棄物を収集するためのリザーバ、シスおよびトランスチャンバに導電性溶液を供給するためのリザーバ等に流体的に接続することができる。
集積デバイスは、自動または半自動であってよく、また電圧を供給するための電源および試料を第1の結合メンバーと接触させるための命令であって、第1の結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、第1の結合メンバーが、検体に特異的に結合する、命令と、検体を第2の結合メンバーと接触させるための命令であって、第2の結合メンバーが、検体に特異的に結合し、第2の結合メンバーが、それに付着した切断可能なタグを含む、命令と、第1の結合メンバーに結合した検体に結合していない第2の結合メンバーを除去するための命令と、第1の結合メンバーに結合した検体に結合した第2の結合メンバーに付着したタグを切断するための命令と、層内のナノポアを通してまたは横切ってタグを転位させるための命令と、層を通って転位するタグの数を決定するための命令と、層を通って転位するタグの数または一定の時間間隔で公知のタグ数を転位させる時間に基づいて、試料中の検体を測定するための命令と、を格納するためのランダムアクセスメモリを備える筐体に取り外し可能に結合されてもよい。本明細書に記載されるように、検体分析方法は、デバイスを制御するプロセッサを使用して実行することができる。例えば、デバイスは、本明細書に開示されるようないかなる任意選択の混合、インキュベート、および洗浄ステップも含む、本明細書に開示される検体分析を行うようにプログラムされてもよい。筐体は、メモリに格納された命令を実行するためのプロセッサをさらに含み得る。本明細書に記載のデバイスは、ナノポアデバイスまたはモジュールからの電気シグナルを処理するためのデータ取得モジュール(DAQ)を含み得る。ある特定の場合において、電気シグナルを処理し、最適なシグナル対ノイズ比を達成するためのパッチクランプ増幅器も含まれ得る。
ある特定の場合において、本明細書に記載のデバイスは、検体分析方法の少なくともいくつかのステップを自動的に行うためのシステムと関連付けることができる。そのようなシステムの例を図9に示す。例示的なシステムは、ディスプレイ61に動作可能に結合されたプロセッサおよびメモリを有するデータ処理ユニット63を含む処理コンポーネント60と、本開示のデバイス68の受信機/送信機ユニット69と通信する送信機/受信機ユニット62とを含む。デバイス68は、本明細書に開示される検体分析方法の少なくともいくつかのステップを行うための命令(プログラムのステップ)を実行する処理構成要素60によって制御される。ある特定の場合において、処理構成要素60は、コンピュータ、集積デバイスを挿入するための開口部を有する計器(開口部は、デバイスを収容し、デバイスに動作可能に接続されるサイズおよび形状のスロットであり得る)、またはそれらの組み合わせであり得る。処理構成要素60とデバイス68との間の通信64は、有線でも無線でもよい。デバイス68は、マイクロ流体66およびナノポア67の機能性を有する本明細書に記載の任意のデバイスであり得る。ある特定の場合において、本明細書に開示されるデバイス内の液滴の移動は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第6,294,063号に開示されているようにプログラムすることができる。
本明細書の実施形態に関連して記載される様々な例示的プロセスは、汎用プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、または本明細書に記載の機能を行うように設計された他のプログラム可能な論理デバイス、ディスクリートゲートまたはトランジスタロジック、ディスクリートハードウェアコンポーネント、またはそれらの任意の組み合わせで実装または実行できる。汎用プロセッサは、マイクロプロセッサであり得るが、代替として、プロセッサは、任意の従来のプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、または状態機械であり得る。プロセッサは、ユーザインターフェースと通信し、ユーザによって入力されたコマンドを受信するユーザインターフェースポートも有し、プロセッサの制御下、ユーザインターフェースポートを介した通信により動作するプログラムを含む電子情報を記憶する少なくとも1つのメモリ(例えば、ハードドライブまたは他の同等の記憶装置、およびランダムアクセスメモリ)、ならびに任意の種類のビデオ出力フォーマット、例えば、VGA、DVI、HDMI、DisplayPort、または任意の他の形態を介してその出力を生成するビデオ出力を有する、コンピューティングシステムの一部であり得る。
プロセッサはまた、コンピューティングデバイスの組み合わせ、例えば、DSPとマイクロプロセッサの組み合わせ、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと連携した1つ以上のマイクロプロセッサ、または任意の他のそのような構成として実装され得る。これらのデバイスを使用して、本明細書に記載されるデバイスのための値を選択することもできる。カメラは、フォトチューブ、フォトダイオード、アクティブピクセルセンサ(CMOS)、CCD、フォトレジスタ、光電池または他のデジタル画像キャプチャ技術に基づくカメラであり得る。
本明細書に開示された実施形態に関連して記載される方法またはアルゴリズムのステップは、ハードウェアで直接、プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュールで、またはその2つの組み合わせで実施することができる。ソフトウェアモジュールは、ランダムアクセスメモリ(RAM)、フラッシュメモリ、リードオンリーメモリ(ROM)、電気的にプログラム可能なROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、レジスタ、ハードディスク、リムーバブルディスク、CD−ROM、クラウド、または当技術分野で知られている任意の他の形態の記憶媒体内に存在し得る。例示的な記憶媒体は、プロセッサが記憶媒体から情報を読み取り、記憶媒体に情報を書き込むことができるようにプロセッサに結合される。代替として、記憶媒体は、プロセッサと一体であり得る。プロセッサおよび記憶媒体は、ASIC内に存在し得る。ASICは、ユーザ端末内に存在してもよい。代替として、プロセッサおよび記憶媒体は、ユーザ端末内に個別のコンポーネントとして存在し得る。
1つ以上の例示的な実施形態では、説明された機能は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの任意の組合せで実装され得る。ソフトウェアで実施される場合、機能は、コンピュータ可読媒体上の1つ以上の命令、コードまたは他の情報として格納され、その上で送信され、または結果として得られる分析/計算データ出力であり得る。コンピュータ可読媒体は、ある場所から別の場所へのコンピュータプログラムの転送を容易にする任意の媒体を含む、コンピュータ記憶媒体と通信媒体の両方を含む。記憶媒体は、コンピュータによってアクセスされ得る任意の利用可能な非一時的媒体であり得る。例として、そのようなコンピュータ可読媒体は、RAM、ROM、EEPROM、CD−ROM、または他の光ディスク記憶装置、磁気ディスク記憶装置、または他の磁気記憶装置、または所望のプログラムコードを命令またはデータ構造の形で搬送または格納するために使用することができ、コンピュータによってアクセスできる任意の他の媒体を含むことができる。メモリ記憶装置はまた、回転磁気ハードディスクドライブ、光ディスクドライブ、またはフラッシュメモリベースの記憶ドライブ、または他のそのような固体、磁気、もしくは光記憶デバイスであり得る。本明細書で使用されるディスク(disk)およびディスク(disc)は、コンパクトディスク(CD)、レーザーディスク、光ディスク、デジタル多用途ディスク(DVD)、フロッピーディスクおよびブルーレイディスクを含み、ディスク(disk)は、通常磁気的にデータを再生するが、ディスク(disc)は、光学的にレーザーでデータを再生する。上記の組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲内に含まれるべきである。
本明細書に開示される実施形態が、メモリ、記憶装置、および/またはコンピュータ可読媒体を含むか、それらと関連して動作する限りにおいて、そのメモリ、記憶装置、および/またはコンピュータ可読媒体は、非一時的である。したがって、メモリ、記憶装置、および/またはコンピュータ可読媒体が1つ以上の特許請求の範囲によってカバーされる限りにおいて、そのメモリ、記憶装置、および/またはコンピュータ可読媒体は、非一時的なものにすぎない。
ある特定の場合において、デバイスは、ラボオンチップデバイス、連続流マイクロ流体デバイス、または液滴ベースのマイクロ流体デバイスなどのマイクロ流体デバイスであってもよく、検体分析は、検体を含むかまたは含んでいることが疑われる試料の液滴中で実行され得る。本方法において使用され得る例示的なマイクロ流体デバイスとしては、WO2007/136386、US8287808、WO2009/111431、WO2010/040227、WO2011/137533、WO2013/066441、WO2014/062551、またはWO2014/066704に記載されるものが挙げられる。ある特定の場合において、デバイスは、デジタルマイクロ流体デバイス(DMF)、表面音響波ベースのマイクロ流体デバイス(SAW)、完全集積DMFおよびナノポアデバイス、または完全集積SAWおよびナノポアデバイスであり得る。いくつかの実施形態では、DMF要素とナノポア要素は、完全集積DMFおよびナノポアデバイスに動作可能に結合されるか、またはSAW要素およびナノポア要素は、完全集積SAWおよびナノポアデバイスに動作可能に結合される。いくつかの実施形態では、DMFデバイスまたはSAWデバイスは、ロールツーロールベースの印刷エレクトロニクス方法によって製造される。いくつかの実施形態では、DMF素子またはSAW素子は、ロールツーロールベースの印刷電子方法によって製造される。いくつかの実施形態では、完全集積DMFおよびナノポアデバイス、または完全集積SAWおよびナノポアデバイスは、マイクロ流体導管を含む。いくつかの実施形態では、マイクロ流体導管は、DMF要素をナノポア要素に結合し、マイクロ流体導管は、受動的な力または能動的な力によって誘導される流体の流れを含む。
例示的なエレクトロウェッティング技術は、US8637242に見出すことができる。WO2011/057197に記載されているようなマイクロスケールでの電気泳動もまた利用され得る。例示的な誘電泳動技法は、US6294063に記載されている。
本開示のデバイスは、一般に外部ポンプおよびバルブを含まず、したがって製造および使用するのに経済的である。本明細書に開示されているデバイスおよび関連システム、ならびに本明細書に開示されている全ての方法は、(例えば、診療所、病院、内科医院、中核研究所施設、自宅等での)ポイントオブケアなど、試料の供給源における試料の分析などの分野における用途に有用である。いくつかの場合において、本開示のデバイスまたはシステムは(例えば、本明細書に開示される方法でも使用されるように)、熱源または光源が活性化されると、本明細書に記載されるように、タグを検体に結合する熱的に切断可能なまたは光切断可能なリンカーの切断を誘導するように構成された熱源または光源を含む。
本開示はまた、ナノポア対応デバイスおよび集積マイクロ流体ナノポア対応デバイスと共に使用されるマイクロ流体デバイスについて記載する。ナノポア対応デバイスとは、ナノポアを形成することができる層または膜を含むデバイスを指す。本開示のナノポア対応デバイスは、層または膜によって分離された2つのチャンバを含み、2つのチャンバは、電流を伝導するためのイオン液体(例えば、目的の検体を含むまたは含まない、塩溶液)を含む。チャンバ内のイオン性液体(例えば、目的の検体を含むまたは含まない、塩溶液)を使用して、層全体に電圧を印加することによって、ナノポア対応デバイスの層にナノポアを形成することができる。理解されるように、本明細書に記載のナノポアデバイス(マイクロ流体デバイスと共に使用されるか、またはマイクロ流体モジュールと集積される)のうちのいずれもが、ナノポアが形成され得るが、ナノポアが欠けている層を含むナノポア対応デバイスとして最初に提供され得る。タグの転位を検出するためにナノポアを使用する前など、使用中にナノポア対応デバイスにナノポアを形成することができる。ある特定の実施形態では、ナノポアによって検出されるタグを含むイオン液体、例えば塩溶液は、ナノポアを形成するためおよび形成されたナノポアを横切ってタグを移動させるための両方に使用することができる。
いくつかの実施形態では、上述のように層を横切って電圧を印加することによって形成されるナノポアの品質は、ベースライン電圧がナノポア層または膜を横切って印加されたときに測定される電流におけるノイズのレベルによって評価される。
いくつかの場合において、上述のように、層を横切って電圧を印加することによって形成されたナノポアは、ナノポアを物理的に変化させ、所望の電気浸透特性を得る、例えば、ナノポア層または膜を横切って電圧が印加されると、孔径を増加させる、および/またはナノポアを横切る測定電流中のノイズを低減するように調整され得る。したがって、いくつかの実施形態では、集積デジタルマイクロ流体ナノポア対応デバイスにおいてナノポアを生成する方法は、ナノポアを調整することを含み得る。調整は、代替として、第1の極性を有する第1の電圧および第1の極性とは反対の第2の極性を有する第2の電圧を、ナノポア層または膜を横切って印加することであって、第1の電圧および第2の電圧が各々、少なくとも1回印加される、印加することと、ナノポアのサイズに関して電気浸透特性を測定することと、を含み得る。いくつかの場合において、ナノポアのサイズに関する電気浸透特性を、調整前に測定して、ナノポアのサイズの初期推定値を得る。
電気浸透特性は、ナノポアのサイズの推定値を提供する任意の好適な特性であり得る。いくつかの場合において、電気浸透特性は、ある範囲の電圧(−1V〜1Vの範囲、例えば、−500mV〜500mV、−250mV〜250mV、−200〜200mV、10mV〜500mV、10mV〜250mV、10mV〜200mV、15mV〜200mVを含む)にわたって得られる電流−電圧曲線によって表される。いくつかの場合において、電気浸透特性は、ナノポア層または膜を横切って測定されたコンダクタンスまたは抵抗である。
第1および第2の電圧は、ナノポアを修飾し、所望の電気浸透特性を得るために任意の好適な大きさを有し得る。いくつかの場合において、第1および第2の電圧は、100mV以上の大きさ、例えば、200mV以上、500mV以上、750mV以上、1.0V以上、2.0V以上、3.0V以上(4.0V以上を含む)を有し、いくつかの場合において、10V以下の大きさ、例えば9.0V以下、8.0V以下、6.0V以下、4.0V以下を有する。いくつかの実施形態では、第1および第2の電圧は、100mV〜10V、例えば200mV〜9.0V、250mV〜9.0V、500mV〜9.0V、1.0V〜8.0V(2.0V〜6.0Vを含む)の範囲の大きさを有する。
第1および第2の電圧は各々、ナノポアを修飾するため、および所望の電気浸透特性を得るために、任意の好適な長さの時間にわたって印加することができる。いくつかの場合において、第1および第2の電圧は各々、10ミリ秒(ms)以上、例えば100ms以上、200ms以上、500ms以上、1秒(s)以上、2s以上、3s以上にわたって印加され、いくつかの場合において、10s以下、例えば5s以下、4s以下、3s以下、2s以下、1s以下、500ms以下、または200ms以下、100ms以下にわたって印加される。いくつかの場合において、第1および第2の電圧は各々、10ms〜100ms、100ms〜200ms、200ms〜500ms、500ms〜1s、1s〜2s、2s〜3s、3s〜4s、3s〜5s、または3s〜10sの範囲の期間にわたって印加される。
第1および第2の電圧は各々、ナノポアを修飾するため、および所望の電気浸透特性を得るために、任意の好適な回数印加することができる。いくつかの場合において、第1および第2の電圧は各々、2回以上、3回以上、4回以上、5回以上、7回以上、10回以上、20回以上、30回以上、50回以上、100回以上、200回以上、500回以上印加され、いくつかの実施形態では、10,000回以下、例えば5,000回以下、1,000回以下、500回以下、400回以下、200回以下、100回以下、50回以下印加される。いくつかの実施形態では、第1および第2の電圧は各々、2〜50回、10〜50回、30〜50回、50〜100回、100〜200回、100〜500回、500〜1,000回、500〜1,000回、または500〜10,000回印加される。
4.DMFモジュールの片側へのナノポアモジュールの統合
本開示の一態様は、デジタルマイクロ流体(DMF)モジュールと、DMFモジュールの一方の外側に位置付けられたナノポア層と、を含む集積デバイスを含む(図40)。ナノポア層のナノポアは、DMFモジュールの第1の(例えば、上部)または第2の(例えば、底部)基板に存在する穴(「開口部」とも呼ばれる)を通して、または第1の基板と第2の基板との間のDMFモジュールの側面を通して、DMFモジュールの内部空間内の液滴によってアクセスすることができる。上述のように、ナノポア層は、ナノポア膜または基板を含むことができ、いくつかの場合において、透過型電子顕微鏡(TEM)ウィンドウ内の市販の窒化ケイ素(SiNx)膜であり得る。ナノポア層は、ナノポアが存在しない場合(すなわち、本明細書に記載されるようにナノポアの製造前)に、DMFモジュール内のある量の液体が、ナノポア層の外側またはその周りの任意の量の液体から物理的に単離されるように、穴を覆うシールを形成する。いくつかの場合において、ナノポア層は、ナノポアモジュールの一部であり、ナノポア層は、ナノポアモジュール内の区画を、DMFモジュール内のある量の液体から分離する(例えば、上述のように基板の穴内の液滴)から分離する。ナノポア層またはモジュールは、ある量の液体(例えば、基板の穴の中の液滴)が外部環境から物理的に単離されるように、基板の外面に封止される。
DMF中の液滴が、それを通ってナノポア層にアクセスする基板中の穴は、液滴が毛細管作用によって穴を通って移動するのに適切であるように寸法決定することができる。したがって、基板の穴は、毛細管チャネルであり得る。穴は、穴を通しての液滴の移動を、例えば毛細管作用によって受動的に支持するための任意の好適な断面形状および寸法を有することができる。いくつかの場合において、穴の直径は、外側(すなわちナノポア層に面する側)の穴の直径よりも、DMFの側で広い。いくつかの場合において、基板の底面と穴の壁との間の角度は、直角または鈍角(例えば、90°以上、例えば、95°以上、100°以上を含む)である。
集積DMF−ナノポアモジュールデバイスは、一対の電極を含んでよく、これらは、ナノポア層内にナノポアを製造する際、および/または本明細書の他の箇所に記載されるようにDMFモジュールによって処理された目的の検体を検出するために使用できる。一対の電極は、インジウムスズ酸化物(ITO)を含むがこれに限定されない、任意の好適な材料から作製されてもよい。対電極は、任意の好適な方法で構成することができる。いくつかの実施形態では、基板を物理的に貫通してナノポア層の反対側の液体の量にアクセスすることによって、1つの電極は、ナノポアモジュール内の区画に位置付けられ、第2の電極は、DMFモジュール内に位置付けられる(図40)。
いくつかの実施形態では、第1の電極は、DMFモジュールで使用される単一の連続電極(例えば、参照電極)と同じ電極であり得、第2の電極は、第1の電極が位置付けられる底面の反対側の基板の上面(すなわち、外面)に配設され得る(図43)。そのような場合において、上面は、底面と同様の方法で処理されてもよい(例えば、酸化インジウムスズなどの電極材料、およびポリテトラフルオロエチレン(Teflon(登録商標)を含む)などのポリマーでのコーティング)。したがって、いくつかの場合において、第2の電極が、ナノポア層/モジュールが付着している基板の上面上の電極である場合、DMFモジュールに対するナノポア層の外面上の液体の量は、第2の電極と電気的に接触する。ナノポア製造のための電気経路は、第2の電極→液体(外部)→ナノポア膜(ナノポアなし)→液体(DMFモジュールの内部)→第1の電極(DMFの単一の連続電極と同じ)と表すことができる。第2の電極はまた、いくつかの場合において、ナノポアモジュール内に含まれ得るナノポア膜の外側の液体に電流を流すように、ナノポア層/モジュールが付着した領域に存在しなくてもよい。
いくつかの実施形態では、図44に示すように、第1の電極は、第1のDMFモジュール(例えば、図44の「底部DMFチップ」)で使用される単一の連続電極(例えば、参照電極)と同じ電極であり、第2の電極は、第2のDMFモジュールの単一の連続電極に関連する対応する上部基板に穴を有する第2のDMFモジュール(例えば、図44の「上部DMFチップ」)によって提供されてもよく、それぞれの基板の穴の間の2つのDMFモジュールの間に挿入される。したがって、第1および第2のDMFモジュールは、第1のDMFモジュールの単一の連続電極に関連付けられた上部基板が、第2のDMFモジュールの単一の連続電極に関連付けられた上部基板に近接し、対向するように互いに対して配向を反転させることができる。2つのDMFモジュールは、ナノポア層にナノポアがあるときに、2つのDMFモジュールがナノポア膜を介して流体的かつ電気的に一緒に結合されるように、互いに対して位置付けられてもよい。ナノポアを形成する前に、2つのDMFモジュール内の2つの体積の流体を互いに単離されてもよい。いくつかの場合において、2つのDMFモジュールの間に構造層を挿入させて、構造的支持を提供し、曲げを低減する。
本明細書ではまた、上述のように、集積DMF−ナノポアモジュールデバイス内のナノポア対応層にナノポアを作製する方法も提供される。この方法の実施は、本明細書に記載されるように、イオン性液体、例えば塩溶液(例えば、LiCl、KCl等)を任意の好適な方法を使用してDMFモジュールの穴に位置付けることと、穴を通して液体を移動させる毛細管作用を可能にすることと、を含む(例えば、図40を参照)。イオン性液体、例えば塩溶液は、ナノポア対応層の反対側(すなわち、ナノポアを作製する前のナノポア膜)に位置付けることができる。ナノポアモジュールは、例えば、限定されないが、PDMS、圧力、ワックス、接着剤等の任意の好適な方法を使用して、DMFモジュールから封止され、それにより穴内の液体体積が、ナノポア膜の反対側の液体体積から単離される。ナノポア対応層を横切る電圧などの電界の印加は、最終的にナノポアの形成につながり、これは、例えば電流トレースにおける絶縁破壊として容易に検出することができる。
ナノポア層内にナノポアを形成した後、いくつかの場合において、ナノポアを物理的に修飾してシグナルをクリーンにするために調整プロセスを実行することができる。いくつかの場合において、調整は、ナノポアに印加される電圧を経時的に変化させることを含む。
ナノポア製造後、DMFモジュールを再活性化して、転位のための任意の液体前処理ステップ(例えば、KClをLiClで置き換えるなど、DMF中の溶液を置き換える)を完了させることができる。前処理の後、DMF液体体積、例えば目的の検体を含有する液体試料を穴の中に位置付けることができる。次いで、DMFシステムを非活性化し、ナノポアモジュールを、転位事象を可能にしそして検出するために使用可能にし得る。
5.方法およびデバイスの使用の変形
試料中に存在する目的の検体の存在または量を決定する開示された方法、およびマイクロ流体デバイスの使用は、上記のとおりであり得る。開示されたマイクロ流体デバイスの方法および使用はまた、検体を分析するための他の方法を考慮して適合させることができる。周知の変形の例としては、サンドイッチイムノアッセイなどのイムノアッセイ(例えば、モノクローナル−ポリクローナルサンドイッチイムノアッセイ、酵素検出を含む(酵素イムノアッセイ(EIA)または酵素結合免疫吸収アッセイ(ELISA)、競合阻害イムノアッセイ(例えば、フォワードおよびリバース)、酵素増幅イムノアッセイ技法(EMIT)、競合結合アッセイ、生物発光共鳴エネルギー転移(BRET)、一段階抗体検出アッセイ、均一アッセイ、異種アッセイ、キャプチャオンザフライアッセイ等が挙げられるが、これらに限定されない。場合によっては、以下の説明は、上記の方法と重複することがあり、他の場合において、以下の説明は、代替例を提供し得る。
a)イムノアッセイ
目的の検体、および/またはペプチドもしくはその断片は、イムノアッセイを使用して分析することができる。目的の検体の存在または量は、本明細書に記載の抗体を使用し、目的の検体への特異的結合を検出することによって決定することができる。任意のイムノアッセイを利用することができる。イムノアッセイは、例えば酵素結合イムノアッセイ(ELISA)、フォワードまたはリバース競合阻害アッセイなどの競合阻害アッセイ、または競合結合アッセイであり得る。いくつかの実施形態では、1つのタグが捕捉抗体および検出抗体に付着している。代替として、捕捉のために用いられる微粒子またはナノ粒子はまた、検出のために機能し得る(例えば、それが何らかの手段によって切断可能なリンカーに付着または会合している場合)。
異種フォーマットが使用されてもよい。例えば、試験試料が対象から得られた後、第1の混合物が調製される。混合物は、目的の検体について評価される試験試料および第1の特異的結合パートナーを含み、第1の特異的結合パートナーおよび試験試料に含まれる任意の目的の検体は、第1の特異的結合パートナー−目的の検体の複合体を形成する。好ましくは、第1の特異的結合パートナーは、目的の抗検体抗体またはその断片である。試験試料および第1の特異的結合パートナーを添加して、混合物を形成する順序は重要ではない。好ましくは、第1の特異的結合パートナーは、固相に固定化される。イムノアッセイに使用される固相(第1の特異的結合パートナー、および任意選択で、第2の特異的結合パートナー)は、磁性粒子、ビーズ、ナノビーズ、マイクロビーズ、ナノ粒子、マイクロ粒子、膜、足場分子、フィルム、ろ紙、ディスク、またはチップ(例えば、マイクロ流体チップ)などであるが、これらに限定されない当技術分野で公知の任意の固相であり得る。
第1の特異的結合パートナー−目的の検体の複合体を含有する混合物が形成された後、当技術分野で公知の任意の技法を使用して、任意の未結合の目的の検体が複合体から除去される。例えば、未結合の目的の検体は、洗浄によって除去することができる。しかしながら、望ましくは、第1の特異的結合パートナーは、試験試料中に存在する目的の全ての検体が第1の特異的結合パートナーによって結合されるように、試験試料中に存在するいかなる目的の検体も超えて存在する。
いかなる未結合の目的の検体も除去した後、第2の特異的結合パートナーを混合物に添加して、第1の特異的結合パートナー−目的の検体−第2の特異的結合パートナーの複合体を形成する。第2の特異的結合パートナーは、好ましくは、第1の特異的結合パートナーによって結合された目的の検体上のエピトープとは異なる目的の検体上のエピトープに結合する目的の抗検体抗体である。さらに、また好ましくは、第2の特異的結合パートナーは、検出可能な標識(例えば、上記のように切断可能なリンカーによって結合された標識)で標識されるか、またはそれを含む。
固定化抗体またはその断片の使用は、イムノアッセイに組み込まれてもよい。抗体は、磁性またはクロマトグラフィーマトリックス粒子、ラテックス粒子または修飾表面ラテックス粒子、ポリマーまたはポリマーフィルム、プラスチックまたはプラスチックフィルム、平面基板、マイクロ流体表面、固体基材材料片等の様々な支持体に固定化することができる。
b)サンドイッチイムノアッセイ
サンドイッチイムノアッセイは、抗体の2つの層(すなわち捕捉抗体(すなわち少なくとも1つの捕捉抗体))と検出抗体(すなわち少なくとも1つの検出抗体)との間の抗原の量を測定する。捕捉抗体および検出抗体は、抗原上の異なるエピトープ、例えば目的の検体に結合する。望ましくは、捕捉抗体のエピトープへの結合は、検出抗体のエピトープへの結合を干渉しない。サンドイッチイムノアッセイにおける捕捉抗体および検出抗体として、モノクローナル抗体またはポリクローナル抗体のいずれかを使用することができる。
一般に、試験試料中の目的の検体を分離し定量するために、少なくとも2つの抗体が用いられる。より具体的には、少なくとも2つの抗体は、「サンドイッチ」と呼ばれる免疫複合体を形成する目的の検体または目的の検体断片の、ある特定のエピトープに結合する。試験試料中の目的の検体を捕捉するために1つ以上の抗体を使用することができ(これらの抗体は、しばしば「捕捉」抗体または「捕捉」抗体(複数)と呼ばれる)、目的の検体にも結合する検出可能な標識(例えば、切断可能なリンカーによって付着されたタグ)を有する1つ以上の抗体(これらの抗体は、しばしば「検出」抗体または「検出」抗体(複数)と呼ばれる)を使用して、サンドイッチを完成させることができる。いくつかの実施形態では、アプタマーは、第2の結合メンバーとして使用され得、検出可能なタグとして役立ち得る。サンドイッチアッセイでは、抗体のそのエピトープへの結合は、アッセイ中の任意の他の抗体の、それぞれのエピトープへの結合によって減少しないことが望ましい。言い換えれば、目的の検体を含むことが疑われる試験試料と接触した1つ以上の第1の抗体が、第2の抗体または後続の抗体によって認識されるエピトープの全部または一部に結合しないように選択され、それにより1つ以上の第2の検出抗体が目的の検体に結合する能力を干渉する。
好ましい実施形態では、目的の検体を含むことが疑われる試験試料を、少なくとも1つの捕捉抗体(単数または複数)および少なくとも1つの検出抗体と同時にまたは順次に接触させることができる。サンドイッチアッセイフォーマットでは、目的の検体(目的の膜関連検体、目的の可溶性検体、目的の膜関連検体の断片、目的の可溶性検体の断片、目的の検体の変異体(目的の膜会合型もしくは可溶性の検体)またはそれらの任意の組み合わせ))を含むことが疑われる試験試料を、最初に、抗体−目的の検体の複合体の形成を可能にする条件下で特定のエピトープに特異的に結合する少なくとも1つの捕捉抗体と接触させる。複数の捕捉抗体を使用する場合、多重捕捉抗体−目的の検体の複合体が形成される。サンドイッチアッセイでは、抗体、好ましくは少なくとも1つの捕捉抗体は、試験試料中に予想される最大量の目的の検体または目的の検体断片のモル過剰量で使用される。
任意選択で、試験試料を少なくとも1つの第1の捕捉抗体と接触させる前に、少なくとも1つの捕捉抗体を固体支持体に結合させることができ、これは試験試料からの抗体−目的の検体の複合体の分離を促進する。平面基板またはビーズ等の形態でポリマー材料から作製された固体支持体が挙げられるが、これらに限定されない、当技術分野において公知の任意の固体支持体を使用することができる。抗体(単数または複数)は、吸着によって、化学カップリング剤を使用する共有結合によって、または当技術分野で公知の他の手段によって、固体支持体に結合することができるが、そのような結合が目的の検体または目的の検体断片に結合する抗体の能力を干渉しないことを条件とする。さらに、必要であれば、固体支持体を誘導体化して、抗体上の様々な官能基との反応性を可能にすることができる。そのような誘導体化は、無水マレイン酸、N−ヒドロキシスクシンイミド、アジド、アルキニル、および1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなどの、ある特定のカップリング剤の使用を必要とする。
目的の検体を含むことが疑われる試験試料を少なくとも1つの捕捉抗体と接触させた後、捕捉抗体(または複数の捕捉抗体)−目的の検体の複合体の形成を可能にするために、試験試料をインキュベートする。インキュベーションは、約4.5〜約10.0のpH、約2℃〜約45℃の温度、少なくとも約1分〜約18時間、約2〜6分、または約3〜4分の期間にわたって実行することができる。
捕捉抗体(複数の抗体)−目的の検体の複合体の形成後、複合体は、少なくとも1つの検出抗体と(捕捉抗体(複数の抗体)−目的の検体−検出抗体(複数の抗体)の複合体の形成を可能にする条件下で)接触させられる。捕捉抗体−目的の検体の複合体が、1つより多い検出抗体と接触する場合、次いで捕捉抗体(複数の抗体)−目的の検体−検出抗体(複数の抗体)検出複合体が形成される。捕捉抗体と同様に、少なくとも1つの検出(およびその後の)抗体を捕捉抗体−目的の検体の複合体と接触させるとき、捕捉抗体(複数の抗体)−目的の検体−検出抗体(複数の抗体)の複合体の形成には、上記と同様の条件下でのインキュベーション期間が必要とされる。好ましくは、少なくとも1つの検出抗体は、検出可能な標識(例えば、切断可能なリンカーによって付着されたタグ)を含む。検出可能な標識は、捕捉抗体(複数の抗体)−目的の検体−検出抗体(複数の抗体)の複合体の形成の前に、それと同時に、またはその後に、少なくとも1つの検出抗体に結合することができる。当技術分野で公知の任意の検出可能な標識、例えば、本明細書で考察されるような切断可能なリンカー、および当技術分野で公知の他のものを使用することができる。
試験試料および特異的結合パートナー(複数可)を添加してアッセイ用の混合物を形成する順序は重要ではない。第1の特異的結合パートナーが、検出可能に標識されている場合(例えば、切断可能なリンカーで付着されたタグ)、次いで検出可能に標識された第1の特異的結合パートナー−目的の検体の複合体が形成される。代替として、第2の特異的結合パートナーが使用され、第2の特異的結合パートナーが検出可能に標識されている場合(例えば、切断可能なリンカーで付着されたタグ)、第1の特異的結合パートナー−目的の検体−第2の特異的結合パートナーの検出可能に標識された複合体が形成される。標識されていてもいなくても、任意の未結合の特異的結合パートナーは、洗浄などの当技術分野で公知の任意の技法を使用して混合物から除去することができる。
次に、目的の検体またはその断片の存在を示すシグナルが生成される。生成されたシグナルのパラメータに基づいて、試料中の目的の検体の量を定量することができる。任意選択で、標準曲線は、質量分析法、重量法、および当技術分野で知られている他の技法によって、既知濃度の目的の検体の段階希釈物または溶液を使用して生成することができる。
c)フォワード競合阻害
フォワード競合フォーマットでは、既知の濃度の標識された目的の検体(例えば、切断可能なリンカーで付着されたタグを有する検体)のアリコートが、目的の検体抗体への結合について試験試料中の目的の検体と競合するために使用される。
フォワード競合アッセイでは、固定化された特異的結合パートナー(例えば、抗体)を、試験試料および標識された目的の検体、目的の検体の断片またはそれらの目的の検体の変異体と順次または同時に接触させることができる。目的の検体ペプチド、目的の検体断片、または目的の検体変異体は、切断可能なリンカーで付着されたタグを含む検出可能な標識を含む、任意の検出可能な標識で標識することができる。このアッセイでは、抗体を固体支持体上に固定化することができる。あるいは、抗体は、微粒子または平面基板などの固体支持体上に固定化されている抗種抗体などの抗体に結合することができる。
本明細書に提供されるのは、生物学的試料中に存在する検体を測定または検出するための方法である。この方法は、試料を結合メンバーと接触させることであって、結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、結合メンバーが、検体に特異的に結合する、接触させることと、結合メンバーに結合される検体を含有し得る試料を、標識検体と接触させることであって、標識検体が、切断可能なタグで標識される、接触させることと、結合メンバーに結合していない標識検体を除去することと、結合メンバーに結合した標識検体に付着したタグを切断することと、切断されたタグを層内の1つ以上のナノポアを通してまたはそれを横切って転位させることと、層を通って転位するタグを評価することと、を含み、層を通って転位するタグの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するタグを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する。いくつかの実施形態では、層を通って転位するタグを測定することが評価され、層を通って転位するタグの数が、試料中に存在する検体の量を測定する。いくつかの実施形態では、層を通って転位するタグを検出することが評価され、層を通って転位するタグを検出することは、検体が試料中に存在することを検出する。
本明細書に提供されるのは、生物学的試料中に存在する検体を測定または検出するための方法である。この方法は、試料を結合メンバーと接触させることであって、結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、結合メンバーが、検体に特異的に結合する、接触させることと、結合メンバーに結合される検体を含有し得る試料を、標識検体と接触させることであって、標識検体が、アプタマーを含む、接触させることと、結合メンバーに結合していない標識検体を除去することと、結合メンバーに結合した標識検体に結合したアプタマーを解離させ、解離したアプタマーを層内の1つ以上のナノポアを通してまたはそれを横切って転位させることと、層を通って転位するアプタマーを評価することと、を含み、層を通って転位するアプタマーの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するアプタマーを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する。いくつかの実施形態では、層を通って転位するアプタマーを測定することが評価され、層を通って転位するアプタマーの数は、試料中に存在する検体の量を測定する。いくつかの実施形態では、層を通って転位するアプタマーを検出することが評価され、層を通って転位するアプタマーを検出することは、検体が試料中に存在することを検出する。
目的の標識検体、試験試料および抗体を、サンドイッチアッセイフォーマットに関して上記したものと同様の条件下でインキュベートする。次いで、2つの異なる種の抗体−目的の検体の複合体が生成され得る。具体的には、生成された抗体−目的の検体の複合体のうちの1つは、検出可能な標識(例えば、タグ)を含むが、他の抗体−目的の検体の複合体は、検出可能な標識を含まない。抗体−目的の検体の複合体は、検出可能な標識の定量化の前に、試験試料の残りから分離することができるが、そうである必要はない。抗体−目的の検体の複合体が試験試料の残りの部分から分離されているかどうかにかかわらず、その後、抗体−目的の検体の複合体中の検出可能な標識の量を定量する。試験試料中の目的の検体(目的の膜関連検体、目的の可溶性検体、目的の可溶性検体の断片、目的の検体の変異体(対象の膜関連もしくは可溶性検体)、またはそれらの任意の組み合わせ)の濃度は、次いで、例えば上記のように決定することができる。有用ならば、抗体−目的の検体の複合体中の検出可能な標識の量を標準曲線と比較することによって、決定を行うことができる。標準曲線は、目的の検体の段階希釈(目的の膜関連検体、目的の可溶性検体、目的の可溶性検体の断片、目的の検体の変異体(膜関連または可溶性検体)など)を使用して生成することができ、濃度は、質量分析法、重量分析法、および当技術分野で公知の他の技法によって決定される。
任意選択で、抗体−目的の検体の複合体は、サンドイッチアッセイフォーマットに関連して上述した固体支持体などの固体支持体に抗体を結合させ、次いで試験試料の残りを固体支持体との接触から分離することができる。
d)リバース競合アッセイ
リバース競合アッセイでは、目的の固定化検体を、試験試料および少なくとも1つの標識抗体と順次または同時に接触させることができる。
本明細書に提供されるのは、生物学的試料中に存在する検体を測定または検出するための方法である。この方法は、試料を結合メンバーと接触させることであって、結合メンバーが、検体に特異的に結合し、結合メンバーが、切断可能なタグで標識される、接触させることと、結合メンバーに結合される検体を含有し得る試料を、固定化された検体と接触させることであって、固定化された検体が、固体支持体上で固定化される、接触させることと、固定化された検体に結合していない結合メンバーを除去することと、固定化された検体に結合した結合メンバーに付着したタグを切断することと、切断されたタグを層内の1つ以上のナノポアを通してまたはそれを横切って転位させることと、層を通って転位するタグを評価することと、を含み、層を通って転位するタグの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するタグを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する。いくつかの実施形態では、層を通って転位するタグを測定することが評価され、層を通って転位するタグの数が、試料中に存在する検体の量を測定する。いくつかの実施形態では、層を通って転位するタグを検出することが評価され、層を通って転位するタグを検出することは、検体が試料中に存在することを検出する。
本明細書に提供されるのは、生物学的試料中に存在する検体を測定または検出するための方法である。この方法は、試料を結合メンバーと接触させることであって、結合メンバーが、検体に特異的に結合し、結合メンバーが、アプタマーを含む、接触させることと、結合メンバーに結合される検体を含有し得る試料を、固定化された検体と接触させることであって、固定化された検体が、固体支持体上で固定化される、接触させることと、固定化された検体に結合していない結合メンバーを除去することと、固定化された検体に結合した結合メンバーに結合したアプタマーを解離させ、解離したアプタマーを層内の1つ以上のナノポアを通してまたはそれを横切って転位させることと、層を通って転位するアプタマーを評価することと、を含み、層を通って転位するアプタマーの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するアプタマーを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する。いくつかの実施形態では、層を通って転位するアプタマーを測定することが評価され、層を通って転位するアプタマーの数は、試料中に存在する検体の量を測定する。いくつかの実施形態では、層を通って転位するアプタマーを検出することが評価され、層を通って転位するアプタマーを検出することは、検体が試料中に存在することを検出する。
目的の検体は、サンドイッチアッセイフォーマットに関連して上述した固体支持体などの固体支持体に結合することができる。
目的の固定化検体、試験試料および少なくとも1つの標識抗体を、サンドイッチアッセイフォーマットに関して上記のものと同様の条件下でインキュベートする。次いで、2つの異なる種の目的の検体−抗体の複合体が生成される。具体的には、生成された目的の検体−抗体の複合体のうちの1つは、固定化され、検出可能な標識(例えば、切断可能なリンカーで付着されたタグ)を含み、一方で他の目的の検体−抗体の複合体は、固定化されず、検出可能な標識を含む。固定化されていない目的の検体−抗体の複合体および残りの試験試料は、洗浄などの当技術分野において公知の技法を介して、固定化された目的の検体−抗体の複合体の存在から除去される。一旦固定化されていない目的の検体−抗体の複合体が除去されると、固定化された目的の検体−抗体の複合体中の検出可能な標識の量がタグの切断後に定量される。次いで、試験試料中の目的の検体の濃度は、上記のように検出可能な標識の量を比較することによって決定され得る。有用ならば、これは標準曲線を使用して行うことができる。標準曲線は、質量分析法、重量分析法および当技術分野で公知の他の技法によって決定される、公知濃度の目的の検体または目的の検体の断片の段階希釈物を使用して生成することができる。
e)ワンステップイムノアッセイまたはキャプチャオンザフライアッセイ
ワンステップイムノアッセイまたはキャプチャオンザフライアッセイでは、固体基材を固定化剤で予めコーティングする。捕捉剤、検体および検出剤を一緒に固体基材に添加し、続いて検出前に洗浄ステップを行う。捕捉剤は検体と結合することができ、固定化剤のためのリガンドを含む。捕捉剤および検出剤は、抗体、または本明細書に記載されているか、もしくは当技術分野において公知の捕捉または検出が可能な任意の他の部分であり得る。リガンドは、ペプチドタグを含み、固定化剤は、抗ペプチドタグ抗体を含み得る。代替として、リガンドおよび固定化剤は、キャプチャオンザフライアッセイに用いられるために一緒に結合することができる任意の対の作用物質(例えば、特異的結合対、および他の当技術分野で公知のものなど)であり得る。複数の検体を測定することができる。いくつかの実施形態では、固体基材を抗原でコーティングすることができ、分析される検体は抗体である。
いくつかの実施形態では、固定化剤(例えば、ビオチン、ストレプトアビジン等)で予めコーティングされた固体支持体(微粒子など)、ならびに少なくとも第1の特異的結合メンバーおよび第2の特異的結合メンバー(それぞれ捕捉試薬および検出試薬として機能する)として機能する)が使用される。第1の特異的結合メンバーは、固定化剤に対するリガンド(例えば、固体支持体上の固定化剤がストレプトアビジンである場合、第1の特異的結合メンバー上のリガンドはビオチンであり得る)を含み、また目的の検体に結合する。第2の特異的結合メンバーは、検出可能な標識を含み、目的の検体に結合する。固体支持体ならびに第1および第2の特異的結合メンバーは、試験試料に(順次または同時に)添加され得る。第1の特異的結合メンバー上のリガンドは、固体支持体上の固定化剤に結合して、固体支持体/第1の特異的結合メンバーの複合体を形成する。試料中に存在する任意の目的の検体は、固体支持体/第1の特異的結合メンバーの複合体に結合して、固体支持体/第1の特異的結合メンバー/検体の複合体を形成する。第2の特異的結合メンバーは、固体支持体/第1の特異的結合メンバー/検体の複合体に結合し、検出可能な標識が検出される。検出の前に、任意の洗浄ステップを用いてもよい。ある特定の実施形態では、ワンステップアッセイにおいて、2つ以上の検体が測定され得る。ある特定の他の実施形態では、3つ以上の特異的結合メンバーを用いることができる。ある特定の他の実施形態では、複数の検出可能な標識を付加することができる。ある特定の他の実施形態では、目的の複数の検体を検出することができる。
ワンステップイムノアッセイまたはキャプチャオンザフライアッセイの使用は、本明細書中に記載され、当技術分野で公知の種々のフォーマットで行われ得る。例えば、フォーマットは上記のようなサンドイッチアッセイであり得るが、代替として競合アッセイであり得、単一の特異的結合メンバーを用い得るか、または公知のような他の変形を使用し得る。
f)組み合わせアッセイ(Ag/Abによる微粒子の同時コーティング)
組み合わせアッセイでは、微粒子などの固体基材を抗原および抗体で同時コーティングして、それぞれ試料から抗体および抗原を捕捉する。固体支持体は、試料から2つ以上の異なる抗体を捕捉するために、2つ以上の異なる抗原で同時コーティングされてもよい。固体支持体は、試料から2つ以上の異なる抗原を捕捉するために、2つ以上の異なる抗体で同時コーティングされてもよい。
さらに、本明細書に記載の方法は、アッセイ化合物間の特異的または非特異的結合反応(例えば、HAMAの懸念)を防ぐためにブロッキング剤を使用してもよい。作用物質(および任意選択で、任意の対照)が支持体上に固定化されると、作用物質の残りの結合部位は、支持体上でブロックされ得る。当業者に知られている任意の好適なブロッキング試薬を使用することができる。例えば、ウシ血清アルブミン(「BSA」)、PBS中のカゼインのリン酸緩衝生理食塩水(「PBS」)溶液、Tween 20(商標)(Sigma Chemical Company,St.Louis,Mo.)、または他の好適な界面活性剤、ならびに他のブロッキング試薬を用いてもよい。
本開示から明らかなように、変形を含む、本明細書に開示される方法およびデバイスは、疾患、障害、または病態を有することが疑われる対象における疾患、障害、または病態を診断するために使用され得る。例えば、試料分析は、癌マーカー、心臓病態のマーカー、毒素、ウイルスなどの病原体、細菌、またはそれらの一部などの疾患マーカーを検出するのに有用であり得る。方法およびデバイスはまた、生物学的試料中に存在する検体を測定するために使用され得る。方法およびデバイスはまた、標的検体を検出するための血液スクリーニングアッセイにおいても使用され得る。血液スクリーニングアッセイを使用して、血液供給をスクリーニングすることができる。
6.カウントおよびデータ分析
転位事象の数は、当技術分野で公知の任意の日常的技法を使用して定性的または定量的に決定され得る。いくつかの実施形態では、転位事象の数は、実験的試験条件下、以下の等式を使用して、二本鎖DNA転位事象において見出される予想される電流変化を最初に計算することによって決定することができ、
Kwok et al.,″Nanopore Fabrication by controlled Dielectric Breakdown″Supplementary Information Section 8およびKwok,H.;Briggs,K.;and Tabard−Cossa,V.;″Nanopore Fabrication by Controlled Dielectric Breakdown″−PLoS ONE 9(3):e92880(2014)において参照される。この予想される電流遮断値を使用して、実験的ナノポア出力のバイナリファイルデータを、許容可能な予想される現在の遮断事象について視覚的にまたは手動で走査することができる。これらの事象を使用して、CUSUMナノポアソフトウェアに必要な閾値およびヒステリシスパラメータを適用して実行することができる。このソフトウェアからの出力は、cusumtools readevents.pyソフトウェアを使用し、1000pAを超える(最初の計算から決定される)遮断事象をフィルタリングして、さらに分析することができる。流動事象、事象間の時間および他の計算は、readevents.py分析ツールから決定することができる。JMPソフトウェア(SAS Institute,Cary,North Carolina)を使用して、CUSUM生成データに対して追加の計算を行うことができる。当技術分野において公知のデータ分析のための閾値設定の他の方法が使用され得る。
7.定性的分析
定性的アッセイは、本明細書中に記載される方法およびステップのプロセスを使用して行われ得る。図25に示されているチオールベースの切断ステップを用いて、実施例17に記載されているように、切断可能なリンカー接合体を使用して直接アッセイを実施することができる。そのようなアッセイを実施するための他の切断可能なリンカー手法はまた、本明細書中に記載されるように、種々のタグのカウントを可能にするための、リンカーの切断の種々の他の方法を含み得るがこれらに限定されないことが理解される。さらに、アプタマーを用いることができる。例えば、実施例17に記載の方法に加えて、そのような他の代替の切断方法および/または試薬は、本明細書に記載され、当業者に知られている他の切断方法に加えて、実施例16、実施例18、実施例19、実施例20および実施例21に記載のものを含み得る。この実施例(実施例24)において実証されたアッセイフォーマットは、直接アッセイを表すが、サンドイッチイムノアッセイフォーマットおよび/または様々な競合アッセイフォーマットなどの、当業者に知られているものなどのキャプチャオンザフライフォーマットを含む他のフォーマットが、記載された方法を使用してアッセイを実施するために同様に実施され得ることも理解される。
例えば、実施例9に記載されているように、TSH(甲状腺刺激ホルモン)の検出のためのサンドイッチイムノアッセイフォーマットは、低コストDMFチップ上でそのようなアッセイを実施する能力を実証した。さらに、他の方法で当業者に知られている他の切断可能なリンカーに加えて、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5および実施例6に記載されているものなどの様々なヘテロ二官能性の切断可能なリンカーを使用して、イムノ接合体の生成に有用な多数の様々なバイオ接合試薬または切断可能なリンカーを有する他の活性特異的結合メンバーが合成され得る。本発明の実施に有用な免疫接合体は、実施例3、実施例4、実施例5および実施例6に記載されるものなどの方法によって、ならびに当業者に公知の他の方法によって合成することができる。さらに、実施例8は、サンドイッチおよび競合アッセイフォーマットを含み、キャプチャオンザフライフォーマットむ様々なアッセイフォーマット、ならびに当業者に知られているそれらの他の変形を実行するために必要な様々なステップを容易にすることができる、低コストチップ上の様々な液滴操作の機能を示す。実施例11は、アッセイにおいて切断可能な標識をカウントするために使用することができるナノポアの製造を示すが、当業者に知られているナノポア製造のための他の方法もまた、この目的のために使用することができることが理解される。実施例16はまた、切断が行われるアッセイの実施に有用な別の構築物を表し、したがって、この実施例に記載されるように、ナノポアカウント法を使用してカウントできるように、カウント可能な標識が遊離される。この構築物および当業者に明らかである他のものは、本明細書に記載されるようなアッセイにおいて使用され得る。
実施例22は、一般に、ナノポアを横断する様々な標識の存在に関する転位事象を測定することができるように、カウントをどのようにして行うことができるかを示す。図29は、カウントアッセイにおいてデータの質を操作することができるようにするための、シグナルの閾値化の概念を示す。図28は、この実施例に記載されるようなアッセイ方法を使用して、検体の存在を決定するために使用され得るデータの種類を表す定性的アッセイデータを示す。この特定の実施例では、dsDNAを標識として使用したが、ナノビーズ、デンドリマー等を含むがこれらに限定されない実施例5および/または実施例22に記載の標識などの他の標識を利用することもできる。さらに、他の公知の標識もまた用いることができる。適切な試薬を生成するために必要とされるそのような構築物は、本出願において本明細書に記載される様々な実施例を通して、またはそうでなければ当業者に知られている方法を介して合成され得る。
8.定量的分析
定量的アッセイは、本明細書に記載されるような方法およびステップのプロセスを使用して実施され得る。図25に示されているチオールベースの切断ステップを用いて、実施例17に記載されているように、切断可能なリンカー接合体を使用して直接アッセイを実施することができる。そのようなアッセイを実施するための他の切断可能なリンカー手法はまた、本明細書中に記載されるように、ナノポアを使用する種々のタグのカウントを可能にするための、リンカーの切断の種々の他の方法を含み得るがこれらに限定されないことが理解される。さらに、アプタマーを用いることができる。例えば、実施例17に記載の方法に加えて、そのような他の切断方法としては、本明細書に記載され、当業者に知られている方法に加えて、実施例18、実施例19、実施例20および実施例21に記載の方法が挙げられるが、これらに限定されない。この実施例(実施例25)において実証されたアッセイフォーマットは、直接アッセイを表すが、サンドイッチイムノアッセイフォーマットおよび/または様々な競合アッセイフォーマットなどの、当業者に知られているようなキャプチャオンザフライフォーマットを含む他のフォーマットが、アッセイを実施するために同様に実施され得ることも理解される。
例えば、実施例9に記載されているように、TSH(甲状腺刺激ホルモン)の検出のためのサンドイッチイムノアッセイフォーマットは、低コストDMFチップ上でそのようなアッセイを実施する能力を実証した。さらに、他の方法で当業者に知られている他の切断可能なリンカーに加えて、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5および実施例6に記載されているものなどの様々なヘテロ二官能性の切断可能なリンカーを使用して、イムノ接合体の生成に有用な多数の様々なバイオ接合試薬または切断可能なリンカーを有する他の活性特異的結合メンバーが、当業者により合成され得る。さらに、実施例8は、サンドイッチおよび競合アッセイフォーマットを含み、キャプチャオンザフライフォーマットを含む様々なアッセイフォーマット、ならびに当業者に知られているそれらの他の変形を実行するために必要な様々なステップを容易にすることができる、低コストチップ上の様々な液滴操作の機能を示す。実施例16はまた、切断が行われるアッセイの実施に有用な別の構築物を表し、したがって、この実施例に記載されるように、ナノポアカウント法を使用してカウントできるように、カウント可能な標識が遊離される。この構築物ならびに当業者に明らかである他のものは、本明細書に記載されるようなアッセイにおいて使用され得る。
実施例22は、一般に、ナノポアを横断する標識の存在に関する転位事象を測定することができるように、カウントをどのようにして行うことができるかを示す。図29は、カウントアッセイにおいてデータの質を操作することができるようにするための、シグナルの閾値化の概念を示す。図31、32および33は、この実施例に記載されるようなアッセイ方法を使用して、検体の量を決定するために使用され得るデータの種類を表す定性的アッセイデータ出力を示す。図34は、化学的方法を使用して切断された構築物から生成された標準曲線を示す。この特定の実施例では、dsDNAを標識として使用したが、ナノビーズ、デンドリマー等を含むがこれらに限定されない実施例5に記載の標識などの他の標識を利用することもできる。さらに、他の公知の標識もまた用いることができる。適切な試薬を生成するために必要とされるそのような構築物は、本明細書に記載されるように、または当業者に知られている方法を介して合成され得る。
9.キットおよびカートリッジ
本明細書ではまた、開示されたデバイスを用いてまたは用いずに、上記の方法を実施する際に使用するためのキットも提供される。このキットは、開示されたデバイスを用いて検体を分析するための説明書を含み得る。キットに含まれる説明書は、包装材料に添付されてもよく、または添付文書として含まれてもよい。説明書は、書面または印刷物であってもよいが、それに限定されない。そのような説明書を保存し、それらをエンドユーザに伝達することができる任意の媒体が、本開示によって企図される。そのような媒体としては、電子記憶媒体(例えば、磁気ディスク、テープ、カートリッジ、チップ)、光学媒体(例えば、CD−ROM)等が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「説明書」は、その説明書を提供するインターネットサイトのアドレスを含み得る。
このキットは、上述のように、内蔵ナノポアモジュールと共にマイクロ流体モジュールを含むカートリッジを含んでもよい。いくつかの実施形態では、マイクロ流体モジュールおよびナノポアモジュールは、一緒に可逆的に集積するための別々のコンポーネントであり得るか、または完全にまたは不可逆的にカートリッジに集積され得る。カートリッジは使い捨てであり得る。カートリッジは、上に開示された方法を実施するのに有用な1つ以上の試薬を含み得る。カートリッジは、1つ以上の別々の組成物として、または任意選択で、試薬の適合性が許す場合の混和物として、試薬を保持する1つ以上の容器を含み得る。カートリッジはまた、緩衝液(複数可)、希釈剤(複数可)、標準物質(複数可)(例えば、較正物質および対照)、ならびに/または試料処理、洗浄、もしくはアッセイの任意の他のステップの実施において有用な任意の他の材料などの、ユーザの観点から望ましい可能性がある他の材料(複数可)を含み得る。カートリッジは、上記の特異的結合メンバーのうちの1つ以上を含み得る。
代替としてまたは追加として、キットは、較正物質または対照、例えば、精製された、および任意選択で凍結乾燥した目的の検体、またはカートリッジ上の液体、ゲル、もしくは他の形態の、または別個の目的の検体、ならびに/あるいは上記のデバイスおよび方法と共に使用するための少なくとも1つの容器(例えば、チューブ、マイクロタイタープレート、もしくはストリップ)、および/またはアッセイ緩衝液もしくは洗浄緩衝液などの緩衝液(それらのうちのいずれか1つは、濃縮溶液として提供され得る)を含み得る。いくつかの実施形態では、キットは、アッセイを行うのに必要な全ての構成要素、すなわち試薬、標準物質、緩衝液、希釈剤等を含む。説明書はまた、標準曲線を生成するための説明書を含み得る。
キットは、目的の検体を定量するための参照標準をさらに含み得る。参照標準は、目的の検体濃度の内挿および/または外挿のための標準曲線を確立するために用いられ得る。キットは、濃度レベルに関して異なる参照標準を含み得る。例えば、キットは、高濃度レベル、中濃度レベル、または低濃度レベルのいずれかを有する1つ以上の参照標準を含み得る。参照標準の濃度範囲に関しては、これはアッセイごとに最適化することができる。参照標準の例示的な濃度範囲としては、例えば、約10fg/mL、約20fg/mL、約50fg/mL、約75fg/mL、約100fg/mL、約150fg、約200fg/mL、約250fg/mL、約500fg/mL、約750fg/mL、約1000fg/mL、約10pg/mL、約20pg/mL、約50pg/mL、約75pg/mL、約100pg/mL、約150pg/mL、約200pg/mL、約250pg/mL、約500pg/mL、約750pg/mL、約1ng/mL、約5ng/mL、約10ng/mL、約12.5ng/mL、約15ng/mL、約20ng/mL、約25ng/mL、約40ng/mL、約45ng/mL、約50ng/mL、約55ng/mL、約60ng/mL、約75ng/mL、約80ng/mL、約85ng/mL、約90ng/mL、約95ng/mL、約100ng/mL約125ng/mL、約150ng/mL、約165ng/mL、約175ng/mL、約200ng/mL、約225ng/mL、約250ng/mL、約275ng/mL、300ng/mL、約400ng/mL、約425ng/mL、約450ng/mL、約465ng/mL、約475ng/mL、約500ng/mL、約525ng/mL、約550ng/mL、約575ng/mL、約600ng/mL、約700ng/mL、約725ng/mL、約750ng/mL、約765ng/mL、約775ng/mL、約800ng/mL、約825ng/mL、約850ng/mL、約875ng/mL、約900ng/mL、約925ng/mL、約950ng/mL、約975ng/mL、約1000ng/mL、約2μg/mL、約3μg/mL、約4μg/mL、約5μg/mL、約6μg/mL、約7μg/mL、約8μg/mL、約9μg/mL、約10μg/mL、約20μg/mL、約30μg/mL、約40μg/mL、約50μg/mL、約60μg/mL、約70μg/mL、約80μg/mL、約90μg/mL、約100μg/mL、約200μg/mL、約300μg/mL、約400μg/mL、約500μg/mL、約600μg/mL、約700μg/mL、約800μg/mL、約900μg/mL、約1000μg/mL、約2000μg/mL、約3000μg/mL、約4000μg/mL、約5000μg/mL、約6000μg/mL、約7000μg/mL、約8000μg/mL、約9000μg/mL、または約10000μg/mLが挙げられるが、これらに限定されない。
キットで提供される任意の特異的結合メンバーは、例えば蛍光体、酵素、アプタマー、ビーズ、ナノ粒子、微粒子、ポリマー、タンパク質、ビオチン/アビジン標識等のタグもしくは標識を組み込み得るか、あるいはキットは、特異的結合メンバーを標識するための試薬、または特異的結合メンバーを検出するためおよび/もしくは検体を標識するための試薬、または検体を検出するための試薬を含み得る。必要に応じて、キットは、1つ以上の異なるタグまたは標識を含み得る。キットはまた、切断媒介試薬などの、切断を誘発するための成分を含み得る。例えば、切断媒介試薬は、ジチオトレイトール(DTT)またはトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン)TCEPなどの還元剤を含み得る。特異的結合メンバー、較正物質、および/もしくは対照は、別々の容器に入れて提供するか、または適切なアッセイフォーマットもしくはカートリッジに予め分注することができる。タグは、開示されたデバイスを使用して検出されてもよい。
キットは、例えば、多重化アッセイにおいて試料中の1つ以上の標的検体を検出するための1つ以上の特異的結合メンバーを含み得る。キット中の異なる種類の特異的結合メンバーの数は、キットの意図する用途に応じて広範囲におよび得る。キット中の特異的結合メンバーの数は、1〜約10、またはそれ以上の範囲であり得る。例えば、キットは、1〜10個の特異的結合メンバー、1〜9個の特異的結合メンバー、1〜8個の特異的結合メンバー、1〜7個の特異的結合メンバー、1〜6個の特異的結合メンバー、1〜5個の特異的結合メンバー、1〜4個の特異的結合メンバー、1〜3個の特異的結合メンバー、1〜2個の特異的結合メンバー、2〜10個の特異的結合メンバー、2〜9個の特異的結合メンバー、2〜8個の特異的結合メンバー、2〜7個の特異的結合メンバー、2〜6個の特異的結合メンバー、2〜5個の特異的結合メンバー、2〜4個の特異的結合メンバー、3〜10個の特異的結合メンバー、3〜9個の特異的結合メンバー、3〜8個の特異的結合メンバー、3〜7個の特異的結合メンバー、3〜6個特異的結合メンバー、3〜5個の特異的結合メンバー、3〜4個の特異的結合メンバー、4〜10個の特異的結合メンバー、4〜9個の特異的結合メンバー、4〜8個の特異的結合メンバー、4〜7個の特異的結合メンバー、4〜6個の特異的結合メンバー、5〜10個の特異的結合メンバー、5〜9個の特異的結合メンバー、5〜8個の特異的結合メンバー、5〜7個の特異的結合メンバー、5〜6個の特異的結合メンバー、6〜10個の特異的結合メンバー、6〜9個の特異的結合メンバー、6〜8個の特異的結合メンバー、6〜7個の特異的結合メンバー、7〜10個の特異的結合メンバー、7〜9個の特異的結合メンバー、7〜8個の特異的結合メンバー、8〜10個の特異的結合メンバー、8〜9個の特異的結合メンバー、または9〜10個の特異的結合メンバーを含み得る。1つ以上の特異的結合メンバーの各々は、異なる標的検体に結合し得、各特異的結合メンバーは、異なるタグおよび/またはアプタマーで標識され得る。例えば、キットは、第1の標的検体に結合する第1の特異的結合メンバー、第2の標的検体に結合する第2の特異的結合メンバー、および第3の標的検体に結合する第3の特異的結合メンバー等を含み得、第1の特異的結合メンバーは、第1のタグおよび/またはアプタマーで標識され、第2の特異的結合メンバーは、第2のタグおよび/またはアプタマーで標識され、第3の特異的結合メンバーは、第3のタグおよび/またはアプタマーで標識される等である。1つ以上の特異的結合メンバーに加えて、キットは、1つ以上の追加のアッセイ成分、例えば好適な緩衝媒体等をさらに含み得る。キットはまた、上記のものなどの、タグおよび/またはアプタマーを検出および測定するためのデバイスを含み得る。最後に、キットは、本発明による検体検出の方法において特異的結合メンバーを使用するための説明書を含んでもよく、使用のためのこれらの説明書は、キット包装および/または添付文書に存在してもよい。
任意選択で、キットには、品質管理構成要素(例えば、感度パネル、較正物質、および正の対照)が含まれる。品質管理試薬の調製は、当技術分野において周知であり、種々の免疫診断製品のための挿入シートに記載されている。感度パネルメンバーを任意選択で使用して、アッセイ性能特性を確立し、さらに任意選択で、キット試薬の完全性およびアッセイの標準化の有用な指標である。
キットはまた、任意選択で、診断アッセイを行うか、または例えば緩衝液、塩、酵素、酵素共因子、基質、検出試薬等の品質管理評価を容易にするために必要な他の試薬を含むことができる。試験試料の単離および/または処理のための緩衝液および溶液(例えば、前処理試薬)などの他の成分もまた、キットに含めることができる。キットは、追加として1つ以上の他の対照を含み得る。キットの構成要素のうちの1つ以上は、凍結乾燥することができ、その場合キットは、凍結乾燥された構成要素の再構成に適した試薬をさらに含むことができる。構成要素のうちの1つ以上は、液体形態であり得る。
キットの様々な構成要素は、任意選択で、必要に応じて好適な容器で提供される。キットは、試料を保持または保存するための容器(例えば、尿、唾液、血漿、脳脊髄液、または血清試料用の容器またはカートリッジ、あるいは組織吸引をもたらすために組織を保存、輸送または処理するための適切な容器)をさらに含み得る。適切な場合、キットは、任意選択で、反応容器、混合容器、および試薬または試験試料の調製を容易にする他の成分も含み得る。キットはまた、マイクロサンプリングデバイス、マイクロニードル、または他の低侵襲性の無痛性の採血方法などの様々な採血/転送デバイスなどの、試験試料の取得を支援するための1つ以上の試料収集/取得器具;採血管(複数可);ランセット;毛細管採血管;他の単一の指先刺し採血方法;頬スワブ、鼻/咽頭スワブ;組織試料を入手、保存、もしくは吸引するための16ゲージまたは他のサイズの針、パンチ生検用の円形ブレード(例えば、1〜8mm、もしくは他の適切なサイズ)、外科用ナイフもしくはレーザー(例えば、特に手持ち式)、注射器、滅菌容器、またはカニューレ等を含み得る。キットは、関節吸引、円錐生検、穿孔生検、細針吸引生検、画像誘導経皮針吸引生検、気管支肺胞洗浄、内視鏡生検、および腹腔鏡生検を補助するための1つ以上の器具を含み得る。
タグまたは検出可能な標識が、少なくとも1つのアクリジニウム化合物であるか、またはそれを含む場合、キットは、少なくとも1つのアクリジニウム−9−カルボキシアミド、少なくとも1つのアクリジニウム−9−カルボキシレートアリールエステル、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。タグまたは検出可能な標識が、少なくとも1つのアクリジニウム化合物であるか、またはそれを含む場合、キットはまた、緩衝液、溶液、および/または少なくとも1つの塩基性溶液などの過酸化水素源を含み得る。必要に応じて、キットは、磁性粒子、ビーズ、膜、足場分子、フィルム、ろ紙、ディスク、またはチップなどの固相を含むことができる。
所望される場合、キットは、試験試料を別の検体についてアッセイするための、1つ以上の成分を、単独でまたは使用説明書と組み合わせてさらに含むことができ、これらは感染症、心臓病、代謝性疾患、甲状腺疾患等の疾患状態または障害のバイオマーカーなどのバイオマーカーであり得る。
本発明は、本明細書に提供される非限定的な実施例によって例示される複数の態様を有する。
集積DMF−電気化学的/電気的/光学的検出チップ、デバイス、およびシステム
前述のセクションで述べたように、検体検出チップを操作して試料を調製し、検体検出チップ内の調製された試料から検体関連シグナルを検出するように構成された検体検出デバイスが開示されている。検体検出チップは、デジタルマイクロ流体(DMF)領域と、DMF領域と重なり得るか、または空間的に分離されていてもよい検体検出領域と、を含んでもよい。前のセクションに記載されるように、DMF領域およびナノポア領域は、動作可能に接続されているか、または単一のカートリッジに集積されていることがある個々のデバイスに分離することができる。部分的にまたは完全に集積されたデバイスのDMF領域およびナノポア領域に作用して、液滴の移動に影響を及ぼし、ナノポアからの電気シグナルを検出するための器具もまた、本明細書に提供される。この器具については、前のセクションで詳細に説明されている。この器具は、異なるタイプの検体検出デバイスを操作するための構成要素をさらに含み得、このデバイスは、臨床化学を実施するためのカートリッジであり得る。
ある特定の場合において、臨床化学は、基質に対する酵素の作用によって生成される電気化学種または発色反応産物の検出を含み得る。例えば、基質は、試料中に存在する検体であり得、酵素は、検体に特異的であり得、検体と触媒的に反応して電気化学種または着色反応産物を生成し得る。他の場合において、臨床化学は、第1の結合メンバーを使用して検体を捕捉して、検体および第1の結合メンバーを含む第1の複合体を生成することと、その複合体を、検体に結合する第2の結合メンバーと接触させて、検体、第1の結合メンバー、および第2の結合メンバーを含む第2の複合体を生成することと、を含み得る。第2の結合メンバーは、好適な基質への曝露時に電気化学種または発色反応産物を生成する酵素に接合している。
ある特定の実施形態では、臨床化学を実施するためのカートリッジの検体検出領域は、検体が試料中に存在するときに生成される電気化学種を検出するための電極を含み得る。そのようなカートリッジはまた、本明細書ではDMF電気化学チップとも呼ばれる。他の実施形態では、臨床化学を実施するためのカートリッジの検体検出領域は、検体が試料中に存在するときに生成される光学シグナルの検出のために構成されてもよい。そのようなカートリッジは、本明細書ではDMF光学チップとも呼ばれる。臨床化学を実施するためのカートリッジは、DMF電気化学チップと呼ばれることがあることに留意されたい。
さらに他の実施形態では、カートリッジは、電気化学的検出およびナノポア層を使用する検出のために構成された多機能であり得る。そのようなものとして、本明細書に開示されている器具は、複数の単一機能カートリッジ上ならびに多機能カートリッジ(複数可)上で動作することができる。
DMF領域を使用して、分析のための液滴を、検出領域に転送することができ、ここで液滴が、電気的に(例えば、ナノポアを使用して)、電気化学的に(例えば、臨床化学を使用して)、および/または光学的に(例えば、臨床化学を使用して)分析される。光学的検出は、比色検出、濁度検出、蛍光検出、および/または画像分析であり得る。画像分析は、検体検出カートリッジからの光学シグナルの検出を含み得る。光学シグナルは、比色、濁度、または蛍光シグナルなどの光シグナルであり得る。電気化学的検出は、電流測定、クーロメトリー、電位差測定、電圧測定、インピーダンス、またはそれらの組み合わせを含み得る。
「検体検出チップ」、「検体検出カートリッジ」という語句、ならびに「チップ」および「カートリッジ」という語句は、本明細書において互換的に使用され、本明細書に開示される検体検出器具と適合する使い捨てまたは再使用可能な試料処理デバイスを指す。本明細書に開示される検体検出器具はまた、本明細書に提供されるチップ内の試料を処理するために使用される検体検出デバイスとも呼ばれる。ある特定の実施形態では、検体検出チップは、第1の基板と第2の基板とを含み得、第2の基板は、第1の基板上に位置付けられ、ギャップによって第1の基板から分離されている。第1または第2の基板は、複数のDMF電極を含み得る。複数のDMF電極は、活性化および非活性化のために個々に制御可能な電極のアレイまたは一連の電極であり得る。複数のDMF電極は、DMF電極を電気的に絶縁するために絶縁材料で覆われてもよい。ある特定の実施形態では、第1の基板と第2の基板との間の空間/ギャップは、空気またはオイルなどの不活性流体で充填されてもよい。ある特定の実施形態では、DMF電極は、本明細書の前のセクションに記載されているように配置することができる。例示的な実施形態では、一連のDMF電極を第1の基板上に配設することができ、単一の電極を第1の基板上の一連の電極と対面構成で第2の基板上に配設することができる。一連の電極および単一電極は、絶縁層で被覆されていてもよい。他の場合において、第1の基板上の一連のまたは複数の電極は、共面電極として構成され、第2の基板は、電極を含まなくてもよい。DMF電極の様々な構成は、集積マイクロ流体デバイスおよびナノポアデバイスについて説明している前のセクションに記載されている。DMF電極のこれらの構成のいずれも、本明細書に開示されている追加のカートリッジに存在することができる。
前のセクションで説明したように、第1層および/または第2層に存在する電極は、例えばインジウム錫酸化物、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、ドープ酸化亜鉛等の実質的に透明な材料から製造することができる。さらに、一方または両方の基板は、光学的インタロゲーションを容易にするために実質的に透明であり得る。
検体検出デバイスは、そのデバイスに挿入された検体検出チップ内の光学シグナル、電気化学的、電気的シグナルを検出するための光学的、電気化学的、および/または電気的手段を含み得る。さらに、検体検出デバイスは、検体検出チップに存在するDMF電極を操作するための手段を含む。本明細書に開示される検体検出デバイスは、カートリッジと相互作用するための1つまたは複数のインターフェースを含み得る。ある特定の場合において、カートリッジインターフェースは、スロットなどの挿入領域であり得る。他の場合において、インターフェースは、カートリッジを受け入れるための凹部であり得、ドアまたは蓋によって包囲され得る。検体検出デバイスは、複数の検体検出チップと適合し得る単一のインターフェースを含み得る。例えば、挿入スロットは、電気化学シグナルを検出する検体検出チップ、光学シグナルを検出する検体検出チップ、および/または電気シグナルを検出する検体検出チップと適合し得る。ある特定の実施形態では、検体検出デバイスは、例えば、複数のチップを使用して異なる試料中の同じ検体を検出するため、または複数の異なるチップを使用して同じ試料中の複数の異なる検体を同時に検出するために、複数の検体検出チップを同時に動作させるように構成され得る。そのような実施形態では、デバイスは、挿入領域などの複数のインターフェースを含むことができる。
本開示の検体検出チップは、任意選択で、血漿分離構成要素を含み得る。ある特定の実施形態では、血漿分離構成要素は、全血試料中に存在する細胞を捕捉し、血漿を濾過して分析のために試料液滴(複数可)に加工することを可能にするフィルタを含み得る。他の実施形態では、血漿分離構成要素は、流体分離要素であり得る。検体検出チップの実施形態を以下に開示する。以下に記載される検体検出チップのうちのいずれも、任意選択で、血漿分離構成要素を含み得る。ある特定の場合において、血漿分離構成要素は、市販の膜であり得る。ある特定の実施形態では、International Point of Care,Inc.から入手可能なもの(例えば、Primecare(商標)親水性非対称膜)またはPall Corporation(例えば、Vivid(商標)血漿分離膜)から入手可能なものなどの市販の膜を、血漿の分離に使用することができる。ある特定の場合において、膜は、本開示のカートリッジに集積されてもよい。他の実施形態では、本開示のチップ、器具、およびシステムは、全血試料中の検体を検出するように構成され得る。
i.DMF電気化学検出カートリッジ
ある特定の実施形態では、本明細書に開示されるカートリッジは、重なり合うかまたは空間的に分離されていてもよいDMF領域および検体検出領域を含む。DMF領域を使用して、分析のための液滴を検出領域に転送することができ、ここで液滴は、(臨床化学アッセイで生成された電気化学種の検出のために)電気化学的に分析される。電気化学分析は、試料中の検体の存在によって生成される電気活性種によって発生する電気シグナルを検出する作用電極を利用することによって行われる。電気シグナルは、試料中に存在する検体の量に比例するため、検出された電気シグナルを定量して、試料中の検体の存在または濃度を決定することができる。電気化学的検出は、本開示において提供される器具によって行われる電流測定、クーロメトリー、電位差測定、電圧測定、インピーダンス、またはそれらの組み合わせを含み得る。
ある特定の実施形態では、電気化学種は、検体に対する検体特異的酵素の作用によって生成され得る。他の実施形態では、電気化学種は、基質に対する酵素の作用によって生成されてもよい。そのような実施形態では、酵素は、検体に特異的ではない。むしろ、酵素は、検体に特異的に結合する結合メンバーに接合されている。ある特定の実施形態では、電気化学種によって生成された電気シグナルを増幅するために、酸化還元媒介物質が含まれてもよい。検体特異的酵素および酸化還元媒介物質は周知であり、所望の感受性および/または特異性に基づいて選択され得る。
電気化学種を検出するための電極は、数多くの構成で提供することができる。そのような電極は、DMF電極とは別個であり得るか、または電気化学的感知のために電極に修飾されたDMF電極であり得る。本明細書で提供される器具は、電極のアレイならびに電気化学的感知のための電極に印加される電力を制御する電気回路を含む。DMF電極および電気化学的感知用の電極を含む、検体検出チップの例示的な構成は、以下でさらに説明される。
図48A〜48Fは、本開示のチップ内に存在する電極の概略図を提供する。図48Aは、液滴をチップのセンサ領域511に転送するために使用されるDMF電極510を示す。センサ領域511は、作用電極512および参照電極513を含む。図48Bは、センサ領域511上に位置付けられた液滴514を示す。図48Cは、センサ領域511、作用電極512、および参照電極513を示し、ここで電極は半円形であり、共面構成で配設されている。ここには示されていないが、一方の電極を、他方の電極と対面構成に配置することができる。そのような実施形態では、電気化学的検出用のセンサ領域は、作用電極と参照電極とを隔てるギャップを含むことができ、電極は液滴がセンサ領域内に移動すると電気的に接続される。作用電極および参照電極は、リード線515を介して接触パッド516および517に接続されている。接触パッドは、チップを動作させるデバイスに動作可能に接続されている。目的の検体の電気化学的検出のための電極の追加の構成は、図48D〜図48Eに示されている。図48Dにおいて、作用電極512は円形であり、一方参照電極513は弧状であり、作用電極と同心であり、作用電極を取り囲んでいる。図48Eにおいて、センサ領域は、3つの電極、すなわち作用電極512、参照電極513、および対電極518を含む。液滴および電極は、液滴が作用電極および参照電極(および存在する場合には対電極)の両方と接触するようなサイズである。図48Fは、相対サイズの液滴および作用電極を示し、電極(複数可)のサイズおよび形状は、液滴サイズに一致するように構成される。この実施形態では、参照電極が作用電極に面する構成で存在することに留意されたい。作用電極513は、第2の直径Bを有する液滴514よりも小さい第1の直径(A)を有する。第1の直径Aは、約50μm〜1.9mmであり得る。第2の直径Bは、約100μm〜2mmであり得る。液滴直径に対する電極直径の他の比率もまた、本開示のチップにおいて使用され得る。作用電極および参照電極(および存在する場合は対電極)が共面構成にある実施形態では、電極の総面積(電極間の任意のギャップを含む)は、液滴の直径に一致するようなサイズである(図48Bを参照)。
ある特定の実施形態では、図48A〜図48Fに示すものなどの電気化学センサは、単一の上部電極などのDMF表面とは反対側の表面上にあってもよい。このようにして、DMF電極は、試料液滴を移動させて電気化学センサと接触させることができ、ここで試料液滴は、DMF電極とも接触させながら調べることができる。
図49A〜49Cは、DMF電極が電気化学的検出に適した感知電極(510A、510B、または510C)に修飾されているDMF電極(510)を含む検体検出チップを示す。図49Aにおいて、DMF電極510Aは、DMF電極上に配設された絶縁層に開口部を形成することによって修飾され、この開口部は、電気化学的感知のための、液滴と修飾DMF電極510Aとの間に接触領域を提供する。図49Bにおいて、修飾DMF電極510Bは、液滴と修飾DMF電極との間の接触のためにDMF電極を被覆する絶縁層に複数のピンホール開口部を含む。図49Cにおいて、DMF電極は、露光によって除去可能な絶縁層で被覆されている。1つ以上のDMF電極を光511に曝して絶縁層を除去することができ、それによって絶縁層によって被覆されず、したがって液滴に接触することができる修飾DMF電極を作成することができる。図49Cにおいて、電極510Chは、露光されて感光性絶縁層を除去し、電極を露出する。DMF電極510と対面構成で配設されたDMF電極もまた露出させて、参照電極を提供することができる。例えば、DMF電極は、電極510A、510B、または510Cを有する対面構成の領域に1つまたは複数の開口部を含むように修飾することができる。
別の実施形態では、DMF電極を第1の基板上に配設し、電気化学的感知用の電極のうちの少なくとも1つを第2の基板上に配設することができる。いくつかの実施形態では、DMF電極は、第1の基板上に配設することができ、電気化学的感知用の作用電極および参照電極は、第2の基板上に配設することができる。
ある特定の実施形態では、DMF電気化学チップは、毛細管領域を含むことができ、電気化学的感知用の電極は、毛細管領域に配設することができる。毛細管領域は、電気化学的感知の毛細管領域への液滴の移動を容易にすることができる。
ある特定の実施形態では、本開示の検体検出チップは、米国特許第5,200,051号に開示されているような感知領域を含み得る。米国特許第5,200,051号に記載されているように、目的の検体の存在および/または濃度を決定するために有用な感知電極が提供された。感知電極は、検体に対する酵素の作用によって検体に応答して生成された電気化学種を検出する。感知電極は、作用電極とも呼ばれる。文献で知られているように、電気化学種の生成は、酸化還元媒介物質の使用を含み得る。さらに、酵素および/または酸化還元媒介物質は、感知電極に局在する試薬混合物中に存在してもよい。他の場合では、酵素および/または酸化還元媒介物質は、チップに接続されたデポーから酵素および/または酸化還元媒介物質を含む液滴を輸送するためにDMF電極を用いてチップに導入されてもよい。
他の実施形態では、イムノアッセイを利用することができる。手短に言えば、例示的なイムノアッセイにおいて、検体は、検体に結合する第1の結合メンバー(例えば、受容体、アプタマー、または抗体)によって捕捉されてもよい。任意選択の洗浄ステップの後、検体に結合する二次抗体を使用して複合体を形成することができる。第2の結合メンバー(例えば、抗体またはアプタマー)を酵素に接合してもよく、その酵素は、基質に作用して作用電極によって検出される電気化学種を生成してもよい。ある特定の場合において、酵素は、基質を加水分解し得る。次いで、この加水分解基質は、本開示の検体検出チップを用いて電気化学的に検出される、電気活性種(例えば、二酸素および過酸化水素)の濃度の変化を生じる反応を受けることがある。そのようなイムノアッセイはまた、第2の結合メンバーに接合しているアルカリホスファターゼによって例示される。アルカリホスファターゼは、基質(5−ブロモ−4−クロロ−3−インドキシルホスフェート)と反応して、DMF電気化学検出チップで電気化学的に検出される電気活性種(二酸素および過酸化水素)の濃度変化を生じる。サンドイッチアッセイおよび競合アッセイの両方が、米国特許第5,200,051号に記載されている手順を使用して達成され得る。これらのアッセイにおいて、DMF電極に加えて、作用(または感知)電極および任意選択の参照電極が含まれてもよい。生物活性層を作用電極上に固定化することができ、この生物活性層は、目的の検体に結合する第1の特異的結合メンバー(例えば、受容体または抗体)を含む。他の実施形態では、試料は、DMF電極を使用して処理され、電気化学種の検出のために作用/参照電極に輸送されてもよい。
本開示の一実施形態では、検体検出チップを使用して、電気化学種を含む液滴を調製することができる。例えば、試料液滴を、検体に作用する酵素を含む液滴と混合して電気化学種を形成するステップは、チップのDMF電極と、電気化学種の検出および任意選択で測定のための作用電極および参照電極に移動した電気化学種を含む液滴(またはその一部)と、によって行われ得る。
他の実施形態では、DMF電極は、試料液滴を、磁性ビーズに接合した第1の結合メンバー(例えば、受容体または抗体)を含む液滴と混合するステップを行うことができる。得られた液滴は、酵素に接合した二次抗体を含む別の液滴と混合することができる。次いで、得られた液滴を緩衝液滴と混合して、未結合の第2の抗体を洗い流し、液滴を酵素の基質を含む液滴と混合し、基質に対する酵素の作用によって生成された電気化学種を検出するために、得られた液滴を作用/参照電極に移動させることができる。そのような実施形態では、作用電極は、結合メンバー(例えば、検体に結合する受容体、アプタマー、または抗体)の付着によって官能化される必要がないため、同じ検体検出チップを、検出/測定されている検体に特異的な結合メンバーを含有する液滴を単に装填することによって、異なる種類の検体を検出するために使用できる。前のセクションに記載されているものなどの任意のイムノアッセイフォーマットを使用することができる。DMF電極は、例えば、前のセクションに記載された方法で、イムノアッセイのための試料調製を行うために利用され得る。
検体が酵素の作用によって直接検出される、開示された検体検出チップによって同様の利点が実現される。例えば、酵素(および酸化還元媒介物質などの追加の試薬)を作用/感知電極上に局在化させる代わりに、試薬を含有する液滴を試料液滴と混合し、検体が試料中に存在するときに酵素によって生成された電気化学種の検出のために、得られた液滴を作用/感知電極に移動させてもよい。そのようなものとして、検出/測定される検体に作用する酵素を含有する液滴を単に装填することによって、同じチップを使用して異なる検体を検出することができる。例えば、グルコースオキシダーゼまたはデヒドロゲナーゼなどの酵素を、グルコースの検出、乳酸の検出には乳酸デヒドロゲナーゼ、クレアチンの検出にはクレアチンアミドヒドロラーゼ、クレアチナーゼ、またはクレアチンキナーゼ等を使用することができる。いくつかの例では、グルコースデヒドロゲナーゼは、ニコチンアミドジヌクレオチドグルコースデヒドロゲナーゼ(NAD−GDH)、ピロールキノリンキノングルコースデヒドロゲナーゼ(PQQ−GDH)またはフラビン−アデニンジヌクレオチドグルコースデヒドロゲナーゼ(FAD−GDH)であり得る。他の実施例では、検体は、β−ヒドロキシブチレート(ケトン)であり得、酵素は、ヒドロキシブチレートデヒドロゲナーゼであり得る。
電気化学種の検出に必要な電極(例えば、作用電極および参照電極)のサイズおよび形状は、経験的に決定することができ、または文献に基づくことができる。例えば、電極は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる米国特許第5,200,051号に開示されているものと同様であり得る。電極の材料は、電気化学的感知を助長する任意の材料であり得る。例示的な電極材料としては、炭素、白金、金、銀、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、水銀、パラジウム、およびオスミウムが挙げられる。ある特定の場合において、作用電極は、銀から作製され、参照電極は、銀/ハロゲン化銀(例えば、塩化銀)であり得る。
ある特定の実施形態では、作用電極(および任意選択の参照電極)は、選択的透過性層で被覆されてもよい。選択的透過性層は、約120kDa以上の分子量を有する分子を実質的に排除しながら、約50kDa以下の分子量を有する分子の自由浸透を可能にし得る。
ある特定の実施形態では、米国特許第5,200,051号に記載されている選択的透過性シラン層を用いることによって、所望の閾値を超える(例えば、約120kDa)を超える分子量を有する干渉電気活性種を、作用電極表面との相互作用から効果的に除外することができる。しかしながら、そのような選択透過層は、二酸素および過酸化水素のような低分子量の電気活性種を低下させて、基礎となる電極表面と酸化還元反応を起こすことを可能にする。そのような選択透過層は、電流測定において特に有用であり得る。
電位差測定において、ある特定のイオノホア化合物のさらなる組み込みに導電性の官能基および化学的特性を有するポリマー材料は、検体検出チップの作用電極上に確立される半透性イオン感受性フィルムとして使用され得る。電極−フィルム界面における電位の発生は、平衡状態で確立された、いくつかの予め選択されたイオン種の電荷密度に依存する。そのようなイオン種の同一性は、半透膜に組み込まれたイオノフォアの選択によって決定される。次に、本明細書に記載のバイオレイヤー中に固定化されている酵素は、試料中に存在する特定の検体の、予め選択されたイオン種への変換を触媒する。本明細書に記載されるように、酵素は、バイオレイヤーに固定化されず、むしろ酵素を含む液滴を試料液滴に輸送するDMF電極および2つの液滴の融合によって検体に近接させられてもよい。
別の態様では、本開示の検体検出チップは、試料液滴の輸送および任意選択の処理に使用されるDMF電極、およびイオン、例えばNa2+、K+、Ca2+等の検体の検出に使用される修飾DMF電極を含み得る。試料中のイオンを検出するために、修飾DMF電極は、DMF電極を被覆するイオン不透過性絶縁層の代わりにイオン選択性膜で被覆されてもよい。
酸化還元媒介物質
本開示のチップ中に存在し得るか、または液滴を介して本開示のチップ中に導入され得る酸化還元媒介物質の代表例としては、フェロセンを含むメタロセンなどの有機金属酸化還元種、またはヘキサシアノ鉄(III)、ルテニウムヘキサミン等の無機酸化還元種が挙げられる。本発明のセンサにおける酸化還元媒介物質として使用可能な追加の好適な電子移動剤は、1つ以上のリガンドを有するオスミウム遷移金属複合体であり、各リガンドは、2,2′−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、1−メチル、2−ピリジルビイミダゾール、またはそれらの誘導体などの窒素含有複素環を有する。電子移動剤はまた、ポリマー中に共有結合した1つ以上のリガンドを有してもよく、各リガンドは、ピリジン、イミダゾール、またはそれらの誘導体などの少なくとも1つの窒素含有複素環を有する。電子移動剤の一例としては、(a)ピリジンまたはイミダゾール官能基を有するポリマーまたはコポリマー、および(b)2つのリガンドと複合したオスミウムカチオンが挙げられ、各リガンドが、2,2′−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、または誘導体を含有し、2つのリガンドは必ずしも同じではない。オスミウムカチオンとの複合体形成のための2,2′−ビピリジンのいくつかの誘導体としては、4,4′−ジメチル−2,2′−ビピリジンならびにモノ−、ジ−、およびポリアルコキシ−2,2′−ビピリジン、4,4′−ジメトキシ−2,2′−ビピリジンが挙げられるが、これらに限定されない。オスミウムカチオンとの複合体形成のための1,10−フェナントロリンの誘導体としては、4,7−ジメチル−1,10−フェナントロリン、ならびにモノ、ジ、およびポリアルコキシ−1,10−フェナントロリン、例えば4,7−ジメトキシ−1,10−フェナントロリンが挙げられるが、これらに限定されない。オスミウムカチオンとの複合体化のためのポリマーとしては、ポリ(1−ビニルイミダゾール)(「PVI」と呼ばれる)およびポリ(4−ビニルピリジン)(「PVP」と呼ばれる)のポリマーおよびコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。ポリ(1−ビニルイミダゾール)の好適なコポリマー置換基には、アクリロニトリル、アクリルアミド、および置換または四級化N−ビニルイミダゾール、例えば、ポリ(1−ビニルイミダゾール)のポリマーまたはコポリマーに複合体化したオスミウムを有する電子移動剤が含まれる。実施形態は、標準カロメル電極(SCE)に対して約−200mV〜約+200mVの範囲の酸化還元電位を有する電子移動剤を用い得る。
酵素
本開示の検体検出チップと共に使用される酵素は、検出される検体または利用される基質に基づいて(例えば、イムノアッセイにおいて)選択され得る。検体特異的酵素の非限定的な例としては、グルコースオキシダーゼ、グルコースデヒドロゲナーゼ、NADHオキシダーゼ、ウリカーゼ、ウレアーゼ、クレアチニナーゼ、サルコシンオキシダーゼ、クレアチナーゼ、クレアチンキナーゼ、クレアチンアミドヒドロラーゼ、コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、グリセロールキナーゼ、ヘキソキナーゼ、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ、乳酸デヒドロゲナーゼ、アルカリホスファターゼ、アラニントランスアミナーゼ、アスパラギン酸トランスアミナーゼ、アミラーゼ、リパーゼ、エステラーゼ、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ、L−グルタミン酸オキシダーゼ、ピルビン酸オキシダーゼ、ジアホラーゼ、ビリルビンオキシダーゼ、およびそれらの混合物のうちの1つ以上が挙げられる。
ii.DMF光学チップ
ある特定の実施形態では、検体検出チップを使用して、チップによって分析されている試料中の検体の存在を示す、光学シグナルを発生させることができる。光学シグナルは、例えば、比色シグナル、濁度シグナル、および/または蛍光シグナルであり得る。光学シグナルの大きさは、検体の量に比例してもよく、試料中の検体の存在または濃度を決定するために使用されてもよい。
ある特定の実施形態では、検体検出チップの基板のうちの少なくとも1つは、光学シグナルの検出を容易にするために透明であり得る。さらに、DMF電極は透明であり得る。
DMF電極を使用して、試料中の検体の存在を示す光学シグナルを発生させるために試料液滴を処理することができる。光学シグナルは、基質に対する酵素の作用によって発生させることができる。比色アッセイ(例えば、臨床化学アッセイにおいて生じる発色反応を検出する)、イムノアッセイ、サンドイッチイムノアッセイ(例えば、酵素検出を含むモノクローナル−ポリクローナルサンドイッチイムノアッセイ)、酵素免疫測定法(EIA)または酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)、競合阻害免疫測定法(例えば、フォワードおよびリバース)、酵素増幅免疫測定法(EMIT)、粒子増強比濁法阻害免疫測定法(PETINIA)、均一酵素免疫測定法(HEIA)、競合結合アッセイ、生物発光共鳴エネルギー移動(BRET)、ワンステップ抗体検出アッセイ、均一アッセイ、不均一アッセイ、キャプチャオンザフライアッセイ等の任意のアッセイフォーマットを用いて、光学シグナルを発生することができる。例示的なアッセイフォーマットが、本明細書に記載される。
測定され得る光学シグナルとしては、蛍光、化学発光、比色、比濁等が挙げられる。ある特定の実施形態では、光学シグナルは、分光光度計を使用して検出され得る。例えば、光学シグナルは、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Anal Bioanal Chem(2015)407:7467−7475に記載されているように検出され得る。この技法では、カスタムマニホールドが、光ファイバーをデジタルマイクロ流体チップと整列させ、デバイスの面内で光学測定を行うことを可能する。デバイス上の液滴の幅対厚さが大きいため、この技法の面内位置合わせは、デジタルマイクロ流体(DMF)デバイス上の垂直吸光度測定の感度を上回ることを可能にする。他の実施形態では、光学シグナルは、チップに垂直な平面で測定されてもよい。
ある特定の実施形態では、DMF光学カートリッジは、カートリッジ内の液滴を照らすための内蔵または別個の構成要素を含み得る。照明された液滴からの光を検出するために、内蔵または別個の構成要素を使用することもできる。例えば、導波路を使用してカートリッジ内の液滴を照らすことができる。液滴からの光学シグナルを検出するために、導波路を使用することもできる。ある特定の場合において、DMF光学カートリッジの領域は、導波路材料から製造されてもよい。ある特定の場合において、DMF光学カートリッジの一方または両方の基板は、導波路であり得る。最小限の損失で光を伝播することができる任意の好適な導波路を、そのようなカートリッジに使用することができる。
光学シグナル生成は、光源を用いて液滴を照射し、分光計またはCMOS検出器などの検出器を使用して液滴からの光を測定することを含み得る。
酵素の作用によって発生したシグナルの光学的検出のための例示的なチップは、Anal Bioanal Chem(2015)407:7467−7475の図7に示されている。図7は、本明細書では図50として再現される。図50に示すように、DMFチップは、検体が吸収されるPPMディスクを含む。DMFチップを使用して、反応区域においてPPMディスクから検体フルオレセインを抽出し、検出区域に移動させ、光ファイバーに隣接して位置付けられた。レーザーを使用してフルオレセインを励起し、その発光を光ファイバーを使用して測定した。
ある特定の実施形態では、DMF光学チップは、光ファイバーを用いて構成されなくてもよい。これらの実施形態では、液滴を垂直方向から調べて、液滴からの反射光、放射光、または吸光度のいずれかを測定することができる。
iii.DMF電気検出チップ
また本明細書で提供されるのは、前のセクションに記載したようにナノポア層を使用して、検体分析用に構成されたDMFチップである。そのようなチップは、試料を処理するためのおよびナノポア層でシグナルを測定するための電極の活性化および非活性化を操作するために構成された回路を含む器具を使用して処理することができ、このシグナルは、タグまたは検体特異的結合メンバー(例えば、アプタマー)がナノポアを横断するときに発生し、このシグナルは、試料中の検体の存在を示し、試料中の検体の濃度に比例し得る。
iv.DMF撮像チップ
画像分析用に構成されたDMFチップもまた本明細書で提供される。DMFチップは、第1の基板上に(個々にまたは集合的にエネルギー供給可能な)電極のアレイを含み、その電極は絶縁層で被覆されている。第1の基板は、第2の基板から離間していてもよい。ある特定の場合において、第2の基板は、電極のアレイに面する構成の接地電極を含むことができる。
2つの基板は、ギャップによって分離されている。ある特定の場合において、基板は、1μmなど、約5μm以下の狭いギャップによって分離されている。ある特定の場合において、DMFチップの一部は、1μmなど、約5μm以下の狭いギャップによって基板が分離されている領域を含み得る。例えば、試料が導入される領域における基板間のギャップは比較的広くてもよく(約100μm)、試料液滴(または処理された試料液滴)が撮像されるギャップはより狭くてもよい。より小さなギャップ高さは、画像化および分析することができる単層の粒子の形成をもたらし、したがって単一粒子の分析をより直接的にする。
図51Aは、赤血球(RBC)が楕円によって表される可能な表現を示す。ギャップ高さは、RBCがギャップ内に複数の層を形成するのを制限する。DMFチップの上に位置する画像センサは、分析用の光学データを収集するために使用される。この実施形態では、照明は、画像センサと同じ位置にある。上部基板は、照明および撮像のために光学的に透明でなければならない。DMFチップから面外には、分析のために光学データを収集するために使用される撮像検出器がある。撮像素子技術としては、CMOSおよびCCD技術を挙げることができるが、それらに限定されない。
図51Bは、粒子を単一層に分散させるような寸法のギャップを有する毛細管流動領域に接続されたより大きなギャップによって分離された基板をチップの一部が含む、DMF撮像チップを示す。チップのDMF部分は、流体の流れを能動的に制御し、流体を混合し、チップ上の異なる活性試薬領域に粒子を移動または分離するか、または分析操作(希釈等)に有用な他の作用に有用であるが、毛細管流動領域は、チップのDMF部分上に存在する液滴から毛細管力による狭い毛細管ギャップへの流動ギャップ遷移によって粒子単層を形成するチャネルである。これにより、液滴中に存在する物質を、毛細管流動領域上に位置決めされ集束される撮像検出器を介して分析することが可能になる。チップのDMF部分は流体を制御し、毛細管流動領域は比色、吸光度、透過率、蛍光粒子カウント、および撮像(細胞など)のための分析領域を形成する。毛細管チャネル内のカウントおよび撮像は、粒子の静止位置を用いて、または粒子がチャネルを通って流れるときに行うことができる。
図51Bのチップ内のDMF領域内のギャップは、粒子状物質の単層についてのギャップ高さに制約される必要はなく、むしろ、撮像検出器は、毛細管流動領域に焦点を合わせているため、毛細管流動領域のギャップは、複数の層が形成されるのを防ぐ値に保持される。撮像検出器アセンブリは、毛細管チャネル内の内容物に焦点を合わせるか、または異なる毛細管高さに適応するために、複数の被写界深度およびレンズの移動を有することができる。
図52Aおよび52Bは、一体型試料調製および試料分析カートリッジの実施形態を示す。DMF素子と撮像チャンバとを有するカートリッジ1000の概略図が、図52Aに提供されている。DMF電極1003を含む第1の基板1001は、第2の基板1002から離間して配設されている。第1基板と第2基板との間の空間は、カートリッジの第1領域が高さh1を有する第1のチャンバを含み、第2領域が高さh2を有する第2のチャンバを含むように変化する。図52Aに示すように、h1は、h2より大きい。ある特定の実施形態では、h1は、20〜200μm(ミクロン)、例えば、50〜200ミクロン、75〜200ミクロン、100〜200ミクロン、125〜200ミクロン、100〜175ミクロンの範囲、例えば、150ミクロンであり得、h2は、2〜10μm(ミクロン)、例えば、2〜8ミクロン、2〜6ミクロン、3〜6ミクロンの範囲、例えば、4ミクロンであり得る。開示されたカートリッジ1000の態様は、第1のチャンバが、第1のチャンバ内で血液液滴を移動させるように、試料液滴、例えば血液液滴を作動させるために構成される実施形態を含み、それにより液滴は、第1のチャンバ内に配設された試薬に接触し、それにより第2のチャンバにおける後次分析のための試料の処理および調製を容易にする。例えば、第1のチャンバは、血液試料中に存在する細胞を染色して、細胞の検出/カウント、全血球カウントおよび/または他の血液学的測定、例えば細菌、RBC、WBC、および/または血小板等の染色、カウント、および/または形態分析を容易にするための試薬を含み得る。本明細書に開示されるように、DMF電極は、乾燥形態または液滴の形態で配設された試薬(例えば、染色試薬、例えば、核酸に結合する染料、例えばアクリジンオレンジ、臭化エチジウム、TOTO、TO−PRO、またはSYTOX)を有する第1のチャンバ内の領域に試料液滴を移動させるように動作させることができる。試料液滴は、試料液滴中の試薬の均一な分布を提供するために試薬と混合されてもよい。染色試薬の少なくとも80%が試料液滴内に均一に分布するまで、試料液滴を分割して合体させることによって混合を行うことができる。第2のチャンバは、第1のチャンバから第2のチャンバに移された試料の光学分析を容易にするために、少なくとも撮像領域1004において透明であり得る。示されるように、第2のチャンバは、単層として試料中に存在する細胞の分布を容易にするように構成され得、細胞の光学分析においてエラーを導入する傾向がある重複する細胞を回避する。第2の基板1002は、第1の平面領域と、第2の平面領域を基準にして第1の平面領域の平面の高さを変えるための肩部または段差要素1006を導入する傾斜領域によって分離された第2の平面領域と、を含み得る。2段の第2の基板は、高さの異なる2つのチャンバを含むカートリッジを提供するために実質的に平坦な第1の基板の上に配設される。本明細書で論じるように、試料は、毛細管作用、DMF電極、SAW、または他の方法によって第1のチャンバから第2のチャンバへ移動させることができる。
図52Bは、高さh3を有するスペーサによって離間した第1の基板2002および第2の基板2003によって画定された第1のチャンバ2001を含む、カートリッジ2000の実施形態の概略図を提供する。カートリッジ2000はまた、高さh4を有するビーズ2007によって離間した第3の基板2006および第4の基板2005によって画定された第2のチャンバ2004を含む。本明細書に記載されるように、DMF電極は、第2の基板上または両方の基板上に存在してもよいが、第1の基板は、DMF電極2008と共に示される。図52Aのカートリッジと同様に、第1のチャンバは第2のチャンバよりも高い高さを有する。ある特定の実施形態では、h3は、20〜200μm(ミクロン)、例えば、50〜200ミクロン、75〜200ミクロン、100〜200ミクロン、125〜200ミクロン、100〜175ミクロンの範囲、例えば、150ミクロンであり得、h4は、2〜10μm(ミクロン)、例えば、2〜8ミクロン、2〜6ミクロン、3〜6ミクロンの範囲、例えば、4ミクロンであり得る。図52Bに示すカートリッジは、単層としての細胞の分布を容易にするために第2のチャンバ内で均一な高さを画定するために、第3の基板と第4の基板との間に分散したポリスチレンビーズを含む。第2のチャンバの少なくとも一部は、光学デバイス2010によってインタロゲーションを容易にするために透明であり得る。図52Aのカートリッジと同様に、第1のチャンバは、第2のチャンバ内で(例えば、染色試薬と混合することによって)分析の準備のために試料2012を作動させる。第2のチャンバ内の単層内に分散した細胞2015もまた示されている。光学デバイスは、第3または第4の基板を介して試料を調べるように位置付けられてもよい。ある特定の実施形態では、カートリッジが共通の底部基板を有するように、第1の基板2002および第3の基板2006を単一の基板から形成することができる。第1および第2のチャンバは、毛細管作用、DMF電極、SAW、または他の方法を利用して、試料が第1のチャンバから第2のチャンバへ移動することを可能にするように構成され得る。
DMFチャンバおよび撮像チャンバのための追加の構成は、図52C〜52Eに示される実施形態を含む。カートリッジは、撮像チャンバに動作可能に接続された試料調製(例えば、試料液滴を染色試薬と混合する)のためのDMF電極を含むDMFチャンバを含み得る。図52Aおよび図52Bの説明で述べたように、DMFチャンバの高さ(h1)は、20〜200μm(ミクロン)、例えば、50〜200ミクロン、75〜200ミクロン、100〜200ミクロン、125〜200ミクロン、100〜175ミクロンの範囲、例えば150ミクロンであり得、撮像チャンバの高さ(h2)は、2〜10μm(ミクロン)、例えば2〜8ミクロン、2〜6ミクロン、3〜6ミクロンの範囲、例えば4ミクロンであり得る。図52Cは、第2の基板1102上に配設された第1の基板1101によって画定されたDMFチャンバを含むカートリッジ1100aを示す。DMF電極は図示されておらず、第1および/または第2の基板上に存在してもよい。第2の基板1102は、第2の基板1102および第3の基板1104によって画定されている撮像チャンバまで延在する。スペーサ1103は、DMFチャンバの遠位端を画定する。スペーサ1103は、第1の基板1101の下面と基板1104の上面とに接触してもよい。図52Dは、2つの部分からなるスペーサ1103a〜1103bを介して撮像チャンバがDMFチャンバに動作可能に接続されているカートリッジ1100bを示し、スペーサの第1の部分(1103a)は、第1の基板1101と第3の基板1104との間に配設され、スペーサの第2の部分(1103b)は、第2の基板1102と第4の基板1105との間に配設されている。図52Eは、撮像チャンバがDMFチャンバの遠位領域に配設されているカートリッジ1100cを示す。DMFチャンバは、基板1101および1102によって画定されている。撮像チャンバは、基板1101と基板1104によって画定されている。スペーサ1103は、基板1104を支持する。
本明細書に記載されるように、DMFチャンバは、検体検出領域(電気化学的検出、電気的検出、光学的検出等)に可逆的に結合されて、一体型または半一体型カートリッジを形成することができる。DMFチャンバと検体検出領域との結合は、本明細書に記載のように行うことができる。
ある特定の実施形態では、カートリッジは、血液試料の分析用の試薬を含み得、米国特許第6,004,821号または米国特許第8,367,012号(参照によりそれら全体が本明細書に組み込まれる)に開示されるように構成され得る。ある特定の実施形態では、DMF電極および試料調製用チャンバは、WO2016/161400、WO2016/161402、またはUS2015/0298124(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に開示されているように構成されてもよい。DMF電極の代わりにまたはそれに加えて、カートリッジは、SAWによって試料液滴を作動させるように構成されてもよいことが理解される。
v.複数の検出領域を有するDMFチップ
本明細書ではまた、単一のDMFチップで複数の分析および技法を利用することを可能にするDMFチップも提供される。図53は、特定の検出ゾーンが形成されたDMFチップのレイアウトを示し、特異な検出技術を用いるのではなく、むしろ検出技術自体に対して構成されたゾーンを形成する。例えば、ゾーン550aは、電気化学的検出を可能にするように形成および構成されてもよく、ゾーン550bは、画像分析に特異的であり、ゾーン550cは、吸光度に基づく測定用である。
図53に示されるチップは、異なる検出技術を利用する複数の典型的な診断テストが実行され得る、コンパクトなDMFチップを提供する。例えば、血液学的測定は、典型的には画像分析に依存し、一方臨床化学的またはイムノアッセイ測定は、典型的には電気化学的または光学的検出に依存する。このチップを使用して、ユーザは、複数の診断分析デバイスにわたって単一の血液採取を利用することができ、したがって診断プロセスおよびユーザに結果をもたらすまでの時間を非常に単純化する。
図54は、撮像、光子、および電気化学的感知からなるDMFチップレイアウトを示す。DMF構成は、診断要件に応じて、任意の組み合わせおよび/または数の感知ゾーンであり得る。CMOS技術などの撮像センサを利用することができる。より高い感度が必要とされる場合には、CCDまたは強化CCD(eCCD)を使用することができる。CMOS検出器は、それらが適切なコーティングを有する電気化学センサとして使用され得るように用途が広い。高感度のフォトンセンシングが必要な場合(最高から最低まで)、光電子増倍管(PMT)またはアバランシェフォトダイオード検出器(APD)またはフォトダイオードを使用することができる。照明は、発光ダイオード(LED)または固体型レーザーを使用することによって達成され得る。示されている照明構成は、明視野および蛍光励起の両方に対処している。二色性またはビームスプリッタは、蛍光励起波長を反射し、発光波長を透過させる。二色性の帯域通過波長は、透過明視野波長がセンサに伝達されることを可能にする。二色性光学部品は、透過光分析には必要ではなく、蛍光のみが必要である。異なるアッセイのために追加の励起および発光フィルタが必要とされ得、それぞれの光路に含まれ得る。そのようなチップに適合する検体検出器具は、光学シグナルおよび電気シグナルを検出するための手段を含むように構成され得る。例えば、検体検出器具は、CMOS、CCD、または強化CCD(eCCD)カメラ、PMT、APDなどの撮像センサを含み得る。さらに、検体検出器具は、LED、レーザー等のような試料照明用の手段を含んでもよい。
複数の検出領域を有するDMFチップの実施形態を図55に示す。図55のチップは、20〜80μLの全血試料がチップ上に装填され、試料が1/2時間以上まで存在し得る再懸濁領域に直ちに転送される試料採取ポートを含む。再懸濁領域を使用して、血液が0.5〜1μLの体積の5つのアリコートに分配される前に、血液を再懸濁する。再懸濁は、流体経路が血液の完全な反転を可能にするように血液試料を往復運動させることによって達成され、流体経路は、血液スラグの長さの2倍超である。
再懸濁された血液は転送され、いくつかのアリコートに分けられる。個々に、各アリコートを試薬区画を通過する感知/撮像領域に転送して、細胞を染色、球状化、または溶解する。この領域内でアリコートを往復運動させることによって、混合が達成される。この図は、血液学測定用の異なる試薬と撮像領域を示している。消耗品中の全ての試薬は乾燥されている。流体経路内の他のコーティングは、液体を操作するための疎水性表面および親水性表面を提供する。電気化学的感知および光学的感知を行うための代替構成が含まれてもよい。血小板(PLT)、網状赤血球(RETC)、および有核赤血球(NRBC)は、赤血球(RBC)および白血球(WBC)と同じ撮像領域で撮像することができる。DMFは、取得ポートに試料を収集し、試料を再懸濁し、任意選択でアリコート分割を含め、試料全体を染色するために使用することができる。そのようなチップは、例えば、血液型を決定することなど、血液凝集をアッセイするために使用され得る。
図56および図57は、電気化学的および光学的検出が可能なDMFチップを示す。20〜80μLの全血試料を充填口で患者から採取し、直ちに試料が1/2時間以上まで存在できる再懸濁領域に転送する。再懸濁領域を使用して、血液が分配される前に血液を再懸濁する。再懸濁は、流体経路が血液の完全な反転を可能にするように血液試料を往復運動させることによって達成され、流体経路は、血液スラグの長さの2倍超である。試料を転送し、1つは血漿分離用、もう1つは全血分析用の2つのアリコートに分ける。血漿分離は、分離媒体を用いて達成することができる。すなわち、濾過、またはDMFの能力を利用する流体的方法による。消耗品は、図55の血液学的構築物と同じ撮像センサレイアウトを利用する。各撮像領域は、試薬混合のための対応する領域を有する。「染色および混合領域」の全ての試薬は乾燥している。試料を洗浄するために、洗浄用の試薬パックを流体設計に追加することができる(図56)。
vi.検体検出デバイス
本明細書で述べたように、検体検出チップと相互作用するためのカートリッジインターフェースを含む検体検出デバイスが提供される。ある特定の実施形態では、検体検出デバイスは、1種類の検体検出チップのみと適合し得る。そのような検体検出デバイスは、単一のカートリッジインターフェース、例えば単一の挿入スロットを含み得、スロットに挿入された単一のチップ上で動作し得る。他の実施形態では、検体検出デバイスは、複数のカートリッジインターフェース、例えば複数のチップ(例えば、異なる種類の試料を装填した同じ種類の)を操作するために使用できる挿入スロットを含むことができる。さらに他の実施形態では、検体検出器具は、単一の検体検出チップを挿入することができる単一のカートリッジインターフェースを含むことができる。いくつかの実施形態では、検体検出デバイスは、複数の異なる種類の検体検出チップ、例えば2つ以上のDMF電気化学検出チップ(例えば、臨床化学用)、DMF光学検出チップ(例えば、臨床化学用)、DMF電気チップ(例えば、ナノポア層を含む)、および多重検出領域を有するDMFチップ上で動作することができる多機能器具または汎用器具であり得る。いくつかの実施形態では、汎用器具は、異なる検体検出チップごとに別々の挿入スロットを含み得る。他の実施形態では、汎用器具は、異なる種類の検体検出チップと適合する単一の挿入スロットを有することができる。多機能または汎用の検体検出器具は、光学的検出ユニットおよび電気的検出ユニットを含み得る。
検体検出デバイスは、電源と、DMF電極を作動させるための回路と、を含むことができる。デバイスが動作する検体検出チップに応じて、検体検出デバイスは、(電気化学的検出のために)作用電極からの電気シグナルを検出するための回路、ナノポアからの電気シグナルを検出するための回路、光シグナルを検出するためのセンサおよび/または撮像用カメラ(複数可)を含むことができる光学的検出、ならびにそれらの組み合わせを含み得る。検体検出デバイスは、メモリを含み得るか、または検体検出チップの動作のための命令を記憶するメモリに動作可能に接続され得る。ある特定の場合において、デバイスは、検体関連シグナルを発生させ、シグナルを検出するために必要なステップを実行するためのプログラムを実行するプロセッサによって動作させることができる。検体検出デバイスはまた、検出された電気シグナルまたは光学シグナルに基づいて検体の濃度を計算するためのアルゴリズム(複数可)を含み得る。
本明細書に開示されている検体検出デバイスは、参照によりその全体が本明細書に組み込まれているPCT/US2016/025787に開示されているものなどのDMFナノポアデバイス上で動作するように構成することもできる。ある特定の実施形態では、DMF電気化学検出チップ、DMF光学検出チップ等のDMF部分は、PCT/US2016/025785またはPCT/US2016/025787に開示されているように構成および形成することができる。
図58Aおよび図58Bは、検体検出デバイスを示す。図58Aの検体検出デバイス410aは、単一種類の検体検出チップと適合する。図58Aのデバイス410aは、単一種類の検体検出チップ用の単一スロット411aなどの単一インターフェースを含むことができる。ある特定の場合において、図58Aのデバイス410aは、各々が同じ種類の検体検出チップを受け入れるスロット(411a、411b、4111c、411d)などの複数のインターフェースを含むことができる。図58Aのデバイス410aは、検体の存在について複数の試料を同時に分析するために使用されてもよい。ある特定の実施形態では、図58Aのデバイスは、検出チップを使用するためのプログラミングを含むメモリに動作可能に接続されたプロセッサ413を含むハウジングを含み得る。スロット411aおよび追加のスロット(存在する場合)は、全てハウジング内に収容することができる。他の実施形態では、ハウジングはプロセッサのみを含んでもよく、任意選択でスクリーンまたはモニタ、ならびにスロット411a〜411dなどの1つ以上のスロットを含む別個のデバイスに接続して動作するのに十分なハードウェアおよびソフトウェアを含んでもよい。したがって、いくつかの実施形態では、デバイスのオペレーティングシステムは、カートリッジが配置されるスロットから物理的に分離可能であり得る。
図58Bのデバイス410bは、複数のスロット412a、412b、412c、および412dを含む。スロット412aは、DMF電気化学検出チップと適合する。スロット412bは、DMF光学検出チップと適合する。スロット412cおよび412dは、それぞれDMFナノポアおよびDMF臨床化学チップと適合する。DMF臨床化学チップは、電気化学的検出領域または光学的検出領域を有し得る。デバイス410aおよび410bはまた、検出チップを使用するためのプログラミングを含むメモリに動作可能に接続されているプロセッサ413を含む。デバイス410aと同様に、デバイス410bは、プロセッサ413を収容する筐体、任意のスクリーン、またはモニタを含み、スロット412a〜412dまたは筐体は、デバイス410bに接続された別々のデバイス(複数可)に存在し得るスロット412a〜412dを含まない。
図58Cは、図58Aおよび図58Bに示す検体検出デバイスと適合する検体検出チップを示す。ある特定の実施形態では、本明細書に記載のデバイスおよびシステムは、単一のスロットを異なる種類のカートリッジに適合させるために利用することができるカートリッジアダプタ(複数可)を含むことができる。例えば、カートリッジアダプタ1は、スロット1に接続するための第1のインターフェースと、カートリッジ1に接続するための第2のインターフェースとを含み得、カートリッジアダプタ2は、スロット1に接続するための第1のインターフェースと、カートリッジ2に接続するための第2のインターフェースとを含み得る。カートリッジアダプタおよびカートリッジアダプタと適合するカートリッジを、図58Dおよび図58Eに示す。図58Dは、プロセッサを含むか、またはカートリッジのDMF領域内で試料を調製するためおよび/または調製された試料を分析する(例えば、検体関連シグナルを検出する)ために必要なステップを行うための命令により、プロセッサに(物理的または無線的に)接続可能なデバイスに存在するスロットと適合するピン5810aおよび5810bを含む第1のインターフェースを含むカートリッジアダプタ5812aを示す。カートリッジアダプタ5812aの第2のインターフェースは、カートリッジ5814(例えば、イムノアッセイカートリッジ)に存在するピン5813と嵌合するポート5811を含む。図58Eは、ピン5810aおよび5810bの存在によりカートリッジアダプタ5812aと適合するものと同じスロットと適合するカートリッジアダプタ5812bを示す。しかしながら、カートリッジアダプタ5812bの第2のインターフェースは、カートリッジ5815(例えば、血液学カートリッジ)を収容し、それに接続可能であるが、カートリッジ5814には接続できない空洞を含む。したがって、カートリッジアダプタを使用して、スロットを適応させて複数の異なる種類のカートリッジと接続することができる。
図59Aは、本明細書に記載の方法に従って試料の分析を行うために使用することができる検体検出チップを示す。検体検出チップは、遠位領域に開口部を含み、この開口部は、試料を検体検出チップに導入するための入口(図59Aにおいて矢印で印を付けた)を提供する。本明細書に記載のように、ある特定の場合において、試料は全血試料であり得る。ある特定の実施形態では、試料は、検体検出チップの開口部にピペットで入れることができる。他の実施形態では、試料液滴は、指先などの皮膚の切開領域から検体検出チップに直接装填することができる。検体検出チップの遠位領域は、試料中に存在する1つ以上の検体を検出するために、試料を処理するおよび/または試料を検体検出チップ内の適切な領域に転送するための要素を含み得る。検体検出チップの近位領域は、試料分析用の検体検出デバイスに挿入可能である。ある特定の場合において、検体検出チップは、カバーを含み、チップの近位領域のカバーの一部は、近位領域の内部を露出するように移動可能である。カバーの可動部分は、チップのカバーにヒンジで取り付けられてもよく、チップの内部を露出させるように枢動されてもよい。他の場合において、カバーの可動部分は、近位領域でチップの内部を露出させるために遠位領域に向かってスライド可能であり得る。ある特定の場合において、検体検出チップは、図59Bに示される検体検出デバイスと適合性があり得る。本明細書で述べたように、チップは、ナノポアおよび/またはナノウェルを含み得る。さらに、チップは、電極、例えば、デジタルマイクロ流体用の電極のアレイを含み得る。
図59Bは、本明細書に記載の検体検出チップと適合する検体検出デバイスを示す。例えば、検体検出デバイスは、図59Aに示す検体検出チップと適合する。図59Bの検体検出デバイスは、検体検出チップの少なくとも近位領域が挿入される単一の挿入スロット(矢印で示す)を含む。ある特定の場合において、チップ全体または実質的に全体が挿入スロットに挿入される。いくつかの場合において、この検体検出デバイスは、複数の挿入スロットなどの複数のインターフェースを含むように構成することもできる。図59Bに示されるように、検体検出デバイスは、約12インチの範囲の高さを有するベンチトップデバイスに理想的なサイズを有する。
本明細書に開示されているチップ、デバイス、およびシステムは、試料分析の分野において多くの利点を提供する。これらのチップおよびデバイスは、少量の試料でも信頼性が高く、他の試料分析デバイスに代わる低コストのものである。デバイスの設置面積が小さいことに加えて、これらのデバイスは使い易く、イムノアッセイおよび/または臨床化学を含む複数のコアラボ試験を行うために使用することができる。本明細書で説明されるように、開示されたチップ、デバイス、およびシステムは、少量の試料量の分析を可能にする高感度を提供する。さらに、チップおよびデバイスの構成は、最小限のユーザ入力を必要とし、最小限の訓練を受けたユーザが試料を分析するためにデバイスおよびチップを操作することを可能にする。本開示のチップおよびデバイスは、製造コストおよび/またはメンテナンスコストもまた低減しながら、またデバイスの寿命を延ばす可動部品を全く有しないか、または最小限の可動部品を有している。
検体検出器具は、CMOS、CCD、または強化CCD(eCCD)カメラ、PMT、APDなどの撮像センサを含み得る。さらに、検体検出器具は、LED、レーザー等のような試料照明用の手段を含んでもよい。検体検出器具はまた、DMFチップを操作するための、およびDMF電気化学/電気チップを操作するための電気回路を含み得る。
いくつかの実施形態では、検体検出は、一定レベルの感度を必要とし得る。所望の感度に応じて、DMF−光学チップ(例えば、DMF−臨床化学チップ)またはDMF−電気化学(例えば、DMF−臨床化学チップ)またはDMF−電気(例えば、DMF−ナノポアチップ)チップ利用することができる。検体検出のためのさらに他のアッセイでは、例えば、DMF電極上に存在する液滴が(例えば、分光光度計を使用して)光学的にインタロゲーションされるDMF撮像チップを使用することができる。
vii.検体検出システム
また、本明細書に開示されているのは、検体検出チップおよびそのチップと適合する検体検出器具を含むシステムである。本開示に記載されるように、器具は、単一の多機能チップを使用して、または異なるチップを使用して、複数のアッセイを行うことができる。例えば、器具は、電気シグナル(DMF−臨床化学チップの作用電極および参照電極と接触している電気化学種からのもの、またはDMF−ナノポアチップ内のナノポアを横断するタグ/検体特異的結合メンバーからのものなど)、およびDMF光学チップを撮像すること、DMF光学チップから検体関連シグナルを検出すること、および/またはDMF撮像チップ上に液滴を撮像することを含む、光学シグナルを検出することができる。本明細書に記載されるように、DMF電気化学チップにおいて、DMF電極は、単一基板上の作用電極および参照電極に隣接してもよく、または作用電極および参照電極は、チップのDMF電極含有領域に流体接続された毛細管に浸されてもよい。いくつかの場合において、ナノポア層の位置を基準としたDMF電気チップ上のDMF電極のアレイの位置は、前述のセクションで説明したとおりであり得る。
本開示のシステムは、試料中の検体(複数可)の分析のための試験のメニューを行うためににプログラムされてもよい。例えば、器具は、器具内に配置されたチップの種類を検出してもよく、チップ上で行われるアッセイを選択してもよい。器具は、DMF電極を活性化および非活性化して、試料液滴(複数可)を処理し、電気的または光学的に調べることができる液滴を生成することができる。例えば、器具は、液滴中の電気化学種および/または液滴中の光学活性分子(例えば、発色分子、蛍光分子等)を検出することができる。さらに、器具は、ナノポア層に液滴を位置付け、ナノポア層を通るタグまたは検体特異的結合メンバー(例えば、アプタマー)の転位を測定することができる。
システムは、DMF電極を制御するため、および電気化学的検出に使用される電極を制御するため、または光学検出ユニットを制御する等のために、システムに含まれる(例えば、器具に含まれる)プロセッサで実行される命令を有するメモリをさらに含み得る。
ある特定の実施形態では、本開示の検体検出システムは、試料液滴/緩衝液滴/試薬液滴等の移動のために、DMF電極を最初に活性化させるための命令でプログラムを実行するためのプロセッサを含む、検体検出デバイスを含み得る。命令は、DMF電極を非活性化すること、および試料中の検体の存在に応答して生成された電気化学種を検出するための作用電極からの電気シグナルを測定することをさらに含み得る。システムは、例えば、検体の濃度を決定する前にノイズを除去するために、チップから記録されたシグナルを正規化するためのアルゴリズムをさらに含み得る。アルゴリズムは、検体濃度を決定するのを助けるための較正曲線を含み得る。
本明細書に開示されるシステムを使用して、(例えば、作用電極および参照電極を使用して測定された電気化学種から、またはナノポアを通るタグまたは検体特異的結合メンバーの転位から)電気シグナル、および/または試料中の検体の存在を示す光学シグナルを発生させるために試料液滴を処理することができる。電気シグナルおよび/または光学的シグナルは、臨床化学アッセイにおいて基質上の酵素の作用によって発生させることができる。電気シグナルは、ナノポアを通るタグまたは検体特異的結合メンバーの転位によって発生させることができる。試料は、本開示に記載されている1つ以上のアッセイフォーマットを利用して処理され得る。
本開示のシステムは、試料中の検体の電気化学的検出方法に使用することができる。この方法は、(a)試料をカートリッジに導入することであって、カートリッジが、第1の基板と、第2の基板と、第1の基板を第2の基板から分離するギャップと、液滴に対する電気作用力を生成する複数の電極と、を備える、導入することと、(b)複数の電極を作動させて、検体を含む第1の液滴を提供することと、(c)複数の電極を作動させて、検体に特異的な酵素を含む第2の液滴を提供することと、(d)複数の電極を作動させて、第1および第2の液滴を合体させて混合物を形成することと、(e)複数の電極を作動させて、混合物の全部または一部を電気化学的感知領域に移動させることと、(f)作用電極および参照電極を介して、検体に対する酵素の作用によって発生した電気化学種の電気シグナルを検出することと、を含み得る。
いくつかの場合において、第2の液滴は、酸化還元媒介物質も含み得る。いくつかの場合において、システムは、電気シグナルに基づいて検体の濃度を決定してもよい。いくつかの場合において、電気化学的感知領域は、カートリッジ内の毛細管領域に位置する。
ある特定の実施形態では、この方法は、(a)試料をカートリッジに導入することであって、カートリッジが、第1の基板と、第2の基板と、第2の基板を第1の基板から分離するギャップと、液滴に対する電気作動力を発生させる複数の電極と、作用電極および参照電極を含む電気化学種感知領域とを含む、導入することと、(b)複数の電極を作動させて、検体を含む第1の液滴を提供することと、(c)複数の電極を作動させて、検体に特異的に結合する第1の結合メンバーを含む固体基質を含む第2の液滴を提供することと、(d)複数の電極を作動させて、第1の液滴および第2の液滴を合体させて混合物を形成することと、(e)複数の電極を作動させて、混合物の全部または一部を、検体に特異的に結合する第2の結合メンバーを含む第3の液滴と合体させることと、(f)固体基材を所定の位置に保持しながら、複数の電極を作動させて、任意の未結合の検体および/または第2の結合メンバーを除去することと、(g)複数の電極を作動させて、固体基材を、第2の結合メンバーに接合した酵素の基質分子と接触させることと、(h)作用電極および参照電極を介して、基質分子に対する酵素の作用によって発生した電気化学種の電気シグナルを検出することと、を含み得る。
いくつかの場合において、方法は、ステップ(g)および(h)の前に、ステップ(f)から固体の第2の基板を含む液滴を、電気化学的感知領域に移動させることを含み得る。他の場合において、方法は、ステップ(g)からの固体の第2の基質および酵素基質を含む液滴を、電気化学的感知領域に移動させることを含み得る。
いくつかの場合において、第2の液滴は、酸化還元媒介物質も含み得る。いくつかの場合において、システムは、電気シグナルに基づいて検体の濃度を決定してもよい。いくつかの場合において、電気化学的感知領域は、カートリッジ内の毛細管領域に位置する。本明細書に記載されるように、システムおよび器具は、多機能カートリッジ(複数可)を使用して、または複数の別々の単一アッセイカートリッジを使用して、2つ以上の別々のアッセイを行うことができる。
ある特定の実施形態では、器具を使用して検体検出を行うための方法が開示されている。この方法は、1つ以上の検体検出カートリッジに動作可能な接続のためのカートリッジインターフェースを備える検体検出器具を提供することと、液滴に対する電気作動力を発生させるために、複数の電極を有する複数のカートリッジを提供することと、第1のカートリッジを器具とインターフェース接続し、カートリッジ中の液滴からの検体関連シグナルを検出することと、第2のカートリッジを器具とインターフェース接続し、カートリッジ内のナノポア層の細孔を通って転位するタグ/検体特異的結合メンバーからの検体関連シグナルを検出することと、を含み得る。
ある特定の場合において、システムは、複数の器具の各々が複数のアッセイを実施する複数の器具と相互作用することを可能にするプログラミングを含み得、ここで複数の器具は、異なるかまたは同一である。例えば、図60Aに示されるようなシステムは、複数のデバイス411に動作可能に接続されたプロセッサ413を含む制御ユニットを含み得、複数のデバイスは、各々少なくとも1つのスロット(411a〜411d)を含むことができ、そこでカートリッジは、プロセッサによって挿入および操作され得る。デバイス411は、同一でもよく、同時に処理することができる試料の数を増やすための手段を提供してもよい。ある特定の実施形態では、システムは、プログラミングを含んでもよく、またはそれらが利用可能になったときに追加のまたは代替の器具と相互作用することを可能にするプログラミングを含むようにアップグレードされてもよい。図60Bに示すようなシステムは、複数の異なるデバイス414a〜414dに動作可能に接続されたプロセッサ413を含むことができ、複数のデバイスは各々、少なくとも1つのスロット(412a〜411d)を含んでもよく、そこで異なる種類のカートリッジがプロセッサによって挿入および操作され得る。例えば、第1のデバイスは、イムノアッセイを実施するように構成することができ、第2のデバイスは、電気化学的アッセイを実施するように構成することができ、第3のデバイスは、血液学的アッセイを実施するように構成することができる等である。そのような実施形態では、デバイスおよびそのデバイスと適合するカートリッジは、(試料分析のための)試料調製および検体関連シグナルの検出のための手段を含み得る。プロセッサ413によって実行されるプログラミングは、アッセイを実行するために必要なステップを行う、例えばDMF電極を作動させるか、または試料調製のためのSAWを生成するため、および調製された試料からシグナルを検出するための、例えばカメラ、顕微鏡、電気化学センサ等の検出モジュールを制御するために、デバイスに通信される命令を含み得る。システムは、アッセイ結果を提供する前に収集されたデータを分析するためのアルゴリズムをさらに含み得る。システムは、システムに無線で接続された遠隔デバイス上でアッセイ結果を提供するために、無線通信用に装備されてもよい。ある特定の場合において、遠隔デバイスは、リアルタイムで結果を受信することができる。ある特定の場合において、アッセイ結果のプリントアウトを提供するために、プリンターをシステムに接続することもできる。
図60Aおよび図60Bに示されているシステムのモジュール方式は、例えばポイントオブケア施設で消費者に柔軟性を提供するためにシステムの機能に追加すること、またはそこから機能を削除することを可能にする。
検体
本明細書に提示される方法、チップ、器具および方法によって分析され得る検体の非限定的なリストは、血液試料(またはその一部、例えば血清もしくは血漿)などの生物学的試料中に存在する分子を含む。目的の例示的な検体としては、核酸、低密度リポタンパク質(LDL)、高密度リポタンパク質(HDL)、コレステロール、トリグリセリド、グルコース、ヘモグロビン(Hb)、HbA1c、アルブミン、ミクロアルブミン、全タンパク質、ナトリウム(Na+)、カリウム(K+)、塩化物(Cl−)、二酸化炭素、酸素、クレアチニン、カルシウム(Ca2+)、血中尿素窒素(BUN)、pH、乳酸、ケトン体、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アルカリホスファターゼ(ALP)、ビリルビン、フェリチン、アルコール(血中アルコール)、アンフェタミン、メタンフェタミン、***、アヘン剤、バルビツル酸、ベンゾジアザピン、三環酸、コカイン、およびフェンシクリジン(PCP)のうちの1つ以上が挙げられる。本明細書に開示されているDMF−電気化学的/電気的/光学的検出チップを使用して検出され、任意選択で測定され得るさらなる検体は、前述のセクションにおいて検出される検体の1つ以上を含む。本開示の方法、デバイス、およびシステムを使用して検出および測定され得る検体のさらなる例としては、血球、インフルエンザウイルス、連鎖球菌、ラウス肉腫ウイルス、アデノウイルス、単核球症、結核、B−HCG、HIV、HCV、HBV、梅毒、ヘルペス、トロポニン、BNP、CK−MB、ミオグロビン、D−ダイマー、PSA、TSH、T3、T4、FSH、LH、エストラジオール、テストステロン、ビタミンD、B12、およびHが挙げられる。ピロリ
検体が検出されている試料は、血液、固体組織、別の体液(例えば、尿、痰、唾液、脳脊髄液)の試料、ならびに環境試料(例えば、水、土壌、食品サンプル等)などの、本明細書に開示される任意の試料であり得る。
10.実施例
実施例1
光切断可能な2−ニトロベンジルスクシンイミジル/マレイミジル二官能性リンカーの合成
*上記合成において、DMFは、ジメチルホルムアミドである。
化合物2の合成:光切断可能なスルホスクシンイミジル/マレイミジルリンカーの合成は、Agasti,et al.,J.Am.Chem.Soc.,134(45),18499−18502,2012に由来する。簡潔には、出発物質4−[4−(1−ヒドロキシエチル)−2−メトキシ−5−ニトロフェノキシ]酪酸(0.334mmol)をアルゴン雰囲気下で乾燥ジクロロメタン(DCM)に溶解する。フラスコを、氷浴中に置くことによって0℃に冷却する。化合物2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)(0.368mmol)、およびトリメチルアミン(TEA)(0.835mmol)を溶液に添加する。反応混合物を0℃で5分間撹拌し、続いてN−(2−アミノエチル)マレイミドトリフルオロ酢酸塩(0.368mmol)を添加する。0℃で15分間撹拌した後、反応混合物を、室温(RT)に上昇させ、さらに18時間撹拌する。反応混合物をDCM(45mL)で希釈した後、有機相を水(2×)、飽和NaCl溶液(1×)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。有機層を減圧下で濃縮し、SiO2カラム(溶出液:100%DCMに対してDCM中3%メタノール、v/v)を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。化合物1(0.024mmol)を、無水ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解する。N,N′−ジスルホスクシンイミジルカーボネート(DSC)(0.071mmol)およびTEA(0.096mmol)を連続的に溶液に添加する。反応混合物を室温で18時間撹拌する。反応混合物を、C18逆相カラム(溶出液:水中5%アセトニトリル対水中95%アセトニトリル、v/v)に直接装填することにより精製する。合成に使用される出発物質および他の化学物質は、Sigma−Aldrichから購入することができる。
実施例2
光切断可能なスルホスクシンイミジル/DBCO 2−ニトロベンジル二官能性リンカーの合成
*上記合成において、DMFは、ジメチルホルムアミドである。
化合物4の合成:光切断可能なスルホスクシンイミジル/ジベンゾシクロオクチル(DBCO)アルキニルリンカーの合成は、Agasti,et al.,J.Am.Chem.Soc.,134(45),18499−18502,2012に記載されているのと同様の手順から誘導される。簡潔には、出発物質4−[4−(1−ヒドロキシエチル)−2−メトキシ−5−ニトロフェノキシ]酪酸(0.334mmol)をアルゴン雰囲気下で乾燥ジクロロメタン(DCM)に溶解する。フラスコを、氷浴中に置くことによって0℃に冷却する。化合物2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(HBTU)(0.368mmol)、およびトリメチルアミン(TEA)(0.835mmol)を溶液に添加する。反応混合物を0℃で5分間撹拌し、続いてDBCO−アミン(0.368mmol)を添加する。0℃で15分間撹拌した後、反応混合物を、室温に上昇させ、さらに18時間撹拌する。反応混合物をDCM(45mL)で希釈した後、有機相を水(2×)、飽和NaCl溶液(1×)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させる。有機層を減圧下で濃縮し、SiO2カラム(溶出液:100%DCMに対してDCM中3%メタノール、v/v)を使用するフラッシュクロマトグラフィーにより精製する。化合物3(0.024mmol)を、無水ジメチルホルムアミド(1mL)に溶解する。N,N′−ジスルホスクシンイミジルカーボネート(DSC)(0.071mmol)およびTEA(0.096mmol)を連続的に溶液に添加する。反応混合物を室温で18時間撹拌する。反応混合物を、C18逆相カラム(溶出液:水中5%アセトニトリル対水中95%アセトニトリル、v/v)に直接装填することにより精製する。合成に使用される出発物質および他の化学物質は、Sigma−Aldrichから購入することができる。
実施例3
スルホスクシンイミジル/マレイミジル2−ニトロベンジル二官能性リンカーを使用する抗体−DNA接合体のカップリングおよび光化学的切断
抗体およびDNAの生体共役反応および切断:以下のスキームを使用して、DNA分子を抗体に接合することができる。一方または両方のプライマーが、5′−チオール基で標識されている2つのPCRプライマーを使用したPCR反応において、DNA配列を複製することによって、DNAを5′末端でチオール化することができる。標識DNA(最終濃度100μM)を、撹拌しながら50mM HEPES(pH=7.0)に溶解する。化合物2(2mM)を添加し、反応を室温で2時間進行させる。カップリング後、過剰の未反応マレイミド基を、過剰のジチオトレイトール(DTT)でクエンチする。接合体を、ゲル濾過カラム(Sephadex G−25)上で、または適切な接合体貯蔵緩衝液中4℃で十分に透析することにより精製する。精製したDNA−スクシンイミジルリンカー(最終濃度50μM)を、撹拌しながら100mM PBS(pH=7.5)に溶解する。天然抗体(最終濃度50μM)を添加し、反応を室温で2時間進行させる。Ab−DNA接合体を、100mM PBS、pH7.5、またはBioGel P−30ゲル濾過媒体で操作されるSephadexカラム(Sephadex G25)を使用して精製する。
ナノポア検出の前に、365nmのUVランプで照射することによって、接合体を切断することができる。この例は、同じ生体共役化学を使用してDNAデンドリマーに使用することもできる。
実施例4
スルホスクシンイミジル/DBCO2−ニトロベンジル二官能性リンカーを使用する抗体−DNA接合体のカップリングおよび光化学的切断
抗体およびDNAの生体共役反応および切断:以下のスキームを使用して、DNA分子を抗体に接合することができる。一方または両方のプライマーが、5′−チオール基で標識されている2つのPCRプライマーを使用したPCR反応において、DNA配列を複製することによって、DNAを5′末端でアミン化することができる。標識DNA(最終濃度100μM)を、撹拌しながら100mM PBS(pH=7.5)に溶解する。化合物4(最終濃度2mM)を添加し、反応を室温で2時間進行させる。DNA−DBCOリンカーをゲル濾過カラム(Sephadex G−25)上でまたは適切な接合体貯蔵緩衝液中4℃で十分に透析することにより精製する。精製したDNA−DBCOリンカー(最終濃度50μM)を、撹拌しながら50mMトリス(pH=7.0)に溶解する。銅を含まないクリックケミストリーを使用して、DNA−DBCOリンカーを抗体に結合させる。アジド標識抗体(Kazane et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,109(10), 3731−3736,2012)(最終濃度25μM)を添加し、反応を室温で6〜12時間進行させる。Ab−DNA接合体を、100mM PBS、pH7.5、またはBioGel P−30ゲル濾過媒体で操作されるSephadexカラム(Sephadex G25)を使用して精製する。
ナノポア検出の前に、365nmのUVランプで照射することによって、接合体を切断することができる。この例は、同じ生体共役化学を使用してDNAデンドリマーに使用することもできる。
実施例5
デジタルイムノアッセイのためのナノ粒子−抗体接合体(ナノポアカウント)
この実施例は、Bangs Labs(Fishers,IN,USA)から得ることができるものなどの、26nmのカルボキシル化ポリスチレンナノ粒子(NP、PC02N)への抗体の共有結合を記載する。26nmNPは、528.7μeq/gの表面電荷、68.4sq.Å/群のパーキング面積を有する(製造元情報)。
カルボキシル−ポリスチレンナノ粒子の活性化:1.0mL(100mg/mL)の26nmのカルボキシル化−NPを、10mLの0.1M MES(2−[N−モルホリノ]エタンスルホン酸、pH4.5〜5.0)で洗浄する。洗浄後、ペレットを100mgの0.1M MES(pH4.5〜5.0)に1.0mg/mLのNP濃度(固形分0.1%)で再懸濁する。10.0mLのナノ粒子懸濁液(10mg NP、5.28μeqカルボキシル)をバイアルに移し、10μL(5.28μモル、1.0equiv/CO2H eq)の新たに調製された水中の10mg/mL EDC溶液(1−エチル−3−[3−ジメチルアミノプロピル]カルボジイミド塩酸塩)および17μL(7.93μモル、1.5equiv/1equiv EDC)のスルホ−NHS水溶液の10mg/mL溶液(N−ヒドロキシスルホスクシンイミド、Sigma,Cat#56485)と、室温で15分間、連続混合しながら反応させる。反応した懸濁液を、6,500gで遠心分離し、溶液を廃棄する。ペレットを20mLの20mM PBS/5mM EDTA(pH7.5)で洗浄し、6,500gでの遠心分離により沈降させる。上清を除去する。スクシンイミド活性化カルボキシル−NPペレットを、50mM PBS(pH7.5)に再懸濁し、9.8μL(52.8nmol、0.01equiv/1CO2Heq)の1.0mg/mLピリジンジチオエチルアミン水溶液を直ちに添加して、室温で2〜4時間連続的に撹拌しながら反応させる。ピリジル誘導体化カルボキシル−NPを、10mLの20mM PBS/5mM EDTA(pH7.5)で洗浄し、10.0mLの同じ緩衝液に再懸濁する。ナノ粒子濃度は、カルボキシル−NP較正曲線を使用するUV−Vis分光法(600nm、散乱)を使用して決定される。NPへのピリジルリガンド負荷は、規定量のNPを10mM TCEPまたはDTTで還元し、遠心分離により還元剤を除去し、ピリジル活性化NPペレットをPBS/EDTA(pH7.2)に再懸濁し、エルマン試薬と反応させることにより決定される(上清のA412を測定する)。活性化されたNPは、抗体接合のために同じ日に使用されない場合、4℃で貯蔵される。
別個の抗体−ナノ粒子接合体を調製するための所望の化学量論を決定するために、ある範囲のEDC/NHSおよびピリジンジチオエチルアミンモル入力が評価される。所望のNP活性化結果を達成するために、反応パラメータ(pH、温度、時間)を評価する。
抗体の還元:1.0mLの10mg/mL抗体溶液(10mg)を、38μLの新たに調製した30mg/mL 2−MEA溶液(反応濃度10mM)(2−メルカプトエチルアミン塩酸塩)とよく混合し、次いで蓋をして、37℃で90分間置く。この溶液を室温にし、過剰の2−MEAを脱塩カラムで除去し、20mM PBS/5mM EDTA(pH7.5)中で予め平衡化した。還元抗体の濃度は、A280でのUV−Vis吸光度(タンパク質吸光度)およびA320(散乱補正)を使用して決定される。遊離チオールの数は、エルマン検定を使用して決定される。条件は、2または4個の遊離チオール(抗体ヒンジ領域のCys)を生成するために、必要に応じて最適化される。還元抗体は、ピリジル誘導体化カルボキシル−NPへのカップリングに直ちに使用される。
活性化ナノ粒子への還元抗体の結合:(1)抗体パーキングエリアは、45nm2であり、(2)26nmのナノ粒子表面積は、2,120nm2であり、(3)47個の抗体分子が理論的には26nmのNPの表面に適合すると仮定する。
手順:20mM PBS/5mM EDTA(pH7.5)中のピリジル活性化カルボキシナノ粒子の0.1%溶液10mL(10mg)に、0.10mg(0.66nmol、0.10mL)の還元抗体を、1.0mg/mLで同じEDTA含有緩衝液中に添加する。混合物を、室温で2時間混合しながら反応させ、遠心分離して未結合分子を除去し、そして吸引する。ペレットを、10mLのPBS(pH7.2)で洗浄し、遠心分離し、そして吸引する。抗体−NP接合体を、10.0mLのPBS(pH7.2)に懸濁する。接合体NP濃度(固形分%)は、UV−Vis分光法(600nm)を使用して決定される。粒子接合体を、SEMによって調べ、サイズ/電荷分布をZetaSizerを使用して決定する。サイズ排除クロマトグラフィーを使用して、接合体集団の潜在的分布から別個の接合体を単離することができる。抗体対NP取り込み比は、蛍光標識抗原接合体を使用するか、またはマイクロBCA(uBCA)アッセイを使用するフローサイトメトリーによって決定することができる。抗体からNPへのモル入力の範囲を、接合温度およびpHと共に評価して、別個の接合体の均一な集団を生成することができる(すなわち、2または4のNP取り込み比)。
ナノポアカウントイムノアッセイ
上記のスキームは、調製が上述されている還元抗体活性化ナノ粒子接合体を利用するナノポアカウントアッセイを例示する。イムノアッセイの過程で形成された免疫複合体は、ジスルフィド結合リンカーの還元によって切断されて、遊離抗体−検体−抗体複合体および遊離ナノ粒子タグを形成することができ、これによりナノポアを通過するときにナノ粒子タグをカウントするのを可能にする。
実施例6
CPSP接合体の合成
A.CPSP抗体接合体。
*上記合成において、DMFは、ジメチルホルムアミドである。
3−(9−((4−オキソ−4−(ペルフルオロフェノキシ)ブチル)(トシル)カルバモイル)アクリジン−10−イウム−10−イル)プロパン−1−スルホネート(2):磁気撹拌棒および窒素導入口を備えた25mLの丸底フラスコに、3−(9−((3−カルボキシプロピル)(トシル)カルバモイル)アクリジン−10−イウム−10−イル)プロパン−1−スルホネート(CPSP)(1)(1mmol)、ピリジン(5mmol)、およびジメチルホルムアミド(10mL)を充填した。溶液を氷浴中で冷却し、トリフルオロ酢酸ペンタフルオロフェニル(1.3mmol)を滴下添加した。氷浴を外し、反応物を室温で3時間撹拌した。揮発性成分を真空で反応物から除去し、残渣をメタノールに取り込み、逆相HPLCにより精製して表題化合物を得た。
CPSP抗体接合体(3):2の溶液(1μLのDMSO中10mM溶液)を抗体溶液(100μLの10μM水溶液)および水性重炭酸ナトリウム(10μLの1M溶液)に添加した。得られた混合物を、室温で4時間撹拌した。産物の精製を、スピンカラム上で行い、CPSP抗体接合体3を得た。「n」の値は、抗体依存的に変化する。活性エステル濃度(すなわち、化合物2、5、9および13)を上昇または低下させることによって、および/または反応中にpHを上昇または低下させることによって、取り込みをある程度制御することができるが、常に取り込み値の分布が生じる。平均取り込み比(「IR」)は、反応後に実験的に決定される。通常、「n」は、1から10の間の任意の値である。
B.スペーサを有するCPSP抗体接合体。
*上記合成において、DMFは、ジメチルホルムアミドである。
3−(9−((4−((5−カルボキシペンチル)アミノ)−4−オキソブチル)(トシル)カルバモイル)アクリジン−10−イウム−10−イル)プロパン−1−スルホネート(4):磁気撹拌棒および窒素導入口を備えた25mLの丸底フラスコに、3−(9−((3−カルボキシプロピル)(トシル)カルバモイル)アクリジン−10−イウム−10−イル)プロパン−1−スルホネート(CPSP)(1)(1mmol)、ピリジン(5mmol)、およびジメチルホルムアミド(10mL)を充填した。溶液を氷浴中で冷却し、トリフルオロ酢酸ペンタフルオロフェニル(1.3mmol)を滴下添加した。氷浴を外し、反応物を室温で3時間撹拌した。次いで、6−アミノカプロン酸(1.3mmol)を少量ずつ反応物に添加し、続いてN,N−ジイソプロピルエチルアミン(5mmol)を添加し、反応物を室温で1時間撹拌した。この後、揮発性成分を、真空で反応物から除去し、残渣を逆相HPLCにより精製して表題化合物を得た。
3−(9−((4−オキソ−4−((6−オキソ−6−(ペルフルオロフェノキシ)ヘキシル)アミノ)ブチル)(トシル)カルバモイル)アクリジン−10−イウム−10−イル)プロパン−1−スルホネート(5):磁気撹拌棒および窒素導入口を備えた25mLの丸底フラスコに、4(1mmol)、ピリジン(5mmol)、およびジメチルホルムアミド(10mL)を充填した。溶液を氷浴中で冷却し、トリフルオロ酢酸ペンタフルオロフェニル(1.3mmol)を滴下添加した。氷浴を外し、反応物を室温で3時間撹拌した。この後、揮発性成分を、窒素流下で反応物から除去し、残渣を逆相HPLCにより精製して表題化合物を得た。
スペーサを有するCPSP抗体接合体(6):5の溶液(1μLのDMSO中10mM溶液)を、抗体溶液(100μLの10μM水溶液)および水性重炭酸ナトリウム(10μLの1M溶液)に添加した。得られた混合物を、室温で4時間撹拌した。産物の精製を、スピンカラム上で行い、スペーサを有するCPSP抗体接合体6を得た。通常、「n」は、1〜10の間の任意の値である。
C.CPSPオリゴヌクレオチド−抗体接合体。
*上記合成において、DMFは、ジメチルホルムアミドである。
9−((3−カルボキシプロピル)(トシル)カルバモイル)−10−(プロプ−2−イン−1−イル)アクリジン−10−イウム(8):磁気撹拌棒および窒素導入口を備えた100mLの丸底フラスコに、プロパルギルアルコール(10mmol)、2,6−ジ−tert−ブチルピリジン(10mmol)および塩化メチレン(50mL)を充填し、−20℃に冷却した。次いで、トリフリン酸無水物を溶液に滴下添加し、反応物を−20℃で2時間撹拌した。ペンタン(25mL)を反応物に添加し、結果として生じる沈殿した塩をろ過により分離した。揮発性成分を真空中で蒸発させ、残渣を100mLの丸底フラスコ中の塩化メチレン(25mL)に再溶解した。4−(N−トシルアクリジン−9−カルボキサミド)ブタン酸(CP−アクリジン)(7)(1mmol)を少量ずつ添加し、反応物を室温で18時間撹拌した。揮発性成分を真空で蒸発させ、残留物をメタノール(5mL)中に取り込み、逆相HPLCにより精製して表題化合物を得た。
9−((4−オキソ−4−(ペルフルオロフェノキシ)ブチル)(トシル)カルバモイル)−10−(プロプ−2−イン−1−イル)アクリジン−10−イウム(9):磁気撹拌棒および窒素導入口を備えた25mLの丸底フラスコに、8(1mmol)、ピリジン(5mmol)およびジメチルホルムアミド(10mL)を充填した。溶液を氷浴中で冷却し、トリフルオロ酢酸ペンタフルオロフェニル(1.3mmol)を滴下添加した。氷浴を外し、反応物を室温で3時間撹拌した。揮発性成分を真空で反応物から除去し、残渣をメタノールに取り込み、逆相HPLCにより精製して表題化合物を得た。
CPSP抗体接合体(10):9の溶液(1μLのDMSO中10mM溶液)を、抗体溶液(100μLの10μM水溶液)および水性重炭酸ナトリウム(10μLの1M溶液)に添加した。得られた混合物を、室温で4時間撹拌した。産物の精製を、スピンカラム上で行い、CPSP抗体接合体10を得た。通常、「n」は、1〜10の間の任意の値である。
CPSPオリゴヌクレオチド−抗体接合体(11):オリゴアジド(5μLの水中10nmol)、CPSP抗体接合体10(10μLの水中10nmol)および新たに調製した0.1M「クリック溶液」(3μL、下記参照)の混合物を、室温で4時間振とうした。反応物を0.3M酢酸ナトリウム(100μL)で希釈し、DNA接合体を、EtOH(1mL)を添加することによって沈殿させた。上清を除去し、残渣を冷たいEtOH(2×1mL)で2回洗浄した。残渣を水(20μL)に取り込み、CPSPオリゴヌクレオチド−抗体接合体11の溶液を、さらに精製することなく使用した。通常、「n」は、1〜10の間の任意の値である。
「クリック溶液」:CuBr(1mg)を、70μLのDMSO/t−BuOH 3:1に溶解して0.1M溶液を形成した。(この溶液は、新たに調製しなければならず、貯蔵することはできない。)トリス(ベンジルトリアゾリルメチル)アミン(TBTA)(54mg)を、1mLのDMSO/t−BuOH 3:1に溶解して0.1M溶液を形成した。(この溶液は、−20℃で貯蔵できる。)1体積の0.1M CuBr溶液を、2体積の0.1M TBTA溶液に添加して、「クリック」溶液を得た。
D.スペーサを有するCPSPオリゴヌクレオチド−抗体接合体
*上記合成において、DMFは、ジメチルホルムアミドである。
9−((4−((5−カルボキシペンチル)アミノ−4−オキソブチル)(トシル)カルバモイル)−10−(プロプ−2−イン−1−イル)アクリジン−10−イウム(12):磁気撹拌棒および窒素導入口を備えた25mLの丸底フラスコに、8(1mmol)、ピリジン(5mmol)およびジメチルホルムアミド(10mL)を充填した。溶液を氷浴中で冷却し、トリフルオロ酢酸ペンタフルオロフェニル(1.3mmol)を滴下添加した。氷浴を外し、反応物を室温で3時間撹拌した。次いで、6−アミノカプロン酸(1.3mmol)を少量ずつ反応物に添加し、続いてN,N−ジイソプロピルエチルアミン(5mmol)を添加し、反応物を室温で1時間撹拌した。この後、揮発性成分を、真空で反応物から除去し、残渣を逆相HPLCにより精製して表題化合物を得た。
9−((4−オキソ−4−((6−オキソ−6−(ペルフルオロフェノキシ)ヘキシル)アミノ)ブチル)(トシル)カルバモイル)−10−(プロプ−2−イン−1−イル)アクリジン−10−イウム(13):磁気撹拌棒および窒素導入口を備えた25mLの丸底フラスコに、12(1mmol)、ピリジン(5mmol)、およびジメチルホルムアミド(10mL)を充填した。溶液を氷浴中で冷却し、トリフルオロ酢酸ペンタフルオロフェニル(1.3mmol)を滴下添加した。氷浴を外し、反応物を室温で3時間撹拌した。この後、揮発性成分を、窒素流下で反応物から除去し、残渣を逆相HPLCにより精製して表題化合物を得た。
スペーサを有するCPSP抗体接合体(14):13の溶液(1μLのDMSO中10mM溶液)を、抗体溶液(100μLの10μM水溶液)および水性重炭酸ナトリウム(10μLの1M溶液)に添加した。これを室温で4時間撹拌した。産物の精製を、スピンカラム上で行い、スペーサを有するCPSP抗体接合体14を得た。通常、「n」は、1〜10の間の任意の値である。
CPSPオリゴヌクレオチド−抗体接合体(15):オリゴアジド(例えば、市販のものなど)(5μLの水中10nmol)、スペーサを有するCPSP抗体接合体14(10μLの水中10nmol)および新たに調製された0.1Mの「クリック溶液」(3μL、実施例6.Cを参照)の混合物を、室温で4時間振とうした。通常、「n」は、1〜10の間の任意の値である。反応物を0.3M酢酸ナトリウム(100μL)で希釈し、DNA接合体を、EtOH(1mL)を添加することによって沈殿させた。上清を除去し、残渣を冷たいEtOH(2×1mL)で2回洗浄した。残渣を水(20μL)に取り込み、スペーサを有するCPSPオリゴヌクレオチド−抗体接合体15の溶液を、さらに精製することなく使用した。
スペーサを有するかまたは有しないCPSP抗体接合体およびスペーサを有するかまたは有しないCPSPオリゴヌクレオチド−抗体接合体の切断。スペーサを有するかまたは有しないCPSP抗体接合体およびスペーサを有するかまたは有しないCPSPオリゴヌクレオチド−抗体接合体を、記載されているように、塩基性過酸化水素溶液を使用して切断または「誘発」される。ARCHITECT(登録商標)システムでは、励起状態のアクリドン中間体が、光子を産生し、それを測定する。さらに、切断産物は、アクリドンおよびスルホンアミドである。実施例6.A〜Dの接合体は、アクリドンおよび/またはスルホンアミド分子をカウントすることによって、開示されたデバイスと共に使用される。
E.抗体を含まないCPSPオリゴヌクレオチド接合体。
抗体を含まないCPSPオリゴヌクレオチド−抗体接合体(16):オリゴアジド(例えば、市販のものなど)(5μLの水中10nmol)、プロパルギル−CPSP8(10μLの水中10nmol)および新たに調製された0.1Mの「クリック溶液」(3μL、実施例6.Cを参照)の混合物を、室温で4時間振とうすることができる。反応物を、0.3M酢酸ナトリウム(100μL)で希釈し、EtOH(1mL)を添加することによってDNA接合体を沈殿させることができる。上清を除去し、残渣を冷たいEtOH(2×1mL)で2回洗浄することができる。残渣を水(20μL)に取り込み、スペーサを有するCPSPオリゴヌクレオチド−抗体接合体16の溶液を、さらに精製することなく使用することができる。
実施例7
低コストDMFボトムチップの製造
低コスト可撓性DMFチップを、Lo C−Y et al.,Microelectronic Engineering 86(2009)979−983に記載されるプロセスを、いくつかの修正を加えて使用することによって、電極パターン化のためのリフトオフプロセスと組み合わせたロールツーロール(R2R)フレキソ印刷を使用して製造した。製造プロセスの概略を図10に示す。DME電極印刷用の出発材料として、MELINEX(登録商標)ST506ポリエチレンテレフタレート(PET)5.0ミル基板(1)のロールを使用した。黄色のインク(Sun Chemical)の層を、厚さ1.14mmの印刷プレート(Flint MCO3)を使用して、アニロックスローラーアセンブリ上で3.8mL/m2のインク転写量を使用して、10m/分の速度でPET基板上にフレキソ印刷した(2)。DMF電極パターンのネガ像は、フレキソ印刷ステップ(3)から生じる。金属堆積の前に、インクを熱風オーブン(2×100℃)で2回乾燥させた。EVA R2Rメタルエバポレータを使用して、印刷されたPET基板上に銀金属層を堆積させ、厚さ80nmの厚さで銀の均一なコーティングを形成した(4)。1m/分の速度で超音波浴のアセトン+超音波の組み合わせを使用して、金属化インキ−フィルム支持体(5)を湿式リフトオフプロセスに供した(6)。この化学的/物理的処理により、銀のみの層を無傷に保ちながら、銀インク層を溶解させることができる。インク−銀層を除去すると、50または140μmの電極ギャップ間隔を有する80個の作動電極(2.25×2.25mm)からなるDMF印刷電極パターンが得られた(7)。QCチェックとして、単一ロールからの合計80〜90個のランダムチップを、電極ギャップ間隔およびコネクタリード幅変動について目視検査した。許容できるギャップ仕様を有すると決定されたチップの典型的な歩留まりは、100%に近かった。単一の製造された可撓性チップを、図11に示す。製造されたフレキシブルチップは、3″×2″の寸法であり、電極、リザーバ、コンタクトパッドおよびリードを含む。
ロータリースクリーン印刷またはグラビア印刷のいずれかを使用することによって、誘電体コーティングを電極およびリザーバに適用した。ロータリースクリーン印刷については、Henkel EDAC PF−455Bを、2m/分の印刷速度および50%のUV硬化速度で、Gallus NF(400L)スクリーンを用いて印刷することによって誘電体コーティングとして使用した。典型的な誘電体の厚さは、10〜15μmであった。グラビア印刷では、シリンダは、IPD−350(Inkron)などの高粘度誘電体インクを、50mL/m2インク体積を使用して、2m/分の速度で印刷するように設計された。グラビア印刷の典型的な誘電体の厚さは、7〜8μmであった。Millidyne Avalon 87またはCytonix Fluoropel PFC804UCコーティングのいずれかを、グラビアシリンダ(140〜180L)および8m/分の印刷速度で、続いて4つの連続オーブン乾燥ステップ(4×140℃)で使用して、最終疎水性層を印刷した。典型的な疎水性厚さは、40〜100nmであった。
あるいは、個々のチップの小バッチに対して、誘電性コーティングおよび疎水性コーティングは、それぞれ化学気相堆積(CVD)およびスピンコーティングを使用して適用され得る。
実施例8
低コストDMFチップの機能試験
上記の実施例7に概説したように製造した3″×2″のPET系DMFボトムチップを作動能力について試験した。図12は、厚さ0.7mmのガラス基板(3)がその上に位置した3″×2″のPETベースのDMFチップ(1)を示す。ガラス基板(3)は、ガラス基板の下面に透明な酸化インジウム錫(ITO)電極と、ITO電極を覆うTeflonコーティングとを含む。DMFチップは、8個の緩衝液リザーバと共に、ストレートエッジ電極設計および電極間に50μmのギャップを有する、80個の銀作動電極を含む(上記実施例7を参照)。
底部電極を、CVDおよびスピンコーティングによって、それぞれ誘電体Parylene−C(6〜7μm厚)およびTeflonの最終コーティング(50nm厚)でコーティングした。0.1%の界面活性剤を含むおよそ50μLのPBS緩衝液(2)を、底部DMFチップ上の4つの隣接するリザーバにピペットで入れた。液滴サイズは700〜1,500nL(1滴または2滴)の範囲であり、混合に必要な円形掃引パターンに加えて、垂直方向および水平方向の両方の横方向の動きについて調べた(4)。液滴作動は、90Vrmsの電圧を使用して達成された。チップ上の作動電極のおよそ90%が試験され、完全に機能的であることがわかった。
実施例9
低コストDMFチップ上のTSHイムノアッセイ
上記の実施例8に記載されているようにガラス基板で覆われた3′×2″PETベースのDMFチップを、化学発光検出を使用して、甲状腺刺激ホルモン(TSH)イムノアッセイを実行するその能力について試験した。模擬試料は、遮断剤および界面活性剤を含有するトリス緩衝食塩水(TBS)緩衝液にスパイクしたTSH較正材料を含んでいた。0、4、40μIU/mLの3つの試料を試験した。5μmの磁性微粒子(3×108粒子/mL)上にコーティングされた2μLの抗βTSH捕捉抗体を、微粒子リザーバからDMF電極アレイの中央に分注した。磁性微粒子を、DMFチップ下で、ネオジミウム磁石棒(3インチ×1/2インチ×1/4インチ厚、相対透過性μr=1.05、残留フィールド強度Br=1.32T)を係合することによって、緩衝液から分離した(図13A)。5μLの試料を、微小粒子スラグに移し、続いて微粒子懸濁液(図13B)を四電極正方形構成上で5分間混合した。微粒子を、磁石によって試料から分離し、上清を廃棄物リザーバに移した(図13Cおよび13D)。西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)に接合した2μLの1μg/mL抗TSH検出抗体を、微粒子スラグに移し、2分間混合した。微粒子を磁石によって分離し、上清を廃棄物リザーバに移した。イムノアッセイサンドイッチ複合体を含有する微粒子を、0.1%界面活性剤を含有する4×2μLのPBS洗浄緩衝液で合計4回洗浄した。各洗浄ステップからの洗浄緩衝液は、ステップが完了した後に廃棄物に移動させた。化学発光基質は、1μLのSuperSignal H2O2および1μLのルミノール(ThermoFisher Scientific)からなり、これを微粒子スラグに移し、続いて6分間混合した。化学発光シグナルは、5VのDC源を備えた一体型Hamamatsu H10682−110PMTを使用して427nm発光(347nm励起)で測定した。用量反応曲線を、相対発光に対してプロットした(図13Eを参照)。
実施例10
ナノポアモジュール製造
ナノポアモジュールは、TEMウィンドウ(Norcada)に埋め込まれた市販の窒化ケイ素(SiNx)膜の統合と組み合わせた標準的なソフトリソグラフィ製造方法を使用して製造された。このモジュールは、4つの別々のPDMS層、すなわち転送マイクロチャネルを含む上部および底部PDMS基板、ならびにTEMウィンドウを封止するための2つの任意選択の中間PDMS層からなっていた。
SU8マスターモールド製造:清浄な乾燥ガラス基板を、フォトレジスト(SU8−50)で所望の厚さにスピンコートした。次いで、フォトマスクを使用して、コーティングされた基板の領域を近紫外線に選択的に露光した。マスクは、転送マイクロチャネルおよびリザーバの形状が残ることになる領域においてのみフォトレジストをUV光に露光する。露光後、露光されたフォトレジストの架橋領域へのベーキングが続いた。次いで、SU8現像液を使用して、基板から残りの未露光のフォトレジストを除去した。最終製品は、マスターモールド、すなわちパターン化された転送マイクロチャネルと硬いフォトレジストのリザーバを有するガラス基板である。
中間PDMS層製造:中間PDMS層を製造するために、PDMSモノマーとその硬化剤(Sylgard 184シリコーンエラストマー)を、7:1のPDMSモノマー:硬化剤の比で含む溶液を、ガラススライド上にスピンコートし、続いて70℃で30分間ホットプレート上で加熱した。PDMS層をガラス基板から剥がし、1.25mmの切り欠き部をPDMS層に打ち抜いて、TEMウィンドウへのアクセスを可能にする開口部を設けた。PDMS層の表面は、コロナ処理機を使用して8mmの距離で30秒間プラズマ処理することによって親水性にした。第2のプラズマ処理(5秒)を使用して、2つの中間PDMS層の間にSiNxTEMウィンドウを接合する前に、PDMS層およびTEMウィンドウの表面を処理した。
上部および下部PDMSの製造:マイクロチャネルを含む上部および下部PDMS基板を、図14Bに示すように、PDMSモノマーおよび硬化剤を7:1のPDMSモノマー:硬化剤の比で混合することと、転送マイクロチャネルおよびリザーバでパターン化したSU8パターン化型(6)を含有するガラス上に注ぐことによって製造した(上記のSU8種型製造を参照)。マイクロチャネルは、幅がおよそ110〜135μm、深さが50μmと測定された。15分間脱気した後、SU8型をホットプレート上で70℃で60分間加熱した(7)。硬化後、PDMS基板をSU8型(8)から剥がし、切断して、長さ30mm×幅20mm×深さ3mmのおよその寸法を有する長方形のPDMS基板を得た。その後の電極のマイクロチャネルへの挿入を可能にするために、アクセス穴(直径1.25mm)をPDMS基板に穿孔した。最終アセンブリは、図14Aに示され、下から上へ、1つのマイクロチャネルを含む下部PDMS基板(1)と、マイクロチャネル上に位置付けられた切り欠き部を含む第1の中間PDMS層(2)と、TEMウィンドウ内のSiNx膜(3)と、同様に切り欠き部を含む第2の中間PDMS層(4)と、第2のマイクロチャネルを含む上部PDMS基板と、を含む。
上部および下部PDMS基板の整列:PDMS下部基板(上記の「上部および下部PDMSの製造」で概説したように調製した)を30秒間プラズマ処理し、続いて第1の中間PDMS層(上記「中間体PDMS層の製造」に概説したように調製した)をPDMS下部基板の上に接合した。同様に、PDMS上部基板を、30秒間プラズマ処理し、続いて第2の中間PDMS層をPDMS上部基板上に接合した。中間層の切り欠き部は、マイクロチャネルと整列していた。上部および下部PDMS片の両方を、30秒間酸素プラズマ処理し、続いて上部片と下部片との間にSiNx膜ウィンドウを配置し、中間PDMS層の切り欠き部と整列させた。底部片と整列したSiNx膜と整列した上部片を、全ての気泡が放出されるまで一緒に押圧した。最終ナノポアPDMSアセンブリを、ホットプレート上で100℃で30分間加熱し、5分間プラズマ処理した。図14Cに示す最終モジュールアセンブリ(9a)は、2つのチャネル(1つの直線および1つの「L字型」チャネル)を含み、各々が溶液用のリザーバ(例えば緩衝液)で終了する。SiNx膜を含むTEMウィンドウは、2つの垂直マイクロチャネルの交差部に位置付けられる(図14C、9b)。
実施例11
ナノポアの製造
ナノポアの製造は、2つのPDMS層の間に収容されたSiNxTEMウィンドウを、絶縁破壊が起こるまで電位バイアスにかけることによって達成され、それにより膜に小さな直径の穴を開けた。これにより、検体の検出前に、マイクロ流体デバイス内に細孔を原位置形成することが可能になる。絶縁破壊によるナノポア形成は、固体誘電体膜における小径細孔の迅速な製造に有用であることが以前に示されている(H.Kwok,K.Briggs,V.Tabard−Cossa,PLoS−One,9(3),2014)。
透過型電子顕微鏡(TEM)ウィンドウ(Norcada)として市販されているSiNx膜を上記の実施例10)に概説したように組み立てられたPDMSモジュールに埋め込んで、ナノポアを生成するために使用した。垂直マイクロチャネル接合部を、SiNx TEMウィンドウの断面積(50μm×50μm)を膜の対向側(シスおよびトランス)に配設された塩溶液(1M KCl)に曝露した。Ag/AgCl電極を、SiNx TEMウィンドウの中心からPDMS基板を通して穿孔された穴の中へ、およそ3mmの各マイクロチャネル内に配置した。鈍針を含むシリンジを使用して、液体がモジュール端部のチャネル開口部から出ることが観察されるまで、エタノールを2つのリザーバに添加することによってシスおよびトランスマイクロチャネルの両方を充填した。抵抗を測定して、適切な封止を確認し、TEM−SiNx膜が無傷であることを確実にした。MΩ程度の抵抗は、良好な封止性および無傷で損傷していない膜を示した。エタノールを脱イオン水でマイクロチャネルから洗い流し、2つのリザーバに注入することによって1MのKCl溶液と交換した。適切な封止性をチェックするために抵抗を再度測定した。
4.4Vの定電圧を膜アセンブリに印加し、漏れ電流をリアルタイムで監視した。リアルタイムで測定された漏れ電流が、図15Aにプロットされている。図15Aは、ナノポア形成前の漏れ電流(1)を示す。5nA超の閾値をカットオフ値として使用した、すなわち、細孔形成を意味する。およそ10分後、リーク電流の増加が見られた(2)。漏れ電流の増加を検出した直後に電圧を切った。形成された細孔の直径は、以下の関係式により決定されるように、6.9nmであった。
ここで、G=コンダクタンス、σ=バルク導電率(KClについて測定して12.35S/m)、L=膜の厚さ(10nm)、d=孔径(S.Kowalczyk,A.Grosberg,Y.Rabin,C.Dekker,Nanotech.,22,2011)。
細孔形成後、電流−電圧(I−V)曲線(図15Bを参照)を使用して、ナノポアがオーム挙動を示すことを検証し、ナノポアの形状が対称であり、抵抗が印加電圧または電流と無関係であることを示した。細孔製造およびI−V曲線の両方に同じ1M KCl溶液を使用した。
実施例12
乾燥マイクロチャネル充填
組み立てられたPDMSモジュール(すなわち、DMFモジュールおよびナノポアモジュールを含む集積デバイス)に含まれる毛細管は、DMF電極アセンブリからの高塩溶液を自然に満たす能力について試験された(図16A〜図16C)。充填は、自発的毛細管流動(SCF)を介して達成された。マイクロチャネルのより良い視覚化を可能にするために、ナノポア膜は含まれていなかった。図16Aを参照すると、80個の作動電極(1)(2.25mm×2.25mm、Cr−200nm厚)を含むガラスDMFチップ(3″×2″×0.0276″)を使用して、3.6M LiCl、0.05% Brij35および青色染料(可視化を補助するため)の液滴(2)を移動させた。PDMSモジュール(3)は、DMF電極アレイ(4)に面する2つの開口部、2つのリザーバ(5)および2つのマイクロチャネル、すなわち1つの直線チャネル(6)および1つのL字型チャネル(7)を含んでいた。2つのチャネル開口部が、DMF電極アレイの内部に面するように、モジュールアセンブリをDMFガラス表面上に置いた。上部接地電極チップが使用されなかったため、液滴の移動は、駆動電位を生成するために共面底部電極を使用することによって達成された。
10μLの青色のLiCl塩溶液の液滴を、DMF電極アレイの中央の電極上に置いた。100Vrms(10kHz)の電圧を使用して、液滴を直線状マイクロチャネル開口部に隣接した転送電極に移動させた。図16Bに示すように、液滴がPDMS表面(8)に接触した後、直径130μmの直線状チャネル(9)を満たしてリザーバに到達するのに必要な時間を測定した。図16Cに示すように、およそ30秒後、液滴の体積は目に見えて小さくなり(10)、チャネルは半分満たされていた(11)。乾燥マイクロチャネル全体(直径130μm)を満たすのに53秒の合計時間が必要であった。
湿潤マイクロチャネル充填:10μLの青色のLiCl塩溶液の液滴を、DMF電極アレイの中央の電極上に置いた。100Vrms(10kHz)の電圧を使用して、液滴を直線状マイクロチャネル開口部に隣接した転送電極に移動させた。予め湿らせたチャネルを模倣するために、チャネルをエタノールで予め満たした。液滴がPDMS表面に接触した後、リザーバまでチャネルを満たすのに1秒未満の時間が必要であった。これは、乾燥チャネルよりも有意に速く、親水性溶液による事前湿潤が、マイクロチャネル充填速度を高めることを示唆している。
実施例13
集積シリコンNPデバイスにおけるDMF液滴転送
PDMSなどの可撓性基板に加えて、剛性基板(例えば、シリコン)を使用して、ナノポアモジュールを製造することができる。図17は、作動電極(4)を含むデジタルマイクロ流体(DMF)チップ(1)を示し、そこから液滴が、ナノポアセンサ(2)を含むシリコンマイクロ流体チップに転送される。液滴は、ナノポアセンサを含むマイクロ流体チップの上面のアクセスポート(3)によって、2つの構成要素チップ間で転送さる。アクセスポートは、マイクロ流体チャネル(6)によってナノポアセンサ(5)に接続されている。液滴は、毛細管力によってアクセスポートからマイクロ流体チャネルを通って移動し、移動は、マイクロピラーのアレイ(7)から製造された受動型紙ポンプによって補助されてもよい(図18)。受動ポンプはまた、マイクロチャネルから流体を除去し、汚染することなく(例えば、ナノポア形成およびナノポア感知のための溶液間で)異なる流体溶液を連続して使用することを可能にし得る。
シリコンナノポアモジュールの製造は、標準的なCMOSフォトリソグラフィおよびエッチングプロセスを使用することを含み得る。図18は、ナノポア緩衝液(複数可)を充填するための前面チャネル(シス)および背面チャネル(トランス)を有する、およそのダイサイズが10mm×10mmである、シリコンナノポアモジュール設計の例を示す。前面チャネルは、30μmの幅および深さを有し、長さ11mmである。背面チャネルは、幅50μm、深さ200μmを有し、長さ11mmである。マイクロピラーの寸法は、30μmのピラー直径、30μmの間隔および200μmの深さである。
DMFとナノポアモジュールは、成形プラスチックから製造された界面を使用して、または直接結合によって接合することができる(図19および20)。アクセスポートと整列したDMFチップ内の電極(4)上に位置付けられた液滴は、インターポーザ(7)によって促進された毛細管力によって転送される。代替として、DMFチップの上部電極(8)は、作動電極(4)をインターポーザ(8)と接続する穴を導入することによって、このプロセスをさらに容易にするように修正されてもよい(図20)。
実施例14
毛細管力によるDMFとナノポアモジュールとの間の液滴転送
高塩転位緩衝液をDMFチップから好適なナノポア膜を含むモジュールへ移動させる能力を、シリコンマイクロ流体チップで試験した。蛇行マイクロチャネルを、自発的毛細管流動(SCF)を唯一の推進力として使用して、1M KClの液滴(pH=8)を受動的に移動させる能力について試験した。マイクロチャネル全体はシリコンで製造され、CMOSベースのシリコン環境における流体転送のモデルとして機能した。蛇行マイクロチャネルは、2つのアクセスポート(流体装填用)を有するように設計された。チャネル寸法は、直径160μm、長さおよそ2.5cmであった。絶縁破壊によるナノポアの形成に適した溶液の液滴は、受動的毛細管力を使用してシリコンマイクロ流体構造を満たすことが実証された。
図21を参照すると、1M KCl溶液(pH=8.0)の個々の液滴が、輸送用マイクロ流体チャネル(2)に接続する入口ポート(1)のうちの1つに配置され、長さ2.5cmの蛇行チャネル(3)をもたらした。チャネルは、大気圧に曝されたポート(図示せず)で終端した(4)。蛇行チャネルの拡大図を図22に示す。光学顕微鏡に取り付けられたsCMOSカメラを使用して、毛細管充填をモニターした。塩溶液を入口ポートに堆積させると、数mm/秒の速度で受動的毛細管力によってマイクロチャネルが自然に充填され、それによりマイクロチャネル内の流体をナノポア膜に転送する能力を実証する。
転送速度のさらなる試験として、チャネルからKCl溶液を取り除き、窒素流下で乾燥させた。1M KCl溶液(pH=8.0)のさらなる液滴を、乾燥マイクロチャネルの入口ポートに入れ、毛細管充填を光学顕微鏡を使用してモニターした。「乾燥」チャネルと比較して(すなわち、KCl溶液がチャネルに最初に導入されたときと比較して)、より速い充填速度が観察され、それにより親水性溶液によるシリコンマイクロチャネルの予備充填は、その後の流体充填を増強したことを示した。
実施例15
流体マイクロチャネルを有する集積ナノポアセンサの製造
流体マイクロチャネル内の集積ナノポアセンサは、フォトリソグラフィおよびエッチングプロセスを使用して、酸化シリコン(SOI)ウェハを修正するように製造される(図23A〜図23B)。
SOIウェハ(1)をフォトリソグラフィおよびエッチング(2)にかけて、幅30μmおよびチャネル深さ10〜30μmの寸法を有する小さな流体体積(3)の移動に適した構造を生成する。
窒化ケイ素(SiN)材料(5)が、蒸発(4)によってパターン化されたSOIウェハ上に堆積される。
酸化物材料の層(7)は、蒸発(6)によって窒化ケイ素(5)の上に堆積される。下層のシリコン(1)は、フォトリソグラフィおよびエッチングの組み合わせを使用して、微細構造のうちの1つを被覆する上層の酸化物および窒化物材料を選択的に除去することによって露出される(6)。この構造は、少量の流体を作動させるためのマイクロチャネルを形成するであろう。
第2の微細構造内の下層の窒化ケイ素は、フォトリソグラフィとエッチングの組み合わせを使用してのみ、上層の酸化物層を除去することによって選択的に露出される(8)。
露出した微細構造は、キャリアウェハ(9)に恒久的に接合され、構造は、さらなる処理のために反転される(10)。SOIウェハの裏面上の酸化物材料は、フォトリソグラフィとエッチングの組み合わせを使用して選択的にパターン化され、各微細構造の背面を露出させる(11)。
実施例16
切断可能なDNA−ビオチン構築物の合成
非ビオチン化二本鎖DNA(NP1)の合成:標準的なホスホルアミダイト化学(Integrated DNA Technologies)を使用して、2つの一本鎖50merを合成した。オリゴNP1−1Sは、C−12炭素スペーサ(配列番号1)によってDNAから分離された、5′末端にアミノ基を含有する50ヌクレオチドのDNA配列からなる(1、MW=15,522.3g/モル、ε=502,100M−1cm−1)。オリゴNP1−2ASは、NP1−1Sに相補的な50ヌクレオチドDNA配列(配列番号2)からなっていた(2、MW=15,507.1g/モル、ε=487,900M−1cm−1)。その後の操作の前に、両方のオリゴヌクレオチドを定量し、凍結乾燥した。
非ビオチン化二本鎖50bp DNA構築物の合成:NP1−2AS(1.44mg、93.4ナノモル)を、0.5mLの蒸留水中で再構成して187μMの溶液を得た。NP1−1S(1.32mg、85.3ナノモル)を、0.5mLの50mMリン酸、75mM塩化ナトリウム緩衝液(pH7.5)中に再構成して、171μM溶液を得た。二本鎖構築物(3)(配列番号1−フォワード鎖(上);配列番号2−リバース鎖(下))を、60μLのNP1−1S溶液(10.2μモル)を40μLのNP1−2AS溶液(7.47μモル)でアニーリングすることにより作製した。混合物を85℃の加熱ブロックに30分間入れ、続いて2時間かけてゆっくりと室温に冷却した。10mMのPBS緩衝液(pH7.2)で平衡化したTosoH G3000SWカラム(7.8mm×300mm)に総アニーリング量(100μL)を注入することによって、二本鎖材料を精製した。カラム溶出液を、260および280nmでモニターした。二本鎖物質(3)は、7.9分(およそ20分)で溶出した。0.5mLのAmiconフィルタ濃縮器(MWカットオフ10,000Da)を使用して、DNAを150μLに濃縮した。A260吸光度により決定したとき、最終DNA濃度は、40.5μMであると計算された。
一本鎖5′−アミノオリゴのビオチン化:スルホ−NHS−SS−ビオチン(4、ThermoFisher Scientific)の100mM溶液は、6mgの粉末を0.099mLの無水DMSO(Sigma Aldrich)に溶解することによって作製した。溶液をボルテックスし、直ちに5′−アミノ−DNAをビオチン化するために使用した。50mM PBS(pH7.5)中のおよそ100μLのssDNA(1、171μM、17.1μモル、0.265mg)(配列番号1)溶液を、DMSO中の3.4μLの0.1mMビオチン化試薬(34.1μモル、ssDNA上の20倍モル過剰)と混合した。混合物を混合し、室温で2時間反応させた。2つの0.5mL Zebaスピン脱塩カラム(MWカットオフ7,000Da、ThermoFisher Scientific)を10mM PBS(pH7.2)中で平衡化した。粗ビオチン化ssDNA溶液を、1つのZebaカラムに添加し、4,600rpmで1.3分間溶出した。溶出液を、第2のZebaカラムに転送し、記載のように溶出した。精製NP1−1S−SS−ビオチン(5)(配列番号1)の濃度は、A260吸光度(2.03mg/mL、131μM)を測定することによって決定した。
ビオチン化二本鎖DNAの形成:およそ60μLのNP1−1S−SS−ビオチン溶液(5、7.85μモル、131μM、2.03mg/mL)を、42μLのNP1−2AS溶液(2、7.85μモル、187μmol/L)と混合した(配列番号2)。溶液を85℃の加熱ブロックに30分間入れ、続いて2時間かけてゆっくりと室温に冷却した。全アニーリング量(およそ100μL)を注入することにより、10mM PBS(pH7.2)を使用して、TosoH G3000SWカラム(7.8mm×300mm)で二本鎖産物を精製した。二本鎖ビオチン化物質は、A260吸光度でモニターしたとき、7.9分(20分の実行時間)で溶出した。0.5mLのAmiconフィルタ濃縮器(MWカットオフ10,000Da)を使用して、溶出液量を480μLに低減した。最終NP1−ジチオ−ビオチン(6)(配列番号1−フォワード鎖(上);配列番号2−リバース鎖(下))の濃度は、A260吸光度によって決定されるように、16.3μMであると計算された。
実施例17
切断可能なDNA−ビオチン構築物の代替合成
相補的DNA配列(NP−31aおよびNP−31b):標準的なホスホルアミダイト化学(Integrated DNA Technologies)を使用して、2つの一本鎖60merを合成した。オリゴNP−31aは、C−6炭素スペーサ(配列番号1)によってDNAから分離された、5′末端にアミノ基を含有する60ヌクレオチドのDNA配列からなる(1、MW=18,841.2g/モル、1.7μM/OD)。オリゴNP−31bは、NP−31aに相補的な60ヌクレオチドのDNA配列(配列番号4)から構成されていた(2、MW=18292.8g/モル、1.8μM/OD)。その後の操作の前に、両方のオリゴヌクレオチドを定量し、凍結乾燥した。
一本鎖5′−アミノオリゴNP−31aのビオチン化:NHS−SS−dPEG4−ビオチン(4、MW=751.94g/モル、Quanta BioDesign,Ltd)の10mM溶液は、15.04mgの粉末を2.0mLのジメチルホルムアミド(Sigma Aldrich)に溶解することによって調製した。溶液をボルテックスし、直ちに5′−アミノ−DNAをビオチン化するために使用した。10mMのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(pH7.4)中のおよそ100μLのssDNA(1、100μM、0.01μモル、0.188mg)(配列番号3)溶液を、DMF中の10μLの10mMビオチン化試薬(0.1μモル、ssDNAに対して10倍モル過剰)と混合した。混合物を混合し、室温で2時間反応させた。2つの0.5mL Zebaスピン脱塩カラム(MWカットオフ7,000Da、ThermoFisher Scientific)を10mM PBS(pH7.2)中で平衡化した。粗ビオチン化ssDNA溶液を、1つのZebaカラムに添加し、4,600rpmで2分間溶出した。溶出液を、第2のZebaカラムに転送し、記載のように溶出した。精製NP−31−SS−ビオチン(5)(配列番号3)の濃度は、A260吸光度(1.45mg/mL、77μM)を測定することによって決定した。
ビオチン化二本鎖DNAの形成:およそ60μLのNP−31−SS−ビオチン溶液(5、77μM)(配列番号3)を、50μLのNP−31b溶液(2、100μM)と混合した。溶液を85℃の加熱ブロックに30分間入れ、続いて2時間かけてゆっくりと室温に冷却した。二本鎖産物(配列番号3−フォワード鎖(上);配列番号4−リバース鎖(下))を、10mM PBS(pH7.2)を使用して、全アニーリング容量(およそ100μL)を注入することによって、TosoH G3000SWカラム(7.8mm×300mm)で精製した。二本鎖ビオチン化物質は、A260吸光度でモニターしたとき、7.57分で溶出した。0.5mLのAmiconフィルタ濃縮器(MWカットオフ10,000Da)を使用して、溶出液量を低減した。最終dsNP−31−SS−ビオチン(6)(配列番号3−フォワード鎖(上);配列番号4−リバース鎖(下))の濃度は、A260吸光度によって決定されるように、11μMであると計算された。
実施例18
切断可能なDNA−ビオチン−チオール媒介切断構築物の合成
ssNP−31−SS−ビオチンのストレプトアビジンコーティング磁性微粒子(SA−MP)への結合および化学的切断(TCEPまたはDTT):化学的切断実験を、以下の方法により磁性微粒子上で行った(図25を参照)。100μLのPBS(pH7.2)中77μMの修飾オリゴヌクレオチドssNP−31−SS−ビオチン溶液を、室温で30分間、1μLの0.1%ストレプトアビジン常磁性微粒子と共にインキュベートした。粒子を磁石に引きつけ、PBST緩衝液(pH7.4)で10回洗浄することによって、過剰のオリゴを除去した。オリゴ結合粒子を、PBS(pH7.4)中の様々な濃度のDTTまたはTCEPのいずれかと共に15分間インキュベートした。微粒子をPBST緩衝液(pH7.4)で10回洗浄して、切断されたオリゴヌクレオチドを除去した。発蛍光団を含有する相補配列NP−31c(配列番号5)(7、MW=7494.6g/モル、5.2μM/OD)を、PBS(pH7.4)中で30分間微粒子と共にインキュベートして、粒子上にそのまま残っている任意の未切断ssNP−31−SS−ビオチンと結合させた。微粒子を磁石に引きつけ、PBST緩衝液(pH7.4)で10回洗浄して、過剰のNP−31cセグメントを除去した。洗浄したが化学的切断を受けなかった、上記のように調製したコーティング微粒子を対照として用いた。粒子上の蛍光シグナルを、蛍光顕微鏡によって測定した。最大切断効率は、表1に示すように、DTTおよびTCEPについてそれぞれ79%および93%と測定された。
実施例19
切断可能なDNA−ビオチン−光切断構築物の合成
光切断可能なDNA配列および微粒子上での切断効率の評価:一本鎖DNAの光切断可能な配列を、標準的なホスホルアミダイト化学(Integrated DNA Technologies)を使用して合成した。オリゴヌクレオチドは、2つの光切断可能な部分によって分離された2つのオリゴセグメント(オリゴ8−1(配列番号6)およびオリゴ8−2(配列番号7))を構成する48ヌクレオチドからなる(8、MW=15,430.1g/モル、441800L mol−1cm−1)。5′末端は、C−6炭素スペーサによってDNAから分離されたアミノ基を含んでいた。蛍光タグを含むオリゴ8−2に対する相補鎖を合成した(9、MW=7738.8g/モル、212700L mol−1cm−1)(配列番号8)。その後の操作の前に、両方のオリゴヌクレオチドを定量し、凍結乾燥した。
オリゴ8−1(配列番号6):5′AAA AAA GGT CCG CAT CGA CTG CAT TCA3′
オリゴ8−2(配列番号7):5′CCC TCG TCC CCA GCT ACG CCT3′
NP−8(8)(2つの光切断可能な部分(「PC」)によって接合されたオリゴ8−1(配列番号6)およびオリゴ8−2(配列番号7)):
H2N−5′AAAAAAGGTCCGCATCGACTGCATTCA−PC−PC−CCCTCGTCCCCAGCTACGCCT3′
NP−9(9)(配列番号8):AlexaFluor546−5′AGG CGT AGC TGG GGA CGA GGG3′
光切断実験は、以下の方法により磁性微粒子に対して行われた(図26Aおよび26Bを参照)。NP−8を抗体に共有結合させて、Ab−オリゴ複合体(Biosynthesis Inc.により調製)を生成した。100μLの33nM抗体−オリゴ複合体を、1μLの0.1%固形分のヤギ抗マウス微粒子と共に室温で30分間インキュベートした。粒子を磁石に引きつけ、PBST緩衝液(pH7.4)で10回洗浄することによって、過剰の抗体−オリゴ複合体を除去した。微粒子複合体溶液を、UV光(300〜350nmの波長)下で5分間照射した。微粒子を磁石に引きつけ、PBST緩衝液(pH7.4)で10回洗浄して、任意の切断されたオリゴセグメントを除去した。PBST緩衝液(pH7.4)に粒子を再懸濁した後、蛍光標識オリゴ9(配列番号8)を、照射した微粒子に添加し、室温で30分間インキュベートした。洗浄されたがUV照射を受けなかった上記のように調製されたコーティング微粒子(切断されていないオリゴ8−2)を対照として用いた。粒子上の蛍光シグナル(AlexaFluor(登録商標)546)を、蛍光顕微鏡によって撮像した。表2に示すように、常磁性微粒子に結合したときの切断効率は74%であった。
実施例20
熱切断可能なリンカー
この実施例は、熱切断可能なリンカーおよびそれらの切断について記載する。そのような熱切断可能なリンカーは、本明細書に記載されるように、例えば、DMFチップ、液滴ベースのマイクロ流体チップ、SAWチップ等において用いられ得る。
熱切断可能なリンカーは、二本鎖DNAの熱分離の場合のように、温度を閾値以上に上昇させることによって切断される。DMFチップ内の温度上昇は、光から吸収標的にエネルギーを転送することによって光熱的に達成することができる。一方法では、約980nm(約930nm〜約1040nmの範囲)の波長を有するレーザーなどの光源を、流体試料の領域のDMFチップに適用することができる。光は流体中の水分子によって吸収され得、結果として温度上昇およびリンカーの切断をもたらす。加熱のレベルおよび期間は、パルス長、パルスエネルギー、パルス数、およびパルス繰り返し率によって制御することができる。例えば、水の吸収帯を使用する光熱加熱は、例えば、米国特許第6,027,496号に記載されている。
光熱加熱はまた、光源を染料または顔料含有標的と結合することによって達成することもできる。この場合、DMFチップの目標領域は、吸収染料または顔料、例えばカーボンブラックで印刷される。流体が標的と接触すると、光源、例えば市販のレーザーダイオードが、光吸収標的に向けられ、結果として局所的な温度上昇およびリンカーの切断をもたらす。加熱のレベルおよび持続時間は、標的の吸光特性、光波長、パルス長、パルスエネルギー、パルス数、およびパルス繰り返し率によって制御することができる。例えば、光吸収標的と組み合わせて光源を使用する光熱加熱は、米国特許第6,679,841号に記載されている。
光熱加熱の第3の方法では、吸収染料または顔料を、DMFチップ内の流体に導入することができる。次いで、光はDMFチップを透過し、エネルギーは溶解または懸濁した吸収材料に転送され、結果として局所的な温度上昇およびリンカーの切断をもたらす。加熱のレベルおよび持続期間は、標的材料の吸光特性、光波長、パルス長、パルスエネルギー、パルス数、およびパルス繰り返し率によって制御る。この方法の一実施形態では、光吸収標的は、デバイスに使用される磁性微粒子懸濁液である。例えば、液滴中の懸濁ナノ粒子を使用する光熱加熱は、Walsh et al.,Analyst,140(5),1535−42(2015)に記載されている。Walshらの参考文献もまた、光熱用途において達成することができる制御のうちのいくつかを実証している。
実施例21
マイクロ波誘導粒子温熱療法により達成された熱的切断
この実施例は、イムノアッセイ検出が低電力マイクロ波放射の使用により加速され得るため、感熱性の切断可能なリンカーを介してカウント可能な部分を遊離する熱変性(dsDNA変性、逆マイケル反応、逆デールスアルダー、および他の排除)を促進するためのマイクロ波誘導粒子温熱療法の使用について説明している。そのような感熱性の切断可能なリンカーは、本明細書に記載されるように、例えばDMFチップにおいて用いられ得る。
この実施例では、40〜55℃の範囲の二本鎖Tmを有する15bp配列などの直交性官能化短dsDNAセグメントの形成が、熱遊離剤として役立つ。dsDNAセグメントを、スルフヒドリル−マレイミド相互作用および26nmカルボキシル化ポリスチレンナノ粒子(NP)、例えばアミン活性化カルボン酸化学などの付着化学を介してBangs Labs(Fishers,IN,USA)から得られるものなどの、抗体と付着化学を介して反応させることができる。26nm NPは、528.7μeq/gの表面電荷および68.4sq.Å/群のパーキング面積を有する(製造元情報)。抗体およびナノ粒子は、熱的に誘発された遊離可能なリンカーを形成するdsDNAセグメントを介して会合している。熱リンカーは、粒子温熱療法および局所的温度勾配を引き起こすためのマイクロ波照射などの技法を使用して切断することができる。
DNA配列1(10)(配列番号9):H2N−5′CAA GCC CGG TCG TAA3′
DNA配列1b(11)(配列番号10):マレイミド−5′TTA CGA CCG GGC TTG3′
dsDNA配列(12)(配列番号9−フォワード鎖(上);配列番号10−リバース鎖(下)):
H2N−5′CAA GCC CGG TCG TAA3′
3′GTT CGG GCC AGC ATT5′−マレイミド。
直行性官能化相補DNA配列複合体のアニーリング:PBS(pH7.5)中のおよそ100μM DNA配列1(配列番号9)の溶液を、PBS(pH7.5)中1.0モル等量のDNA配列1b(Integrated DNA Technologiesオリゴアナライザツールに従う理論上のTm 51.6℃)(配列番号10)と混合し、60℃で30分間加熱ブロックに配置した後、室温で2時間ゆっくり冷却することができる。得られたdsDNA産物を、10mM PBS(pH7.2)を使用して、TosoH G3000SWカラム(7.8mm×300mm)で全アニーリング量を注入することにより精製する。溶出液量は、0.5mLのAmiconフィルタ濃縮器を使用して低減する。最終dsDNA濃度は、A260吸光度によって決定される。反応スキームを以下に示す(「Mal」はマレイミドである)。
カルボキシル−ポリスチレンナノ粒子の活性化および二本鎖DNAの付加:カルボキシルナノ粒子は、実施例5の「カルボキシル−ポリスチレンナノ粒子の活性化」のセクションに記載されるように予備活性化される。NPへのDNA負荷は、結合したDNA鎖の熱変性、粒子洗浄、蛍光標識された相補DNA配列(AlexaFluor546−5′−TTA CGA CCG GGC TTG3′(配列番号11)など)のアニーリングによって決定され、蛍光顕微鏡を使用して定量した。
抗体の低減およびNP−dsDNA複合体への接合:実施例5の「抗体の低減」のセクションに記載されているように、抗体を低減させる。還元抗体は、NP−dsDNA複合体へのカップリングに直ちに使用することができる。得られた接合体を6,500gで遠心分離し、上澄みをデカントによって除去する。洗浄手順をPBS(pH7.5)で5回繰り返して、ナノ粒子から遊離抗体を除去する。ナノ粒子の取り込みに対する活性抗体の比率は、所定の抗体に対する蛍光標識抗原を用いて定量することができる。接合体NP濃度(固形分%)は、UV−Vis分光法(600nm)を使用して決定される。粒子接合体を、SEMによって調べ、サイズ/電荷分布をZetaSizerを使用して決定する。
マイクロ波誘導粒子温熱療法およびナノポアカウントイムノアッセイ:上記のスキームは、調製が上述されている熱変性抗体−ナノ粒子接合体を利用するナノポアカウントアッセイを例示する。サンドイッチ型イムノアッセイは、検体捕捉剤でコーティングされた磁性微粒子を使用して調製することができ、ここで血液検体は、磁性微粒子でインキュベートされ、洗浄され、記載の抗体−ナノ粒子接合体でインキュベートされる。粒子温熱療法は、マイクロ波照射を使用して粒子表面近くに局所的な温度勾配を生じさせることによって誘導され得る。Dutz and Hergt(Nanotechnology,25:452001(2014))において検討されているものなどの粒子温熱療法を使用することができる。イムノアッセイ設定における局所熱変性へのこれらの技法の適応は、(ナノ粒子などの)カウント部分を遊離する方法を提供することができる。磁性微粒子を除去した後、カウント部分(ナノ粒子)は、ナノポアを通過する際にカウントされる。
実施例22
ナノポアカウントデータ
この実施例は、種々のタグ、例えばポリエチレングリコールを有するssDNAハイブリッド分子(DNA−STAR)、dsDNA、DBCOで標識されたdsDNA、およびPAMAMコハク酸デンドリマーについてのナノポアカウントデータを記載する。ナノポア最適化を提供するために、異なるサイズのナノポアと共にこれらの異なるタグを使用した。異なる分子ポリマー標識を、適切な塩緩衝液に懸濁し、標準的な流体セルカセットを使用して検出した。
社内器具を使用して、電流−電圧(i−V)記録(ボルタンメトリーデータ)および電流−時間(i−t)記録を記録した。CUSUMと呼ばれるコンピュータソフトウェアプログラムを用いて、取得したデータを調べ、ユーザによって入力された閾値に基づいて事象を検出した。評価における主観性の影響は、できるだけ多くの事象を検出し、後で特定の目的のためにフィルタリングすることによって最小限に抑えられた。
膜のシス側にタグを付加して、初期実験を行った。標識溶液に200mVの電気バイアスを印加し、Axopatch 200B増幅器およびCUSUMソフトウェアを使用して電流遮断をモニターした。
細孔サイズがそれらの通過を制限しない限り、小分子はナノポアを非常に速く通過し得ることが知られている。高速事象の電流遮断は、システムの制限された帯域幅のために変形し得る。より速い分子は、特定のシステムによって完全に検出されないことさえあり得る。
我々の研究では、より大きなポリマーおよび大きな基修飾剤で標識された分子のみが検出された。実験条件および検出可能な事象の数を表3に示す。
これらのデータは、DNAデンドリマー、ポリマー、およびPAMAMデンドリマーが、固体ナノポアセンサ用の検出標識として使用できることを確認している。
実施例23
生体分子のナノポア分化
この実施例では、ナノポアを使用して、生体分子(例えば、dsDNAスター、DBCO修飾dsDNAおよび通常のdsDNA)を区別した。この方法は、異なる標識型を使用した多重化に使用することができる。
この実施例は、一本鎖オリゴヌクレオチドが共有結合した(DNA−Star)、中央に分岐点を含む50bpオリゴヌクレオチド(bp#25)、中央にジベンジルシクロオクチン(DBCO)修飾を含む二本鎖50bpオリゴヌクレオチド(塩基#25)、5′−チオール修飾二本鎖DNAオリゴヌクレオチドを用いた。
これらの様々な修飾DNA分子を、3.6M LiCl緩衝液中の3つの異なるSiNxナノポアを使用して分析した。DNAスター分子は、直径4.0nmの細孔で分析し、DBCO修飾DNAは、直径3.7nmの細孔で分析し、チオール修飾DNAは、直径4.2nmの細孔で分析した。ナノポアが3つの異なる生体分子を区別する能力を示すために、現在の遮断レベル(pA)をナノポア持続時間(μsec)に対してプロットした。集団レベルでは、散布図における明確なパターンの違いによって実証されるように、3つの異なる標識は区別可能であるように思われる(図24A〜図24C)。個々の事象をリアルタイムで識別するには、シグナルとノイズを区別する方法として、追加レベルの遮断レベルおよび時間情報が必要である。異なるナノポア標識を区別する能力は、ナノポアを様々なアッセイにおける多重化に用いることができることを実証している。
実施例24
定性的分析
以下の実施例は、定性的アッセイを実施するための方法を記載する。基本的に、この実施例では、構築物を使用して、DMFチップ上でアッセイの原理を実証し、構築物を切断し、標識を解放し、次いでナノポアを転位させたときにシグナルを発生させるようにナノポアを使用してカウントし、dsDNA標識のこの切断およびその後のカウントが、アッセイ中に生じた特異的結合と相関している、2つの特異的結合メンバー対(ストレプトアビジンおよびビオチン)の結合を示す。さらに、適切な対照実験を行って、ナノポア転位測定中にカウントされた標識から発生したシグナルが、アッセイプロセス流に導入されるチオール切断試薬の存在と相関するのではなく、アッセイプロセス中に生じた特異的結合事象によることを確認した。実施した実験の詳細は、以下のとおりである。
DMFを使用したチオール媒介切断:切断可能なジスルフィド結合を含むビオチン標識二本鎖DNA(実施例17の(6))を、ナノポア検出/カウントのための標的として使用した。結合アッセイは、DMFチップ上のストレプトアビジン磁性微粒子にビオチンDNAを結合させ、続いてチオール媒介化学的切断ステップからなる(図25を参照)。DMFチップ上の試薬の配置を図27に示す。ストレプトアビジン磁石粒子に結合した種から分離された切断されたDNA標的を、制御された絶縁破壊によって形成されたプレドリルナノポアを有する固体窒化ケイ素(SiNx)膜を含むナノポア流体セルに転送した(H.Kwok,et al.,PLoS,9(3),2014)。DNA標的物質をカウントし、オープンソースCUSUMソフトウェア分析パッケージ(NIST)を使用して分析した。
適切な試薬を、8個の試薬リザーバを含むガラス製DMFチップ(3″×2″×0.0276″)に負荷した。廃棄物リザーバを除いて、各リザーバは、およそ5μLの各試薬を含んでいた。試薬の濃度は以下のとおりであった。PBS中11μMのビオチン−SS−DNA(pH=7.2)、10mg/mL(w/v)M−270 2.7μmのストレプトアビジンでコーティングされた磁性微粒子(Life Technologies)、PBS洗浄緩衝液(pH=7.2)+0.05% ETKT(エチレンテトラ−KIS(エトキシレート−ブロック−プロポキシレート)テトロ)、50mMトリス−(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)。分注されたDMF液滴のおよそのサイズは、1.5μLであった。
1滴のM−270ストレプトアビジンでコーティングされた微粒子を分注し、1滴のdsNP−31−SS−ビオチンとおよそ40分間混合した。2滴を複合し、DMFチップ上で12個の電極(3×4)上を円形パターンで動かすことによって混合を達成した。底部磁石を係合させて微粒子を収集し、上清を廃棄物リザーバに移した。次に、2滴のPBS/ETKT緩衝液を分注して、微粒子スラグに移し、次いでこれを溶液に再懸濁した。懸濁液を5分間混合した後、磁石を再び係合させ、上澄み液を廃棄物リザーバに移した。混合時間を45分まで徐々に増やしながら、粒子洗浄ステップを合計11回繰り返した。最後の洗浄上清を空のリザーバに移した。追加の5滴のPBS/ETKTを同じリザーバに移した。ナノポア分析の準備として、34−AWG非金属シリンジ(Microfil 34−AWG)を使用して、リザーバ内の洗浄液およびPBS/ETKTを除去し、1.5mLのエッペンドルフ管に転送した。2滴のTCEP試薬を微粒子スラグに移し、45分間混合することによって、切断を開始した。底部磁石を係合させ、上清(切断されたDNAを含む)を空のリザーバに移した。さらに5滴のPBS/ETKT洗浄緩衝液を、同じリザーバに移した。ナノポア分析の準備として、34ゲージの非金属製シリンジを使用して、最終抽出物をDMFチップから取り出し、1.5mLのエッペンドルフ管に転送した。切断溶出液を30秒間微量遠心分離し、1分間磁気ラックに入れて微量の微粒子を除去した。
ナノポア分析:TEMウィンドウ(0.05μm×0.05μm)に埋め込まれた10nm厚のSiNx膜(Norcada NT0052、低応力SiNx)の制御された絶縁破壊(CBD)を使用して、ナノポア製造を達成した。この方法は、高精度かつ最小のコストで小径の固体細孔を形成することができる。TEM−SiNx膜を、2つの緩衝液チャンバを含むポリテトラフルオロエチレン(PTFE)流体セルに入れ、2つのシリコーンエラストマーガスケットを使用して封止した。流体セルは、セルの底部に16μLの体積チャネルを含み、これは上部チャンバの塩溶液をナノポア膜に接続した。ナノポア製造のために、流体セルを最初に脱気エタノールで満たし、脱気脱イオン水で交換し、次いで18MΩ脱イオン水中で重炭酸ナトリウムでpH10に緩衝した脱気0.5M KClで満たした。8Vのバイアス電圧を使用する増幅器を用いて製造を行った。流体セルの両側を、銀/塩化銀ワイヤを使用して接続した。Kwokらに記載されているように、8Vの固定電圧を設定している間、電流はリアルタイムで静電容量(電流の低減)を呈する。電流が増加すると、電力がセルから除去される。製造のためのサンプリングレートは25KHzである。漏れ電流の増加は、細孔の形成を示し、それによって電圧が切られた。孔径は、以下のコンダクタンスに基づく式から求めた。
ここで、G=コンダクタンス、σ=バルク導電率(KClについて測定して12.35S/m)、L=膜の厚さ(10nm)、d=孔径(S.Kowalczyk,A.Grosberg,Y.Rabin,C.Dekker,Nanotech.,22,2011)。I−V曲線を生成することによって、ナノポアのオーム挙動を調べた。測定されたナノポアの直径は、4.4nmであると決定され、続いて切断されたds−SS−DNA標的の検出に使用された。
製造塩緩衝液を、3.6M LiClと交換し、これを転位事象を検出するための感知緩衝液として使用した。Axopatch 200B増幅器と、ナノポア膜を収容する流体セルへの銀/塩化銀接続との間にヘッドステージを配置した。
およそ0.2μLのTCEP切断ds−DNA標的を、1.8μLのPBS緩衝液(これは、TCEP切断溶出液の10倍希釈液に相当する)で希釈し、およそ30μLの3.6M LiCl塩溶液を含んでいたナノポア細胞チャンバに全量を装填し混合した。最後のDMF洗浄溶出液を、陰性切断対照として使用した(これは希釈しなかった)。TCEP溶出液および陰性対照について、DNA転位の数をそれぞれ23分および65分間測定し、流動速度(sec−1)に変換した。図28に示す結果は、ds−SS−DNA標的がDMFを使用してM−270ストレプトアビジン粒子から首尾よく切断され、検出器として固体ナノポアを使用して検出されたことを実証する。ナノポア流動速度から測定して、SNRは21.9であると決定された。
データ分析:転位事象の数は、実験的試験条件下、以下の等式を使用して、二本鎖DNA転位事象において見出される予想電流変化を最初に計算することによって決定することができ、
Kwok et al.,″Nanopore Fabrication by controlled Dielectric Breakdown″Supplementary Information Section 8およびKwok,H.;Briggs,K.;and Tabard−Cossa,V.;″Nanopore Fabrication by Controlled Dielectric Breakdown″−PLoS ONE 9(3):e92880(2014)において参照される。この予想される電流遮断値を使用して、実験的ナノポア出力のバイナリファイルデータを、許容可能な予想される電流遮断事象について視覚的に手動で走査した。これらの事象を使用して、CUSUMナノポアソフトウェアに必要な閾値およびヒステリシスパラメータを適用して実行した。このソフトウェアからの出力は、cusumtools readevents.pyソフトウェアを使用し、1000pAを超える(最初の計算から決定される)遮断事象をフィルタリングして、さらに分析した。流動事象、事象間の時間および他の計算は、readevents.py分析ツールから決定した。JMPソフトウェア(SAS Institute,Cary,North Carolina)を使用して、CUSUM生成データに対して追加の計算を行った。この閾値設定方法は、データ分析および閾値設定に対する1つの手法であり、本発明はこの方法に限定されず、当業者に知られているような他のそのような方法も使用できることが理解される。
要約:この実施例は、本明細書中に記載されるようなステップのプロセスを実施することによる定性的アッセイを記載する。図25に示されているチオールベースの切断ステップを用いて、実施例17に記載されるように、切断可能なリンカー接合体を使用して直接アッセイを実施した。そのようなアッセイを実施するための他の切断可能なリンカー手法はまた、本明細書中に記載されるように、種々のタグのカウントを可能にするための、リンカーの切断の種々の他の方法を含み得るがこれらに限定されないことが理解される。例えば、実施例17に記載の方法に加えて、そのような他の代替の切断方法および/または試薬は、本明細書に記載され、当業者に知られている他の切断方法に加えて、実施例16、実施例18、実施例19、実施例20および実施例21に記載のものを含み得る。この実施例(実施例24)において実証されたアッセイフォーマットは、直接アッセイを表すが、サンドイッチイムノアッセイフォーマットおよび/または様々な競合アッセイフォーマットなど、当業者に知られているものなどの他のフォーマットが、記載された方法を使用してアッセイを実施するために同様に実装され得ることも理解される。
例えば、実施例9に記載されているように、TSH(甲状腺刺激ホルモン)の検出のためのサンドイッチイムノアッセイフォーマットは、低コストDMFチップ上でそのようなアッセイを実施する能力を実証した。さらに、他の方法で当業者に知られている他の切断可能なリンカーに加えて、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5および実施例6に記載されているものなどの様々なヘテロ二官能性の切断可能なリンカーを使用して、イムノ接合体の生成に有用な多数の様々なバイオ接合試薬または切断可能なリンカーを有する他の活性特異的結合メンバーが合成され得る。本発明の実施に有用な免疫接合体は、実施例3、実施例4、実施例5および実施例6に記載されるものなどの方法によって、ならびに当業者に公知の他の方法によって合成することができる。さらに、実施例8は、サンドイッチおよび競合アッセイフォーマットを含む様々なアッセイフォーマット、ならびに当業者に知られているそれらの他の変形を実行するために必要な様々なステップを容易にすることができる、低コストチップ上の様々な液滴操作の機能を示す。実施例11は、アッセイにおいて切断可能な標識をカウントするために使用することができるナノポアの製造を示すが、当業者に知られているナノポア製造のための他の方法もまた、この目的のために使用することができることが理解される。実施例16はまた、切断が行われるアッセイの実施に有用な別の構築物を表し、したがって、この実施例に記載されるように、ナノポアカウント法を使用してカウントできるように、カウント可能な標識が遊離される。
実施例22は、一般に、ナノポアを横断する様々な標識の存在に関する転位事象を測定することができるように、カウントをどのようにして行うことができるかを示す。図29は、カウントアッセイにおいてデータの質を操作することができるようにするための、シグナルの閾値化の概念を示す。図28は、この実施例に記載されるようなアッセイ方法を使用して、検体の存在を決定するために使用され得るデータの種類を表す定性的アッセイデータを示す。この特定の実施例では、dsDNAを標識として使用したが、ナノビーズ、デンドリマー等を含むがこれらに限定されない実施例5および/または実施例22に記載の標識などの他の標識も利用され得ることも理解される。適切な試薬を生成するために必要とされるそのような構築物は、本出願において本明細書における様々な実施例を通して、またはそうでなければ当業者に知られている方法を介して合成され得る。
実施例25
定量的分析
以下の実施例は、定量的アッセイを実施するための方法を記載する。基本的に、この実施例では、実施例24の延長として、増加した量のカウント標識が(この場合はカウント可能な標識がdsDNA分子である)、標準曲線上で、アッセイ(結合)ステップにおいて結合された(順に元の試料中に存在する検体の量と相関する)特定の結合剤の量に相関することを実証するように標準曲線を生成した。この特定の実験の標準曲線は、データ分析の様々な異なる方法に基づく図31、図32、図34、または標準曲線を生成するために流動に依存する図34に見出すことができる。後者の場合、図34に示す測定方法は、事象/時間(カウント事象の流動)に基づいているが、所与の試料中で測定される検体濃度の量に相関する標準曲線を生成するために他の測定方法も使用できることが理解される。実施した実験の詳細は、以下のとおりである。
ナノポア製造:TEMウィンドウ(0.05μm×0.05μm)に埋め込まれた10nm厚のSiNx膜(Norcada NT0052、低応力SiNx)の制御された絶縁破壊(CBD)を使用して、ナノポア製造を達成し、この方法は、高精度かつ最小のコストで小径の固体細孔を形成することができる。TEM−SiNx膜を、2つの緩衝液チャンバを含むポリテトラフルオロエチレン(PTFE)流体セルに入れ、2つのシリコーンエラストマーガスケットを使用して封止した。流体セルは、セルの底部に16μLの体積チャネルを含み、これは上部チャンバの塩溶液をナノポア膜に接続した。ナノポア製造のために、流体セルを最初に脱気エタノールで満たし、脱気脱イオン水で交換し、次いで18MΩ脱イオン水中で重炭酸ナトリウムでpH10に緩衝した脱気0.5M KClで満たした。8Vのバイアス電圧を使用する増幅器を用いて製造を行った。流体セルの両側を、銀/塩化銀ワイヤを使用して接続した。Kwokらに記載されているように、8Vの固定電圧を設定している間、電流はリアルタイムで静電容量(電流の低減)を呈する。電流が増加すると、電力がセルから除去される。製造のためのサンプリングレートは25KHzであった。漏れ電流の急な増加は、細孔の形成を示し、それによって電圧が切られた。0.5M KCl緩衝液を、3.6M LiCl(pH=8.3)で置き換えた。
孔径は、以下のコンダクタンスに基づく等式から求めた。
ここで、G=コンダクタンス、σ=バルク導電率(LiClについて測定して16.06S/m)、L=膜の厚さ(10nm)、およびd=孔径(S.Kowalczyk,A.Grosberg,Y.Rabin,C.Dekker,Nanotech.,22,2011)。I−V曲線を生成することによって、ナノポアのオーム挙動を調べた。測定されたナノポアの直径は、4.8nmであると決定され、続いてDNA較正標準の検出に使用された。
DNA用量反応:DNA標準を較正物質として使用して、漸増濃度のDNAに伴うナノポア流動速度の変化を決定することによって用量反応曲線を観察した。これにより標準曲線が生成され、これをイムノアッセイにおける切断DNA標識の定量に使用することができる。2μLの1.5μM 100bp DNA標準(ThermoScientific)を、30μLの3.6M LiCl塩溶液を含有するPTFE流体セルにピペットで入れ、94nM DNAの最終濃度を得た。ナノポア分析の前に、溶液を数回上下にピペット操作することによって試薬を混合した。セルを+200mVのDCバイアスにかけ、60分にわたって電流遮断についてモニターした。CUSUM分析ソフトウェアを使用して、電気シグナルおよびカウント率を特徴付けた。この手順を2回繰り返して、標準曲線上に182nMおよび266nMの2つの追加の点を得た。3つの標準全てについて、異なる期間にわたる電流遮断を示している。すなわち94nMで41秒(図30A)、182nMで24秒(図30B)、266nMで8秒間(図30C)。ベースラインノイズは、経験的に、図30A、図30Bおよび図30Cについてそれぞれおよそ900pA、900pAおよび1000pAであると推定された。
実行から得られたデータを使用して、3種類の用量反応曲線を生成した。一定の時間量(5分)にわたる事象数(図31)、一定数の事象(200事象)に必要な時間(図32)、および単位時間当たりの事象数(図33)。これらの曲線のそれぞれは、標識としてDNAを使用する、定量的なナノポアベースのイムノアッセイのための標準曲線として使用され得る。同様に、デンドリマー、ポリマー、ナノ粒子等のような他の標識を使用して、様々な検体を定量することができる。
Seq31−SS−ビオチンDNA用量反応:合成DNA構築物、Seq31−SS−ビオチンを原料物質として使用して、用量反応曲線を生成した(図47)。この標的を使用して、定性的アッセイにおいてストレプトアビジンビーズから切断された切断標識NP−Seq31−SS−ビオチンを定量することができる。この物質は、切断標識Seq31−SS−ビオチンとほぼ同じMWおよび電荷密度を有するため、TCEPおよび/またはDTTを使用してストレプトアビジン微粒子から切断標的を定量するために較正曲線に使用することができる。
データ分析:転位事象の数は、実験的試験条件下、以下の等式を使用して、二本鎖DNA転位事象において見出される予想される電流変化を最初に計算することによって決定することができ、
Kwok et al.,″Nanopore Fabrication by controlled Dielectric Breakdown″Supplementary Information Section 8およびKwok,H.;Briggs,K.;and Tabard−Cossa,V.;″Nanopore Fabrication by Controlled Dielectric Breakdown″−PLoS ONE 9(3):e92880(2014)において参照される。この予想される電流遮断値を使用して、実験的ナノポア出力のバイナリファイルデータを、許容可能な予想される電流遮断事象について視覚的に手動で走査した。これらの事象を使用して、CUSUMナノポアソフトウェアに必要な閾値およびヒステリシスパラメータを適用して実行した。このソフトウェアからの出力は、cusumtools readevents.pyソフトウェアを使用し、1000pAを超える(最初の計算から決定される)遮断事象をフィルタリングして、さらに分析した。流動事象、事象間の時間および他の計算は、readevents.py分析ツールから決定した。JMPソフトウェア(SAS Institute,Cary,North Carolina)を使用して、CUSUM生成データに対して追加の計算を行った。この閾値設定方法は、データ分析に対する1つの手法であり、本発明はこの方法に限定されないが、当業者に知られているような他のそのような方法も使用できることが理解される。
要約:この実施例は、本明細書中に記載されるようなステップのプロセスを実施することによる定量的アッセイを記載する。図25に示されているチオールベースの切断ステップを用いて、実施例17に記載されているように、切断可能なリンカー接合体を使用して直接アッセイを実施した。そのようなアッセイを実施するための他の切断可能なリンカー手法はまた、本明細書中に記載されるように、ナノポアを使用する種々のタグのカウントを可能にするための、リンカーの切断の種々の他の方法を含み得るがこれらに限定されないことが理解される。例えば、実施例17に記載された方法に加えて、そのような他の切断方法としては、本明細書に記載され、当業者に知られている方法に加えて、実施例18、実施例19、実施例20および実施例21に記載の方法が挙げられるが、これらに限定されない。この実施例(実施例25)において実証されたアッセイフォーマットは、直接アッセイを表すが、サンドイッチイムノアッセイフォーマットおよび/または様々な競合アッセイフォーマットなど、当業者に知られているものなどの他のフォーマットが、アッセイを実施するために同様に実施され得ることも理解される。
例えば、実施例9に記載されているように、TSH(甲状腺刺激ホルモン)の検出のためのサンドイッチイムノアッセイフォーマットは、低コストDMFチップ上でそのようなアッセイを実施する能力を実証した。さらに、他の方法で当業者に知られている他の切断可能なリンカーに加えて、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、実施例5および実施例6に記載されているものなどの様々なヘテロ二官能性の切断可能なリンカーを使用して、イムノ接合体の生成に有用な多数の様々なバイオ接合試薬または切断可能なリンカーを有する他の活性特異的結合メンバーが、当業者により合成され得る。さらに、実施例8は、サンドイッチおよび競合アッセイフォーマットを含む様々なアッセイフォーマット、ならびに当業者に知られているそれらの他の変形を実行するために必要な様々なステップを容易にすることができる、低コストチップ上の様々な液滴操作の機能を示す。実施例16はまた、切断が行われるアッセイの実施に有用な別の構築物を表し、したがって、この実施例に記載されるように、ナノポアカウント法を使用してカウントできるように、カウント可能な標識が遊離される。
実施例22は、一般に、ナノポアを横断する標識の存在に関する転位事象を測定することができるように、カウントをどのようにして行うことができるかを示す。図29は、カウントアッセイにおいてデータの質を操作することができるようにするための、シグナルの閾値化の概念を示す。図31、32および33は、この実施例に記載されるようなアッセイ方法を使用して、検体の量を決定するために使用され得るデータの種類を表す定性的アッセイデータ出力を示す。図34は、化学的方法を使用して切断された構築物から生成された標準曲線を示す。この特定の実施例では、dsDNAを標識として使用したが、ナノビーズ、デンドリマー等を含むがこれらに限定されない実施例5に記載の標識などの他の標識を利用することもできる。そのような構築物は、当業者に公知の方法によって合成することができる。
実施例26
ナノポア電界シミュレーション
理論的な直径10nmのナノポアを通る対イオン濃度および電気浸透流速に対するSiO2ビアのサイズの影響を研究するために、シリコンモジュールで使用される提案されたナノポア膜設計について一連のCOMSOLシミュレーション実験を行った。SiO2の最上層は、複数の目的を果たした。1)SiNx膜に絶縁層を提供し、それによりナノポアの容量性ノイズを低減する。2)シリコン基板内のSiNx膜の堅牢性および強度を高める。3)溶液に曝露されるSiNx領域のサイズを小さくし、それにより制御された絶縁破壊(CBD)プロセスから膜上の細孔の位置付けを改善する。電界シミュレーションを使用して、局所対イオン濃度および細孔を通る電気浸透流に対するSiO2層の干渉を決定した。
図35を参照すると、シリコン基板(1)をエッチングして、SiNx膜の上下に位置するシスおよびトランスチャンバを得た。SiNx膜(50μm×50μm)(2)を、厚さ300μmのSiO2の最下層と、厚さ300μmのSiO2の最上層(3)との間に積層した。最上層を製造して(4)を介してSiO2を形成し、これによりCBD中にナノポアの形成が可能となった。SiO2ビアの最適直径は、シミュレーションによって決定された。
COMSOLシミュレーション結果:COMSOL電界シミュレーションは、材料、静電気学、分子輸送および層流特性に基づく物理モデルを使用した。電位は、ポアソン方程式に基づいた。イオン流動は、ネルンスト−プランク方程式に基づいた。流速は、ストークス方程式に基づいた。シミュレーションに使用した物理的パラメータは、図36に示す表1に定義されている。
細孔付近の対イオン濃度勾配についてのCOMSOLの結果は、図37に示されており、SiO2ビア直径が、直径50nmを超えたときにイオン濃度の影響をほとんどまたは全く示さない。50nm未満では、細孔の口の近くに正味電荷の蓄積が生じた。最も深刻な影響は、25nmの直径で観察され、大きなイオン勾配が細孔の近くに形成された。結果は、ナノポアがSiO2壁から25〜50nm未満離れているとき、SiO2表面のかなり大きな影響を示した。
細孔を通る対イオンの電気浸透流速は、SiO2層がナノポアセンシングに及ぼし得る影響を決定する方法としてシミュレートされた(図38)。電気浸透流の最高速度は、より大きいビア直径(100〜4,500nm)で生じた。細孔を通る流速の低減が、50nmのSiO2ビアについて観察され、続いて25nmのビアについて有意な低減が観察された。
図39に示されるように、細孔対ビア直径を通るコンダクタンスの測定は、100nmを超える飽和曲線を示し、ビア直径が100nm〜25nmのサイズに低減するにつれてコンダクタンスが減少した。
実施例27
ナノポアモジュールをデジタルマイクロ流体(DMF)モジュールに統合する
ナノポアモジュールは、DMFモジュールの片側に位置していた。細孔の形成および検体の検出のためにDMFモジュールからナノポアモジュールへの液体輸送を可能にするために、DMFモジュールに穴が存在した(例えば、図40を参照)。
ナノポアモジュールからの1つの電極は、ナノポアモジュール内の流体体積内で終端した。もう一方の電極は、DMFモジュール内の流体体積内で終端した。この電極は、DMFモジュールの第2の穴を経由した。液体がDMFモジュール内の穴を通って移動することができたことを実証するために、液体が適所に移動された後に平らな紙をチップの外面上で押した。この紙の濡れは、液体が毛細管力を介してDMFモジュールからこの穴の上に位置する別のモジュールに移動できることを示した(図41)。
図42を参照すると、DMFモジュールは、ナノポア製造を制御するためにAg/AgCl電極を備えていた。この設定では、ナノポアモジュール上の液体体積は、LiClの外液滴であった。この液体をナノポアモジュール上に直接分注し、電極端子をこの液滴内に吊り下げた。
DMF技術を使用して、試料をDMFモジュールの穴に移動させた。試料は、受動的に穴を通って移動し、ナノポア形成のためにナノポアモジュールに曝露された。ナノポアモジュールは、DMFモジュールに封止され(例えば、PDMS、圧力、ワックス等を使用して)、各モジュール内に保持されている液体体積を隔離する。図45は、ナノポアの製造中の時間の関数としての電流を示す。
ナノポアが形成されたら、調整プロセス(経時的に電圧を変化させる)を使用して、ナノポアを物理的に修飾してシグナルをクリーンにした。このプロセスは、I−V曲線の対称性を改善した。前後のI−V曲線を、それぞれ図46Aおよび46Bに示す。
実施例28
カウント標識および孔径分析
一連の実験は、孔径およびカウント標識サイズに対してある特定の属性を分析し、実証するために、様々な一連の条件下で二本鎖DNAを使用して行われた。これらの実験では、検出電圧、DNA長、DNA濃度、塩濃度および塩組成、膜材料、膜厚、ナノポア直径および他の要因を含む様々なパラメータを調べた。
次いで、データセットをシグナル対ノイズ比に関して分析し、その因子をカウント標識サイズ(推定分子直径)に対して種々の孔径と比較した。例えば、膜材料および厚さなどの、ある特定の因子は、この一連の実験において一定に保たれたが、他の因子は変動した。
集計データセット分析から、実験で決定されたSNR(シグナル対ノイズ比)に対するカウント標識平均直径とナノポアサイズとの間の比の平均をプロットした(図47)。図47は、一般に、有用なカウントデータが、この特定のデータセットでは約約0.4〜0.8のような比率の範囲から得られることを実証し、そのような比率は、およそ約2.0nmのdsDNAの分子直径を仮定する。線状dsDNAは、その分子直径についてであることが文献から知られており、分析は、DNAがその線状立体配座で細孔を通って進むと仮定する。表4は、計算データを示す。
この実施例で前述したように、条件は変化したが、このデータセットの一般的な範囲は、この範囲内で合理的なシグナル/ノイズ比のデータをカウントできることを示している。さらに、当業者であれば、合理的なSNRを達成するために、他のカウント標識分子直径とナノポア直径との比を利用できることを認識するであろうことに留意すべきである。加えて、一般に標識は、細孔を通過することができるように、ナノポアのサイズより小さいその分子直径の少なくとも1つの寸法を有するべきであること、または言い換えれば、標識分子直径とナノポア直径とのこの比は、恐らくナノポア力分光法と呼ばれる技術において説明されるような条件が使用される場合を除いて、一般に標識が細孔を通過できるものよりも小さいはずであり、ここでエネルギーをシステムに付加して、標識に立体配座の変化を起こしやすくし、それによってそのような転位事象が起こることを可能にするレベルまで変形した後に細孔を通過させることができるようにする。
この実施例に記載されるように、dsDNA以外の他の標識をカウントするために利用することができ、それらはこのグラフに示されるものとは異なる挙動を有し得ることもまた当業者に理解されるべきである。さらに、そのような標識の分子カウントを可能にするために、他の分子直径とナノポアとの比から許容できるSNRを得ることもまた可能であり、現在の遮断は、以下の等式に記載されるように、そのようなカウント標識の分子直径に関連し得ることが理解されるべきであり、
これはKwok et al.,″Nanopore Fabrication by controlled Dielectric Breakdown″Supplementary Information Section 8および/またはKwok,H.;Briggs,K.;and Tabard−Cossa,V.;″Nanopore Fabrication by Controlled Dielectric Breakdown″−PLoS ONE 9(3):e92880(2014)において見出すことができる。この等式を使用して、この文書の実施例24および25に記載されているように、シグナルをゲートまたは閾値処理することができる。
この一連のナノポアカウント実験の集合内で変動したある特定の特定条件は以下を含んでいた。
●イオン強度−3または3.6M
●DNAの長さ−10kbp、50bpまたは1kbp
●使用されるイオン塩−LiClまたはKCl
●膜材料−SiNx(データセット全体で一定)
●膜厚−10nm(データセット全体で一定)
●DNA濃度−3nM〜約306nMの間で変動
●電圧−50〜600mVの増分を含む変動
●ナノポア直径−8.0、1.1、3.6、4.2、2.8、2.5、7.7、3.1、2.7、2.6、2.9および4.2(全てナノメートル単位)を含む様々な孔径。
これらを含むが限定されない様々な条件は、計算可能であるが、この実施例で参照されるようなKwokらのこの等式の量に従って電圧が印加されるとき、細孔の直径より小さいカウント可能な標識が、細孔を横切るイオン電流の流動の遮断を引き起こし得る状況において得られることを示すことが結論され得る[Kwok et al.,″Nanopore Fabrication by controlled Dielectric Breakdown″Supplementary Information Section 8 and/or Kwok,H.;Briggs,K.;and Tabard−Cossa,V.;″Nanopore Fabrication by Controlled Dielectric Breakdown″−PLoS ONE 9(3):e92880(2014)]。
これらの条件は、デンドリマー、ヘミデンドリマー、ナノビーズ、アニオン性またはカチオン性ポリマー、変性線状化アプタマー、負電荷もしくは正電荷ポリペプチド、または他の電荷ポリマーもしくはカウント可能な分子実体等を含むが、これらに限定されないdsDNA以外の他の標識についてノイズに対する合理的なシグナルで機能する、孔径に対するカウント標識分子直径を示すように適用され得ることも理解されるであろう。
最後に、本発明の様々な態様および特徴を本明細書の様々な実施形態および具体例に関して説明してきたが、それらは全て従来どおりに作製または実行することができるが、本発明は特許請求の全範囲内で保護する権利があることを理解する。
前述の詳細な説明および添付の実施例は、単なる例示であり、添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物によってのみ定義される、本発明の範囲に対する限定として解釈されるべきではないことが理解される。
開示された実施形態に対する様々な変更および修正は、当業者に明らかであろう。本発明の化学構造、置換基、誘導体、中間体、合成、組成物、配合物、または使用方法に関するものを含むがこれらに限定されないそのような変更および修正は、その趣旨および範囲から逸脱することなく行われ得る。
完全を期すために、本発明の様々な態様を以下の番号を付けた項に記載する。
項1.生物学的試料中に存在する検体を測定または検出する方法であって、(a)試料を第1の結合メンバーと接触させることであって、第1の結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、第1の結合メンバーが、検体に特異的に結合する、接触させることと、(b)検体を第2結合メンバーと接触させることであって、第2の結合メンバーが、検体に特異的に結合し、第2の結合メンバーが、それに付着した切断可能なタグを含む、接触させることと、(c)第1の結合メンバーに結合した検体に結合していない第2の結合メンバーを除去することと、(d)第1の結合メンバーに結合した検体に結合した第2の結合メンバーに付着したタグを切断することと、(e)層内の1つ以上のナノポアを通してタグを移動させることと、(f)層を通って転位するタグを評価することと、を含み、層を通って転位するタグの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するタグを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する、方法。
項2.層を通って転位する各タグが、転位事象であり、転位事象の数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定し、試料中に存在する検体の量が、i)一定期間中の転位事象の数をカウントし、転位事象の数を対照と相関させること、ii)一定数の転位事象が発生するまでの時間量を測定し、対照と相関させること、またはiii)転位事象が発生する間の平均時間を測定し、対照と相関させることによって決定され、対照が、較正曲線、標準付加、またはデジタルポリメラーゼ連鎖反応を含む参照標準である、項1に記載の方法。
項3.サブセクションi)における標準曲線が、一定期間の間の検体の対照濃度について転位事象の数を測定することによって決定され、サブセクションii)における標準曲線が、検体の対照濃度について設定数の転位事象が起こるまでの時間を測定することによって決定され、サブセクションiii)における標準曲線が、検体の対照濃度について転位事象間の平均時間を測定することによって決定される、項2に記載の方法。
項4.方法が、単一分子カウントを含む、項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
項5.タグが、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、デンドリマー、およびナノ粒子からなる群から選択される、項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
項6.タグが、実質的に球形または半球形である、項1または5に記載の方法。
項7.タグが、実質的に球形であり、ナノ粒子を含む、項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
項8.タグが、実質的に球形または半球形であり、デンドリマーを含む、項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
項9.デンドリマーが、正電荷または負電荷である、項8に記載の方法。
項10.ナノ粒子が、正電荷ナノ粒子を含む、項5または7に記載の方法。
項11.ナノ粒子が、負電荷ナノ粒子を含む、項10に記載の方法。
項12.第1および第2の結合メンバーが、抗体または受容体である、項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
項13.第1の結合メンバーが受容体であり、第2の結合メンバーが抗体であるか、または第1の結合メンバーが抗体であり、第2の結合メンバーが受容体である、項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
項14.第1の結合メンバーが第1の抗体であり、第2の結合メンバーが第2の抗体である、項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
項15.タグが負電荷であり、転位することが、層を横切って正の電位を印加し、それにより層を通してタグを転位させることを含む、項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
項16.タグが正電荷であり、転位することが、層を横切って負の電位を印加し、それにより層を通してタグを転位させることを含む、項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
項17.少なくともステップ(a)〜(d)が、マイクロ流体デバイス、液滴ベースのマイクロ流体デバイス、デジタルマイクロ流体デバイス(DMF)、表面音響波ベースのマイクロ流体デバイス(SAW)、完全集積DMFおよびナノポアデバイス、または完全集積SAWおよびナノポアデバイスにおいて実行される、項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
項18.DMF要素およびナノポア要素が、完全集積DMFおよびナノポアデバイスに動作可能に結合されるか、またはSAW要素およびナノポア要素が、完全集積SAWおよびナノポアデバイスに動作可能に結合される、項17に記載の方法。
項19.DMFデバイスまたはSAWデバイスが、ロールツーロールベースの印刷エレクトロニクス方法によって製造される、項17に記載の方法。
項20.DMF素子またはSAW素子が、ロールツーロールベースの印刷電子方法によって製造される、項18に記載の方法。
項21.完全集積DMFおよびナノポアデバイス、または完全集積SAWおよびナノポアデバイスが、マイクロ流体導管を含む、項17に記載の方法。
項22.マイクロ流体導管が、DMF要素をナノポア要素に結合し、マイクロ流体導管は、受動的な力または能動的な力によって誘導される流体の流れを含む、項21に記載の方法。
項23.ナノポアが、固体ナノポアまたは生物学的ナノポアである、項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
項24.層を通って転位するタグの数を測定することが、タグとナノポアとの相互作用によって誘導される電流の変化を観察することを含む、項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
項25.電流変化が、閾値レベルを超える大きさを有するときに、検体が試料中に存在する、項24に記載の方法。
項26.ステップ(d)で得られたタグを含む液滴をナノポアデバイスに輸送することと、ナノポアデバイスに存在するナノポア層を横切って液滴を配置することをさらに含み、それにより液滴が、ナノポア層によって分割され、ナノポア層に存在するナノポア(複数可)によって接続され、タグが、ナノポア層の両側の液滴に存在する、項23に記載の方法。
項27.方法が、ナノポアを横切ってナノポア層の第1の側に存在するタグを、ナノポア層の第2の側に転位させ、それによりナノポア層の第2の側上の分割液滴注のタグを収集することを含む、項26に記載の方法。
項28.タグをナノポア層の第1の側に転位させることと、液滴中に存在するタグの数を決定することと、をさらに含む、項26に記載の方法。
項29.タグが、切断可能なリンカーを含む、項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
項30.生物学的試料中に存在する目的の検体を測定または検出するための方法であって、(a)試料を固体支持体、第1の特異的結合メンバー、および第2の特異的結合メンバーと接触させることであって、固体支持体が、固定化剤を含み、第1の特異的結合メンバーが、固定化剤に対するリガンドを含み、第1の特異的結合メンバーが、目的の検体に特異的に結合し、第2の特異的結合メンバーが、切断可能なタグを含み、固体支持体/第1の特異的結合メンバー/目的の検体/第2の特異的結合メンバーの複合体が形成される、接触させることと、(b)固体支持体/第1の特異的結合メンバー/検体/第2の特異的結合メンバーの複合体に結合していない第2の特異的結合メンバーを除去することと、(c)固体支持体/第1の特異的結合メンバー/目的の検体/第2の特異的結合メンバーの複合体に結合した標識検体に付着したタグを切断することと、(d)層内の1つ以上のナノポアを通してタグを転位させることと、(e)層を通って転位するタグを評価することと、を含み、層を通って転位するタグの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するタグを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する、方法。
項31.生物学的試料中に存在する検体を測定または検出するための方法であって、(a)試料を第1の結合メンバーと接触させることであって、第1の結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、第1の結合メンバーが、検体に特異的に結合する、接触させることと、(b)検体を第2結合メンバーと接触させることであって、第2の結合メンバーが、検体に特異的に結合し、第2の結合メンバーが、アプタマーを含む、接触させることと、(c)固体基材に結合した検体に結合していないアプタマーを除去することと、(d)検体に結合したアプタマーを解離させることと、(e)解離したアプタマーを、層内の1つ以上のナノポアを通して転位させることと、(f)層を通って転位するアプタマーを評価することと、を含み、層を通って転位するアプタマーの数を測定することは、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するアプタマーを検出することは、検体が試料中に存在することを検出する、方法。
項32.層を通って転位する各アプタマーが、転位事象であり、転位事象の数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定し、試料中に存在する検体の量が、i)一定期間中の転位事象の数をカウントし、転位事象の数を対照と相関させること、ii)一定数の転位事象が発生するまでの時間量を測定し、対照と相関させること、またはiii)転位事象が発生する間の平均時間を測定し、対照と相関させることによって決定され、対照が、較正曲線、標準付加、またはデジタルポリメラーゼ連鎖反応を含む参照標準である、項31に記載の方法。
項33.サブセクションi)における標準曲線が、一定期間の間の検体の対照濃度について転位事象の数を測定することによって決定され、サブセクションii)における標準曲線が、検体の対照濃度について設定数の転位事象が起こるまでの時間を測定することによって決定され、サブセクションiii)における標準曲線が、検体の対照濃度について転位事象間の平均時間を測定することによって決定される、項32に記載の方法。
項34.方法が、単一分子カウントを含む、項31〜33のいずれか一項に記載の方法。
項35.アプタマーが、DNAアプタマーである、項31〜34のいずれか一項に記載の方法。
項36.アプタマーが、RNAアプタマーである、項31〜34のいずれか一項に記載の方法。
項37.第1の結合メンバーが抗体である、項31〜36のいずれか一項に記載の方法。
項38.検体がリガンドであり、第1の結合メンバーが受容体である、項31〜36のいずれか一項に記載の方法。
項39.少なくともステップ(a)〜(d)が、マイクロ流体デバイス、液滴ベースのマイクロ流体デバイス、デジタルマイクロ流体デバイス(DMF)、表面音響波ベースのマイクロ流体デバイス(SAW)、完全集積DMFおよびナノポアデバイス、または完全集積SAWおよびナノポアデバイスにおいて実行される、項31〜38のいずれか一項に記載の方法。
項40.DMF要素およびナノポア要素が、完全集積DMFおよびナノポアデバイスに動作可能に結合されるか、またはSAW要素およびナノポア要素が、完全集積SAWおよびナノポアデバイスに動作可能に結合される、項39に記載の方法。
項41.DMFデバイスまたはSAWデバイスが、ロールツーロールベースの印刷エレクトロニクス方法によって製造される、項39に記載の方法。
項42.DMF素子またはSAW素子が、ロールツーロールベースの印刷電子方法によって製造される、項40に記載の方法。
項43.完全集積DMFおよびナノポアデバイス、または完全集積SAWおよびナノポアデバイスが、マイクロ流体導管を含む、項39に記載の方法。
項44.マイクロ流体導管が、DMF要素をナノポア要素に結合し、マイクロ流体導管は、受動的な力または能動的な力によって誘導される流体の流れを含む、項43に記載の方法。
項45.ナノポアが、固体ナノポアまたは生物学的ナノポアである、項31〜44のいずれか一項に記載の方法。
項46.集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイスであって、電極のアレイを含む第1の基板と、該第1の基板から離間した第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間に配設されたナノポア層と、を備える、集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイスに関し、電極のアレイは、液滴がナノポア層によって第1の部分と第2の部分とに分割されるように、ナノポア層を横切って液滴を位置付けるように構成され、電極のアレイの少なくとも2つの電極が、ナノポア層を横切って位置付けられ、2つの電極が、アノードおよびカソードを形成し、液滴がナノポア層を横切って位置付けられると、ナノポア層内のナノポアを通して電流を流すように動作する、集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイス。
項47.ナノポア層が、第1および第2の基板に付着している、項46に記載のデバイス。
項48.ナノポア層が、第1または第2の基板に付着している、項46に記載のデバイス。
項49.電極が透明である、項46〜48のいずれか一項に記載のデバイス。
項50.電極が、格子パターンに配設されている、項46〜49のいずれか一項に記載のデバイス。
項51.ナノポア層を横切って位置付けられた電極のアレイの少なくとも2つの電極が、ナノポア層に隣接し、ナノポア層を横切って位置付けられていない、項46〜50のいずれか一項に記載のデバイス。
項52.電極が互いに組み合わされる、項46〜51のいずれか一項に記載のデバイス。
項53.電極のアレイが、電源による活性化のために構成されており、電源が、順次電極を活性化する、項46〜51のいずれか一項に記載のデバイス。
項54.順次方法が、1つ以上の電極をオンまたはオフにすることを含む、項53に記載のデバイス。
項55.電源による電極のアレイの活性化が、電源を制御するプロセッサによって実行される一組の命令によって制御される、項52〜54のいずれか一項に記載のデバイス。
項56.集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイスであって、電極のアレイを含む第1の基板と、第1の基板から離間している第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間に配設されたナノポア層と、を備え、電極のアレイが、ナノポア層が液滴を第1の部分と第2の部分とに分割するように、ナノポア層を横切って液滴を位置付けるように構成され、電極のアレイの少なくとも1つの電極が、ナノポア層を横切って位置付けられた液滴の第1の部分と接触し、第2の基板内の電極が、ナノポア層を横切って位置付けられた液滴の第2の部分と接触するように位置付けられ、液滴がナノポア層を横切って位置付けられているとき、2つの電極がアノードおよびカソードを形成し、ナノポア層内のナノポアを通して電流を流すように動作する、集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイス。
項57.ナノポア層が、第1の基板に付着している、項56に記載のデバイス。
項58.ナノポア層が、第2の基板に付着している、項56または57に記載のデバイス。
項59.第1および/または第2の基板が透明である、項56〜58のいずれか一項に記載のデバイス。
項60.電極のアレイが透明である、項56〜59のいずれか一項に記載のデバイス。
項61.項46〜60のいずれか一項に記載のデバイスを含む、または項1〜45のいずれか一項に記載の方法において使用するためのキット。
項62.追加の試薬をさらに含み、少なくとも1つの試薬が、デバイスのナノポア層を介した転位によって検出され得るタグを含む、項61に記載のキット。
項63.生物学的試料中に存在する検体を測定もしくは検出するため、または患者を診断するため、または血液供給をスクリーニングするために、項46〜60のいずれか一項に記載のデバイスを使用する方法、または項1〜45のいずれか一項に記載の方法。
項64.少なくともステップ(a)〜(d)が、項46〜60のいずれか一項に記載のデバイスを使用して実行される、項1〜45のいずれか一項に記載の方法。
項65.患者を診断するか、もしくは血液供給をスクリーニングする方法における、または生物学的試料中に存在する検体を測定もしくは検出するための、項46〜60のいずれか一項に記載のデバイスの使用、または項1〜45のいずれか一項に記載の方法の使用。
項66.生物学的試料中に存在する検体を測定または検出する方法であって、(a)試料を結合メンバーと接触させることであって、結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、結合メンバーが、検体に特異的に結合する、接触させることと、(b)試料を標識検体と接触させることであって、標識検体が、切断可能なタグで標識される、接触させることと、(c)結合メンバーに結合していない標識検体を除去することと、(d)結合メンバーに結合された標識検体に付着したタグを切断することと、(e)層内の1つ以上のナノポアを通してタグを転位させることと、(f)層を通って転位するタグを評価することと、を含み、層を通って転位するタグの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するタグを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する、方法。
項67.生物学的試料中に存在する検体を測定または検出するための方法であって、(a)試料を結合メンバーと接触させることであって、結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、結合メンバーが、検体に特異的に結合する、接触させることと、(b)試料を標識検体と接触させることであって、標識検体が、アプタマーを含む、接触させることと、(c)結合メンバーに結合していない標識検体を除去することと、(d)標識検体に結合したアプタマーを解離させ、解離したアプタマーを、層内の1つ以上のナノポアを通して転位させることと、(e)層を通って転位するアプタマーを評価することと、を含み、層を通って転位するアプタマーの数を測定することは、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するアプタマーを検出することは、検体が試料中に存在することを検出することと、を含む、方法。
項68.生物学的試料中に存在する検体を測定または検出するための方法であって、(a)試料を結合メンバーと接触させることであって、結合メンバーが、検体に特異的に結合し、結合メンバーが、切断可能なタグで標識される、接触させることと、(b)試料を固定化検体と接触させることであって、固定化検体が、固体支持体上に固定化される、接触させることと、(c)固定化検体に結合していない結合メンバーを除去することと、(d)固定化検体に結合した結合メンバーに付着したタグを切断することと、(e)層内の1つ以上のナノポアを通して転位させることと、(f)層を通って転位するタグを評価することと、を含み、層を通って転位するタグの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するタグを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する、方法。
項69.生物学的試料中に存在する検体を測定または検出するための方法であって、(a)試料を結合メンバーと接触させることであって、結合メンバーが、検体に特異的に結合し、結合メンバーが、アプタマーを含む、接触させることと、(b)試料を固定化検体と接触させることであって、固定化検体が、固体支持体上で固定化される、接触させることと、(c)固定化検体に結合していない結合メンバーを除去することと、(d)固定化検体に結合した結合メンバーに結合したアプタマーを解離させ、層内の1つ以上のナノポアを通して解離したアプタマーを転位させることと、(e)層を通って転位するアプタマーを評価することと、を含み、層を通って転位するアプタマーの数を測定することは、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するアプタマーを検出することは、検体が試料中に存在することを検出する、方法。
項70.層を通って転位する各アプタマーが、転位事象であり、転位事象の数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定し、試料中に存在する検体の量が、i)一定期間中の転位事象の数をカウントし、転位事象の数を対照と相関させること、ii)一定数の転位事象が発生するまでの時間量を測定し、対照と相関させること、またはiii)転位事象が発生する間の平均時間を測定し、対照と相関させることによって決定され、対照が、較正曲線、標準付加、またはデジタルポリメラーゼ連鎖反応を含む参照標準である、項66または68に記載の方法。
項71.層を通って転位する各アプタマーが、転位事象であり、転位事象の数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定し、試料中に存在する検体の量が、i)一定期間中の転位事象の数をカウントし、転位事象の数を対照と相関させること、ii)一定数の転位事象が発生するまでの時間量を測定し、対照と相関させること、またはiii)転位事象が発生する間の平均時間を測定し、対照と相関させることによって決定され、対照が、較正曲線、標準付加、またはデジタルポリメラーゼ連鎖反応を含む参照標準である、項67または69に記載の方法。
項72.サブセクションi)における標準曲線が、一定期間の間の検体の対照濃度について転位事象の数を測定することによって決定され、サブセクションii)における標準曲線が、検体の対照濃度について設定数の転位事象が起こるまでの時間を測定することによって決定され、サブセクションiii)における標準曲線が、検体の対照濃度について転位事象間の平均時間を測定することによって決定される、項70または71に記載の方法。
項73.方法が、単一分子カウントを含む、項66〜72のいずれか一項に記載の方法。
項74.少なくともステップ(a)〜(d)が、項46〜60のいずれか一項に記載のデバイスを使用して実行される、項66、68、70、72、または73のいずれか一項に記載の方法。
項75.少なくともステップ(a)〜(d)が、項46〜60のいずれか一項に記載のデバイスを使用して実行される、項67、69、71、72、または73のいずれか一項に記載の方法。
項76.タグが、アニオン性ポリマー、カチオン性ポリマー、デンドリマー、およびナノ粒子からなる群から選択される、項66、68、70、72、73、または74のいずれか一項に記載の方法。
項77.タグが、実質的に球形または半球形である、項66、68、70、72、73、または74のいずれか一項に記載の方法。
項78.タグが、実質的に球形であり、ナノ粒子を含む、項66、68、70、72、73、または74のいずれか一項に記載の方法。
項79.タグが、実質的に球形または半球形である、項66、68、70、72、73、または74のいずれか一項に記載の方法。
項80.デンドリマーが、正電荷または負電荷である、項79に記載の方法。
項81.ナノ粒子が、正電荷ナノ粒子を含む、項79に記載の方法。
項82.ナノ粒子が、負電荷ナノ粒子を含む、項76または78に記載の方法。
項83.結合メンバーが、抗体または受容体である、項66、68、70、72、73、74、または76〜82のいずれか一項に記載の方法。
項84.タグが負電荷であり、転位することが、層を横切って正の電位を印加し、それにより層を通してタグを転位させることを含む、項66、68、70、72、73、74、または76〜83のいずれか一項に記載の方法。
項85.タグが正電荷であり、転位することが、層を横切って負の電位を印加し、それにより層を通してタグを転位させることを含む、項66、68、70、72、73、74、または76〜84のいずれか一項に記載の方法。
項86.層を通って転位するタグの数を測定することが、ナノポアに対するタグの電流遮断効果を観察することを含む、項66、68、70、72、73、74、または76〜85のいずれか一項に記載の方法。
項87.電流遮断効果が、閾値レベルを超えるときに、検体が試料中に存在する、項86に記載の方法。
項88.アプタマーが、DNAアプタマーである、項67、69、71、72、73、または75のいずれか一項に記載の方法。
項89.アプタマーが、RNAアプタマーである、項67、69、71、72、73、または75のいずれか一項に記載の方法。
項90.結合メンバーが、抗体である、項67、69、71、72、73、75、88、または89のいずれか一項に記載の方法。
項91.検体がリガンドであり、結合メンバーが受容体である、項67、69、71、72、73、75、88、または89のいずれか一項に記載の方法。
項92.方法が、タグを含む液滴をナノポアデバイスに輸送することと、ナノポアデバイスに存在するナノポア層を横切って液滴を配置することをさらに含み、それにより液滴が、ナノポア層によって分割され、ナノポア層に存在するナノポア(複数可)によって接続され、タグが、ナノポア層の両側の液滴に存在する、項67、69、71、72、73、75、または88〜91のいずれか一項に記載の方法。
項93.方法が、ナノポアを横切ってナノポア層の第1の側に存在するタグを、ナノポア層の第2の側に転位させ、それによりナノポア層の第2の側上の分割液滴注のタグを収集することを含む、項92に記載の方法。
項94.タグをナノポア層の第1の側に転位させることと、液滴中に存在するタグの数を決定することと、をさらに含む、項92に記載の方法。
項95.方法が、アプタマーを含む液滴をナノポアデバイスに輸送することと、ナノポアデバイスに存在するナノポア層を横切って液滴を配置することをさらに含み、それにより液滴が、ナノポア層によって分割され、ナノポア層に存在するナノポア(複数可)によって接続され、アプタマーが、ナノポア層の両側の液滴に存在する、項67、69、71、72、73、75、または88〜94のいずれか一項に記載の方法。
項96.方法が、ナノポアを横切ってナノポア層の第1の側に存在するアプタマーを、ナノポア層の第2の側に転位させ、それによりナノポア層の第2の側上の分割液滴注のアプタマーを収集することを含む、項95に記載の方法。
項97.アプタマーをナノポア層の第1の側に転位させることと、液滴中に存在するアプタマーの数を決定することと、をさらに含む、項95に記載の方法。
項98.ナノポアが、固体ナノポアまたは生物学的ナノポアである、項66〜97のいずれか一項に記載の方法。
項99.第2の結合メンバーが、スペーサをさらに含む、項1〜45または63〜98のいずれか一項に記載の方法。
項100.スペーサが、ニトロベンジル基、ジチオエチルアミノ、6炭素スペーサ、12炭素スペーサ、または3−(9−((3−カルボキシプロピル)(トシル)カルバモイル)アクリジン−10−イウム−10−イル)プロパン−1−スルホネートを含む、項99に記載の方法。
項101.スペーサが、ニトロベンジル基を含み、タグが、DNA分子である、項100に記載の方法。
項102.スペーサが、ジチオエチルアミノであり、タグが、カルボキシル化ナノ粒子である、項100に記載の方法。
項103.スペーサが、3−(9−((3−カルボキシプロピル)(トシル)カルバモイル)アクリジン−10−イウム−10−イル)プロパン−1−スルホネートであり、タグが、オリゴヌクレオチドである、項100に記載の方法。
項104.スペーサが、6炭素スペーサまたは12炭素スペーサを含み、タグが、ビオチンである、項103に記載の方法。
項105.第2の結合メンバーが、配列番号1〜11のうちのいずれか1つに記載のヌクレオチド配列を含む核酸を含む、項104に記載の方法。
項106.マイクロ流体モジュールおよびナノポアモジュールを備える、集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイスであって、マイクロ流体モジュールが、電極のアレイを含み、該電極のアレイが、少なくとも1つの液滴を、電極のアレイにおける第1の転送位置に輸送し、第1の転送位置が、マイクロ流体モジュールとナノポアモジュールとの間の界面にあり、ナノポアモジュールが、第1の毛細管チャネルと、第2の毛細管チャネルとを備え、少なくとも第1の毛細管チャネルが、界面まで延在し、第1の転送位置に隣接し、該第1の転送位置に位置付けられた液滴を受け取るように位置付けられ、第1の毛細管チャネルが、第2の毛細管チャネルと交差し、ナノポア層が、第1の毛細管チャネルと第2の毛細管チャネルとが交差する位置で、第1の毛細管チャネルと第2の毛細管チャネルとの間に位置付けられる、集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイス。
項107.電極のアレイが、少なくとも1つの液滴を、電極のアレイにおける第2の転送位置に輸送し、第2の転送位置が、マイクロ流体モジュールとナノポアモジュールとの間の界面にあり、第2の毛細管チャネルが、界面まで延在し、第2の転送位置に隣接し、第2の転送位置に位置付けられた液滴を受容するように位置付けられる、項106に記載のデバイス。
項108.第2の毛細管チャネルが、第2の毛細管チャネルの一方または両方の端部の通気口またはリザーバの間に延在する、項106に記載のデバイス。
項109.第2の毛細管チャネルが、一端で第1のリザーバに、他端で第2のリザーバに接続されている、項108に記載のデバイス。
項110.第1のリザーバおよび/または第2のリザーバは、交差部で第2の毛細管チャネル内に位置付けられる流体を含み、この流体は、ナノポア層の動作を促進してナノポア層のナノポアを通して電流を流す、項109に記載のデバイス。
項111.第1の毛細管チャネルおよび/または第2の毛細管チャネルは、交差部のいずれかの側の幅と比較して、交差部で幅が減少するように、毛細管の長さを横切って断面幅が変化する、項109に記載のデバイス。
項112.第1の毛細管チャネルが、第1の電極対を含み、第2の毛細管チャネルが、第2の電極対を含み、第1の電極対が、第1の毛細管チャネル内に位置付けられ、ナノポア層内のナノポアに隣接し、第2の電極対が、第2の毛細管チャネル内に位置付けられ、ナノポア層内のナノポアに隣接する、項106に記載のデバイス。
項113.液滴が、ナノポア層内のナノポアを通って輸送することによってカウントされる分子を含む液滴である、条項107〜112のいずれか一項に記載のデバイス。
項114.液滴が、異なる組成を有し、第1の液滴および第2の液滴であり、第1の液滴が、ナノポアを通してナノポア層を横切って輸送することによりカウントされる分子を含み、第2の液滴が、その分子を欠く導電性流体を含み、導電性流体が、ナノポアを介してナノポア層を横切る分子の輸送を容易にする、項107に記載のデバイス。
項115.第1の毛細管チャネルが、ナノポア層に近接して位置付けられた第1の電極を含み、第2の毛細管チャネルが、ナノポア層に近接して位置付けられた第2の電極を含み、第1および第2の電極の各々が、それらが毛細管チャネル内に存在する流体と接触するように毛細管チャネル内で露出され、第1および第2の電極が、液体が第1および第2の毛細管チャネル内のナノポア層を横切って位置付けられると、ナノポア層内のナノポアを通して電流を流すように動作する、項106〜114のいずれか一項に記載のデバイス。
項116.第1の転送位置および第1の毛細管チャネルが、実質的に同じ平面上にあり、液滴が、第1の毛細管チャネルの開口部と整列している、項106〜115のいずれか一項に記載のデバイス。
項117.第1の転送位置が、第1の毛細管チャネルよりも高い平面にあり、デバイスが、液滴を第1の毛細管チャネルの開口部まで転送するための垂直ポートを備えて構成されている、項106〜115のいずれか一項に記載のデバイス。
項118.第1の基板の第1の表面が、電極のアレイが配設される第1の領域と、第1のマイクロチャネルが形成される第2の領域とを含み、電極のアレイが、第1のマイクロチャネルが形成される平面よりも高い平面上にある、項117に記載のデバイス。
項119.第2の基板が、界面に位置する側縁部にノッチを含み、ノッチが、第1の毛細管チャネル上に整列され、転送電極に位置する液滴を第1の毛細管チャネルの開口部に輸送するための垂直ポートを提供する、項117に記載のデバイス。
項120.電極のアレイから離間した単一電極をさらに含み、単一電極が、第1の転写位置において電極のアレイの少なくとも一部の上に延在し、かつ第1の転送位置に電極のアレイの少なくとも一部を有する、二平面構成である、項106〜119のうちのいずれか一項に記載のデバイス。
項121.電極のアレイから離間した単一電極をさらに含む、項107〜119のいずれか一項に記載のデバイス。
項122.電極のアレイから離間した単一電極をさらに含み、単一電極が、第1の転送位置を超えて延在せず、電極のアレイと二平面構成ではなく、液滴が共面電極を使用することによって第1の転送位置に移動される、項106〜119のいずれか一項に記載のデバイス。
項123.電極のアレイから離間した単一電極をさらに含み、単一電極が、第1の転送位置を超えて延在せず、電極のアレイと二平面構成ではなく、液滴が共面電極を使用することによって転送位置に移動される、項106〜119のいずれか一項に記載のデバイス。
項124.生物学的試料中に存在する検体を測定もしくは検出するため、または患者を診断するため、または血液供給をスクリーニングするために、項106〜123のいずれか一項に記載のデバイスを使用する方法、または項66〜105のいずれか一項に記載の方法。
項125.少なくともステップ(a)〜(d)が、項106〜123のいずれか一項に記載のデバイスを使用して実行される、項1〜45または66〜105のいずれか一項に記載の方法。
項126.患者を診断するか、もしくは血液供給をスクリーニングする方法における、または生物学的試料中に存在する検体を測定もしくは検出するための、項106〜123のいずれか一項に記載のデバイスの使用、または項1〜45のいずれか一項に記載の方法の使用。
項127.生物学的試料中に存在する検体を測定するための方法であって、(a)試料を第1の結合メンバーと接触させることであって、第1の結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、第1の結合メンバーが、検体に特異的に結合する、接触させることと、(b)検体を第2結合メンバーと接触させることであって、第2の結合メンバーが、検体に特異的に結合し、第2の結合メンバーが、それに付着した切断可能なタグを含み、(c)第1の結合メンバーに結合した検体に結合していない第2の結合メンバーを除去することと、(d)第1の結合メンバーに結合した検体に結合した第2の結合メンバーに付着したタグを切断することと、(e)層内の1つ以上のナノポアを通してタグを転位させることと、(f)層を通って転位するタグを評価することと、を含み、層を通って転位する各タグは、転位事象であり、転位事象の数を測定することは、試料中に存在する検体の量を測定し、試料中に存在する検体の量は、i)設定された期間中の転位事象の数をカウントし、転位事象の数を対照と相関させること、ii)設定された数の転位事象が起こるまでの時間量を測定し、対照と相関させること、またはiii)転位事象が起こる平均時間間隔を測定し、対照と相関させることによって決定され、対照は、較正曲線、標準付加、またはデジタルポリメラーゼ連鎖反応を含む参照標準であり、サブセクションi)内の標準曲線は、設定された期間中の検体の対照濃度について、転位事象の数を測定することによって決定され、サブセクションii)内の標準曲線は、検体の対照濃度について、設定された数の転位事象が起こるまでにかかる時間を測定することによって決定され、サブセクションiii)内の標準曲線は、検体の対照濃度について、転位事象が起こる平均時間間隔を測定することによって決定される、方法。
項128.生物学的試料中に存在する検体を測定するための方法であって、(a)試料を第1の結合メンバーと接触させることであって、第1の結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、第1の結合メンバーが、検体に特異的に結合する、接触させることと、(b)検体を第2結合メンバーと接触させることであって、第2の結合メンバーが、検体に特異的に結合し、第2の結合メンバーが、アプタマーを含み、(c)固体基材に結合した検体に結合していないアプタマーを除去することと、(d)検体に結合したアプタマーを解離させることと、(e)解離したアプタマーを、層内の1つ以上のナノポアを通して転位させることと、(f)層を通って転位するアプタマーを評価することと、を含み、層を通って転位する各アプタマーは、転位事象であり、転位事象の数を測定することは、試料中に存在する検体の量を測定し、試料中に存在する検体の量は、i)設定された期間中の転位事象の数をカウントし、転位事象の数を対照と相関させること、ii)設定された数の転位事象が起こるまでの時間量を測定し、対照と相関させること、またはiii)転位事象が起こる平均時間間隔を測定し、対照と相関させることによって決定され、対照は、較正曲線、標準付加、またはデジタルポリメラーゼ連鎖反応を含む参照標準であり、サブセクションi)内の標準曲線は、設定された期間中の検体の対照濃度について、転位事象の数を測定することによって決定され、サブセクションii)内の標準曲線は、検体の対照濃度について、設定された数の転位事象が起こるまでにかかる時間を測定することによって決定され、サブセクションiii)内の標準曲線は、検体の対照濃度について、転位事象が起こる平均時間間隔を測定することによって決定される、方法。
項129.生物学的試料中に存在する検体を測定するための方法であって、(a)試料を第1の結合メンバーと接触させることであって、結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、結合メンバーが、検体に特異的に結合する、接触させることと、(b)試料を標識検体と接触させることであって、標識検体が、切断可能なタグで標識される、接触させることと、(c)結合メンバーに結合していない標識検体を除去することと、(d)結合メンバーに結合した標識検体に付着したタグを切断することと、(e)層内の1つ以上のナノポアを通してタグを転位させることと、(f)層を通って転位するタグを評価することと、を含み、層を通って転位する各タグは、転位事象であり、転位事象の数を測定することは、試料中に存在する検体の量を測定し、試料中に存在する検体の量は、i)設定された期間中の転位事象の数をカウントし、転位事象の数を対照と相関させること、ii)設定された数の転位事象が起こるまでの時間量を測定し、対照と相関させること、またはiii)転位事象が起こる平均時間間隔を測定し、対照と相関させることによって決定され、対照は、較正曲線、標準付加、またはデジタルポリメラーゼ連鎖反応を含む参照標準であり、サブセクションi)内の標準曲線は、設定された期間中の検体の対照濃度について、転位事象の数を測定することによって決定され、サブセクションii)内の標準曲線は、検体の対照濃度について、設定された数の転位事象が起こるまでにかかる時間を測定することによって決定され、サブセクションiii)内の標準曲線は、検体の対照濃度について、転位事象が起こる平均時間間隔を測定することによって決定される、方法。
項130.生物学的試料中に存在する検体を測定するための方法であって、(a)試料を結合メンバーと接触させることであって、結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、結合メンバーが、検体に特異的に結合する、接触させることと、(b)試料を標識検体と接触させることであって、標識検体が、アプタマーを含み、(c)結合メンバーに結合していない標識検体を除去することと、(d)標識検体に結合したアプタマーを解離させ、解離したアプタマーを、層内の1つ以上のナノポアを通して転位させることと、(e)層を通って転位するアプタマーを評価することと、を含み、層を通って転位する各アプタマーは、転位事象であり、転位事象の数を測定することは、試料中に存在する検体の量を測定し、試料中に存在する検体の量は、i)設定された期間中の転位事象の数をカウントし、転位事象の数を対照と相関させること、ii)設定された数の転位事象が起こるまでの時間量を測定し、対照と相関させること、またはiii)転位事象が起こる平均時間間隔を測定し、対照と相関させることによって決定され、対照は、較正曲線、標準付加、またはデジタルポリメラーゼ連鎖反応を含む参照標準であり、サブセクションi)内の標準曲線は、設定された期間中の検体の対照濃度について、転位事象の数を測定することによって決定され、サブセクションii)内の標準曲線は、検体の対照濃度について、設定された数の転位事象が起こるまでにかかる時間を測定することによって決定され、サブセクションiii)内の標準曲線は、検体の対照濃度について、転位事象が起こる平均時間間隔を測定することによって決定される、方法。
項131.生物学的試料中に存在する検体を測定するための方法であって、(a)試料を結合メンバーと接触させることであって、結合メンバーが、検体に特異的に結合し、結合メンバーが、切断可能なタグで標識される、接触させることと、(b)試料を固定化検体と接触させることであって、固定化検体が、固体支持体上に固定化される、接触させることと、(c)固定化検体に結合していない結合メンバーを除去することと、(d)固定化検体に結合した結合メンバーに付着したタグを切断することと、(e)層内の1つ以上のナノポアを通してタグを転位させることと、(f)層を通って転位するタグを評価することと、を含み、層を通って転位する各タグは、転位事象であり、転位事象の数を測定することは、試料中に存在する検体の量を測定し、試料中に存在する検体の量は、i)設定された期間中の転位事象の数をカウントし、転位事象の数を対照と相関させること、ii)設定された数の転位事象が起こるまでの時間量を測定し、対照と相関させること、またはiii)転位事象が起こる平均時間間隔を測定し、対照と相関させることによって決定され、対照は、較正曲線、標準付加、またはデジタルポリメラーゼ連鎖反応を含む参照標準であり、サブセクションi)内の標準曲線は、設定された期間中の検体の対照濃度について、転位事象の数を測定することによって決定され、サブセクションii)内の標準曲線は、検体の対照濃度について、設定された数の転位事象が起こるまでにかかる時間を測定することによって決定され、サブセクションiii)内の標準曲線は、検体の対照濃度について、転位事象が起こる平均時間間隔を測定することによって決定される、方法。
項132.生物学的試料中に存在する検体を測定するための方法であって、(a)試料を結合メンバーと接触させることであって、結合メンバーが、検体に特異的に結合し、結合メンバーが、アプタマーを含む、接触させることと、(b)試料を固定化検体と接触させることであって、固定化検体が、固体支持体上に固定化される、接触させることと、(c)固定化検体に結合していない結合メンバーを除去することと、(d)固定化検体に結合した結合メンバーに結合したアプタマーを解離させ、解離したアプタマーを、層内の1つ以上のナノポアを通して転位させることと、(e)層を通って転位するアプタマーを評価することと、を含み、層を通って転位する各アプタマーは、転位事象であり、転位事象の数を測定することは、試料中に存在する検体の量を測定し、試料中に存在する検体の量は、i)設定された期間中の転位事象の数をカウントし、転位事象の数を対照と相関させること、ii)設定された数の転位事象が起こるまでの時間量を測定し、対照と相関させること、またはiii)転位事象が起こる平均時間間隔を測定し、対照と相関させることによって決定され、対照は、較正曲線、標準付加、またはデジタルポリメラーゼ連鎖反応を含む参照標準であり、サブセクションi)内の標準曲線は、設定された期間中の検体の対照濃度について、転位事象の数を測定することによって決定され、サブセクションii)内の標準曲線は、検体の対照濃度について、設定された数の転位事象が起こるまでにかかる時間を測定することによって決定され、サブセクションiii)内の標準曲線は、検体の対照濃度について、転位事象が起こる平均時間間隔を測定することによって決定される、方法。
項133.生物学的試料中に存在する検体を測定するための方法であって、(a)試料を第1の結合メンバーと接触させることであって、結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、結合メンバーが、それに付着した切断可能なタグを含み、結合メンバーが、検体に特異的に結合する、接触させることと、(b)検体に結合していない結合メンバーを除去することと、(c)検体に結合した結合メンバーに付着したタグを切断することと、(d)層内の1つ以上のナノポアを通してタグを転位させることと、(e)層を通って転位するタグを評価することと、を含み、層を通って転位する各タグは、転位事象であり、転位事象の数を測定することは、試料中に存在する検体の量を測定し、試料中に存在する検体の量は、i)設定された期間中の転位事象の数をカウントし、転位事象の数を対照と相関させること、ii)設定された数の転位事象が起こるまでの時間量を測定し、対照と相関させること、またはiii)転位事象が起こる平均時間間隔を測定し、対照と相関させることによって決定され、対照は、較正曲線、標準付加、またはデジタルポリメラーゼ連鎖反応を含む参照標準であり、サブセクションi)内の標準曲線は、設定された期間中の検体の対照濃度について、転位事象の数を測定することによって決定され、サブセクションii)内の標準曲線は、検体の対照濃度について、設定された数の転位事象が起こるまでにかかる時間を測定することによって決定され、サブセクションiii)内の標準曲線は、検体の対照濃度について、転位事象が起こる平均時間間隔を測定することによって決定される、方法。
項134.サブセクションi)における標準曲線が、一定期間の間の検体の対照濃度について転位事象の数を測定することによって決定され、サブセクションii)における標準曲線が、検体の対照濃度について設定数の転位事象が起こるまでの時間を測定することによって決定され、サブセクションiii)における標準曲線が、検体の対照濃度について転位事象間の平均時間を測定することによって決定される、項133に記載の方法。
項135.マイクロ流体モジュールおよびナノポアモジュールを備える集積デジタルマイクロ流体ナノポア対応デバイスであって、マイクロ流体モジュールは、電極のアレイの少なくとも一部と重なる大きさの単一電極から離間している電極のアレイを含み、電極のアレイおよび単一電極は、少なくとも1滴の流体を電極のアレイ内の転送電極に輸送し、転送電極は、マイクロ流体モジュールとナノポアモジュールとの間の界面に位置付けられ、ナノポア対応モジュールは、第1の基板の第1の表面上に位置付けられた第1のマイクロチャネルを含み、第2のマイクロチャネルは、第2の基板の第1の表面上に位置付けられ、第1の基板の第1の表面は、第2の基板の第1の表面と接触し、それによって第1のマイクロチャネルおよび第2のマイクロチャネルを取り囲み、第1の毛細管チャネルおよび第2の毛細管チャネルをそれぞれ提供し、少なくとも第1の毛細管チャネルは、マイクロ流体モジュールとナノポア対応モジュールとの間の界面まで延在し、転送電極に隣接し、転送電極上に位置付けられた液滴を受け取るように位置付けられ、第1の毛細管チャネルは、第2の毛細管チャネルと交差し、ナノポア層は、第1および第2の毛細管チャネルが交差する位置で、第1の基板と第2の基板との間に位置付けられる、集積デジタルマイクロ流体ナノポア対応デバイス。
項136.イオン性液体が水溶液である、項135に記載のデバイス。
項137.水溶液が塩溶液である、項136に記載のデバイス。
項138.イオン性液体が、目的の検体を含み、イオン性液体中の検体の有無を検出するように構成されている、項135〜137のいずれか一項に記載のデバイス。
項139.集積デジタルマイクロ流体ナノポア対応デバイスにおいてナノポアを生成するための方法であって、項135〜138のいずれか一項に記載の集積デジタルマイクロ流体ナノポア対応デバイスを提供することと、第1および第2の毛細管チャネル内に電圧を印加して、層を通して電流を流すことと、層を横切るコンダクタンスを測定することと、層内のナノポアの生成を示すコンダクタンスの検出時に電圧の印加を終了することと、を含む、方法。
項140.電極のアレイを含む第1の基板と、第1の基板から離間した第2の基板と、ナノポアを含むナノポア層と流体連通している第1または第2の基板における開口部と、ナノポアを通して電界を印加するように構成されている電極対と、を備え、電極のアレイが、少なくとも1滴の流体を開口部に輸送するように構成されている、集積デジタルマイクロ流体ナノポア対応デバイス。
項141.開口部が、毛細管チャネルである、項140に記載のデバイス。
項142.毛細管チャネルが、第1または第2の基板の第2の面上の開口よりも広い第1または第2の基板の第1の面上の開口を有する、項141に記載のデバイス。
項143.一対の検出電極が、単一電極である第1の検出電極を含む、項142に記載のデバイス。
項144.一対の検出電極が、第2の側に配設された第2の検出電極を含む、項142または143に記載のデバイス。
項145.一対の集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイスであって、
項142による第1の集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイスであって、単一電極が、第1の単一電極であり、毛細管チャネルが、第1の毛細管チャネルである、第1の集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイスと、第5の側面および該第5の側面に対向する第6の側面を含み、第5の側面が、電極のアレイを含む、第3の基板、ならびに該第3の基板から離間した第4の基板を備える、第2の集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイスと、を含む、集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイスの対に関し、第4の基板は、第3の基板の第5の側面に面する第7の側面と、該第7の側面に対向する第8の側面とを含み、第7の側面は、第2の単一電極を含み、ナノポア層は、第8の側面上に配設され、第4の基板は、該第4の基板の第7の側面から第8の側面まで延在する第2の毛細管チャネルを含み、ナノポア層は、毛細管チャネルの開口部上に位置付けられ、ナノポア層は、ナノポアが、第1の毛細管チャネルと第2の毛細管チャネルとの間の電気浸透導管を提供するように、第2の基板と第4の基板との間に挿入され、検出電極の対が、第2の単一電極である第2の検出電極を含む、一対の集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイス。
項146.集積デジタルマイクロ流体ナノポア対応デバイスであって、第1の側面および該第1の側面に対向する第2の側面を含み、第1の側面が、電極のアレイを含む、第1の基板と、第1の基板から離間した第2の基板であって、第1の基板の第1の側面に面する第3の側面および該第3の側面に対向する第4の側面を含む第2の基板と、ナノポアを欠き、デバイスの外部側面に配設されたナノポア対応層であって、外部側面が、第2の側面または第4の側面から選択され、外側側面を含む第1の基板または第2の基板の一方が、第1の基板の第1の側面から第2の側面まで、または第2の基板の第3の側面から第4の側面まで延在する毛細管チャネルを含み、ナノポア対応層が、毛細管チャネルの開口部上に位置付けられる、ナノポア対応層と、該ナノポア対応層を横切って電界を印加するように構成された電極対であって、少なくとも一滴の流体を毛細管チャネルに輸送するように構成されている、電極対と、を備える、集積デジタルマイクロ流体ナノポア対応デバイス。
項147.集積デジタルマイクロ流体ナノポア対応デバイスにおいてナノポアを生成するための方法であって、項143に記載の集積デジタルマイクロ流体ナノポア対応デバイスを提供することと、層の各側面上のイオン液体が、一対の検出電極のいずれか一方と電気的に接触するように、ナノポア対応層の両側をイオン液体に浸すことと、一対の検出電極間に電圧を印加して層を通して電流を流すことと、層を横切るコンダクタンスを測定することと、層内にナノポアが生成されたことを示すコンダクタンスの検出時に、電圧の印加を終了することと、を含む、方法。
項148.イオン性液体が塩溶液である、項147に記載の方法。
項149.イオン性液体が、目的の検体を含み、イオン性液体中の検体の有無を検出するように構成されている、項147または148に記載のデバイス。
項150.生成されたナノポアを調整することをさらに含む、項139または147〜149のいずれか一項に記載の方法。
項151.調整が、代替として、第1の極性を有する第1の電圧および第1の極性とは反対の第2の極性を有する第2の電圧を、ナノポア膜を横切って印加することであって、第1の電圧および第2の電圧が各々、少なくとも1回印加される、印加することと、ナノポアのサイズに関連する電気浸透特性を測定することと、を含む、項150に記載の方法。
項152.調整前に、ナノポアのサイズに関連する電気浸透特性を測定することをさらに含む、項150または151に記載の方法。
項153.結合メンバー、タグおよびスペーサを含む、組成物。
項154.スペーサが、ニトロベンジル基、ジチオエチルアミノ、6炭素スペーサ、12炭素スペーサ、または3−(9−((3−カルボキシプロピル)(トシル)カルバモイル)アクリジン−10−イウム−10−イル)プロパン−1−スルホネートを含む、項153に記載の組成物。
項155.スペーサが、ニトロベンジル基を含み、タグが、DNA分子である、154に記載の組成物。
項156.スペーサが、ジチオエチルアミノであり、タグが、カルボキシル化ナノ粒子である、154に記載の組成物。
項157.スペーサが、3−(9−((3−カルボキシプロピル)(トシル)カルバモイル)アクリジン−10−イウム−10−イル)プロパン−1−スルホネートであり、タグが、オリゴヌクレオチドである、項154に記載の組成物。
項158.スペーサが、6炭素スペーサまたは12炭素スペーサを含み、タグが、ビオチンである、項154に記載の組成物。
項159.第2の結合メンバーが、配列番号1〜11のうちのいずれか1つに記載のヌクレオチド配列を含む核酸を含む、項158に記載の組成物。
項160.タグが、切断可能なリンカーを含む、項153〜159のいずれか一項に記載の組成物。
項161.切断可能なリンカーが、光切断可能なリンカー、化学的に切断可能なリンカー、熱的に切断可能なリンカー、感熱性の切断可能なリンカー、および酵素的に切断可能なリンカーからなる群から選択される、項160に記載の組成物。
項162.切断可能なリンカーが、光切断可能なリンカーであり、光切断可能なリンカーが、以下に由来する光切断可能な部分を含む、項161に記載の組成物。
項163.切断可能なリンカーが、熱的に切断可能なリンカーであり、局所的な温度上昇を用いて切断される、項161に記載の組成物。
項164.局所的な温度上昇が、光熱的またはマイクロ波照射によって発生する、項163に記載の組成物。
項165.光からのエネルギーが、吸収性標的に転送される、項164に記載の組成物。
項166.吸収性標的が、染料、顔料、または水を含む、項165に記載の組成物。
項167.切断可能なリンカーが、二本鎖DNAを含む、項163〜166のいずれか一項に記載の組成物。
項168.切断可能なリンカーが、化学的に切断可能なリンカーであり、切断が、チオールによって媒介される、項161に記載の組成物。
項169.タグが、切断可能なリンカーを含む、項29、66、68、70、72〜86、92〜94、98〜105、127、129、131、133、および134のいずれか1項に記載の方法。
項170.切断可能なリンカーが、光切断可能なリンカー、化学的に切断可能なリンカー、熱的に切断可能なリンカー、感熱性の切断可能なリンカー、および酵素的に切断可能なリンカーからなる群から選択される、項169に記載の方法。
項171.切断可能なリンカーが、光切断可能なリンカーであり、光切断可能なリンカーが、以下に由来する光切断可能な部分を含む、項170に記載の方法。
項172.切断可能なリンカーが、熱的に切断可能なリンカーであり、局所的な温度上昇を用いて切断される、項170に記載の方法。
項173.局所的な温度上昇が、光熱的またはマイクロ波照射によって発生する、項172に記載の方法。
項174.光からのエネルギーが、吸収性標的に転送される、項173に記載の方法。
項175.吸収性標的が、染料、顔料、または水を含む、項174に記載の方法。
項176.切断可能なリンカーが、二本鎖DNAを含む、項172〜175のいずれか一項に記載の方法。
項177.切断可能なリンカーが、化学的に切断可能なリンカーであり、チオールによって切断される、項30および170に記載の方法。
項178.1つ以上の転位事象が、結合メンバーの検体への結合事象に対応する、項2〜30、31〜45、64、70〜105、125、127〜134、および169〜177のいずれか一項に記載の方法。
項179.1つの転位事象が、結合メンバーの検体への結合事象に対応する、項178に記載の方法。
項180.2つ以上の転位事象が、結合メンバーの検体への結合事象に対応する、項178に記載の方法。
項181.結合メンバー当たり2つ以上のタグが組み込まれており、2つ以上の転位事象が、検体への結合メンバーの結合を表す、項180に記載の方法。
項182.少なくとも2つ以上のナノポアが層内にある、項1〜45、63〜105、124、125、127〜134、および169〜181のいずれか一項に記載の方法。
項183.少なくとも2つ以上のナノポアが、並んでまたは連続して存在する、項182に記載の方法。
項184.電極のアレイを含む第1の基板と、第1の基板から離間した第2の基板と、第1の基板と第2の基板との間に配設された第1の表面および第2の表面を有するナノポア層と、を備える、集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイスであって、電極のアレイは、ナノポア層の第1の表面に第1の液滴を位置付けるように構成され、電極のアレイの少なくとも2つの電極が、ナノポア層を横切って位置付けられ、2つの電極が、アノードおよびカソードを形成し、液滴がナノポア層の第1の表面にあるとき、ナノポア層内のナノポアを通して電流を流すように動作する、集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイス。
項185.項173に記載の電極のアレイは、ナノポア層の第2の表面に第2の液滴を位置付けるようにさらに構成される。
項186.マイクロ流体モジュールおよびナノポアモジュールを備える集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイスであって、マイクロ流体モジュールは、電極のアレイを含み、該電極のアレイは、少なくとも1滴の流体を電極のアレイ内の転送位置に輸送し、転送位置は、マイクロ流体モジュールとナノポアモジュールとの間の界面にあり、ナノポアモジュールは、転送位置からナノポア層まで延在する第1の毛細管チャネルを含む、集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイス。
項187.電極のアレイを含む第1の基板と、該第1の基板から離間した第2の基板と、その中に1つ以上のナノポアを有する第1のナノポア層と、その中に1つ以上のナノポアを有する第2のナノポア層と、第1および第2のナノポア層内のナノポアを通してタグを駆動する電界を生成するための少なくとも2つの電極と、を備える、集積デジタルマイクロ流体ナノポアデバイス。
項188.固定化剤が、ビオチンまたはストレプトアビジンを含む、項30に記載の方法。
項189.固定化剤が、ビオチンを含み、リガンドが、ストレプトアビジンを含む、項188に記載の方法。
項190.固定化剤が、ストレプトアビジンを含み、リガンドが、ビオチンを含む、項188に記載の方法。
項191.固体支持体、第1の結合メンバー、および第2の結合メンバーが、連続的または同時に試料に添加される、項30および188〜190のいずれか一項に記載の方法。
項192.タグに対する細孔のサイズの比が1.0以下である、項1〜45、63〜105、124、125、127〜134、169〜181、183、および188〜191のいずれか一項に記載の方法。
項193.生物学的試料中に存在する目的の検体を測定または検出するための方法であって、(a)試料を固体支持体、結合メンバー、および切断可能なタグで標識された標識検体と接触させることであって、固体支持体が、固定化剤を含み、結合メンバーが、固定化剤に対するリガンドを含み、結合メンバーが、固体支持体/結合メンバー/目的の検体の複合体または固体支持体/結合メンバー/標識検体の複合体のいずれかを形成するように、目的の検体に特異的に結合し、(b)固体支持体/結合メンバー/標識検体の複合体中の結合メンバーに結合していない標識検体を除去することと、(c)固体支持体/結合メンバー/標識検体の複合体中の結合メンバーに結合した標識検体に付着したタグを切断することと、(d)層内の1つ以上のナノポアを通してタグを転位させることと、(e)層を通って転位するタグを評価することと、を含み、層を通って転位するタグの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するタグを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する、方法。
項194.固定化剤が、ビオチンまたはストレプトアビジンを含む、項193に記載の方法。
項195.固定化剤が、ビオチンを含み、リガンドが、ストレプトアビジンを含む、項194に記載の方法。
項196.固定化剤が、ストレプトアビジンを含み、リガンドが、ビオチンを含む、項194に記載の方法。
項197.固体支持体、結合メンバー、および標識検体が、連続的または同時に試料に添加される、項193〜196のいずれか一項に記載の方法。
項198.生物学的試料中に存在する目的の検体を測定または検出するための方法であって、該方法は、(a)試料を固体支持体、結合メンバー、および外因性検体と接触させることであって、固体支持体が、固定化剤を含み、外因性検体が、固定化剤に対するリガンドを含み、固体支持体/固定化検体の複合体を形成するように、固体支持体に結合し、結合メンバーが、切断可能なタグを含み、固体支持体/目的の検体/結合メンバーの複合体または固体支持体/固定化検体/結合メンバーの複合体のいずれかを形成するように、目的の検体に特異的に結合する、接触させることと、(b)固体支持体/固定化検体/結合メンバーの複合体または固体支持体/目的の検体/結合メンバーの複合体のいずれかにおいて結合していない結合メンバーを除去することと、(c)固体支持体/固定化検体/結合メンバーの複合体中の結合メンバーに付着したタグを切断することと、(d)層内の1つ以上のナノポアを通してタグを転位させることと、(e)層を通って転位するタグを評価することと、を含み、層を通って転位するタグの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するタグを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する、方法。
項199.固定化剤が、ビオチンまたはストレプトアビジンを含む、項198に記載の方法。
項200.固定化剤が、ビオチンを含み、リガンドが、ストレプトアビジンを含む、項199に記載の方法。
項201.固定化剤が、ストレプトアビジンを含み、リガンドが、ビオチンを含む、項199に記載の方法。
項202.固体支持体、結合メンバー、および外因性検体が、連続的または同時に試料に添加される、項198〜201のいずれか一項に記載の方法。
項203.ステップ(c)でタグを切断する前に、固体支持体/固定化検体/結合メンバーの複合体が単離される、条項198〜201のいずれか一項に記載の方法。
項204.単離が、磁界を使用して行うことができる、項203に記載の方法。
項205.生物学的試料中に存在する目的の検体を測定または検出するための方法であって、(a)試料を固体支持体、結合メンバー、およびアプタマーで標識された標識検体と接触させることであって、固体支持体が、固定化剤を含み、結合メンバーが、固定化剤に対するリガンドを含み、結合メンバーが、固体支持体/結合メンバー/目的の検体の複合体または固体支持体/結合メンバー/標識検体の複合体のいずれかを形成するように、目的の検体に特異的に結合し、(b)固体支持体/結合メンバー/標識検体の複合体中の結合メンバーに結合していない標識検体を除去することと、(c)固体支持体/結合メンバー/標識検体の複合体中の結合メンバーに結合した標識検体に付着したアプタマーを解離することと、(d)層内の1つ以上のナノポアを通してタグを転位させることと、(e)層を通って転位するアプタマーを評価することと、を含み、層を通って転位するアプタマーの数を測定することは、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するアプタマーを検出することは、検体が試料中に存在することを検出する、方法。
項206.固定化剤が、ビオチンまたはストレプトアビジンを含む、項205に記載の方法。
項207.固定化剤が、ビオチンを含み、リガンドが、ストレプトアビジンを含む、項206に記載の方法。
項208.固定化剤が、ストレプトアビジンを含み、リガンドが、ビオチンを含む、項206に記載の方法。
項209.固体支持体、結合メンバー、および標識検体が、連続的または同時に試料に添加される、項205〜208のいずれか一項に記載の方法。
項210.生物学的試料中に存在する目的の検体を測定または検出するための方法であって、該方法は、(a)試料を固体支持体、結合メンバー、および外因性検体と接触させることであって、固体支持体が、固定化剤を含み、外因性検体が、固定化剤に対するリガンドを含み、固体支持体/固定化検体の複合体を形成するように、固体支持体に結合し、結合メンバーが、アプタマーを含み、固体支持体/目的の検体/結合メンバーの複合体または固体支持体/固定化検体/結合メンバーの複合体のいずれかを形成するように、目的の検体に特異的に結合する、接触させることと、(b)固体支持体/固定化検体/結合メンバーの複合体または固体支持体/目的の検体/結合メンバーの複合体のいずれかにおいて結合していない結合メンバーを除去することと、(c)固体支持体/固定化検体/結合メンバーの複合体中の結合メンバーに結合したアプタマーを解離することと、(d)層内の1つ以上のナノポアを通してタグを転位させることと、(e)層を通って転位するタグを評価することと、を含み、層を通って転位するタグの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するタグを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する、方法。
項211.固定化剤が、ビオチンまたはストレプトアビジンを含む、項210に記載の方法。
項212.固定化剤が、ビオチンを含み、リガンドが、ストレプトアビジンを含む、項211に記載の方法。
項213.固定化剤が、ストレプトアビジンを含み、リガンドが、ビオチンを含む、項211に記載の方法。
項214.固体支持体、結合メンバー、および外因性検体が、連続的または同時に試料に添加される、項210〜213のいずれか一項に記載の方法。
項215.ステップ(c)でアプタマーを解離する前に、固体支持体/固定化検体/結合メンバーの複合体が単離される、項210〜213のいずれか一項に記載の方法。
項216.磁界を使用して単離を行うことができる、項215に記載の方法。
項217.生物学的試料中に存在する検体を測定または検出するための方法であって、
I.(a)試料を第1の結合メンバーと接触させることであって、第1の結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、第1の結合メンバーが、検体に特異的に結合する、接触させることと、(b)検体を第2の結合メンバーと接触させることであって、第2の結合メンバーが、検体に特異的に結合し、第2の結合メンバーが、アプタマーを含む、接触させることと、(c)固体基質に結合した検体に結合していないアプタマーを除去することと、(d)検体に結合したアプタマーを解離させ、解離したアプタマーを層内の1つ以上のナノポアを通してまたはそれを横切って転位させることと、(e)層を通って転位するアプタマーを評価することと、を含み、層を通って転位するアプタマーの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するアプタマーを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する、
II.(a)試料を結合メンバーと接触させることであって、結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、結合メンバーが、検体に特異的に結合する、接触させることと、(b)試料を標識検体と接触させることであって、標識検体が、切断可能なタグで標識される、接触させることと、(c)結合メンバーに結合していない標識検体を除去することと、(d)結合メンバーに結合された標識検体に付着したタグを切断することと、(e)層内の1つ以上のナノポアを通してタグを転位させることと、(f)層を通って転位するタグを評価することと、を含み、層を通って転位するタグの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するタグを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する、
III.(a)試料を結合メンバーと接触させることであって、結合メンバーが、固体支持体上に固定化され、結合メンバーが、検体に特異的に結合する、接触させることと、(b)試料を、標識検体と接触させることであって、標識検体が、アプタマーを含む、接触させることと、(c)結合メンバーに結合していない標識検体を除去することと、(d)結合メンバーに結合した標識検体に結合したアプタマーを解離させ、解離したアプタマーを層内の1つ以上のナノポアを通してまたはそれを横切って転位させることと、(e)層を通って転位するアプタマーを評価することと、を含み、層を通って転位するアプタマーの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するアプタマーを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する、
IV.(a)試料を結合メンバーと接触させることであって、結合メンバーが、検体に特異的に結合し、結合メンバーが、切断可能なタグで標識される、接触させることと、(b)試料を、固定化された検体と接触させることであって、固定化された検体が、固体支持体上で固定化される、接触させることと、(c)固定化された検体に結合していない結合メンバーを除去することと、(d)固定化された検体に結合した結合メンバーに付着したタグを切断することと、(e)切断されたタグを層内の1つ以上のナノポアを通してまたはそれを横切って転位させることと、(f)層を通って転位するタグを評価することと、を含み、層を通って転位するタグの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するタグを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する、
V.(a)試料を結合メンバーと接触させることであって、結合メンバーが、検体に特異的に結合し、結合メンバーが、アプタマーを含む、接触させることと、(b)結合メンバーに結合される検体を含有し得る試料を、固定化された検体と接触させることであって、固定化された検体が、固体支持体上で固定化される、接触させることと、(c)固定化された検体に結合していない結合メンバーを除去することと、(d)固定化された検体に結合した結合メンバーに結合したアプタマーを解離させ、解離したアプタマーを層内の1つ以上のナノポアを通してまたはそれを横切って転位させることと、(e)層を通って転位するアプタマーを評価することと、を含み、層を通って転位するアプタマーの数を測定することが、試料中に存在する検体の量を測定するか、または層を通って転位するアプタマーを検出することが、検体が試料中に存在することを検出する、方法。
項218.細孔のサイズとタグとの比が、1.0以下である、項193〜217のいずれか一項に記載の方法。