以下、本実施の形態について、図に基づいて説明する。なお説明の便宜のため、各図にはX方向、Y方向およびZ方向が導入されている。
実施の形態1.
まず本実施の形態に係る電力変換器の回路図について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態に係る電力変換器の回路図である。図1を参照して、本実施の形態の第1例の電力変換器100は、いわゆるDC−DCコンバータである。このDC−DCコンバータは、たとえば電気自動車に搭載され、100V〜300Vのリチウムイオン電池の入力電圧を、12〜15Vの電圧に変換して出力し、鉛蓄電池を充電するDC−DCコンバータである。DC−DCコンバータは、たとえば出力電力が2kWである。電力変換器100は、たとえば4つのMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)11と、MOSFET11を駆動する複数の駆動用部品1と、1次巻線21Aと2次巻線21Bとを有するトランス21と、4つのダイオード12と、平滑リアクトル22と、平滑コンデンサ2とを備える。
4つのMOSFET11は、スイッチング制御されて、入力電圧を交流電圧に変換しトランス21の1次巻線21Aに出力する。トランス21は、1次巻線21Aに出力された交流電圧を、1次巻線21Aと2次巻線21Bとの巻き数比に応じて任意の電圧に変換し、2次巻線21Bに供給する。トランス21は、1次巻線21Aと2次巻線21Bと電気的に絶縁する。ダイオード12は、トランス21から供給される交流電圧を、再度、直流電圧に変換する。ダイオード12は、1つのダイオード12に流れる電流を小さくするため2つずつ並列接続される。平滑リアクトル22と平滑コンデンサ2とは、ダイオード12によって変換された直流電圧を平滑して、出力電圧を安定させる。
回路図にすると以上のような構成を有する電力変換器100においては、4つのMOSFET11と、4つのダイオード12とを含む、少なくとも1つの後述する電子部品14が配置されている。また電力変換器100においては、1つのトランス21と平滑リアクトル22とを含む、少なくとも1つの後述する磁性部品24が配置されている。つまり磁性部品24としてはトランス21と平滑リアクトル22とを有する。これらの電子部品14および磁性部品24の温度が定格温度を超えないように、たとえば電子部品14が120℃以下となるように、放熱板40A,40Bにより冷却される必要がある。
次に図2〜図10を用いて、実施の形態1の第1例に係る電力変換器の構成について説明する。
図2は、実施の形態1の第1例の電力変換器の構成を示す概略斜視図である。図3は、図2の実施の形態1の第1例の電力変換器の内部の各部品の配置構成を図2よりも詳しく示す概略上面図である。図4は、図2の実施の形態1の第1例の電力変換器の内部の各部品の配置構成を図2よりも詳しく示す、図3中のIV−IV線に沿う部分の概略断面図である。
図2〜図4を参照して、電力変換器100には、1対の回路基板10A,10Bと、1つの導通部材23と、1つ以上の磁性部品24と、1つの筐体30と、2つの放熱板40A,40Bと、放熱端子台50とを備えている。回路基板10A,10B、導通部材23および放熱板40A,40Bは、筐体30内である内部空間31Cに収納されている。筐体30は冷却器31と接触するように、冷却器31のZ方向の上側に配置されている。つまり筐体30は冷却器31と熱伝導可能に接続している。なお筐体30および放熱板40A,40Bは冷媒を流すことができる構成であってもよい。
筐体30はその内部の空間部分に部材を収納可能な容器状である。導通部材23は、筐体30内のうち、たとえばY方向についての中央に配置されている。導通部材23はたとえば矩形の主表面を有する平板形状であるが、この主表面がZX平面に沿う向きに配置されるよう、導通部材23は筐体30の内に収納されている。
回路基板10Aはたとえば導通部材23のY方向負側に、導通部材23とY方向に間隔をあけて対向するように配置されている。すなわち回路基板10Aは導通部材23と同様に、たとえば矩形の主表面を有する平板形状であり、この主表面がZX平面に沿う向きに配置されるよう、筐体30内に収納されている。回路基板10Aは導通部材23のたとえばY方向負側に、導通部材23とY方向に間隔をあけて対向するように配置されている。
また回路基板10Bはたとえば導通部材23のY方向正側に、導通部材23とY方向に間隔をあけて対向するように配置されている。すなわち回路基板10Bも導通部材23と同様に、たとえば矩形の主表面を有する平板形状であり、この主表面がZX平面に沿う向きに配置されるよう、筐体30内に収納されている。
以上より、導通部材23はY方向について、回路基板10Aおよび回路基板10Bと間隔をあけて、主表面が図のZ方向に沿うように配置されている。回路基板10A,10Bも同様に、主表面が図のZ方向に沿うように配置されている。なおここでZ方向とは、たとえば電力変換器100がXY平面に沿う土台上に載置されたときのその土台に垂直な方向を意味する。言い換えればZ方向はいわゆる鉛直方向を意味する。
放熱板40A,40Bは、回路基板10A,10Bを放熱板40に固定し、電子部品14の発熱を筐体30に伝える機能を有している。言い換えれば、放熱板40A,40Bは、筐体30と熱伝導可能に配置される。具体的には、放熱板40Aはたとえば回路基板10AのY方向負側にある。すなわちY方向について回路基板10Aの導通部材23と反対側には、放熱板40Aが配置される。放熱板40Aは回路基板10Aを固定するように配置されている。すなわち放熱板40Aも導通部材23と同様に、たとえば矩形の主表面40Cを有する平板形状であり、この主表面がZX平面に沿う向きに配置されるよう、主表面40Cが図のZ方向に沿うように配置されている。
同様に、放熱板40Bはたとえば回路基板10BのY方向正側にある。すなわちY方向について回路基板10Bの導通部材23と反対側には、放熱板40Bが配置される。放熱板40Bは回路基板10Bを固定するように配置されている。すなわち放熱板40Bも導通部材23と同様に、たとえば矩形の主表面40Cを有する平板形状であり、この主表面40CがZX平面に沿う向きに配置されるよう、主表面が図のZ方向に沿うように配置されている。放熱板40Aの主表面40C上に回路基板10Aが熱伝導可能に接続される。放熱板40Bの主表面40C上に回路基板10Bが熱伝導可能に接続される。
上記の回路基板10A,10Bの導通部材23と反対側に放熱板40A,40Bが配置されることより、以下のことがいえる。導通部材23と回路基板10A,10Bとの間隔は、導通部材23と放熱板40A,40Bの主表面40Cとの間隔よりも小さい。
回路基板10Aの主表面(後述する他方の主表面13B)と放熱板40Aの主表面40Cとが対向する。回路基板10Aと放熱板40Aとの間に第1の熱伝導部材81が配置されている。第1の熱伝導部材81は回路基板10Aと放熱板40Aとに接触するように固定されている。同様に、回路基板10Bの主表面(後述する他方の主表面13B)と放熱板40Bの主表面40Cとが対向する。回路基板10Bと放熱板40Bとの間に第1の熱伝導部材81が配置されている。第1の熱伝導部材81は回路基板10Aと放熱板40Aとに接触するように固定されている。ただし回路基板10A,10Bと放熱板40A,40Bとの間に第1の熱伝導部材81が配置されず、回路基板10A,10Bと、放熱板40A,40Bとが接触してもよい。いずれにせよ上記により、放熱板40A,40Bには、回路基板10A,10Bに載置された電子部品14の発熱が伝わる。放熱板40A,40Bは、たとえばそのZ方向の最下部が、筐体30に接触している。筐体30のZ方向の最下部には冷却器31が接触する。
以上に示すように、導通部材23、回路基板10A,10B、放熱板40A,40Bは主表面がZX平面に沿うように配置される。ただしこれに限らず、導通部材23、回路基板10A,10B、放熱板40A,40Bは主表面がXY平面に沿うように配置されてもよい。
特に図3、図4を参照して、電子部品14は回路基板10A,10Bの一方の主表面上に配置されている。特に電子部品14は回路基板10Aの、Y方向について導通部材23と対向する側すなわち内側の主表面上に配置されている。同様に電子部品14は回路基板10Bの、Y方向について導通部材23と対向する側すなわち内側の主表面上に配置されている。これらの電子部品14はY方向について互いに対向するように配置されている。
電力変換器100には磁性部品24を有している。図5は、磁性部品の構成を示す概略図である。図5を参照して、磁性部品24はE型コア24EとI型コア24Iとからなるコアと、1次巻線コイルパターンなどのコイルパターン25とを有し、これらが組み合わせられた構成を有している。コイルパターン25はコアの一部であるたとえばE型コア24Eを外側から囲むように配置されている。1次巻線コイルパターンなどのコイルパターンは導通部材23に含まれる。つまり導通部材23は磁性部品24の一部を含んでいる。E型コア24Eには磁性部品24の柱部24Dと、柱部24Dが部分的に欠落した貫通孔としての欠落部24Cとが形成されている。柱部24Dは欠落部24Cにより3つの部分に分かれている。後述するように磁性部品24の一部である柱部24Dが導通部材23を貫通するように、磁性部品24が配置されている。
たとえば導通部材23のZX平面に沿う主表面のうち一方側、すなわち導通部材23の回路基板10A、放熱板40A側の表面にはE型コア24Eが配置されている。また導通部材23のZX平面に沿う主表面のうち他方側、すなわち導通部材23の回路基板10B、放熱板40B側の表面にはI型コア24Iが載置されている。ただし上記と逆に導通部材23の回路基板10A、放熱板40A側にI型コア24Iが配置されてもよい。いずれにせよ柱部24Dが導通部材23を貫通するため、柱部24Dを含むE型コア24Eは導通部材23の回路基板10A側と回路基板10B側との双方を跨ぐように配置される。導通部材23は後述するように、たとえば平板形状を有するコイルパターン25を含んでいる。つまりコイルパターン25は、磁性部品24を構成する部材でもあり、導通部材23を構成する部材でもある。導通部材23にはコアであるE型コア24Eなどが、たとえば導通部材23を貫通するよう嵌め込まれている。このようにして導通部材23にはコアが取り付けられている。
図3に示すように、放熱端子台50により、たとえば、回路基板10A,10Bと導通部材23とが互いに間隔Dをあけて対向するように固定される。回路基板10A,10Bと導通部材23との間隔Dの具体的な数値は任意である。放熱端子台50は、導通部材23と回路基板10A,10Bとを結ぶ厚み方向すなわち図3のY方向において、導通部材23に取り付けられた磁性部品24の一部としてのE型コア24EおよびI型コア24Iを放熱板40A,40Bのそれぞれの上に接触することが可能な寸法を有している。すなわち、たとえば磁性部品24のY方向の厚みが薄い場合は放熱端子台50のY方向の寸法が比較的小さくなる。これにより導通部材23に載置される磁性部品24が放熱板40A,40Bの表面に接触するよう届くだけの放熱端子台50のY方向寸法となっている。逆にたとえば磁性部品24のY方向の厚みが厚い場合は放熱端子台50のY方向の寸法が比較的大きくなる。これにより導通部材23に載置される磁性部品24が放熱板40A,40Bの表面に接触するよう届くだけの放熱端子台50のY方向寸法となっている。これにより、コアの一部が放熱板40A,40Bの主表面40Cと熱伝導可能に接続する。
なお回路基板10Aに実装される放熱端子台50と、回路基板10Bに実装される放熱端子台50とは、Y方向について互いに対向するように配置されている。
また図4に示すように、筐体30の内部空間31C内には封止材70をさらに備えることが好ましい。封止材70は筐体30内の回路基板10A,10B、導通部材23、放熱板40A,40Bおよびこれらに実装された電子部品14などの各部材を浸漬するように、筐体30内に充填されていることが好ましい。図4においては筐体30内のほぼ全体を満たすように封止材70が配置されている。しかし電力変換器100においては図4の筐体30内のZ方向の比較的下側の領域のみに封止材70が充填されてもよい。
図6は、図2〜図4の電力変換器を構成する各部材を分解してそれらの収納態様を示す概略斜視図である。図7は、図6中の矢印VIIに示す方向から平面視した、回路基板および導通部材の態様を示す概略平面図である。なお先述の磁性部品24は、図6中にて点線で囲まれた領域Vに配置される。なお磁性部品24に含まれる部材の一部であるコイルパターン25は、導通部材23の内部に配置されている。このため領域Vは導通部材23を含むように囲まれている。
図6および図7を参照して、図2〜図4における電子部品14は回路基板10A,10Bのそれぞれにはんだで実装されている。回路基板10Bは放熱板40Bに、回路基板固定ねじ61により固定されている。同様に回路基板10Aは放熱板40Aに、回路基板固定ねじ61により固定されている。回路基板10A,10Bには貫通孔17が形成されている。図6においては1例として、磁性部品24の一部であるI型コア24Iが、回路基板10Bの貫通孔17を貫通する。また磁性部品24の一部であるE型コア24Eが、回路基板10Aの貫通孔17を貫通する。ただし逆にI型コア24Iが回路基板10Aを貫通しE型コア24Eが回路基板10Bを貫通する構成であってもよい。また導通部材23にはたとえば3つの領域に分割された貫通孔27が形成されている。このため磁性部品24の3つに分かれた柱部24Dのそれぞれは、貫通孔27を貫通するよう配置される。これらにより導通部材23を貫通する磁性部品24の一部であるE型コア24EまたはI型コア24Iは、貫通孔17,27を貫通して放熱板40A,40Bに接触可能となっている。このため磁性部品24の発熱は放熱板40A,40Bから高効率に放熱可能である。なおE型コア24EとI型コア24Iとは、接着剤などにより互いに固定され磁性部品24の一部となっている。
導通部材23には導通部材通し穴29が形成されている。導通部材通し穴29は平面視において、回路基板10A,10Bのそれぞれに載置された放熱端子台50の放熱端子台ねじ穴55に重なるように配置されている。導通部材通し穴29および放熱端子台ねじ穴55が導通部材固定ねじ60により締結される。これにより導通部材23は、放熱端子台50を介して、1対の回路基板10A,10Bに挟まれるように固定可能となる。つまり導通部材固定ねじ60は、放熱端子台ねじ穴55と導通部材通し穴29とを通るように固定されている。以上により回路基板10A,10Bと導通部材23とが固定されている。回路基板10A,10Bと導通部材23とは、放熱端子台50により電気的に接続されている。さらに放熱板40A,40Bのそれぞれは筐体30に固定されている。この固定はたとえば、Z方向の長さが放熱板40A,40Bよりも長い図示されないねじなどの固定部材によりなされている。
その他、図7(A),(C)に示すように回路基板10A,10Bには入力端子台93が形成されており、導通部材23には出力端子台94が形成されている。入力端子台93には、図2に示す入力配線91が接続される。出力端子台94には、図2に示す出力配線92が接続される。入力配線91および出力配線92は、電力変換器100の外部の回路等と電気的に接蔵されている。入力配線91および出力配線92は、たとえばケーブルまたはバスバーであってもよい。
図8は、放熱端子台の各種類の外観態様を示す概略斜視図である。なお図8における座標軸は、図中に示す方向に定義されており、図8中に示す方向に従って以下の説明がなされる。これは当該放熱端子台が実際に電力変換器100が取り付けられたときの各放熱端子台50の方向とは必ずしも一致しない。図8を参照して、放熱端子台50は、たとえば放熱端子台50Aのような形状を有している。具体的には放熱端子台50Aは、導通部材の主表面に接触する部分である第1の部分51と、第1の部分51に交差し回路基板10A,10Bの主表面に接触するよう厚み方向であるY方向に延びる第2の部分52とを含んでいる。第1の部分51の中央部には放熱端子台ねじ穴55が形成されている。
上記のとおり放熱端子台ねじ穴55は、たとえば図3に示すようにここに導通部材固定ねじ60が貫通することにより、放熱端子台50はたとえば導通部材23に固定される。また第2の部分52の第1の部分51と反対側、たとえば導通部材23と接触するように固定可能な基板接続部56を有している。たとえば放熱端子台50Aにおける第2の部分52がまっすぐ延びた端面としての基板接続部56の場合、基板接続部56は回路基板10A,10Bに設けられたたとえば放熱端子台挿入孔内に挿入され、はんだ付けにより実装される。これにより、放熱端子台50Aは回路基板10A,10Bに固定される。導通部材固定ねじ60により放熱端子台50は導通部材23と固定され、基板接続部56により、放熱端子台50は回路基板10A,10Bと固定される。したがって上記のように、放熱端子台50は、第2の部分52の長さに応じた間隔を保つように、回路基板10A,10Bと導通部材23とを固定する。たとえば放熱端子台50は、先述したように回路基板10Bと導通部材23とを互いに間隔D(図3参照)をあけて対向するように固定する。ここでの回路基板10A,10Bと導通部材23との間隔は、放熱端子台50Aの第2の部分52が有する図の上下方向の寸法に応じて定められる。
放熱端子台50Aの代わりに図8の放熱端子台50B〜50Fが用いられてもよい。放熱端子台50Bは、第2の部分52を4面有する。放熱端子台50Cは第2の部分52のうち1つが図8のX方向の右側へ向けて延びるように屈曲する部分と、図8のZ方向の下側に向けて屈曲する部分とを、放熱端子台50Aに対して追加で有する。放熱端子台50Dは基板接続部56が第2の部分52の第1の部分51と反対側の端部にて図8のX方向に沿うように屈曲し、第1の部分51に沿う方向に平面状に広がっている。放熱端子台50Eは、第2の部分52の第1の部分51と反対側の端部に第1の部分51に対向する面として基板接続部56を有する。放熱端子台50Fは第2の部分52を1面のみ有し、その1面の第2の部分52は第1の部分51と反対側の端部から、基板接続部56が第1の部分51側と反対側すなわち図の右側に延び拡がっている。すなわち放熱端子台50A,50B,50Cは回路基板10A,10Bの放熱端子台挿入孔にてスルーホール実装される。また放熱端子台50D〜50Fは回路基板10A,10Bに対して表面実装される。
図8の放熱端子台50A〜50Fのいずれも、たとえば厚みが1mmの銅製の板材により形成されている。放熱端子台50A〜50Fは、銅、アルミニウム、SUS304などの鉄合金、真鍮、リン青銅などの銅合金、ADC12等のアルミニウム合金からなる群から選択されるいずれかの金属材料により形成される。このため放熱端子台50A〜50Fは、回路基板10A,10Bと導通部材23とを電気的に接続する。いずれにせよ放熱端子台50A〜50Fは、たとえば常温の20℃での熱伝導率が200W/(m・K)以上であることが好ましく、300W/(m・K)以上であることがより好ましい。放熱端子台50Aのサイズは、たとえば図8のZ方向の厚みが8.5mmであり、図8のX方向の幅が10mmであり、図8のY方向が10mmである。
図9は、導通部材に含まれる各層に形成されるパターンを示す概略平面図である。なお導通部材23は、図6中にて点線で囲まれた領域IXに配置される。図9を参照して、導通部材23は、たとえば6つの構成層23A〜23Fの層からなっている。ただし導通部材23を構成する層の数はこれに限らず任意である。図9に示す構成層23A〜23Eはいずれも上下反転させY方向正側から見た態様を示している。図9の構成層23Fのみ、他とは反対側から見た態様、すなわち上下反転せずY方向負側から見た態様を示している。
図9の導通部材23の各構成層23A〜23Fはこの順に、たとえばY方向正側から負側に向けて、すなわち回路基板10B側から回路基板10A側に向けて、積層されている。これらのうち中央の構成層23Cおよび構成層23Dには、コイルパターン25の一部であり、磁性部品24の一部としての1次巻線コイルパターン21APが形成されている。1次巻線コイルパターン21APはトランス21(図1参照)の1次巻線21Aを構成する。構成層23Cの1次巻線コイルパターン21APと、構成層23Dの1次巻線コイルパターン21APとは、1ターンずつ形成されている。これらの1次巻線コイルパターン21APがコイルパターン接続部26Cにて直列に接続され、2ターンの1次巻線コイルパターン21APが形成されている。コイルパターン接続部26Cはたとえば、構成層23Cと構成層23Dとを電気的につなぐ導通部材が充填されたスルーホールであることが好ましい。
ただし変形例として、積層方向中央の構成層23C,23Dに放熱パターン26Pが形成されてもよい。このようにすれば、導通部材23の厚みが一定であっても、コイルパターン25のうち放熱パターン26Pの配置される割合が増加し、導通部材23からの放熱の効率が高められる。また構成層23A〜23Fのうち同一の層に巻線部材と放熱パターン26Pとの双方が形成されてもよい。あるいは構成層23A〜23Fのすべてに巻線部材のみが配置されてもよい。
構成層23Cに隣接する構成層23B、および構成層23Dに隣接する構成層23Eには、コイルパターン25の一部であり、磁性部品24の一部としての2次巻線コイルパターン21BPが形成されている。2次巻線コイルパターン21BPはトランス21(図1参照)の2次巻線21Bを構成する。構成層23Bの2次巻線コイルパターン21BPと、構成層23Eの2次巻線コイルパターン21BPとは、1ターンずつ形成されている。これらの2次巻線コイルパターン21BPが並列に接続され、1ターンの2次巻線コイルパターン21BPが形成されている。構成層23B〜23Eのそれぞれには、磁性部品24の一部としての平滑リアクトルコイルパターン22Pが形成されている。平滑リアクトルコイルパターン22Pは平滑リアクトル22(図1参照)を構成する。以上の1次巻線コイルパターン21AP、2次巻線コイルパターン21BPおよび平滑リアクトルコイルパターン22Pは、いずれも磁性部品24の一部であるコイルパターン25の一部としての巻線部材である。
1次巻線コイルパターン21APおよび2次巻線コイルパターン21BPは、図6各図の左側の貫通孔27を貫通する磁性部品24を構成するコイルである。このため図6各図の左側の貫通孔27を貫通する柱部24Dの外側に巻回するように、1次巻線コイルパターン21APおよび2次巻線コイルパターン21BPが配置される。このように磁性部品24は、コイルパターン25の一部としての巻線部材に相当する1次巻線コイルパターン21APおよび2次巻線コイルパターン21BPと、当該巻線部材に巻回された被巻回部材としてのE型コア24Eの柱部24Dとを含んでいる。
また平滑リアクトルコイルパターン22Pは、図6各図の右側の貫通孔27を貫通する磁性部品24を構成するコイルである。このため図6各図の右側の貫通孔27を貫通する柱部24Dの外側に巻回するように、平滑リアクトルコイルパターン22Pが配置される。
導通部材23のうち最表面の構成層23Aおよび構成層23Fには、放熱パターン26Pが形成されている。放熱パターン26Pもコイルパターン25の一部として形成されている。また構成層23Aには平滑コンデンサ2が、複数実装されている。放熱パターン26Pは、構成層23B〜23Eのコイルパターン25である1次巻線コイルパターン21AP、2次巻線コイルパターン21BPなどの巻線部材と電気的に接続されていないことが好ましい。放熱パターン26Pは、構成層23B〜23Eのコイルパターン25である1次巻線コイルパターン21APなどの巻線部材と電気的に接続されていてもよい。ただしその場合には、放熱パターン26Pは、巻線部材の電流密度の2/3以下の電流密度となるように接続される。コイルパターン25のうち特に1次巻線コイルパターン21AP、2次巻線コイルパターン21BPおよび平滑リアクトルコイルパターン22Pは、コアの一部であるE型コア24Eなどを囲む。
図10は、回路基板と放熱板との接続態様について示す概略斜視図である。なお回路基板と放熱板とが接続されたものは、図6中にて点線で囲まれた領域Xに配置される。図10を参照して、回路基板10Bを構成するプリント配線基板13は、たとえば一方の主表面13Aと、それと反対側の他方の主表面13Bとを有する。プリント配線基板13のうち一方の主表面13A上に、電子部品14が実装されている。一方の主表面13Aから他方の主表面13Bまでプリント配線基板13を貫通するように、貫通孔17と、孔部19とが形成されている。孔部19は、導通部材固定ねじ60を通すための貫通孔である。孔部19に隣接する位置には、たとえば上記のスルーホール実装により放熱端子台50の基板接続部56が挿入される貫通孔である放熱端子台挿入孔19Sが形成されている。さらにプリント配線基板13の4つの角部には回路基板隅部孔18が形成されている。
一方、放熱板40Bのプリント配線基板13と接する主表面の4つの角部には放熱板隅部孔48が形成されている。回路基板隅部孔18と放熱板隅部孔48とが重なり合い、両者が上記の回路基板固定ねじ61により固定されている。プリント配線基板13と放熱板40Bとの間にはスペーサ63が配置されてもよい。たとえば回路基板固定ねじ61はスペーサ63に形成された穴を貫通して固定する。
さらに放熱板40Bのプリント配線基板13と接する主表面40Cには放熱板40Bを貫通するように放熱板通し穴49が形成されている。孔部19と放熱板通し穴49とが重なり合い、それらと重なる回路基板10Bの位置に放熱端子台50が実装される。ここで再度図6および図9を参照して、孔部19と放熱板通し穴49とが重なり合う位置には、導通部材通し穴29がさらに重なり合うように配置される。この状態で、導通部材固定ねじ60は、導通部材通し穴29において放熱端子台50を導通部材23に固定する。これにより、放熱端子台ねじ穴55と導通部材通し穴29とは導通部材固定ねじ60により締結され固定される。これにより放熱端子台50の第1の部分51(図8参照)は導通部材23に固定される。
図3および図10に示すように、さらに回路基板10Bと放熱板40Bとの間には、第1の熱伝導部材81が配置されることが好ましい。第1の熱伝導部材81は、プリント配線基板13の他方の主表面13B、および放熱板40Bの主表面に接するようにこれらに挟まれる。電力変換器100においては、第1の熱伝導部材81は、回路基板10Bに実装された電子部品14と平面視にて重なる位置に配置されることが好ましい。ただし第1の熱伝導部材81は、回路基板10Bに実装された電子部品14と平面視にて重なる位置のみならず、その外側に隣接する領域にも配置されることが好ましい。つまり第1の熱伝導部材81は、平面視にて電子部品14と重なる領域に配置されるとともに、電子部品14を外側から囲むように配置されることが好ましい。
図10においては、第1の熱伝導部材81は、プリント配線基板13の他方の主表面13Bと放熱板40Bとの間に配置される。これにより、磁性部品24の巻線部材の発する熱が、たとえば放熱端子台50と第1の熱伝導部材81とを介して、放熱板40Bに高効率に伝えられる。このように第1の熱伝導部材81を介すれば、放熱端子台50を伝う放熱ルートを追加で導入できる。
以上の図10の説明においては1例として回路基板10Bと放熱板40Bとの接続態様を示したが、回路基板10Aと放熱板40Aとの接続態様についても基本的に上記回路基板10Bと放熱板40Bとの接続態様と同様である。
次に、電力変換器100を構成する各部の材質、寸法、好ましい構成態様等について説明する。
回路基板10A,10Bは、たとえば図2〜図4におけるX方向の幅が160mm、Y方向の厚みが1.6mm、Z方向の高さが70mmである。プリント配線基板13はたとえば、ガラス繊維の布にエポキシ樹脂を浸透させた絶縁材料により形成されている。図示されないが、回路基板10A,10Bにはたとえば銅の配線パターンが形成されている。また図10に示す回路基板隅部孔18は、たとえば直径が3mmである。孔部19は、たとえば直径が8mmである。回路基板10A,10Bに実装される電子部品14は、たとえば図2〜図4のX方向の幅が10mm、Y方向の厚みが5mm、Z方向の高さが10mmである。電子部品14は、図示されない回路基板10A,10Bのたとえば銅の配線パターンにはんだ付けされている。また回路基板10A,10Bに形成される貫通孔17,27は、たとえばX方向の幅が20mmであり、Z方向の寸法が52mmである。
導通部材23は、たとえば図2〜図4におけるX方向の幅が130mm、Y方向の厚みが1.6mm、Z方向の高さが70mmである。導通部材23のコイルパターン25を除く平板部材の部分はたとえば、ガラス繊維の布にエポキシ樹脂を浸透させた絶縁材料により形成されている。導通部材23に含まれるコイルパターン25はたとえば銅により形成される。
磁性部品24のE型コア24EおよびI型コア24Iは、たとえばこれらが互いに接着剤で固定された図5の状態におけるX方向の奥行き寸法が18mm、Y方向の高さ寸法が20mm、Z方向の幅寸法が50mmである。E型コア24EおよびI型コア24Iは、たとえばフェライトまたはアモルファスであってもよい。E型コア24EおよびI型コア24Iは、たとえばケイ素鋼またはパーマロイであってもよい。図5における欠落部24Cは、図5の状態におけるZ方向の幅寸法が11mm、Y方向の高さ寸法が7mmである。また磁性部品24のコアは上記のE型コア24EおよびI型コア24Iを有するいわゆるEI型に限られない。磁性部品24のコアは、いわゆるEE型、EER型、PQ型であってもよい。
筐体30は、たとえば図2〜図4におけるX方向の幅170mm、Y方向の奥行き60mm、Z方向の高さが80mmである。筐体30のZ方向最下部の外表面すなわち外壁面には、筐体30に対して接触状態で取付られた冷却器31が配置される。筐体30は良熱伝導性材料であるたとえばアルミニウムで形成されている。冷却器31が接触している筐体30の外壁面に相対する筐体30の内壁面を主冷却面32とする。主冷却面32は箱型の筐体30の内底面である。なお図2では筐体30と冷却器31とは別部材として形成されているが、両者は一部材として一体に形成されてもよい。
放熱板40A,40Bは、たとえば図2〜図4におけるX方向の幅が160mm、Y方向の厚みが5mm、Z方向の高さが75mmである。放熱板40A,40Bは良熱伝導性材料であるたとえばアルミニウムで形成されている。また図10に示す放熱板隅部孔48は、たとえば直径が3mmである。放熱板通し穴49は、たとえば直径が8mmである。なお図4においては放熱板40A,40Bと冷却器31との間には筐体30の底面の部分が挟まれる。しかし放熱板40A,40Bは冷却器31と直接接するように配置されてもよい。このようにすれば放熱板40A,40Bに伝わった熱の排熱性がより向上する。
回路基板10Aに実装される放熱端子台50A〜50Fの放熱端子台ねじ穴55はたとえば直径5mmである。回路基板10Bに実装される放熱端子台50A〜50Fの放熱端子台ねじ穴55はたとえば直径5.5mmである。また導通部材23に形成された導通部材通し穴29はたとえば直径5.5mmである。そして導通部材固定ねじ60は雄ねじ部分がたとえば直径5mmのボルトである。つまり1対の回路基板10A,10Bのいずれか一方に実装される放熱端子台の放熱端子台ねじ穴55の径は、回路基板10A,10Bと導通部材23とを固定するボルトなどの雄ねじの径にほぼ等しい。1対の回路基板10A,10Bのいずれか他方に実装される放熱端子台の放熱端子台ねじ穴55の径と、導通部材通し穴29の径とは、回路基板10A,10Bと導通部材23とを固定するボルトなどの雄ねじの径よりも大きい。
このようにすれば、導通部材固定ねじ60の雄ねじ部分は回路基板10Bに実装される放熱端子台50の放熱端子台ねじ穴55および導通部材通し穴29の双方を貫通することができる。また導通部材固定ねじ60の雄ねじ部分は回路基板10Aに実装される放熱端子台50の放熱端子台ねじ穴55に締結される。このため図4に示すように、導通部材固定ねじ60は、その雄ねじ部分が回路基板10A側を向くように、導通部材23と放熱端子台50とを固定可能である。
図10のスペーサ63は、たとえば図のY方向の厚みが1mmであり、図のX方向およびZ方向の寸法が8mmである。スペーサ63は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS樹脂、ポリエチレンテレフタラート、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタラート、ポリアミドからなる群から選択されるいずれかの樹脂材料であってもよい。しかしスペーサ63は、銅、アルミニウム、鉄、SUS304などの鉄合金、真鍮またはリン青銅等の銅合金、ADC12等のアルミニウム合金からなる群から選択されるいずれかの金属材料であってもよい。なおスペーサ63は図10のように放熱板40A,40Bとは別体であってもよいが、放熱板40A,40Bと一体であってもよい。
図4の封止材70は、たとえばシリコン系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂からなる群から選択されるいずれかにより構成される。ただし封止材70は、上記の代わりに、絶縁油であるたとえば鉱油が用いられてもよい。
さらに封止材70は、アルキルベンゼン、ポリブテン、アルキルナフタレン、アルキルジフェニルアルカン、シリコン油からなる群から選択されるいずれかを主成分としたものであってもよい。以上のいずれかの封止材70を用いることにより、筐体30内の各部材間の放熱性、耐震性および耐圧が向上し、その各部材間の絶縁を達成するために必要な距離である絶縁距離を短縮できる。
図10の第1の熱伝導部材81は、回路基板10A,10Bよりも高い熱伝導率を有することが好ましい。第1の熱伝導部材81は、たとえば室温20℃において、0.1W/(m・K)以上、より好ましくは1.0W/(m・K)以上の熱伝導率を有してもよい。第1の熱伝導部材81は、弾性を有してもよい。第1の熱伝導部材81は、シリコーンもしくはウレタンなどのゴム材からなることが好ましい。第1の熱伝導部材81は、エポキシ、ABS樹脂、ポリブチレンテレフタラート、ポリフェニレンサルファイド、フェノールからなる群から選択されるいずれかの樹脂材料からなってもよい。第1の熱伝導部材81は、ポリイミドなどの高分子材料、またはアルミナもしくは窒化アルミニウムなどのセラミック材料からなってもよい。第1の熱伝導部材81は、シリコーンゴムシートまたはウレターンゴムシートからなってもよい。さらに第1の熱伝導部材81は、シリコーンゲル、シリコーングリス、またはシリコーン接着剤のいずれかであってもよい。
第1の熱伝導部材81は電気絶縁性を有していてもよい。第1の熱伝導部材81は、たとえば図2〜図4のY方向の厚みが1mmである。プリント配線基板13の他方の主表面13Bに形成された図示されない銅などの配線パターンがすべて同電位であれば、スペーサ63および第1の熱伝導部材81は配置されずに、回路基板10Aが放熱板40Aに直接接触するように固定され、配線パターンが放熱板40Aに接触されてもよい。またこの場合は、回路基板10Bが放熱板40Bに直接接触するように固定され、配線パターンが放熱板40Bに接触されてもよい。
次に、本実施の形態の第1例の作用効果について説明する。
本開示に従った電力変換器100は、回路基板10A,10Bと、磁性部品24と、導通部材23と、放熱板40A,40Bと、放熱端子台50と、筐体30とを備える。回路基板10A,10Bは電子部品14が載置されている。磁性部品24はコア24Eと、コア24Eの一部を囲むように配置されたコイルパターン25とを含む。導通部材23はコイルパターン25を含み、コアが取り付けられる。放熱板40A,40Bは主表面40Cを含み、主表面40C上に回路基板10A,10Bが熱伝導可能に接続される。放熱端子台50は、回路基板10と導通部材23とを互いに間隔をあけて対向するように固定する。筐体30は、冷却器31と熱伝導可能に接続し、導通部材20および放熱板40A,40Bを収納する内部空間31Cを有する。放熱板40A,40Bは筐体30と熱伝導可能に配置される。導通部材23と回路基板10との間隔は、導通部材23と放熱板40A,40Bの主表面との間隔より小さい。コアの一部が放熱板40A,40Bの主表面40Cと熱伝導可能に接続する。
回路基板10A,10Bに載置された電子部品14の発熱は、基本的に回路基板10A,10Bが熱伝導可能に接続された放熱板40A,40Bに伝えられる。このため上記のようにすれば、たとえ高さ位置、たとえば図3のY方向の厚みが異なる電子部品14と磁性部品24とが回路基板10A,10Bと導通部材23との間に挟まれる構成であっても、放熱端子台50により、回路基板10A,10Bと導通部材23との双方の放熱板40A,40Bによる放熱性が高められる。放熱端子台50の第2の部分52(図8参照)のY方向に沿う寸法を調整する。これにより、導通部材23を貫通する磁性部品24のE型コア24EまたはI型コア24Iの一部が、放熱板40A,40Bの主表面40Cに熱伝導可能に接触するように配置できる。これはたとえば図6、図7に示す回路基板10A,10Bの、磁性部品24の一部であるE型コア24Eなどが貫通する貫通孔17の形成により実現できる。
一方、電子部品14は、これが搭載される回路基板10を固定する放熱板40A,40BとY方向について極めて近い位置に配置される。このため放熱端子台50のY方向の長さを調整するだけで、電子部品14と磁性部品24との双方の放熱板40A,40BからのY方向距離を同等に近づけることができる。したがって、たとえば放熱板40A,40Bの領域ごとに、Y方向についての凹凸形状を設けることで磁性部品24と電子部品14との放熱板側のY座標を揃えるなどの複雑な放熱板形状とする必要がなくなる。よって電子部品14と磁性部品24との双方を放熱板40を用いて効率的に冷却できる。また放熱板40A,40Bは筐体30と熱伝導可能に配置されるため、放熱板40A,40Bからたとえば筐体30を介して冷却器31へ、高効率に冷却できる。
またたとえば図3のZ座標が異なる位置に配置される複数の電子部品14または磁性部品24についても、これらが単一の回路基板10A,10Bまたは導通部材23に固定されている。このためZ座標が異なる位置の上記電子部品14など毎に応じた凹凸形状を回路基板10A,10Bおよび導通部材23などに設ける必要はない。したがって放熱端子台50のみにより、上記のようにY方向についての放熱板40A,40Bへの放熱性を高めることができる。
また放熱端子台50は回路基板10A,10Bと導通部材23とを互いに間隔をあけて対向するように固定する。これにより、回路基板10A,10Bの図示されない配線パターンと導通部材23のコイルパターン25とが電気的に接続される。この電気的な接続により、電子部品14と磁性部品24とが電気的に接続されDC−DCコンバータが構成される。したがって放熱端子台50の配置により、接続部材の別途の設置が不要となる。たとえば回路基板10を電子部品14が配置されるY方向位置またはZ方向位置毎に分割する場合には、各回路基板と電子部品とを電気的につなぐための配線部材および端子台が別途必要となる。しかし本実施の形態の放熱端子台50は端子台および配線部材の双方の機能を兼ねる。このためより部品種類数の少ない簡素な構成の電力変換器100が提供できる。
放熱端子台50は副次的に、回路基板10A,10Bからの熱を導通部材23に伝熱し、導通部材23のコイルパターン25から空気中に放熱する機能を有する。これにより一層放熱効果が高められる。ただし図4に示すように、本実施の形態の導通部材23は放熱板40A,40Bと接触していなくてもよいし、筐体30および冷却器31のいずれとも接触していなくてもよい。
上記電力変換器100の回路基板10A,10Bと導通部材23とは、放熱端子台50により電気的に接続されていてもよい。これにより、回路基板10A,10Bのたとえば図示されない配線パターンと、導通部材23のコイルパターン25とを電気的に接続できる。
上記電力変換器100の放熱端子台50A〜50Fは、導通部材23の主表面に接触する第1の部分51と、第1の部分51に交差し回路基板10A,10Bの主表面に接触する第2の部分52とを含むことが好ましい。放熱端子台50がこのような形状を有することにより、第1の部分51にて導通部材23に固定する効果と、第2の部分52にて導通部材23のY方向厚みに応じた、放熱板40A,40Bと接触するための第2の部分52の寸法を調整する効果との双方を奏することができる。
上記電力変換器100において、磁性部品24は、コイルパターン25の一部としての巻線部材としての1次巻線コイルパターン21AP、2次巻線コイルパターン21BPおよび平滑リアクトルコイルパターン22Pと、巻線部材に巻回された被巻回部材としての柱部24Dとを含んでいる。このように磁性部品24はその一部であるコイルパターン25が、導通部材23と共有するように、導通部材23に組み込まれる。このため、上記の回路基板10A,10Bと導通部材23とを対向するよう固定する放熱端子台50を用いて、磁性部品24が放熱板40に接触するよう放熱端子台50の寸法を調整可能とすることによる放熱効果が高められる。
上記電力変換器100において、導通部材23には放熱パターン26Pが形成されることが好ましい。このようにすれば、回路基板10A,10Bからの熱を導通部材23に伝熱し、導通部材23の放熱パターン26Pから空気中に放熱する機能が高められる。
上記電力変換器100において、放熱端子台50の20℃での熱伝導率は200W/(m・K)以上であることが好ましい。これにより放熱板40A,40Bのみならず、放熱端子台50からの放熱効果も高められる。このため電力変換器100全体の放熱効率がいっそう高められる。
また上記の電力変換器100に含まれる回路基板10A,10Bは以下の構成を有している。回路基板10A,10Bは、プリント配線基板13と、電子部品14とを備えている。電子部品14はプリント配線基板13に載置される。回路基板10A,10Bには、プリント配線基板13に固定可能な放熱端子台50が、回路基板10A,10Bと導通部材23とを互いに間隔をあけて対向するように固定可能である。放熱端子台50は、回路基板10A,10Bと導通部材23とを結ぶ厚み方向であるたとえばY方向において、導通部材23に取り付けられたコアの一部を放熱板40A,40Bの主表面40Cと熱伝導可能に接触させる。なお放熱端子台50は導通部材23に固定されてもよい。上記の構成を有する回路基板10A,10Bは、放熱端子台50により、上記の放熱端子台50を有する電力変換器100と基本的に同様の作用効果を奏するためここではその説明を繰り返さない。
上記の回路基板10A,10Bにおいて、プリント配線基板13に固定可能な放熱端子台50は、回路基板10A,10Bと導通部材23とを電気的に接続する。これにより上記と同様に、回路基板10A,10Bのたとえば図示されない配線パターンと、導通部材23のコイルパターン25とを電気的に接続できる。
上記の回路基板10A,10Bには、コアを貫通する貫通孔17が形成されることが好ましい。このようにすれば、磁性部品24の一部であるE型コア24EまたはI型コア24Iが、貫通孔17を貫通して放熱板40A,40Bに接触可能となる。このため磁性部品24の発熱は放熱板40A,40Bから高効率に放熱可能となる。
上記の回路基板10A,10Bの放熱端子台50A〜50Fは、回路基板10A,10Bの主表面に沿うように延びる第1の部分51と、第1の部分51に交差し回路基板10A,10Bの主表面に接触する第2の部分52とを含むことが好ましい。上記の回路基板10A,10Bの放熱端子台50A〜50Fの20℃での熱伝導率は200W/(m・K)以上であることが好ましい。このような回路基板10A,10Bは、同様構成を有する上記の電力変換器100と基本的に同様の作用効果を奏するためここではその説明を繰り返さない。
その他さらに、上記の電力変換器100は以下の作用効果を奏する。電力変換器100においては、図10において、スペーサ63と第1の熱伝導部材81とが同じY方向の厚みであるたとえば1mmを有する。このため第1の熱伝導部材81には、放熱板40Bの主表面40Cとプリント配線基板13の他方の主表面13Bとの双方が接触する。このため、電子部品14の発する熱が、回路基板10A,10Bおよび第1の熱伝導部材81を介して高効率に放熱板40A,40Bに伝熱される。このため効果的な冷却ができる。
電力変換器100においては、図9において、プリント配線基板13の貫通孔17により、磁性部品24のE型コア24Eはたとえば放熱板40Aの主表面40Cに接触し、I型コア24Iはたとえば放熱板40Bの主表面40Cに接触する。ただし逆にE型コア24Eが放熱板40Bに接触し、I型コア24Iが放熱板40Aに接触してもよい。このため放熱板40A,40Bがたとえ平板形状であっても磁性部品24の発する熱を放熱板40A,40Bから筐体30を介して冷却器31へ、高効率に冷却できる。
電力変換器100においては、導通部材23において、2次巻線コイルパターン21BPが導通部材本体23のうち第2層の構成層23Bおよび第5層の構成層23Eに形成されている。また導通部材23において、放熱パターン26Pが導通部材本体23のうち構成層23Bに隣接する第1層の構成層23Aおよび構成層23Eに隣接する第6層の構成層23Fに形成されている。このように発熱量の大きい2次巻線コイルパターン21BPの形成される層に隣接する層に放熱パターン26Pを配置することにより、2次巻線コイルパターン21BPの発する熱を優先的に放熱パターン26Pから放熱する機能が高められる。また放熱パターン26Pは複数の導通部材本体23のうち最表層に形成されている。このため放熱パターン26Pは他の層のコイルパターン25よりも外気に触れる割合が高くなり、放熱パターン26Pからの放熱効率が高められる。
一般的に電気自動車などに搭載される電力変換器のDC−DCコンバータは、たとえばトランスの1次巻線側に100V以上300V以下のリチウムイオン電池の電圧が入力される。この電圧はトランスにより、2次巻線側にて12V以上15V以下程度の電圧に降圧される。DC−DCコンバータの出力電力が2kWであるとすると、電力変換器の回路基板と導通部材とにより形成されたDC−DCコンバータの1次巻線としてのコイルパターンにたとえば15Aの電流が流れるのに対し、2次巻線としてのコイルパターンにはたとえば150Aの電流が流れる。このため1次巻線としてのコイルパターンよりも、2次巻線としてのコイルパターンの発熱量が大きくなる。そこで1次巻線としてのコイルパターンよりも、2次巻線としてのコイルパターンを優先的に冷却する必要が生じる。このため上記の電力変換器100のような導通部材本体23の各層の構成とすることにより、2次巻線としてのコイルパターンである2次巻線コイルパターン21BPの冷却効率が高められる。
次に、本実施の形態の変形例である第2例〜第7例に係る電力変換器について、図11〜図17を用いて説明する。なおこれらにおいてはいずれも、上記の第1例に係る電力変換器100と同一の構成要素には同一符号を付し、同一の特徴についてはその説明を繰り返さない。すなわち以下では既出の電力変換器との相違点を中心に説明する。
図11は、実施の形態1の第2例の電力変換器の内部の各部品の配置構成を示す概略上面図である。図11を参照して、第2例の電力変換器101においては、導通部材23にヒートシンク3などの冷却器が直接取り付けられている。ヒートシンク3はねじ3Aにより、直接導通部材23の表面に接触するように取り付けられていることが好ましい。ヒートシンク3は良熱伝導性材料であるたとえばアルミニウムで形成されている。このようにすれば、導通部材23の発生する熱は、ヒートシンク3から空気中に放熱できる。このため導通部材23に形成されるコイルパターン25からの放熱効果をいっそう高めることができる。
図12は、実施の形態1の第3例の電力変換器の内部の各部品の配置構成を示す概略上面図である。図12を参照して、第3例の電力変換器102においては、導通部材23として、導通部材23Aと導通部材23Bとの2つが重ねて配置されている。導通部材23Aは放熱板40A側すなわちY方向の負側に、導通部材23Bは放熱板40B側すなわちY方向の正側に、それぞれ配置されている。この場合も電力変換器100と同様に、回路基板10Aに実装される放熱端子台50A〜50Fの放熱端子台ねじ穴55はたとえば直径5mmである。回路基板10Bに実装される放熱端子台50A〜50Fの放熱端子台ねじ穴55はたとえば直径5.5mmである。また2つの導通部材23A,20Bに形成された導通部材通し穴29はたとえば直径5.5mmである。そして導通部材固定ねじ60は雄ねじ部分がたとえば直径5mmのボルトである。なお導通部材23は3つ以上が重ね合わせられてもよい。
トランス21の1次巻線コイルパターン21AP(図9参照)と2次巻線コイルパターン21BP(図9参照)とは磁気的に結合していればよい。このため電力変換器102においては、たとえば1次巻線コイルパターン21APが導通部材23Aのみに形成され、2次巻線コイルパターン21BPが導通部材23Bのみに形成されてもよいし、その逆であってもよい。このようにすれば、回路基板10A,10Bの層数にかかわらず磁性部品24を構成する1次巻線コイルパターン21APと2次巻線コイルパターン21BPとの巻数を任意に設計できる。すなわち設計自由度の高い電力変換器102が形成できる。
図13は、実施の形態1の第4例の電力変換器の内部の各部品の配置構成を示す概略上面図である。図13を参照して、第4例の電力変換器103においては、放熱端子台50と放熱板40A,40Bとの間に第1の熱伝導部材81が配置されている。これにより、導通部材23に形成されたコイルパターン25(図9参照)の熱が放熱端子台50および第1の熱伝導部材81から放熱板40A,40Bを通って冷却器31(図2参照)に伝わる。このため導通部材23のコイルパターン25をより効率的に冷却できる。
図13の第1の熱伝導部材81は、たとえば図3における電子部品14と平面視にて重なる位置およびその外側に隣接する領域のみに配置されている第1の熱伝導部材81が、そのさらに外側にまで延びるように拡がったものである。その結果、電力変換器103では、第1の熱伝導部材81は、回路基板10A,10Bと平面視にて重なる領域のほぼ全体に拡がるように配置されている。そのため図13の第1の熱伝導部材81は、磁性部品24のE型コア24EおよびI型コア24Iと放熱板40A,40Bとの間に挟まれるように配置されている。つまり電力変換器103では磁性部品24は放熱板40A,40Bに接触可能な寸法を有するが、実際には放熱板40A,40Bに接触していない。しかし磁性部品24は放熱板40A,40Bに接近している。このため磁性部品24のコアの一部は放熱板40A,40Bの主表面40Cと熱伝導可能に接続されている。同様に、電力変換器103では回路基板10A,10Bは放熱板40A,40Bに接触していない。しかし回路基板10A,10Bは放熱板40A,40Bに接近している。このため回路基板10A,10Bは主表面40C上に熱伝導可能に接続されている。
このようにすれば、磁性部品24のE型コア24EおよびI型コア24Iと放熱板40A,40Bとの間に電気的絶縁が必要な場合でも、第1の熱伝導部材81により、磁性部品24は放熱板40A,40Bと熱的に接続できる。言い換えれば磁性部品24のコアの一部は放熱板40A,40Bと熱伝導可能に接続される。このため磁性部品24と放熱板40A,40Bとの電気的絶縁と熱的接続との両立が可能となる。
図14は、実施の形態1の第5例の電力変換器の内部の各部品の配置構成を示す概略上面図である。図14を参照して、第5例の電力変換器104においては、導通部材23と放熱端子台50とが導通部材固定ねじ60により締結されるように固定されていない。電力変換器104では、図のY方向に長く延びる固定部材としての長ねじ62により、互いに対向する放熱板40Aと放熱板40Bとが固定されている。長ねじ62は雄ねじである。長ねじ62は図14のX方向の中央部においては、放熱板40Aと放熱板40Bとの間に配置される回路基板10A,10Bおよび導通部材23を貫通している。このため当該長ねじ62は、回路基板10A,10Bと導通部材23と放熱板40A,40Bとを互いに固定している。これによりY方向について回路基板10A,10Bと放熱板40A,40Bの間に配置された放熱端子台50は、Y方向について回路基板10A,10Bと放熱板40A,40Bとに挟まれる力で固定される。また電力変換器104に含まれる他の各部材間は、上述した他の電力変換器と同様に、長ねじ62により固定されている。
図15は、図14の第5例における放熱端子台の変形例を示す概略図である。図15を参照して、第5例の電力変換器104においては、放熱端子台50が、凸部53を有するものと、凹部54を有するものとの2種類を有している。Y方向について互いに対向する回路基板10Aに実装される放熱端子台50と回路基板10Bに実装される放熱端子台50とのうち一方が凸部53を有し、他方が凹部54を有している。図14の放熱端子台50は、図15のように凸部53を有するものと凹部54を有するものとがY方向について互いに対向することが好ましい。このようにすれば、放熱端子台50の凸部53と凹部54とが互いに嵌合する。この嵌合により、回路基板10Aと回路基板10Bとの互いの位置合わせを容易にすることができる。具体的には、たとえば凸部53を凹部54に重ねたり嵌めたりすることにより、容易に回路基板10Aと回路基板10Bとの位置を決めることができる。
図16は、実施の形態1の第6例の電力変換器の内部の各部品の配置構成を示す概略上面図である。図16を参照して、第6例の電力変換器105においては、電力変換器104と同様に長ねじ62により、回路基板10A,10Bと導通部材23と放熱板40A,40Bとが互いに固定されている。電力変換器105では、回路基板10A,10Bにて放熱端子台50の実装される位置が、平面視において電子部品14が実装される領域と重なりこれを覆うように配置されている。つまりたとえば放熱端子台50が図8の放熱端子台50Aのような形状を有する場合に、電子部品14が第1の部分51と1対の第2の部分52とに囲まれるように配置される。これにより第2の部分52が平面視にて電子部品14と重なる。このようにすれば、放熱端子台50の内部に電子部品14が配置されるため、両者に要するスペースを削減できる。このため電力変換器105を小型化できる。
図17は、実施の形態1の第7例の電力変換器の内部の各部品の配置構成を示す概略上面図である。図17を参照して、第7例の電力変換器106においては、少なくとも1つの放熱端子台50の特に第2の部分52が、導通部材23と回路基板10A,10Bとを結ぶ厚み方向すなわちY方向に交差する方向であるたとえばX方向に延びる部分を有するように屈曲している。放熱端子台50が屈曲する箇所の数は任意である。たとえば図17においては放熱端子台50は、たとえば回路基板10A,10Bと接続される位置よりもX方向の負側に延びる領域を有している。これにより放熱端子台50の少なくとも一部である回路基板10A,10Bと接続される位置よりもX方向の負側に延びる領域が、筐体30の内壁面に接触する筐体接触部57を有している。このようにすれば、放熱端子台50の筐体接触部57を介して、電子部品14および磁性部品24の発生する熱が筐体30から放熱板40A,40Bに伝わる。そして放熱板40A,40Bから冷却器31に放熱される。このため放熱板40A,40Bからの冷却効果が高められる。
図18は、実施の形態1の第8例の電力変換器の内部の各部品の配置構成を示す概略上面図である。図18を参照して、第8例の電力変換器107においては、他の例における回路基板10Bおよび放熱板40Bに相当する部材が配置されておらず、回路基板10Aおよび放熱板40Aに相当する部材のみが、回路基板10および放熱板40として配置されている。このように筐体30内に配置される回路基板10および放熱板40の数は1つずつであってもよい。
以上の本実施の形態の第1例〜第8例の電力変換器100〜107のいずれにおいても、E型コア24EおよびI型コア24Iの温度上昇が定格以内に抑えられる場合、回路基板10A,10Bに貫通孔17が形成されなくてもよい。この場合、E型コア24EおよびI型コア24Iは回路基板10A,10Bの一方の主表面13A(図10参照)に接触することとなる。
また筐体30内に収納される回路基板および放熱板の数は、上記のように1つまたは2つに限られず、3つ以上であってもよい。筐体30内に収納される回路基板および放熱板の数が異なっていてもよい。たとえば筐体30内に3つの回路基板と2つの放熱板が収納されていてもよい。
実施の形態2.
これ以降の各実施の形態の各例において、実施の形態1の電力変換器100と同一の構成要素には同一符号を付し、同一の特徴についてはその説明を繰り返さない。すなわち以下では既出の電力変換器との相違点を中心に説明する。図19は、実施の形態2の第1例の電力変換器の内部の各部品の配置構成を示す概略断面図である。すなわち図19は実施の形態1における図4に相当する。
図19を参照して、実施の形態2の第1例の電力変換器200においては、導通部材23が放熱板40A、放熱板40Bの少なくともいずれかに接触している。図19においては、導通部材23が放熱板40A,40Bの双方に直接接触している。このようにするために、放熱板40A,40Bのそれぞれが、図19の筐体30のZ方向最下部すなわち冷却器31が配置される側の端部において、Z方向に沿って延びる部分から、Y方向に延びるように屈曲している。このため放熱板40A,40Bのそれぞれは、図19においてL字型の断面形状を有している。
この放熱板40A,40BがY方向に延びる部分が、導通部材23の導通部材本体23のうち最表層に形成される放熱パターン26P(図9参照)に接触している。ただし放熱板40A,40BのY方向に延びる部分は、導通部材23の導通部材本体23のうち最表層以外の構成層23B〜23Eに形成される1次巻線コイルパターン21AP(図9参照)などの巻線部材に接触してもよい。また第1の熱伝導部材81(図10参照)は、最表層以外の構成層23B〜23Eに形成される巻線部材と、放熱板40A,40Bとの間に配置されてもよい。
次に、本実施の形態の第1例の作用効果について説明する。
本開示に従った電力変換器200は、導通部材23が放熱板40A,40Bに接触している。このため導通部材23に形成された1次巻線コイルパターン21AP(図9参照)などの巻線部材の熱が、最表層の放熱パターン26Pを介して放熱板40A,40Bに伝わる。したがって、巻線部材の放熱経路が増えて、より冷却効果の高い電力変換器200が得られる。
図20は、実施の形態2の第1例の電力変換器における導通部材、放熱端子台および磁性部品の間の放熱経路を示す概略拡大上面図である。すなわち図20においては、図3中の点線で囲まれた領域XXに相当する領域を拡大し、熱の伝わり方を矢印で示している。なお説明の便宜上、図9に示される導通部材23の各構成層23A〜23Fに形成されるコイルパターン25とは形状および外観態様が異なっている。ただし図20のコイルパターン25の態様も実用可能である。
図20を参照して、導通部材23に形成されたコイルパターン25としての1次巻線コイルパターン21AP、2次巻線コイルパターン21BP、平滑リアクトルコイルパターン22Pの巻線部材と、最表層の放熱パターン26Pとは、電気的に絶縁されている。また巻線部材と放熱パターン26Pとは、図の上下方向について平面視したときに互いに重なる領域25OLを有している。重なる領域25OLにおいて、巻線部材で発生した熱が放熱パターン26Pに伝わる。放熱パターン26Pが放熱板40A,40Bに接触していれば、放熱パターン26Pに伝わった熱は放熱板40A,40Bに伝わる。このため巻線部材と放熱板40A,40Bとが電気的に絶縁されていても、放熱板40A,40Bにより巻線部材を冷却できる。重なる領域25OLが広いほど、巻線部材と放熱パターン26Pとの間の熱抵抗が小さくなり、冷却効果が高められる。
次に、本実施の形態の変形例である第2例〜第3例に係る電力変換器について、図21〜図22を用いて説明する。図21は、実施の形態2の第2例の電力変換器に含まれる導通部材、回路基板および放熱板の外観形状を示す概略図である。図21を参照して、本実施の形態の第2例の電力変換器201においては、放熱板40A,40Bが回路基板10A,10Bと対向する主表面が、たとえば矩形状を有している。放熱板40A,40Bは、その主表面40Cの矩形状のたとえば1対の長辺のそれぞれから、当該主表面40Cに交差するたとえば垂直な方向に延びる面40Dを有している。このような構成であれば、図19の電力変換器200の放熱板40A,40Bと同様に、上記垂直な方向に延びる面40Dが導通部材23に直接接触することで、導通部材23の熱が放熱板40A,40Bに伝わり冷却効果がより高められる。なお主表面40Cの矩形状のたとえば1対の短辺のそれぞれからも主表面40Xに交差する垂直方向に延びる面40Dが形成されてもよい。
図22は、実施の形態2の第3例の電力変換器の内部の各部品の配置構成を示す概略断面図である。図22を参照して、第3例の電力変換器202のように、導通部材23が、金属スペーサ44を介在して放熱板40A,40Bに接触することが可能な構成であってもよい。金属スペーサ44は導通部材23と放熱板40A,40Bの少なくともいずれかとの間に配置されている。図22においては金属スペーサ44は、放熱板40A,40Bの双方に取り付けられている。金属スペーサ44は良熱伝導性材料であるたとえばアルミニウムで形成されている。この場合においても、図19の電力変換器200と同様に、導通部材23の熱が放熱板40A,40Bに伝わり冷却効果がより高められる。
図23は、実施の形態2の第4例の電力変換器の内部の各部品の配置構成を示す概略断面図である。図23を参照して、第4例の電力変換器203のように、導通部材23が、筐体30のたとえばZ方向の最下部と接触し、その筐体30のZ方向最下部を介在して放熱板40A,40Bの少なくともいずれかに接触することが可能な構成であってもよい。この場合においても、図19の電力変換器200と同様に、導通部材23の熱が放熱板40A,40Bに伝わり冷却効果がより高められる。
図24は、実施の形態2の第5例の電力変換器の内部の各部品の配置構成を示す概略断面図である。図24を参照して、第5例の電力変換器204のように、導通部材23の主表面の一部が、筐体30のZ方向の下側に配置される冷却器31内に達し、冷却器31に接触する構成であってもよい。このようにすれば、導通部材23はさらに高効率に冷却器31により冷却可能である。
実施の形態3.
図25は、実施の形態3の第1例の電力変換器に用いられる放熱端子台および回路基板の部分的な構成を示す概略図である。なお図25においては図8と同様に、実際に電力変換器に組み込まれたときの各部分の方向とは必ずしも一致しない、図25のみにおける座標軸が設定されている。図25を参照して、本実施の形態の第1例の電力変換器においては、金属プレート58を有している。金属プレート58は、放熱端子台50とたとえば同一の金属材料により形成されることが好ましい。具体的には、金属プレート58は、銅、アルミニウム、SUS304などの鉄合金、真鍮、リン青銅などの銅合金、ADC12等のアルミニウム合金からなる群から選択されるいずれかの金属材料により形成される。
図25に示すように、金属プレート58は、放熱端子台50と一体となっている。放熱端子台50としては図8に示す放熱端子台50A〜50Fのいずれが用いられてもよい。図25では一例として放熱端子台50Dが用いられている。この放熱端子台50に、接続部59を介して、金属プレート58が形成されている。すなわち金属プレート58の接続部59と、放熱端子台50の基板接続部56の部分とがすべて一体として繋がっており、これらを合わせて単一の板形状を有している。図25においては放熱端子台50Dの1対の基板接続部56のうち一方すなわち図25のX方向の左側の基板接続部56に一体として繋がるように、金属プレート58および接続部59が配置されている。これらの放熱端子台50D、金属プレート58および接続部59が一体となった部材をここでは放熱端子台50Gと考える。
ここでは図25に示す左側の比較的面積の大きい矩形状の部分を金属プレート58とし、それよりも第2の部分52側にある比較的面積の小さい矩形状の部分を接続部59とする。このとき、図25における金属プレート58は、たとえばY方向の奥行き30mm、X方向の幅20mm、Z方向の厚み1mmである。また図25に示すように、回路基板10(回路基板10Aまたは回路基板10B)には、一方の主表面13Aから他方の主表面13Bまでこれを貫通する貫通孔17Aが形成されている。この貫通孔17Aは、磁性部品24が貫通する貫通孔17(図6、図10参照)と並ぶようにプリント配線基板13に形成されている。貫通孔17Aは、放熱端子台50Gの第1の部分51および1対の第2の部分52が貫通可能となるようなたとえば矩形の平面形状を有している。貫通孔17Aは、たとえば図25におけるY方向の奥行き11mm、X方向の幅11mmである。
図26は、実施の形態3の第1例の電力変換器の内部の各部品の配置構成を示す概略上面図である。ただし説明の便宜上、図26においては他図と異なり筐体30を示していない。しかし実際には図26においても筐体30が他の例と同様に配置されている。図26を参照して、本実施の形態の第1例の電力変換器300は、図25に示す金属プレート58および接続部59を含む放熱端子台50Gが配置されている。図26に示すように、金属プレート58は、回路基板10A,10Bと放熱板40A,40Bとの間に配置されている。言い換えれば回路基板10A,10Bは金属プレート58を介在して放熱板40A,40Bに固定されている。放熱端子台50Gのうちの金属プレート58の部分は、電子部品14と平面視にて重なる領域およびこれの外側に隣接する領域に配置されている。
このため金属プレート58の部分は、電子部品14を平面視にて外側から囲むように配置されている。図26において、図25に示すように、放熱端子台50Gは回路基板10A,10Bの他方の主表面13B側に配置され、第1の部分51および第2の部分52が他方の主表面13B側から一方の主表面13A側へ貫通孔17Aを貫通して一方の主表面13A側に露出している。これにより第1の部分51および第2の部分52については他の各例と同様の構成を有している。また金属プレート58は回路基板10A,10Bの他方の主表面13B上にたとえばはんだにより接合されてもよい。
次に、図26を参照しながら、本実施の形態の第1例の作用効果について説明する。なお図26では、導通部材23の1次巻線コイルパターン21APおよび2次巻線コイルパターン21BP(図9参照)などの巻線部材から放熱板40A,40Bへの放熱経路を矢印H1で示している。また図26では、電子部品14および磁性部品24から回路基板10A,10Bを伝い放熱板40A,40Bへ伝わる放熱経路を矢印H2で示している。
本開示に従った電力変換器300は、回路基板10A,10Bは金属プレート58を介在して放熱板40A,40Bに固定される。金属プレート58は放熱端子台50A〜50Fと一体となっている。これにより、図26の矢印H2に示すように、たとえば電子部品14から生じた熱は回路基板10A,10Bを介して金属プレート58に伝わり、金属プレート58の主表面に沿う方向に拡散した後、放熱板40A,40Bに伝わる。このため金属プレート58が配置されることにより、これが配置されない場合に比べて、電子部品14と放熱板40A,40Bとの間の熱抵抗が下がる。このため電子部品14をより効率的に冷却できる。また金属プレート58が放熱端子台50と一体である。このため、上記他の例のように放熱端子台50を有することによる導通部材23から放熱端子台50を通り放熱板40A,40Bに達する矢印H1の放熱経路に加え、矢印H2の放熱経路が新たに生じる。このように本開示に従えば、放熱端子台50が金属プレート58を有さない場合に比べて放熱経路が増える。このため電子部品14などをより効率的に冷却できる。またこのようないっそう効率的に冷却できる構成が、新たな放熱部材を設けず、既存の放熱端子台50に金属プレート58の部分を加えるだけで、容易に設置できる。
その他、本開示に従った電力変換器300は以下の効果を有する。金属プレート58が回路基板10A,10Bの他方の主表面13B上にはんだなどにより接合されることで、上記の矢印H2の経路のように電子部品14からの熱を金属プレート58の主表面上で拡散させ放熱板40A,40Bに伝える効率を高められる。
さらに、金属プレート58は、Y方向に関する厚みが、これと同じく回路基板10A,10Bと放熱板40A,40Bとの間に配置されるスペーサ63(図10参照)とほぼ同じ1mmである。このため回路基板10Bを放熱板40Bに図10のように固定すれば、金属プレート58と放熱板40A,40Bとが接触する。このため電子部品14から、金属プレート58を経由した放熱板40A,40Bまでの放熱経路の熱抵抗が下がり、電子部品14をより効率的冷却できる。
また、磁性部品24から電子部品14に流れる電流が、放熱端子台50Gの接続部59と、回路基板10A,10Bに形成された図示されない配線パターンとに並列に流れる。このため、接続部59が配置されない場合に比べて、電流の流れる領域の断面積の総和が大きくなり、電気抵抗が下がる。このため電流の二乗と電気抵抗との積で決まる電力損失が低減される。このため回路基板10A,10Bに形成された図示されない配線パターンの温度上昇を抑制できる。
なお電力変換器300では、たとえば電力変換器103と同様に、回路基板10A,10Bは放熱板40A,40Bに接触していない。回路基板10A,10Bが金属プレート58を介在して放熱板40A,40Bに固定されるためである。しかし回路基板10A,10Bは放熱板40A,40Bに接近している。このため回路基板10A,10Bは主表面40C上に熱伝導可能に接続されている。
次に、本実施の形態の変形例である第2例に係る電力変換器について、図27を用いて説明する。図27は、実施の形態3の第2例の電力変換器の内部の各部品の配置構成を示す概略上面図である。ただし説明の便宜上、図27においても図26と同様に筐体30を示していない。図27を参照して、本実施の形態の第2例の電力変換器301においては、電力変換器300と同様の構成を有するが、金属プレート58と放熱板40A,40Bとの間に第2の熱伝導部材82が配置されている。放熱端子台50Gの接続部59と放熱板40A,40Bとの間にも第2の熱伝導部材82が配置されている。たとえば放熱端子台50Gと放熱板40A,40Bとの間を電気的に絶縁する必要がある場合にこのような構成とすれば、両者間を絶縁しつつ、効率的に伝熱および冷却できる。
なお電力変換器301では、たとえば電力変換器103,300と同様に、回路基板10A,10Bは放熱板40A,40Bに接触していない。回路基板10A,10Bが金属プレート58および第2の熱伝導部材82を介在して放熱板40A,40Bに固定されるためである。しかし回路基板10A,10Bは放熱板40A,40Bに接近している。このため回路基板10A,10Bは主表面40C上に熱伝導可能に接続されている。
実施の形態4.
図28は、実施の形態4の電力変換器の内部の各部品の配置構成を示す概略上面図である。図28を参照して、本実施の形態の電力変換器400においては、磁性部品24がE型コア24EおよびI型コア24Iを有していない。電力変換器400の磁性部品24は、導通部材23に含まれる1次巻線コイルパターン21AP、2次巻線コイルパターン21BP、平滑リアクトルコイルパターン22Pおよび放熱パターン26Pからなるコイルパターン25(図9参照)のみから構成されている。したがって回路基板10A,10Bの貫通孔17および導通部材23の貫通孔27は形成されなくてもよい。このような構成も、本実施の形態として想定できる。
なお上記以外の電力変換器400の特徴は、基本的に電力変換器100と同様である。すなわち、本開示に従った電力変換器400は、回路基板10A,10Bと、磁性部品24と、導通部材23と、放熱板40A,40Bと、放熱端子台50と、筐体30とを備える。回路基板10A,10Bは電子部品14が載置されている。磁性部品24はコイルパターン25とを含む。導通部材23はコイルパターン25を含む。放熱板40A,40Bは主表面40Cを含み、主表面40C上に回路基板10A,10Bが熱伝導可能に接続される。放熱端子台50は、回路基板10と導通部材23とを互いに間隔をあけて対向するように固定する。筐体30は、冷却器31と熱伝導可能に接続し、導通部材20および放熱板40を収納する内部空間31Cを有する。放熱板40A,40Bは筐体30と熱伝導可能に配置される。導通部材23と回路基板10との間隔は、導通部材23と放熱板40A,40Bの主表面との間隔より小さい。
以上に述べた各実施の形態(に含まれる各例)に記載した特徴を、技術的に矛盾のない範囲で適宜組み合わせるように適用してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。