JP2020201517A - ペリクルフレーム及びペリクル - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の目的は、ペリクルフレーム上の粘着層の内縁部が断面で見ると曲面であることによって発生するペリクル膜の引き攣れを防止できるペリクルフレーム及びペリクル膜の引き攣れがなく外観に優れたペリクルを提供することである。【解決手段】本発明は、ペリクル膜が設置される面について、内縁側から外縁側に向けて下がった傾斜面が設けられ、この傾斜面の外縁側終端からペリクル膜が設置される面の外縁にかけて平坦面が設けられている枠状のペリクルフレームである。また、このペリクルフレームのペリクル膜が設置される面について、傾斜面上及び平坦面上に接着層が設けられ、この接着層を介してペリクル膜が設置されているペリクルである。【選択図】図9

Description

本発明は、半導体デバイス、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等を製造する際にゴミ除けとして使用されるペリクルフレーム及びペリクルに関するものである。
LSI、超LSIなどの半導体製造や液晶ディスプレイ等の製造においては、半導体ウエハや液晶用原板に光を照射してパターンを形成するが、このときに用いるフォトマスクまたはレチクル(以下、単にフォトマスクと記述する)にゴミが付着していると、エッジががさついたものとなったり、下地が黒く汚れたりするなど、寸法、品質、外観が損なわれるという問題があった。
このため、これらの作業は通常クリーンルームで行われているが、それでもフォトマスクを常に清浄に保つことが難しいので、フォトマスク表面にゴミ除けとしてペリクルを貼り付けした後に露光を行っている。この場合、異物はフォトマスクの表面には直接付着せず、ペリクル上に付着するため、リソグラフィ時に焦点をフォトマスクのパターン上に合わせておけば、ペリクル上の異物は転写に無関係となる。
一般に、ペリクルは、アルミニウム、鋼、炭素鋼、ステンレス鋼、エンジニアリングプラスチックなどからなるペリクルフレームの片側端面に、光を良く透過させるニトロセルロース、酢酸セルロースあるいはフッ素樹脂などからなる透明なペリクル膜を設け、さらに、ペリクルフレームの反対側端面には、フォトマスクに装着するためのポリブテン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂等からなる粘着層及び粘着層の保護を目的としたセパレータを設けて構成される(特許文献1、2を参照)。
特開2005−338722号公報 特開2008−176102号公報
通常、ペリクル膜は、ペリクルフレームの面上に形成された接着層を介して設置される。ペリクルフレームの面上に塗布された接着剤は、その表面張力とペリクルフレームの表面状態から決定される接触角で盛り上がり、凸形状となる。この凸形状が顕著であると、凸形状の頂点付近のみがペリクル膜に接触するため、接着面積が小さくペリクル膜との接着力が弱くなるという問題がある。
また、接着層の内縁部は、断面で見ると曲面になるため、この領域にペリクル膜が接着すると、図11、図12に示すが如く膜が引き攣れた微小なシワが生じ、外観上の問題となることもある。特に、液晶、有機ELなどディスプレイ等の製造に用いられる大型のペリクルでは、フレーム幅が広く、膜接着層も厚いため、この問題は顕著に現れる。
そのため、ペリクル膜を設置するための接着層はできるだけ平坦になるように塗布をする必要があり、特許文献1では、ペリクルフレーム表面に溝を設けて接着層の形状を制御する方法を提案している。また、特許文献2では、比較的低粘度の接着剤を用いて、毛細管現象を利用して接着層の高さを抑制しつつ、幅広のペリクルフレームに塗布する方法を提案している。
特許文献1及び2に記載の方法は、膜接着層の頂点を低くすることができ、ペリクル膜との接着面積の確保という点では十分に問題を解決することができる。しかしながら、表面張力により形成される接着層の内縁部の曲面を完全に解消するには至らず、膜接着層の内縁付近で発生するペリクル膜の引き攣れについては、必ずしも完全に解決できていない。
また、特許文献1に記載の方法では、塗布する接着剤量が少なくなった場合には、膜接着層の表面が凹状になってしまい、ペリクル膜との間にエアだまりができ、接着が困難になるという問題もある。
そこで、本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたものであり、膜接着層の内縁部が断面で見ると曲面となることによって発生するペリクル膜の引き攣れを防止できるペリクルフレーム及びペリクル膜の引き攣れがなく外観に優れたペリクルを提供することを目的とするものである。
本発明のペリクルフレーム及びペリクルは、次のとおりのものである。
(1)枠状のペリクルフレームであって、ペリクル膜が設置される面について、内縁側から外縁側に向けて下がった傾斜面が設けられ、この傾斜面の外縁側終端からペリクル膜が設置される面の外縁にかけて平坦面が設けられていることを特徴とするペリクルフレーム。
(2)前記傾斜面は、前記ペリクル膜が設置される面の全周にわたって設けられていることを特徴とする請求項1に記載のペリクルフレーム。
(3)前記傾斜面の幅は、前記ペリクル膜が設置される面の幅の50%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のペリクルフレーム。
(4)前記傾斜面と前記平坦面に対して垂直な面とのなす角度が、60〜89°であることを特徴とする請求項1から3の何れかに記載のペリクルフレーム。
(5)前記傾斜面の内縁側始端は、前記ペリクル膜が設置される面の内縁から0.2mm以内に位置することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載のペリクルフレーム。
(6)前記傾斜面の内縁側始端は、前記ペリクル膜が設置される面の内縁であることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載のペリクルフレーム。
(7)前記傾斜面の幅は、0.3〜3mmであることを特徴とする請求項1から6の何れかに記載のペリクルフレーム。
(8)前記傾斜面の高さは、0.03〜0.3mmであることを特徴とする請求項1から7の何れかに記載のペリクルフレーム。
(9)前記傾斜面は、平面から構成されていることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載のペリクルフレーム。
(10)前記傾斜面は、曲面から構成されていることを特徴とする請求項1から8の何れかに記載のペリクルフレーム。
(11)請求項1から10の何れかに記載のペリクルフレームを含んで構成されるペリクルであって、前記ペリクルフレームの前記ペリクル膜が設置される面について、前記傾斜面上及び前記平坦面上に接着層が設けられ、接着層を介して前記ペリクル膜が設置されていることを特徴とするペリクル。
(12)枠状のペリクルフレームに接着層を介してペリクル膜が設置されているペリクルであって、前記接着層のペリクル膜接着面について、該ペリクル膜接着面の内縁側から外縁側に向けて下がった傾斜面が設けられ、該傾斜面の内縁側始端における前記接着層の厚みは、前記傾斜面の外縁側終端における前記接着層の厚みよりも小さいことを特徴とするペリクル。
本発明によれば、膜接着層近傍のペリクル膜に引き攣れが発生せず、外観に優れたペリクルを得ることができる。
本発明によるペリクルフレームの一実施形態を説明する平面図である。 本発明によるペリクルフレームの一実施形態を説明する図であって、図1中A−A断面図である。 本発明によるペリクルフレームの一実施形態を説明する図であって、図1中B−B断面図である。 本発明によるペリクルフレームの一実施形態を説明する図であって、図2中C部の拡大図である。 本発明によるペリクルフレームの一実施形態を説明する断面図である。 本発明によるペリクルフレームの一実施形態を説明する断面図である。 本発明によるペリクルフレームの一実施形態を説明する斜視図である。 本発明によるペリクルの一実施形態を説明する斜視図である。 本発明によるペリクルの一実施形態を説明する拡大断面図である。 本発明によるペリクルの一実施形態を説明する断面図であって、接着剤塗付工程を示す。 従来例(比較例)のペリクルを説明する斜視図である。 従来例(比較例)のペリクルフレームの内縁付近を説明する斜視図である。 従来例(比較例)のペリクルを説明する断面図である。 従来例(比較例)のペリクルフレームを説明する断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明は、全ての大きさ、用途のペリクルに対して適用することができるが、特には、辺幅が5mmを超えるような、主としてディスプレイ製造用途で用いられる大型のペリクルに適用した場合に効果が大きい。大型で、ペリクルフレームの幅が大きいペリクルでは膜接着層も厚くなり、ペリクル膜が引き攣れた際の外観悪化も顕著なためである。
図1〜4に本発明によるペリクルフレームの一実施形態を示す。図1は平面図、図2は図1中A−A断面図、図3は図1中B−B断面図、図4は図2中C部の拡大図である。
枠状のペリクルフレーム11のペリクル膜が設置される面(膜接着面)12に、内縁側から外縁側に向けて下がった傾斜面12aが設けられ、傾斜面の外縁側終端bからペリクル膜が設置される面の外縁にかけて平坦面12bが設けられている。ここでは、傾斜面12aは、ペリクル膜が設置される面の全周にわたって設けられている。
次に、傾斜面12aの高さh、傾斜角α、幅wについて詳述するが、以下に挙げる数値は、適用するペリクルフレームの幅ならびに使用する膜接着剤の粘度、塗布量、乾燥速度などの性状に応じて適宜決定されるものである。
傾斜面12aの幅wは、ペリクルフレーム11の膜接着面12の幅Wの50%以下とすることが好ましい。このようにすれば、ペリクルをフォトマスクに装着する際の加圧領域として用いる平坦面12bの領域を十分に確保することができる。そのため、平坦面12bの幅w´は、ペリクルフレーム11の膜接着面12の幅Wの50%以上とすることが好ましく、これにより、半導体製造用の小型のペリクルでは1mm以上、ディスプレイ製造用の大型のペリクルでは2mm以上あれば、加圧領域として十分使用することができる。
傾斜面12aは平坦面12bに対して突出しており、対面のマスク粘着面13と平行ではないため、ペリクルをフォトマスクに装着する際に、傾斜面12aの領域を加圧すると位置ずれや貼り付け不良を起こす懸念がある。このため、平坦面12bは、ペリクルをフォトマスクに装着する際の加圧領域として用いるため、ペリクルフレームのフォトマスクに装着する面(マスク粘着面)13と平行になっていることが好ましい。
傾斜面12aと平坦面12bに対して垂直な面14とのなす角度(傾斜角)αは、60〜89°であることが好ましく、80〜87°であることがより好ましい。傾斜角αが89°を超えると、ペリクル膜の引き攣れ防止効果を十分に発揮することができない。傾斜角αは、小さいほど膜接着層の内縁を鋭くする効果が大きくなり、それに従って、ペリクル膜の内縁外観も向上する。しかし、傾斜角αが60°未満になると、鋭利な縁部が接着したペリクル膜に損傷を与える懸念があるうえ、ペリクルフレームの製造時や取扱時にバリや欠損を生じやすくなり、また、ペリクル製造時にペリクル膜をエアの巻き込みなく膜接着層に接着することが難しくなる。
傾斜面12aは、設計、加工のしやすさから図4に示すように一つの平面で構成されていることが好ましいが、図5(b)に示すように二つ以上の平面52、53から構成されていてもよい。また、図5(a)に示すように曲面51で構成されていてもよい。これらの場合、二つ以上の平面及び曲面は、凹面を構成することが好ましく、傾斜面と平坦面との境界を目立たなくすることができる。
なお、傾斜面を曲面で構成した場合、傾斜角αは、内縁側始端aにおける傾斜面(曲面)51の接線54と平坦面に対して垂直な面とのなす角度である。また、傾斜面を二つ以上の平面で構成した場合、傾斜角αは、内縁側始端aを含む面52と平坦面に対して垂直な面とのなす角度である。
また、傾斜面の内縁側始端aは、設計、加工のしやすさからペリクルフレーム11の膜接着面の内縁と一致することが好ましいが、図6(a)、図6(b)に示されるように、内縁側始端aから膜接着面の内縁にかけて平面部61や外縁側から内縁側に向けて下がった傾斜面(逆傾斜面)62を設けてもよい。このような平面部61や逆傾斜面62を設ければ、内縁側始端aを頂点とする角の角度を大きくすることができるため、ペリクルフレームの加工上、バリ、カエリ、欠損等の発生を防止することができる。
なお、傾斜面の内縁側始端aは、ペリクル膜が設置される面の内縁から0.2mm以内に位置するようにすることが好ましい。
傾斜面12aを図4に示すような一つの平面で構成する場合、傾斜角αは、傾斜面12aの幅wと高さhによって決定される。幅wが小さいほど、また、高さhが大きいほど、傾斜角αは小さくなり、より確実なペリクル膜の引き攣れ防止効果を期待できる。
一方で、ペリクルは使用する露光装置の仕様によって、全体の高さが決められているため、傾斜面12aの高さhが大きくなるほど、ペリクルフレーム本体部の高さHが小さくなる。その結果、ペリクルフレームの断面積が減少し、剛性、強度が低下する。また、高さhが大きくなるほど、ペリクル膜をエアの巻き込みなく膜接着層に接着することが難しくなる。そのため、傾斜面12aの高さhは、ペリクルフレーム全体の高さ(h+H)の0.5〜5%とすることが好ましい。また、0.03〜0.3mmの範囲とすることが好ましく、0.05〜0.15mmの範囲とすることがより好ましい。
また、傾斜面12aの幅wを大きくした場合には、傾斜角αを所望の範囲にするためには傾斜面12aの高さhを大きくする必要があり、前述のように外観及び使用上の問題となる場合がある。そのため、傾斜面12aの幅wは、0.3〜3mmの範囲とすることが好ましく、0.5〜1.5mmの範囲とすることがより好ましい。
また、特に、ディスプレイ用途で用いる大型のペリクルとして、長辺と短辺のペリクルフレーム幅が違っているものも多く使用されているが、その場合は、長辺、短辺とも傾斜面12aは同じ寸法、形状とした方が好ましい。同一寸法、形状とすることで、傾斜面12aは機械加工で製作する際に好都合となり、また、角部の接続形状の外観を滑らかにすることができる。図7はペリクルフレーム11の角部分を示したもので、このように幅の異なる辺、角部も含めて傾斜面12aは一様に形成されることが良い。
本発明で用いるペリクルフレーム11の材質は、一般的なアルミニウム合金の他に、マグネシウム合金、鋼、炭素鋼、ステンレス鋼、インバー、SiN、SiCなどのセラミックス、エンジニアリングプラスチック、CFRPなどの繊維強化プラスチックを用いることができる。製造方法としては、金属系材質の場合は、板材やパイプ材からの機械切削加工が最も好ましいが、コスト削減のために棒状材の組立、ダイカストやロストワックスなどの鋳造品からの製造とすることもできる。また、プラスチック系材質を用いた場合は、板材からの機械切削加工の他に、射出成型を利用することもできる。
図8は、上記したペリクルフレーム11を使用してペリクル80を構成した一実施形態を示す斜視図で、図9は長辺の断面拡大図である。ペリクルフレーム11は、必要に応じて、ペリクル内外を通気させるための通気孔84や、製造や貼り付け時のハンドリングに用いる、治具孔85や溝86を設けることもできる。また、マスク粘着層83が設けられるマスク粘着面13においては、マスク粘着層83の形状や幅を制御する目的で段差や面取り、溝(図示しない)を設けることもできる。
ペリクルフレーム11の枠状をなす膜接着面12には膜接着層82が設けられ、そこにペリクル膜81が接着されている。また、その対面となるマスク粘着面13にはマスク粘着層83が設けられており、その表面には粘着層の保護のため、必要に応じてPETなどの厚さ0.5mm以下のフィルムにシリコーン系あるいはフッ素系の離型剤を塗工したセパレータ88が設けられる。さらに、ペリクルフレーム11の側面に設けられた通気孔84は、内部への塵埃の侵入を防ぐためPTFEなどの多孔質膜からなるシート状のフィルタ87が粘着層(図示しない)を介して取り付けられている。
膜接着層82は、アクリル系接着剤、フッ素系接着剤、シリコーン系接着剤など公知のものを用いることができる。これら接着剤を適当な溶媒で希釈するなどして粘度を調整し、所望の厚さとなる液量でペリクルフレーム11の一面である膜接着面12上に塗布する。塗布手段は、エア加圧式ディスペンサなど公知のものを利用することができる。膜接着層82の厚みは、接着力や接着のしやすさ、外観から決定する必要があるが、一例として、20〜300μmの範囲が好ましい。
図10は、膜接着層82を形成した際の状態を示すものである。接着剤塗布直後は、図10(a)のように傾斜面12aは接着剤に埋没している。その後、図10(b)のように溶媒の乾燥が進むにつれて接着剤が傾斜面12aに沿って収縮して傾斜面12aの内縁側始端aが露わになる。そして、最終的には図10(c)のように、傾斜面12aの内縁側始端aにおける膜接着層82の厚みが傾斜面12aの外縁側終端bにおける接着層の厚みよりも小さく(薄く)、膜接着層82の表面張力により生じる曲面の影響を無視できる程度まで薄く形成される。このとき、接着層のペリクル膜81と接する面(膜接着面)92は、内縁側から外縁側に向けて下がった傾斜面92aを有する。
そして、傾斜面12aの内縁側始端aにおける膜接着層82の厚みが薄い場合は、図13に示すような曲面部112aの如きペリクル膜119に沿った方向の接着面が膜接着層82に形成されることがないため、ペリクル膜81が部分的に接着する余地が膜接着層82に存在しないので、従来例の図13(a)に示すようなペリクル膜81が部分的に接触、接着して、引き攣れを発生させる事態を防止することができる。
膜接着面92の傾斜面92aの内縁側始端は、ペリクルフレーム11の膜接着面12の内縁と必ずしも一致する必要はないが、膜接着層82の内縁側始端と一致することが好ましい。何故なら、図10(c)に示す膜接着層82が膜接着面92の傾斜面92aの内縁側始端よりも内縁側にまで形成された場合、接着層の形状にもよるが、ペリクル膜の引き攣れが発生してしまう場合があるからである。
もっとも、図4及び図5に示すようなペリクルフレーム11では、膜接着層82が膜接着面92の傾斜面92aの内縁側始端よりも内縁側にまで形成されることは殆ど考えられないが、特に図6(b)に示すようなペリクルフレーム11では、逆傾斜面62に膜接着層82が形成される場合が想定される。この場合、膜接着層82が傾斜面92aの内縁側始端aよりも内縁側にまで形成されると、この内縁側の膜接着層82が図13(a)、(b)に示すような曲面部112aを形成して、ペリクル膜81の引き攣れの原因となることがある。また、図6(a)に示すようなペリクルフレーム11でも、膜接着層82が内縁の平面部61にまで形成されると、同様にペリクル膜81の引き攣れが発生する恐れがあるが、平面部61が広すぎず狭ければ、膜接着層82が内縁側にまで形成されたとしても、ペリクル膜81が部分的に接着する余地を確保できないため、ペリクル膜81の引き攣れは殆ど発生しないため特に問題はない。
したがって、図6(a)、図6(b)に示すようなペリクルフレーム11の形状の場合、平面部61や逆傾斜部62には接着層を設けない方が好ましいが、平面部61や逆傾斜部62の幅が十分に狭く、逆傾斜部62の勾配が小さい場合などはこの限りではない。
ペリクル膜81はスピンコート法、スリットコート法など公知の方法を用いてセルロース系樹脂、フッ素系樹脂などの膜材料溶液を平滑基板上に塗布し、乾燥固化させて製造した、例えば0.1〜10μm程度の厚さのものを用いることができる。
マスク粘着層83の材質としては、アクリル系樹脂、ポリブテン樹脂、SEBS、シリコーン樹脂など公知のものを用いることができ、膜接着層82と同様、必要に応じて適当な溶媒で希釈し、エア加圧式ディスペンサ等を用いてマスク粘着面13上に塗布することが良い。マスク粘着層83の形状は、図9に示すように、マスク粘着面13の一部の領域だけに設けるほかに、複数列で設けるか、あるいは全面に形成しても良い。また、その断面形状は、凸状としても良いし、マスク粘着層83の高さの調整と、平坦度を向上させるために平面への潰し加工を施すことも良い。
そして、上記のように構成したペリクルは、図9に示すように膜接着層82の内縁側に表面張力により形成される凸形状の曲面が殆ど形成されないか、又は曲面が形成されたとしてもその影響を無視できる程度であるため、ペリクル膜81は膜接着層82の内縁まで、隙間なく完全に接着され、ペリクル膜81が膜接着層82に引っ張られて引き攣れることがない。その結果、ペリクルフレーム11の内縁付近においてペリクル膜81の外観が極めて向上する。
〈実施例1〉
以下、実施例を示して本発明をより具体的に説明する。
図1、図2、図3及び図4に示したペリクルフレームを用いて作製した、ペリクルの斜視図と断面図を図8、図9に示す。
ペリクルフレーム11は、5000系アルミニウム合金を用いて機械加工により作製し、黒色アルマイト処理を施した。このとき、ペリクルフレーム11の寸法は外寸756×937.5mm、内寸740×925.5mm、高さ5.8mmとした。ペリクル膜が設置される面(膜接着面)12には、全周にわたって、内縁側から外縁側に向けて下がった傾斜面12aを設け、傾斜面12aの外縁側終端bからペリクル膜が設置される面の外縁にかけて平坦面12bを形成した。
傾斜面12aは、幅w=1mm、高さh=0.1mmとし、傾斜角αは約84.3°、平坦面の幅は長辺7mm、短辺5mmとした。なお、傾斜面12aの内縁側始端aは、膜接着面の内縁に一致している。このペリクルフレーム11をクラス10のクリーンルームに搬入し、界面活性剤と純水で洗浄し、完全に乾燥させた。
このペリクルフレーム11に対して、マスク粘着面13上にトルエンで希釈したシリコーン粘着剤(信越化学工業(株)製)をエア加圧式ディスペンサにより塗布し、マスク粘着層83を形成した。また、膜接着面12上には、ペリクル膜接着剤としてシリコーン粘着剤(信越化学工業(株)製)を厚さ約80μmとなるようにエア加圧式ディスペンサで塗布し、膜接着層82を形成した。そして、120℃以上に加熱を行い、溶媒を完全に除去するとともに、シリコーン粘着剤を加熱キュアさせた。
膜接着層82は、図9及び図10(c)に示されるような断面形状となり、傾斜面12aの内縁側始端aにおける膜接着層82の厚みは、傾斜面の外縁側終端bにおける膜接着層82の厚みよりも小さくなった。このとき、膜接着層82のペリクル膜と接する面(膜接着面)92は、内縁側から外縁側に向けて下がった傾斜面92aを有している。また、膜接着面92の傾斜面92aの内縁側始端は、膜接着層82の内縁側始端と一致している。
その後、マスク粘着層83の表面には、表面保護のため、厚さ0.125mmのPETフィルムに離型剤を塗布し、フレーム11の外形と略同形に切り抜き加工したセパレータ88を取り付けた。さらに、ペリクルフレーム11側面に設けられた通気孔84の外側にはPTFE多孔質膜からなる防塵フィルタ87をアクリル粘着層(図示しない)を介して取り付けた。
最後に、平滑に研磨された石英ガラス基板上にフッ素系ポリマー(旭硝子(株)製)をスリットコート法により成膜し、乾燥、剥離して得た厚さ約2.2μmのペリクル膜81を膜接着層82を介して貼り付け、ペリクル80を完成させた。
完成したペリクル80を観察したところ、膜接着層82は図9に示す如く、膜接着面12を完全に覆うように形成されているとともに、ペリクルフレーム11の傾斜面12aの内縁側始端aに向かうほど、その厚さが薄くなり、内縁側始端a付近では極めて薄く、エッジの切り立った断面形状となっていた。
そして、このペリクル80について、ペリクル膜81のペリクルフレーム近傍を観察したところ、ペリクルフレーム11の内縁全周にわたって、膜接着層82にペリクル膜81の未接着領域はほとんど観察されなかった。また、輸送中の振動を想定して、エアブローによりペリクル膜81を振動させてみたが、ペリクル膜81に局所的なシワ、引き攣れは観察されず、良好な外観が保たれていた。
〈比較例1〉
比較例1として、前記実施例1と同一寸法であり、断面形状だけが異なるペリクルフレーム111を用いて図11に示すペリクル110を作製した。使用したペリクルフレーム111を除き、製造工程、条件は全て実施例1と同一とした。このとき用いたペリクルフレーム111の断面形状は図14に示すようになっており、前記実施例1にあるようなペリクルフレーム11の内縁付近の突起はなく、矩形断面となっている。
完成したペリクル110のペリクル膜119には、ペリクルフレーム111の内縁付近に図12に拡大図を示すような微小な膜の引き攣れ120が所々発生していた。また、ペリクル110の断面は、膜の引き攣れ120が生じている所は図13(a)のようになっており、一方、引き攣れ120が生じていない所は図13(b)のようになっていた。
また、ペリクル膜接着層112はほぼ均一な厚さに形成されていたが、接着層の表面張力の働きにより、内縁付近には凸状の曲面部112aが生じていた。そして、ペリクル膜119の弛みが大きい領域や、工程間の搬送に伴ってペリクル膜119が揺れた際に、曲面部112aにペリクル膜119が接触、接着し、引き攣れ120が発生したものと推察される。そして、これは外観を悪くするため好ましいものではなかった。
11 ペリクルフレーム
12 膜接着面
12a 傾斜面
12b 平坦面
13 マスク粘着面
14 平坦面に対して垂直な面
51 曲面
52 傾斜面
53 傾斜面
61 平面部
62 逆傾斜面
80 ペリクル
81 ペリクル膜
82 膜接着層
83 マスク粘着層
84 通気孔
85 治具孔
86 溝
87 フィルタ
88 セパレータ
92 膜接着層の膜接着面
92a 膜接着面の傾斜面
92b 膜接着面の平坦面
110 ペリクル
111 ペリクルフレーム
112 膜接着層
112a 曲面部
113 マスク粘着層
114 通気孔
115 治具孔
116 溝
117 フィルタ
118 セパレータ
119 ペリクル膜
120 引き攣れ部
a 傾斜面の内縁側始端
b 傾斜面の外縁側終端
w 傾斜面の幅
w´平坦面の幅
h 傾斜面の高さ
α 傾斜面の角度
W ペリクルフレームの膜接着面の幅
H ペリクルフレーム本体部の高さ

Claims (10)

  1. ペリクルフレームの片側端面に設けられた接着層によりペリクル膜が接着されたペリクルであって、
    前記ペリクル膜と前記接着層の実際に接着されている部分より前記接着層の内縁側に、前記接着層の凸状曲面部を有さないペリクル。
  2. ペリクルフレームの片側端面に設けられた接着層によりペリクル膜が接着されたペリクルであって、
    前記接着層の内縁部において、前記ペリクル膜と前記接着層が隙間なく接着されているペリクル。
  3. ペリクルフレームの片側端面に設けられた接着層によりペリクル膜が接着されたペリクルであって、
    前記ペリクル膜と前記接着層が引き攣れを起こす隙間がなく接着されているペリクル。
  4. 前記ペリクル膜と前記接着層が引き攣れを起こす隙間がなく接着されている請求項1又は2に記載のペリクル。
  5. 前記接着層が、その内縁側から外縁側に向けて下がった傾斜面を有する請求項1から4の何れかに記載のペリクル。
  6. 前記傾斜面の内縁側始端における前記接着層の厚みが、前記傾斜面の外縁側終端における前記接着層の厚みよりも小さい請求項5に記載のペリクル。
  7. 請求項1から6の何れかに記載のペリクルをフォトマスクに装着してなるペリクル付フォトマスク。
  8. 請求項7記載のペリクル付フォトマスクを用いて露光することを特徴とする露光方法。
  9. 請求項7記載のペリクル付フォトマスクを用いて露光する工程を有する半導体の製造方法。
  10. 請求項7記載のペリクル付フォトマスクを用いて露光する工程を有するディスプレイの製造方法。
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