JP2020200513A - アルミニウム合金材 - Google Patents

アルミニウム合金材 Download PDF

Info

Publication number
JP2020200513A
JP2020200513A JP2019109175A JP2019109175A JP2020200513A JP 2020200513 A JP2020200513 A JP 2020200513A JP 2019109175 A JP2019109175 A JP 2019109175A JP 2019109175 A JP2019109175 A JP 2019109175A JP 2020200513 A JP2020200513 A JP 2020200513A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
content
aluminum alloy
alloy material
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2019109175A
Other languages
English (en)
Inventor
匠 丸山
Takumi Maruyama
匠 丸山
克樹 奥野
Katsuki Okuno
克樹 奥野
好成 奥野
Yoshishige Okuno
好成 奥野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
Showa Denko KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Denko KK filed Critical Showa Denko KK
Priority to JP2019109175A priority Critical patent/JP2020200513A/ja
Publication of JP2020200513A publication Critical patent/JP2020200513A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

【課題】高強度かつ高靭性のアルミニウム合金材を提供する。【解決手段】本発明のアルミニウム合金材は、Si:13質量%〜15質量%、Cu:2.0質量%〜4.0質量%、Mg:0.2質量%〜0.8質量%、Fe:0.05質量%〜0.62質量%を含み、Niを0.05質量%以上かつFe含有率が0.05質量%〜0.49質量%の場合には、(Ni含有率[質量%])≦6.28−4.33×(Fe含有率[質量%])、Fe含有率が0.49質量%〜0.62質量%の場合には、(Ni含有率[質量%])≦20.29−32.72×(Fe含有率[質量%])で表される含有率で含み、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有している。【選択図】図3

Description

この発明は、例えば4輪自動車用、2輪自動車用、汎用などの内燃機関部品に代表されるエンジンピストンやコンプレッサー、シリンダライナ、クランクシャフト、カムシャフト、エンジンブロック等として好適に用いられるアルミニウム合金材に関するものである。
近年の自動車業界においては燃費の向上が強く求められており、それに伴って自動車に使用される各種部材例えば、内燃機関のピストンや、コンプレッサー等の軽量化および高機能化の要求が益々高まってきている。
このような自動車用の各種部材については、従来の鉄鋼材料や鋳鉄材料に代えて、重量に対する強度の比である比強度が高いアルミニウム合金材を使用する傾向が高くなっている。中でも特に高温雰囲気下等の過酷な環境でも耐え得る部材として、高温高強度を有するAl−Si系合金等のアルミニウム合金の鍛造材が注目されるようになっている。
この種のアルミニウム合金製鍛造材の製造方法としては、例えば特許文献1に記載されるように、所定の成分組成のアルミニウム合金溶湯をアトマイズ法等により急冷凝固した粉末に対し、熱間押出加工を行い、得られた押出材を型鍛造して所定の製品形状とすることが一般に行われている。
特開平2−277751号
ところで、上記特許文献1に示す従来のアルミニウム合金製鍛造材の製造方法のように、アルミニウム合金製のアトマイズ粉末の押出材を内燃機関用部品として用いる場合、アルミニウム粉末合金特有の、靭性が低いことに起因する脆性破壊が生じる恐れがある。
そこで靭性の低下を避けるために、アルミニウム合金製のアトマイズ粉末の押出材を用いずに、従来の一般的な鋳造材を鍛造素材として型鍛造により内燃機関部品を成形する方法を選択する場合がある。しかしながらこの方法を選択した場合に、アルミニウム粉末合金に比べると強度不足が否めず、その強度不足を補うために添加元素を多量に添加すると粗大な金属間化合物を生成して、靭性の低下およびその靭性の低下に伴う引張強さや伸び等の機械的特性の低下が発生するという課題があった。
この発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、高強度かつ高靭性のアルミニウム合金材を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を備えるものである。
[1]Si:13質量%〜15質量%、Cu:2.0質量%〜4.0質量%、Mg:0.2質量%〜0.8質量%、Fe:0.05質量%〜0.62質量%を含み、
Niを0.05質量%以上かつ
Fe含有率が0.05質量%〜0.49質量%の場合には、
(Ni含有率[質量%])≦6.28−4.33×(Fe含有率[質量%])
Fe含有率が0.49質量%〜0.62質量%の場合には、
(Ni含有率[質量%])≦20.29−32.72×(Fe含有率[質量%])
で表される含有率で含み、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有することを特徴とするアルミニウム合金材。
[2]P:0.0001〜0.02質量%を含むことを特徴とする前項1に記載のアルミニウム合金材。
[3]Mn:0.02〜0.3質量%、Cr:0.02〜0.3質量%、Ti:0.01〜0.15質量%およびZr:0.01〜0.15質量%のうち、少なくとも1種以上を含むことを特徴とする前項1または2に記載のアルミニウム合金材。
上記[1]によれば、Si、Cu、Mg、Fe、Niを所定量含有していることで、Si粒子の分散による分散強化、Al−Si−Fe−Ni−Cu系化合物の分散による分散強化およびCu、Mg系の析出による析出強化等により高い強度を有するとともに、かつ初晶金属間化合物を生じないことによりアルミニウム合金特有の高い靭性を有するアルミニウム合金材が得られる。
上記[2]によれば、Pを所定量含有しているため、初晶Siの微細化および均一分散されたアルミニウム合金材が得られる。
上記[3]のアルミニウム合金材によれば、Mn、Cr、Ti、およびZrのうち少なくとも1種以上を所定量含有しているため、材料の機械的特性に優れた、および/または母相の結晶が微細化されたアルミニウム合金材が得られる。
この発明の一実施形態である内燃機関部品用アルミニウム合金材の製造プロセスの一例を示すフローチャートである。 凝固計算により得られる鋳造工程中の各温度における化合物の相分率を表すグラフの一例である。 凝固計算により探索した初晶金属間化合物を生成しないFe含有率およびNi含有率の範囲を表すグラフである。
この発明のアルミニウム合金材を実施するための形態について詳細に説明する。
本発明のアルミニウム合金材は、Si、Cu、Mg、Fe、Niを所定量含有し、残部がAlと不可避不純物からなる。
また本発明のアルミニウム合金材は、Pをさらに所定量含有することが好ましい。
また本発明のアルミニウム合金材は、Mn、Cr、TiおよびZrのうち少なくとも1種以上をさらに所定量含有することが好ましい。
本発明のアルミニウム合金材を構成する各元素について、以下に説明する。
Siの添加量は13%〜15%である。Siは高温強度を向上させる効果を有している。この効果はSiが13%未満では表れ難く、13%以上で特に顕著に表れる。Siが15%を超えると初晶Siの晶出が多く室温での伸びが低下して、またアルミよりも固い初晶Siの存在によって切削加工の切削刃が欠けるおそれがある。よってSiは13%〜15%とする必要があり、好ましくは13.5%〜14.5%とするのが望ましい。
Cuの添加量は2.0%〜4.0%である。Cuは高温強度、とりわけ内燃機関の実用温度域である150℃〜250℃における強度を向上させる効果を有している。この効果はCuの析出によるもので、人工時効を施すことで上記効果を得ることができる。またNiおよびFeと同時添加することで、Al−Si−Ni−Fe−Cu系化合物として晶出し分散強化を得て高温強度が一層向上する効果がある。この双方の効果は、Cuが2%未満では表れ難く、2.0%以上で顕著に表れる。また4.0%を超えると、上記効果が顕著に表れ難くなり、また比重が増すことによって比強度が向上しなくなるおそれがある。よってCuは2.0%〜4.0%とする必要があり、より好ましくは2.5%〜3.5%とするのが望ましい。
Mgの添加量は0.2%〜0.8%である。Mgは高温強度を向上させる効果がある。Mgは連続鋳造時に固溶し、人工時効時にSiやCuと化合物を形成し析出することで、内燃機関の実用温度域である150℃〜250℃での強度を向上させる効果がある。この効果はMgが0.2%未満では表れ難く、0.2%以上で顕著に表れる。また0.8%を超えると上記効果が顕著に表れなくなる。よってMgは0.2%〜0.8%とする必要があり、より好ましくは0.4%〜0.6%にするのが望ましい。
Feの添加量は0.05%〜0.62%である。FeはSiおよびNi、Cuと同時添加することでAl−Si−Ni−Fe−Cu系化合物を晶出して分散強化に寄与し、コンプレッサーの実用温度域での強度を向上させる効果がある。この効果はFeが0.05%未満では表れ難く、0.05%以上で顕著に表れる。また0.62%を超えると粗大化した化合物が晶出し、靱性の低下をもたらす。よってFeは0.05%〜0.62%とする必要があり、より好ましくは0.2%〜0.4%とするのが望ましい。
Niの添加量は0.05質量%以上かつFe含有率が0.05質量%〜0.49質量%の場合には、(Ni含有率[質量%])≦6.28−4.33×(Fe含有率[質量%])Fe含有率が0.49質量%〜0.62質量%の場合には、(Ni含有率[質量%])≦20.29−32.72×(Fe含有率[質量%])である。Niは高温強度を向上させる効果および熱伝導率を低下させる効果を有している。NiはCuおよびFe、Siと同時添加することで、Al−Si−Ni−Fe−Cu系化合物を晶出させ、分散強化にて目的温度域での強度を向上させる効果がある。この効果はNiが上記範囲下限値未満では表れ難く、上記範囲下限値以上で顕著に表れる。また上記範囲上限値を超えると粗大晶出物が晶出し、靱性が著しく低下する。よってNiは上記範囲とする必要がある。
Pは任意添加元素であり、その添加量は0.0001%〜0.02%である。PはAlP化合物を形成して初晶Siの核となり、初晶Siの微細化および均一分散に寄与する効果がある。この効果はPが0.0001%未満では表れ難く、0.0001%以上で顕著に表れる。また0.02%を超えると湯流れ性が低下し鋳造が難しくなるおそれがある。よってPは0.0001%〜0.02%とする必要があり、より好ましくは、0.010%〜0.015%とするのが望ましい。また上記Si、Cu、Mg、Fe、Niの成分範囲であれば、Pの添加によるFe、Ni系金属間化合物の晶出形態に変化は生じないため、P添加によるFe、Ni系初晶金属間化合物の生成は生じない。
Mnは任意添加元素であり、その添加量は0.02%〜0.3%である。MnはAl−Si−Mn系化合物をして晶出し、材料の機械的特性を向上させる。これは0.02%未満では表れ難く、0.02%以上で顕著に表れる。また0.3%を超えるとMn系化合物が粗大化し、機械的特性が低下する。よってMnは0.02%〜0.3%とする。より好ましくは、0.1%〜0.2%とするのが望ましい。また上記Si、Cu、Mg、Fe、NiおよびPの成分範囲内であれば、Mnの添加によるFe、Ni系金属間化合物の晶出形態に変化は生じないため、Mn添加によるFe、Ni系初晶金属間化合物の生成は生じない。
Crは任意添加元素であり、その添加量は0.02%〜0.3%である。CrはAl−Si−Cr系化合物またはAl−Si−Mn−Cr系化合物として晶出し、材料の機械的特性を向上させる。これは0.02%未満では表れ難く、0.02%以上で顕著に表れる。また0.3%を超えるとCr系化合物が粗大化し、機械的特性が低下する。よってCrは0.02%〜0.3%とする。より好ましくは、0.1%〜0.2%とするのが望ましい。また上記Si、Cu、Mg、Fe、NiおよびPの成分範囲内であれば、Crの添加によるFe、Ni系金属間化合物の晶出形態に変化は生じないため、Cr添加によるFe、Ni系初晶金属間化合物の生成は生じない。
Tiは任意添加元素であり、その添加量は0.01%〜0.15%である。Tiは母相に固溶・濃化することで母相の結晶の微細化を促進する。これは0.01%未満では表れ難く、0.01%以上で顕著に表れる。また0.15%を超えるとTi系化合物が粗大晶出し、機械的特性が低下する。よってTiは0.01%〜0.15%とする。より好ましくは0.015%〜0.05%とするのが望ましい。また上記Si、Cu、Mg、Fe、NiおよびPの成分範囲内であれば、Tiの添加によるFe、Ni系金属間化合物の晶出形態に変化は生じないため、Ti添加によるFe、Ni系初晶金属間化合物の生成は生じない。
Zrは任意添加元素であり、その添加量は0.01%〜0.15%である。ZrはTiと同様に母相に固溶・濃化することで母相の結晶の微細化を促進する。これは0.01%未満では表れ難く、0.01%以上で顕著に表れる。また0.15%を超えるとZr系化合物が粗大晶出し、機械的特性が低下する。よってZrは0.01%〜0.15%とする。より好ましくは0.015%〜0.05%とするのが望ましい。また上記Si、Cu、Mg、Fe、NiおよびPの成分範囲内であれば、Zrの添加によるFe、Ni系金属間化合物の晶出形態に変化は生じないため、Zr添加によるFe、Ni系初晶金属間化合物の生成は生じない。
次に本実施形態における内燃機関部品用アルミニウム合金材を製造するプロセスの一例について、図1を参照しながら詳細に説明する。
まず溶製することによって前述のように成分調整されたアルミニウム合金溶湯を作製する。この溶湯を用いて図1に示すように連続鋳造を行って連続鋳造材を製作する。本実施形態において、この連続鋳造材は、鍛造素材用または総切削素材用のビレットとして構成されるものであり、例えば直径φ30mm〜40mmの寸法で丸棒状に形成される。
なお連続鋳造によって押出用のビレットを作製し、その押出用ビレットを押出加工して押出材を成形し、その押出材を鍛造素材または総切削素材として用いることも可能である。また連続鋳造以外にも、鋳物やダイキャストといった鋳造材全般を、切削素材として用いることも可能である。
得られた連続鋳造材は、鋳造時に晶出物の偏析等が起きる場合が有るため、その不均一な組織を除去するために、均質化処理を施す。均質化処理においては加熱温度を480〜505℃とし、処理時間を0.5時間(hr)〜6hrとするのが良い。
均質化処理した後、連続鋳造材を所定の長さに切断し、鍛造素材とする。
こうして得られた鍛造素材に対し鍛造加工を行って、鍛造材を成形する。この鍛造工程においては、金型温度を100℃〜250℃とし、素材温度を370℃〜450℃とするのが良い。
次にこの鍛造材に対し溶体化処理を行う。この溶体化処理においては加熱温度を485℃〜510℃とし、処理時間を1.0hr〜5.0hrとするのが良い。
溶体化処理を行った鍛造材に対し水焼き入れ処理を行って急冷する。この水焼き入れ処理において水温は10℃〜80℃に設定するのが良い。
水焼き入れ処理を行った鍛造材に対し人工時効処理を行う。この人工時効処理においては加熱処理温度を160℃〜220℃とし、処理時間を1hr〜18hrとするのが良い。
人工時効処理を行った後、人工時効処理済みの鍛造材(鍛造T6処理品)に対し機械加工により表面を切削し所定の製品形状を得る。その後必要に応じて表面処理、すなわちショットスピーニング処理、アルマイト処理、メッキ処理などを行い、製品を得る。
こうして本実施形態の内燃機関部品用アルミニウム合金材(鍛造材)が製造される。こうして得られたアルミニウム合金材は、Si、Cu、Mg、FeおよびNiを所定量含有していることで、Si粒子の分散による分散強化、Al−Si−Ni−Fe−Cu系化合物の分散による分散強化およびCu、Mg系の析出による析出強化等により高い強度を得ながら、且つアルミニウム合金特有の高靭性を失うことがないため、内燃機関部品として高い性能を得ることができる。
以下、本発明について実施例および比較例により詳細に説明する。
まず、本発明において規定する組成によれば、初晶金属間化合物が生成しないことをシミュレーションソフトを用いた凝固計算によって確認する。
凝固計算はScheil−Gulliverモデルに基づく凝固計算法が実装されているJMatPro10.1(Sente Software社製)を用い、初期温度800℃、温度間隔1℃に設定し、back diffusionを考慮せず、モデル化されている全固相を考慮して実施した。
凝固計算により、鋳造工程中に晶出してくる各化合物に対して、鋳造工程中の各温度における相分率が図2のように得られる。各化合物について、図2中に示すように相分率が0より大きい値をもつ最高の温度がその化合物の晶出開始温度である。
上記の通り算出した晶出開始温度を用い、アルミニウム母相より高温の晶出開始温度をもつ化合物(シリコンを除く)を初晶金属間化合物と判断できる。アルミニウム母相より高温の晶出開始温度をもつ化合物(シリコンを除く)が存在しない場合は、初晶金属間化合物が生成しないと判断できる。
次に、上記の判定方法を用いた初晶金属間化合物の生成しない元素含有率の範囲探索について説明する。
Si、CuおよびMgの含有率を表1に記載の値で固定し、FeおよびNi含有率を変化させながら凝固計算を実施することで、初晶金属間化合物の生成しないFeおよびNi含有率の範囲を探索した。
具体的には、種々に固定したFe含有率に対して、Ni含有率を変化させながら凝固計算を実施し、初晶金属間化合物の生成しない最大のNi含有率を算出した。
このように算出した各Fe含有率に対する最大のNi含有率を、図3のように横軸にFe含有率、縦軸にNi含有率をとったグラフへプロットした。なお、Fe含有率によってNi含有率が算出した最大値を超えた場合に生成する初晶金属間化合物が異なり、図3中の四角印は初晶Al(Fe,Ni)、丸印は初晶β―AlFeSiがそれぞれ生成することを表している。
図3中の四角印、丸印ごとに直線での回帰を実施した。回帰式は以下の通りである。
四角印:(Ni含有率[質量%])=6.28−4.33×(Fe含有率[質量%])
丸印:(Ni含有率[質量%])=20.29−32.72×(Fe含有率[質量%])
また、回帰直線の交点のFe含有率は下記の通りである。
四角印の回帰直線と丸印の回帰直線との交点:0.49質量%
丸印の回帰直線とNi:0.05質量%線との交点:0.62質量%
上記2本の回帰直線とFe:0.05質量%線およびNi:0.05質量%線とに囲まれた領域(図3中の網掛け領域)では添加したFeおよびNiが化合物として晶出し分散強化に寄与し、かつ初晶金属間化合物としては生成しない。
一般的に添加元素量が多いほど初晶金属間化合物が生成されやすいため、表1に記載のSi、Cu、Mg含有率以下であるSi:13質量%〜15質量%、Cu:2質量%〜4質量%、Mg:0.2質量%〜0.8質量%の範囲では、図3中の網掛け領域として示したFeおよびNi含有率の範囲において初晶金属間化合物は生成しない。
したがって、本発明において規定する、Si:13質量%〜15質量%、Cu:2.0質量%〜4.0質量%、Mg:0.2質量%〜0.8質量%、Fe:0.05質量%〜0.62質量%を含み、Niを0.05質量%以上かつFe含有率が0.05質量%〜0.49質量%の場合には、(Ni含有率[質量%])≦6.28−4.33×(Fe含有率[質量%])Fe含有率が0.49質量%〜0.62質量%の場合には、(Ni含有率[質量%])≦20.29−32.72×(Fe含有率[質量%])で表される含有率で含み、残部がAlと不可避不純物からなる組成のアルミニウム合金材によれば、初晶金属間化合物は生成されず、内燃機関用部品での使用に好適である。
次に、上記計算結果の妥当性の検証を行う為に実際にサンプルを作製し、評価を実施した。下記にその詳細を示す。
表2に示す実施例1および比較例1の組成を有するアルミニウム合金溶湯をそれぞれ溶製し、各アルミニウム合金溶湯を用いて、鋳造径38mmで連続鋳造を行ってφ38mmの連続鋳造材を得た。得られた連続鋳造材を470℃×7hrにて均質化処理を施し、空冷した。
上記で得られた連続鋳造品を10mm×10mm×10mmの角材に加工し、樹脂埋めを行い組織観察用サンプルを作製した。観察方向は、連続鋳造の軸方向に垂直な断面を観察面とし観察した。観察面をエメリー紙#240〜#2000で研磨をし、仕上げをバフ研磨0.1μmで実施した。組織観察には光学顕微鏡(Nikon EPIPHOT 300)を用いて、倍率340倍にて組織観察を実施した。組織観察より、初晶金属間化合物の有無を判断した。結果を表2に示す。
表2より、実施例1のアルミニウム合金の場合、初晶金属間化合物が晶出していることは確認されず、比較例1のアルミニウム合金の場合、針状に粗大な金属間化合物が晶出していることが確認された。
また、表2に記載の実施例1および比較例1にて上記の凝固計算を実施した。
実施例1の化学組成について凝固計算を行うと、高温側から順にシリコンが611℃、アルミニウム母相が564℃、β―AlFeSiが562℃で晶出を開始し、初晶金属間化合物は生成しない。実際にサンプルを作製した表2に示す結果は、上記凝固計算に整合しており凝固計算が正しいことが裏付けられる。
また比較例1の化学組成について凝固計算を行うと、高温側から順にシリコンが606℃、β―AlFeSiが604℃、アルミニウム母相が561℃で晶出を開始し、β―AlFeSiが初晶金属間化合物として生成した。実際にサンプルを作製した表2に示す結果は、上記凝固計算に整合しており凝固計算が正しいことが裏付けられる。
以上のとおり本発明において規定する組成によれば、初晶金属間化合物が生成しないため、粗大金属間化合物による靱性の低下を回避することができる。
したがって、本発明において規定する組成によれば、Si、Cu、Mg、FeおよびNiを所定量含有していることで高い強度を得ながら、高い靱性を備えたアルミニウム合金材を得ることができ、内燃機関用部品での使用に好適である。
この発明のアルミニウム合金材は、例えば4輪自動車用、2輪自動車用、汎用の内燃機関におけるエンジンピストンやコンプレッサー、シリンダライナ、クランクシャフト、カムシャフト、エンジンブロック等として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. Si:13質量%〜15質量%、Cu:2.0質量%〜4.0質量%、Mg:0.2質量%〜0.8質量%、Fe:0.05質量%〜0.62質量%を含み、
    Niを0.05質量%以上かつ
    Fe含有率が0.05質量%〜0.49質量%の場合には、
    (Ni含有率[質量%])≦6.28−4.33×(Fe含有率[質量%])
    Fe含有率が0.49質量%〜0.62質量%の場合には、
    (Ni含有率[質量%])≦20.29−32.72×(Fe含有率[質量%])
    で表される含有率で含み、残部がAlと不可避不純物からなる組成を有することを特徴とするアルミニウム合金材。
  2. P:0.0001〜0.02質量%を含むことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム合金材。
  3. Mn:0.02〜0.3質量%、Cr:0.02〜0.3質量%、Ti:0.01〜0.15質量%およびZr:0.01〜0.15質量%のうち、少なくとも1種以上を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のアルミニウム合金材。
JP2019109175A 2019-06-12 2019-06-12 アルミニウム合金材 Pending JP2020200513A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019109175A JP2020200513A (ja) 2019-06-12 2019-06-12 アルミニウム合金材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2019109175A JP2020200513A (ja) 2019-06-12 2019-06-12 アルミニウム合金材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020200513A true JP2020200513A (ja) 2020-12-17

Family

ID=73741929

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2019109175A Pending JP2020200513A (ja) 2019-06-12 2019-06-12 アルミニウム合金材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020200513A (ja)

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0790459A (ja) * 1993-09-17 1995-04-04 Mitsubishi Alum Co Ltd 押出用耐摩耗性アルミニウム合金および耐摩耗性アルミニウム合金材の製造方法
JP2004076110A (ja) * 2002-08-20 2004-03-11 Toyota Central Res & Dev Lab Inc ピストン用アルミニウム鋳造合金,ピストン及びその製造方法
WO2012008470A1 (ja) * 2010-07-16 2012-01-19 日本軽金属株式会社 高温強度と熱伝導率に優れたアルミニウム合金及びその製造方法
JP2017115169A (ja) * 2015-12-21 2017-06-29 昭和電工株式会社 鍛造ピストンの製造方法
JP2018197366A (ja) * 2017-05-23 2018-12-13 昭和電工株式会社 アルミニウム合金材

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0790459A (ja) * 1993-09-17 1995-04-04 Mitsubishi Alum Co Ltd 押出用耐摩耗性アルミニウム合金および耐摩耗性アルミニウム合金材の製造方法
JP2004076110A (ja) * 2002-08-20 2004-03-11 Toyota Central Res & Dev Lab Inc ピストン用アルミニウム鋳造合金,ピストン及びその製造方法
WO2012008470A1 (ja) * 2010-07-16 2012-01-19 日本軽金属株式会社 高温強度と熱伝導率に優れたアルミニウム合金及びその製造方法
JP2017115169A (ja) * 2015-12-21 2017-06-29 昭和電工株式会社 鍛造ピストンの製造方法
JP2018197366A (ja) * 2017-05-23 2018-12-13 昭和電工株式会社 アルミニウム合金材

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN111032897A (zh) 形成铸造铝合金的方法
CN103834835A (zh) 铝压铸合金
JP5758402B2 (ja) 機械的強度が高く、耐熱クリープ性も高い、銅アルミニウム合金製の鋳造部品
US11802325B2 (en) Aluminum alloy for additive technologies
JP2018024931A (ja) 金型用鋼及び成形具
JP2018197366A (ja) アルミニウム合金材
JP2017053023A (ja) 金型用鋼及び成形具
JP4764094B2 (ja) 耐熱性Al基合金
JP2016079419A (ja) アルミニウム合金連続鋳造材及びその製造方法
CN109136681B (zh) 一种6061铝铸棒材及其铸造工艺
KR102589799B1 (ko) 고강도 알루미늄-계 합금 및 그로부터 물품을 생산하기 위한 방법
JP2017078213A (ja) 摺動部品向け熱間鍛造用アルミニウム合金粉末、その製造方法、摺動部品用アルミニウム合金鍛造品、およびその製造方法
JP6113371B2 (ja) 高温強度および熱伝導率に優れたアルミニウム合金鋳物、その製造方法および内燃機関用アルミニウム合金製ピストン
JP2000265232A (ja) 高温疲労強度及び耐摩耗性に優れたアルミニウム合金製ピストン及びその製造方法
JP2019108579A (ja) アルミニウム合金材およびアルミニウム合金製品の製造方法
JPH0790459A (ja) 押出用耐摩耗性アルミニウム合金および耐摩耗性アルミニウム合金材の製造方法
JP2005139552A (ja) 鋳物用アルミニウム合金、アルミニウム合金鋳物およびその製造方法
JPH07197165A (ja) 高耐磨耗性快削アルミニウム合金とその製造方法
JP2020200513A (ja) アルミニウム合金材
JP2020200515A (ja) アルミニウム合金材
JP2020200514A (ja) アルミニウム合金材
JP2020200512A (ja) アルミニウム合金材
JP7459496B2 (ja) アルミニウム合金鍛造材の製造方法
JP4796563B2 (ja) 熱処理用アルミニウム鋳造合金及び剛性に優れたアルミニウム合金鋳物の製造方法
JP2006161103A (ja) アルミニウム合金部材およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20220316

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20230131

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20230201

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20230307

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20230314

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20230329

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20231003