以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
(第1の実施形態)
まず、図1および図2を参照して、第1の実施形態における測定装置(干渉装置)について説明する。図1は、本実施形態における測定装置(白色光干渉装置)100の構成図である。図2は、本実施形態における干渉部107の構成図である。図2(a)は参照ミラー110と被測定物111とがなす角度を90度に設定した状態、図2(b)は参照ミラー110を被測定物111に対して90度とは異なる角度に傾けた状態をそれぞれ示す。測定装置100は、マイケルソン型の干渉計(顕微鏡)を備えている。ただし本実施形態は、これに限定されるものではなく、ミロー型の干渉計等の他の干渉計を備えて測定装置にも適用可能である。
図1に示されるように、光源部101は、ハロゲンランプや発光ダイオード(LED)等の光源を有し、被測定物111を照明する白色光(可干渉性の少ない低コヒーレンス光)WLを出射する。光源部101から出射した白色光WLは、開口絞り102、レンズ103、視野絞り104、および、レンズ105を通過して、ビームスプリッタ106で反射する。ビームスプリッタ106で反射した白色光WLは、干渉部107に入射する。
測定装置100は、サンプルステージ115とサンプルステージのステージXYZ方向やチルト角度を制御するサンプルステージ制御部116を備える。サンプルステージ制御部116による指示により、サンプルステージ115をX方向、Y方向、Z方向、チルト角度にそれぞれ独立して移動することができる。制御部(撮影制御部)117は、サンプルステージ制御部116を制御するとともに、撮像部113による撮影を制御する。
図2(a)に示されるように、干渉部107は、干渉対物レンズ108、プリズム(ハーフミラー)109、および、参照ミラー110を有する。干渉部107に入射した白色光WLは、干渉対物レンズ108を通過し、プリズム109に入射する。プリズムは、白色光WLを物体光(又は測定光とも言う)OLと参照光RLとに分割する分割部である。プリズム109からの物体光OLは被測定物111に照射され、プリズム109からの参照光RLは参照ミラー110に照射される。またプリズム109は、被測定物111で反射した物体光OLと参照ミラー110で反射した参照光RLとを干渉させて干渉光ILを生成する。
図2(a)では、被測定物111はサンプルステージ115の上に載置されており、被測定物111の平面と物体光OLの光束の進行方向とがなす角が垂直になるように、サンプルステージ115のチルト角度が0°になっている。また、参照ミラー110の平面と参照光RLの光束がなす角が垂直になるように、参照ミラー110のチルト角度が0°になっている。
図1に示されるように、干渉光ILは、干渉対物レンズ108を通過してビームスプリッタ106を透過する。ビームスプリッタ106を透過した干渉光ILは、チューブレンズ112を通過し、撮像部113に入射する。撮像部113は、CCD等の光電変換素子を有し、干渉光ILの像を光電変換して画像データを取得する。
次に、図2(b)に示されるように、測定装置100は、参照ミラー110の平面と参照光RLの光束の進行方向がなす角の間の相対的な角度(傾斜角)を変更(調整または補正)する参照ミラーチルト角度変更部114を有する。参照ミラーチルト角度変更部114は、制御部117に従って、参照光RLの光束の進行方向に対する参照ミラー110の平面の角度を変更することにより、参照光RLの光束の入射角を変更することができる。
図2(b)では、被測定物111はサンプルステージ115の上に載置されており、被測定物111の平面と物体光OLの光束の進行方向(光束方向)とがなす角が垂直になるように、サンプルステージ115のチルト角度が0°になっている。また、参照ミラー110の平面と参照光RLの光束がなす角が斜め(チルト状態)になるように、参照ミラー110のチルト角度が約4°程度になっている。
このように制御部(撮影制御部)117は、参照ミラーチルト角度変更部114を用いて参照ミラー110の平面と参照光RLの光束がなす角の相対的な角度を変更しながら、撮像部113の撮影領域に、干渉縞が映った画像データを順次撮影して、干渉縞が映った画像データから被測定物111の平面によって出現するインターフェログラムの像を取得することができる。
更に、図2(c)に示されるように、測定装置100は、被測定物111の平面と物体光OLの光束の進行方向(光束方向)とがなす角の相対的な角度(傾斜角)を変更(調整または補正)するサンプルステージ制御部116を有する。サンプルステージ制御部116は、物体光OLの光束の進行方向に対する被測定物111の平面の角度を変更することにより、物体光OLの光束の入射角を変更することができる。
図2(c)では、被測定物111はサンプルステージ115の上に載置されており、被測定物111の平面と物体光OLの光束の進行方向とがなす角が斜め(チルト状態)になるように、サンプルステージ115のチルト角度が約4°になっている。また、参照ミラー110の平面と参照光RLの光束がなす角が垂直になるように、参照ミラー110のチルト角度が0°程度になっている。このように、撮像部113で、被測定物111の平面と物体光OLの光束がなす角の相対的な角度を変更しながら、撮像部113の撮影領域に、干渉縞が映った画像データを順次撮影して、干渉縞が映った画像データから被測定物111の平面によって出現するインターフェログラムの像を取得することができる。
Z方向に出願する高さ方向の強度データ(インターフェログラム)を得るために、干渉部107のZ方向を移動させるスキャナには、ピエゾ素子等の高価な素子を有するため、ピエゾ素子等の高価な素子を設けると、測定装置のコストを低減することが難しい。一方、本実施形態の構成によれば、高価なピエゾ素子等の高価な素子を不要として、被測定物111の平面上にある段差Sを測定するための画像データの撮影することができるため、測定装置100のコストを、ピエゾ素子等の高価な素子を設けずに、低減することができる。
次に、図3を参照して、参照ミラーチルト角度変更部114の具体的な構成例について説明する。図3は参照ミラーチルト角度変更部114の構成例であり、図3(a)は第1の参照ミラーチルト角度変更部114a、図3(b)は第2の参照ミラーチルト角度変更部114b、図3(c)は第3の参照ミラーチルト角度変更部114cをそれぞれ示す。図3(a)に示されるように、第1の参照ミラーチルト角度変更部114aは、回転軸171の周りに参照ミラー110を回転駆動可能に構成された単軸ロボットを有する。単軸ロボットの回転軸171を参照ミラー110の傾斜中心に位置させることにより、参照ミラー110を傾けることができる。図3(b)に示されるように、第2の参照ミラーチルト角度変更部114bは、圧電アクチュエータを有し、光軸OAと平行な方向(矢印方向)に変位を発生させることにより、支点190の周りに参照ミラー110を回転駆動させることができる。図3(c)に示されるように、第3の参照ミラーチルト角度変更部114cは、圧電アクチュエータを有し、光軸OAと直交する方向(矢印方向)に変位を発生させることにより、支点190の周りに参照ミラー110を回転駆動させることができる。なお本実施形態において、参照ミラーチルト角度変更部114は、図3(a)〜(c)に示される第1の参照ミラーチルト角度変更部114a、第2の参照ミラーチルト角度変更部114b、第3の参照ミラーチルト角度変更部114cに限定されるものではなく、他の構成を有するものであってもよい。
また本実施形態において、サンプルステージ制御部116も、参照ミラーチルト角度変更部114と同様の構成を有し、サンプルステージ115(被測定物111)のチルト角度を変更することができる。このように参照ミラーチルト角度変更部114またはサンプルステージ制御部116は、参照ミラー110と被測定物111との間の相対的な角度(チルト角度)を変更可能であればよい。また、参照ミラーチルト角度変更部114およびサンプルステージ制御部116の両方を用いて、参照ミラー110と被測定物111との間の相対的な角度を変更するように構成してもよい。
次に、図4、図5、および、図9を参照して、本実施形態における、被測定物111の平面上にある段差Sを測定するための画像データの撮影方法について説明する。図4は、本実施形態における撮影方法のフローチャートである。図5は、本実施形態における撮影された画像データから得られる被測定物111の平面上にある段差Sを測定するために必要な平面のインターフェログラムの波形を説明した図である。図9は、本実施形態における撮影方法で撮影される生の画像データである。なお、図4(a)および図4(b)の各ステップは、ユーザが手動にて実行指示を行ってもよく、または、演算処理部(コンピュータ)を含む制御部117が所定のプログラムに従って自動で行ってもよい。
図4(a)では、被測定物111の平面上にある段差Sを測定するための画像データの撮影方法として、サンプルステージ115のチルト角度の方を傾ける場合を説明する。図5に示されるように、本実施形態の被測定物111は、段差Sを有する第1の平面2と第2の平面3とを有する。
まず、図4のステップS1において、サンプルステージ115のZ方向(光軸方向)を移動させて、被測定物111の平面に、干渉光ILの像の焦点を合わせる。
ステップS2において、ステージ制御部116を用いて、撮像部113の撮影領域において干渉縞の強度パターン(平面のインターフェログラム)を取得できるように、サンプルステージ115のチルト角度変更を始める(被測定物111の平面のチルトスタート)。
ステップS3において、制御部(判定部)117は、撮像部113の撮影領域において、所定条件の強度パターン(平面のインターフェログラム)が取得できたか否かを判定する。
ステップS3において、NO(取得できていない)と判断される場合には、ステップS2に戻り、サンプルステージ115のチルト角度の変更を続ける。一方YES(取得できた)と判断される場合には、ステップS4に進む。
ステップS4において、サンプルステージ115のチルト角度変更を停止する。
ステップS5において、制御部(判定部)117は、撮像部113の撮影領域において2箇所で、所定条件の強度パターン(平面のインターフェログラム)が取得できたか否かを判定する。
ステップS5において、NO(2箇所で取得できていない)と判断される場合には、ステップS6に進む。一方YES(2箇所で取得できた)と判断される場合には、ステップS7に進む。
ステップS6において、被測定物111の平面上の撮像部113の撮影領域が変わるように、ステージ制御部116が、サンプルステージ115のZ方向で何れか1方向を所定距離移動してから、ステップS5の判定を繰り返す。
ステップS7において、サンプルステージ115のZ方向移動を停止する。
原理上、サンプルステージ115のZ軸を動かし、サンプルステージ115をZ方向の移動させることで、強度パターン(平面のインターフェログラム)の位置が、撮像部113の撮影領域においてもXY平面上を動くことになる。
ステップS8において、図9のような被測定物111の平面上にある段差Sを測定するための画像データとして、今撮像部113の撮影領域に出現している、2箇所の強度パターン(平面のインターフェログラム)である干渉縞を撮像部113で1枚撮影する。
ステップS8において2箇所の強度パターン(平面のインターフェログラム)である干渉縞を撮像部113で1枚撮影すると、図5の上図に示されるように、ステージ制御部116及びサンプルステージ115を用いて被測定物111の平面を傾斜(チルト)させることで、物体光OLと参照光RLとが共役である波面(疑似波面4)が、第1の平面2の中央部と第2の平面3の中央部にそれぞれ交差するようになる。これをチルトな状態と呼ぶ。
図5の下図は、チルトな状態で、今撮像部113の撮影領域の2箇所に出現している第1の平面2のインターフェログラム6及び、第2の平面3のインターフェログラム7の強度パターンを示している。2箇所に出現している第1の平面2のインターフェログラム6及び、第2の平面3のインターフェログラム7の強度パターンから、第1の平面2と第2の平面3との間の段差Sを測定することが出来る。つまり、2箇所に出現しているインターフェログラムの像のピーク位置の間隔8を用いて、第1の平面2と第2の平面3との間の段差Sを相対的に測定することが可能となる。なお、間隔10は各干渉縞自体の間隔であり、波長λ/2である一定間隔を有する。
撮像部113のCCD等の撮像素子の画素数を使って、間隔8を校正することにより、CCD等の撮像素子の画素数の距離が既知の段差Sの量を持つ標準サンプルで明らかな場合、被測定物111の段差Sの量を距離に変換することができる。段差Sを有しない被測定物の平面の被測定物に対して、疑似波面4を平行な関係とした場合で、今撮像部113の撮影領域を撮像部113で1枚撮影した場合、強度パターン(平面のインターフェログラム)は出現しない。これをワンカラーな状態と呼ぶ。また、段差Sを有する被測定物の平面の被測定物に対して疑似波面4を平行な関係とした場合で、今撮像部113の撮影領域を撮像部113で1枚撮影した場合、強度パターン(平面のインターフェログラム)は出現しない。これもワンカラーな状態と呼ぶ。
本実施形態では、段差Sを有する被測定物の平面の被測定物に対して疑似波面4をチルトな状態にして被測定物111の第1の平面2および第2の平面3それぞれによる強度パターン(平面のインターフェログラム)を出現させている。
また、平面的なインターフェログラム6、7の各干渉縞の間隔10は、光源部101の種類、検出光学系の透過率、撮像部113の光電変換効率、および、被測定物111の反射率の全ての項目の分光特性の積(すなわち、最終的な分光特性)の分布の重心の波長の半分の値に相当する。間隔8を校正することで、段差Sが実際の物量の単位、例えば数μm程度での測定が可能となる。
図4(b)では、被測定物111の平面上にある段差Sを測定するための画像データの撮影方法として、参照ミラー110のチルト角度の方を傾ける場合を説明する。
まず、図4のステップS10において、サンプルステージ115のZ方向(光軸方向)を移動させて、被測定物111の平面に、干渉光ILの像の焦点を合わせる。
ステップS20において、参照ミラーチルト角度変更部114を用いて、撮像部113の撮影領域において干渉縞の強度パターン(平面のインターフェログラム)を取得できるように、参照ミラー110のチルト角度変更を始める(参照ミラー110の平面のチルトスタート)。
ステップS30において、制御部(判定部)117は、撮像部113の撮影領域において、所定条件の強度パターン(平面のインターフェログラム)が取得できたか否かを判定する。
ステップS30において、NO(取得できていない)と判断される場合には、ステップS20に戻り、参照ミラーチルト角度変更部114のチルト角度の変更を続ける。一方YES(取得できた)と判断される場合には、ステップS40に進む。
ステップS40において、参照ミラーチルト角度変更部114のチルト角度変更を停止する。
ステップS50において、制御部(判定部)117は、撮像部113の撮影領域において2箇所で、所定条件の強度パターン(平面のインターフェログラム)が取得できたか否かを判定する。
ステップS50において、NO(2箇所で取得できていない)と判断される場合には、ステップS60に進む。一方YES(2箇所で取得できた)と判断される場合には、ステップS70に進む。
ステップS60において、被測定物111の平面上の撮像部113の撮影領域が変わるように、ステージ制御部116が、サンプルステージ115のZ方向で何れか1方向を所定距離移動してから、ステップS5の判定を繰り返す。
ステップS70において、サンプルステージ115のZ方向移動を停止する。
原理上、サンプルステージ115のZ軸を動かし、サンプルステージ115をZ方向の移動させることで、強度パターン(平面のインターフェログラム)の位置が、撮像部113の撮影領域においてもXY平面上を動くことになる。
ステップS80において、図9のような被測定物111の平面上にある段差Sを測定するための画像データとして、今撮像部113の撮影領域に出現している、2箇所の強度パターン(平面のインターフェログラム)である干渉縞を撮像部113で1枚撮影する。
ステップS80において2箇所の強度パターン(平面のインターフェログラム)である干渉縞を撮像部113で1枚撮影すると、図5の上図に示されるように、参照ミラーチルト角度変更部114を用いて参照ミラー110の平面を傾斜(チルト)させることで、物体光OLと参照光RLとが共役である波面(疑似波面4)が、第1の平面2の中央部と第2の平面3の中央部にそれぞれ交差するようになる。これをチルトな状態と呼ぶ。
次に、図6を参照して、ステップS8又はステップS80で実際に取得した2箇所の強度パターン(平面のインターフェログラム)6、7について説明する。図6(a)、(b)、(c)において、縦軸は干渉縞の強度であり、横軸は今撮像部113の撮影領域にある画素の位置である。図6の場合、段差量がそれぞれ異なる被測定物111の段差Sは、上から1.8μm、4.3μm、10.9μmにそれぞれ対応している。
チルト角度の目標値は、撮像部113の撮影領域の2箇所での平面的なインターフェログラム6、7を取得するために、強度パターンが三本以上の強度パターンを取得できるまで、被測定物111の平面又は、参照ミラー110の平面傾ければよく、チルト角度の目標値は厳密な値である必要はないが、約4°位のチルト角度であれば、1μm〜10μm程度の段差量は測定可能である。尚、チルト角度が多少ずれても、撮像部113の撮影領域の2箇所で平面的なインターフェログラム6、7が出現していればよい。
このように本実施形態では、白色干渉の状態をチルトな状態とすることで、高価なピエゾ素子等フォーカススキャナを用いることなく(Z方向の走査することなく)1枚の画像データから被測定物111の段差Sを測定可能な強度データを取得することができる。このため、測定装置100を低コストで提供することができる。
なお本実施形態において、平面的なインターフェログラムの縞の間隔を算出する代わりに、段差量の値を保障している標準サンプルを使用してもよい。標準サンプルを使用して、平面的な二つのインターフェログラムの間の間隔を測定し、撮像素子の画素数と標準サンプルの保障されている段差量とで校正を行うことができる。標準サンプルの反射分光特性が被測定物の反射分光特性と同一(すなわち、同じ材料等)でない場合、標準サンプルの反射分光特性と被測定物の反射分光特性から最終的な分光特性を算出して校正が可能となる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態における測定装置(干渉装置)について説明する。まず、図7を参照して、本実施形態における干渉部107aの構成について説明する。図7は、干渉部107aの構成図である。本実施形態は、二つのガラスを数μm程度の間隙(ギャップ)で配置して構成される被測定物における間隙(ギャップ)を測定する場合について説明する。なお本実施形態において、測定装置の基本構成は、図1を参照して第1の実施形態にて説明した測定装置100と同様であるため、その説明を省略する。
図7に示されるように、干渉部107aは、干渉対物レンズ108、プリズム(ハーフミラー)109、および、参照ミラー110に加えて、補正ガラス(補償ガラス)124および保持部125を有する。補正ガラス124は、プリズム109と参照ミラー110との間に配置され、保持部125により着脱可能に保持され固定されている。被測定物111aは、第1のガラス122および第2のガラス123を含む。第1のガラス122の下面132と第2のガラス123の上面133との間には間隙(ギャップ)が形成されている。補正ガラス124は、第1のガラス122と同等の厚みを有する。すなわち補正ガラス124は、第1のガラス122の厚さや材料に応じて取り替える必要がある。
本実施形態において、第1の実施形態と同様に、角度変更部114は、被測定物111aに対する参照ミラー110の角度を変更する(傾斜させる)ことが可能である。このとき、補正ガラス124は、参照ミラー110に合わせて傾斜させてもよく、または、固定したままでもよい。なお本実施形態において、角度変更部114は、参照ミラー110に代えて、被測定物111aの角度を変更する(傾斜させる)ように構成してもよい。このとき、本実施形態では被測定物111aを構成する第1のガラス122と第2のガラス123との間の間隙を測定するため、第1のガラス122と第2のガラス123の両方の角度を同時に変更する必要がある。
このように本実施形態では、参照光側に補正ガラス124を設け、補正ガラス124の厚さおよび材料を第1のガラス122と同じにすることで、物体光OLと参照光RLとの幾何光学的光路長および物理光学的光路長の両方を一致させる。これにより、コントラストが高く第1のガラス122の下面132と第2のガラス123の上面133との中間位置にピントの合った平面的なインターフェログラムを得ることができる。
次に、図8を参照して、本実施形態における測定方法について説明する。図8は、本実施形態における測定方法の説明図である。図8に示されるように、本実施形態の被測定物111aは、第1のガラス122と第2のガラス123とからなり、本実施形態の測定装置100は、第1のガラス122の下面132と第2のガラス123の上面133との間の間隙(ギャップG)を測定する。本実施形態では、角度変更部114を用いて参照ミラー110を傾斜(チルト)させることにより、第1のガラス122の下面132と第2のガラス123の上面133の中央部と交差するように、参照光RLと共役な波面、すなわち疑似波面125をチルト状態とする。このとき、撮像部113の表示部(不図示)には、第1のガラス122の下面132に関する平面的なインターフェログラム42と第2のガラス123の上面133に関する平面的なインターフェログラム43とが表示される。図8の下部は、チルト状態でのインターフェログラム42、43の強度分布を示している。撮像部113は、第1のガラス122の下面132と第2のガラス123の上面133との間の間隙(ギャップG)を測定するために画像データ(インターフェログラム42、43)を取得する。また、二つのインターフェログラムの像の間隔、すなわちインターフェログラム42とインターフェログラム43との間隔26は、インターフェログラム42のピーク値とインターフェログラム43のピーク値との間隔に相当する。
本実施形態では、二つのガラス(第1のガラス122、第2のガラス123)を数μm程度の間隙(ギャップG)で配置した場合におけるその間隙(ギャップG)を測定する。本実施形態では、間隙(ギャップG)を形成する二面の光学深度をカバーする検出光学系とし被測定面は光学深度外とすることで、大きくぼけたバイアス的な量となるが、FDA等のフーリエ変換を使用した方法で処理することで、バイアス的なDC成分を削除することができ、被測定面の影響を受けずに間隙(ギャップG)を高精度に測定することが可能となる。
このように各実施形態において、測定装置100は、白色干渉を利用して被測定物の複数平面間の段差、あるいは複数ガラス間の間隙を測定する測定装置であって、被測定物の複数平面、あるいは複数ガラス間の間隙の像と重なるように、複数の白色干渉の平面的なインターフェログラムを形成した画像を取得する。好ましくは、測定装置100は、複数の白色干渉の平面的なインターフェログラムの間隔に従って、複数平面間の段差、あるいは複数ガラス間の間隙を測定する(測定装置100とは別に測定してもよく、また、ユーザが手動で行っても装置が自動的に行ってもよい。また好ましくは、測定装置100は、平面的なインターフェログラムの中心位置を被測定物の2つ以上の平面の中心と一致するように、白色干渉の参照波面を目標値として傾ける。また好ましくは、測定装置100は、二つの平面的なインターフェログラムの間の距離を、検出に使用する光源、検出光学系の透過率、撮像素子の光電変換効率、および、被測定物の反射率の分光特性の積の分布の重心の波長の半分の値を、平面的なインターフェログラムの縞の間隔とすることで校正する。
図9は、ステップS8又はステップS80で撮影される生画像データであり、撮像部の撮影領域内の2箇所に強度パターンが出現しているものである。
次に、図10(a)、図10(b)、および、図8を参照して、本実施形態における、被測定物111aを構成する第1のガラス122と第2のガラス123との間の間隙にある空間ギャップGを測定するための画像データの撮影方法について説明する。図10(a)および図10(b)は、本実施形態における撮影方法のフローチャートである。図8は、本実施形態における撮影された画像データから得られる空間ギャップGを測定するために必要な平面のインターフェログラムの波形を説明した図である。なお、図10(a)および図10(b)の各ステップは、ユーザが手動にて実行指示を行ってもよく、または、演算処理部(コンピュータ)を含む制御部117が所定のプログラムに従って自動で行ってもよい。
図10(a)では、空間ギャップGを測定するための画像データの撮影方法として、サンプルステージ115のチルト角度の方を傾ける場合を説明する。
図8に示されるように、本実施形態の被測定物111aは、第1のガラス122と第2のガラス123との間の間隙にある空間ギャップGを有する。
まず、図10のステップS1において、サンプルステージ115のZ方向(光軸方向)を移動させて、被測定物111aの平面に、干渉光ILの像の焦点を合わせる。
ステップS2において、ステージ制御部116を用いて、撮像部113の撮影領域において干渉縞の強度パターン(平面のインターフェログラム)を取得できるように、サンプルステージ115のチルト角度変更を始める(被測定物111aの平面のチルトスタート)。
ステップS3において、制御部(判定部)117は、撮像部113の撮影領域において、所定条件の強度パターン(平面のインターフェログラム)が取得できたか否かを判定する。
ステップS3において、NO(取得できていない)と判断される場合には、ステップS2に戻り、サンプルステージ115のチルト角度の変更を続ける。一方YES(取得できた)と判断される場合には、ステップS4に進む。
ステップS4において、サンプルステージ115のチルト角度変更を停止する。
ステップS5において、制御部(判定部)117は、撮像部113の撮影領域において2箇所で、所定条件の強度パターン(平面のインターフェログラム)が取得できたか否かを判定する。
ステップS5において、NO(2箇所で取得できていない)と判断される場合には、ステップS6に進む。一方YES(2箇所で取得できた)と判断される場合には、ステップS7に進む。
ステップS6において、被測定物111aの平面上の高さが変わるように、ステージ制御部116が、サンプルステージ115のZ方向の上下方向を所定距離移動してから、ステップS5の判定を繰り返す。
ステップS7において、サンプルステージ115のZ方向移動を停止する。
ステップS8において、図9のような空間ギャップGを測定するための画像データとして、今撮像部113の撮影領域に出現している、2箇所の強度パターン(平面のインターフェログラム)である干渉縞を撮像部113で1枚撮影する。
ステップS8において2箇所の強度パターン(平面のインターフェログラム)である干渉縞を撮像部113で1枚撮影すると、図8の上図に示されるように、ステージ制御部116及びサンプルステージ115を用いて被測定物111aの平面を傾斜(チルト)させることで、物体光OLと参照光RLとが共役である波面(疑似波面4)が、第1のガラス122の下面部と第2のガラス123の上面部にそれぞれ交差するようになる。これをチルトな状態と呼ぶ。
図5の下図は、チルトな状態で、今撮像部113の撮影領域の2箇所に出現している第1のガラス122の下面部のインターフェログラム42及び、第2のガラス123の上面部のインターフェログラム43の強度パターンを示している。
2箇所に出現しているインターフェログラム42及び、インターフェログラム43の強度パターンとの間隔26から、下面部132と上面部133との間の空間ギャップGを測定することが出来る。つまり、2箇所に出現しているインターフェログラムの像のピーク位置の間隔26を用いて、下面部132と上面部133との間の空間ギャップGを相対的に測定することが可能となる。
図10(b)では、空間ギャップGを測定するための画像データの撮影方法として、参照ミラー110のチルト角度の方を傾ける場合を説明する。
まず、図10のステップS10において、サンプルステージ115のZ方向(光軸方向)を移動させて、被測定物111aの平面に、干渉光ILの像の焦点を合わせる。
ステップS20において、参照ミラーチルト角度変更部114を用いて、撮像部113の撮影領域において干渉縞の強度パターン(平面のインターフェログラム)を取得できるように、参照ミラー110のチルト角度変更を始める(参照ミラー110の平面のチルトスタート)。
ステップS30において、撮像部113の撮影領域において、所定条件の強度パターン(平面のインターフェログラム)が取得できたか否かを判定する(判定部)。
ステップS30において、NO(取得できていない)と判断される場合には、ステップS20に戻り、参照ミラーチルト角度変更部114のチルト角度の変更を続ける。一方YES(取得できた)と判断される場合には、ステップS40に進む。
ステップS40において、参照ミラーチルト角度変更部114のチルト角度変更を停止する。
ステップS50において、制御部(判定部)117は、撮像部113の撮影領域において2箇所で、所定条件の強度パターン(平面のインターフェログラム)が取得できたか否かを判定する。
ステップS50において、NO(2箇所で取得できていない)と判断される場合には、ステップS60に進む。一方YES(2箇所で取得できた)と判断される場合には、ステップS70に進む。
ステップS60において、被測定物111aの平面上の高さが変わるように、ステージ制御部116が、サンプルステージ115のZ方向の上下方向を所定距離移動してから、ステップS5の判定を繰り返す。
ステップS70において、サンプルステージ115のZ方向移動を停止する。
ステップS80において、図9のような空間ギャップGを測定するための画像データとして、今撮像部113の撮影領域に出現している、2箇所の強度パターン(平面のインターフェログラム)である干渉縞を撮像部113で1枚撮影する。
ステップS80において2箇所の強度パターン(平面のインターフェログラム)である干渉縞を撮像部113で1枚撮影すると、図5の上図に示されるように、参照ミラーチルト角度変更部114を用いて参照ミラー110の平面を傾斜(チルト)させることで、物体光OLと参照光RLとが共役である波面(疑似波面4)が、第1のガラス122の下面部と第2のガラス123の上面部にそれぞれ交差するようになる。これをチルトな状態と呼ぶ。
このように各実施形態において、干渉装置(測定装置100)は、撮像部113、参照ミラー110、分割部119、サンプル角度制御部(サンプルステージ制御部116)またはミラー角度制御部(参照ミラーチルト角度変更部114)の少なくとも一つ、および、撮影制御部(制御部117)を有する。撮像部は、高さが異なる複数平面を含むサンプル(111、111a)の所定の領域において、白色光(WL)とサンプル平面の干渉による干渉縞を撮影する。参照ミラーは、干渉縞を生成する。分割部は、サンプル平面に進む測定光(OL)と参照ミラーに進む参照光(RL)に、白色光の光束方向を分割する。サンプル角度制御部は、測定光の光束方向に対してサンプル平面がなす角を傾ける。ミラー角度制御部は、参照光の光束方向に対して参照ミラー平面がなす角を傾ける。撮影制御部は、撮像部による撮影を制御する。このような構成により、干渉装置は、撮影した干渉縞からサンプル平面によるインターフェログラム(図5、図8)を取得する。
サンプル角度制御部は、参照光の光束方向に対して参照ミラーの平面がなす角が垂直である状態で(図2(c))、撮像部で撮影した領域内の異なる箇所で高さが異なる複数平面による複数のインターフェログラムが取得可能な角度まで、測定光の光束方向に対してサンプル平面がなす角が垂直ではないようにサンプル平面を傾ける(S2〜S7)。サンプル平面がなす角が垂直でないように傾けた後に、撮影制御部は、撮影領域内の異なる箇所に出現する高さが異なる複数平面による干渉縞を、高さが異なる複数平面の差を測定可能な画像として撮像部で撮影するように制御する(S8)。
ミラー角度制御部は、測定光の光束方向に対してサンプル平面がなす角が垂直である状態で(図2(b))、撮像部で撮影した領域内の異なる箇所で高さが異なる複数平面による複数のインターフェログラムが取得できる角度まで、参照光の光束方向に対して参照ミラー平面が垂直ではないように参照ミラー平面を傾ける(S20〜S70)。参照ミラー平面が垂直でないように傾けた後に、撮影制御部は、撮影領域内の異なる箇所に出現する高さが異なる複数平面による干渉縞を、高さが異なる複数平面の差を測定可能な画像として撮像部で撮影するよう制御する(S80)。
好ましくは、サンプルは、サンプル平面に高さが異なる複数の段差を有するサンプル(第1の実施形態)、又は、所定厚みを持つ複数の板状ガラスが重なって配置された、複数の板状ガラスの間隙に空間ギャップを有するサンプルである。また好ましくは、高さが異なる複数平面の差は、サンプル平面の高さが異なる複数の段差量、又は、複数の板状ガラスの間隙による空間ギャップ量である。また好ましくは、干渉装置は、撮像部で撮影した領域内の異なる箇所で高さが異なる複数平面による複数のインターフェログラムが取得可能であるか否かを判定する判定部(制御部117:S5)を有する。判定部により複数のインターフェログラムが取得可能でないと判定された場合、サンプルを測定光の光束方向であるZ方向に移動させて、複数のインターフェログラムが取得可能であると判定される位置で停止させる(S6〜S7)。また好ましくは、サンプルが、所定厚みを持つ複数の板状ガラスが重なって配置された、複数の板状ガラスの間隙に空間ギャップを有するサンプルの場合、板状ガラスの厚み分を補正するガラス(補正ガラス124)を、参照ミラーと分割部との間に配置する。
各実施形態によれば、コストを抑制して被測定物の形状(段差や間隙(ギャップ))を測定可能な干渉装置およびその制御方法を提供することができる。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
本発明の一側面としての干渉装置は、高さが異なる複数平面を含むサンプルの所定の領域において、白色光とサンプル平面の干渉による干渉縞を撮影する撮像部と、前記干渉縞を生成するための参照ミラーと、前記サンプル平面に進む測定光と前記参照ミラーに進む参照光に、前記白色光の光束方向を分割する分割部と、前記測定光の光束方向に対して前記サンプル平面がなす角を傾けるサンプル角度制御部と、前記撮像部による撮影を制御する撮影制御部とを備え、前記撮影した干渉縞から前記サンプル平面によるインターフェログラムを取得する干渉装置であって、前記サンプル角度制御部は、前記参照光の光束方向に対して前記参照ミラーの平面がなす角が垂直である状態で、前記高さが異なる複数平面による複数のインターフェログラムが前記撮像部の撮影領域の複数箇所で取得可能になる角度まで、前記測定光の光束方向に対して前記サンプル平面がなす角が垂直ではないように前記サンプル平面を傾ける動作を行うように制御し、前記サンプル角度制御部により前記サンプル平面がなす角が垂直でないように前記サンプル平面が傾けられた後に、前記参照ミラーの位置を移動させるピエゾ素子を用いることなく前記撮像部の前記撮影領域の複数箇所で取得された前記複数のインターフェログラムの間隔を用いて前記高さが異なる複数平面の差を測定可能な画像を撮影するように前記撮影制御部が制御する。
本発明の他の側面としての干渉装置は、高さが異なる複数平面を含むサンプルの所定の領域において、白色光とサンプル平面の干渉による干渉縞を撮影する撮像部と、前記干渉縞を生成するための参照ミラーと、前記サンプル平面に進む測定光と前記参照ミラーに進む参照光に、前記白色光の光束方向を分割する分割部と前記参照光の光束方向に対して参照ミラー平面がなす角を傾けるミラー角度制御部と、前記撮像部による撮影を制御する撮影制御部とを備え、前記撮影した干渉縞から前記サンプル平面によるインターフェログラムを取得する干渉装置であって、前記ミラー角度制御部は、前記測定光の光束方向に対して前記サンプル平面がなす角が垂直である状態で、前記高さが異なる複数平面による複数のインターフェログラムが前記撮像部の撮影領域の複数箇所で取得可能になる角度まで、前記参照光の光束方向に対して前記参照ミラー平面がなす角が垂直ではないように前記参照ミラー平面を傾ける動作を行うように制御し、前記ミラー角度制御部により前記参照ミラー平面がなす角が垂直でないように前記参照ミラー平面が傾けられた後に、前記参照ミラーの位置を移動させるピエゾ素子を用いることなく前記撮像部の前記撮影領域の複数箇所で取得された前記複数のインターフェログラムの間隔を用いて前記高さが異なる複数平面の差を測定可能な画像を撮影するように前記撮影制御部が制御する。