JP2020193888A - 降下煤塵の水平流束の計測装置および降下煤塵の分析方法 - Google Patents

降下煤塵の水平流束の計測装置および降下煤塵の分析方法 Download PDF

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Abstract

【課題】時間分解能が数十秒以下、かつ、空間分解能が数十m以下で降下煤塵の空間濃度を計測可能な計測装置を提供する。【解決手段】計測装置は、鉛直方向の中心軸回りに軸対称に形成された開口部と、中心軸に平行であって当該中心軸から放射状に配置された3枚以上の平板とを備えた煤塵採取口と、煤塵採取口より流入した空気を降下煤塵濃度の高い高濃度空気および降下煤塵濃度の低い低濃度空気に分離する煤塵濃縮器と、高濃度空気に含まれた降下煤塵の量および粒径を連続的に計測する煤塵検出部と、大気の流れの水平面内での風向および風速を連続的に計測する大気流ベクトル計測部と、煤塵採取口の位置を連続的に計測する位置計測部と、小型無人航空機と、計測値を記録するデータ記録部と、を有する。【選択図】図2

Description

本発明は、大気中で降下煤塵分布を計測するための小型無人航空機(UAV)を用いた降下煤塵の水平流束の計測装置および当該計測装置を用いた降下煤塵の分析方法に関するものである。
種々の生産活動および消費活動に伴って発生する大気中の煤塵のうち、特に大気中を自由落下しうる概ね10μm以上の直径である粗大な煤塵は、降下煤塵と呼ばれる。降下煤塵は、重要な環境汚染項目のひとつとみなされており、その実態把握と対策が社会から求められている。例えば、原子力発電所の事故時には、大気中に多量の降下煤塵が放出されることがある。発生源から生じる大気中の降下煤塵の実態把握のためには、大気中における降下煤塵の濃度分布を把握することが特に重要である。
降下煤塵の沈着速度(降下煤塵量)を計測するための計測装置として、例えば、特許文献1〜4に、据え置き型のものが開示されている。これらの装置には、パーティクルカウンタを用いて数十秒周期での降下煤塵の捕集量を計測する例が記載されている。また、採取した大気中の煤塵を分級するための据え置き式のバーチャルインパクタについての記載もある。バーチャルインパクタの構造については、例えば、非特許文献1に、大気の吸引を全てブロワまたは圧縮機によって行う方式のものが示されている。
航空機を用いた煤塵採取装置として、例えば、非特許文献2に、固定翼有人飛行機の機体外部にガラス板を設け、飛行中に大気中の煤塵をこのガラスに付着させて捕集する方法が開示されている。また、非特許文献3に、固定翼有人飛行機にフィルタを内蔵した筒型の捕集器を搭載し、飛行中に捕集器内に流入した煤塵をフィルタによって捕集する装置も開示されている。
この他、無人航空機に大気の吸引装置および軽量の光散乱式ばいじん濃度計を搭載して、上空でのエアロゾル濃度を計測する技術も報告されている。
また、降下煤塵の濃度や流束を用いて降下煤塵の発生源に関する推定を行う方法として、従来は、例えば、据え置き型の装置を多数配置して最大の計測値となる計測機の風上に発塵源が存在すると推定する方法が採用されてきた。
特許第4795280号報 特許第4795295号報 特許第4870243号報 特許第4870244号報
JIS規格 Z7152:2013 土木学会論文集B2(海岸工学) VOL.65−B2 No.1 2009 1166−1170 小原えり他著 「高空における放射能塵の調査研究」 防衛装備庁技術シンポジウム2015
都市域における個々の煤塵発生源の大きさおよび継続時間は、火山等の自然由来の発塵源に比べて著しく小さいので、煤塵の空間濃度分布を計測するためには、高い時間および空間分解能で煤塵を計測できる装置が必要である。例えば、空間分解能には数m〜数十m以下、時間分解能には数分程度以下が求められる。また、個々の発塵源は数m〜数十mと比較的小さいものの、発塵源の数が多数分布するのが都市域での発塵の特徴であり、多数の発塵源の影響を把握するためには、少なくとも水平方向に数十m〜数百mの範囲での煤塵濃度分布を計測する必要がある。また、都市域の発塵源の高さは数m〜100m程度であるので、この範囲での空間分布を計測する能力も必要である。
上記の特許文献1〜4に記載の据え置き型の計測装置では、計測精度が高く時間分解能も所要を満たしているものの、空間分布を求めるためには空間的に多数の装置を設置しなければならない。特に、数十m以上の高度にこれらの装置を多数配置するためには、その高さの架台を多数建設しなければならないので、経済的合理性を欠く。
また、ライダー等のリモートセンシング技術を用いて空間上の煤塵分布を地上から計測する手段も考えられる。直径10μmを大きく下回る微小粒子であるエアロゾルの場合には、粒子の比表面積が大きいので照射レーザ光を多量に反射および散乱させ、これを計測することによって空間での濃度分布に換算しうる。しかし、比表面積の著しく小さい降下煤塵の場合、通常の大気中濃度のレベルでは、レーザ光の反射・散乱光は、通常、センサの検出精度を下回るので、このような方法も困難である。
そこで、単一の煤塵計測機を搭載した航空機を計測対象の空間内に飛行させ、時系列的に計測した煤塵濃度を、飛行時に通過した空間上の点と照合して空間濃度分布に換算する方法をとらざるをえない。この方法の場合、例えば、数分程度の発塵源の現象を把握するためには、数分以内に対象空間を飛行させたうえで、この飛行時間を例えば、数十点の空間点に分割して各点での煤塵濃度を算出する。このため、計測機に求められる時間分解能は、数分の数十分の一、即ち、数秒〜数十秒程度の時間分解能が必要である。
上記の非特許文献2、3に記載の技術では、有人固定翼機に煤塵捕集装置を搭載するので、1回の飛行で採取できる煤塵データは1種類しかなく、そもそも煤塵の空間分布を求めることは飛行間隔レベル(例えば、数十分)でしか行えない。このため、本発明が対象とする計測時間分解能を満足できない。
また、仮に有人固定翼機に時間分解能の高い計測装置、例えば、特許文献4に記載の装置を搭載したとしても、有人固定翼飛行機の飛行速度は少なくとも30m/s以上でないと飛行を継続できない。このため、例えば、仮に時間分解能が1秒の計測機を用いたとしても空間分解能は30m以上となる。
実際には、大気中の存在確率がエアロゾルに比べて著しく小さい降下煤塵を、統計的に有意な個数を採取するためには、既存の計測装置を前提とする限り1秒周期のサンプリングでは著しく困難である。このため、空間分解能は、実質的に100m以上となってしまい、所要の空間分解能を満足できない問題がある。
有人固定翼機の代わりに有人回転翼機を用いれば、より低速での飛行が可能である。しかし、有人であるためには、重量が少なくとも数百kg以上の機体が必要であり、その回転翼の大きさも直径5m〜10mに近いものが必要である。このような比較的大きな回転翼機を低速飛行しながら数m〜数十mのスケールの発塵に突入させて煤塵の捕集を行うとすると、回転翼や機体そのものが大気の流れ場を少なくとも数十mのスケールで乱すため、捕集される煤塵の代表性が著しく損なわれる問題がある。即ち、所要の空間分解能を満足できない。
さらに、有人機の場合、その飛行は公的な航空管制の指揮下にあり、都市の上空での飛行、特に、高度500m未満での飛行は、法律上、大きく規制されるため、目的とする発塵源の近くを飛行させること自身がそもそも容易ではない。
また、非特許文献2に記載の方法は、航空機の機体外面に煤塵の沈着面を設けて煤塵を捕集する方法であり、機体周囲の降下煤塵濃度と沈着面への沈着速度の関係が明確ではないため、大気中の降下煤塵濃度を高精度に計測することはできない問題がある。
そこで、航空機を小型化するために小型無人航空機(UAV(unmanned aerial vehicle、通称、ドローン))を用いることが考えられる。計測対象の発塵の大きさを考慮すると、小型無人航空機の大きさは、概ね直径1m程度以下であることが必要である。そして、無人航空機であっても航空法の規制をより厳しく受けて飛行場所の制約のより大きい25kg以上という条件に該当しないこと、即ち、離陸重量25kg未満であることが好ましい。既存の無人航空機を前提にした場合、上記の直径1m以下の無人航空機の離陸重量は、通常10kg以下である。以下、本明細書において小型無人航空機とは、離陸重量が少なくとも25kg未満、好ましくは10kg未満の無人航空機のことを意味する。
小型無人航空機(UAV)に求められる典型的な作業時間である10分以上の飛行を実施する場合に、例えば、離陸重量10kgの無人航空機の搭載可能重量(バッテリー重量を除く)は、2kg〜3kgが上限である。このように、小型無人航空機は、搭載可能重量が比較的小さいため、通常、数十kg〜数百kgに達する装置である特許文献1〜4に記載の装置を小型無人航空機の搭載することはできない。
特許文献1〜4に記載の装置を小型無人航空機に搭載可能な2kg〜3kg程度まで軽量化できない理由は、降下煤塵の空間存在確率がエアロゾルに比べて著しく小さいため、統計的に有意な個数の降下煤塵数(例えば、数十個以上)を所定の時間、例えば、数秒の間に計測機に導入するように、大流量で大気を吸引しなければならないからである。特に、これらの装置では、構造上、配管系内で抵抗体である煤塵フィルタを介したうえでの吸引が必要なため、少なくとも数kPa程度の揚程が必要であり、吸引装置としてブロワまたは圧縮機によって全量の吸引を行う必要がある。
大容量かつ大揚程のブロワまたは圧縮機は、軽量化が困難なため、小型無人航空機に搭載できない。例えば、容量100L/minの遠心ブロワは、通常、5kg〜10kg以上の重量を必要とする。尚、非特許文献2、3に記載のように有人固定翼機を用いれば、ブロワを用いなくても飛行速度に基づく動圧によって受動的に降下煤塵を計測機内に導入できる可能性もある。しかし、本発明で想定する小型無人航空機の使用方法では、高々、数m/sの飛行速度しかないため、数千Paの動圧をえることは不可能である。
小型無人航空機に搭載する煤塵計測装置が上記の従来技術のように市販の作業環境測定用の光散乱式煤塵濃度計であるならば、計測装置重量の点では実現可能である。しかし、降下煤塵は、上述のように比表面積がエアロゾルに比べて著しく小さいため、このような計測装置で降下煤塵濃度を計測することはできない。
また、市販の作業環境測定用の光散乱式煤塵喉濃度計のように、単純に周囲の大気の吸引を行っても、大気中の降下煤塵を吸引大気とともに計測装置に導入することはできない。これは、降下煤塵の慣性がエアロゾルに比べて極端に大きいため、降下煤塵周囲の大気が吸引されても、吸引大気に降下煤塵がほとんど追従しないからである。
このように従来技術を前提とした場合、都市域での降下煤塵の空間濃度分布を所要の分解能で計測することは著しく困難であった。
そこで、本発明は、時間分解能が数十秒以下、かつ、空間分解能が数十m以下で降下煤塵の空間濃度を計測可能な計測装置を提供することを目的とする。
また、降下煤塵の発生源解析において、従来技術では、発生源の位置を推定することはできても発塵速度を推定する方法が存在しなかった。そこで、本発明は、上記計測装置を用いて、降下煤塵の発塵源の位置に加え発塵速度までも推定することができる分析方法を提供することを目的とする。
前記の目的を達成するため、本発明者は鋭意検討の結果、以下の解決方法を発明するに至った。
第1の発明は、大気中の降下煤塵の水平流束を計測するための装置であって、鉛直方向の中心軸回りに軸対称に形成された開口部と、前記中心軸に平行であって当該中心軸から放射状に配置された3枚以上の平板とを備えた煤塵採取口と、前記煤塵採取口より流入した空気を降下煤塵濃度の高い高濃度空気および降下煤塵濃度の低い低濃度空気に分離して流出させる煤塵濃縮器と、前記煤塵濃縮器からの前記高濃度空気に含まれた降下煤塵の量および降下煤塵の粒径を連続的に計測するための煤塵検出部と、前記煤塵採取口の周囲における大気の流れの水平面内での風向および風速を連続的に計測するための大気流ベクトル計測部と、前記煤塵採取口の位置を連続的に計測するための位置計測部と、前記煤塵採取口、前記煤塵濃縮器、前記煤塵検出部、前記大気流ベクトル計測部、および前記位置計測部を搭載する小型無人航空機と、前記煤塵検出部、前記大気流ベクトル計測部、および前記位置計測部からの計測値を記録するためのデータ記録部と、を有することを特徴とする、降下煤塵の水平流束の計測装置である。尚、本発明において、鉛直方向の中心軸には、鉛直方向から若干傾斜した中心軸も含まれる。煤塵採取口等は小型無人航空機に搭載され、当該小型無人航空機は飛行中に傾くからである。
第2の発明は、前記計測装置が、前記煤塵検出部における前記高濃度空気の通過を促進ブロワ又は圧縮機からなる促進部と、前記煤塵濃縮器からの前記低濃度空気の流出を促すファンと、を有し、前記小型無人航空機は、前記促進部および前記ファンを搭載することを特徴とする、第1の発明に記載の降下煤塵の水平流束の計測装置である。
第3の発明は、前記煤塵採取口が4枚以上の前記平板を有することを特徴とする、第1または2の発明に記載の降下煤塵の水平流束の計測装置である。
第4の発明は、前記煤塵濃縮器がバーチャルインパクタであることを特徴とする、第1〜3の発明のいずれか1つに記載の降下煤塵の水平流束の計測装置である。
第5の発明は、前記煤塵検出部が、降下煤塵粒子の粒径を検出または分類が可能なパーティクルカウンタを有することを特徴とする、第1〜4の発明のいずれか1つに記載の降下煤塵の水平流束の計測装置である。
第6の発明は、第1〜5の発明のいずれか1つに記載の降下煤塵の水平流束の計測装置を用いた降下煤塵の分析方法であって、前記大気流ベクトル計測部による風速計測値および前記煤塵検出部による降下煤塵の量の計測値を用いて降下煤塵の水平流束を算出し、前記降下煤塵の水平流束の算出値を、前記大気流ベクトル計測部による風向計測値である風向および前記位置計測部による位置計測値である空間上位置に対応づけることを特徴とする、降下煤塵の分析方法である。
第7の発明は、前記降下煤塵の水平流束を、下記式(1)を用いて算出することを特徴とする、第6の発明に記載の降下煤塵の分析方法である。
[降下煤塵の水平流束]=[前記煤塵検出部による計測値から求めた降下煤塵の量(体積または質量)]/{[前記大気流ベクトル計測部でのデータ出力周期]×[前記煤塵濃縮器における空気の流量]}×||{[前記大気流ベクトル計測部による大気流ベクトル計測値]−[前記小型無人航空機の対地飛行速度ベクトル計測値]}||×[補正係数] ・・・(1)
但し、前記補正係数は、前記煤塵検出部による降下煤塵の粒径の計測値および前記大気流ベクトル計測部によるベクトル計測値の大きさの関数である。
第8の発明は、降下煤塵の発塵源の位置を把握するにあたり、前記風向および前記空間上位置に対応づけられた前記降下煤塵の水平流束の算出値を用いて、前記空間上位置における降下煤塵の水平流束が、他の空間上位置における降下煤塵の水平流束も大きい特定の空間上位置の風向方向に発塵源が存在すると判定することを特徴とする、第6または7の発明に記載の降下煤塵の分析方法である。
第9の発明は、前記降下煤塵の発塵源からの当該降下煤塵の発塵速度を推定するにあたり、前記降下煤塵の発塵源の風下に前記小型無人航空機を飛行させ、前記風向および前記空間上位置に対応づけた当該小型無人航空機の飛行経路上に対し、前記降下煤塵の水平流束の算出値が所定値以上となる前記飛行経路上での範囲から算出される降下煤塵プルームの断面積を用いて、前記降下煤塵の発塵源からの降下煤塵の発塵速度を算出することを特徴とする、第8の発明に記載の降下煤塵の分析方法である。
本発明の第1の特徴は、鉛直方向に中心軸を有するとともに、当該中心軸回りに軸対称であって円周方向に均一な開口部を有する煤塵採取口を小型無人航空機に搭載して高所を飛行させることにより、あらゆる風向において、大気中の降下煤塵を円周方向に均一な条件で捕集できることである。
大気中の降下煤塵は、風速に比べて微小な速度で落下しつつ、周囲の大気の移動とともに水平方向に移動する。即ち、降下煤塵の水平移動速度は風速と一致する。本発明では、あらゆる風向に対して垂直に煤塵採取口の開口部が均一に設けられているので、均一な条件で煤塵採取口内に降下煤塵を導入することができる。降下煤塵を煤塵採取口内に導入する際には、煤塵採取口の下端から、[煤塵採取口の開口部の風向垂直面への投影面積]×[風速]に相当する流量で吸引を行う。このため、煤塵採取口においては、降下煤塵を等速吸引に近い条件で煤塵採取口内に導入することができ、高い効率で煤塵採取口内に降下煤塵を導入することが可能である。
これに対して、従来技術、例えば、特許文献1、2に記載の方法では、降下煤塵の鉛直流束(地表への沈着速度)を計測するために、煤塵採取口は大気に対して実質的な吸引を行わない。この場合、大気中の降下煤塵濃度を直接に計測することはできない。尚、沈着速度を大気中の濃度に換算することはできるが、粒子によって粒子落下速度が大きく異なるため、その精度は高くない。
特許文献3、4、並びに、非特許文献3に記載の方法では、煤塵採取口に大気の風が自然に流入するように構成され、大気の積極的な吸引を行わない。このため、煤塵採取口内部の無視できない大きさの空気抵抗によって、煤塵採取口に流入する大気の速度は風速よりも大幅に低下する。そうすると、煤塵採取口の外側へ排除される空気に伴って、比較的小径の降下煤塵が煤塵採取口に流入することが妨げられるため、大気中の煤塵濃度を精度よく捕集することができない。
また、市販の作業環境計測用の光散乱式煤塵濃度計を用いる方法では、風向に垂直ではない方向に煤塵採取口の開口部を設けて大気を単純に吸引するため、上述のように、大気のみを吸引して降下煤塵をほとんど吸引できない問題を生じる。また、煤塵採取口から流入する降下煤塵量が大気中の降下煤塵濃度と定量的で固定的な関係を示さず、大気のサンプリングに関する計測誤差が大きいという問題もある。以上のように、従来技術では、本発明でのような降下煤塵の高精度でのサンプリングはなしえなかった。
また、本発明では、煤塵採取口の内部に、鉛直方向の中心軸に平行で当該中心軸から放射状に配置される3枚以上の平板を備える。これら平板によって、煤塵採取口の開口部から煤塵採取口内に流入した空気および降下煤塵の流れの向きを、水平方向から鉛直下向きに変更することにより、煤塵検出部に向けて円滑に(降下煤塵の捕集効率を大きく低下させることなく)降下煤塵を供給することができ、大気中の降下煤塵を、風向にかかわらず精度よく捕集することができる。
尚、平板は4枚以上設けるのが、より好ましい。例えば、平板が3枚以下の場合、煤塵採取口から流入した大気が平板に衝突して、そのまま水平方向に煤塵採取口外に反射するおそれがある。これに対し、平板を4枚以上設けると、平板の互いになす角(平面視におけるなす角)が90°以下となるため、平板に衝突した大気は、少なくとも1回目の衝突で煤塵採取口外に流出することを抑制でき、大気中の降下煤塵の捕集効率を向上させることができる。
本発明の第2の特徴は、煤塵採取口から吸引した大気を、煤塵濃縮器、特に、バーチャルインパクタを経由させ、バーチャルインパクタの降下煤塵高濃度側流出口に接続された煤塵検出部に供給するとともに、バーチャルインパクタの降下煤塵低濃度側流出口に接続されたファンから排出することにより、所要の大流量の大気を処理可能な降下煤塵計測装置を小型無人航空機に搭載可能なレベルまで小型軽量化できることである。
上述のように、典型的な大気中の降下煤塵の個数濃度は、エアロゾルに比べて極端に小さい。このため、局所での降下煤塵濃度の計測値が統計的に有意であるためには、より大量の大気を計測装置内に導入して所要数の降下煤塵を採取する必要がある。
統計的に有意な煤塵個数とは、1つの濃度計測値に対して、平均的に、採取される降下煤塵が少なくとも1個以上である。その理由は、一定流量で大気のサンプリングを行って、一定時間ごとに採取された降下煤塵数のデータそれぞれを降下煤塵濃度に換算する場合(実際、本発明ではこのようにして降下煤塵濃度を求める)、各サンプリングで検出される降下煤塵個数の期待値が1未満だとすると、特定のサンプリングで降下煤塵が1個検出され、別のサンプリングで1個も検出されないときに、この原因が不明であるからである。即ち、降下煤塵個数がサンプリングによって変わる原因が、それぞれのサンプリングが対応する大気中の位置での降下煤塵濃度差による計測値の差であるのか(これが本来の計測の目的)、あるいは、大気中の降下煤塵濃度は一様であるが、大気中にランダムに存在する降下煤塵がたまたま特定のサンプリングの際に検出されたのか、を区別できないからである。
また、濃度計測値の代表性の観点から(即ち、サンプルした降下煤塵数の平均値と、大気サンプル箇所に対応する位置での真の降下煤塵数濃度平均値との差の期待値が十分小さいこと)、1つの濃度計測値に対して、平均的に少なくとも10個以上、好ましくは、30個以上の降下煤塵が採取されることが好ましい。
具体例をあげると、典型的な粒子径である30μmの降下煤塵を仮定した場合、都市域での典型的な降下煤塵量である1t/kmMの降下煤塵量の生じる場所での降下煤塵の大気中での個数密度は、約1000個/mである。従って、10個以上の降下煤塵を採取するためには、10L以上の大気を計測機に導入する必要があることになる。数分から数十分といった限られた飛行時間の間に都市域における小規模な降下煤塵プルーム(数十m〜100m程度のスケール)を識別可能な空間分解能で計測を行うために、10個以上の降下煤塵を、例えば、10箇所/minの頻度(飛行速度5m/sの場合、30mの空間分解能に相当)で採取しようとすれば、計測機に導入すべき大気流量は、100L/min以上必要である。従って、大気の吸引流量は、100L/min以上であることが好ましい。
しかし、このような大流量の大気中の降下煤塵を直接、フィルタで捕集した場合、フィルタでの圧力損失が過大になってフィルタを破損する問題を生じるか、あるいは、フィルタの破損を回避するためにフィルタ面積を大きく設定するとフィルタ装置が巨大化して小型無人航空機には搭載できない問題を生じる。また、本発明の第3の特徴で述べるように、パーティクルカウンタを用いて100L/min以上の大気中の煤塵を直接、検出しようとすると、大型のパーティクルカウンタが必要となり、小型無人航空機の許容重量を超えてしまう問題がある。市販のパーティクルカウンタの重量を考慮すると、小型無人航空機に搭載可能なものは、処理流量が数L/min以下のものに限られる。
そこで、本発明の一態様では、吸引した100L/minレベルの大気を、バーチャルインパクタを経由させることで大気中の降下煤塵を濃縮し、数L/minレベルまで流量を減少させた降下煤塵高濃度空気として、フィルタまたはパーティクルカウンタ等の降下煤塵検出部(効果煤塵流量計測手段)に供給する。これにより、上述した問題を解決した。
但し、パーティクルカウンタを通過する大気中の降下煤塵濃度が著しく上昇することに伴って、パーティクルカウンタの下流に設置される吸引装置が高濃度の煤塵によって作動不良を生じないようにする必要がある。このため、パーティクルカウンタの下流、かつ、吸引装置の手前には、煤塵除去用のフィルタを設けることが好ましい。
また、通気抵抗体であるフィルタを用いることによる圧力損失に対応するため、本発明ではバーチャルインパクタの高濃度側の流路には吸引装置として揚程が少なくとも数kPa以上のブロワまたは圧縮機を用いる。本発明では降下煤塵を濃縮することによってフィルタを通過する流量を低減しているので、ブロワまたは圧縮機に小容量で軽量のものを用いることができる。
さらに、本発明では、バーチャルインパクタによって降下煤塵を除去された残りの大半の空気は、処理流量当たりの重量を軽量化可能な、ファンによって吸引を行うことにより、吸引装置を小型無人航空機に搭載可能なレベルに軽量化が可能である。吸引装置としてのファンの特徴は、装置重量当たりの吸引流量がブロワや圧縮機に比べて一般に大きいこと、並びに、揚程の能力がブロワや圧縮機に比べて著しく小さいことである。
本発明では、さらにファンとして単段の軸流ファン、特に、10000rpm以上の回転数のものを用いることによって所要流量を満足するための羽根の直径を小さくでき、一層、軽量化できる。但し、小型で単段の軸流ファンでは、構造上、本発明での所要流量(100L/min)を実現可能な揚程である約100Paを大きく超えることは困難である。
従来の煤塵計測装置においては、大気の吸引を行う際に少なくとも1kPa以上の吸引装置が必要であった。例えば、小型無人航空機に搭載可能な小型フィルタ(例えば、直径100mm)を流路の途中に配置して粒子を捕集する方式の場合、100L/minの流量をフィルタに通過させれば、通常、数kPaの圧力損失が生じるので、これに対応する吸引装置(ブロワまたは圧縮機)を用いることが必要である。
バーチャルインパクタを用いる場合であっても、従来、吸引装置にはブロワまたは圧縮機のみが用いられてきた。その理由は、第1に、従来の煤塵計測装置では煤塵の濃縮を意図せず、分級された気流内の粒子をぞれぞれ捕集することを目的としたものであり、低濃度側の流出口の下流に通常、フィルタを配置する構造であるので、数kPa以上の圧力損失が低濃度側の流路でも生じることである。第2に、低濃度側の流路中にフィルタを配置しない場合であっても、従来の据え置き式煤塵計測装置においては、装置構造を簡略化するために、一般に、低濃度側の流路の吸引装置を高濃度側の流路の吸引装置と共用し、各流路で流体抵抗式流量制御装置を用いた流量制御を行うことが行われてきたため、装置保護の観点からフィルタが必要な高濃度側の吸引装置の必要条件から、吸引装置にはブロワまたは圧縮機が用いられることである。この場合、吸引装置の重量は増大するが、据え置き式の装置ではあまり問題視されてこなかった。第3に、仮に、低濃度側の吸引装置を高濃度側の吸引装置と別に設け、低濃度側流路にフィルタを設けない場合があったとしても、従来のバーチャルインパクタの設計においては低濃度側の吸引装置に少なくとも500Pa以上の揚程が必要であり、単段の軸流ファンを適用することはできないことである。その理由を以下に説明する。
バーチャルインパクタには、粒子の分級装置として適用可能な流量範囲が比較的狭いこと(特に、大流量側の制約が大きい)、並びに、分級装置内での流路が他の方式よりも短いために分級装置内でより強い慣性力を与える必要があること(即ち、同じ大きさの粒子を分級するためには分級装置内でより高速な気流を発生させることが必要なこと)という欠点がある。このためバーチャルインパクタは、工業的には、主として粒子の50%分離直径が5μm〜7μm以下の粒子(例えばSPM用やPM2.5用)の分級に適用されてきた。これより大きな50%分離直径の場合、特に、20μm以上の場合、バーチャルインパクタと同様に乾式分級方式が可能なサイクロンセパレータ等の連続式分級装置が専ら適用されている。
50%分離直径が5μm〜7μm以下の分級ではサイクロンセパレータでは効率的に分級できないので、バーチャルインパクタが適用されうる。バーチャルインパクタでは吸引粒子の慣性力を利用して粒子の分級を行うので、表面力に対して慣性力の影大きな流速を生じさせる必要がある。
このような経緯から、従来のバーチャルインパクタではいずれも5μm〜7μm以下の分級を行っていたので、20m/sを超える流速(約240Pa以上の動圧)を発生させる必要があった。このため、バーチャルインパクタ内の形状抵抗等によって一般に500Pa以上の圧力損失が発生することが避けられなかった。
本発明では軽量化のために、低濃度吸引装置には100Paを大きく超えることのない程度までの揚程しか期待できない、軽量ファンを用いることが好ましい。このため、数m/sの流速があれば、本発明が対象とする分級性能である、10μm超の粒子を分離可能なサイクロンセパレータを適用することが考えられる。
しかし、本発明者が実験したところサイクロンセパレータを用いる場合には吸引された降下煤塵が分級器内壁に付着して少なくともすぐには煤塵濃度計に粒子を供給できない粒子の割合の大きいことが判明した。この現象は、サイクロンセパレータ内での流速をファンの限界能力である約12m/sにしても改善しなかった。これは、サイクロンセパレータでの流路は広いので広範囲に降下煤塵が吸着するのに対し、サイクロンセパレータ内で高速化可能な領域はごく一部に限られ、一旦、壁面に付着した粒子は容易には再飛散できないからである。このことは、数秒〜数十秒程度の時間分解能での煤塵濃度計測が必要な本発明の所要性能からみて致命的となりうる問題である。
そこで、本発明者らは、フィルタ等の大きな通気抵抗を排除した配管系をバーチャルインパクタの低濃度側流出口に接続し、限界流速である約12m/sといった従来のバーチャルインパクタの設定流速に比べて極端に小さい流速で降下煤塵の分級を行った。その結果、50%分離粒径として約14μmが得られ、かつ、10μmの粒子であっても約10%の粒子を高濃度側に分離できる(即ち分級効率が10%)ことが判明した。
本発明が対象とする降下煤塵の定義は直径10μmを超える粒子であり、直径10μmの粒子の判別は例えば、パーティクルカウンタ等の煤塵濃度計の検知しきい値を調整することで可能である。また、バーチャルインパクタの分級効率は、流速一定の条件で実験などによって予め求めることができる。従って、ある粒径での煤塵濃度計による煤塵濃度計測値が得られれば、この値にバーチャルインパクタの分級効率を補正することによって、直径10μm超の粒子の濃度値を正確に求めることができる。このように、低揚程なファンを用いてバーチャルインパクタを用いて降下煤塵を有効に(高精度に)濃縮可能かどうかは、従来、自明ではなかった。
煤塵の濃縮にバーチャルインパクタを用いる理由は、構造が簡易で軽量化しやすいこと、並びに、所要の計測時間応答性(約数秒)を満足できることである。バーチャルインパクタにおいて時間応答性の高い理由は、装置内のいたるところで比較的高い速度での空気流が存在し、装置内の気流は、短時間で装置を通過するとともに、装置の内壁面に粒子が付着したとしても、この高速の気流によって粒子を壁面から再飛散させて短時間で下流に流出させることができるからである。
本発明者らのバーチャルインパクタを用いた分級試験では、煤塵採取口から流入した降下煤塵は少なくとも数秒以内、その大半は1秒以内に煤塵濃度計に到達することがわかった。これは、バーチャルインパクタ内での流路が短く、かつ、狭いため約12m/s程度の流れをバーチャルインパクタ内で生じさせれば、バーチャルインパクタ内の少なくとも高濃度側の流路においては、いたるところでこの流速に近い比較的高速な流れ場となるため、高濃度側流路内の煤塵が流路壁に付着したとしても容易に再飛散するからと考えられる。バーチャルインパクタの低濃度側流路では構造上、流れが低速化するので、壁面に付着した粒子が直ちに再飛散するとは限らないが、本発明では低濃度側流路の煤塵の計測を行わないので問題ない。このように、本発明では所要の時間応答性で降下煤塵濃度を計測することができる。
これに対して、同様の条件でバーチャルインパクタの代わりにサイクロンセパレータを用いた場合には、典型的な濃度の大気を対象とする場合、サイクロンセパレータ内に進入した降下煤塵粒子のうち、少なくとも30%以上の粒子が壁面に付着する。また、降下煤塵の供給を止めた後にも吸引を続けた際には、供給停止後5分間にわたってサイクロンセパレータ内に付着した粒子の再飛散が生じて煤塵濃度計に到達した。このように、煤塵採取口から流入した降下煤塵が煤塵濃度計に至るまでの時間は、サイクロンセパレータにおいては不定であるため、サイクロンセパレータを用いた場合の計測時間応答性は、定義できないことがわかった。なお、サイクロンセパレータ内壁への付着が無視しうるほど高濃度の大気を処理する場合であれば、サイクロンセパレータを適用しうる。
本発明の第3の特徴は、バーチャルインパクタの高濃度側流路にパーティクルカウンタ等のリアルタイムで降下煤塵の量を計測する煤塵検出部(降下煤塵流量計測手段)を設けることにより、降下煤塵の空中濃度およびこれを用いた降下煤塵の水平流束の瞬時値を求めることができることである。
パーティクルカウンタ自体は特定の粒径範囲の粒子について計測機を通過する時間当たり個数を計測するものである。この点、粒子の代表径から粒子体積を算出し、これに時間当たり通過個数を乗じれば、実質的に降下煤塵の体積流量を計測したことになる。さらに、本発明では、大気の吸引流量は、ほぼファンの吸引流量に等しく、かつ、この流量変化は小さいので、時間値の降下煤塵流量をファンの吸引流量で除すれば、実質的に、吸引した大気中の降下煤塵濃度を計測することができる。
また、パーティクルカウンタによって採取した降下煤塵の瞬時の径を計測することにより、煤塵採取口における等速吸引条件からの差を補正して大気中の降下煤塵濃度の計測値を補正するための補正係数をより正確に与えることができる。
本発明の第4の特徴は、大気流ベクトル計測部を小型無人航空機に搭載することによって、局所での風速をリアルタイムで計測することができ、この計測値を用いて、瞬時の降下煤塵の水平流束(=[降下煤塵濃度]×[風速])を求めることができることである。
一般に小型無人航空機は、水平方向に飛行速度成分を有するので、大気流ベクトル計測部での流れの大きさの計測値をそのまま周囲環境の風速とみなすことはできない。そこで、本発明では、次の式(2)を用いて風速を精度よく算出することができる。尚、本明細書の各式で用いる単位は、すべて国際単位系(SI)とする。
[風速]=||{[前記大気流ベクトル計測部による大気流ベクトル計測値]−[前記小型無人航空機の対地飛行速度ベクトル計測値]}|| ・・・(2)
但し、|| ||は、ベクトルのノルムを表す。
また、大気の吸引流量が一定の場合、風速の変動によって煤塵採取口における流入速度は、周囲大気の風速との間に風速差を生じ、大気の吸引は、等速吸引条件から若干の速度差が発生する。この差による降下煤塵の煤塵採取口内への導入効率(=[煤塵採取口への導入降下煤塵流量]/{[大気中の降下煤塵濃度]×[風速]})を補正して大気中の正確な降下煤塵濃度に換算するめには、補正係数を用いる必要がある。
この補正係数は、上記の速度差の影響を大きく受けるので、大気流ベクトル計測部による瞬時のベクトル計測値の大きさを用いることで、この補正係数をより正確に与えることができる。調査の結果、本発明者らは、この補正係数は、瞬時の降下煤塵の粒径および比重、並びに、煤塵採取口における吸引流速と風速の差を用いた補正係数によってほぼ正確に補正できることを見出した。
本発明の第5の特徴は、降下煤塵の発塵源の風下に小型無人航空機を飛行させながら降下煤塵の量を連続的に計測することによって、風上方向の主要な発塵源の位置を推定できることである。従来技術でも多数の煤塵計測装置を配置して同時計測を行えば類似の推定が可能ではあるが、本発明では、単一の計測装置を用いるだけでよい。
本発明の第6の特徴は、降下煤塵の発塵源の風下に小型無人航空機を飛行させながら降下煤塵の量を連続的に計測することによって、その発塵源からの降下煤塵の発塵量を求めることができることである。これは、小型無人航空機に煤塵検出部を搭載して移動しながら計測を行うことにより、瞬時の降下煤塵プルームが空間上に存在する範囲を特定することにより実現できるものであり、従来の据え置き型の煤塵計測装置では不可能なことである。また、降下煤塵の発塵量が所定値以上となる降下煤塵プルームの断面積を用いて、降下煤塵の発塵源からの降下煤塵の発塵速度を算出することもできる。この点、従来技術では、発塵速度を推定する方法は存在しなかった。
本発明によれば、小型無人航空機に搭載可能な軽量で大流量の大気を処理可能、かつ、計測時間応答性も十分に高い計測装置を提供することができ、降下煤塵の水平流束を正確に計測することができる。
本発明の実施形態にかかる計測装置の構成の一例の模式図である。 本発明の実施形態にかかる搭載機の構成の一例の模式図である。 本発明の実施形態にかかる煤塵採取口の構造の一例の模式図である。 本発明の実施形態にかかる小型無人航空機の飛行経路の一例の模式図である。 本発明の実施形態にかかる小型無人航空機の飛行経路の他の一例の模式図である。 本発明が前提とする、小型無人航空機の飛行経路と降下煤塵プルーム断面間の関係の一例の模式図である。 本発明が前提とする、小型無人航空機の飛行経路と降下煤塵プルーム断面間の関係の他の一例の模式図である。 本発明の実施例の結果の一例である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。尚、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本実施形態にかかる、降下煤塵の水平流束の計測装置の構成の一例を図1に示す。また、本実施形態にかかる小型無人航空機の搭載機の詳細構成の一例を図2に示す。
(全体構成)
本実施形態にかかる、降下煤塵の水平流束の煤塵計測装置1は、小型無人航空機10(以下、無人航空機10と称呼する場合がある)、並びに、地上11に設けられた操縦装置12および運航監視装置13から構成される。無人航空機10の無人航空機本体20の下部には、搭載機21が設けられている。
煤塵計測装置1において、無人航空機10は、例えば無線により、操縦装置12および運航監視装置13と通信可能に構成されている。そして無人航空機10は、操縦装置12で操作されるとともに、運航監視装置13で運行状況が監視される。
(無人航空機本体)
無人航空機本体20は、無人航空機10が飛行するために必要な最低限の装置、制御機構、並びに、動力源および動力装置を有している。無人航空機本体20には、4ロータ以上のマルチコプタ、シングルロータ式のヘリコプタ、または、固定翼式の航空機を使用することができる。本実施形態では無人航空機本体20に、4つのロータ30を有するマルチコプタが用いられる。
無人航空機本体20は、市販のものであっても自作したものであってもよい。無人航空機本体20の推進機構には、プロペラ方式、ファン方式、ジェット方式、ロケット方式、または、これらの任意の方式の組み合わせのものなどを用いることができる。
無人航空機本体20には、当該無人航空機本体20を制御する制御装置31が設けられている。制御装置31には、例えばフライトコントローラを用いることができる。この場合、制御装置31は、GPS等の機***置計測装置、高度計、方位計等のセンサ32を有する。また、制御装置31は、地上11からの遠隔操作信号を無線で受信する受信機33を備え、操縦装置12や運航監視装置13との間で信号をやり取りすることができる。制御装置31は、プロセッサまたは計算機を備え、飛行を安定的に継続するための機体の推進機構や飛行方向調整装置等の操作対象の操作量をリアルタイムで計算して、当該操作対象を制御する。
尚、制御装置31には、地上11からの操縦装置12や運航監視装置13の遠隔操作信号を受信し、この信号を前記操作対象の操作量に変換して当該操作対象を制御するラジオコントロールシステムのコントローラを用いてもよい。
無人航空機10の動力源および動力装置には、燃料タンクおよび内燃機関、燃料タンク(固体ロケット燃料用の容器を含む)および外燃機関(ロケットの噴射ノズルを含む)、電池(燃料電池を含む)および電気式モータ、または、ガス圧力容器およびガス駆動ポンプなどを用いることができる。あるいは、動力源および動力装置には、電源または燃料タンクを地上11に配置するとともに、無人航空機10との間に電線または燃料供給用のチューブを設けて、無人航空機10上の推進機構にエネルギを供給するものを用いてもよい。
無人航空機10の代表寸法(例えば、最大幅)は、計測対象である周囲大気への悪影響を低減するために、2m以下であることが好ましく、1m以下であることがさらに好ましい。
無人航空機10の離陸重量(質量)は、日本の航空法による制約のより少ない条件である、25kg未満であることが運用上、好ましく、後述の本実施形態での機能を発揮する搭載機21の実用的な重量(離陸重量に含まれる)を考慮すると、少なくとも1kg以上が必要である。尚、無人航空機10の離陸重量が200g未満であれば、航空法の制約は、さらに緩やかになるものの、上記の離陸重量の下限値の観点からこのような条件とすることはできない。
(操縦装置および運航監視装置)
操縦装置12は、無人航空機本体20の飛行操作、または、その搭載機21の操作を地上11から行うことができる。運航監視装置13は、無人航空機本体20の監視、または、その搭載機21の監視を地上11から行うことができる。
これらの操作および監視に用いる信号は、無線または有線で送信され、この信号を用いて地上11と無人航空機10の間で通信を行う。操縦装置12および運航監視装置13には、市販のラジオコントロール用の操作機や無線機能を有し、この操作および監視を行うためのソフトウェアを備えた操作・監視用の計算機などを用いることができる。
操縦装置12および運航監視装置13には、無人航空機10の飛行経路を前記の操作・監視用計算機に予め登録しておくことができる。この場合、オートパイロット機能を用いてもよい。オートパイロット機能は、飛行中または飛行前に前記操作・監視用計算機から無人航空機10上の制御装置31(フライトコントローラ)に通信することにより、無人航空機10の空中での位置が予め設定された飛行経路に沿って移動するように、制御装置31で制御する機能である。尚、オートパロット機能の設定を制御装置31のみで実施できる場合には、地上11における操縦装置12および運航監視装置13は必ずしも必要ない。このような条件で飛行を行う際には、所管官庁の許可を受けたうえで実施する。
(搭載機)
搭載機21は、無人航空機本体20に固定される装置群であり、各装置が連携して空中での降下煤塵を捕集して降下煤塵の量に関する計測を行う。その搭載機21の構成例を図2に示す。
搭載機21は、管路系装置40、計測系装置41、並びに、図示しない搭載機用動力源装置を含んで構成される。管路系装置40は、降下煤塵を含んだ大気を煤塵検出部70(計測系装置41の一部)に供給するための装置である。計測系装置41は、管路系装置40により供給された大気中の降下煤塵の量を計測するための装置である。搭載機用動力源装置は、管路系装置40および計測系装置41に動力を供給するための装置である。
(管路系装置)
管路系装置40は、煤塵採取口50、煤塵濃縮器51、連続計測手段74、煤塵捕集器52、ブロワまたは圧縮機である促進部53、ファン54等の装置要素から構成される。各装置要素間は、チューブやダクトで互いに連結してもよいし、連続する装置を直接に結合してもよい。本実施形態では、煤塵採取口50および煤塵濃縮器51は、空気流路55で連結される。煤塵濃縮器51、連続計測手段74、煤塵捕集器52、および促進部53は、高濃度空気流路56で連結される。煤塵濃縮器51およびファン54は、低濃度空気流路57で連結される。尚、これら空気流路55、高濃度空気流路56、および低濃度空気流路57はそれぞれ、例えば管路である。
(煤塵採取口)
煤塵採取口50の構造の一例を図3に示す。煤塵採取口50は、降下煤塵を含む大気を管路系装置40に導入するための部品である。
煤塵採取口50は、天板60および傾斜板61を有する。天板60は、鉛直方向に中心軸を備えた円板形状を有する。傾斜板61は、天板60の下方に設けられ、天板60と同一の中心軸を備えた、中空の円錐台形状を有する。また傾斜板61は、鉛直下方に向けて径が小さくなるテーパ形状を有する。
天板60と傾斜板61の間には、開口部62が形成されている。開口部62は、天板60と傾斜板61と同一の鉛直方向の中心軸回りに軸対称であって、円周方向に均一な形状で形成されている。このような開口部62を設けることによって、あらゆる風向の風に含まれる降下煤塵をほぼ周方向に均一な効率で管路系装置40に導入することができる。
ここで、単に軸対象の開口部62のみを設けただけだと、開口部62の一方から流入した降下煤塵がそのまま開口部62の反対側から流出してしまい、流出比率が大きくなるという問題を生じる。そこで、煤塵採取口50の開口部62の内部に、鉛直面(中心軸に平行な面)を有するじゃま板63を設ける。尚、煤塵採取口50は、天板60および傾斜板61がじゃま板63に支持された構成を有する。
煤塵採取口50において、降下煤塵捕集効率の周方向の均一性をじゃま板63が阻害しないように、じゃま板63は、中心軸から放射状に配置されるとともに、4枚以上、周方向に均等な角度を互いになすように設けられる。図3では、じゃま板63が4枚の例を示している。
大気が煤塵採取口50内に流入すると、空気および空気に含まれる降下煤塵は、じゃま板63によって少なくとも一部は管路系装置40内へ流入する。
開口部62からの大気の流入流量([開口流入流量]=[煤塵採取口50の風上側入口での大気の流入速度]×[開口部62の鉛直面への投影面積])の値が、ファン54の吸引流量と等しい場合には、風上側の開口部62から煤塵採取口50内に流入した大気は全量、管路系装置40に流入し、等速吸引状態が実現される。
大気の開口流入流量の値がファン54の吸引流量よりも大きい場合には、大気の開口流入流量とファン54の吸引流量の差の流量の流れが、じゃま板63を下方または側方に迂回して、水平方向の風下側の開口部62から大気中へ流出する。
大気の開口流入流量がファン54の吸引流量よりも小さい場合には、ファン54の吸引流量と開口流入量の差の流量の大気が、主に風下側の開口部62の低風速部(じゃま板63の後流部など)から煤塵採取口50内に流入する。
不足する大気が主に風下側の開口部62の低風速部から流入する理由は、次のとおりである。不足する流量を風上または風下のいずれかの開口部62から流入する場合、開口部62において大気を増速させる必要がある。風上側の開口部62で増速を行う場合には、既に存在している大きな流入速度に増速分の速度が上乗せされるため、増速に必要な圧力差(ファン54の吸引によって発生させる)は、低風速部において同じ量で増速する場合よりも遥かに大きいものが必要になる。このため、不足する大気は主に風下側の開口部62から流入する。尚、増速に必要な圧力差は、開口での流入速度の2乗に比例するため、初期速度が低いほど増速に要する圧力差は小さくてよい。
一方、空気に含まれる降下煤塵のうち、管路系装置40内へと送られるものと、水平方向に流出するものとの比率は、上記の煤塵採取口50内での空気の流れに降下煤塵のスリップ率(気体の流線の変化に対する粒子軌跡の追従遅れの比率)の影響が加味されて決まる。粗大な降下煤塵粒子は、流線変化への追従性が低いので、上記の煤塵採取口50内での空気の流れの急変に追従できず、大半がじゃま板63に衝突してその後の軌跡が決まる。
例えば、じゃま板63が3枚以下の場合、周方向に均等に設けたとしても、じゃま板63が互いになす角(平面視におけるなす角)が120°となる。この際、じゃま板63に衝突した粗大な降下煤塵粒子の大半は、水平方向の煤塵採取口50外に反射され、管路系装置40内に流入しないという問題を生じる。
一方、じゃま板63が4枚であって、これら4枚を周方向に均等配置した場合、じゃま板63の互いになす角が90°となる。この場合、じゃま板63に衝突した空気中の降下煤塵粒子は、少なくとも1回目の衝突で煤塵採取口50外に流出することがなく、管路系装置40内に流入する比率が高まる効果を得ることができる。
じゃま板63の枚数が多いほど、粗大な粒子の捕集効率が高まるので好ましい。従って、じゃま板63は例えば、16枚であってもよい。一方で、じゃま板63は通気抵抗体でもあるので、枚数が過大であると、じゃま板63による圧力損失が過大となり、ファン54による阻害を阻害するとともに、微小な粒子がじゃま板63の表面に付着する比率が上昇するなどの問題を生じる。このため、じゃま板63の枚数は、4枚から8枚の範囲がより好ましい。
開口部62の鉛直面に対する投影面積は、[投影面積]×[想定される、大気の代表風速]がファン54の吸引流量に一致するように定めることが好ましい。このようにすると、代表風向の際には等速吸引状態が実現でき、大気中の降下煤塵を精度よくサンプリングできるからである。
天板60および傾斜板61は、周方向の降下煤塵捕集効率の均一性を確保するため、軸対称であることが好ましい。天板60は、じゃま板63によって阻害される空気の流れがじゃま板63を上方に迂回して、降下煤塵捕集効率を低下することを防ぐ効果を発揮する。傾斜板61は、後続の煤塵濃縮器51等に気流を供給する際の便宜のために、管路断面を煤塵採取口50の開口面積から減少させるために設けるためのものである。
煤塵採取口50に用いる材料の素材は、自身の構造を保ちうるものであればどのようなものでもよいが、静電気による煤塵付着の影響を低減するため、導電性であることが好ましい。例えば、アルミニウム、チタン、ステンレス鋼等を用いることができる。
煤塵採取口50の総装着位置は、無人航空機10の飛行時に無人航空機10の構造物の後流領域に入らない場所に設置すべきである。このため、煤塵採取口50の開口部62は、無人航空機10の上方に向けて機体から突出させることが好ましい。
(煤塵濃縮器)
煤塵濃縮器51は、煤塵採取口50から流入した降下煤塵を含む大気を、降下煤塵の濃度が高濃度である高濃度空気と、降下煤塵の濃度が低い低濃度空気とに分離して、それぞれ高濃度空気用流出口および低濃度空気用流出口から流出させる分級装置である。この煤塵濃縮器51には、バーチャルインパクタやサイクロンセパレータ等がある。尚、高濃度空気と低濃度空気の濃度の閾値は任意に設定できる。
本実施形態での煤塵濃縮器51にはサイクロンセパレータを用いることも可能ではあるが、バーチャルインパクタを用いることがより好ましい。バーチャルインパクタ内での最大の気流流速を例えば、12m/sとした場合、高濃度空気流出口と低濃度空気流出口に50%ずつの粒子がそれぞれ流出する条件の粒子径(密度1000kg/m、球形)を14μmにすることができる。この場合、降下煤塵の定義である下限の粒径10μmの粒子であっても、約10%の粒子が高濃度空気流出口から流出させることができるので、高濃度空気を煤塵濃度計測機で計測することができる。具体的には、粒径10μmと認識された粒子の濃度計測値に補正係数(例えば、10)を乗じればよい。
一様に降下煤塵が分布する大気を前提に、バーチャルインパクタ内での最大の気流流速を例えば、12m/sとした場合、20μmを超える大径粒子では少なくとも80%以上の粒子を高濃度空気流出口から流出させることができる。
また、バーチャルインパクタの構造上、低濃度空気の吸引流量は高濃度空気の吸引流量の4倍〜20倍程度の値である。従って、高濃度空気流出口ではおおよそ、3倍(70%の粒子が高濃度空気に含まれ、[低濃度空気吸引流量]/[高濃度空気吸引流量]=4である)〜20倍(95%の粒子が高濃度空気に含まれ、[低濃度空気吸引流量]/[高濃度空気吸引流量]=10である)以上の濃度に降下煤塵を濃縮できる。このような性能を有するバーチャルインパクタの圧力損失係数は、バーチャルインパクタ内での最高流速(通常、バーチャルインパクタ流入管出口での平均速度)を基準として、0.5程度に設計することができる。
(ファン)
煤塵濃縮器51(バーチャルインパクタ)の低濃度空気流出口から流出した空気は、低濃度空気流路57を経由して、ファン54へ送られる。ファン54には誘引式のものを用いる。ファン54の形式は、軸流ファン、シロッコファンなど様々なものを用いることができるが、大流量を小型の装置で実現するためには、軸流ファンが好ましい。装置を軽量化するために、軸流ファンは、単段なことがさらに好ましい。ファン54から流出する空気は、そのまま大気中に放出してよい。
ファン54の流量は、所要の煤塵個数を計測周期の単位時間で吸引する必要があるので、100L/min以上の能力のあることが好ましい。また、上記の流速条件12m/s時の空気の動圧は、約90Paなので、ファン54の揚程は、原理的にこの値以上でなければならない。さらに、煤塵濃縮器51での圧力損失(例えば、45Pa(圧力損失係数=0.5))、上記の煤塵採取口50での曲り管部での圧力損失、並びに、その他の管路での圧力損失を考慮すると、ファン54の揚程は、少なくとも200Pa以上(本発明においては、200Paは、100Paを大きく超える値ではない)あることが好ましい。
これらの流量および揚程条件を同時に満たし、かつ、無人航空機10(UAV)に搭載する部品として許容される重量(例えば、100g)を満たすため、軸流ファンの回転数は、10000rpm以上であることが好ましい。
ファン54に、10000rpm以上の軸流ファンを用いたとしても、200Paを超える圧力を得ることは簡単ではない。従って、煤塵濃縮器51の低濃度空気流出口とファン54の間の低濃度空気流路57では、圧力損失を極力低減する構造が必要である。
低濃度空気流路57には、フィルタ等の抵抗体を配置しないことが好ましい。フィルタを設置しないと、低濃度とはいえ降下煤塵の一部がファン54に到達する。計測場所が特に高濃度の発塵地域である場合には、ファン54の運転への煤塵による悪影響が考えられる。そのような場合には、市販の防塵ファンを用いればよい。
防塵ファンであるファン54は、一般に回転羽根とケーシング間の隙間をブロワや圧縮機に比べてより大きく設定でき、煤塵の噛みこみトラブルに対して有利である。このため、防塵ブロワや防塵圧縮機で防塵対策をとる際には、効率の低いダイヤフラム式のものを採用するなどして装置の大型化および重量増が避けられないのに対し、防塵ファンの場合、装置の重量増は比較的小さい。従って、ファン54に防塵ファンを用いることが、軽量化のためにより有利である。
また、低濃度空気流路57の径も十分大きく(例:流路内流速が10m/s未満となるような流路径)、かつ、曲り部も少なく設定すべきである。ファン54の排気は、そのまま大気中に放出してよい。
尚、促進部53(ブロワまたは圧縮機)の流量は、煤塵捕集器52(フィルタ)の閉塞度合いによって飛行中に変動すること、およびこの流量がファン54の流量に比べて十分に小さい。このため、降下煤塵濃度を算出する際には、煤塵採取口50の開口部62での吸引流量を、ファン54の吸引流量として計算してもよい。
(煤塵捕集器)
煤塵濃縮器51(バーチャルインパクタ)の高濃度空気流出口は、高濃度空気流路56を介して、煤塵捕集器52に接続される。煤塵捕集器52には、バグフィルタやメンブレンフィルタ等のフィルタが除塵能力の観点から好ましい。あるいは、サイクロンセパレータ等の空気力学的分級機を用いてもよいが、この場合には、後続する促進部53(ブロワまたは圧縮機)の能力に十分な余裕を設定し、空気力学的分級器内で十分な流速を発生させて確実に降下煤塵を分級器内から流出させない配慮が必要である。以下、煤塵捕集器52を代表してフィルタと記載する。
フィルタの第1の役割は、一般に煤塵の流入に対してトラブルを生じ易い、促進部53(ブロワまたは圧縮機)の手前で煤塵を除去することである。第2の役割は、採取した降下煤塵を小型無人航空機10内に留めて、事後、この採取された降下煤塵を回収して各種の分析に用いるための降下煤塵の貯留のための装置である。フィルタの目開きは、少なくとも降下煤塵の定義である10μmの粒子をほぼ100%捕集できる必要があり、かつ、促進部53で問題となる寸法の煤塵の大半を捕集できることが好ましい。例えば、3μm以上の粒子を捕集するタイプのフィルタを用いることができる。
(促進部)
フィルタの下流には、高濃度空気流路56を介して、ブロワまたは圧縮機の促進部53が配置される。ブロワまたは圧縮機の形式は、遠心式、斜流式、容積式等の各種の市販のものを用いることができる。ブロワまたは圧縮機の流量は、軽量化のために例えば、10L/min未満、より好ましくは、5L/min未満のものを用いることができる。この流量が煤塵採取口50から吸引された大量の大気流量に比べて著しく小さいのは、煤塵濃縮器51(バーチャルインパクタ)によって低濃度空気の流量が大幅に低減(降下煤塵が濃縮)されているため、煤塵採取口50から吸引された大量の大気のうちのごく一部を、ブロワまたは圧縮機で処理すればよいからである。
促進部53であるブロワまたは圧縮機の揚程は、主に煤塵捕集器52(フィルタ)での圧力損失を補償できる能力が必要であり、公称10000Pa以上、かつ、本装置の運転条件での流量時に少なくとも1000Pa以上、好ましくは5000Pa以上であるものを用いることができる。このように高い揚程の装置であっても、処理流量が比較的小さいので、無人航空機10に搭載可能な軽量なブロワまたは圧縮機(例:200g)を用いることができる。ブロワまたは圧縮機の排気は、大気中に放出してよい。
(計測系装置)
計測系装置41は、煤塵検出部70、大気流ベクトル計測部71、位置計測部72、および計算機73を有している。
(煤塵検出部)
煤塵検出部70は、検出部の一例である連続計測手段74および検出値処理手段75を有している。連続計測手段74は、管路系装置40の一部であり、管路系装置40内の煤塵濃縮器51と煤塵捕集器52との間に設けられ、内部に降下煤塵を含んだ高濃度空気が通過する。検出値処理手段75は、計測系装置41の一部であり、降下煤塵の量に関する値の演算を行う。煤塵検出部70では、連続計測手段74の計測値は、検出値処理手段75で処理され、計算機73に出力される。
降下煤塵の量の連続計測手段74は、乾式の測定法であることが好適であり、ベータ線吸収式質量計、パーティクルカウンタ、TEOM原理を用いた質量計等の市販のものを用いることができる。
パーティクルカウンタは、採取された粒子に照射された光の散乱光強度を検出および計測することにより、通過した粒子の数および大きさをそれぞれ計測することができる。この情報をもとに個々の粒子の体積を算出することができる。このため、これを単位時間ごとに集計することによって、採取された粒子の総体積を降下煤塵として求めることができるとともに、採取された粒子の粒径分布を求めることができる。
降下煤塵の解析においては、落下速度に大きな影響を与える、粒径の情報を得ることが特に有益である。このため、粒径分布(粒径差)を求めることの可能な、パーティクルカウンタを用いることがより好ましい。降下煤塵の量の連続計測手段74での時間分解能は、飛行時の空間分解能が数十m以下に保持されるように1分以下であることが必要であり、10秒以下であることが好ましい。
ベータ線吸収式質量計は、質量を計測できる点が利点である。尚、PM2.5等の計測に一般的に用いられる各種計測機、例えば、連続式の光散乱式煤塵濃度計(労働環境測定において規格化されたもの等)では、本実施形態での計測対象である降下煤塵のように粒子の比表面積と大気中の粒子個数密度の小さな粒子を正確に計測することは、困難である。
(大気流ベクトル計測部)
大気流ベクトルとは、風向方向の方向と風速の大きさを有するベクトルである。従って、風向および風速を同時に計測できれば大気流を計測することができる。大気流ベクトルを計測する、大気流ベクトル計測部71には、市販の風向風速計を用いることができる。例えば、風向風速計として、超音波式、プロぺラ式、または、風杯式等を用いることができる。風向風速計の計測値の出力として、瞬時の計測値、または、計測値の数秒程度以内での平均を連続的に出力できるものとすべきである。
(位置計測部)
搭載機21には、GPSやGNSS等の位置計測部72を設けることができる。位置計測部72にGPSを用いる場合、当該位置計測部72は、例えばGPSアンテナ76を備え、無人航空機10の位置を計測する。尚、位置計測部72は、無人航空機本体20に設けられてもよい。
尚、位置計測部72の代わりとして、地上11からレーザ距離計等を用いてもよい。レーザ距離計からレーザを無人航空機10に照射して無人航空機10に追従させることによって、無人航空機10の位置を地上11で計測することもできる。
(計算機)
計算機73は、時間計測部77およびデータ記録部78を有している。尚、本実施形態では、計算機73は搭載機21に設けられているが、例えば、無人航空機本体20に計算機が存在する場合には、必ずしも搭載機21に時間計測部77およびデータ記録部78を設ける必要はない。但し、後述するように、降下煤塵の水平流束を高精度に求めるためには、降下煤塵の量の計測時刻と無人航空機10の位置計測時刻の対応を厳密に記録する必要がある。
(時間計測部)
後述の降下煤塵濃度の空間分布を求めるためには、無人航空機本体20および搭載機21の各種センサ間で、同時刻に得られた計測値を互いに対応づける必要がある。このためには、搭載機21に、時間計測部77を搭載することが好ましい。
時間計測部77には、時計、または、GPS等の現在時刻を含んだ信号の受信装置、およびこの信号を解読して時刻に変換する装置の組み合わせ、あるいは、計算機の内部時刻等を用いることができる。
(データ記録部)
データ記録部78には、計算機73が備えるハードディスク等の記録装置(ストレージ)を用いることができる。本実施形態では、データ記録部78を搭載機21に設けたが、無人航空機本体20に設けてもよく、または、これら搭載機21と無人航空機本体20の両方に設けてもよい。あるいは、データ記録部78としてのデータ記録装置を地上11に配置し、無線によって無人航空機10から地上11のデータ記録装置にデータを送信してデータを記録してもよい。
データ記録部78には、無人航空機本体20や搭載機21の各計測機に信号線や無線経由で接続し、これら計測機による計測データがデータ記録部に送られる。データが送られる際に計算機にて各データの対応する時刻を記録することができる。この時刻には、計算機73内部の時間計測部77を用いてもよいし、計測値の一部であるGPS等の計測データを用いてもよい。これによって、降下煤塵の量の計測時刻と無人航空機の位置計測時刻の対応を対応づけることができ、降下煤塵の水平流束を高精度に求めることができる。データ記録部78には、市販のマイクロコンピュータや制御装置31(フライトコントローラ)を用いることができる。
(搭載機用動力源装置)
ブロワまたは圧縮機である促進部53やファン54等の、搭載機21の各装置の動力には電気を用いることができる。このための動力源としては、無人航空機本体20と搭載機21との間に電線を設け、無人航空機本体20の動力源から搭載機21に電力を供給してもよい。あるいは、搭載機21に電池を搭載してこれを動力源としてもよい。必要に応じて、動力源からの電気の電流や電圧を搭載機21の各装置にとって適切な値に変換および制御を行う電源装置、例えば、DC−DCコンバータを搭載機に設けることができる。
説明の簡単のため、実施形態の図中には、搭載機用動力源装置および動力配線の記載を省略しているが、電力を必要とする装置(促進部53、ファン54、センサ、計算機73等)には、適宜、適切な電力が搭載機用動力源装置から供給されるように設計する。そのような設計方法は、当業者には自明である。
尚、上述した搭載機21を構成する各装置は、共通の基板上に固定したうえで、無人航空機本体20にボルト等で結合することができる。あるいは、これらの各装置を個別に無人航空機20のフレームなどに結合してもよい。
(降下煤塵捕集方法)
以上のように構成された無人航空機10で降下煤塵を捕集する際には、ブロワまたは圧縮機である促進部53、およびファン54を作動させて無人航空機10を飛行させながら、計測系装置41で計測されるデータを記録すればよく、どのような飛行経路を設定してもよい。無人航空機10には、飛行経路上での風に伴って、煤塵採取口50内に降下煤塵を含む空気が流入して、管路系装置40に降下煤塵が送られる(降下煤塵が捕集される)。以下、飛行経路の代表例を挙げる。
第1の飛行経路は、所定の空間上の1点に、無人航空機10をホバリングさせるものである。第1の飛行経路は、その空間上1点における降下煤塵濃度の経時変化を計測するなどの目的で使用できる。
第2の飛行経路は、図4に示す飛行経路100である。計測対象領域である鉛直計測面110を上空に設定し、第2の飛行経路100はこの鉛直計測面110に設定される。第2の飛行経路100において無人航空機10は、高度を変更しながら、各高度で水平に飛行する。具体的に無人航空機10は、地上11から離陸した後(離陸経路100A)、鉛直計測面110において水平飛行(水平経路100B)と鉛直飛行(鉛直経路100C)を繰り返し、地上11に着陸する(着陸経路100D)。
第2の飛行経路100は、鉛直計測面110において、着目する発塵源120からの降下煤塵濃度の空間分布を把握するなどの目的で使用できる。尚、図4において、星印は計測点130を示し、計測点130を囲う点線は計測面積131を示す。また、図4において、上空の矢印は風ベクトル140を示す。
第3の飛行経路は、図5に示す飛行経路200である。計測対象領域である鉛直計測面210を上空に設定し、第3の飛行経路200はこの鉛直計測面210に設定される。具体的に無人航空機10は、地上11から離陸した後(離陸経路200A)、鉛直計測面210において鉛直飛行(鉛直経路200B)と水平飛行(水平経路200C)を繰り返し、地上11に着陸する(着陸経路200D)。
第3の飛行経路200は、着目する発塵源220が無人航空機10の大きさに比べて十分に大きいとき、この着目発塵源220の風下で、無人航空機10着目発塵源220に沿って飛行させるものである。例えば、粉体を処理する塔状の構造物が着目発塵源220である場合、この塔状の構造物の風下で、地上11からこの塔状の構造物の高さの範囲で、無人航空機10を鉛直方向に往復飛行させることができる。
第3の飛行経路200は、着目発塵源220のどの位置から発塵が多いかを判定するなどの目的に使用できる。尚、図5において、星印は計測点230を示し、計測点230を囲う点線は計測面積231を示す。また、図5において、上空の矢印は風ベクトル240を示す。
(降下煤塵の空中濃度算出方法)
本実施形態の煤塵計測装置1において、計測系装置41から得られるデータは、粒径別の降下煤塵の量、風向、風速、並びに、無人航空機10の飛行位置の時系列値である。これらのデータから、飛行経路上の特定点での降下煤塵濃度を算出する方法について説明する。
まず、計測系装置41から得られるデータを、当該各データの時刻を用いて、同時刻のもの同士で対応づける。ここで、対応づけに用いた特定の時刻における粒径別の降下煤塵の量(当該降下煤塵の量)、風向、風速、並びに、無人航空機10の位置計測値を、その時刻での粒径別の当該降下煤塵の量、当該風向、当該風速、並びに、当該航空機位置と呼称することにする。
これら記録されたデータに対して、飛行中にまたは事後的に以下の処理を施し、次の式(3)を用いて降下煤塵(未補正)の濃度を算出する。
[降下煤塵の濃度(未補正)]=[当該降下煤塵の量]/([ファン54の吸引流量]×[粒径別の煤塵検出部70でのデータ出力間隔]) ・・・(3)
上述のように煤塵採取口50での開口部62の鉛直面に対する投影面積は、[投影面積]×[想定される、大気の代表風速]が、ファン54の吸引流量に一致するように定めることが好ましい。このように設定すると風速が代表風速に一致する場合に大気の等速吸引ができ、降下煤塵のサンプリングを高精度で行うことができる。
しかし、一般の大気環境下での風速は代表風速とは異なって、当該代表風速との間に風速差を生じる。この風速差によって、降下煤塵の捕集効率が等速吸引時に比べて増減するため、上記の式(3)で算出した降下煤塵濃度の値に誤差を生じる。
そこで、上記の式(3)で算出した降下煤塵濃度の計算値に補正係数Fを乗じて、より実態に近い降下煤塵濃度を推定する。個々の降下煤塵の粒径(後述のパーティクルカウンタを用いる場合には、対応する粒径区分の代表径が対応する)、並びに、想定される煤塵種から定める降下煤塵の密度(比重)を用いて、降下煤塵の捕集効率予測値に基づいて、補正係数Fを求める。そして、次の式(4)を用いて、煤塵検出部70から得られた降下煤塵の量の計測値に対し、補正係数Fを乗じて降下煤塵濃度とする。
[降下煤塵の濃度]=[当該降下煤塵の量]/([ファン54の吸引流量]×[粒径別の煤塵検出部70でのデータ出力間隔])×補正係数F ・・・(4)
上記の補正係数Fは、例えば風洞実験を行って求めればよい。風洞実験では、煤塵採取口50を風洞内に設置して、所定流量で吸引を行いながら風洞内の風速を様々な条件に設定し、煤塵採取口50の上流から、粒径や比重の異なる均一な粒種を風洞内に投入する。その結果得られた煤塵採取口50での粒子の捕集量を用いて、補正係数Fを求める。煤塵捕集効率予測値は、風速、粒径、比重別のテーブル値として与えてよく、あるいは、これらテーブル値を回帰して式の形で与えてもよい。補正係数Fを用いることにより、風速が変化しても等速吸引を実現するようにファン54の吸引流量を変化させることなく、高精度で降下煤塵濃度を求めることができ、装置を簡便にすることができる。
(降下煤塵の水平流束算出方法)
降下煤塵の水平流束は、次の式(5)で算出できる。
[降下煤塵の水平流束]=[降下煤塵の濃度]×[風速] ・・・(5)
そして上記の式(5)を、上記の式(2)と式(4)を用いて展開すると、降下煤塵の水平流束の算出式である式(1)が導出される。
[降下煤塵の水平流束]=[煤塵検出部70による計測値から求めた降下煤塵の量(体積または質量)]/{[大気流ベクトル計測部71でのデータ出力周期]×[煤塵濃縮器51における空気の流量]}×||{[大気流ベクトル計測部71による大気流ベクトル計測値]−[無人航空機10の対地飛行速度ベクトル計測値]}||×[補正係数] ・・・(1)
降下煤塵の濃度の算出方法は、上述のとおりである。風速には、大気流ベクトル計測部71による瞬時の風速計測値等を用いて算出すればよい。
尚、瞬時の降下煤塵の水平流束は、対応する時刻の風向と対応づけることができる。この風向には、大気流ベクトル計測部71による瞬時の風向計測値を用いればよい。
(発塵源の推定方法)
上記のように、本実施形態では、瞬時の無人航空機10の位置、降下煤塵の水平流束、並びに、風向を同時に把握することができる。これを用いて、特定の無人航空機10の位置において、他の場所よりも著しく大きな降下煤塵流束が計測された場合、この特定の無人航空機10の位置の風上方向(風向方向)に、主要な発塵源が存在すると推定することができる。
(既知の降下煤塵の発塵源からの発塵速度の算出方法)
着目する発塵源の位置が既知であり(または、上記の発塵源推定方法によって推定される発塵源であるとき)、この発塵源からの降下煤塵の発塵速度(時間当たりに大気中に放出される降下煤塵の量)を次の手順で求めることができる。以下、図6および図7を用いて、発塵速度の算出方法を説明する。図6および図7には、図4に示した第2の飛行経路100を示す。
まず、無人航空機10を着目発塵源120の風下方向(計測時の主風向を風向として採用する)で、風向と略垂直方向に水平方向に往復飛行させ、水平飛行の高度も往復飛行の端部で複数変更する。この飛行中に常時、降下煤塵の水平流束と風向を計測し続けることにより、着目発塵源120の風下に飛行経路100に沿った計測点130群から構成される、仮想の鉛直面(鉛直計測面110)が形成できる。
着目発塵源120から発生する降下煤塵プルーム150の全てが、この鉛直計測面110を通過するように、鉛直計測面110の大きさを十分大きく設定する。
各計測点130に対応する計測面積131に関しては、鉛直計測面110内で隣接する(水平方向および鉛直方向)計測点130、130間の距離の2倍を計測面の辺とし、水平方向の辺の長さと鉛直方向の辺の長さを乗じたものを計測面積131として採用することができる。その結果、着目発塵源120以外の発塵がない場合、各計測点130での[降下煤塵流束]×[計測面積]の合計が着目発塵源120からの発塵速度に一致する。
上述の方法で各計測点130での降下煤塵流束と計測面積を求めることができるので、次の式(6)を用いて、着目発塵源120からの発塵速度を求めることができる。
[着目発塵源120からの発塵速度]=Σ(全計測点)[各計測点130での降下煤塵水平流束]×[各計測点130での計測面積] ・・・(6)
現実の大気環境下では着目発塵源120以外の発塵源も存在することが一般的なので、着目発塵源120以外の発塵影響として、バックグランド降下煤塵流束を上記の式(6)に対して、次の式(7)のように補正する。
[着目発塵源120からの発塵速度]=Σ(全計測点)([各計測点130での降下煤塵水平流束]−[バックグランド降下煤塵水平流束])×[各計測点130での計測面積] ・・・(7)
バックグランド降下煤塵水平流束の算出方法として、例えば、まず、全計測点130での降下煤塵水平流束計算値のうち、所定値以上のものを着目発塵源影響ありと判定し、これ以外の計測点を着目発塵源影響なしと判定する。次に、着目発塵源影響なしの計測点130での降下煤塵水平流束の平均値をバックグランド降下煤塵水平流束として求めればよい。
あるいは、着目発塵源からの発塵のある場合とない場合が他の情報から判別できる場合には、着目発塵源からの発塵のないときの降下煤塵水平流束の計測値をバックグランド降下煤塵水平流束と判断すればよい。
このような手順で発塵速度を正確に推定することができる理由は、次のとおりであり、本発明者らが鋭意検討した結果、見出したものである。
線である飛行経路100に沿った降下煤塵の量の計測値を用いて、面である降下煤塵プルーム150の断面の大きさを推定する方法では、本実施形態では無人航空機10の飛行経路100上において、前記降下煤塵の水平流束の算出値が所定値以上となる範囲を降下煤塵プルーム150の断面の直径とする。そうすると、降下煤塵プルーム150の断面積の大小に関わらずに、降下煤塵プルーム150の断面積を精度よく求めることができる。この方法を用いて、着目する降下煤塵の発塵源120からの瞬時の降下煤塵発塵量を求めることができる。
即ち、図6に示すように、降下煤塵プルーム150の断面積が煤塵検出部70の単位出力周期の時間に飛行する距離よりも大きい場合には、無人航空機10が降下煤塵プルーム150を通過する間に2つ以上の降下煤塵の量の計測値が得られる。無人航空機10が降下煤塵プルーム150内を通過している間は、降下煤塵の量の計測値が周囲の大気での計測値よりも上昇するので、所定値以上の降下煤塵濃度の量の計測値が得られた計測点を降下煤塵プルーム150内に存在するものと判定する。
飛行経路100が風向に垂直な場合、飛行経路100上の飛行方向での降下煤塵プルーム150の断面の長さを、例えば、次の式(8)で算出することができる。
[飛行方向での降下煤塵プルーム150の断面の長さ]=[煤塵検出部70の出力周期]×[降下煤塵プルーム150内と判定される計測値の個数]×[飛行速度] ・・・(8)
飛行方向での降下煤塵プルーム150の断面の長さを降下煤塵プルーム150の断面を円形と仮定し、上記の飛行方向での降下煤塵プルーム150の断面の長さをこの降下煤塵プルーム150の断面の断面直径とおく。そうすると、降下煤塵プルーム150の断面積は、π×[断面直径]/4として求めることができる。
また、図7に示すように、降下煤塵プルーム150の断面積が煤塵検出部70の単位出力周期の時間に飛行する距離よりも小さい場合には、降下煤塵プルーム150内と判定される計測値が存在する飛行経路100では、次の式(9)を用いて、降下煤塵プルーム150の断面直径を求める。
[飛行方向での降下煤塵プルーム150の断面の長さ]=[煤塵検出部70の出力周期]×[飛行速度] ・・・(9)
これに対して、降下煤塵プルーム150内に判定される計測値が存在しない飛行経路100では、降下煤塵プルーム150の直径を0とする。これらの前提のもとに、複数の必要があるで降下煤塵プルーム150の断面直径の平均値を、平均的な降下煤塵プルーム150の断面直径として算出できる。降下煤塵プルーム150の断面積は、π×[断面直径]/4として求められる。
このようにして求めた断面積は、複数の飛行経路100の平均として、発塵速度推定値を求めるために用いる値として妥当である。その理由は次のとおりである。降下煤塵プルーム150内と判定される計測点130が存在する飛行経路100において、単位飛行距離(=[煤塵検出部70の出力周期]×[飛行速度])Lよりも、降下煤塵プルーム150の断面直径rが小さいとする。この場合に、上記のように降下煤塵プルーム150の断面直径をLとして降下煤塵プルーム150の断面積Sを求めると、次の式(10)のように断面積Sは、(L/r)倍大きく評価される。
S=S0×(L/r) ・・・(10)
但し、S0:本来の降下煤塵プルーム150の断面積
また、r<Lのときに計測される降下煤塵濃度Cは、次の式(11)のように本来の降下煤塵濃度C0に対して(r/L)倍小さい値になる。
C=C0×r/L ・・・(11)
但し、C0:本来の降下煤塵濃度
さらに、鉛直計測面110内において、降下煤塵プルーム150の断面の位置は、降下煤塵プルーム150の不安定性によって、一般的に飛行方向の垂直方向に非定常に変動する。このため、降下煤塵プルーム150の断面積が小さい場合には、一部の飛行経路100でしか無人航空機10が降下煤塵プルーム150を通過することができない。この無人航空機10が降下煤塵プルーム150を通過する確率Rは、概ね次の式(12)で算出される値となる。
R=r/L ・・・(12)
乱流理論に基づくと、降下煤塵プルーム150のプルーム軸垂直方向への断面移動量は、この降下煤塵プルーム150の渦スケール(rで代表できる)のオーダとなる。降下煤塵プルーム150が、一定の大きさの速度で振動を繰り返しているものとみなすと、降下煤塵プルーム150の平均的な中心位置に無人航空機10の飛行経路100が存在する場合、確率Rは、r/Lのオーダとなる。尚、降下煤塵プルーム150の振動速度は無人航空機10の飛行速度に比べて十分に遅く、かつ、煤塵採取口50の開口部62の面積は降下煤塵プルーム150の断面積に比べて十分に小さいものとする。
ところで、計測対象とする降下煤塵プルーム150に対応する発塵速度m’は、次の式(13)で算出される。
m’=ρ×C×S×Ws ・・・(13)
但し、ρ:降下煤塵の平均密度、C:降下煤塵プルーム150中での平均降下煤塵量体積濃度、Ws:風速
なお、ρ×C×Sが降下煤塵の水平流束(質量定義)に相当する。
従って、複数の飛行経路100の発塵速度m’の平均m’aveは、次の式(14)になる。
m’ave=ρ×C×S×Ws×R ・・・(14)
ここに、上記の関係を代入すると、次の式(15)となる。
m’
ave=ρ×C0×r/L×S0×(L/r)×r/L=ρ×C0×S0 ・・・(15)
即ち、本実施形態の方法によって算出された複数の飛行経路100での平均的な発塵速度は、本来の降下煤塵濃度と本来の降下煤塵プルーム150の断面積に基づく妥当性の高い式に帰着する。
[実施例1]
図1に示した実施形態の煤塵計測装置1(無人航空機10)を用いて、上空での降下煤塵のサンプリングを行った。装置条件は、以下のとおりである。
(無人航空機本体20)
機体形式: マルチロータ式無人航空機(6ロータ)。
寸法: 直径1m。
機体重量: 5kg。
制御装置31: フライトコントローラ(PIXHAWK(登録商標))を用いた。
操縦: 無線機を用いた手動操縦および自動操縦(オートパイロット機能)を行った。
(搭載機21)
搭載機21は、図2に示した構成とした。
重量:2.5kg。
煤塵採取口50: 図3に示した構造とした(開口部62が直径40mm、高さ10mm。じゃま板63が4枚(高さ15mm))。開口部62が無人航空機10の他の部品よりも上方の突出するように配置した。
煤塵濃縮器51: バーチャルインパクタとした。流入流速が12m/s。
煤塵捕集器52: 直径25mmのメンブランフィルタ(捕集径5μm、市販品)を用いた。
促進部53: 市販品の圧縮機を用いた。4L/min(最大)、揚程40kPa(最大)。2L/minおよび10kPaの条件で運転した。
ファン54: 市販品を用いた。軸流単段式。最大16000rpm。流量500L/min(最大)、揚程300Pa(最大)、100L/minおよび揚程150Paの条件で運転した。
連続計測手段74: パーティクルカウンタを用いた。粒径区分4種類(10μm〜20μm、20μm〜40μm、40μm〜80μm、80μm以上)の粒子の総数と大きさの分布を常時計測し、10s周期で出力した(市販品)。
大気流ベクトル計測部71: 市販の超音波風向風速計を用いた。計測周期1s。
位置計測部72: 市販のGNSS受信機を用いた。1s周期で位置情報を出力した。
計算機73(データ記録部78): マイクロコンピュータ(市販品)を用いた。時間計測(内蔵時計を使用)、パーティクルカウンタ計測値、GNSS計測値を有線で受信し、内蔵ハードディスクに保存する。
電池: リチウムポリマバッテリ(市販品)を用いた。
電源装置: 各装置に必要な電圧を、市販の電圧変換器を用いて供給した。
(試験条件)
オートパイロット機能を用いて、高度20m、幅200mの範囲で対地飛行速度2m/sでの水平往復飛行を10分間継続した。飛行中の時刻、位置、風向、風速、煤塵量を連続計測し、搭載機21の計算機73(データ記録部78)に計測値を記録した。
(降下煤塵水平流束の算出)
無人航空機10の着陸後に計算機73(データ記録部78)上のデータを取り出し、データ処理して空間位置上の降下煤塵水平流束分布を粒径区分ごとに算出し、上記実施形態の方法で降下煤塵濃度の空間分布を算出した。
(発塵施設の推定)
得られたデータを用いて、地図上に飛行経路上での代表的な計測点における風向別降下煤塵水平流束(相対値)を配置したものを図8に示す。この地図上で3つの計測点での降下煤塵水平流束が最大になる風向の風上延長線は、ほぼ1箇所で交差する。そこで、この交差する位置に存在する施設が主要な発塵施設である可能性が高い(推定発塵施設)と判定することができた。また、実際に発塵施設を目視で確認し、推定発塵施設とほぼ一致することが確認できた。
[実施例2]
実施例1と同様の煤塵計測装置1(無人航空機10)を用いて、図6に示した飛行経路100を設定した。着目発塵源120の風下100mの位置において、主風向に垂直に200m、高度を4種類(高度10m、20m、30m、40m)変更して往復飛行させて、鉛直計測面110を形成した。
各計測点130での降下煤塵の水平流束を表1に示す。尚、降下煤塵の水平流束の計算方法は、上述したとおりである。
表1を参照すると、各計測点130における降下煤塵の水平流束のうち、水平方向100m、かつ、高度20mおよび30mの計測点130での値が他の計測点130よりも際立って大きい。このため、この2点を着目発塵源120からの降下煤塵プルーム150の鉛直断面に対応する計測点130と判定した。
次に、降下煤塵プルーム150の計測面積を求めると、800m(20m(高度方向計測点間隔)×40m(水平方向計測点間隔))となる。従って、鉛直計測面110を通過する降下煤塵の流量、即ち、着目発塵源120での発塵速度は、上記2点での水平流束の平均値に計測面積を乗じた値である、2.7×10−4kg/sと推定できた。
本発明は、大気中で降下煤塵分布を計測する際に有用である。
1 煤塵計測装置
10 無人航空機
11 地上
12 操縦装置
13 運航監視装置
20 無人航空機本体
21 搭載機
30 ロータ
31 制御装置
32 センサ
33 受信機
40 管路系装置
41 計測系装置
50 煤塵採取口
51 煤塵濃縮器
52 煤塵濃縮器
53 促進部
54 ファン
55 空気流路
56 高濃度空気流路
57 濃度空気流路
60 天板
61 傾斜板
62 開口部
63 じゃま板
70 煤塵検出部
71 大気流ベクトル計測部
72 位置計測部
73 計算機
74 連続計測手段
75 検出値処理手段
76 GPSアンテナ
77 時間計測部
78 データ記録部
100、200 飛行経路
110、210 鉛直計測面
120、220 (着目)発塵源
130、230 計測点
131、231 計測面積
140、240 風ベクトル
150 降下煤塵プルーム

Claims (9)

  1. 大気中の降下煤塵の水平流束を計測するための装置であって、
    鉛直方向の中心軸回りに軸対称に形成された開口部と、前記中心軸に平行であって当該中心軸から放射状に配置された3枚以上の平板とを備えた煤塵採取口と、
    前記煤塵採取口より流入した空気を降下煤塵濃度の高い高濃度空気および降下煤塵濃度の低い低濃度空気に分離して流出させる煤塵濃縮器と、
    前記煤塵濃縮器からの前記高濃度空気に含まれた降下煤塵の量および降下煤塵の粒径を連続的に計測するための煤塵検出部と、
    前記煤塵採取口の周囲における大気の流れの水平面内での風向および風速を連続的に計測するための大気流ベクトル計測部と、
    前記煤塵採取口の位置を連続的に計測するための位置計測部と、
    前記煤塵採取口、前記煤塵濃縮器、前記煤塵検出部、前記大気流ベクトル計測部、および前記位置計測部を搭載する小型無人航空機と、
    前記煤塵検出部、前記大気流ベクトル計測部、および前記位置計測部からの計測値を記録するためのデータ記録部と、を有することを特徴とする、降下煤塵の水平流束の計測装置。
  2. 前記煤塵検出部における前記高濃度空気の通過させるブロワ又は圧縮機からなる促進部と、
    前記煤塵濃縮器からの前記低濃度空気の流出を促すファンと、を有し、
    前記小型無人航空機は、前記促進部および前記ファンを搭載することを特徴とする、請求項1に記載の降下煤塵の水平流束の計測装置。
  3. 前記煤塵採取口が4枚以上の前記平板を有することを特徴とする、請求項1または2に記載の降下煤塵の水平流束の計測装置。
  4. 前記煤塵濃縮器がバーチャルインパクタであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の降下煤塵の水平流束の計測装置。
  5. 前記煤塵検出部が、降下煤塵粒子の粒径を検出または分類が可能なパーティクルカウンタを有することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の降下煤塵の水平流束の計測装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の降下煤塵の水平流束の計測装置を用いた降下煤塵の分析方法であって、
    前記大気流ベクトル計測部による風速計測値および前記煤塵検出部による降下煤塵の量の計測値を用いて降下煤塵の水平流束を算出し、
    前記降下煤塵の水平流束の算出値を、前記大気流ベクトル計測部による風向計測値である風向および前記位置計測部による位置計測値である空間上位置に対応づけることを特徴とする、降下煤塵の分析方法。
  7. 前記降下煤塵の水平流束を、下記式(1)を用いて算出することを特徴とする、請求項6に記載の降下煤塵の分析方法。
    [降下煤塵の水平流束]=[前記煤塵検出部による計測値から求めた降下煤塵の量(体積または質量)]/{[前記大気流ベクトル計測部でのデータ出力周期]×[前記煤塵濃縮器における空気の流量]}×||{[前記大気流ベクトル計測部による大気流ベクトル計測値]−[前記小型無人航空機の対地飛行速度ベクトル計測値]}||×[補正係数] ・・・(1)
    但し、前記補正係数は、前記煤塵検出部による降下煤塵の粒径の計測値および前記大気流ベクトル計測部によるベクトル計測値の大きさの関数である。
  8. 降下煤塵の発塵源の位置を把握するにあたり、
    前記風向および前記空間上位置に対応づけられた前記降下煤塵の水平流束の算出値を用いて、
    特定の空間上位置における降下煤塵の水平流束が、他の空間上位置における降下煤塵の水平流束も大きい場合に、当該特定の空間上位置の風向方向に発塵源が存在すると判定することを特徴とする、請求項6または7に記載の降下煤塵の分析方法。
  9. 降下煤塵の発塵源からの当該降下煤塵の発塵速度を推定するにあたり、
    前記降下煤塵の発塵源の風下に前記小型無人航空機を飛行させ、前記風向および前記空間上位置に対応づけた当該小型無人航空機の飛行経路上に対し、
    前記降下煤塵の水平流束の算出値が所定値以上となる前記飛行経路上での範囲から算出される降下煤塵プルームの断面積を用いて、前記降下煤塵の発塵源からの降下煤塵の発塵速度を算出することを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一項に記載の降下煤塵の分析方法。
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